説明

ころ軸受

【課題】被膜による表面処理を施すことによってころ軸受の寿命を効果的に向上させることができるころ軸受を提供する。
【解決手段】円筒ころ軸受1は、外輪軌道面2aを有する外輪2と、外輪軌道面2aに対向する内輪軌道面3aを有する内輪3と、前記外輪軌道面2aと内輪軌道面3aとの間に転動可能に配置された複数の円筒ころ4とを備えている。内輪3の内輪軌道面3aには黒色酸化被膜6aが形成され、円筒ころ4の転動面4aにはダイヤモンドライクカーボン被膜6bが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電機等に用いられるころ軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、風力発電用ギヤボックスに配置される軸受には、中型のころ軸受が多用されている。風力発電に用いられる風車は、通常の発電運転以外に、停電等により電力が遮断されたときや、強風等により回転トルクを低減する制御が行われたときなどに、増速機に回転トルクが伝達されない非定常運転が行われる場合がある。この場合には、特に高速軸に搭載されているころ軸受は、無負荷に近い状態で高速回転するため、軸受の軌道面に十分な潤滑剤が供給されず、回転輪の軌道面やころの転動面にスメアリング(複数の微小な焼付きが起こる現象)が発生し、ころ軸受の寿命が低下することになる。
そこで、従来は、回転輪の軌道面やころの転動面を保護するために、当該軌道面や転動面に、リン酸マンガン被膜による表面処理を施すことが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−156053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リン酸マンガン被膜は、耐荷重性に劣るため、前記軌道面や転動面に剥離が生じやすくなり、ころ軸受の寿命を十分に向上させることができないという問題がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、被膜による表面処理を施すことによって、ころ軸受の寿命を効果的に向上させることができるころ軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための本発明のころ軸受は、固定軌道面を有する固定輪と、前記固定軌道面に対向する回転軌道面を有する回転輪と、前記固定軌道面と前記回転軌道面との間に転動可能に配置されている複数のころと、を備え、前記回転軌道面及び前記ころの転動面のうち、一方の面に黒色酸化被膜が形成され、他方の面にダイヤモンドライクカーボン被膜が形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、回転輪の回転軌道面及びころの転動面のうちの一方の面に、黒色酸化被膜が形成されているため、その被膜を形成する際に生じる亀裂や穴に、潤滑剤を溜めることができる。これにより、前記回転軌道面及びころの転動面のうちの一方の面に潤滑剤を保持することができるため、スメアリングの発生を効果的に抑制することができる。
また、回転輪の回転軌道面及びころの転動面のうちの他方の面に、ダイヤモンドライクカーボン被膜が形成されているため、その表面を硬質化することができる。これにより、ダイヤモンドライクカーボン被膜が形成された面に剥離が生じるのを効果的に抑制することができる。
したがって、回転輪の回転軌道面及びころの転動面に被膜による表面処理を施すことによって、ころ軸受の寿命を効果的に向上させることができる。
【0007】
また、前記固定輪及び前記回転輪の一方には、その軌道面の少なくとも軸方向一方側に、前記ころの端面が摺接する鍔面が形成されており、前記鍔面及び前記ころの端面のうち、一方の面に黒色酸化被膜が形成され、他方の面にダイヤモンドライクカーボン被膜が形成されているのが好ましい。
【0008】
この場合、回転輪の鍔面及びころの端面のうちの一方の面に、黒色酸化被膜が形成されているため、その被膜を形成する際に生じる亀裂や穴に、潤滑剤を溜めることができる。これにより、前記鍔面及び端面のうちの一方の面に潤滑剤を保持することができるため、スメアリングの発生を効果的に抑制することができる。
また、鍔面及びころの端面のうちの他方の面に、ダイヤモンドライクカーボン被膜が形成されているため、その表面を硬質化することができる。これにより、ダイヤモンドライクカーボン被膜が形成された面に剥離が生じるのを効果的に抑制することができる。
したがって、回転輪の鍔面及びころの端面に被膜による表面処理を施すことによって、ころ軸受の寿命をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のころ軸受によれば、回転輪の回転軌道面及びころの転動面に被膜による表面処理を施すことによって、ころ軸受の寿命を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るころ軸受を示す断面図である。
【図2】電子顕微鏡により撮影した黒色酸化被膜の表面を示す図面代用写真である。
【図3】被膜の耐久試験の結果を示すグラフである。
【図4】上記耐久試験の試験装置を示す概略図である。
【図5】被膜の無潤滑下における摩擦係数の推移を示すグラフである。
【図6】上記摩擦係数の推移を測定する測定装置を示す概略図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るころ軸受を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明のころ軸受の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るころ軸受の断面図である。本実施形態のころ軸受は、風力発電用ギヤボックスにおいてラジアル荷重を支持する円筒ころ軸受1である。この円筒ころ軸受1は、固定輪としての外輪2と、この外輪2と同軸心状に回転可能に配置された回転輪としての内輪3と、外輪2と内輪3との間に転動可能に配置されている複数の円筒ころ4と、各円筒ころ4を円周方向に沿って所定間隔に保持するための保持器5とを備えている。
【0012】
外輪2は、内周に形成された外輪軌道面(固定軌道面)2aと、この外輪軌道面2aの軸方向両側において径方向内向きに突出形成された鍔部2bとを有している。各鍔部2bは、円筒ころ4の軸方向両側の端面4bがそれぞれ摺接する鍔面2b1を有している。
【0013】
内輪3の外周には、外輪2の外輪軌道面2aと対向する内輪軌道面(回転軌道面)3aが形成されており、前記外輪軌道面2aと内輪軌道面3aとの間に、円筒ころ4が転動可能に配置されている。円筒ころ4の外周面は、外輪軌道面2a及び内輪軌道面3aを転動する転動面4aとされている。
【0014】
保持器5は、軸方向に離間して配置された第1の円環部5a及び第2の円環部5bと、この両円環部5a,5bの周方向に沿って等間隔おきに配置されて両円環部5a,5bを連結する複数の柱部5cとを備えている。両円環部5a,5bと隣接する柱部5cとの間には、それぞれポケット5dが形成されており、このポケット5d内に各円筒ころ4を配置し、円筒ころ4を円周方向に沿って所定間隔に保持している。
【0015】
外輪2の外輪軌道面2a、内輪3の内輪軌道面3a、及び円筒ころ4の転動面4aには、それぞれ異なる被膜による表面処理が施されている。具体的には、外輪軌道面2a及び内輪軌道面3aには、それぞれ全周に亘って黒色酸化被膜6aが形成されている。図2は、電子顕微鏡により撮影した黒色酸化被膜6aの表面を示す図面代用写真である。この黒色酸化被膜6aは、図2に示すように、形成時においてその表面に複数の亀裂や穴が生じる特性を有している。したがって、この黒色酸化被膜6a上に供給された潤滑剤が、前記亀裂や穴に溜めることができる。
【0016】
円筒ころ4の転動面4aには、全周に亘って例えばタングステンカーバイドカーボン(WCC)を含むダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜6bが形成されている。黒色酸化被膜6a及びダイヤモンドライクカーボン被膜6bの各膜厚は、それぞれ3μm以下に設定されている。
【0017】
内輪3の各鍔面2b1、及び円筒ころ4の各端面4bにおいても、それぞれ異なる被膜による表面処理が施されている。具体的には、前記各鍔面2b1の全体には、黒色酸化被膜6aが形成されている。また、前記各端面4bの全体には、例えばタングステンカーバイドカーボン(WCC)を含むダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜6bが形成されている。前記黒色酸化被膜6a及びダイヤモンドライクカーボン被膜6bの各膜厚も、それぞれ3μm以下に設定されている。
【0018】
図3は、リン酸マンガン被膜及びダイヤモンドライクカーボン被膜に剥離が生じるまでの耐久試験を行った結果を示すグラフである。
この耐久試験の条件は、次のとおりである。第1の試験片は、JIS SUJ2製の平板試験片にリン酸マンガン被膜が形成された試験片である。また、第2の試験片は、JIS SUJ2製の平板試験片にダイヤモンドライクカーボン被膜が形成された試験片である。
【0019】
前記第1の試験片のリン酸マンガン被膜に剥離が生じるまでの耐久試験の方法を次に示す。
図4は、前記耐久試験の試験装置を示す概略図である。この試験装置は、JIS SUJ2製の環状の軌道21aを有するアキシアル軸受用内輪21と、JIS SUJ2製の3/8インチの6個の玉22と、前記玉22をそれぞれ保持する環状の保持器23と、潤滑油24と、第1の試験片30を載置して潤滑油24を貯留する容器25と、を備えている。環状の軌道径(軌道21aの溝底の直径,P.C.D.)はφ38mmである。
【0020】
第1の試験片30をリン酸マンガン被膜31が鉛直方向の上方側に向くよう容器25に載置し、このリン酸マンガン被膜31上に保持器23に保持させた6個の玉22を載置し、これら6個の玉22が軌道21aに収まるよう内輪21を玉22の上に置いた。容器25中に、第1の試験片30が完全に没し、保持器23の鉛直方向の略中間位置まで浸るよう潤滑油24を貯留した。潤滑油24は商品名MEROPA WM320 (Chevron製)を用いた。第1の試験片30と内輪21との間に、玉22と第1の試験片30との間の接触面圧が所定の値になるように、図中矢印A方向にアキシアル荷重を加え、第1の試験片30を静止させて内輪21を1200min−1となる回転速度で回転させた。このときの玉22の通過速度は3600min−1である。
【0021】
耐久試験は、図3に示すように、前記接触面圧がステップS1のとき2.0GPa,ステップS2のとき2.6GPa,ステップS3のとき3.1GPa,ステップS4のとき3.5GPa,ステップS5のとき4.1GPaとなるよう断続的に上昇させている。各ステップS1〜S5では、内輪21を1×10回転させている。
【0022】
前記第2の試験片のダイヤモンドライクカーボン被膜に剥離が生じるまでの耐久試験の方法を次に示す。
図4に示すように、上述したリン酸マンガン被膜31に剥離が生じるまでの耐久試験で使用した試験装置において、試験片を第1の試験片30の代わりに第2の試験片40を用いて試験を行った。すなわち、第2の試験片40をダイヤモンドライクカーボン被膜41(本発明のダイヤモンドライクカーボン被膜6bに相当)が鉛直方向の上方側に向くよう容器25に載置し、このダイヤモンドライクカーボン被膜41上に保持器23に保持させた6個の玉22を載置し、第1の試験片30と同様の試験をおこなった。
【0023】
図3において、前記リン酸マンガン被膜は、接触面圧が3.1GPaのときに剥離が生じているのに対して、前記ダイヤモンドライクカーボン被膜は接触面圧が4.1GPaのときに剥離が生じている。この試験結果より、ダイヤモンドライクカーボン被膜は、リン酸マンガン被膜よりも耐荷重性に優れていることが分かる。
【0024】
図5は、リン酸マンガン被膜、ダイヤモンドライクカーボン被膜及び黒色酸化被膜の無潤滑下における摩擦係数の推移を示すグラフである。
この摩擦係数の測定方法は次のとおりである。第3の試験片は、JIS SUJ2製の平板試験片にリン酸マンガン被膜が形成された試験片である。また、第4の試験片は、JIS SUJ2製の平板試験片にダイヤモンドライクカーボン被膜が形成された試験片である。第5の試験片は、JIS SUJ2製の試験片は、JIS SUJ2製の平板試験片に黒色酸化被膜が形成された試験片である。
【0025】
前記第3の試験片のリン酸マンガン被膜の摩擦係数の推移の測定方法を次に示す。
図6は、前記摩擦係数の推移を測定する測定装置を示す概略図である。この測定装置では、JIS SUJ2製の3/16インチの玉51と、潤滑油(図示省略)とを用意した。
第3の試験片60をリン酸マンガン被膜61が鉛直方向の上方側に向くよう配置し、このリン酸マンガン被膜61上に、転がらないよう固定された玉51を置いた。第3の試験片60の表面には潤滑油を塗布した。潤滑油は、商品名MEROPA WM320 (Chevron製)を用いた。第3の試験片60と玉51との間に、接触面圧が1.6GPaになるようアキシアル荷重10Nを加えた。この状態で、玉51を第3の試験片60に対して平均線速度40mm/sで距離10mmを図中矢印Bで示すように往復する相対移動をさせ、この相対移動を連続して3600s続けた。
【0026】
前記第4の試験片のダイヤモンドライクカーボン被膜の摩擦係数の推移の測定方法を次に示す。
図6に示すように、上述したリン酸マンガン被膜61の摩擦係数の推移の測定方法で使用した測定装置において、試験片を第3の試験片60の代わりに第4の試験片70を用いて試験を行った。すなわち、第4の試験片70をダイヤモンドライクカーボン被膜71(本発明のダイヤモンドライクカーボン被膜6bに相当)が玉51に当接するようにして、第3の試験片60と同様の測定をおこなった。
【0027】
前記第5の試験片の黒色酸化被膜の摩擦係数の推移の測定方法を次に示す。
図6に示すように、上述したリン酸マンガン被膜61の摩擦係数の推移の測定方法で使用した測定装置において、試験片を第3の試験片60の代わりに第5の試験片80を用いて試験を行った。すなわち、第5の試験片80を黒色酸化被膜膜81(本発明の黒色酸化被膜膜6aに相当)が玉51に当接するようにして、第3の試験片60と同様の測定をおこなった。
【0028】
図5において、前記リン酸マンガン被膜の摩擦係数は、0.4〜0.6の範囲で推移しているのに対して、前記ダイヤモンドライクカーボン被膜の摩擦係数は、0.2以下で推移している。この結果より、リン酸マンガン被膜はダイヤモンドライクカーボン被膜よりも摩擦係数が大きいことが分かる。また、前記黒色酸化被膜の摩擦係数は、0.2〜0.4の範囲で推移している。この結果より、黒色酸化被膜の摩擦係数は、リン酸マンガン被膜の摩擦係数よりも小さいが、ダイヤモンドライクカーボン被膜の摩擦係数よりも大きいことが分かる。
【0029】
以上、本発明の実施形態に係る円筒ころ軸受1によれば、回転輪である内輪3の内輪軌道面3aに、黒色酸化被膜6aが形成されているため、その被膜6aを形成する際に生じる亀裂や穴に、潤滑剤を溜めることができる。これにより、前記内輪軌道面3aに潤滑剤を保持することができるため、スメアリングの発生を効果的に抑制することができる。
また、円筒ころ4の転動面4aに、耐荷重性に優れたダイヤモンドライクカーボン被膜6bが形成されているため、その表面を硬質化することができる。これにより、前記転動面4aに剥離が生じるのを効果的に抑制することができる。
また、黒色酸化被膜6aとダイヤモンドライクカーボン被膜6bとの接触部に介在する潤滑油が減少し、さらに、万が一黒色酸化被膜6aに生じた亀裂や穴に保持された潤滑剤の量が無くなった時には、ダイヤモンドライクカーボン被膜6bの摩擦係数よりも摩擦係数の大きい黒色酸化被膜6aの摩擦力によって、内輪3の回転駆動力を効率良く円筒ころ4に伝達することができる。
したがって、内輪3の内輪軌道面3a及び円筒ころ4の転動面4aに被膜による表面処理を施すことによって、円筒ころ軸受1の寿命を効果的に向上させることができる。
【0030】
さらに、外輪2の鍔面2b1に、黒色酸化被膜6aが形成されているため、その被膜6aを形成する際に生じる亀裂や穴に、潤滑剤を溜めることができる。これにより、前記鍔面2b1に潤滑剤を保持することができるため、スメアリングの発生を効果的に抑制することができる。
また、円筒ころ4の端面4bには、ダイヤモンドライクカーボン被膜6bが形成されているため、その表面を硬質化することができる。これにより、前記端面4bに剥離が生じるのを効果的に抑制することができる。
したがって、外輪2の鍔面2b1及び円筒ころ4の端面4bに被膜による表面処理を施すことによって、円筒ころ軸受1の寿命をさらに向上させることができる。
【0031】
図7は、本発明の第2の実施形態に係るころ軸受を示す断面図である。本実施形態と第1の実施形態とが相違する点は、鍔面が内輪に形成されている点である。
本実施形態において、内輪3の外周には、内輪軌道面3aの軸方向両側において径方向外向きに突出形成された鍔部3bを有している。各鍔部3bは、円筒ころ4の各端面4bがそれぞれ摺接する鍔面3b1を有している。
【0032】
内輪3の各鍔面3b1、及び円筒ころ4の各端面4bには、それぞれ異なる被膜による表面処理が施されている。具体的には、前記各鍔面3b1の全体には、黒色酸化被膜6aが形成されている。また、前記各端面4bの全体には、例えばタングステンカーバイドカーボン(WCC)を含むダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜6bが形成されている。前記黒色酸化被膜6a及びダイヤモンドライクカーボン被膜6bの各膜厚は、それぞれ3μm以下に設定されている。
【0033】
以上、本発明の実施形態に係る円筒ころ軸受1においても、内輪3の内輪軌道面3a及び円筒ころ4の転動面4aに、それぞれ黒色酸化被膜6a及びダイヤモンドライクカーボン被膜6bによる表面処理が施されているため、円筒ころ軸受1の寿命を効果的に向上させることができる。
また、内輪3の鍔面3b1及び円筒ころ4の端面4bに、それぞれ黒色酸化被膜6a及びダイヤモンドライクカーボン被膜6bによる表面処理が施されているため、円筒ころ軸受1の寿命をさらに向上させることができる。
【0034】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく適宜変更して実施可能である。例えば、上記各実施形態では、外輪軌道面及び内輪軌道面に黒色酸化被膜を形成し、円筒ころの転動面にダイヤモンドライクカーボン被膜を形成しているが、外輪軌道面及び内輪軌道面にダイヤモンドライクカーボン被膜を形成し、円筒ころの転動面に黒色酸化被膜を形成してもよい。
【0035】
また、上記各実施形態では、外輪軌道面と内輪軌道面とにそれぞれ被膜が形成されているが、少なくとも回転輪側の内輪軌道面に被膜が形成されていればよい。
また、上記各実施形態では、鍔面に黒色酸化被膜を形成し、円筒ころの端面にダイヤモンドライクカーボン被膜を形成しているが、鍔面にダイヤモンドライクカーボン被膜を形成し、円筒ころの端面に黒色酸化被膜を形成してもよい。
【0036】
また、第2の実施形態では、円筒ころの転動面と端面とにそれぞれダイヤモンドライクカーボン被膜が形成されているが、円筒ころの転動面のダイヤモンドライクカーボン被膜と端面のダイヤモンドカーボン被膜とが繋がっていてもよい。また、円筒ころの転動面と端面とにそれぞれ黒色酸化被膜が形成されていてもよく、この場合、円筒ころの転動面の黒色酸化被膜と端面の黒色酸化被膜とが繋がっていてもよい。
【0037】
また、第2の実施形態では、内輪の内輪軌道面と鍔面とにそれぞれ黒色酸化被膜が形成されているが、内輪の内輪軌道面の黒色酸化被膜と鍔面の黒色酸化被膜とが繋がっていてもよい。また、内輪の内輪軌道面と鍔面とにそれぞれダイヤモンドライクカーボン被膜が形成されていてもよく、この場合、内輪の内輪軌道面のダイヤモンドライクカーボン被膜と鍔面のダイヤモンドライクカーボン被膜とが繋がっていてもよい。
また、ダイヤモンドライクカーボン被膜及び黒色酸化被膜のうち、一方の被膜が内輪の内輪軌道面と円筒ころの端面とに形成されているとともに、他方の被膜が内輪の鍔面と円筒ころの転動面とに形成されていてもよい。
【0038】
また、上記各実施形態では、円筒ころの端面全体に被膜が形成されているが、少なくとも鍔面に摺接する部分に被膜が形成されていればよい。
また、上記各実施形態の円筒ころ軸受は、固定輪を外輪、回転輪を内輪としているが、固定輪を内輪、回転輪を外輪としてもよい。
また、ころ軸受は、ラジアル円筒ころ軸受に限らず、スラストころ軸受や、円錐ころ軸受であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1:円筒ころ軸受(ころ軸受)、2:外輪(固定輪)、2a:外輪軌道面(固定軌道面)、2b1:鍔面、3:内輪(回転輪)、3a:内輪軌道面(回転軌道面)、3b1:鍔面、4:円筒ころ(ころ)、4a:転動面、4b:端面、6a:黒色酸化被膜、6b:ダイヤモンドライクカーボン被膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定軌道面を有する固定輪と、
前記固定軌道面に対向する回転軌道面を有する回転輪と、
前記固定軌道面と前記回転軌道面との間に転動可能に配置されている複数のころと、を備え、
前記回転軌道面及び前記ころの転動面のうち、一方の面に黒色酸化被膜が形成され、他方の面にダイヤモンドライクカーボン被膜が形成されていることを特徴とするころ軸受。
【請求項2】
前記固定輪及び前記回転輪の一方には、その軌道面の少なくとも軸方向一方側に、前記ころの端面が摺接する鍔面が形成されており、
前記鍔面及び前記ころの端面のうち、一方の面に黒色酸化被膜が形成され、他方の面にダイヤモンドライクカーボン被膜が形成されている請求項1に記載のころ軸受。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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