説明

アジュバントを含むスプリットインフルエンザワクチンにおけるTH1/TH2バランスの変化

本発明は、過剰なTh2応答を引き起こし得るスプリットワクチン中の成分を回避することを模索する。したがって、本発明は、スプリットインフルエンザウイルス抗原とTh1アジュバントとを含む免疫原性組成物を提供し、その抗原は、好ましくは、細胞培養物において増殖されたウイルスから調製される(例えば、卵タンパク質を含まない)。本発明はまた、(i)細胞培養物において増殖されたウイルスから調製されたスプリットインフルエンザウイルス抗原;と(ii)完全にアルミニウム塩から構成されないアジュバント;とを合わせる工程を包含する、免疫原性組成物を調製するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に引用される全ての文書は、その全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、インフルエンザウイルス感染を防御するためのワクチン、そして特に、スプリットワクチン(split vaccine)の分野にある。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
インフルエンザワクチンは、参考文献1の第17章および第18章において記載される。それらのワクチンは、生ウイルス(live virus)または不活化ウイルスに基づき、そして不活化ワクチンは、全ウイルス(whole virus)、「スプリット」ウイルス(「split」virus)または精製された表面抗原(赤血球凝集素およびノイラミニダーゼを含む)に基づき得る。赤血球凝集素(HA)は、不活化インフルエンザワクチンにおける主要な免疫原であり、そしてワクチン用量は、HAレベルへの参照によって標準化され、そのワクチンは、代表的に、1株あたり約15μgのHAを含む。
【0004】
「スプリット」ワクチンは、「Tween−エーテル」分解(splitting)プロセスなどの方法を使用し、ビリオンを洗浄剤により処理して、サブビリオン調製物を産生することによって得られる。スプリットワクチンは、一般に、インフルエンザビリオン由来の複数の抗原を含む。BEGRIVACTM製品、FLUARIXTM製品、FLUZONETM製品およびFLUSHIELDTM製品は、スプリットワクチンである。
【0005】
カナダにおいて2000年〜2001年の時期の間に、新たに同定された眼呼吸器症候群(oculorespiratory syndrome)(ORS)が、スプリットワクチンを受容した患者において観察された。上記ORSは、高い割合の分解されていない(unsplit)ビリオンの微小凝集体を有する組成物を与える、製造の間のビリオンの不完全な分解に関連している[非特許文献1]。
【非特許文献1】Scheifeleら、Clin Infect Dis、2003年、第36巻、p.850〜857
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スプリットインフルエンザがORSを誘発し得る危険性を最小化することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の開示)
スプリットワクチンとORSとの間の関連の原因説明は存在しないが、ORSの臨床的特徴および疫学的特徴は、過敏症を示すので、そのワクチンは自然なTh1/Th2バランスを撹乱し得、分解されていない微粒子のビリオンはTh2表現型への偏りをもたらすことが、提唱されている。参考文献3において、例えば、スプリットインフルエンザワクチンにおける凝集体の存在は、免疫応答をより大きいTh2サイトカインパターンへと逸脱させることが見出された。しかし、参考文献4において、ORSとTh1/Th2バランスとの間の関連は、確認できなかった。
【0008】
ORSおよびTh2の偏りに関連する任意の正しい証拠がないことにかかわらず、本発明は、スプリットワクチンが過剰なTh2応答を引き起こし得る可能性を最小化することを模索する。インフルエンザワクチンが早急に生産されなければならない状況(例えば、流行の発生後)において、製造業者に対する圧力は、うかつにも、2000年〜2001年の部分的に分解していない凝集したCanadianバッチと同じ懸案事項にみまわれるワクチンの放出をもたらし得る。実際に、非特許文献2は、「分解していないビリオンおよび凝集体を必ずしも排除することができない可能性がある」こと、および「眼および呼吸器の症状を誘発するいくつかの低いレベルの危険性を、避けられない可能性がある」ことを報告する。
【0009】
したがって、本発明は、過剰なTh2応答を引き起こし得るスプリットワクチン中の成分を回避することを模索する。Th2応答は、必ずしも完全に回避されない。なぜならば、それらは、防御に重要であり得るが、強力なTh2偏向に重要ではない可能性があるからである。不完全な分解が製造の間にうかつにも生じる場合、またはスプリットワクチンが保存の間に凝集を受ける場合、Th2偏向に関連する任意の有害効果(例えば、ORS)が、回避され得る。
【0010】
Th2偏向を回避するために、2つのアプローチが、好ましくは組み合わせて行われる。最初に、スプリットワクチンがアジュバントを含む場合、そのアジュバントは、少なくとも部分的なTh1型応答を刺激するために選択される(例えば、スプリットインフルエンザワクチンへの専らアルミニウム塩を用いたアジュバント添加(adjuvanting)を回避することが、好ましい)。第2に、アレルゲンの存在が、スプリットワクチンにおいて回避される。インフルエンザワクチンは時期毎の投与において特有であるので、複数回用量を受容する患者は、存在する任意の不純物に対して感作され、そしてアレルゲンは、感作された患者においてTh2応答を引き起こすことが報告されている[5]。アレルゲンを回避するために、インフルエンザウイルスを増殖させるための現在の卵ベースの方法は、細胞培養物を使用する方法に置換され、それによって混入する卵アレルゲン(例えば、オボアルブミンおよびオボムコイド)の存在を回避する。
【0011】
したがって、本発明は、スプリットインフルエンザウイルス抗原とアジュバントとを含む免疫原性組成物を提供し、(a)その抗原は、細胞培養物において増殖されたウイルスから調製され、そして(b)そのアジュバントは、完全にアルミニウム塩から構成されない。
【0012】
本発明はまた、(i)細胞培養物において増殖されたウイルスから調製されたスプリットインフルエンザウイルス抗原;と(ii)完全にアルミニウム塩から構成されないアジュバント;とを合わせる工程を包含する、免疫原性組成物を調製するための方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、(i)細胞培養物において増殖されたウイルスから調製されたスプリットインフルエンザウイルス抗原を含む第1のキット成分;と(ii)完全にアルミニウム塩から構成されないアジュバントを含む第2のキット成分とを備えるキットを提供する。
【0014】
さらに、本発明は、スプリットインフルエンザウイルス抗原とアジュバントとを含む免疫原性組成物を提供し、(a)その組成物は、卵タンパク質を全く含まず、そして(b)そのアジュバントは、完全にアルミニウム塩から構成されない。
【0015】
本発明はまた、(i)卵タンパク質を全く含まない組成物;と(ii)完全にアルミニウム塩から構成されないアジュバント;とを合わせる工程を包含する、免疫原性組成物を調製するための方法を提供する。
【0016】
本発明はまた、(i)スプリットインフルエンザウイルス抗原を含むが、卵タンパク質を全く含まない第1のキット成分;と(ii)完全にアルミニウム塩から構成されないアジュバントを含む第2のキット成分;とを備えるキットを提供する。
【0017】
さらに、本発明は、スプリットインフルエンザウイルス抗原とTh1アジュバントとを含む免疫原性組成物を提供し、その抗原は、細胞培養物において増殖されたウイルスから調製される。
【0018】
本発明はまた、(i)細胞培養物において増殖されたウイルスから調製されたスプリットインフルエンザウイルス抗原;と(ii)Th1アジュバント;とを合わせる工程を包含する、免疫原性組成物を調製するための方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、(i)細胞培養物において増殖されたウイルスから調製されたスプリットインフルエンザウイルス抗原を含む第1のキット成分;と(ii)Th1アジュバントを含む第2のキット成分;とを備えるキットを提供する。
【0020】
さらに、本発明は、スプリットインフルエンザウイルス抗原とTh1アジュバントとを含む免疫原性組成物を提供し、その組成物は、卵タンパク質を全く含まない。
【0021】
本発明はまた、(i)卵タンパク質を全く含まないスプリットインフルエンザ抗原;と(ii)Th1アジュバント;とを合わせる工程を包含する、免疫原性組成物を調製するための方法を提供する。
【0022】
本発明はまた、(i)スプリットインフルエンザウイルス抗原を含むが、卵タンパク質を全く含まない第1のキット成分;と(ii)Th1アジュバントを含む第2のキット成分;とを備えるキットを提供する。
【0023】
(スプリットインフルエンザウイルス抗原)
本発明の組成物は、細胞培養物におけるウイルス増殖によって得られるインフルエンザビリオンを分解することによって得られる抗原を含む。上記スプリットビリオン(split virion)は、代表的に、上記インフルエンザビリオン由来の複数の抗原を含み、それらとしては、赤血球凝集素、ノイラミニダーゼ、マトリックスおよび核タンパク質が挙げられる。本発明は、生ウイルスワクチン(例えば、FLUMISTTM製品)、全ビリオン不活化ワクチン(例えば、INFLEXALTM製品)、精製された表面抗原ワクチン(それは、精製された赤血球凝集素表面糖タンパク質およびノイラミニダーゼ表面糖タンパク質に基づく(例えば、FLUVIRINTM製品、AGRIPPALTM製品およびINFLUVACTM製品))またはビロソームワクチン(virosomal vaccine)(それは、INFLEXAL VTM製品およびINVAVACTM製品のような、核酸を含まないウイルス様リポソーム粒子の形態をとる[6])を包含しない。
【0024】
ビリオンは、種々の方法によってウイルス含有流体から回収され得る。例えば、精製プロセスは、ビリオンを破壊するための洗浄剤を含む直線ショ糖勾配溶液を使用したゾーン遠心分離を含み得る。
【0025】
スプリットビリオンは、ビリオンを洗浄剤(例えば、エチルエーテル、ポリソルベート80、デオキシコール酸塩、トリ−N−ブチルホスフェート、Triton X−100、Triton N101、臭化セチルトリメチルアンモニウム、Tergitol NP9など)により処理(「Tween−エーテル」分解プロセスを含む)してサブビリオン調製物を産生することによって得られる。インフルエンザウイルスを分解する方法は、当該分野において周知である(例えば、参考文献7〜12などを参照のこと)。ウイルスの分解は、代表的に、破壊する濃度の分解剤(splitting agent)によって全ウイルスを破壊または断片化する(感染性であっても非感染性であってもよい)ことによって行われる。上記破壊は、ウイルスタンパク質の完全または部分的な可溶化をもたらし、ウイルスの完全性を変化させる。好ましい分解剤は、非イオン性界面活性剤およびイオン性(例えば、カチオン性)界面活性剤(例えば、アルキルグリコシド、アルキルチオグリコシド、アシル糖(acyl sugar)、スルホベタイン、ベタイン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、N,N−ジアルキル−グルカミド(Glucamide)、Hecameg、アルキルフェノキシ−ポリエトキシエタノール、第四級アンモニウム化合物、サルコシル、CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)、トリ−N−ブチルホスフェート、Cetavlon、ミリスチルトリメチルアンモニウム塩、リポフェクチン(lipofectin)、リポフェクタミン(lipofectamine)、およびDOT−MA、オクチル−またはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えば、Triton X−100またはTriton N101などのTriton界面活性剤)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(Tween界面活性剤)、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンエステルなどである。1つの有用な分解手順は、デオキシコール酸ナトリウムおよびホルムアルデヒドの継続的な効果を使用し、そして分解は、(例えば、ショ糖密度勾配溶液における)最初のビリオン精製の間に行われ得る。スプリットビリオンは、通常、リン酸ナトリウムによって緩衝化された等張塩化ナトリウム溶液に再懸濁され得る。
【0026】
上記インフルエンザウイルスは、弱毒化され得る。上記インフルエンザウイルスは、温度感受性であり得る。上記インフルエンザウイルスは、低温適応性であり得る。
【0027】
ワクチンに使用するためのインフルエンザウイルス株は、季節により変化する。最近の大流行間期において、2種のインフルエンザA型株(H1N1およびH3N2)および1種のインフルエンザB型株を含む三価ワクチンが、代表的である。本発明は、この型の大流行間期株(inter−pandemic strain)と一緒に使用され得るが、本発明はまた、(特に、インフルエンザA型ウイルスの)H2サブタイプ株、H5サブタイプ株、H7サブタイプ株またはH9サブタイプ株などの流行株(すなわちワクチンのレシピエントおよび一般的なヒト集団が免疫学的にナイーブである株)由来のウイルスと一緒に使用され得、そして流行株に対するインフルエンザワクチンは、一価であっても、例えば、流行株によって補充された通常の三価ワクチンに基づいてもよい。しかし、季節および上記ワクチンに含まれる抗原の性質に依存して、本発明は、インフルエンザA型ウイルスのHAサブタイプであるH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15またはH16の1種以上を防御し得る。本発明は、インフルエンザA型ウイルスのNAサブタイプであるN1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8またはN9の1種以上を防御し得る。
【0028】
大流行間期の株に対して免疫感作するために適切であることと同様に、本発明の組成物は、流行株に対して免疫感作するために特に有用である。流行の発生を引き起こす可能性をインフルエンザ株に与えるインフルエンザ株の特性は、以下である:(a)そのインフルエンザ株が、最近広まっているヒト株におけるHAと比較して新規のHA(すなわち、10年以上にわたってヒト集団において顕性でないHA(例えばH2))を含むか、またはヒト集団において先に全く見出されていない(例えば、一般には鳥類集団においてのみ見出されているH5、H6またはH9)ことにより、ヒト集団がその株のHAに対して免疫学的にナイーブであること;(b)そのインフルエンザ株が、ヒト集団において水平伝播し得ること;および(c)そのインフルエンザ株が、ヒトに対して病原性であること。H5型赤血球凝集素を有するウイルスは、流行性インフルエンザ(例えば、H5N1株)に対する免疫感作のために好ましい。他の可能性のある株としては、H5N3、H9N2、H2N2、H7N1およびH7N7、および任意の他の顕在する潜在的な流行株が挙げられる。H5サブタイプにおいて、ウイルスは、HAクレード1、HAクレード1’、HAクレード2またはHAクレード3に分類され得[13]、クレード1およびクレード3は、特に、関連性がある。
【0029】
本発明によって使用されるインフルエンザウイルス株は、抗ウイルス療法に対して抵抗性(例えば、オセルタミビル[14]および/またはザナミビルに対して抵抗性)であり得、その株は、抵抗性の流行株を含む[15]。
【0030】
本発明の組成物は、インフルエンザA型ウイルスおよび/またはインフルエンザB型ウイルスを含む1種以上(例えば1種、2種、3種、4種またはそれ以上)のインフルエンザウイルス株由来の抗原を含み得る。ワクチンが、1種より多い株のインフルエンザを含む場合、それらの異なる株は、代表的に、別個に増殖され、かつそれらのウイルスが回収および分解された後に混合される。したがって、本発明の方法は、1種より多いインフルエンザ株由来の抗原を混合する工程を含み得る。2種のインフルエンザA型ウイルス株および1種のインフルエンザB型ウイルス株由来の抗原を含む三価ワクチンが、好ましい。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態において、上記組成物は、単一のインフルエンザA型株由来の抗原を含み得る。いくつかの実施形態において、上記組成物は、2種のインフルエンザA型株由来の抗原を含み得るが、但し、これらの2種の株は、H1N1およびH3N2ではない。いくつかの実施形態において、上記組成物は、2種より多いインフルエンザA型株由来の抗原を含み得る。
【0032】
上記インフルエンザウイルスは、リアソータント(reassortant)株であり得、そして逆方向遺伝学技術によって得ることができた。逆方向遺伝学技術[例えば、16〜20]は、プラスミドを使用してインビトロで調製される所望のゲノムセグメントを有するインフルエンザウイルスを可能にする。代表的に、それは、(a)例えば、polIプロモーターにより、所望のウイルスRNA分子をコードするDNA分子を発現すること、および(b)例えば、polIIプロモーターにより、ウイルスタンパク質をコードするDNA分子を発現することを含むことで、細胞における両方の型のDNAの発現が、完全なインタクト感染性ビリオンの構築を生じる。上記DNAは、好ましくは、全ての上記ウイルスRNAおよびウイルスタンパク質の全てを提供するが、そのRNAおよびタンパク質のいくつかを提供するためにヘルパーウイルスを使用することもまた、可能である。各ウイルスRNAを産生するために別個のプラスミドを使用するプラスミドベースの方法が、好ましく[21〜23]、そしてこれらの方法はまた、上記ウイルスタンパク質の全てまたはいくつか(例えば、PB1タンパク質、PB2タンパク質、PAタンパク質およびNPタンパク質だけ)を発現するためのプラスミドの使用を包含し、12種のプラスミドが、いくつかの方法において使用される。
【0033】
必要とされるプラスミドの数を減少させるために、最近のアプローチ[24]は、(ウイルスRNA合成のための)同じプラスミド上の複数のRNAポリメラーゼI転写カセット(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種または8種全てのインフルエンザA型vRNAセグメントをコードする配列)と、別のプラスミド上のRNAポリメラーゼIIプロモーターを有する複数のタンパク質コード領域(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種または8種全てのインフルエンザA型mRNA転写物をコードする配列)を合わせる。参考文献24の方法の好ましい局面は、以下を含む:(a)単一プラスミド上のPB1 mRNAコード領域、PB2 mRNAコード領域およびPA mRNAコード領域;および(b)単一プラスミド上の全8種のvRNAコードセグメント。1つのプラスミド上にNAセグメントおよびHAセグメントを含み、そして別のプラスミド上に6種の他のセグメントを含むこともまた、問題を容易にし得る。
【0034】
上記ウイルスRNAセグメントをコードするためにpolIプロモーターを使用する代わりに、バクテリオファージポリメラーゼプロモーターを使用することが、可能である[25]。例えば、SP6ポリメラーゼ、T3ポリメラーゼまたはT7ポリメラーゼのためのプロモーターが、慣用的に使用され得る。polIプロモーターの種特異性に起因して、バクテリオファージポリメラーゼプロモーターは、多くの細胞型(例えばMDCK)に関してより慣用的であり得るが、細胞はまた、外因性ポリメラーゼ酵素をコードするプラスミドによってトランスフェクトされる必要がある。
【0035】
他の技術において、単一の鋳型に由来して上記ウイルスRNAおよび発現可能なmRNAを同時にコードするために二重のpolIプロモーターおよびpolIIプロモーターを使用することが、可能である[26、27]。
【0036】
したがって、インフルエンザA型ウイルスは、特に、ウイルスが卵において増殖される場合、A/PR/8/34ウイルス由来の1種以上のRNAセグメント(代表的に、6セグメントは、A/PR/8/34に由来し、上記HAセグメントおよびNセグメントは、ワクチン株に由来する、すなわち、6:2リアソータント)を含み得る。それはまた、ワクチン調製物のためのリアソータントウイルスを産生するために、A/WSN/33ウイルス由来の1種以上のRNAセグメント、または有用な任意の他のウイルス株の1種以上のRNAセグメントを含み得る。代表的に、上記株のゲノムは、通常、哺乳動物(例えば、ヒト)インフルエンザウイルスに由来する少なくとも1種のRNAセグメントを含むので、本発明は、ヒト同士の伝染が可能である株から防御する。それは、鳥インフルエンザウイルスに由来するNSセグメントを含み得る。
【0037】
上記抗原の供給源として使用されるウイルスは、細胞培養物において増殖される。ウイルス増殖培養基は、代表的に、哺乳動物起源の細胞株である。適切な哺乳動物細胞の起源としては、ハムスター細胞、ウシ細胞、霊長類細胞(ヒト細胞およびサル細胞を含む)およびイヌ細胞が挙げられるが、これらに限定されない。腎細胞、線維芽細胞、網膜細胞、肺細胞などのような種々の細胞型が、使用され得る。適切なハムスター細胞の例は、BHK21またはHKCCの名前を有する細胞株である。適切なサル細胞は、例えば、アフリカミドリザル細胞(例えば、Vero細胞株のような腎細胞)である。適切なイヌ細胞は、例えば、MDCK細胞株のような腎細胞株である。したがって、適切な細胞株としては、MDCK;CHO;293T;BHK;Vero;MRC−5;PER.C6;WI−38;などが挙げられるが、これらに限定されない。インフルエンザウイルスを増殖させるために好ましい哺乳動物細胞株としては、以下が挙げられる:Madin Darbyイヌ腎臓に由来するMDCK細胞[28〜31];アフリカミドリザル(Cercopithecus aethiops)腎臓に由来するVero細胞[32〜34];またはヒト胚性網膜芽細胞に由来するPER.C6細胞[35]。これらの細胞株は、例えば、American Type Cell Culture(ATCC)コレクション[36]、Coriell Cell Repositories[37]、またはEuropean Collection of Cell Cultures(ECACC)から広範に入手可能である。例えば、ATCCは、カタログ番号CCL−81、CCL−81.2、CRL−1586およびCRL−1587の種々の異なるVero細胞を提供し、そしてATCCは、カタログ番号CCL−34のMDCK細胞を提供する。PER.C6は、寄託番号96022940においてECACCから入手可能である。あまり好ましくない哺乳動物細胞株の代替物として、ウイルスは、アヒル(例えば、アヒル網膜)または雌鶏(例えば、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF))などに由来する細胞株を含む鳥類細胞株[例えば、参考文献38〜40]において増殖され得る。例としては、ニワトリ胚性幹細胞、EB45、EB14、およびEB14−074に由来するEBx細胞株[42]を含む鳥類胚性幹細胞[38、41]が挙げられる。
【0038】
インフルエンザウイルスを増殖させるために最も好ましい細胞株は、MDCK細胞株である。元のMDCK細胞株は、CCL−34としてATCCから入手可能であるが、この細胞株の派生物もまた、使用され得る。例えば、参考文献28は、懸濁培養物における増殖に適合したMDCK細胞株(DSM ACC 2219として寄託された「MDCK 33016」)を開示する。同様に、参考文献43は、無血清培養の懸濁物において増殖するMDCK由来細胞株(FERM BP−7449として寄託された「B−702」)を開示する。参考文献44は、非腫瘍形成性MDCK細胞(「MDCK−S」(ATCC PTA−6500)、「MDCK−SF101」(ATCC PTA−6501)、「MDCK−SF102」(ATCC PTA−6502)および「MDCK−SF103」(PTA−6503)を含む)を開示する。参考文献45は、感染に対して高い感受性を有するMDCK細胞株(「MDCK.5F1」細胞(ATCC CRL−12042)を含む)を開示する。任意のこれらのMDCK細胞株が、使用され得る。
【0039】
ウイルスは、懸濁物における細胞[28、46、47]または付着培養(adherent culture)中の細胞において増殖され得る。懸濁培養のための1つの適切なMDCK細胞株は、MDCK 33016(DSM ACC 2219として寄託された)である。
【0040】
インフルエンザウイルス複製を補助する細胞株は、好ましくは、無血清培地および/またはタンパク質を含まない培地において増殖される。培地は、ヒト起源または動物起源の血清に由来する添加物が存在しない本発明の文脈において、無血清培地と称される。タンパク質を含まないことは、上記細胞の増殖がタンパク質、成長因子、他のタンパク質添加物および非血清タンパク質を排除して生じる培養を意味すると理解されるが、ウイルス増殖に必要であり得るトリプシンまたは他のプロテアーゼなどのタンパク質を必要に応じて含み得る。そのような培養物において増殖する細胞は、細胞自体のタンパク質をもちろん含む。
【0041】
増殖に使用される細胞培養物、およびまた、培養を開始するために使用されるウイルス接種物は、好ましくは、単純ヘルペスウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス3型、SARSコロナウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、レオウイルス、ポリオーマウイルス、ビルナウイルス、サーコウイルス、および/またはパルボウイルスを含まない[48](すなわち、それらの培養物および接種物は、これらのウイルスについて試験され、そしてこれらのウイルスによる汚染についてネガティブな結果を得る)。単純ヘルペスウイルスが無いことは、特に好ましい。
【0042】
インフルエンザウイルス複製を補助する細胞株は、好ましくは、ウイルス複製の間に、37℃未満(例えば、30〜36℃)にて、増殖のために培養される[49]。
【0043】
本発明のワクチンは、好ましくは、1用量あたり10ng未満(好ましくは、1ng未満、およびより好ましくは、100pg未満)の残留宿主細胞DNAを含むが、微量の宿主細胞DNAが、存在し得る。一般に、上記宿主細胞DNA(それは、本発明の組成物から取り除くことが望ましい)は、100bpよりも長いDNAである。
【0044】
残留宿主細胞DNAの測定は、現在、生物製剤についての慣用的な管理要件(regulatory requirement)であり、そして当業者の通常の能力の範囲内である。DNAを測定するために使用されるアッセイは、代表的に、確認されたアッセイである[50、51]。確認されたアッセイの性能の特徴は、数学的項目および定量可能な項目において記載され得、そしてその考えられる誤差の供給源は、同定されている。上記アッセイは、一般に、正確度、精度、特異性などの特徴について試験された。一旦アッセイが、(例えば、宿主細胞DNAの既知の標準量に対して)較正され、そして試験された場合、定量的DNA測定は、慣用的に行われ得る。DNA定量についての以下の3つの主要な技術が、使用され得る:サザンブロットまたはスロットブロットなどのハイブリダイゼーション法[52];ThresholdTM Systemなどのイムノアッセイ法[53];および定量的PCR[54]。これらの方法は全て、当業者によく知られているが、各方法の正確な特徴は、目的とする宿主細胞に依存し得る(例えば、ハイブリダイゼーションのためのプローブの選択、増幅のためのプライマーおよび/またはプローブの選択など)。Molecular Devices製のThresholdTMシステムは、ピコグラムレベルの全DNAについての定量的アッセイであり、そして生物製剤中の混入したDNAのレベルをモニタリングするために使用されている[53]。代表的なアッセイは、ビオチン化ssDNA結合タンパク質と、ウレアーゼ結合体化抗ssDNA抗体と、DNAとの間における反応複合体の配列非特異的形成を包含する。全てのアッセイ成分は、上記製造業者から入手可能である完全なTotal DNA Assay Kitに含まれる。種々の商業的な製造業者は、残留宿主細胞DNAを検出するための定量的PCRアッセイを提供する(例えば、AppTecTM Laboratory Services、BioRelianceTM、Althea Technologiesなど)。ヒトウイルスワクチンの宿主細胞DNAの混入を測定することについての化学発光ハイブリダイゼーションアッセイと全DNA ThresholdTMシステムとの比較は、参考文献55に見出され得る。
【0045】
混入したDNAは、標準的な精製手順(例えば、クロマトグラフィーなど)を使用して、ワクチン調製の間に除去され得る。残留宿主細胞DNAの除去は、例えば、DNaseを使用することによるヌクレアーゼ処理によって増強され得る。宿主細胞DNAの混入を減少させるために好都合な方法は、参考文献56および57に開示され、その方法は、最初に、ウイルス増殖の間に使用され得るDNase(例えば、ベンゾナーゼ(Benzonase))を使用し、次いで、ビリオンの破壊の間に使用され得るカチオン性洗浄剤(例えばCTAB)を使用する、2工程の処理を含む。アルキル化剤(例えば、β−プロピオラクトン)による処理がまた、宿主細胞DNAを除去するために使用され得、そしてまた、有益に、ビリオンを不活化するために使用され得る[58]。
【0046】
0.25ml容量あたり<10ng(例えば<1ng、<100pg)の宿主細胞DNAを含むワクチンであるような、15μgの赤血球凝集素あたり<10ng(例えば、<1ng、<100pg)の宿主細胞DNAを含むワクチンが、好ましい。0.5ml容量あたり<10ng(例えば、<1ng、<100pg)の宿主細胞DNAを含むワクチンであるような、50μgの赤血球凝集素あたり<10ng(例えば、<1ng、<100pg)の宿主細胞DNAを含むワクチンが、より好ましい。
【0047】
培養された細胞においてウイルスを増殖させるための方法は、一般に、その培養された細胞に培養されるべき株を接種する工程、ウイルス増殖(例えば、ウイルス力価または抗原発現によって決定される)のために所望の期間(例えば、接種の24時間後と168時間後との間)にわたって、感染された細胞を培養する工程、および増殖されたウイルスを回収する工程を包含する。上記培養された細胞は、1:500〜1:1、好ましくは、1:100〜1:5、より好ましくは、1:50〜1:10の細胞比まで、ウイルス(PFUまたはTCID50によって測定される)を接種される。上記ウイルスは、上記細胞の懸濁物に添加されるか、または上記細胞の単一層に適用され、そしてそのウイルスは、25℃〜40℃(好ましくは、28℃〜37℃)にて、少なくとも60分間(しかし通常は、300分未満(好ましくは、90分間と240分間との間))にわたってその細胞上に吸着される。上記感染された細胞の培養物(例えば、単一層)は、回収される培養上清のウイルス含量を増大させるために、凍結解凍または酵素作用のいずれかによって除去され得る。次いで、上記回収された流体は、凍結されて不活化または保存のいずれかが行われる。培養された細胞は、約0.0001〜10、好ましくは、0.002〜5、より好ましくは、0.001〜2の感染多重度(「m.o.i.」)にて感染され得る。よりさらに好ましくは、上記細胞は、約0.01のm.o.iにて感染される。感染された細胞は、感染後30時間〜60時間で回収され得る。好ましくは、上記細胞は、感染後34時間〜48時間で回収される。よりさらに好ましくは、上記細胞は、感染後38時間〜40時間で回収される。プロテアーゼ(代表的に、トリプシン)は、一般に、ウイルスの放出を可能にするために細胞培養の間に添加され、そしてそのプロテアーゼは、その培養の間の任意の適切な段階において添加され得る。
【0048】
赤血球凝集素(HA)は、不活化インフルエンザワクチン(スプリットワクチンを含む)中の主要な免疫原であり、そしてワクチン用量は、代表的に、一次元放射状免疫拡散(SRID)アッセイによって測定されるようなHAレベルを参照することによって標準化される。ワクチンは、代表的に、1株あたり約15μgのHAを含むが、より低い用量がまた、例えば、小児のためかまたは流行性の状況において使用される。1/2(すなわち、1株あたり7.5μgのHA)、1/4および1/8のような分割量が、より高い用量(例えば、3×用量または9×用量[59、60])を有する場合に使用されている[63、64]。したがって、ワクチンは、1つのインフルエンザ株あたり0.1μgと150μgとの間のHA、好ましくは、0.1μgと50μgとの間(例えば、0.1μg〜20μg、0.1μg〜15μg、0.1μg〜10μg、0.1μg〜7.5μg、0.5μg〜5μgなど)のHAを含み得る。特定の用量は、例えば、1株あたり約45、約30、約15、約10、約7.5、約5、約3.8、約1.9、約1.5などを含む。上記ワクチン中にアジュバントを含むことは、これらのより低い用量におけるより低い固有の免疫原性を補い得る。
【0049】
本発明で使用されるHAは、ウイルスにおいて見出されるような天然のHAであっても、改変されていてもよい。例えば、ウイルスを鳥類種において非常に病原性にする決定因子(例えば、HA1とHA2との切断部位周辺の超塩基性領域(hyper−basic region))を除去するためにHAを改変することが、公知である。
【0050】
本発明の組成物は、特に、スプリットワクチンまたは表面抗原ワクチンのために、洗浄剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(「Tweens」として公知である)、オクトキシノール(例えば、オクトキシノール−9(Triton X−100)またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(「CTAB」)、またはデオキシコール酸ナトリウム)を含み得る。上記洗浄剤は、微量でのみ存在し得る。したがって、上記ワクチンは、各々1mg/ml未満のオクトキシノール−10、およびポリソルベート80を含み得る。残りの他の微量成分は、抗生物質(例えば、ネオマイシン、カナマイシン、ポリミキシンB)であり得る。
【0051】
(アジュバント)
アジュバントとインフルエンザワクチンとの使用は、公知である。例えば、精製された表面抗原に基づくFLUADTM製品は、MF59エマルションアジュバントを含む。さらに、参考文献61〜64は、単一のインフルエンザワクチン用量に必要とされる抗原の量を減少させる(したがって、増加した量の用量が固定された量の抗原から産生されることを可能にする)ため、全ビリオン(whole virion)インフルエンザワクチンにアジュバント添加するためのアルミニウム塩の使用を開示する。現在、アジュバント添加(adjuvanted)したスプリットインフルエンザワクチンは、市販されていない。
【0052】
アルミニウム塩(参考文献61〜64において使用されるような)が、単独で使用されるときにTh2型免疫応答を促すので、本発明は、この手段でスプリットインフルエンザウイルスにアジュバント添加しない。代わりに、代替的なアジュバントが、使用される(例えば、Th1アジュバント)。
【0053】
Th1 Tヘルパー細胞とTh2 Tヘルパー細胞との間の区別は、周知である。Th1アジュバントおよびTh2アジュバントは、同時投与された抗原に対する免疫応答を、それぞれ、Th1型応答またはTh2型応答に偏らせる。したがって、Th1アジュバントが、IL−2およびインターフェロン−γ(IgG2a抗体を引き出す)などのサイトカインならびにTNF−αを放出する抗原特異的T細胞の産生をもたらすのに対して、Th2アジュバントは、IL−4(IgG1を引き出す)およびIL−5などのサイトカインを放出する抗原特異的T細胞の産生をもたらす。特定のアジュバントのTh1/Th2バランスは、公知のアッセイ(以下参照)によって評価され得るが、送達経路または同時投与された物質の存在などの因子に依存して変動し得る。本発明によって使用されるアジュバントは、患者に送達される場合に、インフルエンザ抗原に対して専らTh1型応答を誘発し得るが、好ましくは、混合型のTh1/Th2型応答を誘発する。Th0細胞もまた、誘発され得るが、偏向したTh2応答は、回避される。
【0054】
専らアルミニウム塩を使用した先行技術と比較して、本発明に使用するのに適した代替的なアジュバントは、アルミニウム塩を完全に回避し得るか、またはそれは、アルミニウム塩と、全体的なアジュバント効果をTh1型応答に移行させる第2のアジュバント成分との混合物に基づき得る。例えば、IL−12[65]または免疫刺激性オリゴヌクレオチド[66]とアルミニウム塩との同時投与は、免疫応答をTh1へと再度指向させ得る。
【0055】
Th1型応答は、当然に、細菌感染に関連し、それ故、本発明に使用されるアジュバントは、一般に、細菌物質を模倣する物質を含む。Th1アジュバントは、Toll様レセプター(TLR)のモジュレーターおよび/またはアゴニストであり得る。例えば、それらは、ヒトTLR1タンパク質、ヒトTLR2タンパク質、ヒトTLR3タンパク質、ヒトTLR4タンパク質、ヒトTLR7タンパク質、ヒトTLR8タンパク質、および/またはヒトTLR9タンパク質のうちの1つ以上のアゴニストであり得る。好ましい薬剤は、TLR7のアゴニスト(例えば、イミダゾキノリン)および/またはTLR9のアゴニスト(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)である。これらの薬剤は、先天免疫経路を活性化するために有用である。
【0056】
完全にアルミニウム塩から構成されない特定の「Th1アジュバント」としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
−免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えば、CpGモチーフ(リン酸結合によってグアノシンに結合された非メチル化シトシンを含むジヌクレオチド配列)または二本鎖RNAを含むもの、あるいはパリンドローム配列を含むオリゴヌクレオチド、あるいはポリ(dG)配列を含むオリゴヌクレオチド)。これらのオリゴヌクレオチドアジュバントは、Th1型応答を誘発するために非常に有用である[67]。
−3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドA(「MPLTM」としても公知である「3dMPL」)[68〜71]。3dMPLは、Th1型応答を促す[72]。
−広範な植物種の樹皮、葉、茎、根および花においてさえも見出されるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種群であるサポニン[参考文献108の第22章]。Quillaia saponaria Molina treeの樹皮由来のサポニンは、アジュバントとして広範に研究されている。サポニンはまた、Smilax ornata(サルサパリラ)、Gypsophilla paniculata(ブライダルベール)、およびSaponaria officianalis(サボンソウ根(soap root))から商業的に得られ得る。サポニンアジュバント処方物としては、精製された処方物(例えば、QS21)、および脂質処方物(例えば、ISCOM)が挙げられる。QS21は、StimulonTMとして市販されている。サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを使用して精製されている。これらの技術を使用した特定の精製された分画が、同定されており、それとしては、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cが挙げられる。好ましくは、上記サポニンは、QS21である。QS21の産生の方法は、参考文献73に開示される。サポニン処方物はまた、ステロール(例えば、コレステロール)を含み得る[74]。サポニンとコレステロールとの組み合わせは、免疫刺激性複合体(ISCOM)と称される固有の粒子を形成するために使用され得る[参考文献108の第23章]。ISCOMはまた、代表的に、リン脂質(例えば、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリン)を含む。任意の公知のサポニンは、ISCOMにおいて使用され得る。好ましくは、ISCOMは、QuilA、QHAおよびQHCのうちの1つ以上を含む。ISCOMは、参考文献74〜76にさらに記載される。必要に応じて、ISCOMSは、さらなる洗浄剤を欠き得る[77]。サポニンベースのアジュバントの開発の概説は、参考文献78および79において見出され得る。ISCOMおよび遊離QS21は両方とも、Th1応答をアップレギュレートすることが報告されている。
−細菌ADPリボシル化毒素(例えば、E.coli熱不安定性エンテロトキシン「LT」、コレラ毒素「CT」、または百日咳毒素「PT」)およびその無毒化された誘導体(例えば、LT−K63として公知である変異体毒素[80])。無毒化されたADPリボシル化毒素の粘膜アジュバントとしての使用は、参考文献81に記載され、そして非経口アジュバントとしての使用は、参考文献82に記載される。いくつかの変異体は、偏向したTh2型応答(例えば、参考文献83におけるLT−R72;しかし、参考文献84)を誘導することが報告されているが、その他の変異体は、混合型のTh1/Th2型応答(例えば、LT−K63)またはTh1型応答(例えば、LT−G192)を誘導することが報告されている。上記Th1/Th2バランスは、選択された経路によってスプリット抗原を用いて与えられる場合、任意の特定の変異体によって達成され、そしてスケジュールは、容易に評価され得る。
−生分解性かつ非毒性である材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど(ポリ(ラクチド−co−グリコシド)が好ましい))から形成された微粒子(すなわち、約100nm〜約150μmの直径(より好ましくは、約200nm〜約30μmの直径、または約500nm〜約10μmの直径)の粒子)(負に荷電した表面(例えば、SDSを用いる)または正に荷電した表面(例えば、カチオン性洗浄剤(例えば、CTAB)を用いる)を有するように必要に応じて処理される)。MF59と比較した場合、PLG微粒子中への抗原の封入は、Th1型応答を促進することが報告されている[85]。
−リポソーム(参考文献108の第13章および第14章)。リポソームは、強力なTh1応答を誘発し得る(特に、ミコバクテリア脂質を含むカチオン性リポソーム)[86]。
−カルシウム塩(例えば、リン酸カルシウム(例えば、参考文献87に開示される「CAP」粒子))。これらの塩への吸着が、好ましい。カルシウム塩は、Th1応答を提供することが報告されている[88]。
−式:
【0057】
【化1】

【0058】
を有するもの(Rは、水素、直鎖または分枝鎖であり、非置換または置換であり、飽和または不飽和である、アシル基、アルキル基(例えば、シクロアルキル基)、アルケニル基、アルキニル基およびアリール基、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または誘導体からなる群より選択される)などのポリヒドロキシル化ピロリジン化合物[89]。例としては、カスアリン(casuarine)、カスアリン−6−α−D−グルコピラノース、3−エピ−カスアリン、7−エピ−カスアリン、3,7−ジエピ−カスアリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は、Th1応答を増強する。
−γイヌリン[90]またはその誘導体(例えば、アルガムリン(algammulin))。これらのアジュバントは、Th1免疫応答およびTh2免疫応答の両方を促進し得る[91]。
−イミダゾキノリン化合物(例えば、イミキモッド(Imiquimod)(「R−837」)[92、93]、レシキモッド(Resiquimod)(「R−848」)[94]、およびそれらのアナログ;ならびにそれらの塩(例えば、塩酸塩)。免疫刺激性イミダゾキノリンについてのさらなる詳細は、参考文献95〜99に見出され得る。これらの化合物は、応答をTh1へと移行させる[97]。
−ロキソリビン(Loxoribine)(7−アリル−8−オキソグアノシン)[100]。
−アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体(例えば、RC−529[101、102])。これらの誘導体は、Th1応答を刺激する[103]。
−ビタミンE化合物。ビタミンEは、Th1/Th2バランスに関与する遺伝子の発現に対して顕著な影響を有し、そして免疫細胞のビタミンE刺激は、増大したIL−2産生(すなわち、Th1型応答)を直接的にもたらし得る[104]。獣医学的なウイルスワクチンにおけるアジュバントとしてのその使用は、例えば、ニワトリワクチンにおいて公知である[105]。
−特定の水中油型エマルション(以下参照)。
−TLR4アンタゴニストE5564[106、107]:
【0059】
【化2】

【0060】
などの、ホスフェート含有非環式骨格に結合された脂質を含む化合物。
【0061】
これらアジュバント活性物質および他のアジュバント活性物質は、参考文献108および109においてより詳細に考察される。
【0062】
組成物は、上記アジュバントの2種以上を含み得る。例えば、サポニンが、Th1型応答およびTh2型応答の両方を増強するのに対して、上記サポニンへの3dMPLの添加は、Th1応答の優勢な誘導を与えることが報告されている[110]。さらなる組合せは、以下で考察される。
【0063】
3つの好ましいアジュバントは、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、3dMPL、およびビタミンE化合物である。いくつかの水中油型エマルションもまた、好ましいアジュバントである。
【0064】
(免疫刺激性オリゴヌクレオチド)
免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド改変/アナログ(例えば、ホスホロチオエート改変)を含み得、そして二本鎖であっても(dsRNAを除いて)一本鎖であってもよい。参考文献111、112および113は、可能なアナログ置換(例えば、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンによるグアノシンの置換)を開示する。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献114〜119においてさらに考察される。上記CpG配列は、TLR9に関し得る(例えば、モチーフGTCGTTまたはTTCGTT)[120]。上記CpG配列は、Th1免疫応答の誘導について特異的であり得る(例えば、CpG−A ODN(オリゴデオキシヌクレオチド))か、またはその配列は、B細胞応答の誘導について、より特異的であり得る(例えば、CpG−B ODN)。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは、参考文献121〜123において考察される。好ましくは、上記CpGは、CpG−A ODNである。好ましくは、上記CpGオリゴヌクレオチドは、その5’末端がレセプター認識を達成可能であるように構築される。必要に応じて、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列は、「イムノマー(immunomer)」を形成するようにそれらの3’末端において結合され得る。例えば、参考文献120および参考文献124〜126を参照のこと。有用なCpGアジュバントは、ProMuneTM(Coley Pharmaceutical Group,Inc.)としても公知であるCpG7909である。
【0065】
CpG配列を使用する代わりか、またはそれに加えて、TpG配列が、使用され得る[127]。これらのオリゴヌクレオチドは、非メチル化CpGモチーフを含まない可能性がある。
【0066】
上記免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ピリミジンが豊富であり得る。例えば、その免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、1個より多くの連続したチミジンヌクレオチド(例えば、参考文献127に開示されるようなTTTT)を含み得るか、そして/または免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、>25%(例えば、>35%、>40%、>50%、>60%、>80%など)のチミジンを含むヌクレオチド組成を有し得る。例えば、その免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、1個より多くの連続したシトシンヌクレオチド(例えば、参考文献161に開示されるようなCCCC)を含み得るか、そして/またはその免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、>25%(例えば、>35%、>40%、>50%、>60%、>80%など)のシトシンを含むヌクレオチド組成を有し得る。これらのオリゴヌクレオチドは、非メチル化CpGモチーフを含まない可能性がある。
【0067】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、代表的に、少なくとも20個のヌクレオチドを含む。それらは、100個よりも少ないヌクレオチドを含み得る。
【0068】
リポソームと免疫刺激性オリゴヌクレオチドとの組合せが、特に、そのオリゴヌクレオチドがそのリポソーム内に封入される場合に使用され得る。この組合せは、強力なTh1免疫応答を誘導し得る[128]。
【0069】
(3dMPL)
3dMPL(また、3脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAまたは3−O−脱アシル−4’−モノホスホリルリピドAとしても公知である)は、モノホスホリルリピドA中の還元末端グルコサミンの3位が脱アシル化されるアジュバントである。3dMPLは、Salmonella minnesotaのヘプトース欠損(heptoseless)変異体から調製され、そして化学的にリピドAに類似しているが、酸に不安定なホスホリル基および塩基に不安定なアシル基を欠いている。それは、単球/マクロファージ系統の細胞を活性化し、そしてIL−1、IL−12、TNF−αおよびGM−CSFを含む数種のサイトカインの放出を刺激する(参考文献103も参照のこと)。3dMPLの調製は、最初に、参考文献129に記載された。
【0070】
3dMPLは、それらのアシル化によって変動する(例えば、異なる長さであり得る3、4、5または6のアシル鎖を有する)関連分子の混合物の形態をとり得る。2つのグルコサミン(2−デオキシ−2−アミノ−グルコースとしても公知の)単糖は、それらの2位の炭素(すなわち、2位および2’位)でN−アシル化され、そしてまた3’位でO−アシル化されている。炭素2に結合する基は、式−NH−CO−CH−CR1’を有する。炭素2’に結合する基は、式−NH−CO−CH−CR2’を有する。炭素3’に結合する基は、式−O−CO−CH−CR3’を有する。代表的な構造は以下:
【0071】
【化3】

【0072】
である。
【0073】
基R、RおよびRは、各々独立して−(CH−CHである。nの値は、好ましくは、8と16との間であり、より好ましくは、9と12との間であり、そして最も好ましくは、10である。
【0074】
基R1’、R2’およびR3’は、各々独立して、(a)−H;(b)−OH;または(c)−O−CO−R;であり得、ここでRは−Hまたは−(CH−CHのいずれかであり、ここでmの値は、好ましくは、8と16との間であり、そしてより好ましくは、10、12または14である。2位では、mは、好ましくは、14である。2’位では、mは、好ましくは、10である。3’位では、mは、好ましくは、12である。したがって、基R1’、R2’およびR3’は、好ましくは、ドデカン酸、テトラデカン酸またはヘキサデカン酸由来の−O−アシル基である。
【0075】
1’、R2’およびR3’のすべてが−Hである場合、上記3dMPLは3つのアシル鎖のみを有する(2位、2’位および3’位の各々に1つ)。R1’、R2’およびR3’のうち2つのみが−Hである場合、上記3dMPLは4つのアシル鎖を有し得る。R1’、R2’およびR3’のうち1つのみが−Hである場合、上記3dMPLは5つのアシル鎖を有し得る。R1’、R2’およびR3’のいずれもが−Hではない場合、上記3dMPLは、6つのアシル鎖を有し得る。本発明に従って用いられる3dMPLアジュバントは、3〜6つのアシル鎖を備えたこれらの形態の混合物であり得るが、この混合物中に6つのアシル鎖をもつ3dMPLを含むことが好ましく、そして特に6つのアシル鎖形態が総3dMPLの少なくとも10重量%、例えば、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上またはさらに多くを占めることが好ましい。6つのアシル鎖を備えた3dMPLは、最もアジュバント活性な形態であることが見出された。
【0076】
従って、本発明の組成物に含めるために3dMPLの最も好ましい形態は、図2のものである。
【0077】
3dMPLが混合物の形態で使用される場合、本発明の組成物中の3dMPLの量または濃度に関する言及は、混合物中の合わせた3dMPL種をいう。
【0078】
水性条件では、3dMPLは、異なるサイズを備えた(例えば、直径<150nmまたは>500nmを備えた)ミセル凝集体または粒子を形成し得る。これらのいずれか、または両方は、本発明とともに使用され得、そしてより良好な粒子が通常のアッセイによって選択され得る。より小さな粒子(例えば、3dMPLの透明な水性懸濁物を与えるに十分小さい)が、より優れた活性[130]に起因して、本発明に従う使用に好ましい。好ましい粒子は、220nmより小さいか、より好ましくは200nmより小さいか、150nmより小さいか、あるいは120nmより小さい平均直径を有し、100nmより小さい平均直径を有しさえし得る。しかしながら、大部分の場合において、この平均直径は、50nmより小さくはない。これらの粒子は、濾過滅菌に適するほどに十分小さい。粒子直径は、通常の動的光散乱法の技法によって評価され得、平均粒子直径が明らかとなる。粒子がxnmの直径を有するといわれる場合、一般的にはおおよそこの平均の粒子の分布が存在するが、粒子の数で少なくとも50%(例えば、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、またはそれより多く)がx±25%の範囲内の直径を有する。
【0079】
3dMPLは、有益に、水中油型エマルションと組み合わせて使用され得る。実質的に全ての3dMPLは、上記エマルションの水相に位置し得る。
【0080】
ワクチン中の3dMPLの代表的な量は、10〜100μg/用量(例えば、約25μgまたは約50μg)である。
【0081】
3dMPLは単独で使用され得るか、またはさらに1つ以上の化合物と組み合わせて使用され得る。例えば、QS21サポニン[131](水中油型エマルション[132]を含む)、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、QS21および免疫刺激性オリゴヌクレオチドの両方、リン酸アルミニウム[133]、水酸化アルミニウム[134]またはリン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの両方と組み合わせて3dMPLを使用することが公知である。
【0082】
(ビタミンE化合物)
参考文献135は、ビタミンE補充がTh1型応答を増強することを報告する。ビタミンE補充による体液性免疫および細胞性免疫の改良はまた、参考文献136において報告されるが、ワクチンアジュバントとしての投与は、ずっと大きい効果を有することが報告される。さらに、参考文献104は、ビタミンEがTh1/Th2バランスに関与する遺伝子の発現に対して顕著な影響を有することを報告する。例えば、免疫細胞のビタミンE刺激は、増大したIL−2産生(すなわち、Th1型応答)を直接的にもたらし得る。
【0083】
天然のビタミンEは、8種の異なる形態または異性体で存在する:4種のトコフェロールおよび4種のトコトリエノール。全ての異性体は、フリーラジカルを減少させる水素原子を与え得る水酸基と、生物学的な膜への貫入を可能にする疎水性側鎖とを有するクロマノール環を有する。トコフェロールおよびトコトリエノールの両方のα、β、γおよびδ形態(クロマノール環上のメチル基の数によって決定される)が、存在する。各形態は、単独で、身体における生物学的活性、効力の尺度または機能的用途を有する。
【0084】
本発明の組成物に含めるための好ましいビタミンE化合物は、トコフェロールであり、そして任意のα、β、γ、δ、εまたはζトコフェロールが、使用され得る。α−トコフェロールが、好ましい。有益なトコフェロールは、組成物(特に、エマルション)を安定化するために役立ち得る抗酸化剤特性を有する[137]。
【0085】
上記トコフェロールは、いくつかの形態をとり得る(例えば、異なる塩および/または異性体)。塩として、有機塩(例えば、コハク酸塩、酢酸塩、ニコチン酸塩など)が挙げられる。D−α−トコフェロールおよびDL−α−トコフェロールの両方が使用され得る。好ましいα−トコフェロールは、DL−α−トコフェロールであり、そしてこのトコフェロールの好ましい塩は、コハク酸塩である。有益に、コハク酸α−トコフェロールは、インフルエンザワクチンと適合性であること、および水銀化合物に代わるものとして有用な保存剤であることが公知である[11]。
【0086】
ビタミンE化合物は、通常、油であるので、それらは、従来、水中油型エマルション中の成分として含まれ得、それ故、エマルションは、インフルエンザワクチンと適合性であることが公知であり(以下参照)、そしてトコフェロールを含む水中油型エマルションは、Th1誘導性アジュバントであることが、参考文献138において報告される。
【0087】
(水中油型エマルションアジュバント)
水中油型エマルションは、インフルエンザウイルスワクチンにアジュバント添加するために適切であることが公知である(例えば、FLUADTM製品は、MF59エマルションアジュバントを含む)。これらのエマルションは、代表的に、少なくとも1種の油および少なくとも1種の界面活性剤を含み、その油および界面活性剤は、生分解性(代謝可能)かつ生体適合性である。上記エマルションの成分は、Th1/Th2バランスに影響を及ぼすので、全てのエマルションは、本発明による使用に適していない。例えば、上記MF59アジュバントは、優勢に、免疫応答をTh2型応答へと偏らせるので、本発明は、上記MF59アジュバントを単独で使用しない(しかし、それは、MF59を免疫増強物質(例えば、免疫刺激性オリゴヌクレオチド)と組み合わせて使用し得る)。対照的に、参考文献138に開示されるトコフェロール含有エマルションは、Th1型応答を誘発するので、本発明によって使用され得る。特定のエマルションのTh1/Th2バランスは、従来のアッセイ(例えば、参考文献139および140の二重色(dual−color)ELISPOTアッセイ、参考文献141のマイクロスフェアベースの多重アッセイ、または参考文献142の急速フローサイトメトリーアッセイ(rapid flow cytometric assay))によって評価され得る。
【0088】
適切なエマルション中の油滴は、一般に、5μm未満の直径であり、そしてサブミクロンの直径でさえも有し得、これらの小さいサイズは、安定なエマルションを提供するために、マイクロフルイダイザー(microfluidiser)を用いて達成される。220nm未満のサイズを有する小滴は、それらが濾過滅菌に供され得る場合に好ましい。
【0089】
本発明は、油(例えば、動物(例えば、魚)または植物供給源由来の油)を含み得る。植物油についての供給源としては、ナッツ類、種子類および穀物類が挙げられる。ピーナッツ油、ダイズ油、ココナッツ油およびオリーブ油が最も一般的に入手可能な代表的なナッツ油である。例えば、ホホバ豆から得られるホホバ油が使用され得る。種子油として、ベニバナ油、綿実油、ヒマワリ種子油、ゴマ油などが挙げられる。穀物群において、トウモロコシ油が最も容易に入手可能であるが、小麦、燕麦、ライ麦、イネ、テフ、トリチカレなどの他のシリアル穀物類の油もまた使用され得る。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの6〜10炭素の脂肪酸エステルは、種子油内には天然に存在しないが、ナッツ油および種子油から出発した適切な物質の加水分解、分離およびエステル化により調製され得る。哺乳動物のミルク由来の脂肪および油は代謝可能であり、従って、本発明の実施において使用され得る。動物供給源から純粋な油を得るために必要な分離、精製、けん化および他の方法に関する手順は、当該分野において周知である。ほとんどの魚は、容易に回収され得る代謝可能な油を含む。例えば、タラの肝油、サメの肝油、および鯨ろうのようなクジラ油が代表的な種々の魚油であり、本明細書中において使用され得る。いくつかの分枝鎖油は、5炭素イソプレン単位で生化学的に合成され、一般的にテルペノイドといわれる。サメの肝油は、スクアレン、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサンとして公知の分枝、不飽和テルペノイドを含み、本明細書において特に好ましい。スクアレンの飽和アナログであるスクアランもまた好ましい油である。スクアレンおよびスクアランを含む魚油は、市販の供給源から容易に入手可能であるか、または当該分野において公知の方法により得られ得る。他の好ましい油は、トコフェロール(以下参照)である。油の混合物が使用され得る。
【0090】
界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性バランス)により分類され得る。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、そしてより好ましくは少なくとも16のHLBを有する。本発明は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的にTweenといわれる)、特にポリソルベート20およびポリソルベート80;エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー(例えば、DOWFAXTM商標名で販売される直線状EO/POブロックコポリマー);エトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の繰返し数が変動し得るオクトキシノール、特にオクトキシノール−9(Triton X−100、またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)に関心がある;(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);ホスファチジルコリン(レシチン)のようなリン脂質;TergitolTM NPシリーズのようなノニルフェノールエトキシレート;ラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として公知)(例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij 30));およびソルビタンエステル(一般的にSPANとして公知)(例えば、ソルビタントリオレアート(Span 85)およびソルビタンモノラウレート)を含む界面活性剤を用いて使用され得るが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤が、好ましい。エマルション中に含む好ましい界面活性剤は、Tween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、Span 85(ソルビタントリオレアート)、レシチンおよびTriton X−100である。
【0091】
界面活性剤の混合物は、例えば、Tween 80/Span 85混合物が使用され得る。ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80))とオクトキシノール(例えば、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X−100))との組合せもまた、適切である。別の有用な組合せは、ラウレス9にポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールを加えたものを含む。
【0092】
界面活性剤の好ましい量(重量%)は、以下である:ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、Tween 80)の0.01〜1%(特に、約0.1%);オクチル−またはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えば、Triton X−100、またはTritonシリーズにおける他の洗浄剤)の0.001〜0.1%(特に、0.005〜0.02%);ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ラウレス9)の0.1〜20%(好ましくは、0.1〜10%、そして特に、0.1〜1%または約0.5%)。
【0093】
本発明によってアジュバントとして有用な3つの特定の水中油型エマルションは、以下である:
−スクアレン、トコフェロールおよびTween 80のエマルション。このエマルションは、リン酸緩衝化生理食塩水を含み得る。またSpan 85(例えば、1%で)および/またはレシチンも含み得る。これらのエマルションは、2〜10%スクアレン、2〜10%トコフェロールおよび0.3〜3%Tween 80を有し得、これがより安定なエマルションを提供する場合、スクアレン:トコフェロールの重量比は、1以下が好ましい。スクアレンおよびTween 80は、約5:2の容量比で存在し得る。そのようなエマルションの1つは、2%溶液を与えるためにPBS中にTween 80を溶解し、次いでこの溶液90mlを(5gのDL−α−トコフェロールおよび5mlのスクアレンの)混合物とともに混合し、次いでこの混合物を微細流動化することにより作製され得る。この生じたエマルションは、サブミクロンの油滴(例えば、平均直径が100nmと250nmの間、好ましくは約180nm)を有し得る。
−スクアレン、トコフェロールおよびTriton洗浄剤(例えば、Triton X−100)のエマルション。そのエマルションはまた、3d−MPL(以下参照)を含み得る。そのエマルションは、リン酸緩衝剤を含み得る。
−免疫刺激性オリゴヌクレオチドをまた含む、スクアレン、Tween 80、およびSpan 85のサブミクロンエマルション[143〜145]。容量によるエマルションの組成は、約5%のスクアレン、約0.5%のポリソルベート80および約0.5%のSpan 85であり得る。重量の項目(term)に関して、これらの比は、参考文献146の第10章および参考文献147の第12章により詳細に記載されるように、4.3%のスクアレン、0.5%のポリソルベート80および0.48%のSpan 85になる。エマルションは、有益に、クエン酸イオン(例えば、10mMクエン酸ナトリウム緩衝剤)を含む。
−ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、Triton洗浄剤(例えば、Triton X−100)およびトコフェロール(例えば、コハク酸α−トコフェロール)を含むエマルション。そのエマルションは、約75:11:10(例えば、750μg/mlのポリソルベート80、110μg/mlのTriton X−100および100μg/mlのコハク酸α−トコフェロール)の質量比でこれら3つの成分を含み得、そしてこれらの濃度は、抗原由来のこれらの成分の任意の寄与を含むべきである。そのエマルションはまた、スクアレンを含み得る。そのエマルションはまた、3d−MPL(以下参照)を含み得る。その水相は、リン酸緩衝剤を含み得る。
【0094】
これらの3つの好ましいエマルションは、参考文献138に記載されるように、3dMPLおよび/またはサポニンを補充され得る。
【0095】
エマルションは、配布前に抗原と混合され得るか、またはエマルションは、好ましくは、送達時、即時に抗原と混合される。従って、アジュバントおよび抗原は、代表的に包装されたワクチンまたは配布されたワクチンに別個に保たれ、使用時に最終処方物に準備される。この抗原は一般的に水性の形態であり、このワクチンは最終的に2つの液体の混合により調製される。混合のための2つの液体の容量比は、変更し得る(例えば、5:1と1:5の間で)が、一般的に約1:1である。上記抗原およびアジュバントが混合された後、赤血球凝集素抗原は、一般に、水溶液中に残るが、その赤血球凝集素抗原は、それ自体、油/水界面付近に分布し得る。一般に、任意の赤血球凝集素が上記エマルションの油相に進入することは、ほとんどない。
【0096】
(薬学的組成物)
本発明の組成物は、薬学的に受容可能である。それらの組成物は、スプリット抗原、およびアジュバントに加えて、成分を含み得る(例えば、それらの組成物は、代表的に、1つ以上の薬学的キャリアおよび/または賦形剤を含有する)。そのような成分の徹底的な考察は、参考文献148において入手可能である。
【0097】
組成物は、一般に、水性形態である。上記スプリット抗原およびアジュバントは、代表的に、混合物中にある。
【0098】
上記組成物は、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールなどの保存剤を含み得る。しかし、上記ワクチンは実質的に水銀物質を含まない(すなわち、5μg/ml未満)(例えば、チオメルサールを含まない)べき[11、149]であることが、好ましい。水銀を含まないワクチンが、より好ましく、そしてこれは、参考文献11に従ってトコフェロール含有アジュバントを使用する場合、従来通り達成され得る。保存剤を含まないワクチンが、特に好ましい。
【0099】
張度を制御するために、生理的塩(例えば、ナトリウム塩)を含有することが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、その塩化ナトリウムは、1mg/mlと20mg/mlとの間で存在し得る。存在し得る他の塩としては、塩化カリウム、二水素リン酸カリウム、無水二ナトリウムリン酸塩、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
【0100】
組成物は、一般に200mOsm/kgと400mOsm/kgとの間、好ましくは240mOsm/kg〜360mOsm/kgの間の浸透圧モル濃度を有し、より好ましくは290〜310mOsm/kgの範囲内となる。浸透圧モル濃度は、ワクチン接種により引き起こされる痛みに対して影響を有しないことが以前に報告されている[150]が、この範囲に浸透圧モル濃度を維持することが、やはり好ましい。
【0101】
組成物は、1つ以上の緩衝剤を含有し得る。代表的な緩衝剤としては、以下が挙げられる:リン酸緩衝剤;Tris緩衝剤;ホウ酸緩衝剤;コハク酸緩衝剤;ヒスチジン緩衝剤(特に、水酸化アルミニウムアジュバントを含む);またはクエン酸緩衝剤。緩衝剤は、代表的に5〜20mMの範囲で含有される。リン酸緩衝化生理食塩水中に形成されるエマルションが、便宜的に使用され得る。
【0102】
組成物のpHは、一般に、5.0と8.1との間、より代表的には6.0と8.0との間、例えば、6.5と7.5との間、または7.0と7.8との間である。したがって、本発明の方法は、包装前にバルクワクチンのpHを調整する工程を包含し得る。
【0103】
上記組成物は、好ましくは、無菌である。上記組成物は、好ましくは、非発熱性である(例えば、1用量あたり<1EU(エンドトキシン単位、標準的な測定単位)、そして好ましくは1用量あたり<0.1EUを含む)。上記組成物は、好ましくは、グルテンを含まない。
【0104】
上記組成物は、単回免疫感作のための物質を含んでも、複数回免疫感作(すなわち、「複数回用量」キット)のための物質を含んでもよい。保存剤を含むことが、複数回用量の準備において好ましい。複数回用量組成物中に保存剤を含むことの代わりとして(またはそれに加えて)、その組成物は、物質を除去するための無菌のアダプターを有する容器中に含まれ得る。
【0105】
インフルエンザワクチンは、代表的に、約0.5mlの投薬容量で投与されるが、半用量(すなわち、約0.25ml)が、小児に投与され得る。
【0106】
組成物およびキットは、好ましくは、2℃と8℃との間にて保存される。それらは、凍結されるべきではない。それらは、理想的には、直接的な光から免れるべきである。
【0107】
(本発明のキット)
本発明の組成物は、送達時において即座に調製され得る。したがって、本発明は、混合のために調整された種々の成分を備えるキットを提供する。上記キットは、上記アジュバントおよび上記抗原が使用時まで別々に保持されることを可能にし、そのことは、水中油型エマルションアジュバントを使用する場合に有用であり得る。
【0108】
上記成分は、上記キット内で、互いから物理的に分離した形態であり、そしてこの分離は、種々の手段で達成され得る。例えば、上記2つの成分は、2つの分離したバイアルなどの容器中にあり得る。次いで、上記2つのバイアルの成分は、例えば、一方のバイアルの成分を取り出し、そしてそれらを他方のバイアルに添加すること、または両方のバイアルの成分を別々に取り出し、そしてそれらを第3の容器中で混合することによって混合され得る。
【0109】
好ましい構成(arrangement)において、キット成分のうちの一方は、注射器中にあり、そして他方は、バイアルなどの容器中にある。注射器(例えば、針を有する)が、その成分を混合のための第2の容器中に挿入するために使用され得、次いでその混合物は、その注射器中に引かれ得る。次いで、その注射器の混合された成分は、代表的に、新規の滅菌針を通して患者に投与され得る。注射器中に1つの成分を包装することは、患者への投与のために別個の注射器を使用する必要性を排除する。
【0110】
別の好ましい構成において、上記2つのキット成分は、同じ注射器(例えば、二重室注射器(dual−chamber syringe)(例えば、参考文献151〜158などに開示されるもの))において、一緒であるが分離して保持される。その注射器が、作動される場合(例えば、患者に対する投与の間)、その2つの室の成分は、混合される。この構成は、使用時における別個の混合工程に対する必要性を回避する。
【0111】
上記キット成分は、一般に、水性形態である。いくつかの構成において、一方の成分(代表的に、アジュバント成分よりもむしろ抗原成分)は、乾燥形態(例えば、凍結乾燥された形態)であり、他方の成分は、水性形態である。上記2つの成分は、上記乾燥成分を再活性化し、そして患者に対する投与のための水性組成物を得るために混合され得る。凍結乾燥された成分は、代表的に、注射器よりもむしろバイアル内におかれる。乾燥された成分は、安定剤(例えば、乳糖、ショ糖またはマンニトール、およびそれらの混合物(例えば、乳糖/ショ糖混合物、ショ糖/マンニトール混合物)など)を含み得る。1つの可能な構成は、予め充填された注射器中の水性アジュバント成分およびバイアル中の凍結乾燥された抗原成分を使用する。
【0112】
(組成物またはキット成分の包装)
本発明の組成物(またはキット成分)に適した容器としては、バイアル、注射器(例えば、使い捨て可能な注射器)、点鼻スプレーなどが挙げられる。これらの容器は、無菌であるべきである。
【0113】
組成物/成分が、バイアル中におかれる場合、そのバイアルは、ガラス材料またはプラスチック材料から作製される。上記バイアルは、好ましくは、上記組成物/成分がそのバイアルに添加される前に滅菌される。ラテックス感受性患者に関する懸案事項を回避するために、バイアルは、ラテックスを含まないストッパーによって密封され得、そして全ての包装用物質中にラテックスが存在しないことが、好ましい。上記バイアルは、単回用量のワクチンを含み得るか、またはそのバイアルは、1つよりも多い用量(例えば10用量)を含み得る(「複数回用量」バイアル)。好ましいバイアルは、無色のガラスから作製される。
【0114】
バイアルは、予め充填された注射器がそのキャップ中に挿入され得るように適合したキャップ(例えば、Luerロック)を有し得、その注射器の内容物は、(例えば、その中の凍結乾燥された物質を再構成するために)そのバイアル中に排出され得、そしてそのバイアルの内容物は、その注射器中に戻され得る。上記バイアルから上記注射器を取り外した後、次いで針が、接続され得、そして組成物が、患者に投与され得る。上記キャップが、好ましくは、シールまたはカバーの内側に配置されて、そのシールまたはカバーは、そのキャップが接触され得る前に取り外される必要がある。バイアルは、特に、複数回用量バイアルに関して、その内容物の無菌的な取り出しを可能にするキャップを有し得る。
【0115】
成分が、注射器中に包装される場合、その注射器は、それに接続された針を有し得る。針が接続されない場合、別個の針が、組み立ておよび使用のために注射器とともに提供され得る。そのような針は、シースで覆う(sheathe)ことができる。安全針が、好ましい。1インチ23ゲージの針、1インチ25ゲージの針および5/8インチ25ゲージの針が、代表的である。注射器には、その上に内容物のロット番号、インフルエンザの時期および使用期限日がプリントされ得る剥ぎ取りラベルが提供され得、記録維持を容易にする。上記注射器中のプランジャーは、好ましくは、ストッパーを有し、プランジャーが吸引の間に偶発的に外れることを防ぐ。上記注射器は、ラテックスゴムキャップおよび/またはプランジャーを有し得る。使い捨て可能な注射器は、単回用量のワクチンを含む。上記注射器は、一般に、針の接続前に先端を密封するために先端キャップを有し、そしてその先端キャップは、好ましくは、ブチルゴムから作製される。上記注射器と針とが別個に包装される場合、その針は、好ましくは、ブチルゴムシールドが取り付けられる。好ましい注射器は、商標名「Tip−Lok」TMで市販されるものである。
【0116】
容器は、半用量の容量を示して、例えば、小児に対する送達を容易にするために、標識され得る。例えば、0.5ml用量を含む注射器は、0.25ml容量を示す標識を有し得る。
【0117】
ガラス容器(例えば、注射器またはバイアル)が使用される場合、ソーダ石灰ガラス製の容器よりもホウケイ酸ガラス製の容器を用いることが好ましい。
【0118】
キットまたは組成物は、上記ワクチンの詳細(例えば、投与のための指示書、ワクチン内の抗原の詳細など)を含む印刷物と一緒に(例えば、同じ箱中に)含まれ得る。その指示書はまた、警告、例えば、ワクチン接種の後のアナフィラキシー反応の場合、直ちに利用できるようにアドレナリンの溶液を準備しておくことなどを含み得る。
【0119】
(処置およびワクチンの投与の方法)
本発明の組成物は、ヒト患者への投与に適しており、そして本発明は、患者における免疫応答を惹起する方法を提供し、本発明の組成物をその患者に投与する工程を包含する。
【0120】
本発明はまた、医薬として使用するための本発明のキットまたは組成物を提供する。
【0121】
本発明はまた、患者における免疫応答を惹起するための医薬の製造における、(i)細胞培養物において増殖されたウイルスから調製されたスプリットインフルエンザウイルス抗原および(ii)完全にアルミニウム塩から構成されないアジュバントの使用を提供する。
【0122】
本発明はまた、患者における免疫応答を惹起するための医薬の製造における、(i)卵タンパク質を全く含まないスプリットインフルエンザウイルス抗原および(ii)完全にアルミニウム塩から構成されないアジュバントの使用を提供する。
【0123】
本発明はまた、患者における免疫応答を惹起するための医薬の製造における、(i)細胞培養物において増殖されたウイルスから調製されたスプリットインフルエンザウイルス抗原および(ii)Th1アジュバントの使用を提供する。
【0124】
本発明はまた、患者における免疫応答を惹起するための医薬の製造における、(i)卵タンパク質を全く含まないスプリットインフルエンザウイルス抗原および(ii)Th1アジュバントの使用を提供する。
【0125】
これらの方法および使用によって惹起された免疫応答は、一般に、抗体応答(好ましくは、防御的な抗体応答)を含む。インフルエンザウイルスワクチン接種後の抗体応答、中和能力および防御を評価するための方法は、当該分野において周知である。ヒト研究は、ヒトインフルエンザウイルスの赤血球凝集素に対する抗体力価が防御と相関することを示している(約30〜40の血清サンプル赤血球凝集−抑制力価は、同種のウイルスによる感染に対する約50%の防御を与える)[159]。抗体応答は、代表的に、赤血球凝集抑制、マイクロ中和、一次元放射状免疫拡散(SRID)、および/または単純放射溶血(single radial hemolysis)(SRH)によって測定される。これらのアッセイ技術は、当該分野において周知である。
【0126】
本発明の組成物は、種々の手段で投与され得る。最も好ましい免疫感作経路は、筋肉内注射(例えば、腕または脚)によるものであるが、他の利用可能な経路としては、皮下注射、鼻腔内[160〜162]、経口[163]、皮内[164、165]、経皮(transcutaneous)、経皮(transdermal)[166]などが挙げられる。
【0127】
本発明に従って調製されるワクチンは、小児および成人の両方を処置するために使用され得る。インフルエンザワクチンは、最近、小児および成人の免疫感作における6月齢からの使用について推奨される。したがって、上記患者は、1歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳、または少なくとも55歳であり得る。上記ワクチンを受容するための好ましい患者は、高齢者(例えば、50歳以上、60歳以上、および好ましくは65歳以上)、若年者(例えば5歳以下)、入院患者、医療従事者、国軍および軍人、妊婦、慢性疾患患者、免疫不全患者、そのワクチンを受容する前の7日間において抗ウイルス化合物(例えば、オセルタミビルまたはザナミビル化合物;以下を参照のこと)を摂取している患者、卵アレルギーを有する者および海外渡航者である。上記ワクチンは、これらの群に対してのみ適しているわけではないが、より一般的には集団において使用され得る。流行株に関して、全ての年齢群に対する投与が、好ましい。
【0128】
本発明の好ましい組成物は、効力に関してCPMP判定基準の1、2または3を満たす。成人(18〜60歳)において、これらの基準は、(1)70%以上のセロプロテクション(seroprotection);(2)40%以上のセロコンバージョン;および/または(3)2.5倍以上のGMT増加である。高齢者(>60歳)において、これらの判定基準は、(1)60%以上のセロプロテクション;(2)30%以上のセロコンバージョン;および/または(3)2倍以上のGMT増加である。これらの判定基準は、少なくとも50人の患者による非盲検研究に基づく。
【0129】
処置は、単回用量スケジュールまたは複数回用量スケジュールによるものであり得る。複数回用量は、一次免疫感作スケジュールおよび/または追加免疫感作スケジュールにおいて使用され得る。複数回用量スケジュールにおいて、種々の用量は、同じかまたは異なる経路(例えば、非経口によるプライム(prime)および粘膜によるブースト(boost)、粘膜によるプライムおよび非経口によるブーストなど)によって与えられ得る。1つより多い用量(代表的に、2用量)の投与は、特に、免疫学的にナイーブな患者において有用である(例えば、以前にインフルエンザワクチンを受容したことがない者のためか、または新規のHAサブタイプに対してワクチン接種するため(流行の発生において))。複数回用量は、代表的に、少なくとも1週間(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間など)の間隔を空けて投与される。
【0130】
本発明によって産生されるワクチンは、他のワクチン(麻疹ワクチン、流行耳下腺炎ワクチン、風疹ワクチン、MMRワクチン、水痘ワクチン、MMRVワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン、DTPワクチン、結合体化b型H.influenzaeワクチン、不活性化ポリオウイルスワクチン、B型肝炎ウイルスワクチン、髄膜炎菌結合体ワクチン(例えば、四価A−C−W135−Yワクチン)、RSウイルスワクチン、肺炎球菌結合体ワクチンなど)と実質的に同時(例えば、医療専門家またはワクチン接種センターへの同一の医学的な対診または診察の間)に患者に対して投与され得る。肺炎球菌ワクチンおよび/または髄膜炎菌ワクチンと実質的に同時の投与は、特に、高齢患者において有用である。
【0131】
同様に、本発明のワクチンは、抗ウイルス化合物、および特に、インフルエンザウイルスに対して活性な抗ウイルス化合物(例えば、オセルタミビルおよび/またはザナミビル)と実質的に同時(例えば、医療専門家による同一の医学的な対診または診察の間)に患者に対して投与され得る。これらの抗ウイルス剤としては、ノイラミニダーゼインヒビター(例えば、(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸、または5−(アセチルアミノ)−4−[(アミノイミノメチル)−アミノ]−2,6−アンヒドロ−3,4,5−トリデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクトノン−2−エノン酸(そのエステル(例えば、エチルエステル)およびその塩(例えば、リン酸塩)を含む))が挙げられる。好ましい抗ウイルス剤は、(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸,エチルエステル,ホスフェート(1:1)(リン酸オセルタミビル(TAMIFLUTM)としても公知である)である。
【0132】
(一般)
用語「含む(comprising)」は、「含有する(including)」および「からなる」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、専らXからなり得るか、またはさらなる何かを含有し得る(例えば、X+Y)。
【0133】
語「実質的に」は、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくても良い。必要である場合、語「実質的に」は、本発明の定義から省略され得る。
【0134】
数値xに関する用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【0135】
詳細に述べられていなければ、2つ以上の成分を混合する工程を含むプロセスは、混合の任意の特定の順序を要求しない。したがって、成分は任意の順序で混合され得る。3つの成分が存在するとき、そのときは、2つの成分が互いと組み合わされ得、そして次にこの組み合わせが、第3の成分と組み合わされ得るなどである。
【0136】
動物(および特にウシ)材料が細胞の培養に使用される場合、それらを、伝染性海綿状脳症(TSE)のない、および特にウシ海綿状脳症(BSE)のない供給源から取得しなければならない。総合的に、動物に由来する材料の完全な非存在下で細胞を培養することが、好ましい。
【0137】
化合物が、組成物の部分として投与される場合、その化合物は、代替的に、適切なプロドラッグによって置換され得る。
【0138】
細胞基質が、リアソータント手順または逆方向遺伝学手順のために使用される場合、それは、好ましくは、例えば、Ph Eur総論(general chapter)5.2.3にあるようなヒトワクチン生産における使用について承認されているものである。
【実施例】
【0139】
(本発明を実施するための様式)
(Th1応答を促す水中油型エマルションアジュバント)
2種の市販のアジュバント添加しなかったスプリットビリオン三価インフルエンザワクチン(「SPLIT(A)」および「SPLIT(B)」)を、入手し、そしてマウスを免疫感作するために0.2μgのHAの用量で使用した。ワクチンは、アジュバント添加されなかったか、または(i)水酸化アルミニウム、もしくは(ii)MF59エマルションと10μgの免疫刺激性CpGオリゴヌクレオチドとの混合物を用いてアジュバント添加されたかのいずれかで使用した。8匹の雌Balb/Cマウス(8週齢)の群を、0日目および28日目において、50μl用量の上記ワクチンを用いて筋肉内に免疫感作した。血清を、14日目および42日目に入手し、そしてその血清を、抗HA力価(IgG)、HI力価およびT細胞について分析した。
【0140】
42日目における血清IgG抗体力価(ELISA)は、各ウイルスを個別に見て、以下の通りであった:
【0141】
【化4】

【0142】
42日目におけるHI血清抗体力価は、以下の通りであった:
【0143】
【化5】

【0144】
図1に示した通り、アジュバントされていないワクチンは、非常に低いレベルの抗原特異的T細胞を誘発した。水酸化アルミニウム(alum)アジュバントは、Th2に偏った様式でレベルを増大させ:1匹のマウスにおいて、水酸化アルミニウムは、IL−5 IFN−γ TNF−α T細胞(すなわち、Th2型)の大きな増加を引き起こしたが、IL−5 IFN−γ TNF−α細胞(すなわち、Th1型)は、見られなかった。対照的に、MF59とCpGオリゴヌクレオチドとの組合せは、抗原特異的T細胞の数の大きな増加、およびまた、Th1型応答への移行の両方を引き起こした。
【0145】
したがって、スプリットインフルエンザワクチンによって誘発される抗原特異的T細胞の数を上昇させるため、およびまた、免疫応答をTh1型応答へと移行させるために、水中油型エマルションアジュバントを使用することが、可能である。対照的に、水酸化アルミニウムアジュバントは、Th2型応答を伴って低いレベルのT細胞を誘発する。
【0146】
(ヒト試験[参考文献167])
参考文献167に記載される通り、スプリットインフルエンザワクチンを、2種の油(α−トコフェロールおよびスクアレン)から作製した有機相と、乳化剤としてTween 80を含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)の水性相とを有する水中油型エマルションを用いてアジュバント添加した。それは、2.5%のスクアレン(v/v)、2.5%のα−トコフェロール(v/v)、および0.9%のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(v/v)(Tween 80)の最終濃度を有する。それを、最初に、インフルエンザ抗原との混合のために2倍濃縮物として調製した。このエマルションは、Th1誘導性アジュバントであることが報告される。
【0147】
上記エマルションを、2%溶液を与えるようにTween 80をPBSに溶解することによって調製した。100mlの2倍濃縮物を提供するために、5gのD,L−α−トコフェロールおよび5mlのスクアレンを、ボルテックスして、それらを徹底的に混合した。90mlのPBS/Tween溶液を、その油混合物に添加し、そして徹底的に混合した。次いで、得られたエマルションを、注射器に通し、そして最終的に、微細流動化した。得られた油滴は、約120〜180nmのサイズ(Z平均)を有する。
【0148】
コントロール実験において、上記エマルションは、含まれなかった。
【0149】
三価ワクチンを、ヒト高齢患者に投与した。体液性免疫応答および細胞性免疫応答を、参考文献167に記載されるように、その患者において測定した。セロプロテクションおよびセロコンバージョンを、決定した。
【0150】
セロプロテクション率およびセロコンバージョン率は、以下の通りであった(左=コントロール;右=アジュバント添加):
【0151】
【化6】

【0152】
抗HA抗体応答は、以下の通りであった:
【0153】
【化7】

【0154】
アジュバント添加していないコントロールワクチンとエマルションアジュバント添加したワクチンとの間のTh1応答およびTh2応答を比較するために、サイトカイン応答を、アッセイした。免疫感作した患者から採取したCD4+ T細胞を、スプリット抗原によって再刺激し、そして(i)少なくともインターフェロン−γ(Th1応答を示す)、および1つの他のIL−2、TNFαまたはCD40Lを分泌する数;あるいは(ii)少なくともIL−2(再び、Th1応答を示す)、および1つの他のIFN−γ、TNFαまたはCD40Lを分泌する数;について評価した。結果(免疫感作の前後における違いとして示した)は、以下の通りである:
【0155】
【化8】

【0156】
上記アジュバント添加したワクチンは、アジュバントしていないコントロールよりも大きいTh1型応答を示す。したがって、上記トコフェロール含有アジュバントは、スプリットインフルエンザワクチンのTh1/Th2バランスをモジュレートし得る。
【0157】
本発明は例示のみによって記載され、そして改変は本発明の範囲および精神の中にあるままでもなされ得ることが、理解される。
【0158】
(参考文献(その内容は、本明細書によって参考として援用される))
【0159】
【化9】

【0160】
【化10】

【0161】
【化11−1】

【0162】
[98]米国特許第4689338号、同第4929624号、同第5238944号、同第5266575号、同第5268376号、同第5346905号、同第5352784号、同第5389640号、同第5395937号、同第5482936号、同第5494916号、同第5525612号、同第6083505号、同第6440992号、同第6627640号、同第6656938号、同第6660735号、同第6660747号、同第6664260号、同第6664264号、同第6664265号、同第6667312号、同第6670372号、同第6677347号、同第6677348号、同第6677349号、同第6683088号、同第6703402号、同第6743920号、同第6800624号、同第6809203号、同第6888000号および6924293号.
【0163】
【化11−2】

【0164】
【化12】

【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】図1は、サイトカイン陽性細胞の数を、全CD4+細胞のうちの%として示す。2匹の個々のマウス由来の応答が、示される。マウスは、アジュバントされていないか、あるいは(i)水酸化アルミニウム(alum)または(ii)CpGオリゴヌクレオチドを伴うMF59を用いてアジュバント添加されたかのいずれかであるスプリットワクチン「A」またはスプリットワクチン「B」によって免疫感作された。
【図2】図2は、本発明と一緒に使用するための3dMPLの最も好ましい形態の式を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリットインフルエンザウイルス抗原とTh1アジュバントとを含む免疫原性組成物であって、該抗原は、細胞培養物において増殖されたウイルスから調製され、そしていかなる卵タンパク質も含まない、免疫原性組成物。
【請求項2】
前記インフルエンザウイルス抗原は、H1、H2、H3、H5、H7またはH9のインフルエンザA型ウイルスサブタイプ由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物は、オボアルブミン、オボムコイドおよびニワトリDNAを含まない、請求項1または請求項2の組成物。
【請求項4】
前記ウイルスは、MDCK;Vero;およびPER.C6からなる群より選択される細胞株の細胞培養物において増殖される、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、前記細胞培養物の宿主由来の10ng未満の細胞DNAを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、100ヌクレオチド以上である10ng未満のDNAを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、1ウイルス株あたり0.1μgと20μgとの間の赤血球凝集素を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記アジュバントは、トコフェロールを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記トコフェロールは、DL−α−トコフェロールである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記アジュバントは、水中油型エマルションの形態である、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記エマルションは、サブミクロンの直径を有する小滴を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記インフルエンザウイルス抗原は、A/PR/8/34インフルエンザウイルス由来の1種以上のRNAセグメントを有するインフルエンザウイルスから調製される、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記インフルエンザウイルス抗原は、逆方向遺伝学技術によって得られたインフルエンザウイルスから調製される、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記細胞培養は、マイクロキャリア培養、付着培養、または懸濁培養である、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記細胞培養物は、血清を含まない、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
前記アジュバントは、3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドA(3dMPL)を含む、請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
前記3dMPLのうち少なくとも10重量%は、ヘキサアシル鎖形態である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記3dMPLは、150nm未満の直径を有する粒子の形態である、請求項16または請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
水銀物質を実質的に含まない、請求項1〜18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
1mg/mlと20mg/mlとの間の塩化ナトリウムを含む、請求項1〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
200mOsm/kgと400mOsm/kgとの間の浸透圧モル濃度を有する、請求項1〜20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
1種以上の緩衝剤を含む、請求項1〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
前記緩衝剤は、リン酸緩衝剤;Tris緩衝剤;ホウ酸緩衝剤;コハク酸緩衝剤;ヒスチジン緩衝剤;またはクエン酸緩衝剤を含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
5.0と8.1との間のpHを有する、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
1用量あたり1未満のエンドトキシン単位を含む、請求項1〜24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
グルテンを含まない、請求項1〜25のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物は、2種のインフルエンザA型株および1種のインフルエンザB型株を含む、請求項1〜26のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物は、流行性インフルエンザウイルス株に対する一価ワクチンである、請求項1〜26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
スプリットインフルエンザウイルス抗原と水中油型エマルションとを含む免疫原性組成物であって、(a)該抗原は、細胞培養物において増殖されたウイルスから調製され、かつ(b)該水中油型エマルションは、トコフェロールを含む、免疫原性組成物。
【請求項30】
前記エマルションは、スクアレン、トコフェロール、およびポリソルベート80を含む、請求項11に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−514842(P2009−514842A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538421(P2008−538421)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004136
【国際公開番号】WO2007/052059
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(507238285)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス エスアールエル (35)
【Fターム(参考)】