説明

アベルメクチンモノ配糖体誘導体

【課題】 農園芸作物の害虫類、特に鱗翅目害虫、ダニ類、あるいは動物寄生虫に対して、より優れた殺虫、殺ダニ、あるいは駆虫活性を示し、なおかつ低毒性で高い安全性を有する新規なアベルメクチン誘導体化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式で表されるアベルメクチンモノ配糖体またはその塩、並びにこれらを有効成分として含有する殺虫剤、または駆虫剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アベルメクチン類からオレアンドロース1個が脱離したアベルメクチン類のモノデオレアンドロース配糖体の4'位水酸基に、アミノ基またはアミノアルキル基で置換されたシクロアルカンカルボニル基あるいはピペリジン-4-カルボニル基を付加した新規アベルメクチンモノ配糖体誘導体およびその塩、並びに該化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤に関するものである。本発明における有害生物防除剤とは、農園芸分野における殺虫剤、殺ダニ剤および殺線虫剤、医学、畜産および水産分野における医薬もしくは動物薬(ヒト、家畜や愛玩動物としての哺乳類、鳥類および魚類などの内部もしくは外部寄生虫防除剤)、衛生分野における殺虫剤(家庭用および業務用の衛生害虫、不快害虫防除剤)など有害な生物を対象とした防除剤を意味する。
【背景技術】
【0002】
アベルメクチン類は、一連の16員環マクロライド化合物であり、公知の下記の式(II)で表される化合物である(特許文献1参照)。
【化1】

【0003】
アベルメクチン類のモノ配糖体誘導体は、公知の下記の式(III)で表される化合物である(特許文献2参照)。
【化2】

【0004】
上記アベルメクチン類は、殺ダニ、駆虫または殺虫活性を有することが知られており、それらの4"位またはアベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基に種々の置換基を導入する事などにより上記生物活性を向上させた半合成アベルメクチン類について多数の特許および論文が報告されている(非特許文献1、特許文献3、4、5、6、7、8、9および10参照)。
【0005】
その中で、アベルメクチン類の4"位またはアベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基にエステル結合による置換基を有するアベルメクチン類としては、置換または無置換低級アルカン酸、安息香酸または置換された安息香酸などが、アベルメクチン類の4"位またはアベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基でエステル結合したアベルメクチン誘導体が知られている(特許文献11参照)。
【0006】
アベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基にエステル結合による置換基を有するアベルメクチン類としては、カルボニル炭素に置換または無置換低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香族ヘテロ環などが置換した有機酸類が、アベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位のR配置水酸基とエステル結合したアベルメクチン誘導体が知られている(特許文献12参照)。
また、チアジアゾール、シンノリンなどの芳香族ヘテロ環カルボン酸化合物がアベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基にエステル結合したアベルメクチン誘導体が各種ダニ類に対し高い殺ダニ活性を示すことが知られている(特許文献13参照)。
その他、アベルメクチン類の5位水酸基に種々の置換基を導入した半合成アベルメクチン類も上記生物活性を有することが報告されている。5位水酸基にエステル結合を有するアベルメクチン類としては、菊酸誘導体、芳香族複素環カルボン酸誘導体等が5位水酸基にエステル結合したアベルメクチン誘導体が知られている(特許文献14参照)。
【特許文献1】特開昭52−151197号公報
【特許文献2】米国特許第4,206,205号公報
【非特許文献1】米国化学会シンポジウムシリーズ(ACS Symp. Ser .)658、220,1997
【特許文献3】特表2005−530776号公報
【特許文献4】特表2006−515849号公報
【特許文献5】特表2006−516584号公報
【特許文献6】特表2006−516585号公報
【特許文献7】特表2006−516590号公報
【特許文献8】特表2006−527724号公報
【特許文献9】特表2007−504113号公報
【特許文献10】特表2008−511564号公報
【特許文献11】特開昭54−61197号公報
【特許文献12】WO2008/019784号公報
【特許文献13】WO2008/056608号公報
【特許文献14】中国特許CN1302805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようにアベルメクチン誘導体に関しては多数の報告がなされているが、アミノ基またはアミノアルキル基で置換されたシクロアルカンカルボン酸誘導体が、アベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基にエステル結合したアベルメクチン誘導体は、未だ報告されていない。特許文献12にはエステルカルボニル基の置換基の1つとして置換または無置換シクロアルキルの記述はあるがシクロアルキルの置換基についての具体的な記述はなく、また一般式および化合物例もない。
また、ピペリジン−4−カルボン酸誘導体がアベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基にエステル結合したアベルメクチン誘導体は未だ報告されていない。特許文献12には、エステルカルボニル基の置換基の1つとしてピペリジンの記述があるが、置換位置については3位置換を示す一般式と3位置換の化合物例が記載されているのみで、4位置換を示す記載は全くない。
さらに、これら本明細書記載の該化合物が有害生物防除剤として、特に鱗翅目害虫に対して極めて高い殺虫効果を有し、その殺虫効果は特許文献12記載の化合物より格段に高く、殺虫剤および哺乳動物または鳥類の内部もしくは外部寄生虫防除剤としてもより一層高い有用性を示すことは全く知られていない。
特許文献13は芳香族ヘテロ環化合物をエステル結合させたもので、主にダニ類に対して高い殺ダニ効果を示すが、鱗翅目害虫に対する殺虫効果は低い。
【0008】
アベルメクチン類は、駆虫、殺ダニまたは殺虫剤として実用化されているが、これらはいずれも毒性が高く、毒物相当あるいは劇物に分類されている。特にアベルメクチンB1a/B1bは高い殺ダニ活性を示すものの、それ自体が毒物相当であるため、その使用が制限される。本発明の目的は、農園芸作物の害虫類、特に鱗翅目害虫、ダニ類、あるいは動物寄生虫に対して、より優れた殺虫、殺ダニ、あるいは駆虫活性を示し、なおかつ低毒性で高い安全性を有する新規なアベルメクチン誘導体化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的に合致した農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤あるいは動物寄生虫に対する駆虫剤を提供するために種々のアベルメクチン誘導体化合物の効果を検討した。その結果、本発明に係る下記一般式(1)で表されるように、アミノ基またはアミノアルキル基で置換されたシクロアルカンカルボン酸誘導体およびN-メチルピペリジン-4-カルボン酸をアベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基にエステル結合した新規アベルメクチン誘導体が、以下に示されるように優れた有害生物防除活性、特に鱗翅目害虫、総翅目害虫などに強い殺虫活性を示し、なおかつ、哺乳動物に対して低毒性で高い安全性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で表されるアベルメクチンモノ配糖体またはその塩、及びこれらを有効成分として含有する殺虫剤または駆虫剤に関するものである。
【0011】
【化3】

【0012】
〔式中、Aは、下記一般式(A−1)または(A−2)を示し、
【化4】

mおよびnは、それぞれ独立に0から3の整数を示し、R1は、イソプロピル基またはsec−ブチル基を示し、R2は水素原子;C1〜C6アルキル基;C2〜C6ハロアルキル基;C3〜C6アルケニル基;C3〜C6アルキニル基;C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基;C1〜C4アルキルチオC1〜C4アルキル基;C1〜C6アミノアルキル基;C1〜C4アルキルアミノC1〜C4アルキル基;C2〜C6ヒドロキシアルキル基;アミノカルボニルC1〜C4アルキル基;C1〜C4アルキルアミノカルボニルC1〜C4アルキル基;C1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基;アミノ基;C1〜C6アルキルアミノ基;C3〜C7シクロアルキル基;C3〜C7シクロアルキルC1〜C4アルキル基;無置換もしくはC1〜C6アルキル基で置換されていてもよいヘテロシクリルC1〜C4アルキル基;無置換もしくはハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基で置換されていても良いヘテロアリールC1〜C4アルキル基;または無置換もしくはハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、ベンジル基で置換されていても良いフェニルC1〜C4アルキル基を示し、R3は、水素原子、C1〜C6アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基またはトリフルオロアセチル基を示し、あるいは、−NR23は、窒素原子、R2およびR3が一緒になって環を形成し、1−ピペリジル基、4−モルホリノ基または4−メチル−1−ピペラジニル基を示してもよく、R4は水素原子、C1〜C6アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基またはトリフルオロアセチル基を示す。〕
【0013】
さらに本発明において好ましくは、前記一般式(A−1)、(A−2)において、mは、1または2を示し、nは、0または1を示し、mが1の場合、R32N−(CH2n−の置換位置は3位であり、mが2の場合、R32N−(CH2n−の置換位置は3位または4位であり、R2、R3、R4は、水素原子またはC1〜C6アルキル基を示すことを特徴とする、アベルメクチンモノ配糖体誘導体、またはその塩、並びにこれらを有効成分として含有する殺虫剤、または駆虫剤に関するものである。
【0014】
より好ましい化合物としては、一般式(I)のAが、4−ジメチルアミノシクロヘキシル基、3−ジメチルアミノシクロヘキシル基またはN−メチル−4−ピペリジル基を示す事を特徴とする、アベルメクチンモノ配糖体誘導体、またはその塩、並びにこれらを有効成分として含有する殺虫剤、または駆虫剤に関するものである。
【発明の効果】
【0015】
前記一般式(I)で表される本発明の新規4'−置換アベルメクチンモノ配糖体誘導体は、殺虫、殺ダニ、または駆虫活性を有し、農園芸場面での有害昆虫類、ダニ類の防除もしくは動物寄生虫によって引き起こされる種々の病害に対して優れた効果を示す。特に鱗翅目害虫、総翅目害虫に対しては、アベルメクチンまたは市販剤の効き難い害虫種に対しても、ともに優れた効果を示す。また、本発明の新規化合物は低毒性で、毒物及び劇物取締法に基づく分類上、普通物に分類され、人畜に対して安全性の高い、殺虫剤、殺ダニ剤、もしくは駆虫剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の化合物について以下に詳細に説明する。
一般式(I)中、Aは下記一般式(A−1)または(A−2)を示し、
【化5】

mおよびnは、それぞれ独立に0から3の整数を示し、R1は、イソプロピル基またはsec−ブチル基を示し、R2は、水素原子;C1〜C6アルキル基;C2〜C6ハロアルキル基;C3〜C6アルケニル基;C3〜C6アルキニル基;C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基;C1〜C4アルキルチオC1〜C4アルキル基;C1〜C6アミノアルキル基;C1〜C4アルキルアミノC1〜C4アルキル基;C2〜C6ヒドロキシアルキル基;アミノカルボニルC1〜C4アルキル基;C1〜C4アルキルアミノカルボニルC1〜C4アルキル基;C1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基;アミノ基;C1〜C6アルキルアミノ基;C3〜C7シクロアルキル基;C3〜C7シクロアルキルC1〜C4アルキル基;無置換もしくはC1〜C6アルキル基で置換されていてもよいヘテロシクリルC1〜C4アルキル基;無置換もしくはハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基で置換されていても良いヘテロアリールC1〜C4アルキル基;または無置換もしくはハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、ベンジル基で置換されていても良いフェニルC1〜C4アルキル基を示し、R3は、水素原子、C1〜C6アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基を示し、あるいは、−NR23は、窒素原子、R2およびR3が一緒になって環を形成し、1−ピペリジル基、4−モルホリノ基または4−メチル−1−ピペラジニル基を示してもよく、R4は、水素原子、C1〜C6アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基またはトリフルオロアセチル基を示す。
【0017】
前記R2、R3、R4の、定義中に示されている「C1〜C6アルキル基」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、2−メチル−1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基などであり、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。
【0018】
前記R2の定義中に示されている「C2〜C6ハロアルキル基」は、アルキル基中の水素原子の少なくとも1個がハロゲン原子で置換された炭素数2〜6個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、その例としては、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2−フルオロプロピル基、3−フルオロプロピル基、2−クロ
ロプロピル基、3−クロロプロピル基、3−ヨードプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、2−フルオロブチル基、4−フルオロブチル基、2−クロロブチル基、5−フルオロペンチル基、6−フルオロヘキシル基などのようなアルキル基にフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲン原子が結合したアルキル基であり、好ましくは、2,2−ジフルオロエチル基あるいは2,2,2−トリフルオロエチル基である。
【0019】
前記R2の定義中に示されている「C3〜C6アルケニル基」は炭素数3〜6個の直鎖状または分岐状のアルケニル基であり、その例としては、2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−エチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−エチル−2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基および2,4−ペンタジエニル基などであり、好ましくは、2−プロペニル基、1-メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基である。
【0020】
前記R2の定義中に示されている「C3〜C6アルキニル基」は、炭素数3〜6個の直鎖状または分岐状のアルキニル基であり、その例としては、2−プロピニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−ブチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、1−エチル−2−ブチニル基、3−ブチニル基、2−メチル−3−ブチニル基、2−ペンチニル基、4−ペンチニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基または5−ヘキシニル基などであり、好ましくは、2−プロピニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−ブチニル基である。
【0021】
前記R2の定義中に示されている「C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基」は、炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状のアルコキシ基で置換された炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、その例としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、n−ペンチルオキシメチル基、イソペンチルオキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、2−n−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、2−イソプロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、2−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、2−イソブトキシエチル基、1−sec−ブトキシエチル基、2−sec−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、2−tert−ブトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチルエチル基、2−メトキシ−1−メチルエチル基、1−エトキシプロピル基、2−エトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基、2−エトキシ−1−メチルエチル基、1−n−プロポキシプロピル基、2−n−プロポキシプロピル基、3−n−プロポキシプロピル基、1−n−プロポキシ−1−メチルエチル基、2−n−プロポキシ−1−メチルエチル基、1−イソプロポキシプロピル基、2−イソプロポキシプロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、1−イソプロポキシ−1−メチルエチル基、2−イソプロポキシ−1−メチルエチル基、1−メトキシブチル基、2−メトキシブチル基、3−メトキシブチル基、4−メトキシブチル基、2−メトキシ−1−メチルプロピル基、3−メトキシ−1−メチルプロピル基、3−メトキシ−2−メチルプロピル基、2−メトキシ−1−エチルエチル基、1−エトキシブチル基、2−エトキシブチル基、3−エトキシブチル基、4−エトキシブチル基、2−エトキシ−1−メチルプロピル基、3−エトキシ−1−メチルプロピル基、3−エトキシ−2−メチルプロピル基、2−エトキシ−1−エチルエチル基などであり、好ましくは、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基あるいは3−エトキシプロピル基である。
【0022】
前記R2の定義中に示されている「C1〜C4アルキルチオC1〜C4アルキル基」は、アルキルチオ部位が炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状、アルキル部位が炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状のアルキルチオアルキル基であり、その例としては、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、n−プロピルチオメチル基、イソプロピルチオメチル基、n−ブチルチオメチル基、イソブチルチオメチル基、sec−ブチルチオメチル基、tert−ブチルチオメチル基、n−ペンチルチオメチル基、イソペンチルチオメチル基、1−メチルチオエチル基、2−メチルチオエチル基、1−エチルチオエチル基、2−エチルチオエチル基、1−n−プロピルチオエチル基、2−n−プロピルチオエチル基、1−イソプロピルチオエチル基、2−イソプロピルチオエチル基、1−n−ブチルチオエチル基、2−n−ブチルチオエチル基、1−イソブチルチオエチル基、2−イソブチルチオエチル基、1−sec−ブチルチオエチル基、2−sec−ブチルチオエチル基、1−tert−ブチルチオエチル基、2−tert−ブチルチオエチル基、1−メチルチオプロピル基、2−メチルチオプロピル基、3−メチルチオプロピル基、1−メチルチオ−1−メチルエチル基、2−メチルチオ−1−メチルエチル基、1−エチルチオプロピル基、2−エチルチオプロピル基、3−エチルチオプロピル基、1−エチルチオ−1−メチルエチル基、2−エチルチオ−1−メチルエチル基、1−n−プロピルチオプロピル基、2−n−プロピルチオプロピル基、3−n−プロピルチオプロピル基、1−n−プロピルチオ−1−メチルエチル基、2−n−プロピルチオ−1−メチルエチル基、1−イソプロピルチオプロピル基、2−イソプロピルチオプロピル基、3−イソプロピルチオプロピル基、1−イソプロピルチオ−1−メチルエチル基、2−イソプロピルチオ−1−メチルエチル基、1−メチルチオブチル基、2−メチルチオブチル基、3−メチルチオブチル基、4−メチルチオブチル基、2−メチルチオ−1−メチルプロピル基、3−メチルチオ−1−メチルプロピル基、3−メチルチオ−2−メチルプロピル基、2−メチルチオ−1−エチルエチル基、1−エチルチオブチル基、2−エチルチオブチル基、3−エチルチオブチル基、4−エチルチオブチル基、2−エチルチオ−1−メチルプロピル基、3−エチルチオ−1−メチルプロピル基、3−エチルチオ−2−メチルプロピル基、2−エチルチオ−1−エチルエチル基などであり、好ましくは、メチルチオメチル基、2−メチルチオエチル基、2−エチルチオエチル基あるいは3−メチルチオプロピル基である。
【0023】
前記R2の定義中に示されている「C1〜C6アミノアルキル基」は、アルキル基中の水素原子の少なくとも1個がアミノ基で置換された炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、その例としては、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、1−アミノプロピル基、2−アミノプロピル基、3−アミノプロピル基、1−アミノ−1−メチルエチル基、2−アミノ−1−メチルエチル基、1−アミノブチル基、2−アミノブチル基、3−アミノブチル基、4−アミノブチル基、1−アミノ−1−メチルプロピル基、2−アミノ−1−メチルプロピル基、3−アミノ−1−メチルプロピル基、1−アミノ−2−メチルプロピル基、2−アミノ−2−メチルプロピル基、3−アミノ−2−メチルプロピル基、2−アミノ−1−エチルエチル基、1−アミノペンチル基、5−アミノペンチル基、6−アミノヘキシル基、などであり、好ましくは、2−アミノエチル基である。
【0024】
前記R2の定義中に示されている「C1〜C4アルキルアミノC1〜C4アルキル基」は、炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状アルキル基が1個または2個、窒素原子と結合したアルキルアミノ基で置換された炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、アルキルアミノ基の窒素原子に結合したアルキル基が2個の場合アルキル基は同一でも異なっていてもよく、その例としては、メチルアミノメチル基、エチルアミノメチル基、n−プロピルアミノメチル基、イソプロピルアミノメチル基、n−ブチルアミノメチル基、イソブチルアミノメチル基、sec−ブチルアミノメチル基、tert−ブチルアミノメチル基、n−ペンチルアミノメチル基、イソペンチルアミノメチル基、1−メチルアミ
ノエチル基、2−メチルアミノエチル基、1−エチルアミノエチル基、2−エチルアミノエチル基、1−n−プロピルアミノエチル基、2−n−プロピルアミノエチル基、1−イソプロピルアミノエチル基、2−イソプロピルアミノエチル基、1−n−ブチルアミノエチル基、2−n−ブチルアミノエチル基、1−イソブチルアミノエチル基、2−イソブチルアミノエチル基、1−sec−ブチルアミノエチル基、2−sec−ブチルアミノエチル基、1−tert−ブチルアミノエチル基、2−tert−ブチルアミノエチル基、1−メチルアミノプロピル基、2−メチルアミノプロピル基、3−メチルアミノプロピル基、1−メチルアミノ−1−メチルエチル基、2−メチルアミノ−1−メチルエチル基、1−エチルアミノプロピル基、2−エチルアミノプロピル基、3−エチルアミノプロピル基、1−エチルアミノ−1−メチルエチル基、2−エチルアミノ−1−メチルエチル基、1−n−プロピルアミノプロピル基、2−n−プロピルアミノプロピル基、3−n−プロピルアミノプロピル基、1−n−プロピルアミノ−1−メチルエチル基、2−n−プロピルアミノ−1−メチルエチル基、1−イソプロピルアミノプロピル基、2−イソプロピルアミノプロピル基、3−イソプロピルアミノプロピル基、1−イソプロピルアミノ−1−メチルエチル基、2−イソプロピルアミノ−1−メチルエチル基、1−メチルアミノブチル基、2−メチルアミノブチル基、3−メチルアミノブチル基、4−メチルアミノブチル基、2−メチルアミノ−1−メチルプロピル基、3−メチルアミノ−1−メチルプロピル基、3−メチルアミノ−2−メチルプロピル基、2−メチルアミノ−1−エチルエチル基、1−エチルアミノブチル基、2−エチルアミノブチル基、3−エチルアミノブチル基、4−エチルアミノブチル基、2−エチルアミノ−1−メチルプロピル基、3−エチルアミノ−1−メチルプロピル基、3−エチルアミノ−2−メチルプロピル基、2−エチルアミノ−1−エチルエチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジ−n−プロピルアミノメチル基、ジイソプロピルアミノメチル基、ジ−n−ブチルアミノメチル基、ジイソブチルアミノメチル基、ジ−sec−ブチルアミノメチル基、ジ−tert−ブチルアミノメチル基、ジ−n−ペンチルアミノメチル基、ジイソペンチルアミノメチル基、1−ジメチルアミノエチル基、2−ジメチルアミノエチル基、1−ジエチルアミノエチル基、2−ジエチルアミノエチル基、1−ジ−n−プロピルアミノエチル基、2−ジ−n−プロピルアミノエチル基、1−ジイソプロピルアミノエチル基、2−ジイソプロピルアミノエチル基、1−ジ−n−ブチルアミノエチル基、2−ジ−n−ブチルアミノエチル基、1−ジイソブチルアミノエチル基、2−ジイソブチルアミノエチル基、1−ジ−sec−ブチルアミノエチル基、2−ジ−sec−ブチルアミノエチル基、1−ジ−tert−ブチルアミノエチル基、2−ジ−tert−ブチルアミノエチル基、1−ジメチルアミノプロピル基、2−ジメチルアミノプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基、1−ジメチルアミノ−1−メチルエチル基、2−ジメチルアミノ−1−メチルエチル基、1−ジエチルアミノプロピル基、2−ジエチルアミノプロピル基、3−ジエチルアミノプロピル基、1−ジエチルアミノ−1−メチルエチル基、2−ジエチルアミノ−1−メチルエチル基、1−ジ−n−プロピルアミノプロピル基、2−ジ−n−プロピルアミノプロピル基、3−ジ−n−プロピルアミノプロピル基、1−ジ−n−プロピルアミノ−1−メチルエチル基、2−ジ−n−プロピルアミノ−1−メチルエチル基、1−ジイソプロピルアミノプロピル基、2−ジイソプロピルアミノプロピル基、3−ジイソプロピルアミノプロピル基、1−ジイソプロピルアミノ−1−メチルエチル基、2−ジイソプロピルアミノ−1−メチルエチル基、1−ジメチルアミノブチル基、2−ジメチルアミノブチル基、3−ジメチルアミノブチル基、4−メジチルアミノブチル基、2−ジメチルアミノ−1−メチルプロピル基、3−ジメチルアミノ−1−メチルプロピル基、3−ジメチルアミノ−2−メチルプロピル基、2−ジメチルアミノ−1−エチルエチル基、1−ジエチルアミノブチル基、2−ジエチルアミノブチル基、3−ジエチルアミノブチル基、4−ジエチルアミノブチル基、2−ジエチルアミノ−1−メチルプロピル基、3−ジエチルアミノ−1−メチルプロピル基、3−ジエチルアミノ−2−メチルプロピル基、2−ジエチルアミノ−1−エチルエチル基、2−(エチルメチルアミノ)エチル、3−(エチルメチルアミノ)プロピルなどであり、好ましくは、2−メチルアミノエチル基および2−ジメチルアミノエチル基であ
る。
【0025】
前記R2の定義中に示されている「C2〜C6ヒドロキシアルキル基」は、アルキル基中の水素原子の少なくとも1個が水酸基で置換された炭素数2〜6個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、その例としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基、3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、2−ヒドロキシ−1−エチルエチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、などであり、好ましくは、2−ヒドロキシエチル基および2−ヒドロキシ−1−エチルエチル基である。
【0026】
前記R2の定義中に示されている「アミノカルボニルC1〜C4アルキル基」は、アルキル基中の水素原子の少なくとも1個がアミノカルボニル基で置換された炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、その例としては、アミノカルボニルメチル基、1−アミノカルボニルエチル基、2−アミノカルボニルエチル基、1−アミノカルボニルプロピル基、2−アミノカルボニルプロピル基、3−アミノカルボニルプロピル基、1−アミノカルボニル-1-メチルエチル基、2−アミノカルボニル−1−メチルエチル基、1−アミノカルボニルブチル基、2−アミノカルボニルブチル基、3−アミノカルボニルブチル基、4−アミノカルボニルブチル基、1−アミノカルボニル−1−メチルプロピル基、2−アミノカルボニル−1−メチルプロピル基、3−アミノカルボニル−1−メチルプロピル基、1−アミノカルボニル−2−メチルプロピル基、2−アミノカルボニル−2−メチルプロピル基、3−アミノカルボニル−2−メチルプロピル基、2−アミノカルボニル−1−エチルエチル基などであり、好ましくは、アミノカルボニルメチル基である。
【0027】
前記R2の定義中に示されている「C1〜C4アルキルアミノカルボニルC1〜C4アルキル基」は、炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状アルキル基が1個または2個、アミノカルボニル基の窒素原子と結合したアルキルアミノカルボニル基で置換された炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、アルキルアミノカルボニル基の窒素原子に結合したアルキル基が2個の場合アルキル基は同一でも異なっていてもよく、その例としては、メチルアミノカルボニルメチル基、エチルアミノカルボニルメチル基、n−プロピルアミノカルボニルメチル基、イソプロピルアミノカルボニルメチル基、n−ブチルアミノカルボニルメチル基、イソブチルアミノカルボニルメチル基、sec−ブチルアミノカルボニルメチル基、tert−ブチルアミノカルボニルメチル基、n−ペンチルアミノカルボニルメチル基、イソペンチルアミノカルボニルメチル基、1−メチルアミノエカルボニルチル基、2−メチルアミノカルボニルエチル基、1−エチルアミノカルボニルエチル基、2−エチルアミノカルボニルエチル基、1−n−プロピルアミノカルボニルエチル基、2−n−プロピルアミノカルボニルエチル基、1−イソプロピルアミノカルボニルエチル基、2−イソプロピルアミノカルボニルエチル基、1−n−ブチルアミノカルボニルエチル基、2−n−ブチルアミノカルボニルエチル基、1−イソブチルアミノカルボニルエチル基、2−イソブチルアミノカルボニルエチル基、1−sec−ブチルアミノカルボニルエチル基、2−sec−ブチルアミノカルボニルエチル基、1−tert−ブチルアミノカルボニルエチル基、2−tert−ブチルアミノカルボニルエチル基、1−メチルアミノカルボニルプロピル基、2−メチルアミノカルボニルプロピル基、3−メチルアミノカルボニルプロピル基、1−メチルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、2−メチルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、1−エチルアミノカルボニルプロピル基、2−エチルアミノカルボニルプロピル基、3−エチルアミノカルボニルプロピル基、1−エチルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、2−エチルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、1−n−プロピルアミノカルボニルプロピル基、2−n−プロピルアミノカルボニルプロピル基、3−n−プロピルアミノカルボニルプロピル基、1−n−プロピルアミ
ノカルボニル−1−メチルエチル基、2−n−プロピルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、1−イソプロピルアミノカルボニルプロピル基、2−イソプロピルアミノカルボニルプロピル基、3−イソプロピルアミノカルボニルプロピル基、1−イソプロピルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、2−イソプロピルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、1−メチルアミノカルボニルブチル基、2−メチルアミノカルボニルブチル基、3−メチルアミノカルボニルブチル基、4−メチルアミノカルボニルブチル基、2−メチルアミノカルボニル−1−メチルプロピル基、3−メチルアミノカルボニル−1−メチルプロピル基、3−メチルアミノカルボニル−2−メチルプロピル基、2−メチルアミノカルボニル−1−エチルエチル基、1−エチルアミノカルボニルブチル基、2−エチルアミノカルボニルブチル基、3−エチルアミノカルボニルブチル基、4−エチルアミノカルボニルブチル基、2−エチルアミノカルボニル−1−メチルプロピル基、3−エチルアミノカルボニル−1−メチルプロピル基、3−エチルアミノカルボニル−2−メチルプロピル基、2−エチルアミノカルボニル−1−エチルエチル基、ジメチルアミノカルボニルメチル基、ジエチルアミノカルボニルメチル基、ジ−n−プロピルアミノカルボニルメチル基、ジイソプロピルアミノカルボニルメチル基、ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル基、ジイソブチルアミノカルボニルメチル基、ジ−sec−ブチルアミノカルボニルメチル基、ジ−tert−ブチルアミノカルボニルメチル基、ジ−n−ペンチルアミノカルボニルメチル基、ジイソペンチルアミノカルボニルメチル基、1−ジメチルアミノカルボニルエチル基、2−ジメチルアミノカルボニルエチル基、1−ジエチルアミノカルボニルエチル基、2−ジエチルアミノカルボニルエチル基、1−ジ−n−プロピルアミノカルボニルエチル基、2−ジ−n−プロピルアミノカルボニルエチル基、1−ジイソプロピルアミノカルボニルエチル基、2−ジイソプロピルアミノカルボニルエチル基、1−ジ−n−ブチルアミノカルボニルエチル基、2−ジ−n−ブチルアミノカルボニルエチル基、1−ジイソブチルアミノカルボニルエチル基、2−ジイソブチルアミノカルボニルエチル基、1−ジ−sec−ブチルアミノカルボニルエチル基、2−ジ−sec−ブチルアミノカルボニルエチル基、1−ジ−tert−ブチルアミノカルボニルエチル基、2−ジ−tert−ブチルアミノカルボニルエチル基、1−ジメチルアミノカルボニルプロピル基、2−ジメチルアミノカルボニルプロピル基、3−ジメチルアミノカルボニルプロピル基、1−ジメチルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、2−ジメチルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、1−ジエチルアミノカルボニルプロピル基、2−ジエチルアミノカルボニルプロピル基、3−ジエチルアミノカルボニルプロピル基、1−ジエチルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、2−ジエチルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、1−ジ−n−プロピルアミノカルボニルプロピル基、2−ジ−n−プロピルアミノカルボニルプロピル基、3−ジ−n−プロピルアミノカルボニルプロピル基、1−ジ−n−プロピルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、2−ジ−n−プロピルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、1−ジイソプロピルアミノカルボニルプロピル基、2−ジイソプロピルアミノカルボニルプロピル基、3−ジイソプロピルアミノカルボニルプロピル基、1−ジイソプロピルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、2−ジイソプロピルアミノカルボニル−1−メチルエチル基、1−ジメチルアミノカルボニルブチル基、2−ジメチルアミノカルボニルブチル基、3−ジメチルアミノカルボニルブチル基、4−メジチルアミノカルボニルブチル基、2−ジメチルアミノカルボニル−1−メチルプロピル基、3−ジメチルアミノカルボニル−1−メチルプロピル基、3−ジメチルアミノカルボニル−2−メチルプロピル基、2−ジメチルアミノカルボニル−1−エチルエチル基、1−ジエチルアミノカルボニルブチル基、2−ジエチルアミノカルボニルブチル基、3−ジエチルアミノカルボニルブチル基、4−ジエチルアミノカルボニルブチル基、2−ジエチルアミノカルボニル−1−メチルプロピル基、3−ジエチルアミノカルボニル−1−メチルプロピル基、3−ジエチルアミノカルボニル−2−メチルプロピル基、2−ジエチルアミノカルボニル−1−エチルエチル基、2−(エチルメチルアミノカルボニル)エチル基、3−(エチルメチルアミノカルボニル)プロピル基などであり、好ましくは、メチルアミノカルボニルメチル基およびジメチルアミノカルボニルメチル基である。
【0028】
前記R2の定義中に示されている「C1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基」は、炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状のアルコキシカルボニル基で置換された炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、その例としては、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、イソブトキシカルボニルメチル基、sec−ブトキシカルボニルメチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、n−ペンチルオキシカルボニルメチル基、イソペンチルオキシカルボニルメチル基、1−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、1−n−プロポキシカルボニルエチル基、2−n−プロポキシカルボニルエチル基、1−イソプロポキシカルボニルエチル基、2−イソプロポキシカルボニルエチル基、1−n−ブトキシカルボニルエチル基、2−n−ブトキシカルボニルエチル基、1−イソブトキシカルボニルエチル基、2−イソブトキシカルボニルエチル基、1−sec−ブトキシカルボニルエチル基、2−sec−ブトキシカルボニルエチル基、1−tert−ブトキシカルボニルエチル基、2−tert−ブトキシカルボニルエチル基、1−メトキシカルボニルプロピル基、2−メトキシカルボニルプロピル基、3−メトキシカルボニルプロピル基、1−メトキシカルボニル−1−メチルエチル基、2−メトキシカルボニル−1−メチルエチル基、1−エトキシカルボニルプロピル基、2−エトキシカルボニルプロピル基、3−エトキシカルボニルプロピル基、1−エトキシカルボニル−1−メチルエチル基、2−エトキシカルボニル−1−メチルエチル基、1−n−プロポキシカルボニルプロピル基、2−n−プロポキシカルボニルプロピル基、3−n−プロポキシカルボニルプロピル基、1−n−プロポキシカルボニル−1−メチルエチル基、2−n−プロポキシカルボニル−1−メチルエチル基、1−イソプロポキシカルボニルプロピル基、2−イソプロポキシカルボニルプロピル基、3−イソプロポキシカルボニルプロピル基、1−イソプロポキシカルボニル−1−メチルエチル基、2−イソプロポキシカルボニル−1−メチルエチル基、1−メトキシカルボニルブチル基、2−メトキシカルボニルブチル基、3−メトキシカルボニルブチル基、4−メトキシカルボニルブチル基、2−メトキシカルボニル−1−メチルプロピル基、3−メトキシカルボニル−1−メチルプロピル基、3−メトキシカルボニル−2−メチルプロピル基、2−メトキシカルボニル−1−エチルエチル基、1−エトキシカルボニルブチル基、2−エトキシカルボニルブチル基、3−エトキシカルボニルブチル基、4−エトキシカルボニルブチル基、2−エトキシカルボニル−1−メチルプロピル基、3−エトキシカルボニル−1−メチルプロピル基、3−エトキシカルボニル−2−メチルプロピル基、2−エトキシカルボニル−1−エチルエチル基などであり、好ましくは、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基および2−メトキシカルボニルエチル基である。
【0029】
前記R2の定義中に示されている「C1−C6アルキルアミノ基」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状アルキル基が1個または2個、窒素原子と結合した基であり、アルキル基が2個の場合アルキル基は同一でも異なっていても良い。その例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、2−メチルブチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、4−メチルペンチルアミノ基、3−メチルペンチルアミノ基、2−メチルペンチルアミノ基、3,3−ジメチルブチルアミノ基、1,1−ジメチルブチルアミノ基、1,3−ジメチルブチルアミノ基、2,3−ジメチルブチルアミノ基、1−エチルブチルアミノ基、1−メチル−1−エチルプロピルアミノ基、1,2−ジメチルブチルアミノ基、2−メチル−1−エチルプロピルアミノ基、2,2−ジメチルブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、イソプロピルメチルアミノ基などであり、好ましくは、メチルアミノ基およびジメチルアミノ基である。
【0030】
前記R2の定義中に示されている「C3〜C7シクロアルキル基」は、炭素数3〜7個の環状アルキル基であり、その環上に分岐鎖を持っていてもよく、その例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロプロピル基、2−メチルシクロペンチル基または2−メチルシクロヘキシル基などであり、好ましくは、シクロプロピル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基である。
【0031】
前記R2の定義中に示されている「C3〜C7シクロアルキルC1〜C4アルキル基」は、シクロアルキル部位が炭素数3〜7個であり、その環上に分岐鎖を持っていてもよい環状アルキル基で置換された炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、その例としては、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2−メチルシクロプロピルメチル基、2−メチルシクロペンチルメチル基、2−メチルシクロヘキシルメチル基、1−シクロプロピルエチル基、1−シクロブチルエチル基、1−シクロペンチルエチル基、1−シクロヘキシルエチル基、1−(2−メチルシクロプロピル)エチル基、1−(2−メチルシクロペンチル)エチル基、1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル基、2−シクロプロピルエチル基、2−シクロブチルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−(2−メチルシクロプロピル)エチル基、2−(2−メチルシクロペンチル)エチル基、2−(2−メチルシクロヘキシル)エチル基、1−シクロプロピルプロピル基、1−シクロブチルプロピル基、1−シクロペンチルプロピル基、1−シクロヘキシルプロピル基、1−(2−メチルシクロプロピル)プロピル基、1−(2−メチルシクロペンチル)プロピル基、1−(2−メチルシクロヘキシル)プロピル基、2−シクロプロピルプロピル基、2−シクロブチルプロピル基、2−シクロペンチルプロピル基、2−シクロヘキシルプロピル基、2−(2−メチルシクロプロピル)プロピル基、2−(2−メチルシクロペンチル)プロピル基、2−(2−メチルシクロヘキシル)プロピル基、3−シクロプロピルプロピル基、3−シクロブチルプロピル基、3−シクロペンチルプロピル基、3−シクロヘキシルプロピル基、3−(2−メチルシクロプロピル)プロピル基、3−(2−メチルシクロペンチル)プロピル基、3−(2−メチルシクロヘキシル)プロピル基、1−シクロプロピル−1−メチルエチル基、1−シクロブチル−1−メチルエチル基、1−シクロペンチル−1−メチルエチル基、1−シクロヘキシル−1−メチルエチル基、1−(2−メチルシクロプロピル)−1−メチルエチル基、1−(2−メチルシクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(2−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル基、2−シクロプロピル−1−メチルエチル基、2−シクロブチル−1−メチルエチル基、2−シクロペンチル−1−メチルエチル基、2−シクロヘキシル−1−メチルエチル基、2−(2−メチルシクロプロピル)−1−メチルエチル基、2−(2−メチルシクロペンチル)−1−メチルエチル基、2−(2−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−シクロプロピルブチル基、1−シクロブチルブチル基、1−シクロペンチルブチル基、1−シクロヘキシルブチル基、1−(2−メチルシクロプロピル)ブチル基、1−(2−メチルシクロペンチル)ブチル基、1−(2−メチルシクロヘキシル)ブチル基、2−シクロプロピルブチル基、2−シクロブチルブチル基、2−シクロペンチルブチル基、2−シクロヘキシルブチル基、2−(2−メチルシクロプロピル)ブチル基、2−(2−メチルシクロペンチル)ブチル基、2−(2−メチルシクロヘキシル)ブチル基、3−シクロプロピルブチル基、3−シクロブチルブチル基、3−シクロペンチルブチル基、3−シクロヘキシルブチル基、3−(2−メチルシクロプロピル)ブチル基、3−(2−メチルシクロペンチル)ブチル基、3−(2−メチルシクロヘキシル)ブチル基、4−シクロプロピルブチル基、4−シクロブチルブチル基、4−シクロペンチルブチル基、4−シクロヘキシルブチル基、4−(2−メチルシクロプロピル)ブチル基、4−(2−メチルシクロペンチル)ブチル基、4−(2−メチルシクロヘキシル)ブチル基、2−シクロプロピル−1−エチルエチル基、2−シクロブチル−1−エチルエチル基、2−シクロペンチル−1−エチルエチル基、2−シクロヘキシル−1−エチルエチル基、2−(2−メチルシクロプロピ
ル)−1−エチルエチル基、2−(2−メチルシクロペンチル)−1−エチルエチル基、2−(2−メチルシクロヘキシル)−1−エチルエチル基、2−シクロプロピル−1−メチルプロピル基、2−シクロブチル−1−メチルプロピル基、2−シクロペンチル−1−メチルプロピル基、2−シクロヘキシル−1−メチルプロピル基、2−(2−メチルシクロプロピル)−1−メチルプロピル基、2−(2−メチルシクロペンチル)−1−メチルプロピル基、2−(2−メチルシクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、3−シクロプロピル−1−メチルプロピル基、3−シクロブチル−1−メチルプロピル基、3−シクロペンチル−1−メチルプロピル基、3−シクロヘキシル−1−メチルプロピル基、3−(2−メチルシクロプロピル)−1−メチルプロピル基、3−(2−メチルシクロペンチル)−1−メチルプロピル基、3−(2−メチルシクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、3−シクロプロピル−2−メチルプロピル基、3−シクロブチル−2−メチルプロピル基、3−シクロペンチル−2−メチルプロピル基、3−シクロヘキシル−2−メチルプロピル基、3−(2−メチルシクロプロピル)−2−メチルプロピル基、3−(2−メチルシクロペンチル)−2−メチルプロピル基または3−(2−メチルシクロヘキシル)−2−メチルプロピル基などであり、好ましくは、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基およびシクロヘキシルメチル基である。
【0032】
前記R2の定義中に示されている「ヘテロシクリルC1〜C4アルキル基」は、5〜6員環中に1個以上のヘテロ原子を含む脂環式ヘテロ環で置換された炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、その例としては、2−テトラヒドロフラニルメチル基、3−テトラヒドロフラニルメチル基、2−テトラヒドロチエニルメチル基、3−テトラヒドロチエニルメチル基、2−ピペリジルメチル基、3−ピペリジルメチル基、4−ピペリジルメチル基、2−モルホリニルメチル基、3−モルホリニルメチル基、2−ピペラジニルメチル基、3−ピペラジニルメチル基、1−(2−テトラヒドロフラニル)エチル基、1−(3−テトラヒドロフラニル)エチル基、1−(2−テトラヒドロチエニル)エチル基、1−(3−テトラヒドロチエニル)エチル基、1−(2−ピペリジル)エチル基、1−(3−ピペリジル)エチル基、1−(4−ピペリジル)エチル基、2−(2−テトラヒドロフラニル)エチル基、2−(3−テトラヒドロフラニル)エチル基、2−(2−テトラヒドロチエニル)エチル基、2−(3−テトラヒドロチエニル)エチル基、2−(1−ピペリジル)エチル基、2−(2−ピペリジル)エチル基、2−(3−ピペリジル)エチル基、2−(4−ピペリジル)エチル基、1−(2−テトラヒドロフラニル)プロピル基、1−(3−テトラヒドロフラニル)プロピル基、1−(2−テトラヒドロチエニル)プロピル基、1−(3−テトラヒドロチエニル)プロピル基、1−(2−ピペリジル)プロピル基、1−(3−ピペリジル)プロピル基、1−(4−ピペリジル)プロピル基、3−(2−テトラヒドロフラニル)プロピル基、3−(3−テトラヒドロフラニル)プロピル基、3−(2−テトラヒドロチエニル)プロピル基、3−(3−テトラヒドロチエニル)プロピル基、3−(1−ピペリジル)プロピル基、3−(2−ピペリジル)プロピル基、3−(3−ピペリジル)プロピル基、3−(4−ピペリジル)プロピル基、4−(2−テトラヒドロフラニル)ブチル基、4−(3−テトラヒドロフラニル)ブチル基または4−(2−テトラヒドロチエニル)ブチル基などであり、好ましくは、2−テトラヒドロフラニルメチル基、3−テトラヒドロフラニルメチル基、2−テトラヒドロチエニルメチル基および3−テトラヒドロチエニルメチル基である。
【0033】
前記R2の定義中に示されている「ヘテロアリールC1〜C4アルキル基」は、5〜6員環中に1個以上のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環で置換された炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、その例としては、2−フラニルメチル基、3−フラニルメチル基、2−チエニルメチル基、3−チエニルメチル基、2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル基、4−ピリジルメチル基、3−ピラゾールメチル基、2−イミダゾールメチル基、2−オキサゾールメチル基、3−イソオキサゾールメチル基、1−(2−フラニル)エチル基、1−(3−フラニル)エチル基、1−(2−チエニル)エチル基、1−
(3−チエニル)エチル基、1−(2−ピリジル)エチル基、1−(3−ピリジル)エチル基、1−(4−ピリジル)エチル基、2−(2−フラニル)エチル基、2−(3−フラニル)エチル基、2−(2−チエニル)エチル基、2−(3−チエニル)エチル基、2−(2−ピリジル)エチル基、2−(3−ピリジル)エチル基、2−(4−ピリジル)エチル基、1−(2−フラニル)プロピル基、1−(3−フラニル)プロピル基、1−(2−チエニル)プロピル基、1−(3−チエニル)プロピル基、1−(2−ピリジル)プロピル基、1−(3−ピリジル)プロピル基、1−(4−ピリジル)プロピル基、3−(2−フラニル)プロピル基、3−(3−フラニル)プロピル基、3−(2−チエニル)プロピル基、3−(3−チエニル)プロピル基、3−(2−ピリジル)プロピル基、3−(3−ピリジル)プロピル基、3−(4−ピリジル)プロピル基、4−(2−フラニル)ブチル基、4−(3−フラニル)ブチル基または4−(2−チエニル)ブチル基などであり、好ましくは、2−フラニルメチル基、3−フラニルメチル基、2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル基および4−ピリジルメチル基である。
【0034】
前記R2の定義中に示されている「フェニルC1〜C4アルキル基」は、フェニル基で置換された炭素数1〜4個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、その例としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、1−フェニル−1−メチルエチル基、2−フェニル−1−メチルエチル基、1−フェニルブチル基、2−フェニルブチル基、3−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、1−フェニル−1−メチルプロピル基、2−フェニル−1−メチルプロピル基、3−フェニル−1−メチルプロピル基、1−フェニル−2−メチルプロピル基、2−フェニル−2−メチルプロピル基、または3−フェニル−2−メチルプロピル基などであり、好ましくは、ベンジル基である。
【0035】
上記「ヘテロシクリルC1〜C4アルキル基」、「ヘテロアリールC1〜C4アルキル基」および「フェニルC1〜C4アルキル基」上の置換基の定義中に示されている「C1〜C6アルキル基」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、2−メチル−1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基などであり、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。
【0036】
上記「ヘテロアリールC1〜C4アルキル基」および「フェニルC1〜C4アルキル基」上の置換基の定義中に示されている「ハロゲン原子」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子を例示することができる。
【0037】
上記「ヘテロアリールC1〜C4アルキル基」および「フェニルC1〜C4アルキル基」上の置換基の定義中に示されている「C1〜C6ハロアルキル基」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状のハロアルキル基であり、その例としては、トリフルオロメチル基、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、1−フルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1−フルオロプロピル基、3−フルオロプロピル基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、3−ヨードプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、1−フルオロブチル基、4−フルオロブチル基、1−クロロブチル基、5−フルオロペンチル基、6−フルオロヘキシル基、トリデカフルオ
ロヘキシル基などのような、前記のアルキル基にフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲン原子が結合したアルキル基であり、好ましくは、トリフルオロメチル基あるいはジフルオロメチル基である。
【0038】
本発明において、一般式(I)で表されるアベルメクチンモノ配糖体誘導体の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、このような塩としては、例えば、有機酸または無機酸との塩などが挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸、桂皮酸、p-メトキシ桂皮酸、フェルラ酸などとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、硫酸、燐酸などとの塩が挙げられる。
【0039】
上記した塩の中でも有機酸との塩が好ましく、さらに有機酸との塩としては、安息香酸との塩が好ましい。
なお、本発明における塩は、上記の塩に何ら限定されるものではない。
【0040】
本発明における新規アベルメクチンモノオレアンドロース配糖体誘導体の4'位水酸基上の代表的な置換基の例を以下の表1−1〜表1−3に示す。ただし、本発明はこれらの表に例示された置換基を有する化合物に限定されるものではない。
【0041】
表1−1〜表1−3において、各置換基を有する本発明化合物の物理化学的物性値として高速液体クロマトグラフィーでの保持時間(HPLC保持時間)を記載している。このHPLC保持時間については、後述の実施例で測定条件(使用カラム、溶離液、流量など)を詳しく述べる。
【0042】
【表1−1】

【0043】
【表1−2】

【0044】
【表1−3】

【0045】
[本発明に係る化合物の製造方法]
本発明の一般式(I)に示す化合物は、次の製造工程1から製造工程9に示す方法により製造することができる。
【0046】
本発明による一般式(I)のアベルメクチンモノ配糖体誘導体は、例えば、下記の製造工程1の方法で製造できる。
製造工程1
【化6】

(式中、AおよびR1は前記と同じ意味を示し、R5は、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、ジアルキルアリールシリル基、ジアリールアルキルシリル基などの3置換シリル基であり、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、ジ−t−ブチルメチルシリル基、t−ブチルメトキシフェニルシリル基、t−ブトキシジフェニルシリル基などが挙げられ、特に好ましくはt−ブチルジメチルシリル基が挙げられる。)
【0047】
製造工程(1)はアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体誘導体(II)から、5位の保護基を酸処理により除去する工程である。
使用される酸としては、硫酸、塩酸またはフッ化水素酸のような無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-クロロベンゼンスルホン酸のような有機酸、その他H+型の各種強酸性あるいは弱酸性のイオン交換体が挙げられるが、好適には、p−トルエンスルホン酸である。使用される酸の量は、使用される酸および溶媒の種類により大幅に変わりうるが、通常0.1〜10当量である。好適には0.5〜2当量である。
反応に使用される溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールおよびt−ブタノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類およびアセトニトリルのようなニトリル類を挙げることができる。これらの混合溶媒でもよい。
また、反応溶媒中に必要に応じてアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、テトラブチルアミンなどの有機塩基、あるいはクラウンエーテルなどを加えてもよい。
【0048】
反応温度は、−10℃から100℃で行われ、好適には0℃から30℃である。反応時間は、主に反応温度、または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常10分から50時間である。好適には、0.5時間から5時間である。
一般式(II)の化合物はたとえば後記の製造工程(5)、製造工程(6)、製造工程(7)などに記載された方法にしたがって容易に合成できる。
【0049】
本発明による一般式(I−a)のアベルメクチンモノ配糖体誘導体は、例えば、下記の製造工程2の方法によっても製造できる。
製造工程(2)
【化7】

(式中、R1は前記と同じ意味を示し、R6、R7は、水素原子またはアルキル基を示し、A1は下記一般式(A−1−1)または(A−2−1)を示し、A2は下記一般式(A−1−2)または4−ピペリジル基を示す。
【化8】

(式中、m、n、R2は前記と同じ意味を示し、R3a、R4aはC1〜C6アルキル基を示す。))
【0050】
製造工程(2)はアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体誘導体(I−b)上のA2中にある窒素原子を、一般式(III)で示されるカルボニル誘導体と縮合、還元する工程である。
使用される還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ほう素ナトリウムなどの複合水素化合物やジボラン、塩化チタン(IV)などが挙げられる。またナトリウム、ナトリウムアマルガム、亜鉛−酸による還元、接触還元、あるいは鉛、白金を陰極とした電解還元を用いても良い。好適には、シアノ水素化ほう素ナトリウムである。使用される還元剤の量は、使用される還元剤および溶媒の種類により大幅に変わりうるが、通常0.1〜10当量である。好適には0.5〜2当量である。
反応に使用される溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールおよびt−ブタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類およびアセトニトリルのようなニトリル類を挙げることができる。これらの混合溶媒でもよい。
また、反応溶媒中に必要に応じてアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、テトラブチルアミンなどの有機塩基、酢酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸、硫酸、塩酸などの無機酸を加えても良い。またはこれらの酸および塩基の塩あるいはクラウンエーテルなどを加えても良い。
【0051】
反応温度は、−10℃から100℃で行われ、好適には0℃から30℃である。反応時間は、主に反応温度、または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常10分から50時間である。好適には、0.5時間から5時間である。
一般式(I−b)の化合物はたとえば前記の製造工程(1)、後記の製造工程(3)、製造工程(4)などに記載された方法にしたがって容易に合成できる。
一般式(III)の化合物は、公知の方法により製造するか、または市販品を用いることができる。
【0052】
本発明による一般式(I−b)のアベルメクチンモノ配糖体誘導体は、例えば、下記の製造工程(3)の方法によっても製造できる。
製造工程(3)
【化9】

(式中、R1、A2は前記と同じ意味を示し、A3は下記一般式(A−1−3)または(A−2−2)を示す。
【化10】

(式中、m、n、R2は前記と同じ意味を示し、R3b、R4bはトリフルオロアセチル基またはtert−ブトキシカルボニル基を示す。))
【0053】
製造工程(3)はアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体誘導体(I−c)上のA3中にある窒素原子上の保護基を酸処理により除去する工程である。
使用される酸としては、硫酸、塩酸、臭化水素酸またはフッ化水素酸のような無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-クロロベンゼンスルホン酸のような有機酸、その他H+型の各種強酸性あるいは弱酸性のイオン交換体が挙げられるが、好適には、硫酸である。使用される酸の量は、使用される酸および溶媒の種類により大幅に変わりうるが、通常0.1〜50当量である。好適には1〜15当量である。
反応に使用される溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールおよびt−ブタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類およびアセトニトリルのようなニトリル類を挙げることができる。これらの混合溶媒でもよい。
【0054】
反応温度は、−10℃から100℃で行われ、好適には0℃から30℃である。反応時間は、主に反応温度、または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常10分から100時間である。好適には、0.5時間から24時間である。
一般式(I−c)の化合物はたとえば前記の製造工程(1)などに記載された方法にしたがって容易に合成できる。
【0055】
本発明による一般式(I−d)のアベルメクチンモノ配糖体誘導体は、例えば、下記の
製造工程(4)の方法によっても製造できる。
製造工程(4)
【化11】

(式中、R1、R2、m、nは前記と同じ意味を示し、R3cは前記R3の定義において、トリフルオロアセチル基およびtert−ブトキシカルボニル基を除いた基を示し、Bはオキソシクロブチル基、オキソシクロペンチル基、オキソシクロヘキシル基、オキソシクロヘプチル基または下記一般式(B−1)を示す。
【化12】

(オキソシクロアルキル基上のカルボニルはシクロアルカン環のどこについていてもよく、また、式中mは前記と同じ意味を示し、n1は0、1、2のいずれかを示す。))
【0056】
製造工程(4)はアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体誘導体(IV)上にあるカルボニル基を、一般式(V)で示されるアミンと縮合、還元する工程である。
使用される還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ほう素ナトリウムなどの複合水素化合物やジボラン、塩化チタン(IV)などが挙げられる。またナトリウム、ナトリウムアマルガム、亜鉛−酸による還元、接触還元、あるいは鉛、白金を陰極とした電解還元を用いても良い。好適には、シアノ水素化ほう素ナトリウムである。使用される還元剤の量は、使用される還元剤および溶媒の種類により大幅に変わりうるが、通常0.1〜10当量である。好適には0.5〜2当量である。
反応に使用される溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールおよびt−ブタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類およびアセトニトリルのようなニトリル類を挙げることができる。これらの混合溶媒でもよい。
また、反応溶媒中に必要に応じてアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、テトラブチルアミンなどの有機塩基、酢酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸、硫酸、塩酸などの無機酸を加えても良い。またはこれらの酸および塩基の塩あるいはクラウンエーテルなどを加えても良い。
【0057】
反応温度は、−10℃から100℃で行われ、好適には0℃から30℃である。反応時間は、主に反応温度、または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常10分から50時間である。好適には、0.5時間から5時間である。
一般式(IV)の化合物はたとえば後記の製造工程(8)などに記載された方法にしたがって容易に合成できる。 一般式(V)の化合物は、公知の方法により製造するか、ま
たは市販品を用いることができる。
【0058】
本発明による一般式(II−a)のアベルメクチンモノ配糖体誘導体は、例えば、下記の製造工程(5)の方法によっても製造できる。
製造工程(5)
【化13】

(式中、R1、R5は前記と同じ意味を示し、Xはハロゲン原子、ホルミルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、水酸基など、縮合反応に通常用いられるものを示し、Xが水酸基の場合は、(VII)はアルカリ金属、アルカリ土類金属との塩を形成しても良く、A4は下記一般式(A−1−3)、(A−2−1)、(A−1−4)または(A−2−2)を示す。
【化14】

(式中、m、n、R2、R3a、R3b、R4a、R4bは前記と同じ意味を示し、R2aは上記R2の定義において水素原子を除いた基を示す。))
【0059】
製造工程(5)は5位を保護したアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体(VI)の4'位に一般式(VII)で表される酸あるいはその反応性誘導体をエステル結合させる工程である。
一般式(VII)がカルボン酸、またはその塩の場合は、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム、塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム(DMC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩、p−トルエンスルホン酸、硫酸などの脱水剤が使用される。好適には、塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムが挙げられる。一般式(VII)で表されるカルボン酸またはその塩は、通常1〜10当量、好適には1〜5当量であり、脱水剤の使用量は、一般式(VII)で表される酸に対して、通常1〜5当量、好適には1〜2当量である。
反応には必ずしも塩基を必要としないが、塩基の存在下に実施してもよい。用いられる塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムまたは水素化ナトリウムなどの無機塩基類、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5(DBN)または1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)などの有機塩基類などであり、好適な塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたは1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)のような有機塩基が挙げられる。
使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンのような炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、ジメチルスルホキシド
のようなスルホキシド類、アセトニトリルのようなニトリル類およびこれらの溶媒の混合物などであり、特に好適には、塩化メチレンまたは1,2−ジクロロエタンである。
【0060】
反応温度は、通常、−10℃〜90℃であるが、好適には0℃〜60℃である。反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常15分〜24時間であり、好適には30分〜12時間である。
【0061】
一般式(VII)が酸ハロゲン化物および酸無水物の場合は、必ずしも塩基を必要としないが、塩基の存在下に実施してもよい。用いられる塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムまたは水素化ナトリウムなどの無機塩基類、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5(DBN)または1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)などの有機塩基類などであり、好適な塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたは1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)のような有機塩基が挙げられる。
一般式(VII)で表される酸ハロゲン化物および酸無水物は、通常1〜10当量、好適には1〜5当量であり、そして塩基は、通常2〜8当量使用される。反応に使用される溶媒は、カルボン酸自体を使用する場合と同様である。反応は通常、0℃〜50℃で行われ、反応時間は、5分〜12時間である。
ここに使用される反応に不活性な溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムまたは四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサンなどのエーテル類、アセトン、3−ペンタノンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたはN−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、酢酸メチルまたは酢酸エチルなどのエステル類、アセトニトリルまたはプロピオニトリルなどのニトリル類、ジメチルスルホキシド、水などがあり、好ましくはトルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフランおよびN,N−ジメチルホルムアミドなどである。
【0062】
一般式(VI)の化合物は公知の化合物であり、例えば国際公開特許WO08/056608号パンフレットなどに記載された方法に準じて容易に合成できる。
一般式(VII)の化合物は、公知の方法により製造するか、または市販品を用いることができる。
【0063】
本発明による一般式(II−b)のアベルメクチンモノ配糖体誘導体は、例えば、下記の製造工程(6)の方法によっても製造できる。
製造工程(6)
【化15】

(式中、R1、R2、R3c、R5、B、m、nは前記と同じ意味を示す。)
【0064】
製造工程(6)はアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体誘導体(VIII)上に
あるカルボニル基を、一般式(V)で示されるアミンと縮合、還元する工程である。
使用される還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ほう素ナトリウムなどの複合水素化合物やジボラン、塩化チタン(IV)などが挙げられる。またナトリウム、ナトリウムアマルガム、亜鉛−酸による還元、接触還元、あるいは鉛、白金を陰極とした電解還元を用いても良い。好適には、シアノ水素化ほう素ナトリウムである。使用される還元剤の量は、使用される還元剤および溶媒の種類により大幅に変わりうるが、通常0.1〜10当量である。好適には0.5〜2当量である。
反応に使用される溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールおよびt−ブタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類およびアセトニトリルのようなニトリル類を挙げることができる。これらの混合溶媒でもよい。
また、反応溶媒中に必要に応じてアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、テトラブチルアミンなどの有機塩基、酢酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸、硫酸、塩酸などの無機酸を加えても良い。またはこれらの酸および塩基の塩あるいはクラウンエーテルなどを加えても良い。
【0065】
反応温度は、−10℃から100℃で行われ、好適には0℃から30℃である。反応時間は、主に反応温度、または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常10分から50時間である。好適には、0.5時間から5時間である。
一般式(VIII)の化合物はたとえば後記の製造工程(9)などに記載された方法にしたがって容易に合成できる。
一般式(V)の化合物は、公知の方法により製造するか、または市販品を用いることができる。
【0066】
本発明による一般式(II−c)のアベルメクチンモノ配糖体誘導体は、例えば、下記の製造工程(7)の方法によっても製造できる。
製造工程(7)
【化16】

(式中、R1、R5、R6、R7、A1、A2は前記と同じ意味を示す。)
【0067】
製造工程(7)はアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体誘導体(II−d)上のA2中にある窒素原子を、一般式(III)で示されるカルボニル誘導体と縮合、還元する工程である。
使用される還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ほう素ナトリウムなどの複合水素化合物やジボラン、塩化チタン(IV)などが挙げられる。またナトリウム、ナトリウムアマルガム、亜鉛−酸による還元、接触還元、あるいは鉛、白金を陰極とした電解還元を用いても良い。好適には、シアノ水素化ほう素ナトリウムである。使用される還元剤の量は、使用される還元剤および溶媒の種類により大幅に変わりうるが、通常0.1〜10当量である。好適には0.5〜2当量である。
反応に使用される溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールおよびt−ブタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類およびアセトニトリルのようなニトリル類を挙げることができる。これらの混合溶媒でもよい。
また、反応溶媒中に必要に応じてアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、テトラブチルアミンなどの有機塩基、酢酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸、硫酸、塩酸などの無機酸を加えても良い。またはこれらの酸および塩基の塩あるいはクラウンエーテルなどを加えても良い。
【0068】
反応温度は、−10℃から100℃で行われ、好適には0℃から30℃である。反応時間は、主に反応温度、または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常10分から50時間である。好適には、0.5時間から5時間である。
一般式(II−d)の化合物はたとえば前記の製造工程(6)などに記載された方法にしたがって容易に合成できる。
一般式(III)の化合物は、公知の方法により製造するか、または市販品を用いることができる。
【0069】
本発明による一般式(IV)のアベルメクチンモノ配糖体誘導体は、例えば、下記の製造工程(8)の方法で製造できる。
製造工程(8)
【化17】

(式中、R1、R5、Bは前記と同じ意味を示す。)
【0070】
製造工程(8)はアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体誘導体(VIII)から、5位の保護基を酸処理により除去する工程である。
使用される酸としては、硫酸、塩酸またはフッ化水素酸のような無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-クロロベンゼンスルホン酸のような有機酸、その他H+型の各種強酸性あるいは弱酸性のイオン交換体が挙げられるが、好適には、p-トルエンスルホン酸である。使用される酸の量は、使用される酸および溶媒の種類により大幅に変わりうるが、通常0.1〜10当量である。好適には0.5〜2当量である。
反応に使用される溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールおよびt−ブタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類およびアセトニトリルのようなニ
トリル類を挙げることができる。これらの混合溶媒でもよい。
また、反応溶媒中に必要に応じてアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、テトラブチルアミンなどの有機塩基、あるいはクラウンエーテルなどを加えても良い。
【0071】
反応温度は、−10℃から100℃で行われ、好適には0℃から30℃である。反応時間は、主に反応温度、または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常10分から50時間である。好適には、0.5時間から5時間である。
一般式(VIII)の化合物はたとえば後記の製造工程(9)などに記載された方法にしたがって容易に合成できる。
【0072】
本発明による一般式(VIII)のアベルメクチンモノ配糖体誘導体は、例えば、下記の製造工程(9)の方法によっても製造できる。
製造工程(9)
【化18】

(式中、R1、R5、X、Bは前記と同じ意味を示す。)
【0073】
製造工程(9)は5位を保護したアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体(VI)の4'位に一般式(IX)で表される酸あるいはその反応性誘導体をエステル結合させる工程である。
一般式(IX)がカルボン酸、またはその塩の場合は、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム、塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム(DMC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩、p−トルエンスルホン酸、硫酸などの脱水剤が使用される。好適には、塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムが挙げられる。
反応には必ずしも塩基を必要としないが、塩基の存在下に実施してもよい。用いられる塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムまたは水素化ナトリウムなどの無機塩基類、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5(DBN)または1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)などの有機塩基類などであり、好適な塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたは1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)のような有機塩基が挙げられる。一般式(IX)で表されるカルボン酸またはその塩は、通常1〜10当量、好適には1〜5当量であり、脱水剤の使用量は、一般式(IX)で表される酸に対して、通常1〜5当量、好適には1〜2当量である。
使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンのような炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類、アセトニトリルのようなニトリル類およびこれらの溶媒の混合物などであり、特に好適には、塩化メチレンまたは1,2−ジクロロエタンである。
【0074】
反応温度は、通常、−10℃〜90℃であるが、好適には0℃〜60℃である。反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常15分〜24時間であり、好適には30分〜12時間である。
【0075】
一般式(IX)が酸ハロゲン化物および酸無水物の場合は、必ずしも塩基を必要としないが、塩基の存在下に実施してもよい。用いられる塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムまたは水素化ナトリウムなどの無機塩基類、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5(DBN)または1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)などの有機塩基類などであり、好適な塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたは1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)のような有機塩基が挙げられる。
一般式(IX)で表される酸ハロゲン化物および酸無水物は、通常1〜10当量、好適には1〜5当量であり、そして塩基は、通常2〜8当量使用される。反応に使用される溶媒は、カルボン酸自体を使用する場合と同様である。反応は通常、0℃〜50℃で行われ、反応時間は、5分〜12時間である。
ここに使用される反応に不活性な溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムまたは四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサンなどのエーテル類、アセトン、3−ペンタノンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたはN−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、酢酸メチルまたは酢酸エチルなどのエステル類、アセトニトリルまたはプロピオニトリルなどのニトリル類、ジメチルスルホキシドなどがあり、好ましくはトルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフランおよびN,N−ジメチルホルムアミドなどである。
【0076】
一般式(VI)の化合物は公知の化合物であり、例えば国際公開特許WO08/056608号パンフレットなどに記載された方法に準じて容易に合成できる。
一般式(IX)の化合物は、公知の方法により製造するか、または市販品を用いることができる。
【0077】
上記の製造工程(1)から(9)の各工程反応終了後、目的の反応生成化合物は、周知の方法で反応混合物より単離され、必要に応じてカラムクロマトグラフィーなどの公知の手段によって精製してもよい。
【0078】
前記一般式(I)で表される本発明の新規4'−置換アベルメクチンモノ配糖体誘導体は、強力な殺虫、殺ダニまたは駆虫活性を有し、農園芸作物および樹木を加害する害虫、ダニ類および線虫類の防除、家屋などの人間の生活環境で様々な悪影響を与える衛生害虫、衣類などに付く家庭内害虫、貯蔵された穀物を加害する貯穀害虫の駆除、もしくは動物寄生虫によって引き起こされる種々の病害に対して、優れた効果を示す。また、本発明の新規化合物は、低毒性で普通物に分類され、人畜に対して安全性の高い殺虫剤、殺ダニ剤もしくは駆虫剤を提供することができる。
【0079】
本発明化合物の殺虫剤場面での用途としては下記の害虫の防除に使用することができる。すなわち、本発明の化合物は、栽培植物に対して薬害を与えることなく、広範な種々の有害害虫、有害な吸汁性昆虫、咀嚼性昆虫およびその他の植物寄生害虫に対して的確な防除効果を発揮する。その他、貯蔵害虫および衛生害虫などの防除のために使用でき、それらの駆除撲滅のために適用できる。
【0080】
そのような害虫類の例としては、以下の如き害虫類を例示することが出来る。ただし、本発明の殺虫剤の適用はこれらの害虫に限定されるものではない。
【0081】
昆虫類の中では、鱗翅目[Lepidoptera]害虫として、たとえばキンモンホソガ(Phyllonorycter ringoniella)、コナガ(Plutella xylostella)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana)、チャハマキ(Homona magnanima)、マメシンクイガ(Leguminivora glycinivorella)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、アワノメイガ(Ostrinia furnacalis)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、イネツトムシ(Parnara guttata)、モンシロチョウ(Pieris rapae crucivora)、ヘリオチス(Heliothis spp.)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)、マイマイガ(Lymantria dispar)、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella)、コドリンガ(Carpocapsa pomonella)など。
総翅目[Thysanoptera]害虫として、たとえばチャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、イネアザミウマ(Stenchaetothrips biformis)など。
半翅目[Hemiptera]害虫として、たとえばツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavatus)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula)、ナシグンバイ(Stephanitis nashi)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、トコジラミ(Cimex lectularius)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、リンゴアブラムシ(Aphis pomi)、マメアブラムシ(Aphis craccivora)、アリマキ(Acyrthiosiphon sp.)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comsto cki)など。
鞘翅目[Coleoptera]害虫として、たとえばドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、マメコガネ(Popillia japonica)、イネゾウムシ(Echinocnemus squameus)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、ヒメマルカツオブシムシ(Anthrenus verbasci)、コクヌスト(Tenebroides mauritanicus)、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、ジアブロチカ(Diabrotica spp.)など。
直翅目[Orthoptera]害虫として、たとえばケラ(Gryllotalpa
spp.)、トノサマバッタ(Locusta migratoria)、コバネイナゴ(Oxya yezoensis)など。
網翅目[Dictyoptera]害虫としては、たとえばチャバネゴキブリ(Bla
ttella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)など。
双翅目[Diptera]害虫として、たとえばネッタイイエカ(Culex pipiens fatigans)、ネッタイシマカ(Aedes aegpti)、アカイエカ(Culex pipiens)、シナハマダラカ(Anopheles slnensis)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)、ダイズサヤタマバエ(Asphondylia spp.)、タネバエ(Delia platura)、イエバエ(Musca domestica)、ウリミバエ(Dacus cucurbitae)、イネハモグリバエ(Agromyza oryzae)、キンバエ(Lucilia spp.)など。
等翅目[Isoptera]害虫として、たとえばヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)など。
膜翅目[Hymenoptera]害虫として、たとえばカブラハバチ(Athalia rosae ruficornis)、ルリチュウレンジ(Arge similis)など。
隠翅目[Aphaniptera]害虫として、たとえばヒトノミ(Pulex irritans)、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)など。
シラミ目[Anoplura]害虫として、たとえばコロモジラミ(Pediculus humanus corporis)、ケジラミ(Phthirius pubis)、アタマジラミ(Pediculus humanus capitis)、イヌジラミ(Linognathus setosus)、ブタジラミ(Haematopinus suis)、ワラビーハジラミ(Heterodoxus longitarsus)など。
チャタテムシ目[Psocoptera]害虫として、たとえばコチャタテ(Trogium pulsatorium)、ヒラタチャタテ(Liposcelis bostrychophilus)などを挙げることができる。
【0082】
さらに、動物薬分野においては、本発明の新規化合物を種々の有害な動物寄生性害虫類など(内部および外部寄生虫)に対して使用して有効である。このような動物寄生性害虫類の例としては、以下の如き害虫を例示することが出来る。昆虫類として例えば、ウマバエ(Gastrophilus spp.)、サシバエ(Stomoxys spp.)、ハジラミ(Trichodectes spp.)、サシガメ(Rhodnius spp.)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)等を挙げることができる。
本発明ではこれら全てを包含する虫類に対する殺虫作用を有する物質として殺虫剤と呼ぶ事がある。
【0083】
本発明の化合物はダニ類の防除に対しても優れた効果を示す。すなわち、果樹、野菜および花卉に寄生するハダニ科(Tetranychidae)およびフシダニ科(Eriophydae)等のダニ類の成虫および卵に対し栽培植物に対して薬害を与えることなく的確な防除効果を発揮する。また、動物に寄生するマダニ科(Ixodidae)、ワクモ科(Dermanyssidae)およびヒゼンダニ科(Sarcoptidae)などのダニ類に対しても寄主動物に安全で薬害を与えることなく的確な駆除効果を発揮する。本化合物は、殺ダニ活性を有しているばかりでなく、既存の殺ダニ剤が効かなくなり近年問題になってきている薬剤抵抗性のダニに対しても、優れた殺ダニ効果を有している。
【0084】
このようなダニ類の例としては、以下の如きダニ類を例示することが出来る。ただし、本発明の殺ダニ剤の適用はこれらのダニ類に限定されるものではない。
ハダニ類として、たとえばナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、ミカンハダニ(Pan
onychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)など。動物寄生性ダニ類としてオウシマダニ(Boophilus microplus)、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、イエダニ(Ornithonyssus bacoti)、ツリガネチマダニ(Haemaphysalis campanulata)、ニキビダニ(Demodex folliculorum)、ヒョウヒダニ類、ワクモ(Dermanyssus gallinae)、アカツツガムシ(Leptotrombidium akamushi)、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)などを挙げることができる。
【0085】
本発明の化合物は線虫類の防除に対しても優れた効果を示し、殺線虫剤としても使用できる。このような植物寄生性線虫の例として、畑作・野菜などで問題となる土壌線虫であるサツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)、ネグサレセンチュウ(Pratylenchus spp.)、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)などが挙げられる。また、松に寄生して松枯れを引き起こすマツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus xylophilus)を防除する為の殺線虫剤としても有用である。
【0086】
その他有害動物、不快動物、衛生害虫、寄生虫として、たとえばスクミリンゴガイ(Pomacea canaliculata)、ナメクジ(Incilaria sp.)、アフリカマイマイ(Achatina fulica)等の腹足網類(Gastropoda)、ダンゴムシ(Armadillidium spp.)、ワラジムシ、ムカデ等の等脚目類(Isopoda)、ハジラミ類(Trichodectes spp.)、Cimex spp.等のトコジラミ類などの駆除にも使用しうる。
【0087】
さらに、本発明の化合物は動物および人間の寄生虫に対する駆虫剤として優れた殺寄生虫活性を有している。
特に、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコおよびニワトリのような家畜、家禽および愛玩動物に感染する次の線虫に有効である。ヘモンクス属(Haemonchus)、トリコストロンギルス属(Trichostrongylus)、オステルタギア属(Ostertagia)、ネマトジルス属(Nematodirus)、クーペリア属(Cooperia)、アスカリス属(Ascaris)、ブノストーマム属(Bunostomum)、エスファゴストーマム属(Oesophagostomum)、シャベルティア属(Chabertia)、トリキュリス属(Trichuris)、ストロンギルス属(Storongylus)、トリコネマ属(Trichonema)、ディクティオカウルス属(Dictyocaulus)、キャピラリア属(Capillaria)、ヘテラキス属(Heterakis)、トキソカーラ属(Toxocara)、アスカリジア属(Ascaridia)、オキシルス属(Oxyuris)、アンキロストーマ属(Ancylostoma)、ウンシナリア属(Uncinaria)、トキサスカリス属(Toxascaris)およびパラスカリア属(Parascaris)。
ネマトジルス属、クーペリア属およびエソファゴストーマム属のある種のものは腸管を攻撃し、一方、ヘモンクス属およびオステルタギア属のものは胃に寄生し、ディクティオカウルス属の寄生虫は肺に見出されるが、本発明の化合物は、これらに対しても活性を示す。また、フィラリア(Filariidae)科やセタリア(Setariidae)科の寄生虫は心臓および血管、皮下およびリンパ組織のような他の組織および器官に見出されるが、本発明の化合物は、これらに対しても活性を示す。
【0088】
本発明化合物は、又、人間に感染する寄生虫に対しても有用である。例えば、人間の消化管に寄生する最も普通の寄生虫である、アンキロストーマ(Ancylostoma)属、ネカトール(Necator)属、アスカリス(Ascaris)属、ストロンギロイデス(Strongyloides)属、トリヒネラ(Trichinella)属、キャピラリア(Capillaria)属、トリキュリス(Trichuris)属およびエンテロビウス(Enterobius)属である。
消化管の外の血液または他の組織および器官に見出される他の医学的に重要な寄生虫である、フィラリア科のブヘレリア(Wuchereria)属、ブルギア(Brugia)属、オンコセルカ(Onchocerca)属およびロア(Loa)糸状虫属ならびに蛇状線虫科(Dracunculidae)のドラクンクルス(Dracunculus)属の寄生虫、更には腸管内寄生虫の特別な腸管外寄生状態におけるストロンギロイデス属およびトリヒネラ属にも活性を示す。
【0089】
本発明化合物を動物および人における駆虫剤として使用する場合は、液体飲料として経口的に投与することが出来る。飲料は、通常は、ベントナイトのような懸濁剤および湿潤剤またはその他の賦形剤と共に、適当な非毒性の溶剤または水を用いて、溶液、懸濁液または分散液として調製される。一般に、飲料形態として用いる場合には、消泡剤を含有させる。飲料処方においては、一般に、本発明化合物を約0.01〜0.5重量%、好適には0.01〜0.1重量%含有させる。
【0090】
乾燥した固体の単位使用形態で経口投与することが望ましい場合は、所望量の本発明化合物を含有させたカプセル、丸薬または錠剤を使用するのが好適である。これらの使用形態は、活性成分を適当な細かく粉砕された希釈剤、充填剤、崩壊剤および/または結合剤、例えばデンプン、乳糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム、植物性ゴムなどと均質に混和することにより製造される。このような単位使用処方は、治療される宿主動物の種類、感染の程度および寄生虫の種類および宿主の体重によって、駆虫剤の重量および含量に関して広く変化させることができる。
【0091】
動物飼料と共に投与する場合は、本発明化合物を飼料に均質に分散させるか、トップドレッシングとするか又はペレットの形態として使用される。望ましい抗寄生虫効果を達成させるためには、最終飼料中に本発明化合物を0.0001〜0.02重量%配合させるのが好適である。
又、本発明化合物を適当な溶剤または水などの液体担体に溶解または分散させたものは、前胃内、筋肉内、気管内または皮下に注射によって、非経口的に動物に投与することができる。
本発明化合物は、非経口投与のためには、落花生油、綿実油のような適当な植物油と混合して用いるのが好適である。非経口投与処方では、一般に本発明化合物を0.05〜50重量%含有させるのが好適である。
【0092】
又、本発明化合物をジメチルスルホキシドまたは炭化水素溶剤のような適当な単体と混合することによって、局所的に投与し得る製剤にすることもできる。このような製剤はスプレーまたは直接的注加によって動物の外部表面に直接適用される。
【0093】
最善の結果を得るための本発明化合物の最適使用量は、治療される動物の種類および寄生虫感染の型および程度によって決まるが、一般に動物体重1kgあたり約0.01〜100mg、好適には0.5〜50.0mgを経口投与することが好ましい。本発明化合物は、このような使用量を一度にまたは分割した使用量で1〜5日のような比較的短期間にわたって与えられる。
【0094】
本発明化合物を農業または園芸用薬剤として使用する場合には単独で用いてもよいが、その目的に応じて当業界で慣用の処方により製剤化して用いることが好ましい。すなわち、一般式(I)の化合物またはその塩と適当な担体、界面活性剤、その他の製剤用補助剤を配合して、農薬の製剤として一般に用いられる製剤にすることができる。例えば、常法によって、水和剤、顆粒水和剤、乳剤、液剤、フロアブル剤、粉剤、DL(ドリフトレス型)粉剤、フローダスト剤、微粒剤、粒剤、錠剤、噴霧剤、マイクロカプセル、種子用コーティング剤などに製剤化することができる。なお、製剤化できる剤型はここに挙げたものに限られるものではない。
【0095】
上記の製剤化に用いる固体担体としては、カオリン、ベントナイト、クレー、モンモリロナイト、タルク、バーミキュライト、アタパルガイド、珪藻土、珪砂、合成ケイ酸塩、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、アルミナ、ホワイトカーボン、硫安、尿素、デンプン、結晶セルロース、大豆粉、クルミ殻粉、タバコ茎粉などが挙げられる。
【0096】
液体担体としては、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、グリセリン等)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(例えば、脂肪酸のグリセリンエステル、フタル酸エステル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、脂肪族または脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサン、パラフィン類等)、芳香族炭化水素類(例えば、キシレン混合物、置換ナフタレン等)、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドのような極性溶剤、大豆油、ココナツ油のような植物油などが挙げられる。
【0097】
界面活性剤は良好な乳化、分散、湿潤性を有する製剤を得るために用い、通常の農薬製剤に用いるノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性イオン性のいずれのタイプの界面活性剤を用いることもできる。
【0098】
好適なノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、砂糖の脂肪酸エステル、グリセリンおよびペンタエリスリットの脂肪酸エステル、プルロニックタイプの界面活性剤、アセチレンアルコールならびにアセチレンジオールおよびこれらにエチレンオキサイドを付加した界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アルキルグリコシド等を挙げることができる。
【0099】
好適なアニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸塩、アシルメチルタウリンの塩、上記のエチレンオキサイドを付加したノニオン系界面活性剤を硫酸または燐酸でエステル化し、必要により、これを適当なアルカリで中和したアニオン系界面活性剤、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸およびその縮合物の塩、フェノールスルホン酸およびその縮合物の塩、アクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸およびビニル基の縮合物の塩よりなる種々のポリカルボン酸型およびポリスルホン酸型ポリソープ、2−オクテノイルコハク酸塩を付加したデンプンまたはデキストリンのようなデンプン系の界面活性剤、カルボキシメチルセルロースの塩、高級脂肪酸のナトリウム、カリウム塩のような石鹸類、α−オレフィンスルホン酸塩などを挙げることができる。
【0100】
好適なカチオン界面活性剤としては、アミン塩型、4級アンモニウム塩型、高級脂肪族アミンおよび脂肪族アミドのエチレンオキサイド付加物などを挙げることができる。
好適な両性イオン性界面活性剤としては、アミノ酸型あるいはベタイン型の界面活性剤、レシチンなどを挙げることができる。
【0101】
これら各種の界面活性剤の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換した界面活性剤もまた、表面張力を低下させる力が強く、有効に使用し得る。又、上記の各種界面活性剤は、用途に応じて、単独あるいは混合して用いられる。
【0102】
製剤用補助剤には、物理性改良剤、分解防止剤、消泡剤、粘度調節剤、結合剤および粘着剤等があり、これらを単独であるいは混合物として、本発明の殺ダニ剤、殺虫剤、又は駆虫剤は含むことができる。これらの製剤用補助剤の例として、例えば、カルボキシメチ
ルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、トラガカントゴム、キサンタンガムなどを挙げることができる。
【0103】
これらの製剤中における有効成分としての本発明化合物の含有率は、製剤の形態、施用方法などの条件により適宜変更できる。一般に0.01〜99%、好適には0.1〜95%(重量%、以下同じ)になる範囲で製剤中に使用するのが望ましい。固体または液体担体は1〜99%、界面活性剤は0〜25%の範囲で含むことができる。製剤が濃縮された形である場合には、使用する前に一般に、0.00001〜0.01%(すなわち、0.1〜100ppm)に希釈される。
【0104】
本発明化合物は、製剤および製剤によって調製された使用形態において、他の活性化合物、例えば、殺虫剤、毒餌、殺菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、防カビ剤、除草剤、鳥類忌避剤、植物成長調節剤、肥料、土壌改良剤などと混合して使用することができる。そして、その混用により、適用性(適用害虫、使用方法、使用時期など)の拡大を図ることができる。場合によってはそれぞれの有効成分の共力作用によって相乗的防除効果を期待することができる。ここで、上記殺虫剤としては、例えば、有機リン系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤、ネオニコチノイド系殺虫剤、微生物源殺虫剤、昆虫成長制御剤などを挙げることができる。
【0105】
さらに、本発明化合物は、共力剤との混合剤としても用いることができる。共力剤は、それ自体活性を有する必要はなく、本発明化合物の殺ダニ、殺虫、又は駆虫等の効果を増強する働きをする化合物であればよい。
【実施例】
【0106】
以下に実施例、試験例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。すなわち、本発明は、以下の製造実施例および農園芸用殺虫剤の製剤例における有効成分の添加量、担体および補助剤の種類ならびにこれらの添加量に限定はされない。又、以下の製造実施例および製剤例中、(部)とあるのはすべて重量部を意味し、%とあるのは特に体積%と記載したところを除き、重量%を意味する。
【0107】
本発明化合物の出発原料としては、公知となっている発酵法で製造するか、あるいは市販品、例えば、販売元:和光純薬工業(株)(製造元:LKT Lab.Inc.)の製品名:Abamectinとして入手可能なアベルメクチン化合物が好適に使用できる。このものは、アベルメクチン骨格の25位にsec−ブチル基およびイソプロピル基がそれぞれ置換したアベルメクチンB1aおよびアベルメクチンB1bの混合物であり、その組成は約96%の“B1a”成分と約4%の“B1b”成分を含有するものである。“B1b”化合物は、量にして極めて僅かな割合でしか存在せず、また構造上の差異は反応工程および生物活性にほとんど影響しないことから、これらの極めて類似した化合物の分離は一般に行われない。
【0108】
したがって、本実施例においても、アベルメクチンモノ配糖体B1a/B1b誘導体は混合物であって、これらの各々に分離することなく、25位の置換基がsec−ブチル基およびイソプロピル基の混合物として用いた。このように、この系統の化合物は混合物であるため、物理化学特性を表すのに融点などは用いられず、一般的には高速液体クロマトグラフィーの保持時間が用いられる。本実施例でも、アベルメクチンモノ配糖体B1a/B1bの各誘導体の物理化学特性は、高速液体クロマトグラフィーでの保持時間によって表した。高速液体クロマトグラフィーでの測定条件は、以下に詳述する通りであり、各誘導体の検出には紫外線吸収の多波長検出器を用い、スペクトルマッチングにより行った。その結果を表1にまとめて示した。なお、調製したアベルメクチンモノ配糖体B1a/B
1b誘導体の化学構造は1H−および13C−核磁気共鳴スペクトルおよび必要に応じて質量スペクトルにより確認した。
【0109】
HPLCの分析条件
カラム: 株式会社ワイエムシィー製 YMC-pack ODS-AQ, 5μm(φ4.6 mm × 250mm)
移動相: A;0.01%トリフルオロ酢酸−70体積%のアセトニトリル水溶液
B;0.01%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル
グラジエント条件:
【0110】
【表2】

【0111】
カラム温度:40℃
流速:2ml/min
検出:東ソー社製PD8020多波長検出器により、クロマトグラム:246nm、スペクトル:200〜300nmでの3次元検出
特にアベルメクチン骨格に特有の246nmの極大吸収、238nm及び254nmのショルダー吸収によりアベルメクチン誘導体と判断した。
【0112】
実施例1
アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
100gのアベルメクチンB1a/B1b(一般式II)を1000mlのイソプロパノールに溶解させ、氷浴にて冷却した。この溶液中に100mlのイソプロパノールに溶解した濃硫酸5gを滴下した。滴下後室温に戻し、窒素気流下、室温(約20℃)で43時間撹拌した。飽和重曹水を加えて反応液を中和した後、反応液を吸引ろ過し、ろ液を減圧下約200mlまで濃縮することによりイソプロパノールを留去した。この溶液に酢酸エチル1000mlと水500mlを加え、撹拌後2層に分離した。水層はさらに2回、1000mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出物を合わせ、蒸留水で4回洗い、飽和食塩水で1回洗った。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより118gのアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲル60(粒径0.063〜0.2mm、メルク社製、996g)を用いたカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中の酢酸エチル濃度を30体積%〜60体積%まで5体積%ずつ段階的に上昇させて溶出した。このようにして純粋なアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(一般式III) 72.9g(工程収率:87%)を得た。
【0113】
実施例2
5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
実施例1で得られたアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 52.6gとイミダゾール 68.1gを合わせ、この中へ421mlの脱水ジメチルホルムアミドを加え、完全に溶解させた。次いで、t−ブチルジメチルクロロシラン 24gを100mlの脱水ジメチルホルムアミドに溶解し、反応溶液中に撹拌下10分間かけて滴下した。この反応溶液を室温でさらに70分間撹拌した。反応液に2000mlの酢酸エチルと蒸留水を加え、撹拌後2層に分離した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、1000mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより68.6gの5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲル60(粒径0.063〜0.2mm、メルク社製、683g)を用いたカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中の酢酸エチル濃度を5体積%〜40体積%まで5体積%ずつ段階的に上昇させて溶出した。このようにして純粋な5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(一般式IV) 52.3g(工程収率:86%)を得た。
【0114】
実施例3
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−(4−オキソシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
乾燥したナス型フラスコに、4−シクロヘキサノンカルボン酸を758mg、実施例2で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
3.0g、脱水ピリジン 5ml、ジメチルアミノピリジン 100mgをそれぞれ入れ、塩化メチレン 30mlを加えて完全に溶解させる。この溶液に塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム 3.0gを加え、室温で16時間撹拌した。反応液を飽和重曹水中に注ぎ、500mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、200mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(4−オキソシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体の粗抽出物 4.39gを得た。この粗抽出物をシリカゲル60(球状、粒径0.040〜0.050mm、関東化学製、200g)を用いたカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中の酢酸エチル濃度を20体積%〜50体積%まで10体積%ずつ段階的に上昇させた溶媒で溶出した。このようにして純粋な5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−(4−オキソシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体を2.99g(工程収率:87%)得た。
【0115】
実施例4
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−(4−N−メチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
実施例3で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−(4−オキソシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 307mgとメチルアミン・酢酸塩、291mgをフラスコに取り、メタノール、2mlを加え溶解した。この反応溶液中にシアノ水素化ほう素ナトリウム、20.1mgのメタノール(1ml)溶液を撹拌しながら10分間かけて滴下し、室温でさらに60分間撹拌した。この反応液を飽和重曹水中に注ぎ、酢酸エチル100mlで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、50mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより、粗抽出物 368mgを得た。この粗抽出物をシリカゲル60
(粒径0.04〜0.05mm、関東化学製、83g)カラムクロマトグラフィーにかけ、1%ジエチルアミン−ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒中の酢酸エチル濃度を20体積%〜50体積%まで10体積%ずつ段階的に上昇させて溶出した。このようにして純粋な5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−(4−シス−N−メチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体、106mg(工程収率:34%)と5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−(4−トランス−N−メチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体、153mg(工程収率:49%)を得た。
【0116】
実施例5
4'− O−(4−トランス−メチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.6)
実施例4で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−(4−トランス−メチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体、174mgをメタノール 2mlに溶解し、撹拌しながら氷水浴中で冷却した。175mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を1mlのメタノールに溶解し、氷冷した後、反応液中に加え、氷冷下でさらに90分間撹拌した。この反応液を飽和重曹水中に注ぎ、酢酸エチル100mlで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、50mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより、粗抽出物 168mgを得た。この粗抽出物をシリカゲル60(粒径0.04〜0.05mm、関東化学製、10g)カラムクロマトグラフィーにかけ、1%−ジエチルアミン−酢酸エチル中のメタノール濃度を0%〜10%まで連続的に上昇させて溶出した。このようにして純粋な4'− O−(4−トランス−メチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.6)を140.4mg(工程収率:91%)得た。
【0117】
実施例6
4'− O−(4−トランス−ジメチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.9)
実施例5で得られた4'− O−(4−トランス−メチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体、136mgをメタノール 0.5mlに溶解し、ホルムアルデヒド液、0.1mlを加え、室温で1時間撹拌した。この反応溶液中に0.1mlのメタノールに溶かした15mgのシアノ水素化ほう素ナトリウム溶液を撹拌しながら10分間かけて滴下し、室温でさらに60分間撹拌した。この反応液を飽和重曹水中に注ぎ、酢酸エチル100mlで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、50mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより、粗抽出物 148mgを得た。この粗抽出物をシリカゲル60(粒径0.04〜0.05mm、関東化学製、10g)カラムクロマトグラフィーにかけ、1%−ジエチルアミン−酢酸エチル中のメタノール濃度を0%〜10%まで連続的に上昇させて溶出した。このようにして純粋な4'− O−(4−トランス−ジメチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.9)を87.6mg(工程収率:63%)得た。
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm:0.86(1H,m), 0.92(3H,d, J=6.8), 0.93(3H,t, J=7.5),1.10(2H,m), 1.11(3H,d, J=7.0), 1.15(3H,d, J=6.2), 1.30(2H,m), 1.49(1H,m), 1.50(3H,brs), 1.50(4H,m), 1.64(1H,m), 1.70(1H,m), 1.79(1H,m), 1.88(3H,brs), 2.01(1H,m), 2.26(1H,m), 2.27(1H,m), 2.28(1H,m), 2.30(3H,m), 2.35(6H,s), 2.53(1H,brt,J=6.8), 3.30(1H,m), 3.40(3H,s), 3.48(1H,d,J=9.5), 3.64(2H,m), 3.90(1H,m), 3.94(2H,m), 3.97(1H,d,J=5.9), 4.30(1H,bd,J=5.7), 4
.66(2H,ABq), 4.82(1H, brd,J=3.1), 4.99(1H,brdd,J=9.7,5.1), 5.40(1H,m), 5.43(1H,brs), 5.55(1H,dd,J=9.9,2.6), 5.73(2H,m), 5.77(1H,dd,J=8.3,1.7), 5.88(1H,m)
13C−核磁気共鳴スペクトル(75MHz,CDCl3)δppm:12.02(q), 12.95(q), 15.11(q), 16.37(q), 17.40(q), 19.95(q), 20.19(q), 27.53(t), 27.64(t), 28.14(t), 30.60(d), 34.26(t), 34.77(t), 35.19(d), 36.69(t), 39.76(d), 40.50(t), 41.39(q), 43.01 (d), 45.72(d), 57.12(q), 63.01(d), 66.53(d), 67.71(d), 68.32(d), 68.36(d), 68.48(t), 74.98(d), 75.77(d), 75.96(d), 79.11(d), 80.40(s), 82.01(d), 95.05(d), 95.78(s), 118.03(d), 118.48(d), 120.40(d), 124.86(d), 127.77(d), 135.00(s),
136.29(d), 137.86(d), 138.05(s), 139.81(s), 173.79(s), 174.84(s)
【0118】
実施例7
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−(3−ジメチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
乾燥したフラスコに、3−ジメチルアミノシクロヘキサンカルボン酸メチルエステルを356mg取り、メタノール2mlに溶解した。水酸化カリウム56.11mgをメタノール1mlに溶解し、反応液に加え、室温で撹拌する事により、エステルを分解した。1時間後、この反応液のメタノールを減圧留去し、トルエンを加え再溶解した後、再度減圧下でトルエンを留去し、完全に乾固した。この中に実施例2で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 250mg、脱水ピリジン
0.3ml、ジメチルアミノピリジン 10mgをそれぞれ入れ、塩化メチレン 3mlを加えて完全に溶解させた。この溶液に塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム 250mgを加え、室温で16時間撹拌した。反応液を飽和重曹水中に注ぎ、100mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、100mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(3−ジメチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体の粗抽出物 275.3mgを得た。
この粗抽出物をシリカゲル60(球状、粒径0.040〜0.050mm、関東化学製化学(株)製、20g)を用いたカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中の酢酸エチル濃度を50体積%〜100体積%まで10体積%ずつ段階的に上昇させた溶媒、各々にジエチルアミンを1%加えた溶媒で溶出した。このようにして純粋な5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−(3−ジメチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体を240mg(工程収率:80%)得た。
【0119】
実施例8
4'− O−(3−ジメチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体、(化合物No.15)
実施例7で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−(3−ジメチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体、240mgをフラスコに取り、メタノール 2mlに溶解し、撹拌しながら氷水浴中で冷却した。175mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を1mlのメタノールに溶解し、氷冷した後、反応液中に加え、氷冷下でさらに90分間撹拌した。この反応液を飽和重曹水中に注ぎ、酢酸エチル100mlで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、50mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより、粗抽出物 168mgを得た。この粗抽出物をシリカゲル60(粒径0.04〜0.05mm、関東化学製、10g)カラムクロマトグラフィーにかけ、1%−ジエチルアミン−酢酸エチル中のメタノール濃度を0%〜10%まで連続的に上昇させて溶出した。このようにして純粋な4'− O−(3−ジメチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベ
ルメクチンB1a/B1bモノ配糖体を170mg(化合物No.15、工程収率:80%)得た。
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm::0.86(1H,m), 0.93(3H,d, J=8.8), 0.93(3H,t, J=7.3),1.10(2H,m), 1.11(3H,d, J=6.9), 1.17(3H,d, J=7.0), 1.30(2H,m), 1.49(1H,m), 1.50(3H,brs), 1.50(4H,m), 1.64(1H,m), 1.70(1H,m),
1.79(1H,m), 1.87(3H,brs), 2.01(1H,m), 2.20(6H,s), 2.26(1H,m), 2.27(1H,m),
2.28(1H,m), 2.30(6H,s), 2.30(3H,m), 2.53(1H,brt,J=6.8), 3.30(1H,m), 3.41(3H,s),
3.49(1H,d,J=10.1), 3.65(1H,m), 3.90(1H,m), 3.94(2H,m), 3.97(1H,d,J=6.2), 4.30(1H,bd,J=5.9), 4.66(2H,ABq), 4.66(1H,m), 4.82(1H, brd,J=3.1), 4.99(1H,brdd,J=9.7,5.1), 5.40(1H,m), 5.42(1H,brs), 5.55(1H,dd,J=9.9,2.6), 5.73(2H,m), 5.77(1H,dd,J=8.3,1.7), 5.87(1H,m)
13C−核磁気共鳴スペクトル(75MHz,CDCl3)δppm:11.98(q), 12.90(q), 15.05(q), 16.32(q), 17.35(q), 17.37(q), 19.99(q), 20.15(q), 24.59(t), 27.46(t), 27.59(t), 27.95(t), 28.70(t), 28.71(t), 30.52(d), 30.70(t), 30.87(t), 34.21(t), 34.74(t), 35.14(d), 36.60(t), 39.69(d), 40.44(t), 41.16(q), 41.23(q), 43.08(d), 43.14(d), 45.66(d), 57.10(q), 62.62(d), 62.66(d), 66.48(d), 67.65(d), 68.29(d), 68.29(d), 68.36(t), 74.90(d), 75.76(d), 75.91(d), 79.13(d), 80.34(s), 82.01(d), 82.03(d), 94.97(d), 95.72(s), 117.95(d), 118.42(d), 120.30(d), 124.82(d), 127.72(d), 134.95(s), 136.21(d), 137.77(d), 137.94(s), 139.78(s), 173.66(s), 174.74(s)
【0120】
実施例9
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(トランス‐4‐エチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
20mLナスフラスコに、実施例3で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(4‐オキソシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(101mg)、エチルアミン酢酸塩(216mg, 2.07mmol)、メタノール(1mL)、およびトリエチルアミン(10μL)を入れて室温にて1.5時間攪拌した。これにシアノ水素化ほう素ナトリウム(11.2mg, 0.18mmol)のメタノール溶液(1mL)を少しずつ滴下してさらに1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、蒸留水、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去、残渣114.3mgを得た。さらに得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (シリカゲル60、粒径0.04〜0.05mm、40g、関東化学製)にかけ、溶出溶媒の組成をヘキサン:酢酸エチル:ジエチルアミン=160:40:1 (溶媒容量比)から開始して10%ずつ酢酸エチルの溶媒容量比を増やし、100:100:1まで変化させることにより溶出・精製し、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(トランス‐4‐エチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体を58.8mg(収率57%)白色固体として得た。
【0121】
実施例10
4'−O−(トランス‐4‐エチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.32)
20mLナスフラスコに、実施例9で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(トランス‐4‐エチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(58.8mg)、メタノール(1mL)を入れて氷浴にて冷却した。これにp-トルエンスルホン酸一水和物(58.8mg, 0.31mmol)のメタノール溶液(0.5mL)を少しずつ滴下して、氷浴下2時間攪拌した。反応終了後、氷浴下に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、蒸留水、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去し
、さらに得られた残渣をシリカゲル60(粒径0.04〜0.05mm、関東化学製)を用いたクロマトグラフィー[展開溶媒;酢酸エチル:メタノール:ジエチルアミン=100:1:1(溶媒容量比) から開始して1%ずつメタノールの溶媒容量比を増やし、100:5:1まで]により精製し、4'−O−(トランス‐4‐エチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.32)を51.7mg(収率95%)白色固体として得た。
【0122】
実施例11
4'−O−〔トランス‐4−(N−メチルエチルアミノ)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.57)
20mLナスフラスコに、実施例10にて得られた4'−O−(トランス‐4‐エチルアミノシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(13.4mg)、36%ホルムアルデヒド(12.8μL)、メタノール(1mL)、および10%トリエチルアミン・酢酸塩メタノール溶液(46.7μL)を入れて室温にて1.5時間攪拌した。これにシアノ水素化ほう素ナトリウム(1.5mg, 0.02mmol)のメタノール溶液(1mL)を少しずつ滴下してさらに1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、蒸留水、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去し、さらに得られた残渣をシリカゲル60 (粒径0.04〜0.05mm、関東化学製)を用いたクロマトグラフィー[展開溶媒;酢酸エチル:メタノール:ジエチルアミン=100:1:1 (溶媒容量比)から開始して1%ずつメタノールの溶媒容量比を増やし、100:5:1まで]により精製し、4'−O−〔トランス‐4−(N−メチルエチルアミノ)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.57)を11.9mg(収率87%)白色固体として得た。
【0123】
実施例12
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−〔トランス‐4‐ (2‐メトキシエチルアミノ)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
20mLナスフラスコに、実施例3で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(4‐オキソシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(101mg)、メトキシエチルアミン酢酸塩(150mg, 1.10mmol)、メタノール(1mL)、およびトリエチルアミン(10μL)を入れて室温にて1.5時間攪拌した。これにシアノ水素化ほう素ナトリウム(7.5mg, 0.12mmol)のメタノール溶液(1mL)を少しずつ滴下してさらに1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、蒸留水、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去し、さらに得られた残渣をシリカゲル60 (粒径0.04〜0.05mm、関東化学製)を用いたクロマトグラフィー[展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル:ジエチルアミン=160:40:1 (溶媒容量比)から開始して10%ずつ酢酸エチルの溶媒容量比を増やし、100:100:1まで]により精製し、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−〔トランス‐4‐ (2‐メトキシエチルアミノ)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体を51.4mg(収率48%)白色固体として得た。
【0124】
実施例13
4'‐O‐〔 トランス‐4‐(2‐メトキシエチルアミノ)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.34)
20mLナスフラスコに、実施例12で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−[トランス‐4‐(2‐メトキシエチル)アミノシクロヘキサンカルボニル]アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(51.4mg)、メタノール(1mL)を入れて
氷浴にて冷却した。これにp-トルエンスルホン酸一水和物(51.4mg, 0.27mmol)のメタノール溶液(0.5mL)を少しずつ滴下して、氷浴下2時間攪拌した。反応終了後、氷浴下に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、蒸留水、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去し、さらに得られた残渣をシリカゲル60(粒径0.04〜0.05mm、関東化学製)を用いたクロマトグラフィー[展開溶媒;酢酸エチル:メタノール:ジエチルアミン=100:1:1(溶媒容量比) から開始して1%ずつメタノールの溶媒容量比を増やし、100:5:1まで]により精製し、4'‐O‐〔トランス‐4‐(2‐メトキシエチルアミノ)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.34)を34.9mg(収率76%)白色固体として得た。
【0125】
実施例14
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−〔トランス‐4‐(2‐エトキシエチルアミノ)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
20mLナスフラスコに、実施例3で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(4‐オキソシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(101mg)、2−エトキシエチルアミン酢酸塩(0.26g, 1.60mmol)、メタノール(1mL)、およびトリエチルアミン(10μL)を入れて室温にて1.5時間攪拌した。これにシアノ水素化ほう素ナトリウム(11.2mg, 0.18mmol)のメタノール溶液(1mL)を少しずつ滴下してさらに1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、蒸留水、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去し、さらに得られた残渣をシリカゲル60 (粒径0.04〜0.05mm、関東化学製)を用いたクロマトグラフィー[展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル:ジエチルアミン=160:40:1 (溶媒容量比)から開始して10% ずつ酢酸エチルの溶媒容量比を増やし、100:100:1まで]により精製し、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−[トランス‐4‐(2‐エトキシエチルアミノ)シクロヘキサンカルボニル]アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体を78.4mg(収率49%)白色固体として得た。
【0126】
実施例15
4'−O−[トランス‐4‐(2‐エトキシエチルアミノ)シクロヘキサンカルボニル]アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.49)
20mLナスフラスコに、実施例14で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−〔トランス‐4‐(2‐エトキシエチルアミノ)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体の合成(78.4mg)、メタノール(1mL)を入れて氷浴にて冷却した。これにp-トルエンスルホン酸一水和物(51.4mg, 0.27mmol)のメタノール溶液(0.5mL)を少しずつ滴下して、氷浴下2時間攪拌した。反応終了後、氷浴下に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、蒸留水、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて溶媒を留去し、さらに得られた残渣をシリカゲル60(粒径0.04〜0.05mm、関東化学製)を用いたクロマトグラフィー[展開溶媒;酢酸エチル:メタノール:ジエチルアミン=100:1:1(溶媒容量比) から開始して1%ずつメタノールの溶媒容量比を増やし、100:5:1まで]により精製し、4'−O−[トランス‐4‐(2‐エトキシエチルアミノ)シクロヘキサンカルボニル]アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.49)を66.0mg(収率95%)白色固体として得た。
【0127】
実施例16
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−〔4−(4−メチルピペラジン−1−イル)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
乾燥したフラスコに、1−メチルピペラジン酢酸塩 40mg、実施例3で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(4−オキソシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 100mgをそれぞれ入れ、メタノール3mlを加えて完全に溶解させた。この溶液にシアノ水素化ほう素ナトリウム 10mgを加え、室温で5時間撹拌した。反応液を10mlの飽和重曹水中に注ぎ、水5mlを加え、50mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−〔4−(4−メチルピペラジン−1−イル)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体120mg(工程収率:110%)を粗抽出物として得た。
【0128】
実施例17
4'−O−〔4−(4−メチルピペラジン−1−イル)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.53)
実施例16で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−〔4−(4−メチルピペラジン−1−イル)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体の粗抽出物 120mgをメタノール5mlに溶解し、撹拌しながら氷水浴中で冷却した。この溶液中に120mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、氷冷下でさらに2時間撹拌した。この反応液を飽和重曹水10ml中に注ぎ、水20mlを加えて、50mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を20mlの水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮乾固することにより、粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲル60(粒径0.063〜0.2mm、メルク社製、20g)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 クロロホルム:メタノール=30:1)、4'−O−〔4−(4−メチルピペラジン−1−イル)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 47mg(工程収率:48%)を得た。
【0129】
実施例18
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−〔4−(ピペリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
乾燥したフラスコに、ピペリジン酢酸塩 75mg、実施例3で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(4−オキソシクロヘキサンカルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 100mgをそれぞれ入れ、メタノール5mlを加えて完全に溶解させた。この溶液にシアノ水素化ほう素ナトリウム 10mgを加え、室温で3時間撹拌した。反応液を10mlの飽和重曹水中に注ぎ、水5mlを加え、50mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−〔4−(ピペリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体130mg(工程収率:121%)を粗抽出物として得た。
【0130】
実施例19
4'−O−〔4−(ピペリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.54)
実施例18で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−〔4−(ピペリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体の粗抽出物 130mgをメタノール5mlに溶解し、撹拌しながら氷水浴中で冷却した。この溶液中に130mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、氷冷下でさらに2時間撹拌した。この反応液を飽和重曹水10ml中に注ぎ、水20mlを加えて、50mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を20mlの水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮乾固することにより、粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲル60(粒径0.063〜0.2mm、メルク社製、20g)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 クロロホルム:メタノール 50:1)、4'−
O−〔4−(ピペリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボニル〕アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 43mg(工程収率:45%)を得た。
【0131】
実施例20
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(N−t−ブトキシカルボニルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
乾燥したフラスコにN−t−ブトキシカルボニルピペリジン−4−カルボン酸 220mg、実施例2で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 200mg、4−ジメチルアミノピリジン 10mgをそれぞれ入れ、塩化メチレン10mlを加えて完全に溶解させた。この溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩190mgを加え、室温で5時間撹拌した。反応終了後、反応液に50mlのジクロロメタンを加え、目的物を抽出した。このジクロロメタン溶液を飽和食塩水20mlで2回洗った後、更に蒸留水20mlで1回洗った。このジクロロメタン溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより粗抽出物を得た。この粗抽出物を、シリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル 5:1)、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(N−t−ブトキシカルボニルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 200mg(収率:80%)を得た。
【0132】
実施例21
4'−O−(N−t−ブトキシカルボニルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
実施例20で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(N−t−ブトキシカルボニルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体200mgをメタノール10mlに溶解し、撹拌しながら氷水浴中で冷却した。300mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を1mlのメタノールに溶解し、氷冷した溶液を反応液中に加え、氷冷下でさらに2時間撹拌した。この反応液を飽和重曹水中に注ぎ、60mlの酢酸エチルで抽出した。その酢酸エチル層を20mlの飽和食塩水で洗った後、更に20mlの蒸留水で洗った。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより粗成物を得た。この粗成物を、シリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル 2:1)、4'−O−(N−t−ブトキシカルボニルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 150mg(収率:85%)を得た。
【0133】
実施例22
4'−O−(ピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.75)
実施例21で得られた4'−O−(N−t−ブトキシカルボニルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 150mgを3%硫酸−イソプロパノール5mlに溶解し、24時間、室温で反応させた。反応終了後、この反応液を氷水中にあけ、それに飽和重曹水を加えて弱アルカリ性にした後、50mlの酢酸エチルで2回抽出した。それら酢酸エチル層を合わせ、20mlの飽和食塩水で洗った後、更に20mlの蒸留水で洗った。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより粗抽出物を得た。この粗抽出物を、シリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 クロロホルム:メタノール 10:1)、4'−O−(ピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.75)100mg(収率:77%)を得た。
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm:0.84(1H,m), 0.88(3H,d, J=6.8), 0.90(3H,t, J=7.5), 1.13(3H,d, J=7.0), 1.20(3H,d, J=6.2), 1.43(1H,m), 1.48(3H,brs), 1.50(2H,m), 1.60(1H,m), 1.72(1H,m), 1.76(1H,brdd,J=12.7,3.9
), 1.84(3H,brs), 1.99(1H,brdd,J=11.6,4.4), 2.18(2H,m), 2.21(1H,m), 2.28(2H,m),
2.31(1H,m), 2.37(1H,d,J=8.1), 2.51(1H,brt,J=6.8), 2.69(1H,m), 3.08(2H,m), 3.27(1H,dd,J=4.6,2.4), 3.38(2H,m), 3.39(3H,s), 3.45(1H,d,J=9.5), 3.64(1H,m), 3.94(1H,m), 3.84(1H,m), 3.97(1H,d,J=5.9), 4.20(1H,dq,J=9.9,6.4), 4.27(1H,brt,J=6.8), 4.66(2H,m), 4.67(1H,t, J=9.5), 4.83(1H, brd,J=3.5), 4.98(1H,m), 5.37(1H,m), 5.42(1H,brs), 5.56(1H,dd,J=9.9,2.4), 5.76(3H,m), , 5.86(1H,m)
13C−核磁気共鳴スペクトル(75MHz,CDCl3)δppm:12.02(q), 12.90(q), 15.11(q), 16.33(q), 17.59(q), 19.90(q), 20.18(q), 24.58(t), 24.81(t), 27.49(t), 30.54(d), 34.22(t), 34.46(t), 35.14(d), 36.62(t), 37.91(d), 39.65(d), 40.44(t), 42.46(t), 42.46(t), 45.67(d), 56.42(q), 66.18(d), 67.65(d), 68.27(d), 68.27(d), 68.38(t), 74.91(d), 75.63(d), 75.95(d), 79.15(d), 80.36(s), 82.15(d), 94.82(d), 95.76(s), 117.976(d), 118.55(d), 120.29(d), 124.98(d), 127.68(d), 134.85(s),
136.26(d), 137.47(d), 137.99(s), 139.91(s), 172.12(s), , 173.63(d)
【0134】
実施例23
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(N−メチルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
乾燥したフラスコに、1−メチルイソニペコチン酸ナトリウム 180mg、実施例2で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
300mgをそれぞれ入れ、脱水ピリジン 300mg、脱水塩化メチレン3mlを加えて完全に溶解させた。この溶液に塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム
300mgを加え、室温で5時間撹拌した。反応液を10mlの飽和重曹水中に注ぎ、水5mlを加え、50mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより、粗抽出物 600mgを得た。この粗抽出物をシリカゲル60(粒径0.063〜0.2mm、メルク社製、20g)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 トルエン:メタノール 30:1)、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(N−メチルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 340mg(工程収率:100%)を得た。
【0135】
実施例24
4'−O−(N−メチルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.76)
実施例23で得られた5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−(N−メチルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 340mgをメタノール5mlに溶解し、撹拌しながら氷水浴中で冷却した。この溶液中に160mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、氷冷下でさらに2時間撹拌した。この反応液を飽和重曹水10ml中に注ぎ、水20mlを加えて、50mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を20mlの水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮乾固することにより、粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 トルエン:メタノール 10:1)、4'−O−(N−メチルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.76)200mg(工程収率:67%)を得た。
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm:0.86(1H,m), 0.92(3H,d, J=6.8), 0.93(3H,t, J=7.5), 1.11(3H,d, J=7.0), 1.15(3H,d, J=6.2), 1.49(1H,m), 1.50(3H,brs), 1.50(2H,m), 1.64(1H,m), 1.70(1H,m), 1.79(1H,m), 1.91(4H,m), 1.88(3H,brs), 1.99(4H,m), 2.01(1H,m), 2.26(1H,m), 2.27(3H,s), 2.27(1H,m), 2.28(1H,m), 2.31(1H,m), 2.53(1H,brt,J=6.8), 2.83(4H,brd,J=11.2), 3.30(1H,dt,J=2.4,2.2), 3.40(3H,s), 3.48(1H,d,J=9.5), 3.64(1H,m), 3.90(1H,m), 3.94(2H,m), 3.97(1H,d,J=5.9), 4.29(1H,bd,J=5.7), 4.66(2H,ABq), 4.82(1H, brd,J=3.1), 4.99(1H,brdd,J
=9.7,5.1), 5.40(1H,m), 5.43(1H,brs), 5.55(1H,dd,J=9.9,2.6), 5.73(2H,m), 5.77(1H,dd,J=8.3,1.7), 5.88(1H,m)
13C−核磁気共鳴スペクトル(75MHz,CDCl3)δppm:11.99(q), 12.91(q), 15.08(q), 16.34(q), 17.39(q), 19.91(q), 20.15(q), 27.49(t), 28.27(t), 28.33(t), 30.55(d), 34.23(t), 34.71(t), 35.17(d), 36.64(t), 39.73(d), 40.47(t), 40.72(d), 45.70(d), 46.38(q), 54.90(t), 54.92(t), 57.06(q), 66.49(d), 67.69(d), 68.31(d), 68.33(d), 68.42(t), 74.95(d), 75.81(d), 75.95(d), 79.11(d), 80.37(s), 82.01(d), 94.97(d), 95.75(s), 118.00(d), 118.45(d), 120.35(d), 124.84(d), 127.74(d), 134.96(s), 136.26(d), 137.81(d), 137.99(s), 139.78(s), 173.72(s), 174.26(s)
【0136】
実施例25
4'−O−(N−メチルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 安息香酸塩(化合物No.78)
乾燥したフラスコに、実施例24で得られた4'−O−(N−メチルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 550mgを入れ、トルエン 5mlを加えて溶解し、室温で撹拌しながら、安息香酸 80mgをトルエン 5mlに溶かして滴下した。そのまま室温で30分間撹拌した後に、ヘキサン 50mlを滴下して結晶を析出させ、さらに氷水浴で30分間撹拌した。撹拌後、析出した結晶をろ取し、減圧下で乾燥させ、4'−O−(N−メチルピペリジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体の安息香酸塩(化合物No.78)を550mg(工程収率:88%)得た。
【0137】
製剤例1(粉剤)
化合物番号11番の化合物2部、PAP(物理性改良剤)1部およびクレー97部を均一に混合、粉砕して、有効成分を2%含有する粉剤を得た。
製剤例2(水和剤)
前記表1中の化合物番号12番の化合物30部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル5部およびクレー62部を均一に混合、粉砕して、有効成分を30%含有する水和剤を得た。
製剤例3(乳剤)
前記表1中の化合物番号78番の化合物5部、メチルエチルケトン65部およびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル30部を混合して溶解することで、有効成分を5%含有する乳剤を得た。
製剤例4(粒剤)
前記表1中の化合物番号77番の化合物5部、ラウリルサルフェート1.5部、リグニンスルホン酸カルシウム1.5部、ベントナイト25部およびクレー67部を均一に混合し、これに水15部を加えて混練機で混練した後、造粒機で造粒し、流動乾燥機で乾燥すると、有効成分を5%含有する粒剤を得た。
製剤例5(フロアブル剤)
前記表1中の化合物番号76番の化合物40部、ラウリルサルフェート2部、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ2部、ヒドロキシプロピルセルロース1部および水55部を均一に混合し、有効成分を40%含有するフロアブル剤を得た。
【0138】
次に、本発明化合物の各種植物害虫に対する殺虫活性および毒性試験の各試験例を示すが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されることはない。
なお、以下の表3および4中の比較化合物1は、アベルメクチンB1a/B1b(含有比約96:4)であり、比較化合物2は、アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(含有比約96:4)であり、次に示す構造を有する化合物である。比較化合物3〜7は一般式IのA部分が各々表3に示した部分構造を持つアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体誘導体化合物である。
【0139】
【化19】

【0140】
【表3】

【0141】
試験例1(ハスモンヨトウに対する殺虫効果試験)
本発明化合物各10mgを、アセトン6.2ml、キシレン2.5mlおよびソルポール700HD(東邦化学社製)1.3mlの混合液に溶解し、これをイオン交換水にて希釈することにより、本発明化合物を濃度0.01ppmで含有する供試薬液を調製した。この供試薬液に、直径8cmのキャベツ葉片を約30秒間浸漬し、風乾させた後に、プラスチックカップへ入れ、そこへハスモンヨトウ3齢幼虫を10頭放虫した。放虫後は、25℃恒温室内(16時間照明)に置き、処理5日後に生存個体数および死亡個体数を調査した。本試験は2連制で行い、下記の計算式により死虫率(%)を算出し、その平均死虫率を求めた。その結果は表4の通りである。
【数1】

【0142】
【表4】

【0143】
試験例2(コナガに対する殺虫効果試験)
試験例1と同様にして調製した本発明化合物を濃度0.001ppmで含有する供試薬液に、直径8cmのキャベツ葉片を約30秒間浸漬し、風乾させた後に、プラスチックカップへ入れ、そこへコナガ3齢幼虫を10頭放虫した。放虫後は、25℃恒温室内(16時間照明)に置き、処理5日後に生存個体数および死亡個体数を調査した。本試験は2連制で行い、試験例1と同様に、数1に従って死虫率(%)を算出し、その平均死虫率を求めた。その結果は表5の通りである。
【0144】
【表5】

【0145】
試験例3 (マウスに対する急性経口毒性試験)
急性経口毒性試験の投与量は、30mg/kg体重と300mg/kg体重の2濃度で行った。10週齢、体重約30gの雄マウスを各試験区3頭ずつ用い、投与量が各マウスについて上記所定量になるよう調製した試験液を、金属製胃ゾンデを用いて単回強制経口投与した。投与後、14日間マウスの生死および一般状態から導き出される毒物及び劇物取締法に基づく毒性分類を評価した。その結果をLD50値と共に表6に示した。
【0146】
【表6】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩
【化1】

〔式中、Aは、下記一般式(A−1)または(A−2)を示し、
【化2】

mおよびnは、それぞれ独立に0から3の整数を示し、
1は、イソプロピル基またはsec−ブチル基を示し、
2は、水素原子;C1〜C6アルキル基;C2〜C6ハロアルキル基;C3〜C6アルケニル基;C3〜C6アルキニル基;C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基;C1〜C4アルキルチオC1〜C4アルキル基;C1〜C6アミノアルキル基;C1〜C4アルキルアミノC1〜C4アルキル基;C2〜C6ヒドロキシアルキル基;アミノカルボニルC1〜C4アルキル基;C1〜C4アルキルアミノカルボニルC1〜C4アルキル基;C1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基;アミノ基;C1〜C6アルキルアミノ基;C3〜C7シクロアルキル基;C3〜C7シクロアルキルC1〜C4アルキル基;無置換もしくはC1〜C6アルキル基で置換されていてもよいヘテロシクリルC1〜C4アルキル基;無置換もしくはハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基で置換されていてもよいヘテロアリールC1〜C4アルキル基;または無置換もしくはハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、ベンジル基で置換されていてもよいフェニルC1〜C4アルキル基を示し、
3は、水素原子、C1〜C6アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基またはトリフルオロアセチル基を示し、あるいは、−NR23は、窒素原子、R2およびR3が一緒になって環を形成し、1−ピペリジル基、4−モルホリノ基または4−メチル−1−ピペラジニル基を示してもよく、R4は水素原子、C1〜C6アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基またはトリフルオロアセチル基を示す。〕
【請求項2】
前記一般式(A−1)、(A−2)において、
mは、1または2を示し、nは、0または1を示し、
mが1の場合、R32N−(CH2n−の置換位置は3位であり、mが2の場合、R32N−(CH2n−の置換位置は3位または4位であり、
2、R3、R4は、水素原子またはC1〜C6アルキル基を示すことを特徴とする、請求項1に記載のアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩。
【請求項3】
前記一般式(I)において、Aは、4−ジメチルアミノシクロヘキシル基を示すことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩。
【請求項4】
前記一般式(I)において、Aは、3−ジメチルアミノシクロヘキシル基を示すことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩。
【請求項5】
前記一般式(I)において、Aは、N−メチル−4−ピペリジル基を示すことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のアベルメクチンモノ配糖体誘導体化合物を有効成分として含有することを特徴とする、殺虫剤。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のアベルメクチンモノ配糖体誘導体化合物を有効成分として含有することを特徴とする、駆虫剤。



【公開番号】特開2010−37266(P2010−37266A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201769(P2008−201769)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000242002)北興化学工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】