説明

ねじ嵌合用クイックカップリング

【課題】加圧された液体又は気体を使う際に、締め付けレンチや特別に設計された組み付け冶具を必要とし、テスト作業に比較的長い時間を要する。
【解決手段】ねじ嵌合用クイックカップリングは、クイックカップリングの全長に亘って延在する管状チャンバを通過する加圧された液体又は気体を供給するための流体供給用取付金具を備える。環状構成部材からなる環状体が、前記クイックカップリングと嵌合するために設けられた嵌合用取付金具と対向する前記クイックカップリングの端部に配置される。各環状構成部分が、弾性Oリング部材によって弾性的に結合される前記環状体を構成する。前記環状構成部材は、前記嵌合用取付金具と結合をするに適したねじ山又は起伏をそれぞれの内側表面に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ嵌合用クイックカップリングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば組み立てラインの最後にねじ嵌合用クイックカップリングが用いられ、そこでは加圧流体を用いて最終製品の機能テストが行われる。
【0003】
組み立てラインの最後に行われる上述の装置とデバイスのテストと調整作業は、現在水圧又は気圧システム下で行われている。
【0004】
従って、クイックカップリングに含まれるねじ山式の末端部を、被試験デバイスの接続金具と接続することが必要である。
【0005】
従来の方法では、そのクイックカップリングが組み付けられた端部にテスト作業を行うために、クイックカップリングのねじ切られた末端部に取り付けるように設計された道具を組み付けて、所要の水密又は気密封止を確保して、流体を供給することで製品の機能テストを実施している。
【0006】
主として単純なテスト装置の場合に、加圧された液体又は気体を使うことで、テスト作業は時間を短縮することができる。しかし従来の方法では、締め付けレンチや特別に設計された組み付け冶具を必要とし、テスト作業に比較的長い時間を要する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の主目的は、特別にデザインされたレンチや冶具を使うことなく、結合・結合解除作業の間、リークが発生することがなく、クイックカップリングを高圧、高流量下で使用することを許容するために、ねじ切られた末端部又は同様の接続用起伏と接続するクイックカップリングを提供することで、従来技術の上述の欠点を克服することである。
【0008】
本発明の別の目的は、クイックカップリングから接続金具までの間に、リークの無い流れを許容するクイックカップリングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、クイックカップリングの全長に亘って延在する管状チャンバを通過する加圧された液体又は気体を供給するための流体供給用取付金具を備えたねじ切られた末端部を有するクイックカップリングであって、
前記クイックカップリングと嵌合するための嵌合用取付金具と対向する前記クイックカップリングの端部に環状体を備え、前記環状体は、環状構成部材から構成され、
前記環状体を形成する個々の部材が、弾性リングによって弾性的に結合され、
前記環状構成部材のそれぞれの内側表面に、ねじ山又はねじ山状結合用起伏を備えることを特徴とするクイックカップリングによって達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のクイックカップリングは、上述の構造を採っているので、特別なレンチや冶具なしに、高圧・高流量下で、水密又は気密に、機能テストを実施できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に内部ねじ山部2を有する管状取付金具1を示す。管状取付金具1は、全体的に参照番号3で示されるクイックカップリングと接続するために設けられている。
【0012】
加圧された液体又は気体は、流体供給用取付金具4を通ってクイックカップリング3へ供給されて、中央パイプ6の内側に設けられてクイックカップリング3の全長に亘って延在する管状チャンバ5を矢印(f)で示された方向に通過する。
【0013】
図示のごとく、管状チャンバ5の内部には障害となる構造上の部材が無く、障害なく流体はその中を流れることができる。
【0014】
中央パイプ6は、ばね8によって付勢された管状体7によって取り囲まれている。
【0015】
半径方向に延在した脚9によって、管状体7は動作可能に外部作動リングナット10と結合している。
【0016】
管状体7の自由端7aは、外側又はそれぞれの内側のOリング部材12で押圧された、半径方向に移動可能な個々の環状構成部材からなる環状体11を収容する。
【0017】
図1に示すように、環状体11は、クイックカップリング3を管状取付金具1と接続している間、ねじ山部2と係合することで接続可能な外側ねじ山13を有する。
【0018】
図1に示すように、中央パイプ6の管状チャンバ5は、加圧流体を障害無く通すので、実質的な流量の損失が無い。
【0019】
交換可能な環状体11を構成する環状構成部材のねじ山13は、自由に選択できるので、例えば一般的なM30ねじ山を選択したり、環状体11を例えば外側3/4ガススレッドなどを有する他の環状体11と置き換えたりすることができる。
【0020】
管状体14の自由端部のところに円周溝30が形成され、そこにOリング15が係合されている。Oリング15は、管状取付金具1とクイックカップリング3とが組み付けられる時に、管状取付金具1の前面を押圧し、それによって完全に密な結合関係が得られる。
【0021】
図2に、クイックカップリング3の前部と結合した管状取付金具1を示す。図示のごとく、環状ガスケット又はシール15が完全に管状取付金具1の自由面16を押圧し、環状体11のねじ山13は、管状取付金具1のねじ山部2とねじ嵌合する。
【0022】
ばね8は、管状体7を方向(f)に押圧する。
【0023】
図1と図2に示した管状取付金具1は内側ねじ山2を有するが、図3に示した管状取付金具1は外側ねじ山2を有する。従って、クイックカップリング3の内側に配置された環状体11は、この場合、管状取付金具1の外側ねじ山2と嵌合する内側ねじ山13を備える。
【0024】
図4に、環状体11の内側ねじ山13が管状取付金具1の外側ねじ山部2と嵌合する様子を示す。
【0025】
図5に内側ねじ山13を有する環状体11の部分拡大図を示す。この環状体11は、外部円周溝に、外側弾性Oリング部材12を備える。
【0026】
図5に示した環状体11の上平面図を図6に示す。この環状体11は、個々の環状構成部材11a、11b、11c、11dに分割される。これら環状構成部材11a、11b、11c、11dは、それぞれ内部ねじ山13を有する。これら環状構成部材11a、11b、11c、11dを保持するために、この環状体11は外側円周溝を有し、そこに外側弾性Oリング部材12が係合する。
【0027】
図7に図6のVII−VII線に沿った断面図を示す。図7には、環状体11と円周状弾性Oリング部材12と個々の環状構成部材11b、11dと内側ねじ山13が示されている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のクイックカップリングは、上述の構造を採っているので、特別なレンチや冶具なしに、高圧・高流量下で、水密又は気密に、機能テストをする用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るクイックカップリングに接続するための内側ねじ山を有する管状取付金具の断面図である。
【図2】内側に前記クイックカップリングを係合した状態の前記管状取付金具を示す断面図である。
【図3】外側ねじ山を有するニップル(管状取付金具)と、接続前のクイックカップリングとを示した断面図である。
【図4】内側に前記クイックカップリングを係合した状態の前記ねじ山を切ったニップルを示す断面図である。
【図5】前記クイックカップリングの前端部の詳細を示す部分拡大図である。
【図6】ねじ切られた結合部材を形成する環状構成部材の上平面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った前記結合部材を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 管状取付金具
2 ねじ山部
3 クイックカップリング
4 流体供給用取付金具
5 管状チャンバ
6 中央パイプ
7 管状体
8 ばね
9 脚
10 外部作動リングナット
11 環状体
11a、11b、11c、11d 環状構成部材
12 弾性Oリング部材
13 ねじ山
14 管状体
15 ガスケット(Oリング)
30 円周溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クイックカップリング(3)の全長に亘って延在する管状チャンバ(5)を通過する加圧された液体又は気体を供給するための流体供給用取付金具(4)を備えたねじ嵌合用クイックカップリング(3)であって、
複数の環状構成部材(11a、11b、11c、11d)によって構成される環状体(11)が、前記クイックカップリング(3)と嵌合するための嵌合用取付金具(1)と対向する前記クイックカップリングの末端部に設けられ、
前記環状体(11)を構成する個々の前記環状構成部材(11a、11b、11c、11d)が、弾性リング(12)によって弾性的に結合され、
前記環状構成部材(11a、11b、11c、11d)が、それぞれの内側の周囲に、ねじ山(13)又はねじ山状結合用起伏を備えることを特徴とするクイックカップリング。
【請求項2】
中央パイプ(6)に形成された前記管状チャンバ(5)に、障害となる構造上の部材が無いことを特徴とする請求項1記載のクイックカップリング。
【請求項3】
前記クイックカップリング(3)の組み立て時に、前記環状体(11)の前記外側ねじ山(13)が管状体(14)のねじ山部と結合することを特徴とする請求項1記載のクイックカップリング。
【請求項4】
前記クイックカップリング(3)の組み立て時に、前記環状体(11)の前記内側ねじ山(13)が前記管状体(14)のねじ山部と結合することを特徴とする請求項1記載のクイックカップリング。
【請求項5】
前記環状体(11)を構成する前記環状構成部材(11a、11b、11c、11d)が交換可能であり、所望のねじ山又はねじ山状起伏を有することを特徴とする請求項1記載のクイックカップリング。
【請求項6】
前記管状体(14)が、封止用ガスケット(15)と係合する円周溝(30)を内側に含む自由端部を有することを特徴とする請求項1記載のクイックカップリング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−14495(P2008−14495A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177128(P2007−177128)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(507227762)スペシャル カップリングス ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (1)
【Fターム(参考)】