説明

アクチュエータ制御装置

【課題】 パイロットスプールPSの振動を防止する。
【解決手段】パイロットスプールがノーマル位置を保持しているとき上記スプリング室21が閉じられる一方、メインスプールを中立位置に保っているとき、第1導入ポート39と上記圧力室、スプリング室とタンク通路13、第2導入ポート40と戻り通路4とのそれぞれの連通が遮断される構成にし、メインスプールMSを中立位置から、作動流体を戻す方向に移動したとき、スプリング室がタンク通路に連通し、第1導入ポートが上記圧力室に連通し、第2導入ポートが戻り通路に連通する構成にし、かつ、パイロットスプールには、上記環状凹部とスプリング室との連通過程に制御オリフィスを設け、この制御オリフィスを介して環状凹部とスプリング室とを常時連通させる一方、パイロットスプールは、上記制御オリフィス前後の差圧がスプリング室のばね力相当分に保たれるように、第1導入ポートの開度を制御する構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、フォークリフト等におけるリフトシリンダの下降動作を制御するのに適したアクチュエータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として本出願人は、特願2005−360741号にかかわる発明を特許庁に既に出願している。その内容は図2,3に示すとおりであり、以下には、それを具体的に説明する。この従来の装置は、フォークリフトのリフトシリンダを制御する場合を想定したもので、バルブボディBには、上記リフトシリンダに接続したアクチュエータポート1と、メインスプールMSを摺動自在に組み込むスプール孔2とを形成している。また、このバルブボディBには、オペレートチェック弁Vを組み込むとともに、このオペレートチェック弁Vを介して、アクチュエータポート1を供給通路3と戻り通路4とに連通させている。言い換えると、供給通路3と戻り通路4との合流部分にオペレートチェック弁Vを設けている。
【0003】
上記オペレートチェック弁Vは、弁体5に設けたポペット部5aで、バルブボディBに設けたシート部6を開閉するようにしている。そして、シート部6が開いたときには、アクチュエータポート1が供給通路3および戻り通路4に連通し、シート部6が閉じられたときは、アクチュエータポート1と供給通路3および戻り通路4との連通が遮断される構成にしている。
【0004】
また、上記オペレートチェック弁Vは、上記ポペット部5aとは反対側に筒部5bを設け、この筒部5bを圧力室7に臨ませている。そして、この筒部5bにはオリフィス8を形成するとともに、このオリフィス8を介して、圧力室7をアクチュエータポート1に常時連通させている。さらに、上記圧力室7にはスプリング9を設け、通常は、このスプリング9のばね力の作用で、ポペット部5aがシート部6を閉じるようにしている。
【0005】
そして、上記のようにしたオペレートチェック弁Vは、その筒部5bの直径を、シート部6の直径よりも大きくしている。したがって、ポペット部5aがシート部6を閉じているときに、ポペット部5aの外周に作用する圧力と、筒部5bに作用する圧力が等しければ、言い換えると、アクチュエータポート1と圧力室7との圧力が等しければ、ポペット部5aによってシート部6が閉じられ、オペレートチェック弁Vは閉弁状態を保つことになる。
【0006】
一方、上記メインスプールMSには、供給側環状溝10と戻り側環状溝11とを形成している。上記供給側環状溝10は、図示していないポンプに連通したポンプ通路12と常時連通するとともに、メインスプールMSを、図示の中立位置から図面右方向に移動したとき、供給側環状溝10を介して、上記ポンプ通路12と供給通路3とを連通させる。また、戻り側環状溝11は、メインスプールMSが図示の中立位置から図面左方向に移動したとき、戻り通路4とタンク通路13とを連通させるものである。
【0007】
上記のようにしたメインスプールMSには、パイロットスプールPSを組み込むとともに、このパイロットスプールPSと対応する位置関係に、第1〜3ポート14〜16を形成している。上記第1ポート14は、メインスプールMSが、図示の中立位置にあるとき閉じるとともに、メインスプールMSが中立位置から図面左方向、すなわちアクチュエータからの流体を戻す方向に移動したとき、流路17を介して圧力室7に連通するようにしている。
【0008】
また、上記第2ポート15は、メインスプールMSが図示の中立位置にあるときに閉じるとともに、メインスプールMSが上記のように図面左方向に移動すると、スプール孔2の内面に形成した環状溝18を介してタンク通路13に連通する。さらに、上記第3ポート16は、メインスプールMSが図示の中立位置にあるとき閉じるとともに、メインスプールMSが、上記のように図面左方向に移動したとき、戻り通路4に連通する。
【0009】
上記のようにした第1〜3ポート14〜16は、次のような位置関係を保っている。すなわち、メインスプールMSを中立位置から図面左方向に移動したとき、先ず、第2ポート15が環状溝18に連通し、その次に、第1ポート14が流路17を介して圧力室7に連通し、同時に、第3ポート16が戻り通路4に連通するようにしている。なお、第3ポート16が戻り通路4に連通した後に、図2,3に示すように、メインスプールMSに形成したノッチ19を介して、戻り通路4とタンク通路13とが連通する相対関係を保っている。
【0010】
さらに、メインスプールMSに組み込んだパイロットスプールPSは、その一端をパイロット室20に臨ませ、他端をスプリング室21に臨ませている。そして、このスプリング室21にはスプリング22を設け、通常は、このスプリング22のばね力で、パイロットスプールPSが上記パイロット室20の端面に圧接するようにしている。なお、上記スプリング室21は、メインスプールMSに形成した連通路23を介して、上記第2ポート15に常時連通している。したがって、第2ポート15が環状溝18に連通したときには、このスプリング室21も、環状溝18を介してタンク通路13に連通することになる。
【0011】
上記のようにしたパイロットスプールPSには、環状凹部24を形成するとともに、この環状凹部24は、パイロットスプールPSに形成した制御絞り25を介して、上記パイロット室20に常時連通している。
【0012】
そして、パイロットスプールPSが、スプリング22のばね力の作用で、図示のノーマル位置にあるときには、パイロットスプールPSに形成した第1ランド部26で第2ポート15が閉じられるようにしている。
【0013】
なお、図中符号28は、センタリングスプリングで、メインスプールMSを図示の中立位置に保つものである。また、符号29は、供給通路3に設けたロードチェック弁で、ポンプ通路12からアクチュエータポート1への流通のみを許容するものである。
【0014】
次に、この実施形態の作用を説明するが、今、メインスプールMSが図示の中立位置にあると、供給通路3はポンプ通路12との連通を遮断され、戻り通路4はタンク通路13との連通が遮断される。しかも、この状態では、オペレートチェック弁Vの圧力室7も、タンク通路13との連通が遮断される。したがって、アクチュエータポート1に導かれる負荷圧は、弁体5の外周に作用するとともに、圧力室7における筒部5bにも作用する。しかし、前記したように、圧力室7内における筒部5bの受圧面積が、シート部6を閉じている弁体5の外周の受圧面積よりも大きいので、オペレートチェック弁Vは閉弁状態を保つ。
【0015】
また、メインスプールMSを中立位置から図面右方向に移動すると、供給側環状溝10を介して供給通路3がポンプ通路12と連通する。したがって、供給通路3に供給された圧力流体は、ロードチェック弁29を経由するとともに、オペレートチェック弁Vを押し開いてアクチュエータポート1からアクチュエータに供給される。
【0016】
一方、メインスプールMSを中立位置から図面左方向に移動すると、最初に第2ポート15が環状溝18を介してタンク通路13に連通する。この状態で、メインスプールMSをさらに左方向に移動すると、今度は、第1ポート14が流路17を介して圧力室7に連通する。したがって、圧力室7の負荷保持圧が、環状凹部24および制御絞り25を介してパイロット室20に導かれる。
【0017】
上記のようにパイロット室20に圧力室7の負荷保持圧が導かれるときには、スプリング室21がタンク圧に保持されているので、パイロットスプールPSは、スプリング22のばね力に抗して移動する。このようにパイロットスプールPSが移動すると、図2に示すように、第1ポート14と第2ポート15とが、環状凹部24を介して連通するので、圧力室7は、流路17→第1ポート14→環状凹部24→第2ポート15を経由してタンク通路13に連通する。したがって、オペレートチェック弁Vは、弁体5の外周における受圧面積に作用する負荷圧によって開弁し、そのポペット部5aがシート部6を開き、アクチュエータポート1の作動流体を戻り通路4側に流出させる。
【0018】
そして、上記のように第1ポート14と流路17とが連通すると同時に、第3ポート16も戻り通路4に連通するので、パイロット室20には、戻り通路4の流体が流れ込む。このパイロット室20に流れ込んだ流体は、制御絞り25→環状凹部24→第2ポート15→環状溝18を経由してタンク通路13に流れる。このように制御絞り25に流れが発生すれば、上記制御絞り25前後に差圧が発生するとともに、その上流側の圧力がパイロット室20に作用する。
【0019】
したがって、パイロットスプールPSは、パイロット室20内の圧力とスプリング22のばね力とがバランスする位置を保つとともに、このバランス位置において、図3に示すように第2ポート15の開度が制御される。このようにパイロットスプールPSが、上記バランス位置を保つことによって、第2ポート15の開度が制御されるので、それにともなって圧力室7内の圧力も一定に保たれる。これによって、圧力室7内の圧力が一定に保たれ、オペレートチェック弁Vのハンチングが防止される。
【0020】
また、戻り通路4の圧力を安定的に保った状態で、ノッチ19を利用してインチング制御をすることができるので、そのインチング制御もスムーズに行えるようになる。また、上記のようにノッチ19が戻り通路4に開けば、そのノッチ19の開口に比例した流量をタンク通路13に戻すことができる。
【特許文献1】特願2005−360741号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上記のようにした従来の装置では、オペレートチェック弁Vに設けたオリフィス8が固定オリフィスなので、そこを流れる流量は、流体の温度や圧力によって変化する。このようにオリフィス8を流れる流量が変化すると、パイロットスプールPSの初期動作が安定せず、高い周波数の振動が発生するとともに、その振動が原因となる異音を発生するという問題があったが、その原因は次の通りである。
【0022】
上記従来の装置において、メインスプールMSを図面左側すなわちアクチュエータポート1から流体を戻す方向に移動したとき、パイロットスプールPSは、スプリング22に抗して移動するが、このときには、パイロットスプールPSの環状凹部24によって、第1ポート14と第2ポート15との開口バランスを保つようにしている。そして、このときの開口バランスは、オペレートチェック弁Vに形成したオリフィス8の開口面積に依存している。すなわち、上記オリフィス8の開口面積が決まれば、少なくとも、そこを流れる理論的な流量が定まるが、このようにして定められた理論値をもとにして、第1ポート14と第2ポート15との開口バランスが保たれるようにしている。
【0023】
しかしながら、上記オリフィス8を流れる流体の流量は、その温度や圧力によって変化する。そのために、上記理論値に基づいて第1,2ポート14,15の開口バランスを保つように予め設計したとしても、理論通りには行かなくなることがある。もし、オリフィス8を流れる流量にバラツキが生じれば、上記第1,2ポート14,15の開口バランスが、そのときどきの流体の流量に対応しなくなる。このように第1,2ポート14,15の開口バランスが、そのときどきの流量に対応しなくなると、パイロットスプールPSが高い周波数で振動し、上記したように異音を発生することになる。
【0024】
この発明の目的は、パイロットスプールの振動を抑制したアクチュエータ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
この発明は、バルブボディにメインスプールを摺動自在に設け、このメインスプールの移動位置に応じて、バルブボディに形成したアクチュエータポートを供給通路に連通したり、あるいは戻り通路に連通したりする一方、上記供給通路と戻り通路との合流部分にオペレートチェック弁を設け、このオペレートチェック弁は、上記供給通路と戻り通路との合流部分に設けたシート部と、バルブボディに組み込んだ弁体と、この弁体に形成し、上記シート部を開閉するポペット部と、このポペット部とは反対側における弁体を臨ませた圧力室と、上記弁体に形成し、アクチュエータポートと圧力室とを連通させるオリフィスと、圧力室に設けてポペット部をシート部に圧接させる方向のばね力を発揮するスプリングとを備え、しかも、上記シート部の開口径に対して、上記圧力室における弁体の直径を大きくし、メインスプールの移動位置に応じて上記圧力室をタンク通路に連通したり、あるいはその連通を遮断したりするアクチュエータ制御装置を前提にする。
【0026】
上記の装置を前提にしつつ、この発明は、上記メインスプールには環状凹部を形成したパイロットスプールを組み込むとともに、このメインスプールに形成した第1導入ポートは上記環状凹部と常時連通する構成にし、しかも、このパイロットスプールの一端をメインスプール内に設けたパイロット室に臨ませ、他端をスプリング室に臨ませるとともに、上記パイロット室は、メインスプールに形成した第2導入ポートと常時連通し、しかも、パイロットスプールに形成した連通路を介して上記環状凹部に連通し、環状凹部は制御絞りを介してスプリング室に常時連通し、かつ、上記スプリング室に設けたスプリングのばね力の作用で、パイロットスプールがノーマル位置を保持しているとき上記スプリング室が閉じられる一方、メインスプールを中立位置に保っているとき、第1導入ポートと上記圧力室、スプリング室とタンク通路、第2導入ポートと戻り通路とのそれぞれの連通が遮断される構成にし、メインスプールを中立位置から、作動流体を戻す方向に移動したとき、スプリング室がタンク通路に連通し、第1導入ポートが上記圧力室に連通し、第2導入ポートが戻り通路に連通する構成にし、かつ、パイロットスプールには、上記環状凹部とスプリング室との連通過程に制御オリフィスを設け、この制御オリフィスを介して環状凹部とスプリング室とを常時連通させる一方、パイロットスプールは、上記制御オリフィス前後の差圧がスプリング室のばね力相当分に保たれるように、第1導入ポートの開度を制御する構成にした点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、オペレートチェック弁パイロットスプールを流れる流量を一定に保てるので、従来のようにパイロットスプールが高い周波数で振動し、異音を発生したりしなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
この実施形態は、そのオペレートチェック弁V及びパイロットスプールPSの構造と、その機能とが、従来と異なるもので、その他の構成は従来と同一である。そこで、次に、従来と異なる点を中心に説明する。
【0029】
上記オペレートチェック弁Vは、アクチュエータポート1に常時連通する流通ポート30を弁体5に形成するとともに、この弁体5には、ガイド筒部材31を固定している。このガイド筒部材31は、その一端を閉塞して圧力室7内に臨ませ、他端を流通ポート30側に開放している。
【0030】
上記のようにしたガイド筒部材31には、制御スプール32を摺動自在に組み込むとともに、この制御スプール32とガイド筒部材31の上記閉塞部分との間にスプリング室33を区画形成し、このスプリング室33にスプリング34を設けている。さらに、この制御スプール32には、上記流通ポート30に常時連通する制御オリフィス35と、この制御オリフィス35に常時連通する連通路36を形成するとともに、これら制御オリフィス35及び連通路36が相まって、制御スプール32の中心部分を貫通する構成にしている。
【0031】
また、上記制御スプール32には可変オリフィス37を形成しているが、この可変オリフィス37は、ガイド筒部材31に形成した制御ポート38との相対位置に応じてその開度を可変にしている。つまり、制御スプール32が図示のノーマル位置にあるとき、上記制御ポート38と相対位置が一致してその開度を最大に保つ。そして、制御スプール32がスプリング34に抗して移動したときに、可変オリフィス37と制御ポート38との相対位置がずれて、可変オリフィス37の開度が小さくなる関係にしている。
【0032】
なお、オペレートチェック弁Vの弁体5の構成は、従来とまったく同じである。すなわち、圧力室7内における筒部5bの受圧面積が、シート部6を閉じている弁体5の外周の受圧面積よりも大きくしている。
【0033】
一方、パイロットスプールPSを組み込んだメインスプールMSには、第1導入ポート39と第2導入ポート40とを形成している。
上記第1導入ポート39は、メインスプールMSが図示の中立位置にあるとき、前記流路17との連通が遮断される。言い換えると、メインスプールMSが中立位置にあるとき、第1導入ポート39は圧力室7との連通が遮断される。そして、メインスプールMSが図面左方向すなわち作動流体を戻す方向に移動すると、流路17に開口して圧力室7と連通することになる。
【0034】
上記第2導入ポート40は、パイロット室20に常時連通するとともに、メインスプールMSが図示の中立位置にあるとき、戻り通路4との連通が遮断されるが、メインスプールMSが図面左方向すなわち作動流体を戻す方向に移動すると、戻り通路4に開口する。そして、第2導入ポート40が戻り通路4に連通するタイミングと、上記のように第1導入ポート39が流路17に開口するタイミングはほぼ同じにしている。
【0035】
さらに、上記パイロットスプールPSは、第1ランド部26と第2ランド部27との間に環状凹部24を形成している点は従来と同じであるが、この実施形態では、パイロット室20と環状凹部24とを連通させる過程には絞り機能を発揮する要素を特別に設けず、連通路41を介してパイロット室20と環状凹部24とを連通させている。そして、上記第2ランド部27はパイロットスプールPSの移動位置に応じて、第1導入ポート39の開度を制御するもので、これら第1導入ポート39と第2ランド部27とが相まって可変オリフィスを構成するものである。
【0036】
また、パイロットスプールPSには、環状凹部24に常時開口する制御オリフィス42を形成しているが、環状凹部24は、この制御オリフィス42を介してスプリング室21に常時連通する関係にしている。
なお、上記以外の構成は、従来の装置と全て同じである。
【0037】
次に、この実施形態の作用を説明する。先ず、メインスプールMSを図面左方向に移動すると、従来と同様に、先ず連通路23が環状溝18に開口し、スプリング室21をタンク通路13に連通する。この状態から、メインスプールMSをさらに図面左方向に移動すると、第1導入ポート39が流路17に開口し、第2導入ポート40が戻り通路4に開口する。
【0038】
上記のように第1導入ポート39が流路17に開口すれば、圧力室7が、流路17→第1導入ポート39→環状凹部24→制御オリフィス42→スプリング室21を経由してタンク通路13に連通する。したがって、オペレートチェック弁Vの制御オリフィス35にも流れが発生するが、この流れによってそこに圧力損失が発生する。したがって、制御オリフィス35よりも上流側の圧力が、制御スプール32の一端すなわちスプリング室33とは反対端に作用する。この制御スプール32の一端に作用した圧力によって、制御スプール32は、スプリング34に抗して移動し、可変オリフィス37の開度を制御する。すなわち、制御スプール32は、制御オリフィス35前後の差圧が、スプリング34のばね力に等しくなるように可変オリフィス37の開度を制御する。このようにして上記制御オリフィス35の前後の差圧が常に一定に保たれるので、この制御オリフィス35を通過する流量も一定に制御される。言い換えると、作動流体の温度や圧力に関係なく、制御オリフィス35を流れる流量を一定に保つことができる。
【0039】
上記のようにして制御された一定の流量は、上記したように制御オリフィス42を経由してタンク通路13に流れる。このように制御オリフィス42に流れが発生すれば、そこに圧力損失が発生し、制御オリフィス42の上流側の圧力がパイロット室20に作用する。したがって、制御スプール32は、スプリング22に抗して移動するとともに、その第2ランド部27によって第1導入ポート39の開度を制御する。すなわち、制御オリフィス42前後の差圧が一定になるように、第1導入ポート39の開度が制御される。
【0040】
したがって、この実施形態によれば、オペレートチェック弁Vの制御オリフィス35を流れる流量が一定に保たれるとともに、その一定の流量に対して、パイロットスプールPSがまた一定の流量をタンク通路13に戻すようになるので、設計上は、常に、一定の制御流量を前提にすることができる。このように一定の制御流量を前提にできれば、設計上、パイロットスプールPSの動きを安定化させるのが簡単になる。したがって、パイロットスプールPSの移動を安定させることができ、従来のようにパイロットスプールPSが高い周波数で振動することも防止することができる。
【0041】
なお、オペレートチェック弁V側の制御スプール32で制御する流量Q1と、メインスプールMS側のパイロットスプールPSで制御する流量Q2との間で、いずれの流量を多くするのが適切かは、実機の取り付け条件や制御条件等に応じて異なるが、一般的に考えられるのは、Q1≧Q2である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】メインスプールを中立位置に保った状態の断面図である。
【図2】従来の装置を示すもので、メインスプールを中立位置に保った状態の断面図である。
【図3】従来の装置において、メインスプールを図面左側位置に切り換えた状態の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
B バルブボディ
1 アクチュエータポート
MS メインスプール
V オペレートチェック弁
3 供給通路
4 戻り通路
5 弁体
5a ポペット部
6 シート部
7 圧力室
9 スプリング
13 タンク通路
PS パイロットスプール
20 パイロット室
21 スプリング室
24 環状凹部
25 制御絞り
39 第1導入ポート
40 第2導入ポート
41 連通路
42制御オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブボディにメインスプールを摺動自在に設け、このメインスプールの移動位置に応じて、バルブボディに形成したアクチュエータポートを供給通路に連通したり、あるいは戻り通路に連通したりする一方、上記供給通路と戻り通路との合流部分にオペレートチェック弁を設け、このオペレートチェック弁は、上記供給通路と戻り通路との合流部分に設けたシート部と、バルブボディに組み込んだ弁体と、この弁体に形成し、上記シート部を開閉するポペット部と、このポペット部とは反対側における弁体を臨ませた圧力室と、上記弁体に形成し、アクチュエータポートと圧力室とを連通させるオリフィスと、圧力室に設けてポペット部をシート部に圧接させる方向のばね力を発揮するスプリングとを備え、しかも、上記シート部の開口径に対して、上記圧力室における弁体の直径を大きくし、メインスプールの移動位置に応じて上記圧力室をタンク通路に連通したり、あるいはその連通を遮断したりするアクチュエータ制御装置において、上記メインスプールには環状凹部を形成したパイロットスプールを組み込むとともに、このメインスプールに形成した第1導入ポートは上記環状凹部と常時連通する構成にし、しかも、このパイロットスプールの一端をメインスプール内に設けたパイロット室に臨ませ、他端をスプリング室に臨ませるとともに、上記パイロット室は、メインスプールに形成した第2導入ポートと常時連通し、しかも、このパイロット室は、パイロットスプールに形成した連通路を介して上記環状凹部に連通し、環状凹部は制御オリフィスを介してスプリング室に常時連通し、かつ、上記スプリング室に設けたスプリングのばね力の作用で、パイロットスプールがノーマル位置を保持しているとき上記スプリング室が閉じられる一方、メインスプールを中立位置に保っているとき、第1導入ポートと上記圧力室、スプリング室とタンク通路、第2導入ポートと戻り通路とのそれぞれの連通が遮断される構成にし、メインスプールを中立位置から、作動流体を戻す方向に移動したとき、スプリング室がタンク通路に連通し、第1導入ポートが上記圧力室に連通し、第2導入ポートが戻り通路に連通する構成にし、かつ、パイロットスプールには、上記環状凹部とスプリング室との連通過程に制御オリフィスを設け、この制御オリフィスを介して環状凹部とスプリング室とを常時連通させる一方、パイロットスプールは、上記制御オリフィス前後の差圧がスプリング室のばね力相当分に保たれるように、第1導入ポートの開度を制御する構成にしたアクチュエータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−64298(P2008−64298A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245961(P2006−245961)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】