説明

ひき肉加工装置

【課題】ホッパ1、上流側送り羽根2および回転軸3を有するひき肉加工装置において、上流側送り羽根2および回転軸3を洗浄またはメンテナンスするとき、その作業が容易であるようにする。
【解決手段】連結手段によって駆動軸8と回転軸3が分離可能に連結され、シール手段によって駆動軸8と端壁6間がシールされる。さらに、開閉ふた22によって上流側通路5が閉じられ、上流側送り羽根2によって原料肉が送られる。さらに、上流側送り羽根2および回転軸3を洗浄またはメンテナンスするとき、開閉ふた22によって上流側通路5が開かれ、上流側送り羽根2および回転軸3が駆動軸8から分離され、上流側通路5から引き出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原料肉をひき肉加工するひき肉加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1に記載されているひき肉加工装置では、ホッパに原料肉が投入される。ホッパは半円筒状の底壁を有する。そして、底壁によって上流側通路が形成され、回転軸が上流側通路内に収容され、底壁に同心に配置される。さらに、上流側送り羽根が回転軸に形成され、底壁に沿って回転する。上流側送り羽根はらせん状のものである。さらに、上流側送り羽根の下流位置において、下流側通路が上流側通路に連通し、下流側送り羽根が下流側通路内に収容され、下流側通路内で回転する。下流側送り羽根もらせん状のものである。さらに、下流側送り羽根の下流位置において、複数の隔壁が下流側通路の長さ方向に間隔を置いて配置され、ブレード状の部材が各隔壁間に配置され、各隔壁間で回転する。隔壁は多数の透孔を有する。したがって、上流側および下流側送り羽根によって原料肉が送られ、隔壁の透孔およびブレード状の部材によって原料肉がひき肉加工される。
【0003】
この場合、食肉を取り扱う関係上、頻繁に上流側送り羽根および回転軸を洗浄し、下流側送り羽根、隔壁およびブレード状の部材を洗浄することが要求される。定期的に上流側送り羽根および回転軸をメンテナンスし、下流側送り羽根、隔壁およびブレード状の部材をメンテナンスする必要もあるが、その的確性に問題があった。洗浄またはメンテナンスするとき、下流側送り羽根、隔壁およびブレード状の部材はともかく、上流側送り羽根および回転軸を装置から取り外すには、構造上、その支持系および駆動系全体を一旦分解する必要があるが、一旦分解することは困難であり、熟練が要求され、時間および労力が要求される。このため、装置に取り付けた状態で上流側送り羽根および回転軸を洗浄またはメンテナンスしていたが、周辺部品によって作業が阻害され、的確に上流側送り羽根および回転軸を洗浄またはメンテナンスすることができないという問題があったものである。
【0004】
したがって、この発明は、ホッパ、上流側送り羽根および回転軸を有するひき肉加工装置において、的確に上流側送り羽根および回転軸を洗浄またはメンテナンスすることを目的としてなされたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3335573号公報
【発明の概要】
【0006】
この発明によれば、ホッパに原料肉が投入される。ホッパは半円筒状の底壁を有する。そして、底壁によって上流側通路が形成され、回転軸が上流側通路内に収容され、底壁に同心に配置される。さらに、上流側送り羽根が回転軸に形成され、底壁に沿って回転する。上流側送り羽根はらせん状のものである。さらに、この発明によれば、端壁が上流側通路の一端に形成され、回転軸に対応する位置において、開孔が端壁に形成され、駆動軸が端壁の外側に配置される。さらに、開孔付近において、連結手段によって駆動軸と回転軸が分離可能に連結され、開孔のまわりにおいて、シール手段によって駆動軸と端壁間がシールされる。さらに、開閉ふたが上流側通路の他端に設けられ、開閉ふたによって上流側通路が閉じられる。さらに、上流側送り羽根の下流位置において、下流側通路が上流側通路に連通し、下流側送り羽根が下流側通路内に収容され、下流側通路内で回転する。下流側送り羽根もらせん状のものである。さらに、下流側送り羽根の下流位置において、複数の隔壁が下流側通路の長さ方向に間隔を置いて配置され、ブレード状の部材が各隔壁間に配置され、各隔壁間で回転する。隔壁は多数の透孔を有する。したがって、上流側および下流側送り羽根によって原料肉が送られ、隔壁の透孔およびブレード状の部材によって原料肉がひき肉加工される。さらに、上流側送り羽根および回転軸を洗浄またはメンテナンスするとき、開閉ふたによって上流側通路が開かれ、上流側送り羽根および回転軸が駆動軸から分離され、上流側通路から引き出される。
【0007】
好ましい実施例では、連結手段は突起とくぼみからなる。突起およびくぼみは矩形状断面のものである。そして、突起が回転軸の一端に形成され、くぼみが駆動軸の対向端に形成され、突起がくぼみにはめ込まれ、くぼみから引き出される。
【0008】
さらに、支持手段が開閉ふたに設けられ、支持手段によって回転軸が支持される。そして、開閉ふたによって上流側通路が開かれるとき、支持手段が回転軸から分離される。
【0009】
シール手段は1カ所割りまたは2つ割りシールリングからなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施例を示す断面図である。
【図2】図1の開閉ふたを取り外し、上流側送り羽根および回転軸を引き出した状態を示す断面図である。
【図3】図1の駆動軸およびシールリングの拡大図である。
【図4】図1の装置の斜視図である。
【図5】図4とは異なる角度の斜視図である。
【図6】図1の下流側通路の断面図である。
【図7】図6の下流側送り羽根を引き出した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0012】
図1はこの発明にかかるひき肉加工装置を示す。この装置はホッパ1、上流側送り羽根2および回転軸3を有する。ホッパ1は原料肉を投入するためのもので、半円筒状の底壁4を有する。そして、底壁4によって上流側通路5が形成され、回転軸3が上流側通路5に収容され、底壁4に同心に配置されている。さらに、上流側送り羽根2が回転軸3に形成されており、底壁4に沿って回転する。上流側送り羽根2はらせん状のものである。
【0013】
さらに、端壁6が上流側通路5の一端に形成され、回転軸3に対応する位置において、開孔7が端壁6に形成され、駆動軸8が端壁6の外側に配置されている。さらに、開孔7付近において、連結手段によって駆動軸8と回転軸3が分離可能に連結され、開孔7のまわりにおいて、シール手段によって駆動軸8と端壁6間がシールされる。駆動軸8はベアリング9に支持され、回転可能に案内されている。さらに、チェーンまたはベルトおよびスプロケットまたはプーリ10によって駆動モータと駆動軸8が連結されている。
【0014】
図3に示すように、この実施例では、連結手段は突起11とくぼみ12からなる。突起11およびくぼみ12は矩形状断面のものである。そして、突起11が回転軸3の一端に形成され、くぼみ12が駆動軸8の対向端に形成されており、突起11がくぼみ12にはめ込まれ、突起11およびくぼみ12によって駆動軸8と回転軸3が連結されている。したがって、駆動モータによって駆動軸8を回転させ、上流側送り羽根2および回転軸3を回転させることができる。そして、後述するように、突起11がくぼみ12から引き出され、上流側送り羽根2および回転軸3が駆動軸8から分離され、上流側通路5から引き出される。
【0015】
一方、シール手段は1カ所割りまたは2つ割りシールリング13からなる。さらに、シールリング13にカラー14および端板15が組み合わされている。カラー14は円筒状のものである。端板15はディスク状のもので、中心孔を有し、駆動軸8はカラー14および端板15を貫通する。そして、駆動軸8のまわりにおいて、カラー14が開孔7にはめ込まれ、カラー14にシールリング13が収容されている。さらに、端板15に半径方向みぞ16が形成され、ピン17が設けられ、カラー14にピン孔が形成されており、ピン17がピン孔に押し込まれ、端板15がカラー14に押し付けられる。さらに、ボルト18が半径方向みぞ16に挿入され、ナット19がボルト18にねじ合わされ、端板15に押し付けられ、ナット19によって端板15が保持され、端板15によってシールリング13が保持されている。したがって、シールリング13によって駆動軸8と端壁6間がシールされる。ボルト18は支点20のまわりを揺動可能である。
【0016】
さらに、図5に示すように、ホッパ1に窓21が形成されており、窓21からナット19およびボルト18を操作し、ナット19をゆるめ、ボルト18を支点20のまわりに揺動させ、半径方向みぞ16から抜き取ることができる。その後、端板15を駆動軸8の軸方向に移動させ、カラー14から離脱させ、ピン17をピン孔から抜き取ることができ、カラー14を開孔7から抜き取ることもできる。したがって、シールリング13をカラー14から抜き出し、駆動軸8から取り外すことができる。シールリング13は1カ所割りまたは2つ割りのものであり、駆動軸8から取り外すことは容易である。
【0017】
さらに、開閉ふた22が上流側通路5の他端に設けられ、開閉ふた22によって上流側通路5が閉じられる。そして、後述するように、開閉ふた22によって上流側通路5が開かれる。この実施例では、開閉ふた22はディスク状のものである。そして、上流側通路5の他端において、ホッパ1に補助壁23が形成され、補助壁23および底壁4によって上流側通路5が形成されており、その断面は円形状をなす。さらに、端板15と同様、開閉ふた22に半径方向みぞが形成され、ボルト24が半径方向みぞに挿入され、ナット25がボルト24にねじ合わされ、開閉ふた22に押し付けられ、開閉ふた22が補助壁23および底壁4に押し付けられ、これによって上流側通路5が閉じられている。ボルト24は支点26のまわりを揺動可能である。
【0018】
さらに、ホッパ1に窓27が形成され、窓27にドア28が設けられており、ドア28を開くと、窓27からナット25およびボルト24を操作し、ナット25をゆるめ、図2に示すように、ボルト24を支点26のまわりに揺動させ、半径方向みぞから抜き取ることができる。したがって、窓27から開閉ふた22を取り外し、上流側通路5を開くことができる。
【0019】
さらに、支持手段が開閉ふた22に設けられ、支持手段によって回転軸3が支持されている。そして、開閉ふた22によって上流側通路5が開かれるとき、支持手段が回転軸3から分離される。この実施例では、支持手段に突起29が使用され、突起29が開閉ふた22に形成され、くぼみ30が回転軸3の他端に形成されており、開閉ふた22によって上流側通路5を閉じたとき、突起29がくぼみ30に押し込まれる。突起29およびくぼみ30は円形状断面のものである。したがって、突起29およびくぼみ30によって回転軸3が回転可能に支持される。さらに、開閉ふた22によって上流側通路5が開かれるとき、突起29がくぼみ30から引き抜かれ、回転軸3から分離される。
【0020】
さらに、上流側送り羽根2の下流位置において、下流側通路31が底壁4と交差するよう形成され、上流側通路5に連通し、図6に示すように、下流側送り羽根32が回転軸33に形成され、下流側通路31内に収容されている。さらに、上流側送り羽根2と同様、突起およびくぼみによって駆動軸34と回転軸33が連結され、チェーンまたはベルトおよびスプロケットまたはプーリ35によって駆動モータと駆動軸34が連結されており、駆動モータによって駆動軸34が回転し、下流側送り羽根32が下流側通路31内で回転する。下流側送り羽根32もらせん状のものである。さらに、下流側送り羽根32の下流位置において、複数の隔壁36が下流側通路31の長さ方向に間隔を置いて配置され、ブレード状の部材37が各隔壁36間に配置され、キーによって回転軸33とブレード状の部材37が拘束されており、ブレード状の部材37が各隔壁36間で回転する。隔壁36は多数の透孔を有する。さらに、ダクト38によって下流側通路31が形成され、保持リング39に半径方向フィン40およびスリーブ41が形成されており、保持リング39が下流側通路31に挿入され、スリーブ41が回転軸33にはめ合わされる。さらに、外リング42がダクト38にねじ合わされ、保持リング39に押し付けられ、保持リング39が隔壁36に押し付けられ、外リング42および保持リング39によって隔壁36およびブレード状の部材37が保持され、スリーブ41によって回転軸33が回転可能に支持されている。
【0021】
したがって、ホッパ1に原料肉を投入すると、上流側通路5内において、上流側送り羽根2によって原料肉が送られ、これが下流側通路31に導かれる。さらに、下流側通路31内において、下流側送り羽根32によって原料肉が送られ、隔壁36の透孔およびブレード状の部材37によって原料肉がひき肉加工される。
【0022】
そして、上流側送り羽根2および回転軸3を洗浄またはメンテナンスするとき、窓27からナット25およびボルト24を操作し、開閉ふた22を取り外し、開閉ふた22によって上流側通路5を開く。その後、窓27から上流側送り羽根2および回転軸3を操作し、引っ張ると、突起11がくぼみ12から引き出され、図4に示すように、上流側送り羽根2および回転軸3が駆動軸8から分離され、上流側通路5から引き出される。したがって、上流側送り羽根2および回転軸3を装置から取り外すことができる。
【0023】
さらに、洗浄またはメンテナンス後、窓27から上流側送り羽根2および回転軸3を操作し、上流側送り羽根2および回転軸3を上流側通路5に挿入し、押し込むと、突起11がくぼみ12にはめ込まれ、突起11およびくぼみ12によって駆動軸8と回転軸3が連結される。その後、窓27から開閉ふた22を挿入し、開閉ふた22によって上流側通路5を閉じると、突起29がくぼみ30に押し込まれ、突起29およびくぼみ30によって回転軸3が回転可能に支持される。したがって、駆動モータによって駆動軸8を回転させ、上流側送り羽根2および回転軸3を回転させることができ、上流側送り羽根2および下流側送り羽根によって原料肉を送ることができる。
【0024】
したがって、この装置の場合、上流側送り羽根2および回転軸3を洗浄またはメンテナンスするとき、その支持系および駆動系全体を一旦分解しなくても、上流側送り羽根2および回転軸3を装置から取り外すことができる。したがって、的確に上流側送り羽根2および回転軸3を洗浄またはメンテナンスすることができる。
【0025】
シールリング13を交換するとき、シールリング13を駆動軸8から取り外すことができ、その作業も容易である。
【0026】
なお、下流側送り羽根32、隔壁36およびブレード状の部材37を洗浄またはメンテナンスすることに問題はない。外リング42をダクト38から取り外し、保持リング39を下流側通路31から抜き出すと、スリーブ41が回転軸33から分離され、隔壁36およびブレード状の部材37を装置から取り外すことができる。したがって、的確に隔壁36およびブレード状の部材37を洗浄またはメンテナンスすることができる。回転軸3を引っ張ると、図7に示すように、回転軸3が駆動軸34から分離され、下流側通路31から引き出され、下流側送り羽根32および回転軸33を装置から取り外すこともできる。したがって、的確に下流側送り羽根32および回転軸33を洗浄またはメンテナンスすることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ホッパ
2 上流側送り羽根
3 回転軸
4 底壁
5 上流側通路
6 端壁
7 開孔
8 駆動軸
11 突起
12 くぼみ
13 シールリング
22 開閉ふた
29 突起
30 くぼみ
31 下流側通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半円筒状の底壁を有し、前記底壁によって上流側通路が形成されており、原料肉が投入されるホッパと、
前記上流側通路内に収容され、前記底壁に同心に配置された回転軸と、
前記回転軸に形成され、前記底壁に沿って回転するらせん状の上流側送り羽根と、
前記上流側通路の一端に形成された端壁と、
前記回転軸に対応する位置において、前記端壁に形成された開孔と、
前記回転軸に対応する位置において、前記端壁の外側に配置された駆動軸と、
前記開孔付近において、前記駆動軸と回転軸を分離可能に連結する連結手段と、
前記開孔のまわりにおいて、前記駆動軸と端壁間をシールするシール手段と、
前記上流側通路の他端に設けられ、前記上流側通路を閉じる開閉ふたと、
前記上流側送り羽根の下流位置において、前記上流側通路に連通する下流側通路と、
前記下流側通路内に収容され、前記下流側通路内で回転するらせん状の下流側送り羽根と、
多数の透孔を有し、前記下流側送り羽根の下流位置において、前記下流側通路の長さ方向に間隔を置いて配置された複数の隔壁と、
前記各隔壁間に配置され、前記各壁間で回転するブレード状の部材とからなり、
前記上流側および下流側送り羽根によって前記原料肉を送り、前記隔壁の透孔およびブレード状の部材によって前記原料肉をひき肉加工し、前記上流側送り羽根および回転軸を洗浄またはメンテナンスするとき、前記開閉ふたによって前記上流側通路を開き、前記上流側送り羽根および回転軸を前記駆動軸から分離させ、前記上流側通路から引き出すようにしたことを特徴とするひき肉加工装置。
【請求項2】
前記連結手段は突起とくぼみからなり、前記突起およびくぼみは矩形状断面のもので、前記突起が前記回転軸の一端に形成され、前記くぼみが前記駆動軸の対向端に形成されており、前記突起が前記くぼみにはめ込まれ、前記くぼみから引き出されるようにした請求項1に記載の装置。
【請求項3】
支持手段が前記開閉ふたに設けられ、前記支持手段によって前記回転軸が支持され、前記開閉ふたによって前記上流側通路が開かれるとき、前記支持手段が前記回転軸から分離されるようにした請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記シール手段は1カ所割りまたは2つ割りシールリングからなる請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−135264(P2012−135264A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290193(P2010−290193)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(391014011)株式会社ヒガシモトキカイ (18)
【Fターム(参考)】