説明

ごみ焼却残渣の分別用回転ドラム及びこれを利用したごみ焼却残渣の分別回収装置

【課題】 効率的にごみ焼却残渣からごみ焼却灰とその他の金属類等を分別できるごみ焼却残渣の分別用回転ドラムを提供すること。
【解決手段】 回転ドラムの外周に貫通孔を複数形成したごみ焼却残渣の分別用回転ドラムであって、上記回転ドラム内に螺旋状送り羽根13を設け、上記送り羽根13の後方側に、上記回転ドラム内の右上半円柱面に沿って右横機杆位置から上機杆位置に向けて後方に向かって上昇する第1送り羽根14を設け、上記送り羽根14に続いて上機杆位置から右横機杆位置に向けて後方に向かって下降する第2送り羽根15を設け、上記回転ドラムの左下半円柱面の内周面に沿って上記回転ドラムの左横杆位置から下機杆位置に向けて後方に向かって下降する第3送り羽根16を設け、上記送り羽根16に引き続いて上記回転ドラムの下機杆位置から左横機杆位置に向けて後方に向かって上昇する第4送り羽根17を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ焼却炉の出口等に設置されるもので、ゴミ焼却灰と缶類のような金属類等を分別し回収し得るごみ焼却残渣の分別用回転ドラム及びごみ焼却残渣の分別回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ごみ焼却残渣の分別装置は、ごみ焼却炉から排出されたごみ焼却残渣をトロンメル内に投入し、トロンメルを回転させることにより、ごみ焼却灰をトロンメルの透孔から外部に排出し、缶類等の金属類をトロンメル内に残留させることにより、ごみ焼却灰と金属類等を分別する装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、トロンメルを回転させることにより、一端よりトロンメル内に投入された廃棄物をトロンメル内の螺旋翼により他端部側に移送し、上記移送中に破砕廃棄物を貫通孔から排出し、貫通孔から排出し得ない廃棄物をトロンメル他端部から外部に排出する装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−137829
【特許文献2】特開2010−179201
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の従来装置では、トロンメル内に残留した金属類等を取り出す際は、トロンメル側面の開口蓋を開き、内部に残留する金属類等を手で取り出す必要があった。よって、より効率的にごみ焼却灰と金属類等を分別し取り出すことができる装置が望まれている。
【0006】
また、特許文献2の選別装置によると、廃棄物がトロンメル内を一方向に移送するのみであるから、廃棄物がトロンメルの他端部に移送された時点において、例えば空缶等のような廃棄物は空缶内部のごみ焼却灰等が充分に外部に排出されないおそれがある。よって、上記空缶等に残留する焼却灰等を空缶等の外部に完全に排出するためには、上記トロンメルから排出された空缶等の廃棄物を水洗いする工程を別途設ける必要があった。
【0007】
本発明は、非常に効率的にごみ焼却残渣からごみ焼却灰とその他の金属類等に分別回収できるごみ焼却残渣の分別用回転ドラム及びこれを利用したごみ焼却残渣の分別回収装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は空缶等の廃棄物内のごみ焼却灰等を完全に排出することができ、水洗い工程を必要としないごみ焼却残渣の分別用回転ドラム及びこれを利用したごみ焼却残渣の分別回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、上下機杆及び左右横機杆の間を円弧板によって閉鎖した前端開口、後端閉鎖の円筒形の回転ドラムを設け、該回転ドラムの外周面にごみ焼却灰の貫通孔を複数形成したごみ焼却残渣の分別用回転ドラムであって、上記回転ドラム内の前方に、該回転ドラムの内周面に沿って前方から後方に向かう螺旋状送り羽根を設け、上記螺旋状送り羽根より後方側の位置に、上記回転ドラムの右上半円柱面の内周面に沿って、右横機杆位置から上機杆位置に向けて回転ドラム後方に向かって緩やかに上昇する第1送り羽根を設け、上記第1送り羽根に引き続いて、上記回転ドラムの上記右上半円柱面の内周面に沿って、上記上機杆位置から上記右横機杆位置に向けて、回転ドラム後方に向かって緩やかに下降する第2送り羽根を設け、上記回転ドラムの上記右上半円柱面に対向する左下半円柱面の内周面に沿って、上記第1送り羽根の始端位置より後方側の左横杆位置から下機杆位置に向けて、回転ドラム後方に向かって緩やかに下降する第3送り羽根を設け、上記第3送り羽根に引き続いて上記回転ドラムの後方エリアにおいて、上記回転ドラムの上記左下半円柱面の内周面に沿って、上記下機杆位置から上記左横機杆位置に向けて、上記回転ドラム後方に向かって緩やかに上昇する第4送り羽根を設けたものであることを特徴とするごみ焼却残渣の分別用回転ドラムによって構成される。
【0010】
上記回転ドラムの前端開口は開口部(3a)により構成することができる。上記回転ドラムの後端閉鎖は回転ドラムの後端を円盤(5)により閉鎖することにより構成することができる。上記螺旋状送り羽根より後方側の位置とは、例えば螺旋状送り羽根(13)の後端(13a)の位置より若干前側の右横機杆(2d)上の位置(L3)から後方側の位置をいう。従って、回転ドラム前端開口からごみ焼却残渣を投入して該回転ドラムを一方向に回転すると、回転ドラム内部の螺旋送り羽根及び第1〜第4の送り羽根によってごみ焼却残渣を回転ドラムの前方から後方に移送することができ、この間に回転ドラムの貫通孔からごみ焼却灰を回転ドラム外部に排出することができる。また、上記回転ドラムを逆方向に回転すると、上記第1〜第4の送り羽根及び螺旋状送り羽根によって、回転ドラム内に残留した空缶等の残留物を回転ドラムの後方より前方に移送して回転ドラム前端開口から回転ドラム外部に排出することができる。
【0011】
第2に、上記回転ドラムを水平機枠上に水平状態に支持すると共に、上記回転ドラムの回転中心軸線を中心として該回転ドラムを正逆回転する駆動手段を設け、上記駆動手段を以って上記回転ドラムを一方向に回転させることにより、上記回転ドラムの上記前端開口から投入されたごみ焼却残渣を上記各送り羽根によって後方に送りながらごみ焼却灰を上記貫通孔から排出し得るように構成し、上記駆動手段を以って上記回転ドラムを逆方向に回転させることにより、上記回転ドラムの上記後方エリアに残留したごみ焼却残渣を、上記各送り羽根によって前方に移送し、上記回転ドラム前端開口から排出し得るように構成したものであることを特徴とする上記第1記載のごみ焼却残渣の分別用回転ドラムにより構成される。
【0012】
従って、回転ドラム前端開口からごみ焼却残渣を投入して該回転ドラムを駆動手段によって一方向に回転すると、回転ドラム内部の螺旋送り羽根及び第1〜第4の送り羽根によってごみ焼却残渣を回転ドラムの前方から後方に移送することができ、この間に回転ドラムの貫通孔からごみ焼却灰を回転ドラム外部に排出することができる。また、上記回転ドラムの回転を継続することで、回転ドラム後方に移送された残留物の回転を繰り返すことにより、空缶等内に残留するごみ焼却灰を完全に空缶等外に排出することができる。また、上記駆動手段によって回転ドラムを逆方向に回転すると、上記第1〜第4の送り羽根及び螺旋状送り羽根によって、回転ドラム内に残留した空缶等の残留物を回転ドラムの後方より前方に移送して回転ドラム前端開口から回転ドラム外部に排出することができる。
【0013】
第3に、上記螺旋状送り羽根は、上記回転ドラムの前方において回転ドラム内周面を略1周するように形成されており、上記第1及び第2送り羽根は各々上記右上半円柱面において回転ドラム内周面に沿う湾曲短板として形成されており、上記第3及び第4送り羽根は上記左下半円柱面において回転ドラム内周面に沿う湾曲短板として形成されたものである上記第1又は2記載のごみ焼却残渣の分別用回転ドラムにより構成される。
【0014】
このように送り羽根を回転ドラム内の略1周する螺旋状送り羽根とそれに続く湾曲短板としての第1〜第4送り羽根により構成したものであるから、簡単な送り羽根の形状で、正逆回転により、ごみ焼却残渣の回転ドラム内への導入と回転ドラムからのごみ焼却残渣の排出を実現することができる。
【0015】
第4に、上記螺旋状送り羽根及び上記第1〜第4送り羽根は、上記回転ドラムの内周面の内側方向に突出する板状部材により構成されているものである上記第1〜3の何れかに記載のごみ焼却残渣の分別用回転ドラムにより構成される。
【0016】
第5に、上記第1〜4の何れかに記載のごみ焼却残渣の分別用回転ドラムを利用したごみ焼却残渣の分別回収装置であって、上記回転ドラムの下方に排出シュートを設けると共に、上記排出シュートの下方に磁気選別コンベアを設け、当該磁気選別コンベアの先端部のマグネットにて磁性体と非磁性体とを別方向に供給し得るように構成し、上記磁気選別コンベアの次段に、磁性体の供給を受けて磁性体を搬送する磁性体搬送コンベアを設け、かつ上記磁気選別コンベアの次段に、非磁性体の供給を受けて2方向に供給方向を切り替え可能な選別機を設け、上記選別機の一方の排出方向に対応してごみ焼却灰の搬送シュートを設け、上記選別機の他方の排出方向に対応して非磁性体のごみ焼却残渣の搬送シュートを設けたものであることを特徴とするごみ焼却残渣の分別回収装置により構成される。
【0017】
上記磁気選別コンベアの先端部のマグネットは、例えばマグネットにより構成された先端部ローラ(26)により構成することができる。このように構成すると、回転ドラムを一方向に回転させるとごみ焼却灰が貫通孔から排出され、該ごみ焼却灰は排出シュートから磁気選別コンベアにより搬送され、当該磁気選別コンベアの先端部にて、ごみ焼却灰の搬送シュート側に切り替えられた選別機に供給され、当該選別機から上記ごみ焼却灰の搬送シュートを介して例えばごみ焼却灰の搬送コンベア(31)上供給される。また、回転ドラムを逆方向に回転させて回転ドラム前端開口から排出された空缶、破砕煉瓦等の残留物は、上記排出シュートから磁気選別コンベア上に供給され、当該磁気選別コンベアの先端部のマグネットにて、空缶等の磁性体は磁性体搬送コンベアの方向に供給され、破砕煉瓦等の非磁性体は非磁性体のごみ焼却残渣の搬送シュートに予め切り替えられた選別機方向に供給され、当該選別機から上記非磁性体ごみ焼却残渣の搬送シュートを介して、例えば非磁性体のごみ焼却残渣の集積部(34)に搬送される。このように、ごみ焼却残渣を、ごみ焼却灰と磁性体類と非磁性体類に効率的に分別することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上述のように、回転ドラムを一方向に回転すると、送り羽根によってごみ焼却残渣を回転ドラムの前方から後方に移送することができ、この間ごみ焼却灰を回転ドラム外部に排出することができ、上記回転ドラムを逆方向に回転すると、上記送り羽根によって回転ドラム内に残留した空缶等の残留物を前方に移送して該ドラム前端開口から排出することができ、このような一連のごみ焼却残渣の分別動作を簡単な構造の送り羽根を有する回転ドラムによって効率的に行うことができる。
【0019】
また、回転ドラムの一方向の回転の継続によって回転ドラム後方エリアにおいてごみ焼却残渣を充分に回転し攪拌することができ、これにより例えば空缶等内に残留するごみ焼却灰を充分に空缶等の外部に排出することができ、よって、回転ドラムから排出された空缶等のごみ焼却残渣の水洗浄等を必要としない。
【0020】
また、回転ドラムの送り羽根を、回転ドラム内を略1周する螺旋状送り羽根とそれに続く湾曲短板の第1〜第4送り羽根により構成したものであるから、簡単な形状の送り羽根で、回転ドラムの正逆回転により、ごみ焼却残渣の回転ドラム内への導入と回転ドラムからのごみ焼却残渣の排出を実現することができるものである。
【0021】
また、本発明のごみ焼却残渣の分別用回転ドラムを利用したごみ焼却残渣の分別回収装置によると、ごみ焼却残渣を、ごみ焼却灰と磁性体類と非磁性体類に効率的に分別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るごみ焼却残渣の分別用回転ドラムの側面図である。
【図2】図1のX1―X1線矢視図である。
【図3】図1のX2−X2線矢視図である。
【図4】図1のX3―X3線断面図である。
【図5】(a)は同上ドラムの円弧板の正面図、(b)は(a)のX4−X4線断面図である。
【図6】同上円弧板の貫通孔を示す図である。
【図7】(a)は同上ドラムの側面図、(b)は図7(a)のX5−X5線矢視図である。
【図8】(a)は図7(a)のX6−X6線断面図、(b)は図7(a)のX7−X7線断面図(螺旋状送り羽根13は省略)、(c)は図7(a)のX8−X8線断面図(第1送り羽根14と第3送り羽根16は省略)である。
【図9】(a)は同上ドラムの右側面断面図、(b)は同上ドラムの左側面断面図である。
【図10】同上ドラムの平面図である。
【図11】(a)は同上ドラムの送り羽根の固定部の正面図、(b)は同上ドラムの送り羽根の固定部の底面図である。
【図12】同上ドラムの送り羽根を中心とした概略斜視図である。
【図13】同上ドラムを利用したごみ焼却残渣の分別回収装置の側面図である。
【図14】同上分割回収装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るごみ焼却残渣の分別用回転ドラム及びこれを利用したごみ焼却残渣の分別回収装置について詳細に説明する。尚、説明の便宜上、図1において回転ドラム1の開口部3a側を「前方」、駆動軸6側を「後方」、前方から後方を向いた場合における左右方向を「左側」、「右側」と定義付けて説明を行う。また、以下の説明において、ごみ焼却炉から排出されるごみ焼却灰、空缶等の金属類、破砕された煉瓦等を総称して「ごみ焼却残渣」といい、この内、灰を「ごみ焼却灰」という。
【0024】
図1はごみ焼却残渣の分別回収装置の回転ドラム近傍の側面図である。同図において、1は回転ドラムであり、4つの円形機枠1a,1b,1c,1dを前後方向に一定間隔を以って同一の回転中心軸線C1を共通中心軸として配置し、各円形機枠1a〜1dの円周方向の90度毎の4か所、即ち上下端部と左右横端部に、横断面凹形状の機杆(上機杆2a、左横機杆2b、下機杆2c、右横機杆2d)を回転中心軸線C1方向に接続することにより、円筒形フレーム1’を構成している(図3、図4参照)。
【0025】
この円筒形フレーム1’の前端の円形機枠1dには上記回転中心軸線C1を共通中心とし、上記円筒形フレーム1’と同一直径の短円筒3が接続され、その短円筒3の前端は開口部3aが形成されており、当該開口部3aにごみ焼却残渣の投入用シュート4の排出口4aが配置されている。この短円筒3の外周面中央には後述の左右のローラ10L,10R(図2参照)が係合するレール3bが全周に亙り突出形成されている。
【0026】
上記回転ドラム1の後端(上記円形機枠1a)は円盤5により閉鎖されており、該円盤5の中央部より後方向けて上記回転中心軸線C1を中心とする回転駆動軸6が突出形成されている。
【0027】
上記円筒形フレーム1’の上記各機杆2a〜2dと上記各円形機枠1a〜1dにより囲まれる12箇所の開口部1”は、各々90度の開き角度の円弧板8(図5参照)により閉鎖されている。これらの円弧板8の板面には、長さe1約60mm、幅e2約10mmの細かい長孔状の貫通孔8’(図6参照)が全面に亘り複数個貫通形成されており、いわゆるパンチングメタル板により構成されている。この貫通孔8’は、いわゆるごみ焼却残渣中の焼却灰等の上記貫通孔8’を通過し得る細かい残渣を通過させ、それ以外の空缶等の金属類等の通過を阻止するものであり、上記焼却灰等の上記貫通孔8’を通過可能な残渣とそれ以外の残渣とを選別可能な大きさに形成されている。尚、上記貫通孔8’の大きさは一例であって、残渣の種類によって各種の大きさに形成することができるのは勿論である。
【0028】
上記円弧板8は、その両端縁に起立取付縁8a,8aが設けられており、上記円弧板8を上記円筒形フレーム1’の各開口部1”(例えば、上記上機杆2aと左横機杆2bとの間における円形機枠1aと円形機枠1bの間の開口部1”)に宛がった状態で、上記起立取付縁8a,8aを対応する上記機杆2a,2bに宛がい、ボルトナットNによって上記各機杆2a,2bに接続固定することで上記開口部1”に固定される。そして、全部の開口部1”(12個所)を同様に上記円弧板8で閉鎖することにより、全体として外周面に貫通孔8’の形成された円筒形状の回転ドラム1(トロンメル)が形成されている。
【0029】
尚、図1、図5(a)等の円弧板8には一部の貫通孔8’を記載しているのみであり、実際には上記貫通孔8’は、上記円弧板8の全面に隙間なく同一密度で貫設されている。
【0030】
9は上記回転ドラム1が設置される水平機枠であり、該水平機枠9の前端部において、左右方向に一定間隔を置いて上記ローラ10L,10Rが設けられている(図2参照)。これらのローラ10L,10Rは、左右同一形状のものであり、上記水平機枠9上に前後方向に各々軸受11,11が所定間隔を置いて設けられ、各軸受11,11に、上記水平回転軸線C1と平行な水平回転軸線C2,C2を共通中心とする上記ローラ10L,10Rが回転自在に設けられている。
【0031】
この水平機枠9は上記回転ドラム1の下方に「ロ」字状に設けられており、上記回転ドラム1下方は該ドラム1から落下するごみ焼却灰を下方の排出シュート21(図13)に供給できるように開口している(図4参照)。
【0032】
上記回転ドラム1は、その短円筒3の上記レール3bの左右の二か所に、上記左右のローラ10L,10Rが接するように、上記レール3bを上記左右のローラ10L,10R上に載置されている(図2参照)。
【0033】
上記水平機枠9の後端部には回転軸支持用機枠37が立設固定され、その上部の水平面37a上に軸受39が設けられ(図3参照)、上記回転駆動軸6は上記軸受39にて回転自在に軸支され、その端部は上記軸受39より後方に突出している。このように、上記回転ドラム1は、前方は上記ローラ10L,10Rにて支持され、後方は上記回転駆動軸6を以って上記軸受39に支持され、かかる状態で上記水平機枠9上に水平に支持されている。
【0034】
そして、上記回転駆動軸6の上記後端部にはスプロケット12が接続されており、当該スプロケット12と正逆駆動モータ(駆動手段)Mの駆動軸に接続されたスプロケット12’とがチェーン38により接続されている(図1参照)。
【0035】
このように上記回転ドラム1は、前端の短円筒3を左右の上記ローラ10L,10R上に載置し、後端においてその回転駆動軸6を後部の軸受39により軸支された状態で、回転自在に支持されており、上記正逆駆動モータMを駆動することにより、上記回転ドラム1を上記回転中心軸線C1を中心として、矢印A方向又は矢印B方向に正逆回転駆動し得るように構成されている。
【0036】
次に、上記回転ドラム1の内周面1eに設けられた送り羽根13〜17について説明する。
【0037】
尚、以下の説明において、説明を容易にするため、上記回転ドラム1の図1、図4、図7〜図10、図12の位置において、上記上機杆2aと右横機杆2dとの間の1/4円柱面を「右上半円柱面N1」、上記右横機杆2dと上記下機杆2cとの間の1/4円柱面を「右下半円柱面N2」、上記下機杆2cと上記左横機杆2bとの間の1/4円柱面を「左下半円柱面N3」、上記左横機杆2bと上記上機杆2aとの間の1/4円柱面を「左上半円柱面N4」という。また、図1、図7に示すように、上記回転ドラム1の中心軸方向を4つのエリアに分け、前方から後方に向けて、短円筒エリア(最前方エリア)D1(短円筒3の部分)、前方エリアD2(円形機枠1dと1cの間のエリア)、中央エリアD3(円形機枠1cと1bの間のエリア)、後方エリアD4(円形エリア1bと1aの間のエリア)という。
【0038】
上記回転ドラム1内の送り羽根は、まず、図1、図7、図12に示すように、前端部の短円筒3の内周面3’最下端の位置L1(回転ドラム1の前端下部)から上記回転ドラム1の前方エリアD2の円弧板8の内周面1eに亙るように、上記内周面3’及び上記内周面1eに沿った螺旋状送り羽根13が設けられている。この螺旋状送り羽根13は上記短円筒3の最下端の位置L1から始まり、後方に徐々に移動しながら、右回りに上記内周面3’、上記内周面1eを略1周して設けられており、始点である上記最下端部の位置L1から略1周し、上記回転ドラム1の上記前端部近傍の上記内周面1eの下機杆2cの位置L2(回転ドラム1の前方寄りの位置、前方エリアD2の略中央)で終了している(図7(a)(b)、図8(a)、図12参照)。
【0039】
次に、上記螺旋状送り羽根13の後の端部13aより少し前側の位置L3(回転ドラム1の前方寄りの位置、前方エリアD2の略中央)から、上記回転ドラム1の上記内周面1eの右上半円柱面N1のエリアにおいて、右横機杆2dの部分(位置L3)から上記上機杆2aの部分(位置L4:回転ドラム1の略中央、中央エリアD3の略中央)に向けて、前方から後方に斜め方向に緩やかに上昇するように第1送り羽根14が上記内周面1eに沿って設けられ(図8(b)、図12参照)、上記第1送り羽根14の後端部14a近傍の位置L4から後方に向けて、回転ドラム1の内周面1eの右上半円柱面N1のエリアにおいて、上機杆2aの部分(位置L4)から上記右横機杆2dの部分(位置L5:回転ドラム1の後方寄りの位置、後方エリアD4の前部)に向けて、前方から後方に斜め方向に緩やかに下降するように第2送り羽根15が上記内周面1eに沿って設けられている(図8(c)、図12参照)。
【0040】
また、上記回転ドラム1の内周面1eの左下半円柱面N3のエリアにおいて、上記第1送り羽根14の全長の略半分の位置L6(回転ドラム1の中央よりやや前寄りの位置、中央エリアD3の前端部)あたりから始まり、上記左横機杆2bから上記下機杆2cの部分(位置L7:回転ドラム1の中央よりやや後方寄りの位置、中央エリアD3の後端部)に向けて、前方から後方に斜め方向に緩やかに下降するように上記内周面1eに沿って第3送り羽根16が設けられ(図7(a)、図8(b)、図12参照)、さらに、上記第3送り羽根16の後の端部16aの位置L7から後方に向けて、回転ドラム1の内周面1eの左下半円柱面N3のエリアにおいて、上記下機杆2cから上記左横機杆2b(位置L8、回転ドラム1の後端部、後方エリアD4の後端部)に向けて、前方から後方に斜め方向に緩やかに上昇するように第4送り羽根17が上記内周面1eに沿って設けられている(図7(a)、図8(c)、図12参照)。
【0041】
上記各送り羽根13〜17は、図11(a)(b)に示すように、何れも上記回転ドラム1の内周面1eから一定幅(高さ)Tを有しており、各送り羽根13〜17は何れも、上記回転中心軸線C1方向を向くように、上記内周面1eに対して直立して設けられており(図11(a)(b)参照)、回転ドラム1が矢印A方向に回転することにより、回転ドラム1内に上記開口部3aより投入されたごみ焼却残渣を前方から後方に送り、上記回転ドラム1が逆方向である矢印B方向に回転することにより、内部のごみ焼却残渣を後方から前方に送ることができるように構成されている。
【0042】
上記各送り羽根13〜17は、図11(a)(b)に示すように、各送り羽根13〜17が各機杆2a〜2dを交差する部分において、上記各機杆2a〜2dに固定され、回転ドラム1内部方向に突出して設けられた取付板18a〜18kにその板面を溶接固定されている。尚、図11は第1送り羽根14と取付板18d,18eを代表して示しているが、その他の送り羽根の取り付け部も同様である。
【0043】
上記螺旋状送り羽根13は、図8(a)に示すように、その上機枠2aを横切る部分において取付板18aにより固定され、上記左横機杆2bを横切る部分において取付板18bにより固定され、上記下機杆2cの部分において取付板18cにより固定されている。
【0044】
上記第1送り羽根14は図8(b)に示すように、一端の上記右横機杆2dを横切る部分において取付板18eにより固定され、他端の上記上機杆2aを横切る部分において取付板18dにより固定されている。
【0045】
上記第2送り羽根15は図8(c)に示すように、一端の上記上機杆2aを横切る部分において取付板18fにより固定され、他端の上記右横機杆2dを横切る部分において取付板18gにより固定されている。
【0046】
さらに上記第3送り羽根16は、一端の上記左横機杆2bを横切る部分において取付板18hにより固定され、他端の上記下機杆2cを横切る部分において取付板18iにより固定されている(図8(b)参照)。
【0047】
さらに上記第4送り羽根17は、一端の上記下機杆2cを横切る部分において取付板18kにより固定され、他端の上記左横機杆2bを横切る部分において取付板18jにより固定されている。
【0048】
また、上記各羽根13〜17は図7(b)、図8(a)〜(c)に示すように、その内側が上記回転ドラム1の内周面3’及び内周面1eに密着した状態で取り付けられている。さらに、上記送り羽根14,15は上記上機杆2aに至る直前位置で交差することにより交差部35が形成されており、上記送り羽根16,17は上記下機杆2cに至る直前位置で交差することにより交差部36が形成されている。
【0049】
また、上記第1〜第4送り羽根14〜17は、上記右上半円柱面N1、左下半円柱面N3において、側面からみると、回転ドラム1内周面1eに沿って直線的に設けられているが(図1、図7(a)等)、上述のように各々の内側は上記円筒状の内周面1eに沿って湾曲しており(図8(b)、(c))、全体としては図12に示すように緩やかに湾曲する比較的短い板状(湾曲短板)により形成されている。
【0050】
上記回転ドラム1は上述のように構成されているので、当該ドラム1を矢印A方向に回転すると、上記短円筒3の前端の開口部3aから投入されたごみ焼却残渣は、まず上記螺旋状送り羽根13によって矢印A方向に回転させられながら後方へと送られ、上記残渣は、該螺旋状送り羽根13の後の端部13a近傍まで移動すると、右上半円柱面N1に位置し、前方から後方に向けて緩やかに上り傾斜している第1送り羽根14によって掬われながら、かつ矢印A方向に回転しながら徐々に後方に移動させられ、引き続いて上記右上半円柱面N1の対向面である左下半円柱面N3に位置し、前方から後方に向けて緩やかに下り傾斜している第3送り羽根16によって掬われながら、かつ矢印A方向に回転しながら徐々に後方に移動させられていく。
【0051】
さらに、上記ごみ焼却残渣は、引き続いて右上半円柱面N1に位置し、前方から後方に向けて緩やかに下り傾斜している第2送り羽根15によって掬われながら、かつ矢印A方向に回転しながら徐々に後方に移動させられ、引き続いて上記右上半円柱面N1の対向面である左下半円柱面N3に位置し、前方から後方に向けて緩やかに上り傾斜している第4送り羽根17によって掬われながら、かつ回転させられながらさらに後方に移動させられる。
【0052】
勿論、上記ごみ焼却残渣中のごみ焼却灰は、上記回転ドラム1内を前方から後方へ移動途中において、上記回転ドラム1の多数の貫通孔8’を通って下方に落下して行く。
【0053】
従って、上記ごみ焼却残渣中、上記貫通孔8’を通過しないごみ焼却灰以外の金属類等は、上記回転ドラム1内の上記後方エリアD4に送られ、当該後方エリアD4においてドラム1内において上昇と下降の回転運動を繰り返し、当該回転運動によって缶類等は内部に詰まった焼却灰等が排出され、また互いに当接等してその表面が磨かれていく。
【0054】
また、上記ごみ焼却灰以外の金属類等が上記回転ドラム1内の上記後方エリアD4近傍に残留した後、上記回転ドラム1を逆方向(矢印B方向)に回転すると、上記回転ドラム1内に残留した金属類等を回転ドラム1の前端の開口部3aから排出することができる。即ち、上記回転ドラム1を逆方向(矢印B方向)に回転すると、上記残留物は上記左下半円柱面N3に位置し、後方から前方に向けて緩やかに下り傾斜している第4送り羽根17によって掬われながら、かつ矢印B方向に回転しながら徐々に前方に送り出され、引き続いて上記左下半円柱面N3の対向面である右上反円柱面N1に位置し、後方から前方に向けて緩やかに上り傾斜している第2送り羽根15によって掬われながら、かつ矢印B方向に回転しながら徐々に前方に移動させられる。
【0055】
さらに、引き続いて、上記残留物は、上記左下半円柱面N3に位置し、後方から前方に向けて緩やかに上り傾斜している第3送り羽根16によって掬われながら、かつ回転しながら徐々に前方に移動させられ、引き続いて上記左下半円柱面N3の対向面である右上反円柱面N1に位置し、後方から前方に向けて緩やかに下り傾斜している第1送り羽根14によって掬われながら、かつ回転しながら徐々に前方に移動させられて行く。
【0056】
そして、上記残留物が上記螺旋状送り羽根13の端部13aの位置に達すると、当該送り羽根13によって回転させられながら前方へと送られ、上記短円筒3の開口部3aから回転ドラム1外に送り出されるように構成されている。
【0057】
図13、図14は本発明のごみ焼却残渣の分別回収装置の実施形態であり、上記ごみ焼却残渣の分別回収装置の水平機枠9を架台20上に設置し、上記水平機枠9の下部における上記回転ドラム1に対応する位置にはごみ焼却残渣の排出シュート21が上記水平機枠9に接続されている。
【0058】
上記水平機枠9上において、上記回転ドラム1はその全体が方形の防塵カバー22に覆われている。この防塵カバー22は前端部が開口22aされており、当該開口22aからごみ焼却残渣の上記投入用シュート4が内部に導入され、上記投入用シュート4の排出口4aが上記回転ドラム1の開口部3aに設置されている。
【0059】
23は上記ごみ焼却残渣を搬送するためのごみ焼却残渣搬送用コンベアであり、ごみ焼却炉において生成された残渣を上記投入用シュート4に供給するものである。24は上記コンベア23の支持架台である。
【0060】
上記防塵カバー22の前端下部には、排出用防塵カバー22bが上記回転ドラム1の前方開口部下端に対応して設けられており、上記回転ドラム1の開口部3aから上記排出シュート21に落下していく金属類等が円滑に上記排出シュート21方向に落下供給されるように構成されている。
【0061】
25は上記排出シュート21の下方に設置された磁気選別コンベアであり、上記排出シュート21を介して落下してくるごみ焼却灰、金属、煉瓦等を矢印E方向に搬送し、先端の磁気選別部25aによって磁性体類とそれ以外(非磁性体類)を選別するものである。より具体的には、上記磁気選別部25aにおけるコンベア先端部ローラ26はマグネットにより構成されており、金属等の磁性体が搬送されてきたときは上記先端部ローラ26にて上記磁性体を吸着して磁性体を該ローラ26に沿って回動させて矢印G1方向に移行させ、当接壁27に当接させた上で磁性体搬送コンベア28上に落下させる。一方、磁気選別コンベア25により搬送されてきた焼却灰又は非磁性体の煉瓦等は上記ローラ26に吸着されないので、矢印G2方向に落下して行き、選別機29上に落下する。
【0062】
上記選別機29は切替ダンパ30の切り替えにより、上方からの落下物を矢印G3方向のごみ焼却灰の搬送シュート32に移行させるか、矢印G4方向の非磁性体のごみ焼却残渣の搬送シュート33に移行させるかを切り替え可能である。実際には焼却灰が落下供給される場合は当該焼却灰が矢印G3方向に移行するように上記ダンパ30を切り替え、焼却灰以外の煉瓦等が落下供給される場合は当該煉瓦等が矢印G4方向に移行するように上記ダンパ30を切り替えておく。よって、上記焼却灰は上記選別機29から焼却灰搬送コンベア31に向かう搬送シュート32を介して上記焼却灰搬送コンベア31上に落下供給される。また、上記煉瓦等は上記選別機29から当該装置の外部に向かう搬送シュート33を介して当該装置下方の集積部34に落下供給されるように構成されている。
【0063】
本発明のごみ焼却残渣の分別用回転ドラム及びこれを利用したごみ焼却残渣の分別回収装置は上述のように構成されるものであるので、次に、本装置の動作について説明する。
まず、上記選別機29の切替ダンパ30を矢印G3方向(焼却灰搬送コンベア31方向)に切り替えておく。その後、駆動モータMを駆動して、回転ドラム1を矢印A方向に回転駆動し、上記ごみ焼却残渣搬送コンベア23からのごみ焼却残渣を投入用シュート4から回転ドラム1内に投入開始する。
【0064】
上記ごみ焼却残渣の投入が開始されると、ごみ焼却灰と共に、ごみ焼却残渣中に含まれる空缶、その他の金属類(例えば、針金製のハンガー等)、及び非金属類(例えば破砕煉瓦等)が上記投入用シュート4から排出口4aを介して回転ドラム1内に投入される。
【0065】
上記回転ドラム1内に投入されたごみ焼却残渣は、まず螺旋状送り羽根13によって短円筒3の内周面3’部分より後方の前方エリアD2の回転ドラム1の内周面1eに送られる。具体的には、上記螺旋状送り羽根13によって矢印A方向に回転されながら後方に送られ、上記螺旋状送り羽根13の後の端部13a近傍位置まで移動する。
【0066】
その後、上記ごみ焼却残渣は、右上半円柱面N1における第1送り羽根14によって掬われるように矢印A方向に回転しながら徐々に後方に移動し、引き続いて対向する左下半円柱面N3における第3送り羽根16によって掬われながら矢印A方向に回転し、徐々に後方に移動される。さらに、引き続いて右上半円柱面N1における第2送り羽根15及び上半円柱面N1の対向面である左下半円柱面N3における第3送り羽根16によって掬われつつ矢印A方向に回転しながら徐々に後方に移動し、引き続いて上記左下半円柱面N3における第4送り羽根17によって掬われながら矢印A方向に回転し、後方に移動される。
【0067】
このように、上記ごみ焼却残渣が上記送り羽根13〜17により回転ドラム1の前方から後方に移動していく過程において、回転ドラム1の貫通孔8’を通過し得るごみ焼却灰は、上記回転ドラム1の貫通孔8’からドラム1外に排出され、さらに排出シュート21を介して下方に落下し、磁気選別コンベア25上に載置され、該コンベア25によって矢印E方向に搬送されて行く。
【0068】
上記磁気選別コンベア25によって搬送されるごみ焼却灰は、磁気を帯びていないので、上記コンベア先端部ローラ26から矢印G2方向に移行して選別機29上に落下し、当該選別機29から矢印G3方向のごみ焼却灰の搬送シュート32に移行し、ごみ焼却灰搬送コンベア31によって所定のごみ焼却灰集積部に搬送される。
【0069】
上記回転ドラム1は継続的に矢印A方向に回転しており、該ドラム1内には上記貫通孔8’を通過できない大きさの空缶、或いは針金製のハンガー等の金属類、及び、破砕された煉瓦等が残留し、これらの残留物は、上記回転ドラム1の後端部位置である後方エリアD4において、矢印A方向に繰り返し回転しながら、上昇と下降を繰り返す。上記回転する空缶内にはごみ焼却灰或いはその他の異物等が入っているが、上記回転ドラム1の回転を継続することで、回転ドラム1内の空缶類は回転(上昇と下降)を繰り返し、これにより上記回転ドラム1の内周面1e、送り羽根15,17等に当接を繰り返し、また残留物同士が互いに当接を繰り返すことにより、空缶内のごみ焼却灰その他の異物は、空缶の飲み口から空缶外部に完全に排出される。よって、空缶は水で内部を洗浄することなく、内部に異物のない状態のきれいな空缶とすることができる。
【0070】
また、空缶は上記回転ドラム1内にて回転し、空缶同士の衝突、破砕煉瓦との衝突、回転ドラム内周面との衝突を繰り返すことにより、空缶表面に付着した汚れが除去され、さらに表面が研磨されたきれいな状態の空缶とすることができる。
【0071】
上記回転ドラム1の矢印A方向の回転を一定時間継続し、上記空缶内の異物が除去された後、上記回転ドラム1の回転を一旦を停止する。
【0072】
このとき、上記選別機29の切替ダンパ30を矢印G4方向の非磁性体のごみ焼却残渣の搬送シュート33に切り替える。その後、上記駆動モータMを逆方向に回転駆動して、上記回転ドラム1を逆方向、即ち、矢印B方向に回転する。
【0073】
すると、回転ドラム1の上記後方エリアD4に位置する上記残留物は、左下半円柱面N3に位置し、後方から前方に向けて緩やかに下り傾斜している第4送り羽根17、及び、上記円柱面N3の対向面である右上半円柱面N1に位置し、後方から前方に向けて緩やかに上り傾斜している第2送り羽根15によって掬われるように矢印B方向に回転しながら連続的に前方に移動して行き、さらに、引き続いて、上記左下半円柱面N3に位置し、後方から前方に向けて緩やかに上り傾斜している第3送り羽根16、及び、上記円柱面N3に対向面である右上半円柱面N1に位置し、後方から前方に向けて緩やかに下り傾斜している第1送り羽根14によって掬われるように、矢印B方向に回転しながら前方に移動して行き、上記螺旋状送り羽根13の端部13aまで送られる。
【0074】
その後は、上記螺旋状送り羽根13によって矢印B方向に回転しながら前方に送り出され、上記短円筒3の開口部3aから回転ドラム1外の前方に送り出される。
【0075】
上記開口部3aから回転ドラム1外の前方に送り出された上記残留物は、上記排出用防塵カバー22bを介して下方に落下し、上記排出シュート21の主に前方部分を介して下方に落下して行き、上記磁気選別コンベア25上に落下供給される。
【0076】
上記磁気選別コンベア25上に落下した上記残留物は、該コンベア25によって矢印E方向に送られ、上記コンベア先端部ローラ26を介して下方に落下して行く。このとき、空缶、針金等の磁性体類は、上記先端部ローラ26に吸着されて矢印G1方向に移行し、当接壁27に当接して下方の磁性体搬送コンベア28に落下供給される。よって、これらの磁性体金属類は、上記コンベア28によって磁性体集積所に搬送される。
【0077】
上記残留物の内、磁性体以外の破砕煉瓦等は、上記コンベア先端部ローラ26にて吸着されないので、矢印G2方向に落下して選別機29に落下する。ことのき、上記選別機29の切替ダンパ30は、矢印G4側に切り替えているので、上記選別機29上に落下した破砕煉瓦等の非磁性体類は、選別機29を矢印G4方向に移行し、非磁性体の集積部34に落下集積される。
【0078】
以上のように、本発明のごみ焼却残渣の分別回収装置によると、ごみ焼却灰、空缶等の金属類、破砕非金属類が混在するごみ焼却残渣を、ごみ焼却灰とそれ以外の磁性体類及び非磁性体類に効率的に分別回収することができる。
【0079】
本発明は、以上のように、回転ドラム1を一方向に回転すると、送り羽根13〜17によってごみ焼却残渣を回転ドラム1の前方から後方に移送することができ、この間ごみ焼却灰を回転ドラム1外部に排出することができ、上記回転ドラム1を逆方向に回転すると、上記送り羽根13〜18によって回転ドラム1内に残留した空缶等の残留物を前方に移送して該ドラム前端開口から排出することができ、このような一連のごみ焼却残渣の分別動作を簡単な構造の送り羽根を有する回転ドラム1によって効率的に行うことができる。
【0080】
また、回転ドラム1の一方向の回転の継続によって回転ドラム後方エリアD4においてごみ焼却残渣を充分に回転させながら上昇下降させることができ、これにより例えば空缶等内に残留するごみ焼却灰を充分に空缶等外部に排出することができ、よって、回転ドラム1から排出された空缶等のごみ焼却残渣の水による洗浄等の洗浄工程を必要としない。
【0081】
また、回転ドラム1の送り羽根を、回転ドラム内を略1周する螺旋状送り羽根13とそれに続く内側面1aに沿う湾曲短板の第1〜第4送り羽根14〜17により構成したものであるから、簡単な形状の送り羽根で、回転ドラム1の正逆回転により、ごみ焼却残渣の回転ドラム1内への導入と回転ドラム1からのごみ焼却残渣の排出を実現することができるものである。
【0082】
また、1つの回転ドラム1を正逆回転することで、ごみ焼却残渣の投入と、ごみ焼却灰の分別と、ごみ焼却残渣の回転ドラム1からの排出を行うことができるので、長大な回転ドラムを必要とせず、比較的短い回転ドラム1と簡単な構造の送り羽根により構成することができ、よって回転ドラム1を短く小型化でき、分別回収装置自体を小型化することができる。
【0083】
また、本発明のごみ焼却残渣の分別用回転ドラムを利用したごみ焼却残渣の分別回収装置によると、ごみ焼却残渣を、ごみ焼却灰と空缶等の磁性体類と破砕煉瓦等の非磁性体類に効率的に分別し回収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明のごみ焼却残渣の分別用回転ドラム及びこれを利用したごみ焼却残渣の分別回収装置は、ごみ焼却灰、空缶等の磁性体、破砕煉瓦等の非磁性体が混在するごみ焼却残渣から、ごみ焼却灰、磁性体、非磁性体を効率的に分別し、回収することができるため、ごみ焼却残渣の分別回収に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 回転ドラム
1e 内周面
2a 上機杆
2b 左横機杆
2c 下機杆
2d 右横機杆
3a 開口部(前端開口)
3’ 内周面
5 円盤
8 円弧板
8’ 貫通孔
9 水平機枠
13 螺旋状送り羽根
14 第1送り羽根
15 第2送り羽根
16 第3送り羽根
17 第4送り羽根
21 排出シュート
25 磁気選別コンベア
26 先端部ローラ
28 磁性体搬送コンベア
29 選別機
32 ごみ焼却灰の搬送シュート
33 非磁性体のごみ焼却残渣の搬送シュート
C1 回転中心軸線
D1 最前方エリア
D2 前方エリア
D4 後方エリア
L3 位置
M 駆動モータ(正逆駆動モータ)
N1 右上半円柱面
N3 左下半円柱面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下機杆及び左右横機杆の間を円弧板によって閉鎖した前端開口、後端閉鎖の円筒形の回転ドラムを設け、該回転ドラムの外周面にごみ焼却灰の貫通孔を複数形成したごみ焼却残渣の分別用回転ドラムであって、
上記回転ドラム内の前方に、該回転ドラムの内周面に沿って前方から後方に向かう螺旋状送り羽根を設け、
上記螺旋状送り羽根より後方側の位置に、上記回転ドラムの右上半円柱面の内周面に沿って、右横機杆位置から上機杆位置に向けて回転ドラム後方に向かって緩やかに上昇する第1送り羽根を設け、
上記第1送り羽根に引き続いて、上記回転ドラムの上記右上半円柱面の内周面に沿って、上記上機杆位置から上記右横機杆位置に向けて、回転ドラム後方に向かって緩やかに下降する第2送り羽根を設け、
上記回転ドラムの上記右上半円柱面に対向する左下半円柱面の内周面に沿って、上記第1送り羽根の始端位置より後方側の左横杆位置から下機杆位置に向けて、回転ドラム後方に向かって緩やかに下降する第3送り羽根を設け、
上記第3送り羽根に引き続いて上記回転ドラムの後方エリアにおいて、上記回転ドラムの上記左下半円柱面の内周面に沿って、上記下機杆位置から上記左横機杆位置に向けて、上記回転ドラム後方に向かって緩やかに上昇する第4送り羽根を設けたものであることを特徴とするごみ焼却残渣の分別用回転ドラム。
【請求項2】
上記回転ドラムを水平機枠上に水平状態に支持すると共に、上記回転ドラムの回転中心軸線を中心として該回転ドラムを正逆回転する駆動手段を設け、
上記駆動手段を以って上記回転ドラムを一方向に回転させることにより、上記回転ドラムの上記前端開口から投入されたごみ焼却残渣を上記各送り羽根によって後方に送りながらごみ焼却灰を上記貫通孔から排出し得るように構成し、
上記駆動手段を以って上記回転ドラムを逆方向に回転させることにより、上記回転ドラムの上記後方エリアに残留したごみ焼却残渣を、上記各送り羽根によって前方に移送し、上記回転ドラム前端開口から排出し得るように構成したものであることを特徴とする請求項1記載のごみ焼却残渣の分別用回転ドラム。
【請求項3】
上記螺旋状送り羽根は、上記回転ドラムの前方において回転ドラム内周面を略1周するように形成されており、
上記第1及び第2送り羽根は各々上記右上半円柱面において回転ドラム内周面に沿う湾曲短板として形成されており、
上記第3及び第4送り羽根は上記左下半円柱面において回転ドラム内周面に沿う湾曲短板として形成されたものである請求項1又は2記載のごみ焼却残渣の分別用回転ドラム。
【請求項4】
上記螺旋状送り羽根及び上記第1〜第4送り羽根は、上記回転ドラムの内周面の内側方向に突出する板状部材により構成されているものである請求項1〜3の何れかに記載のごみ焼却残渣の分別用回転ドラム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のごみ焼却残渣の分別用回転ドラムを利用したごみ焼却残渣の分別回収装置であって、
上記回転ドラムの下方に排出シュートを設けると共に、上記排出シュートの下方に磁気選別コンベアを設け、当該磁気選別コンベアの先端部のマグネットにて磁性体と非磁性体とを別方向に供給し得るように構成し、
上記磁気選別コンベアの次段に、磁性体の供給を受けて磁性体を搬送する磁性体搬送コンベアを設け、
かつ、上記磁気選別コンベアの次段に、非磁性体の供給を受けて2方向に供給方向を切り替え可能な選別機を設け、
上記選別機の一方の排出方向に対応してごみ焼却灰の搬送シュートを設け、
上記選別機の他方の排出方向に対応して非磁性体のごみ焼却残渣の搬送シュートを設けたものであることを特徴とするごみ焼却残渣の分別回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−245502(P2012−245502A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121568(P2011−121568)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(592099215)株式会社冨士機 (14)
【Fターム(参考)】