説明

アヘンからのアルカロイド類の抽出

アヘンを溶媒に溶解し、溶解したアヘン溶液を加熱し、溶解したアヘン溶液を冷却し、溶解したアヘン溶液のpHを少なくとも1種の第1の弱酸で合わせ、溶解したアヘン溶液を濾過して濾液を回収し;次いで、濾液から少なくとも1種のアルカロイドを分離および精製することを含む、少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。好ましくは、これは、溶解したアヘン溶液のpHを少なくとも1種の第1の酸で合わせた後に、アヘン溶液を冷却するさらなる段階を含む。濾液中の少なくとも1種のアルカロイドの好ましい分離および精製方法は、分取液体クロマトグラフィーの利用を含むが、しかしながら、溶媒抽出および濾過も利用できる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
アヘンは、モルヒネ、コデイン、テバインおよびナルコチンの産生に使用される鍵となる材料である。さらに、それはナルコチンの唯一の供給源である。アヘンは、パパベル・ソムニフェラム(Papaver Somniferum)の未熟なさやを切り、生じる液体を回収し、その液体を外界の条件で乾燥させることにより得られる。アヘンは、典型的には、個別に紙に包まれた塊(loaf)で得られ、特徴的な匂いのある黒色のタール質の物質である。
【0002】
主要な問題は、重要なアルカロイド類を効率的かつ効果的に分離する能力、および、アヘン残渣から重要なアルカロイド類を分離する能力である。アヘンを重要なアルカロイド類、即ち、モルヒネ、コデイン、オリパビン(oripavine)、テバイン、パパベリンおよびナルコチンに分離する、数々の方法がある。しかしながら、これらの技法の全ては、重要なアルカロイドに富み、最小量のアヘン残渣および他のアルカロイド類を含む材料で出発することにより大きく改善される。モルヒネ、コデイン、オリパビン、テバイン、パパベリンおよびナルコチン(ノスカピン(noscapine))を含む麻薬性のアルカロイド類を分離する最も一般的な方法は、溶媒抽出によるものである。分離には、精製および色の除去の両方が含まれる。次いで、分離された麻薬性アルカロイド類は、炭素吸着および沈殿により精製される。
【0003】
このタイプの修飾された溶媒抽出のある特別な例は、2000年4月25日に発行された Ma らの米国特許第6,054,584号に見出される。それは、モルヒネのみをアヘンから抽出する方法を開示しており、その方法ではアヘンを塩基性アルコール性溶液に溶解する。次いで、塩基性アルコール性溶液を濾過し、濾液からアルコールを除去し、残渣を残す。次いで、残渣を、低くとも11のpHを有する塩基性水性溶液で抽出する。塩基性水性溶液を濾過して水性抽出段階の後に残っている固体を除去してもよく、次いで、十分量の塩と撹拌し、乳液の形成を回避する。次いで、塩基性水性溶液または濾液をベンゼンまたはトルエンで抽出する。次に、塩基性水性濾液のpHを、pH8.5ないし9.5に合わせ、回収のためにモルヒネを沈殿させる。
【0004】
炭素の使用の他に、吸着を達成するための数々の異なるやり方がある。吸着を達成する一つのやり方は、イオン交換を介するものである。吸着を達成するまた他のやり方は、極性相互作用または順相吸着を介するものである。なお、吸着を達成するまた他のやり方は、膜の利用により分子サイズに基づいてアルカロイド類を他の成分から分離することを介する。
【0005】
重要なアルカロイド類を分離するためのアヘン加工方法の他の主要な方法は、水中でのアヘンの分散を基礎とし、次いで、塩酸による抽出が続く。次いで、プレートおよびフレーム(plate-and-frame)濾過による不溶性物質の分離が続く。次いで、クロロホルム抽出による他の重要なアルカロイド類からのモルヒネおよびコデインの分離が続く。水性のモルヒネおよびコデインの流れを石灰で処理して、メコン酸を除去する。次いで、数回の再結晶を使用して、モルヒネを精製する。次いで、モルヒネおよびコデインを、トルエン抽出により分離し、次いで、水性のモルヒネの流れをフーゼル油で抽出する。酸抽出および蒸発により、残っているアルカロイド類をクロロホルムから分離する。次いで、ナルコチン、パパベリンおよびテバインを、分別再結晶により得る。
【0006】
重要なアルカロイド類を分離するための好ましい方法は、分取液体クロマトグラフィーの使用によるものである。この方法には、固定相の媒体をクロマトグラフィーカラムに充填し、粗製の麻薬性アルカロイド溶液をそのクロマトグラフィーカラムに供給し、少なくとも1種の移動相をクロマトグラフィーカラムにアプライし、少なくとも1種の麻薬性アルカロイド溶出液をクロマトグラフィーカラムから回収することが含まれる。この方法は、出典明示により全体を本明細書の一部とする、2003年9月12日に公開された国際特許出願番号WO03074526に開示されている。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、上記の問題の1つまたはそれ以上を克服することを対象とする。
【0008】
発明の要旨
本発明のある態様では、少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法が開示される。この方法には、アヘンを溶媒に溶解し、溶解したアヘン溶液を加熱し、溶解したアヘン溶液を冷却し、溶解したアヘン溶液のpHを1種またはそれ以上の幾らかの強ないし弱酸で合わせてアヘンの濾過性を改善し、有用なアルカロイド類を抽出し、低温に冷却してさらに濾過性を改善し、溶解したアヘン溶液を濾過して濾過ケーキを形成し、次いで、その濾過ケーキを洗浄し、より溶解されたアルカロイド類を回収することが含まれる。使い果たした濾過ケーキは廃棄してよい。次いで、濾液および洗浄液をさらに加工して、精製されたモルヒネ、コデイン、テバインおよびナルコチンを回収する。酸のpHは大幅に変動できるが、しかしながら、収率を改善するために、強酸(例えば、塩酸)の使用は典型的には回避される。
【0009】
これらは、本発明の無数の態様のいくつかにすぎず、本発明に関連する無数の態様の全てを包含する列挙と見なすべきではない。これらおよび他の態様は、以下の開示および添付の図面に照らして、当業者に明らかとなろう。
【0010】
図面の簡単な説明
本発明のより良好な理解のために、添付の図を参照し得る。図中、
図1は、定圧バッチ濾過実験のグラフのプロット、t/V対体積のプロットである;
図2は、塩酸と酢酸を比較する、酸消化段階における上清液中のアルカロイド類の濃度のグラフのプロットである;
図3は、アッセイ(g/L)対時間(時間表記で)の、pH9.0でのアルカロイドのブタノール抽出のグラフのプロットである;そして、
図4は、アヘンケーキ抵抗に対する酸消化温度の影響のグラフのプロットである。
【0011】
発明の詳細な説明
以下の詳細な説明において、発明の綿密な理解を提供するために、多数の特定の詳細を記載する。しかしながら、当業者は、本発明はこれらの特定の詳細を用いなくても実行し得ることを理解するであろう。他の場合では、本発明を不明確にしないために、周知の方法、操作および区画を詳細に記載しなかった。
【0012】
重要なアルカロイド類、即ち、モルヒネ、コデイン、オリパビン、テバイン、パパベリンおよびナルコチンの分離に関わる、2つの重要な操作がある。第1は、アルカロイドを含有する濾液を、不溶性のアヘン残渣から分離する濾過段階である。定圧バッチ濾過のモデルは、
【数1】

と示され得る。
【0013】
濾過面積を、変数「A」により、好ましくは平方メートル表記で示す。アヘンケーキの抵抗パラメーターを、変数「K」により示し、好ましくは秒/メートル表記である。圧力を変数「P」により示し、好ましくはニュートン/メートル表記である。変数「R」は、媒体抵抗を示し、好ましくは1/メートル表記である。変数「t」は、経過時間であり、好ましくは秒表記である。変数「V」は体積であり、好ましくは立方メートル表記である。変数「α」は、アヘンケーキ抵抗を示し、好ましくはメートル/キログラム表記であり、変数「μ」は、濾液の粘性を示し、好ましくはニュートン−秒/メートル表記である。変数「cs」は、濾過しようとするスラリー中の固体濃度を表し、好ましくは固体のkg/立方メートル表記である。最後に、変数「B」は、濾過の式における媒体抵抗パラメーターであり、好ましくは秒/メートル表記である。
【0014】
従って、定圧バッチ濾過実験で、t/V対体積のプロットは、線形、直線の、傾き「K/2」および切片「B」の式を表す。液体の粘性、濾過面積、スラリー中の固体濃度およびフィルター前後の圧力低下がわかれば、特定のアヘンケーキ抵抗「α」および媒体抵抗「R」を解答できる。例示的な、しかし非限定的な、定圧濾過プロットを図1に図解する。
【0015】
図1に示される例示的問題では、固体濃度は114.32kg/mと見出された。HOの粘性は、8.937x10−4Ns/mであり、フィルター前後の圧力低下は90,000N/mであり、濾過面積は0.01767mであった。データ点を通る線の傾きKp/2は、0.0000151分/cmまたは1.812x10s/mである。次いで、アヘンケーキ抵抗の値を解答して、以下を得る:
【数2】

【0016】
回帰直線の傾きは、線状である。これは、アヘンケーキが濾過中に圧縮されないことを示す。さらに、粒子による濾過媒体の結合は、起こらない。
【0017】
アヘンケーキ抵抗が圧力と共に変動するならば、アヘンケーキは圧縮性である。アヘンケーキが圧縮性であるならば、フィルター前後の圧力低下の増加は、濾過速度の比例的増加をもたらさないであろう。回帰直線は、曲がるであろう(非線形)。極端な場合、圧力が増加しすぎると、濾過の流動は実際には低下し得る。アヘンケーキの圧縮は、アヘンケーキの個々の粒子が一緒に押しつけられるのに伴いアヘンケーキ中の空隙容量が減少することに、または、アヘンケーキ中の粒子の変形に、起因し得る。アヘンケーキの圧縮性は、圧力とアヘンケーキ抵抗との関係を決定する実験を実施することにより見積もることができる(α=α(△P))。
【0018】
濾過速度は、アヘン粒子により媒体が詰まることによっても悪影響を受け得る。これは、濾過媒体中の空き部分と比較して、粒子が相対的に小さいときに、最も一般的である。これは、粒子による濾過媒体の閉塞をもたらす。
【0019】
アヘンケーキの圧密および媒体の詰まりの問題には、いくつかの手段で取り組み得る。アヘンケーキの圧密は、濾過中圧力低下を低減することにより、濾過助剤の添加により、または、バッチを冷やして粒子の堅さを高めることにより、最小化し得る。アヘンはタールを含有し、それは、濾過中のバッチ温度を下げることにより、より柔軟でなくすることができる。媒体の詰まりは、適正な媒体の選択により、濾過助剤により媒体を事前に被覆することにより、そして、各バッチの間に媒体を逆洗浄して埋まった細粒を除去することにより、低減できる。
【0020】
アヘンからの重要なアルカロイド類、即ち、モルヒネ、コデイン、オリパビン、テバイン、パパベリンおよびナルコチンの分離に関わる第2の主要な操作には、分散したアヘン内から周りの溶液への重要なアルカロイド類の拡散が含まれる。フィックの拡散第2法則は、一般的に以下の通りに表すことができる:
【数3】

【0021】
この式は、拡散するアルカロイド「A」の濃度変化速度は、アルカロイドの流束のバラツキ(divergence)に比例することを示す。変数「C」は、モル/メートル表記のアルカロイド「A」種の濃度である。変数DABは、メートル/秒表記の、アルカロイド種「B」を通るアルカロイド種「A」の拡散性である。変数「t」は、経過時間であり、好ましくは秒表記である。分散したアヘン粒子の表面での流束は、アルカロイドの濃度に比例すると考えられる:
【数4】

これは、自然の、または強いられた、分散したアヘン粒子の表面での対流を表す。表面におけるアヘン粒子からのアルカロイドの流束は、バルクの液相と分散したアヘン粒子の表面との間の濃度差に比例する。比例定数「k」は、物質移動係数として知られ、粒子のサイズと形、流動する液体および拡散する種の物理特性、および流動する液体のアヘン粒子に対する速度の関数である。従って、物質移動係数の見積もりのための相関に基づいて、分散したアヘン粒子からの重要なアルカロイドの抽出速度は、アヘンの粒子サイズが小さくなるにつれ、または、アヘン懸濁液の撹拌を増やすにつれて、増加すると考えられる。しかしながら、両方のプロセスに上限がある。例えば、アヘン粒子が細かくなりすぎると、ケーキの圧縮またはフィルター媒体の詰まりのために、濾過はより困難になり得る。
【0022】
アルカロイド類の抽出における他の改善は、溶媒または温度を変えることにより行い得る。例えば、より良好な酸(または溶媒)の選択または抽出温度の上昇は、アルカロイド類の移動性またはアヘンの溶解性を高め得る。しかしながら、2つの限定的事例が存在する。第1の事例は、粒子を通っての拡散が、粒子表面での流束よりも遅い場合である。これは、粒子サイズを低減させることにより抽出速度が高まり、混合の強さを高めることによらない場合である。第2の事例では、粒子を通っての拡散が、粒子表面での流束よりも速い。これは、撹拌により、およびまた、粒子サイズの低減により、抽出速度が高められ得る場合である。
【0023】
実験操作
典型的な実験は、例示的な、しかし非限定的な設備で実行した。これには、配合機、例えば、OSTERIZER(登録商標)2速配合機でアヘンを最初に分散させることが含まれる。OSTERIZER(登録商標)は、5400 W. Roosevelt Road, Chicago Illinois 60650 に住所を有するデラウエア州の法人である、the Sunbeam Corporation の、連邦政府によって登録された商標である。配合機の速度の測定は、好ましくは、回転速度計、例えば、Extech Instruments Photo/Contact Tachometer, Model No. 461895 により実施する。バッチ温度は、水銀温度計で測定する。pHは、温度を自動的に補正するpHメーターで測定する。混合は、磁気撹拌子を利用する撹拌/ホットプレートで実施する。濾過は、断りのない限り、15センチメートル(6インチ)ブフナー漏斗で、WHATMAN(登録商標) No. 40 濾紙を使用して実施する。WHATMAN(登録商標)は、Whatman House, St. Leonard's Road, 20/20 Maidstone Kent, Me16 0ls, England に住所を有する Whatman International Limited の、連邦政府によって登録された商標である。濾過はまた、圧力制御を有する真空ポンプ、例えば、BUCHI(登録商標) VAC-O-BOX(商標)、または、真空を調節するための真空計および手動ニードル弁を有する真空ポンプを用いて達成される。BUCHI(登録商標)は、Meierseggstrassse 40, 9230 Flawil, Switzerland に住所を有するスイス国の法人 Buchi Labortechnik AG の、連邦政府によって登録された商標である。
【0024】
典型的な実験バッチの、例示的な、しかし非限定的な例には、脱イオン(DI)水500ミリリットルにアヘン119グラムを分散させ、次いで、必要に応じて温度を合わせることが含まれる。次いで、酸を添加してpH3.0を達成し、次いで、バッチを特定の温度で、特定の時間にわたり、消化した。消化期間の満了後、濾過助剤20グラムを添加し、必要に応じてバッチを冷却する。懸濁液を冷却した後、次いで、バッチを濾過する。次いで、母液およびケーキを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、重要なアルカロイド類についてアッセイする。実験のいくつかでは、重要なアルカロイド類の抽出速度を得るために、アヘン懸濁液を酸添加後の間隔でアッセイした。幅広い様々な酸および溶媒を試験した。加えて、プロセス温度を幅広い範囲で試験した。最後に、乏しい濾過性を導く構成分のいくつかを破壊する試みに利用する酵素を決定するための実験を実行した。
【0025】
濾過段階の間に、濾液の体積および経過した濾過時間を記録した。秒表記の経過時間(t)/立方メートル表記の濾液の体積(V)、対、立方メートル表記の濾液の体積(V)のプロットを得た。次いで、曲線の傾きを算出できる。次いで、フィルター前後の圧力低下を記録する。濾過段階の完了後、アヘンケーキのサンプルを乾燥し、アヘンケーキ中の水分レベルを得る。次いで、乾燥残渣のグラム数を濾液体積で割ることにより、固体の濃度を得た。次いで、濾液の粘性を純水と同一であると仮定する(1cPまたは8.937x10−4kg/ms)。次いで、アヘンケーキの特定の抵抗を、直接計算する。
【0026】
濾過は、また、「ポケットフィルター」を用いても可能である。それは、好ましくは、必須ではないが、ステンレス綱で構築されている。ポケットフィルターは、圧力および真空濾過の両方を実施するように形成されている。ポケットフィルターは、ジャケットと共に提供され、濾過温度を制御するための再循環加熱器/冷却器に連結される。
【0027】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)アッセイのために、容量測定フラスコ中でアリコートを100倍に希釈することにより、溶液サンプルを調製した。最初に、サンプルを希釈するための溶液は、好ましくは、必須ではないが、50%メタノール/50%(1%酢酸)v/vであった。しかしながら、この場合、メタノールが、ナルコチンおよびパパベリンに採用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の方法に干渉する。従って、後者のサンプルは、弱酸、例えば1%酢酸で希釈した。アヘンケーキサンプルは、超音波を使用して、ケーキを容量測定容器、例えばフラスコ中で分散させることにより、調製した。アヘンケーキサンプルのアリコートを、フィルター、例えば0.45ミクロンシリンジフィルターを通して、アッセイに先立ち濾過した。
【0028】
各溶媒を用いていくつかの実験を実行して、アルカロイド類を精製または分離するための液体抽出を調べた。これらの実験では、希酢酸で容量まで希釈するのに先立ち、溶媒層のアリコートを蒸発乾固した。このやり方でアリコートを蒸発させ、クロマトグラフィーアッセイの保持時間およびピークの形に対する溶媒の影響を排除する。有機層中のアルカロイドの濃度を、水層中のアルカロイドの濃度で割ることにより、分配係数を得た。液体抽出後のラグ層の消失は、混合容器、例えばシリンダーを、水性溶液および溶媒で満たすことにより行った。次いで、混合容器、例えばシリンダーをストッパーで密封し、予め定めた時間間隔で、一定速度で震盪し、次いで、経時的に界面レベルを記録する。
【0029】
アヘンアッセイの結果は変動し得、ある種の条件下では、対をなすピークがクロマトグラムに現れ得る。結果として、50%メタノールの使用は、好ましくない。最終物質収支を得るのが不可能な場合、濾過ケーキ中に残っているアルカロイドのアッセイを、この方法のベンチマークとして利用できる。
【実施例】
【0030】
実験I
実験Iの目的は、酢酸と関連づけて塩酸の性能のデータを並べて得ることであった。酸消化は、室温で96時間行った。アルカロイド類のアヘンからの抽出速度を試験するために、アヘン懸濁液からある間隔でサンプル採取し、アッセイを実施した。
【0031】
脱イオン水1リットルおよびアヘン238グラムを配合機に添加することにより、アヘンを分散させた。配合機を「ピューレ」で操作した。これは、14,046RPMまたはレイノルズ数725,791、2分間である。スラリーを2つの三角フラスコに分ける。配合機の底にタールの塊が残った。次の段階は、水100ミリリットルの添加であった。次いで、配合機を「液化」に設定した。これは、20,495RPMまたはレイノルズ数991,216、30秒間である。2つの三角フラスコへの等分配は行わなかった。これに続き、全スラリーを配合機に戻し、さらに10秒間、「液化」で加工した。次いで、スラリーを2つの三角フラスコに分けた。スラリーは、非常に泡の多い外見であった。各三角フラスコのpHを3.0に合わせた。一方の三角フラスコでは、pHを塩酸(37%)で合わせ、他方の三角フラスコでは、pHを氷酢酸で合わせた。これに続き、アリコートを回収し、各三角フラスコから1.00グラムのサンプルを得、シリンジフィルターを通して濾過した。酸中で96時間消化した後、次いで、濾過助剤20グラムを各三角フラスコに添加した。
【0032】
次の段階は、1時間の撹拌であり、次いで、WELCH GEN(商標) 8890(商標)真空ポンプに並行して連結した2つの12.5−cmブフナー漏斗を通して、各三角フラスコの内容物を濾過した。WELCH GEN(商標) 8890(商標)真空ポンプは、フィルター前後の圧力差水銀柱650ミリメートルで作動するように設定する。酢酸を利用する濾過は、1時間29分で完了した。780ミリリットルの濾液の回収があった。塩酸を利用する濾過は、1時間40分で完了した。560ミリリットルの濾液の回収があった。各濾液からサンプルを回収した。次いで、これらのサンプルを希釈し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)アッセイに付した。
【0033】
次いで、アヘンケーキを水中で再度スラリー化し、pHを3.0に合わせた。次いで、ケーキを濾過し、2回目の洗浄をした。さらに、アヘンケーキを再度スラリー化し、濾過し、次いで3回目の洗浄をした。次いで、全濾液からサンプルを取り、次いで、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)アッセイに付した。
【0034】
酸消化段階における上清液体中のアルカロイド類の濃度のプロットを、塩酸と酢酸を比較して、図2に提示する。結果は、モルヒネを除く全アルカロイド類が、4時間の内に(最初のデータ点までに)抽出されたことを示すと思われる。モルヒネの例外があり得るが、アルカロイド類の拡散は速すぎて、物質移動パラメーターを見積もるためのデータを得ることが不可能であった。モルヒネ抽出は、24時間の内に完了した。アルカロイド類の濃度は経時的に低下しないので、これらの結果は、pHが3.0であるとき、アルカロイド類が室温で96時間まで安定であることも示唆できる。
【0035】
ここで、表1を参照すると、各濾過について母液のアッセイが提示されている。収率は、米国薬局方(USP)で特定されている通りに、アヘン塊に対して実施したアッセイに基づく。3回目の濾過の後、いずれの濾過ケーキにも検出可能なアルカロイド類は存在しなかった。
【0036】
表1−濾過アッセイ(アルカロイドのグラム数)
【表1】

【0037】
実験の次の部は、アルカロイド類を分離および精製できるように、様々な溶媒を試験して液体抽出に可能な候補を同定することであった。濾液50ミリリットルおよび溶媒50ミリリットルを、100ミリリットルの混合シリンダーに入れた。100ミリリットルのシリンダーを、約毎秒1震盪で、30秒間震盪した。100ミリリットルの混合シリンダーを静置し、ラグ層の底部と上部の位置を経時的に記録した。アヘンの塩酸抽出の一試行の結果を表2に提示し、酢酸抽出の一試行の結果を表3に提示する。使用した4種の溶媒は、トルエン、ヘキサン、n−ブタノール(n−BuOH)およびイソペンチルアルコール(i−C5OH)であった。
【0038】
表2−混合シリンダー研究、塩酸抽出物
【表2】

【0039】
表3−混合シリンダー研究、酢酸抽出物
【表3】

【0040】
このデータは、トルエン中の乳液層は、2分以内に消失し、ヘキサン中の乳液層は5分以内に消失することを明らかにする。ブタノール中の乳液層は、3分以内に消失する。中間面が見難いので、乳液層がそもそも存在するのか否かについての問題がある。乳液は、イソペンチルアルコールでは、3分以内に消失する。今度も、中間面が見難いので、この乳液層がそもそも存在するのか否かについての問題がある。水相と2種のアルコール類との間の中間面は、約5ないし10分間低下し続ける。
【0041】
有機溶媒としてクロロホルムを使用して、同様の実験を実行した。混合シリンダーを震盪した最初の時に混合シリンダーの内表面にタールの薄層が形成されたので、この状況では、中間面は非常に観察し難かった。結果は、アヘンの酢酸抽出から得られる液からなくなるのに、約13分間を要する乳液層であった。乳液は、アヘンの塩酸抽出から得られる液から、約2分以内になくなった。続いて、次の震盪を行った。それは、乳液を再形成させなかった。これは、乳液を安定化するタールが、クロロホルムの存在下で不可逆的に変性されることを示唆すると思われる。
【0042】
混合シリンダー研究の完了後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)アッセイのために層からサンプルを取り、各系について分配係数を得た。しかしながら、pH3.0で、トルエンまたはヘキサン層中のアルカロイドの有意な濃度はなかった。結果として、下表4に示す通り、分配係数は、n−ブタノール、イソペンチルアルコールおよびクロロホルムについてのみ報告する。
【0043】
表4−アルカロイド分配係数、pH3.0
【表4】

【0044】
これらの結果は、酢酸がアルカロイド類の有機溶媒への分配を増強すること、または、アルカロイド類の酢酸塩が、溶媒中で塩酸塩より安定であることを示唆する。これは、アヘンを溶解する段階で酢酸を塩酸に置換すると、クロロホルム抽出の間のアルカロイド類の分離能の損失があり得ることを暗示する。
【0045】
モルヒネ、コデインおよびテバインの分配係数を、等体積の水性溶液(酢酸で抽出したアヘン)と有機溶媒の混合物のpHを合わせることにより、pH9.0でも得た。相を分離させ、各層のアリコートを取った。結果を下表5に提示する:
【0046】
表5 アルカロイド分配係数、pH9.0
【表5】

【0047】
トルエン系では、有機層全体が、僅かなタール性残渣と共に、水層に乳化した。ヘキサン系では、液体中間面でゴム層が形成され、それは、震盪の際に消失するであろう。中程度のタール層が水相に形成された。ブタノール系では、各相が等しく暗色であるので、中間面は認識し難い。しかしながら、乳液またはタールは、存在するように見えない。イソペンチルアルコール系では、有機層中に乳液があった。両相は暗色であった。これらの高い分配係数は、n−ブタノールまたはi−ペンチルアルコールを、アヘンからのアルカロイド類の抽出に使用できることを示唆する。
【0048】
実験II
この実験では、アルカロイド類をアヘンから、アルカリ性条件下で、n−ブタノールおよびi−ペンチルアルコールを用いて抽出することを企図した。アヘン237グラムおよび脱イオン(DI)水500ミリリットルを、配合機に入れた。「ピューレ」の設定でアヘンを加工した。これは、14,046RPMまたはレイノルズ数679,329の速度で、1分間であった。次いで、配合機を「混合」に設定した。これは、16,283RPMまたはレイノルズ数787,536の速度で、1分間であった。次いで、配合機を「液化」に30秒間設定した。次いで、スラリー約450ミリリットルを、2つの三角フラスコの各々に移した。続いて、n−ブタノール500ミリリットルを一方のフラスコに添加し、i−ペンチルアルコール500ミリリットルを他方のフラスコに添加した。撹拌しながら、各フラスコのpHを9.0に合わせた。撹拌は、1時間であり、次いで、有機層のサンプルを回収した。フラスコを室温で24時間撹拌し、次いで、20グラムの濾過助剤を各フラスコに添加した。さらに1時間撹拌した後、フラスコを濾過した。濾過は、12.5センチメートルのブフナー漏斗で、WHATMAN(登録商標) No. 40 濾紙を用いて行った。
【0049】
真空ポンプは、水銀柱650ミリメートルに合わせた。濾過時間は、ブタノールのフラスコで1時間19分、ペンチルアルコールのフラスコで2時間17分であった。濾液の体積は、各々750ミリリットルおよび800ミリリットルであった。濾過ケーキを、各々水250ミリリットル中で再スラリー化し、次いで、新しい溶媒500ミリリットルを添加した。次いで、10グラムの濾過助剤を各フラスコに添加した。次いで、各フラスコを1時間撹拌し、次いで、濾過した。これを3回目の濾過について繰り返した。n−ブタノール抽出の2回目および3回目の濾過は、各々約1時間で完了し、一方、i−ペンチルアルコール抽出の2回目および3回目の濾過は、各々4時間を要した。各相のアリコートを取り、分析に付した。
【0050】
分析結果は、モルヒネが抽出段階中に崩壊したことを明らかにしている。続く調査は、図3に示す通り、酸素の存在下でpHが6より高いとき、モルヒネは非常に不安定であることを明らかにした。これらの結果は、最初に存在したモルヒネの約半分が24時間後に崩壊したことを我々に知らせる。モルヒネおよびコデインの収率は、理論的期待量のわずか40%ないし60%であった。長い濾過時間と乏しい収率の組合せは、これらの方法のいずれも、成功する商業的プロセスに拡大されないことを示唆する。しかしながら、トルエン中のアルカロイド分配係数は、アヘン加工の他の態様で有用であると判明した。コデインおよびテバインの濃度は、最初の1時間後に変化しない。このことは、物質移動が1時間以内に完了することを示唆する。今度も、これらの2種のアルカロイド類の拡散は速すぎて、拡散パラメーターを得ることは不可能であった。
【0051】
実験III
第1段階は、アヘン119グラムおよび脱イオン(DI)水300ミリリットルを配合機に添加することであった。配合機は、「液化」に設定した。次いで、スラリーを三角フラスコに移した。続いて、配合機を脱イオン(DI)水100ミリリットルの洗浄液で2回すすぎ、処理の間、各洗浄につき配合機を「液化」とした。両洗浄液を三角フラスコに移した。氷酢酸125ミリリットルを使用して、pHを3.03に合わせた。これを室温で終夜撹拌した。続いて、濾過助剤20グラムを添加し、次いで、12.5センチメートルのブフナー漏斗を通して濾過した。濾過は、濾液100ミリリットルにつき約15分間と、非常に遅かった。次いで、濾液50ミリリットルおよび等体積の水を三角フラスコに添加した。続いて、トルエン100ミリリットルをフラスコに添加した。硫酸アンモニウム1グラムを添加した。1:2の50%水酸化ナトリウム:水(v/v)で、pHを10.0に合わせた。これを、12.5センチメートルのブフナー漏斗で、WHATMAN(登録商標) No. 40 濾紙を用いて濾過した。
【0052】
バッチの濾過後でさえ、トルエン層は完全に乳化しているように見えた。濾液を分液漏斗に移し、層を分離させた。5:25濃硫酸:水(v/v)35ミリリットルを使用して、水層のpHを3.6に合わせた。5%酢酸(v/v)100ミリリットルでトルエン層を逆抽出した。
【0053】
アヘン供給溶液は、ほぼ黒色で不透明であった。トルエン酸抽出からの水層は、透明の桃色がかった茶色であり、薄い紅茶の色のようであった。高速液体クロマトグラフィーアッセイは、供給溶液はわずか15面積パーセント(%)のテバインであるが、トルエン酸抽出からの水層は、55面積パーセント(%)のテバインおよび28面積パーセント(%)のコデインであることを明らかにした。乳液は存在するが、このことは、テバインを部分的に精製できること、および、色の大部分は、液体抽出を使用して除去し得ることを示唆する。
【0054】
実験IV−XXIII−アヘン分散
これらの実験の目的は、様々な酸およびアヘンの抽出および濾過の条件を試験することであった。試験した酸は、酢酸、塩酸、蟻酸、リン酸、硫酸、蟻酸と酢酸の混合物、および塩酸と酢酸の混合物であった。実験条件には、消化段階の期間、予処理の温度、消化の温度および濾過温度が含まれる。実験条件のまとめおよび濾過データを、表6に提示する。アヘン抽出および濾過プロセスを、次の段階に分ける:(1)配合機での分散を含む予処理、または熱処理;(2)酸消化段階;および(3)濾過段階。
【0055】
表6−濾過データ
【表6】

【0056】
調査した独創的概念の1つは、配合を使用することによる、アヘン粒子の粒子サイズ分布の濾過速度に対する影響であった。実験操作は、様々な回転速度および期間で、配合機中にアヘンを加える処理に進んだ。使用した2種の回転速度は、配合機を20,495RPMまたはレイノルズ数991,216である「液化」に設定すること、および、配合機を16,283RPMまたはレイノルズ数787,536である「混合」に設定することであった。実験IVおよびVのデータは、配合の期間はケーキ抵抗に有意に影響しないことを示唆する。実験VIおよびVIIのケーキ抵抗は、最初の2つの実験を総括する。このことは、消化時間が、ケーキ抵抗に対して、配合速度または配合期間よりも大きい影響を有することを示唆する。配合は、また、中程度の大きさの小片(直径2センチメートルまで)が刃の下に留まり得るので、高度に不均一なアヘン懸濁液も産生し得る。これらのアヘン小片は、配合機の基部に振り落とすために、手動の労力を要し、分散させるためにさらなる配合時間を要する。しかしながら、アヘンは加熱すると分散することが、実験XVIIにより明白になる。懸濁液を十分加熱した場合、生のアヘンを三角フラスコの口に適合する小片に刻むことだけが必要であった。
【0057】
この調査の主要な結果の1つは、アヘンの熱による予処理が濾過に対して有する影響であった。アヘンは、摂氏70°より高温で撹拌すると、非常に細かい懸濁液に分散および溶解する傾向がある。結果として、生のアヘンを、溶解段階に使用するフラスコの口を通るのに適合する1センチメートルないし2センチメートルの小片に刻むことだけが必要であった。アヘン小片のサイズには、実用上の制限がある。生のアヘンは、新聞紙、グラシン紙および茶色い紙袋の包装紙で包装されている。これらの包装物を、装置を塞がず、加工に使用する水および酸にアヘンを露出する点まで、小さいサイズにしなければならない。結果として、例えば鋸歯状撹拌機を使用して、生のアヘンを切り刻むことは、恐らく依然として必要であろう。
【0058】
熱による予処理の第2の効果は、濾過を閉塞させる生のアヘン中の構成分のいくつかを変性させることである。実験XIII、XVIおよびXXは、予処理温度が高まるにつれて、ケーキ抵抗が減少することを示す。実際に、ケーキ抵抗は、摂氏50°の予処理温度と15分間の沸騰との間で、6.8倍減少した。この効果の一部は、より低い濾過温度によるものでもある。
【0059】
様々な酸を使用して、アヘンからアルカロイド類を抽出した。強酸、即ち塩酸を用いて実施した抽出物は、弱酸、即ち酢酸を用いて実施した抽出物よりも、容易に濾過される。硫酸およびリン酸は、塩酸と酢酸で得られるものの間の抵抗を有する濾過ケーキを産生する。1%酢酸を含む蟻酸は、純粋な蟻酸または蟻酸および5%酢酸よりも抵抗の小さい濾過ケーキを産生できた。しかしながら、これは、部分的には予処理温度によるものでもあり得る。
【0060】
これらの結果は、酸消化時間が増すにつれて、ケーキ抵抗が減少することを示す。酢酸で実施した抽出物のケーキ抵抗は、2時間の消化後に7.03x10−13m/kg(実験VI参照)、24時間の消化後に4.79−13m/kg(実験IV参照)、96時間の消化後に1.32−13m/kg(実験VIII参照)である。同様に、蟻酸で実施した抽出物のケーキ抵抗は、消化時間が3時間から24時間に増加すると、半分まで減少する。実験IXおよびX参照。
【0061】
酸および消化時間の効果は、濾過を制限するいくつかのアヘン中の構成分が、酸への露出により変性し、露出が長いほど、または酸が強いほど、これらの成分がより完全に変性することを示唆する。少量の酢酸が存在することに、いくつかの利点があるとも思われる。これは、酢酸の溶媒特性によるものであろう。しかしながら、大量、即ち、5%酢酸またはそれ以上の場合、ケーキ抵抗は増加する。このことは、中程度に強い酸と、いくつかの良好な有機溶媒特性を有する弱酸の組合せが、最良の濾過ケーキを産生することを示唆する。
【0062】
酸消化温度の上昇は、ケーキ抵抗を低下させる。図4に示す通り、実験XVII、XIX、XXI、XXIIおよびXXIII参照。これらのデータは、ケーキ抵抗は、摂氏50°より低いと消化温度に非常に敏感であるが、ケーキ抵抗は、摂氏50°より高いと消化温度に敏感ではないことを示す。これらのデータは、全て、沸騰させ、次いで蟻酸および1%酢酸中で3時間消化するアヘンの予処理に基づく。
【0063】
アヘン濾過ケーキは、最良の環境下では、かなり柔軟である。その結果、過剰な圧力は、ケーキを圧縮させ、それにより、濾過の流動への抵抗を高めることが可能であり得る。後述の通り、ポケットフィルターを用いてその場で(on-site)実行した試験は、温度が下がるにつれて、ケーキ抵抗が低下することを明らかにした。データは、摂氏15°以下の温度で、ケーキ抵抗が減少することを示唆する。このことは、アヘンケーキが、より少ない圧密でも、摂氏15°より低い温度でより堅くなることを示唆する。
【0064】
濾液中の回収されたアルカロイドの割合を、下記の表7に示す。この値は、濾液中にある回収されたアルカロイドの割合を表す。この回収されたアルカロイドには、濾液中のアルカロイドおよびアヘンケーキ中の残留物が含まれる。これは、抽出およびアヘンケーキ洗浄の効率の測定である。しかしながら、洗浄は、大量の水では行わなかった。それらは、典型的には、比較的少量の水(2x50ミリリットル)で行った。これらの実験の目的は、好適または非好適な濾過効率をもたらす条件の指示を提供することであった。
【0065】
実験データは、沸騰による予処理が、アヘンケーキからのアルカロイド類の回収を高めることを示唆する。これに一致して、実験XVIIおよびXIXは、実験XVIIIより高く、濾液中のアルカロイドを回収した。消化の期間(実験VIおよびVIII参照)も、重要な役割を果たすと思われ、消化が長いほど、回収が高い。塩酸の使用(実験XXII参照)は、蟻酸ほど効率的な回収を押し進めないとも思われる。このことは、蟻酸の何らかの優れた溶媒特徴が、アルカロイド類の回収に有益であることを示唆し得る。しかしながら、アヘン懸濁液の沸騰後の消化温度(実験XVII、XX、XIおよびXIII参照)は、抽出の効率に影響しないように思われる。
【0066】
表7−濾過ケーキからのアルカロイドの回収(濾液中の回収されたアルカロイドの割合)
【表7】

【0067】
次いで、濾過面積20平方センチメートルの、ジャケットを有するステンレス綱のポケットフィルター、圧力調節のある窒素シリンダー、BUCHI(登録商標) VAC-O-BOX(商標)真空ポンプ、および、再循環冷却器/加熱器で実験を実施した。例示的な、しかし非限定的な、ジャケットを有するステンレス綱のポケットフィルターは、9123-115 Monroe Road, Charlotte, North Carolina 28270 に住所を有する BHS Filtration Inc. により製造されている。
【0068】
操作には、脱イオン(DI)水1,500ミリリットルおよびアヘン357グラムを三角フラスコに入れることにより、バルクのアヘン懸濁液を作成することが含まれる。フラスコを約15分間穏やかに沸騰させ、次いで、摂氏50°に冷却した。フラスコが冷えた後、酢酸15ミリリットルを加え、蟻酸でpHを3.0に合わせた。フラスコを3時間摂氏50°で撹拌し、次いで、濾過助剤60グラムを加えた。濾過助剤を加えた後、フラスコをさらに1時間撹拌した。
【0069】
濾過試験は、典型的には、アヘンスラリーのアリコート100ミリリットルを用いて実行した(実験XVIIIは、スラリー75ミリリットルを用いて実行した)。アヘンスラリーをポケットフィルターに加え、それに濾過媒体を供給した。窒素シリンダーをポケットフィルターに連結し、所望の圧力を調節器で設定することにより、圧力濾過を実施した。濾液をメスシリンダーに回収し、ストップウオッチで時間を計った。VAC−O−BOX(商標)およびポケットフィルターを濾過フラスコに連結することにより、真空濾過実験を実施した。続いて、真空フラスコへの濾液の流れの時間を計る。
【0070】
次いで、圧力濾過を、1、2、3、4および6バールゲージの圧力で実行し、そして真空濾過を、−0.8、−0.84および−0.91バールで実施した。洗浄は、典型的には1%蟻酸15ミリリットルで実施した。
【0071】
データは、圧力濾過の条件下で、ケーキの圧密が起こることを示した。圧力の上昇は、濾過時間の比例的短縮を導かなかった。加えて、圧力濾過は、典型的には濾過媒体の詰まりを導いた。最良の試行のための鍵となる濾過データを、下記の表8にまとめる:
【0072】
表8 BHS濾過試験データ
【表8】

【0073】
表8のデータは、比較的高い濾過温度、例えば摂氏30°が、実験XXVIにおいて、高度に限定された濾過の流れを導くことを示唆する。このことは、濾過ケーキは摂氏30°で依然として柔軟であるが、摂氏15°以下では柔軟性が低いことを示唆する。濾過媒体を実験XXVIIに先立ち置き換えた。これらの結果は、実験XXVIII、XIXおよびXXXの間に、濾過および洗浄時間の非常に大きい上昇があるので、真空濾過が濾過媒体寿命の延長をもたらすことも示唆する。実験XXXは、実験XXVIIIおよびXIXと同じ条件で実行したが、過剰な濾過時間のために、2回目の洗浄中に停止した。このことは、実験XXVIIIで最短の濾過時間が得られるが、この実験を同じ媒体で繰り返す試みは、濾過媒体の詰まりをもたらすことを示唆する。実験XXVIおよびXXXは湿った濾過ケーキを産生するが、他の全事例では、アヘンケーキは比較的乾燥していた。アヘンケーキは、これらの実験のいずれでも、割れて見えなかった。
【0074】
下記の表9ないし表13示す通り、母液およびアヘンケーキのアッセイを、これらの実験について提示する。「収率」の計算は、合わせた濾液と洗浄液から回収されたアルカロイドを、回収されたアルカロイドおよび濾過ケーキ中の残渣の合計で割ったものに基づく。分析操作は、以下の通りである:
【0075】
溶解された溶液に適用する、モルヒネトリフルオロ酢酸(TFA)調査方法
カラム:Waters Symmetry, C18 5-ミクロン, 3.9 x 150 ミリメートル
移動相:A:水中の0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)
B:1:1の水:アセトニトリル中の0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)
流速:1ミリリットル/分
勾配:0−25.5%B、25分間、線状;25.5−100%B、15分間、線状;再平衡化、100−0%B、1分間;0%Bで9分間保持
実行時間:50分間
カラム温度:摂氏37°
注入体積:10マイクロリットル
検出:UV@280ナノメートル
サンプルおよび基準の調製:0.1N硫酸中、2mg/mL
アヘンアッセイは、米国薬局方(USP)で定められているものを参照。
【0076】
アヘン濾過ケーキアッセイ/迅速アヘンアッセイ。正確に秤量した約5グラムの湿った濾過ケーキを、真空下、摂氏50°−60°で、少なくとも48時間乾燥させる。金属のへらでケーキを細かい粉末にすりつぶす。正確に秤量した乾燥粉末約0.1グラムを、容量測定フラスコに移す(100ないし500ミリリットルの容量)。1%氷酢酸/水(v/v)を、印の直下まで添加する。超音波で分散させる。これを、少なくとも1時間(好ましくは終夜)静置した。印まで、1%氷酢酸で希釈する。フラスコをよく震盪する。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析用にアリコートを取り、0.45ミクロンシリンジフィルターを通して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)サンプルバイアルに濾過する。サンプルをモルヒネTFA調査方法により試験する。
【0077】
表9 濾液および洗浄液、並びにケーキの残留物中のBHS濾過モルヒネの回収
【表9】

【0078】
表10 濾液および洗浄液、並びにケーキの残留物中のBHS濾過コデインの回収
【表10】

【0079】
表11 濾液および洗浄液、並びにケーキの残留物中のBHS濾過テバインの回収
【表11】

【0080】
表12 濾液および洗浄液、並びにケーキの残留物中のBHS濾過パパベリンの回収
【表12】

【0081】
表13 濾液および洗浄液、並びにケーキの残留物中のBHS濾過ナルコチンの回収
【表13】

【0082】
物質収支のデータは、いくつかの重要な結果を示唆する。第1に、高圧の濾過および洗浄は、全アルカロイド類の、特にテバイン、パパベリンおよびナルコチンの、より低い回収をもたらす。圧力濾過および洗浄は、最初は真空濾過よりかなり速いが、媒体が詰まり、後続のバッチについて大幅に延長された濾過および洗浄時間を導く。第2に、より高い温度の濾過(摂氏35°)では、真空濾過および洗浄時間が最長であった。第3に、より低い温度の真空濾過(摂氏5°)では、幾らか低いテバイン、ナルコチンおよびパパベリン回収であった。このデータは、最適濾過条件は、約−0.8バールおよび摂氏15°での真空濾過であることを示唆する。
【0083】
抽出方法
商業的バッチに使用する最適量を、実験室のバッチと対照して、表14に示す。
表14−実験室および提案されるプラントのバッチサイズの対照
【表14】

【0084】
提案される商業的方法には、以下が含まれる:
1.約1,135リットルないし約3,404リットルの、好ましくは約1,702リットルないし約2,836リットルの、最適には2,269リットルの溶媒、例えば脱イオン(DI)水を、容器、例えば溶解機に入れる。例示的な、しかし非限定的な溶媒の例には、水が含まれる。撹拌機を備えた幅広い様々な容器が、溶解機である好ましい容器として十分であろう。
【0085】
2.容器、例えば溶解機を、加熱し始める。好ましくは、必須ではないが、全てのアヘンを添加するまで、容器を沸騰させない。約270キログラムないし約810キログラム、好ましくは約405キログラムないし約675キログラム、最適には540キログラムのアヘンを、容器、例えば溶解機に入れる。
【0086】
3.容器、例えば溶解機を、激しく撹拌して不溶性物質を破壊しながら、加熱し続ける。加熱は、約摂氏70°ないし約摂氏105°、好ましくは約摂氏95°ないし約摂氏105°であり、最適には、約摂氏100°ないし約摂氏105°で沸騰させる。
【0087】
4.約0分間ないし約60分間、好ましくは約5分間ないし約30分間沸騰させる。最適には、穏やかな加熱で5分間ないし15分間沸騰させる。
【0088】
5.容器、例えば撹拌機を、約摂氏25°ないし約摂氏70°、好ましくは約摂氏40°ないし約摂氏60°に、最適には約摂氏50°ないし約摂氏55°に冷却する。
【0089】
6.約1リットルないし約227リットル、好ましくは約1リットルないし約114リットル、最適には22.7リットルの弱酸、例えば氷酢酸を加える。
【0090】
7.容器、例えば撹拌機のpHを、約pH0ないし約pH4、好ましくは約pH1ないし約pH4、最適には3.0に、中程度に強い酸、例えば蟻酸、例えば88%蟻酸で、合わせる。これは、約165リットルないし約0リットル、好ましくは約56リットルないし約0リットルおよび最適には約45リットルの酸を要するであろう。弱酸には、酢酸、蟻酸、炭酸、クエン酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸、シアン化水素酸、ピルビン酸および弱塩基の共役酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
8.約1時間ないし約12時間、好ましくは約2時間ないし約4時間、最適には3時間、約摂氏25°ないし約摂氏70°、好ましくは約摂氏40°ないし約摂氏60°、最適には約摂氏50°ないし約摂氏55°で、攪拌用機械を用いて撹拌する。
【0092】
9.最適には、定期的にpHを確認し、さらなる弱酸、例えば蟻酸を、必要に応じて添加する。
【0093】
10.約46キログラムないし約137キログラム、好ましくは約68キログラムないし約114キログラム、最適には91キログラムの濾過助剤を加え、1時間撹拌する。例示的な濾過助剤には、珪藻岩(diatomite)、パーライト、ジケイライト(dicalite)、植物の穀粒、珪藻土(diatomaceous earth)、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、無定形シリカおよびセルロースが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
11.約摂氏0°ないし約摂氏30°、好ましくは約摂氏0°ないし約摂氏25°、最適には約摂氏5°ないし約摂氏15°に冷却する。
【0095】
12.約0バールないし約1バール、好ましくは約0.5バールないし約1バール、最適には−0.8バールの異なる圧力に設定した真空濾過機を使用して、バッチを濾過する。濾過は、真空下で作動する水平ベルト式濾過機(horizontal belt filter)を用いて実施できる。
【0096】
13.約136リットルないし約2000リットル、好ましくは約1000リットルないし約1500リットル、最適には全部で1361リットルの酸性化された溶媒、例えば希釈した蟻酸でケーキを洗浄する。希釈した蟻酸は、pH3.0であるべきであり、溶液1リットルにつき約0.3グラムの酸を含有する。酸性化された溶媒には、水を含むがこれらに限定されるものではない溶媒が含まれ、酸は、酢酸、蟻酸、炭酸、クエン酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸、ピルビン酸および弱塩基の共役酸からなる群から選択される。
【0097】
14.濾液および洗浄液中のアルカロイド類を、分取液体クロマトグラフィー、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、または他の技法による溶媒抽出および濾過により、分離および精製する。
【0098】
アヘンは、水性分散液中、室温で、半固体である。約摂氏70°で、アヘンは水に溶解または分散し始める。約摂氏30°より高い温度では、遅い濾過速度の原因となるアヘンの成分が変性し始める。(濾過ケーキを自然に幾分かゼラチン化させる)これらの成分は、温度が上昇すると変性の程度が高まり、沸騰させると迅速に変性する。沸騰開始時に重い粘着性の泡状物が形成され、反応容器が吹き出さないように注意を払わねばならない。脱イオン水をバッチに噴霧することは、泡状物を消散させ得る。泡状物は、約15分間沸騰させた後にも消散する。より長い期間アヘン懸濁液を沸騰させることに利益はないように思われる。
【0099】
図4に示す通り、酸添加後に高い温度で消化することも、アヘンのケーキ抵抗を低下させる。しかしながら、約摂氏50°より高温で、ケーキ抵抗の改善は殆どない。結果として、満足のいく濾過は、摂氏50°ないし摂氏55°の消化温度で起こる。酸性条件と高温がテバインの損失をもたらす場合、約摂氏55°より高温で消化することは推奨されない。酸を添加し過ぎた場合、塩基(炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウム)の添加によりpHを上げてもよい。消化時間を3時間より延長することには何の利益もないと思われる。室温、pH3.0で96時間まで、モルヒネ、コデインまたはテバインの有意な損失はないと思われる。
【0100】
特定の酸または酸の混合物が重要である。アヘンのゼラチン性成分は、塩酸中で(沸騰させなくても、室温で)幾分迅速に(24時間)、蟻酸中で中程度の速度で(24時間)、そして酢酸中でゆっくりと(96時間)変性する。しかしながら、酢酸は、所望のアルカロイド類を生のアヘンから浸出させるのを助けると思われる。同定された最良の酸混合は、1容量%の溶液を作成するために最初に酢酸をバッチに添加し、次いで蟻酸を添加してpH3を得ることである。
【0101】
バッチを冷却するのに先立ち、濾過助剤を添加する。これは、いくらかのタールが冷却の際に溶液から沈殿する場合、タールを回収するための核形成部位を導入する。濾過中に、2つの相が観察され得る。温度が高い(摂氏20°以上)と、アヘンケーキは幾分柔らかくなり、ケーキ抵抗の上昇をもたらす。温度が低すぎると(摂氏5°以下)、濾液は幾分泡状になり得る。結果として、摂氏5°ないし摂氏15°の濾過温度が好ましい。
【0102】
従って、96%より高い効率でアルカロイド類をアヘンから抽出し、既存の方法より低いケーキ抵抗を有する方法が、実験室のスケールで開発された。この新しい方法は、既存のプラントの方法(塩酸および酢酸を使用する)よりも弱い酸(蟻酸または酢酸)を使用する。この新しい方法は、アヘンスラリーの熱による予処理(15分間の沸騰)を採用し、それは、濾過を制限するアヘン中の構成分のいくつかを変性させる。アヘン溶液の加熱は、また、アヘンの溶解性も高める。蟻酸と酢酸の組合せも、アルカロイド類の抽出効率を改善すると思われる。酸抽出段階の最低温度は、抵抗の小さい濾過ケーキを産生するので、摂氏50°である。ケーキを摂氏15°に冷却することも、濾過中にケーキが圧縮する傾向を低減させ、それによりケーキ抵抗を低下させる。圧力濾過はケーキの圧密および/または濾過媒体の詰まりを引き起こすので、真空濾過は圧力濾過より優れている。
【0103】
本発明およびそれを使用する方法の好ましい実施態様を上述の明細書でかなり詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲を超えない改変を本発明に為すことができ、本発明が属する分野の当業者により導入された本発明の改変形は、それらの改変形が本発明の特許請求の範囲内にあるとき、本発明の侵害と見なされることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1は、定圧バッチ濾過実験のグラフのプロット、t/V対体積のプロットである。
【図2】図2は、塩酸と酢酸を比較する、酸消化段階における上清液中のアルカロイド類の濃度のグラフのプロットである。
【図3】図3は、アッセイ(g/L)対時間(時間表記で)の、pH9.0でのアルカロイドのブタノール抽出のグラフのプロットである。
【図4】図4は、アヘンケーキ抵抗に対する酸消化温度の影響のグラフのプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法であって、
アヘンを溶媒に溶解すること;
溶解したアヘン溶液を加熱すること;
溶解したアヘン溶液を冷却すること;
溶解したアヘン溶液のpHを少なくとも1種の弱酸で合わせること;
溶解したアヘン溶液を濾過して濾液を回収すること、および
濾液中の少なくとも1種のアルカロイドを分離および精製すること、
を含む方法。
【請求項2】
溶解したアヘン溶液のpHを少なくとも1種の第1の酸で合わせた後に、アヘン溶液を冷却することをさらに含む、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項3】
アヘン溶液を冷却する段階が、約摂氏0°ないし約摂氏30°の温度である、請求項2に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項4】
アヘン溶液を冷却する段階が、約摂氏0°ないし約摂氏25°の温度である、請求項2に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項5】
溶媒が水を含む、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項6】
溶解したアヘン溶液を加熱する段階が、約摂氏70°ないし約摂氏105°の温度である、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項7】
溶解したアヘン溶液を加熱する段階が、約摂氏95°ないし約摂氏105°の温度である、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項8】
溶解したアヘン溶液を冷却する段階が、約摂氏25°ないし約摂氏70°の温度である、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項9】
溶解したアヘン溶液を冷却する段階が、約摂氏40°ないし約摂氏60°の温度である、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項10】
溶解したアヘン溶液のpHを合わせる段階が、約pH0ないし約pH4の範囲にある、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項11】
溶解したアヘン溶液のpHを合わせる段階が、約pH1ないし約pH4の範囲にある、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項12】
少なくとも1種の弱酸が酢酸および蟻酸を含む、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項13】
少なくとも1種の弱酸が、酢酸、蟻酸、炭酸、クエン酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸、ニコチン酸、ピルビン酸および弱塩基の共役酸からなる群から選択される、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項14】
溶解したアヘン溶液のpHを合わせる段階の後に、溶解したアヘン溶液を、約60分間ないし約720分間、約摂氏25°ないし約摂氏70°の温度で撹拌する段階をさらに含む、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項15】
溶解したアヘン溶液のpHを合わせる段階の後に、溶解したアヘン溶液を、約120分間ないし約240分間、約摂氏40°ないし約摂氏60°の温度で撹拌する段階をさらに含む、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項16】
溶解したアヘン溶液を撹拌する段階の後に、アヘン溶液に濾過助剤を添加する段階をさらに含む、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項17】
濾過助剤が、珪藻岩、パーライト、ジケイライト、植物の穀粒、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、無定形シリカおよびセルロースからなる群から選択される、請求項16に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項18】
溶解したアヘン溶液を濾過して濾液を回収することが真空下である、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項19】
溶解したアヘン溶液を濾過して濾液を回収することが水平ベルト式濾過機を用いて行われる、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項20】
溶解したアヘン溶液を濾過して濾液を回収することが、濾過ケーキを形成させ、酸性化した溶媒で濾過ケーキを洗浄することを含む、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項21】
酸性化した溶媒で濾過ケーキを洗浄する段階が真空下である、請求項20に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項22】
酸性化した溶媒が水を含む溶媒を含み、酸が、酢酸、蟻酸、炭酸、クエン酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸、ニコチン酸、ピルビン酸および弱塩基の共役酸からなる群から選択される、請求項21に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項23】
濾液中の少なくとも1種のアルカロイドの分離および精製の段階が、分取液体クロマトグラフィーを利用することを含む、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。
【請求項24】
濾液中の少なくとも1種のアルカロイドを分離および精製する段階が、溶媒抽出および濾過を利用することを含む、請求項1に記載の少なくとも1種のアルカロイドをアヘンから抽出する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−501797(P2008−501797A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527297(P2007−527297)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/016512
【国際公開番号】WO2005/123743
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(595181003)マリンクロッド・インコーポレイテッド (203)
【氏名又は名称原語表記】Mallinckrodt INC.
【Fターム(参考)】