説明

はめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法

【課題】はめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法を提供し、もって、損耗したはめ込み式マイクロビットを廃棄せずに利用することを可能にする。
【解決手段】ステップaでは、予め決められた程度まで損耗したはめ込み式マイクロビットを取る。続くステップbでは、ビットの第1ビット部を取り除く。次のステップcでは、シャンクの外径及びビットの連結部の外径を、それぞれ決まった程度の外径寸法まで研磨あるいは切削する。例えば、シャンクのもともとの直径3.175mmを2・0mmまで切削し、連結部は、直径1.0mmまで切削する。続くステップdでは、連結部において第2ビット部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常印刷回路板に穴あけを行うのに用いるマイクロビットは、ビット部及び当該ビット部と一体成形のシャンク部を有し、当該シャンク部が穴あけ機械に保持される。その外周に若干のバイト及び同数量の排屑溝が形成されたビット部により、印刷回路板の微細穴あけ作業が行われる。
【0003】
ところで、シャンク部の外径寸法とビット部の外径寸法との差は、相当大きなものとなっている。シャンク部の外径寸法はビット部の外径寸法より数倍大きいのが一般的である。そのため一体成形の方法により当該マイクロビットを製造する場合、ビット部の外周を大量に切削する必要があり、大量にビット部を切削することにより、ようやく微細な寸法の要求に合わせることができる。しかしながら、このような方法では、必然的に大量な材料資源の浪費を招くこととなり、コストが高くつくのみならず環境面を考えても好ましくない。
【0004】
このような問題を解決するため、本発明者が先に提案した「はめ込み式マイクロビット」がある(特許文献1参照)。これは、直径の大きいシャンク部のはめ込み溝に直径の小さいビットをはめ込む方法であり、ビットとシャンクとをそれぞれ適当な外径寸法で設計し、製造した後、組み合わせる方法である。これによって、材料の無駄を減らすことができる。
【特許文献1】台湾特許第M308805号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このはめ込み式マイクロビットは、通常、穴あけ1万回などの使用によって、相当程度、磨耗し損傷する。そのため、廃棄が必要となる。したがって、製造時における切削量を低減しても、結局のところ、材料資源が無駄になってしまう。これは、原材料価格高騰の時代においては、由々しき問題である。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、はめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法を提供することにあり、もって、損耗したはめ込み式マイクロビットを廃棄せずに利用することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の方法は、軸方向のはめ込み溝が形成されたシャンクと、穴あけに用いられる第1ビット部、および、前記第1ビット部と同軸一体に取り付けられ、その基端が前記はめ込み溝に差し込み固定された連結部を有するビットと、を備えたはめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法であって、前記はめ込み式マイクロビットを取り出す段階(a)と、前記第1ビット部を取り除く段階(b)と、前記シャンク及び前記連結部の外径を一定寸法まで切削する段階(c)と、穴あけに用いられる第2ビット部であって、バイト及び穴あけ時の排屑空間となる排屑溝を有する第2ビットを前記連結部に形成する段階(d)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の方法は、請求項1に記載のはめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法において、前記段階(a)のはめ込み式マイクロビットは、約1万回の穴あけ作業を行って廃棄標準に達したビット部を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3の方法は、請求項1に記載のはめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法において、前記段階(d)では、前記連結部を当該はめ込み溝外の部位で外に出し当該第2ビット部を形成することを特徴とする。
【0010】
なお、本技術思想は、以下のような構成として示すこともできる。すなわち、本発明の提供するはめ込み式マイクロビットのリサイクル製造法は、以下の段階を含む。段階(a):はめ込み式マイクロビットを取ると、当該はめ込み式マイクロビットはシャンク及びビットを有し、当該シャンクの端に軸方向のはめ込み溝を形成し、当該ビットは同軸一体連結の第1ビット部及び連結部を有し、当該連結部はその端にしっかりと当該はめ込み溝に差込み、且つ当該第1ビット部がある程度まで損耗している。段階(b):第1ビット部を取り除く。段階(c):当該シャンク及び当該連結部の外径をある程度の寸法まで切削。段階(d):外に出た当該はめ込み溝の連結部において第2ビット部を形成し、当該第2ビット部は若干のバイト及び排屑溝を有し、当該バイトは回路板に穴あけを行うのに用い、当該排屑溝は穴あけ時の排屑空間として用いる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照し説明する。なお、ここでの説明は、審査官が本発明の特徴と特色についての理解を容易にするためのものでもある。
【0012】
図1から図5は、本発明の適切なはめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法を示している。
【0013】
ステップaでは、予め決められた程度まで損耗したはめ込み式マイクロビットを取る。図2を参照すると、はめ込み式マイクロビット10は、ビット11及びシャンク12を有している。このシャンク12の端は軸方向に一定の深さ及び幅を有するはめ込み溝を有している。ビット11は第1ビット部111及び連結部112を有し、当該第1ビット部111と連結部112は一体形成された同軸の杆体である。連結部112はその基端側がはめ込み溝121に差し込み固定されている。かかる構成により、ビット11とシャンク12とを同軸上に連結する。第1ビット部111には、若干のバイト及び排屑溝が形成されており、これにより印刷回路板の微細穴あけ及び穴あけ時の排屑が可能となる。例えば、第1ビット部111には、排屑溝として螺旋状の溝を形成することで、穴あけ時に当該溝に沿って排屑をかき出し可能となっているという具合である。シャンク12は穴あけ機械に保持される。ビット11の第1ビット部111は損耗廃棄標準(穴あけ約1万回)に達している。
【0014】
続くステップbでは、ビット11の第1ビット部111を取り除く。ここでは、図3に示すように、切削具を利用して、あるいは砥石研磨の方法により、既に損耗している第1ビット部111を取り除く。
【0015】
次のステップcでは、シャンク12の外径及びビット11の連結部112の外径を、それぞれ決まった程度の外径寸法まで研磨あるいは切削する。図4に示すように、本実施形態では、シャンク12のもともとの直径3.175mmを2・0mmまで切削し、連結部112は、直径1.0mmまで切削する。
【0016】
続くステップdでは、連結部112において第2ビット部113を形成する。図5に示すように、連結部112の先端側に第2ビット部113を形成する。例えば、連結部112によって第1ビット部111の基端部が被覆されて構成されていることを前提に、当該基端部側を切削することにより、被覆された基端部を露出させ、これを第2ビット部113にするという具合である。第2ビット部113は若干のバイト及び排屑溝を有し、当該バイトにより穴あけ作業を行うことで排屑溝に穴あけ時の排屑空間が形成される。
【0017】
以上説明したように従来は損耗標準に達したら廃棄されるはめ込み式マイクロビットに対し、損耗した第1ビット部111を取り除き、更にシャンク12及び連結部112に新たに一定の外径(元よりも小さな外径)まで切削し、連結部112に新たに若干のバイト及び排屑溝を有する第2ビット部を形成する。これにより、廃棄されるはずのはめ込み式マイクロビットを比較的簡単に加工し、小径のはめ込み式マイクロビットを製作して使用することができる。その結果、環境保護に寄与し、しかも、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態のリサイクル方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態のはめ込み式マイクロビットの構成を示す説明図である。
【図3】図3は本発明の一実施形態において、第1ビット部を取り除いた様子を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態において、シャンク及び連結部の外径の一定の寸法まで切削した様子を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態において、連結部に第2ビット部を形成した様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
10:はめ込み式マイクロビット、ビット11、111:第1ビット部、112:連結部、113:第2ビット部、12:シャンク、121:はめ込み溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向のはめ込み溝が形成されたシャンクと、穴あけに用いられる第1ビット部、および、前記第1ビット部と同軸一体に取り付けられ、その基端が前記はめ込み溝に差し込み固定された連結部を有するビットと、を備えたはめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法であって、
前記はめ込み式マイクロビットを取り出す段階(a)と、
前記第1ビット部を取り除く段階(b)と、
前記シャンク及び前記連結部の外径を一定寸法まで切削する段階(c)と、
穴あけに用いられる第2ビット部であって、バイト及び穴あけ時の排屑空間となる排屑溝を有する第2ビットを前記連結部に形成する段階(d)と、
を備えることを特徴とするはめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のはめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法において、
前記段階(a)のはめ込み式マイクロビットは、約1万回の穴あけ作業を行って廃棄標準に達したビット部を有することを特徴とするはめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のはめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法において、
前記段階(d)では、前記連結部を当該はめ込み溝外の部位で外に出し当該第2ビット部を形成することを特徴とするはめ込み式マイクロビットのリサイクル製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−260123(P2008−260123A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103084(P2008−103084)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(505054357)高僑自動化科技股▲分▼有限公司 (10)
【Fターム(参考)】