説明

アコースティックギター用サウンドボード

本発明は、アコースティックギター用サウンドボードに係る。今日まで、経験的な種類の基準が用いられてアコースティックギター用のサウンドボード8が構築されてきた。しかしながら、本発明は、サウンドボード構築に用いられる木材の技術的特徴を考慮に入れることによって、物理的且つ倍音的な振動基準を利用する。本発明によれば、張力補正が、曲げ構造(曲げられたファンブレーシング13)における配置によって又はフローティングファンブレーシング12とともにもたらされる。フローティングファンブレーシング12は、曲げられたファンブレーシング13の上部に接着されて、サウンドボード8を震動できるようにすると同時に、サウンドボード8の引っ張り方向における機械的強度を与える。このようにして、本発明は、曲げられたファンブレーシング13の使用に係り、曲げられたファンブレーシング13は、木材16の木目に垂直にサウンドボード8へ接着されて、木材の木目16を異なった長さに区切るようにして、振動の倍音使用15として説明された区分を画定する。明らかではあるが、所望の倍音特徴に依存して、振動の倍音使用15は、開放、閉鎖、完全、不完全、対称、非対称、凹状、凸状、凹面、凸面等であることができ、加えて、その数及び配置も異なることができる。最後に、複数のフローティングファンブレース12が、上述したファンブレーシングへ接着されて3つの機能を実行する。すなわち、サウンドボード8に機械的強度を提供すること、震動素子として働くこと並びに適度な低振動及び/又は高振動として作用することであり、それによってギターの音質に影響を与える。したがって、フローティングファンブレースの数及び位置は、所望の音質及び倍音特徴により異なっていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、一般に演奏されているギター、特にアコースティックギターに係り、アコースティックギターは、弦(ナイロン、スチール)とサウンドボードとの組み合わせによって音が生成される。
【0002】
世界中で最も一般に知られた楽器は、2種類あるスパニッシュギター、すなわちクラシックギター及びフラメンコギターであるが、本発明は、他のモデルにも適用可能である。
【0003】
この楽器(ギター全般)は、反響が乏しく、コンサート用楽器であるにも拘わらず、シンフォニーオーケストラに組み込まれると、電気増幅器を必要とする。電気増幅器の使用は、音の美しさを歪ませ、楽器の持つ本来の且つ自然な音を置き去りにしてしまう。
【0004】
本特許出願は、ギター独特の音質特徴を失うことなく、より大きい音量を達成する。
【発明の詳細な説明】
【0005】
図1に示すギターを構成する部分は、以下の通りである。マシンヘッド1が、両端の一方で弦を保持し且つ張る役割を果たす。マシンヘッド1の下は、ナット2と呼ばれる一片である。サウンドボード8へ接着されているブリッジ11とともに、ナット2は、弦を掛けられた状態に保つために用いられる。
【0006】
マシンヘッド1と一片を形成するネック4が、共鳴箱10全体を支持するヒール6へ接続される。
【0007】
ネック4へ接着されるフレットボード5が、フレット3と呼ばれる複数の区切られた金属片を有し、フレット3は、楽器の調律の調和又は倍音距離に従って設置される。
【0008】
音響又は共振箱10は、以下の主な部分で構築される。すなわち、バックボード12、サウンドボード8及び2つの胴7であり、胴7は、ギター特有の形を与え且つ2つのボードを支持する役割を果たす。
【0009】
弦が固定される両端のもう一方であるブリッジ11は、弦が掛けられ且つ張られた状態を保ち、サウンドボード8へ取り付けられる。加えて、サウンドホール9が、サウンドボード8に切り込まれる。
【0010】
ギターの最も重要な音要素は、サウンドボード8であり、本特許出願は、サウンドボード8に関係する。
【0011】
サウンドボード8は、異なった種類の木材及び内径(厚み)で作成される。木目が、縦方向に、弦の張力(図2)の方向と平行に設置される。この方向は、より大きな機械的抵抗を提供して、張力及び弦の引っ張りに耐える。
【0012】
サウンドボード8の最古の構築方法は、非常に単純であった。その目的は、機械的抵抗をサウンドボードのみならず全般のギターの全体にも提供することであった。多数の直線型ブレース14が、木材の木目に垂直に接着されて、側部から側部へサウンドボード8を横切って、胴7上に載置された。この工程は、今日では弦楽器製作者は殆ど用いない。
【0013】
19世紀末、このモデルは、改変された。改変は、直線型で横方向のブレースの数を2本に低減し、且つ木材の木目と平行又は或る特定の角度(扇形)の直線型ブレースを7本、胴に載置させることなく追加することによって成された。この目的は、サウンドボード8を補強することであって、弦の張力によって引き起こされる変形を防ぐと同時に、可能なより良い種類を作成することであった。
【0014】
このモデルには、多数の変種があり、各弦楽器製作者の好みに従って実験的に調整が行われると言える程である。
【0015】
今日、各弦楽器製作者は、初期のモデルの変種を用いる。ファンブレーシングは、7本、6本、5本のブレース等を設置することで成される。物によってはサウンドボードを横切る2本を維持するが、他は、サウンドボードを斜めに横切る1本を追加する。場合によっては複雑な形もあり、たとえば「烏の」「烏の足」という形がある。「烏の」「烏の足」とは、第3のブレースをブリッジ11の下に有し且つその第3のブレースから、他のブレースが接続するものである。
【0016】
ブレースの位置付け箇所及び調整の仕方は、多岐にわたり、弦楽器製作者の経験によってのみ決定される。
【0017】
別の知られた事実は、震動因子(vibrating-agents)の震動の仕方である。つまり震動因子が、震動因子を変形させて突然震動を停止させる応力下にあるとき、震動因子は、震動して変形エネルギーを分散する。変形エネルギーの分散は、震動因子の弾性特徴に関連した振動(frequency)、及び両端を節によって限定された自由長手方向の震動(震動アーチ)とともに成される。
【0018】
本特許出願は、物理的・数学的工程を用いることによって実行され、当該工程は、振動、節によるスペーシング、弾性モジュール(等の考えに従い、従来のモデルを完全に捨て去ったものである。本特許出願は、機械的抵抗の問題を、力を分散させることによって解決し、且つ木材を、定められた弾性のモジュールを備えた震動因子として考慮することによって反響を達成し、倍音的に刺激されて共鳴状態に入るような可能性を達成する。この一連の考えの場合、楽器によって生成される基礎的な音楽的振動としての節点が、異なった弾性のモジュールを有する木材の木目の硬軟さを考慮に入れるような仕方で、位置でき、且つそれらは、演奏された音符の振動(基礎的振動)によって刺激された震動する弦であるかのような働きをする。
【0019】
このことが、ブレーシングが、サウンドボード8の構築に用いられる理由であり、本特許出願の目的であるブレーシングは、湾曲されて(図2)、「振動の倍音使用(harmonic use of fequencies)」15を区切る効果を有し、振動の倍音使用15は、瞬間毎に演奏される音符(複数可)の振動の共鳴器として働くので、根音及びその倍音を支持する。
【0020】
本特許出願の別の特徴が、サウンドボード8の構築に、フローティングブレース12(図2)を組み込むことである。フローティングブレース12は、サウンドボード8へ取り付けられた複数のブレースへ接着される。
【0021】
このフローティングブレース12は、3つの目的を有する。第1に、フローティングブレース12は、追加された震動因子である。第2に、フローティングブレース12は、サウンドボード8によって生成された振動を、ベース音とトレブル音(低振動及び高振動)との間のバランスの調節ができるような仕方で制御する。第3に、フローティングブレース12は、サウンドボード8についてより強い機械的強度を与える。
【0022】
この説明に従って、本特許出願には、振動に働き掛ける可能性のある変種が多く存在し、且つサウンドボード8の機械的抵抗の問題を解決し、定められた振動又はトーンでギターを調律できるようにする。定められた振動又はトーンでのギターの調律は、以下の、サウンドボード8の厚み部分、直線型ブレース14及び/又は「フローティングブレース」12と組み合わされた湾曲型ブレースの間隔及び寸法との正しい組み合わせとともに、サウンドボード8の構築に用いられる木材の弾性モジュールと併せて成される。
【0023】
ギターの音質、自然さ、音幅及び他の特徴は、サウンドボード8の厚み又は内径の組み合わせ、及び湾曲型ブレース13、直線型ブレース14、フローティングブレース12の位置付けによってもまた制御でき、それによりすばらしい深みのある音質又は豊かなベース音を達成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】アコースティックギターを構成する主な部分の正面図及び側面図である。
【図2】特許出願人により請求されたブレースを備えたサウンドボード内側の構築例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本特許出願における請求に従ったアコースティックギター用サウンドボードであって:
第1に、胴7の支持の有無に拘わらない1個又は複数個の湾曲型ブレース13の使用であり、該湾曲型ブレース13は、一つ又は二つの「倍音使用」15を区切り、且つ前記倍音使用15は、両端で開放又は閉鎖、対称又は非対称、凹状又は凸状であることができ、且つ長軸が木材の木目に関してより垂直か又は斜めであり且つ湾曲型ブレース13又は直線型ブレース14によって画定される、ところの湾曲型ブレースの使用と、
第2に、「フローティングブレース」12の使用と、
を有する、
ところのサウンドボード。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−534018(P2007−534018A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508914(P2007−508914)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/ES2005/000201
【国際公開番号】WO2005/101954
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506352038)
【Fターム(参考)】