説明

アキュムレータシステムおよびその駆動方法

【課題】全体の長さを非常に短くし、これにより、パッケージングを小型にすることができるアキュムレータシステムのアクチュエータシリンダを提供する。
【解決手段】アキュムレータシステム26は、アキュムレータシリンダ28と、該アキュムレータシリンダ28内で軸に沿ってアキュムレータピストン32を駆動するアクチュエータシリンダ30とを備えている。アクチュエータシリンダ30は、アクチュエータピストン34および複数の入れ子式アクチュエータスリーブ36を備えている。1つの実施例では、アクチュエータピストン34は、第1のアクチュエータスリーブ36A内に入れ子式にはめ込まれており、該第1のアクチュエータスリーブ36Aは、第2のアクチュエータスリーブ36B内に入れ子式にはめ込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブートストラップ型システムに用いられるピストン型アキュムレータに関し、特に、ピストン型アキュムレータの入れ子型アクチュエータシリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブートストラップピストン型アキュムレータシステムは、必要な保留流体(retained fluid)の容積を得るのに役立つアキュムレータピストンのストロークを提供する。これは、一般に、アキュムレータシリンダ内でアキュムレータピストンを駆動するアクチュエータピストンのストロークと同等の付加的なストロークを必要とする。効果的ではあるが、アクチュエータピストンは、アキュムレータピストン上に積み重ねられており、全体の長さが、例えば、一般に、航空機の制限された領域内でのパッケージングを複雑にすることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の例示的な特徴によるブートストラップ型アキュムレータシステムは、複数の入れ子式アクチュエータスリーブを介して、アキュムレータシリンダ内でアキュムレータピストンを駆動する圧力負荷アクチュエータシリンダを備えている。
【0004】
本発明の例示的な特徴によるアキュムレータシステムの駆動方法は、アクチュエータシリンダに流体を通流させるステップと、アクチュエータシリンダを構成する複数の入れ子式アクチュエータスリーブを入れ子式にはめ込むステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】航空機の冷却システムの概略図である。
【図2A】これに限定されない1つの実施例における空位置のスタック型ピストンアクチュエータシステムの断面斜視図である。
【図2B】これに限定されない1つの実施例における再充填位置のスタック型ピストンアクチュエータシステムの断面斜視図である。
【図3A】これに限定されない他の実施例における空位置のスタック型ピストンアクチュエータシステムの断面斜視図である。
【図3B】これに限定されない他の実施例における再充填位置のスタック型ピストンアクチュエータシステムの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1には、例えば航空機の閉ループ冷却システム20が概略的に示されている。冷却システム20は、一般に、熱交換器22、ポンプ24およびアキュムレータシステム26を備えている。熱交換器22は、閉ループの様式で、ポンプ24によって供給される冷媒を冷却し、冷却すべき負荷へと通流させ、そして、熱交換器22へ戻すように動作する。これに限定されない開示した実施例における冷却システム以外の種々のシステムが、アキュムレータシステム26から恩恵を受けることを理解されたい。
【0007】
ポンプ24の下流側の吐出圧力は、例えば、ある程度効率が高いポンプ動作を確実にするために、例えば、アキュムレータシステム26を通してポンプ24へ向かう入口圧力を上昇させる、またはブートストラップ(bootstrap)し、ポンプの入口圧力を増加させるように用いられる。即ち、アキュムレータシステム26は、例えば、温度変化または他の条件に応答して閉ループ冷却システム20の圧力を維持するように使用され得る。代替的に、ポンプ24以外の独立した圧力源や圧力システムを設けることもできる。
【0008】
アキュムレータシステム26は、一般に、アキュムレータシリンダ28と、該アキュムレータシリンダ28内で軸Aに沿ってアキュムレータピストン32を駆動するアクチュエータシリンダ30とを備えている。アクチュエータシリンダ30は、ポンプ24から吐出圧力が比較的高い流体を受け、アキュムレータピストン32に力を加える。アキュムレータシステム26によって生成されるアキュムレータ圧力は、一般に、アクチュエータシリンダ30およびアキュムレータシリンダ28の面積比率(proportional areas)と、ポンプ24の吐出圧力差との関数である。
【0009】
図2Aでは、アクチュエータシリンダ30は、一般に、アクチュエータピストン34および複数の入れ子式アクチュエータスリーブ36を備えている。これに限定されない1つの開示された実施例では、アクチュエータピストン34は、第1のアクチュエータスリーブ36A内に入れ子式にはめ込まれており、該第1のアクチュエータスリーブ36Aは、第2のアクチュエータスリーブ36B内に入れ子式にはめ込まれている。これに限定されないこの実施例では、第2のアクチュエータスリーブ36Bは、上部カバー38と一体化されている。
【0010】
アクチュエータピストン34は、アキュムレータピストン32に接続されるか、または分離されているがアキュムレータピストン32へと案内されている。また、アクチュエータピストン34は、複数の入れ子式アクチュエータスリーブ36の1つに対して移動するように、この1つのアクチュエータスリーブ内に入れ子式にはめ込まれている。したがって、複数の入れ子式アクチュエータスリーブ36は、入れ子式流体充填型アクチュエータシリンダを提供し、該アクチュエータシリンダは、アクチュエータピストン34および複数の入れ子式アクチュエータスリーブ36を拡張するように高流体圧力を利用する。ピストンとスリーブとの間の流体に対するシールを容易にするために、ピストンとスリーブとの間に種々のシールリングまたはこれらと同等のものを配置することができることを理解されたい。また、比較的軽量かつ低慣性の構成をもたらすように、アクチュエータピストン34を空気で充填することもできる。
【0011】
図2Bでは、複数の入れ子式アクチュエータスリーブ36は、収縮長さでのアクチュエータシリンダ30を提供しており、上記収縮長さは、アクチュエータのストロークとアキュムレータピストンのストロークとが概ね等しいものとされた従来のアクチュエータに対して半分以下とすることができる。つまり、複数の入れ子式アクチュエータスリーブ36によって、全体の長さを非常に短くし、これにより、パッケージングを小型にすることが容易となる。
【0012】
これに限定されない開示された他の実施例では、アクチュエータシリンダ30は、3つのアクチュエータスリーブ36A,36B,36Cを有した三重スタック型アクチュエータ26’である(図3Aおよび図3B)。また、代替的に任意の数のアクチュエータスリーブを設けることができることを理解されたい。
【0013】
数個の図の全体について、同様の参照番号は、対応した構成要素または同様の構成要素を示すことを理解されたい。また、図示した実施例には特定の構成要素配置が開示されているが、他の配置もこの特定の構成要素配置から恩恵を受けることを理解されたい。
【0014】
特定のステップの順序が示され、説明され、特許請求されているが、他に指示が無ければ、これらのステップを分離し、または組み合わせて任意の順序で実施することができ、これらのステップは、本発明から恩恵を受けたままであることを理解されたい。
【0015】
上記の説明は、例示的なものであって限定的なものではない。当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更および修正がなされ得ることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキュムレータシリンダと、
前記アキュムレータシリンダ内で移動可能なアキュムレータピストンと、
前記アキュムレータシリンダ内で前記アキュムレータピストンを駆動する、複数の入れ子式アクチュエータスリーブを有したアクチュエータシリンダと、
を備えたアキュムレータシステム。
【請求項2】
前記アキュムレータピストンに取り付けられたアクチュエータピストンをさらに備え、前記アクチュエータピストンは、前記複数の入れ子式アクチュエータスリーブの少なくとも1つ内に入れ子式にはめ込まれていることを特徴とする請求項1に記載のアキュムレータシステム。
【請求項3】
前記アクチュエータピストンは、空気で充填されることを特徴とする請求項2に記載のアキュムレータシステム。
【請求項4】
前記複数の入れ子式アクチュエータスリーブは、前記アクチュエータピストンにわたって入れ子式にはめ込まれる2つのスリーブを備えることを特徴とする請求項2に記載のアキュムレータシステム。
【請求項5】
前記複数の入れ子式アクチュエータスリーブは、前記アクチュエータピストンにわたって入れ子式にはめ込まれる2つのスリーブを備えることを特徴とする請求項3に記載のアキュムレータシステム。
【請求項6】
前記複数の入れ子式アクチュエータスリーブは、圧力源と連通していることを特徴とする請求項2に記載のアキュムレータシステム。
【請求項7】
前記複数の入れ子式アクチュエータスリーブは、ポンプと連通していることを特徴とする請求項2に記載のアキュムレータシステム。
【請求項8】
アクチュエータシリンダに流体を通流させるステップと、
前記アクチュエータシリンダの複数の入れ子式アクチュエータスリーブを入れ子式にはめ込むステップと、
を含むアキュムレータシステムを駆動する方法。
【請求項9】
前記複数の入れ子式アクチュエータスリーブを入れ子式にはめ込むステップは、アクチュエータピストンを駆動することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アクチュエータピストンを入れ子式にはめ込むことは、冷却システムをブートストラップするようにアキュムレータピストンを駆動することを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2012−92973(P2012−92973A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223723(P2011−223723)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】