説明

アクリル系粘着剤樹脂組成物およびそれを用いた粘着シート又は粘着テープ

【課題】耐熱性に優れるアクリル系粘着剤樹脂組成物の提供。
【解決手段】少なくとも下記(a)〜(d)から合成される有機−無機ハイブリッド重合体を含有する、アクリル系粘着剤樹脂組成物。
(a)表面にシラノール基を有するシリカ微粒子、
(b)分子末端にアルコキシシリル基及びシラノール基の少なくとも1つの基を有するシロキサン、
(c)下記一般式(I)で表されるトリアルコキシシラン、及び
(d)(メタ)アクリル系モノマー。


(式中、RはC1−6アルキル基を示し、R1’は水素原子又はメチル基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性、透明性及び耐熱性に優れたアクリル系粘着剤樹脂組成物、該粘着剤樹脂組成物からなる粘着剤層を有する粘着シート又は粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス分野の進展に伴い、機器の小型化・薄型化が進んでいる。そのため、そのような機器に用いられる各種粘着剤においても、様々な特性が要求されるようになってきている。中でも耐熱性に対する要求が高まってきている。これは機器の小型化・薄型化により、発生する熱が甚大となったためである。発生した熱を逃がす工夫も種々検討されているが、各種粘着剤に対する耐熱性改善が更に求められている。
【0003】
シリコーン系粘着剤は耐熱性に優れているが、非常に高価であり、汎用の分野には使いづらい。そこで安価なアクリル系粘着剤の耐熱性向上が期待されている。
【0004】
アクリル系粘着剤は、透明性に優れ、構成するモノマーの組成を変更することにより、粘着特性を容易に制御できることから、従来から、多くの粘着剤・接着剤製品に応用されている。
【0005】
アクリル系粘着剤の耐熱性向上の検討としては、脂環式アクリル系モノマーを導入する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。該方法は、ポリオレフィン等の非極性な基材に対する粘着性に優れるが、耐熱性向上の効果はあまり見られない。
また、アクリルアミド系モノマーなどを共重合して耐熱性を改善する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。該方法は、リワーク性には優れるが、耐熱温度が120℃程度であり、エレクトロニクス分野に用いるには耐熱性が不足している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−133408号公報
【特許文献2】特開2008−308548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、アクリル系粘着剤が備える接着性、透明性等の優れた特性を維持しつつ、耐熱性にも優れたアクリル系粘着剤樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、シリカ微粒子(a)、シロキサン(b)、トリアルコキシシラン(c)、及び(メタ)アクリル系モノマー(d)から合成される有機−無機ハイブリッド重合体が、接着性および透明性が損なわれることなく、耐熱性が向上されることを見出し、発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0009】
[1]少なくとも下記(a)〜(d)から合成される有機−無機ハイブリッド重合体(以下、本発明のハイブリッド重合体と略記する場合がある)を含有する、アクリル系粘着剤樹脂組成物(以下、本発明の粘着剤樹脂組成物と略記する場合がある)。
(a)表面にシラノール基を有するシリカ微粒子、
(b)分子末端にアルコキシシリル基及びシラノール基の少なくとも1つの基を有するシロキサン、
(c)下記一般式(I)で表されるトリアルコキシシラン、及び
(d)(メタ)アクリル系モノマー。
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、RはC1−6アルキル基を示し、R1’は水素原子又はメチル基を示す。)
[2]シリカ微粒子(a)が、平均一次粒子径が1〜100nm、pH2〜4またはpH8〜10のコロイダルシリカである、前記[1]記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
[3]シロキサン(b)が、分子末端に分子全体の10重量%以上のアルコキシシリル基を有するシロキサン、および、分子末端に分子全体の10重量%以下のシラノール基を有するシロキサンのうちの少なくとも1つを含む、前記[1]又は[2]記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
[4]分子末端にアルコキシシリル基を有するシロキサンの重量平均分子量が、100〜6000である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
[5]分子末端にシラノール基を有するシロキサンの重量平均分子量が、300〜3000である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
[6]シリカ微粒子(a)とシロキサン(b)からポリシロキサンが形成される、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
[7](メタ)アクリル系モノマー(d)が、下記一般式(II)で表される、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2〜14の炭化水素基を示す。)
[8]トリアルコキシシラン(c)と(メタ)アクリル系モノマー(d)がアクリル共重合体を形成する、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
[9]共重合成分としてカルボキシル基含有モノマー(e)をさらに含み、かつカルボキシル基含有モノマー(e)、トリアルコキシシラン(c)及び(メタ)アクリル系モノマー(d)がアクリル共重合体を形成する、前記[1]〜[8]のいずれかに記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
[10]有機−無機ハイブリッド重合体が、シリカ微粒子(a)とシロキサン(b)から形成されるポリシロキサンと、少なくともトリアルコキシシラン(c)と(メタ)アクリル系モノマー(d)から形成されるアクリル共重合体とが、シロキサン結合した共重合体である、前記[1]〜[9]のいずれかに記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
[11]基材又はセパレーター上に前記[1]〜[9]のいずれかに記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物からなる層を有することを特徴とする、粘着シート又は粘着テープ(以下、本発明の粘着シート又は粘着テープと略記する場合がある)。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粘着剤樹脂組成物並びにそれを用いた粘着シート及び粘着テープは、高温条件下で保存した後においても接着性、透明性を維持し得、耐熱性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の粘着剤樹脂組成物は、少なくとも下記(a)〜(d)から合成される有機−無機ハイブリッド重合体を含有する。
(a)表面にシラノール基を有するシリカ微粒子、
(b)分子末端にアルコキシシリル基及びシラノール基の少なくとも1つの基を有するシロキサン、
(c)下記一般式(I)で表されるトリアルコキシシラン、及び
(d)(メタ)アクリル系モノマー。
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、RはC1−6アルキル基を示し、R1’は水素原子又はメチル基を示す。)
【0018】
本発明のハイブリッド重合体は、さらにカルボキシル基含有モノマー(e)を共重合成分として含んでもよい。
【0019】
本発明のハイブリッド重合体は、ポリシロキサンとアクリル共重合体とがシロキサン結合したアクリル−シロキサン共重合体である。すなわち、ポリシロキサンは、シリカ微粒子(a)とシロキサン(b)とから形成される。一方、トリアルコキシシラン(c)と(メタ)アクリル系モノマー(d)とが共重合することで、トリアルコキシシリル基を有するアクリル共重合体が形成される。そして、当該アクリル共重合体中のトリアルコキシシリル基が、上記ポリシロキサン中のアルコキシシリル基/シラノール基と反応することで、ポリシロキサンとアクリル共重合体とがシロキサン結合し、本発明のハイブリッド重合体が合成される。
以下、成分毎に説明する。
【0020】
[シリカ微粒子(a)]
シリカ微粒子(a)は、粒子表面にシラノール基を有する。かかるシリカ微粒子(a)としては、例えば、コロイダルシリカ等が挙げられる。
【0021】
シリカ微粒子(a)の平均一次粒子径は、好ましくは1〜100nmの範囲内であり、より好ましくは、1〜70nmの範囲内であり、特に好ましくは、1〜40nmの範囲内である。かかる平均一次粒子径が、1nm未満であると、粘着性樹脂組成物の接着性や耐熱性が劣る傾向にあり、逆に、100nmを超えると、粘着性樹脂組成物のヘイズが大きくなって透明性が劣る傾向にある。なお、本発明において、「平均一次粒子径」とは、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば、ナノトラックUPAシリーズ、日機装社製)で測定される体積平均一次粒子径をいう。
【0022】
シリカ微粒子(a)の粒度分布は、特に制限されないが、狭いことが好ましく、一次粒子径のまま分散している単分散状態であることが、さらに、好ましい。
【0023】
シリカ微粒子(a)は通常、水分散液で使用され、その固形分濃度は、特に限定されないが、高濃度であることが好ましい。具体的には、(メタ)アクリル系モノマー(d)との均一分散性や得られる粘着剤樹脂組成物の耐熱性の観点から、固形分濃度は、通常10重量%以上であり、好ましくは、20重量%以上である。また、シリカ微粒子(a)の固形分濃度の上限値は、特に制限されないが、通常50重量%以下であり、好ましくは、40重量%以下である。
【0024】
シリカ微粒子(a)の粒子表面は、表面処理を施していない状態であることが好ましい。また、該粒子表面のpH及びシリカ微粒子水分散液のpHは、いずれも酸性領域又は塩基性領域であり、具体的には、pH2〜4(好ましくは、pH2〜3)の範囲内、又は、pH8〜10(好ましくは、pH9〜10)の範囲内であることが好ましい。かかるpHが2未満である場合又は10を超過する場合は、反応速度が制御できず、ハイブリッド重合体の合成中にゲル化が起こる傾向がある。逆に、かかるpHが4を超過し、且つ、8未満である場合は、反応が十分に進行せず、ハイブリッド重合体が高分子量化しないので、溶液粘度が低くなりすぎ、基材等へ塗工し難くなる傾向がある。
【0025】
シリカ微粒子(a)は、市販品を用いてもよく、そのような市販品としては、例えば、以下のものが挙げられる。
粒子表面のpH及びシリカ微粒子水分散液のpHが酸性領域である市販品としては、例えば、日産化学工業株式会社製の「スノーテックスOXS」、「スノーテックスOS」、「スノーテックスO」、「スノーテックスO−40」、「スノーテックスOL」、「スノーテックスOUP」、「スノーテックスPS−SO」、「スノーテックスPS−MO」等が挙げられる。
粒子表面のpH及びシリカ微粒子水分散液のpHが塩基性領域である市販品としては、例えば、日産化学工業株式会社製の「スノーテックスXS」、「スノーテックスS」、「スノーテックス20」、「スノーテックス30」、「スノーテックス40」、「スノーテックス50」、「スノーテックスN」、「スノーテックスNXS」、「スノーテックス20L」、「スノーテックスOL」、「スノーテックスXL」、「スノーテックスZL」、「スノーテックスUP」、「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」等が挙げられる。
【0026】
[シロキサン(b)]
シロキサン(b)は、分子末端にアルコキシシリル基及びシラノール基の少なくとも一つの基を有する。かかるシロキサン(b)としては、例えば、鎖状、環状又は網状のオルガノシロキサン等が挙げられる。
【0027】
分子末端にアルコキシシリル基を有するシロキサン(b)の重量平均分子量(Mw)は、通常、100〜6000の範囲内であり、好ましくは、100〜4000の範囲内であり、特に好ましくは、100〜3000の範囲内である。かかる重量平均分子量(Mw)が、100未満であると、反応に関与する官能基数が不足して、十分に反応しにくい傾向がある。逆に6000を超えると、シリカ微粒子(a)とシロキサン(b)とが反応する前に、シロキサン(b)内で自己縮合反応が優先的に起こるため、シリカ微粒子(a)が凝集しやすくなって、得られるポリシロキサンが白濁してしまう恐れがある。なお、本発明において、「重量平均分子量(Mw)」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により以下の方法で測定したものをいう。
【0028】
(重量平均分子量(Mw)の測定方法)
測定対象ポリマーの試料を約10mg採取し、特級THFで溶解して0.1%THF溶液とし、0.45μmフィルターで濾過して、試料液を調製する。標準ポリスチレンの検量線を用い、換算分子量より分子量を求める。
(測定条件)
装置 :HLC8120GPC(東ソー社製)
カラム :G7000HXL+GMHXL+GMHXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶離液 :特級THF
流速 :0.8mL/min
【0029】
分子末端にアルコキシシリル基を有するシロキサン(b)におけるアルコキシシリル基としては、特に制限されないが、C1−6アルコキシシリル基が好ましく、具体的には、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、ブトキシシリル基等が挙げられ、中でも、反応性の点で、メトキシシリル基、エトキシシリル基が好ましい。
【0030】
分子末端にアルコキシシリル基を有するシロキサン(b)におけるアルコキシシリル基の量は、特に制限されないが、分子全体に対して、通常10重量%以上であり、好ましくは、15〜46重量%の範囲内であり、特に好ましくは、20〜46重量%の範囲内である。かかるアルコキシシリル基の量が、分子全体に対して、10重量%未満であると、シロキサンユニット内またはシロキサンユニット同士の反応が優先して起こり、シリカ微粒子(a)の凝集を引き起こす恐れがある。なお、46重量%を超えると、ポリシロキサンの架橋度が大きくなり過ぎて、ゲル化を起こしやすくなることがあるが、ゲル化を起こさない限り、46重量%を超えてもよいことはいうまでもない。なお、かかるアルコキシシリル基の量は、示差式重量減少測定装置(TGA)を用いて、室温(10〜30℃)から300℃まで昇温したときの重量減少の割合から求められる。
【0031】
また、分子末端にアルコキシシリル基を有するシロキサン(b)における、アルコキシシリル基以外のケイ素原子結合有機基としては、特に制限されず、例えば、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル等に代表されるハロゲン置換又は非置換のC1−6アルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシルに代表されるシクロアルキル基;フェニル、キシリル等に代表されるアリール基;ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル等に代表されるアラルキル基;又はヒドロキシ基等が例示されるが、シリカ微粒子(a)との反応性の観点から、好ましくは、メチルである。
【0032】
分子末端にアルコキシシリル基を有するシロキサン(b)としては、市販品を用いてもよく、そのような市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製の「KC89」(Mw:約400、メトキシシリル基の量:46重量%)、「KR500」(Mw:約1000、メトキシシリル基の量:28重量%)、「X−40−9225」(Mw:約3000、メトキシシリル基の量:24重量%)、「X−40−9246」(Mw:約5000、メトキシシリル基の量:10重量%)等が挙げられる。
【0033】
分子末端にシラノール基を有するシロキサン(b)の重量平均分子量(Mw)は、通常、300〜3000の範囲内であり、好ましくは、300〜2000の範囲内であり、特に好ましくは、300〜1000の範囲内である。かかる重量平均分子量(Mw)が、300未満であると、分子量が小さすぎて、反応効率が低下する傾向があり、逆に、3000を超えると、シリカ微粒子(a)とシロキサン(b)とが反応する前に、シロキサン(b)間で自己縮合反応が優先的に起こるため、シリカ微粒子(a)が凝集しやすくなって、得られるポリシロキサンが白濁してしまう恐れがある。
【0034】
分子末端にシラノール基を有するシロキサン(b)におけるシラノール基の量は、特に制限されないが、分子全体に対して、通常10重量%以下であり、好ましくは、0.01重量%以上5重量%以下であり、特に好ましくは、0.1重量%以上2重量%以下である。かかるシラノール基の量が、分子全体に対して、10重量%を超えると、反応に関与する官能基量が多くなり過ぎて、反応の完結に時間がかかったり、反応率が低くなって粘着性樹脂組成物の樹脂特性に悪影響を及ぼしたりするおそれがある。逆に、シラノール基を有しないと、ポリシロキサンを合成することはできるが、得られるポリシロキサンは硬いものとなる。かかるシラノール基の量は、示差式重量減少測定装置(TGA)を用いて、室温(0〜30℃)から300℃まで昇温したときの重量減少の割合から求められる。
【0035】
分子末端にシラノール基を有するシロキサン(b)としては、前記要件を満たす限り、特に限定されない。かかるシロキサン(b)のシラノール基以外のケイ素原子結合有機基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル等に代表されるハロゲン置換又は非置換のC1−6アルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシルに代表されるシクロアルキル基;フェニル、キシリル等に代表されるアリール基;ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル等に代表されるアラルキル基;又はヒドロキシ基等が例示されるが、シリカ微粒子(a)との反応性及び安定性の観点から、好ましくは、メチルである。
【0036】
分子末端にシラノール基を有するシロキサン(b)としては、市販品を用いてもよく、そのような市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製の「X−21−3153」(Mw:約300、シラノール基の量:約10重量%)、「X−21−5841」(Mw:約1000、シラノール基の量:約3重量%)、「KF9701」(Mw:約3000、シラノール基の量:約1重量%)等が挙げられる。
【0037】
本発明は、シリカ微粒子(a)とシロキサン(b)とから、ポリシロキサンが形成されることを特徴とする。
【0038】
前記ポリシロキサンの形成方法は、特に制限されず、自体公知の方法を採用し得、例えば、下記の方法により合成される。
シリカ微粒子(a)に共溶剤として水と相溶するアルコールを加えて希釈する。該溶液のpHを1〜3の範囲内に調整した後、シロキサン(b)を該溶液中に加え、シリカ微粒子(a)と反応させる。反応終了後、溶媒を留去、置換する。
【0039】
ポリシロキサンの形成におけるシリカ微粒子(a)の配合量は、ポリシロキサン中、通常5〜40重量%の範囲内であり、好ましくは、10〜40重量%の範囲内であり、特に好ましくは、10〜30重量%の範囲内である。かかる配合量が、ポリシロキサン中、5重量%未満であると、ポリシロキサンと(メタ)アクリル系モノマー(d)との相溶性が低下して白濁しやすくなり、逆に40重量%を超えると、ポリシロキサンの架橋度が高くなってゲル化を引き起こしたり、粘着性樹脂組成物の粘着特性に悪影響を及ぼしたりする恐れがある。
【0040】
ポリシロキサンの形成における分子末端にアルコキシシリル基を有するシロキサン(b)の配合量は、ポリシロキサン中、通常40〜95重量%の範囲内であり、好ましくは、40〜90重量%の範囲内であり、特に好ましくは、50〜90重量%の範囲内である。かかる配合量が、ポリシロキサン中、40重量%未満であると、シリカ微粒子(a)との反応性が低下し、シリカ微粒子(a)がポリシロキサンから分離、凝集して白濁しやすくなり、逆に95重量%を超えると、ポリシロキサンのゲル化が起こりやすくなって、(メタ)アクリル系モノマー(d)と相溶しにくくなる。
【0041】
ポリシロキサンの形成における分子末端にシラノール基を有するシロキサン(b)の配合量は、ポリシロキサン中、通常40重量%以下であり、好ましくは、0〜40重量%の範囲内であり、特に好ましくは、5〜35重量%の範囲内である。かかる配合量が、ポリシロキサン中、40重量%を超えると、反応に関与する官能基数が多くなり、反応が完結するのに時間がかかったり、反応率が低下し、粘着性樹脂組成物の粘着特性に悪影響を及ぼしたりする恐れがある。
【0042】
ポリシロキサンの形成には、シリカ微粒子(a)とシロキサン(b)のみならず、その他の任意成分を配合してもよい。かかる任意成分としては、例えば、アルコキシシラン(例、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)等が挙げられる。任意成分の配合量は、ポリシロキサン中、通常10重量%以下、好ましくは、5重量%以下である。
【0043】
本発明のハイブリッド重合体の合成における、ポリシロキサンの配合量は、ハイブリッド重合体中、通常、0.01〜15重量%の範囲内であり、好ましくは、0.1〜15重量%の範囲内であり、特に好ましくは、0.1〜14重量%の範囲内である。かかる配合量が、0.01重量%未満であると、ポリシロキサンによる所望の効果が期待できなくなり、逆に15重量%を超えると、ハイブリッド重合体の架橋速度及びゲル化速度が速くなって、取り扱い性が悪くなる傾向がある。
【0044】
[トリアルコキシシラン(c)]
トリアルコキシシラン(c)は、下記一般式(I)により表される。
【0045】
【化4】

【0046】
(式中、RはC1−6アルキル基を示し、R1’は水素原子又はメチル基を示す。)
【0047】
以下に、一般式(I)における各基の定義について詳述する。
で示される「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられ、中でも、C1−3アルキル基が好ましく、メチルが特に好ましい。
各々のRは、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
1’は、水素原子又はメチル基を示す。
【0048】
トリアルコキシシラン(c)としては、好ましくは、Rが、C1−3アルキル基であり;
1’が、水素原子又はメチル基
である化合物である。
【0049】
トリアルコキシシラン(c)としては、例えば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシランが挙げられ、(メタ)アクリル系モノマー(d)及びポリシロキサンとの相溶性の観点から、好ましくは、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランである。
【0050】
トリアルコキシシラン(c)としては、市販品を用いてもよく、そのような市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製の「KBM−5103」、「KBM−503」、「KBE−5103」、「KBE−503」等が挙げられる。
【0051】
本発明のハイブリッド重合体の合成におけるトリアルコキシシラン(c)の配合量は、ハイブリッド重合体中、通常0.001〜0.1重量%の範囲内であり、好ましくは、0.01〜0.1重量%の範囲内であり、特に好ましくは、0.03〜0.1重量%の範囲内である。かかる配合量が、0.001重量%未満であると、アクリル共重合体とポリシロキサンとの相溶性が悪くなって、相分離による白濁現象が生じる恐れがあり、0.1重量%を超えると、ハイブリッド重合体のゲル分率が高くなり過ぎて、粘着性樹脂組成物の粘着特性の低下を招く恐れがある。
【0052】
[(メタ)アクリル系モノマー(d)]
(メタ)アクリル系モノマー(d)は、トリアルコキシシラン(c)と重合可能なものであれば特に制限されないが、例えば、下記一般式(II)で表されるもの等が挙げられる。
【0053】
【化5】

【0054】
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2〜14の炭化水素基を示す。)
【0055】
以下に、一般式(II)における各基の定義について詳述する。
は、水素原子又はメチル基を示す。
で示される「炭素数2〜14の炭化水素基」としては、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、イソウンデシル、ドデシル、イソドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、イソテトラデシル等のC2−14アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等のC3−10シクロアルキル基;ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等のC7−14アラルキル基;ボルニル、イソボルニル等が挙げられ、好ましくは、C2−14アルキル基であり、より好ましくはC4−9アルキル基である。かかる炭化水素基の炭素数が、2未満であると、重合物が硬くなって、粘着特性が低下する恐れがあり、逆に、14を超えると、重合物に液晶性が発現して固体化し、粘着剤として使用できなくなる恐れがある。
【0056】
(メタ)アクリル系モノマー(d)としては、好ましくは、Rが、水素原子又はメチル基であり;
が、C2−14アルキル基(好ましくは、C4−9アルキル基)
である化合物である。
【0057】
(メタ)アクリル系モノマー(d)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、1,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、1−エチルプロピル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、1,2,2−トリメチルプロピル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、3,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、イソテトラデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ポリシロキサンとの相溶性の観点から、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましく、ブチルアクリレートが特に好ましい。これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
本発明のハイブリッド重合体の合成における、(メタ)アクリル系モノマー(d)の配合量は、ハイブリッド重合体中、通常60〜99.9重量%の範囲内であり、好ましくは、65〜99.9重量%の範囲内であり、特に好ましくは、65〜99重量%の範囲内である。かかる配合量が、60重量%未満であると、充分な粘着特性を発揮しにくくなり、99.9重量%を超えると、ポリシロキサンによる所望の効果が期待できなくなる。
【0059】
[カルボキシル基含有モノマー(e)]
本発明のハイブリッド重合体は、カルボキシル基含有モノマー(e)を含んでもよい。カルボキシル基含有モノマー(e)は、トリアルコキシシラン(c)及び(メタ)アクリル系モノマー(d)と重合可能なものであれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられる。
【0060】
本発明のハイブリッド重合体におけるカルボキシル基含有モノマー(e)の含有量は、ハイブリッド重合体中、通常0.01〜15重量%の範囲内であり、好ましくは、0.01〜10重量%の範囲内であり、特に好ましくは、0.1〜10重量%の範囲内である。かかる含有量が、0.01重量%未満であると、粘着剤としての凝集力が低下する傾向があり、15重量%を超えると、粘着性樹脂組成物が硬くなり、粘着特性、特に低温下での粘着特性が劣る傾向がある。
【0061】
本発明のハイブリッド重合体は、上記(a)〜(e)のみならず、さらにその他の重合性モノマーを含んでもよい。
【0062】
その他の重合性モノマーとしては、エポキシ基含有モノマー(グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等)、水酸基含有モノマー(例、アルキル基がエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル等のC2−6のアルキル基であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等)、シアノ基含有モノマー(例、(メタ)アクリロニトリル等)、ビニルエステルモノマー(例、酢酸ビニル等)、芳香族ビニルモノマー(例、スチレン等)、アミド基含有モノマー(例、(メタ)アクリルアミド等)、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー(例、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等)、ビニルエーテルモノマー、シロキサン基含有(メタ)アクリル酸化合物、共重合性ビニル化合物等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0063】
本発明のハイブリッド重合体におけるその他の重合性モノマーの含有量は、通常、ハイブリッド重合体の構成モノマー全体の30重量%以下であり、好ましくは、20重量%以下であり、特に好ましくは、10重量%以下である。下限値は、特に制限されないが、通常3重量%以上であり、好ましくは、5重量%以上である。
【0064】
本発明のハイブリッド重合体の合成方法は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の重合方法を適宜選択できる。また、該共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。
【0065】
溶液重合においては、重合溶剤(溶媒)として、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は、窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤として、例えばハイブリッド重合体の構成モノマー全量100重量部に対してアゾビスイソブチロニトリルを0.01〜1重量部加え、通常50〜70℃程度で8〜30時間程度行われる。
【0066】
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は、特に限定されず、適宜選択して使用することができる。
【0067】
本発明のハイブリッド重合体の合成に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤;過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はハイブリッド重合体の構成モノマー全量100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.02〜0.5重量部程度であることがより好ましい。
【0069】
また、重合開始剤として過酸化物を使用した場合には、重合反応に使用されずに残存した過酸化物を、ハイブリッド重合体の架橋反応に使用することも可能であるが、その場合は残存量を定量し、必要に応じて再添加し、所定の過酸化物量にして使用することができる。
【0070】
本発明のハイブリッド重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常、1万〜1000万であり、好ましくは、10万〜500万であり、特に好ましくは、50万〜300万である。
【0071】
本発明の粘着剤樹脂組成物における、本発明のハイブリッド重合体の含有量は、通常80〜99.9重量%であり、好ましくは、85〜99.9重量%であり、特に好ましくは、90〜99.9重量%である。
【0072】
本発明の粘着剤樹脂組成物には、その他の公知の添加剤を含有せしめてもよく、例えば、着色剤、顔料等の粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状物、箔状物等を、使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
【0073】
本発明の粘着シート又は粘着テープは、基材又はセパレーター上に本発明の粘着剤樹脂組成物からなる層(以下、単に粘着剤層と略記する場合がある)を有することを特徴とする。
【0074】
粘着剤層の厚みは、2〜500μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。
【0075】
基材又はセパレーター上に粘着剤層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、本発明の粘着剤樹脂組成物を剥離処理したセパレーターなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を基材に転写する方法、または基材に前記粘着剤樹脂組成物を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を基材上に形成する方法などにより作製される。また、前記粘着剤樹脂組成物を基材上に塗布して粘着剤付光学部材などを作製する際には、基材上に均一に塗布できるよう、該粘着剤樹脂組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶媒(溶剤)を新たに加えてもよい。
【0076】
粘着性樹脂組成物に加え得る重合溶剤以外の溶媒(溶剤)としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロへキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、水等が挙げられる。これらの溶媒(溶剤)は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0077】
基材又はセパレーターとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などからなる、ポリエステルフィルムなどのプラスチック基材や、紙、不織布などの多孔質材料、ならびに光学部材などが挙げられる。
【0078】
プラスチック基材としては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィンフィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム;ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。
【0079】
プラスチック基材には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの静電防止処理をすることもできる。
【0080】
基材又はセパレーターの厚みは、通常4〜100μm、好ましくは4〜50μm程度である。
【0081】
また、粘着剤層の形成方法としては、粘着シート類の製造に用いられる公知の方法を用いてもよい。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法が挙げられる。
【0082】
粘着剤層は、例えば、基材の片面又は両面に本発明の粘着剤樹脂組成物からなる層を形成する工程と、該粘着剤樹脂組成物からなる層を過酸化物架橋処理する工程とを含む製造方法を用いることによっても得ることができる。かかる製造方法を用いることにより、上述の優れた粘着特性、特に粘着剤層を薄層化した場合であっても、加熱処理や高湿処理により浮きや剥がれの生じない、耐久性に優れた粘着剤層を得ることができる。
【0083】
また、粘着剤層の表面にはコロナ処理、プラズマ処理などの易着処理をおこなってもよい。
さらに、このような表面に粘着剤が露出する場合には、実用に供されるまで剥離処理したシート(例えば、剥離シート、セパレーター、剥離ライナー等)で粘着剤層を保護してもよい。
【0084】
かかる剥離処理したシートの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などが挙げられるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0085】
そのようなプラスチックフィルムとしては、粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。
【0086】
前記剥離処理したシートの厚みは、通常、5〜200μm、好ましくは、5〜100μm程度である。
【0087】
剥離処理したシートには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、剥離処理したシートの表面にシリコーン処理、フッ素処理、長鎖アルキル処理などの剥離処理を適宜行うことにより、粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
【0088】
なお、上記の製造方法において、剥離処理したシートは、そのまま粘着シート類や粘着剤付光学部材などのセパレーターとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
【0089】
本発明の粘着シート又は粘着テープの接着力は、粘着シート又は粘着テープから幅10mm、長さ100mmの大きさの試料片を作製し、これをガラス板上に転写した後、被着体(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム等)に、23℃雰囲気下、2kgローラーでロール1往復して貼り合わせ、得られた測定サンプルを、高温条件保存後(例えば、150℃のオーブンで1時間保存後、150℃のオーブンで72時間保存後、200℃のオーブンで1時間保存後、200℃のオーブンで72時間保存後、250℃のオーブンで1時間保存後等)、テンシロン型剥離試験機を用いて剥離角度90°、剥離速度300mm/分の条件で剥離接着力を測定することにより評価する。
本発明の粘着シート又は粘着テープの接着力は、どのような被着体(例えば、PETフィルム、PIフィルム等)に対しても、高温条件保存後の接着力が、初期の接着力の90%以上であることが好ましく、初期の接着力と同等以上であることがより好ましい。
【0090】
本発明の粘着シート又は粘着テープの透明性は、粘着シート又は粘着テープから、幅10mm、長さ100mmの大きさの試料片を作製し、これをガラス板上に転写した後、被着体(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム等)に、23℃雰囲気下、2kgローラーでロール1往復して貼り合わせ、得られた測定サンプルを、高温条件保存後(例えば、150℃のオーブンで72時間保存後、200℃のオーブンで72時間保存後等)、分光光度計(例、U−4100、株式会社日立製作所製)を用いて450nmでの透過率を測定することにより評価する。
本発明の粘着シート又は粘着テープの透明性は、どのような被着体(例えば、PETフィルム、PIフィルム等)に対しても、高温条件保存後の透過率が、初期(高温条件保存前)の透過率より急激に低下しないことが好ましく、少なくとも初期の透過率の50%以上(好ましくは、70%以上)を保持することが好ましい。
【実施例】
【0091】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例及び比較例は本発明を何ら限定するものでない。なお、以下において、部及び%は、特記する場合を除き、それぞれ重量部及び重量%を示す。
【0092】
<ポリシロキサン溶液の調製>
ポリシロキサン溶液A
攪拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、平均一次粒子径が8nmのコロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOS、日産化学株式会社製、固形分濃度20重量%、粒子表面のpH及びシリカ微粒子水分散液のpH:2.0〜4.0)5g、2−プロパノール7.5g及び2−メトキシエタノール5gを加えた。さらに濃塩酸を加え、酸性度(pH)を2〜3に調整した。次いで、80℃に昇温した後、分子の末端にアルコキシシリル基を有するシロキサン(商品名:X−40−9225、信越化学工業株式会社製、Mw:約3000、メトキシシリル基の量:24重量%、ケイ素原子結合有機基:メチル基)5gを2−プロパノール5gに溶解した液を、滴下ロートを用いて1時間かけて滴下した。さらに80℃で2時間反応後、室温に冷却し、減圧下で溶媒を留去した後、固形分濃度が50重量%となるように、酢酸エチルを加えて、ポリシロキサン溶液Aを調製した。
ポリシロキサン溶液B
分子の末端にアルコキシシリル基を有するシロキサン(商品名:X−40−9225、信越化学工業株式会社製、Mw:約3000、メトキシシリル基の量:24重量%、ケイ素原子結合有機基:メチル基)5gを2−プロパノール5gに溶解した液に代えて、分子の末端にアルコキシシリル基を有するシロキサン(商品名:X−40−9225、信越化学工業株式会社製、Mw:約3000、メトキシシリル基の量:24重量%、ケイ素原子結合有機基:メチル基)2.8g、分子の両末端にシラノール基を有するシロキサン(商品名:X−21−3153、信越化学工業株式会社製、Mw:約300、シラノール基の量:約10重量%、ケイ素原子結合有機基:メチル基)1.2gを2−プロパノール4gに溶解した液を用いた以外は、ポリシロキサン溶液Aと同一のシリカ微粒子溶液を用いて同様の処理を行い、ポリシロキサン溶液Bを調製した。
ポリシロキサン溶液C
分子の末端にアルコキシシリル基を有するシロキサンとして、X−40−9225(信越化学工業株式会社製、Mw:約3000、メトキシシリル基の量:24重量%、ケイ素原子結合有機基:メチル基)5gに代えて、KR500(信越化学工業株式会社製、Mw:約1000、メトキシシリル基の量:28重量%、ケイ素原子結合有機基:メチル基)3.2gを用いた以外は、ポリシロキサン溶液Aと同一のシリカ微粒子溶液を用いて同様の処理を行い、ポリシロキサン溶液Cを調製した。
ポリシロキサン溶液D
攪拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、平均一次粒子径が20nmのコロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO−40、日産化学株式会社製、固形分濃度40重量%、粒子表面のpH及びシリカ微粒子水分散液のpH:2.0〜4.0)5.0g、メタノール10.0g及び2−メトキシエタノール2.0gを加え、濃塩酸を加えて酸性度(pH)を2〜3に調製した後、60℃に加熱した。テトラエトキシシラン(商品名:TEOS、信越化学工業株式会社製)0.5g及びジメチルジメトキシシラン(商品名:KBM22、信越化学工業株式会社製)1.0gをメタノール2.0gに溶解した液を、滴下ロートを用いて5分間かけて滴下した。さらに60℃で15分間反応後、室温に冷却し、減圧下で、液全体の重量が5gになるまで溶媒を留去した。その後、2−プロパノール5.0gとテトラヒドロフラン5.0gを加え、攪拌して均一な溶液とした。そこへ、分子の末端にアルコキシシリル基を有するシロキサン(商品名:X−40−9225、信越化学工業株式会社製、Mw:約3000、メトキシシリル基の量:24重量%、ケイ素原子結合有機基:メチル基)4.0gを2−プロパノール4.0gに溶解した液を、20分かけて滴下した。さらに60℃で2時間反応後、室温に冷却し、減圧下で溶媒を留去した後、固形分濃度が50重量%となるように、酢酸エチルを加えて、ポリシロキサン溶液Dを調製した。
【0093】
<粘着剤樹脂組成物溶液の調製>
実施例1
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管及び冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート40重量部、アクリル酸0.4重量部、ポリシロキサン溶液A(固形分濃度50重量%)4重量部、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−5103、信越化学工業株式会社製)0.04重量部、アルミ系触媒(商品名:CAT−AC、信越化学工業株式会社製)0.01重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部及び酢酸エチル32重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して、十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って10時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル88重量部を加え、所望の粘着剤樹脂組成物溶液を調製した。
実施例2
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管及び冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート40重量部、アクリル酸0.1重量部、ポリシロキサン溶液B(固形分濃度50重量%)2重量部、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−5103、信越化学工業株式会社製)0.03重量部、アルミ系触媒(商品名:CAT−AC、信越化学工業株式会社製)0.01重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部及び酢酸エチル30重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して、十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って10時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル90重量部を加え、所望の粘着剤樹脂組成物溶液を調製した。
実施例3
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管及び冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート40重量部、アクリル酸0.4重量部、ポリシロキサン溶液C(固形分濃度50重量%)12量部、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−5103、信越化学工業株式会社製)0.03重量部、アルミ系触媒(商品名:CAT−AC、信越化学工業株式会社製)0.01重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部及び酢酸エチル30重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して、十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って10時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル90重量部を加え、所望の粘着剤樹脂組成物溶液を調製した。
実施例4
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管及び冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート40重量部、アクリル酸0.4重量部、ポリシロキサン溶液D(固形分濃度50重量%)2重量部、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−5103、信越化学工業株式会社製)0.03重量部、アルミ系触媒(商品名:CAT−AC、信越化学工業株式会社製)0.01重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部及び酢酸エチル30重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して、十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って10時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル90重量部を加え、所望の粘着剤樹脂組成物溶液を調製した。
比較例1
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管及び冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート40重量部、アクリル酸2重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部及び酢酸エチル40重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して、十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って10時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル80重量部を加え、所望の粘着剤樹脂組成物溶液を調製した。
比較例2
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管及び冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート40重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート2重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部及び酢酸エチル40重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して、十分に窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って10時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル80重量部を加え、所望の粘着剤樹脂組成物溶液を調製した。
【0094】
<粘着テープの作製>
実施例1〜4、比較例1、2の粘着剤樹脂組成物溶液を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、厚さ:38μm)の片面に、それぞれ塗布した。150℃で3分間乾燥を行い、乾燥後の厚さが20μmの粘着剤層を形成し、粘着テープを作製した。
【0095】
<耐熱性評価>
耐熱性評価は、粘着テープを高温条件下に保存し、その保存前後における接着力及び透明性を比較することにより行った。
接着力及び透明性の評価は、下記のとおりに行った。
【0096】
接着力評価
粘着テープから、幅10mm、長さ100mmの大きさの試料片を作製し、これをガラス板上に転写した後、PETフィルム及びポリイミド(PI)フィルムに、23℃雰囲気下、2kgローラーでロール1往復して貼着した。
その後、PETフィルムに貼着したサンプルについては、高温条件保存前(初期)、150℃のオーブンに1時間保存した後、150℃のオーブンに72時間保存した後、200℃のオーブンに1時間保存した後に、それぞれテンシロン型剥離試験機により、剥離角度90°、剥離速度300mm/分の条件で、剥離接着力を測定した。
また、PIフィルムに貼着したサンプルについては、高温条件保存前(初期)、200℃のオーブンに1時間保存した後、200℃のオーブンに72時間保存した後、250℃のオーブンに1時間保存した後に、それぞれテンシロン型剥離試験機により、剥離角度90°、剥離速度300mm/分の条件で、剥離接着力を測定した。
【0097】
透明性評価
接着性評価において作製したPETフィルムに貼着したサンプルについては、高温条件保存前(初期)及び150℃のオーブンに72時間保存した後に、それぞれ分光光度計(U−4100、株式会社日立製作所製)により、450nmでの透過率を測定した。
また、接着性評価において作製したPIフィルムに貼着したサンプルについては、高温条件下保存前(初期)及び200℃のオーブンに72時間保存した後に、それぞれ分光光度計(U−4100、株式会社日立製作所製)により、450nmでの透過率を測定した。
【0098】
結果を下記表1及び2に示す。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
実施例1〜4より、高温条件下で保存した後においても接着性及び透明性を保持し得る、耐熱性に優れた粘着剤樹脂組成物が得られた。
一方、比較例1及び2の粘着剤樹脂組成物では、高温条件下に保存した後において、接着性及び透明性が著しく低下することが確認された。
このように、耐熱性に優れた粘着剤樹脂組成物は、比較例からは得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記(a)〜(d)から合成される有機−無機ハイブリッド重合体を含有する、アクリル系粘着剤樹脂組成物。
(a)表面にシラノール基を有するシリカ微粒子、
(b)分子末端にアルコキシシリル基及びシラノール基の少なくとも1つの基を有するシロキサン、
(c)下記一般式(I)で表されるトリアルコキシシラン、及び
(d)(メタ)アクリル系モノマー。
【化1】


(式中、RはC1−6アルキル基を示し、R1’は水素原子又はメチル基を示す。)
【請求項2】
シリカ微粒子(a)が、平均一次粒子径が1〜100nm、pH2〜4またはpH8〜10のコロイダルシリカである、請求項1記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
【請求項3】
シロキサン(b)が、分子末端に分子全体の10重量%以上のアルコキシシリル基を有するシロキサン、および、分子末端に分子全体の10重量%以下のシラノール基を有するシロキサンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
【請求項4】
分子末端にアルコキシシリル基を有するシロキサンの重量平均分子量が、100〜6000である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
【請求項5】
分子末端にシラノール基を有するシロキサンの重量平均分子量が、300〜3000である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
【請求項6】
シリカ微粒子(a)とシロキサン(b)からポリシロキサンが形成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
【請求項7】
(メタ)アクリル系モノマー(d)が、下記一般式(II)で表される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
【化2】

(式中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数2〜14の炭化水素基を示す。)
【請求項8】
トリアルコキシシラン(c)と(メタ)アクリル系モノマー(d)がアクリル共重合体を形成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
【請求項9】
共重合成分としてカルボキシル基含有モノマー(e)をさらに含み、かつカルボキシル基含有モノマー(e)、トリアルコキシシラン(c)及び(メタ)アクリル系モノマー(d)がアクリル共重合体を形成する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
【請求項10】
有機−無機ハイブリッド重合体が、シリカ微粒子(a)とシロキサン(b)から形成されるポリシロキサンと、少なくともトリアルコキシシラン(c)と(メタ)アクリル系モノマー(d)から形成されるアクリル共重合体とが、シロキサン結合した共重合体である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物。
【請求項11】
基材又はセパレーター上に請求項1〜10のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤樹脂組成物からなる層を有することを特徴とする、粘着シート又は粘着テープ。

【公開番号】特開2011−157481(P2011−157481A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20612(P2010−20612)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】