ねじ込み式鋼管杭
【課題】次のようなねじ込み式鋼管杭を得ること。
(1)低振動、低騒音、無排土施工が可能で、かつ大きな先端支持力が得られるねじ込み式鋼管杭の適用範囲を大径鋼管杭まで拡大すること。
(2)鋼管杭を回転貫入することにより、拡径部内に土砂が入らないため、コンクリート等の固化材の打設が容易であること。
(3)拡径された杭頭部とこれに打設されたコンクリート等の固化材により、杭頭部に発生する水平力や曲げモーメントに対応することのできる剛性を得ること。
【解決手段】少なくとも先端部又はその近傍に翼10を有する下部鋼管2と、中心部に下部鋼管2が挿入される開口部4bが設けられた鋼板4を有する下部鋼管2より大径の上部鋼管3とを備え、地中に貫入された下部鋼管2の上部外周に上部鋼管3を貫入して下部鋼管2の一部を該上部鋼管3内に突出させ、少なくとも下部鋼管2の上部内及び上部鋼管3内にコンクリート等の固化材5を打設した。
(1)低振動、低騒音、無排土施工が可能で、かつ大きな先端支持力が得られるねじ込み式鋼管杭の適用範囲を大径鋼管杭まで拡大すること。
(2)鋼管杭を回転貫入することにより、拡径部内に土砂が入らないため、コンクリート等の固化材の打設が容易であること。
(3)拡径された杭頭部とこれに打設されたコンクリート等の固化材により、杭頭部に発生する水平力や曲げモーメントに対応することのできる剛性を得ること。
【解決手段】少なくとも先端部又はその近傍に翼10を有する下部鋼管2と、中心部に下部鋼管2が挿入される開口部4bが設けられた鋼板4を有する下部鋼管2より大径の上部鋼管3とを備え、地中に貫入された下部鋼管2の上部外周に上部鋼管3を貫入して下部鋼管2の一部を該上部鋼管3内に突出させ、少なくとも下部鋼管2の上部内及び上部鋼管3内にコンクリート等の固化材5を打設した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ込み式鋼管杭に係り、さらに詳しくは、少なくとも鋼管の先端部又はその近傍に翼を取付けた鋼管杭に回転力を与えることにより、杭頭部近傍を拡径した鋼管杭を地中に構築するようにしたねじ込み式鋼管杭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼管の先端部や側面に翼状板を取付けた鋼管杭に、地上に設置した機械により回転力を与え、翼状板の木ネジ作用により鋼管杭を地中に埋設する方法は、従来から多数提案されている。
ねじ込み式鋼管杭は、前述のように、鋼管杭に回動力を与えることにより、先端部又はその近傍に取付けた翼のねじ作用で鋼管杭を地盤に埋設するようにしたものであり、低振動、低騒音、無排土で施工できると共に、広い翼の面積を利用して大きな先端支持力を得ることができるという特徴を備えている。
【0003】
このため、翼のない通常の鋼管杭に比べてその設置本数を減らすか、又は鋼管の外径を縮小することができる。しかしながら、水平力に対しては、杭本数を減少した分不足することになる。そこで、鋼管杭の肉厚を増加する必要があるが、鋼材の重量が増加した割りに曲げ耐力の増加の効果は小さい。よって、水平力に対抗するために、鋼管杭の肉厚を大幅に増加せざるを得ず、杭本数を減じた効果が少なくなる。
ところで、大きな水平力や曲げモーメントに対して経済的に対応するために、杭頭部近傍を拡径するという考えが従来から提案されており、既に場所打ちコンクリート杭では広く実用化されているが、既製杭の分野では実用化されていない。
【0004】
杭頭部近傍の杭径を拡径した杭(以下、頭部拡大杭という)に関する従来技術について説明する。特許文献1に記載された杭頭拡大基礎杭打ち工法は、下杭とその下杭より径の大きい頭部拡大杭を接合して構成される鋼管杭において、下杭と頭部拡大杭との継手部に設けた叩打面を打撃して杭を貫入するようにしたものであり、従来の打撃工法のように杭の上端を打撃しないで管内の継手部を打撃することにより、頭部拡大杭に作用する応力を低減し、その肉厚を低減することを目的している。
【0005】
また特許文献2に記載された頭部補強杭造成装置は、頭部拡大方式の場所打ちコンクリート杭や既製杭の造成方法において、上部の径が下部より大きいケーシングの中に、上部の径が下部よりも大きい攪拌掘削用オーガーを挿入して互いに反対方向に回転させることにより、頭部拡大杭埋込み用のソイルセメント柱状体の中に挿入することにより構築される。また、上部と下部のケーシングの接合部には、頭部拡大による貫入抵抗を低減するために、掘削刃を設けてケーシング内に土砂を取り込むようにしたものがでる。
【0006】
【特許文献1】特開昭52−7109号公報
【特許文献2】特公昭58−27366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の頭部拡大基礎杭打込み工法は、下杭と頭部拡大杭との継手部を管内で打撃するようにしたものであるが、頭部拡大杭に発生する打撃応力度を通常の打込み工法より低減しても、土砂が継手部の下面に当るため継手部に発生する貫入抵抗は減少しないため打ち込みに困難を伴う。また、大きな騒音や振動が発生するため、都市部では実施することができない。
【0008】
また、特許文献2の頭部補強杭造成装置は、管内に挿入するオーガーの径は下部鋼管の径より小さいため、接続部に発生する貫入抵抗は従来技術1と同じである。また、オーガーを下部鋼管の先端部から突き出したのち上部鋼管の外径と同程度にオーガーを拡大することは可能であるが、下部鋼管の断面積より大きい面積の土砂を攪拌するために先端支持力が低下し、その上大量の土砂を排出するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、ねじ込み式鋼管杭と頭部拡大杭の特長を兼ね備えた次のようなねじ込み式鋼管杭を得ることを目的としたものである。
(1)低振動、低騒音、無排土施工が可能で、かつ大きな先端支持力が得られるねじ込み式鋼管杭の適用範囲を大径鋼管杭まで拡大すること。
(2)鋼管杭を回転貫入することにより、拡径部内に土砂が入らないため、コンクリート等の固化材の打設が容易であること。
(3)拡大された杭頭部とこれに打設されたコンクリート等の固化材により、杭頭部に発生する水平力や曲げモーメントに対応することのできる剛性を得ること。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るねじ込み式鋼管杭は、少なくとも先端部又はその近傍に翼を有する下部鋼管と、該下部鋼管が挿入される開口部が設けられた鋼板を有する前記下部鋼管より大径の上部鋼管とを備え、地中に前記下部鋼管及び該下部鋼管の上部外周に前記上部鋼管を貫入して下部鋼管の一部を該上部鋼管内に突出させ、少なくとも前記下部鋼管の上部内及び上部鋼管内にコンクリート等の固化材を打設したものである。
【0011】
上記の下部鋼管の上部外周に上部鋼管より大径の翼を設けた。
また、上記の上部鋼管の外周に該上部鋼管より大径の翼を設けた。
さらに、上記の鋼板に代えて、下部鋼管が挿入される開口部を有し、上部鋼管より大径の翼を該上部鋼管の先端部に設けた。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るねじ込み式鋼管杭は、杭頭部又は胴体部に回転力を与えて地盤に埋設するようにしたので、低騒音、低振動、無排土で施工することができる。また、上部鋼管を下部鋼管の推進力を利用して同時に地中に貫入するようにしたので、上部鋼管内に土砂が侵入するのを防止することができ、これにより清掃等を行うことなくコンクリート等の固化材を打設して下部鋼管と上部鋼管の一体化をはかることができる。さらに、拡径された上部鋼管と内部に打設したコンクリート等の固化材により大きな剛性が得られるため、杭頭部に発生する水平力や曲げモーメントに効果的に対応することができる。
【0013】
また、下部鋼管の上部外周に上部鋼管より大径の翼を設け、又は上部鋼管の外周に上部鋼管より大径の翼を設け、あるいは鋼板に代えて、下部鋼管が挿入される開口部を有し上部鋼管より大径の翼を上部鋼管の先端部に設けたので、下部鋼管の先端部又はその近傍に設けた翼より大径の上部鋼管を容易に貫入することができ、これにより、より大きい水平抵抗を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係るねじ込み式鋼管杭の説明図である。図において、1は頭部を拡大したねじ込み式鋼管杭(以下、単に鋼管杭という)で、下部鋼管2と、下部鋼管2より大径で、下部開口部に下部鋼管2の外径より若干大きい開口部4aを有するドーナツ状の鋼板4が接合された上部鋼管3と、下部鋼管2の先端部に設けた下部鋼管2より大径の翼10と、下部鋼管2の上部内と上部鋼管3内に打設され、両者の一体化をはかると共に、水平抵抗の増強のためのコンクリート、モルタル、ソイルセメント等の固化材(以下、セメント等の固化材という)5とからなっている。6は下部鋼管2内に上部鋼管3の鋼板4とほぼ同じ位置に設けられ、内部に打設されたコンクリート等の固化材5の落下を防止するための閉塞板である。なお、鋼管杭1の全長に亘ってコンクリート等の固化材5を打設する場合は、閉塞板6は不要である。
【0015】
下部鋼管2は通常の鋼管杭用の鋼管(例えば、外径600mm以下)からなり、下端部には、図2に示すように(図2は説明を容易にするために上下を逆にしてある)、円周方向を高さhの段差部7a,7bにより2分割し、一方の段差部7aの下端部から他方の段差部7bの上端部に連続する傾斜面とし、また、段差部7aの上端部から段差部7bの下端部に連続する傾斜面として、これら傾斜面により互いに同方向に向うレ字状の翼10の取付部8a,8bが設けられている。
【0016】
翼10は、例えば図3に示すように、下部鋼管2の外径D1 より大きい外径D3 の円形鋼板又は楕円形鋼板を中央から2分割した平板状の鋼製翼11a,11bによって構成したものである。なお、鋼製翼11a,11bからなる翼10の大きさ(外径D3 )は、一般に、下部鋼管2の外径D1 の1.3〜2.5倍程度が望ましい。
【0017】
上記のような鋼製翼11a,11bは、図4に示すように、下部鋼管2の先端開口部を覆うようにして取付部8a,8b上に載置され、溶接等により互いに反対方向に傾斜して取付けられ、翼10を構成する。なお、両鋼製翼11a,11bの食い違いによって生じる開口部は、例えば、閉塞板によって閉塞してもよい。また、下部鋼管2を複数本の鋼管を接続した接続杭で構成した場合は、最先端の鋼管(下杭)に翼10を設ければよい。
【0018】
上部鋼管3の外径D2 は、上部に設けられる建造物からの水平力や曲げモーメントにより異なるが、一般に、下部鋼管2の外径D1 の1.15〜3.0倍程度で、翼10の外径D3 より小さいことが望ましい。また、上部鋼管3の長さL1 は1/β〜2/β程度の範囲が望ましい。ここに、βは上部鋼管3と地盤の硬さから決まる特性値である。一般に、上部鋼管3の長さL1 は、4〜12m程度である。そして、上部鋼管3の下部開口部には、上部鋼管3の外径D2 とほぼ等しい外形で、下部鋼管2の外径D1 より若干大きい径の開口部4aを有する鋼板4が接合されている。
【0019】
次に、上記のように構成した本実施の形態に係るねじ込み式鋼管杭の施工方法の一例について説明する。
先ず、図5(a)に示すように、地上に立設された下部鋼管2に、上方から鋼板4に設けた開口部4aを嵌合し、上部鋼管3を翼10上に同心的に載置する。勿論、上部鋼管3の下から下部鋼管2を挿入してもよい。このとき、下部鋼管2の杭頭部は、上部鋼管3の杭頭部から上方に突出している。
【0020】
次に、杭打ち機20に設けた可逆回転するモータ21の回転軸22を、下部鋼管2の杭頭部近傍に取付ける。23は上部鋼管3の外径D2 とほぼ等しいか若干大きい外径を有し、回転軸2の外周に例えば軸受を介して回転自在に取付けられた圧下部材で、回転軸22を下部鋼管2に取付けたときは、上部鋼管3の杭頭部に当接する。この圧下部材23は回転軸22に対して着脱可能に構成してもよく、あるいは軸受を省略して回転軸22と一体に回転するようにしてもよい。なお、2軸のモータを用いて下部鋼管2と上部鋼管3の両者を回転して施工してもよく、また、上記のモータ21は、下部鋼管2の胴部に取付けるようにしてもよい。
【0021】
この状態でモータ21を駆動すると、これに取付けられた下部鋼管2が回転し、翼10の木ネジ作用により地中にねじ込まれる。このとき、翼10の下方にある土砂は掘削軟化されて、下部鋼管2はスムーズに貫入される。
下部鋼管2が若干貫入されると、モータ21の下降に伴って回転軸22に設けた圧下部材23が上部鋼管3を圧下し、図5(b)に示すように、上部鋼管3は下部鋼管2の貫入に伴って地中に圧入される。このとき、上部鋼管3の周囲の土砂は、下部鋼管2の翼10によって攪拌されて間もないため摩擦抵抗が小さく、下部鋼管2の貫入に伴って容易に貫入することができる。また、上部鋼管3が所定深度に達するまでは、土砂は管外横方向に圧縮されるため、上部鋼管3内に土砂が侵入することはない。
【0022】
上部鋼管3が所定の深度に達すると、図6(a)(以下、杭打ち機20は省略してある)に示すように、下部鋼管2の回転(貫入)を一旦停止してモータ21を外し、下部鋼管2の杭頭部に中杭を構成する鋼管2aを接続して、この鋼管2aの杭頭部に再びモータ21の回転軸22を取付ける。なお、このとき、回転軸22に設けた圧下部材23を取外すか、又は圧下部材23のない回転軸22を使用してもよい。
【0023】
そして、再びモータ21を駆動して下部鋼管2を回転させ、貫入する。このとき、上部鋼管3はその位置に保持されており、また、必要に応じて下部鋼管2に順次継杭を行う。
下部鋼管2が所定の深度(例えば、支持層)に達したときはモータ21を停止し、図6(b)に示すように、モータ21を下部鋼管2から取外して引上げる。なお、下部鋼管2の頭部が地上面より下方になる場合は、ヤットコを用いて打ち込んでもよい。
このとき、下部鋼管2の杭頭部は、上部鋼管3内に1D1(D1 は下部鋼管2の外径)以上突出していることが望ましい。
【0024】
ついで、下部鋼管2と上部鋼管3との一体化をはかるために、図6(c)に示すように、下部鋼管2の閉塞板6より上方及び上部鋼管3内にコンクリート等の固化材5を打設する。このとき、上部鋼管3内に土砂が侵入していないので、コンクリート等の固化材5を打設するために管内を清掃する必要がない。なお、下部鋼管2の杭頭部近傍の外周面及び上部鋼管3の内周面に、リブ又は鉄筋を巻き付けあるいはジベルを設けるなどして凹凸を形成すれば、コンクリート等の固化材5の付着力をさらに向上させることができる。また、コンクリート等の固化材5は、下部鋼管2と上部鋼管3を接続するために打設するので、上部鋼管3の全長にわたって打設せず、鋼板4から上部鋼管3内への下部鋼管2の突出範囲だけに打設してもよい(これら他の実施の形態においても同様である)。
【0025】
また、翼10からの曲げモーメントに対応できるように、閉塞板6を省略して下部鋼管2と上部鋼管3の全長にわたってコンクリート等の固化材5を打設してもよい。この場合、上部鋼管3の杭頭部からコンクリート等の固化材5を打設してもよいが、下部鋼管2の打止め直前又は打止め直後に、上部鋼管3の杭頭部から下部鋼管2内にコンクリート注入管を挿入し、下部鋼管2内にコンクリート等の固化材5を注入しながら徐々に引上げるようにしてもよい(他の実施の形態においても同様である)。
【0026】
ねじ込み式鋼管杭は、前述のように翼の木ネジ作用により無排土で地中に貫入されるものであり、翼の下方にあった土砂は翼により掘削軟化され、翼の間隙を通過して鋼管杭の外周に移動し、圧縮される。鋼管杭の外周に移動した土砂は、施工中は撹乱されて間もないため摩擦抵抗が少なく、鋼管杭をスムーズに貫入することができる。
しかし、時間の経過と共に、間隙水圧の消散などの要因により地盤強度が回復し、基礎杭としての供用時には大きな周面摩擦力が発揮される。
【0027】
図7は本実施の形態の他の例の説明図である。本例は上部鋼管3の下部開口部にテーパ状の鋼板4bを取付けたものである。
本例の施工方法も前述の施工方法と同様であるが、鋼板4bをテーパ状にしたため、上部鋼管3の地中への圧入の際の抵抗を低減することができる。
【0028】
[実施例]
図1に示すような鋼管杭1において、先端部に外径1016mmの鋼製翼11a,11bを交差して取付けた外径508mm、長さ26mの下部鋼管(下杭)2と、外径800mm、長さ10mの上部鋼管3とを打設した。15mの深さまで下部鋼管2と上部鋼管3を同時に貫入し、その後継杭して40mまで下部鋼管2を貫入させて打止めた。このとき、下部鋼管2の杭頭部を上部鋼管3内に1m突出させた。
施工自体は通常ねじ込み式鋼管杭の場合とほとんど変らない能率であった。貫入終了後上部鋼管3内及び下部鋼管2の杭頭部近傍にコンクリートを打設して一体化をはかり、問題なく頭部を拡径した鋼管杭1を構築することができた。
【0029】
上記のように構成した本実施の形態によれば、鋼管杭の杭頭部又は胴体部に回転力を与えて地盤に埋設するようにしたので、低騒音、低振動、無排土で施工することができる。
また、上部鋼管3を下部鋼管2の推進力を利用して同時に地中に貫入するようにしたので、上部鋼管3内に土砂が侵入するのを防止することができ、これにより、鋼管内の清掃等を行うことなくコンクリート等の固化材5を打設して下部鋼管2と上部鋼管3の一体化をはかることができる。
さらに、拡大された上部鋼管3と内部に打設したコンクリート等の固化材5とにより大きな剛性が得られるため、杭頭部に発生する水平力や曲げモーメントに効果的に対応することができる。
【0030】
[実施の形態2]
図8は本発明の実施の形態2に係る鋼管杭の説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、上部鋼管3の下部開口部に、鋼板に代えて翼15(以下、上部翼という)を設けたものである。すなわち、下部鋼管2の先端部に設けた翼10(以下、下部翼という)とほぼ同じ構造で、中心部に下部鋼管2が挿入される開口部15aを有し、上部鋼管2の外径D2 より大きい外径D4 の上部翼15を設けたものである。
【0031】
上部鋼管3に上部翼15を取付けるにあたっては、上部鋼管3の先端部に図2で説明したような翼の取付部8a,8bを設け、図3で説明した円形鋼板又は楕円形鋼板の外径を上部鋼管3の外径D2 より大きいD4 とし、中心部に下部鋼管2の外径D1 より若干大きい開口部を設けて2分割して形成した鋼製翼16a,16bを取付部8a,8bに溶接により接合したものである。
【0032】
本実施の形態の施工方法も実施の形態1の場合に準じるが、上部鋼管3は圧入ではなく、杭打ち機20のモータ21により下部鋼管2と同方向に回転させて、上部翼15の木ネジ作用による推進力により地中に貫入する。なお、上部鋼管3と下部鋼管2を反対方向に回転させてもよく、また、下部鋼管2を所定の深度まで貫入したのち、その外周に上部鋼管3を貫入してもよい。
【0033】
図9は本実施の形態の他の例の説明図で、本例は1枚の円形鋼板又は楕円形鋼板により下部翼10と上部翼15の鋼製翼11a,11b、16a,16bを形成したものである。
例えば、上部翼15の外径D4 に対応する外形の円形鋼板の内側を、同心的に下部翼10に対応する外径D3 により切断すると共に、これらを2分割して鋼製翼11a,11b、16a,16bを形成し、それぞれ下部鋼管2と上部鋼管3の下端部に設けた取付部8a,8bに溶接により接合したものである。
【0034】
これにより、施工当初は図9に示すように、下部翼10が上部翼15の開口部15a内に挿入され、下部鋼管2と上部鋼管3が一体的に回転し、地中に貫入される。そして、上部鋼管3が所定の深度に達すると上部鋼管3の回転を中止し、下部鋼管2のみを回転させる。これにより、下部鋼管2の下部翼10は図10に示すように、上部鋼管3の上部翼15から分離し、下部鋼管2のみが引続き地中に貫入される。
本例によれば、翼の製作が容易になり、また材料を節減することができる。
【0035】
上記の説明では、上部翼15を上部鋼管3の先端部に設けた場合を示したが、実施の形態1の場合と同様に先端部に開口部4aを有する鋼板4が設けられた上部鋼管3の外周の下部に、上部翼15を設けてもよい。
この場合は、例えば、上部鋼管3の外径D2 より大径D4 の円形鋼板の中心部に、上部鋼管3の外径D2 とほぼ等しい開口部を設けてドーナツ状に形成し、これを二分割して鋼製翼16a,16bを構成する。そして、この鋼製翼16a,16bを、上部鋼管3の外周面に下部翼10と同じ角度で交差して取付ければよい。
【0036】
本実施の形態によれば実施の形態1と同様の効果が得られる。さらに、実施の形態1では、施工時のトルクを低減するために、上部鋼管3の外径D3 を下部鋼管2に設けた翼10の外径D3 より小さくすることが必要であるが、本実施の形態においては上部鋼管3に上部翼15を設けて上部鋼管3自身で土砂を掘削軟化して推進するようにしたので、下部鋼管2の翼10より大径の上部鋼管3を容易に貫入することができ、これにより、より大きな水平抵抗を確保することができる。
【0037】
[実施の形態3]
図11は本発明の実施の形態3に係る鋼管杭の説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、実施の形態1の下部鋼管2の上部外周に、上部鋼管3の外径D2 より大きい外径D4 の上部翼17を設けたものである。この上部翼17を設けるにあたっては、例えば、外径D4 の円形鋼板の中心部に、下部鋼管2の外径D1 とほぼ等しい径の開口部を設けてドーナツ状に形成し、これを2分割して平板状の鋼製翼18a,18bを構成する。そして、この鋼製翼18a,18bを、下部鋼管2の外周面に下部翼10と同じ角度で交差して取付けたものである。
【0038】
本実施の形態の施工方法も実施の形態1に準じるが、初期においては、杭打ち機20に設けたモータ21により先ず下部鋼管2を回転させて地中に貫入し、上部翼17が地盤の掘削を開始すると、これに合わせて軟化した地中に上部鋼管3を圧入する。
本実施の形態は、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0039】
[実施の形態4]
図12は本発明の実施の形態4の説明図である。図において、1は実施の形態1に係る鋼管杭であるが、翼10の中心部には後述のオーガーを挿通するための開口部10aが設けられており、また、モータ21はそれぞれ独立して可逆に回転する外軸24と内軸25を備えている。
31は下部鋼管2内に挿入されてオーガーヘッド32が翼10の開口部10aから突出したオーガーで、軸方向にはセメントミルクや地盤固化用薬液などの硬化性流動物を先端部に圧送するための貫通穴33が設けられており、オーガーヘッド32にはこの貫通穴33が開口する噴出口34が設けられている。35は一端が硬化性流動物のプラントに接続されたホースで、他端はオーガー31に設けた貫通穴33に、オーガー31が自在に回転しうるように接続されている。
【0040】
次に、上記のような本実施の形態の施工方法の一例について説明する。例えば、実施の形態1の場合と同様の施工方法により、下部鋼管2と上部鋼管3を地中に貫入する。そして、下部鋼管2の先端部があらかじめ定めた深さ(例えば、支持層の近傍)に達したときは貫入を停止し、下部鋼管2内にオーガー31を挿入して下部鋼管2をモータ21の外軸24に、オーガー31を内軸25にそれぞれ連結する。ついで、オーガー31の貫通穴33にホース36を接続する。
【0041】
そして下部鋼管2を回転させると共に、オーガー31を下部鋼管2と反対方向に回転させ、翼10に先行して地盤を掘削軟化させる。同時に、ホース35からオーガー31の貫通穴33に硬化性流動物を圧送して、オーガーヘッド32に設けた噴出口34から噴出させ、オーガーヘッド32及び翼10の回転によって軟化した土砂と攪拌し、混合させる。このとき、下部鋼管2とオーガーヘッド32の回転方向が反対のため、硬化性流動物と土砂はよく攪拌されて均一性の高い混合物となる。
【0042】
下部鋼管2が所定深度(例えば、支持層)に達したときは、翼10とオーガーヘッド32により十分攪拌して土砂と硬化性流動物をよく混合させたのち、下部鋼管2及びオーガー31の回転を停止する。
ついで、下部鋼管2及びホース35をモータ21から外してオーガー31を引上げれば、施工が終了する。そして、硬化性流動物と混合されて軟化した土砂は時間の経過に伴って固化し、大きな先端支持力を発揮する。
【0043】
上記の説明では、下部鋼管2がある深さまで貫入されてから下部鋼管2内にオーガー31を挿入する場合について説明したが、当初から下部鋼管2内にオーガー31を挿入してもよい。なお、この場合は、オーガー31に土砂を上方に押上げ、又は下方に押下げる機能を備えたスパイバル羽根を設けることが望ましい。
このように構成することにより、オーガーヘッド32が翼10に先行して土砂を掘削軟化するので、下部鋼管2の貫入が容易になり、また、土砂と硬化性流動物との混合物の一部がスパイラル羽根により下部鋼管2内にとり込まれると共に、下部鋼管2の周囲に押し出されるので、固化したのち大きな先端支持力及び周面摩擦力を得ることができる。
【0044】
施工後にオーガー31を引上げる場合には、オーガー31を反対方向に回転させながらモータ21を上昇させればよい。なお、このとき、下部鋼管2と上部鋼管3の、土砂と硬化性流動物の混合物が充填されていない部分にはコンクリート等の固化材5を打設すればよいが、オーガー31を引上げる際に、引続き下部鋼管2と上部鋼管3内に硬化性流動物を噴出させて、コンクリートの打設に代えてもよい。
本実施の形態は、実施の形態2,3にも実施することができる。
【0045】
上述の各実施の形態においては、円形鋼板又は楕円形鋼板を2分割した平板状の鋼製翼を、下部鋼管2(以下、上部鋼管3を含む)の先端部に設けた2つのレ字状の取付部8a,8bに取付けて翼10(以下、上部翼15,17を含む)を構成した場合を示したが、下部鋼管2の先端部に3つ以上のレ字状の取付部を設け、この取付部に円形鋼板等を3つ以上に分割した平板状の鋼製翼を取付けてもよい。
また、下部鋼管2の先端部に1つの段差部を設け、この段差部の下端部から1周して上端部に達するレ字状の取付部を設け、この取付部に円形鋼板等を複数に分割した平板状の鋼製翼を連続して取付けて螺旋状の翼を構成してもよく、さらに、この取付部に、円形鋼板等の中心部に小孔を設け、この小孔から外周部にかけて1か所を切断し、曲げ加工して形成した螺旋状翼を取付けてもよい。
【0046】
さらに、中心部に下部鋼管2の外径に対応した大きさの開口部を有する円形鋼板等を複数分割した鋼製翼、あるいは上記の開口部から外周部にかけて1か所を切断し、曲げ加工して形成した螺旋状翼を、下部鋼管の先端部近傍の外周に取付けるなど、翼の形状、構造、取付位置は適宜選択することができる。なお、下部鋼管の先端部近傍の外周に翼を設ける場合は、先端支持力を確実に得るために下部鋼管の先端部を閉塞板等により閉塞することが望ましい。しかし、実施の形態4を実施する場合は、この閉塞板等にオーガーヘッドが通過する開口部を設けることが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1に係るねじ込み式鋼管杭の説明図である。
【図2】図1の下部鋼管の下部斜視図である。
【図3】図1の翼の製造説明図である。
【図4】図1の下部鋼管の要部の斜視図である。
【図5】実施の形態1のねじ込み式鋼管杭の施工方法の一例の説明図である。
【図6】実施の形態1のねじ込み式鋼管杭の施工方法の一例の説明図である。
【図7】実施の形態1の他の例の説明図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るねじ込み式鋼管杭の説明図である。
【図9】実施の形態2の他の例の説明図である。
【図10】図9の作用説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係るねじ込み式鋼管杭の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態4の係るねじ込み式鋼管杭の説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ねじ込み式鋼管杭(鋼管杭)
2 下部鋼管
3 上部鋼管
4,4b 鋼板
5 コンクリート等の固化材
10 翼(下部翼)
15,17 上部翼
20 杭打ち機
21 モータ
31 オーガー
32 オーガーヘッド
33 貫通穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ込み式鋼管杭に係り、さらに詳しくは、少なくとも鋼管の先端部又はその近傍に翼を取付けた鋼管杭に回転力を与えることにより、杭頭部近傍を拡径した鋼管杭を地中に構築するようにしたねじ込み式鋼管杭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼管の先端部や側面に翼状板を取付けた鋼管杭に、地上に設置した機械により回転力を与え、翼状板の木ネジ作用により鋼管杭を地中に埋設する方法は、従来から多数提案されている。
ねじ込み式鋼管杭は、前述のように、鋼管杭に回動力を与えることにより、先端部又はその近傍に取付けた翼のねじ作用で鋼管杭を地盤に埋設するようにしたものであり、低振動、低騒音、無排土で施工できると共に、広い翼の面積を利用して大きな先端支持力を得ることができるという特徴を備えている。
【0003】
このため、翼のない通常の鋼管杭に比べてその設置本数を減らすか、又は鋼管の外径を縮小することができる。しかしながら、水平力に対しては、杭本数を減少した分不足することになる。そこで、鋼管杭の肉厚を増加する必要があるが、鋼材の重量が増加した割りに曲げ耐力の増加の効果は小さい。よって、水平力に対抗するために、鋼管杭の肉厚を大幅に増加せざるを得ず、杭本数を減じた効果が少なくなる。
ところで、大きな水平力や曲げモーメントに対して経済的に対応するために、杭頭部近傍を拡径するという考えが従来から提案されており、既に場所打ちコンクリート杭では広く実用化されているが、既製杭の分野では実用化されていない。
【0004】
杭頭部近傍の杭径を拡径した杭(以下、頭部拡大杭という)に関する従来技術について説明する。特許文献1に記載された杭頭拡大基礎杭打ち工法は、下杭とその下杭より径の大きい頭部拡大杭を接合して構成される鋼管杭において、下杭と頭部拡大杭との継手部に設けた叩打面を打撃して杭を貫入するようにしたものであり、従来の打撃工法のように杭の上端を打撃しないで管内の継手部を打撃することにより、頭部拡大杭に作用する応力を低減し、その肉厚を低減することを目的している。
【0005】
また特許文献2に記載された頭部補強杭造成装置は、頭部拡大方式の場所打ちコンクリート杭や既製杭の造成方法において、上部の径が下部より大きいケーシングの中に、上部の径が下部よりも大きい攪拌掘削用オーガーを挿入して互いに反対方向に回転させることにより、頭部拡大杭埋込み用のソイルセメント柱状体の中に挿入することにより構築される。また、上部と下部のケーシングの接合部には、頭部拡大による貫入抵抗を低減するために、掘削刃を設けてケーシング内に土砂を取り込むようにしたものがでる。
【0006】
【特許文献1】特開昭52−7109号公報
【特許文献2】特公昭58−27366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の頭部拡大基礎杭打込み工法は、下杭と頭部拡大杭との継手部を管内で打撃するようにしたものであるが、頭部拡大杭に発生する打撃応力度を通常の打込み工法より低減しても、土砂が継手部の下面に当るため継手部に発生する貫入抵抗は減少しないため打ち込みに困難を伴う。また、大きな騒音や振動が発生するため、都市部では実施することができない。
【0008】
また、特許文献2の頭部補強杭造成装置は、管内に挿入するオーガーの径は下部鋼管の径より小さいため、接続部に発生する貫入抵抗は従来技術1と同じである。また、オーガーを下部鋼管の先端部から突き出したのち上部鋼管の外径と同程度にオーガーを拡大することは可能であるが、下部鋼管の断面積より大きい面積の土砂を攪拌するために先端支持力が低下し、その上大量の土砂を排出するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、ねじ込み式鋼管杭と頭部拡大杭の特長を兼ね備えた次のようなねじ込み式鋼管杭を得ることを目的としたものである。
(1)低振動、低騒音、無排土施工が可能で、かつ大きな先端支持力が得られるねじ込み式鋼管杭の適用範囲を大径鋼管杭まで拡大すること。
(2)鋼管杭を回転貫入することにより、拡径部内に土砂が入らないため、コンクリート等の固化材の打設が容易であること。
(3)拡大された杭頭部とこれに打設されたコンクリート等の固化材により、杭頭部に発生する水平力や曲げモーメントに対応することのできる剛性を得ること。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るねじ込み式鋼管杭は、少なくとも先端部又はその近傍に翼を有する下部鋼管と、該下部鋼管が挿入される開口部が設けられた鋼板を有する前記下部鋼管より大径の上部鋼管とを備え、地中に前記下部鋼管及び該下部鋼管の上部外周に前記上部鋼管を貫入して下部鋼管の一部を該上部鋼管内に突出させ、少なくとも前記下部鋼管の上部内及び上部鋼管内にコンクリート等の固化材を打設したものである。
【0011】
上記の下部鋼管の上部外周に上部鋼管より大径の翼を設けた。
また、上記の上部鋼管の外周に該上部鋼管より大径の翼を設けた。
さらに、上記の鋼板に代えて、下部鋼管が挿入される開口部を有し、上部鋼管より大径の翼を該上部鋼管の先端部に設けた。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るねじ込み式鋼管杭は、杭頭部又は胴体部に回転力を与えて地盤に埋設するようにしたので、低騒音、低振動、無排土で施工することができる。また、上部鋼管を下部鋼管の推進力を利用して同時に地中に貫入するようにしたので、上部鋼管内に土砂が侵入するのを防止することができ、これにより清掃等を行うことなくコンクリート等の固化材を打設して下部鋼管と上部鋼管の一体化をはかることができる。さらに、拡径された上部鋼管と内部に打設したコンクリート等の固化材により大きな剛性が得られるため、杭頭部に発生する水平力や曲げモーメントに効果的に対応することができる。
【0013】
また、下部鋼管の上部外周に上部鋼管より大径の翼を設け、又は上部鋼管の外周に上部鋼管より大径の翼を設け、あるいは鋼板に代えて、下部鋼管が挿入される開口部を有し上部鋼管より大径の翼を上部鋼管の先端部に設けたので、下部鋼管の先端部又はその近傍に設けた翼より大径の上部鋼管を容易に貫入することができ、これにより、より大きい水平抵抗を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係るねじ込み式鋼管杭の説明図である。図において、1は頭部を拡大したねじ込み式鋼管杭(以下、単に鋼管杭という)で、下部鋼管2と、下部鋼管2より大径で、下部開口部に下部鋼管2の外径より若干大きい開口部4aを有するドーナツ状の鋼板4が接合された上部鋼管3と、下部鋼管2の先端部に設けた下部鋼管2より大径の翼10と、下部鋼管2の上部内と上部鋼管3内に打設され、両者の一体化をはかると共に、水平抵抗の増強のためのコンクリート、モルタル、ソイルセメント等の固化材(以下、セメント等の固化材という)5とからなっている。6は下部鋼管2内に上部鋼管3の鋼板4とほぼ同じ位置に設けられ、内部に打設されたコンクリート等の固化材5の落下を防止するための閉塞板である。なお、鋼管杭1の全長に亘ってコンクリート等の固化材5を打設する場合は、閉塞板6は不要である。
【0015】
下部鋼管2は通常の鋼管杭用の鋼管(例えば、外径600mm以下)からなり、下端部には、図2に示すように(図2は説明を容易にするために上下を逆にしてある)、円周方向を高さhの段差部7a,7bにより2分割し、一方の段差部7aの下端部から他方の段差部7bの上端部に連続する傾斜面とし、また、段差部7aの上端部から段差部7bの下端部に連続する傾斜面として、これら傾斜面により互いに同方向に向うレ字状の翼10の取付部8a,8bが設けられている。
【0016】
翼10は、例えば図3に示すように、下部鋼管2の外径D1 より大きい外径D3 の円形鋼板又は楕円形鋼板を中央から2分割した平板状の鋼製翼11a,11bによって構成したものである。なお、鋼製翼11a,11bからなる翼10の大きさ(外径D3 )は、一般に、下部鋼管2の外径D1 の1.3〜2.5倍程度が望ましい。
【0017】
上記のような鋼製翼11a,11bは、図4に示すように、下部鋼管2の先端開口部を覆うようにして取付部8a,8b上に載置され、溶接等により互いに反対方向に傾斜して取付けられ、翼10を構成する。なお、両鋼製翼11a,11bの食い違いによって生じる開口部は、例えば、閉塞板によって閉塞してもよい。また、下部鋼管2を複数本の鋼管を接続した接続杭で構成した場合は、最先端の鋼管(下杭)に翼10を設ければよい。
【0018】
上部鋼管3の外径D2 は、上部に設けられる建造物からの水平力や曲げモーメントにより異なるが、一般に、下部鋼管2の外径D1 の1.15〜3.0倍程度で、翼10の外径D3 より小さいことが望ましい。また、上部鋼管3の長さL1 は1/β〜2/β程度の範囲が望ましい。ここに、βは上部鋼管3と地盤の硬さから決まる特性値である。一般に、上部鋼管3の長さL1 は、4〜12m程度である。そして、上部鋼管3の下部開口部には、上部鋼管3の外径D2 とほぼ等しい外形で、下部鋼管2の外径D1 より若干大きい径の開口部4aを有する鋼板4が接合されている。
【0019】
次に、上記のように構成した本実施の形態に係るねじ込み式鋼管杭の施工方法の一例について説明する。
先ず、図5(a)に示すように、地上に立設された下部鋼管2に、上方から鋼板4に設けた開口部4aを嵌合し、上部鋼管3を翼10上に同心的に載置する。勿論、上部鋼管3の下から下部鋼管2を挿入してもよい。このとき、下部鋼管2の杭頭部は、上部鋼管3の杭頭部から上方に突出している。
【0020】
次に、杭打ち機20に設けた可逆回転するモータ21の回転軸22を、下部鋼管2の杭頭部近傍に取付ける。23は上部鋼管3の外径D2 とほぼ等しいか若干大きい外径を有し、回転軸2の外周に例えば軸受を介して回転自在に取付けられた圧下部材で、回転軸22を下部鋼管2に取付けたときは、上部鋼管3の杭頭部に当接する。この圧下部材23は回転軸22に対して着脱可能に構成してもよく、あるいは軸受を省略して回転軸22と一体に回転するようにしてもよい。なお、2軸のモータを用いて下部鋼管2と上部鋼管3の両者を回転して施工してもよく、また、上記のモータ21は、下部鋼管2の胴部に取付けるようにしてもよい。
【0021】
この状態でモータ21を駆動すると、これに取付けられた下部鋼管2が回転し、翼10の木ネジ作用により地中にねじ込まれる。このとき、翼10の下方にある土砂は掘削軟化されて、下部鋼管2はスムーズに貫入される。
下部鋼管2が若干貫入されると、モータ21の下降に伴って回転軸22に設けた圧下部材23が上部鋼管3を圧下し、図5(b)に示すように、上部鋼管3は下部鋼管2の貫入に伴って地中に圧入される。このとき、上部鋼管3の周囲の土砂は、下部鋼管2の翼10によって攪拌されて間もないため摩擦抵抗が小さく、下部鋼管2の貫入に伴って容易に貫入することができる。また、上部鋼管3が所定深度に達するまでは、土砂は管外横方向に圧縮されるため、上部鋼管3内に土砂が侵入することはない。
【0022】
上部鋼管3が所定の深度に達すると、図6(a)(以下、杭打ち機20は省略してある)に示すように、下部鋼管2の回転(貫入)を一旦停止してモータ21を外し、下部鋼管2の杭頭部に中杭を構成する鋼管2aを接続して、この鋼管2aの杭頭部に再びモータ21の回転軸22を取付ける。なお、このとき、回転軸22に設けた圧下部材23を取外すか、又は圧下部材23のない回転軸22を使用してもよい。
【0023】
そして、再びモータ21を駆動して下部鋼管2を回転させ、貫入する。このとき、上部鋼管3はその位置に保持されており、また、必要に応じて下部鋼管2に順次継杭を行う。
下部鋼管2が所定の深度(例えば、支持層)に達したときはモータ21を停止し、図6(b)に示すように、モータ21を下部鋼管2から取外して引上げる。なお、下部鋼管2の頭部が地上面より下方になる場合は、ヤットコを用いて打ち込んでもよい。
このとき、下部鋼管2の杭頭部は、上部鋼管3内に1D1(D1 は下部鋼管2の外径)以上突出していることが望ましい。
【0024】
ついで、下部鋼管2と上部鋼管3との一体化をはかるために、図6(c)に示すように、下部鋼管2の閉塞板6より上方及び上部鋼管3内にコンクリート等の固化材5を打設する。このとき、上部鋼管3内に土砂が侵入していないので、コンクリート等の固化材5を打設するために管内を清掃する必要がない。なお、下部鋼管2の杭頭部近傍の外周面及び上部鋼管3の内周面に、リブ又は鉄筋を巻き付けあるいはジベルを設けるなどして凹凸を形成すれば、コンクリート等の固化材5の付着力をさらに向上させることができる。また、コンクリート等の固化材5は、下部鋼管2と上部鋼管3を接続するために打設するので、上部鋼管3の全長にわたって打設せず、鋼板4から上部鋼管3内への下部鋼管2の突出範囲だけに打設してもよい(これら他の実施の形態においても同様である)。
【0025】
また、翼10からの曲げモーメントに対応できるように、閉塞板6を省略して下部鋼管2と上部鋼管3の全長にわたってコンクリート等の固化材5を打設してもよい。この場合、上部鋼管3の杭頭部からコンクリート等の固化材5を打設してもよいが、下部鋼管2の打止め直前又は打止め直後に、上部鋼管3の杭頭部から下部鋼管2内にコンクリート注入管を挿入し、下部鋼管2内にコンクリート等の固化材5を注入しながら徐々に引上げるようにしてもよい(他の実施の形態においても同様である)。
【0026】
ねじ込み式鋼管杭は、前述のように翼の木ネジ作用により無排土で地中に貫入されるものであり、翼の下方にあった土砂は翼により掘削軟化され、翼の間隙を通過して鋼管杭の外周に移動し、圧縮される。鋼管杭の外周に移動した土砂は、施工中は撹乱されて間もないため摩擦抵抗が少なく、鋼管杭をスムーズに貫入することができる。
しかし、時間の経過と共に、間隙水圧の消散などの要因により地盤強度が回復し、基礎杭としての供用時には大きな周面摩擦力が発揮される。
【0027】
図7は本実施の形態の他の例の説明図である。本例は上部鋼管3の下部開口部にテーパ状の鋼板4bを取付けたものである。
本例の施工方法も前述の施工方法と同様であるが、鋼板4bをテーパ状にしたため、上部鋼管3の地中への圧入の際の抵抗を低減することができる。
【0028】
[実施例]
図1に示すような鋼管杭1において、先端部に外径1016mmの鋼製翼11a,11bを交差して取付けた外径508mm、長さ26mの下部鋼管(下杭)2と、外径800mm、長さ10mの上部鋼管3とを打設した。15mの深さまで下部鋼管2と上部鋼管3を同時に貫入し、その後継杭して40mまで下部鋼管2を貫入させて打止めた。このとき、下部鋼管2の杭頭部を上部鋼管3内に1m突出させた。
施工自体は通常ねじ込み式鋼管杭の場合とほとんど変らない能率であった。貫入終了後上部鋼管3内及び下部鋼管2の杭頭部近傍にコンクリートを打設して一体化をはかり、問題なく頭部を拡径した鋼管杭1を構築することができた。
【0029】
上記のように構成した本実施の形態によれば、鋼管杭の杭頭部又は胴体部に回転力を与えて地盤に埋設するようにしたので、低騒音、低振動、無排土で施工することができる。
また、上部鋼管3を下部鋼管2の推進力を利用して同時に地中に貫入するようにしたので、上部鋼管3内に土砂が侵入するのを防止することができ、これにより、鋼管内の清掃等を行うことなくコンクリート等の固化材5を打設して下部鋼管2と上部鋼管3の一体化をはかることができる。
さらに、拡大された上部鋼管3と内部に打設したコンクリート等の固化材5とにより大きな剛性が得られるため、杭頭部に発生する水平力や曲げモーメントに効果的に対応することができる。
【0030】
[実施の形態2]
図8は本発明の実施の形態2に係る鋼管杭の説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、上部鋼管3の下部開口部に、鋼板に代えて翼15(以下、上部翼という)を設けたものである。すなわち、下部鋼管2の先端部に設けた翼10(以下、下部翼という)とほぼ同じ構造で、中心部に下部鋼管2が挿入される開口部15aを有し、上部鋼管2の外径D2 より大きい外径D4 の上部翼15を設けたものである。
【0031】
上部鋼管3に上部翼15を取付けるにあたっては、上部鋼管3の先端部に図2で説明したような翼の取付部8a,8bを設け、図3で説明した円形鋼板又は楕円形鋼板の外径を上部鋼管3の外径D2 より大きいD4 とし、中心部に下部鋼管2の外径D1 より若干大きい開口部を設けて2分割して形成した鋼製翼16a,16bを取付部8a,8bに溶接により接合したものである。
【0032】
本実施の形態の施工方法も実施の形態1の場合に準じるが、上部鋼管3は圧入ではなく、杭打ち機20のモータ21により下部鋼管2と同方向に回転させて、上部翼15の木ネジ作用による推進力により地中に貫入する。なお、上部鋼管3と下部鋼管2を反対方向に回転させてもよく、また、下部鋼管2を所定の深度まで貫入したのち、その外周に上部鋼管3を貫入してもよい。
【0033】
図9は本実施の形態の他の例の説明図で、本例は1枚の円形鋼板又は楕円形鋼板により下部翼10と上部翼15の鋼製翼11a,11b、16a,16bを形成したものである。
例えば、上部翼15の外径D4 に対応する外形の円形鋼板の内側を、同心的に下部翼10に対応する外径D3 により切断すると共に、これらを2分割して鋼製翼11a,11b、16a,16bを形成し、それぞれ下部鋼管2と上部鋼管3の下端部に設けた取付部8a,8bに溶接により接合したものである。
【0034】
これにより、施工当初は図9に示すように、下部翼10が上部翼15の開口部15a内に挿入され、下部鋼管2と上部鋼管3が一体的に回転し、地中に貫入される。そして、上部鋼管3が所定の深度に達すると上部鋼管3の回転を中止し、下部鋼管2のみを回転させる。これにより、下部鋼管2の下部翼10は図10に示すように、上部鋼管3の上部翼15から分離し、下部鋼管2のみが引続き地中に貫入される。
本例によれば、翼の製作が容易になり、また材料を節減することができる。
【0035】
上記の説明では、上部翼15を上部鋼管3の先端部に設けた場合を示したが、実施の形態1の場合と同様に先端部に開口部4aを有する鋼板4が設けられた上部鋼管3の外周の下部に、上部翼15を設けてもよい。
この場合は、例えば、上部鋼管3の外径D2 より大径D4 の円形鋼板の中心部に、上部鋼管3の外径D2 とほぼ等しい開口部を設けてドーナツ状に形成し、これを二分割して鋼製翼16a,16bを構成する。そして、この鋼製翼16a,16bを、上部鋼管3の外周面に下部翼10と同じ角度で交差して取付ければよい。
【0036】
本実施の形態によれば実施の形態1と同様の効果が得られる。さらに、実施の形態1では、施工時のトルクを低減するために、上部鋼管3の外径D3 を下部鋼管2に設けた翼10の外径D3 より小さくすることが必要であるが、本実施の形態においては上部鋼管3に上部翼15を設けて上部鋼管3自身で土砂を掘削軟化して推進するようにしたので、下部鋼管2の翼10より大径の上部鋼管3を容易に貫入することができ、これにより、より大きな水平抵抗を確保することができる。
【0037】
[実施の形態3]
図11は本発明の実施の形態3に係る鋼管杭の説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、実施の形態1の下部鋼管2の上部外周に、上部鋼管3の外径D2 より大きい外径D4 の上部翼17を設けたものである。この上部翼17を設けるにあたっては、例えば、外径D4 の円形鋼板の中心部に、下部鋼管2の外径D1 とほぼ等しい径の開口部を設けてドーナツ状に形成し、これを2分割して平板状の鋼製翼18a,18bを構成する。そして、この鋼製翼18a,18bを、下部鋼管2の外周面に下部翼10と同じ角度で交差して取付けたものである。
【0038】
本実施の形態の施工方法も実施の形態1に準じるが、初期においては、杭打ち機20に設けたモータ21により先ず下部鋼管2を回転させて地中に貫入し、上部翼17が地盤の掘削を開始すると、これに合わせて軟化した地中に上部鋼管3を圧入する。
本実施の形態は、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0039】
[実施の形態4]
図12は本発明の実施の形態4の説明図である。図において、1は実施の形態1に係る鋼管杭であるが、翼10の中心部には後述のオーガーを挿通するための開口部10aが設けられており、また、モータ21はそれぞれ独立して可逆に回転する外軸24と内軸25を備えている。
31は下部鋼管2内に挿入されてオーガーヘッド32が翼10の開口部10aから突出したオーガーで、軸方向にはセメントミルクや地盤固化用薬液などの硬化性流動物を先端部に圧送するための貫通穴33が設けられており、オーガーヘッド32にはこの貫通穴33が開口する噴出口34が設けられている。35は一端が硬化性流動物のプラントに接続されたホースで、他端はオーガー31に設けた貫通穴33に、オーガー31が自在に回転しうるように接続されている。
【0040】
次に、上記のような本実施の形態の施工方法の一例について説明する。例えば、実施の形態1の場合と同様の施工方法により、下部鋼管2と上部鋼管3を地中に貫入する。そして、下部鋼管2の先端部があらかじめ定めた深さ(例えば、支持層の近傍)に達したときは貫入を停止し、下部鋼管2内にオーガー31を挿入して下部鋼管2をモータ21の外軸24に、オーガー31を内軸25にそれぞれ連結する。ついで、オーガー31の貫通穴33にホース36を接続する。
【0041】
そして下部鋼管2を回転させると共に、オーガー31を下部鋼管2と反対方向に回転させ、翼10に先行して地盤を掘削軟化させる。同時に、ホース35からオーガー31の貫通穴33に硬化性流動物を圧送して、オーガーヘッド32に設けた噴出口34から噴出させ、オーガーヘッド32及び翼10の回転によって軟化した土砂と攪拌し、混合させる。このとき、下部鋼管2とオーガーヘッド32の回転方向が反対のため、硬化性流動物と土砂はよく攪拌されて均一性の高い混合物となる。
【0042】
下部鋼管2が所定深度(例えば、支持層)に達したときは、翼10とオーガーヘッド32により十分攪拌して土砂と硬化性流動物をよく混合させたのち、下部鋼管2及びオーガー31の回転を停止する。
ついで、下部鋼管2及びホース35をモータ21から外してオーガー31を引上げれば、施工が終了する。そして、硬化性流動物と混合されて軟化した土砂は時間の経過に伴って固化し、大きな先端支持力を発揮する。
【0043】
上記の説明では、下部鋼管2がある深さまで貫入されてから下部鋼管2内にオーガー31を挿入する場合について説明したが、当初から下部鋼管2内にオーガー31を挿入してもよい。なお、この場合は、オーガー31に土砂を上方に押上げ、又は下方に押下げる機能を備えたスパイバル羽根を設けることが望ましい。
このように構成することにより、オーガーヘッド32が翼10に先行して土砂を掘削軟化するので、下部鋼管2の貫入が容易になり、また、土砂と硬化性流動物との混合物の一部がスパイラル羽根により下部鋼管2内にとり込まれると共に、下部鋼管2の周囲に押し出されるので、固化したのち大きな先端支持力及び周面摩擦力を得ることができる。
【0044】
施工後にオーガー31を引上げる場合には、オーガー31を反対方向に回転させながらモータ21を上昇させればよい。なお、このとき、下部鋼管2と上部鋼管3の、土砂と硬化性流動物の混合物が充填されていない部分にはコンクリート等の固化材5を打設すればよいが、オーガー31を引上げる際に、引続き下部鋼管2と上部鋼管3内に硬化性流動物を噴出させて、コンクリートの打設に代えてもよい。
本実施の形態は、実施の形態2,3にも実施することができる。
【0045】
上述の各実施の形態においては、円形鋼板又は楕円形鋼板を2分割した平板状の鋼製翼を、下部鋼管2(以下、上部鋼管3を含む)の先端部に設けた2つのレ字状の取付部8a,8bに取付けて翼10(以下、上部翼15,17を含む)を構成した場合を示したが、下部鋼管2の先端部に3つ以上のレ字状の取付部を設け、この取付部に円形鋼板等を3つ以上に分割した平板状の鋼製翼を取付けてもよい。
また、下部鋼管2の先端部に1つの段差部を設け、この段差部の下端部から1周して上端部に達するレ字状の取付部を設け、この取付部に円形鋼板等を複数に分割した平板状の鋼製翼を連続して取付けて螺旋状の翼を構成してもよく、さらに、この取付部に、円形鋼板等の中心部に小孔を設け、この小孔から外周部にかけて1か所を切断し、曲げ加工して形成した螺旋状翼を取付けてもよい。
【0046】
さらに、中心部に下部鋼管2の外径に対応した大きさの開口部を有する円形鋼板等を複数分割した鋼製翼、あるいは上記の開口部から外周部にかけて1か所を切断し、曲げ加工して形成した螺旋状翼を、下部鋼管の先端部近傍の外周に取付けるなど、翼の形状、構造、取付位置は適宜選択することができる。なお、下部鋼管の先端部近傍の外周に翼を設ける場合は、先端支持力を確実に得るために下部鋼管の先端部を閉塞板等により閉塞することが望ましい。しかし、実施の形態4を実施する場合は、この閉塞板等にオーガーヘッドが通過する開口部を設けることが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1に係るねじ込み式鋼管杭の説明図である。
【図2】図1の下部鋼管の下部斜視図である。
【図3】図1の翼の製造説明図である。
【図4】図1の下部鋼管の要部の斜視図である。
【図5】実施の形態1のねじ込み式鋼管杭の施工方法の一例の説明図である。
【図6】実施の形態1のねじ込み式鋼管杭の施工方法の一例の説明図である。
【図7】実施の形態1の他の例の説明図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るねじ込み式鋼管杭の説明図である。
【図9】実施の形態2の他の例の説明図である。
【図10】図9の作用説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係るねじ込み式鋼管杭の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態4の係るねじ込み式鋼管杭の説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ねじ込み式鋼管杭(鋼管杭)
2 下部鋼管
3 上部鋼管
4,4b 鋼板
5 コンクリート等の固化材
10 翼(下部翼)
15,17 上部翼
20 杭打ち機
21 モータ
31 オーガー
32 オーガーヘッド
33 貫通穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも先端部又はその近傍に翼を有する下部鋼管と、該下部鋼管が挿入される開口部が設けられた鋼板を有する前記下部鋼管より大径の上部鋼管とを備え、
地中に前記下部鋼管及び該下部鋼管の上部外周に前記上部鋼管を貫入して下部鋼管の一部を該上部鋼管内に突出させ、少なくとも前記下部鋼管の上部内及び上部鋼管内にコンクリート等の固化材を打設したことを特徴とするねじ込み式鋼管杭。
【請求項2】
下部鋼管の上部外周に上部鋼管より大径の翼を設けたことを特徴とする請求項1記載のねじ込み式鋼管杭。
【請求項3】
上部鋼管の外周に該上部鋼管より大径の翼を設けたことを特徴とする請求項1記載のねじ込み式鋼管杭。
【請求項4】
鋼板に代えて、下部鋼管が挿入される開口部を有し、上部鋼管より大径の翼を該上部鋼管の先端部に設けたことを特徴とする請求項1記載のねじ込み式鋼管杭。
【請求項1】
少なくとも先端部又はその近傍に翼を有する下部鋼管と、該下部鋼管が挿入される開口部が設けられた鋼板を有する前記下部鋼管より大径の上部鋼管とを備え、
地中に前記下部鋼管及び該下部鋼管の上部外周に前記上部鋼管を貫入して下部鋼管の一部を該上部鋼管内に突出させ、少なくとも前記下部鋼管の上部内及び上部鋼管内にコンクリート等の固化材を打設したことを特徴とするねじ込み式鋼管杭。
【請求項2】
下部鋼管の上部外周に上部鋼管より大径の翼を設けたことを特徴とする請求項1記載のねじ込み式鋼管杭。
【請求項3】
上部鋼管の外周に該上部鋼管より大径の翼を設けたことを特徴とする請求項1記載のねじ込み式鋼管杭。
【請求項4】
鋼板に代えて、下部鋼管が挿入される開口部を有し、上部鋼管より大径の翼を該上部鋼管の先端部に設けたことを特徴とする請求項1記載のねじ込み式鋼管杭。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−77803(P2007−77803A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348839(P2006−348839)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【分割の表示】特願2000−108203(P2000−108203)の分割
【原出願日】平成12年4月10日(2000.4.10)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(592198404)千代田工営株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【分割の表示】特願2000−108203(P2000−108203)の分割
【原出願日】平成12年4月10日(2000.4.10)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(592198404)千代田工営株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
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