説明

すだれ装置

【課題】簡易な構成によって、すだれを巻き上げることなく容易に採光量や通風量の変更
が可能なすだれ装置を提供する。
【解決手段】すだれ20と、該すだれを巻取る巻取り部10と、を備えたすだれ装置1に
おいて、すだれ20は、隣接する2個のロッド部材21の両端部にそれぞれ張架され該2
個のロッド部材21を弾性的に接近させる一対の弾性部材22が、複数のロッド部材21
の互いに隣接する2個のロッド部材21間に順次張架されて構成され、すだれ20の下端
部のロッド部材21と係合して、該下端部のロッド部材21の上方への移動を規制するフ
ック25を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日光を遮蔽したり、部屋内部の目隠しを行なうためのすだれ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅やオフィスの窓等には、日光を遮蔽したり、室内の目隠しをするためにすだ
れが用いられている。例えば特許文献1には、電動モータによって巻き上げられ開閉され
る電動モータ式のすだれが示されている。該すだれは細長いロッドが多数並列に並び、強
度及び耐候性に優れた繊維12によって織り込まれ形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−56594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に示すものでは、織り込まれロッド間を連結する繊維12は伸
縮性の小さな合成繊維であり、大きく引き伸ばすことは困難である。このため室内への採
光量を増やしたいときや、室内に風を導入したいときには、ロッド間のすきまを変更して
対応することができず、すだれを電気モータによって巻き上げ、開放状態にしなければな
らないという煩わしさがある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成によって、すだれを巻き上
げることなく容易に採光量や通風量の変更が可能なすだれ装置を提供することを目的とす
る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は長尺状に形成された複数のロッ
ド部材が連結部材で連結されたすだれと、該すだれを巻取る巻取り部と、を備えたすだれ
装置において、前記すだれは、隣接する2個のロッド部材の両端部にそれぞれ張架され該
2個のロッド部材を弾性的に接近させる一対の弾性部材が、前記複数のロッド部材の互い
に隣接する2個のロッド部材間に順次張架されて構成され、前記すだれの下端部のロッド
部材と係合して、該下端部のロッド部材の上方への移動を規制するフックを備えたことで
ある。
【0007】
上記課題を解決するため、請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記弾性
部材の隣接する2個のロッド部材への取付け荷重は、前記複数のロッド部材と前記複数の
弾性部材との合計重量から1個の前記ロッド部材の重量と2個の前記弾性部材との合計重
量を減算した値を2等分した値よりも大きいことである。
【0008】
上記課題を解決するため、請求項3に係る発明の特徴は、請求項1において、前記各弾
性部材の隣接する2個のロッド部材への取付け荷重は、各弾性部材が張架される前記隣接
する2個のロッド部材の上方側ロッド部材より下方に位置するロッド部材と弾性部材との
合計重量を2等分した値よりも大きいことである。
【0009】
上記課題を解決するため、請求項4に係る発明の特徴は、請求項1乃至3のいずれか1
項において、前記ロッド部材はロッドと該ロッドの両端に嵌着されたカラーとで構成され
、該カラーは3個の鍔部と、該3個の鍔部によって区画された2個の円筒部とを有し、前
記カラーの2個の円筒部のうちいずれか一方の円筒部は該カラーの上方に位置するカラー
の円筒部と前記弾性部材によって連結され、他方の円筒部は該カラーの下方に位置するカ
ラーの円筒部と前記弾性部材によって連結されていることである。
【0010】
上記課題を解決するため、請求項5に係る発明の特徴は、請求項1乃至4のいずれか1
項において、前記弾性部材は、くの字型に屈曲され両端のフック部がロール状に巻かれ前
記カラーの円筒部に巻き付けられる板ばねであることである。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項6に係る発明の特徴は、請求項1乃至5のいずれか1
項において、前記巻取り部は、電動モータと、該電動モータによって回転駆動される巻取
りドラムと、該巻取りドラムの逆回転を防止する逆回転防止装置と、を有することである

【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、複数のロッド部材同士が弾性部材で連結され、下端部の
ロッド部材がフックによって係合され上方へ移動することを規制されている。そして、こ
のとき巻取り部によってすだれの上方部を巻取ることによってロッド部材間の弾性部材が
伸びロッド部材間隙間が大きくなって採光量や風通し量を所望の大きさに自在に調整する
ことができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、複数のロッド部材のうち最も大きな重量を支持する最上
端のロッド部材に連結される一対の弾性部材が受けるすだれの重量を2等分した値よりも
大きな取り付け荷重によって全ての弾性部材の取り付けがされる。これによって全ての隣
接する各ロッド部材間は確実にロッド部材同士が当接するまで付勢されて等間隔となり見
栄えがよい。また1種類の弾性部材で構成できるので低コストで対応できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、各弾性部材の隣接する2個のロッド部材への各取付け荷
重は、上方から下方に向かって1個のロッド部材と2個の弾性部材との合計重量を2等分
した値ずつ等間隔で小さくなるように配置されている。このように各弾性部材は、連結さ
れる隣接する2個のロッド部材の位置に応じた荷重で取り付けがされるので、すだれをフ
ックに係合した状態で上方に向って巻き上げると各ロッド部材間の隙間は均等となり見栄
えがよい。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、カラーには鍔部が設けられ、各ロッド部材の鍔部外周同
士を当接させることによって、すだれ全閉時の各ロッド部材間の間隔を規制している。こ
のような簡易で低コストな方法によってすだれ全閉時の各ロッド部材間隙間を統一でき見
栄えの向上を図ることができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、弾性部材には、くの字型に屈曲された低コストな板ばね
が適用されている。板ばねは両端のフック部をカラーの円筒部に巻いて簡易に固定できる
とともに、取り付けスペースの少ない各ロッド部材間に容易に取り付けることができる。
【0017】
請求項6に係る発明によれば、すだれを電動モータによって巻き取るよう構成したので
、巻き取り量を細かく調整でき、これによって各ロッド部材間の隙間を自在に調整するこ
とができる。また巻取り部には逆回転防止装置を設けたので、電動モータが停止し巻取り
部がすだれの弾性部材によって巻き取り方向とは逆の付勢力を受けても、簡易、且つ確実
に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係るすだれ装置の建造物の窓への設置図である。
【図2】本発明に係るフックを除くすだれ装置の全体図である。
【図3】本発明に係るすだれ装置の巻上げ時のロッド部材間隙間状態図である。
【図4】本発明に係るすだれ装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に係るすだれ装置を具体化した第1の実施形態について図面を参照して説
明する。以下で説明する第1の実施形態は、日光を遮断したり、目隠しを行なうすだれを
電動モータによって上方に巻き上げる電動式のすだれ装置に適用した例である。なお、以
下の説明において上下とは重力方向における上下をいい、左右とは、図1、図2において
の左右をいうものとする。
【0020】
図1、図2に示すように、本実施形態に係るすだれ装置1は、建造物2の窓3の外側に
配置され、電動モータ11によって駆動される巻取り部10と、巻取り部10に連結され
るすだれ20と、電動モータ11の回転を制御する図略の制御装置とからなる。
【0021】
すだれ装置1の上方部に配置される巻取り部10は、窓3の上方に設置され電動モータ
11と、連結されるすだれ20を巻き取る巻取りドラム12と、からなる。電動モータ1
1(例えばDCモータ)は巻取りドラム12のいずれか一方の側面(本実施形態において
は図1において右側側面)に配置され、図1に示すように雨水の進入を防止する機能を備
えたカバー26によって覆われている。
【0022】
図2に示すように電動モータ11(例えばDCモータ)はモータ回転軸11aを有し、
モータ回転軸11a先端にはウォーム27がモータ回転軸11aと同軸で一体的に設けら
れている。そして図2〜図4に示すようにウォーム27は、モータ回転軸11aと直交し
て配置された巻取りドラム12のドラム回転軸12aと同軸で一体的に設けられたウォー
ムホイール28と噛合している。これにより電動モータ11が駆動されモータ回転軸11
a及びウォーム27が回転すると、ウォーム27に噛合されるウォームホイール28がモ
ータ回転軸11aの回転に対して所定の減速比で減速されて回転される。そしてウォーム
ホイール28の回転に伴い巻取りドラム12がドラム回転軸12a周りに回転し、巻取り
ドラム12の外周に2枚のプレート24を介して固定されるすだれ20を巻取り又は巻き
戻しする。このとき、ウォーム27とウォームホイール28との間には、周知のセルフロ
ック機能が作用し、ウォームホイール28が固定されている巻取りドラム12のドラム回
転軸12aに回転トルクが作用してもウォーム27は回転しない。つまり電動モータ11
が停止しているときには、ウォーム27はウォームホイール28、及び巻取りドラム12
に対し逆回転防止装置として作用している。
【0023】
次にすだれ20について説明する。図2、図3に示すように、すだれ20は、長尺状に
形成された円筒状の複数のロッド部材21と、隣接する2個のロッド部材21間に張架さ
れる連結部材である弾性部材としての複数の板ばね22と、によって構成されている。一
対の板ばね22は、隣接する2個のロッド部材21の両端部にそれぞれ張架され該2個の
ロッド部材21を弾性的に接近させる。そしてすだれ20は、一対の板ばね22が、隣接
する2個のロッド部材21間に順次張架されて構成されている。また各ロッド部材21は
、ロッド部材21aとロッド部材21aの両端に固定されたカラー23とによって構成さ
れている。
【0024】
ロッド部材21は設置される窓3の幅を若干超える長さで形成された、金属製である例
えばアルミの押し出し材によって形成されている。なお、材質はアルミに限らず軽量な金
属である例えばチタン、マグネシウム、又はニッケル等によって形成しても良い。さらに
ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、又はポリアセタール(P
OM)等の樹脂材料によって形成してもよい。なお、すだれ20を構成するロッド部材2
1の使用本数は任意であり、ロッド部材21を軸方向に並列で上下方向に並べたときに、
すだれ20が設置される窓3を概ね覆う本数であることが好ましい。ただしこの限りでは
ない。
【0025】
円筒状のカラー23は樹脂である例えばポリアミド(PA)によって形成されている。
カラー23は板ばね22を係止するための1mm程度の高さを有する3個の鍔部23a、
23b、23cと、該3個の鍔部23a、23b、23cによって区画された2個の円筒
部23d、23eとを有している。カラー23の2個の円筒部23d、23eのうちいず
れか一方の円筒部である例えば円筒部23dは隣接する2個のロッド部材21のうち上方
側ロッド部材21のカラー23の円筒部23dと板ばね22によって張架され連結されて
いる。このとき他方の円筒部23eは隣接する2個のロッド部材21のうち下方側ロッド
部材21のカラー23の円筒部23eと板ばね22によって張架され連結されている。ま
た該下方側ロッド部材21は、該下方側ロッド部材21より更に下方側ロッド部材21と
板ばね22によってカラー23の円筒部23d同士で張架され連結されている。このよう
にロッド部材21は下方に向って、隣接する下方のロッド部材21と順次、カラー23の
2個の円筒部23d又は23eと交互に張架されながら連結されている。そしてすだれ2
0の上端のロッド部材21は、前述したとおり巻取りドラム12とカラー23の円筒部2
3d又は23eとの間で2枚のプレート24を介して連結されている。
【0026】
カラー23はロッド部材21を構成するロッド21aの両端にロッド21aの外方から
それぞれ挿入されロッド21aと同軸に嵌着されている。このときカラー23の軸方向外
方端面23fはロッド21aの端面よりもロッド21aの軸方向中央部寄りに配置され、
ロッド21aの端面がカラー23の外方端面23fから若干突出している。ただしこの配
置形態に限らず、カラー23の外方端面23aとロッド21aの端面とを軸方向で同一位
置に配置してもよいし、カラー23の外方端面23aの方がロッド21aの端面よりロッ
ド21aの軸方向外方に若干突出していてもよい。そしてカラー23はカラー23の円筒
内周面に形成された図略の突起と、ロッド21aの表面に設けられた図略の凹部とが嵌合
され嵌着されている。ただしロッド21aへのカラー23の固定方法はこの形態に限らず
例えば接着剤によってもよい。
【0027】
なお、すだれ20の全閉時の遮光量を決定する鍔部23a〜23cの高さは、任意に設
定されるものである。つまりすだれ20の全閉時に十分な遮光を所望する時は鍔部23a
〜23cの高さを0近傍とすればよいし、すだれ20の全閉時にもすだれ20を通して所
定量の採光を所望するのであれば、所望の採光量に応じた鍔部23a〜23c高さとすれ
ばよい。ただしこれまで重ねてきた実験結果より鍔部23aの高さは0〜3mmの範囲で
設定されることが好ましい。
【0028】
板ばね22は、図2〜図4に示すように、ばね材である鉄やステンレス等によって形成
されたプレート材がL字状に屈曲されて形成されている。そして屈曲されたL字の両端部
に、ロール状に巻かれカラー23の円筒部23d,23eに巻きつけられて係止されるフ
ック部22aが形成されている。
【0029】
ここで板ばね22の配置について説明する。板ばね22は、すだれ20を構成する各ロ
ッド部材21のうち上下方向において隣接するロッド部材21同士を連結するものである
。すだれ20の上端、及び下端の各ロッド部材21を除く他の各ロッド部材21には、各
ロッド部材21の上方の各ロッド部材21に連結される一対の板バネ22と、下方の各ロ
ッド部材21に連結される一対の板バネ22とが各板バネ22の各フック部22aによっ
て係止され連結されている。4つの板バネ22は各ロッド部材21の両端部のカラー23
に2つずつ配置され、例えばカラー23の外方側の係止部23eに上方のロッド部材21
と連結されるための板ばね22のフック部22aがそれぞれ係止されている。このとき下
方の各ロッド部材21との連結用の板ばね22のフック部22aは、カラー23の軸方向
内方側の円筒部23dにそれぞれ係止されている。このようにして各ロッド部材21を上
方の各ロッド部材21及び下方の各ロッド部材21とそれぞれ連結するため、各板ばね2
2は上下方向において各フック部22aが各カラー23の各円筒部23d、23eに順次
互い違いに配置され各板ばね22同士の干渉が起きないように構成されている。
【0030】
次に各板ばね22の取付け荷重について説明する。ここで取付け荷重とは、隣接する2
個の各ロッド部材21同士が最も接近した状態において、板ばね22を各カラー23の各
円筒部23d又は23e同士に張架したときの、板ばね22が隣接する各ロッド部材21
同士を接近させる方向に付勢する荷重の大きさをいう。
【0031】
各板ばね22の取付け荷重は、すだれ20を構成する複数のロッド部材21と、複数の
板ばね22との合計重量から1本のロッド部材21と2個の板ばね22との合計重量を減
算した値を2等分した値よりも若干大きな荷重となるように設定されている。つまり、各
板ばね22の取付け荷重は、すだれ20の上端のロッド部材21に張架される板ばね22
にかかるすだれ20の重量よりも若干大きな荷重で設定され、隣接する2個の各ロッド部
材21同士を、各ロッド部材21同士の隙間が小さくなる方向に付勢している。
【0032】
このように各ロッド部材21のうち最も大きな荷重を受ける上端のロッド部材21と上
端から2番目のロッド部材21とを接近させ当接させることが可能なように板ばね22の
取付け荷重が設定される。そして全ての隣接する各ロッド部材21同士が、該取付け荷重
の各板ばね22によって連結されるので、各隣接するロッド部材21は各ロッド部材21
同士の隙間が小さくなる方向に付勢され確実にカラー23の各鍔部23a〜23cの外周
面同士が当接しあい、所定の隙間dを持って全閉状態を保持することができる。なお、こ
のとき各鍔部23a〜23cの外周面形状は円形でなくても良く、例えば円形の一部を切
り欠いて平面部を設け、各カラー23の各鍔部23a〜23cを該平面部同士で当接させ
、安定的に保持できるようにしてもよい。
【0033】
建造物2の外壁であり窓3の下方の外周部には、金属製(例えばアルミ製)のフック2
5が2個左右にそれぞれ固定されている。フック25は、下端部の各ロッド部材21のう
ちいずれか1本のロッド部材21を構成するロッド21aの両端部をフック25の下面に
係合して固定し、下端部のロッド部材21が上方へ移動することを規制している。なおフ
ック25は、所定の強度を備えていればどのような形状、材質によって形成されてもよい
。またフック25は窓3の窓枠に設けてもよい。
【0034】
図略の制御装置は建造物2の室内に配置され電動モータ11と配線によって接続されて
いる。制御装置のON、OFF及び回転方向の切替えは室内に設けられたスイッチによっ
て行なわれる。正転または逆転のスイッチがONされると制御装置によって電動モータ1
1が正回転または逆回転され、すだれ20が巻取りドラム20によって巻取りまたは巻き
戻しされる。また制御装置は、作動中の電動モータ11の電流値を監視し、該電流値が所
定の範囲を超えた場合に作動を停止させる機能を有している。これにより、すだれ20の
下端部がフック25によって係合されているときに、電動モータ11によってすだれ20
が上方に巻き上げられ所定の引張り荷重を超えても、増加した引張り荷重に応じて上昇す
る電動モータ11の駆動電流値を監視する制御装置によって電動モータ11の作動が確実
に停止される。これによりすだれ20が破損したり、電動モータ11が損壊される虞はな
い。
【0035】
次に、すだれ1の作動について説明する。まず、すだれ20を巻取り部10の巻取りド
ラム12に巻き取られている状態から巻き戻す場合について説明する。すだれ1に図略の
電源を投入し、巻き戻し方向のスイッチをONすると、電動モータ11が所定の方向に回
転し、ウォーム27とウォームホイール28を介して巻取りドラム12をすだれ20が巻
戻される方向に回転させる。これによりすだれ20の下端は下方に向って降下し、やがて
フック25に到達し窓3を覆う。このとき、スイッチをOFFにすれば、電動モータ11
の作動は停止する。そして逆回転防止装置としての機能を有するウォーム27とウォーム
ホイール28との間の関係によって巻取りドラム12にはブレーキ力が作用し、すだれ2
0は安定的に静止している。そして、前述したとおり、このとき隣接する各ロッド部材2
1間は同一の取り付け荷重によって取付けられた各板ばね22の付勢力によって、各ロッ
ド部材21間に設けられたそれぞれのカラー23の鍔部23a〜23cの外周面同士が当
接され、所定の隙間d(本実施形態においては2mm)を維持している。つまり隣接する
各ロッド部材21間は全閉の状態を確実に維持して所定量の日光を遮光し、且つ室内の目
隠しをしている。
【0036】
次に、すだれ20の下端部のロッド部材21の両端をすだれ20の下方で、窓3の下方
外周部に配置した2個のフック25に係合させた状態から電動モータ11の駆動によって
すだれ20の上方を巻上げた場合について説明する。この場合、すだれ20の下端部はフ
ック25に係合され固定されているので、電動モータ11の駆動によってすだれ20の上
方を巻上げていくと、やがてすだれ20にはフック25と巻取りドラム12との間で張力
が加わり始める。そしてさらに電動モータ11の駆動によってすだれ20の上方を巻上げ
ていくと、すだれ20の張力が増加しやがて隣接する2個の各ロッド部材21間を連結す
る板ばね22の取付け荷重を上回り、各ロッド部材21間の隙間が広がり始める(図3参
照)。このとき、すだれ20においては、隣接する各ロッド部材21間に張架され連結す
る各板ばね22の荷重が、すだれ20が巻上げられることによって発生した張力と釣り合
い、所定量だけ各板ばね22の取付け長、即ち各ロッド部材21間の隙間が伸長されてい
る。そしてこのときの伸長量は、上方から下方に向かって各板ばね22毎に異なり、上方
の板ばね22の方が大きな伸長量となり、下方に向って漸次小さくなっていく。つまり図
3に示す各ロッド部材21間の各隙間A〜HはAが最も大きくHに向って順次小さな値と
なっていく。このように各板ばね22の伸長量が各板ばね22毎に異なる理由は、各板ば
ね22毎に印加される各板ばねより下方に位置する、すだれ20の重量が異なっているた
めである。各板ばね22は同じ仕様で製作された一種類の板ばねであり、且つ同じ取付け
荷重で隣接する2個のロッド部材21間に取付けられている。よって各板ばね22にかか
る荷重は各板ばね22より下方に配置されるすだれ20の重量分だけ差が生じ該差の分だ
け伸長量が異なる。
【0037】
そして電動モータ11を細かく作動させて隙間量を調整し、所望の採光量や風通し量に
してやればよい。また、このときにも電動モータ11を停止した状態では、ウォーム27
とウォームホイール28との間のセルフロック機能によって巻取りドラム12にはブレー
キ力が作用しすだれ20は静止している。
【0038】
上述から明らかなように、本実施形態においては、複数のロッド部材21同士が連結部
材としての弾性部材である板ばね22で連結され、下端部のロッド部材21がフック25
によって係合され上方へ移動することを規制されている。そして、このとき巻取り部10
によってすだれ20の上方部を巻取ることによってロッド部材21間の板ばね22が伸び
ロッド部材21間隙間が大きくなって採光量や風通し量を所望の大きさに自在に調整する
ことができる。
【0039】
また、本実施形態においては、複数のロッド部材21のうち最も大きな重量を支持する
最上端のロッド部材21に連結される一対の板ばね22が受けるすだれ20の重量を2等
分した値よりも大きな取り付け荷重によって全ての板ばね22の取り付けがされる。これ
により全ての隣接する各ロッド部材21間は確実にロッド部材21同士が当接するまで付
勢されて等間隔となり見栄えがよい。また1種類の板ばね22で構成できるので低コスト
で対応できる。
【0040】
また、本実施形態においては、カラー23には鍔部23a〜23cが設けられ、各ロッ
ド部材21の鍔部23a〜23c外周同士を当接させることによって、すだれ全閉時の各
ロッド部材21間の間隔を規制している。このような簡易で低コストな方法によってすだ
れ全閉時の各ロッド部材21間隙間を統一でき見栄えの向上を図ることができる。
【0041】
また、本実施形態において弾性部材には、くの字型に屈曲された低コストな板ばね22
が適用されている。板ばね22は両端のフック部22aをカラー23の円筒部23d又は
23eに巻いて簡易に固定できるとともに、取り付けスペースの少ない各ロッド部材21
間に容易に取り付けることができる。
【0042】
さらに、本実施形態においては、すだれ20を電動モータ11によって巻き取るよう構
成したので、巻き取り量を細かく調整でき、これによって各ロッド部材21間の隙間を自
在に調整することができる。また巻取り部には逆回転防止装置14を設けたので、電動モ
ータ11が停止し巻取り部10がすだれ20の板ばね22によって巻き取り方向とは逆の
付勢力を受けても、簡易、且つ確実に固定できる。
【0043】
次に第2の実施形態について図2、図3にて説明する。第1の実施形態においては、す
だれ20の隣接する2個のロッド部材21は1種類の各板ばね22によって連結された。
しかし第2の実施形態においては、隣接する2個のロッド部材21をそれぞれ異なる複数
種類の板ばね52a〜52iによって連結する。板ばね52a(上端)〜52i(下端)
はそれぞれ各隣接する2個のロッド部材21間に一対、即ち2個ずつ取付けられている。
なお、上記以外は第1の実施形態と同様であるので同様部分については説明を省略し、異
なる部分の説明のみ行なう。
【0044】
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に各板ばね52a〜52iには、電動モー
タ11の駆動によってすだれ20が上方に引張られ発生した張力と、各板ばね52a〜5
2iより下方に位置するすだれ20の重量とがかかっている。そこで各板ばね52a〜5
2iの取付け荷重は、各板ばね52a〜52iより下方の重量分を考慮に入れ、下方に配
置される各板ばね程、取付け荷重が小さくなるように設定されている。つまり、各板ばね
52a〜52iの取り付け荷重は、各板ばね52a〜52iが張架される隣接される2個
のロッド部材21の上方側ロッド部材21より下方に位置する各ロッド部材21と各板ば
ね52a〜52iとの合計重量を2等分した値よりも大きい値とする。よって各板ばね5
2a〜52iの各ロッド部材21へのそれぞれの取り付荷重は上方から下方に向ってほぼ
等間隔で漸減し、上下方向に隣接する各ロッド部材21間の取り付け荷重の差は1個のロ
ッド部材21と該ロッド部材21に係合された2個の板ばね(板ばね52a〜52iのう
ち何れか1種)との合計重量を2等分した値となる。
【0045】
これによりすだれ20の下端部のロッド部材21をフック25に係合した状態で、すだ
れ20の上方部を巻上げるとき、隣接する各ロッド部材21間を連結する各板ばね52a
〜52iが、発生した張力と釣り合い、所定量だけ取付け長が伸長されている。そして各
板ばね52a〜52iの仕様は各板ばね52a〜52iが受ける荷重の大きさに基づいて
それぞれ設定されているので、すだれ20の上方と下方では印加される応力が異なっても
、図3に示す隣接する各ロッド部材21間の隙間A〜Hはほぼ同間隔となり見栄えがよい

【0046】
なお、上記実施形態においては、各ロッド21間を連結する弾性部材として板ばね22
を適用したが、これに限らず例えば引張りコイルスプリングを適用してもよい。各ロッド
部材21の軸線部を両端の外方にそれぞれ延在させ、該延在部に引張りコイルスプリング
のフック部を係止させればよい。これによって隣接する各ロッド間の隙間が小さくなる方
向に付勢でき、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0047】
また、上記実施形態においては、すだれ20を巻取る巻取りドラム12の逆回転防止装
置として、ウォームとウォームホイールのセルフロック機構を利用した。しかしこれに限
らず特開2006−125186に開示されるコイルスプリングの外周の拡縮を利用した
スプリングカプラ式の逆回転防止装置を設けてもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、すだれ20の下端部と係合するためのフック25を2
個設けたが、ロッド部材21の軸方向中央部で係合するフックを1個のみ設け対応しても
よい。またフック25を3個以上設けてもよい。
【0049】
さらに、上記実施形態においては、すだれ20を巻き上げる巻上げ部10に電動モータ
11を適用し電動式すだれ装置としたが、手動式の巻上げ装置を用いてもよい。この場合
はドラム12のドラム回転軸12aに、ウォーム27とウォームホイール28を介して手
回し用のハンドルを回転連結させればよい。これによっても上記実施形態と同様の効果が
得られる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・すだれ装置、2・・・建造物、3・・・窓、10・・・巻取り部、11・・・電
動モータ、12・・・巻取りドラム、14・・・逆転防止装置、20・・・すだれ、21
・・・ロッド部材、22・・・板ばね、23・・・カラー、27・・・ウォーム、28・
・・ウォームホイール、52a〜52i・・・板ばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状に形成された複数のロッド部材が連結部材で連結されたすだれと、
該すだれを巻取る巻取り部と、を備えたすだれ装置において、
前記すだれは、隣接する2個のロッド部材の両端部にそれぞれ張架され該2個のロッド
部材を弾性的に接近させる一対の弾性部材が、前記複数のロッド部材の互いに隣接する2
個のロッド部材間に順次張架されて構成され、
前記すだれの下端部のロッド部材と係合して、該下端部のロッド部材の上方への移動を
規制するフックを備えたことを特徴とするすだれ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記弾性部材の隣接する2個のロッド部材への取付け荷重は、前記
複数のロッド部材と前記複数の弾性部材との合計重量から1個の前記ロッド部材の重量と
2個の前記弾性部材との合計重量を減算した値を2等分した値よりも大きいことを特徴と
するすだれ装置。
【請求項3】
請求項1において、前記各弾性部材の隣接する2個のロッド部材への取付け荷重は、各
弾性部材が張架される前記隣接する2個のロッド部材の上方側ロッド部材より下方に位置
するロッド部材と弾性部材との合計重量を2等分した値よりも大きいことを特徴とするす
だれ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、前記ロッド部材はロッドと該ロッドの両端に
嵌着されたカラーとで構成され、
該カラーは3個の鍔部と、該3個の鍔部によって区画された2個の円筒部とを有し、
前記カラーの2個の円筒部のうちいずれか一方の円筒部は該カラーの上方に位置するカ
ラーの円筒部と前記弾性部材によって連結され、他方の円筒部は該カラーの下方に位置す
るカラーの円筒部と前記弾性部材によって連結されていることを特徴とするすだれ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、前記弾性部材は、くの字型に屈曲され両端の
フック部がロール状に巻かれ前記カラーの円筒部に巻き付けられる板ばねであることを特
徴とするすだれ装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、前記巻取り部は、電動モータと、該電動モー
タによって回転駆動される巻取りドラムと、該巻取りドラムの逆回転を防止する逆回転防
止装置と、を有することを特徴とするすだれ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−106182(P2011−106182A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263157(P2009−263157)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100791)アイシン軽金属株式会社 (137)
【Fターム(参考)】