説明

アザキサントンを用いる腫瘍の治療方法

1以上のS100ファミリーのタンパクを発現する腫瘍細胞に関連する疾患を治療するための、及び上皮性又は間葉性の腫瘍からなる悪性腫瘍を有する患者の治療における、アザキサントン類の用途であり、それらにおいて、これらの化合物は、これらの腫瘍の進行及び/又は転移を遅延させるのに有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の属する技術分野)
1以上のヒトS100タンパクを発現する腫瘍細胞に関連する疾患を治療するためのアザキサントンの用途。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
S100ヒトタンパク(S100A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16、S100B、S100P、S100Z)は、細胞質及び細胞外Ca2+結合タンパクの大きなファミリーであり、アミノ酸配列及び立体構造が高度に保存されていることを特徴とする〔Zimmer, Sadosky and Weber (2003), Microsc Res Tech 60(6): 552-9〕。それらは、10〜12kDaの小さい酸性タンパクであり、2個の別個のEF−ハンドを有する。改変された、S100特異的EF−ハンドは、そのN末端に位置し、続いて古典的なCa2+結合EF−ハンドがある。
【0003】
新形成は、最も多いヒト疾患であり、S100タンパクの発現において劇的な変化が起こる。S100A4、S100A6、S100A7、S100A11、S100A14、S100A16、S100B、S100P、又はS100Zの過剰発現は、異なる由来の多くのがん(乳房、結腸、肺、膵臓及びその他)に共通する。少なくとも部分的には、このような変化は、ほとんどのS100遺伝子がクラスターとなっている染色体1q21領域におけるリアレンジメント(増幅)によって引き起こされている可能性がある。このようなリアレンジメントは、異なる腫瘍細胞に頻繁に観察されている。
【0004】
すべてのS100タンパクのうち、がんの浸潤性生育及び転移におけるS100A4の役割は、特によく証明されている。このタンパクの特性は、最近、Helfman, Kim, et al. (2005) Br J Cancer 92(11):1955-8 及びMazzuchelli (2002) Am J Pathol 160(1): 7-13においてまとめられている。トランスフェクション実験により、S100A4が以前は非転移性であったラット乳房細胞〔Lloyd, Platt-Higgins, et al. (1998). Oncogene 17(4): 465-73〕、B16マウスメラノーマ細胞〔Parker, Whittaker, et al. (1994) DNA Cell Biol 13(10): 1021-8〕 及びヒト乳がんMCF−7細胞〔Ambartsumian, Klingelhofer, et al. (2001) Oncogene 20(34): 4685-95〕において転移性表現型を誘導することができることが示された。逆に、アンチセンスS100A4 RNA又は抗S100A4リボザイムは、高度に転移性の細胞株の転移能を抑制した〔Maelandsmo, Hovig et al. (1996) Cancer Res 56(23): 5490-8及び Takenaga, Nakamura et al. (1997) J Cell Biol 124(5): 757-68〕。腫瘍悪性化(malignisation)におけるS100A4の重要な役割は、トランスジェニックマウスの研究によって明らかにされた。S100A4がそれ自身では腫瘍をイニシエートすることはできないが、他のがん遺伝子によってイニシエートされた、もとは非転移性であった腫瘍に、転移性の疾患を誘導することが示された〔Ambartsumian, Grigorian et al. (1996); Oncogene 13(8): 162 1-3及びDavies, Rudland et al. (1996); Oncogene 13(8): 1631-7〕。腫瘍発生のダイナミックスがS100A4ノックアウトマウスで研究された時、有意な腫瘍取込みの遅延及び低減した腫瘍発病率が観察された。さらに、S100A4(−/−)マウスにおいて発生した腫瘍は、転移しなかった。これらの腫瘍の免疫組織化学的分析により、低減された血管分布及び宿主由来間質細胞の異常な分布が明らかにされた。S100A4(+/+)線維芽細胞の共インジェクションにより、腫瘍発生のダイナミックス及び転移を形成する能力は部分的に回復され、腫瘍の進行及び転移における宿主由来S100A4陽性間質細胞の決定的な役割が潜在していた〔Grum-Schwensen, Klingelhofer, et al. (2005) Cancer Res 65(9): 3772-80〕。全体として、これらの観察は、S100A4は単に転移性疾患のマーカーであるだけではなく、むしろこのプロセスを媒介することにおける原因的な役割を有することを示唆する。
【0005】
動物実験において観察されたS100A4発現及び転移の間の関連は、ヒトがんにおける診断マーカーとしてのS100A4発現の有用性を試験するための多数の研究をもたらした。19年間のフォローアップ期間を有する349人のよく特徴づけられた同じ患者の群に基づく2つのレトロスペクティブ研究〔Platt-Higgins, Renshaw, et al. (2000) Tnt J Cancer 89(2): 198-208;及びRudland, Platt-Higgins, et al. (2000), Cancer Res 60(6): 1595-603〕は、乳がんにおけるタンパクS100A4の診断上の有意性を解析し、免疫組織化学的染色によって検出されたタンパク発現と患者のアウトカムについての潜在的に診断的価値を有する変数との間の関連を評価した。その抗血清は、56%のがんを強く又は境界レベルで染色したが、一方、44%のがんは、染色されなかった。S100A4を発現するがんを有する患者の全体的な生存率は、S100A4について陰性と考えられる患者の生存率よりも有意に低かった。類似の研究において、タンパクS100A4発現の診断上の有意性は、最近、一連の食道扁平上皮がん、非小肺がん及び原発性胃がんにおいて評価された〔Kimura, Endo et al. (2000) Tnt J Oncol 16(6): 1125-3 1; Yonemura, Bndou, et al. (2000) Clin Cancer Res 6(11): 4234-42; 及び Ninomiya, Ohta, et al. (2001) mt J Onco 18(4): 715-20〕。S100A4陽性食道がんを有する患者〔52人(25%)〕は、S100A4陰性がんを有する患者よりも有意に予後が劣っていた。がん検体におけるタンパクS100A4のステータスは、多価分析(multivariate analysis)において唯一の独立の予後のパラメータであった。
【0006】
免疫組織化学的には、S100A4は135例の肺がん例のうち、81例(60%)において検出可能であった。S100A4は、その組織発現が腫瘍のサイズ及び結節のステータスの進行と相関していたため、予後の劣る患者を同定するために有用であることが見出された。最後に、S100A4タンパクは、十分に分化した胃腺がん〔92人(55%)〕においてよりも分化の乏しいものにおいて有意に多く発現されていることが見出され、結節性転移性疾患及び腹膜播種と相関していた。免疫組織化学的研究により、正常結腸粘膜の上皮細胞及び結腸腺腫においてS100A4タンパクが染色されないのに対し、腺腫に生じるがん及び侵襲性がんは、それぞれ44%〔18人〕及び94%〔53人〕の症例においてS100A4を発現する細胞を示したことが明らかにされた(Takenaga, K., Y. Nakanishi et al. 1997)。膵臓がんにおいては、低グレードの上皮内新形成病変〔69人〕においてS100A4発現は見出されず、高グレードの膵臓新形成病変〔18人(17%)〕においては低レベルの発現が検出されたが、大部分の侵襲性膵臓がんはS100A4を発現した〔61人(93%)〕。Rosty, Ueki et al. (2002) Am J Pathol 160(1): 45-50を参照されたい。また、S100A4の発現は、膀胱がん患者における転移及び生存率の低さとも関連していた〔Davies, B. R., M. O'Donnell, et al. (2002) J Pathol 196(3): 292-9〕。これらの結果は、総合的に、明白に、特に浸潤段階の、がんの進行のためのS100A4タンパク発現の重要性を明らかにする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
本発明によれば、下記の式:
【0008】
【化11】

【0009】
(式中、Rは、水素、低級アルキル、フェニル、カルボキシル、ヒドロキシ、アミノ、モノ低級アルキルアミノ、又はジ低級アルキルアミノであり;Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ又はカルボキシルであり;そして、nは、整数0、1、又は2である)
【0010】
の化合物;又はその薬学的に許容され得る塩もしくはエステルが、ヒトS100タンパクを発現する腫瘍に関連する悪性又は転移性疾患の治療に有効であり、したがって、これらのタンパクを産生する腫瘍細胞を処理するためにヒトに投与してこれらの腫瘍の進行及び/又は転移を遅延させることができることが発見された。さらに、これらの化合物が上皮性又は間葉性の性質の腫瘍からなる悪性腫瘍を有する患者に投与された場合、これらの化合物は、この腫瘍の進行及び/又は転移を遅延させるのに有効であることが見出された。
【0011】
本発明はまた、式Iの化合物の新規なメグルミン塩、及びメグルミンとの組合せでの式Iの化合物又は式Iの化合物のメグルミン塩を含有する、投与のための医薬組成物を含む。組成物それ自体に存在する、又は組成物の投与に際して形成され、このような腫瘍の治療において式Iの化合物の効果を増強し、その進行を遅延させるのは、これらのメグルミン塩である。式Iの化合物を高い用量で効果的にかつ効率的に投与することができるのは、このメグルミン塩の使用を通じているためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(詳細な説明)
本発明によれば、式Iの化合物(それらの薬学的に許容され得る塩及びエステルを含む)は、これらのヒトS100タンパクを産生する腫瘍細胞におけるS100タンパクの発現に関連する疾患の治療に有効である。したがって、それらは、1以上のS100ファミリーのヒトタンパクを発現する腫瘍に関連する種々の疾患の治療に有用である。このヒトタンパクを発現する腫瘍に関連する疾患としては、胸部、皮膚、結腸、肺、膀胱、膵臓、食道、胃又は口腔の腫瘍からもたらされる悪性疾患が挙げられる。これらの腫瘍がS100ファミリーの1以上のタンパクを産生する腫瘍細胞からもたらされる一方、式Iの化合物(薬学的に許容され得る塩及びエステルを含む)は、これらのS100タンパクを発現する腫瘍細胞からもたらされる他の任意の悪性疾患において使用することができる。
【0013】
本発明によれば、薬学的に許容され得る塩及びエステルを含む式Iの化合物は、式Iの化合物(薬学的に許容され得る塩及びエステルを含む)を、上皮性及び/又は間葉性の性質の悪性腫瘍を有する患者に投与することにより、これらの上皮性及び/又は間葉性の性質の腫瘍に起因する患者の悪性腫瘍を治療するために利用することができる。本発明の方法は、任意の上皮性及び/又は間葉性の腫瘍の進行及び/又は転移を遅延させることができる。式Iの化合物(薬学的に許容され得る塩又はエステルを含む)の投与を通じて、これらの腫瘍の進行及び/又は転移は、患者において低減することが見出された。本発明の方法によれば、腫瘍の進行は、請求の範囲記載の方法にしたがって治療された患者における腫瘍サイズ、総腫瘍負荷及び腫瘍数によって測定することができる。請求の範囲記載の方法の有効性は、式Iの化合物(薬学的に許容され得る塩又はエステルを含む)で治療されていない患者と比較して、請求の範囲記載の方法にしたがった治療によって腫瘍の進行が低減されたかどうかを調べることによって決定される。
【0014】
腫瘍は、このようながん患者において大きさ及び量が増大するような方式で進行する。腫瘍の進行は、たとえば、ある期間における、腫瘍の大きさ又は量の増大、腫瘍の負荷、二次的腫瘍の出現を測定することによって、あるいは「WHO Handbook For Reporting The Results of Cancer Treatment, Geneva Switzerland World Health Organization Offset Publication No. 46:1979」及びReist Therasse Arbuck, et al., 「New Guidelines to Evaluate the Response to Treatment in Solid Tumors」、Journal of the National Cancer Institute, Vol. 92, No. 3, February 2, 2000に規定されているもののような進行の基準によって、決定することができる。
【0015】
しかし、式Iの化合物で患者を治療することによって、この進行及び/又は転移は低減する。しかし、式Iの化合物ならびにその薬学的に許容され得る塩もしくはエステルでのこれらの患者の治療は、当初の腫瘍を排除したり、その大きさを低減しない可能性がある。したがって、原発性腫瘍を除去するためには補助的な治療が必要である可能性があり、本発明の方法は、この原発性腫瘍のさらなる進行及び/又は転移を防止するために用いることができる。したがって、本発明の方法は、原発性腫瘍の大きさの低減及び/又は除去と関連するアジュバント療法として特に採用される。
【0016】
式Iの化合物は、抗アレルギー性及び気管支拡張剤ならびに抗炎症剤として用いられる公知の化合物である。米国特許第4,143,042号、1979年3月6日、及び米国特許第4,255,576号、1981年3月10日を参照されたい。しかし、これらの化合物の溶解性が限られているため、これらは固形の経口用量形態又は液体の注入用量形態では、特に高用量では投与が困難であった。本発明における使用のために特に好ましい式Iの化合物は、2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−3−カルボン酸であるアンレキサノクス、ならびにその薬学的に許容され得る塩及びエステルである。実際、アンレキサノクスは、アフタ性潰瘍のようながんの痛みを治療するための局所用ペーストとして現在商業的に使用されており、この点において、アンレキサノクスは治癒を増大し、苦痛を低減する。本発明によれば、強化された溶解性を有する式Iの化合物、特にアンレキサノクスの、新規な塩形態が提供され、それにより式Iの化合物は、固形の経口用量形態又は液体の注入用量形態で、特に高用量で、本発明の方法による上皮性及び/又は間葉性の腫瘍の進行及び/又は転移を撲滅することにおける使用のために、ヒト患者に投与することができる。
【0017】
好ましい式Iの化合物は、Rがアミノである化合物、すなわち式:
【0018】
【化12】

【0019】
(式中、R及びnは上述のとおりである)
の化合物である。
【0020】
アンレキサノクスに加えて、特に好ましい式I−Aの他の化合物は、2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸及び2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸である。
【0021】
式Iの化合物は、比較的非毒性であり、高用量で毒性の危険なしにヒト患者に投与することができる。本発明の方法において使用し得る式Iの他の化合物としては、以下のものが挙げられる:
1−アザキサントン−3−カルボン酸;
2−アミノ−1−アザキサントン−3−カルボン酸;
2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸;
2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸;
2−アミノ−7−エチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸;
2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−3−カルボン酸;
2−アミノ−7−メトキシ−1−アザキサントン−3−カルボン酸;
2−アミノ−7−メチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸;
2−アミノ−7−n−ブチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸;
2−アミノ−8−ヒドロキシ−1−アザキサントン−3−カルボン酸;
2−アミノ−9−メトキシ−1−アザキサントン−3−カルボン酸。
【0022】
本明細書において使用する場合、「低級アルキル」という用語は、単独で又は組合せで、1〜6個の炭素原子を含む、一価の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素アルキル基、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどを意味し、特に好ましいのはイソプロピルである。
【0023】
「低級アルコキシ」という用語は、1〜6個の炭素原子を含む低級アルキルから形成される直鎖又は分岐鎖アルコキシ基、たとえばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどを意味する。
【0024】
「低級アルキルアミノ」という用語は、低級アルキル基で一置換又は二置換されたアミノ置換基を指す(低級アルキルは上記で定義したとおりである)。低級アルキル基置換の場合、「モノ低級アルキルアミノ」という用語が使用される。アミン基の窒素原子上に2個の低級アルキル置換基の場合、この置換基は「ジ低級アルキルアミノ」基が使用される。
【0025】
「製薬的に又は薬学的に許容され得る塩」という用語は、式Iの化合物の生物学的有効性及び特性を保持する従来の酸添加塩をいい、好適な非毒性有機及び無機酸から形成される。酸添加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸及び硝酸のような無機酸から誘導されたもの、及びp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸(oxallic acid)、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸などのような有機酸から誘導されたものが挙げられる。
【0026】
酸添加塩に加えて、式Iの化合物は、対応する有機アミン塩、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩のような、その塩基性塩の形態で用いることができる。これらの塩基性塩は、従来の方式で式Iの化合物を、有機アミン(たとえばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、dl−メチルエフェドリン、1−(3,5−ジヒドロキシフェニル)−L−イソプロピルアミノエタノール、イソプロテレノール、デキストロメトルファン、ヘトラザン(ジエチルカルバマジン(carbamazine))、ジエチルアミン、トリエチルアミン、グルコサミン、N−メチルグルコサミン等)、アルカリ金属水酸化物(たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)又はアンモニアと反応させることにより、たとえばそれらを混合し好適な溶剤中で加熱することにより、形成させることができる。本発明における使用に好ましい塩は、新規なN−メチルグルカミン塩(メグルミン塩)であり、これは、式Iの化合物の塩として、又は式Iの化合物との混合物としてヒト患者へのその混合物の投与に際してその塩がインシチュで形成されるように、患者に投与することができる。
【0027】
式Iの化合物は、その製薬的に許容され得る加水分解可能なエステルの形態として投与することができる。任意の製薬的に許容され得る加水分解可能なエステルは、本発明の組成物及び方法において用いることができる。これらのエステルとしては、芳香族エステル、たとえばベンジル(OBzl)又は低級アルキル置換ベンジル、ハロ、ニトロ、チオ、又は置換チオ、すなわち低級アルキル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及び9−フルオレニルメチルが挙げられる。
【0028】
式Iの化合物は、上皮性又は間葉性の性質の腫瘍の治療に有効である。このような腫瘍としては、胸部、皮膚、結腸、膀胱、食道、胃、咽頭、肺又は口腔、特に口の、悪性又はがん性腫瘍が挙げられる。
【0029】
本発明の別の態様によれば、式Iの化合物は、上皮性又は間葉性の性質の腫瘍に由来する悪性腫瘍の治療を受けた患者を治療するために、又はこの悪性腫瘍の治療と関連して、投与される。このような患者への式Iの化合物の投与は、治療された悪性腫瘍の再発及びこの悪性腫瘍の進行及び/又は転移の両方を阻害する。ある患者に生じた最初の悪性腫瘍は、乳がん、結腸がんなどとして生じ得、この原発性腫瘍は、手術、X線又は他の抗腫瘍治療あるいはそれらの組合せのような、腫瘍サイズの縮小又は除去のための任意の従来の手段によって治療され得る。本発明のこの態様によれば、式Iの化合物の投与は、この最初の悪性腫瘍が異なる部位に拡散するのを防止するためのアジュバント療法を提供する。さらに、式Iの化合物はまた、第二の悪性腫瘍の発生を遅延させ、又は阻害する。それゆえ、式Iの化合物は、最初の原発性悪性腫瘍が胸部、皮膚、結腸、膀胱、食道、胃、咽頭、肺、口等のがん又は腫瘍である場合に、最初の原発性悪性腫瘍が治療された後、又は腫瘍のサイズの縮小又は除去のための手術又は他の手段のような治療と関連して、第二の悪性腫瘍を防止するために使用することができる。本発明によれば、式Iの化合物は、最初の原発性悪性腫瘍が、たとえば乳がんである場合に、原発性悪性腫瘍の再発及び第二の原発性悪性腫瘍の発生を防止するのに有効であることが見出された。式Iの化合物を原発性腫瘍の進行又は転移あるいは二次原発性悪性腫瘍の発生を防止するためのアジュバント療法のために用いる場合、式Iの化合物は、記載したものと同じ量で投与する。一般に、アジュバント療法における使用のためにその化合物を、上述のとおりに経口で投与することが好ましい。
【0030】
本発明のさらに別の態様によれば、式Iの化合物は、間葉性又は上皮性起源の腫瘍又はがんを治療して、これらの腫瘍の発生及び転移を遅延させるために用いることができる。式Iの化合物の抗がん又は抗腫瘍特性によれば、式Iの化合物での腫瘍の治療は、胸部、皮膚、結腸、膀胱、食道、胃、咽頭、肺又は口の腫瘍の発生を遅延させることにおいて特に有効である。この化合物が特に有効であるがんとしては、胸部のがんがある。
【0031】
上皮性又は間葉性の性質のがんの進行及び/又は転移を遅延させるための、ならびに原発性悪性腫瘍の再発及び第二の原発性悪性腫瘍の発生を防止するための上述の治療においては、式Iの化合物は、これらのがんの進行及び/又は転移を遅延させるため、又は原発性悪性腫瘍の再発又は第二の原発性悪性腫瘍の発生を防止するために有効な量で、これらのがんに罹患した患者に投与される。この量は、がんの量、タイプ及びサイズ、ならびに患者の要求に依存するであろう。全身投与の場合の用量は、治療する医師によって決定されたとおりに個々の患者の要求にしたがって変化する。一般に、全身投与の場合の用量は、治療する医師によって決定されたたとおりに個々の患者の要求にしたがって変化する。一般に、このような患者に式Iの化合物を投与するには、式Iの化合物は、好ましくは、約3mg〜約60mg/kg患者体重/日の用量で経口投与される。この用量は、医師の指示にしたがって割り当てられた数回に分割された用量又は単回用量で投与することができる。しかし、一般に、約5mg〜約50mg、好ましくは約10mg〜約50mgの患者の1kg体重当たりの1日の経口用量が一般に好ましく用いられる。本発明によれば、式Iの化合物は、たとえばカプセル、錠剤、糖衣錠、ピル、散剤、顆粒剤等の固体経口単位用量形態、ならびにたとえば溶液、シロップ、懸濁液、エリキシル等の液体経口用量形態で、投与することができる。一般に、単位経口用量形態は、式Iの化合物を、約20mg〜600mg、好ましくは約30〜500mg、及び最も好ましくは30〜300mgの量で含有するべきである。これらの経口単位用量形態のうち、カプセル及び錠剤は特に好ましい。
【0032】
上記の治療のためには、式Iの化合物は、式Iの化合物及びこの化合物と相溶性の製薬的に許容され得るキャリアを含有する組成物として全身投与される。このような組成物の調製においては、任意の従来の製薬的に許容され得るキャリアを使用することができる。この薬剤が経口投与される場合、一般的には規則的な間隔で、好都合には食事時又は1日1回で投与される。式Iの化合物は、静脈内、腹腔内及び経口投与された場合、比較的非毒性であることが確立されている。
【0033】
上皮性及び間葉性の性質の悪性腫瘍の治療は、式Iの化合物を単独で又は腫瘍を排除する又はサイズを縮小するための他の手段との組合せで用いて行うことができる。腫瘍を排除する又はサイズを縮小するための従来の任意の手段を、本発明の方法と関連して用いることができる。これらとしては、手術、放射線療法、ホルモン療法又は標準的化学療法(細胞増殖抑制剤及び細胞毒)での治療、又は他の生物学的応答改変剤(抗体及びその誘導体分子、インターフェロン、インターロイキン、又は他のリンホカインを含む)が挙げられる。
【0034】
全身投与のための投与形態としては、通常の固体又は液体用量形態、たとえば、坐剤、又は固体経口用量形態としてはカプセル、錠剤、糖衣錠、ピル、散剤、顆粒剤等、液体経口用量形態としては溶液、シロップ、懸濁液、エリキシル等、及び非経口的用量形態としては静脈内又は筋内に注入することができる浸剤又は注入溶液がある。
【0035】
式Iの化合物は、注入(注射)により非経口的に投与することもできる。静脈内又は腹腔内のような従来の任意の手段を、式Iの化合物又はその薬学的に許容され得る塩又はエステルを投与するために用いることができる。これらの注入用形態は、このような注入用形態に用いられる標準的な添加剤とともにこの化合物の滅菌水性溶液を用いて形成することができる。
【0036】
本発明によれば、本発明者らは、注入用の非経口的投与のための用量が、経口用量形態についてと同じである、すなわち、約3mg〜約60mg/kg患者体重/日であることを見出した。この用量は、医師の指示にしたがって割り当てられた数回に分けた用量で又は単回用量で投与することができる。しかし、一般には、患者の体重1kgあたり約5mg〜約50mg、好ましくは約10mg〜50mgの1日あたりの注入用用量が一般に好ましく用いられる。これらの注入用用量に関しては、式Iの化合物は溶液である。この溶液は、一般に、約2mg/mL〜約20mg/mLの式Iの化合物を含有する。単位注入用用量は、上述の量の式Iの化合物を含有する5mL〜1,000mLの量の溶液であることができる。
【0037】
非経口的投与のための製剤は、水性又は非水性等張性滅菌注入溶液又は懸濁液の形態であってもよい。これらの溶液及び懸濁液は、滅菌された粉末又は顆粒から、経口投与のための製剤について言及した1以上のキャリア又は希釈剤を用いて、又は他の好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、調製してもよい。それらの化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、コーン油、綿実油、落花生油、ごま油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、トラガカントガム、及び/又は種々の緩衝剤中に溶解してもよい。他のアジュバント及び投与モードは、製剤学の分野で十分に広く知られている。活性成分は、生理食塩水、デキストロース又は水を含む好適なキャリアとの、又はシクロデキストリン(すなわちカプシトール(Captisol))、コソルベント(cosolvent)可溶化(すなわち、プロピレングリコール)又はミセル可溶化(すなわち、Tween 80)との組成物として注入により投与してもよい。
【0038】
滅菌注入用調製物は、非毒性で非経口的に許容され得る希釈剤又は溶剤中の滅菌注入用溶液又は懸濁液、たとえば1,3−ブタンジオール中の溶液のようなものであってもよい。用いられ得る許容可能なベヒクル又は溶剤としては、水、リンゲル溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。さらに、滅菌された不揮発油は、溶剤又は懸濁媒体として従来使用されている。この目的のため、任意の無刺激性(bland)不揮発性油を用いることができ、合成モノ又はジグリセリドが挙げられる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注入剤の調製に使用することができる。
【0039】
式Iの化合物、その塩及びその溶液の化学的安定化は、その製剤中にある種の抗酸化剤の添加を要求することがある。種々の抗酸化剤が、化学的安定化のために通常使用される。用いられる抗酸化剤は、アスコルビン酸、又はその製薬的に許容され得る塩であることが好ましい。
【0040】
本発明によれば、式Iの化合物をそのN−メチルグルカミン(メグルミン)との塩として使用することを通じて予期しない結果が達成されることが見出された。これらのメグルミン塩の使用は、水にやや難溶の式Iの化合物を、間葉性又は上皮性起源の腫瘍を治療し、これらの腫瘍の発生及び転移を遅延させ、原発性悪性腫瘍の再発又は第二の原発性悪性腫瘍の発生を防止するために、有益な効果が得られるように、高用量で投与可能なように可溶性とする。本発明のひとつの態様によれば、式Iの化合物は、メグルミン塩として投与することができる。これは、投与されるべき用量形態の式Iの化合物のメグルミン塩を提供することによって、又は遊離酸もしくは別の塩の形態の式Iの化合物とメグルミンとの組合せを含有する固体経口単位用量を提供することによって、行うことができる。この組合せは、水と混合された場合又は患者に投与された場合、メグルミン塩を形成し、このメグルミン塩が患者に投与されることになる。したがって、経口単位用量形態の式Iの化合物及びメグルミンの混合物を提供することによって、そのメグルミン塩が、患者に投与されることになる。一方、メグルミン及び遊離塩基としての式Iの化合物の混合物が液体注入用単位用量形態に添加される場合、式Iの化合物のメグルミン塩が、この注入用用量形態中に形成される。このようにして、式Iの化合物の強化された可溶性形態がヒト患者に非経口的に投与されることができる。
【0041】
メグルミン及び式の化合物を含有する経口単位用量形態を形成することにおいて、単位用量形態は、少なくとも0.5重量部のメグルミン/式Iの化合物の重量部を含有する。より高い量のメグルミン、すなわち式Iの化合物の重量に基づいて0.5重量部を超える量は、経口単位用量形態の組成物において用いることができ、これらの組成物においては、式Iの化合物の重量部あたり約1.2重量部を超えないメグルミンを用いることが好ましく、これは、このような過剰量のメグルミンの提供は、用量形態のpHを、高すぎて患者に投与できないレベルに上げる可能性があるためである。一般に、式Iの化合物の重量部あたり約0.5〜0.8重量部のメグルミンが、経口及び注入用組成物中に存在する。一方、メグルミン以外の塩をこれらの組成物中で使用することもできる。しかし、最良の結果のためには、式Iの化合物のメグルミン塩を形成させるための、これらの組成物中におけるメグルミンの使用が、特に有利であることが見出された。
【0042】
以下の実施例は、式Iの化合物を用いる本発明を説明するために提供されており、本発明を制限するものとして解釈されない。実施例において、組成物中の成分の重量部は、組成物の総重量に基づいて与えられている。実施例13のようないくつかの実施例において表されている表において、調製された組成物は、F1のようなF番号によって示されている。これは、この表において与えられている特定の組成物を指すために使用されている。
【0043】
以下の実施例において与えられている表において、アンレキサノクスの主要な薬理動態学的パラメータ、及びアンレキサノクス塩及び酸の生物利用性(バイオアベイラビリティ)は、以下の略号を用いて示されている:
AUC: 濃度−時間曲線下面積
max: 最高濃度
t1/2: 半減期
MRT: 平均滞留時間
CL: クリアランス
ss: 分布定常状態の容量
実施例において、「Pruve」は、ステアリルフマル酸ナトリウムである。
【実施例】
【0044】
(実施例)
実施例1: アンレキサノクス20mg錠剤
400mgの2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−3−カルボン酸、590mgのコーンスターチ及び10mgのステアリン酸マグネシウムを、プラネタリーミキサー中で60分間混合し、1,000mgの混合物を製造した。各錠剤は、50mgのこの混合物をダイ(直径7mm)に入れて約10,000N/cmの表面圧力を用いて錠剤にプレスすることにより調製された。この製造された各錠剤は、20mgのアンレキサノクスを含有する。
【0045】
実施例2: アンレキサノクス注入用投薬溶液 20mg/mL
20mgの2−アミノ−7−イソプロピル−l−アザキサントン−3−カルボン酸ナトリウム塩を、投与に先立って、1mLの浸剤用0.9%滅菌水性塩化ナトリウム溶液中に溶解した。あるいは、20mgの2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−3−カルボン酸ナトリウム塩を、投与に先立って、1mLの浸剤用5%滅菌水性デキストロース溶液中に溶解した。
【0046】
実施例3: アンレキサノクス250mg錠剤
500mgの2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−3−カルボン酸、490mgのコーンスターチ及び10mgのステアリン酸マグネシウムを、プラネタリーミキサー中で60分間混合し、1,000mgの混合物を製造した。各錠剤は、500mgの混合物をダイ(直径13mm)中に入れることにより製造し(この錠剤は250mgの2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−3−カルボン酸を含有している)、約10,000N/cmの表面圧力を用いてプレスした。
【0047】
実施例4: アンレキサノクス注入用投薬溶液 10mg/mL
500mgの2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−3−カルボン酸ナトリウム塩を、投与に先立って、50mLの浸剤用0.9%滅菌水性塩化ナトリウム溶液中に溶解した。
500mgの用量を達成するために、50mLのこの溶液を静脈注射によって対象に投与した。
【0048】
実施例5: 水溶性アンレキサノクスナトリウム塩の調製
アンレキサノクスをNaOH中に可溶化し、1Mトリス、pH7.4を用いて溶液のpHを7.6〜7.8に調整し、オートクレーブをかけた蒸留水で所望の容量に調整した。NaOHの最終濃度は、アンレキサノクスの濃度と等モルであった。具体的には、20mlの20mg/mlのアンレキサノクス溶液を作製するためには、400mgのアンレキサノクスを10mlの132mM NaOH中に溶解し、次いで5.2mlの1Mトリス、pH7.4及び4.8mlの水を添加した。アンレキサノクス溶液を、0.2μmフィルターを通して滅菌した。固有のアンレキサノクス蛍光の測定により、ろ過中にアンレキサノクスの損失がなかったことを確認した。
【0049】
実施例6: アンレキサノクスは動物モデルにおいてS100A4陽性細胞による転移形成を阻害する
アンレキサノクス注入溶液は、実施例4に記載したとおりに調製した。高度に転移性のS100A4陽性CSML100 細胞(Ret)を、Jackson Laboratory(Maine, USA)から入手した雌A/Jマウス(6〜7週齢、n=26)の群に静脈内接種した。次に、これらの動物を、ランダムに以下の2群に分けた:1)インタクトコントロール(n=16、生理食塩水処理)、及び2)アンレキサノクス(n=10、100mg/kgを10日間毎日静脈注射)。両群とも、注入容量は5ml/kgであった。これらの処理は、腫瘍細胞の移植の翌日から開始され、10日間連続した。動物の体重は、実験の間の処理毒性のインデックスとして記録された。
【0050】
細胞移植後第10日から開始して、コントロール群の1匹の動物を毎日犠牲にし、転移の発生を監視した。すべての動物を、第18日に犠牲にし、ルーチンの転移検査に供した。すべての器官をルーチンにスクリーニングしたが、転移形成は肺のみにおいて発見された。器官表面の転移性コロニーは、器官の除去の後に直ちに数えられた。
データは、転移部位の数について平均±SEMとして表された。この実験の結果を、以下に表す:
【0051】
【表1】

【0052】
アンレキサノクスは、CSML100細胞を接種されたマウスにおいて転移形成の有意な阻害を生じた。10%未満の非有意の体重減少が、アンレキサノクス処理群に検出され、この処理の低又は無毒性が示された。
【0053】
実施例7
この研究は、原発性腫瘍を外科的に除去された女性の乳がん患者におけるアンレキサノクスでの治療の効力を明らかにする。この研究においては、原発性腫瘍を外科的に除去された、転移性(ステージIII〜IV)乳がんを有する44人の女性が、1日2回の500mgアンレキサノクスの経口投与により治療される。患者1人あたりの総用量は、1日1,000mgである。基線評価は、治療の開始時に行われ(治療群)、これらの基線結果が、この治療の種々のフォローアップ期間中の反復評価と比較される。治療は、少なくとも連続10日実施され、疾患の実質的な進行が認められるまでさらに継続される。この研究は、すべての患者の治療及びそのフォローアップを含み、少なくとも9ヶ月、又は応答又は安定疾患を有する最後の患者において疾患の進行があるまで、続く。この研究の第一の目的は、治療中及びフォローアップ期間中の、治療された女性における総合的な(完全又は部分的)応答率を決定することである。また、この研究は、治療群の患者の各々の疾患進行の遅延の時間を決定するためにも行われる。完全及び部分的応答、安定疾患(応答でも進行でもない)、進行までの時間の定義は、がん治療トライアルにおいてルーチンに使用されるWHO及び/又はRECISTの基準にしたがった標準的定義である。この実験を実施するにあたって、治療群の各患者についての応答率及び1年生存データが決定され、非治療群と比較された。
【0054】
患者は、1日2回、500mgのアンレキサノクスを、実施例3で調製された250mgの錠剤2個の投与により、少なくとも連続10日間、受ける。患者の治療は、最初の10日の期間の後、疾患の実質的な進行の遅延がない場合、停止される。疾患の実質的な進行の遅延がある場合、治療は、その患者における疾患の実質的な進行が再開したと決定されたとき、停止される。しかし、この研究全体は、安定又は応答性疾患を有する最後の患者がこの研究に参加した後少なくとも9ヶ月間、又は患者のすべてにおいて疾患が進行してしまうまで、行われる。患者の評価は、この研究の間14日〜42日毎に行われ、最初のフォローアップ評価は、アンレキサノクス錠剤の最初の投与の14日後に行われる。腫瘍評価は、治療の開始から少なくとも42日毎に行われる。
【0055】
患者の各々において、以下の基線評価が行われる(「ベースライン評価」):人口学的データ、病歴、完全な身体検査、身長・体重、生徴候、カルノフスキー(Karnofsky)能力ステータス、血液学、血液化学及び尿検査。妊娠可能な女性における妊娠試験もまた、48時間以内に行なわれる。腫瘍の「ベースライン評価」は、すべての患者についての胸部及び腹部CATスキャン、及び研究参加前の3ヶ月に異常なスキャンを示した患者についての骨のスキャンを含む。
【0056】
アンレキサノクスでの治療中、以下の評価が14日〜42日毎に行われる:身体検査、体重、能力ステータス、生徴候、血液学、血液化学及び尿検査。有害事象の調査、随伴する医療及び同時疾病を含む臨床評価もまた行われる。アンレキサノクスの最初の投与の1週間後、患者は、臨床的に評価され(有害事象の調査、随伴する医療及び同時疾病)、以下の検査室評価が行われる:血液学、血液化学及び尿検査。腫瘍の評価は、治療中6週間毎及び治療後3ヶ月毎に、標準WHO及び/又はRECIST基準によって進行が確認されるまで、行われる。
【0057】
アンレキサノクスでの治療の完了後、患者は、アンレキサノクスでの最後の治療の1週間後に見られ、以下の試験が完了される:身体検査、体重、能力ステータス、生徴候、胸部X線、血液学、血液化学及び尿検査。有害事象の調査、随伴する医療及び同時疾病を含む臨床的評価もまた、行われる。
【0058】
研究治療の完了後、又は研究治療からの早期の脱退後、生存を調べるために、患者は、3ヶ月毎に12ヶ月まで、又は早く起こった場合には死まで、フォローアップされる。評価されるパラメータは以下のとおりである:身体検査、体重、能力ステータス及び生徴候。有害事象の調査、随伴する医療及び同時疾病を含む臨床的評価、ならびに標準WHO及び/又はRECIST基準により疾患の進行のない患者においては、腫瘍の評価も行われる。
【0059】
研究から何らかの理由で除外される患者は、研究中止訪問を行う。評価されるパラメータは以下のとおりである:身体検査、体重、能力ステータス、生徴候、胸部X線、血液学、血液化学及び尿検査。有害事象の調査、随伴する医療及び同時疾病を含む臨床的評価、ならびに標準WHO及び/又はRECIST基準により疾患の進行のない患者においては、腫瘍の評価も行われる。
【0060】
一次効力変数は、総合的な応答率及び疾患進行までの時間である。総合的応答率を評価するために、2セットの分析が行われ、その1つは方針通り(ITT)アプローチ(すべての適格患者)に基づいており、もう1つは、評価可能な患者のみ、すなわち、少なくとも1コースの療法を完了し、腫瘍評価を受けたすべての適格患者のみ、からのデータに基づいている。疾患進行までの時間は、治療の開始から、標準WHO及び/又はRECIST基準による記録された疾患進行までの時間として定義される。この分析は、少なくとも1用量のアンレキサノクスを受けたITT集団からのすべての適格患者を含む。
【0061】
総合的な応答の持続期間は、CR又はPR(いずれか最初に記録されたステータス)についての基準が適合した時から、治療が開始されて以来、最小の測定値をPDについてのリファレンスとして、再発又はPDが客観的に記録された最初の日付まで測定される。すべての患者は、生存についてフォローされ、生存は、アンレキサノクス療法の開始から、1年間の期間又は死のいずれか先に起こる方までの期間について測定される。少なくとも1用量のアンレキサノクスを受けたすべての患者は、安全性分析に含められる。あらゆる有害事象の発生は記録され、身体の領域及び毒性等級にしたがって分類される。臨床的に有意な実験室データを表に表す。
【0062】
評価期間中のすべての患者は、腫瘍の測定、生存及び患者における疾患のあらゆる進行の決定について評価される。安定性は、先の期間から腫瘍のサイズ又は量の何らかの増大があるか否か、及び患者における他の任意の悪性腫瘍のその後の出現がないか否かを決定するために、各評価期間中に測定される。臨床的に有意な実験室データを表に示す。
【0063】
これらの結果に基づいて、この研究の終わりに、アンレキサノクスで治療された患者群中のかなりのパーセンテージの患者が、ベースライン期からアンレキサノクスの投与後9ヶ月のこの研究の終了及びフォローアップまで、非治療群と比較して計算される疾患の進行を、ほとんど又は全く示さない。
【0064】
実施例8
これは、アントラサイクリン類及び/又はタキサン類を含む先立つ化学療法に抵抗性の進行した転移性乳がんを有する患者の治療におけるモノセラピーとしてのアンレキサノクスの有効性を明らかにするための研究である。
【0065】
この研究においては、アントラサイクリン類及び/又はタキサン類を含む先の細胞毒性化学療法レジメント(regiment)の後に再発した転移性(ステージIII〜ステージIV)乳がんを有する44人の女性患者は、実施例3で調製されたアンレキサノクス250mg錠剤を2個の、500mgのアンレキサノクスを、1日2回、外来患者として経口投与される。この治療は、総合的な(完全及び部分的)応答率を決定するために実施される。この群においては、アンレキサノクスで治療された患者の安定疾患率が決定される。さらに、治療された患者の各々において、疾患進行までの時間も決定される。この研究の結果は、同じ先の細胞毒性化学療法レジメントの後に再発した転移性(ステージIII〜ステージIV)乳がんを有する非治療患者と比較される。
【0066】
この研究において、患者の各々は、1日2回、2個の250mgアンレキサノクス錠剤(実施例3で調製されたもの)を、外来患者ベースで1日2回経口投与され、患者1人あたり1,000mgの日用量が提供される。治療の持続期間は、最初は少なくとも6週間である。患者は、6週間間隔で、応答及び疾患ステータスについて標準WHO及び/又はRECIST基準によって評価される。6週間の治療の終わりに応答(完全又は部分的)した患者又は安定疾患を有する患者は、疾患の進行が観察されるまで、治療を受け続ける。疾患の進行が記録された患者は、この研究から除外される。完全又は部分的応答を有する患者及び安定疾患を有する患者は、実質的な疾患の進行まで、あるいは、もはやない場合はこの研究の終わりまで又はこの研究から早期脱退するまで、治療される。生存を調べるために、患者は、この研究からの脱退後、12週間毎にフォローアップされる。この研究は、9ヶ月の治療及び最後の非進行患者のフォローアップの後終了する。
【0067】
すべての患者は、実施例7で規定した「ベースライン評価」を受け、治療及びフォローアップの期間中の疾患の進行及び患者の評価は、実施例7で記載されたとおりに実施される。評価期間中のすべての患者は、腫瘍の測定、生存及び患者における疾患の何らかの進行の決定により、評価される。安定性は、各評価期間中に測定され、先の期間と比較して腫瘍のサイズ及び量に何らかの増大があるか否か、及び患者に何らかの他の悪性腫瘍のその後の出現がないか否かが決定される。臨床的に有意の実験室データを表に示す。
【0068】
これらの結果に基づいて、この研究の終了の際に、アンレキサノクスで治療された群の患者のかなりのパーセンテージの患者が、非治療群と比較して、ベースライン期からアンレキサノクスの投与及びフォローアップの9ヶ月後のこの研究の終了まで計算される、標準WHO及び/又はRECIST基準による疾患の進行を示さない。
【0069】
実施例9
これは、ファーストライン療法としての結腸直腸がん患者の治療におけるイリノテカンとの組合せでのアンレキサノクスの有効性を明らかにする研究である。
【0070】
このオープンラベル乱塊法複数機関研究(open label randomized multicenter study)においては、手術では完全に除去できない腫瘍を有する150人の結腸直腸がん患者が、イリノテカン単独の投与により治療され、手術では完全に除去できない腫瘍を有する150人の結腸直腸がん患者が、実施例3で調製されたアンレキサノクス250mg錠剤2個で500mgのアンレキサノクスで毎日、1日2回経口服用される500mg日用量のアンレキサノクス及びイリノテカンの組合せで治療される。イリノテカンは、すべての患者に350mg/mの用量で、この研究の期間中、3週間毎に1回、静脈内投与された。参加している治療センターで、各患者は、イリノテカンでの化学療法を含め、標準的な手当てと考えられるすべての治療を受ける。進行した結腸直腸がんであることが組織学的に証明され、治療外科手術に反応しない患者は、この研究に含められた。転移性疾患について以前に全く化学療法を受けていない患者は、参加資格があるが、先立つアジュバント療法は許容される。単一の転移の場合、結腸直腸がんの組織学的又は細胞学的証拠が、ランダム化の前に得られる。以前に放射療法を受けている場合、少なくとも1つの測定可能な病変が、照射された領域外に位置する。この治療は、総合的な(完全及び部分的)応答率を一次エンドポイントとして決定するために行われる。さらに、処理された各患者において、総合的な応答の持続期間、総合的な応答までの時間、進行なしでの生存の持続期間、総合的な臨床的有益率、総合的な生存率及び生活の質が決定される。この研究の結果は、2つの患者群間で比較される。
【0071】
アンレキサノクス治療の持続期間は、最初は少なくとも6週間である。患者は、標準的なWHO及び/又はRECIST基準によって6週間間隔で応答及び疾患のステータスについて評価される。6週間の治療の終わりに応答した患者(完全又は部分的応答)又は安定した疾患を有する患者は、疾患の進行が観察されるまで治療を受け続ける。疾患の進行が記録された患者は、研究から除外され得る。完全又は部分的応答を有する患者及び安定した疾患を有する患者は、実質的な疾患の進行まで、又はもはやない場合、この研究の終了までもしくは研究からの早期脱退まで、治療される。生存について調べるために、患者は、研究からの脱退後、12週間毎にフォローアップされる。この研究は、最後の非進行患者のフォローアップ及び治療の9ヵ月後に終了する。
【0072】
すべての患者は、実施例7に規定したベースライン評価を受け、治療及びフォローアップ期間中の疾患の進行及び患者の評価は、実施例7に記載されたとおりに実施される。評価期間中のすべての患者は、腫瘍の測定、生存及び患者に疾患の何らかの進行の決定により評価される。安定性は、各評価の間に測定され、前の期間から腫瘍の量又はサイズの何らかの増大があるか否か、及び患者に何らかの他の悪性腫瘍のその後の出現がないか否かを決定される。臨床的に有意な実験室データを表に示す。
【0073】
これらの結果に基づいて、この研究の終了時に、アンレキサノクスで治療された患者群のかなりのパーセンテージの患者が、少なくとも1個の以下のエンドポイントを含むがそれらに限らない有益な結果を示した:総合的な応答率、総合的な応答の持続期間、総合的な応答までの時間、進行なしでの生存の持続期間、総合的な臨床的有益率、総合的な生存率及び生活の質。
【0074】
実施例10: 結晶アンレキサノクスナトリウム塩の調製
1gのアンレキサノクスを正確に秤量し、7mlの水に添加した。この懸濁液を10分間攪拌した。この懸濁液に、3mlの1.0N NaOHをゆっくりと添加した。懸濁液を、アンレキサノクスが充分に溶解するまで攪拌した。この透明な溶液のpHを、固体アンレキサノクスを添加することにより7.4に調整し、水を加えることにより10mLに希釈した。過剰なアンレキサノクスは、ろ過により除去した。400mLのイソプロパノールを、混合物を激しく攪拌しながら、ゆっくりと添加した。ナトリウム塩の最初の結晶は、混合物が攪拌されている間に出現し、結晶化は2時間以内に完了した。結晶生成物を、ろ過により分離し、真空中で乾燥した。
【0075】
実施例11: 結晶アンレキサノクス マグネシウム塩及び結晶アンレキサノクス カルシウム塩の調製
0.001molのアンレキサノクス ナトリウム塩を、30mLの水に溶解し、0.0005molの塩化マグネシウムを30mLの水に溶解した。これらの溶液を、攪拌しながらゆっくりと混合した。得られる沈殿を、ろ過して採取し、100mLの水で洗浄して乾燥した。
【0076】
塩化マグネシウムの代わりに塩化カルシウムを用いた同じ手順を用い、結晶アンレキサノクス カルシウム塩を調製した。
【0077】
実施例12: メグルミンを用いた易溶解性アンレキサノクス製剤の調製
メグルミンを用いた易溶解性アンレキサノクス製剤の組成物を、以下の表に列挙する。これらの組成物は、秤量された量の乾燥粉末をプラネタリーミキサーで90分間混合することにより調製した。製剤の溶解は、85mgの粉末製剤を5mLの水中に置くことにより試験した。溶液は、2分未満で透明になった。
【0078】
【表2】

【0079】
実施例13: アンレキサノクス錠剤の調製
錠剤の組成物を以下の表に列挙する。ミリグラム単位の所定の量のアンレキサノクス及び所定の量の賦形剤を、プラネタリーミキサーで60分間混合した。20mg及び100mg強力錠剤を、7mmのダイを用いて調製した。250mg錠剤は、13mmのダイを用いて調製した。錠剤を、カーバー油圧ラボラトリープレス(Carver Hydraulic Laboratory Press)を用いて5,000lbの圧力でプレスした。
【0080】
【表3】

【0081】
実施例14: アンレキサノクス ナトリウム塩溶液の化学安定性
20mgの結晶アンレキサノクス ナトリウム塩を、透明なガラス試験管中で2mLのトリス緩衝液、pH7.2に溶解した。以下の表に列挙した安定化化合物の各々について、0.05モル当量の化合物を溶液に添加し、溶解するまで混合し、環境光下に空気に触れる状態で放置した。サンプル中のアンレキサノクスの濃度は、調製直後及び72時間後にHPLCによって決定した。アンレキサノクスの化学安定性は、2つの分析からのアンレキサノクスのピーク下面積の比較によって評価した。結果を、以下の表に列挙する。
【0082】
【表4】

【0083】
実施例15: 水溶性2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸ナトリウム塩の調製
2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸を、NaOH中に溶解し、溶液のpHを、1Mトリス、pH7.4で7.6〜7.8に調整して、オートクレーブをかけた蒸留水で所望の容量に調整した。NaOHの最終濃度は、2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸の濃度と等モル濃度であった。具体的には、20mlの20mg/ml溶液を作製するために、400mgの2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸を、10mlの132mM NaOHに溶解し、次いで、5.2mlの1Mトリス、pH7.4及び4.8mlの水を添加した。溶液を、0.2μmのフィルターを通して滅菌した。
【0084】
実施例16: メグルミンを用いた易溶解性2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸製剤の調製
メグルミンを用いた易溶解性2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸製剤の組成を、以下の表に列挙する。これらの組成物を、秤量された量の乾燥粉末をプラネタリーミキサーで90分間混合することにより調製した。製剤の溶解性は、85mgの粉末製剤を5mLの水中に置くことにより試験した。溶液は、2分未満で透明になる。
【0085】
【表5】

【0086】
実施例17: 2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸錠剤の調製
錠剤の組成を、以下の表に列挙する。ミリグラム単位の所定の量の2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸及び所定の量の賦形剤を、プラネタリーミキサーで60分間混合した。20mg及び100mg錠剤は、7mmのダイを用いて調製した。250mg錠剤は、13mmのダイを用いて調製した。錠剤を、Carver Hydraulic Laboratory Pressを用いて5,000lbの圧力でプレスした。
【0087】
【表6】

【0088】
実施例18: 水溶性2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3− カルボン酸ナトリウム塩の調製
2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸をNaOH中に溶解し、溶液のpHを、1Mトリス、pH7.4を用いて7.6〜7.8に調整して、オートクレーブをかけた蒸留水で所望の容量に調整した。NaOHの最終濃度は、2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸の濃度と等モル濃度であった。具体的には、20mlの20mg/ml溶液を作製するために、400mgの2−アミノ−7,(9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸を、10mlの132mM NaOHに溶解し、次いで、5.2mlの1Mトリス、pH7.4及び4.8mlの水を添加した。溶液を、0.2μmのフィルターを通して滅菌した。
【0089】
実施例19: メグルミンを用いた易溶解性2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸製剤の調製
メグルミンを用いた易溶解性2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸製剤の組成を以下の表に列挙する。これらの組成物を、秤量された量の乾燥粉末をプラネタリーミキサーで90分間混合することにより調製した。製剤の溶解性は、85mgの粉末製剤を5mLの水中に置くことにより試験した。溶液は、2分未満で透明になる。
【0090】
【表7】

【0091】
実施例20: 2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸錠剤の調製
錠剤の組成を、以下の表に列挙する。ミリグラム単位の、所定の量の2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸及び所定の量の賦形剤を、プラネタリーミキサーで60分間混合した。20mg及び100mg錠剤を、7mmのダイを用いて調製した。250mg錠剤は、13mmのダイを用いて調製した。錠剤は、Carver Hydraulic Laboratory Pressを用いて5,000lbの圧力でプレスした。
【0092】
【表8】

【0093】
実施例21: 正常ラットにおけるアンレキサノクス酸及びアンレキサノクスナトリウム塩のバイオアベイラビリティ
動物
雌CDラット(体重200〜250g)は、Charles River Canada Inc. (St. Constant, Quebec, Canada)から入手した。動物は、光(12時間明暗サイクル、6時00分に点灯)及び温度(22 ± 1℃)制御した環境下で空気フィルターカバーをつけたケージに4匹ずつ維持した。動物を用いたすべての操作は、滅菌ラミナーフード(laminar hood)下で実施した。動物は、ピュリナラット餌(Purina rat chow, Pro Lab PMH 4018、 Agway, Syracuse, New Yorkの商標)及び水に制約なしでアクセスできた。動物実験は、「Guidelines for Care and Use of Experimental Animals」にしたがって行った。
【0094】
投薬及びサンプリング
アンレキサノクス塩については、投薬溶液は、等モルのNaOH溶液中に20mgのアンレキサノクスを溶解し、次いで1Mトリス−塩酸、pH7.4で平衡化することによって調製した。アンレキサノクス酸については、投薬溶液は、20mgのアンレキサノクスを水中1%メチルセルロースに単に懸濁させることによって調製した。
【0095】
アンレキサノクス投薬溶液(20mg/mL)を、正常ラット(各群4匹)に10、25、50、100及び200mg/kgの用量で静脈内及び経口的に投与した。注入後の種々の時間の間隔(30分、及び1、3、6、10及び24時間)後、血液を動物の眼静脈から集めた。次いで、血液を直ちに遠心分離し、血漿を分離した。血漿サンプルを、ドライアイス中で直ちに凍結させ、後の使用まで−80℃で保存した。
【0096】
抽出手順
解凍した血漿サンプルを、2000gで5分間遠心分離し、各サンプルのアリコート(10μL)を、1.5ml容のプラスチックチューブに移した。サンプルを、種々の倍量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、100μLのアリコートを別の1.5ml容のプラスチックチューブに移した。サンプルを、1mLの100%アセトニトリルで10分間、180°ローテーター上で抽出した。次いで、チューブを、10,000gで15分間遠心分離した。
【0097】
上清をガラスチューブに分離し、−40℃の窒素流中で乾燥するまで蒸発させた。乾燥したサンプルを、HPLC分析まで−20℃で維持した。HPLCによって分析する前に、サンプルを100μLの移動相で再構成した。
【0098】
HPLC分析
サンプルを、250×4.6mm、Phenomenex C18 Luna、5ミクロンカラムを用いて、73%の25mMリン酸ナトリウム、pH7.5及び27%のアセトニトリルの移動相の流速1mL/min;蛍光検出 λ励起=348nm、λ放出=404nmでHPCLにより分析した。
【0099】
サンプル中のアンレキサノクスの濃度は、スパイク(添加)されたラット血漿サンプルから同じ分析法によって得た較正曲線との比較により決定した。アンレキサノクスの曲線下面積(AUC)は、台形法により算出した。
アンレキサノクスの主要な薬物動態学的パラメータ、及びアンレキサノクス塩及び酸のバイオアベイラビリティを以下の表に示す。
【0100】
表:アンレキサノクス(塩)静脈内(I.V.)投与
【0101】
【表9】

【0102】
表:アンレキサノクス(塩)経口投与
【0103】
【表10】

【0104】
表:アンレキサノクス(酸)経口投与
【0105】
【表11】

【0106】
表:経口投与についてのアンレキサノクス塩及び酸のバイオアベイラビリティ
【0107】
【表12】

【0108】
実施例22: 正常イヌにおけるアンレキサノクス酸及びアンレキサノクスナトリウム塩の薬物動態学
【0109】
動物
実験は、6匹の雄ビーグル犬(Canis familiaris)(体重8〜14kg、年齢2〜3歳)で行った。動物は、水道水に制約なしでアクセスすることができた。市販のドッグフードを、これらの動物に1日1回、2時間の給餌期間に与えた。
【0110】
方法
アンレキサノクス塩の投薬溶液は、単にアンレキサノクス塩を水中に溶解することにより調製した。アンレキサノクス酸の投薬溶液は、0.5%メチルセルロース中にアンレキサノクス酸を懸濁させることにより調製した。
【0111】
アンレキサノクス酸及びナトリウム塩形態は、10mg/kgの用量で胃管栄養法によりイヌ(各群3匹)に経口投与した。実施例13にしたがって調製されたアンレキサノクス錠剤L及びCPは、10mg/kgの用量でイヌに経口投与した。注入後の種々の時間間隔後(用量前、15、30分、及び1、2、3、6、8、12、24及び48時間)、動物の頸静脈から血液を集めた。次いで、血液を直ちに遠心分離し、血漿を分離した。血漿サンプルをドライアイス中で直ちに凍結し、その後の使用まで−80℃で保存した。
【0112】
抽出手順
解凍した血漿サンプルを、2000gで5分間遠心分離し、各サンプルのアリコート (10μL)を、1.5ml容のプラスチックチューブに移した。サンプルを、種々の倍量のPBSで希釈し、100μLのアリコートを別の1.5ml容のプラスチックチューブに移した。サンプルを、1mLの100%アセトニトリルで10分間、180°ローテーター上で抽出した。次いで、チューブを10,000gで15分間遠心分離した。
【0113】
上清をガラスチューブに分離し、乾燥するまで−40℃の窒素流中で蒸発させた。乾燥したサンプルを、HPLC分析まで−20℃で維持した。HPLCによって分析する前に、サンプルを100μLの移動相で再構成した。
【0114】
HPLC分析
サンプルを、250×4.6mm、Phenomenex C18 Luna、5ミクロンカラムを用いて、73%の25mMリン酸ナトリウム、pH7.5及び27%のアセトニトリルの移動相の流速1mL/min;蛍光検出 λ励起=348nm、λ放出=404nmでHPLCにより分析した。
【0115】
サンプル中のアンレキサノクスの濃度は、スパイクされたイヌ血漿サンプルから同じ分析法によって得た較正曲線との比較により決定した。アンレキサノクスの曲線下面積(AUC)は、台形法により算出した。アンレキサノクスの主要な薬物動態学的パラメータを以下の表に示す。
【0116】
表:正常イヌ血漿についての、台形法によって算出された10mg/kgの用量での経口投与後のアンレキサノクス酸及びナトリウム塩の主要PKパラメータ
【0117】
【表13】

【0118】
実施例23: 正常マウスにおけるアンレキサノクスナトリウム塩及びアンレキサノクスメグルミン製剤の薬物動態学及びバイオアベイラビリティ
動物
雌のC57BL/6マウスを6〜7週齢で用いた。動物は、食餌(ピュリナマウス餌(Purina mouse chow)、 Pro Lab PMH 4018, Agway, Syracuse, NY, USAの商標)及び水を制約なしで与えられた。マウスは、光(12時間明暗サイクル)及び温度(22±1℃)制御した環境下で1ケージに5匹ずつ維持した。動物実験は、「Guidelines for Care and Use of Experimental Animals」にしたがって行った。
【0119】
投薬及びサンプリング
経口投与用のアンレキサノクス ナトリウム塩投薬溶液は、実施例10にしたがって調製されたアンレキサノクス ナトリウム塩を蒸留水中に溶解することによって調製した。静脈内投与用のアンレキサノクス ナトリウム塩投薬溶液は、実施例10にしたがって調製されたアンレキサノクス ナトリウム塩を、等張溶液(0.9% NaCl)中に溶解することにより調製した。経口投与用のアンレキサノクス メグルミン製剤投薬溶液は、実施例12にしたがって調製されたアンレキサノクス メグルミン製剤F1を、蒸留水中に溶解することによって調製した。静脈内投与用のアンレキサノクス メグルミン製剤投薬溶液は、実施例13にしたがって調製されたアンレキサノクス メグルミン製剤F1を等張溶液(0.9% NaCl)中に溶解することにより調製した。アンレキサノクスの1mg/mL溶液を10mg/kgの投薬のために用い、10mg/mL溶液を100mg/kgの投薬のために用いた。
【0120】
アンレキサノクス−X 投薬溶液を、正常マウス(各時点につき4匹)に静脈内及び経口的に投与した。注入後の種々の時間の間隔後(アンレキサノクス−X ナトリウム塩については15、30分、及び1、3、6及び8時間、そして、アンレキサノクス−X+MGについては15、30分、1、2及び6時間)、血液及び主要な器官(肝臓、腎臓、肺及び脳)を集めた。次いで、血液を直ちに遠心分離し、血漿を分離した。血漿及び組織サンプルを、ドライアイス中で直ちに凍結させ、後の使用まで−80℃で保存した。
【0121】
抽出手順
解凍した血漿サンプルを、2,000gで5分間遠心分離し、各サンプルのアリコート(10μL)を、1.5ml容のプラスチックチューブに移した。サンプルを、種々の倍量のPBSで希釈し、100μLのアリコートを別の1.5ml容のプラスチックチューブに移した。サンプルを、1mLの100%アセトニトリルで10分間、180°ローテーター上で抽出した。次いで、チューブを、10,000gで15分間遠心分離した。
【0122】
上清をガラスチューブに分離し、−40℃の窒素流中で乾燥するまで蒸発させた。乾燥したサンプルを、HPLC分析まで−20℃で維持した。HPLCによって分析する前に、サンプルを100μLの移動相で再構成した。
【0123】
HPLC分析
サンプルを、250×4.6mm、Phenomenex C18 Luna、5ミクロンカラムを用いて、73%の25mMリン酸ナトリウム、pH7.5及び27%のアセトニトリルの移動相の流速1mL/min;蛍光検出 λ励起=348nm、λ放出=404nmでHPLCにより分析した。
【0124】
サンプル中のアンレキサノクスの濃度は、スパイクされたマウス血漿サンプルから同じ分析法によって得た較正曲線との比較により決定した。アンレキサノクスの曲線下面積(AUC)は、台形法により算出した。アンレキサノクス ナトリウム塩及びアンレキサノクスとメグルミン酸との製剤の主要な薬物動態学的パラメータ及びバイオアベイラビリティを以下の表に示す。
【0125】
表:正常マウス血漿についての、台形法によって算出された10及び100mg/kgの用量での経口投与後のアンレキサノクス ナトリウム塩の主要PKパラメータ
【0126】
【表14】

【0127】
表:正常マウス血漿についての、台形法によって算出された10及び100mg/kgの用量での静脈内投与後のアンレキサノクス ナトリウム塩の主要PKパラメータ
【0128】
【表15】

【0129】
表:正常マウス血漿についての、台形法によって算出された100mg/kgの用量での経口及び静脈内投与後のアンレキサノクス+メグルミン製剤の主要PKパラメータ
【0130】
【表16】

【0131】
表:経口投与用のアンレキサノクス ナトリウム塩及びアンレキサノクス メグルミン製剤(MG)のバイオアベイラビリティ
【0132】
【表17】

【0133】
実施例24: CSML100(マウス乳がん)の実験的転移モデルにおけるアンレキサノクスの抗転移効果
注入用アンレキサノクス溶液は、実施例4にしたがって調製した。CSML100細胞を、26匹の雌A/Jマウス(6〜7週齢)に静脈内接種した。動物を、次にランダムに2群に分けた:1) 非処理コントロール(n=16、生理食塩水)、及び2) アンレキサノクス処理(n=10、100mg/kg/day、静脈内;毎日注入を10回)。コントロール群は、5ml/kg(容量/体重)の生理食塩水の静脈内注入を受け、一方、アンレキサノクスは、5ml/kgの容量中の100mg/kgの用量で毎日静脈内投与された。処理は、腫瘍細胞移植日の翌日に開始され、連続10日間継続した。動物の体重は、実験中の処理の毒性の指標として記録された。細胞移植後の第10日から、毎日1匹のコントロール群の動物を犠牲にし、転移の発生を監視した。残るすべての動物を、第18日にルーチンの転移検査のために犠牲にした。すべての器官をルーチンにスクリーニングしたが、転移の形成は、肺のみにおいてしか見出されなかった。器官表面の転移性コロニーは、器官の除去後直ちに数えた。
【0134】
表中のデータは、CSML100細胞を静脈内接種されたマウスにおける転移の形成を明らかにする。処理群における最大の体重減少は、10%未満であった。データは、肺表面での転移部位の数についての平均±SEMとして表されている。
【0135】
【表18】

【0136】
実施例25: S100A4陽性肺転移腫瘍モデルにおける経口アンレキサノクス単独、又はトポテカン(TPT)、ドキソルビシン(Dox)もしくはパクリタキセル(PTX)との組合せでの抗転移効果
注入用アンレキサノクス溶液は、実施例4にしたがって調製した。CSML100細胞(1.2 × 10細胞/動物)を、The Jackson Laboratory (Maine, USA)から入手した85匹の雌A/Jマウス(6〜7週齢)に静脈内接種した。動物を、次にランダムに9群(n=9、コントロール群以外)に分けた:1) インタクトコントロール(n=13、生理食塩水);2) アンレキサノクス(静脈内、100mg/kg);3) アンレキサノクス(経口、200mg/kg);4) TPT(静脈内、3mg/kg);5) アンレキサノクス(経口、200mg/kg)+TPT(静脈内、3mg/kg);6) Dox(静脈内、3mg/kg);7) アンレキサノクス(経口、200mg/kg)+Dox(静脈内、3mg/kg);8) PTX(静脈内、10mg/kg)、及び9) アンレキサノクス(経口、200mg/kg)+PTX(静脈内、10mg/kg)。
【0137】
インタクトコントロールは、10ml/kg(容量/体重)の生理食塩水の経口投与を受け、一方、 アンレキサノクスは、10ml/kgの容量中の200mg/kgの用量で毎日経口的に投与され、又は100mg/kg(5ml/kg)の用量で毎日静脈内投与された。処理は、腫瘍細胞の移植の翌日開始され、連続10日間継続された。細胞毒性薬剤であるTPT、Dox又はPTXは、腫瘍移植後第1、4及び7日に静脈内投与した。動物の体重は、実験中の処理毒性の指標として記録された。
【0138】
表中のデータは、転移の発生を示す。データは、肺表面上の転移部位数についての平均±SEMとして表されている。
【0139】
【表19】

【0140】
実施例26: B16実験的転移モデルにおける経口アンレキサノクス及びそのトポテカン(TPT)との組合せの抗転移効果
注入用アンレキサノクス溶液は、実施例4にしたがって調製した。B16F10/DX細胞(2.0×10細胞/動物)を、雌C57BL//6マウス(6〜7週齢)に静脈内接種し、動物を、次に、ランダムに4群(n=9、コントロール群以外)に分けた:1) インタクトコントロール(n=12、生理食塩水);2) アンレキサノクス(100mg/kg、毎日経口投与);3) TPT(2.0mg/kg、第1、4及び7日に静脈内);5) アンレキサノクス(毎日経口、100mg/kg)+TPT(第1、4及び7日に静脈内、2.0mg/kg)。インタクトコントロールは、10ml/kg(容量/体重)の生理食塩水の経口投与を受け、一方、アンレキサノクスは、経口的に毎日10ml/kgの容量中の100mg/kgの用量で投与された。処理は、腫瘍接種の翌日から開始され、プロトコールの終わりまでであった。しかし、TPTは、腫瘍移植後第1、4及び7日に静脈内投与された。動物の体重は、実験中の処理毒性の指標として記録した。
【0141】
表中のデータは、B16F10/DX細胞を移植されたマウスの肺における転移形成を示す。データは、肺表面の転移部位数についての平均±SEMとして表されている。
【0142】
【表20】

【0143】
実施例27: マウスの自発性転移モデルにおけるアンレキサノクスの抗がん活性
注入用アンレキサノクス溶液は、実施例4にしたがって調製した。
CSML100細胞(2.O×10細胞/動物)を、雌A/Jマウス(6〜7週齢)に皮下接種した。動物を、次いで、ランダムに2群に分けた(n=9):インタクトコントロール群(生理食塩水)及びアンレキサノクス処理群(100mg/kg、毎日静脈内注入、連続10日間)。処理は、腫瘍移植の翌日から開始した。腫瘍サイズの測定は、第11日から行った。第24日に、腫瘍を外科的に除去した。肺転移の発生は、腫瘍切除後40日に分析した。
【0144】
表中のデータは、この腫瘍モデルにおける自発的な肺転移形成を示す。データは、肺表面の転移部位数についての平均±SEMとして表されている。
【0145】
【表21】

【0146】
*: 3匹の動物が切除手術のため死亡した。1匹の動物は、皮下腫瘍が形成されなかったため、肺転移を全く有さなかった。
**: 4匹の動物が切除手術のため死亡した。1匹は、統計学的に妥当な例外として除外された。(26個の転移)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
S100ヒトタンパクを発現する腫瘍に関連する疾患を有する患者を治療する方法であって、前記腫瘍を有するヒト患者に、以下の式の化合物:
【化1】


(式中、Rは、水素、低級アルキル、フェニル、カルボキシル、ヒドロキシ、アミノ、モノ低級アルキルアミノ又はジ低級アルキルアミノであり;Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ又はカルボキシルであり;そして、nは、整数0、1又は2である)
又はその薬学的に許容され得る塩もしくはエステル
を投与することを含み、前記化合物が、前記腫瘍の進行又は転移を遅延させるのに有効な量で投与されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記化合物が、以下の式:
【化2】


(式中、R及びnは、上記のとおりである)
を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が、2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が、2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸である、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記化合物が、2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−3−カルボン酸である、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が、式Iの化合物のメグルミン塩として投与される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記塩が、式Iの化合物及びメグルミンの混合物を含有する固形経口用量形態を通じて投与される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が、前記塩の注入により投与される、請求項6記載の方法。
【請求項9】
上皮性又は間葉性の性質の腫瘍の進行又は転移を遅延させる方法であって、以下の式の化合物:
【化3】


(式中、Rは、水素、低級アルキル、フェニル、カルボキシル、ヒドロキシ、アミノ、モノ低級アルキルアミノ又はジ低級アルキルアミノ;Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ又はカルボキシルであり;そして、nは、整数0、1又は2である)
又はその薬学的に許容され得る塩もしくはエステル
を、このような腫瘍を有するヒト患者に投与することを含み、前記化合物が、前記腫瘍の進行又は転移を遅延させるのに有効な量で前記患者に投与されることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記化合物が、以下の式:
【化4】


(式中、R及びnは、上記のとおりである)
を有する、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸である、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−3−カルボン酸である、請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記腫瘍が、胸部、皮膚、結腸、肺、膀胱、膵臓、食道、胃又は口腔の腫瘍からなる群から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が、約3〜60mg/kg体重の日用量で経口投与される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、約20〜600mgを含有する経口単位用量形態で投与される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記経口単位用量形態が、錠剤又はカプセルである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、患者に投与される式Iの化合物がメグルミン塩である、請求項14記載の方法。
【請求項19】
前記塩が、メグルミン及び式Iの化合物の混合物を含有する固体経口用量形態を通じて投与される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が、前記塩の注入によって投与される、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記腫瘍が、胸部の腫瘍である、請求項14記載の方法。
【請求項22】
前記腫瘍が、結腸の腫瘍である、請求項14記載の方法。
【請求項23】
患者における悪性腫瘍と戦う方法であって、前記悪性腫瘍は上皮性又は間葉性の性質の腫瘍からなり、前記患者における腫瘍を、その腫瘍の縮小により又は除去により治療すること、及びこの治療に関連して、前記腫瘍の進行又は転移を遅延させるために、前記患者に、以下の式の化合物:
【化5】


(式中、Rは、水素、低級アルキル、フェニル、カルボキシル、ヒドロキシ、アミノ、モノ低級アルキルアミノ又はジ低級アルキルアミノであり;Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ又はカルボキシルであり;そして、nは、整数0、1又は2である)
又はその薬学的に許容され得る塩
を投与することを含み、前記化合物が、前記腫瘍の進行又は転移を遅延させるのに有効な量で前記患者に投与されることを特徴とする方法。
【請求項24】
前記腫瘍の縮小又は除去が、化学療法、手術又は放射線によるものである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、以下の式:
【化6】


(式中、R及びnは、上記のとおりである)
を有する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が、2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が、2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記化合物が、2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−3−カルボン酸である、請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記腫瘍が、胸部、皮膚、結腸、肺、膀胱、膵臓、食道、胃又は口腔の腫瘍からなる群から選択される、請求項24記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、約3〜60mg/kg体重の日用量で経口投与される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記化合物が、約20mg〜600mgの化合物を含有する単位経口用量形態で経口投与される、請求項16記載の方法。
【請求項32】
前記腫瘍が、胸部の腫瘍である、請求項29記載の方法。
【請求項33】
前記腫瘍が、結腸の腫瘍である、請求項29記載の方法。
【請求項34】
腫瘍のサイズの縮小又は除去により治療された上皮性又は間葉性腫瘍を有する患者を、前記腫瘍の進行又は転移を遅延させるために治療する方法であって、以下の式の化合物:
【化7】


(式中、Rは、水素、低級アルキル、フェニル、カルボキシル、ヒドロキシ、アミノ、モノ低級アルキルアミノ又はジ低級アルキルアミノであり;Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ又はカルボキシルであり;そして、nは、整数0、1又は2である)
又はその薬学的に許容され得る塩もしくはエステル
を、前記患者に投与することを含み、前記化合物が、前記腫瘍の進行又は転移を遅延させるのに有効な量で投与されることを特徴とする方法。
【請求項35】
前記腫瘍の縮小又は除去が、化学療法、手術又は放射線によるものである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記化合物が、2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−3−カルボン酸又はその薬学的に許容され得る塩もしくはエステルである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記腫瘍が、胸部、皮膚、結腸、肺、膀胱、膵臓、食道、胃又は口腔の腫瘍からなる群から選択される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記化合物が、約3〜60mg/kg体重の日用量で経口投与される、請求項34記載の方法。
【請求項39】
前記化合物が、20〜600mgの化合物を含有する経口単位用量形態で投与される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記腫瘍が、胸部の腫瘍である、請求項37記載の方法。
【請求項41】
前記腫瘍が、結腸の腫瘍である、請求項37記載の方法。
【請求項42】
メグルミンと以下の式の化合物との塩:
【化8】


(式中、Rは、水素、低級アルキル、フェニル、カルボキシル、ヒドロキシ、アミノ、モノ低級アルキルアミノ又はジ低級アルキルアミノであり;Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ又はカルボキシルであり;そして、nは、整数0、1又は2である)。
【請求項43】
前記化合物が、2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−3−カルボン酸である、請求項39記載の塩。
【請求項44】
前記化合物が、2−アミノ−7,9−ジメチル−1−アザキサントン−3−カルボン酸である、請求項39記載の塩。
【請求項45】
前記化合物が、2−アミノ−7−クロロ−1−アザキサントン−3−カルボン酸である、請求項39記載の塩。
【請求項46】
製薬学的に活性な式Iの成分とメグルミンとの混合物及び製薬学的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物であって、前記メグルミンが、以下の式:
【化9】


(式中、Rは、水素、低級アルキル、フェニル、カルボキシル、ヒドロキシ、アミノ、モノ低級アルキルアミノ又はジ低級アルキルアミノであり;Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ又はカルボキシルであり;そしてnは、整数0、1又は2である)
の前記製薬学的に活性な成分の重量に基づいて少なくとも0.5重量部の量で混合物中に存在し、
前記活性成分が、約20〜600mgの量で組成物中に存在する、組成物。
【請求項47】
前記メグルミンが、前記製薬学的に活性な成分の重量に基づいて約0.5〜1.0重量部の量で組成物中に存在する、請求項43記載の組成物。
【請求項48】
前記活性成分が、約30〜500mgの量で組成物中に存在する、請求項44記載の組成物。
【請求項49】
前記活性成分が、2−アミノ−7−イソプロピル−1−アザキサントン−1−カルボン酸である、請求項44記載の組成物。
【請求項50】
以下の式:
【化10】


(式中、Rは、水素、低級アルキル、フェニル、カルボキシル、ヒドロキシ、アミノ、モノ低級アルキルアミノ又はジ低級アルキルアミノであり;Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ又はカルボキシルであり;そして、nは、整数0、1又は2である)
の活性成分のメグルミン塩、及び製薬学的に許容され得る注入可能な液体キャリアを含むことを特徴とする、液体の注入用組成物であって、前記活性成分が、約20〜2,000mgの量で存在する、組成物。


【公表番号】特表2009−519318(P2009−519318A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545146(P2008−545146)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/IB2006/004291
【国際公開番号】WO2008/020269
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(508177220)スプラテック ファーマ インク (2)
【Fターム(参考)】