説明

アクティブ・マトリックス有機発光ダイオード・ディスプレイ

AM OLEDのピクセル回路と、ディスプレイの広ダイナミックレンジ調光方法は、調光範囲で色バランスを維持し、ディスプレイの輝度値が低いときに低グレーレベルで輝度及び色度の均一性を維持する。ディスプレイは、アビオニクス、コックピット、手持ち型の軍事デバイスの分野で要求される色/調光仕様を満たす。OLEDピクセル回路及び調光方法は、OLEDピクセル電流のパルス幅変調を用いて所望のディスプレイ輝度を実現する。2つの回路例では、外部から共通カソード電圧又は共通電源電圧をPW変調してOLED電流を変調する。3つの回路例では、フレーム時間中にOLED電流を変調するための追加のトランジスタスイッチをピクセル回路に組み込む。データ電圧(又は電流)の変調と共に、OLED電流のPWMにより、広ダイナミックレンジ調光を達成し、ディスプレイ面で必要な色バランスと輝度及び色度の均一性を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、フラット・パネル・ディスプレイの分野に関し、限定するものではないが、より詳細には、改良されたアクティブ・マトリックス有機発光ダイオード(AM OLED)ディスプレイ、ならびに、例えば、コックピット・ディスプレイ、アビオニクス・ディスプレイ、手持ち型の軍事通信デバイス・ディスプレイなどのような、民生応用分野および軍事応用分野向けのディスプレイにおける、広ダイナミック・レンジ調光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AM OLEDディスプレイは、セル型電話および自動車オーディオ・システムに使用することができるパッシブ・マトリックス・アドレス型ディスプレイなどのような新しい製品をすでに生み出した、新興のフラット・パネル・ディスプレイ技術である。AM OLEDディスプレイは、バックライト型のAM液晶ディスプレイ(LCD)と置き換えられる可能性が最も高い。なぜなら、AM OLEDディスプレイは、既存のAM LCDよりも電力効率がよく、堅牢であり、重量が軽く、コストが低く、良好な画像品質を有するからである。従って、AM OLEDベースのディスプレイの市場は、2006年には年間約17億ドルに達すると推定される。
【0003】
コックピット・ディスプレイの応用分野は、画像品質に関して課される厳格な要件、および高い温度、湿度、周囲の照明環境などのような広範囲の環境内での優れた動作性能の必要性のため、既存のディスプレイ技術に対して比較的要求が厳しい。過去10年の大部分の間に、AM LCDは、コックピット応用分野において陰極線管(CRT)ディスプレイと置き換えられてきた。なぜなら、AM LCDは、より低重量であり、より平坦なフォーム・ファクタであり、電力消費がより少なく、比較的小型のベゼルで大きな有効領域が使用でき、信頼性がより高く、輝度がより高く、輝度の均一性がより良く、調光範囲がより広く、日光下での可読性がより良好である、というCRTディスプレイに勝る利点を有するためである。従って、AM LCDは、数年の間、コックピット・ディスプレイ応用分野およびアビオニクス・ディスプレイ応用分野で好んで選択されるディスプレイであった。
【0004】
ディスプレイ応用分野(例えば、コックピット・ディスプレイ、アビオニクス・ディスプレイ、および手持ち型デバイス・ディスプレイ)でのAM LCDに伴う重大な問題は、AM LCDのバックライティングが、かなりの重量および体積をディスプレイに追加することである。しかしながら、AM LCDのこのバックライティング機構の利点は、周囲の照明条件の範囲全体にわたって最適な性能を達成するために、ディスプレイを(独立して)調光するための高度に制御可能な機能を提供することである。一部の重要なディスプレイ応用分野(例えば、アビオニクス・ディスプレイや幾つかの軍事用デバイス・ディスプレイ)では、ディスプレイが昼間(明るい)と夜間(暗い)との両方の観視条件において快適に見られるように、広ダイナミック・レンジの調光(例えば、>2000:1)を必要とする。現在、この調光機能は、AM LCDでは、AM LCDの最適化された駆動条件を維持しながら、ディスプレイ・バックライトを調光する(広いダイナミック・レンジ全体にわたって)ことによって達成することができる。
【0005】
例えばアビオニクス応用分野や手持ち型デバイス応用分野でのAM LCDに伴う重量および体積の問題は、AM OLEDディスプレイを用いて軽減することができる。AM LCDと比べて、AM OLEDディスプレイは、より広い視野角、より低い電力消費、より軽い重量、優れた応答時間、優れた画像品質、および低コストなどのような重要な利点をもたらす。しかしながら、既存のAM OLEDディスプレイの欠点は、AM OLEDディスプレイの駆動条件を変更すること、あるいはアノード(VDD)電圧および/またはカソード(V)の電圧を変動させることによる以外は、所望の輝度レベルに容易に調光できない(即ち、それらの明るさが容易に調整されない)ことである。
【0006】
一般に、既存のAM OLEDディスプレイのグレースケール駆動状態は、「通常」の昼間(明るい周囲環境)に見るときの条件に合わせて最適化される。しかしながら、従来のAM OLEDディスプレイを使用して、AM OLEDディスプレイのグレースケール駆動状態またはVDD/V電圧を、夜間(暗い周囲)条件に対応するように低いディスプレイ輝度レベルを実現するように、変更すると、これらのディスプレイの表面全体にわたって、輝度および色の不均一性が生ずる。
【0007】
従って、コックピット・ディスプレイ、アビオニクス・ディスプレイ、軍事用手持ち型デバイス・ディスプレイなどのような重要な応用分野においてAM OLEDディスプレイに課される重要な要件は、そうしたディスプレイが、その輝度(明るさ)を、ディスプレイが調光されるときに、広ダイナミック・レンジ(例えば、>2000:1)にわたって、ディスプレイの表面全体にわたるカラー・バランスならびに/あるいは輝度および色度の均一性に影響を及ぼすことなく、調整できなければならないということである。既存のAM OLEDディスプレイに使用される駆動方法は、所望の輝度を、グレースケール・データ電圧(または電流)あるいはVDD/V電圧(1または複数)を調整することによって、達成する。しかしながら、AM OLEDディスプレイの輝度を調整するこれらの既存の方法は、広ダイナミック・レンジのディスプレイ調光応用分野では、多数の問題を生み出す。例えば、(1)所望の広ダイナミック・レンジ調光要件を、AM OLEDディスプレイに現在使用可能な8ビット・データ(コラム)・ドライバを使用して既存の駆動方法で達成することは、比較的難しい問題である。(2)使用される赤色、緑色および青色(R、G、B)のAM OLEDディスプレイ材料に関する伝達特性(輝度対電圧)が異なるため、「通常」の昼光での動作用に最適化されたグレースケール・データ電圧(または電流)あるいはVDD/V電圧が、夜間(低輝度)動作用に変更(例えば、低減)されたとき、典型的には、ディスプレイのカラー・バランスが変化する。(3)既存のAM OLEDディスプレイを、夜間観視条件に関連する低輝度レベルで動作させると、低輝度(グレー・レベル)状態においては薄膜トランジスタ(TFT)およびOLEDの性能の変動が増大するため、ディスプレイの表面全体にわたって輝度および色度の大幅な不均一性が生ずる。
【0008】
従って、既存のAM OLEDディスプレイに伴うこれらの問題を示すために、図1は、AM OLEDディスプレイを調光する従来方法で現在使用されている、典型的なAM OLEDサブピクセル(sub-pixel)回路100の電気的概略図を示す(「Prior Art」(従来技術)と記されている)。図1を参照すると、従来のサブピクセル回路100は、第1のTFT102と、第2のTFT104と、ストレージ・コンデンサ106と、OLEDピクセル108とを含む。図示のように、トランジスタ102はスキャン(走査)・トランジスタであり、トランジスタ104は駆動トランジスタである。走査トランジスタ102のゲート端子110は、関係するディスプレイの行(走査/行イネーブル)アドレス・バスに接続され、走査トランジスタ102のドレイン端子112は、ディスプレイの列(データ)アドレス・バスに接続される。走査トランジスタ102のソースは、ストレージ・コンデンサ106と駆動トランジスタ104のゲート端子との接続点107に接続される。ディスプレイの動作の行アドレス指定期間中に、走査トランジスタ102は、ストレージ・コンデンサ106と駆動トランジスタ104のゲート端子との接続点107を、データ電圧(信号)VDATAまで充電する。行アドレス指定期間後、走査トランジスタ102はオフに切り替えられ、OLEDピクセル108は、データ・バスから電気的に分離される。このフレームの時間の残りの間、駆動トランジスタ104のドレイン端子114に接続された電源電圧VDDが、OLEDピクセル108を駆動するための電流を提供する。
【0009】
図1に示されるAM OLEDディスプレイ回路100での、この従来の方法によるグレースケールは、データ・バス上のデータ電圧(信号)を変動させることによって達成される。更に、ディスプレイの明るさ(最大輝度)は、データ電圧(信号)またはVDD/V電圧を変更することによって、直接に調整される(ディスプレイ調光用)。しかしながら、先に論じたように、AM OLEDディスプレイの輝度を調整するこれらの従来の方法の重大な問題は、調光が、グレースケールを調整するように、データ電圧(または電流)を変更するか、あるいは電源(VDDおよび/またはV)電圧を変更することによって実施されるので、広ダイナミック・レンジ調光(例えば、>2000:1)を、適切な均一性を伴って実現することができないということが、図1から分かる。しかしながら、以下に詳細に述べるように、本発明では、既存のAM OLEDディスプレイおよび他の従来技術のディスプレイで生ずる問題を解決する、優れた調光能力(例えば、広ダイナミック・レンジ>2000:1)で輝度を調整する改善されたAM OLEDディスプレイならびに方法を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、改良されたAM OLEDピクセル回路、および、調光範囲にわたってカラー・バランスを維持し、またディスプレイが低い輝度値に調光されるときにディスプレイの輝度および色度の均一性を低グレー・レベルに維持する、AM OLEDディスプレイの広ダイナミック・レンジ調光方法を提供する。従って、本発明は、AM OLEDディスプレイが、既存ならびに将来のアビオニクス、コックピット、および手持ち型軍事用デバイスのディスプレイ応用分野で必要とされる厳格な色/調光仕様を満たすことを可能にする。基本的に、本発明は、改良されたAM OLEDピクセル回路、および、所望のディスプレイ輝度(明るさ)を達成するためにOLEDピクセル電流のパルス幅変調(PWM)を使用するダイナミック・レンジ調光方法を提供する。
【0011】
所望のディスプレイ輝度を達成するためにOLED電流を変調するように、外部から(例えば、AM OLEDガラス・ディスプレイの外側で)共通カソード電圧(V)または共通電源電圧(VDD)をPW変調するための、本発明の2つの例の実施形態が提供される。フレーム時間の間にOLED電流を変調するためにピクセル回路内に追加のトランジスタ・スイッチを組み込む、本発明の3つの追加の例示の実施形態が提供される。従来の方法とは異なり、この3つの追加(内部)の例の実施形態は、フレーム時間中に、ピクセルの各行を順に変調することを可能にし、それによってディスプレイのフリッカの性質を取り除く。従って、本発明は、データ電圧(または電流)の変調と共に、OLED電流をPW変調することによって、広ダイナミック・レンジの調光を達成すると共に、関係するディスプレイの表面全体にわたって必要とされるカラー・バランスならびに輝度および色度の均一性を維持する。
【0012】
本発明の特徴と考えられる新規な特徴が特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、本発明自体、ならびに本発明の好ましい使用モードや更なる目的および利点は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面と併せて読めば、最もよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ここで図を参照すると、図2Aは、本発明の1または複数の実施形態を実施する環境として使用することができる例示のコックピットまたはアビオニクス・ディスプレイ環境200Aを示す。図2Bは、本発明の1または複数の実施形態を実施することができる例示のディスプレイ202Bを含む例示のコックピットまたはアビオニクス・ディスプレイ200B(例えば、例示の環境200A内のもの)を示す。従って、図2Aおよび図2Bは、例示的な環境およびアビオニクスまたはコックピット・ディスプレイを示すが、本発明は、そのように限定されるものではなく、例えば、広ダイナミック・レンジ調光を必要とする任意の適切なディスプレイ(例えば、フラット・パネル・ディスプレイ付きの軍事用または民生用の手持ち型デバイスなど)においても実施することができる。
【0014】
図3は、本発明の第1の実施形態を実施するのに使用することができる、例示的なAM OLEDサブピクセル回路300の電気的概略図を示す。従って、AM OLEDサブピクセル回路300は、例えば外部(ディスプレイ外部)でのPWM方式を使用してAM OLEDディスプレイを動的に調光するための好ましい方法において使用することができる。ここで図3を参照すると、AM OLEDサブピクセル回路300は、第1のTFT302と、第2のTFT304と、ストレージ・コンデンサ306と、OLEDピクセル308と、ここでは電界効果トランジスタ(FET)として表されるトランジスタ310とを含む。図示のように、トランジスタ302は走査トランジスタであり、トランジスタ304は駆動トランジスタである。走査トランジスタ302のゲート端子312は、関係するディスプレイの行(走査/行イネーブル)アドレス・バスに接続され、走査トランジスタ302のドレイン端子314は、そのディスプレイの列(データ)アドレス・バスに接続される。走査トランジスタ302のソースは、ストレージ・コンデンサ306と駆動トランジスタ304のゲート端子との接続点307に接続される。駆動トランジスタ304のソースは、OLEDピクセル308の端子に接続される。OLEDピクセル308の第2の端子318は、トランジスタ310の一方の端子(例えば、ドレイン)に接続される。トランジスタ310の他方の端子(例えば、ソース)は、共通カソード端子V320に接続される。
【0015】
この例示的の実施形態の場合、AM OLEDピクセル回路300を組み込むAM OLEDディスプレイは、複数(例えば、2以上)の共通カソード端子V320を含むことができる。そのような1つの共通カソード端子V320を、関係するディスプレイのディスプレイ行の上半分をカバーするのに使用することができ、別の共通カソード端子V320を、関係するディスプレイのディスプレイ行のうち下半分をカバーするのに使用することができる。例えば、ディスプレイは、480の行および640の列を含むことができる。そのようなAM OLEDディスプレイの共通カソード端子V320のそれぞれは、PWM信号発生器322により制御されるトランジスタ310を通じてカソード電圧に切り替えることができる。発生器322からのPWM信号の周波数の例は60Hzである。
【0016】
ディスプレイ動作の行アドレス指定期間中、走査トランジスタ302は、ストレージ・コンデンサ306と駆動トランジスタ304のゲート端子との接続点307を、データ電圧(信号)VDATAへと充電する。行アドレス指定期間後、走査トランジスタ302はオフに切り替えられ、OLEDピクセル308はデータ・バスから電気的に分離される。
【0017】
この例示の実施形態の場合、共通カソード電圧V320は、PWM信号発生器322から印加される信号によってPW変調され、これは、この共通カソード端子V320に関連するOLEDピクセル(例えば、OLEDピクセル308)の行(1または複数)にわたって逆バイアスを印加する働きをし、それが、この共通カソード端子V320に関連するOLEDピクセル(例えば、OLEDピクセル308)を「オフ」に切り替え、それにより、関係するディスプレイのフレーム時間中に明るさまたは輝度を制御する。従って、本発明の本実施形態によれば、広ダイナミック・レンジ調光を達成しつつも、関係するディスプレイの表面にわたって必要とされるカラー・バランスおよび輝度および色度の均一性を維持するAM OLEDピクセル回路およびその方法が提供される。この場合、ディスプレイを動的に調光するために、外部トランジスタ310を使用して、OLEDピクセル308のカソード電源V320を変調することができる。従って、共通カソード電圧V320をPW変調することによって、ディスプレイの輝度または明るさが、適切な期間にわたって平均化される。従って、本発明のPWM法を使用することによって、既存のOLEDディスプレイに現在提供されているよりも均一なOLEDディスプレイの調光が可能になる。
【0018】
図4は、本発明の第2の実施形態を実施するのに使用することができる例示的なAM OLEDサブピクセル回路400の電気的概略図を示す。従って、AM OLEDサブピクセル回路400は、例えば外部(ディスプレイ外部)のPWM方式を使用してAM OLEDディスプレイを動的に調光するための好ましい方法において使用することができる。ここで図4を参照すると、AM OLEDサブピクセル回路400は、第1のTFT402と、ストレージ・コンデンサ404と、第2のTFT408と、OLEDピクセル410と、ここではPチャネルFETとして表されるトランジスタ406とを含む。この場合、外部(関係するディスプレイの外部)のトランジスタ406を使用して、OLEDピクセル410の正電源VDD418をPW変調して、それにより、共通電源電圧VDD418に関連するOLEDピクセル(例えば、OLEDピクセル410)の電圧を「オフ」にし、それによりディスプレイの明るさを制御する。また、この場合、PW変調されたVDDが、トランジスタ408のゲート端子とストレージ・コンデンサ404との間の接続点426のゲート電圧VGS2に結合されるのを防止するために、ストレージ・コンデンサ404の基準電圧VSC416をVDDラインから取り除くことができる。
【0019】
示されるように、この例示の実施形態の場合、トランジスタ402は走査トランジスタであり、トランジスタ408は駆動トランジスタである。走査トランジスタ402のゲート端子412は、関係するディスプレイの行(走査/行イネーブル)アドレス・バスに接続され、走査トランジスタ402のドレイン端子414は、そのディスプレイの列(データ)アドレス・バスに接続される。走査トランジスタ402のソースは、ストレージ・コンデンサ404と駆動トランジスタ408のゲート端子との接続点426に接続される。駆動トランジスタ408のソースは、OLEDピクセル410の端子に接続される。駆動トランジスタ408のドレインは、トランジスタ406の一方の端子(例えば、ドレイン)422に接続され、トランジスタ406の他方の端子(例えば、ソース)は、共通電源電圧VDD418に接続される。OLEDピクセル410の第2の端子は、共通カソード端子V424に接続される。
【0020】
この例示の実施形態の場合、AM OLEDサブピクセル回路400を組み込むAM OLEDディスプレイは、複数(例えば、2以上)の共通電源電圧端子VDD418を含むことができる。共通電源電圧のそれぞれ(例えば、図4のVDD418)は、ディスプレイ全体の中の関係する特定のOLEDサブピクセル(例えば、OLED410)に正電源電圧を提供する。そのようなディスプレイのトランジスタ406の制御(例えば、ゲート)端子は、PWM信号発生器420に接続される。
【0021】
ディスプレイ動作の行アドレス指定期間中、走査トランジスタ412は、ストレージ・コンデンサ404と駆動トランジスタ408のゲート端子との接続点426を、データ電圧(信号)VDATAへと充電する。行アドレス指定期間の後、走査トランジスタ412はオフに切り替えられ、OLEDピクセル410は、データ・バスから電気的に分離される。次いで、ディスプレイ(例えば、OLEDピクセル410)の輝度(例えば、明るさ)を調整するために、PWM信号発生器420からのPW変調信号がスイッチ・トランジスタ406のゲートに印加され、それにより、共通電源電圧VDD418がPW変調されて、その共通電源電圧VDD418に関連する複数のOLEDピクセル(例えば、OLEDピクセル410)の電圧が「オフ」にされ、それにより、ディスプレイ全体の明るさが制御される。この場合も、本発明のPWM法を使用して、ディスプレイの調光を最適な均一性と共に達成することができる。
【0022】
図5は、本発明の第3の実施形態を実施するのに使用することができる例示的なAM OLEDサブピクセル回路500の電気的概略図を示す。従って、AM OLEDサブピクセル回路500は、例えば内部(ディスプレイ内部)のPWM方式を使用してAM OLEDディスプレイを動的に調光するための好ましい方法において使用することができる。ここで図5を参照すると、AM OLEDサブピクセル回路500は、第1のTFT502と、ストレージ・コンデンサ504と、第2のTFT506と、第3のTFT508と、OLEDピクセル510とを含む。この場合、OLEDピクセル(例えば、OLEDピクセル510)が発光しないように「オフ」にするように、第3のTFT508(関係するディスプレイの内部にある)をディスプレイの各サブピクセルで使用して、OLEDピクセル510の電流IOLED518をPW変調することができ、それによりディスプレイ全体の明るさを制御する。
【0023】
図示のように、この例示の実施形態の場合、トランジスタ502は走査トランジスタであり、トランジスタ506は駆動トランジスタである。走査トランジスタ502のゲート端子512は、関係するディスプレイの行(走査/行イネーブル)アドレス・バスに接続され、走査トランジスタ502のドレイン端子514は、そのディスプレイの列(データ)アドレス・バスに接続される。走査トランジスタ502のソースは、ストレージ・コンデンサ504と駆動トランジスタ506のゲート端子との接続点507に接続される。駆動トランジスタ506のソースは、第3のTFT508のドレインに接続され、第3のTFT508のソースは、OLEDピクセル510の端子に接続される。駆動トランジスタ506のドレインは、共通電源電圧VDD516に接続される。OLEDピクセル510の第2の端子は、共通カソード端子V522に接続される。
【0024】
この例示の実施形態の場合、AM OLEDサブピクセル回路500を組み込むAM OLEDディスプレイは、複数(例えば、2以上)のPWM電圧信号発生器VPWM520を含むことができる。従って、ピクセルのスイッチング、即ち、第3のTFT508のPWMによって、第3のTFT508は、OLED電流IOLED518を制御し、関係するOLEDピクセル(例えば、図5のOLEDピクセル510)を「オフ」に切り替えて、関係するOLEDピクセルが発光しないようにする。
【0025】
具体的には、ディスプレイの所与の行にある各ピクセルのスイッチングTFT508のゲート端子は、行イネーブル・バスと同様に、ディスプレイの外側からアドレス可能な行バスに接続される。PWM電圧信号発生器520からのPW変調信号VPWMを各行に印加し、それにより、OLEDピクセル510への電流の流れを「オフ」に切り替えてピクセルを「オフ」にする。それぞれの行の「オン」時間は、ディスプレイの明るさを制御するように変調される。かなりの量の変調(例えば、調光)を、そうした内部変調方式を使用して達成することができる。
【0026】
例えば、1000ライン(行)のディスプレイでは、ディスプレイの明るさを、事前に設定したPWM法だけで、1000:1倍に変調(調光)することができ、それによって、所望の広ダイナミック・レンジ調光(例えば、>2000:1)は、より高い輝度値を用いるグレー・レベルを使用して達成されることが可能になる。従って、本発明は、AM OLEDディスプレイに使用される従来の調光方法に比べて、ディスプレイが調光されるときの輝度および色度の均一性を表面全体にわたって大幅に改善する。
【0027】
従って、PWM電圧信号発生器520を、ディスプレイのすべてのピクセルに共通に接続することができ、または、ピクセルの行のそれぞれに、別々のPWM信号発生器(例えば、PWM電圧信号発生器520など)を設けることができる。ところで、ピクセルの各行に別々のPWM電圧(例えば、VPWM520)をもたらす利点は、他の手法と比べてディスプレイ・フリッカを大幅に最小限に抑えることができることである。
【0028】
ディスプレイ動作の行アドレス指定期間中に、走査トランジスタ502は、ストレージ・コンデンサ504と駆動トランジスタ506のゲート端子との接続点507を、データ電圧(信号)VDATAへと充電する。行アドレス指定期間の後、走査トランジスタ502はオフに切り替えられ、OLEDピクセル510はデータ・バスから電気的に分離される。次いで、ディスプレイ(例えば、OLEDピクセル510)の輝度(例えば、明るさ)を調整するために、PWM電圧信号発生器520からのPW変調信号VPWMが第3のTFT508のゲートに印加され、それによって、OLED電流IOLED518がPW変調されて対象のOLEDピクセル(例えば、OLEDピクセル510)が「オフ」にされ、それによりディスプレイ全体の明るさが制御される。この場合も、本発明のPWM法を使用して、ディスプレイの調光を最適な均一性を伴って達成することができる。
【0029】
図6は、本発明の第4の実施形態の実施に使用できる例示的なAM OLEDサブピクセル回路600の電気的概略図を示す。従って、AM OLEDサブピクセル回路600は、例えば内部(ディスプレイ内部)のPWM方式を使用してAM OLEDディスプレイを動的に調光するための好ましい方法において使用することができる。ここで図6を参照すると、AM OLEDサブピクセル回路600は、第1のTFT602と、ストレージ・コンデンサ604と、第2のTFT606と、第3のTFT608と、OLEDピクセル610とを含む。この場合、第3のTFT608(関係するディスプレイの内部)をディスプレイの各サブピクセルで使用して、関係するOLEDピクセルを通る電流をPW変調して、それによりそのOLEDピクセル(例えば、OLEDピクセル610)を「オフ」にして発光しないように、それによりディスプレイ全体の明るさを制御する。
【0030】
示されるように、この例示の実施形態の場合、トランジスタ602は走査トランジスタであり、トランジスタ606は駆動トランジスタである。走査トランジスタ602のゲート端子612は、関係するディスプレイの行(走査/行イネーブル)アドレス・バスに接続され、走査トランジスタ602のドレイン端子614は、そのディスプレイの列(データ)アドレス・バスに接続される。走査トランジスタ602のソースは、ストレージ・コンデンサ604と、第3のTFT608のドレインと、駆動トランジスタ606のゲート端子との接続点620に接続される。駆動トランジスタ606のソースは、第3のTFT608のソースと、OLEDピクセル610の一方の端子とに接続される。駆動トランジスタ606のドレイン端子は、共通電源電圧VDD618に接続される。OLEDピクセル610の第2の端子は、共通カソード端子V622に接続される。
【0031】
この例示の実施形態の場合、AM OLEDサブピクセル回路600を組み込むAM OLEDディスプレイは、複数(例えば、2以上)のPWM電圧信号発生器VPWM624を含むことができる。従って、駆動トランジスタ606のゲートのゲート電圧VGS2620のPWMによって、第3のTFT608は、関係するOLEDピクセル(例えば、OLEDピクセル610)を通る電流を、駆動トランジスタ606を「オフ」にし、従って、関係するOLEDピクセル(例えば、図6のOLEDピクセル610)を「オフ」にすることによって制御し、それにより、関係するOLEDピクセルが発光しないようにする。従って、PWM電圧信号発生器624を、ディスプレイのすべてのピクセルに共通のものとすることができ、または、ピクセルの各行に、別々のPWM信号発生器(例えば、PWM電圧信号発生器624など)を備えることができる。この場合も、ピクセルの各行に別々のPWM電圧(例えば、VPWM624)をもたらす利点は、本方法が他の既存の手法と比べて、ディスプレイのフリッカの傾向を大幅に低減させることができることである。
【0032】
ディスプレイ動作の行アドレス指定期間中に、走査トランジスタ602は、ストレージ・コンデンサ604と駆動トランジスタ606のゲート端子との接続点620を、データ電圧(信号)VDATAへと充電する。行アドレス指定期間の後、走査トランジスタ602はオフに切り替えられ、OLEDピクセル610はデータ・バスから電気的に分離される。次いで、ディスプレイ(例えば、OLEDピクセル610)の輝度(例えば、明るさ)を調整するために、PWM電圧信号発生器624からのPW変調信号VPWMが第3のTFT608のゲートに印加され、それによって、ゲート電圧VGS2620がPW変調されて、駆動トランジスタ606が「オフ」にされる。それに応答して、駆動トランジスタ606のPW変調は、関係するOLEDピクセルを通る電流を制御して、対象のOLEDピクセル(例えば、OLEDピクセル610)を「オフ」し、それによりディスプレイ全体の明るさが制御される。この場合も、本発明のPWM法を使用して、ディスプレイの調光を、最適な均一性を伴って実現することができる。
【0033】
図7は、本発明の第5の実施形態の実施に使用できる例示的なAM OLEDサブピクセル回路700の電気的概略図を示す。従って、AM OLEDサブピクセル回路700は、例えば内部(ディスプレイ内部)のPWM方式を使用してAM OLEDディスプレイを動的に調光するための好ましい方法において使用することができる。ここで図7を参照すると、AM OLEDサブピクセル回路700は、第1のTFT702と、ストレージ・コンデンサ706と、第2のTFT710と、第3のTFT704と、第4のTFT712と、OLEDピクセル714とを含む。この場合、関係するディスプレイの内部にある2つの追加トランジスタ(例えば、第3のTFT704および第4のTFT712)を、ディスプレイの各サブピクセルで使用して、関係するOLEDピクセルを通る電流(例えば、IOLED718)のPWMを可能にすることができ、ゲート電圧VGS2716を予め選択された値から「オフ」に変更することによって、OLEDピクセル(例えば、OLEDピクセル714)を「オフ」にして発光しないようにする。ストレージ・コンデンサ706が予め選択された値まで充電された後の選択された時間に、PWM電圧VPWM730が高レベルになり、それが第3のTFT704をシャット「オフ」し、(例えば、VC706をVGS2716から切り離し)、第4のTFT712を「オン」にし、それにより駆動トランジスタ710をシャット「オフ」する。従って、本発明のこのPWM法は、関係するOLEDピクセル714を通る電流(例えば、IOLED718)を制御し、それによりディスプレイ全体の明るさが制御される。
【0034】
先に述べたように、ピクセルの各行に、別々のPWM電圧(例えば、VPWM730)をもたらす利点は、本方法が他の既存の手法に比べて、ディスプレイのフリッカの傾向を大幅に低減させることである。また、本発明のPWM法を使用して、AM OLEDディスプレイの調光を、最適な均一性と共に達成することができる。
【0035】
本発明は、完全に機能するAM OLEDディスプレイに関して説明されてきたが、重要な留意事項として、本発明の各プロセスは、コンピュータ読取可能媒体の命令の形および様々な形で分配されることができ、本発明は、分配を実施するために実際に使用される特定のタイプの信号担持媒体(signal bearing media)に関係なく何れのものにも同等に適用されることを、当業者なら理解するであろう。コンピュータ読取可能媒体の例は、フロッピー(登録商標)・ディスク、ハード・ディスク・ドライブ、RAM、CD−ROM、DVD−ROMなどの記録可能なタイプの媒体、ならびにデジタルおよびアナログ通信リンク、例えば無線周波数や光波伝送などの伝送形態を使用する有線または無線の通信リンクなどの伝送タイプの媒体を含む。コンピュータ読取可能媒体は、特定のAM OLEDディスプレイで実際に使用するために復号される、符号化されたフォーマットの形をとってもよい。
【0036】
以上、本発明の説明が、例示および説明のために提示されてきた。本発明の説明は、網羅的なものではなく、また、本発明は開示された形の発明に限定されるものではない。多くの変更形態および変形形態が、当業者には明らかとなるであろう。本発明の実施形態は、企図される特定の使用に適したものではあるが、本発明の原理および実際的な応用分野を最もよく説明するために、また当分野の他の技術者が、様々な変更形態を伴う様々な実施形態に関して、本発明を理解するのを可能にするために選択され、記載されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、AM OLEDディスプレイを調光する従来の方法において現在使用されている、従来技術のAM OLEDサブピクセル回路の電気的概略図を示す。
【図2A】図2Aは、本発明の1または複数の実施形態を実施する環境として使用できるコックピットまたはアビオニクス・ディスプレイ環境の例を示す。
【図2B】図2Bは、本発明の1または複数の実施形態を実施できるコックピットまたはアビオニクス・ディスプレイの例を示す。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態の実施に使用できる例示的なAM OLEDサブピクセル回路の電気的概略図を示す。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態の実施に使用できる例示的なAM OLEDサブピクセル回路の電気的概略図を示す。
【図5】図5は、本発明の第3の実施形態の実施に使用できる例示的なAM OLEDサブピクセル回路の電気的概略図を示す。
【図6】図6は、本発明の第4の実施形態の実施に使用できる例示的なAM OLEDサブピクセル回路の電気的概略図を示す。
【図7】図7は、本発明の第5の実施形態の実施に使用できる例示的なAM OLEDサブピクセル回路の電気的概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオード・ディスプレイ(200B)であって、
前記ディスプレイ(200B)用の少なくとも1つのサブピクセル回路(300)を備え、該サブピクセル回路は、
前記ディスプレイ(200B)の行アドレス・バスと、前記ディスプレイ(200B)の列アドレス・バスとに結合される第1のトランジスタ(302)と、
前記第1のトランジスタ(302)に結合される第2のトランジスタ(304)と、
前記第2のトランジスタ(304)に結合された有機発光ダイオード(308)であって、前記第2のトランジスタ(304)は有機発光ダイオード(308)用の電源(316)とに結合されるものである、有機発光ダイオード(308)と、
前記有機発光ダイオード(308)と、パルス幅変調信号(322)を発生させる手段とに結合される第3のトランジスタ(320)と
を含む、
有機発光ダイオード・ディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の有機発光ダイオード・ディスプレイであって、前記第3のトランジスタは更に前記ディスプレイの共通カソード構成(320)に結合され、前記第3のトランジスタは、前記有機発光ダイオードを通る電流をパルス幅変調して、前記有機発光ダイオードの発光を制御するように適合される、有機発光ダイオード・ディスプレイ。
【請求項3】
請求項1に記載の有機発光ダイオード・ディスプレイであって、前記第1のトランジスタは薄膜トランジスタからなる、有機発光ダイオード・ディスプレイ。
【請求項4】
請求項1に記載の有機発光ダイオード・ディスプレイであって、前記第2のトランジスタは薄膜トランジスタからなる、有機発光ダイオード・ディスプレイ。
【請求項5】
請求項1に記載の有機発光ダイオード・ディスプレイであって、前記第3のトランジスタは電界効果トランジスタからなる、有機発光ダイオード・ディスプレイ。
【請求項6】
請求項1に記載の有機発光ダイオード・ディスプレイであって、前記第3のトランジスタは薄膜トランジスタからなる、有機発光ダイオード・ディスプレイ。
【請求項7】
有機発光ダイオード・ディスプレイ(200B)であって、
前記ディスプレイ(200B)用の少なくとも1つのサブピクセル回路(400)を備え、該サブピクセル回路は、
前記ディスプレイ(200B)の行アドレス・バスと、前記ディスプレイ(200B)の列アドレス・バスとに結合される第1のトランジスタ(402)と、
前記第1のトランジスタ(402)に結合される第2のトランジスタ(408)と、
前記第2のトランジスタ(408)と、パルス幅変調信号(420)を発生させる手段とに結合される第3のトランジスタ(406)と、
前記第2のトランジスタ(408)に結合される有機発光ダイオード(410)と
を含む、
有機発光ダイオード・ディスプレイ。
【請求項8】
請求項7に記載の有機発光ダイオード・ディスプレイであって、前記第3のトランジスタが更に前記有機発光ダイオード用の電源(418)に結合される、有機発光ダイオード・ディスプレイ。
【請求項9】
請求項7に記載の有機発光ダイオード・ディスプレイであって、前記有機発光ダイオードが更に前記ディスプレイの共通カソード構成(424)に結合される、有機発光ダイオード・ディスプレイ。
【請求項10】
有機発光ダイオード・ディスプレイ(200B)であって、
前記ディスプレイ(200B)用の少なくとも1つのサブピクセル回路(700)を備え、該サブピクセル回路は、
前記ディスプレイ(200B)の行アドレス・バスと、前記ディスプレイ(200B)の列アドレス・バスとに結合される第1のトランジスタ(702)と、
前記第1のトランジスタ(702)に結合される第2のトランジスタ(704)と、
前記第2のトランジスタ(704)と、パルス幅変調信号(730)を発生させる手段とに結合される第3のトランジスタ(712)と、
前記第2のトランジスタ(704)と、前記第3のトランジスタ(712)とに結合される第4のトランジスタ(710)と、
前記第3のトランジスタ(712)と、前記第4のトランジスタ(710)とに結合される有機発光ダイオード(714)と
を含む、
有機発光ダイオード・ディスプレイ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−529083(P2008−529083A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553116(P2007−553116)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/000626
【国際公開番号】WO2006/081061
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】