説明

アトラクションシステムおよびアトラクション映像提供方法

【課題】来客の楽しさを向上できるアトラクションシステムを提供する。
【解決手段】アトラクションシステムは、互いに向き合うように配置された複数のシアタと、複数のシアタでそれぞれアトラクション映像を提供するアトラクション映像提供手段と、複数のシアタのスクリーン70を移動させて、複数のシアタの来客を対面させるスクリーン移動手段とを含む。スクリーン移動手段はスクリーン70を下方へ移動して除去する。互いに向き合う複数のシアタの中央には中央エリア56が配置されており、中央エリア56には、スクリーン70の移動により対面した複数のシアタの来客から見える中央共通オブジェクト84が配置されている。アトラクションシステムは、更に、スクリーン70を向く方向に対して後方へと各シアタの天井82を移動する天井移動装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像提供型のアトラクションシステムに関し、特に、来客の楽しさを増大できるアトラクションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種のアトラクションシステムが、イベント会場および遊園地などに設置され、来客を楽しませている。アトラクションシステムの中には、シアタ等で映像を提供するシステムがある。この種のシステムを、本明細書では、映像提供型のアトラクションシステムという。映像提供に別の要素(例えば乗り物)を組み合わせているシステムも見られる。このようなシステムも、本明細書では、映像提供型システムに含まれる。
【0003】
映像提供型のアトラクションシステムは、最新の映像技術を駆使することで、迫力ある映像を来客に提供している。例えば、3次元CG(コンピュータグラフィック)画像の利用により、来客が映像の中にいるような感覚(臨場感:リアリティまたはバーチャルリアリティ)が増大されている。
【0004】
また、ストーリーに来客が関係することも多い。例えば、来客が宇宙旅行するという想定の下で、宇宙旅行の映像が提供される。このようなストーリーの工夫も臨場感の増大に寄与している。
【0005】
一方、CG技術としては、実物の撮影画像からCG画像を生成する技術が提案されている。また、撮影画像から得たCG画像を別のCG画像と組み合わせる技術も提案されている。
【0006】
本発明に関連するCG技術は、例えば非特許文献1に開示されている。
【非特許文献1】「HAIにおけるエージェントのリアリティとコミュニケーションギャップ」(森島、人工知能学会誌17巻6号、687〜692ページ、2002年11月)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、上記のような背景の下、来客の楽しさをさらに増大できるアトラクションシステムを検討した。従来は単に来客をストーリーへ関係させることで臨場感を増大している。これとは異なり、本発明は、後述するように、実際に来客を映像に登場させ、さらに映像中で来客にキャスト(出演者)として演技させて、来客の臨場感を飛躍的に増大させる。
【0008】
また、映像提供型のアトラクションでは、1回のショーの来客数が比較的多い。しかし、1回のショーの時間は制限されている。このような状況では、単に多くの来客を映像に登場させると、各来客の時間が短くなり、または、各来客のサイズが小さくなる。その結果、来客は、映像に登場したことを十分に実感できない可能性がある。本発明は、この問題も解決する。
【0009】
したがって、本発明の目的は、来客の楽しさを増大できるアトラクションシステムを提供することにある。
【0010】
本発明の目的は、複数の来客が映像に登場したことを十分に実感できるアトラクションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のアトラクションシステムは、互いに向き合うように配置された複数のシアタと、前記複数のシアタでそれぞれアトラクション映像を提供するアトラクション映像提供手段と、前記複数のシアタのスクリーンを移動させて、前記複数のシアタの来客を対面させるスクリーン移動手段と、を含む。このように、本発明は、スクリーンの移動により、複数のシアタを向き合った状態で融合させ、これにより、複数のシアタの来客が一体感をもてるアトラクションを提供できる。
【0012】
本発明のアトラクションシステムは、来客の画像を有するキャストの画像であるキャストデータを生成するキャストデータ生成手段と、アトラクションストーリーに沿ったキャストの動きを定めたキャストシナリオデータに従って前記キャストデータを動作させることにより、来客がキャストになって演技するアトラクション映像を生成するアトラクション映像生成手段と、前記アトラクション映像を提供するアトラクション映像提供手段と、を含んでよい。
【0013】
このようにして、本発明は、アトラクションストーリーに沿ったキャストの動きを定めたキャストシナリオデータを処理する。本発明は、このキャストシナリオデータに従って来客の画像を有するキャストデータを動作させる。これにより、本発明は、来客の画像をアトラクション映像に登場させることができ、さらには、来客の画像に演技をさせることができ、したがって、来客の臨場感を飛躍的に増大し、楽しさを増大できる。
【0014】
本発明のアトラクションシステムは、複数の分割シアタと、前記複数の分割シアタを合体した合体シアタとの間でシアタサイズを変更可能なシアタと、分割シアタ映像と合体シアタ映像とを含み、前記分割シアタ映像には、前記分割シアタに収容される来客の画像がキャストとして組み込まれているアトラクション映像を提供する手段と、前記分割シアタ映像が前記分割シアタで提供され、前記合体シアタ映像が前記合体シアタで提供されるように、前記アトラクション映像の進行に応じてシアタサイズを変更するシアタ制御手段と、を含んでよい。
【0015】
例えば、最初は分割シアタにて、分割シアタ映像が提供され、各分割シアタにて収容客が登場する。シアタを分割することで、客数が減るので、制限された時間で各来客が十分な程度に登場する映像を提供できる。次に、分割シアタが合体されて合体シアタが形成され、合体シアタではスケールの大きい合体シアタ映像が提供される。
【0016】
このように、本発明は、分割シアタと合体シアタを組合せている。本発明のアトラクション映像は、各来客が十分な程度に登場し、かつ、大きなスケールの映像も含んだものとなり、これにより、来客の楽しさを増大できる。
【0017】
本発明のアトラクションシステムは、シアタを複数の分割シアタに仕切る分割シアタ仕切手段と、前記複数の分割シアタを合体して合体シアタを形成する合体シアタ形成手段と、前記分割シアタで提供されるべき分割シアタ映像と前記合体シアタで提供されるべき合体シアタ映像とを含み、前記分割シアタ映像には、前記分割シアタに収容される来客の画像がキャストとして組み込まれているアトラクション映像を提供する手段と、を含んでよい。分割シアタ仕切手段は、例えば、分割シアタ間の仕切部材であり、合体シアタ形成手段は、例えば、前記仕切部材を移動して分割シアタ間から除去する仕切部材移動装置である。仕切部材は典型的には仕切壁である。この態様でも、分割シアタと合体シアタの組合せによる同様の利点が得られる。
【0018】
本発明は上記のシステムの態様に限定されない。本発明は、例えば、アトラクションシステムに対応するような方法、プログラムおよびプログラム記録媒体で表現されてもよく、本発明の利点が得られる。
【0019】
本発明はアトラクション提供方法であり、この方法は、互いに向き合うように配置された複数のシアタの各々でアトラクション映像を提供するステップと、前記複数のシアタのスクリーンを移動させて、前記複数のシアタの来客を対面させるステップと、を含む。
【0020】
本発明はアトラクション映像提供方法であり、この方法は、来客の画像を有するキャストの画像であるキャストデータを生成するキャストデータ生成ステップと、アトラクションストーリーに沿ったキャストの動きを定めたキャストシナリオデータに従って前記キャストデータを動作させることにより、来客がキャストになって演技するアトラクション映像を生成するアトラクション映像生成ステップと、前記アトラクション映像を提供するアトラクション映像提供ステップと、を含んでよい。
【0021】
また、本発明は、アトラクション映像をコンピュータに生成させるためのプログラムであって、前記プログラムは、来客の画像を有するキャストの画像であるキャストデータを取得するステップと、アトラクションストーリーに沿ったキャストの動きを定めたキャストシナリオデータに従って前記キャストデータを動作させることにより、来客がキャストになって演技するアトラクション映像を生成するステップと、を前記コンピュータに実行させてよい。
【0022】
また、本発明はアトラクション提供方法であり、この方法は、複数の分割シアタと、前記複数の分割シアタを合体した合体シアタとの間でシアタサイズを変更するステップと、分割シアタ映像と合体シアタ映像とを含み、前記分割シアタ映像には、前記分割シアタに収容される来客の画像がキャストとして組み込まれているアトラクション映像を提供するステップと、を含み、前記シアタサイズを変更するステップは、前記分割シアタ映像が前記分割シアタで提供され、前記合体シアタ映像が前記合体シアタで提供されるように、前記アトラクション映像の進行に応じてシアタサイズを変更してよい。
【0023】
また、本発明はアトラクション提供方法であり、この方法は、シアタを複数の分割シアタに仕切るステップと、前記複数の分割シアタを合体して合体シアタを形成する合体シアタ形成ステップと、分割シアタ映像と合体シアタ映像とを含み、前記分割シアタ映像には、前記分割シアタに収容される来客の画像がキャストとして組み込まれているアトラクション映像を提供するステップであって、前記分割シアタ映像を前記分割シアタで提供し、前記合体シアタ映像を前記合体シアタで提供するステップと、を含んでよい。
【発明の効果】
【0024】
以上より、本発明によれば、来客の楽しさを向上できるアトラクションシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態では、来客の顔の画像が、来客画像として、アトラクション映像に取り込まれる。
【0026】
図1は、本実施の形態のアトラクションシステムを示している。アトラクションシステム10は、3次元スキャナ12、画像処理PC14、アトラクション映像生成装置16、画像シナリオ保存サーバ18、映像送出装置20およびスクリーン22を含む。
【0027】
3次元スキャナ12は、来客の3次元画像データを生成する。3次元スキャナ12は、来客を複数の方向から撮影し、顔の形状を測定し撮影画像から3次元CGデータを生成する。
【0028】
画像処理PC(パーソナルコンピュータ)14は、3次元スキャナ12で生成された3次元CGデータからキャストデータを生成する。画像処理PC14は、3次元スキャナ12で測定された顔の形状データを基に表情生成可能な3DCGデータを生成する。この3DCGデータは、顔の特徴的な部位が認識されたデータであり、すなわち認識結果の情報をもったデータである。
【0029】
このようにして、3次元スキャナ12および画像処理PC14が、キャストデータ生成手段として機能し、来客の画像を有するキャストの画像であるキャストデータを生成する。
【0030】
より詳細には、本実施の形態では、髪の毛と耳を除いた顔面の3DCGデータが、3次元スキャナ12と画像処理PC14を使って本システムに取り込まれ、キャストデータを構成する。ただし、顔の輪郭はキャストデータに含まれる。すなわち、本実施の形態は、髪の毛と耳は除いたいわゆる能面のようなデータを用いる。髪の毛と耳については、後段の処理にて、予め用意されたデータが使われる。なお、本発明の範囲内では、髪の毛と耳の画像も来客画像から取得され、キャストデータに含まれてよいことはもちろんである。
【0031】
また、本実施の形態では、来客が複数であるとする。3次元スキャナ12および画像処理PC14は、複数の来客からキャストデータを生成する。好ましくは、アトラクションの円滑な進行を考慮して、来客の数に応じて複数の3次元スキャナ12および画像処理PC14が用意される。
【0032】
アトラクション映像生成装置16は、キャストデータと、画像シナリオ保存サーバ18のデータとを用いて、アトラクション映像を生成する。アトラクション映像生成装置16は、アトラクションストーリーに沿ったキャストの動きを定めたキャストシナリオデータを参照する。そして、アトラクション映像生成装置16は、アトラクションデータに従ってキャストデータを動作させるアトラクション映像を生成する。これにより、アトラクション映像では、来客がキャストになって演技する。
【0033】
映像送出装置20およびスクリーン22は、アトラクション映像提供手段として機能し、アトラクション映像生成装置16によって生成されたアトラクション映像を来客に提供する。典型的には、シアタにスクリーン22が備えられ、映像送出装置20がアトラクション映像をスクリーン22に映す。
【0034】
図2は、アトラクション映像生成装置16および画像シナリオ保存サーバ18の機能ブロック図であり、これらはコンピュータシステムである。画像シナリオ保存サーバ18は、背景データ記憶部30およびシナリオ記憶部32を含む。また、アトラクション映像生成装置16は、キャストデータ取得部34、キャストデータ記憶部36、シナリオデータ取得部38、背景データ取得部40、顔変更処理部42および合成部44を含む。
【0035】
背景データ記憶部30は、アトラクション映像の背景データを記憶している。背景データは、背景画像のデータである。例えば、アトラクションストーリーの舞台が宇宙空間であれば、宇宙および宇宙船等の映像データが記憶されている。また、キャストの身体のデータ(顔以外のデータ)も、背景データとともに背景データ記憶部30に記憶されている。
【0036】
シナリオ記憶部32は、キャストシナリオデータを記憶している。キャストシナリオデータは、前述のように、アトラクションストーリーに沿ったキャストの動きを定めたデータである。本実施の形態では、キャストデータがキャストの顔である。キャストシナリオデータは、各時点でのキャストの顔の位置、角度および表情のデータを含む。表情は、例えば、怒り顔、泣き顔、笑い顔などである。キャストシナリオデータは、複数のキャストの各々の動きを定めている。また、キャストシナリオデータは、キャストの会話のデータも含む。このように、画像シナリオ保存サーバ18は、背景データ、キャストの身体データ(顔をくりぬいた画像)、シナリオ記述といったストーリを構成するパーツデータのデータベースであり、ストーリサーバということもできる。
【0037】
アトラクション映像生成装置16において、キャストデータ取得部34は、画像処理PC14から入力されるキャストデータを取得する。キャストデータは、キャストデータ記憶部36に記憶される。複数のキャストデータは、それぞれ異なるキャストに割り当てられる。この割当ての情報もキャストデータ記憶部36に記憶される。
【0038】
シナリオデータ取得部38は、画像シナリオ保存サーバ18のシナリオ記憶部32からキャストシナリオデータを取得する。また、背景データ取得部40は、背景データ記憶部30から背景データおよびキャストの身体データを取得する。
【0039】
顔変更処理部42および合成部44は、以下のようにしてアトラクション映像を生成する。顔変更処理部42は、表情変更手段として機能し、キャストデータとキャストシナリオデータに基づいて、キャストデータの表情を変更する。ここでの画像処理は、認識処理でキャストデータに与えられている顔の部位の情報を使って表情を変化させる。前述のように、キャストシナリオデータは、各時点のキャストの表情を含んでいる。そこで、キャストシナリオデータに従い、キャストデータの顔の表情が画像処理により変更される。また、顔変更処理部42は、キャストシナリオデータに含まれる会話のデータに従い、キャストの顔を変形する画像処理を行い、キャストが話す画像を生成する。
【0040】
ここで、本実施の形態では、3次元スキャナで得た3次元CG(3DCG)データに対する画像認識を経て得られた認識後の顔画像データに対して画像処理を行って、表情(会話のための顔の変化を含む)を好適に映像中で変化させることが可能である。そして、顔の表情を変える画像処理としては、森島により提案されているHAI(ヒューマンエージェントインタラクティブ)関連の技術が好適に適用できる。この技術は、例えば、「HAIにおけるエージェントのリアリティとコミュニケーションギャップ」(森島、人工知能学会誌17巻6号、687〜692ページ、2002年11月)に説明されている。
【0041】
合成部44は、キャストデータを背景データおよび身体データと合成する。ここでは、表情が変更されたキャストデータが背景に張り付けられる。キャストシナリオデータは、前述のように、各時点のキャストデータの位置および角度を含んでいる。キャストデータは、キャストシナリオデータの位置と角度に従って張り付けられる。また、キャストの身体データも背景データに張り付けられる。予め、身体の動画像データが用意されていてもよい。また、合成時に、シナリオデータに従ってCG処理で身体が動かされてもよい。
【0042】
以上のようにして、アトラクション映像生成装置16は、来客画像が顔の表情を変えて演技するアトラクション映像を生成する。アトラクション映像では、来客であるキャストが、「話す」、「喜怒哀楽の感情を示す」、「手を動かす、足を動かすなどの身体的行動をする」など、生身の人間が起こす行動と同じ動きをする。
【0043】
次に、本実施の形態のアトラクションシステム10の動作を説明する。来客は、アトラクションシステム10を備えた施設を訪れると、3次元スキャナ12によりスキャンされる。3次元スキャナ12が来客の顔の形状を測定する。画像処理PC14は、3次元スキャナ12で測定された顔の形状データを基に、表情生成可能な3DCGデータに加工する。
【0044】
アトラクション映像生成装置16は、画像シナリオ保存サーバ18のデータとキャストデータからアトラクション映像を生成する。キャストデータの表情がキャストシナリオデータに従って画像処理で変更される。そして、キャストデータは、キャストシナリオデータに定められる位置および角度で、背景データに合成される。また、身体データも背景データに合成される。
【0045】
アトラクション映像は、アトラクション映像生成装置16から映像送出装置20に渡され、映像送出装置20がアトラクション映像をスクリーン22に映す。来客は、シアタの座席に座り、スクリーン22上で、自分が登場するCG映像を鑑賞する。
【0046】
上記の過程で、来客のスキャンとキャストデータの生成は、来客がアトラクションを待っている間に行われてよい。アトラクション映像の生成は、アトラクションショーの進行に沿ってリアルタイムで行われてよい。すなわち、ショーの最中にアトラクション映像の生成と出力が同時に並行して行われてよい。
【0047】
以上のように、本発明によれば、来客の画像をアトラクション映像に登場させることができ、さらには、来客の画像に演技をさせることができ、これにより、来客の臨場感を飛躍的に増大できる。
【0048】
上述の実施の形態の変形例を説明する。キャストデータは、キャストの顔のデータだけでなく、身体のデータも含んでもよい。すなわち、上述の実施の形態では身体データが背景データと共に処理されているが、身体データは顔のデータと共に処理されてもよい。身体データは、予め用意されたデータもよく、来客の画像のデータでもよい。
【0049】
また、キャストデータを生成する段階で、複数の表情のキャストデータが用意されてもよい。そして、背景との合成段階で、各時点で指定される表情のキャストデータが選択されてもよい。
【0050】
また、本発明の範囲で、複数の来客の全員がアトラクション映像に登場しなくてもよい。希望者のみの画像がアトラクション映像に登場してもよい。
【0051】
また、本発明の範囲で、アトラクションストーリーは固定されていなくてもよい。ストーリーをインタラクティブに構成し、来客の指示に応じてキャストに異なる行動をとらせることも可能である。この場合、来客の座席に、指示入力装置を設け、来客の指示を受け付けることが好適である。
【0052】
また、本実施の形態のアトラクション映像生成装置18は、画像生成を分担する複数のコンピュータで構成されても良い。例えば、1秒間の30フレームの画像を30台のコンピュータで分担する場合、各コンピュータは、1秒につき1フレームの画像を生成すればよい。1の画像をあるコンピュータが生成し、次の画像を別のコンピュータが生成し、さらに次の画像を別のコンピュータが生成し、、、31番目の画像は最初のコンピュータが生成し、といった具合である。
【0053】
各コンピュータは、自分が生成すべき画像の背景データ、身体データおよびキャストシナリオデータを記憶している。したがって、この構成では画像シナリオ保存サーバは使われなくてもよい。そして、各コンピュータは、これらデータを用いて、上述したキャストデータの顔変形処理を行い、また、キャストデータ、背景データ、身体データを合成して、1フレームの画像を生成する。
【0054】
各コンピュータが順次生成する画像が、配列用(編集用)のコンピュータに集められる。そして、配列用コンピュータが、所定の順番に画像を並べることで動画像を生成する。配列用コンピュータは上記複数の画像生成用コンピュータと画像通信可能に接続されている。画像生成用コンピュータの一部が配列用コンピュータでもよい。
【0055】
このような構成は、以下の点で特に有利である。
【0056】
本実施の形態では、背景データおよび身体データは、予め用意されており、すなわち、プレレンダリングデータである。一方、キャストの顔は、キャストデータから顔変形によりリアルタイムで生成されるデータであり、すなわちリアルタイムレンダリングデータである。本実施の形態は、リアルタイムレンダリングデータとプレレンダリングデータを合成して、映像を生成している。
【0057】
ここで、プレレンダリングデータは、アトラクション映像のフレーム速度に従い、遅れることなくどんどんと進行する。上記例では、1秒間に30フレームのレートが崩れない。リアルタイムレンダリングの処理が遅延すると、プレレンダリングデータの進行にリアルタイムレンダリングが追いつかず、アトラクション映像が上手く生成できなくなる。
【0058】
このような事態が、本発明によれば、複数のコンピュータの分担処理によって回避される。各コンピュータにおける1フレームの画像生成処理時間は、アトラクション映像の1フレームの時間よりも長くてよい。コンピュータの処理能力に応じた数のコンピュータを備えることで、プレレンダリングデータに遅れることのないリアルタイムレンダリングの処理能力を確保することができる。適当な台数を用意すれば、パーソナルコンピュータからなるシステムでも、プレレンダリングデータに遅れない速度でリアルタイムレンダリングデータを生成できる。
【0059】
以上に説明したように、本発明では、好適には、アトラクション映像生成手段が、複数の画像生成コンピュータで構成されており、これら複数の画像生成コンピュータの各々は、アトラクション映像である動画像を構成するフレーム画像を生成する機能を有し、アトラクション映像のフレーム画像群の各フレーム画像が前記複数の画像生成コンピュータのいずれかに割り当てられており、ここでは、順番に並ぶフレーム画像群が次々と異なる画像生成コンピュータに処理されるように割り当てられており、各画像生成コンピュータが、割り当てられたフレーム画像を生成し、さらに、これら複数の画像生成コンピュータが生成したフレーム画像群をアトラクション映像の進行に沿って予め設定され記憶されている順番に並べることでアトラクション映像を生成する配列用コンピュータが設けられ、こうした構成により、プレレンダリングデータとリアルタイムレンダリングを融合する動画像データを適切に生成することができる。
【0060】
次に、多数の来客を収容する施設に適したアトラクションシステムを説明する。映像提供型のアトラクションでは、1回のショーの来客数が比較的多い。しかし、1回のショーの時間は制限されている。仮に、単に多数の来客を映像に登場させたとする。この場合、各来客の演技の時間が短くなり、あるいは、各来客のサイズが小さくなる。
【0061】
例えば、来客が240人であり、ショーの時間が12分程度であるとする。この場合、キャストが240人もいると、各キャストが満足に登場することは困難であると考えられる。
【0062】
本発明は、以下の実施の形態に示されるようにして、上記の課題を解決することができる。上述の例を以下の説明でも使用する。すなわち、来客が240人であり、ショーの時間が12分程度であるとする。
【0063】
図3は、アトラクションシステム50の施設の簡略化された平面図である。
【0064】
図3に示すように、アトラクション施設52は、3つのシアタ54(シアタA、B、C)を有する。各シアタ54が80人の来客を収容可能であり、合計240人の来客が収容される。
【0065】
3つのシアタ54は、互いに向き合うように配置されている。そして、3つのシアタ54の中央には、中央エリア56が配置されている。
【0066】
各シアタ54は、プレショールーム60とメインショールーム62で構成されている。プレショールーム60が外側に配置され、メインショールーム62が内側に配置されている。
【0067】
プレショールーム60は、メインショーが始まる前に来客が待つ部屋である。来客は、プレショールーム60にて、映像と音声によりショーの説明を受ける。
【0068】
メインショールーム62は、メインショーのアトラクション映像が上映される部屋である。メインショールーム62は、4つの分割シアタ64で構成されている。これらの分割シアタ64は、合体されて合体シアタ66を形成する。各分割シアタ64は20人の来客を収容する。
【0069】
図示のように、4つの分割シアタ64は並んで配置されており、3つの移動可能な仕切壁68で仕切られている。仕切壁68は、仕切壁移動装置により、後方へ、すなわち、外方向へ(プレショールーム60の方向へ)移動される。これにより、仕切壁68が除去され、分割シアタ64が合体し、合体シアタ66が形成される。
【0070】
また、シアタ64のスクリーン70は、4つの分割スクリーン72で構成される。分割スクリーン72は、分割シアタ64のスクリーンであり、分割シアタ64の幅に応じたサイズを有する。
【0071】
仕切壁68が除去されると、4つの分割スクリーン72により合体スクリーン74が形成される。合体スクリーン74は、合体シアタ66のスクリーンである。なお、隣接する分割スクリーン72に隙間があり、そのために合体スクリーン74が完全に連続していなくてもよい。
【0072】
本実施の形態では、後述するように、スクリーン70も移動可能に備えられている。スクリーン70は、スクリーン移動装置により下方へ移動されて、除去される。合体スクリーン74が移動してもよく、各々の分割スクリーン72が個別に移動してもよい。さらに、図示されない天井も移動可能に構成されている。天井は、天井移動装置により後方へと移動される。
【0073】
図4〜図9は、アトラクション施設52のより詳細な図面である。図4、図6、図8は平面図であり、図5、図7、図9は、横方向から見た断面図である。
【0074】
図4、図5は、仕切壁68およびスクリーン70がメインショールーム62にある状態を示している。図6、図7は、図4、図5から仕切壁68が移動した状態を示している。図8、図9は、さらに、スクリーン70が移動した状態を示している。
【0075】
図4、図5に示されるように、3つのシアタ54の周囲には、来客が通る通路76が設けられている。また、各分割シアタ64には、20のメインショー座席78が設置されている。プレショールーム60は、各分割シアタ64に対応する位置に20のプレショー座席80を備えており、合計で80のプレショー座席80が備えられている。
【0076】
図6、図7に示されるように、仕切壁68は、後方へ移動されて、プレショールーム60に進入し、これによりメインショールーム62から除去される。仕切壁移動装置(アクチュエータ)は、案内機構(通路)と、モータと、モータの動力を伝達して仕切壁68を案内に沿って移動させる機構とを有する。
【0077】
次に、図8、図9に示されるように、スクリーン70は、下側の溝へ向けて下降し、これにより床下に収納され、来客の前から除去される。スクリーン移動装置(アクチュエータ)は、仕切壁の移動装置と同様、案内機構(通路)と、モータと、モータの動力を伝達してスクリーン70を案内に沿って移動させる機構とを有する。
【0078】
また、アトラクション施設52は、シアタ54の天井82を移動する天井移動装置を備える。天井移動装置は、天井82を後方へスライド移動する。天井移動装置(アクチュエータ)もまた、案内機構(通路)と、モータと、モータの動力を伝達して天井82を案内に沿って移動させる機構とを有する。
【0079】
スクリーン移動装置がスクリーン70を移動するとき、天井移動装置が天井82を移動する。これにより、3つのシアタ54がさらに合体される。3つのシアタ54の来客が対面し、かつ、中央エリア56の天井が来客の視界に入る。この状態で全来客から見えるように、中央共通オブジェクト84が、中央エリア56の中央上方に設置されている。
【0080】
上述の図4〜図9のうち、図4、図5は、分割シアタ64により構成される20人シアターであり、図6、図7は、合体シアタ66により構成される80人シアターであり、図8、図9は、3つの合体シアタ66により構成される240人シアターである。
【0081】
図10は、メインショールーム62のメインショー座席78を示している。図示のように、背部の上方部分が、来客の耳の横に張り出している。この位置に、指向性の高いスピーカが設置されている。この構成により、以下の利点が得られる。
【0082】
本実施の形態は、上述のように仕切壁68が備えられている。仕切壁68を移動するときには騒音が発生する。本発明によれば、アトラクション映像の途中で仕切壁68を移動しても、騒音の影響が抑えられる。すなわち、騒音が発生しても、アトラクション映像の音声が十分な品質で来客に伝わる。したがって、アトラクション映像の途中で仕切壁68を移動するシステムを好適に実現できる。
【0083】
図11は、本実施の形態で提供されるアトラクション映像の例を示している。図11は、4つの分割シアタにそれぞれ備えられている4つの映像送出装置で提供される4つの映像を表している。
【0084】
アトラクション映像は、10分の分割シアタ映像と1分15秒の合体シアタ映像で構成される。分割シアタ映像は、分割シアタで提供されるべき映像であり、合体シアタ映像は、合体シアタで提供されるべき映像である。
【0085】
分割シアタ映像は、図1のシステムを利用して生成される。これにより、各分割シアタ映像は、対応する分割シアタに収容される来客の画像がキャストとして組み込まれた映像になる。したがって、図11の4本の映像では、分割シアタ映像部分のキャストが異なる。
【0086】
合体シアタ映像は、合体スクリーンを使って提供される。合体シアタ映像は、合体スクリーンに応じたサイズを有する映像であり、スケールの大きな映像が適している。
【0087】
上記のように合体シアタ映像は4つの映像送出装置を使って提供される。したがって、図11の各映像において、合体シアタ映像は、来客が見る全体映像の1/4の映像である。このような映像も、本発明の分割シアタ映像と合体シアタ映像で構成されるアトラクション映像に含まれる。4本の映像が同期して提供され、これにより、来客はフルサイズの合体シアタ映像を見ることができる。
【0088】
また、合体シアタ映像にも、来客がキャストとして登場してもよい。ここでも図1のシステムを利用して、来客から作成したキャストデータが組み込まれる。合体シアタの全部の客が登場してもよく、一部の客が登場してもよい。
【0089】
図12は、図11のアトラクション映像を図3のアトラクション施設52で提供するための映像関係の構成を示している。図12は、図1のシステムの応用であり、図1と同様の構成には同一符号が付されている。図1で説明した事項の説明は適宜省略する。
【0090】
図12は、3つのシアタA、B、Cを含むシステム概念図である。各シアタは、プレショールームに3次元スキャナ12を備えている。さらに、各シアタは、画像処理PC14を備える。図12には示されないが、各シアタは、客数に応じて80個の3次元スキャナ12および画像処理PC14を備える。
【0091】
キャストデータは、すべて、合成装置24に取り込まれる。合成装置24は、図1のアトラクション映像生成装置16に相当する。合成装置24は、画像シナリオ保存サーバ18からキャストの身体データを入手し、さらに背景データを入手する。キャストシナリオデータも取得される。合成装置24は、これらデータから合成データを生成する。合成データがアトラクション映像に相当する。
【0092】
合成データは、図11を用いて説明したように、分割シアタ部分と合体シアタ部分で構成される。分割シアタの数は全部で12なので、12の分割シアタ映像が生成される。
【0093】
また、合体シアタ映像は、画像シナリオ保存サーバ18に予め記憶されている。合体シアタ映像は、合成装置24により画像シナリオ保存サーバ18から読み出され、分割シアタ映像の後に接続される。図11を用いて説明した通り、4分割された映像が使われる。また、既に説明したとおり、合体シアタ映像にも、分割シアタ映像と同様に、来客がキャストとして組み込まれてよい。
【0094】
上記のようにして、結局、12の分割シアタに対応して12の映像が生成される。これら12の映像の各々は、対応する分割シアタの映像送出装置20に送られる。
【0095】
合成データは、同期装置26を経由して、3つのシアタの映像送出装置20へ提供され、スクリーン22に上映される。同期装置26を設けたことで、同じタイミングで3つのシアタで映像が提供され、かつ、各シアタの4つの分割シアタでも同じタイミングで映像が提供される。図は簡略化されているが、上記説明から明らかなように、各シアタに4つの映像送出装置20が備えられている。
【0096】
図12のアトラクションシステム50は、さらに、ウエブサーバ28を備える。ウエブサーバ28は、合成装置24から合成データを受け取り、保存する。ウエブサーバ28は、WWWサーバの機能を有し、合成データをネットワーク経由で提供する。ネットワークは典型的にはインターネットである。
【0097】
図13は、アトラクションシステム50の全体を制御するアトラクション制御装置を示している。アトラクション制御装置90は、映像制御部92、音響制御部94およびシアタ制御部96を含む。
【0098】
映像制御部92は、映像関係のシステム全体を制御する。すなわち、映像制御部92は、アトラクション映像の生成から送出までを制御し、管理する。音響制御部94は、アトラクション映像の進行に応じて音響が提供されるように、音響システムを管理する。本実施の形態では、前述のように、各座席にスピーカが備えられている。
【0099】
シアタ制御部96は、アトラクション映像の進行に応じてシアタの施設を管理する。シアタ制御部96は、仕切壁移動制御部98、スクリーン移動制御部100および天井移動制御部102を有する。
【0100】
仕切壁移動制御部98は、仕切壁移動装置104を制御することで、分割シアタ間の仕切壁68の移動を制御する。仕切壁の移動で、シアタサイズが変化する。スクリーン移動制御部100は、スクリーン移動装置106を制御することで、スクリーン70の移動を制御する。天井移動制御部102は、天井移動装置108を制御することで、シアタ天井82の移動を制御する。これら移動装置104、106、108は前述のようにモータ等で構成される。
【0101】
次に、図14、図15を参照して、アトラクションシステム50の動作を説明する。ここでは、下記構成のアトラクションストーリーを例として取り上げる。
【0102】
・一つの分割シアタのキャスト(来客)は、同じ惑星の住人である。
【0103】
・分割シアタごとに舞台の惑星が異なる。
【0104】
・分割シアタのキャストは、宇宙船の乗組員(クルー)として宇宙へ旅立つ。
【0105】
・宇宙での冒険を経て、4つの分割シアタの宇宙船が集合する。
【0106】
・4つの宇宙船は、船団をつくり、一緒に地球へ向かう。
【0107】
・3つの惑星系から船団が集まり、フィナーレを迎える。
【0108】
アトラクションショーは、プレショーとメインショーで構成される。図14はプレショーの動作を示し、図15はメインショーの動作を示している。プレショーおよびメインショーとも、1ラウンドの長さは20分である。
【0109】
図14を参照すると、プレショーは、約4分の入場と、約12分のプレショー本編と、約4分の退場で構成される。
【0110】
入場では、240人の来客がプレショールーム60に入り、プレショー座席80に座る。3つのプレショールーム60の各々に80人が収容される。
【0111】
プレショー本編では、まず、各来客の顔が3次元スキャナ12でスキャンされる。スキャンデータは、キャストデータの生成に使われる。プレショーの間に画像処理PC14により画像処理が行われ、キャストデータが生成される。
【0112】
スキャニングの後、状況が映像で説明される。上述したアトラクションストーリーの必要な部分の説明が行われる。すなわち、分割シアタのキャスト達が一つの惑星におり、宇宙船に乗り込むことが説明される。
【0113】
状況の説明の後、クルーが映像で紹介される。ここでは、スキャンデータから生成したキャストデータが使用される。20人の来客には異なるキャストが割り当てられている。各キャストの役割が、顔の画像と共に紹介される。
【0114】
クルーの紹介が終わると、来客はプレショールーム60から退場し、メインショールーム62へ進む。
【0115】
次に、図15を参照し、メインショーを説明する。メインショーは、約4分の入場と、約12分のメインショー本編と、約4分の退場で構成される。そして、メインショー本編は、20人シアター、80人シアター、240人シアターで構成される。
【0116】
入場では、来客がプレショールーム60からメインショールーム62に入ってきて、メインショー座席78に座る。
【0117】
この段階では、シアタ54は、既に、図4、図5に示される20人シアターの状態にある。アトラクション制御装置90のシアタ制御部96による制御の下、メインショールーム62は仕切壁68により4つの分割シアタ64に分割されている。各分割シアタ64に20人が収容される。
【0118】
メインショー本編では、映像制御部92の制御の下、アトラクション映像の提供が開始される。同期装置26が機能して、3つの合体シアタ66の全部の映像送出装置20の映像が同時にスタートし、同時に進行する。
【0119】
メインショー本編では、まず、20人シアターにおいて、分割シアタ映像が分割シアタ64にて提供される。分割シアタ映像は、収容した20人の来客がキャストになった映像である。20人のキャストは、映像中で同じ宇宙船に乗り込み、宇宙で冒険する。すべての分割シアタ64のストーリーは同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0120】
分割シアタ映像の長さは10分である。分割シアタ映像が終わるとき、シアタ制御部96は、以下に説明するように、20人シアターから80人シアターへ移行するための制御を行う。
【0121】
シアタ制御部96の仕切壁移動制御部98は、分割シアタ映像が終わるとき、仕切壁移動装置104を制御して、所定の切替タイミングで仕切壁68を移動させる。これにより、図6、図7に示される通り、3つのシアタ54の各々において、4つの分割シアタ54が合体し、合体シアタ56が形成される。
【0122】
切替タイミングは、分割シアタ映像の終了時点と厳密に同じでなくてもよい。仕切壁68の移動に要する時間が考慮されてよい。そして、分割シアタ映像の終了時点より少し前(または後)に仕切壁68の移動が開始してもよい。このような制御も、本発明では、分割シアタ映像が終わるときの仕切壁68の移動に含まれる。
【0123】
シアタ制御部96は、例えば、アトラクション映像が開始してからの時間をタイマで計測し、これにより、切替タイミングが来たことを検出する。シアタ制御部96は、外部から切替タイミングを示す情報を受け取ってもよい。シアタ制御部96は、映像制御部92からアトラクション映像の進行を示す情報を受け取り、映像の進行を監視して、これにより切替タイミングを検知してもよい。
【0124】
80人シアターでは、合体シアタ映像が提供される。図11を参照して説明したように、各分割シアタ64の映像送出装置20は、合体シアタ映像の1/4を分割スクリーン72に写す。これにより、合体スクリーン74のサイズに合わせたスケールの大きい映像が提供される。同期装置26は、4つの映像送出装置20の映像が同時に分割シアタ映像から合体シアタ映像に移行するように、映像の出力を同期させている。
【0125】
合体シアタ映像は、4つの分割シアタ64の宇宙船が集まった船団の映像であり、船団は宇宙を地球に向かって進む。既に説明したように、合体シアタ映像でも、来客がキャストとして映像に組み込まれてよい。
【0126】
合体シアタ映像の長さは1分15秒であり、アトラクション映像は合体シアタ映像で終わる。分割シアタ映像が終わるとき、シアタ制御部96は、以下に説明するように、80人シアターから240人シアターへ移行するための制御を行う。
【0127】
シアタ制御部96のスクリーン移動制御部100は、合体シアタ映像が終わるとき、スクリーン移動装置106を制御して、所定の切替タイミングでスクリーン70を移動させる。同時に、天井移動制御部102は天井移動装置108を制御して、天井82を移動させる。これにより、図8、図9に示される通り、3つ合体シアタ66の仕切が除去される。
【0128】
仕切壁80の制御で説明したのと同様に、スクリーン70および天井82の切替タイミングは、合体シアタ映像の終了時点と厳密に同じでなくてもよい。スクリーン70および天井82の移動に要する時間が考慮されてよい。そして、合体シアタ映像の終了時点より少し前(または後)にスクリーン70および天井82の移動が開始してもよい。さらに、スクリーン70と天井82の切替タイミングがずれていてもよい。このような制御も、本発明では、合体シアタ映像が終わるときのスクリーン70および天井82の移動に含まれる。
【0129】
さらに、シアタ制御部96は、仕切壁68の切替タイミングの検知と同様の処理により、スクリーン70および天井82の切替タイミングの到来を検知してよい。例えば、タイマを使って、切替タイミングが検知される。
【0130】
240人シアターでは、3つの合体シアタ66がさらに融合される。240人の来客が対面し、かつ、上方の中央共通オブジェクト84を見る。ここでは、3つの惑星系の人々が集合した場面が想定されている。中央共通オブジェクト84は、地球の象徴である。240人シアターの時間は45秒である。
【0131】
以上により、メインショー本編が終了する。来客は退場し、ポストショーへ移動する。ポストショーは、ポストショールーム(図示せず)で提供される。各種のノヴェルティグッズが販売される。来客が出演した画像がノヴェルティとして渡されてもよい。
【0132】
また、退場後の来客は、インターネットを通じてウエブサーバ28にアクセスし、自分が出演した画像を閲覧し、また、ダウンロードすることができる。
【0133】
本実施の形態の変形例を幾つか説明する。シアタの収容人数は、上記の例(20人、80人、240人)には限定されないことはもちろんである。複数のシアタで収容人数が異なってもよく、複数の分割シアタで収容人数が異なってもよい。
【0134】
また、本実施の形態では、分割シアタ映像の後に合体シアタ映像が提供された。これに伴い、分割シアタ64が途中で合体して、合体シアタ66が形成された。しかし、本発明はこれに限定されない。合体シアタが先でもよい。合体と分割が行われてもよい。合体および分割の一方または両方が複数回行われてもよい。
【0135】
また、本実施の形態では、合体シアタ映像が4つの映像送出装置により提供された。これに対して、合体シアタ映像は1つの映像送出装置により提供されてもよい。
【0136】
また、本実施の形態では、シアタサイズは2段階であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、図3の構成にて、まず、2つの分割シアタが合体されて、中間サイズの合体シアタが形成され、この中間サイズに応じた合体シアタ映像が提供される。さらに、2つの中間サイズの合体シアタが合体されて、最終的な合体シアタが形成され、そこでもサイズに合わせた合体シアタ映像が提供される。この構成では、中間サイズのシアタは、最初の分割シアタから見れば合体シアタであるという理解が可能であり、最後の合体シアタから見れば分割シアタという理解も可能である。
【0137】
また、本実施の形態では、仕切壁移動装置はモータで構成された。しかし、こ仕切壁移動装置は、油圧アクチュエータを備え、油圧制御で仕切壁を動かしてもよい。スクリーン移動装置、天井移動装置も同様に油圧式でよい。
【0138】
また、本実施の形態では、各座席にスピーカが備えられていた。これに対して、各座席にヘッドホンが備えられてもよい。この場合も、仕切壁移動音のショーへの影響を低減し、アトラクション映像の途中で仕切壁を移動するシステムを好適に実現できる。
【0139】
また、変形例として、仕切壁移動装置は設けず、合体映像部分が提供されなくてもよく、この場合でもスクリーンの移動による利点が得られる。
【0140】
また、アトラクション映像生成装置である合成装置(図12)は、既に説明したように、好適には、複数のコンピュータを備え、それらコンピュータによって、アトラクション映像である動画像のフレーム群の処理が分担される。各分割シアタの映像のために、複数のコンピュータを設けることが好適である。このような構成により、パーソナルコンピュータでも、本実施の形態のアトラクション映像を生成可能である。
【0141】
以上に説明したように、本発明は、アトラクションストーリーに沿ったキャストの動きを定めたキャストシナリオデータを処理する。本発明は、このキャストシナリオデータに従って来客の画像を有するキャストデータを動作させる。これにより、本発明は、来客の画像をアトラクション映像に登場させることができ、さらには、来客の画像に演技をさせることができ、したがって、来客の臨場感を飛躍的に増大し、楽しさを増大できる。
【0142】
来客たちは、自分と同じ顔をした人物が俳優(キャスト)としてスクリーンに登場し、
映像ストーリーの中で演技を行い活躍することを楽しむことができる。
【0143】
また、映像の中には、既存の俳優やタレントを登場させることもできる。したがって、有名人と共演する気分を味わうことも可能である。
【0144】
また、映像ストーリーならではの、宇宙空間や古代の歴史等決して体験できない舞台に自分を置いたり、物語の主人公となって非日常的なできごとを体験することができる。
【0145】
このようにして、本発明によれば、アトラクションシステムの来客の楽しさを増大することができる。
【0146】
また、本発明によれば、来客の3次元画像を生成する3次元スキャナ装置が設けられ、3次元のキャストデータが生成される。これにより3次元のアトラクション映像を提供できる。
【0147】
また、本発明によれば、3次元スキャナ装置が、アトラクションのプレショーを提供するプレショールームに備えられ、アトラクションのメインショーを待っている時間に来客の画像を生成する。これにより、アトラクションのメインショーを待っている時間に効率よく来客の画像を生成できる。
【0148】
また、本発明によれば、キャストシナリオデータが記憶されており、また、背景画像が記憶されている。そして、背景画像中でキャストデータがキャストシナリオデータに従って動作するようにアトラクション映像が生成される。これにより、背景中で来客が登場し、動作する映像を提供できる。
【0149】
また、本発明によれば、キャストデータの顔の表情が、アトラクションストーリーに沿ったキャストの顔の表情を定めたキャストシナリオデータに従って変化される。これにより、来客の顔の表情が変化するアトラクション映像が生成される。来客が例えば怒ったり、泣いたりの演技をする映像を提供できる。
【0150】
また、本発明によれば、アトラクション映像がウエブ上で来客に提供される。これにより、来客がショーの後でも自分の演技の映像を楽しめる。
【0151】
また、本発明によれば、シアタが分割シアタと合体シアタの間でサイズを変更可能である。アトラクション映像は、分割シアタ映像と合体シアタ映像で構成される。そして、分割シアタ映像が分割シアタで提供され、合体シアタ映像が合体シアタで提供されるように、アトラクション映像の進行に応じてシアタサイズが変更される。分割シアタと合体シアタの組合せにより、各来客が十分な程度に登場するアトラクション映像であって、かつ、スケールの大きな映像も見ることができるアトラクション映像を来客に提供でき、来客の楽しさを増大できる。
【0152】
また、本発明によれば、分割シアタは、移動可能な仕切壁で仕切られている。したがって、仕切壁の移動により、分割シアタを合体シアタに変えたり、合体シアタを分割シアタに変えられる。
【0153】
また、本発明によれば、仕切壁が除去されたとき、複数の分割シアタに備えられる複数の分割スクリーンによって合体シアタの合体スクリーンが構成される。そして、合体スクリーンに応じたサイズの合体シアタ映像が、複数の分割シアタの来客に共通に提供される。これにより、仕切壁の除去に伴って合体スクリーンにスケールの大きい映像を提供できる。
【0154】
また、本発明によれば、複数のコンピュータの分散処理によりアトラクション映像が生成される。これにより、リアルタイムレンダリングの処理能力が確保され、リアルタイムレンダリングのキャスト画像とプレレンダリングの背景画像からなる映像を適切に生成できる。この点は、分割シアタ映像と合体シアタ映像を提供するときに特に有利である。すなわち、本発明によれば、リアルタイムレンダリングの能力を確保したことで、隣接する複数の分割シアタでの映像の進行のずれを防止することができ、これにより、分割シアタ映像から合体シアタ映像へ移行をスムーズに行える。
【0155】
また、本発明によれば、複数のシアタがシアタ仕切手段で仕切られており、シアタ仕切手段が除去可能である。アトラクションシステムは、シアタ仕切手段が除去されたときに複数のシアタの来客が向き合うことで共通体験をもつように構成されている。複数の合体シアタをさらに融合するので、より多くの来客を収容でき、かつ、それら多くの来客が一体感をもてるアトラクションを提供できる。
【0156】
また、本発明によれば、シアタ仕切手段は、アトラクション映像を提供するスクリーンを含む。これにより、スクリーンが移動すると別のシアタの収容客が互いに対面し、この意外性がさらに楽しさを増大できる。
【0157】
以上のようにして、本発明によれば、来客の楽しさを向上できるアトラクションシステムを提供できる。
【0158】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明してきたが、本実施の形態には種々の変形が可能であることが理解され、そして、添付の請求項が本発明の真実の精神と範囲内に入るようなすべての変形例を網羅することが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、アトラクション映像を提供するアトラクションシステムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明の実施の形態のアトラクションシステムを示す図である。
【図2】アトラクション映像生成装置および画像シナリオ保存サーバの機能ブロック図である。
【図3】アトラクションシステムの施設の平面図である。
【図4】アトラクションシステムの平面図であり、20人シアターを示す図である。
【図5】アトラクションシステムの施設を横方向から見た断面図であり、20人シアターを示す図である。
【図6】アトラクションシステムの平面図であり、80人シアターを示す図である。
【図7】アトラクションシステムの施設を横方向から見た断面図であり、80人シアターを示す図である。
【図8】アトラクションシステムの平面図であり、240人シアターを示す図である。
【図9】アトラクションシステムの施設を横方向から見た断面図であり、240人シアターを示す図である。
【図10】メインショールームのメインショー座席を示す図である。
【図11】本実施の形態で提供されるアトラクション映像の例を示す図である。
【図12】図11のアトラクション映像を図3のアトラクション施設で提供するための映像関係の構成を示す図である。
【図13】アトラクションシステムの全体を制御するアトラクション制御装置を示す図である。
【図14】アトラクションシステムの全体動作を示す図であり、プレショーの動作を示す図である。
【図15】アトラクションシステムの全体動作を示す図であり、メインショーの動作を示す図である。
【符号の説明】
【0161】
10 アトラクションシステム
12 3次元スキャナ
14 画像処理PC
16 アトラクション映像生成装置
18 画像シナリオ保存サーバ
20 映像送出装置
22 スクリーン
24 合成装置
26 同期装置
28 ウエブサーバ
30 背景データ記憶部
32 シナリオ記憶部
34 キャストデータ取得部
36 キャストデータ記憶部
38 シナリオデータ取得部
40 背景データ取得部
42 顔変更処理部
44 合成部
50 アトラクションシステム
52 アトラクション施設
54 シアタ
56 中央エリア
60 プレショールーム
62 メインショールーム
64 分割シアタ
66 合体シアタ
68 仕切壁
70 スクリーン
72 分割スクリーン
74 合体スクリーン
76 通路
78 メインショー座席
80 プレショー座席
82 天井
84 中央共通オブジェクト
90 アトラクション制御装置
92 映像制御部
94 音響制御部
96 シアタ制御部
98 仕切壁移動制御部
100 スクリーン移動制御部
102 天井移動制御部
104 仕切壁移動装置
106 スクリーン移動装置
108 天井移動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに向き合うように配置された複数のシアタと、
前記複数のシアタでそれぞれアトラクション映像を提供するアトラクション映像提供手段と、
前記複数のシアタのスクリーンを移動させて、前記複数のシアタの来客を対面させるスクリーン移動手段と、
を含むことを特徴とするアトラクションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のアトラクションシステムにおいて、
前記スクリーン移動手段は、前記スクリーンを下方へ移動して除去するスクリーン移動装置を含むことを特徴とするアトラクションシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアトラクションシステムにおいて、
互いに向き合う前記複数のシアタの中央には中央エリアが配置されており、前記中央エリアには、前記スクリーンの移動により対面した前記複数のシアタの来客から見える中央共通オブジェクトが配置されていることを特徴とするアトラクションシステム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のアトラクションシステムにおいて、
前記スクリーンを向く方向に対して後方へと各シアタの天井を移動する天井移動装置を備えたことを特徴とするアトラクションシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のアトラクションシステムにおいて、
互いに向き合う前記複数のシアタの中央には中央エリアが配置されており、前記スクリーン移動装置が前記スクリーンを移動するとともに前記天井移動装置が前記天井を移動したときに前記中央エリアの天井が来客の視界に入り、前記中央エリアの中央上方には、前記前記スクリーンの移動により対面した前記複数のシアタの来客から見える中央共通オブジェクトが配置されていることを特徴とするアトラクションシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のアトラクションシステムにおいて、
来客の画像を有するキャストの画像であるキャストデータを生成するキャストデータ生成手段と、
アトラクションストーリーに沿ったキャストの動きを定めたキャストシナリオデータに従って前記キャストデータを動作させることにより、来客がキャストになって演技するアトラクション映像を生成するアトラクション映像生成手段と、
を備え、前記アトラクション映像提供手段は、前記アトラクション映像生成手段により生成される前記キャストシナリオデータに従って前記キャストデータが動作する前記アトラクション映像を提供することを特徴とするアトラクションシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のアトラクションシステムにおいて、
前記キャストデータ生成手段は、来客の3次元画像を生成する3次元スキャナ装置を含み、3次元のキャストデータを生成することを特徴とするアトラクションシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のアトラクションシステムにおいて、
前記3次元スキャナ装置は、アトラクションのプレショーを提供するプレショールームに備えられ、アトラクションのメインショーを待っている時間に来客の画像を生成することを特徴とするアトラクションシステム。
【請求項9】
請求項6に記載のアトラクションシステムにおいて、
前記アトラクション映像生成手段は、前記キャストシナリオデータを記憶するシナリオ記憶部と、背景画像を記憶する背景画像記憶部とを含み、前記背景画像中で前記キャストデータが前記キャストシナリオデータに従って動作するアトラクション映像を生成することを特徴とするアトラクションシステム。
【請求項10】
請求項6に記載のアトラクションシステムにおいて、
前記アトラクション映像生成手段は、アトラクションストーリーに沿ったキャストの顔の表情を定めたキャストシナリオデータに従って前記キャストデータの顔の表情を変化させる表情変更手段を含み、来客の顔の表情が変化するアトラクション映像を生成することを特徴とするアトラクションシステム。
【請求項11】
請求項6に記載のアトラクションシステムにおいて、
前記アトラクション映像をウエブ上で来客に提供する手段を含むことを特徴とするアトラクションシステム。
【請求項12】
請求項6に記載のアトラクションシステムにおいて、
前記複数のシアタの各々が、メインショーの前記アトラクション映像が上映される部屋であるメインショールームと、前記メインショーが始まる前に来客が待ち、映像と音声によりショーの説明を受けるプレショールームとを備え、
前記キャストデータ生成手段は、前記プレショールーム内の来客の画像を有するキャストの画像であるキャストデータを生成し、
前記複数のシアタが互いに向き合う配置では、前記複数のシアタのメインショールームに対して、前記複数のシアタのプレショールームが外側に配置されていることを特徴とするアトラクションシステム。
【請求項13】
互いに向き合うように配置された複数のシアタの各々でアトラクション映像を提供するステップと、
前記複数のシアタのスクリーンを移動させて、前記複数のシアタの来客を対面させるステップと、
を含むことを特徴とするアトラクション提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−131637(P2009−131637A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328054(P2008−328054)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【分割の表示】特願2003−350623(P2003−350623)の分割
【原出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【出願人】(000151092)株式会社電通 (57)
【出願人】(596098966)株式会社電通テック (18)
【出願人】(503362522)株式会社ナル・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】