説明

めっき電流遮蔽体、めっき用治具、めっき装置、めっき基板の製造方法

【課題】めっき液中に基板を懸垂浸潰してめっき基板を製造するにあたり、基板の面内におけるめっき膜厚の均一性の向上、基板の両面でのめっき膜厚の差の縮小を実現できる技術の開発。
【解決手段】基板1の下端部に沿ってその下側に延在配置される細長部材であり、その下部あるいは全体の断面形状が、下方に凸の山形とされ、この断面山形部分が、前記めっき液中を上昇する気泡流を前記基板の両側に振り分ける気泡振り分け部として機能するめっき電流遮蔽体30、めっき用治具20、めっき装置、めっき基板の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電気めっきを行う工程おいて、めっき膜厚を均一にするために用いられるめっき電流遮蔽体、めっき用治具、めっき装置、めっき基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状プリント配線板の導体配線の形成方法には種々の方法が提案されているが、最も一般的な方法は以下の二つの方法である。
一つは導体配線パターンと逆パターンの場所にめっきレジストを形成し、めっきレジストが施されていない個所、つまり導体配線パターン部分に選択的に電気めっきを行い導体配線を形成する方法である。もう一つは基板の全面に電気めっきを行い、次に導体配線パターンとなる個所にエッチングレジストを形成し、次にエッチング液と接触させてエッチングレジストで被覆されていない部分、つまり金属が露出している領域を除去して所望の導体配線を形成する方法である。
いずれの方法でも、基板の面内におけるめっき膜厚のばらつきが少ないことが微細な配線形成に重要である。また基板の両面に導体配線を形成する場合には、基板の表裏でのめっき膜厚のばらつきが小さいことが重要である。そこで従来から基板の電気めっき膜厚を均一にする工夫が行われている。例えば特許文献1では基板の固定用治具に電流密度を均一にする遮蔽構造を設け電気めっきの膜厚を一定にする方法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−253496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の通りプリント配線板等の基板に電気めっきを行うと、一般に基板端部(外周部)のめっき膜が厚くなりやすい傾向がある。基板端部には電流が集中しやすいために起こる現象である。そこで基板端部に電流の集中を遮蔽するための遮蔽構造物が設けられる。一方、被めっき物である基板の表面近傍では、金属イオンが還元析出してめっき膜となるため、金属イオン濃度が低下する。金属イオン濃度が低下すると、めっき速度も低下する。そこで、めっき液を攪拌して基板表面近傍の金属イオン濃度を均一にする工夫が従来からなされている。
【0004】
めっき液を攪拌する手法としては、めっき液中への散気によって気体をバブリングすることにより攪拌する手法が広く採用されている。この手法の場合、バブリングによってめっき液中に形成された気泡が基板表面近傍を上昇移動することで、基板表面近傍でのめっき液の攪拌がなされ、金属イオン濃度の低下を抑えることができる。
【0005】
しかしながら、基板端部の電流集中を遮蔽するための遮蔽体を基板の外周に周設し、この遮蔽体付きの基板をめっき液中に懸垂させてめっき液中を上昇する気泡流内に配置した状態でめっきを行う場合、基板下端に設けられている遮蔽体に衝突した気泡が、気泡流の乱流の原因となり、基板表面近傍におけるめっき液の攪拌均一性に影響を与えるといった問題がある。
【0006】
また、めっき液中に懸垂する基板の下端部への電流集中の遮蔽技術として、図13(a)、(b)に示すように、めっき液101に浮設する浮き子方式の遮蔽体103を用いるものがある。遮蔽体103は、めっき液101中での浮力発生用の気体が封入された浮力発生部102を内蔵している。図13(a)、(b)中、符号104は基板、105は基板104の外周に周設された枠状の基板昇降用治具である。
図13(a)、(b)の例では、枠状の基板昇降用治具105(以下、治具、と略称する場合がある)の内側に基板104を保持し、治具105を昇降させることで、めっき液101の基板104の浸潰、めっき液101に浸潰されている基板104の引き上げがなされる。そして、基板104を保持した治具105を、基板104がめっき液101の液面に垂直の向きを保ったまま、めっき液101にその上方から下降させて、基板104をめっき液101に浸潰するときに、治具105の基板104の下側に配置されている部分(下枠部105a)によって、予めめっき液101の液面付近に浮設しておいた遮蔽体103を押圧して下方に移動する(押し下げる)。そして、遮蔽体103が、その浮力によって治具105下端部(下枠部105a)に押し付けられた状態で電気めっきを行う。
この技術についても、基板104がめっき液101中を上昇する気泡流中に配置された状態で電気めっきを行う場合に、遮蔽体103が気泡流(図中、符号106が気泡流を形成する気泡)の乱流の原因となり、基板表面近傍におけるめっき液の攪拌均一性に影響を与える。また、気泡流によって遮蔽体103が揺動して、前記乱流の問題が大きくなったり、基板の両面でのめっき液の攪拌強度の差が大きくなり、基板の面内におけるめっき膜厚の均一性が低下したり、基板の両面でのめっき膜厚の差が大きくなるといった問題がある。
【0007】
いずれにしても、基板下側に遮蔽体を設けただけでは、基板面内全体のめっき膜厚の均一性の向上に容易に結び付かない、といった不満があった。このため、基板面内全体のめっき膜厚の均一性を向上できる有効な技術の開発が求められていた。
【0008】
本発明は、前記課題に鑑みて、簡単な構成により、めっき膜厚の均一性を高めることができるめっき電流遮蔽体、めっき用治具、めっき装置、めっき基板の製造方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、基板をめっき液中に懸垂させ電気めっきを行う際に、前記基板の両面又は片面の電流密度をそれぞれ均一化させるために、前記基板の下端部に設けられるめっき電流遮蔽体であって、前記基板の下端部に沿ってその下側に延在配置される細長部材であり、その下部あるいは全体の断面形状が、下方に凸の山形とされ、この断面山形部分が、前記めっき液中を上昇する気泡流を前記基板の両側に振り分ける気泡振り分け部として機能することを特徴とするめっき電流遮蔽体を提供する。
第2の発明は、前記気泡振り分け部は、その下端頂部から前記基板側の上端部に向かって延在する両側の側面が対称形に形成されていることを特徴とする第1の発明のめっき電流遮蔽体を提供する。
第3の発明は、めっき液中での浮力発生用の気体が封入されてなる浮力発生部を具備しており、前記めっき液に浮設されることを特徴とする第2の発明のめっき電流遮蔽体を提供する。
第4の発明は、めっき液中に懸垂させて電気めっきを行う基板を保持して昇降され、前記基板とともに前記めっき液中に浸潰されるめっき用治具であって、前記基板の外周を囲繞する枠状の治具本体の下部に、第1又は第2のめっき電流遮蔽体を具備することを特徴とするめっき用治具を提供する。
第5の発明は、基板をめっき液中に懸垂させて電気めっきを行うためのめっき装置であって、前記めっき液を貯留するめっき槽に、前記めっき液に浮設した第3の発明のめっき電流遮蔽体と、この電流遮蔽体のめっき液中での昇降を案内する昇降案内部材と、前記めっき槽の底部に設置され前記めっき液中に気泡を放出する散気部とが設けられていることを特徴とするめっき装置を提供する。
第6の発明は、基板をめっき液中に懸垂させて、その両面に電気めっきを行うめっき基板の製造方法において、前記基板を懸垂して、その下側に第1〜3のいずれかの発明のめっき電流遮蔽体が設けられた状態で、前記めっき液中に浸潰し、前記めっき液中を上昇する気泡流中にてめっきを行うことを特徴とするめっき基板の製造方法を提供する。
第7の発明は、第3の発明のめっき電流遮蔽体を用いる第6の発明のめっき基板の製造方法であって、前記基板を懸垂させてめっき液に浸漬する時に、前記基板の下端部あるいは前記基板を囲繞する枠状の基板昇降用治具の下端部によって、めっき液に浮設しておいた前記めっき電流遮蔽体を押圧して下方へ移動し、前記めっき電流遮蔽体が、該めっき電流遮蔽体自体の浮力によって、前記基板もしくは前記基板昇降用治具に接触した状態でめっきを行うことを特徴とするめっき基板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、めっき液に懸垂させた基板をめっき液中を上昇する気泡流内に配置して電気めっきを行う際に、基板の下端部に配置されるめっき電流遮蔽体の断面山形の気泡振り分け部によって、気泡流が基板の両側に振り分けられる。気泡振り分け部の近傍では、気泡が、気泡振り分け部の両側の側面に沿って上昇して、基板の両側に振り分けられる。このため、気泡流の乱流発生を抑えることができ、基板表面近傍におけるめっき液の攪拌均一性を向上させることができる。その結果、めっき膜厚の均一性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施しためっき電流遮蔽体、めっき用治具、めっき装置、めっき基板の製造方法について、図面を参照して説明する。
なお、ここでは、電気めっきによって、基板の両面(両側の主面1a、1b)に、めっき層として導体金属膜を形成する場合について説明する。
【0012】
図1は本発明に係るめっき用治具を用いて基板をめっき槽内のめっき液に懸垂させ、電気めっきを行う、めっき基板(ここでは、主面1a、1bに導体金属膜が形成された基板)の製造方法を説明する図であって、(a)は基板を保持しためっき用治具をめっき槽に挿入する前、(b)はめっき用治具及び基板をめっき槽内のめっき液中に浸潰した状態を示す。
図2は、めっき用治具の構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断面矢視図、図3は別態様のめっき用治具の構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は図3(a)のB−B線断面矢視図である。但し、図2(b)、図3(b)では、基板1の断面を示すハッチングの図示を省略している。
なお、図1〜図3(a)、(b)において、図中、上側を上、下側を下として説明する。
【0013】
図1(a)、(b)において、符号10はめっき装置である。
このめっき装置10は、めっき液11を貯留するめっき槽12を具備する。
めっき槽12内には、一対のアノード電極14と、散気部15とが設けられている。
【0014】
一対のアノード電極14は、めっき槽12内にて、それぞれ上下方向に延在させて設けられている。また、アノード電極14は、めっき槽12内にて水平方向に互いに離隔した2箇所に設けられている。基板1の電気めっきは、基板1を、互いに離隔された一対のアノード電極14の間にて、めっき液11中に懸垂させ、基板1自体をカソード電極として行う。
【0015】
散気部15は、ここでは、具体的には、めっき液11中に気泡を放出する散気管であり、めっき槽12の底部に設けられている。この散気部15は、めっき液11中に気泡16を放出することで、めっき液11中に、気泡16の上昇流(本発明に係る気泡流。以下、気泡流)を形成する。気泡流は、一対のアノード電極14の間の領域に形成される。
なお、散気部15としては、例えば、めっき槽12の底壁に形成した散気孔から散気してめっき液11に気泡を供給するもの等であっても良い。
【0016】
基板1は、ここでは、例えば、プリント配線板等のシート状のものである。
この基板1は、めっき用治具20(以下、治具、と略称する場合がある)に取り付けて、例えば、めっき装置10に設けられた昇降装置13等によって前記めっき用治具20を昇降させることで、めっき槽12内のめっき液11への挿入、めっき液11からの引き上げがなされる。
めっき用治具20は、基板1を昇降させるための基板昇降用治具として機能する。
【0017】
図2(a)、(b)、図3(a)、(b)に示すめっき用治具20は、枠状の治具本体21と、この治具本体21の下端部(図2(a)、(b)、図3(a)、(b)において下側の端部)に取り付けられためっき電流遮蔽体30(以下、遮蔽体、と略称する場合がある)とを具備している。
また、この治具20は、前記治具本体21の内側に配置された基板1を、治具本体21に設けられたクリップ等の基板保持具(図示略)によって着脱可能に保持する構成になっている。
【0018】
図2(a)、(b)、図3(a)、(b)等に例示した基板1は、長方形(正方形を含む)のシート状であり、治具本体21は四角枠状になっている。この治具20は、治具本体21の内側に基板1を保持することで、治具本体21が基板1の外周を囲繞した状態となる。
四角枠状の治具本体21は、基板1の上下に配置される両横枠材(上横枠材21a,下横枠材21b)と、一対の縦枠材21cとで構成されている。長方形シート状の基板1は、外周の四辺の内、互いに平行な一対の辺(ここでは、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)に示す基板1の上端部、下端部に対応する一対の辺)を、治具本体21の上下の横枠材21a、21bに沿わせるようにして、治具本体21に取り付けられる。
【0019】
次に、遮蔽体30について説明する。
遮蔽体30は、治具20の治具本体21の下横枠材21bに沿って、その下側に固定して、治具20の下部、治具本体21の下側に延在配置された細長部材である。
この遮蔽体30は、治具20に保持された基板1の下端部近傍に配置されることで、基板下端部の電流集中を抑制するものであり、一部又は全体が、例えば、プラスチック等の電気絶縁性の材料、電気絶縁性の絶縁被覆を施した金属部材などによって形成される。
また、この遮蔽体30は、その下部あるいは全体が、治具本体21から下方に凸の断面山形に形成されており、この断面山形の部分(例えば、後述の遮蔽体310、気泡振り分け部322)が、図1(b)に示すように、基板1をめっき槽12内のめっき液11中に懸垂させて電気めっきを行うときに、めっき液11中を上昇する気泡流を基板1の両側(一方の主面の側1aと、他方の主面の側1b)に振り分ける気泡振り分け部として機能する。
【0020】
図2(a)、(b)に示す治具20(本明細書にて説明する他のめっき用治具との区別のため、説明の便宜上、図中符号20Aを付す)に設けられた遮蔽体30(図中、符号310を付す)は、その断面形状が、治具20Aの治具本体21(詳細には下横枠材21b)から下方に凸の山形になっている。
【0021】
治具20Aにおいて、前記遮蔽体310は、その下端頂部311(下端の頂稜部)が、治具本体21の内側に保持された基板1の延長上に位置する仮想延長面1S上となる(仮想延長面1Sに重なる)ように位置決めされており、さらに、前記頂部311から上端部(治具本体21側の端部)に向かって延在する両側の側面312が前記仮想延長面1Sを介して対称形になっている。
図示例の遮蔽体310は、具体的には、断面二等辺三角形の細長部材になっている。
【0022】
この遮蔽体310は、図2(b)では下端頂部311が尖った形状になっているが、例えば、下端頂部を面取りして湾曲面に形成したり、図4(a)に示すように、下端頂部311に平坦面を形成することも可能である。図4(a)の遮蔽体310に符号310Aを付す。
また、図2(b)では、両側の側面312が、仮想延長面1Sに対して傾斜する平坦面(平坦な傾斜面)になっている構成を例示したが、両側の側面312は、図4(b)に示すように湾曲面(図4(b)中、符号312aを付す)に形成することも可能である。図4(b)の遮蔽体310に符号310Bを付す。
【0023】
この遮蔽体310は、全体が、例えばプラスチック等の電気絶縁性の材料で形成されている。そして、この遮蔽体310は、治具20に保持した基板1の下端面に沿うように配置されているため、基板1をめっき槽12内のめっき液11中に浸潰して電気めっきを行うときに、基板1の下端部の電流集中の抑制に寄与する。
【0024】
なお、治具20の治具本体21も、電気絶縁性のものを採用することで、基板1の端部(外周部)の電流集中を抑制するための遮蔽材として機能させることができる。遮蔽材として機能する治具本体21を採用した場合、その下側に遮蔽体30を設けることで、基板1下端部の電流集中の抑制を、より効果的に実現できる。
治具本体21の構成部材としては、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属部材に絶縁被覆を施したもの、プラスチック等の樹脂製のもの、などを採用できる。治具本体21を、導電性金属部材に絶縁被覆を施したものを使用して構成した場合は、導電性金属部分を、基板1の通電用回路として活用することも可能である。
【0025】
図3(a)、(b)に示すめっき用治具20(図中、符号20Bを付す)の遮蔽体30(図中、符号320を付す)は、遮蔽板321と、この遮蔽板321の下側に突設された気泡振り分け部322とを具備している。
遮蔽板321及び気泡振り分け部322は、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属部材に絶縁被覆を施したもの、プラスチック等の樹脂製のもの、など電気絶縁性の部材によって構成されている。
【0026】
図示例の遮蔽体320において、遮蔽板321は、具体的には、断面コ字形に形成された細長部材であり、その内側に基板1の下端部を収納するようにして、治具本体21に取り付けられる。この遮蔽板321は、具体的には、治具本体21の下側にて前記仮想延長面1Sに対して直交する向きで治具本体21下端部(詳細には下横枠材21b)に沿って延在配置された底板部321aと、この底板部321aの前記仮想延長面1Sから両側に延在されて治具本体21の両側に張り出された端部上にそれぞれ突設された側壁部321bとを具備しており、基板1の下端部を取り囲むように配置され、電気めっき時の基板下端部への電流集中の抑制に有効に寄与する。
【0027】
気泡振り分け部322は、遮蔽板321の長手方向全長にわたって延在配置された細長部材であり、その断面形状が、遮蔽板321(詳細には底板部321a)から下方に凸の山形になっている。
治具20Bにおいて、前記気泡振り分け部322は、その下端頂部323(下端の頂稜部)が、前記仮想延長面1S上となる(仮想延長面1Sに重なる)ように位置決めされており、さらに、前記頂部323から上端部(治具本体21側の端部)に向かって延在する両側の側面324が前記仮想延長面1Sを介して対称形になっている。気泡振り分け部322は、遮蔽板321の底板部321aの下面全体を覆うように設けられている。
図示例の気泡振り分け部322は、具体的には、遮蔽板321の底板部321aの下側に固定された断面二等辺三角形の細長部材になっている。
この気泡振り分け部322も、電気めっき時の基板下端部への電流集中の抑制に寄与する。
【0028】
つまり、この遮蔽体320は、その下部に、下方に凸の断面山形の気泡振り分け部を具備する構成となっている。
この遮蔽体320は、いわば、遮蔽板321の下側に、図2(a)、(b)に例示した遮蔽体310と同様の断面形状の気泡振り分け部322を設けた構成になっている。気泡振り分け部322としては、遮蔽体310と同様に、例えば図4(a)、(b)に例示した断面構造のもの等、遮蔽体310が採用し得る断面構造のものを採用できる。
【0029】
なお、図示例の遮蔽体320は、遮蔽板321に、該遮蔽板321とは別体の部材である気泡振り分け部322を設けた構成を例示しているが、これに限定されず、遮蔽体としては、遮蔽板321と気泡振り分け部322とが一体に形成された1部品からなる構成であっても良い。
また、図3(a)、(b)に示すめっき用治具20Bでは、治具本体21の上端部(上横枠材21a)の上側に、遮蔽体320の遮蔽板321と同様の構造(遮蔽体320から気泡振り分け部322を省略した構造)の遮蔽板325を取り付けている。
【0030】
図1(a)、(b)は、上述のように遮蔽体30を具備する治具20を用いて、基板1をめっき槽12内のめっき液11中に懸垂させて、電気めっきを行う場合を例示している。図1(a)、(b)は、具体的には、治具20として、図2(a)、(b)に例示した治具20Aを採用した場合を例示しているが、これにかえて、図3(a)、(b)に例示した治具30を採用した場合も、治具20の場合と同様に電気めっきを行う。
【0031】
図1(a)、(b)に示すように、遮蔽体30を具備する治具20を用いて、めっき槽12内にて基板1に導体金属膜を形成する電気めっきを行うには、基板1を保持した治具20を、めっき槽12の上方から下降させて、一対のアノード電極14の間にて、めっき槽12内のめっき液11中に浸潰させ、基板1をめっき槽12内のめっき液11中に懸垂させ、基板1をめっき液11中を上昇する気泡流中に配置する。電気めっきは、基板1自体をカソード電極として行う。基板1とともに治具本体21もめっき液11内に浸潰されることは言うまでも無い。
【0032】
ここで、めっき液11中を上昇する気泡16は、治具20の下端の遮蔽体30の気泡振り分け部、治具20Aにおいてはその下端の遮蔽体310によって、基板1の両側に振り分けられて上昇を継続する。つまり、気泡流が、治具20の下端の遮蔽体30の気泡振り分け部によって、基板1の両側に振り分けられる。
既述の通り、気泡振り分け部は、治具本体21から下方に凸の断面山形に形成されており、その両側の側面(遮蔽体30においては側面312)が、仮想延長面1Sに対して傾斜する傾斜面となっているため、気泡振り分け部によって気泡16の上昇が阻害されることはなく、気泡16は上昇を継続する。このため、気泡振り分け部による気泡流の振り分けが、乱流を発生させることなく、円滑に実現される。
この結果、基板1の面内のめっき膜厚の均一化を図ることができる。
【0033】
また、気泡振り分け部は、両側の側面が、仮想延長面1Sを介して対称形になっているため、気泡振り分け部による気泡16の振り分けは、基板1の両側へ均等になされる。このため、基板1表面近傍を上昇する気泡16によるめっき液11の攪拌強度を基板1の両側で等しくすることができ、基板1の両面に形成される導体金属膜の膜厚を同じ(あるいはほぼ同じ)に揃えることができる。
【0034】
上述の効果は、治具20として、図3(a)、(b)に例示した治具30を採用した場合も同様に得られることは言うまでも無い。
【0035】
なお、本発明では、図5(a)、(b)に示すように、治具20の下横枠材21b自体を、その断面全体あるいは下側部分が気泡振り分け部として機能する細長部材である遮蔽体とした構成も採用可能である。図5(a)の治具20に符号20C、図5(b)の治具20に符号20Dを付す。
図5(a)の治具20Cは、図2(a)、(b)を参照して説明した遮蔽体310と同様の構成の細長部材を下横枠材21bとして用いた例、図5(b)の治具20Dは、図3(a)、(b)を参照して説明した遮蔽体320と同様の構成の細長部材を下横枠材21bとして用いた例を示す。
この場合も、遮蔽体(下横枠材21b)は、気泡振り分け部の下端頂部が、治具20に保持された基板1の仮想延長面1S上に位置するように設けられることは言うまでも無い。
【0036】
(浮き子方式のめっき電流遮蔽体を用いる例)
次に、図6(a)、(b)、図8(a)、(b)に示すように、めっき槽12のめっき液11中に浮設される浮き子方式のめっき電流遮蔽体30(以下、遮蔽体、とも言う。また、区別のため、以下、符号330を付す。)を用いる実施形態を説明する。
なお、図6(a)、(b)、図8(a)、(b)において、上側を上、下側を下として説明する。
【0037】
図8(a)、(b)に示すように、この遮蔽体330は、遮蔽板331と、この遮蔽板331の下側に突設された気泡振り分け部332とを具備している。
この遮蔽体330は、めっき液11中での浮力発生用の気体が封入されてなる浮力発生部333を具備しており、この浮力発生部333が発生する浮力によって、気泡振り分け部332が遮蔽板331の下側となる向きで、めっき液11に浮設される。
【0038】
図6(a)、(b)に示すように、この遮蔽体330を用いて、基板1の両面に導体金属膜を形成する電気めっきを行うめっき基板の製造方法は、枠状の基板昇降用治具40(以下、治具、とも言う)の内側に基板1を保持し、この治具40を、めっき槽12内のめっき液11中に懸垂させた状態で電気めっきを行う。
【0039】
前記治具40は、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)に例示しためっき用治具20において遮蔽体30を省略した構成のものであり、枠状の治具本体21自体を治具40として用いるものである。
【0040】
めっき液11の液面付近に浮設された前記遮蔽体330は、基板1を取り付けた枠状の治具40を、めっき槽12の上方から下降させてめっき液11中に懸垂させるときに、治具40の下端部によって下方へ押し下げられる。遮蔽体330は、治具40下端部が、遮蔽板331の底板部331aの上面である押圧面331cを下方へ押圧することで、下方へ押し下げられる。基板1全体がめっき液11中に浸潰され、電気めっきを行うときには、遮蔽体330は、該遮蔽体330自体の浮力によって治具40の下端部(具体的には下横枠材21b)に押圧され、治具40の下側、治具40に保持された基板1の下側に配置された状態となる。
【0041】
遮蔽板331及び気泡振り分け部332は、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属部材に絶縁被覆を施したもの、プラスチック等の樹脂製のもの、など電気絶縁性の部材によって構成されている。したがって、図6(b)のように、基板昇降用治具40の下側、基板昇降用治具40に保持された基板1の下側に配置された状態となれば、電気めっき時の基板1下端部への電流集中の抑制に寄与する。
【0042】
なお、図6(a)、(b)に例示しためっき装置10Aは、図1(a)、(b)に例示しためっき装置10のめっき槽12内に、遮蔽体320のめっき液11中での昇降を案内する昇降案内部材17を設けた構成になっている。
図6(a)、(b)、図7に例示した昇降案内部材17は、めっき槽12内において上下方向に延在するレール状部材である。図7に示すように、この昇降案内部材17は、めっき槽12内において、一対のアノード電極14の間に位置する領域を介して両側に設けられ、細長形状の遮蔽体330の長手方向両端の昇降を案内する。
また、めっき槽12としては、例えば、めっき槽12の側壁内面に遮蔽体330の昇降案内用の案内溝を形成し、この案内溝を形成した側壁自体を昇降案内部材として機能させた構成等も採用可能である。
【0043】
図示例の遮蔽体330において、遮蔽板331は、具体的には、断面コ字形に形成された細長部材である。
図8(a)、(b)に示すように、この遮蔽板331は、具体的には、底板部331aと、この底板部331aの幅方向(図8(a)、(b)左右)両側の端部上にそれぞれ突設された側壁部331bとを具備している。両側壁部331bは、底板部331aを介して、気泡振り分け部332とは反対の側に突設されている。
【0044】
図示例の遮蔽体330においては、浮力発生部333は、遮蔽板331に組み込まれて内蔵されている。
なお、浮力発生部333の設置位置は、これに限定されず、例えば、遮蔽板331と気泡振り分け部332との間、気泡振り分け部332の内部等であっても良い。
【0045】
気泡振り分け部332は、遮蔽板331の長手方向全長にわたって延在配置された細長部材であり、その断面形状が、遮蔽板331(詳細には底板部331a)から下方に凸の山形になっている。
この気泡振り分け部332は、その下端頂部332a(下端の頂稜部)が、遮蔽板331の幅方向(図8(a)、(b)左右方向)中央部、具体的には底板部331aの幅方向中央部に対応するように、遮蔽板331に対して位置決めして設けられている。気泡振り分け部332は、遮蔽板331の底板部331aの、前記押圧面331c(具体的には、両側の側壁部331bの間に位置する底板部331a上面)とは反対の側に、その下端頂部332aが、底板部331aの幅方向中央部を通り前記押圧面331cに直交する仮想垂直面330S上となる(仮想垂直面330Sと重なる)ように設けられている。
【0046】
また、この気泡振り分け部332は、前記下端頂部332aから上端部(治具本体21側の端部)に向かって延在する両側の側面332aが前記仮想垂直面330Sを介して対称形になっている。気泡振り分け部332は、遮蔽板331の底板部331aの下面全体を覆うように設けられている。
図示例の気泡振り分け部332は、具体的には、遮蔽板331の底板部331aの下側に固定された断面二等辺三角形の細長部材になっている。
この気泡振り分け部332も、電気めっき時の基板下端部への電流集中の抑制に寄与する。
【0047】
上述の遮蔽体330は、その重心位置が仮想垂直面330Sに重なる位置とされ、さらに、浮力発生部333が発生する浮力が仮想垂直面330Sの両側で均等に作用して、めっき液11に浮設したときに、仮想垂直面330Sが鉛直になるように構成されている。
なお、図示例の遮蔽体330は、遮蔽板331に、該遮蔽板331とは別体の部材である気泡振り分け部332を設けた構成を例示しているが、これに限定されず、遮蔽体としては、遮蔽板331と気泡振り分け部332とが一体に形成された1部品からなる構成であっても良い。
【0048】
上述のめっき装置10Aにて、基板1の両面に導体金属膜を形成する電気めっきは、既述のように、基板1を保持した枠状の治具40をめっき槽12上方から下降させ、治具下端部(下横枠材21b)によって遮蔽体330を押し下げながら、めっき槽12内のめっき液11中に挿入して懸垂させ、治具40及び基板1をめっき液11中を上昇する気泡流中に配置した状態で行うが、但し、治具40を、該治具40に保持された基板1の延長上に位置する仮想延長面1Sが遮蔽体330の仮想垂直面330Sに一致するように、遮蔽体330に対して位置決めする。これにより、めっき液11中を上昇する気泡16が遮蔽体30の下部の気泡振り分け部332によって、基板1の両側へ円滑に振り分けられる。
治具40は、例えば、めっき装置10Aに設けた昇降装置13によって昇降することで、仮想延長面1Sが遮蔽体330の仮想垂直面330Sに一致するように昇降させることができる。
【0049】
めっき装置10Aでは、遮蔽体330のめっき液11中での昇降を円滑にするために、遮蔽体330と昇降案内部材17との間に僅かなクリアランスを確保して、遮蔽体330を、めっき液11中での揺動を許容した状態でめっき槽12に昇降自在に設置する。遮蔽体330は、治具40によってめっき液面から下方へ押し下げられたときには、遮蔽体330自体の浮力(詳細には浮力発生部333が遮蔽体330の浮力を発生する)によって、治具40下端部に押圧状態に接触されて、仮想垂直面330Sが鉛直となる向きが維持される。
このため、気泡振り分け部332による基板1の両側への気泡16の振り分けは均等かつ乱流を発生させること無く円滑になされ、基板1の両側で、気泡16によるめっき液の攪拌強度を均等にすることができる。その結果、基板1の両側の各面内におけるめっき膜厚の均一化を図ることができ、基板1の両面に形成されるめっき膜厚を揃える(同一あるいはほぼ同一にする)ことも容易に実現できる。
【0050】
上述のように、気泡振り分け部332の上側の遮蔽板331に浮力発生部を内蔵した構成であれば、遮蔽体330をめっき液11に浮設したときに、遮蔽板331の下側に位置する気泡振り分け部332を、めっき液11中にて前記仮想垂直面330Sが鉛直となるように遮蔽体330の姿勢の安定化を図る錘として機能させることができる。この点、気泡振り分け部332として遮蔽板331よりも比重が大きいものを採用して、遮蔽体330の重心位置を出来るだけ下側、気泡振り分け部332の下端頂部332a寄りの位置となるようにすることが好ましい。
また、仮想垂直面330Sを中心とする対称形に形成された気泡振り分け部332を具備する遮蔽体330は、気泡16を基板1の両側へ均等に振り分けることから、めっき液11中を上昇する気泡流に接触された状態にあっても揺動しにくい。
これらの構成により、遮蔽体30は、めっき液11中の気泡流内に配置された状態であっても揺動しにくく、仮想垂直面330Sが基板1の仮想延長面1Sと一致した状態を安定に維持でき、気泡16を基板1の両側へ均等に振り分ける機能を安定に維持できる。
【0051】
なお、治具40は、例えば、遮蔽体330の押圧面331cに当接される平坦な下端面41(仮想延長面S1に直交する平坦面)を形成すること等により、遮蔽体330が、該遮蔽体330自体の浮力によって治具40に押圧されたときに、遮蔽体330の揺動を規制あるいは抑える構成とすることが好ましい。また、遮蔽体330の揺動を抑えるための治具40の構成としては、例えば、治具40下端部から両側に張り出すように、遮蔽体330の押圧面331cに対する当接範囲を増大するための突片を突設した構成等も採用可能である。
【0052】
また、上述のように、めっき液11に浮設しておいた遮蔽体330を、その上方から下降させた治具40によって下方へ押し下げて、治具40下端部の下側に配置する構成は、基板1のサイズに対応して、使用する治具40のサイズも変更しても、基板1の下側に遮蔽体330を設置することができる、という利点もある。
【0053】
電気めっきの完了後、めっき槽12から治具40を引き上げると、遮蔽体330は、該遮蔽体330自体の浮力によりめっき液11中を上昇して、めっき液11の液面付近に浮設された状態に復帰する。
【0054】
本発明では、例えば図9(a)、(b)に示すように、基板昇降用治具として、基板1の下端部の下側に該基板昇降用治具の構成部材が存在しない構成のものを採用して、基板1を懸垂させた状態を保ったままめっき液11上から下降させてめっき液11中に浸潰するときに、基板1の下端部自体によって、遮蔽体330を下方へ押し下げるようにしても良い。図9(a)、(b)は、一例として、治具40から下横枠材21bを省略した構成の基板昇降用治具40Aを示す。
このとき、基板1としては、例えば、厚手のプリント配線板、半導体ウェハ等、遮蔽体330の浮力によって遮蔽体330から与えられる押圧力によって変形しない程度の強度を有するものであることが好ましい。
【0055】
図10は、図7(a)、(b)において、遮蔽体330にかえて、図13(a)、(b)に例示した遮蔽体103を採用してめっきを行った(比較例)時のめっき膜厚の測定結果、図11は、図7(a)、(b)を参照して説明しためっき基板の製造方法、つまり、遮蔽体330(本発明に係る遮蔽体)を用いてめっきを行った(実施例)時のめっき膜厚の測定結果、を示す。
遮蔽体103は、遮蔽体330の場合と同様に、めっき槽12の昇降案内部材17によって、めっき液11中での揺動を許容して、その昇降が案内されるように設置する。
【0056】
図10、図11に示す測定結果は、いずれも、図12に示すように、基板1として、長方形シート状のプリント配線板(図12中、符号1A)を用い、電気めっきの完了後の基板1について、その両面のめっき膜厚を測定したものである。めっき膜厚の測定値は、図12に示す長方形シート状の基板1の幅方向(図12左右方向)中央部におけるめっき膜厚を測定したものであり、図10、図11において横軸は、図12に示す長方形シート状の基板1の幅方向(図12左右方向)中央部における基板1上端(長手方向片端。図12上端)から下方への距離(cm)、縦軸はめっき膜厚(μm)である。電気めっきの電流密度は3.0A/dm2、めっき時間は30分である。
【0057】
図10、図11を対比参照して判るように、図13(a)、(b)に例示した遮蔽体103を採用してめっきを行った場合に比べて、本発明に係る遮蔽体330を採用した場合は、基板1の両面でのめっき膜厚の差が小さく、めっき膜厚はほぼ同じに揃っている。また、図13(a)、(b)に例示した遮蔽体103を採用してめっきを行った場合に比べて、本発明に係る遮蔽体330を採用した場合の方が、基板1の各面の面内のめっき膜厚のばらつき、最小値と最大値との差が小さく、各面内におけるめっき膜厚の均一性が向上していることが明らかである。
【0058】
なお、本発明に係るめっき電流遮蔽体、めっき用治具、めっき装置、めっき基板の製造方法は、基板の両面(主面1a,1b)に導体金属膜を形成してなるめっき基板の製造に限定されず、基板の片面のみに導体金属膜を形成することにも適用可能であることは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係るめっき用治具を用いるめっき基板の製造方法を説明する図であって、(a)は基板を保持しためっき用治具をめっき槽に挿入する前、(b)はめっき用治具及び基板をめっき槽内のめっき液中に浸潰した状態を示す。
【図2】本発明に係るめっき用治具の構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断面矢視図である。
【図3】別態様のめっき用治具の構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は図3(a)のB−B線断面矢視図である。
【図4】(a)、(b)は、図2のめっき用治具に設けられるめっき電流遮蔽体の変形例を示す図である。
【図5】(a)、(b)は、本発明に係るめっき用治具の変形例を示す図である。
【図6】浮き子方式のめっき電流遮蔽体を適用しためっき装置を用いためっき基板の製造方法を説明する図であって、(a)は基板を保持しためっき用治具をめっき槽に挿入する前、(b)はめっき用治具及び基板をめっき槽内のめっき液中に浸潰した状態を示す。
【図7】図6のめっき基板の製造方法に適用されるめっき装置のめっき槽の昇降案内部材の一例を示す平面図である。
【図8】図6の浮き子方式のめっき電流遮蔽体を示す図であって、(a)はめっき槽内のめっき液の液面付近に浮設した状態、(b)は前記めっき電流遮蔽体をめっき液中を上昇する気泡流中に配置した状態を示す図である。
【図9】(a)、(b)は、本発明に係るめっき基板の製造方法の他の態様を説明する図である。
【図10】従来例の浮き子方式のめっき電流遮蔽体を用いてめっきを行った基板のめっき膜厚の測定結果を示すグラフである。
【図11】本発明に係るの浮き子方式のめっき電流遮蔽体を用いてめっきを行った基板のめっき膜厚の測定結果を示すグラフである。
【図12】図10、図11の測定結果に係る、基板におけるめっき膜厚の測定位置を説明する図である。
【図13】(a)、(b)は、従来例の浮き子方式のめっき電流遮蔽体、それを用いためっき基板の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1…基板、10、10A…めっき装置、12…めっき槽、15…散気部、17…昇降案内部材、20、20A、20B、20C、20D…めっき用治具、21…治具本体、30…めっき電流遮蔽体、310、310A、310B…めっき電流遮蔽体、311…下端頂部、312…側面、320…めっき電流遮蔽体、322…気泡振り分け部、323…下端頂部、324…側面、330…めっき電流遮蔽体、332…気泡振り分け部、332a…下端頂部、332b…側面、333…浮力発生部、40…基板昇降用治具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(1)をめっき液(11)中に懸垂させ電気めっきを行う際に、前記基板の両面又は片面の電流密度をそれぞれ均一化させるために、前記基板の下端部に設けられるめっき電流遮蔽体であって、
前記基板の下端部に沿ってその下側に延在配置される細長部材であり、その下部あるいは全体の断面形状が、下方に凸の山形とされ、
この断面山形部分が、前記めっき液中を上昇する気泡流を前記基板の両側に振り分ける気泡振り分け部(310、322、332)として機能することを特徴とするめっき電流遮蔽体(30、310、310A、310B、320、330)。
【請求項2】
前記気泡振り分け部は、その下端頂部(311、323、332a)から前記基板側の上端部に向かって延在する両側の側面(312、324、332b)が対称形に形成されていることを特徴とする請求項1記載のめっき電流遮蔽体。
【請求項3】
めっき液中での浮力発生用の気体が封入されてなる浮力発生部(333)を具備しており、前記めっき液に浮設されることを特徴とする請求項2記載のめっき電流遮蔽体。
【請求項4】
めっき液中に懸垂させて電気めっきを行う基板を保持して昇降され、前記基板とともに前記めっき液中に浸潰されるめっき用治具であって、
前記基板の外周を囲繞する枠状の治具本体(21)の下部に、請求項1又は2記載のめっき電流遮蔽体を具備することを特徴とするめっき用治具(20、20A、20B、20C、20D)。
【請求項5】
基板(1)をめっき液(11)中に懸垂させて電気めっきを行うためのめっき装置であって、
前記めっき液を貯留するめっき槽(12)に、前記めっき液に浮設した請求項3記載のめっき電流遮蔽体と、この電流遮蔽体のめっき液中での昇降を案内する昇降案内部材(17)と、前記めっき槽の底部に設置され前記めっき液中に気泡を放出する散気部(15)とが設けられていることを特徴とするめっき装置(10A)。
【請求項6】
基板(1)をめっき液(11)中に懸垂させて、その両面に電気めっきを行うめっき基板の製造方法において、
前記基板を懸垂して、その下側に請求項1〜3のいずれかに記載のめっき電流遮蔽体が設けられた状態で、前記めっき液中に浸潰し、
前記めっき液中を上昇する気泡流中にてめっきを行うことを特徴とするめっき基板の製造方法。
【請求項7】
請求項3記載のめっき電流遮蔽体を用いる請求項6記載のめっき基板の製造方法であって、
前記基板を懸垂させてめっき液に浸漬する時に、前記基板の下端部あるいは前記基板を囲繞する枠状の基板昇降用治具(40)の下端部によって、めっき液に浮設しておいた前記めっき電流遮蔽体を押圧して下方へ移動し、前記めっき電流遮蔽体が、該めっき電流遮蔽体自体の浮力によって、前記基板もしくは前記基板昇降用治具に接触した状態でめっきを行うことを特徴とするめっき基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−102699(P2009−102699A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276119(P2007−276119)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(597079681)株式会社 大昌電子 (42)
【Fターム(参考)】