まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料
【課題】目に対する刺激感を軽減し、まゆ毛やまつ毛の生え際の肌のかさつきを抑制でき、肌の柔軟性を保持でき、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を提供する。
【解決手段】まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、以下の式(1)で表されるフラバノノール誘導体(式中、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。)0.01〜1質量%と、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油5〜65質量%とを含有する。このフラバノノール誘導体は、揮発性油に溶解している。
【解決手段】まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、以下の式(1)で表されるフラバノノール誘導体(式中、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。)0.01〜1質量%と、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油5〜65質量%とを含有する。このフラバノノール誘導体は、揮発性油に溶解している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
まゆ毛やまつ毛はメイクアップ化粧の対象となるものであるが、よりナチュラルなメイクアップ化粧を実現するために、個々のまゆ毛やまつ毛を太く成長させると共に、生え替わりや抜け毛を抑制することにより長く成長させ、生えている毛数を増やすことが求められている。
【0003】
このような求めに応えるために、毛母細胞賦活作用、抹消血管循環改善作用及び発毛促進作用を有する感光素301号、細胞賦活作用及び毛母細胞賦活作用を有するパントテニルエチルエーテル、並びに保湿・収斂作用を有するニンジンエキス等の有効成分をエタノールに溶解させた溶液を、水溶性高分子で増粘させた水性高粘性基材に均一に混合させたまつ毛用化粧料が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、毛母細胞から成長する点で、まゆ毛又はまつ毛と共通している頭髪に対して養毛・育毛効果を示すフラバノノール誘導体を含有している養毛・育毛料(特許文献2)を、まゆ毛又はまつ毛用養毛・育毛料として適用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−128641号公報
【特許文献2】特開平8−157334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のまつ毛化粧料の場合、追試の結果からは十分なまつ毛の養毛・育毛効果が得られないという問題があった。また、感光素301号やパントテニルエチルエーテルやニンジンエキス等の有効成分の溶解剤として用いられているエタノールは、これらの有効成分を溶解する溶解力は高い反面、目(具体的には、眼球や薄い表皮の上下瞼、更にその裏側の粘膜)に対して刺激性を有するので、まつ毛化粧量中のその含有量が特許文献1の実施例レベルであっても、不快な刺激を感じる使用者が少なからず存在するという問題があった。また、水分量が90%近くと非常に多いため、非水溶性の有効成分を溶解させて含有させることが困難であるという問題もあった。
【0007】
また、特許文献2の養毛・育毛料の場合、それを敏感な目元に使用することから、べたつき感がないこと、また、眼球や眼球周囲の粘膜に付着する可能性が低いこと、アイブロウ、アイライン、アイシャドウなどのメイクアップ化粧を施す際の障害とならないこと等が求められることを考慮すると、ヘアクリーム、ヘアリンス、ヘアシャンプーのような揮発し難い剤型ではなく、揮発性の溶剤にフラバノノール誘導体を溶解した剤型で適用することが求められるが、特許文献2では、そのような揮発性の溶剤として、頭皮に好ましい刺激を付与し、速乾性を示すという観点から、エタノールを多量に使用しており、その結果、眼球や上下瞼、それらの粘膜に対する刺激の問題が発生することが懸念される。
【0008】
また、マスカラを連用している女性の多くは、まゆ毛やまつ毛の生え際を含む目元が乾燥して肌荒れを起こし易くなっているため、エタノールを多量に含む特許文献2に記載されたような特定の育毛成分を含有している養毛・育毛料の目元への連用は肌のごわつき等の肌荒れを招くため、肌への負担を軽減したまゆ毛やまつ毛用の化粧料が要求されていた。
【0009】
本発明者らは、まゆ毛やまつ毛に対して養毛・育毛効果が期待できる頭髪用の養毛・育毛料を実際にまゆ毛やまつ毛に適用した場合に、目に対する刺激感、まゆ毛やまつ毛の生え際の肌がかさつき、肌の柔軟性が失われ、肌がごわつくという課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、頭髪に対する養毛・育毛効果が確認されている特定のフラバノノール誘導体を、エタノールに代わる特定の揮発性油に溶解して調製した乳化物(即ち、乳化化粧料)が、毛母細胞に直接作用して、まゆ毛又はまつ毛を太く、抜け難く、しかも生え替わり周期を長くすることでまゆ毛又はまつ毛を長くするという良好な養毛・育毛効果を示すことに加え、目に対する刺激感を軽減し、まゆ毛やまつ毛の生え際の肌のかさつきを抑制でき、肌の柔軟性を保持できることを見出した。
【0011】
即ち、本発明は、以下の式(1)で表されるフラバノノール誘導体0.01〜1質量%と、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油5〜65質量%とを含有する、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を提供するものである。
【0012】
【化1】
【0013】
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。
【0014】
また、本発明は、上述のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料と、該まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を収容している容器と、該容器を密閉可能な蓋体と、該容器内に差し込まれるように該蓋体に取り付けられた支持軸及びその先端に取り付けられた塗布部を有する液体塗布具とを有する、まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛のための容器入りまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を提供する。
【0015】
更に、本発明は、乳化化粧料の具体的な態様として、前出の式(1)で表されるフラバノノール誘導体0.01〜1質量%と、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油5〜65質量%と、水とを含有する乳化系のまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤であって、該フラバノノール誘導体が油相中の該揮発性油に溶解しているまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤を提供する。
【0016】
加えて、本発明は、上述のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の使用方法であって、
まゆ毛やまつ毛の養毛・育毛を促進させるために、まゆ毛又はまつ毛の根元の皮膚に対し、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を1日1回適用する使用方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、まゆ毛又はまつ毛に対する養毛・育毛効果に優れながら、目に対する不快な刺激の発生が抑制され、まゆ毛やまつ毛の生え際の肌のかさつきも抑制され、肌の柔軟性を損なわないものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の液体塗布具を備えた液体塗布装置の一実施形態を示す一部破断正面図である。
【図2】図2(a)は、液体塗布具における塗布部をその第1の面側からみた斜視図であり、図2(b)は、塗布部をその第2の面側からみた斜視図である。
【図3】図3(a)は、液体塗布具における塗布部の正面図であり、図3(b)は、塗布部の側面図であり、図3(c)は、図3(b)におけるc−c線断面図であり、図3(d)は、図3(b)におけるd−d線断面図であり、図3(e)は、図3(b)におけるe−e線断面図である。
【図4】図4は、液体塗布具における塗布部の正面図(図3(a)相当図)である。
【図5】図5は、液体塗布具における塗布部の側面図(図3(b)相当図)である。
【図6】図6(a)及び(b)は、液体塗布装置における塗布具を、容器内から引き抜くときの様子を順次示す説明図である。
【図7】図7は、本発明の液体塗布具を備えた液体塗布装置の使用状態の一例を示す説明図である。
【図8】図8は、液体塗布具における塗布部の最狭幅部をピボット回転軸として該塗布部がピボット回転する状態を示す説明図である。
【図9】図9は、マスカラに一般的に用いられる金属ねじ状塗布具のねじ状先端の部分側面図である。
【図10A】図10Aは、実施例1の乳化化粧料を使用した育毛効果試験が施されなかった右目のまつ毛の写真である。
【図10B】図10Bは、実施例1の乳化化粧料を使用した育毛効果試験が施された左目のまつ毛の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、以下の式(1)のフラバノノール誘導体を含有し、更に、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油を含有する。ここで、該フラバノノール誘導体は、該揮発性油に溶解しており、その溶解液が乳化系の油相を構成しているものである。
【0020】
【化2】
【0021】
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。
【0022】
このような式(1)のフラバノノール誘導体としては、合成の容易さの点から特許第3131105号公報の合成例1に記載されているトランス−3,4′−ジメチルフラバノノールや、同特許公報の合成例18に記載されているトランス−3,7−ジメチルフラバノノール等を好ましく挙げることができる。
【0023】
式(1)のフラバノノール誘導体は、単一化合物でもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。
【0024】
式(1)のフラバノノール誘導体の乳化化粧料中の含有量は、まゆ毛又はまつ毛に対する良好な育毛・養毛効果及びまつ毛に対する良好なハリ・コシ付与効果を付与する点から、0.01質量%以上であり、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上であり、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される一種以上の揮発性油に対して良好な溶解性を確保するために、1質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.12質量%以下である。より具体的には、式(1)のフラバノノール誘導体の乳化化粧料中の含有量は、フラバノノール誘導体の良好な溶解性と、乳化化粧料のまゆ毛又はまつ毛に対する良好な育毛・養毛効果並びにまつ毛に対する良好なハリ・コシ付与効果とを同時に実現するために0.01〜1質量%であり、好ましくは0.03〜0.5質量%、より好ましくは0.05〜0.2質量%、更に好ましくは0.08〜0.12質量%である。
【0025】
本発明の乳化化粧料は、式(1)のフラバノノール誘導体を溶解し、乳化系の油相を構成するために揮発性油を含有する。揮発性油を使用する理由は、揮発性油に代えて不揮発性油を含有するまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を、まゆ毛又はまつ毛の毛根に適用した場合に、べたつき感が生じ、眼球や眼球周囲の粘膜に付着する可能性が高まり、メイクアップ化粧を施す際の障害となる可能性が高まるからである。ここで、揮発性油は、好ましくは35〜87℃の引火点を有するものである。このような揮発性油としては、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油を例示することができ、式(1)のフラバノノール誘導体をより溶解するという点から、揮発性炭化水素油を好ましく使用できる。
【0026】
揮発性炭化水素油としては、化粧料に汎用的に使用されている揮発性炭化水素油を使用することができる。例えば、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカンなどのパラフィン炭化水素油、イソデカン、イソドデカン等のイソパラフィン炭化水素油、シクロデカン、シクロドデカンなどの環状パラフィン炭化水素油を挙げることができる。中でも、炭素数8〜18のイソパラフィン系炭化水素油が好ましく、特にイソドデカンが好ましい。
【0027】
揮発性シリコーン油としては、化粧料に一般に使用されている揮発性シリコーン油を使用することができる。具体的には、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等の鎖状ジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状ジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0028】
揮発性油の市販例としては、マルカゾールR(丸善石油化学株式会社)、IPソルベント1620、同2028等(以上、出光興産株式会社)、KF−995、KF−994、KF−96L−1.5CS、KF−96A−1CS等(以上、信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
【0029】
揮発性油の乳化化粧料中の含有量は、式(1)のフラバノノール誘導体を溶解するために5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、乳化化粧料をまゆ毛又はまつ毛の毛根に適用した際の刺激性を低減するために65質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。より具体的には、揮発性油の乳化化粧料中の含有量は、フラバノノール誘導体の良好な溶解性及び乳化化粧料の刺激性低減を同時に実現するために、5〜65質量%であり、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは15〜55質量%、更に好ましくは20〜45質量%である。
【0030】
なお、フラバノノール誘導体に対する揮発性油の質量割合、(揮発性油の質量部)/(フラバノノール誘導体の質量部)の質量割合は、少なすぎても多すぎてもまゆ毛やまつ毛の生え際の肌のかさつきを抑制し、柔軟性を保持する点から、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは200以上であり、また、700以下、好ましくは600以下、より好ましくは450以下である。より具体的には、(揮発性油の質量部)/(フラバノノール誘導体の質量部)の質量割合は、好ましくは50〜700、より好ましくは100〜600、更に好ましくは200〜450である。
【0031】
式(1)のフラバノノール誘導体を含む油相には、化粧料の粘度の調整等のために、油溶性又は油分散性の増粘剤やゲル化剤を含有させることができる。油溶性のゲル化剤としては、パルミチン酸デキストリン等を挙げることができる。また、油分散性のゲル化剤としては、ワックス、コロイダルシリカ、有機変性粘土鉱物等を挙げることができる。このうち、乳化化粧料のべたつきの低減や、製造上での取り扱いやすさ、特に揮発性油を用いる場合の加熱工程が不要となる点から有機変性粘土鉱物を好ましく使用することができる。このような有機変性粘土鉱物としては、例えば、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト等の層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理して、層状粘土鉱物の層間のナトリウムイオンを、第四級アンモニウムイオンで置換させたものを好ましく挙げることができる。具体例としては、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アンモニウムマグネシウム等が挙げられる。市販品としては、ベントン38、ベントン27、ベントン38VCG(以上、エレメンティスジャパン株式会社)等が挙げられる。また、有機変性粘土鉱物として、これらの有機変性粘土鉱物を予め溶媒に分散させたプレミックスゲルを、作業性向上の点から好ましく使用することができる。市販品としては、ベントンゲルISDV(エレメンティスジャパン株式会社)等が挙げられる。
【0032】
このような有機変性粘土鉱物の乳化化粧料中の含有量は、乳化化粧料の過度のたれ落ちを防止するために好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上である。また、良好な塗布性を維持する点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下である。より具体的には、有機変性粘土鉱物の乳化化粧料中の含有量は、乳化化粧料に良好な耐たれ落ち性と良好な塗布性とを同時に付与する点から、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜7質量%、更に好ましくは0.3〜5質量%、より更に好ましくは0.5〜4質量%である。
【0033】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料の乳化系としては、W/O型、O/W型、O/W/O型、W/O/W型から選択することができる。選択の指標として、皮膚への刺激を抑制するという観点からは、連続相が水相である乳化系が好ましく、他方、フラバノノール誘導体を毛根部により浸透させるという観点からは、フラバノノール誘導体が溶解している油相が連続相である系が好ましい。この両方の観点を同時にバランスよく満足させる点から、含水率の比較的高いW/O型の乳化系が好ましい。水相の含有量は、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。より具体的には、水相の含有量は、好ましくは35〜95質量%、より好ましくは40〜85質量%、更に好ましくは45〜75質量%である。
【0034】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料の水相中の水の割合は、いずれの剤型であっても、60質量%以上であれば、安定した乳化系を形成することができる。
【0035】
さらに、本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料には、その乳化状態を安定化するために乳化剤を含有することができる。乳化剤としては、目的とする乳化系に応じて、適宜選択して使用することができる。
【0036】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料において、その製造時に油相に含有することができる乳化剤として、安定したW/O型乳化系を形成し且つ乳化物のべたつき感を低減するという観点から、シリコーン系乳化剤が好ましく、HLB値が3〜10のシリコーン系乳化剤がより好ましく、HLB値が4〜8のシリコーン系乳化剤が更に好ましい。シリコーン系乳化剤の中でも、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン等が好ましい。市販品として、PEG−12ジメチコンとしてSH3775M(東レ・ダウコーニング株式会社)、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンとしてKF−6028、PEG−3ジメチコンとしてKF−6015(以上、信越化学工業株式会社)等を挙げることができ、より具体的には、PEG−12ジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−3ジメチコンが好ましい。
【0037】
このようなシリコーン系乳化剤のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料中の含有量は、安定的な乳化系を形成する点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、特にべたつき感も低減できる点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。より具体的には、乳化安定性とべたつきのなさとを同時に実現する点から、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜4質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。
【0038】
また、本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料において、その製造時に水相に含有することができる乳化剤として、安定したO/W型乳化系を形成し且つ乳化物のべたつき感を低減するという観点から、ノニオン系界面活性剤が好ましく、HLB値が3〜17のノニオン系界面活性剤がより好ましく、HLB値が3〜7のノニオン系界面活性剤とHLB値が13〜17程度のノニオン系界面活性剤とを併用することが更に好ましい。このようなノニオン系界面活性剤としては、ステアリン酸ソルビタンとしてレオドールSP−S10V、ポリソルベート60としてレオドールTW−S120V(以上、花王株式会社)等の脂肪酸エステル型非イオン系界面活性剤を挙げることができる。
【0039】
このようなノニオン系界面活性剤のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料中の含有量は、乳化状態を安定化する点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上であり、特にべたつき感も低減できる点から好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。より具体的には、乳化安定性と塗布後のべたつき抑制とを同時に実現するために、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜4質量%、更に好ましくは0.6〜3質量%である。
【0040】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、上記以外の界面活性剤、皮膜剤、脂肪酸、高級アルコールや多価アルコール等のアルコール類、不揮発性エステル油、流動イソパラフィン等の不揮発性炭化水素油、不揮発性シリコーン油、フッ素油、保湿剤、pH調整剤、中和剤、無機塩、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、香料、酸化防止剤、フェノキシエタノール等の防腐剤、金属イオン封鎖剤、消泡剤、染料、顔料、各種エキス等の添加剤を含有させることができる。
【0041】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料の25℃の粘度は、乳化化粧料をまゆ毛又はまつ毛の毛根付近の皮膚に適用した際に、乳化化粧料が肌から垂れ落ちてしまうことを防止し、生え際の肌のかさつきを抑制する点から、好ましくは1Pa・s以上、より好ましくは5Pa・s以上、更に好ましくは10Pa・s以上であり、むら付きやべた付きを防止する点から、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下、更に好ましくは200Pa・s以下である。より具体的には、まゆ毛又はまつげ用乳化化粧料の25℃の粘度は、塗布時のたれ落ち抑制と生え際の肌のかさつきを抑制する点、むら付きやべたつきを同時に抑制する点から、1〜400Pa・sが好ましく、5〜300Pa・sがより好ましく、10〜200Pa・sが更に好ましい。
【0042】
なお、粘度の測定は、B型粘度計(東機産業株式会社:TVB−10M)で、25℃の条件下、粘度が80Pa・s以下の場合、ローターM3を回転数1.5r/minの条件で測定し、また、粘度が80Pa・sを超える場合、ローターM3を回転数0.3r/minの条件で測定したものである。
【0043】
以上説明した本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料は、効果の面に着目し、「前出の式(1)で表されるフラバノノール誘導体を0.01〜1質量%と、該フラバノノール誘導体を溶解するための揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油を5〜65質量%と、水とを含有し、該フラバノノール誘導体が該揮発性油に溶解した乳化系のまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤」という態様を好ましく取ることができる。
【0044】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料は、乳化化粧料の公知の製造方法に従って製造することができる。例えば、揮発性油に式(1)のフラバノノール誘導体を溶解させ、必要により有機変性粘土鉱物を混合して調製した油相と、別途調整した水相とを乳化混合することにより調製することができる。本発明の具体的な態様の一つである「乳化系のまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤」も同様に製造することができる。
【0045】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料は、まゆ毛又はまつ毛に対する養毛・育毛効果及びまつ毛に対するハリ・コシ付与効果を達成するために、まゆ毛又はまつ毛の根元の皮膚に対し、通常、1日1回適用するのが好ましい。1回の片目の適用量は、好ましくは0.002g以上、より好ましくは0.003g以上、更に好ましくは0.005g以上であり、また、好ましくは0.04g以下、より好ましくは0.03g以下、更に好ましくは0.025g以下である。より具体的には、1回の片目の適用量は、好ましくは0.002〜0.04g、より好ましくは0.003〜0.03g、更に好ましくは0.005〜0.025gの量である。通常、1ヶ月間適用をつづけると、個人差があるものの、効果が実感できるようになる。
【0046】
以上説明した本発明の乳化化粧料は、容器に充填して、まゆ毛又はまつ毛に適用するために“容器入り乳化化粧料”の形態で使用することが好ましい。“容器入り乳化化粧料”は、本発明の乳化化粧料と、該乳化化粧料を収容している容器と、該容器を密閉可能な蓋体と、該容器内に差し込むことができるように該蓋体に取り付けられた支持軸及びその先端に取り付けられた塗布部を有する液体塗布具とを有するものである。
【0047】
なお、液体塗布具は、乳化化粧料を適量塗布できれば特に制限はないが、細かな部分に塗布する点及び塗布部に刺激を与えない点で、ブラシ又は樹脂成型塗布具又は金属成型塗布具又はそれらに植毛した塗布具等が好ましく、更に均一に剤を塗布する点で、それらを手動又は電動にて振動又は回転させる塗布具も好ましい。更に、これらの塗布具を用いた塗布行為により、まゆ毛やまつ毛の根元付近を塗布部によりマッサージすることになるので、有効成分の浸透を促進できる。以下に、このような液体塗布具の好ましい具体的な構成を説明する。
【0048】
本発明に好ましく適用できる液体塗布具は、支持軸と、該支持軸の先端に連結し、かつ該支持軸の延びる方向に向けて細長い形状をした塗布部とを有する液体塗布具である。この塗布部は、液体の塗布操作時に該塗布部に加わる外力によって弾性変形可能になっており、その延びる方向に沿う軸線が、支持軸の軸線と交差するように傾斜している。また、塗布部は、略平面又はやや凸面になっている第1の面と、第1の面の反対側に位置する第2の面とを有し、塗布部を第1の面側からみたとき、該塗布部は最狭幅部を有し、該最狭幅部から先端に向けて漸次広幅になり、かつ更に先端に向かうに連れて漸次狭幅になっている。更に、支持軸の軸線と、塗布部の軸線とを通る平面に対して直交する方向から該塗布部をみたとき、該塗布部は最小厚み部を有し、かつ該最小厚み部と該塗布部の先端との間において第2の面が突出して形成された最大厚み部を有し、更に該塗布部は、該最大厚み部から該塗布部の先端に向かうに連れて厚みが漸減しているものである。
【0049】
図1は、この液体塗布具を備えた、まゆ毛又はまつ毛用の“容器入り乳化化粧料”1の一実施形態の一部破断正面図である。この“容器入り乳化化粧料”1は、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4を塗布するための液体塗布具2と、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4を収容するための容器3とを備えている。以下、液体塗布具2及び容器3についてそれぞれ説明する。
【0050】
内部にまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4を収容できる容器3は、有底の細長い筒状形状を有し、上方に向けて開口している口部33を有する。口部33の外周面にはネジ部32が設けられており、このネジ部32は、後述する液体塗布具2の蓋体23の内周面に設けられたネジ部(図示せず)と螺合可能になっている。
【0051】
また、口部33の近傍には、液体塗布具2の塗布部21や支持軸22に付着した過剰量のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4を適度にしごき取るためにしごき弁31が設けられている。このしごき弁31は、容器3の口部33から底部に向けて縮径した漏斗状の形状をしており、その下端の位置にしごき孔31Aを有しており、このしごき孔31Aに対しては、後述する液体塗布具2における塗布部21及び支持軸22が通過できるようになっている。しごき孔31Aは、容器3の長手方向に直交する断面において、しごき弁31の略中央部に、通常、円形に形成されているが、これに限られない。また、しごき孔31Aの孔径は、液体塗布具2の先端に位置する塗布部21を容器3内に挿入し、また容器3内から抜き出すことが可能となるような大きさを有している。
【0052】
このようなしごき弁31はゴム等の弾性変形可能な材料から構成されている。なお、図1においては、しごき弁31は、口部33から若干離れた下方寄りに位置しているが、これに代えて、口部33の位置にしごき弁31を配置してもよい。容器本体3の口部33の近傍部分には、口部33から若干離れた箇所から口部33までの部分が含まれる。
【0053】
容器3と組み合わせて用いられる液体塗布具2は、前述したように、塗布部21と支持軸22とを有している。塗布部21と支持軸22とは同一材料から一体的に構成されていてもよく、あるいは予め製造された2つの部材を所定の手段によって結合させて構成されていてもよい。いずれの場合であっても、塗布部21は、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4の塗布操作時に該塗布部21に加わる外力によって弾性変形可能になっている。この目的のために、塗布部21の材料として、例えば天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコーン樹脂及びポリウレタンなどの各種エラストマーを用いることができる。特に熱可塑性エラストマーを使用すると、射出成形によって塗布部21を製造することができるので好ましい。
【0054】
塗布部21と支持軸22を別々に製造して結合させる場合、両者を嵌合させて結合することが好ましい。結合の方法としては、ポンチ打ちなどで塗布部21又は支持軸22を塑性変形させて固定する方法が挙げられる。また、接着剤による接着など公知の技術を適宜採用してもよい。
【0055】
このような液体塗布具2は、前述したように支持軸22の一端で蓋体23に取り付けられている。このような蓋体23は、上述のとおり、その内周面にネジ部(図示せず)を有している。このネジ部は、上述した容器3のネジ部32と螺合可能になっている。蓋体23が容器3のネジ部32と螺合した状態においては、“容器入り乳化化粧料”1は略柱状の形状となる。この状態においては、塗布部21は容器3の底部よりも若干上方に位置している。
【0056】
図2(a)及び(b)には塗布部21の拡大図が示されている。なお、図1と図2では、塗布部21の上下関係が逆転している。図2(a)は、塗布部21をその第1の面21Aの側からみた斜視図であり、図2(b)は、塗布部21をその第2の面21Bの側からみた斜視図である。塗布部21は、支持軸22の延びる方向に向けて細長い形状をしている。詳細には、塗布部21は、支持軸22の延びる方向に長手方向Xを有し、長手方向Xと直交する方向に幅方向Yを有する縦長の形状である。
【0057】
塗布部21は、第1の面21Aと、これと反対側に位置する第2の面21Bとを有する。第1の面21Aは略平面又はやや凸面になっている。ここでいう凸面とは、塗布部21の長手方向Xに沿って凸面であること、及び/又は、塗布部21の幅方向Yに沿って凸面であることをいう。一方、第2の面21Bは凹凸を有する起伏した面になっている。
【0058】
また、塗布部21は、支持軸22に対して所定の角度をもって傾斜している。詳細には、図2(a)に示すように、塗布部21はその延びる方向に沿う軸線aが、支持軸22の延びる方向に沿う軸線bと交差するように傾斜している。そして、液体塗布具2が容器3内に挿入された状態においては、図1に示すように、塗布部21は、塗布部21の第1の面21Aが容器3の底部方向を向くように、支持軸22の軸線に対して傾斜している。塗布部21と支持軸22とがこのような傾斜関係で結合していることによって、液体塗布具2を用いたまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4の塗布を容易に行うことができる。
【0059】
塗布部21は、その表面に好ましくは植毛処理が施されている。植毛処理に用いられる繊維は、長さが0.1〜3mmで、太さが0.5〜5デシテックスのものが好ましい。長さ及び太さがこの範囲のなかで、異なる2種以上の繊維を組み合わせて用いることも可能である。繊維の材質は、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4の種類等に応じ、適切なものを選択することができる。塗布部21の表面に植毛処理を施すためには、静電植毛法等の公知の技術を適宜採用すればよい。
【0060】
図3(a)ないし(e)には、図2(a)及び(b)に示す塗布部21の正面図、側面図及び横断面図が示されている。先に述べたとおり塗布部21の表面には植毛処理が施されているが、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4の種類によっては植毛処理を施さなくてもよい場合がある。植毛処理の有無にかかわらず塗布部21は、植毛処理される前の状態での露出面の全域が曲面のみで形成されていることが好ましい。換言すれば、植毛処理される前の状態での塗布部21は、角部を全く有していない滑らかなものであることが好ましい。
【0061】
更に塗布部21は、植毛処理される前の状態での露出面が平滑になっていてもよい。換言すれば、植毛処理される前の状態での塗布部21は、皺状、シボ状、梨地状等を始めとする各種の微細な凹凸を、その露出面において有していなくてもよい。このような表面状態を採用することに代えて、露出面が皺状、シボ状、梨地状等を始めとする各種の微細な凹凸を有していてもよく、あるいは露出面が多孔性になっていてもよい。露出面の表面状態としてどのような状態を選択するかは、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4の種類に応じて決定すればよい。
【0062】
図2及び図3に示すように、塗布部21は、これを第1の面21A側からみたときに、最狭幅部21Cを有している。ここで言う幅とは、図3(a)中、Y方向の長さのことである。最狭幅部21Cは、塗布部21を長手方向に二分する位置よりも先端寄りに位置している。また最狭幅部21Cは、塗布部21の先端21Dから離れた位置にある。図示されている最狭幅部21Cは1箇所のみであるが、2箇所以上存在していてもよいし、或る程度の長さにわたって存在してもよい。塗布部21は、最狭幅部21Cから塗布部21の先端21Dに向けて漸次広幅になっている。そして広幅部21Eを経て、更に先端21Dに向かうに連れて漸次狭幅になっている。また塗布部21は、これを第1の面21A側からみたときに、最狭幅部21Cから塗布部21の後端に向かうに連れて漸次広幅になっている。そして塗布部21は、該塗布部21と支持軸22との連結部24において幅が略一致している。最狭幅部21Cから連結部24までの間には、塗布部21の幅が狭くなった部位は存在していない。なお、図2(a)に示す塗布部21には左右対称に描かれているが、塗布部21を必ずしも左右対称にする必要はない。
【0063】
図3(d)に示すように、最狭幅部21Cにおいては、該最狭幅部21Cの幅Wcは、該最狭幅部21Cの厚みTcよりも小さくなっている。このことと、塗布部21が弾性変形可能になっていることによって、塗布部21は、最狭幅部21Cにおいて、第1の面21Aと直交する方向よりも、第1の面内方向(図3(d)中、符号D1で示す方向)へ撓みやすくなっている。
【0064】
図4に示すように、塗布部21をその第1の面21A側からみたときに、該塗布部21が最狭幅部21Cから広幅部21Eに向けて漸次広幅になっていく程度は、直線c1と塗布部21の軸線aとのなす角α1の範囲が、5°<α1<60°、特に10°<α1<45°となる程度が好ましい。角α1をこの範囲に設定することで、液体塗布具2を容器3から引き抜くときに、塗布部21がしごき弁31に引っ掛かりにくくなるので、容器3から液体塗布具2を引き抜き易くなる。更に、最狭幅部21C付近が効果的にしごかれ、塗布部21に余分な液が残留しにくくなる。
【0065】
同様の理由から、図4に示すように、直線c2と塗布部21の軸線aとのなす角α2の範囲は好ましくは5°<α2<60°、より好ましくは10°<α2<45°である。角α1と角α2とは同じ値でもよく、あるいは異なっていてもよい。また、図4に示すように、直線c1と直線c2とのなす角α3は、60°<α3<150°となる程度が好ましい。角α3をこの範囲に設定することで、最狭幅部21C付近が効果的にしごかれる。また最狭幅部21Cに液が残留しづらくなる。更に、塗布部21が最狭幅部21Cをピボット回転軸として、同図中左右に撓みやすくなる。
【0066】
また、図4の直線c1は、塗布部21の第1の面21Aに平行な平面に、該塗布部21を投影したときの輪郭線において、最狭幅部21Cと広幅部21Eとの間の輪郭線R1における中間位置での接線である。直線c2は、前記の輪郭線において、最狭幅部21Cと、該最狭幅部21Cから連結部24寄りの位置にある最も幅の広い部位との間の輪郭線R2における中間位置での接線である。輪郭線R1やR2が滑らかでない(凸凹や不連続な線)など、接線を引く位置によって接線の傾きが大きく変化する場合は、輪郭線R1やR2の全道のりの中間付近5割程度の曲線プロファイルを用い、最小二乗法などで直線に近似した直線を直線c1及びc2とすればよい。具体的には、全道のりを100とすると、およそ25から75の区間の曲線の関数や点群座標データなどを用いて、最小二乗法などで近似直線を求める。輪郭線R1及びR2が、全道のりの中央付近で変曲点を持つ場合は、その変曲点を通る接線を直線c1及びc2としてもよい。なお図4においては直線c1と直線c2とは軸線a上で交差しているが、直線c1と直線c2との交差位置はこれに限られない。
【0067】
図2及び図3に戻ると、これらの図に示すように、塗布部21は、支持軸22の軸線bと、塗布部21の軸線aとを通る平面、具体的には図3(b)における紙面と平行な面に対して直交する方向(つまり図3(b)における紙面と垂直な方向)から該塗布部21をみたときに、該塗布部21は最小厚み部21Fを有している。ここで言う厚みとは、支持軸22の軸線bと、塗布部21の軸線aとを通る平面に対して直交する方向から該塗布部21をみたとき、塗布部21の軸線aと直交する直線が、該塗布部21を横切る長さのことである。
【0068】
塗布部21は、最小厚み部21Fと塗布部21の先端21Dとの間において第2の面21Bが突出して、略錐形の突出部を形成している。そして、この略錐形の突出部の頂点の位置に、塗布部21の最大厚み部21Gが存在している。図示されている最大厚み部21Gは1箇所のみであるが、2箇所以上存在していてもよいし、或る程度の長さにわたって存在してもよい。塗布部21は、最大厚み部21Gの位置から先端21Dに向かうに連れて、その厚みが漸減している。一方、最小厚み部21Fの位置から最大厚み部21Gの位置に向かうに連れて、塗布部21はその厚みが漸増している。更に、最小厚み部21Fの位置から塗布部21の後端に向かうに連れて、該塗布部21の厚みは漸増している。そして塗布部21は、該塗布部21と支持軸22との連結部24においてその輪郭が、支持軸22の輪郭と略一致している。
【0069】
図3(e)に示すように、最小厚み部21Fにおいては、該最小厚み部21Fの幅Wfは、該最小厚み部21Fの厚みTfよりも大きくなっている。このことと、塗布部21が弾性変形可能になっていることによって、塗布部21は、最小厚み部21Fにおいて、第1の面内方向よりも、第1の面21Aと直交する方向(図3(e)中、符号D2で示す方向)へ撓みやすくなっている。
【0070】
図2及び図3に示すように、塗布部21においては、最狭幅部21Cが最小厚み部21Fよりも該塗布部21の先端21D寄りに位置している。しかし、最狭幅部21Cと最小厚み部21Fとの位置関係はこれに限られず、最狭幅部21Cが最小厚み部21Fよりも該塗布部21の後端寄りに位置していてもよく、あるいは最狭幅部21Cと最小厚み部21Fとが略同位置でもよい。
【0071】
一方、最狭幅部21Cと最大厚み部21Gとの位置関係については、図2及び図3に示す実施形態では、最狭幅部21Cと最大厚み部21Gとが略同位置にある。しかし両者の位置関係はこれに限られず、最狭幅部21Cが最大厚み部21Gよりも該塗布部21の先端21D寄りに位置していてもよく、逆に最狭幅部21Cが最大厚み部21Gよりも該塗布部21の後端寄りに位置していてもよい。
【0072】
図3(a)に示すように、塗布部21は、これを第1の面21A側からみたとき、該塗布部21の先端21Dが先細でかつ丸みを帯びている。更に、図3(b)に示すように、塗布部21を、支持軸22の軸線bと、塗布部21の軸線aとを通る平面に対して直交する方向からみたとき、該塗布部21の先端21Dは、先細でかつ丸みを帯びている。このように塗布部21の先端21Dは、いずれの方向からみても丸みを帯びている。換言すれば、先端21Dは先細の形状になっているものの、いずれの方向からみても尖鋭になっていない。
【0073】
図5に示すように、支持軸22の軸線bと塗布部21の軸線aとを通る平面に対して直交する方向から該塗布部21をみたときに、該塗布部21が最小厚み部21Fから最大厚み部21Gに向けて漸次広幅になっていく程度は、直線d1と塗布部21の軸線aとのなす角β1の範囲が、5°<β1<60°、特に10°<β1<45°となる程度であることが好ましい。β1をこの範囲とすることで、液体塗布具2を容器3から引き抜くときに、塗布部21がしごき弁31に引っ掛かりにくくなるので、容器3から液体塗布具2を引き抜き易くなる。更に、最小厚み部21F付近が効果的にしごかれ、塗布部21に余分な液が残留しにくくなる。
【0074】
同様の理由から、図5に示すように、直線d2と支持軸22の軸線bとのなす角β2の範囲は好ましくは0°<β2<60°、更に好ましくは5°<β2<45°であり、直線d1と直線d2とのなす角β3は、60°<β3<150°であることが好ましい。角β1と角β2とは同じ値でもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0075】
図5の直線d1は、支持軸22の軸線bと塗布部21の軸線aとを通る平面に対して直交する方向から該塗布部21をみたときに、該平面と平行な平面に、該塗布部21を投影したときの輪郭線において、最小厚み部21Fと最大厚み部21Gとの間の輪郭線R3における中間位置での接線である。直線d2は、前記の輪郭線において、最小厚み部21Fと、該最小厚み部21Fから連結部24寄りの位置にある最も厚みの大きい部位との間の輪郭線R4における中間位置での接線である。輪郭線R3やR4が滑らかでない(凸凹や不連続な線)など、接線を引く位置によって接線の傾きが大きく変化する場合は、輪郭線R3やR4の全道のりの中間付近5割程度の曲線プロファイルを用い、最小二乗法などで直線に近似した直線を直線d1及びd2とすればよい。具体的には、全道のりを100とすると、およそ25から75の区間の曲線の関数や点群座標データなどを用いて、最小二乗法などで近似直線を求める。輪郭線R3及びR4が、全道のりの中央付近で変曲点を持つ場合は、その変曲点を通る接線を直線d1及びd2としてもよい。
【0076】
図6(a)及び(b)には、以上の構造を有する“容器入り乳化化粧料”1における液体塗布具2を、容器3内から引き抜くときの様子が示されている。使用前の状態においては、図1に示すように、液体塗布具2の塗布部21は、容器3の底部よりも若干上方に位置している。この状態から液体塗布具2を引き上げると、塗布部21が傾斜していることに起因して、図6(a)に示すように、塗布部21における第2の面21B側がしごき弁31の下端と接触し、第2の面21Bの側に存在する過剰の乳化化粧料がしごき弁31によってしごき落とされる。更に引き抜きを進行させると、図6(b)に示すように、塗布部21におけるこぶ状に突出した最大厚み部21Gが、しごき弁31の下端に接近するので、引き抜きが行いづらくなる。
【0077】
ところで、先に述べたとおり、最小厚み部21Fは、塗布部21における第1の面内方向よりも、第1の面21Aと直交する方向(図6(b)中、符号D2で示す方向)へ撓みやすくなっている。したがって、図6(b)に示す状態から更に引き抜きを行おうとすると、最小厚み部21Fの位置がピボット回転軸になり、塗布部21が矢印で示す方向に撓み(すなわちピボット回転し)、塗布部21としごき弁31との当接が緩和される。その結果、過度の力を要することなく塗布部21を引き抜くことができる。これとともに、塗布部21におけるこぶ状に突出した最大厚み部21G及びその近傍の部位がしごき弁31によって効果的にしごかれるので、該塗布部21に付着している過剰の乳化化粧料を首尾よくしごき落とすことができる。その結果、乳化化粧料の塗布操作中に、塗布部21から乳化化粧料がぼた落ちすることが効果的に防止される。
【0078】
図7には、以上の構造を有する本実施形態の“容器入り乳化化粧料”1の使用状態の一例が示されている。まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛のための乳化化粧料をまつ毛の根本に塗布するには、まず先に述べた図6(a)及び(b)に示す操作を行い塗布部21に付着している過剰の乳化化粧料を除去し、塗布操作中における該乳化化粧料のぼた落ちが生じないようにする。次に図7に示すように、塗布部21の先端をまつ毛の根本に当接させて、美容液をまつ毛の根本に付与する。先に述べたとおり、液体塗布具2の塗布部21の先端21Dは先細の形状の形状になっているので、塗布対象部位が細かくても乳化化粧料を首尾よく塗ることができる。しかも、塗布部21の先端21Dは尖鋭ではなく丸みを帯びているので、該先端21Dを目に近づけたときに使用者に安心感を与える。
【0079】
先に述べたとおり、塗布部21は、その延びる方向に沿う軸線aが、支持軸22の軸線bと交差するように傾斜している。このような傾斜状態になっている塗布部21を、その第1の面21Aが上方を向き、かつ第2の面21Bが下方を向くようにして乳化化粧料の塗布を行うと、塗布操作中における使用者の視界が確保されるという利点がある。また、まつ毛に妨げられることなく瞼の縁に塗布を行うことができるという利点もある。塗布部21が上述した傾斜状態になっていると、使用者は図7のように液体塗布具2をまつ毛に当てることができるので、その結果、塗布部21を動かす方向(瞼の縁に沿った方向)と、塗布部21の撓み方向(左右方向)とを自然に一致させることができる。これらの観点から、塗布部21の延びる方向に沿う軸線aと支持軸22の軸線bとのなす角θ(図5参照)を、80度以下、特に5〜45度に設定することが好ましい。
【0080】
図7に示す塗布操作を行う場合には、塗布部21を瞼の縁に沿って左右に移動させる。ところで、先に述べたとおり、塗布部21は、最狭幅部21Cにおいて、第1の面21Aと直交する方向よりも、第1の面内方向へ撓みやすくなっている。したがって、塗布部21を、その第1の面21Aが上方を向き、かつ第2の面21Bが下方を向く状態下に、該塗布部21を瞼の縁に沿って左右に移動させると、図8に示すように、最狭幅部21Cの位置がピボット回転軸になり、塗布部21が符号D1で示す方向に撓む(すなわちピボット回転する)。この撓みによって、瞼の縁という狭い部位であっても乳化化粧料の塗布が一層行いやすくなる。また、この撓みによって、塗布部21が対象部位へ接触する時の力が緩和されるので、塗布部21が瞼の縁のような敏感な部位に接触する時も、瞼に与える物理的な刺激が少なく、使用者は安心して簡単に乳化化粧料を塗布することができる。これらの観点から、塗布部21は、該塗布部21を瞼の縁に押し当てて、例えば90度程度の角度撓ませた時でも、使用者が痛みを感じない程度の軟らかさで撓むことが良い。また、塗布部21は、該塗布部21を瞼から離した後、初期の形状に戻る程度の復元性を持つことが、次に塗布操作を行うときの塗布位置の狙いを定め易いので好ましい。更に、初期の形状に復元するまでの時間(復元の速度)は、あまり長過ぎない(遅すぎない)方が、塗布部21が瞼に触れている時の感触の認知し易さ、及び押し当て力の調整のし易さなどの点から、使用者が液体塗布具2を使う上で都合が良い。撓みの軟らかさと復元性は、最狭幅部21Cの幅や厚み、塗布部21を構成する素材の種類やゴム硬度などを適宜選んで決定すれば良い。
【0081】
最狭幅部21Cをピボット回転軸とする撓みを一層効果的に生じさせるために、塗布部21を最狭幅部21Cにおいて第1の面内方向への撓ませる力の方が、塗布部21を最小厚み部21Fにおいて第1の面と直交する方向への撓ませる力よりも小さいことが好ましい。同様の理由によって、最狭幅部21Cにおけるピボット回転軸と、最小厚み部21Fにおけるピボット回転軸とは互いにねじれの位置にあることが好ましく、特に両回転軸は、塗布部21の軸線aの方向からみたときに、90度で交差するようになっていることが好ましい。このようにすることで、塗布部21を瞼の縁に沿って左右に動かして乳化化粧料を塗布するときに、塗布部21はその進行方向に沿った向き(左右方向)にのみ撓み、上下方向には一層撓みにくくなる。したがって、乳化化粧料をまゆ毛やまつ毛に塗布している間、予期せずに液体塗布具2が瞼の縁を外れ、塗布対象部位をはみ出して、乳化化粧料が瞼や眼球に付着することがないので、安心して簡単に細かい部位に塗布することができる。
【実施例】
【0082】
実施例1〜4および比較例2
表1に示す水相成分を、プライミクス株式会社製のT.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し水相を調製した。これとは別に、表1中の油相成分を、T.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し油相を調製した。この油相をT.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合しながら、そこへ先に調製した水相を滴下し、均一に混合することで、W/O系のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料を得た。
【0083】
比較例1
表1の油相成分を、T.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し、油性のまゆ毛又はまつげ用化粧料を調製した。
【0084】
実施例5
表1の油相成分を、T.K.ロボミックスを用いて25℃で油相を調整した。これとは別に、表1に示す水相成分を、T.K.ロボミックスを用いて75℃でディスパーにて混合した後で50℃まで冷却し水相を調製した。この水相をT.K.ロボミックスを用いてディスパーにて混合しながら、そこへ先に調製した油相を滴下し、均一に混合した後、混合しながら25℃まで冷却し、脱泡することで、O/W系のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料を得た。
【0085】
<評価>
得られた実施例1〜5及び比較例2のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料、又は比較例1のまゆ毛又はまつ毛用油性化粧料について、以下に説明するように「粘度測定」、「養毛・育毛効果試験」、「刺激評価試験」、「使いやすさ評価試験」、「マスカラ塗布時のカールキープ性能」を実施し、得られた結果を表1に示す。
【0086】
(粘度測定)
実施例又は比較例のまゆ毛又はまつ毛用化粧料について、東機産業株式会社製のTV−10M型粘度計を用いて、25℃で粘度測定を行った。具体的には、粘度計のロータが回転し始めてから1分経過した時点で粘度計に表示された数値を化粧料の粘度とした。なお、回転数及びロータは試料の粘度範囲に応じて適宜選択した。実用上、1〜400Pa・sの範囲であることが好ましい。
【0087】
(養毛・育毛効果評価)
パネル20名(男性12名、女性8名)に対し、それぞれの左目のまつ毛の根元及びまつ毛に、朝夕1日2回、60日間毎日、実施例又は比較例のまゆ毛又はまつ毛用化粧料を0.015±0.009g/片目の割合で塗布し、60日後の左右のまつ毛の状態(長さ及び太さ及び密度)の比較、及び試験前後の左目のまつ毛の写真比較(共に自己判定)を実施し、養毛・育毛効果があると評価した人数を指標に、以下の基準に従ってランク付けを行った。実用上、A又はBランクであることが望まれる。
【0088】
なお、化粧料の塗布に使用した液体塗布具は、実施例1〜5及び比較例2のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の場合には図1〜8に示す樹脂性の塗布部に植毛がほどこされたものであり、比較例1のまゆ毛又はまつ毛用油性化粧料の場合には、マスカラに一般的に用いられる金属ねじ状塗布具(図9(ねじ状先端の部分側面図))を使用した。実用上、A又はBランクであることが望まれる。
【0089】
ランク 基準(パネル20名中)
A: 養毛・育毛効果があると評価した人数が10名以上
B: 養毛・育毛効果があると評価した人数が7〜9名
C: 養毛・育毛効果があると評価した人数が4〜6名
D: 養毛・育毛効果があると評価した人数が3名以下
【0090】
また、パネルの1人(30代、男性)の実施例1の乳化化粧料を使用した育毛効果試験が施されなかった右目のまつ毛の写真を図10Aに、育毛効果試験が施された左目のまつ毛の写真を図10Bに示す。
【0091】
(刺激評価)
育毛効果評価時の刺激の有無について聞き取り調査を実施し、不快な刺激が無いと評価した人数を指標に、以下の基準に従ってランク付けを行った。実用上、A又はBランクであることが望まれる。
【0092】
ランク 基準(パネル20名中)
A: 不快な刺激を感じなかった人数が16名以上
B: 不快な刺激を感じなかった人数が12〜15名
C: 不快な刺激を感じなかった人数が8〜11名
D: 不快な刺激を感じなかった人数が7名以下
【0093】
(使い易さ評価)
育毛効果評価時の使い易さ(狙ったところに剤を適量塗布できるかどうか)について聞き取り調査を実施し、使い易いと評価した人数を指標に、以下の基準に従ってランク付けを行った。実用上、A又はBランクであることが望まれる。
【0094】
ランク 基準(パネル20名中)
A: 使い易いと評価した人数が16名以上
B: 使い易いと評価した人数が12〜15名
C: 使い易いと評価した人数が8〜11名
D: 使い易いと評価した人数が7名以下
【0095】
(マスカラ塗布時のカールキープ性能評価)
マスカラ塗布時のカールキープ性能について聞き取り調査を実施し、マスカラ塗布時のカールキープ性能が向上したと評価した人数を指標に、以下の基準に従ってランク付けを行った。マスカラは、オーブクチュールのデザイニングマスカラを用いた。実用上、A又はBランクであることが望まれる。
【0096】
ランク 基準(パネル20名中)
A: マスカラ塗布時のカールキープ性能が向上したと評価した人数が10名以上
B: マスカラ塗布時のカールキープ性能が向上したと評価した人数が7〜9名
C: マスカラ塗布時のカールキープ性能が向上したと評価した人数が4〜6名
D: マスカラ塗布時のカールキープ性能が向上したと評価した人数が3名以下
【0097】
【表1】
【0098】
表1に示されているように、実施例1〜5のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、所定量の式(1)のフラバノノール誘導体を所定量の特定の揮発性油に溶解させた溶液が乳化系の油相を構成しているので、粘度、まつ毛やまゆ毛に対して良好な養毛・育毛効果を有し、また、まつ毛にハリ・コシを付与できるのでマスカラ塗布時のカールキープ性能が向上し、目元に対する刺激も少なく、使用に適した粘度に調製しているため使い勝手もよいものであった。特に、養毛・育毛効果に関しては、実施例1の乳化化粧料を適用されていない右目(図10A)に比べ、適用された左目(図10B)は、明らかにまつ毛の本数、長さ、太さがそれぞれ増大していた。
【0099】
他方、比較例1は油性のまゆ毛又はまつ毛用化粧料であり、特に有機溶剤による刺激が強いものであった。また、比較例2のまゆ毛又はまつ毛用化粧料は、式(1)のフラバノノール誘導体を含有していないので、まつ毛やまゆ毛に対する養毛・育毛効果が得られず、また、マスカラ塗布時のカールキープ性能も実施例に比べ劣っていた。
【0100】
実施例6、比較例3〜5
表2に示す水相成分を、プライミクス株式会社製のT.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し水相を調製した。これとは別に、表2中の油相成分を、T.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し油相を調製した。この油相をT.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合しながら、先に調製した水相を滴下し、均一に混合することで、W/O型のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料を得た。
【0101】
<評価>
得られた実施例6及び比較例3〜5のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料について、以下に説明するように「粘度測定」、「刺激評価」、「使いやすさ評価」、「目元の肌のかさつきにくさ評価」、「目元の肌の柔軟性評価」を行い、得られた結果を表2に示す。
【0102】
まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の粘度の測定は、B型粘度計(東機産業株式会社:TVB−10M)で、25℃の条件下、粘度が80Pa・s以下の場合、ローターM3を回転数1.5r/minの条件で行い、また、粘度が80Pa・sを超える場合、ローターM3を回転数0.3r/minの条件で行った。
【0103】
(刺激評価)
専門パネラー10名により、朝、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を、まゆ毛とまつ毛の根元に塗布し、夕方までの間に不快な刺激を感じなかったと評価した人数をカウントした。
【0104】
(使い易さ評価)
専門パネラー10名により、朝、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を、まゆ毛とまつ毛の根元に塗布したときの使い易さ(狙ったところに剤を適量塗布できるかどうか)を評価した。使い易いと評価した人数をカウントした。
【0105】
(目元の肌のかさつきにくさ評価)
専門パネラー10名により、朝、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を、まゆ毛とまつ毛の根元に塗布し、夕方までの間に目元の肌のかさつきを感じないと評価した人数をカウントした。
【0106】
(目元の肌の柔軟性評価)
専門パネラー10名により、朝、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を、まゆ毛とまつ毛の根元に塗布し、夕方までの間に目元の肌が柔らかいと評価した人数をカウントした。
【0107】
【表2】
【0108】
表2に示されているように、実施例6のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、所定量の式(1)のフラバノノール誘導体を所定量の特定の揮発性油に溶解させた溶液が乳化系の油相を構成しているので、刺激性がなく、使い易く、しかも目元のかさつきもなく、目元の肌の柔軟性にも優れていた。
【0109】
他方、比較例3及び4のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は所定の揮発性油を使用せずに、それ以外の不揮発性油(流動イソパラフィン、イソノナン酸イソノニル(エステル油))を使用しているため、使い易さが劣り、目元の肌がかさつき易くなり、目元の肌の柔軟性に劣っていた。また、比較例5のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、特定のフラバノノール誘導体を使用していないため、目元の肌がかさつき易くなり、肌の柔軟性に劣っていた。
【0110】
実施例7〜12、比較例6〜7
表3に示す水相成分を、プライミクス株式会社製のT.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し水相を調製した。これとは別に、表2中の油相成分を、T.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し油相を調製した。この油相をT.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合しながら、先に調製した水相を滴下し、均一に混合することで、W/O型のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料を得た。
【0111】
<評価>
得られた実施例7〜12及び比較例6〜7のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料について、実施例6と同様に「粘度測定」、「刺激評価」、「使いやすさ評価」、「目元の肌のかさつきにくさ評価」、「目元の肌の柔軟性評価」を行った。得られた結果を表3に示す。
【0112】
【表3】
【0113】
表3に示されているように、実施例7〜12のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、所定量の式(1)のフラバノノール誘導体を所定量の特定の揮発性油に溶解させた溶液が乳化系の油相を構成しているので、粘度、刺激性がなく、使い易く、しかも目元のかさつきもなく、肌の柔軟性にも優れていた。特に実施例8、9のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の結果から、特定の揮発性油の含有量が20.00〜35.00質量%である場合に、特に好ましい結果が得られていることがわかる。また、実施例11〜12の結果から、特定のフラバノノール誘導体の含有量が0.05〜0.20質量%の範囲で好ましい結果が得られていることがわかる。
【0114】
他方、比較例6と7との結果から、特定の揮発性油の含有量が少なすぎても多すぎてもの目元のかさつきが生じやすくなり、目元の肌の柔軟性も低下することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料においては、所定量の式(1)のフラバノノール誘導体を所定量の特定の揮発性油に溶解させた溶液が乳化系の油相を構成している。このため、本発明のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、使用に適した粘度、まつ毛又はまゆ毛に対して良好な養毛・育毛効果を示し、また、まつ毛に対する良好なハリ・コシ付与効果を示し、目元に対する刺激も少なく、使い勝手もよく、また、目元のかさつきもなく、肌の柔軟性にも優れているものである。よって、まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛のための乳化化粧料として有用である。
【0116】
上述した実施態様に関し、本発明は、更に以下の化粧料を開示する。
【0117】
<1>
以下の式(1)で表されるフラバノノール誘導体0.01〜1質量%と、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油5〜65質量%とを含有するまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0118】
【化3】
【0119】
式中、R1及びR2は、それぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。
【0120】
<2>
揮発性油の含有量が、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である<1>記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0121】
<3>
W/O型乳化系を形成している<1>又は<2>記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0122】
<4>
W/O型乳化系の水相の含有量が、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である<1>〜<3>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0123】
<5>
フラバノノール誘導体が、好ましくはトランス−3,4′−ジメチルフラバノノールまたはトランス−3,7−ジメチルフラバノノール、より好ましくはトランス−3,4′−ジメチルフラバノノールである<1>〜<4>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0124】
<6>
揮発性油の引火点が、好ましくは35〜87℃である<1>〜<5>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0125】
<7>
揮発性油が、好ましくは揮発性炭化水素油、より好ましくは炭素数8〜18のイソパラフィン炭化水素油、更に好ましくはイソドデカンである<1>〜<6>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0126】
<8>
フラバノノール誘導体の含有量が、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上であり、また、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.12質量%以下である<1>〜<7>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0127】
<9>
フラバノノール誘導体に対する揮発性油の質量割合、(揮発性油の質量部)/(フラバノノール誘導体の質量部)の質量割合が、好ましくは50質量部以上、より好ましくは100質量部以上、更に好ましくは200質量部以上であり、また、好ましくは700質量部以下、より好ましくは600質量部以下、更に好ましくは450質量部以下である<1>〜<8>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0128】
<10>
25℃の粘度が、好ましくは1Pa・s以上、より好ましくは5Pa・s以上、更に好ましくは10Pa・s以上であり、また、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下、更に好ましくは200Pa・s以下である<1>〜<9>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0129】
<11>
更に、有機変性粘度鉱物として、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト等の層状粘土鉱物の層間のナトリウムイオンを第四球アンモニウムイオンで置換したものを含有する<1>〜<10>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0130】
<12>
有機変性粘度鉱物が、ジメチルアルキルアンモニウムへクロライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘキトライト及び塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アンモニウムマグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種である<1>〜<10>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0131】
<13>
有機変性粘土鉱物の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下である<1>〜<12>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0132】
<14>
更に、シリコーン系乳化剤の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、また、5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である<1>〜<13>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0133】
<15>
<1>〜<14>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料と、該まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を収容している容器と、該容器を密閉可能な蓋体と、該容器内に差し込まれるように該蓋体に取り付けられた支持軸及びその先端に取り付けられた塗布部を有する液体塗布具とを有する、まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛のための容器入りまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0134】
<16>
式(1)で表されるフラバノノール誘導体0.01〜1質量%と、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油5〜65質量%と、水とを含有する乳化系のまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤であって、該フラバノノール誘導体が油相中の該揮発性油に溶解しているまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤。
【0135】
<17>
<1>〜<15>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料、もしくは<16>記載のまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤をまゆ毛又はまつ毛に適用する使用。
【0136】
<18>
まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料製造の為の<1>〜<15>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の使用。
【0137】
<19>
<1>〜<15>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の使用方法であって、まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛を促進させるために、まゆ毛又はまつ毛の根元の皮膚に対し、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を1日1回適用する使用方法。
【0138】
<20>
1回の片目の適用量は、好ましくは0.002g以上、より好ましくは0.003g以上、更に好ましくは0.005g以上であり、また、好ましくは0.04g以下、より好ましくは0.03g以下、更に好ましくは0.025g以下である<19>記載の使用方法。
【符号の説明】
【0139】
1 “容器入り乳化化粧料”
2 液体塗布具
21 塗布部
21A 第1の面
21B 第2の面
21C 最狭幅部
21D 先端
21E 広幅部
21F 最小厚み部
21G 最大厚み部
22 支持軸
23 蓋体
24 連結部
3 容器
31 しごき弁
31A しごき孔
32 ネジ部
33 口部
4 まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料
【技術分野】
【0001】
本発明は、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
まゆ毛やまつ毛はメイクアップ化粧の対象となるものであるが、よりナチュラルなメイクアップ化粧を実現するために、個々のまゆ毛やまつ毛を太く成長させると共に、生え替わりや抜け毛を抑制することにより長く成長させ、生えている毛数を増やすことが求められている。
【0003】
このような求めに応えるために、毛母細胞賦活作用、抹消血管循環改善作用及び発毛促進作用を有する感光素301号、細胞賦活作用及び毛母細胞賦活作用を有するパントテニルエチルエーテル、並びに保湿・収斂作用を有するニンジンエキス等の有効成分をエタノールに溶解させた溶液を、水溶性高分子で増粘させた水性高粘性基材に均一に混合させたまつ毛用化粧料が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、毛母細胞から成長する点で、まゆ毛又はまつ毛と共通している頭髪に対して養毛・育毛効果を示すフラバノノール誘導体を含有している養毛・育毛料(特許文献2)を、まゆ毛又はまつ毛用養毛・育毛料として適用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−128641号公報
【特許文献2】特開平8−157334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のまつ毛化粧料の場合、追試の結果からは十分なまつ毛の養毛・育毛効果が得られないという問題があった。また、感光素301号やパントテニルエチルエーテルやニンジンエキス等の有効成分の溶解剤として用いられているエタノールは、これらの有効成分を溶解する溶解力は高い反面、目(具体的には、眼球や薄い表皮の上下瞼、更にその裏側の粘膜)に対して刺激性を有するので、まつ毛化粧量中のその含有量が特許文献1の実施例レベルであっても、不快な刺激を感じる使用者が少なからず存在するという問題があった。また、水分量が90%近くと非常に多いため、非水溶性の有効成分を溶解させて含有させることが困難であるという問題もあった。
【0007】
また、特許文献2の養毛・育毛料の場合、それを敏感な目元に使用することから、べたつき感がないこと、また、眼球や眼球周囲の粘膜に付着する可能性が低いこと、アイブロウ、アイライン、アイシャドウなどのメイクアップ化粧を施す際の障害とならないこと等が求められることを考慮すると、ヘアクリーム、ヘアリンス、ヘアシャンプーのような揮発し難い剤型ではなく、揮発性の溶剤にフラバノノール誘導体を溶解した剤型で適用することが求められるが、特許文献2では、そのような揮発性の溶剤として、頭皮に好ましい刺激を付与し、速乾性を示すという観点から、エタノールを多量に使用しており、その結果、眼球や上下瞼、それらの粘膜に対する刺激の問題が発生することが懸念される。
【0008】
また、マスカラを連用している女性の多くは、まゆ毛やまつ毛の生え際を含む目元が乾燥して肌荒れを起こし易くなっているため、エタノールを多量に含む特許文献2に記載されたような特定の育毛成分を含有している養毛・育毛料の目元への連用は肌のごわつき等の肌荒れを招くため、肌への負担を軽減したまゆ毛やまつ毛用の化粧料が要求されていた。
【0009】
本発明者らは、まゆ毛やまつ毛に対して養毛・育毛効果が期待できる頭髪用の養毛・育毛料を実際にまゆ毛やまつ毛に適用した場合に、目に対する刺激感、まゆ毛やまつ毛の生え際の肌がかさつき、肌の柔軟性が失われ、肌がごわつくという課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、頭髪に対する養毛・育毛効果が確認されている特定のフラバノノール誘導体を、エタノールに代わる特定の揮発性油に溶解して調製した乳化物(即ち、乳化化粧料)が、毛母細胞に直接作用して、まゆ毛又はまつ毛を太く、抜け難く、しかも生え替わり周期を長くすることでまゆ毛又はまつ毛を長くするという良好な養毛・育毛効果を示すことに加え、目に対する刺激感を軽減し、まゆ毛やまつ毛の生え際の肌のかさつきを抑制でき、肌の柔軟性を保持できることを見出した。
【0011】
即ち、本発明は、以下の式(1)で表されるフラバノノール誘導体0.01〜1質量%と、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油5〜65質量%とを含有する、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を提供するものである。
【0012】
【化1】
【0013】
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。
【0014】
また、本発明は、上述のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料と、該まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を収容している容器と、該容器を密閉可能な蓋体と、該容器内に差し込まれるように該蓋体に取り付けられた支持軸及びその先端に取り付けられた塗布部を有する液体塗布具とを有する、まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛のための容器入りまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を提供する。
【0015】
更に、本発明は、乳化化粧料の具体的な態様として、前出の式(1)で表されるフラバノノール誘導体0.01〜1質量%と、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油5〜65質量%と、水とを含有する乳化系のまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤であって、該フラバノノール誘導体が油相中の該揮発性油に溶解しているまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤を提供する。
【0016】
加えて、本発明は、上述のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の使用方法であって、
まゆ毛やまつ毛の養毛・育毛を促進させるために、まゆ毛又はまつ毛の根元の皮膚に対し、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を1日1回適用する使用方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、まゆ毛又はまつ毛に対する養毛・育毛効果に優れながら、目に対する不快な刺激の発生が抑制され、まゆ毛やまつ毛の生え際の肌のかさつきも抑制され、肌の柔軟性を損なわないものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の液体塗布具を備えた液体塗布装置の一実施形態を示す一部破断正面図である。
【図2】図2(a)は、液体塗布具における塗布部をその第1の面側からみた斜視図であり、図2(b)は、塗布部をその第2の面側からみた斜視図である。
【図3】図3(a)は、液体塗布具における塗布部の正面図であり、図3(b)は、塗布部の側面図であり、図3(c)は、図3(b)におけるc−c線断面図であり、図3(d)は、図3(b)におけるd−d線断面図であり、図3(e)は、図3(b)におけるe−e線断面図である。
【図4】図4は、液体塗布具における塗布部の正面図(図3(a)相当図)である。
【図5】図5は、液体塗布具における塗布部の側面図(図3(b)相当図)である。
【図6】図6(a)及び(b)は、液体塗布装置における塗布具を、容器内から引き抜くときの様子を順次示す説明図である。
【図7】図7は、本発明の液体塗布具を備えた液体塗布装置の使用状態の一例を示す説明図である。
【図8】図8は、液体塗布具における塗布部の最狭幅部をピボット回転軸として該塗布部がピボット回転する状態を示す説明図である。
【図9】図9は、マスカラに一般的に用いられる金属ねじ状塗布具のねじ状先端の部分側面図である。
【図10A】図10Aは、実施例1の乳化化粧料を使用した育毛効果試験が施されなかった右目のまつ毛の写真である。
【図10B】図10Bは、実施例1の乳化化粧料を使用した育毛効果試験が施された左目のまつ毛の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、以下の式(1)のフラバノノール誘導体を含有し、更に、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油を含有する。ここで、該フラバノノール誘導体は、該揮発性油に溶解しており、その溶解液が乳化系の油相を構成しているものである。
【0020】
【化2】
【0021】
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。
【0022】
このような式(1)のフラバノノール誘導体としては、合成の容易さの点から特許第3131105号公報の合成例1に記載されているトランス−3,4′−ジメチルフラバノノールや、同特許公報の合成例18に記載されているトランス−3,7−ジメチルフラバノノール等を好ましく挙げることができる。
【0023】
式(1)のフラバノノール誘導体は、単一化合物でもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。
【0024】
式(1)のフラバノノール誘導体の乳化化粧料中の含有量は、まゆ毛又はまつ毛に対する良好な育毛・養毛効果及びまつ毛に対する良好なハリ・コシ付与効果を付与する点から、0.01質量%以上であり、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上であり、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される一種以上の揮発性油に対して良好な溶解性を確保するために、1質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.12質量%以下である。より具体的には、式(1)のフラバノノール誘導体の乳化化粧料中の含有量は、フラバノノール誘導体の良好な溶解性と、乳化化粧料のまゆ毛又はまつ毛に対する良好な育毛・養毛効果並びにまつ毛に対する良好なハリ・コシ付与効果とを同時に実現するために0.01〜1質量%であり、好ましくは0.03〜0.5質量%、より好ましくは0.05〜0.2質量%、更に好ましくは0.08〜0.12質量%である。
【0025】
本発明の乳化化粧料は、式(1)のフラバノノール誘導体を溶解し、乳化系の油相を構成するために揮発性油を含有する。揮発性油を使用する理由は、揮発性油に代えて不揮発性油を含有するまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を、まゆ毛又はまつ毛の毛根に適用した場合に、べたつき感が生じ、眼球や眼球周囲の粘膜に付着する可能性が高まり、メイクアップ化粧を施す際の障害となる可能性が高まるからである。ここで、揮発性油は、好ましくは35〜87℃の引火点を有するものである。このような揮発性油としては、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油を例示することができ、式(1)のフラバノノール誘導体をより溶解するという点から、揮発性炭化水素油を好ましく使用できる。
【0026】
揮発性炭化水素油としては、化粧料に汎用的に使用されている揮発性炭化水素油を使用することができる。例えば、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカンなどのパラフィン炭化水素油、イソデカン、イソドデカン等のイソパラフィン炭化水素油、シクロデカン、シクロドデカンなどの環状パラフィン炭化水素油を挙げることができる。中でも、炭素数8〜18のイソパラフィン系炭化水素油が好ましく、特にイソドデカンが好ましい。
【0027】
揮発性シリコーン油としては、化粧料に一般に使用されている揮発性シリコーン油を使用することができる。具体的には、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等の鎖状ジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状ジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0028】
揮発性油の市販例としては、マルカゾールR(丸善石油化学株式会社)、IPソルベント1620、同2028等(以上、出光興産株式会社)、KF−995、KF−994、KF−96L−1.5CS、KF−96A−1CS等(以上、信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
【0029】
揮発性油の乳化化粧料中の含有量は、式(1)のフラバノノール誘導体を溶解するために5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、乳化化粧料をまゆ毛又はまつ毛の毛根に適用した際の刺激性を低減するために65質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。より具体的には、揮発性油の乳化化粧料中の含有量は、フラバノノール誘導体の良好な溶解性及び乳化化粧料の刺激性低減を同時に実現するために、5〜65質量%であり、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは15〜55質量%、更に好ましくは20〜45質量%である。
【0030】
なお、フラバノノール誘導体に対する揮発性油の質量割合、(揮発性油の質量部)/(フラバノノール誘導体の質量部)の質量割合は、少なすぎても多すぎてもまゆ毛やまつ毛の生え際の肌のかさつきを抑制し、柔軟性を保持する点から、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは200以上であり、また、700以下、好ましくは600以下、より好ましくは450以下である。より具体的には、(揮発性油の質量部)/(フラバノノール誘導体の質量部)の質量割合は、好ましくは50〜700、より好ましくは100〜600、更に好ましくは200〜450である。
【0031】
式(1)のフラバノノール誘導体を含む油相には、化粧料の粘度の調整等のために、油溶性又は油分散性の増粘剤やゲル化剤を含有させることができる。油溶性のゲル化剤としては、パルミチン酸デキストリン等を挙げることができる。また、油分散性のゲル化剤としては、ワックス、コロイダルシリカ、有機変性粘土鉱物等を挙げることができる。このうち、乳化化粧料のべたつきの低減や、製造上での取り扱いやすさ、特に揮発性油を用いる場合の加熱工程が不要となる点から有機変性粘土鉱物を好ましく使用することができる。このような有機変性粘土鉱物としては、例えば、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト等の層状粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理して、層状粘土鉱物の層間のナトリウムイオンを、第四級アンモニウムイオンで置換させたものを好ましく挙げることができる。具体例としては、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アンモニウムマグネシウム等が挙げられる。市販品としては、ベントン38、ベントン27、ベントン38VCG(以上、エレメンティスジャパン株式会社)等が挙げられる。また、有機変性粘土鉱物として、これらの有機変性粘土鉱物を予め溶媒に分散させたプレミックスゲルを、作業性向上の点から好ましく使用することができる。市販品としては、ベントンゲルISDV(エレメンティスジャパン株式会社)等が挙げられる。
【0032】
このような有機変性粘土鉱物の乳化化粧料中の含有量は、乳化化粧料の過度のたれ落ちを防止するために好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上である。また、良好な塗布性を維持する点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下である。より具体的には、有機変性粘土鉱物の乳化化粧料中の含有量は、乳化化粧料に良好な耐たれ落ち性と良好な塗布性とを同時に付与する点から、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜7質量%、更に好ましくは0.3〜5質量%、より更に好ましくは0.5〜4質量%である。
【0033】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料の乳化系としては、W/O型、O/W型、O/W/O型、W/O/W型から選択することができる。選択の指標として、皮膚への刺激を抑制するという観点からは、連続相が水相である乳化系が好ましく、他方、フラバノノール誘導体を毛根部により浸透させるという観点からは、フラバノノール誘導体が溶解している油相が連続相である系が好ましい。この両方の観点を同時にバランスよく満足させる点から、含水率の比較的高いW/O型の乳化系が好ましい。水相の含有量は、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。より具体的には、水相の含有量は、好ましくは35〜95質量%、より好ましくは40〜85質量%、更に好ましくは45〜75質量%である。
【0034】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料の水相中の水の割合は、いずれの剤型であっても、60質量%以上であれば、安定した乳化系を形成することができる。
【0035】
さらに、本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料には、その乳化状態を安定化するために乳化剤を含有することができる。乳化剤としては、目的とする乳化系に応じて、適宜選択して使用することができる。
【0036】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料において、その製造時に油相に含有することができる乳化剤として、安定したW/O型乳化系を形成し且つ乳化物のべたつき感を低減するという観点から、シリコーン系乳化剤が好ましく、HLB値が3〜10のシリコーン系乳化剤がより好ましく、HLB値が4〜8のシリコーン系乳化剤が更に好ましい。シリコーン系乳化剤の中でも、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン等が好ましい。市販品として、PEG−12ジメチコンとしてSH3775M(東レ・ダウコーニング株式会社)、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンとしてKF−6028、PEG−3ジメチコンとしてKF−6015(以上、信越化学工業株式会社)等を挙げることができ、より具体的には、PEG−12ジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−3ジメチコンが好ましい。
【0037】
このようなシリコーン系乳化剤のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料中の含有量は、安定的な乳化系を形成する点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、特にべたつき感も低減できる点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。より具体的には、乳化安定性とべたつきのなさとを同時に実現する点から、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜4質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。
【0038】
また、本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料において、その製造時に水相に含有することができる乳化剤として、安定したO/W型乳化系を形成し且つ乳化物のべたつき感を低減するという観点から、ノニオン系界面活性剤が好ましく、HLB値が3〜17のノニオン系界面活性剤がより好ましく、HLB値が3〜7のノニオン系界面活性剤とHLB値が13〜17程度のノニオン系界面活性剤とを併用することが更に好ましい。このようなノニオン系界面活性剤としては、ステアリン酸ソルビタンとしてレオドールSP−S10V、ポリソルベート60としてレオドールTW−S120V(以上、花王株式会社)等の脂肪酸エステル型非イオン系界面活性剤を挙げることができる。
【0039】
このようなノニオン系界面活性剤のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料中の含有量は、乳化状態を安定化する点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上であり、特にべたつき感も低減できる点から好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。より具体的には、乳化安定性と塗布後のべたつき抑制とを同時に実現するために、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜4質量%、更に好ましくは0.6〜3質量%である。
【0040】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、上記以外の界面活性剤、皮膜剤、脂肪酸、高級アルコールや多価アルコール等のアルコール類、不揮発性エステル油、流動イソパラフィン等の不揮発性炭化水素油、不揮発性シリコーン油、フッ素油、保湿剤、pH調整剤、中和剤、無機塩、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、香料、酸化防止剤、フェノキシエタノール等の防腐剤、金属イオン封鎖剤、消泡剤、染料、顔料、各種エキス等の添加剤を含有させることができる。
【0041】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料の25℃の粘度は、乳化化粧料をまゆ毛又はまつ毛の毛根付近の皮膚に適用した際に、乳化化粧料が肌から垂れ落ちてしまうことを防止し、生え際の肌のかさつきを抑制する点から、好ましくは1Pa・s以上、より好ましくは5Pa・s以上、更に好ましくは10Pa・s以上であり、むら付きやべた付きを防止する点から、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下、更に好ましくは200Pa・s以下である。より具体的には、まゆ毛又はまつげ用乳化化粧料の25℃の粘度は、塗布時のたれ落ち抑制と生え際の肌のかさつきを抑制する点、むら付きやべたつきを同時に抑制する点から、1〜400Pa・sが好ましく、5〜300Pa・sがより好ましく、10〜200Pa・sが更に好ましい。
【0042】
なお、粘度の測定は、B型粘度計(東機産業株式会社:TVB−10M)で、25℃の条件下、粘度が80Pa・s以下の場合、ローターM3を回転数1.5r/minの条件で測定し、また、粘度が80Pa・sを超える場合、ローターM3を回転数0.3r/minの条件で測定したものである。
【0043】
以上説明した本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料は、効果の面に着目し、「前出の式(1)で表されるフラバノノール誘導体を0.01〜1質量%と、該フラバノノール誘導体を溶解するための揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油を5〜65質量%と、水とを含有し、該フラバノノール誘導体が該揮発性油に溶解した乳化系のまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤」という態様を好ましく取ることができる。
【0044】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料は、乳化化粧料の公知の製造方法に従って製造することができる。例えば、揮発性油に式(1)のフラバノノール誘導体を溶解させ、必要により有機変性粘土鉱物を混合して調製した油相と、別途調整した水相とを乳化混合することにより調製することができる。本発明の具体的な態様の一つである「乳化系のまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤」も同様に製造することができる。
【0045】
本発明のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料は、まゆ毛又はまつ毛に対する養毛・育毛効果及びまつ毛に対するハリ・コシ付与効果を達成するために、まゆ毛又はまつ毛の根元の皮膚に対し、通常、1日1回適用するのが好ましい。1回の片目の適用量は、好ましくは0.002g以上、より好ましくは0.003g以上、更に好ましくは0.005g以上であり、また、好ましくは0.04g以下、より好ましくは0.03g以下、更に好ましくは0.025g以下である。より具体的には、1回の片目の適用量は、好ましくは0.002〜0.04g、より好ましくは0.003〜0.03g、更に好ましくは0.005〜0.025gの量である。通常、1ヶ月間適用をつづけると、個人差があるものの、効果が実感できるようになる。
【0046】
以上説明した本発明の乳化化粧料は、容器に充填して、まゆ毛又はまつ毛に適用するために“容器入り乳化化粧料”の形態で使用することが好ましい。“容器入り乳化化粧料”は、本発明の乳化化粧料と、該乳化化粧料を収容している容器と、該容器を密閉可能な蓋体と、該容器内に差し込むことができるように該蓋体に取り付けられた支持軸及びその先端に取り付けられた塗布部を有する液体塗布具とを有するものである。
【0047】
なお、液体塗布具は、乳化化粧料を適量塗布できれば特に制限はないが、細かな部分に塗布する点及び塗布部に刺激を与えない点で、ブラシ又は樹脂成型塗布具又は金属成型塗布具又はそれらに植毛した塗布具等が好ましく、更に均一に剤を塗布する点で、それらを手動又は電動にて振動又は回転させる塗布具も好ましい。更に、これらの塗布具を用いた塗布行為により、まゆ毛やまつ毛の根元付近を塗布部によりマッサージすることになるので、有効成分の浸透を促進できる。以下に、このような液体塗布具の好ましい具体的な構成を説明する。
【0048】
本発明に好ましく適用できる液体塗布具は、支持軸と、該支持軸の先端に連結し、かつ該支持軸の延びる方向に向けて細長い形状をした塗布部とを有する液体塗布具である。この塗布部は、液体の塗布操作時に該塗布部に加わる外力によって弾性変形可能になっており、その延びる方向に沿う軸線が、支持軸の軸線と交差するように傾斜している。また、塗布部は、略平面又はやや凸面になっている第1の面と、第1の面の反対側に位置する第2の面とを有し、塗布部を第1の面側からみたとき、該塗布部は最狭幅部を有し、該最狭幅部から先端に向けて漸次広幅になり、かつ更に先端に向かうに連れて漸次狭幅になっている。更に、支持軸の軸線と、塗布部の軸線とを通る平面に対して直交する方向から該塗布部をみたとき、該塗布部は最小厚み部を有し、かつ該最小厚み部と該塗布部の先端との間において第2の面が突出して形成された最大厚み部を有し、更に該塗布部は、該最大厚み部から該塗布部の先端に向かうに連れて厚みが漸減しているものである。
【0049】
図1は、この液体塗布具を備えた、まゆ毛又はまつ毛用の“容器入り乳化化粧料”1の一実施形態の一部破断正面図である。この“容器入り乳化化粧料”1は、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4を塗布するための液体塗布具2と、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4を収容するための容器3とを備えている。以下、液体塗布具2及び容器3についてそれぞれ説明する。
【0050】
内部にまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4を収容できる容器3は、有底の細長い筒状形状を有し、上方に向けて開口している口部33を有する。口部33の外周面にはネジ部32が設けられており、このネジ部32は、後述する液体塗布具2の蓋体23の内周面に設けられたネジ部(図示せず)と螺合可能になっている。
【0051】
また、口部33の近傍には、液体塗布具2の塗布部21や支持軸22に付着した過剰量のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4を適度にしごき取るためにしごき弁31が設けられている。このしごき弁31は、容器3の口部33から底部に向けて縮径した漏斗状の形状をしており、その下端の位置にしごき孔31Aを有しており、このしごき孔31Aに対しては、後述する液体塗布具2における塗布部21及び支持軸22が通過できるようになっている。しごき孔31Aは、容器3の長手方向に直交する断面において、しごき弁31の略中央部に、通常、円形に形成されているが、これに限られない。また、しごき孔31Aの孔径は、液体塗布具2の先端に位置する塗布部21を容器3内に挿入し、また容器3内から抜き出すことが可能となるような大きさを有している。
【0052】
このようなしごき弁31はゴム等の弾性変形可能な材料から構成されている。なお、図1においては、しごき弁31は、口部33から若干離れた下方寄りに位置しているが、これに代えて、口部33の位置にしごき弁31を配置してもよい。容器本体3の口部33の近傍部分には、口部33から若干離れた箇所から口部33までの部分が含まれる。
【0053】
容器3と組み合わせて用いられる液体塗布具2は、前述したように、塗布部21と支持軸22とを有している。塗布部21と支持軸22とは同一材料から一体的に構成されていてもよく、あるいは予め製造された2つの部材を所定の手段によって結合させて構成されていてもよい。いずれの場合であっても、塗布部21は、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4の塗布操作時に該塗布部21に加わる外力によって弾性変形可能になっている。この目的のために、塗布部21の材料として、例えば天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコーン樹脂及びポリウレタンなどの各種エラストマーを用いることができる。特に熱可塑性エラストマーを使用すると、射出成形によって塗布部21を製造することができるので好ましい。
【0054】
塗布部21と支持軸22を別々に製造して結合させる場合、両者を嵌合させて結合することが好ましい。結合の方法としては、ポンチ打ちなどで塗布部21又は支持軸22を塑性変形させて固定する方法が挙げられる。また、接着剤による接着など公知の技術を適宜採用してもよい。
【0055】
このような液体塗布具2は、前述したように支持軸22の一端で蓋体23に取り付けられている。このような蓋体23は、上述のとおり、その内周面にネジ部(図示せず)を有している。このネジ部は、上述した容器3のネジ部32と螺合可能になっている。蓋体23が容器3のネジ部32と螺合した状態においては、“容器入り乳化化粧料”1は略柱状の形状となる。この状態においては、塗布部21は容器3の底部よりも若干上方に位置している。
【0056】
図2(a)及び(b)には塗布部21の拡大図が示されている。なお、図1と図2では、塗布部21の上下関係が逆転している。図2(a)は、塗布部21をその第1の面21Aの側からみた斜視図であり、図2(b)は、塗布部21をその第2の面21Bの側からみた斜視図である。塗布部21は、支持軸22の延びる方向に向けて細長い形状をしている。詳細には、塗布部21は、支持軸22の延びる方向に長手方向Xを有し、長手方向Xと直交する方向に幅方向Yを有する縦長の形状である。
【0057】
塗布部21は、第1の面21Aと、これと反対側に位置する第2の面21Bとを有する。第1の面21Aは略平面又はやや凸面になっている。ここでいう凸面とは、塗布部21の長手方向Xに沿って凸面であること、及び/又は、塗布部21の幅方向Yに沿って凸面であることをいう。一方、第2の面21Bは凹凸を有する起伏した面になっている。
【0058】
また、塗布部21は、支持軸22に対して所定の角度をもって傾斜している。詳細には、図2(a)に示すように、塗布部21はその延びる方向に沿う軸線aが、支持軸22の延びる方向に沿う軸線bと交差するように傾斜している。そして、液体塗布具2が容器3内に挿入された状態においては、図1に示すように、塗布部21は、塗布部21の第1の面21Aが容器3の底部方向を向くように、支持軸22の軸線に対して傾斜している。塗布部21と支持軸22とがこのような傾斜関係で結合していることによって、液体塗布具2を用いたまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4の塗布を容易に行うことができる。
【0059】
塗布部21は、その表面に好ましくは植毛処理が施されている。植毛処理に用いられる繊維は、長さが0.1〜3mmで、太さが0.5〜5デシテックスのものが好ましい。長さ及び太さがこの範囲のなかで、異なる2種以上の繊維を組み合わせて用いることも可能である。繊維の材質は、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4の種類等に応じ、適切なものを選択することができる。塗布部21の表面に植毛処理を施すためには、静電植毛法等の公知の技術を適宜採用すればよい。
【0060】
図3(a)ないし(e)には、図2(a)及び(b)に示す塗布部21の正面図、側面図及び横断面図が示されている。先に述べたとおり塗布部21の表面には植毛処理が施されているが、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4の種類によっては植毛処理を施さなくてもよい場合がある。植毛処理の有無にかかわらず塗布部21は、植毛処理される前の状態での露出面の全域が曲面のみで形成されていることが好ましい。換言すれば、植毛処理される前の状態での塗布部21は、角部を全く有していない滑らかなものであることが好ましい。
【0061】
更に塗布部21は、植毛処理される前の状態での露出面が平滑になっていてもよい。換言すれば、植毛処理される前の状態での塗布部21は、皺状、シボ状、梨地状等を始めとする各種の微細な凹凸を、その露出面において有していなくてもよい。このような表面状態を採用することに代えて、露出面が皺状、シボ状、梨地状等を始めとする各種の微細な凹凸を有していてもよく、あるいは露出面が多孔性になっていてもよい。露出面の表面状態としてどのような状態を選択するかは、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料4の種類に応じて決定すればよい。
【0062】
図2及び図3に示すように、塗布部21は、これを第1の面21A側からみたときに、最狭幅部21Cを有している。ここで言う幅とは、図3(a)中、Y方向の長さのことである。最狭幅部21Cは、塗布部21を長手方向に二分する位置よりも先端寄りに位置している。また最狭幅部21Cは、塗布部21の先端21Dから離れた位置にある。図示されている最狭幅部21Cは1箇所のみであるが、2箇所以上存在していてもよいし、或る程度の長さにわたって存在してもよい。塗布部21は、最狭幅部21Cから塗布部21の先端21Dに向けて漸次広幅になっている。そして広幅部21Eを経て、更に先端21Dに向かうに連れて漸次狭幅になっている。また塗布部21は、これを第1の面21A側からみたときに、最狭幅部21Cから塗布部21の後端に向かうに連れて漸次広幅になっている。そして塗布部21は、該塗布部21と支持軸22との連結部24において幅が略一致している。最狭幅部21Cから連結部24までの間には、塗布部21の幅が狭くなった部位は存在していない。なお、図2(a)に示す塗布部21には左右対称に描かれているが、塗布部21を必ずしも左右対称にする必要はない。
【0063】
図3(d)に示すように、最狭幅部21Cにおいては、該最狭幅部21Cの幅Wcは、該最狭幅部21Cの厚みTcよりも小さくなっている。このことと、塗布部21が弾性変形可能になっていることによって、塗布部21は、最狭幅部21Cにおいて、第1の面21Aと直交する方向よりも、第1の面内方向(図3(d)中、符号D1で示す方向)へ撓みやすくなっている。
【0064】
図4に示すように、塗布部21をその第1の面21A側からみたときに、該塗布部21が最狭幅部21Cから広幅部21Eに向けて漸次広幅になっていく程度は、直線c1と塗布部21の軸線aとのなす角α1の範囲が、5°<α1<60°、特に10°<α1<45°となる程度が好ましい。角α1をこの範囲に設定することで、液体塗布具2を容器3から引き抜くときに、塗布部21がしごき弁31に引っ掛かりにくくなるので、容器3から液体塗布具2を引き抜き易くなる。更に、最狭幅部21C付近が効果的にしごかれ、塗布部21に余分な液が残留しにくくなる。
【0065】
同様の理由から、図4に示すように、直線c2と塗布部21の軸線aとのなす角α2の範囲は好ましくは5°<α2<60°、より好ましくは10°<α2<45°である。角α1と角α2とは同じ値でもよく、あるいは異なっていてもよい。また、図4に示すように、直線c1と直線c2とのなす角α3は、60°<α3<150°となる程度が好ましい。角α3をこの範囲に設定することで、最狭幅部21C付近が効果的にしごかれる。また最狭幅部21Cに液が残留しづらくなる。更に、塗布部21が最狭幅部21Cをピボット回転軸として、同図中左右に撓みやすくなる。
【0066】
また、図4の直線c1は、塗布部21の第1の面21Aに平行な平面に、該塗布部21を投影したときの輪郭線において、最狭幅部21Cと広幅部21Eとの間の輪郭線R1における中間位置での接線である。直線c2は、前記の輪郭線において、最狭幅部21Cと、該最狭幅部21Cから連結部24寄りの位置にある最も幅の広い部位との間の輪郭線R2における中間位置での接線である。輪郭線R1やR2が滑らかでない(凸凹や不連続な線)など、接線を引く位置によって接線の傾きが大きく変化する場合は、輪郭線R1やR2の全道のりの中間付近5割程度の曲線プロファイルを用い、最小二乗法などで直線に近似した直線を直線c1及びc2とすればよい。具体的には、全道のりを100とすると、およそ25から75の区間の曲線の関数や点群座標データなどを用いて、最小二乗法などで近似直線を求める。輪郭線R1及びR2が、全道のりの中央付近で変曲点を持つ場合は、その変曲点を通る接線を直線c1及びc2としてもよい。なお図4においては直線c1と直線c2とは軸線a上で交差しているが、直線c1と直線c2との交差位置はこれに限られない。
【0067】
図2及び図3に戻ると、これらの図に示すように、塗布部21は、支持軸22の軸線bと、塗布部21の軸線aとを通る平面、具体的には図3(b)における紙面と平行な面に対して直交する方向(つまり図3(b)における紙面と垂直な方向)から該塗布部21をみたときに、該塗布部21は最小厚み部21Fを有している。ここで言う厚みとは、支持軸22の軸線bと、塗布部21の軸線aとを通る平面に対して直交する方向から該塗布部21をみたとき、塗布部21の軸線aと直交する直線が、該塗布部21を横切る長さのことである。
【0068】
塗布部21は、最小厚み部21Fと塗布部21の先端21Dとの間において第2の面21Bが突出して、略錐形の突出部を形成している。そして、この略錐形の突出部の頂点の位置に、塗布部21の最大厚み部21Gが存在している。図示されている最大厚み部21Gは1箇所のみであるが、2箇所以上存在していてもよいし、或る程度の長さにわたって存在してもよい。塗布部21は、最大厚み部21Gの位置から先端21Dに向かうに連れて、その厚みが漸減している。一方、最小厚み部21Fの位置から最大厚み部21Gの位置に向かうに連れて、塗布部21はその厚みが漸増している。更に、最小厚み部21Fの位置から塗布部21の後端に向かうに連れて、該塗布部21の厚みは漸増している。そして塗布部21は、該塗布部21と支持軸22との連結部24においてその輪郭が、支持軸22の輪郭と略一致している。
【0069】
図3(e)に示すように、最小厚み部21Fにおいては、該最小厚み部21Fの幅Wfは、該最小厚み部21Fの厚みTfよりも大きくなっている。このことと、塗布部21が弾性変形可能になっていることによって、塗布部21は、最小厚み部21Fにおいて、第1の面内方向よりも、第1の面21Aと直交する方向(図3(e)中、符号D2で示す方向)へ撓みやすくなっている。
【0070】
図2及び図3に示すように、塗布部21においては、最狭幅部21Cが最小厚み部21Fよりも該塗布部21の先端21D寄りに位置している。しかし、最狭幅部21Cと最小厚み部21Fとの位置関係はこれに限られず、最狭幅部21Cが最小厚み部21Fよりも該塗布部21の後端寄りに位置していてもよく、あるいは最狭幅部21Cと最小厚み部21Fとが略同位置でもよい。
【0071】
一方、最狭幅部21Cと最大厚み部21Gとの位置関係については、図2及び図3に示す実施形態では、最狭幅部21Cと最大厚み部21Gとが略同位置にある。しかし両者の位置関係はこれに限られず、最狭幅部21Cが最大厚み部21Gよりも該塗布部21の先端21D寄りに位置していてもよく、逆に最狭幅部21Cが最大厚み部21Gよりも該塗布部21の後端寄りに位置していてもよい。
【0072】
図3(a)に示すように、塗布部21は、これを第1の面21A側からみたとき、該塗布部21の先端21Dが先細でかつ丸みを帯びている。更に、図3(b)に示すように、塗布部21を、支持軸22の軸線bと、塗布部21の軸線aとを通る平面に対して直交する方向からみたとき、該塗布部21の先端21Dは、先細でかつ丸みを帯びている。このように塗布部21の先端21Dは、いずれの方向からみても丸みを帯びている。換言すれば、先端21Dは先細の形状になっているものの、いずれの方向からみても尖鋭になっていない。
【0073】
図5に示すように、支持軸22の軸線bと塗布部21の軸線aとを通る平面に対して直交する方向から該塗布部21をみたときに、該塗布部21が最小厚み部21Fから最大厚み部21Gに向けて漸次広幅になっていく程度は、直線d1と塗布部21の軸線aとのなす角β1の範囲が、5°<β1<60°、特に10°<β1<45°となる程度であることが好ましい。β1をこの範囲とすることで、液体塗布具2を容器3から引き抜くときに、塗布部21がしごき弁31に引っ掛かりにくくなるので、容器3から液体塗布具2を引き抜き易くなる。更に、最小厚み部21F付近が効果的にしごかれ、塗布部21に余分な液が残留しにくくなる。
【0074】
同様の理由から、図5に示すように、直線d2と支持軸22の軸線bとのなす角β2の範囲は好ましくは0°<β2<60°、更に好ましくは5°<β2<45°であり、直線d1と直線d2とのなす角β3は、60°<β3<150°であることが好ましい。角β1と角β2とは同じ値でもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0075】
図5の直線d1は、支持軸22の軸線bと塗布部21の軸線aとを通る平面に対して直交する方向から該塗布部21をみたときに、該平面と平行な平面に、該塗布部21を投影したときの輪郭線において、最小厚み部21Fと最大厚み部21Gとの間の輪郭線R3における中間位置での接線である。直線d2は、前記の輪郭線において、最小厚み部21Fと、該最小厚み部21Fから連結部24寄りの位置にある最も厚みの大きい部位との間の輪郭線R4における中間位置での接線である。輪郭線R3やR4が滑らかでない(凸凹や不連続な線)など、接線を引く位置によって接線の傾きが大きく変化する場合は、輪郭線R3やR4の全道のりの中間付近5割程度の曲線プロファイルを用い、最小二乗法などで直線に近似した直線を直線d1及びd2とすればよい。具体的には、全道のりを100とすると、およそ25から75の区間の曲線の関数や点群座標データなどを用いて、最小二乗法などで近似直線を求める。輪郭線R3及びR4が、全道のりの中央付近で変曲点を持つ場合は、その変曲点を通る接線を直線d1及びd2としてもよい。
【0076】
図6(a)及び(b)には、以上の構造を有する“容器入り乳化化粧料”1における液体塗布具2を、容器3内から引き抜くときの様子が示されている。使用前の状態においては、図1に示すように、液体塗布具2の塗布部21は、容器3の底部よりも若干上方に位置している。この状態から液体塗布具2を引き上げると、塗布部21が傾斜していることに起因して、図6(a)に示すように、塗布部21における第2の面21B側がしごき弁31の下端と接触し、第2の面21Bの側に存在する過剰の乳化化粧料がしごき弁31によってしごき落とされる。更に引き抜きを進行させると、図6(b)に示すように、塗布部21におけるこぶ状に突出した最大厚み部21Gが、しごき弁31の下端に接近するので、引き抜きが行いづらくなる。
【0077】
ところで、先に述べたとおり、最小厚み部21Fは、塗布部21における第1の面内方向よりも、第1の面21Aと直交する方向(図6(b)中、符号D2で示す方向)へ撓みやすくなっている。したがって、図6(b)に示す状態から更に引き抜きを行おうとすると、最小厚み部21Fの位置がピボット回転軸になり、塗布部21が矢印で示す方向に撓み(すなわちピボット回転し)、塗布部21としごき弁31との当接が緩和される。その結果、過度の力を要することなく塗布部21を引き抜くことができる。これとともに、塗布部21におけるこぶ状に突出した最大厚み部21G及びその近傍の部位がしごき弁31によって効果的にしごかれるので、該塗布部21に付着している過剰の乳化化粧料を首尾よくしごき落とすことができる。その結果、乳化化粧料の塗布操作中に、塗布部21から乳化化粧料がぼた落ちすることが効果的に防止される。
【0078】
図7には、以上の構造を有する本実施形態の“容器入り乳化化粧料”1の使用状態の一例が示されている。まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛のための乳化化粧料をまつ毛の根本に塗布するには、まず先に述べた図6(a)及び(b)に示す操作を行い塗布部21に付着している過剰の乳化化粧料を除去し、塗布操作中における該乳化化粧料のぼた落ちが生じないようにする。次に図7に示すように、塗布部21の先端をまつ毛の根本に当接させて、美容液をまつ毛の根本に付与する。先に述べたとおり、液体塗布具2の塗布部21の先端21Dは先細の形状の形状になっているので、塗布対象部位が細かくても乳化化粧料を首尾よく塗ることができる。しかも、塗布部21の先端21Dは尖鋭ではなく丸みを帯びているので、該先端21Dを目に近づけたときに使用者に安心感を与える。
【0079】
先に述べたとおり、塗布部21は、その延びる方向に沿う軸線aが、支持軸22の軸線bと交差するように傾斜している。このような傾斜状態になっている塗布部21を、その第1の面21Aが上方を向き、かつ第2の面21Bが下方を向くようにして乳化化粧料の塗布を行うと、塗布操作中における使用者の視界が確保されるという利点がある。また、まつ毛に妨げられることなく瞼の縁に塗布を行うことができるという利点もある。塗布部21が上述した傾斜状態になっていると、使用者は図7のように液体塗布具2をまつ毛に当てることができるので、その結果、塗布部21を動かす方向(瞼の縁に沿った方向)と、塗布部21の撓み方向(左右方向)とを自然に一致させることができる。これらの観点から、塗布部21の延びる方向に沿う軸線aと支持軸22の軸線bとのなす角θ(図5参照)を、80度以下、特に5〜45度に設定することが好ましい。
【0080】
図7に示す塗布操作を行う場合には、塗布部21を瞼の縁に沿って左右に移動させる。ところで、先に述べたとおり、塗布部21は、最狭幅部21Cにおいて、第1の面21Aと直交する方向よりも、第1の面内方向へ撓みやすくなっている。したがって、塗布部21を、その第1の面21Aが上方を向き、かつ第2の面21Bが下方を向く状態下に、該塗布部21を瞼の縁に沿って左右に移動させると、図8に示すように、最狭幅部21Cの位置がピボット回転軸になり、塗布部21が符号D1で示す方向に撓む(すなわちピボット回転する)。この撓みによって、瞼の縁という狭い部位であっても乳化化粧料の塗布が一層行いやすくなる。また、この撓みによって、塗布部21が対象部位へ接触する時の力が緩和されるので、塗布部21が瞼の縁のような敏感な部位に接触する時も、瞼に与える物理的な刺激が少なく、使用者は安心して簡単に乳化化粧料を塗布することができる。これらの観点から、塗布部21は、該塗布部21を瞼の縁に押し当てて、例えば90度程度の角度撓ませた時でも、使用者が痛みを感じない程度の軟らかさで撓むことが良い。また、塗布部21は、該塗布部21を瞼から離した後、初期の形状に戻る程度の復元性を持つことが、次に塗布操作を行うときの塗布位置の狙いを定め易いので好ましい。更に、初期の形状に復元するまでの時間(復元の速度)は、あまり長過ぎない(遅すぎない)方が、塗布部21が瞼に触れている時の感触の認知し易さ、及び押し当て力の調整のし易さなどの点から、使用者が液体塗布具2を使う上で都合が良い。撓みの軟らかさと復元性は、最狭幅部21Cの幅や厚み、塗布部21を構成する素材の種類やゴム硬度などを適宜選んで決定すれば良い。
【0081】
最狭幅部21Cをピボット回転軸とする撓みを一層効果的に生じさせるために、塗布部21を最狭幅部21Cにおいて第1の面内方向への撓ませる力の方が、塗布部21を最小厚み部21Fにおいて第1の面と直交する方向への撓ませる力よりも小さいことが好ましい。同様の理由によって、最狭幅部21Cにおけるピボット回転軸と、最小厚み部21Fにおけるピボット回転軸とは互いにねじれの位置にあることが好ましく、特に両回転軸は、塗布部21の軸線aの方向からみたときに、90度で交差するようになっていることが好ましい。このようにすることで、塗布部21を瞼の縁に沿って左右に動かして乳化化粧料を塗布するときに、塗布部21はその進行方向に沿った向き(左右方向)にのみ撓み、上下方向には一層撓みにくくなる。したがって、乳化化粧料をまゆ毛やまつ毛に塗布している間、予期せずに液体塗布具2が瞼の縁を外れ、塗布対象部位をはみ出して、乳化化粧料が瞼や眼球に付着することがないので、安心して簡単に細かい部位に塗布することができる。
【実施例】
【0082】
実施例1〜4および比較例2
表1に示す水相成分を、プライミクス株式会社製のT.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し水相を調製した。これとは別に、表1中の油相成分を、T.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し油相を調製した。この油相をT.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合しながら、そこへ先に調製した水相を滴下し、均一に混合することで、W/O系のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料を得た。
【0083】
比較例1
表1の油相成分を、T.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し、油性のまゆ毛又はまつげ用化粧料を調製した。
【0084】
実施例5
表1の油相成分を、T.K.ロボミックスを用いて25℃で油相を調整した。これとは別に、表1に示す水相成分を、T.K.ロボミックスを用いて75℃でディスパーにて混合した後で50℃まで冷却し水相を調製した。この水相をT.K.ロボミックスを用いてディスパーにて混合しながら、そこへ先に調製した油相を滴下し、均一に混合した後、混合しながら25℃まで冷却し、脱泡することで、O/W系のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料を得た。
【0085】
<評価>
得られた実施例1〜5及び比較例2のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料、又は比較例1のまゆ毛又はまつ毛用油性化粧料について、以下に説明するように「粘度測定」、「養毛・育毛効果試験」、「刺激評価試験」、「使いやすさ評価試験」、「マスカラ塗布時のカールキープ性能」を実施し、得られた結果を表1に示す。
【0086】
(粘度測定)
実施例又は比較例のまゆ毛又はまつ毛用化粧料について、東機産業株式会社製のTV−10M型粘度計を用いて、25℃で粘度測定を行った。具体的には、粘度計のロータが回転し始めてから1分経過した時点で粘度計に表示された数値を化粧料の粘度とした。なお、回転数及びロータは試料の粘度範囲に応じて適宜選択した。実用上、1〜400Pa・sの範囲であることが好ましい。
【0087】
(養毛・育毛効果評価)
パネル20名(男性12名、女性8名)に対し、それぞれの左目のまつ毛の根元及びまつ毛に、朝夕1日2回、60日間毎日、実施例又は比較例のまゆ毛又はまつ毛用化粧料を0.015±0.009g/片目の割合で塗布し、60日後の左右のまつ毛の状態(長さ及び太さ及び密度)の比較、及び試験前後の左目のまつ毛の写真比較(共に自己判定)を実施し、養毛・育毛効果があると評価した人数を指標に、以下の基準に従ってランク付けを行った。実用上、A又はBランクであることが望まれる。
【0088】
なお、化粧料の塗布に使用した液体塗布具は、実施例1〜5及び比較例2のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の場合には図1〜8に示す樹脂性の塗布部に植毛がほどこされたものであり、比較例1のまゆ毛又はまつ毛用油性化粧料の場合には、マスカラに一般的に用いられる金属ねじ状塗布具(図9(ねじ状先端の部分側面図))を使用した。実用上、A又はBランクであることが望まれる。
【0089】
ランク 基準(パネル20名中)
A: 養毛・育毛効果があると評価した人数が10名以上
B: 養毛・育毛効果があると評価した人数が7〜9名
C: 養毛・育毛効果があると評価した人数が4〜6名
D: 養毛・育毛効果があると評価した人数が3名以下
【0090】
また、パネルの1人(30代、男性)の実施例1の乳化化粧料を使用した育毛効果試験が施されなかった右目のまつ毛の写真を図10Aに、育毛効果試験が施された左目のまつ毛の写真を図10Bに示す。
【0091】
(刺激評価)
育毛効果評価時の刺激の有無について聞き取り調査を実施し、不快な刺激が無いと評価した人数を指標に、以下の基準に従ってランク付けを行った。実用上、A又はBランクであることが望まれる。
【0092】
ランク 基準(パネル20名中)
A: 不快な刺激を感じなかった人数が16名以上
B: 不快な刺激を感じなかった人数が12〜15名
C: 不快な刺激を感じなかった人数が8〜11名
D: 不快な刺激を感じなかった人数が7名以下
【0093】
(使い易さ評価)
育毛効果評価時の使い易さ(狙ったところに剤を適量塗布できるかどうか)について聞き取り調査を実施し、使い易いと評価した人数を指標に、以下の基準に従ってランク付けを行った。実用上、A又はBランクであることが望まれる。
【0094】
ランク 基準(パネル20名中)
A: 使い易いと評価した人数が16名以上
B: 使い易いと評価した人数が12〜15名
C: 使い易いと評価した人数が8〜11名
D: 使い易いと評価した人数が7名以下
【0095】
(マスカラ塗布時のカールキープ性能評価)
マスカラ塗布時のカールキープ性能について聞き取り調査を実施し、マスカラ塗布時のカールキープ性能が向上したと評価した人数を指標に、以下の基準に従ってランク付けを行った。マスカラは、オーブクチュールのデザイニングマスカラを用いた。実用上、A又はBランクであることが望まれる。
【0096】
ランク 基準(パネル20名中)
A: マスカラ塗布時のカールキープ性能が向上したと評価した人数が10名以上
B: マスカラ塗布時のカールキープ性能が向上したと評価した人数が7〜9名
C: マスカラ塗布時のカールキープ性能が向上したと評価した人数が4〜6名
D: マスカラ塗布時のカールキープ性能が向上したと評価した人数が3名以下
【0097】
【表1】
【0098】
表1に示されているように、実施例1〜5のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、所定量の式(1)のフラバノノール誘導体を所定量の特定の揮発性油に溶解させた溶液が乳化系の油相を構成しているので、粘度、まつ毛やまゆ毛に対して良好な養毛・育毛効果を有し、また、まつ毛にハリ・コシを付与できるのでマスカラ塗布時のカールキープ性能が向上し、目元に対する刺激も少なく、使用に適した粘度に調製しているため使い勝手もよいものであった。特に、養毛・育毛効果に関しては、実施例1の乳化化粧料を適用されていない右目(図10A)に比べ、適用された左目(図10B)は、明らかにまつ毛の本数、長さ、太さがそれぞれ増大していた。
【0099】
他方、比較例1は油性のまゆ毛又はまつ毛用化粧料であり、特に有機溶剤による刺激が強いものであった。また、比較例2のまゆ毛又はまつ毛用化粧料は、式(1)のフラバノノール誘導体を含有していないので、まつ毛やまゆ毛に対する養毛・育毛効果が得られず、また、マスカラ塗布時のカールキープ性能も実施例に比べ劣っていた。
【0100】
実施例6、比較例3〜5
表2に示す水相成分を、プライミクス株式会社製のT.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し水相を調製した。これとは別に、表2中の油相成分を、T.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し油相を調製した。この油相をT.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合しながら、先に調製した水相を滴下し、均一に混合することで、W/O型のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料を得た。
【0101】
<評価>
得られた実施例6及び比較例3〜5のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料について、以下に説明するように「粘度測定」、「刺激評価」、「使いやすさ評価」、「目元の肌のかさつきにくさ評価」、「目元の肌の柔軟性評価」を行い、得られた結果を表2に示す。
【0102】
まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の粘度の測定は、B型粘度計(東機産業株式会社:TVB−10M)で、25℃の条件下、粘度が80Pa・s以下の場合、ローターM3を回転数1.5r/minの条件で行い、また、粘度が80Pa・sを超える場合、ローターM3を回転数0.3r/minの条件で行った。
【0103】
(刺激評価)
専門パネラー10名により、朝、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を、まゆ毛とまつ毛の根元に塗布し、夕方までの間に不快な刺激を感じなかったと評価した人数をカウントした。
【0104】
(使い易さ評価)
専門パネラー10名により、朝、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を、まゆ毛とまつ毛の根元に塗布したときの使い易さ(狙ったところに剤を適量塗布できるかどうか)を評価した。使い易いと評価した人数をカウントした。
【0105】
(目元の肌のかさつきにくさ評価)
専門パネラー10名により、朝、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を、まゆ毛とまつ毛の根元に塗布し、夕方までの間に目元の肌のかさつきを感じないと評価した人数をカウントした。
【0106】
(目元の肌の柔軟性評価)
専門パネラー10名により、朝、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を、まゆ毛とまつ毛の根元に塗布し、夕方までの間に目元の肌が柔らかいと評価した人数をカウントした。
【0107】
【表2】
【0108】
表2に示されているように、実施例6のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、所定量の式(1)のフラバノノール誘導体を所定量の特定の揮発性油に溶解させた溶液が乳化系の油相を構成しているので、刺激性がなく、使い易く、しかも目元のかさつきもなく、目元の肌の柔軟性にも優れていた。
【0109】
他方、比較例3及び4のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は所定の揮発性油を使用せずに、それ以外の不揮発性油(流動イソパラフィン、イソノナン酸イソノニル(エステル油))を使用しているため、使い易さが劣り、目元の肌がかさつき易くなり、目元の肌の柔軟性に劣っていた。また、比較例5のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、特定のフラバノノール誘導体を使用していないため、目元の肌がかさつき易くなり、肌の柔軟性に劣っていた。
【0110】
実施例7〜12、比較例6〜7
表3に示す水相成分を、プライミクス株式会社製のT.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し水相を調製した。これとは別に、表2中の油相成分を、T.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合し油相を調製した。この油相をT.K.ロボミックスを用いて25℃でディスパーにて混合しながら、先に調製した水相を滴下し、均一に混合することで、W/O型のまゆ毛又はまつげ用乳化化粧料を得た。
【0111】
<評価>
得られた実施例7〜12及び比較例6〜7のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料について、実施例6と同様に「粘度測定」、「刺激評価」、「使いやすさ評価」、「目元の肌のかさつきにくさ評価」、「目元の肌の柔軟性評価」を行った。得られた結果を表3に示す。
【0112】
【表3】
【0113】
表3に示されているように、実施例7〜12のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、所定量の式(1)のフラバノノール誘導体を所定量の特定の揮発性油に溶解させた溶液が乳化系の油相を構成しているので、粘度、刺激性がなく、使い易く、しかも目元のかさつきもなく、肌の柔軟性にも優れていた。特に実施例8、9のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の結果から、特定の揮発性油の含有量が20.00〜35.00質量%である場合に、特に好ましい結果が得られていることがわかる。また、実施例11〜12の結果から、特定のフラバノノール誘導体の含有量が0.05〜0.20質量%の範囲で好ましい結果が得られていることがわかる。
【0114】
他方、比較例6と7との結果から、特定の揮発性油の含有量が少なすぎても多すぎてもの目元のかさつきが生じやすくなり、目元の肌の柔軟性も低下することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料においては、所定量の式(1)のフラバノノール誘導体を所定量の特定の揮発性油に溶解させた溶液が乳化系の油相を構成している。このため、本発明のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料は、使用に適した粘度、まつ毛又はまゆ毛に対して良好な養毛・育毛効果を示し、また、まつ毛に対する良好なハリ・コシ付与効果を示し、目元に対する刺激も少なく、使い勝手もよく、また、目元のかさつきもなく、肌の柔軟性にも優れているものである。よって、まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛のための乳化化粧料として有用である。
【0116】
上述した実施態様に関し、本発明は、更に以下の化粧料を開示する。
【0117】
<1>
以下の式(1)で表されるフラバノノール誘導体0.01〜1質量%と、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油5〜65質量%とを含有するまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0118】
【化3】
【0119】
式中、R1及びR2は、それぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。
【0120】
<2>
揮発性油の含有量が、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である<1>記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0121】
<3>
W/O型乳化系を形成している<1>又は<2>記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0122】
<4>
W/O型乳化系の水相の含有量が、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である<1>〜<3>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0123】
<5>
フラバノノール誘導体が、好ましくはトランス−3,4′−ジメチルフラバノノールまたはトランス−3,7−ジメチルフラバノノール、より好ましくはトランス−3,4′−ジメチルフラバノノールである<1>〜<4>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0124】
<6>
揮発性油の引火点が、好ましくは35〜87℃である<1>〜<5>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0125】
<7>
揮発性油が、好ましくは揮発性炭化水素油、より好ましくは炭素数8〜18のイソパラフィン炭化水素油、更に好ましくはイソドデカンである<1>〜<6>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0126】
<8>
フラバノノール誘導体の含有量が、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上であり、また、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.12質量%以下である<1>〜<7>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0127】
<9>
フラバノノール誘導体に対する揮発性油の質量割合、(揮発性油の質量部)/(フラバノノール誘導体の質量部)の質量割合が、好ましくは50質量部以上、より好ましくは100質量部以上、更に好ましくは200質量部以上であり、また、好ましくは700質量部以下、より好ましくは600質量部以下、更に好ましくは450質量部以下である<1>〜<8>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0128】
<10>
25℃の粘度が、好ましくは1Pa・s以上、より好ましくは5Pa・s以上、更に好ましくは10Pa・s以上であり、また、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下、更に好ましくは200Pa・s以下である<1>〜<9>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0129】
<11>
更に、有機変性粘度鉱物として、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト等の層状粘土鉱物の層間のナトリウムイオンを第四球アンモニウムイオンで置換したものを含有する<1>〜<10>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0130】
<12>
有機変性粘度鉱物が、ジメチルアルキルアンモニウムへクロライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘキトライト及び塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アンモニウムマグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種である<1>〜<10>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0131】
<13>
有機変性粘土鉱物の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下である<1>〜<12>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0132】
<14>
更に、シリコーン系乳化剤の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、また、5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である<1>〜<13>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0133】
<15>
<1>〜<14>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料と、該まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を収容している容器と、該容器を密閉可能な蓋体と、該容器内に差し込まれるように該蓋体に取り付けられた支持軸及びその先端に取り付けられた塗布部を有する液体塗布具とを有する、まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛のための容器入りまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【0134】
<16>
式(1)で表されるフラバノノール誘導体0.01〜1質量%と、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油5〜65質量%と、水とを含有する乳化系のまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤であって、該フラバノノール誘導体が油相中の該揮発性油に溶解しているまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤。
【0135】
<17>
<1>〜<15>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料、もしくは<16>記載のまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤をまゆ毛又はまつ毛に適用する使用。
【0136】
<18>
まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料製造の為の<1>〜<15>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の使用。
【0137】
<19>
<1>〜<15>のいずれかに記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の使用方法であって、まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛を促進させるために、まゆ毛又はまつ毛の根元の皮膚に対し、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を1日1回適用する使用方法。
【0138】
<20>
1回の片目の適用量は、好ましくは0.002g以上、より好ましくは0.003g以上、更に好ましくは0.005g以上であり、また、好ましくは0.04g以下、より好ましくは0.03g以下、更に好ましくは0.025g以下である<19>記載の使用方法。
【符号の説明】
【0139】
1 “容器入り乳化化粧料”
2 液体塗布具
21 塗布部
21A 第1の面
21B 第2の面
21C 最狭幅部
21D 先端
21E 広幅部
21F 最小厚み部
21G 最大厚み部
22 支持軸
23 蓋体
24 連結部
3 容器
31 しごき弁
31A しごき孔
32 ネジ部
33 口部
4 まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(1)
【化1】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。)
で表されるフラバノノール誘導体0.01〜1質量%と、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油5〜65質量%とを含有する、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項2】
W/O型乳化系を形成している請求項1記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項3】
フラバノノール誘導体が、トランス−3,4′−ジメチルフラバノノール又はトランス−3,7−ジメチルフラバノノールである請求項1又は2記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項4】
揮発性油が、炭素数8〜18のイソパラフィン炭化水素油である請求項1〜3のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項5】
フラバノノール誘導体の含有量が、0.005〜0.2質量%である請求項1〜4のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項6】
揮発性油の含有量が、10〜60質量%である請求項1〜5のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項7】
フラバノノール誘導体に対する揮発性油の質量割合、(揮発性油の質量部)/(フラバノノール誘導体 質量部)の質量割合が50〜700である請求項1〜6のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項8】
25℃の粘度が、1〜400Pa・sである請求項1〜7のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項9】
W/O型乳化系であって、水相の含有量が、40〜85質量%である請求項1〜8のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項10】
更に、有機変性粘土鉱物を0.1〜10質量%含有する請求項1〜9のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項11】
更に、シリコーン系乳化剤を0.1〜5質量%含有する請求項1〜10のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料と、該まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を収容している容器と、該容器を密閉可能な蓋体と、該容器内に差し込まれるように該蓋体に取り付けられた支持軸及びその先端に取り付けられた塗布部を有する液体塗布具とを有する、まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛のための容器入りまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項13】
以下の式(1)
【化2】
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。)
で表されるフラバノノール誘導体を0.01〜1質量%と、
揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油を5〜65質量%と、
水とを含有する乳化系のまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤であって、該フラバノノール誘導体が油相中の該揮発性油に溶解しているまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の使用方法であって、
まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛を促進させるために、まゆ毛又はまつ毛の根元の皮膚に対し、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を1日1回適用する使用方法。
【請求項1】
以下の式(1)
【化1】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。)
で表されるフラバノノール誘導体0.01〜1質量%と、揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油5〜65質量%とを含有する、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項2】
W/O型乳化系を形成している請求項1記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項3】
フラバノノール誘導体が、トランス−3,4′−ジメチルフラバノノール又はトランス−3,7−ジメチルフラバノノールである請求項1又は2記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項4】
揮発性油が、炭素数8〜18のイソパラフィン炭化水素油である請求項1〜3のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項5】
フラバノノール誘導体の含有量が、0.005〜0.2質量%である請求項1〜4のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項6】
揮発性油の含有量が、10〜60質量%である請求項1〜5のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項7】
フラバノノール誘導体に対する揮発性油の質量割合、(揮発性油の質量部)/(フラバノノール誘導体 質量部)の質量割合が50〜700である請求項1〜6のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項8】
25℃の粘度が、1〜400Pa・sである請求項1〜7のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項9】
W/O型乳化系であって、水相の含有量が、40〜85質量%である請求項1〜8のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項10】
更に、有機変性粘土鉱物を0.1〜10質量%含有する請求項1〜9のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項11】
更に、シリコーン系乳化剤を0.1〜5質量%含有する請求項1〜10のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料と、該まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を収容している容器と、該容器を密閉可能な蓋体と、該容器内に差し込まれるように該蓋体に取り付けられた支持軸及びその先端に取り付けられた塗布部を有する液体塗布具とを有する、まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛のための容器入りまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料。
【請求項13】
以下の式(1)
【化2】
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。)
で表されるフラバノノール誘導体を0.01〜1質量%と、
揮発性炭化水素油又は揮発性シリコーン油から選択される揮発性油を5〜65質量%と、
水とを含有する乳化系のまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤であって、該フラバノノール誘導体が油相中の該揮発性油に溶解しているまゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛剤。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項記載のまゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料の使用方法であって、
まゆ毛又はまつ毛の養毛・育毛を促進させるために、まゆ毛又はまつ毛の根元の皮膚に対し、まゆ毛又はまつ毛用乳化化粧料を1日1回適用する使用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【公開番号】特開2013−53143(P2013−53143A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174732(P2012−174732)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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