説明

ろ過装置

【課題】助剤ろ過装置の残液回収、助剤洗浄、助剤脱水、助剤乾燥の一連の操作に於て、残液量が少なく、残液処理時間が短く、脱水ケーキ回収のために使用する高圧空気や洗浄水量が少なく、しかもエネルギー消費量が少ない助剤ろ過装置を提供する。
【解決手段】一対の二種類の異なる形状のフィルターを有するろ過装置で、一方のフィルター内側に原液を供給し、ろ過清澄化された液を回収する容器と、前記フィルターの端面内部に配置したもう一方のフィルターにより、前記フィルター内部の原液をろ過清澄化したろ過液を回収する容器を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体中の懸濁物質の分離を行うろ過に関し、助剤とその助剤の保持用フィルターを有する助剤ろ過装置で、被ろ過液が全て濾過できる残液が残らない装置構造とろ過システムで、必要に応じて助剤の脱水、乾燥を行う技術を提供する。また、使用済みろ過助剤を必要に応じて水洗浄し、一定水分まで脱水または乾燥処理することができる助剤ろ過、脱水、乾燥技術に関する。
【背景技術】
【0002】
助剤ろ過装置の代表的装置として珪藻土ろ過装置がある。装置形状は様々あり、大量処理から少量処理まで機種も豊富である。その中で、たとえば食品工場では多品種少量生産のために品種切り替え作業に伴うろ過残液処理における処理時間と処理の問題があり、また、使用済み助剤は一般に廃棄処理されてきたが、環境問題や低カーボン社会構築に向けての削減化、再利用、リサイクルの必要性、さらに液体清澄化におけるエネルギー効率の観点と資源有効活用の観点から、助剤使用量の削減化と省エネルギー化が強く求められる時代となってきている。(例えば、非特許文献1 参照)
【0003】
これまで、多品種化に対応するための残液を回収する助剤ろ過装置としてキャンドル型フィルターが開発されてきた。キャンドル型ろ過装置には、ケーシングの天井面からろ過フィルターを吊り下げたろ過フィルター吊下型と、ケーシングの底面にろ過フィルターを立設したろ過フィルター立設型があり、いずれもろ過装置内の残液回収が可能である。(例えば、特許文献1、2、3、4 参照)
【0004】
また、助剤の洗浄後の脱水を可能にしたろ過エレメント吊下型では別に立設エレメントを設けた助剤ろ過装置があるが自動化されていない。これらのろ過装置は、ろ過残液処理および助剤洗浄処理に必要な時間に制約がない場合と洗浄脱水ケーク回収作業に衛生面上、または作業時間の制約がない場合には十分使用が可能であった。(例えば、特許文献3 参照)
【0005】
一方、助剤の使用量を削減化する方法として、キャンドルフィルター構造をフィルター外面に助剤を堆積させる外圧型フィルターを改めてフィルター内面に助剤を堆積させる内圧型フィルターに変更し、前記内圧型フィルター面にリブを溶接した特殊形状の内圧型キャンドルフィルターにより、フィルター面での助剤の保持力を強化することで、助剤使用量が削減化できる助剤ろ過装置が開発されている。前記助剤ろ過装置により、助剤洗浄時間の削減と助剤使用量の低減化が図られると指摘している。(例えば、特許文献5 参照)
【0006】
医薬品、化成品、セラミックなどの微粒子を含有するスラリー用ろ過脱水乾燥装置では、水平円盤フィルターにより、前記スラリー中の微粒子をろ過脱水後、熱風乾燥で乾燥粉末とする方法が取られている。前記ろ過脱水乾燥装置は多機能を有するコンパクトな装置であるが、乾燥粉末製造能力がろ過面積に比例することから、スケールアップに限界があり、製造量の増加対応には同一機種を複数台設置する必要があった。(例えば、非特許文献2、3 参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3085791(段落0001−0009第1図)
【特許文献2】特開平11−114329(段落0001−0011 第1図)
【特許文献3】特開2001−314708(段落0002−0009 第4図)
【特許文献4】特開2010−119939(段落0001−0013 第3図)
【特許文献5】特開2009−233565(段落0002−0016第3図)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】古川俊夫「リサイクルを考慮した珪藻土濾過システム」日本醸造 協会誌 94,635−649(1999)
【非特許文献2】日本液体清澄化技術工業会編「ユーザーのための実用個液分離技術」分離技術会 236−238(2010)
【非特許文献3】日本化学機械製造株式会社「加圧濾過機」カタログTK.2008.09.1000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1に示すように、食品や健康食品、醸造発酵製品、医薬品などの製造工程で広く使用されている助剤ろ過装置、特に珪藻土ろ過装置には多数の形式があるが、少量多品種化に対応するために残液を全てろ過することができるろ過装置は限られている。その中で、ろ過装置内に残留する残液が回収できる助剤ろ過脱水装置が開発されてきたが、残液処理時間が長いこと、また資源の有効活用の観点から洗浄脱水した脱水ケーク回収を行うために多量の高圧空気と水資源が使われ、エネルギー消費の削減化が課題であった。
【0010】
特許文献1、2、3はろ過機内に残存する残液処理方法として残液回収専用フィルターを採用し、残液のろ過回収が可能であるが、ろ過装置内の残液量に対する残液処理用フィルター面積が少ないこと、メインのろ過フィルターから脱落する助剤が残液処理用フィルターに捕捉され助剤厚みがろ過抵抗となることから、高圧空気を用いる残液処理時間に長時間を要し、ろ過液の濁度が上昇する問題があった。このため、残液処理に必要な高圧空気量が増え、省エネルギー型ろ過装置の開発が求められていた。
【0011】
特許文献4は残液専用フィルターを用いずにろ過フィルターをケーシング底面の平板面に立設することで残液回収をも兼ねる構造となっている。このシンプルな構造により装置コストの低減化ができるのに対して、特許文献1、2、3が有する残液回収フィルターは装置構造を複雑にし、コスト増を招くと共に助剤ケーク回収にも課題が残るとしている。しかし、特許文献4においても、残液回収に要する時間は短縮できるが、装置の大型化に伴いやはり高圧空気使用量は多く、さらに助剤の脱水機能がないために特別な脱水装置を用いなければならず、リサイクル可能な助剤を回収する設備に関する記載もない。このため、特許文献4では省エネルギー型でリサイクル可能な助剤の回収が提供できていない。
【0012】
特許文献1、2、3、4は、いずれも圧力容器内にキャンドル型フィルターを懸垂または立設する構造であるため、ろ過残液は容器内面とケークを有するフィルター外表面の空間部分に残る。このため、ろ過機が大型化すると前記残液量も増加し、残液処理時間も増加することになる。さらに、前記残液をフィルター外面から内面に向けて高圧空気などで押し出す場合、装置の大型化に伴い多量の高圧空気が必要となり、大型コンプレッサーの設置が必要不可欠でエネルギーロスを招いていた。
【0013】
特許文献5は、特許文献1、2、3、4の問題点を解決するろ過装置の提案で、キャンドルフィルターの構造がリブを有する内圧型フィルターに変更されることでろ過機内の残液量がフィルター容量に限定されることから、前記残液を高圧空気でろ過処理した場合、高圧空気量が少なく、前記残液処理時間が短縮できるとしている。また、外圧型および内圧型キャンドルフィルターに堆積する助剤(例えば、珪藻土)には、原液の濁質性物質と原液成分が付着保持され、通常この液量は助剤重量の2倍とされ、厳密には製品ロスになるため、脱液率を上げることが望まれている。さらに、原液が有機物の場合には脱液された助剤であっても腐敗し、長時間の放置で異臭を放つことが多い。これを避けるため、温水と高圧空気を用いたバブリング洗浄が一般的に行われる。この洗浄時に助剤がフィルターから簡単に剥離してフィルターの目詰まりを起させないようにすることが重要で、特許文献1、2、3、4に示す外圧型キャンドルフィルターではフィルター内部からの高圧空気と水のバブリング作用で助剤(例えば、珪藻土)を浮遊させて洗浄し、特許文献1、2、4では助剤と水のスラリーをろ過装置外に廃棄する方法を、特許文献3ではろ過機内に内蔵する別のフィルターで助剤の脱水を行い脱水固形物としてろ過装置から排出する方法が提示されている。この場合においても、残液処理と同様に外圧型フィルターを有するろ過装置では助剤の洗浄に多量の水と多量の高圧空気が必要であり、省エネルギー型ろ過機と言えない。この点は、特許文献5の内圧型フィルター構造により洗浄水と高圧空気量の削減が可能で、省エネルギー型ろ過装置を提案できると言える。特許文献3では、平面構造の脱水用フィルターに付着した助剤ケークを手作業または高圧空気で剥離させる回収法であるが、助剤ケークの飛散や完全回収に課題があり非衛生的な作業形態であった。特許文献5では、リブを有する内圧型フィルター構造を生かして、脱水助剤を円筒ドーナツ状にフィルター表面に付着させることができ、省エネルギーで助剤の脱水が可能であるにも拘らず、リブとフィルター接合部に残留する助剤の除去が困難なこと、さらに懸垂するフィルター装置構造から容易に脱水ケークを取り出すことができず、詳細な記載はないが、特許文献1、2、4と同様に洗浄水と共に助剤をスラリーとしてろ過装置外部に排出せざるを得ない問題があった。
【0014】
非特許文献2、3はろ過脱水乾燥装置の実用例が示されており、水平円盤型フィルターを用いることで、助剤ろ過や各種微粒子を含むスラリーのろ過ができ、容易にケークの脱水が可能で、さらにそのケークの乾燥までも加熱ヒーターなどを付帯させることでコンパクトなろ過脱水乾燥装置が提供できる。しかし、装置の能力増加を行う場合、フィルター面積を増加せねばならず、水平円盤フィルターの大型化に伴う大外径フィルターの製作上の制約と圧力容器としての構造上の問題があり、一定の大きさの装置を複数台設置しなければならない。さらに、助剤ろ過でこの形式の装置を用いた場合、ろ過装置容積に対するろ過フィルター面積の比率が小さいために脱水に伴う高圧空気量と助剤の洗浄に必要な洗浄水量が、使用助剤量に対して極めて大量になり、省エネルギー型ろ過装置になり得ない点が問題である。
【0015】
本発明は、このような従来の問題を解決しようとするもので、ろ過終了時点での残液量を削減し、残液処理時間を短縮すると共に、助剤の洗浄脱水処理時間においても短時間処理が可能なろ過脱水装置を提供し、さらに必要に応じて脱水ケークの乾燥を短時間で行え、その上で乾燥ケークの排出および回収が簡便に行える装置の提供を目的にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、一対の二種類の異なる形状のフィルターを有するろ過装置で、一方のフィルター内側に原液を供給し、ろ過清澄化された液の回収をする容器と、前記フィルターの端面内部に配置したもう一方のフィルターにより、前記フィルター内部の原液をろ過清澄化したろ過液を回収する容器を有しているろ過脱水装置を提供することにより上記課題を解決したものである。
【0017】
前記二種類の異なる形状のフィルターは、一つは筒状のフィルター内面が平滑の筒状フィルターで、もう一つは前記筒状フィルターの内径よりも小径の板状もしくは筒状構造を有する端面フィルターで、前記筒状フィルターの端面に配置され、前記筒状フィルターと前記端面フィルターを一対としたフィルターユニットをろ過機本体に組み込んだろ過脱水装置である。
【0018】
また、前記ろ過機本体が回転可能となるように、前記ろ過機本体に中空パイプを接合し、前記中空パイプ内に原液、ろ過液、洗浄液、高圧空気、高温ガスの流体が供給できる配管およびバルブを付帯する構造で、前記ろ過機本体と前記中空パイプを支持回転可能とする軸受けを有するろ過脱水装置である。
【0019】
さらに、前記ろ過脱水装置において、無機物、有機物およびその混合物から構成される微粒子を含有する懸濁液のろ過と高温ガス供給により脱液後の微粒子を乾燥することができるろ過脱水乾燥装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、懸濁微粒子を含む原液に予め添加されたろ過助剤を活用する助剤ろ過用フィルターとして、片側が開放されている筒状の内面が平滑な筒状フィルターと他端に前記筒状フィルターの内径よりも小径の板状もしくは筒状の端面フィルターを有する一対のフィルターユニットを用いることにより、ろ過の進行に伴い前記助剤ろ過に使われる助剤が前記筒状フィルター内面に堆積するにつれ、自ずと堆積助剤の表面内径が縮小する現象を利用し、結果として滞留する原液量が少なくなることに着目したものである。このような状態でろ過工程を終了させてろ過機本体内のろ過残液量の削減化が可能になる。そこで、前記筒状フィルター内に残存する少量の残液を前記端面フィルターによりろ過することで短時間の残液処理が可能になる。また、助剤の洗浄時には前記端面フィルターからの高圧空気と洗浄水のバブリングにより助剤の洗浄効果を促進することが可能で、しかも使用する洗浄水量と高圧空気量が少量で済むことから省エネルギー型ろ過脱水装置を提供することができる。
【0021】
本特許は、特許文献1、2、3に示される助剤ろ過装置同様に、残液回収用のフィルターが付帯しているが、前記特許文献1、2、3に記載される円筒外面のフィルターに助剤を堆積する方法においては、ろ過の進行に伴い堆積助剤外径が増加し、前記堆積助剤の円筒外面フィルターへの付着力は、ろ過圧力の維持に依存し、僅かな振動や原液ポンプの圧力変動などで剥離しやすい構造になっている。このため、残液処理操作において、ポンプ停止時の高圧空気加圧操作のタイミングと圧力調整が難しく、操作のミスに伴い前記堆積助剤の脱落により、前記残液回収用フィルターに過度の助剤が堆積し、益々残液処理時間が延長する現象が発生する。この現象は、本特許に示す前記筒状フィルター内面においては起こらず、ろ過の進行に伴い締まりながら助剤が堆積することから、残液処理において前記筒状フィルター内面からの助剤の脱落がなく、安定して短時間で残液処理が行われる。
【0022】
特許文献4は、外圧型外面フィルターを立設して助剤ろ過および助剤の洗浄を、大きなろ過面積を生かして、特許文献1、2、3に比べ処理時間の短縮が図れるものの、本特許が示す残液処理および助剤の洗浄脱水の全体の処理時間の短縮化と高圧空気と洗浄水の使用量の削減化には及ばず、特許文献4では実現できない省エネルギー型で脱水助剤の回収が可能なろ過脱水装置を本特許は提供できる。
【0023】
本発明の前記端面フィルター面積に対する残液量の比率と特許文献1、2、3、4の前記外圧型外面フィルター面積に対する残液量の比率(L/m)を比較した場合、前者が後者よりも小さく、その結果残液処理時間の短縮が可能になる。また、助剤の洗浄においても同様な理屈により短時間で行えることから、本特許により高圧空気や洗浄水の使用量が削減化され、大型コンプレッサーなどのエネルギー多消費設備は不要で、省エネルギー型ろ過脱水装置が提供できる。また、ろ過機本体の回転により助剤の洗浄、脱水、脱水助剤ケークの回収が確実に簡便に行える。
【0024】
特許文献5は、本特許同様に内圧型フィルターを使用しているが、助剤のフィルター面への付着力を強化するためにリブを設け、その結果助剤使用量が減少できるとしたが、リブ構造により助剤の洗浄と脱水が効率良くできず、脱水助剤の回収が不可能であった。これに対して、本特許はろ過機本体を回転することができ、残液処理、助剤洗浄、助剤脱水、脱水ケーク回収の各工程が前記ろ過機本体の最適な位置に回転することで作業効率やエネルギー消費が少なくて済む運転が可能になる。
【0025】
非特許文献2、3に示すろ過脱水乾燥装置は医薬品、化成品、セラミック製造に使われるが、装置のスケールアップにおいて円盤状フィルター構造に限界があり、さらにろ過面積当たりのホールド原液量の比率(L/m)が大きく、ろ過処理、脱水処理、乾燥処理の各工程における作業時間も長くなっていた。これに対して、本特許は、ろ過機本体とろ過面積を任意に増加でき、スケールアップが簡単に行えること、また、ろ過面積当たりのホールド原液量の比率(L/m)が前記筒状フィルターの採用で極めて小さくできることから、ろ過、脱水の時間短縮が可能である。脱水ケークの乾燥において、乾燥速度の増加を狙った場合、乾燥工程での熱移動量のQ=UAΔTlnで示されるU値(総括伝熱係数)の増加、脱水ケーク表面積A(伝熱面積)の増加、ΔTln(対数温度差)を高めることが乾燥速度の向上になるとされるが、非特許文献2、3に示される大型バッチ式ろ過乾燥装置の構造では、熱風などの熱媒体と被乾燥物である脱水ケークの接触面での乱流促進が構造的に難しく高いU値が望めないこと、さらに、処理量増加として制限されたろ過面積に対して被脱水乾燥物質の厚みの増加が必須であることから、被乾燥物単位重量当たりのろ過面積が小さくなる傾向があり、ろ過面積Aの増加に制限がある。これに対して、本特許の前記筒状フィルター内を通過する乾燥用高温ガスの循環量を増加することにより、U値を高めることは可能で、また前記筒状フィルターの本数と長さの増加でろ過面積Aは任意に増加できることから、乾燥時間の短縮化とエネルギー効率の向上は容易に図れる。以上のことから、本特許はろ過、脱水、乾燥を効率良く行うことが可能で省エネルギー型ろ過脱水乾燥装置を提供することが可能となる。一方、脱水されたケークまたは助剤および乾燥されたケークの前記ろ過脱水乾燥装置からの排出は、前記ろ過機本体を水平に回転させることにより、脱水および乾燥の完結が作業員の目視で容易に確認でき、脱水ケークまたは乾燥ケークはバキュームクリーナーにて簡便且つ衛生的に吸引回収される。このため装置外部へのケーク微粒子の飛散などが起こらず、微粉飛散に伴う作業環境の悪化などを惹起しないシステム提供が可能である。高付加価値製品である微粒子素材においては高品質を維持した形で、且つ毒物劇物である場合でも高効率かつ衛生的な操作で回収が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ろ過機本体基本概念図
【図2】ろ過機本体と付帯するタンク、ポンプ、バルブおよび配管フロー図
【図3】ろ過機本体構造図
【図4】フィルター構造図
【図5】助剤をフィルター面に貼り付けるプリコート工程図
【図6】原液をろ過する本ろ過工程図
【図7】配管およびろ過機内の残液を高圧空気によりろ過する残液ろ過工程図
【図8】装置および助剤ケークを洗浄する水洗浄工程図
【図9】助剤をフィルター内に回収し最終的に脱水する助剤脱水工程図
【図10】脱水助剤ケークを回収する脱水助剤回収工程 図
【図11】ろ過、脱水、乾燥用装置概要図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1はろ過機本体基本概念図
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2は本発明を適用したろ過機本体とその周辺機器のフロー図、図3はろ過機本体の構造図、図4は二種類のフィルター構造図、図5〜10に助剤プリコート工程、ろ過工程、残液ろ過工程、水洗浄工程、助剤洗浄工程、助剤脱水工程、脱水助剤回収工程の一連の作業内容を示す工程図であり、図11はろ過脱水乾燥装置概要図である。
【0028】
図1はろ過機本体基本概念図で、筒状フィルター9と端面フィルター10に接続される筒状フィルター9を通過したろ過液、洗浄水、高圧空気の流体を回収する容器と端面フィルター10を通過したろ過液、洗浄水、高圧空気の流体を回収する容器でろ過機本体が構成され、管状フィルター9、前記流体を回収する容器、端面フィルター10をA−AならびにB−Bの矢印方向に切断したA−A切断視ならびにB−B切断視で、管状フィルター9の形状および端面フィルター10の形状が円盤状もしくは円筒状のフィルター概要を示している。
【0029】
図2は、助剤ろ過に必要な原液タンク1に付帯する前記助剤の均一攪拌をするための攪拌機2、循環タンク3に付帯する前記助剤の均一攪拌をするための攪拌機4、原液タンク1および循環タンク3に接続する配管15、17とバルブ16、19を介して送液用のポンプ5が接続され、配管20、21とバルブ18およびロータリージョイント13を介して、導水管11、配管24からろ過機本体6に流体が導入される。ろ過機本体6にはフィルターユニット36が配置され、筒状フィルター9の内部他端の端面フィルター10で構成されている。フィルターユニット36を通過した流体はバルブ25、26、27を介してろ過機本体6に直角に接合された導水管11を通過し、ロータリージョイント13を介して配管28、バルブ29を通過した流体はろ過液タンク14に入る。一方バルブ30を通過した流体は配管31を通過して循環タンク3に戻る。また、配管28に接続するバルブ32は処理流体の排水系統に接続される。さらに、高圧空気の導入時は、一つは配管35、バルブ18を介して配管17に接続、もう一つは配管35、バルブ33を介して配管28に接続されろ過機本体6に導入される。
【0030】
図3は、ろ過機本体構造図で、複数のフィルターユニット36を設置することでろ過面積が任意に変更可能であることを示す。ろ過機本体6の中央部に導水管11が直交する形で両サイドに接合され、導水管11を回転軸としてろ過機本体6を回転可能とするための回転軸受12が両サイドに設けられ、導水管11の両端には回転自在のロータリージョイント13が設置される。ろ過機本体6と導水管11は、配管24、バルブ25、26、27で接続され、さらにロータリージョイント13には配管21、28が接続され、バルブ18、22、29、30を介して配管23、31が接続される。また、フィルターユニット36のD−D矢視の縦断面図をろ過機本体6内に示した。さらにろ過機本体6およびフィルターユニット36のC−C矢視の断面図を示した。
【0031】
図4はフィルター構造図で、フィルターユニット36の構成と筒状フィルター9および端面フィルター10の一例を示す。例えば、筒状フィルター9に適する構造としては、小孔を有する多孔板を円筒状に成型したものや小孔を有する焼結円筒でも良く、さらにウエッジワイヤーを円筒状に加工した内面が平滑な構造物でも良い。また、端面フィルター10の事例としては、円盤状の多孔盤や外面が平滑なウエッジワイヤーを用いた筒状のフィルター、さらに多孔板円筒や焼結管なども適用可能で、ろ過面積を増加できる円筒型フィルターが好ましい。
【0032】
図5は助剤のプリコート工程図である。この工程では、フィルターユニット36内部の端面フィルター10を上部に配置するようにろ過機本体6を回転した状態で助剤を筒状フィルター9の内面と端面フィルター10の外面にそれぞれプリコートする。この操作で、フィルターユニット36内にある空気をろ過機本体6から排出することが可能で、この工程でのフィルターユニット36の配置は、助剤のプリコート工程のみならず、本ろ過工程の初期に使う。所定量の原液と助剤を循環タンク3に供給し、攪拌機4により均一混合後、バルブ19、18、25、26、27、30を全開として、ポンプ5をゆっくり回転し、ろ過機本体6内に残存する空気を系外に排出した後、ポンプ5の回転数を増加し、配管31から循環タンク3に循環しながら原液濁度の低減を待つ。所定の濁度になった段階で、本ろ過工程を始める。この時、循環タンク3の清澄な液をバルブ29の全開とバルブ30の全閉により透過液タンク14に移送し、その液量の減少にあわせて、原液タンク1に添加された助剤の混合を攪拌機2により行いながら、バルブ16を全開とし、バルブ19を徐々に閉鎖して、本ろ過工程に入る。
【0033】
図6は本ろ過工程図で、端面フィルター10に助剤がプリコートされ、所定時間経過した後、ろ過機本体6を180度回転させ、端面フィルター10のろ過を止めるため、バルブ27を全閉とした時の配置図である。前記本ろ過工程が進展するに従って、ボディーフィード用助剤が筒状フィルター9の内面に徐々に堆積し、筒状フィルター9の内径が次第に減少することになる。この段階では原液タンク1の原液量が無くなり、筒状フィルター9内に残存する原液量も減少した状態で本ろ過工程は終了する。バルブ開閉操作に関しては、バルブ16、18、25、26、29を全開とし、本ろ過終了時点でポンプ5および全てのバルブが全閉となる。
【0034】
図7は残液ろ過工程図で、配管17および21、導水管11、配管24、バルブ18、25、26、27、29そしてポンプ5、ろ過機本体6、フィルターユニット36に残留する原液を高圧空気によりろ過処理回収する操作である。この工程は、高圧空気が配管35から全開のバルブ18を通過し、前記配管内の残液をフィルターユニット36にてろ過し、前記残液が筒状フィルター9内に集合した段階で、バルブ25を全閉、バルブ26、27を全開して筒状フィルター9および端面フィルター10による残液処理を行う操作である。この操作で、配管およびバルブ内の残液は完全にろ過回収される。
【0035】
図8は装置および助剤の水洗浄工程図で、バルブ29を全閉、バルブ30を全開として循環系を確保しながらろ過機本体6を180度回転し、端面フィルター10を丁部に配置して循環タンク3に供給される洗浄水(冷水または温水)をポンプ5により循環し、配管17、20、21、導水管11、配管24、28、31およびバルブ19、18、25、26、27、30内の洗浄を兼ねながらフィルターユニット36に付着している助剤とろ過機本体6の洗浄を行う。また、この操作で助剤の洗浄が不十分の場合は、フィルターユニット36に付着する助剤を高圧空気により循環タンク3に戻す操作を行い、循環タンク3に付属する攪拌機4により十分攪拌して助剤の汚れを洗浄水で洗浄する。この操作手順は、フィルターユニット36に付着する助剤を循環タンク3内に戻す操作で、ポンプ5を停止し、バルブ18、30を全閉に、バルブ22、25、26、27、33を全開として高圧空気配管35から配管28、導水管11内およびろ過機本体6内の洗浄水によりフィルターユニット36に付着する助剤を導水管11および配管23を介して循環タンク3に回収する。循環タンク3内で攪拌機4により回収された助剤を攪拌洗浄し、その後、図4と同様なプリコート工程に戻る。最終的には洗浄水はバルブ22、30、33を全閉、バルブ32を全開として排水系に排出される。
【0036】
図9はフィルターユニット36に付着する洗浄済み助剤の脱水工程である。操作手順はろ過機本体6を再度転倒して端面フィルター10が底部に配置し、洗浄排水を行うためにバルブ29を全閉、バルブ32を全開とし、循環タンク3内の洗浄水がなくなると同時に、バルブ19を全閉、ポンプ5を停止、高圧空気配管35より全開としたバルブ18を介して高圧空気が配管17、20、21、11、28さらにバルブ18、25、26、27、またろ過機本体6およびフィルターユニット36内の洗浄水残液がバルブ32を介して排出される。この操作で、フィルターユニット36内に残存する洗浄水はもとより、助剤に含まれる洗浄水が脱水される。
【0037】
図10は脱水助剤をろ過機本体6から系外に排出する脱水助剤回収工程図である。バルブ18を全閉としろ過機本体6内の圧力がないことを確認した後、ろ過機本体6を90度回転し、ろ過機開閉蓋7をダンパー8により開き、筒状フィルター9および端面フィルター10に付着している脱水助剤ケークをバキュームクリーナーにより吸引排出する。この時、全てのバルブは全閉である。この工程は、脱水助剤ケークの性状を確認しながら行えることから、脱水助剤ケークの再利用の品質管理も行われる。
【0038】
図11は別な用途として微粒子を含む懸濁液体のろ過、脱水、乾燥用装置概要図 で、またろ過機本体6にフィルターユニット36およびD−D矢視の筒状フィルター9および端面フィルター10の縦断面図を示している。供給される流体が、通常のろ過脱水装置で使われる高圧空気、洗浄水、プロセス液に加えて乾燥用熱風や乾燥用蒸気などの高温ガスが必要となるため、ろ過機本体6の構造や付帯する配管やバルブの形状やサイズ変更が必要となる。微粒子を含有する原液は、循環タンク3に直接供給され、所定のプリコート工程を済ませた後に、本ろ過工程、その後原液がなくなった段階で、ケーク脱水工程が行われるため、図1における原液タンク1、原液用攪拌機2、配管15、バルブ17、高圧空気配管35、バルブ32は不要となる。また場合によっては透過液タンク14、バルブ34も不要である。一方、ケークの乾燥に必要な高温ガス(熱風および高温蒸気)の供給に必要な高温ガス発生器は配管23と接続され、バルブ22を介して、ろ過機本体6およびフィルターユニット36に供給される。高温排ガスはバルブ25、26、27および導水管11、配管28を通過してバルブ29から系外に排出される。この乾燥工程は、懸濁微粒子の性状に応じてフィルターユニット36のろ過工程を変更し乾燥効率を向上する操作も可能である。即ち、懸濁微粒子が大きい場合は、高温ガスが脱水ケーク層を直接通過することでケークの乾燥が可能であるため、フィルターユニット36の双方共に懸濁粒子を付着させるろ過工程を行う。しかし、懸濁粒子が微細な場合は、脱水ケーク層内への高温ガスの通過は圧力損失による大きなエネルギーロスとなるため、筒状フィルター9にのみ懸濁微粒子を付着させ、端面フィルター10には前記懸濁微粒子を付着させない。この操作で、前記高温ガスは前記脱水ケーク層表面に平行に沿って端面フィルター10を通過して装置系外へ排出される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
少量多品種製造が食品、健康食品、医薬品製造工程で進んでいる。その中にあって、珪藻土ろ過を代表とする助剤ろ過操作において、原液の回収率を高めることとその処理時間の短縮、さらに回収される助剤ケークの再利用、リサイクル処理が要求されてきた。本発明はそのようなニーズに合わせて、原液回収率の向上を目指し、助剤に付着する原液量をも可能な限り回収できるろ過装置として考案されたものである。また、助剤ケークは洗浄脱水が十分なされていれば再利用可能で、その面からも洗浄、脱水の高い効率性を実現化するものである。
一方、医薬品、セラミック、化成品製造工程での固液分離操作にろ過、脱水、乾燥の一連の操作を単一装置で行うメリットが大きい製品群がある。このような製品群を対象として本発明のろ過脱水乾燥装置を活用することは、製造量の大小に対する設計のフレキシビリティーとコンパクトな装置容量に対する大きなろ過面積と乾燥面積が提供できることから、高効率かつ安価なシステム提案が可能になる。
【符号の説明】
【0040】
1:原液タンク
2:原液攪拌機
3:循環タンク
4:循環液攪拌機
5:ポンプ
6:ろ過機本体
7:ろ過機開閉蓋
8:ダンパー
9:筒状フィルター
10:端面フィルター
11:導水管
12:回転軸受け
13:ロータリージョイント
14:透過液タンク
15−35:配管およびバルブ
36:筒状フィルターおよび端面フィルターで構成されるフィルターユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の二種類の異なる形状のフィルターを有するろ過装置で、一方のフィルター内側に原液を供給し、ろ過清澄化された液の回収をする容器と、前記フィルターの端面内部に配置したもう一方のフィルターにより、前記フィルター内部の原液をろ過清澄化したろ過液を回収する容器を有しているろ過脱水装置。
【請求項2】
請求項1の二種類の異なる形状のフィルターは、一つは筒状のフィルター内面が平滑の筒状フィルターで、もう一つは前記筒状フィルターの内径よりも小径の板状もしくは筒状構造を有する端面フィルターで、前記筒状フィルターの端面に配置され、前記筒状フィルターと前記端面フィルターを一対としたフィルターユニットをろ過機本体に組み込んだろ過脱水装置。
【請求項3】
請求項2のろ過機本体が回転可能となるように、前記ろ過機本体に中空パイプを接合し、前記中空パイプ内に原液、ろ過液、洗浄液、高圧空気、高温ガスの流体が供給できる配管およびバルブを付帯する構造で、前記ろ過機本体と前記中空パイプを支持回転可能とする軸受けを有するろ過脱水装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかのろ過脱水装置において、無機物、有機物およびその混合物から構成される微粒子を含有する懸濁液のろ過と高温ガス供給により脱液後の微粒子を乾燥することができる請求項1〜3のいずれかに記載のろ過脱水乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−86148(P2012−86148A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234775(P2010−234775)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(591199822)
【Fターム(参考)】