説明

アデノウイルス血清型34ベクター、核酸及びそれにより生産されるウイルス

アデノウイルス血清型はその天然向性に差異がある。アデノウイルスの各種血清型は少なくともそのキャプシド蛋白質(例えばペントン塩基及びヘキソン蛋白質)、細胞結合に関与する蛋白質(例えばファイバー蛋白質)、及びアデノウイルス複製に関与する蛋白質に差異があることが分かっている。血清型間の向性及びキャプシド蛋白質のこの差異に基づき、キャプシド蛋白質の改変によりアデノウイルス向性を再指揮する目的で多くの研究努力が為されている。本発明は希少アデノウイルス血清型である血清型34の組換え複製欠損アデノウイルスとこの代替的組換えアデノウイルスの作製方法を提供し、このようなキャプシド蛋白質改変の必要を回避する。更に、外来遺伝子の送達及び発現のために前記組換えアデノウイルスを利用する手段を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスリファレンス)
本願は2003年3月28日に出願した米国仮出願第60/458,825号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
アデノウイルスはエンベロープをもたない二十面体ウイルスであり、数種の鳥類及び哺乳動物宿主で同定されている;Horneら,1959 J.Mol.Biol.1:84−86;Horwitz,1990 In Virology,eds.B.N.Fields and D.M.Knipe,pps.1679−1721。最初のヒトアデノウイルス(Ad)が単離されたのは40年以上前であった。それ以来、種々の哺乳動物種に感染する100種を越える異なるアデノウイルス血清型が単離されており、そのうち51種がヒトに由来する;Straus,1984,In The Adenoviruses,ed.H.Ginsberg,pps.451−498,New York:Plenus Press;Hierholzerら,1988 J.Infect.Dis.158:804−813;Schnurr and Dondero,1993,Intervirology;36:79−83;Jongら,1999 J Clin Microbiol.,37:3940−5。ヒト血清型はラット及びアカゲザル赤血球の凝集特性、DNAホモロジー、制限酵素切断パターン、G+C含量百分率及び発癌性等の多数の生物学、化学、免疫学及び構造基準に基づいて6種の亜属(A〜F)に分類されている;Straus,前出;Horwitz,前出。
【0003】
アデノウイルスゲノムは非常に詳細に特性決定されている。約36,000塩基対の線状2本鎖DNA分子から構成され、数種の異なる血清型が存在するが、アデノウイルスゲノムの全体的な体制(organization)はある程度保存されており、特定機能が同様に配置されている。
【0004】
アデノウイルスは外来遺伝子の送達に非常に魅力的なターゲットとなっている。アデノウイルスの生態は非常によく解明されている。アデノウイルスは免疫応答性の個体では重症ヒト疾患と結び付けられていない。このウイルスはそのDNAを宿主細胞に導入するのに極めて有効であり、多様な細胞に感染させることができる。更に、このウイルスは高ウイルス力価で大量に生産することができる。更に、このウイルスはウイルスゲノムの必須初期領域1(E1)の欠失により複製欠損性にすることができる;Brodyら,1994 Ann N Y Acad Sci.,716:90−101。
【0005】
複製欠損アデノウイルスベクターはワクチン及び遺伝子治療目的で、遺伝子導入ベクターとして広く使用されている。これらのベクターはE1遺伝子産物をin transで提供する細胞系で増殖する。必須E1遺伝子産物のin trans補完はベクターが同一又は非常に近縁の血清型に由来する場合に非常に有効である。E1を欠失させたC群血清型(Ad1,Ad2,Ad5及びAd6)は例えばAd5E1領域を含有及び発現する293又はPER.C6細胞で良好に増殖する。しかし、293又はPER.C6細胞におけるAd5E1配列はC群以外の全血清型の複製を完全に補完するわけではない。これは恐らくAd5(C群)E1B55K遺伝子産物が非C群血清型のE4遺伝子産物と機能的に相互作用することができないためであると考えられる。相互作用は同一亜群のメンバー内で保存されているが、亜群間で十分に保存されていることは認められていない。代替非C群血清型の組換えアデノウイルスを有効に成功裏にレスキューするためには、興味ある血清型のE1領域を発現する細胞系を作製する必要がある。あるいは、Ad5E1に加えてAd5E4(又はOrf6)も発現するように利用可能なAd5E1発現細胞系を改変する必要がある。これらの単調で困難な付加作業は、組換え非C群アデノウイルスベクター生産の障害となっている。
【0006】
Ad5EI発現細胞系(例えばPER.C6又は293)における代替血清型の増殖とレスキューに有効な手段の1例は係属中の米国仮出願(第60/405,182号,出願日2002年8月22日)に開示されている。この方法は増殖させようとするアデノウイルスに必須E4領域の組込みを含む。必須E4領域は相補細胞系のE1遺伝子産物、特にE1B55K領域と同一であるか又は非常に近縁の血清型のウイルスに生得であり、少なくともE4 Orf6をコードする核酸を含む。
【0007】
現在、C亜群に由来する2種の詳細に特性決定されているアデノウイルス血清型であるAd5及びAd2は最も広く使用されている遺伝子送達ベクターである。一般集団における中和抗体は、同一血清型の初期投与又は再投与を制限する可能性があるので、遺伝子導入ベクターとして代替Ad血清型を開発する必要がある。中和抗体のプレバレンスは血清型により変異し得る。Ad5等の所定の血清型に対する中和抗体は多く見られるが、他の血清型に対する抗体は比較的少ない。代替血清型は更に、ワクチン又は遺伝子治療目的で使用した場合に優れた免疫応答を誘発するような代替向性を有する。
【0008】
B亜群アデノウイルスであるアデノウイルス血清型34は1972年に最初に単離され、1975年に公認参照株として樹立された(J.C.Hierholzerら,1975 J.Clin.Microbiol.1:366−376)。46種の他のヒトアデノウイルスに対するその抗原関係が参照ウマ抗血清で決定され、考察された;J.C.Hierholzerら,1991 Arch.Viral.121:179−197。Ad34の部分配列情報は入手可能である。Ad34ヘキソン配列に関して数件の開示がある。所定の5’及び3’フランキング配列を有するAd34ヘキソンの完全配列(3358bp)はMukouyamaによりGenBank(受入番号AB052911)に寄託されている。Ad34ヘキソンの部分配列(1449bp)はTakeuchiら,1999 J.Clin.Microbiol.37:3392−3394とGenBank(受入番号AB018426)に開示されている。Ad34ヘキソンの部分配列(253bp)はAllardら,2001 J.Clin.Microbiol.39:498−505に開示され、GenBank(受入番号AF161573)に寄託されている。PereraとCardosaはAd34ヘキソンの2つの部分配列(571bp及び301bp)をGenBank(受入番号AJ272610及びAJ250786)に寄託されている。Ad34ファイバー遺伝子の配列はArun,Mukouyama及びInadaによりGenBank(受入番号AB073168)に寄託されている。Ad34のウイルス関連RNA領域(VA RNA1及び2)の配列(162bp)はKiddら,1995 Virology 207:32−45とGenBank(受入番号U10677)に開示されている。更に、Ad34のウイルス関連RNA領域と前末端蛋白質及び52/55K蛋白質の部分配列の配列(354bp)はMa & Matthews,1996 J.Virol.70:5083−99とGenBank(受入番号U52571)に開示されている。Adhikary,Mukouyama及びInadaはL4 100kDa、L4pVIII、E3 12.3kDa、E3 14.9kDa、E3gp 18.5kDa、E3 20.3kDa、E3 20.5kDa、E3 10.2kDa、E3 15.2kDa1、E3 15.2kDa2、及び部分ファイバー配列のAd34遺伝子の配列(4828bp)を開示し、GenBank(受入番号AB079724)に寄託されている。ウイルスゲノムの右末端の配列(1038bp)はChen & Horwitz,1990 Virology 179:567−75とGenBank(受入番号M62712)に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ワクチン及び遺伝子治療の分野は、代替アデノウイルス血清型、特にヒト集団で充分に特性決定されていないAd34等の血清型に関する知見から多大な恩恵を得るであろう。代替アデノウイルス血清型に基づく組換えアデノウイルスベクターと、このような組換えアデノウイルスベクターの獲得手段は特に関心がある。本分野におけるこの必要性は、アデノウイルス血清型34に基づく組換えアデノウイルスベクターに関する本願の開示により充足される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は希少アデノウイルス血清型である血清型34の組換え複製欠損アデノウイルスベクターと、この代替血清型に基づく組換えアデノウイルスの作製方法に関する。更に、外来遺伝子の送達及び発現のために前記組換えアデノウイルスを使用する手段を提供する。従って、本発明は夫々のトランスジーンの有効な発現を促進する調節配列に作動可能に連結された1個以上のトランスジーンを含む血清型34の組換え複製欠損アデノウイルスベクターに関する。このような組換えアデノウイルス血清型34ベクターを宿主に投与すると、単独で投与するかあるいは併用法及び/又はプライムブーストレジメで投与するかに関係なく、組込んだトランスジーンを有効に発現させ、投与した特定抗原(例えばHIV)を特異的に認識し得る免疫応答を有効に誘導することができる。更に、このような組換えウイルスはヒト集団において一般に遭遇するアデノウイルス血清型(例えばAd5及びAd2)に対する既存免疫を回避すると考えられる。従って、本明細書に開示する方法は興味ある特定抗原(例えばHIV)に対する免疫応答を誘導するための強力な手段を提供する。従って、得られる免疫応答は未感染個体に予防的利点を提供し、及び/又は感染個体内のウイルス負荷レベルを低下させて無症状感染期を延長することにより、治療的効果を提供すると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
希少アデノウイルス血清型は、そのターゲット部位への外来遺伝子の効率的送達及び発現を既存免疫により制限されないと思われるので、より一般的に利用されているアデノウイルス血清型(例えばアデノウイルス血清型2及び5)にまさる固有の利点がある。各種アデノウイルス血清型は更にキャプシド構造の相違により異なる向性を示し、従って、各種組織を標的化する能力を示し、ワクチン又は遺伝子治療目的に使用した場合には優れた免疫応答を誘発すると予想される。しかし、これらの希少アデノウイルス血清型は複製欠損型にした場合には、現在入手可能なアデノウイルス増殖細胞系で増殖及びレスキューすることが困難であると思われる。
【0012】
本出願人は最近、このような希少複製欠損代替血清型であるB亜群アデノウイルスのアデノウイルス血清型34をレスキュー及び増殖させるのに成功し、本明細書では外来トランスジーンの送達及び発現におけるアデノウイルスの有効な機能を立証する。
【0013】
即ち、本発明は遺伝子治療又はワクチン接種プロトコールで使用するのに適した血清型34の組換えアデノウイルスベクターに関する。野生型アデノウイルス血清型34の核酸配列(配列番号1)を図3A−1〜3A−9に示すが、当業者に自明の通り、アデノウイルス血清型34の任意機能的ホモログ又は別の株を本発明の方法により利用することができる。Ad34配列は数ヶ所の領域に差異が認められた。以下の部位は、Ad34に認められる配列変異の単なるサンプリングである:(1)配列番号1の塩基対10640付近の配列gtgagtccta(配列番号8)に続く「T」が12個ではなく13個である;(2)配列番号1の塩基対15372付近の配列ccgcactttct(配列番号9)に続く「A」が16個ではなく15個又は17個である;(3)配列番号1の塩基対17325付近の配列attgacattgg(配列番号10)に続く「A」が12個ではなく13個である;(4)配列番号1の塩基対25717付近の配列ggagga(配列番号12)に続く配列cagtctggagga(配列番号11)が欠失している。アデノウイルス血清型はラット及びアカゲザル赤血球の凝集特性、DNAホモロジー、制限酵素切断パターン、G+C含量百分率及び発癌性等の当分野で周知の多数の生物学、化学、免疫学及び構造基準により区別されている;Straus,前出;Horwitz,前出。所与血清型はウイルスDNAの制限マッピング;ウイルスDNAの移動度の分析;電気泳動後のSDS−ポリアクリルアミドゲル上のビリオンポリペプチドの移動度の分析;特に血清型を規定する配列を含むキャプシド遺伝子(例えばヘキソン)に由来する既知配列との配列情報の比較;及びATCCから入手可能な特定血清型に関する参照血清との配列比較等の多数の方法により同定することができる。SDS−PAGEによるアデノウイルス血清型の分類はWadellら,1980 Ann.N.Y Acad.Sci.354:16−42に記載されている。制限マッピングによるアデノウイルス血清型の分類はWadellら,Current Topics in Microbiology and Immunology 110:191−220に記載されている。B亜群アデノウイルスであるアデノウイルス血清型34は1972年に最初に単離され、1975年に公認参照株として樹立された(J.C.Hierholzerら,1975 J.Clin.Microbiol 1:366−376)。参照ウマ抗血清で決定された46種の他のヒトアデノウイルスに対するその抗原関連性が、文献中で考察されている;J.C.Hierholzerら,1991 Arch.Virol.121:179−197。
【0014】
本発明のアデノウイルス血清型34ベクターは少なくとも部分的にE1を欠失し、E1活性を欠損(又は本質的に欠損)しており、ベクターは所期宿主で複製することができない。E1領域が完全に欠失又は不活化していることが好ましい。アデノウイルスはE3と他の初期領域にも更なる欠失を含むことができるが、E2及び/又はE4が欠失している場合、組換え複製欠損アデノウイルスベクターを作製するにはE2及び/又はE4相補細胞系が必要であり得る。
【0015】
本発明の方法で使用するアデノウイルスベクターは参考として本明細書に援用されているHittら,1997”Human,Adenovirus Vectors for Gene Transfer into Mammalian Cells”Advances in Pharmacology 40:137−206に記載される技術等の周知技術を使用して構築することができる。多くの場合、特定の興味あるアデノウイルスに相同である配列を含む興味ある異種核酸を含むプラスミド又はシャトルベクターを作製する。シャトルベクターとウイルスDNA又はクローニングしたウイルスDNAを含む第2のプラスミドを次に宿主細胞にコトランスフェクトして相同組換えを生じさせ、異種核酸をウイルス核酸に組込む。好適シャトルベクター及びクローン化ウイルスゲノムはアデノウイルス部分とプラスミド部分を含む。複製欠損ベクターの構築に使用するシャトルベクターでは、アデノウイルス部分は一般に非機能的又は欠失E1及びE3領域と、適切な制限部位に挟まれた遺伝子発現カセットを含む。シャトルベクターのプラスミド部分は一般に原核プロモーターの転写制御下に抗生物質耐性マーカーを含む。アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子及び他の医薬的に許容可能な抗生物質耐性マーカーを使用することができる。原核生物での発酵により核酸の高レベル生産を助長するためには、シャトルベクターに原核複製起点を含ませて、高コピー数にすると有利である。これらの利点は多数の市販されている原核クローニングベクターにより提供される。非必須DNA配列を除去することが好ましい。ベクターが真核細胞で複製できないようにすることも好ましい。こうして、核酸ワクチン配列がレシピエントのゲノムに組込まれる危険を最小限にする。核酸発現を特定組織型に制限することが望ましい場合には組織特異的プロモーター又はエンハンサーを使用することができる。
【0016】
シャトルベクターと野生型アデノウイルス34ウイルスDNA(Ad34バックボーンベクター)の相同組換えにより、アデノウイルスプレプラスミドが作製される(pAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6,pMRKAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6,pAd34ΔE1gagΔE4Ad5Orf6,及びpAd34ΔE1SEAPΔE4Ad5Orf6参照)。線状化すると、プレプラスミドはPER.C6(寄託商標)細胞又は他のE1相補細胞系で複製できる。その後、ウイルス複製が完了したら感染細胞と培地を回収することができる。
【0017】
十分な量のアデノウイルスを生産するには一般にパッケージング細胞が必要になる。パッケージング細胞は特定の興味あるアデノウイルスの生産に必要なエレメントを含むべきである。パッケージング細胞とベクターは組換えにより複製コンピテントなウイルスとなるようなオーバーラップするエレメントを含まないことが好ましい。組換えAd34E1欠失ベクターの増殖に適した細胞の特定例はアデノウイルス34又は別のB群血清型の初期領域1(E1)を発現する。あるいは、同一血清型ではあるが、Ad34以外の亜群(例えば,Ad5E1及びE4)に由来するアデノウイルスE1及びE4領域(特に、E4オープンリーディングフレーム6(「ORF6」))を発現する増殖細胞系を使用することができる;例えばAbrahamsenら,1997 J.Virol.8946−8951,及び米国特許第5,849,561号参照。更に、(1)E1A又は(2)E1Aと別の亜群の血清型に由来するE1Bに加えて、Ad34に由来するE1Bを発現する細胞系を使用することもできる。同時係属中の米国仮出願第60/405,182号(出願日2002年8月22日)には、代替アデノウイルス血清型の効率的な増殖とレスキューのためのストラテジーが開示されている。この方法は相補細胞系で発現されるE1遺伝子産物、特にE1Bと同一又は非常に近縁の血清型のE4領域(又はE4ORF6を含むその一部)をアデノウイルスベクターのゲノムに組込むことに基づく。実施例1〜4はAd5E4領域の組込みとPER.C6細胞(Ad5E1を発現する細胞)におけるその増殖により、このような方法の実行可能性を立証している。野生型アデノウイルス血清型5の配列は当分野で公知であり、文献に記載されている;参考として本明細書に援用されているChroboozekら,1992 J.Virol.186:280参照。E4領域又はORF6含有部分を配置することは必須ではない。必須段階はプロモーターを供給するか、又はベクターに天然のプロモーター(例えばE4プロモーター)をランオフするように遺伝子を戦略的に配置することである。ベクターの天然E4領域を置換、欠失又は無傷にすることができる。従って、この方法は本発明のアデノウイルスベクターの増殖及びレスキューに使用するのに適している。
【0018】
一般に、増殖細胞は網膜又は腎臓に由来するヒト細胞であるが、適切なE1及び/又はE4領域を発現可能な任意細胞系を本発明では利用することができる。羊膜細胞等の胚細胞はE1相補細胞系の作製に特に適していることが示されている。数種の細胞系が入手可能である。これらの例としては限定されないが、公知細胞系PER.C6(ECACC寄託番号96022940)、911,293、及びE1A549が挙げられる。
【0019】
本発明はアデノウイルスE1相補細胞系で血清型34の組換え複製欠損アデノウイルスを生産するための方法に関し、アデノウイルスE1相補細胞に血清型34の組換え複製欠損アデノウイルスベクターをトランスフェクトする段階と、ウイルス粒子を生産させる段階を含む。こうして生産されたウイルス粒子は本発明の別の側面を形成する。本発明の組換え複製欠損アデノウイルス血清型34ベクターを含む宿主細胞は、本発明の更に別の側面を形成し、宿主細胞はトランスジェニックヒトを含まない細胞集団として定義される。本発明の方法により回収された組換え複製欠損アデノウイルスも本発明に含まれる。この回収された材料を宿主に投与する前に、精製、製剤化及び保存することができる。
【0020】
本発明のアデノウイルスベクターは特に、個体の免疫応答が、より一般に利用されているアデノウイルス血清型による投与又は再投与を有効に阻止する場合に、所望蛋白質の発現を行なわせるのに非常に好適である。従って、本発明の特定態様は興味ある異種核酸を含む血清型34の組換え複製欠損アデノウイルスベクターである。興味ある核酸は遺伝子、又は遺伝子の機能的部分とすることができる。核酸はDNA及び/又はRNAとすることができ、2本鎖でも1本鎖でもよく、発現カセットの形態でもよい。核酸はE1パラレル(5’→3’転写)又はアンチパラレル(ベクターバックボーンに対して3’→5’方向転写)方向に挿入することができる。核酸は所望の宿主(例えば哺乳動物宿主)で発現するようにコドン最適化することができる。異種核酸は発現カセットの形態とすることができる。遺伝子発現カセットは一般に、(a)興味ある蛋白質又は抗原をコードする核酸と;(b)蛋白質をコードする核酸に作動可能に連結された異種プロモーターと;(c)転写終結シグナルを含む。
【0021】
特定態様では、異種プロモーターは真核RNAポリメラーゼにより認識される。本発明で使用するのに適したプロモーターの1例は、即時型ヒトサイトメガロウイルスプロモーターである(Chapmanら,1991 Nucl.Acids Res.19:3979−3986)。本発明で使用することができるプロモーターの別の例は、強力イムノグロブリンプロモーター、EF1αプロモーター、マウスCMVプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、SV40初期/後期プロモーター及びβアクチンプロモーターであるが、当業者に自明の通り、所期宿主で発現を行うことが可能な任意プロモーターを本発明の方法により使用することができる。プロモーターはTetオペレーター配列等の調節配列を含むことができる。転写及び発現の調節能力を提供するこれらの配列等の配列は、遺伝子転写の抑圧が所望される場合に有用である。アデノウイルス遺伝子発現カセットは転写終結配列を含むことができ、その特定態様はウシ成長ホルモン終結/ポリアデニル化シグナル(bGHpA)又は以下の配列:
【0022】
【化1】

として定義される50ヌクレオチド長の短い合成ポリAシグナル(SPA)である。リーダー又はシグナルペプチドもトランスジーンに組込むことができる。特定態様では、リーダーは組織特異的プラスミノーゲンアクチベーター蛋白質tPAに由来する。
【0023】
興味ある異種核酸は免疫原性及び/又は治療性蛋白質をコードする遺伝子(又はその機能的部分)である。好適な治療性蛋白質は投与すると、個体宿主に所定の測定可能な治療効果を誘発するものである。好適免疫原性蛋白質は個体に免疫応答を誘発することが可能な任意蛋白質である。本発明者らは非ヒト霊長類(アカゲザル)で本明細書中の代表的免疫原性蛋白質(HIVgag)の送達を例示したが、治療性又は免疫原性蛋白質をコードする任意遺伝子を本明細書に開示する方法に従って使用することができる。アデノウイルス血清型34ベクターは有意レベルのgag特異的T細胞を誘導することが判明した;図5。更に、開示するベクターで免疫すると、HIV特異的なCD4+及びCD8+両方のT細胞を誘発できることも判明した;図6。
【0024】
従って、本発明の1側面は、HIVトランスジーンを含むアデノウイルス血清型34系ベクターに関する。これらの態様では、任意HIV抗原をコードする核酸を利用することができる(その具体例としてはgag,pol,nef,gp160,gp41,gp120,tat,及びrevとこれらの遺伝子の誘導体が挙げられる)。本明細書に例示する態様はコドン最適化p55gag抗原をコードする核酸を利用する;図7(配列番号3)参照。コドン最適化HIV−1env遺伝子はPCT国際出願PCT/US97/02294及びPCT/US97/10517(夫々公開日1997年8月28日(WO97/31115)及び1997年12月24日)に開示されている。コドン最適化HIV−1pol遺伝子は米国出願第09/745,221号(出願日2000年12月21日)及びPCT国際出願PCT/US00/34724(同じく出願日2000年12月21日)に開示されている。コドン最適化HIV−1nef遺伝子は米国出願第09/738,782号(出願日2000年12月15日)及びPCT国際出願PCT/US00/34162(同じく出願日12月15日)に開示されている。
【0025】
HIV−1遺伝子を含む組換え複製欠損Ad34ベクターのこの特定態様では、遺伝子はHIV−1株CAM−1に由来することができる;参考として本明細書に援用されているMyersら,eds.”Human Retroviruses and AIDS:1995,IIA3−IIA19。この遺伝子はクレードB(北米/ヨーロッパ)配列のコンセンサスアミノ酸配列に近似する。HIV遺伝子配列は各種クレードのHIV−1に基づくことができ、具体例としてクレードB及びCが挙げられる。多数のHIV株の遺伝子の配列がGenBankから公けに入手可能であり、HIVのフィールド単離株はこれらの株を入手できるようにQuality Biological(Gaithersburg,MD)と契約している米国国立アレルギー感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases:NIAID)から入手可能である。株はスイス、ジュネーブに所在の世界保健機構(World Health Organization:WHO)からも入手可能である。当業者はHIV抗原又は免疫学的に関連するその部分又は改変物をコードする適切なヌクレオチド配列を容易に選択することができる。本明細書に定義する「免疫学的に関連」とは(1)ウイルス抗原については、蛋白質を投与した場合にウイルスの増殖及び/又は繁殖を遅らせるため及び/又は個体内に存在するウイルス負荷を低下させるために十分な測定可能な免疫応答を個体内に誘発することができるか;又は(2)ヌクレオチド配列については、配列が上記のことが可能な蛋白質をコードできることを意味する。
【0026】
本発明は(1)個体で治療応答を達成するため及び(2)免疫応答(細胞性免疫応答を含む)を発生するための方法として、本発明の組換えアデノウイルス血清型34ベクターを個体に投与することを含む方法に関する。本発明の1側面は1種以上の抗原(細菌、ウイルス(例えばHIV)、又はその他(例えば癌))に対する強化免疫応答を発生するための方法として、興味ある抗原を発現する組換えアデノウイルス血清型34ビヒクルを投与することを含む方法である。こうして組換えAd34ベクターを投与すると、特により詳細に特性決定されているアデノウイルス血清型(例えばAd2及びAd5)に対する既存免疫が所与宿主に存在する場合に、改善された細胞性免疫応答を提供することができる。改善されたワクチン投与方法の1つの効果は未感染個体に対する感染率(又は発生率)の低下(即ち予防的適用)及び/又は感染個体内のウイルス/細菌/外来物質レベルの低減(即ち治療的適用)であると考えられる。HIV適応については、改善ワクチン投与方法の1つの効果は未感染個体に対する感染率の低下(即ち予防的適用)及び/又はHIV感染の無症状期を延長するような感染個体内のウイルス負荷レベルの低下(即ち治療的適用)であると考えられる。組換えAd34ベクターの投与、細胞内送達及び発現は、宿主CTL及びTh応答を誘発する。
【0027】
従って、本発明は有効な免疫予防を提供するため、ウイルス(例えばHIV)、細菌もしくは他の物質に暴露後の感染の確立を防止するため、又は感染を緩和してウイルス/細菌/他の負荷の低下と有益な長期予後を得るための感染後治療用ワクチンとしての組換えAd34ウイルスベクター(又はその免疫原組成物、本明細書ではワクチンと言う)の投与に関する方法に関する。
【0028】
本発明の組換えアデノウイルス血清型34ベクターは単独で投与してもよいし、プライム/ブースト投与レジメの一部として投与してもよい。プライミング用量の少なくとも1種の抗原(例えばHIV抗原)をまず組換えアデノウイルスベクターで送達する。この用量は免疫応答を有効にプライムし、その後、抗原が循環免疫系で識別されるとすぐに免疫応答は宿主内で抗原を認識し、これに応答することができる。プライミング用量の投与後に、抗原をコードする少なくとも1種の遺伝子を含む組換えアデノウイルスベクターを含むブースト用量を投与する。混合様式のプライム及びブースト接種スキームの結果、特に既存抗ベクター免疫が存在する場合に免疫応答が強化される。プライム−ブースト投与は一般に、対象を(ウイルスベクター、プラスミド、蛋白質等により)少なくとも1回プライミングし、所定時間経過させた後に(ウイルスベクター、プラスミド、蛋白質等により)ブーストする。多重プライミング、一般には1〜4回を通常使用するが、5回以上でもよい。プライミングとブーストの間の時間は一般に約4カ月〜1年間とすることができるが、当業者に自明の通り、他の時間を使用してもよい。
【0029】
本発明の組換え複製欠損アデノウイルス血清型34ベクターにより送達される単一の興味ある蛋白質又は抗原に加え、2種以上の蛋白質又は抗原を別のビヒクル又は同一ビヒクルにより送達することができる。多重オープンリーディングフレームを含むプレアデノウイルスプラスミドを作製するには、適切なシャトルプラスミドに多重遺伝子/機能的等価物を連結反応させることができる。多重遺伝子/機能的等価物のオープンリーディングフレームを別個のプロモーター及び転写終結配列に作動可能に連結することができる。他の態様では、オープンリーディングフレームを単一プロモーターに作動可能に連結することができ、オープンリーディングフレームを内部リボソーム侵入配列(IRES;WO95/24485に開示)、又は単一プロモーターをランオフするように多重オープンリーディングフレームの転写を可能にする適切な代替物に作動可能に連結することができる。所定態様では、段階的PCR又は2個のオープンリーディングフレームを相互に融合するのに適した代替方法により、オープンリーディングフレームを相互に融合することができる。但し、ウイルスビヒクルの有効なパッケージング限度について十分に考慮する必要がある。例えば、5型アデノウイルスは野生型Ad5配列の約105%のクローニング能力上限を示すことが分かっている。
【0030】
プライム−ブーストレジメは種々のアデノウイルス血清型を利用することができる。このようなプロトコールの1例は第1の血清型の組換えアデノウイルスベクターを含むプライミング用量の後に第2の異なる血清型の組換えアデノウイルスベクターを含むブースト用量を投与する;例えば実施例6と図12及び13参照。この場合には、サルのコホートにAd34系HIVgagベクターを0週と4週に2回投与し、24週にAd35系HIVgagベクターをブースト投与した。Ad35系ベクターの投与の結果、T細胞応答はブースター時のレベルに比較して約3倍に増加した。代替態様では、プライミング用量は異なる蛋白質/抗原をコードする遺伝子を各々含む別個のアデノウイルスビヒクルの混合物を含むことができる。このような場合には、ブースト用量がプライミング用量で送達されたと同一又は同様の抗原セットをコードする遺伝子材料を含む組換えウイルスベクターを投与するのであれば、ブースト用量も別個の蛋白質/抗原をコードする遺伝子を各々含むベクターの混合物を含むであろう。これらの多重遺伝子/ベクター投与法を更に併用することができる。更に、特定抗原とは異なる多重成分を含む併用法を実施することも本発明の範囲に含まれる。
【0031】
本発明のアデノウイルスベクターを含む組成物(ワクチン組成物を含む)は本発明の重要な側面である。これらの組成物は哺乳動物宿主、好ましくはヒト宿主に予防又は治療適用で投与することができる。可能な宿主/ワクチンとしては限定されないが、霊長類、特にヒト及び非ヒト霊長類が挙げられ、商業又は家畜用として重要な任意の非ヒト哺乳動物が挙げられる。組換えアデノウイルス血清型34ベクターを含む組成物は単独投与してもよいし、他のウイルス又は非ウイルス系DNA/蛋白質ワクチンと併用投与してもよい。これらの組成物はより広い治療レジメの一部として投与してもよい。本発明は、開示する組換えアデノウイルス血清型34ベクターを他の療法、例えばHAART療法(組換えHIVベクターの場合)と併用投与する場合も含む。
【0032】
組換えウイルスベクターを含む組成物は緩衝液、正常食塩水又はリン酸緩衝食塩水、スクロース、他の塩類及びポリソルベート等の生理学的に許容可能な成分を添加することができる。所定態様では、製剤は2.5〜10mM TRIS緩衝液、好ましくは約5mM TRIS緩衝液;25〜100mM NaCl、好ましくは約75mM NaCl;2.5〜10%スクロース、好ましくは約5%スクロース;0.01〜2mM MgCl;及び0.001%〜0.01%ポリソルベート80(植物由来)を含有する。pHは約7.0〜9.0、好ましくは約8.0とすべきである。当業者に自明の通り、他の慣用ワクチン賦形剤も製剤に使用してもよい。特定態様では、製剤は5mM TRIS,75mM NaCl,5%スクロース,1mM MgCl,0.005%ポリソルベート80を含有し、pH8.0である。これはAd5及びAd6安定性にほぼ最適なpHと2価カチオンの組成であり、ガラス表面へのウイルス吸着の可能性を最小限にする。筋肉内注射しても組織刺激を生じない。使用時まで凍結することが好ましい。
【0033】
ワクチンレシピエントに導入されるべきワクチン組成物中のウイルス粒子の量は、使用する転写及び翻訳プロモーターの強度と発現される遺伝子産物の免疫原性により異なる。一般に、粒子1×10〜1×1012個、好ましくは粒子約1×1010〜1×1011個の免疫的又は予防的有効量を筋肉組織に直接投与する。皮下注射、皮内導入、経皮圧入及び他の投与方法(例えば腹腔内、静脈内又は吸入送達)も考えられる。本発明のワクチン組成物の非経口導入と同時又は導入後に、インターロイキン−12蛋白質を静脈内、筋肉内、皮下、又は他の投与手段等により非経口投与しても有利である。
【0034】
以下、非限定的な実施例により本発明の実施を更に例証する。
【実施例1】
【0035】
pAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6の構築
既存C群/Ad5E1相補細胞系(293,PER.C6)で増殖することができるE1−Ad34系ベクターを作製するために、Ad5Orf6を天然E4領域の代わりに挿入した。Ad34プレアデノウイルスプラスミドを構築するために、Ad34とAd35の配列相同性を利用した。BJ5183細菌を、精製した野生型Ad34ウイルスDNAと適切に構築したAd35ITRカセットで同時形質転換し、相同組換えによりウイルスゲノムを環状化した。Ad34系プレAdプラスミドの構築を以下に要約する。
【0036】
pAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6(E1欠失部とAd5Orf6で置換されたE4欠失部を含むAd34プレAdプラスミド)を構築するために、Ad35ITRカセットを使用した。Ad34とAd35の配列相同性により相同組換えが生じるであろうと予想した。Ad35ゲノム(図11A−1〜11A−10参照)の右末端(bp31599〜31913及びbp34419〜34793)と左末端(bp4〜456及びbp3403〜3886)に由来する配列の間を、細菌複製起点とアンピシリン耐性遺伝子を含むプラスミド配列で隔てたAd35ITRカセットを構築した。4セグメントをPCRにより作製してpNEB193に順次クローニングし、pNEBAd35−4を作製した。次に、Ad5Orf6オープンリーディングフレームをPCRにより作製し、Ad35bp31913〜34419間にクローニングし、pNEBAd35−4Ad5Orf6(ITRカセット)を作製した。PCR産物を導入したプラスミドpNEB193は通常使用されている市販クローニングプラスミド(New England Biolabsカタログ番号N3051S)であり、細菌複製起点と、アンピシリン耐性遺伝子と、多重クローニング部位を含む。ITRカセットはAd35bp457〜3402に由来するE1配列の欠失部に配置したユニークなSwaI制限部位と、Ad35bp31914〜34418に由来するE4欠失部にE4パラレル方向で導入したAd5Orf6を含む。この構築物では、Ad35E4プロモーターによりAd5Orf6発現が駆動される。ITRカセットのAd35配列(bp31599〜31913及びbp3403〜3886)は精製Ad34ウイルスDNAとの相同領域を提供し、BJ5183細菌への同時形質転換後に細菌組換えが生じた(図1)。ITRカセットは更に、消化により組換えAd34ゲノムをプラスミド配列から遊離するように、ウイルスITRの末端に配置されたユニークな制限酵素部位(PmeI)を含むように設計した。可能性のあるクローンを制限分析によりスクリーニングし、1個のクローンをpAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6として選択した。
【実施例2】
【0037】
ウイルスへのpAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6のレスキュー
プレアデノウイルスプラスミドpAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6をウイルスにレスキューし、C群E1相補細胞系で増殖できるか否かを調べるために、このプラスミドをPmeIで消化し、リン酸カルシウム沈殿法(Cell Phect Transfection Kit,Amersham Pharmacia Biotech Inc)を使用してPER.C6細胞のT−25フラスコにトランスフェクトした。PmeI消化によりプラスミド配列からウイルスゲノムが遊離され、細胞侵入後にウイルス複製を生じさせた。ウイルス複製及び増幅が生じていたことを示すウイルス細胞変性効果(CPE)が、トランスフェクション後に観察された。トランスフェクションから約7〜10日後にCPEが完了したら感染細胞と培地を回収し、3回凍結/解凍し、細胞破片を遠心によりペレット化した。細胞溶解液約1mlを使用してPER.C6細胞のT−225フラスコに80〜90%コンフルエンスで感染させた。CPEに達したら感染細胞と培地を回収し、3回凍結/解凍し、細胞破片を遠心によりペレット化した。次に、清澄化細胞溶解液を使用してPER.C6細胞の2層NUNCセルファクトリーに感染させた。CPEの完了後、ウイルスをCsCl密度勾配で超遠心により精製した。レスキューされたウイルスの遺伝子構造を確認するために、プロナーゼ処理後にフェノールクロロホルム抽出とエタノール沈殿を使用してウイルスDNAを抽出した。次にウイルスDNAをHindIIIで消化し、Klenowフラグメントで処理して制限フラグメントをP33−dATPで末端標識した。末端標識した制限フラグメントを、次にゲル電気泳動によりサイズ分画し、オートラジオグラフィーにより可視化した。消化産物を元の(標識前にPmeI/HindIIIで消化しておいた)対応するプレアデノウイルスプラスミドの消化産物と比較した。予想サイズが観察され、ウイルスレスキューに成功したことが確認された。
【実施例3】
【0038】
pAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6への発現カセットの挿入
gag又はSEAP発現カセット(夫々図8及び9参照)をpAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6のE1領域に導入するために、再び細菌組換えを使用した。1)ヒトサイトメガロウイルスに由来する即時型遺伝子プロモーターと、2)ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)gag(CAM−1株;1526bp)遺伝子のコーディング配列と、3)ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列から構成されるgag発現カセットを、Ad35シャトルプラスミドpNEBAd35−2(上記Ad35ITRカセットの前駆体)のE1欠失部にクローニングし、pNEBAd35CMVgagBGHpAを作製した。pNEBAd35−2はゲノムの左末端(bp4〜456及びbp3403〜3886)に由来するAd35配列と、欠失部のbp456〜3403に挿入したユニークなSwaI部位を含む。gag発現カセットは予め構築したシャトルプラスミドからEcoRI消化により得た。消化後、所望フラグメントをゲル精製し、Klenow処理して平滑末端化し、pNEBAd35−2のSwaI部位にクローニングした。このクローニング段階の結果、gag発現カセットはbp456〜3403間のE1欠失部にE1パラレル方向で挿入された。gagトランスジーンを含むシャトルベクターを消化し、Ad35bp4〜456とbp3403〜3886に挟まれたgag発現カセットから構成されるDNAフラグメントを作製し、フラグメントをアガロースゲル電気泳動後に精製した。BJ5183細菌を、シャトルベクターフラグメントと、SwaI消化によりE1領域で線状化したpAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6で同時形質転換し、相同組換えによりAd34gagを含むプレアデノウイルスプラスミドpAd34ΔE1gagΔE4Ad5Orf6を作製した。可能性のあるクローンを制限分析によりスクリーニングした。
【0039】
同様のストラテジーを使用してSEAP発現カセットを含むAd34プレAdプラスミドを作製した。この場合には、1)ヒトサイトメガロウイルスに由来する即時型遺伝子プロモーターと、2)ヒト胎盤SEAP遺伝子のコーディング配列と、3)ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列から構成されるSEAP発現カセットを、Ad35シャトルプラスミドpNEBAd35−2のE1欠失部にクローニングし、pNEBAd35CMVSEAPBGHpAを作製した。SEAP発現カセットは、予め構築したシャトルプラスミドからEcoRI消化により得た。消化後、所望フラグメントをゲル精製し、Klenow処理して平滑末端化し、pNEBAd35−2のSwaI部位にクローニングした。次にトランスジーンをpAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6に組換え、gagトランスジーンについて上述したようにpAd34ΔE1SEAPΔE4Ad5Orf6を作製した。
【0040】
全プレAdプラスミドを上記のようにウイルスにレスキュー及び増殖させ、CsCl精製ストックを作製した。
【実施例4】
【0041】
pMRKAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6の構築
Ad34配列全体から構成されるAd34プレAdプラスミドを構築するために、Ad34ITRカセットを作製した。Ad34ゲノム(図3A−1〜3A−9参照)の右末端(bp31584〜31895及びbp34409〜34772)と左末端(bp4〜456及びbp3402〜3885)に由来する配列の間を、細菌複製起点とアンピシリン耐性遺伝子を含むプラスミド配列で隔てたAd34ITRカセットを構築した。これらの4セグメントをPCRにより作製してpNEB193に順次クローニングし、pNEBAd34−4を作製した。次に、Ad5Orf6オープンリーディングフレームをPCRにより作製し、Ad34bp31895〜34409間にクローニングし、pNEBAd34−4Ad5Orf6(ITRカセット)を作製した。PCR産物を導入したプラスミドPNEB193は通常使用されている市販クローニングプラスミド(New England Biolabsカタログ番号N3051S)であり、細菌複製起点と、アンピシリン耐性遺伝子と、多重クローニング部位を含む。ITRカセットはAd34bp457〜3401に由来するE1配列の欠失部に配置したユニークなSwaI制限部位と、Ad34bp31896〜34408に由来するE4欠失部にE4パラレル方向で導入したAd5Orf6を含む。この構築物ではAd34E4プロモーターによりAd5Orf6発現が駆動される。ITRカセットのAd34配列(bp31584〜31895及びbp3402〜3885)は精製Ad34ウイルスDNAとの相同領域を提供し、BJ5183細菌に同時形質転換後に細菌組換えを生じさせた(図2)。ITRカセットは更に、消化により組換えAd34ゲノムをプラスミド配列から遊離するようにウイルスITRの末端に配置されたユニークな制限酵素部位(PmeI)を含むように設計した。可能性のあるクローンを制限分析によりスクリーニングし、1個のクローンをpMRKAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6として選択した。
【実施例5】
【0042】
In Vivo試験
A.免疫
アカゲザル3頭からなる各コホートに(1)(2002年3月21日公開PCT/US01/28861に開示されている図10A−1〜10A−45のMRKAdベクターバックボーン中の)1011vp MRKAd5−SEAPと;(2)1011vp Ad34ΔE1SEAPΔE4Ad5Orf6の2種のベクターの一方を1回、筋肉内注射した。アカゲザルは体重3〜10kgのものを使用した。いずれの場合も、各ワクチンの総用量を緩衝液1mLに懸濁した。アカゲザルを麻酔(ケタミン/キシラジン)し、ツベルクリン注射器(Becton−Dickinson,Franklin Lakes,NJ)を使用して0.5mLアリコートを両側三角筋に筋肉内送達した。免疫レジメ中の数時点で採取した血液サンプルから末梢血単核細胞(PBMC)を調製した。全動物飼育及び処置は全米研究協議会、実験動物資源協会(Institute of Laboratory Animal Resources,National Research Council)の「実験動物の管理と使用に関する指針」(Guide for Care and Use of Laboratory Animals)に記載の原則に従って所内動物実験委員会により承認された標準に基づいて実施した。
【0043】
B.SEAPアッセイ
TROPIX phospha−light化学発光キット(Applied Biosystems Inc)を使用して血清サンプルの循環ヒト分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)値を分析した。96ウェル白色DYNEXプレートで各血清の2×5μLアリコートをキットに添付された希釈用緩衝液45μLと混合した。10%ナイーブサル血清中のヒト胎盤アルカリホスファターゼ(カタログ番号M5905,Sigma,St.Louis,MO)の連続希釈溶液を使用して標準曲線を作成した。ウェルを30分間65℃で加熱することによりサンプル中の内在SEAP活性を不活化した。サンプル中の酵素SEAP活性をキットに記載されている手順に従って測定した。DYNEXルミノメーターを使用して化学発光読み取り値(相対光単位で表す)を記録した。対数−対数回帰分析を使用してRLU読み取り値をng/mL SEAPに変換した。
【0044】
C.ELISPOTアッセイ
従来記載されているプロトコール(Allenら,2001 J.Virol.75(2):738−749)を多少変更して、アカゲザルでIFN−γELISPOTアッセイを実施した。抗原特異的刺激のために、10aaオーバーラップを有する完全HIV−1gag配列を含む20aaペプチド(Synpep Corp.,Dublin,CA)から、ペプチドプールを調製した。各ウェルに末梢血単核細胞(PBMCs)2〜4×10個50μLを加え、下限値カットオフを80フェムトリットル(「fL」)に設定したBeckman Coulter Z2粒子アナライザーを使用して細胞をカウントした。培地50μL又はペプチド当たり8μg/mL濃度のgagペプチドプールをPBMCに加えた。サンプルを37℃,5%COで20〜24時間インキュベートした。こうしてスポットを展開し、ImageProプラットフォーム(Silver Spring,MD)に基づく特注イメージャー及び自動計数サブルーチンを使用してプレートを処理し、カウントを細胞入力10に標準化した。
【0045】
D.細胞内サイトカイン染色(ICS)
(17×100mm丸底ポリプロピレンチューブ(Sarstedt,Newton,NC)に加えた)完全RPMI培地中2×10個/mLのPBMC1mlに、抗hCD28(クローンL293,Becton−Dickinson)及び抗hCD49d(クローンL25,Becton−Dickinson)モノクローナル抗体を終濃度1μg/mLまで加えた。gag特異的刺激のために、ペプチドプール10μL(ペプチド当たり0.4mg/mL)を加えた。チューブを37℃で1時間インキュベートした後、5mg/mLブレフェルジンA(Sigma)20μLを加えた。細胞を16時間37℃、5%CO,90%湿度でインキュベートした。冷PBS/2%FBS4mLを各チューブに加え、細胞を10分間1200rpmでペレット化した。細胞をPBS/2%FBSに再懸濁し、数種の蛍光標識mAb即ち抗hCD3−APC,クローンFN−18(Biosource)20μL/チューブ;抗hCD8−PerCP,クローンSKI(Becton Dickinson)20μL;及び抗hCD4−PE,クローンSK3(Becton Dickinson)20μLを使用して表面マーカーとして染色した(30分間,4℃)。この段階からのサンプル処理は暗所で実施した。細胞を洗浄し、1×FACS Perm緩衝液(Becton Dickinson)750μL中で10分間室温にてインキュベートした。細胞をペレット化し、PBS/2%FBSに再懸濁し、FITC−抗hIFN−γ,クローンMD−1(Biosource)0.1μgを加えた。30分間インキュベーション後、細胞を洗浄し、PBSに再懸濁した。Becton Dickinson FACSCalibur装置の全4個のカラーチャネルを使用してサンプルを分析した。データを分析するために、側方及び前方の低散乱リンパ球集団をまずゲートし、CD4及びCD8集団の両者で、サンプルのモック及びgag−ペプチド反応チューブの両者に対して、サイトカイン陽性イベントの共通蛍光カットオフを使用した。
【0046】
E.結果
発現:注射前後の血清サンプルの循環SEAP活性を分析し、結果を図4に示す。その結果、代替アデノウイルス血清型により生産されたSEAP蛋白質のピーク値は1011vpの同一高用量レベルのMRKAd5のピーク値よりも低いが、その3倍以内であった(図4)。10日後に血清中のSEAP値は劇的に減少し、僅か15日でバックグラウンドに近づいた。これらの観察は、Ad34系ベクターが霊長類に筋肉内投与後にトランスジーンを発現するのに有効であることを強く示唆するものである。
【0047】
免疫原性:完全蛋白質配列を含む20aaペプチドのプールに対するIFN−γELISPOTアッセイを使用して、ワクチンにより誘導されたHIV−1gagに対するT細胞応答を定量した。結果を図5に示し、ペプチドプール又はモック(ペプチド不含有)対照に応答した末梢血単核細胞(PBMC)10個当たりのスポット形成細胞(SFC)数として表す。
【0048】
gag発現Ad34ベクターで免疫すると、ベクターの単回投与直後に検出可能なレベルの循環gag特異的T細胞が誘導された。4週目に2回目の投与をした後、応答は改善された。全般にAd34系ベクターに対する応答は同一用量のMRKAd5−gagにより誘導される応答よりも僅かに低かった。この結果は、Ad34系ベクターがHIV特異的T細胞応答を有効にプライムできることを強く示唆している。
【0049】
Ad34を免疫した動物に由来するPBMCのIFN−γICS分析の結果、ベクターは検出可能なレベルのCD4及びCD8HIV特異的T細胞を誘導できることが判明した(図6)。
【実施例6】
【0050】
異種免疫
サル33頭からなる各コホートに(0、4週に)1011vp Ad34ΔE1gagΔE4Ad5Orf6を免疫した後に、24週目に1010vp Ad35ΔE1gagΔE4Ad5Orf6をブースター免疫した。完全蛋白質配列を含む20aaペプチドのプールに対するIFN−γELISPOTアッセイを使用して、ワクチンにより誘導されたHIV−1gagに対するT細胞応答を定量した。結果を図12に示し、ペプチドプール又はモック(ペプチド不含有)対照に応答した末梢血単核細胞(PBMC)10個当たりのスポット形成細胞(SFC)数として表す。
【0051】
gag発現Ad34ベクターで免疫すると、検出可能なレベルの循環gag特異的T細胞が誘導され、ブースト時に94〜139SFC/10PBMCまで減少した。Ad35系HIVベクターによる異種免疫の結果、T細胞応答は3倍にまで増加した。
【0052】
Ad34プライム/Ad35ブースト動物に由来するPBMCを、28週目にIFN−γICS分析した結果、ベクターは検出可能なレベルのCD4及びCD8HIV特異的T細胞を誘導できることが判明した(図13)。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】pAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6を回収するために利用した相同組換えスキームを示す。
【図2】pMRKAd34ΔE1ΔE4Ad5Orf6を回収するために利用した相同組換えスキームを示す。
【図3A−1】図3A−1〜3A−9は野生型アデノウイルス血清型34の核酸配列(配列番号1)を示す。Ad34のATCC品番はVR−716である。
【図3A−2】図3A−1〜3A−9は野生型アデノウイルス血清型34の核酸配列(配列番号1)を示す。Ad34のATCC品番はVR−716である。
【図3A−3】図3A−1〜3A−9は野生型アデノウイルス血清型34の核酸配列(配列番号1)を示す。Ad34のATCC品番はVR−716である。
【図3A−4】図3A−1〜3A−9は野生型アデノウイルス血清型34の核酸配列(配列番号1)を示す。Ad34のATCC品番はVR−716である。
【図3A−5】図3A−1〜3A−9は野生型アデノウイルス血清型34の核酸配列(配列番号1)を示す。Ad34のATCC品番はVR−716である。
【図3A−6】図3A−1〜3A−9は野生型アデノウイルス血清型34の核酸配列(配列番号1)を示す。Ad34のATCC品番はVR−716である。
【図3A−7】図3A−1〜3A−9は野生型アデノウイルス血清型34の核酸配列(配列番号1)を示す。Ad34のATCC品番はVR−716である。
【図3A−8】図3A−1〜3A−9は野生型アデノウイルス血清型34の核酸配列(配列番号1)を示す。Ad34のATCC品番はVR−716である。
【図3A−9】図3A−1〜3A−9は野生型アデノウイルス血清型34の核酸配列(配列番号1)を示す。Ad34のATCC品番はVR−716である。
【図4】アカゲザルでMRKAd5及びAd34ベクターを使用したSEAP発現の時間経過を示す。データはコホート幾何平均を示す。
【図5】HIV−1gagを発現するMRKAd5及びAd34ベクターを使用して誘導されたT細胞応答を表形式で示す。データはPBMC10個当たりのスポット形成細胞数(SFC/10PBMC)で表す。「a」は10aaオーバーラップを有する完全HIV−1CAM1gagを含む20量体ペプチドプールを表す。
【図6】Ad34を免疫したアカゲザルにおける12週目のCD4+及びCD8+Gag特異的T細胞レベルを表形式で示す。「a」は10aaオーバーラップを有する完全HIV−1CAM1gagを含む20量体ペプチドプールを表す。
【図7】最適化ヒトHIV−1gagオープンリーディングフレームの核酸配列(配列番号3)を示す。
【図8】gag発現カセットをコードする核酸配列(配列番号4)を示す。図の各種領域は以下の通りである:(1)第1の下線セグメントはヒトサイトメガロウイルスに由来する即時型遺伝子プロモーター領域をコードする核酸配列である;(2)下線なしの小文字で示した第1のDNAセグメントは適切な制限酵素部位を含む;(3)大文字領域はHIV−1gagのコーディング配列を含む;(4)下線なしの小文字で示した第2のDNAセグメントは適切な制限酵素部位を含む;(5)第2の下線セグメントはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列をコードする核酸配列を含む。
【図9】SEAP発現カセットをコードする核酸配列(配列番号5)を示す。図の各種領域は以下の通りである:(1)第1の下線セグメントはヒトサイトメガロウイルスに由来する即時型遺伝子プロモーター領域をコードする核酸配列である;(2)下線なしの小文字で示した第1のDNAセグメントは適切な制限酵素部位を含む;(3)大文字領域はヒト胎盤SEAP遺伝子のコーディング配列を含む;(4)下線なしの小文字で示した第2のDNAセグメントは適切な制限酵素部位を含む;(5)第2の下線セグメントはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列をコードする核酸配列を含む。
【図10A−1】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−2】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−3】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−4】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−5】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−6】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−7】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−8】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−9】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−10】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−11】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−12】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−13】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−14】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−15】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−16】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−17】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−18】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−19】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−20】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−21】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−22】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−23】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−24】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−25】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−26】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−27】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−28】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−29】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−30】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−31】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−32】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−33】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−34】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−35】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−36】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−37】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−38】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−39】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−40】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−41】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−42】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−43】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−44】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−45】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−46】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図10A−47】図10A−1〜10A−47はpMRKAd5HIV−1gagベクターのヌクレオチド配列(配列番号6[コーディング]及び配列番号7[非コーディング])を示す。
【図11A−1】図11A−1〜11A−10は野生型アデノウイルス血清型35のヌクレオチド配列(配列番号13)を示す。Ad35のATCC品番はVR−718である。
【図11A−2】図11A−1〜11A−10は野生型アデノウイルス血清型35のヌクレオチド配列(配列番号13)を示す。Ad35のATCC品番はVR−718である。
【図11A−3】図11A−1〜11A−10は野生型アデノウイルス血清型35のヌクレオチド配列(配列番号13)を示す。Ad35のATCC品番はVR−718である。
【図11A−4】図11A−1〜11A−10は野生型アデノウイルス血清型35のヌクレオチド配列(配列番号13)を示す。Ad35のATCC品番はVR−718である。
【図11A−5】図11A−1〜11A−10は野生型アデノウイルス血清型35のヌクレオチド配列(配列番号13)を示す。Ad35のATCC品番はVR−718である。
【図11A−6】図11A−1〜11A−10は野生型アデノウイルス血清型35のヌクレオチド配列(配列番号13)を示す。Ad35のATCC品番はVR−718である。
【図11A−7】図11A−1〜11A−10は野生型アデノウイルス血清型35のヌクレオチド配列(配列番号13)を示す。Ad35のATCC品番はVR−718である。
【図11A−8】図11A−1〜11A−10は野生型アデノウイルス血清型35のヌクレオチド配列(配列番号13)を示す。Ad35のATCC品番はVR−718である。
【図11A−9】図11A−1〜11A−10は野生型アデノウイルス血清型35のヌクレオチド配列(配列番号13)を示す。Ad35のATCC品番はVR−718である。
【図11A−10】図11A−1〜11A−10は野生型アデノウイルス血清型35のヌクレオチド配列(配列番号13)を示す。Ad35のATCC品番はVR−718である。
【図12】アカゲザルで異種Ad34プライム/Ad35ブーストレジメを使用して誘導されたT細胞応答を表形式で示す。「a」は10aaオーバーラップを有する完全HIV−1CAM1gagを含む20量体ペプチドプールを表す。
【図13】Ad34プライム/Ad35ブーストしたアカゲザルにおける28週目のCD4+及びCD8+Gag特異的T細胞レベルを表形式で示す。「a」は10aaオーバーラップを有する完全HIV−1CAM1gagを含む20量体ペプチドプールを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的にE1を欠失し、E1活性を欠損する、血清型34の組換えアデノウイルスベクター。
【請求項2】
請求項1に記載の組換えアデノウイルスベクターを含む細胞集団。
【請求項3】
(a)請求項1に記載の組換えアデノウイルスベクターを細胞集団にトランスフェクトする段階と;
(b)得られた組換え複製欠損アデノウイルスを回収する段階
を含む、組換え複製欠損アデノウイルス粒子の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法に従って回収された、精製組換え複製欠損アデノウイルス粒子。
【請求項5】
請求項4に記載の精製組換えアデノウイルス粒子を含む組成物。
【請求項6】
生理学的に許容可能なキャリヤーを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも部分的にE1を欠失し、E1活性を欠損しており、異種核酸を含む、血清型34の組換えアデノウイルスベクター。
【請求項8】
請求項7に記載の組換えアデノウイルスベクターを含む細胞集団。
【請求項9】
(a)請求項7に記載の組換えアデノウイルスベクターを細胞集団にトランスフェクトする段階と;
(b)得られた組換え複製欠損アデノウイルスを回収する段階
を含む、組換え複製欠損アデノウイルス粒子の製造方法。
【請求項10】
ベクターが、
(a)蛋白質をコードする核酸と;
(b)蛋白質をコードする核酸に作動可能に連結された異種プロモーターと;
(c)転写終結配列
を含む、遺伝子発現カセットを含む、請求項7に記載の組換えベクター。
【請求項11】
遺伝子発現カセットがE1領域に挿入されている、請求項10に記載の組換えベクター。
【請求項12】
異種核酸がヒト宿主での発現に最適化されたコドンを含む、請求項7に記載の組換えベクター。
【請求項13】
E1欠失部に異種核酸を含む、請求項7に記載の組換えベクター。
【請求項14】
少なくとも部分的にE3を欠失している、請求項7に記載の組換えベクター。
【請求項15】
請求項9に記載の方法により回収された、精製組換え複製欠損アデノウイルス粒子。
【請求項16】
請求項9に記載の精製組換えアデノウイルス粒子を含む組成物。
【請求項17】
生理学的に許容可能なキャリヤーを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
同一又は異なるベクターによる異種核酸の投与前又は投与後に請求項16に記載の組成物を投与することを含む、異種核酸を送達及び発現する方法。
【請求項19】
異なる血清型のアデノウイルスによる異種核酸の投与が組成物の前又は後に行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
異種核酸がHIV抗原をコードする、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
請求項20に記載の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるHIVに対する細胞性免疫応答の発生方法。
【請求項22】
HIV抗原がHIV−1gag又は免疫学的に関連するその改変物である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
HIV抗原がHIV−1nef又は免疫学的に関連するその改変物である、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
HIV抗原がHIV−1pol又は免疫学的に関連するその改変物である、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
少なくとも部分的にE1を欠失し、E1活性を欠損しており、HIV−1遺伝子を含む、血清型34の組換えアデノウイルスベクター。
【請求項26】
請求項25に記載の組換えアデノウイルスベクターを含む細胞集団。
【請求項27】
(a)請求項25に記載の組換えアデノウイルスベクターを細胞集団にトランスフェクトする段階と;
(b)得られた組換え複製欠損アデノウイルスを回収する段階
を含む、組換え複製欠損アデノウイルス粒子の製造方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法により回収された、精製組換え複製欠損アデノウイルス粒子。
【請求項29】
請求項28に記載の精製組換えアデノウイルス粒子を含む組成物。
【請求項30】
生理学的に許容可能なキャリヤーを含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
同一又は異なるベクターによるHIV−1遺伝子の投与前又は投与後に請求項30に記載の組成物を投与することを含む、HIV−1遺伝子を送達及び発現する方法。
【請求項32】
異なる血清型のアデノウイルスによるHIV−1遺伝子の投与が組成物の前又は後に行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
請求項29に記載の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるHIVに対する細胞性免疫応答の発生方法。
【請求項34】
HIV抗原がHIV−1gag又は免疫学的に関連するその改変物である、請求項29に記載の組成物。
【請求項35】
HIV抗原がHIV−1nef又は免疫学的に関連するその改変物である、請求項29に記載の組成物。
【請求項36】
HIV抗原がHIV−1pol又は免疫学的に関連するその改変物である、請求項29に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3A−1】
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【図3A−2】
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【図3A−3】
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【図3A−4】
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【図3A−5】
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【図3A−6】
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【図3A−7】
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【図3A−8】
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【図3A−9】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A−1】
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【図10A−2】
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【図10A−3】
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【図10A−4】
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【図10A−5】
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【図10A−6】
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【図10A−7】
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【図10A−8】
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【図10A−9】
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【図10A−10】
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【図10A−11】
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【図10A−12】
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【図10A−13】
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【図10A−14】
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【図10A−15】
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【図10A−16】
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【図10A−17】
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【図10A−18】
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【図10A−19】
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【図10A−20】
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【図10A−21】
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【図10A−22】
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【図10A−23】
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【図10A−24】
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【図10A−25】
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【図10A−26】
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【図10A−27】
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【図10A−28】
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【図10A−29】
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【図10A−30】
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【図10A−31】
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【図10A−32】
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【図10A−33】
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【図10A−34】
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【図10A−35】
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【図10A−36】
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【図10A−37】
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【図10A−38】
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【図10A−39】
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【図10A−40】
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【図10A−41】
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【図10A−42】
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【図10A−43】
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【図10A−44】
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【図10A−45】
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【図10A−46】
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【図10A−47】
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【図11A−1】
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【図11A−2】
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【図11A−3】
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【図11A−4】
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【図11A−5】
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【図11A−6】
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【図11A−7】
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【図11A−8】
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【図11A−9】
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【図11A−10】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−521089(P2006−521089A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−571438(P2004−571438)
【出願日】平成15年8月21日(2003.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/026151
【国際公開番号】WO2004/097016
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】