説明

せき板付き傾斜コンベア

【課題】装置が複雑化することなく、カットタイヤ等の細粒化が困難であり且つ互いに絡みつく搬送物であっても定量搬送することができるせき板付き傾斜コンベアを提供する。
【解決手段】小塊状の搬送物を搬送する入口部から出口部に向けて上り勾配で傾斜する搬送路を有し、該搬送路上に複数のせき板を備えたせき板付き傾斜コンベアにおいて、入口側に搬送物を受け入れて貯留するホッパを有し、該ホッパの後流側に、傾斜コンベア上の搬送物の上部を擦り切って搬送量を定量化する擦り切り堰を取り付けるとともに、該擦り切り堰の後流側に、搬送中に落下した搬送物を堰き止める落下防止堰を複数設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみ、産業廃棄物、農業廃棄物等を、燃焼や燃料化する廃棄物処理装置への供給コンベアとして用いられるせき板付き傾斜コンベアに関するものであり、特に、例えばタイヤを分割したカットタイヤ等の小塊状の弾性体を廃棄物処理装置へ搬送するのに好適なせき板付き傾斜コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市ごみ、産業廃棄物、農業廃棄物等は、一般に廃棄物処理装置によって例えば燃焼や燃料化等されて処理されている。廃棄物処理装置は、例えば流動床焼却装置、流動床ボイラ等の燃焼装置の他、廃棄物減容化装置、固形燃料化装置、廃棄物油化装置、廃棄物ガス化装置等を例示することができる。
廃棄物処理装置で安定して廃棄物を処理するためには、廃棄物処理装置へ供給する廃棄物量を調整し、定量供給することが重要な条件となる。
【0003】
そこで、廃棄物の供給量を定量化する装置として、特許文献1には、傾斜角が60度以上75度以下の上り角度を有するせき板付き傾斜コンベアであり、コンベアヘッド部の傾斜角を緩くした破砕廃棄物を定量化する傾斜コンベアが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、搬送面から所定の隙間を設けた位置に、コンベアに載って移動する廃棄物の上部を掻き取り一定の量に規制する堰が設けられた傾斜コンベアが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−331235号公報
【特許文献2】特開平10−19225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、傾斜角度を60度以上75度以下という急角度として過剰積載物が転がり落ちることで定量搬送しているため、例えばタイヤを16又は32分割したカットタイヤを搬送する場合、カットタイヤ同士互いに絡みついて過剰積載物のみならず定量搬送に必要なカットタイヤも一緒に転げ落ちてしまう可能性がある。従って、このような急角度で転げ落ちる構造の傾斜コンベアではカットタイヤのような互いに絡み合う小塊状の弾性変形体を定量搬送することは難しい。またカットタイヤを細粒化すれば特許文献1に開示された技術でもカットタイヤを定量搬送できる可能性はあるが、細粒化するためには大がかりな設備が必要であり、コスト面を考慮するとカットタイヤ細粒設備を設けることは難しい。
また、コンベア傾斜角度が前記のように急角度であるため、せき板角度は逆に緩くなる。そのためコンベアヘッド部で戻りのせき板に搬送物が乗って戻ってしまうことを防止するために、コンベアヘッド部のみ傾斜角度を緩くしているが、コンベア構造が複雑となるとともに部品点数が増え、装置製作コスト高になってしまう。
【0007】
また、特許文献2に開示されている技術は、堰で上部を掻き取られた以降に搬送物が落下した場合には、搬送物が落下した部分は搬送物量が減ってしまい定量供給ができなくなる。特にカットタイヤのように互いに絡み合う弾性変形体を搬送する場合には、一部のカットタイヤが崩れ落ちるとその周囲で絡み付いているカットタイヤもともに崩れ落ちるため、崩れ落ちた部分での定量性は大きく損なわれることとなる。
【0008】
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、装置が複雑化することなく、カットタイヤ等の細粒化が困難であり且つ互いに絡みつく搬送物であっても定量搬送することができるせき板付き傾斜コンベアを提供することを目的とする。
なお、ここで定量搬送とは、後工程である廃棄物処理装置等で問題とならない程度以下の変動量で搬送するということである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明においては、小塊状の搬送物を搬送する入口部から出口部に向けて上り勾配で傾斜する搬送路を有し、該搬送路上に複数のせき板を備えたせき板付き傾斜コンベアにおいて、入口側に搬送物を受け入れて貯留するホッパを有し、該ホッパの後流側に、傾斜コンベア上の搬送物の上部を擦り切って搬送量を定量化する擦り切り堰を取り付けるとともに、該擦り切り堰の後流側に、搬送中に落下した搬送物を堰き止める落下防止堰を複数設けたことを特徴とする。
【0010】
擦り切り堰を設けて過剰搭載された搬送物の上部を擦り切ることにより、搬送量を定量化することができる。擦り切り堰より後流側に落下防止堰を設けて落下した搬送物を堰き止めることにより、落下防止堰よりも上部で落下した搬送物がホッパまで落下することを防止することができるとともに、落下防止堰よりも下部で搬送物が落下してできた隙間を落下防止堰でせき止めた搬送物で埋めることができるため、擦り切り堰以降で搬送物の落下があった場合にも搬送量の定量化が維持される。特に搬送物がカットタイヤである場合には、カットタイヤはコンベアの上昇に伴う振動によりからみつきの弱い部分から雪崩状に崩れる場合があり、落下防止堰を備える効果は非常に大きい。
【0011】
擦り切り堰の構造は、搬送物を擦り切ることができれば特に限定されるものではなく、例えば平板、丸棒、チェーン等の重錘を含むエプロン構造等が挙げられる。また平板や丸棒は機械式又は自然に回転する機構を設けてもよい。さらに、丸棒は単体の他、複数本で堰を構成してもよい。堰を平板又は複数の丸棒で構成する場合、コンベアの搬送面に対して直角方向に配置することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0012】
また、前記小塊状の搬送物の平均粒径がDであるとき、
前記搬送路上に備えたせき板の高さA、及び前記せき板と擦り切り堰の間の距離Bが、
0.5D≦A≦1.5D
D≦B≦3.5D
で表される範囲にあることを特徴とする。
【0013】
せき板の高さAが0.5Dよりも小さいと、せき板によって搬送物を保持することができなくなる。
また、せき板と擦り切り堰の間の距離Bが、Dよりも小さいと擦り切り堰で擦り切る際に、搬送物がせき板と擦り切り板の間で咬み込んでしまい、定量化ができないばかりではなくコンベアの作動の阻害となる。一方、せき板と擦り切り堰の間の距離Bが、3.5Dよりも大きいと、擦り切った後にせき板よりも上方に積載されている搬送物が多すぎて崩れやすくなり定量性を確保することが難しくなる。
従って、せき板の高さA及びせき板と擦り切り堰の間の距離Bを上記の範囲とすることでより確実に定量性を確保することができる。
【0014】
また、前記搬送路上に備えたせき板と落下防止堰の間の距離Cが、前記せき板と擦り切り堰の間の距離B、搬送物の平均粒径Dを用いて、
B≦C≦B+D
で表される範囲にあることを特徴とする。
【0015】
前記搬送路上に備えたせき板と落下防止堰の間の距離Cが、せき板と擦り切り堰の間の距離Bよりも小さいと、擦り切り堰で擦り切った搬送物を落下防止堰でさらに擦り切ってしまうため定量性を確保することが難しい。一方、搬送路上に備えたせき板と落下防止堰の間の距離Cが、せき板と擦り切り堰の間の距離B+搬送物の平均粒径Dよりも大きいと、搬送物上部と落下防止堰の間には搬送物の平均粒径Dよりも大きな隙間があることとなり、落下してきた搬送物が落下防止堰で堰き止められずに該隙間を抜けて落下してしまう可能性があり、定量性を確保することが難しい。
【0016】
また、前記搬送路上に備えたせき板間のピッチa、及び前記複数の落下防止堰間のピッチcが、搬送物の平均粒径Dを用いて
3D≦a≦10D
a≦c≦4a
で表される範囲にあることを特徴とする。
【0017】
搬送路上に備えたせき板間のピッチaが3Dよりも短いと、粒度、形状が比較的揃った搬送物を搬送する場合、コンベア上でブリッジしてしまう可能性がある。一方、搬送路上に備えたせき板間のピッチaが10Dよりも長いと、搬送途中で崩れる搬送物が多くなり定量性を確保することが難しくなる。
そして、落下防止堰間のピッチcが搬送路上に備えたせき板間のピッチaより短いと、部品点数が多くなるとともに、1つの落下防止堰で堰き止めることができる落下搬送物量が少なくなり、多量の搬送物が一度に落下したときに落下防止ができなくなる。また、落下防止堰間のピッチcが4aよりも長いと、落下防止堰の設置数が少なくなってその効果が小さくなる。
【0018】
前記擦り切り堰の取り付け位置が、前記搬送物を貯留するホッパの最上端部よりも高い位置又は水平位置であることを特徴とする。
このことにより、ホッパに貯留されている搬送物が擦り切り堰をオーバーフローすることを防止することができ、さらに確実に定量性を確保することができる。
【0019】
前記擦り切り堰が前記搬送路と直角方向に進退可能に構成し、擦り切り堰と搬送路の距離を調整可能としたことを特徴とする。
このことにより、搬送物の種類、搬送量、コンベア速度、コンベアの幅に応じて擦り切り堰の搬送路からの高さを調整することができるため、幅広い運転形態が可能となる。
【0020】
前記傾斜コンベアは、40度以上60度以下の傾斜角度で設置されていることを特徴とする。
傾斜角度を40度以上60度以下という緩い角度とすることでカットタイヤ同士互いに絡みついて過剰積載物のみならず定量搬送に必要なカットタイヤも一緒に転げ落ちてしまう可能性が低くなる。さらに、コンベア傾斜角度が緩いため、せき板角度は逆に急になり、そのためコンベアヘッド部で戻りのせき板に被搬送物が乗って戻ってしまうことを装置が複雑化することなく防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上記載のごとく本発明によれば、装置が複雑化することなく、カットタイヤ等の細粒化が困難であり且つ互いに絡みつく搬送物であっても定量搬送することができるせき板付き傾斜コンベアを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0023】
図1は本発明の傾斜コンベアの一形態を示す側面図である。被搬送物にはタイヤを16分割又は32分割した平均粒径が100mmであるカットタイヤを用いる。
図1に示したように傾斜コンベアは、所定の傾斜角θを有するコンベア本体1と、擦り切り堰3と、落下防止堰4と、貯留部5と、せき板7から主構成される。
【0024】
搬送物であり平均粒径100mmであるカットタイヤ2はコンベア本体1の入口部に設けられたホッパ5に投入される。ホッパ5に投入されたカットタイヤ2はせき板7付きのコンベア本体1によってホッパ5から出口部6へ搬送されて、例えば廃棄物処理装置等の後流機器へ搬送される。
このとき、ホッパ5から搬送されるカットタイヤ2は、擦り切り堰3で過剰搭載された搬送物の上部を擦り切ることにより、搬送量を定量化される。さらに、擦り切り堰3より後流側に設けた落下防止堰4で搬送中に落下した搬送物を堰き止めることにより、落下防止堰4よりも上部で落下したカットタイヤ2がホッパ5まで落下することを防止することができるとともに、落下防止堰4よりも下部でカットタイヤ2が落下してできた隙間を落下防止堰でせき止めた搬送物できるため、擦り切り堰3以降でカットタイヤ2の落下があった場合にも搬送量の定量化が維持される。カットタイヤはコンベアの上昇に伴う振動によりからみつきの弱い部分から雪崩状に崩れる場合があり、落下防止堰4を備える効果は非常に大きい。
【0025】
図2は擦り切り堰近傍の拡大側面図である。
ホッパ5から搬送されるカットタイヤ2は搬送路上を搬送され、擦り切り堰3でその上部を擦り切られて、搬送面からの高さが一定となり搬送量が定量化される。なお、後述するように擦り切り堰3の最下部3aの高さ位置hはホッパ部の最上部5aよりも高い位置又は水平位置とする。
【0026】
図3は落下防止堰近傍の拡大側面図である。
落下防止堰4上方から落下したカットタイヤは落下防止堰4で堰き止められる。堰き止められたカットタイヤ21はその場に留まり、落下防止堰4よりも下部でカットタイヤが落下してできた隙間20に重力によって落ち込んで隙間を埋める。そのため、擦り切り堰3後流側でカットタイヤ2の落下があっても定量性が維持できる。
【0027】
図1〜図3を用いて説明した上記構成の傾斜コンベアの搬送路上に備えたせき板7の高さA、せき板7と擦り切り堰3の間の距離B、せき板7と落下防止堰4の間の距離C、せき板7間のピッチa、落下防止堰4間のピッチc、擦り切り堰3の最下部3aの高さ位置h、及び傾斜角度θの好適条件を求めるため運転条件を変えて搬送の定量性試験を行った。
図4は本定量性試験に用いた傾斜コンベアの概略図であり、図1で示した傾斜コンベアと同一物である。前記A、B、C、a、cは図4に示した寸法を表し、hは図4に示した高さ位置を表し、θは図4に示した角度を表す。なお、本定量性試験においても搬送物は粒径D=100mmのカットタイヤを用いた。
【実施例1】
【0028】
せき板7の高さAの好適条件を求めるための試験を行った。
落下防止堰4は使用せず、せき板7と擦り切り堰3の間の距離B=230mm(=2.3D)、せき板7間のピッチa=500mm(5D)、擦り切り堰3の最下部3aの高さ位置hはホッパ5の最上部と水平位置、傾斜角度θ=50°として、せき板7の高さAを40mm(0.4D)、50mm(0.5D)、100mm(D)、150mm(1.5D)と変化させて搬送の定量性を判断した。
結果を表1に示す。表1の評価において◎は非常に良い、○は良い、△は悪い、×は非常に悪いを意味する。
【0029】
【表1】

【0030】
表1に表したとおり、せき板の高さAは50mm〜150mm(0.5D〜1.5D)とすることが好適である。
【実施例2】
【0031】
次に、せき板7と擦り切り堰3の間の距離Bの好適条件を求めるための試験を行った。
落下防止堰4は使用せず、せき板7の高さA=70mm(=0.7D)、せき板7間のピッチa=500mm(5D)、擦り切り堰3の最下部3aの高さ位置hはホッパ5の最上部と水平位置、傾斜角度θ=50°として、せき板7と擦り切り堰3の間の距離Bを80mm(0.8D)、100mm(D)、350mm(3.5D)、500mm(5.0D)と変化させて搬送の定量性を判断した。
結果を表2に示す。
【0032】
【表2】

【0033】
表2に表したとおり、せき板7と擦り切り堰3の間の距離Bは100mm〜350mm(D〜3.5D)とすることが好適である。
【実施例3】
【0034】
次に、せき板7と落下防止堰4の間の距離Cの好適条件を求めるための試験を行った。
せき板7の高さA=70mm(=0.7D)、せき板7と擦り切り堰3の間の距離B=230mm(=2.3D)、せき板7間のピッチa=500mm(5D)、落下防止堰4間のピッチc=1000mm(2a)、擦り切り堰3の最下部3aの高さ位置hはホッパ5の最上部と水平位置、傾斜角度θ=50°として、せき板7と落下防止堰4の間の距離Cを180mm(B−0.5D)、230mm(B)、330mm(B+D)、380mm(B+1.5D)と変化させて搬送の定量性を判断した。
結果を表3に示す。
【0035】
【表3】

【0036】
表3に表したとおり、せき板7と落下防止堰4の間の距離Cは230mm〜330mm(B〜B+D)とすることが好適である。
【実施例4】
【0037】
次に、せき板7間のピッチaの好適条件を求めるための試験を行った。
落下防止堰4は使用せず、せき板7の高さA=70mm(=0.7D)、せき板7と擦り切り堰3の間の距離B=230mm(=2.3D)、擦り切り堰3の最下部3aの高さ位置hはホッパ5の最上部と水平位置、傾斜角度θ=50°として、せき板7間のピッチaを200mm(2D)、300mm(3D)、1000mm(10D)、1200mm(12D)と変化させて搬送の定量性を判断した。
結果を表4に示す。
【0038】
【表4】

【0039】
表4に表したとおり、せき板7間のピッチaは300mm〜1000mm(3D〜10D)とすることが好適である。
【実施例5】
【0040】
次に、落下防止堰4間のピッチcの好適条件を求めるための試験を行った。
せき板7の高さA=70mm(=0.7D)、せき板7と擦り切り堰3の間の距離B=230mm(=2.3D)、せき板7と落下防止堰4の間の距離C=280mm(=B+0.5D)、せき板7間のピッチa=500mm(5D)、擦り切り堰3の最下部3aの高さ位置hはホッパ5の最上部と水平位置、傾斜角度θ=50°として、落下防止堰4間のピッチcを400mm(0.8a)、500mm(a)、2000mm(4a)、2500mm(5a)と変化させて搬送の定量性を判断した。
結果を表5に示す。
【0041】
【表5】

【0042】
表5に表したとおり、落下防止堰4間のピッチcは500mm〜2000mm(a〜4a)とすることが好適である。
【実施例6】
【0043】
次に、擦り切り堰3の最下部3aの高さ位置hの好適条件を求めるための試験を行った。
落下防止堰4は使用せず、せき板7の高さA=70mm(=0.7D)、せき板7と擦り切り堰3の間の距離B=230mm(=2.3D)、せき板7間のピッチa=500mm(5D)、傾斜角度θ=50°として、擦り切り堰3の最下部3aの高さ位置hをホッパ上部より上、下、水平位置と変化させて搬送の定量性を判断した。
結果を表6に示す。
【0044】
【表6】

【0045】
表6に表したとおり、擦り切り堰3の最下部3aの高さ位置hはホッパ5上部より上又は水平位置とすることが好適である。
【実施例7】
【0046】
次に、傾斜角度θの好適条件を求めるための試験を行った。
落下防止堰4は使用せず、せき板7の高さA=70mm(=0.7D)、せき板7と擦り切り堰3の間の距離B=230mm(=2.3D)、せき板7間のピッチa=500mm(5D)、擦り切り堰3の最下部3aの高さ位置hはホッパ5の最上部と水平位置として、傾斜角θを40°、50°、60°、70°と変化させて搬送の定量性を判断した。
結果を表7に示す。
【0047】
【表7】

【0048】
表7に表したとおり、傾斜角度θは40°〜60°とすることが好適である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
装置が複雑化することなく、カットタイヤ等の細粒化が困難であり且つ互いに絡みつく搬送物であっても定量搬送することができるせき板付き傾斜コンベアとして利用することができ、廃棄物処理装置への廃棄物供給装置として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の傾斜コンベアの一形態を示す側面図である。
【図2】擦り切り堰近傍の拡大側面図である。
【図3】落下防止堰近傍の拡大側面図である。
【図4】定量性試験に用いた傾斜コンベアの概略図である。
【符号の説明】
【0051】
1 コンベア
2 カットタイヤ(搬送物)
3 擦り切り堰
4 落下防止堰
5 ホッパ
7 せき板
A せき板の高さ
B せき板と擦り切り堰の間の距離
C せき板と落下防止堰の間の距離
a せき板間のピッチ
c 複数の落下防止堰間のピッチ
h 擦り切り堰の最下部の高さ位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小塊状の搬送物を搬送する入口部から出口部に向けて上り勾配で傾斜する搬送路を有し、該搬送路上に複数のせき板を備えたせき板付き傾斜コンベアにおいて、
入口側に搬送物を受け入れて貯留するホッパを有し、
該ホッパの後流側に、傾斜コンベア上の搬送物の上部を擦り切って搬送量を定量化する擦り切り堰を取り付けるとともに、該擦り切り堰の後流側に、搬送中に落下した搬送物を堰き止める落下防止堰を複数設けたことを特徴とするせき板付き傾斜コンベア。
【請求項2】
前記小塊状の搬送物の平均粒径がDであるとき、
前記搬送路上に備えたせき板の高さA、及び前記せき板と擦り切り堰の間の距離Bが、
0.5D≦A≦1.5D
D≦B≦3.5D
で表される範囲にあることを特徴とする請求項1記載のせき板付き傾斜コンベア。
【請求項3】
前記搬送路上に備えたせき板と落下防止堰の間の距離Cが、前記せき板と擦り切り堰の間の距離B、搬送物の平均粒径Dを用いて、
B≦C≦B+D
で表される範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載のせき板付き傾斜コンベア。
【請求項4】
前記搬送路上に備えたせき板間のピッチa、及び前記複数の落下防止堰間のピッチcが、搬送物の平均粒径Dを用いて
3D≦a≦10D
a≦c≦4a
で表される範囲にあることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のせき板付き傾斜コンベア。
【請求項5】
前記擦り切り堰の取り付け位置が、前記搬送物を貯留するホッパの最上端部よりも高い位置又は水平位置であることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載のせき板付き傾斜コンベア。
【請求項6】
前記擦り切り堰が前記搬送路と直角方向に進退可能に構成し、
擦り切り堰と搬送路の距離を調整可能としたことを特徴とする請求項1〜5何れかに記載のせき板付き傾斜コンベア。
【請求項7】
前記傾斜コンベアは、40度以上60度以下の傾斜角度で設置されていることを特徴とする請求項1〜6何れかに記載のせき板付き傾斜コンベア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−7154(P2009−7154A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172454(P2007−172454)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】