説明

アミノシリコーン及び高粘度シリコーンコポリマーエマルションを含むヘアケア組成物

約0.001m2/s(1,000センチストークス)〜約1m2/s(1,000,000センチストークス)の粘度を有するアミノシリコーンであって、該アミノシリコーンの0.5重量%未満の窒素を有するアミノシリコーン;25℃における測定で、約120m2/s(120×106センチストークス)を超える内部相粘度を有するシリコーンコポリマーエマルション;及びカチオン性界面活性剤を含むゲルマトリックス;高融点脂肪族化合物;並びに水性キャリアを有するヘアケア組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノシリコーン及び高粘度シリコーンコポリマーエマルションを含むヘアケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの毛髪は、周囲の環境との接触や頭皮から分泌される皮脂のために汚れてくる。毛髪が汚れると、毛髪は不潔な感触や魅力のない外観を呈する原因となる。毛髪が汚れると頻繁に定期的にシャンプーをする必要がある。
【0003】
シャンプーは、過剰な汚れや皮脂を除去することによって毛髪を清潔にする。しかしシャンプーは、毛髪を濡れた、もつれた、一般には扱いにくい状態にする可能性がある。毛髪がいったん乾燥すると、毛髪の天然油分、他の天然コンディショニング構成成分、及び潤いを与える構成成分が除去されるため、毛髪は、乾燥し、荒れて、光沢のない、又は縮れた状態になることが多い。毛髪は乾燥時に増大した水準の静電気にさらされる可能性があり、このことは櫛通りを妨げ、結果として「まとまりのない髪」と一般的に称される状態に陥るか、「枝毛」という望ましくない現象の一因となる。さらに、毛髪のパーマ、漂白又は染色などの化学処理も毛髪を傷めるとともに、毛髪を乾燥し、荒れて、光沢のない、傷んだ状態にしてしまう可能性がある。
【0004】
毛髪の状態を整えるために様々な取り組みが開発されてきた。毛髪にコンディショニング効果を与える一般的な方法は、カチオン性界面活性剤及びポリマーのようなコンディショニング剤、高融点脂肪族化合物、低融点の油、シリコーン化合物、及びこれらの混合物を使用することによるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヘアケア組成物によってもたらされるコンディショニング効果を高める機会は依然として存在する。改善されたシリコーン付着及び/又は摩擦低減による改善されたコンディショニングを提供するヘアコンディショニング組成物は依然として必要とされている。特に、毛髪のつや、柔軟性、乾いた毛髪の滑らかさ、毛髪の束を真っ直ぐにする(例えば、縮れ毛を抑える)、及び櫛通りの良さなどの、高い効果を有するヘアケア組成物を提供する必要性は依然として存在する。また、自然的な環境要因に加えて化学的な毛髪処理によって傷んだ毛髪にコンディショニング効果を提供するのに効果的なヘアケア組成物が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はユニークなヘアケア組成物を提供する。1つの代表的な実施形態によると、約0.001m2/s(1,000センチストークス)〜約1m2(1,000,000センチストークス)を有するアミノシリコーンであって、該アミノシリコーンの約0.5重量%未満の窒素を有するアミノシリコーンと、25℃における測定で、約120m2/s(120×106センチストークス)を超える内部相粘度を有するシリコーンコポリマーエマルションと、ゲルマトリクスとを含むヘアケア組成物が今般提供されている。このゲルマトリクスには、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアが含まれる。
【0007】
別の代表的な実施形態によると、
(a)以下の式に対応するアミノシリコーン:
(R1a3-a−Si−(−OSiG2n−(−OSiGb(R12-b)m−O−SiG3-a(R1a
(式中、Gは、水素、フェニル、OH、C1〜C8アルキル、及びメチルからなる群から選択され;
aは、0又は1〜3の値を有する整数であり;
bは、0、1、又は2であり;
nは0〜1,999の数であり;
mは、0〜1,999の整数であり;ただし、nとmの和は、1〜2,000の数であり、aとmは両方同時に0にならず;
1は式CqH2qLの一価のラジカルであり、
式中、qは2〜8の整数であり;並びに
Lは、
−N(R2)CH2−CH2−N(R22と、
−N(R22と、
−N(R2+3-と、及び
−N(R2)CH2−CH2−NR2+-
からなる群から選択され、式中、R2水素、フェニル、ベンジル、飽和炭化水素ラジカル、及び1〜20個の炭素原子を含むアルキルラジカルからなる群から選択され;並びにA-はハロゲン化物イオンを示す);
(b)25℃における測定で120m2/s(120×106センチストークス)を超える内部相粘度を有するシリコーンコポリマーエマルション
(ただし、アミノシリコーンは、該アミノシリコーンの約0.5重量%未満の窒素を有する)を含むヘアケア組成物が今般提供されている。
【0008】
ヘアケア組成物を配合して様々な製品形態にすることができ、それには例えばシャンプー、コンディショナー(リンスオフ及びリーブオン)、スタイリング製品などが挙げられる。一実施形態では、ヘアケア組成物はヘアコンディショナーのみを含み、シャンプー又はスタイリング製品が含まれない。
【0009】
本発明のヘアケア組成物を含む製品化システムもまた提供される。1つの代表的な実施形態によると、今般提供されている製品化システムには、ヘアケア組成物、組成物のための少なくとも1つの包装、並びに消費者に乾燥した毛髪、荒れた毛髪、縮れた毛髪、光沢のない毛髪、毛髪破損、抜け毛又は毛髪の抜け落ち、及び/又は毛髪の強度に関する情報を提供する表示を含む組成物に関するマーケティング材料が挙げられる。ヘアケア組成物はアミノシリコーン及び、シリコーンコポリマーエマルションを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本ヘアケア組成物の必須成分は以下に記載される。また、本発明の実施例において有用な様々な任意構成成分及び好ましい構成成分の非限定的な説明も含まれる。本明細書は、本発明を詳しく示唆しかつ明確に主張している特許請求の範囲で結論付けられると同時に、本発明は以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0011】
百分率、部、及び比率は全て、特に指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。列記された成分に関するこのような重量は全て、活性濃度に基づくものであり、したがって特に指定しない限り、市販材料に含まれることのある溶媒又は副産物を含まない。用語「重量百分率」は、本明細書では「重量%」として表示されてもよい。
【0012】
本明細書で使用するとき、特に規定のない限り、全ての分子量は全てグラム/モルとして表される重量平均分子量である。
【0013】
本発明の組成物及び方法/プロセスは、本明細書に記載された本発明の必須要素及び制限、並びに本明細書に記載された追加又は任意の成分、構成要素、工程、又は制限を含み、これらからなり、そしてこれらから本質的になることができる。
【0014】
ヘアケア組成物
A.アミノシリコーン
本発明の組成物は、アミノシリコーンを含む。アミノシリコーンは、本明細書で提供されるように、少なくとも1つの第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、又は第四級アンモニウム基を含むシリコーンである。好ましいアミノシリコーンは、該アミノシリコーンの約0.5重量%未満、より好ましくは約0.2重量%未満、さらに好ましくは約0.1重量%未満の窒素を有していてよい。アミノシリコーン中の窒素(アミン官能基)の濃度が高くなるほど、摩擦低下が生じにくくなり、またその結果、アミノシリコーンからのコンディショニング効果が減少する傾向がある。いくつかの製品形態においては、本発明に従ってより高い濃度の窒素も許容範囲であることを理解すべきである。
【0015】
好ましくは、本発明において使用されるアミノシリコーンは、最終組成物に組み込まれた時点で、50マイクロメートル未満の粒径を有する。粒径測定は、最終組成物中の分散液滴を対象とする。粒径は、ホリバ(Horiba)モデルLA−910レーザー散乱粒径分布分析器(ホリバ・インスツルメンツ社(Horiba Instruments, Inc.))を使用して、レーザー光線散乱技術により測定してもよい。
【0016】
好ましい実施形態の1つにおいて、アミノシリコーンは約0.001m2/s(1,000cSt(センチストークス))〜約1m2/s(1,000,000cSt)の粘度を有し、より好ましくは約0.01m2/s(10,000cSt)〜約0.7m2/s(700,000cSt)、さらに好ましくは約0.05m2/s(50,000cSt)〜約0.5m2/s(500,000cSt)、及びさらにより好ましくは0.1m2/s(100,000cSt)〜約0.4m2/s(400,000cSt)の粘度を有する。本実施形態はまた、例えば以下のセクションFにおいて記載するような低粘度の流体を含んでもよい。(1)本明細書に記載のアミノシリコーンの粘度は25℃で測定される。
【0017】
別の好ましい実施形態では、アミノシリコーンは、約0.001m2/s(1,000cSt)〜約0.1m2/s(100,000cSt)の粘度を有し、より好ましくは約0.002m2/s(2,000cSt)〜約0.05m2/s(50,000cSt)、さらに好ましくは約0.004m2/s(4,000cSt)〜約0.04m2/s、及びさらにより好ましくは0.006m2/s(6,000cSt)〜約0.03m2/s(30,000cSt)の粘度を有する。
【0018】
アミノシリコーンは本発明の組成物に、約0.05重量%〜20重量%の濃度で含まれ、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、及びより好ましくは約0.3重量%〜5重量%の濃度で含まれる。
【0019】
前記主題発明の実施形態で使用するための好ましいアミノシリコーン類の例としては、一般式(I)に適合するものが挙げられるが、これらに限定されない:
(R1a3-a−Si−(−OSiG2n−(−OSiGb(R12-bm−O−SiG3-a(R1a
(I)
式中、Gは水素、フェニル、ヒドロキシ、又はC1〜C8アルキルであって、好ましくはメチルであり;aは0又は1〜3の値を有する整数であって好ましくは1であり;bは0、1、又は2であって、好ましくは1であり;ただし、aが0の場合、bは2ではなく;nは、0〜1,999の数であり;mは0〜1,999の整数であり;nとmの和は1〜2,000の数であり;aとmは両方同時に0にならず;R1は一般式CqH2qLに従う一価のラジカルであり、式中、qは2〜8の値を有する整数であり、Lは以下の基:
−N(R2)CH2−CH2−N(R22と、−N(R22と、−N(R2+3-と、−N(R2)CH2−CH2−NR22-と、から選択され、
式中、R2は水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカルであって、好ましくはC1〜C20のアルキルラジカルであり;A-はハロゲン化物イオンである。
【0020】
極めて好ましいアミノシリコーンは、式(I)に対応するものであり、式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルで、nは、好ましくは約1500〜約1700、より好ましくは約1600;及びLは、−N(CH32又は−NH2、より好ましくは−NH2である。別の極めて好ましいアミノシリコーンは、式(I)に対応するものであり、式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは、好ましくは約400〜約600、より好ましくは約500であり;Lは、−N(CH32又は−NH2、より好ましくは−NH2である。これらのアミノシリコーンは末端アミノシリコーンと呼ぶことができるが、これはシリコーン鎖の一端又は両端が窒素含有基によって末端処理されているためである。
【0021】
式(I)に対応する代表的なアミノシリコーンは、「トリメチルシリルアモジメチコン」として知られるポリマーであり、下記の式(II):
【0022】
【化1】

によって示され、
式中、nは1〜1,999の数であり、mは1〜1,999の数である。
【0023】
B.高分子量シリコーンコポリマーエマルション
本発明の組成物はまた、約120m2/s(120×106cSt)を超える内部相粘度を有するシリコーンコポリマーエマルションも含む。シリコーンコポリマーエマルションは、組成物の約0.1重量%〜約15重量%の量で存在し、好ましくは約0.3重量%〜約10重量%、及びより好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0024】
シリコーンコポリマーエマルションは、25℃において約120m2/s(120×106cSt)を超える粘度を有し、好ましくは約150m2/s(150×106cSt)を超え、好ましくは1000m2/s(1000×106cSt)未満、より好ましくは500m2/s(500×106cSt)未満、及びさらに好ましくは300m2/s(300×106cSt)未満である。シリコーンコポリマーエマルションの内部相粘度を測定するには、初めにエマルションからポリマーを切断しなければならない。一例として、以下の手順を使用して、エマルションからポリマーを切断することができる:1)10グラムのエマルション試料を15ミリリットルのイソプロピルアルコールに加える;2)スパチュラを用いて十分に混合する;3)イソプロピルアルコールをデカントする;4)10ミリリットルのアセトンを加え、スパチュラを用いてポリマーを混練(knead)する;5)アセトンをデカントする;6)ポリマーをアルミニウム容器に入れ、ペーパータオルで平らにする/拭く;7)80℃で2時間乾燥させる。ポリマーを、その後、動的剪断モードで動作する、例えば、キャリメド(CarriMed)、ハーケ(Haake)、又はモンサント(Monsanto)レオメーターなど、既知のいずれかのレオメーターを使用して試験することができる。内部相粘度値は、9.900×10-3Hzの周波数点における動的粘度(n’)を記録することによって得ることができる。エマルションの平均粒径は、好ましくは約1マイクロメートル未満、より好ましくは約0.7マイクロメートル未満である。
【0025】
本発明のシリコーンコポリマーエマルションは、シリコーンコポリマーと、少なくとも1つの界面活性剤と、水とを含む。
【0026】
シリコーンコポリマーは、金属含有触媒の存在下で、次の2つの材料の付加反応の結果として生じる:
(a)式(III)で示される、両末端に反応性基を有するポリシロキサン:
【0027】
【化2】

(式中、
5は、例えば、水素原子、エチレン性不飽和部を有する脂肪族基(すなわち、ビニル、アリル、又はヘキセニル)、ヒドロキシル基、アルコキシル基(すなわち、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシ)、アセトキシル基、又はアミノ若しくはアルキルアミノ基などの、鎖付加反応により反応可能な基であり;好ましくは、R5は、水素原子、又はエチレン性不飽和部を有する脂肪族基であり;より好ましくは、R5は水素であり;
6は、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はシクロアリールであって、エーテル類、ヒドロキシル類、アミン類、カルボキシル類、チオール類、エステル類(thiols esters)、スルホネート類などの追加的な官能基を含んでもよく;好ましくは、R6はメチルである。任意で、官能基のうち少量のモル百分率が、R5について上に記載したような反応性基であってもよく、これにより、ほぼ直鎖状であるが少量の分岐を有するポリマーを生成してもよい。この場合、好ましくは、R5基と同等のR6基の濃度は、モル百分率基準で、約10%未満であり、より好ましくは約2%未満であり;
nは、式(III)のポリシロキサンが約1E−6m2/s(1cSt)〜約1m2/s(1×106cSt)の粘度を有するような整数である)
並びに、
(b)式(III)のポリシロキサンのR5基と反応可能な少なくとも1つ若しくは多くとも2つの基を含む、少なくとも1つのシリコーン化合物又は非シリコーン化合物(好ましくは、反応性基はエチレン性不飽和部を有する脂肪族基である)。
【0028】
前述の反応で使用される金属含有触媒は、しばしば、特定の反応に特有である。そのような触媒は、当該技術分野において既知である。一般に、それらは、白金、ロジウム、スズ、チタン、銅、鉛などの金属を含有する物質である。
【0029】
エマルションを形成するために使用される混合物は、また、少なくとも1つの界面活性剤を含有する。これには、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、アルキル多糖類、両性界面活性剤などを挙げることができる。以上の界面活性剤を、個々に、又は組み合わせて使用することができる。
【0030】
本明細書に記載のシリコーンコポリマーエマルションを製造する代表的な方法は、1)前述の材料(a)と前述の材料(b)とを混合し、続いて、材料(b)が金属含有触媒の存在下で材料(a)と反応できるように、適切な金属含有触媒を混ぜ入れる工程と;2)さらに少なくとも1つの界面活性剤及び水を混ぜ入れる工程と;及び3)混合物を乳化させる工程と、を含む。このようなシリコーンコポリマーエマルションの製造は、米国特許第6,013,682号、PCT国際特許出願WO01/58986A1号、及び欧州特許出願第0874017A2号に開示される。
【0031】
C.ゲルマトリックス
本発明の組成物のいくつかの実施形態は、(1)カチオン性界面活性剤、(2)高融点脂肪族化合物、及び(3)水性キャリアを含むゲルマトリックスを含む。カチオン性界面活性剤は、高融点脂肪族化合物及び水性キャリアと合わせて、様々なコンディショニング効果、とりわけ濡れた毛髪でのツルツルして滑らかな感触を与えるのに適したゲルマトリックスを提供する。
【0032】
このカチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、特に濡れた毛髪でのツルツルして滑らかな感触を与えるというコンディショニング効果の観点から、カチオン性界面活性剤対高融点脂肪族化合物のモル比が、好ましくは約1:1〜約1:10、より好ましくは約1:2〜約1:6又は約1:1〜約1:4の範囲になるように、含まれる。本発明の代表的な組成物は、該組成物の、約60重量%〜約99重量%、好ましくは約70重量%〜約95重量%、及びより好ましくは約80重量%〜約95重量%、のゲルマトリックスを含み、このゲルマトリックスには層状ゲルマトリックスが含まれ、それに任意成分を加えることができる(例えば、シリコーン類)。
【0033】
(1)カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤は、次式(IV)を有する典型的にはモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩である:
【0034】
【化3】

式中、R71、R72、R73、及びR74のうちの1つは、約16〜約30個の炭素原子からなる1個の脂肪族基、又は約30個以下の炭素原子を有する1個の、芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール、若しくはアルキルアリール基から選択され;R71、R72、R73、及びR74で残ったものは、約1〜約8個の炭素原子からなる1個の脂肪族基、又は約8個以下の炭素原子を有する1個の、芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール、若しくはアルキルアリール基から独立に選択され;並びに、X-は、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、アルキルスルフェート、グルタミン酸塩、アルキルスルホネートラジカルから選択されるものなどの1個の塩生成アニオンである。脂肪族基類は、炭素及び水素原子に加えて、エーテル結合、及びアミノ基類のような他の基(複数)を含有することができる。長鎖の脂肪族基、例えば、炭素数が約16個以上のものは、飽和であるか若しくは不飽和であることができる。好ましくは、R71、R72R73、及びR74のうちの1つは、約16〜約30個の炭素原子からなる1個のアルキル基から選択され、より好ましくは約18〜26個の炭素原子からなる1個のアルキル基、さらに好ましくは約22個以上の炭素原子からなる1個のアルキル基から選択され;R71、R72、R73、及びR74で残ったものはCH3、C25、C24OH、CH265、及びこれらの混合物から独立に選択され;Xは、Cl、Br、CH3OSO3、及びこれらの混合物からなる群から選択される。そのようなモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、多長鎖(multi-long alkyl)アルキル四級化アンモニウム塩と比較して、濡れた毛髪に改善されたツルツルして滑らかな感触を与えることができると考えられる。また、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、アミン又はアミン塩カチオン性界面活性剤と比較して、乾燥した毛髪での改善された疎水性及び滑らかな感触を与えることができるとも考えられる。
【0035】
このようなモノ長鎖アルキル四級化塩カチオン性界面活性剤の非限定的な実施例には:例えば、クラリアント(Clariant)から商標名ジェナミン(Genamine)KDMPで、クローダ(Croda)から商標名インクロクァット(INCROQUAT)TMC−80で、三洋化成(Sanyo Kasei)からエコノール(ECONOL)TM22で入手可能なベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド;例えば、ニッコー・ケミカルズ(Nikko Chemicals)から商標名CA−2450で入手可能なステアリルトリメチル塩化アンモニウム;例えば、ニッコー・ケミカルズから商標名CA−2350で入手可能なセチルトリメチルアンモニウムクロリド;フェイシャン(FeiXiang)から入手可能なベヘニルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート;水素添加タローアルキルトリメチルアンモニウムクロリド;ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;及びステアロイルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0036】
これらの中でより好ましいカチオン性界面活性剤は、より長いアルキル基を有するもの、すなわち、C22のアルキル基である。このようなカチオン性界面活性剤には、例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド及びベヘニルトリメチルアンモニウムメチルスルフェートが挙げられる。より短いアルキル基を有するカチオン性界面活性剤と比較して、より長いアルキル基を有するカチオン性界面活性剤は乾燥した毛髪において改善された疎水性を提供すると考えられる。より短いアルキル基を有するカチオン性界面活性剤と比較して、より長いアルキル基を有する界面活性剤は、本発明のポリオールエステルと組み合わせた場合、毛髪に対して、特に傷んだ毛髪に対して、改善された疎水性を提供するとも考えられる。あるいは、長すぎるアルキル基を有する界面活性剤と比較して、適切な長さのアルキル基を有するカチオン性界面活性剤は、濡れた毛髪でのツルツルして滑らかな改善された感触を提供すると考えられる。したがって、長鎖アルキル基の中からC22のアルキル基を選択するのが、乾燥した毛髪における改善された疎水性と濡れた毛髪でのツルツルして滑らかな改善された感触との間の均衡の取れた効果を提供すると考えられる。
【0037】
本発明の組成物は、存在する場合、好ましくは該組成物の、約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約8重量%、さらに好ましくは約1.5重量%〜約5重量%の分量のカチオン性界面活性剤を含む。
【0038】
(2)高融点脂肪族化合物
本発明で有用な高融点脂肪族化合物は、約25℃以上の融点を有し、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。当業者には、本明細書の本項に開示されている化合物が、場合によっては2つ以上の分類に属することができる(例えば、いくつかの脂肪族アルコール誘導体を脂肪酸誘導体として分類することもできる)ことが理解される。しかしながら、前記分類は、その特定の化合物に対する制限であることを意図しておらず、分類及び命名法の便宜上そのようにしている。さらに、二重結合の数及び位置、並びに分枝鎖の長さ及び位置に応じて、ある必要な炭素原子を有するある化合物が約25℃未満の融点を有する可能性があることが、当業者には理解されている。そのような低融点の化合物は、この項に含まれないものとする。高融点化合物の非限定的な例は、国際化粧品成分辞典(International Cosmetic Ingredient Dictionary)第5版(1993年)、及びCTFA化粧品成分ハンドブック(Cosmetic Ingredient Handbook)第2版(1992年)に記載されている。
【0039】
高融点脂肪族化合物は、該組成物中に、組成物の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、さらにより好ましくは約2重量%〜約8重量%の濃度で含まれることができる。
【0040】
脂肪族アルコールは、本明細書において約14〜約30個の炭素原子を有するもので、好ましくは約16〜約22個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは、飽和であるとともに、直鎖又は分枝鎖アルコールであることができる。脂肪族アルコールの非限定的な例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
本発明で有用な脂肪酸は、約10〜約30個の炭素原子を有するもので、好ましくは約12〜約22個の炭素原子、及びより好ましくは約16〜約22個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪酸は飽和であり、直鎖若しくは分枝鎖の酸であり得る。また、本明細書の要件を満たす、二酸、三酸、及び他の多酸も包含される。また本明細書には、これらの脂肪酸の塩も包含される。脂肪酸の非限定的な例としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セバシン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
本発明で有用な脂肪族アルコール誘導体及び脂肪酸誘導体としては、脂肪族アルコールのアルキルエーテル、アルコキシル化脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコールのアルキルエーテル、脂肪族アルコールのエステル、エステル化が可能なヒドロキシ基を有する化合物の脂肪酸エステル、ヒドロキシ置換脂肪酸、及びこれらの混合物が挙げられる。脂肪族アルコール誘導体及び脂肪酸誘導体の非限定的な例としては、メチルステアリルエーテル;セチルアルコールのエチレングリコールエーテルであるセテス−1〜セテス−45のような化合物のセテスシリーズ(ここで、数字の呼び名は存在するエチレングリコール部分の数を表す);ステアレスアルコールのエチレングリコールエーテルであるステアレス−1〜ステアレス−10のような化合物のステアレスシリーズ(ここで、数字の呼び名は存在するエチレングリコール部分の数を表す);セテアレスアルコール(すなわち、セチル及びステアリルアルコールを主に含有する脂肪族アルコールの混合物)のエチレングリコールエーテルであるセテアレス−1〜セテアレス−10(ここで、数字の呼び名は、存在するエチレングリコール部分の数を表す);今説明したセテス、ステアレス、及びセテアレス化合物のC1〜C30のアルキルエーテル;ベヘニルアルコールのポリオキシエチレンエーテル;エチルステアレート、セチルステアレート、セチルパルミテート、ステアリルステアレート、ミリスチルミリステート、ポリオキシエチレンセチルエーテルステアレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテルステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテルステアレート、エチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールジステアレート、トリメチロールプロパンジステアレート、ソルビタンステアレート、ポリグリセリルステアレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレート、グリセリルトリステアレート、及びこれらの混合物などの物質が挙げられる。
【0043】
高純度の単一化合物の高融点脂肪族化合物が好ましい。純粋なセチルアルコール、ステアリルアルコール、及び、ベヘニルアルコールの群から選択した純粋な脂肪族アルコールの単一化合物が極めて好ましい。本明細書では、「純粋」とは、化合物の純度が少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%であることを意味する。高純度のこれら単一化合物は、消費者が前記組成物をすすぎ落とすときに、毛髪からの優れたすすぎやすさを提供する。
【0044】
本明細書に有用な市販の高融点脂肪族化合物としては、新日本理化(Shin Nihon Rika)(日本、大阪(Osaka, Japan))から入手可能な商標名コノール(KONOL)シリーズ及びNOF(日本、東京(Tokyo, Japan))から入手可能な商標名NAAシリーズのセチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコール;和光(WAKO)(日本、大阪)から入手可能な商標名1−ドコサノール(1-DOCOSANOL)の純粋なベヘニルアルコール、アクゾ(Akzo)(米国イリノイ州シカゴ(Chicago Illinois, USA))から入手可能な商標名ネオ−ファット(NEO-FAT)、ウィトコ(Witco Corp.)(米国オハイオ州ダブリン(Dublin Ohio, USA))から入手可能なヒストレーン(HYSTRENE)、及びヴェヴィ(Vevy)(イタリア、ジェノバ(Genova, Italy))から入手可能なダーマ(DERMA)の様々な脂肪酸が挙げられる。
【0045】
(3)水性キャリア
本発明において有用なキャリアとしては、例えば、水、及び低級アルキルアルコール水溶液、及び多価アルコール水溶液が挙げられる。本発明で有用な低級アルコールとしては、約1〜約6個の炭素原子を有する一価アルコール、より好ましくはエタノール及びイソプロパノールが挙げられる。本発明で有用な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0046】
好ましくは、水性キャリアは実質的に水である。脱イオン水を使用するのが好ましい。ミネラルカチオンを包含する天然供給源からの水もまた、製品の所望の特性に応じて使用することができる。一般に、本発明の前記組成物は、約20%〜約95%、好ましくは約30%〜約92%、さらに好ましくは約50%〜約90%の水を含む。
【0047】
D.任意構成成分
(1)低粘度流体
本発明の組成物は任意に、前記アミノシリコーンと混合される低粘度流体を含んでいてよい。代表的な低粘度流体は、約0.0001m2/s(100cSt)未満の粘度を有する(しかしながら、より高い粘度の流体も使用してもよい)。低粘度流体は、アミノシリコーンと組み合わせると、完成した組成物への加工を促進するようにこのアミノシリコーンの粘度を低下させる働きをする。
【0048】
本発明の組成物中における低粘度流体の濃度は、主に、用いられる流体及びアミノシリコーンの種類及び量によって変化する。低粘度流体の好ましい濃度は、前記組成物の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%である。
【0049】
好ましい低粘度流体は、アミノシリコーンと部分的に又は完全に混和でき、またこのブレンドの粘度を低下させる際に有効である。低粘度流体又は流体の組合せは、低粘度流体の量ができる限り少なくなるように、前記組成物中で使用すべきである。2つの物質がブレンドされるとき、好ましい粘度の範囲は約0.0005m2/s(500cSt)〜約0.1m2/s(100,000cSt)であり、より好ましくは約0.001m2/s(1,000cSt)〜約0.05m2/s(50,000cSt)である。
【0050】
アミノシリコーンのための低粘度流体は、人の毛髪及び頭皮に局所適用するのに適している。低粘度流体は、それがアミノシリコーンと部分的又は完全に混和でき、上述の粘度を有する混合物を生成するのであれば、有機の、シリコーン含有若しくはフッ素含有の、揮発性若しくは不揮発性、極性若しくは非極性のものである。
【0051】
低粘度流体としては、好ましくは、揮発性で非極性の油;不揮発性で比較的極性の高い油;不揮発性で非極性の油;及び不揮発性のパラフィン系炭化水素油が挙げられる。本明細書で使用する場合、「不揮発性」という用語は、25℃で、0.1Mpa(1気圧)で26.7Pa(0.2mmHg)以下の蒸気圧を示す物質、又は/及び、0.1Mpa(1気圧)で少なくとも約300℃の沸点を有する物質を指す。本明細書で使用する場合、「揮発性」という用語は、本明細書において先に定義した「不揮発性」に当てはまらない全ての物質をいう。本明細書で使用する場合、「比較的極性の高い」という用語は、溶解度パラメータに関して別の物質よりも極性が高いことを意味する(例えば、溶解度パラメータが高いほど、液体の極性は高くなる)。「非極性」という用語は、典型的には、物質の溶解度パラメータが約6.5(cal/cm30.5未満であることを意味する。
【0052】
(a)非極性で揮発性の油
本発明で特に有用な非極性で揮発性の油は、シリコーン油、炭化水素、及びこれらの混合物からなる群より選択される。このような非極性で揮発性の油は、例えば、化粧品、科学、及び技術(Cosmetics, Science, and Technology)第1巻、27〜104頁で開示されている。本発明に有用な非極性で揮発性の油は、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよく、脂肪族の特徴を有していてもよく、直鎖若しくは分枝鎖であってもよく、又は脂環式若しくは芳香族の環を含有してもよい。好ましい非極性で揮発性の炭化水素の例としては、イソドデカン及びイソデカンなどのポリデカン(例えば、プレスパース社(Presperse Inc.)から入手可能なペルメチル−99A(Permethyl-99A))並びにC7〜C8からC12〜C15のイソパラフィン(エクソン・ケミカルズ社(Exxon Chemicals)から入手可能なアイソパー(Isopar)シリーズ)が挙げられる。他のイソパラフィンとしては、例えば、アイソゾール200(主にC8イソパラフィンを含む)、アイソゾール300(主にC12イソパラフィンを含む)、及びアイソゾール400(主にC14イソパラフィンを含む)などの新日本石油化学(Nippon Petrochemicals Co., LTD)から入手可能なアイソゾール(Isozol)シリーズが挙げられる。非極性で揮発性の炭化水素、特に非極性で揮発性のイソパラフィンは、アミノシリコーンの粘度を低下させ、及び乾いた毛髪の低減された摩擦のような改善されたヘアコンディショニング効果を提供する点で、様々な低粘度流体の中でも非常に好ましい。
【0053】
非極性で揮発性の液体シリコーン油は、米国特許第4,781,917号に開示されている。さらに、種々の揮発性シリコーン物質の説明は、トッド(Todd)らの「化粧用揮発性シリコーン流体(Volatile Silicone Fluids for Cosmetics)」(化粧品及びトイレタリー(Cosmetics and Toiletries)1976年、91巻:27〜32頁)にも記載されている。特に好ましい揮発性シリコーン油は、式(V)に対応する環式揮発性シリコーンであり:
【0054】
【化4】

式中、nは約3〜約7であり;及び式(VI)に対応する直鎖状の揮発性シリコーンからなる群より選択され:
(CH33Si−O−[Si(CH32−O]m−Si(CH33
(VI)
式中、mは約1〜約7である。直鎖状の揮発性シリコーンは一般的に約25℃で5E−6m2/s(5cSt)未満の粘度を有するのに対し、環状シリコーンは25℃で約1E−5m2/s(10cSt)未満の粘度を有する。揮発性シリコーン油の非常に好ましい例としては、様々な粘度のシクロメチコン、例えば、ダウ・コーニング(Dow Corning)200、ダウ・コーニング244、ダウ・コーニング245、ダウ・コーニング344、及びダウ・コーニング345(ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)から市販);SF−1204及びSF−1202シリコーン流体(G.E.シリコーンズ社(G.E.Silicones)から市販)、GE7207及び7158(ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Co.)から市販);並びにSWS−03314(SWSシリコーンズ社(SWS Silicones Corp.)から市販)が挙げられる。
【0055】
(b)比較的極性が高く、不揮発性の油
不揮発性の油は、上述した非極性で揮発性の油に比べて「比較的極性が高い」。したがって、不揮発性共溶媒は、非極性で揮発性の油の少なくとも1つよりも極性が高い(例えば、より高い溶解度パラメータを有する)。本発明において潜在的に有用な、比較的極性が高く、不揮発性の油は、例えば、バルサム(Balsam)及びサガリン(Sagarin)編、化粧品、科学と技術(Cosmetics, Science, and Technology)1972年、第1巻:27〜104頁、米国特許第4,202,879号、並びに同4,816,261号に開示されている。本発明で有用な比較的極性の高い不揮発性の油は好ましくは、シリコーン油;炭化水素油;脂肪族アルコール;脂肪酸;一及び二塩基カルボン酸とモノ及び多価アルコールとのエステル;ポリオキシエチレン;ポリオキシプロピレン;脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテルとポリオキシプロピレンエーテルとの混合物;並びにこれらの混合物からなる群より選択される。本発明で有用な比較的極性の高い不揮発性共溶媒は、飽和又は不飽和のいずれでもよく、脂肪族の特徴を有してもよく、直鎖又は分枝鎖でもよく、あるいは脂環式の環又は芳香環を含有してもよい。より好ましくは、比較的極性が高く、不揮発性の液体共溶媒は、約12〜約26個の炭素原子を有する脂肪族アルコール;約12〜約26個の炭素原子を有する脂肪酸;一塩基カルボン酸と、約14〜約30個の炭素原子を有するアルコールとのエステル;二塩基カルボン酸と、約10〜約30個の炭素原子を有するアルコールとのエステル;多価アルコールと、約5〜約26個の炭素原子を有するカルボン酸とのエステル;約12〜26個の炭素原子を有し、約50を下回るエトキシル化度及びプロポキシル化度を有する脂肪族アルコールのエトキシル化エーテル、プロポキシル化エーテル、及びエトキシル化エーテルとプロポキシル化エーテルの混合物;並びにこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましいのは、約50を下回るプロポキシル化度を有するC14〜C18の脂肪族アルコールのプロポキシル化エーテル、C2〜C8のアルコールとC12〜C26のカルボン酸とのエステル(例えば、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル)、C12〜C26のアルコールと安息香酸とのエステル(例えば、ファインテックス社(Finetex)から供給されるファインソルブ(Finsolv)TN)、C2〜C8のアルコールとアジピン酸、セバシン酸、及びフタル酸とのジエステル(例えば、ジイソプロピルセバカート、ジイソプロピルアジパート、ジ−n−ブチルフタラート)、C6〜C26のカルボン酸の多価アルコールエステル(例えば、プロピレングリコールジカプラート/ジカプリラート、プロピレングリコールイソステアレート)、並びにこれらの混合物である。さらに好ましいのは、約12〜約26個の炭素原子を有するとともに分枝鎖を持つ脂肪族アルコールである。さらに好ましいのは、イソセチルアルコール、オクチルデカノール、オクチルドデカノール、及びウンデシルペンタデカノールであり;最も好ましいのはオクチルドデカノールである。
【0056】
(c)非極性で不揮発性の油
前述の液体に加えて、低粘度流体は、不揮発性で非極性の油を任意に含んでもよい。典型的な不揮発性で非極性の油は、例えば、バルサム及びサガリン編、化粧品、科学と技術(Cosmetics, Science, and Technology)1972年、第1巻:27〜104頁、米国特許第4,202,879号、並びに同4,816,261号に開示されている。本発明で有用な不揮発性の油は、本質的に不揮発性のポリシロキサン、パラフィン系炭化水素油、及びこれらの混合物である。本発明で有用なポリシロキサンは、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、及びこれらの混合物からなる群より選択される。これらの例としては、25℃で約1E−6m2/s(1cSt)〜約0.1m2/s(100,000cSt)の粘度を有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。好ましい不揮発性のシリコーン皮膚軟化剤の中で、本組成物において有用であるのは、25℃で約2E−6m2/s(2cSt)〜約0.0004m2/s(400cSt)の粘度を有するポリジメチルシロキサンである。このようなポリアルキルシロキサンとしては、ヴィスシカルシリーズ(Viscasil series)(ゼネラル・エレクトリック社から販売)及びダウ・コーニング200シリーズ(Dow Corning 200 series)(ダウ・コーニング社から販売)が挙げられる。ポリアルキルアリールシロキサンとしては、25℃で約1.5E−5m2/s(15cSt)〜約6.5E−5m2/s(65cSt)の粘度を有するポリメチルフェニルシロキサンが挙げられる。これらは、例えばSF1075メチル−フェニル流体(ゼネラル・エレクトリック社から販売)及び556コスメチック・グレード液(556 Cosmetic Grade Fluid)(ダウ・コーニング(Dow corning Corp.)から販売)として入手可能である。有用なポリエーテルシロキサンコポリマーとしては、例えば、25℃で約0.0012m2/s(1200cSt)〜約0.0015m2/s(1500cSt)の粘度を有するポリオキシアルキレンエーテルコポリマーが挙げられる。このような流体は、SF1066有機シリコーン界面活性剤(ゼネラル・エレクトリック社から販売)として入手可能である。ポリシロキサンエチレングリコールエーテルコポリマーが、本明細書の組成物に使用するのに好ましいコポリマーである。
【0057】
本発明で有用な不揮発性のパラフィン系炭化水素油としては、鉱油及び特定の分岐鎖を持つ炭化水素が挙げられる。これらの流体は、米国特許第5,019,375号に開示されている。好ましい鉱油は、次の特性を有する:
(1)粘度が、40℃で、約5E−6m2/s(5cSt)〜約7E−5m2/s(70cSt);
(2)密度が、25℃で、約0.82g/cm3〜約0.89g/cm3
(3)引火点が約138℃〜約216℃;及び
(4)炭素鎖の長さが、約14〜約40個の炭素原子。
【0058】
好ましい分岐鎖を持つ炭化水素の油は、次の特性を有する:
(1)密度が、20℃で、約0.79g/cm3〜約0.89g/cm3
(2)沸点が約250℃超;及び
(3)引火点が約110〜約200℃。
【0059】
特に好ましい分岐鎖を持つ炭化水素としては、平均約24個の炭素原子を含むパーメチル(Permethyl)103A;平均約68個の炭素原子を含むパーメチル104A;平均約20個の炭素原子を含むパーメチル102A(これらは全てパーメチル社(Permethyl Corp.)から購入できる);及び30個の炭素原子と40個の炭素原子の混合物を含むエチルフロー(Ethylflo)364(エチル社(Ethyl Corp.)から購入できる)が挙げられる。
【0060】
本発明で有用な追加の溶媒は米国特許第5,750,096号に記載されている。
【0061】
(2)酸
本発明の組成物は、L−グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、L−グルタミン酸塩酸塩、酒石酸、クエン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される酸をさらに含み;好ましくはL−グルタミン酸、乳酸、クエン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される酸を含む。本明細書におけるアミンは、好ましくは、アミンと上記の酸とのモル比が約1:0.3〜約1:2、より好ましくは約1:0.4〜約1:1.3において上記の酸のいずれかで部分的に中和されている。
【0062】
(3)ポリソルベート
本発明の組成物は、レオロジーを調整するためにポリソルベートを含んでもよい。本発明で有用な好ましいポリソルベートとしては、ポリソルベート−20、ポリソルベート−21、ポリソルベート−40、ポリソルベート−60、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリソルベート−20が極めて好ましい。このポリソルベートは、約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.05重量%〜約2重量%の濃度で当該組成物に含有され得る。
【0063】
(4)ポリプロピレングリコール
本発明で有用なポリプロピレングリコールは、約200g/mol〜約100,000g/mol、好ましくは約1,000g/mol〜約60,000g/molの重量平均分子量を有するものである。理論に制限されるものではないが、本明細書におけるポリプロピレングリコールは、毛髪に付着するか又は毛髪に吸収されて、保湿剤緩衝剤として作用する、及び/又は1つ以上の他の所望のヘアコンディショニング効果をもたらすと考えられる。
【0064】
本発明で有用なポリプロピレングリコールは、重合度に応じて、また他の部分がそれに結合しているか否かに応じて、水溶性であるか又は水不溶性であるかのいずれかであってよく、あるいは水中での限定された溶解度を有してもよい。ポリプロピレングリコールの水中での望ましい溶解度は、大部分は、ヘアケア組成物の形態(例えば、リーブオン又はリンスオフ)に左右される。例えば、リンスオフヘアケア組成物では、本明細書におけるポリプロピレングリコールは、25℃で約1g/100g水未満の水中溶解度、より好ましくは約0.5g/100g水未満の水中溶解度、さらにより好ましくは約0.1g/100g水未満の水中溶解度を有することが好ましい。
【0065】
ポリプロピレングリコールは、本発明のヘアケア組成物中に、該組成物の約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05重量%〜約6重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約3重量%のの濃度で含まれることができる。
【0066】
(5)低融点油
本発明で有用な低融点油は、25℃未満の融点を有するものである。本発明で有用な低融点油は、約10〜約40個の炭素原子を有する炭化水素;オレイルアルコールなどの約10〜約30個の炭素原子を有する不飽和脂肪族アルコール;約10〜30個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸;脂肪酸誘導体;脂肪族アルコール誘導体;ペンタエリスリトールエステル油、トリメチロールエステル油、クエン酸エステル油、及びグリセリルエステル油などのエステル油;ポリα−オレフィン油;並びにこれらの混合物からなる群から選択される。本明細書における好ましい低融点油は、ペンタエリスリトールエステル油、トリメチロールエステル油、クエン酸エステル油及びグリセリルエステル油のようなエステル油;ポリα−オレフィン油;並びにこれらの混合物からなる群より選択される。
【0067】
本発明における特に有用なペンタエリスリトールエステル油及びトリメチロールエステル油としては、ペンタエリスリトールテトライソステアレート、ペンタエリスリトールテトラオレエート、トリメチロールプロパントリイソステアレート、トリメチロールプロパントリオレエート、及びこれらの混合物が挙げられる。このような化合物は、コーキョウ・アルコール(Kokyo Alcohol)から商標名KAKPTI、KAKTTIとして、及び新日本理化(Shin-nihon Rika)から商標名PTO、ENUJERUBU TP3SOとして入手可能である。
【0068】
本明細書において特に有用なクエン酸エステル油としては、バーネル(Bernel)から商標名シトモール(CITMOL)316として入手可能なクエン酸トリイソセチル、フェニックス(Phoenix)から商標名ペレモール(PELEMOL)TISCとして入手可能なクエン酸トリイソステアリル、及びバーネルから商標名シトモール320として入手可能なクエン酸トリオクチルドデシルが挙げられる。
【0069】
本明細書において特に有用なグリセリルエステル油には、太陽化学(Taiyo Kagaku)から商標名サン・エスポール(SUN ESPOL)G−318として入手可能なトリイソステアリン、クローダ・サーファクタンツ(Croda Surfactants Ltd.)から商標名シスロール(CITHROL)GTOとして入手可能なトリオレイン、ヴェヴィ(Vevy)から商標名エファダーマ−F(EFADERMA-F)又はブルックス(Brooks)から商標名EFA−グリセライズ(EFA-GLYCERIDES)として入手可能なトリリノレインが挙げられる。
【0070】
本発明におけるとりわけ有用なポリα−オレフィン油としては、エクソン・モービル(Exxon Mobil Co.)から入手可能な、数平均分子量が約500の商標名ピュアシン(PURESYN)6、数平均分子量が約3000の商標名ピュアシン100及び数平均分子量が約6000の商標名ピュアシン300としてのポリデセンが挙げられる。
【0071】
低融点油は本発明のヘアケア組成物中に、該組成物の約0.001重量%〜約10重量%の濃度で、好ましくは約5重量%までの濃度で含まれることができる。
【0072】
(6)カチオン性ポリマー
本発明で有用なカチオン性ポリマーは、少なくとも約5,000、典型的には約10,000〜約10,000,000、好ましくは約100,000〜約2,000,000の平均分子量を有するものである。
【0073】
好適なカチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン性アミン若しくは四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル、及び、ジアルキルアクリルアミド、アルキル、及び、ジアルキルメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカプロラクトン、並びに、ビニルピロリドンのような水溶性スペーサーモノマーのコポリマーが挙げられる。その他の好適なスペーサーモノマーとしては、ビニルエステル、ビニルアルコール(ポリビニルアセテートの加水分解によって作られる)、無水マレイン酸、プロピレングリコール及びエチレングリコールが挙げられる。本発明で有用なの他の好適なカチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン性セルロース、カチオン性デンプン、及び、カチオン性グアーゴムが挙げられる。
【0074】
カチオン性ポリマーは本発明のヘアケア組成物中に、該組成物の約0.001重量%〜約10重量%の濃度で、好ましくは約5重量%までの濃度で含まれることができる。
【0075】
(7)ポリエチレングリコール
ポリエチレングリコールもまた追加的な成分として使用することもできる。本明細書で有用なポリエチレングリコールは、式H(O−CH2−CH2nOHに対応するものであり、式中、nはエトキシ単位の数である。本発明で有用なポリエチレングリコールとしては、nが約2,000の平均値を有するPEG−2M(PEG−2Mはまた、ユニオン・カーバイド社(Union Carbide)からのポリオックス(Polyox)WSR(登録商標)N−10として、及びPEG−2,000としても既知である);nが約5,000の平均値を有するPEG−5M(PEG−5Mはまた、ポリオックスWSR(登録商標)N−35として及びポリオックスWSR(登録商標)N−80として、いずれもユニオン・カーバイド社からのもの、並びにPEG−5,000及びポリエチレングリコール300,000としても既知である);nが約7,000の平均値を有するPEG−7M(PEG−7Mはまた、ユニオン・カーバイド社からのポリオックスWSR(登録商標)N−750としても既知である);nが約9,000の平均値を有するPEG−9M(PEG−9Mはまた、ユニオン・カーバイド社からのポリオックスWSR(登録商標)N−3333としても既知である);並びにnが約14,000の平均値を有するPEG−14M(PEG−14Mはまた、ユニオン・カーバイド社からのポリオックスWSR(登録商標)N−3000としても既知である)が挙げられる。
【0076】
ポリエチレングリコールは本発明のヘアケア組成物中に、該組成物の約0.001重量%〜約10重量%の濃度で、好ましくは約5重量%までの濃度で含まれることができる。
【0077】
E.追加の構成成分
本発明の組成物は他の追加的な成分を含んでいてもよく、それは最終的な製品の所望の特性によって当業者により選択されてよく、またそれは組成物をより美容的又は審美的に許容可能なものにするのに適したもの、あるいは付加的な使用による効果を組成物に提供するのに適したものである。このような他の追加成分は一般に、該組成物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約5重量%までの濃度で個々に用いる。
【0078】
様々な他の追加的な成分を本明細書の組成物中に配合することができる。これらには以下のもの:ホーメル社(Hormel)から商標名ペプタイン(Peptein)2000として入手可能なコラーゲン加水分解物のような他のコンディショニング剤;エーザイ社(Eisai)から商標名Eミックス−d(Emix−d)として入手可能なビタミンE;ロシュ社(Roche)から入手可能なパンテノール;ロシュ社から入手可能なパンテニルエチルエーテル;ケラチン加水分解物、タンパク質、植物抽出物、及び栄養素;ゴールドシュミット社(Goldschmidt)から商標名バロニック(Varonic)APMとして入手可能なPPG−3ミリスチルエーテル;トリメチルペンタノールヒドロキシエチルエーテル;ゴールドシュミット社から商標名バロニックAPSとして入手可能なPPG−11ステアリルエーテル;ゴールドシュミット社から商標名テゴソフト(Tegosoft)SHとして入手可能なヘプタン酸ステアリル;ゴールドシュミット社から入手可能なラクチル(Lactil)(乳酸ナトリウム、ナトリウムPCA、グリシン、フルクトース、尿素、ナイアシンアミド、イノシトール、安息香酸ナトリウム及び乳酸の混合物);日新製油株式会社(Nishin Seiyu)から商標名サラコス(Saracos)として入手可能及びゴールドシュミット社から商標名テゴソフトOPとして入手可能なパルミチン酸エチルヘキシル;両性固定剤ポリマー、カチオン性固定剤ポリマー、アニオン性固定剤ポリマー、非イオン性固定剤ポリマー及びシリコーングラフトコポリマーのような毛髪固定剤ポリマー;ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン及びイミダゾリジニル尿素のような防腐剤;クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムのようなpH調整剤;塩、一般には酢酸カリウム及び塩化ナトリウムのようなもの;FD&C又はD&C染料のいずれかのような着色剤;過酸化水素、過ホウ酸塩及び過硫酸塩のような毛髪酸化(脱色)剤;チオグリコール酸塩のような毛髪還元剤;香料;エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムのような金属イオン封鎖剤;サリチル酸オクチルのような紫外線及び赤外線の遮断剤及び吸収剤;並びにジンクピリチオン及びサリチル酸のような抗フケ剤が挙げられる。
【0079】
弾性
本発明で有用なシリコーンブレンドは好ましいtanδ値を有することが発見されている。tanδ値とはブレンドされた物質の弾性に関する計算値で、損失弾性率(G”)を貯蔵弾性率(G’)で割ったものに等しい。損失弾性率(G”)及び貯蔵弾性率(G’)は以下の方法により測定される:
器具:TA AR2000又はAR−G2レオメーター(40mm直径、2度、ALコーン、及びギャップ57μmで、振動モードを使用)。
試料の調製:スパチュラで試料を取り、泡を生じないように、攪拌せずにその試料をレオメーターの測定台上に置く。
測定手順:1)試料を26.7℃の温度で4分間平衡に保つ;2)振動を5.0Paに、温度を26.7℃に固定して、周波数0.1Hz〜10Hzの周波数で振動させ始める。損失弾性率及び貯蔵弾性率の値はレオメーター計器により、記録されるとともに読み取ることができる。
【0080】
代表的なシリコーンブレンドは、周波数10Hz及び26.7℃での記録されているように、約0.01〜約5、好ましくは約0.05〜約1、及びより好ましくは約0.1〜約0.5のtanδ値を有する。理論に縛られるものではないが、好ましいtanδ値は末端部のすすぎに関する使用中の指標及び/又はすすぎ後の清潔感に相関すると考えられており、したがって消費者は、これらのシリコーンブレンドを含む組成物を既存の製品と比較して優れていると感じる。
【0081】
使用方法
本発明の組成物は、従来の方法で使用され、コンディショニング及び他の効果を提供する。このような使用方法は採用される組成物のタイプによるが、一般的には有効量の製品を毛髪若しくは頭皮に塗布することを含み、その後、頭髪若しくは頭皮からすすがれるか、又は、頭髪又は頭皮にそのまま残されるかする。「有効量」は、乾燥コンディショニング(dry conditioning)効果を与えるのに十分な量を意味する。一般には、約1g〜約50gを毛髪又は頭皮に塗布する。
【0082】
好ましくは、組成物は、毛髪を乾燥させる前の濡れているか又は湿った毛髪に適用される。この組成物は、通常は、毛髪若しくは頭皮にすり込むか又はマッサージすることによって、毛髪若しくは頭皮全体に分配される。このような組成物が毛髪に適用された後、使用者の好みに応じて毛髪は乾かされ、スタイルが整えられる。別の方法では、組成物を乾燥した毛髪に適用し、次いで使用者の好みに応じて毛髪を櫛で梳き、若しくはスタイルを整えられる。
【0083】
製品化システム
本発明のヘアケア組成物を含む製品化システムもまた提供される。1つの代表的な実施形態によれば、現在、ヘアケア組成物、並びに、組成物のための少なくとも1つの包装、並びに、消費者に乾燥した毛髪、荒れた毛髪、縮れた毛髪、光沢のない毛髪、毛髪破損、抜け毛又は毛髪の抜け落ち、及び/又は毛髪の強度に関する情報を提供する表示を含む組成物に関するマーケティング材料を含む製品化システムが提供されている。この製品化システムは、本明細書に記載されるヘアケア組成物を1つ以上含むことができる。
【0084】
本明細書で使用するとき、「包装」は製品が一般に提示される際、ヘアケア製品に又は周りに少なくとも部分的に配置される構造体又は材料を意味する。「一次包装」は、閉包、ポンプ、キャップ、又はその他の周辺品目を含む全ての容器を意味し、ヘアケア製品が直接接触するいずれかの容器を意味する。また「二次包装」は、少なくとも部分的に一次包装を取り囲み、包含し又は接触する、例えば箱若しくはポリマースリーブのような容器等の一次包装に関連する全ての追加の材料を意味する。
【0085】
本明細書で使用するとき、「マーケティング材料」は、有形の表現媒体を意味し、それ自身で又は周辺機器の助力によって、関連するヘアケア組成物の存在を周知させ、又は品質若しくは利点を宣伝する。
【0086】
本明細書で使用するとき、「表示」は、テキスト及び/又は図形を含む識別記号を意味する。
【実施例】
【0087】
以下の実施例に示される組成物は、本発明の具体的な実施形態を説明したものであるが、これらに限定されない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者は、他の修正を実行することができる。
【0088】
以下の実施例で示される組成物は、従来の配合及び混合方法により調製できる。特に明記しない限り、例示した全ての量は重量パーセントで記載され、希釈剤、防腐剤、着色剤溶液、イメージ成分、植物等の微量物質は除外する。全ての実施例において、用語「μm」は「ミクロン」と同義である。
【0089】
実施例1〜18はヘアコンディショナー配合の非限定的な実施例を表す。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
実施例1〜18についての構成成分の定義
1 ステアルアミドプロピルジメチルアミン:イノレックス(Inolex)から入手可能なレキサミン(Lexamine)(商標)S−13
2 クローダから入手可能なベヘンアミドプロピルジメチルアミン(インクロミンBB(IncromineBB)(商標))
3 グルタミン酸:味の素(Ajinomoto)から入手可能
4 セチルアルコール:新日本理化から入手可能なコノ−ル(商標)シリーズ
5 ステアリルアルコール:新日本理化から入手可能なコノ−ル(商標)シリーズ
6 ゼネラル・エレクトリック社から入手可能な末端アミノシリコーン、APタイプ;粘度0.22m2/s(220,000cSt〜0.045m2/s(45,000cSt)
7 ゼネラル・エレクトリック社から入手可能な末端アミノシリコーン、APタイプ;粘度0.01m2/s(10,000cSt)
8 ゼネラル・エレクトリック社から入手可能な、TSF−451−20A(2E−5m2/s(20cSt)直鎖の油)
9 ダウ・コーニング(商標)200流体、1E−5m2/s(10cSt)
10 ダウ・コーニング社から入手可能なHMW2220シリコーンエマルション、約60%シリコーン
11 PEG23/PPG6ジメチコン:GE東芝(GE Toshiba)から入手可能なシルソフト(Silsoft)(商標)475
12 ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド/イソプロピルアルコール:クラリアントから入手可能なジェナミン(商標)KDMP
13 フェイシャンから入手可能なベヘニルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート
14 ポリソルベート−20:ロンザ社(Lonza Inc.)から入手可能なグリコスパース(Glycosperse)(商標)L−20K
15 PPG−34:三洋化成から入手可能なニューポルPP−2000(New Pol PP-2000)
16 ポリα−オレフィン:エクソン・モービル・ケミカル社(Exxon Mobil Chemical Company)から入手可能なピュアシン(商標)100
17 メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン:ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)から入手可能なカトン(Kathon)(商標)CG
18 パンテノール:ロシュ社から入手可能
19 パンテニルエチルエーテル:ロシュ社から入手可能
20 加水分解コラーゲン:ホーメル社から入手可能なペプタイン(商標)2000
21 ビタミンE:エーザイ社から入手可能なEミックス−d
【0093】
実施例1〜18は当該技術分野において周知の従来のいかなる方法でも調整できる。これらは、次のようにして好適に調製される:脱イオン水を85℃に加熱し、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物を混入する。必要であれば、カチオン性界面活性剤及び脂肪族アルコールは、水に添加する前に、85℃で予め溶融させておくこともできる。前記構成成分が均質化して固体が観察されなくなるまで、水を約85℃の温度で保持する。次に、混合物を約55℃まで冷却し、この温度で保持してゲルマトリックスを形成する。アミノシリコーン、又はアミノシリコーンと低粘性流体とのブレンド、又はアミノシリコーンの水性分散体を前記ゲルマトリックスに添加する。高粘度シリコーンコポリマーエマルションもまた添加する。ポリα−オレフィン油、ポリプロピレングリコール、及び/又はポリソルベートを含む場合、これらもまたゲルマトリックスに添加する。香料及び防腐剤のような他の追加的な構成成分を包む場合、これらも攪拌しながら添加する。このゲルマトリックスは、この間、均質化を保証するために一定の攪拌を続けながら、約50℃に保持する。均質化した後、これを室温まで冷却する。物質を分散するために必要であれば、トリブレンダー及び/又はミルを各工程で使用することができる。
【0094】
実施例19〜23はシャンプー組成物を表す。
【0095】
【表3】

【0096】
実施例19〜23についての構成成分の定義
1 ラウレス硫酸ナトリウム、3モルエトキシレート、28%活性、P&Gより供給
2 ラウリル硫酸ナトリウム、29%活性、P&Gより供給
3 テゴベタイン(Tegobetaine)(商標)F−B、30%活性、ゴールドシュミット・ケミカルズ(Goldschmidt Chemicals)より供給
4 モナミドCMEA、ゴールドシュミット・ケミカルズより供給
5 カチオン性ガラクトマンナン:カッシア(Cassia)EX-906、MW=300,000 CD=3.1meq/グラム、供給元:ノベオン社(Noveon Inc.)
6 PQ−6:ポリDADMAC、ローディア(Rhodia)より供給
7 PQ76:AM:トリクワット(TRIQUAT)(95:5)、ローディアより供給、CD=1.6及び700,000MW
8 アクアロン(Aqulaon)/ハーキュレス(Hercules)から入手可能なADPP−5043HMW(分子量1,200,000以下及び電荷密度2.0meq/g)
9 アクアロンから入手可能なLR30M
10 純粋なエチレングリコールジステアレートEGDS;ゴールドシュミット・ケミカルズより供給
11 モメンティブシリコーンアミノジメチコン、GE Y−14945;粘度=10Pa.s(10,000cps)
12 モメンティブシリコーンアミノジメチコンSF−1708、粘度0.0025m2/s(2,500cSt);100%活性
【0097】
【表4】

【0098】
【表5】

15 HMW2220シリコーンエマルション、約60%シリコーン、ダウ・コーニングより入手可能
【0099】
実施例19〜23のシャンプー組成物は、次のようにして調製してもよい:界面活性剤を十分な温度に加熱して溶融し、CMEAに可溶化する。カチオン性ポリマー及び約5%以下の水を、乾燥したポリマーを完全に可溶化するのに十分な程度に攪拌しながら添加し、溶液に分散させる。必要に応じてpHを調整する。次に、エチレングリコールジステアレート(EGDS)を混合容器に添加し、十分な温度で溶融するか又は予め結晶であるEGDSのプレミックスを系に添加する。EGDSがよく分散した後で、防腐剤を添加し、溶液中に混合する。EGDSのプレミックスを使用しない場合、EGDS/界面活性剤混合物をミル及び熱交換器に通して約35℃に冷却し、最終タンクに集める。この冷却工程の結果、EGDSは、結晶化し、ワックス様結晶性懸濁液を形成する。様々な粒径のアミノシリコーン及びゲル網状組織並びにポリクアテルニウム6に必要とされる特定の技術を以下の段落に記述する。
【0100】
実施例19及び21は、15μmの末端アミノシリコーンを使用し、以下に加えて、上述した成分を一緒に混合して調製される。15μmの末端アミノシリコーンを得るために、少なくとも一部の塩をアミノシリコーンの添加前に配合液に添加して約4Pa.s(4000cps)の粘度を得なければならない。さらに、ミキサーのインペラの設計及び攪拌の速度を調整してバルク流体であるアミノシリコーンが適切なせん断速度を経て流体から15μm液滴に分散することを確実にすべきである。この標的粒径に合った必要な調整をコロイド調製に携わる業者であれば、過度の実験をすることなく理解できるでろう。15μm粒径を調製するための別の重要な側面は、末端アミノシリコーンの添加後に配合物を約200rpmの速度で少なくとも15分間攪拌することを確認するである。
【0101】
実施例20(2μm粒径のアミノシリコーン、液晶、DMDMAC、ポリマー)では、次のステップが含まれる:(ポリ(DADMAC))ポリマーをアニオン性水性界面活性剤混合物に添加し、このポリマーが混合物中にすばやく分散するようにする。中〜高のせん断力を使用することは、ポリクアテルニウム6ポリマー及びアニオン性界面活性剤から形成される液晶の適切な分散を確実にするために重要である。適量のNaCl又は類似した電解質の存在は、水性界面活性剤混合物中でのポリマーが効果的に分散する助けとなる。したがって、シャンプーの実施例の表に見られる塩化ナトリウムを2つのほぼ等しいアリコート中に添加して最終目的の粘度を得てもよい。
【0102】
小粒径のアミノシリコーンを得るために、最終の塩の調製はこれらの物質の導入後に行われるべきである。低粘度のバルク配合物は粒径の削減に役立つ。少なくとも200rpmの速度で少なくとも15分間アミノシリコーン中で攪拌することが重要である。次に、塩を追加して、最終的な目的の粘度に調整してもよい。
【0103】
実施例22では、主要なシャンプー組成物を実施例19〜23の調整方法で説明したように調整した後に、界面活性剤及びゲル網状組織プレミックスを一緒に混合して組成物に添加し、その後、香料、粘度調整剤、pH調整剤、追加のコンディショニング活性剤及び水を組成物に添加する。これらの成分が添加されると、組成物は均質になるまで攪拌される。
【0104】
実施例23では、15μm未満のアミノシリコーンプレミックスを使用し、このプレミックスは以下のようにして調整される。シリコーン粒子及び保護剤のエマルションを10%〜15%の水と1%〜5%のプランタレン(Planteren)(商標)2000及び1〜5%のエイビル(Abil)(商標)EM97を組み合わせることで混合する。75%〜90%のアミノシリコーンを添加し、インペラミキサーで約30分間450rpmにおいて攪拌する。シャンプーへの組み込みに先立ち、エマルションを70%の水で希釈する。10〜20分間、均質になるまで攪拌する。
【0105】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした寸法はそれぞれ、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0106】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同じ用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0107】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、この発明の精神及び範囲を逸脱せずに様々なその他の変更及び修正が可能であることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.001m2/s(1,000センチストークス)〜1m2/s(1,000,000センチストークス)の粘度を有するアミノシリコーンであって、該アミノシリコーンの0.5重量%未満の窒素を有するアミノシリコーンと、
(b)25℃における測定で、120m2/s(120×106センチストークス)を超える内部相粘度を有するシリコーンコポリマーエマルションと、
(c)任意に、
i)カチオン性界面活性剤;
ii)高融点脂肪族化合物;及び
iii)水性キャリア
を含むゲルマトリクスと
を含むヘアケア組成物。
【請求項2】
前記アミノシリコーンが、次式:
(R1a3-a−Si−(−OSiG2n−(−OSiGb(R12-bm−O−SiG3-a(R1aに対応し、
式中、Gは、水素、フェニル、OH、C1〜C8アルキル、又はメチルであり、好ましくはメチルであり;
aは、0又は1〜3の値を有する整数であって、好ましくは1であり;
bは、0、1、又は2であり;
nは、0〜1,999の数であって、好ましくは400〜600又は1500〜1700であり;
mは、0〜1,999の整数であって、好ましくは0であり;nとmの和は1〜2,000の数であり;及びaとmは両方同時に0でなく;
1は式CqH2qLの一価のラジカルであり、
式中、qは2〜8の整数であって、好ましくは3であり;及び
Lは、
−N(R2)CH2−CH2−N(R22
−N(R22
−N(R2+3-、又は
−N(R2)CH2−CH2−NR2+-を含み、
式中、R2は水素、フェニル、ベンジル、飽和炭化水素ラジカル、又は1〜20個の炭素原子を含むアルキルラジカルであって、好ましくは水素又はメチルであり;及び、A-はハロゲン化物イオンを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アミノシリコーンが、該アミノシリコーンの0.3重量%未満の窒素を有し、好ましくは0.2重量%未満の窒素を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アミノシリコーンが、トリメチルシリルアモジメチコンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アミノシリコーンが、0.1m2/s(100,000センチストークス)〜0.4m2/s(400,000センチストークス)の粘度を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、0.0001m2/s(100センチストークス)未満の粘度を有する低粘度流体をさらに含み、前記低粘度流体が含有されることにより前記アミノシリコーンの粘度を制御する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記アミノシリコーンが、0.006m2/s(6,000センチストークス)〜0.03m2/s(30,000センチストークス)の粘度を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記シリコーンコポリマーエマルションが、25℃における測定で150m2/s(150×106センチストークス)を超える内部相粘度を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記シリコーンコポリマーエマルションが、シリコーンコポリマー、少なくとも1つの界面活性剤、及び水を含み、前記シリコーンコポリマーが、両末端に反応性基を有するポリシロキサンを含むとともに次式:
【化1】

に対応し、式中、R5は、水素原子、エチレン性不飽和部を有する脂肪族基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アセトキシル基、アミノ又はアルキルアミノ基、及びこれらの混合物を含み;並びにR6は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、エーテル類、ヒドロキシル類、アミン類、カルボキシル類、チオール類、エステル類、スルホネート類、及びこれらの混合物を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、リンスオフコンディショナーであるか、リーブオンコンディショナーであるか、又はシャンプー製品ではない、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記アミノシリコーンと前記シリコーンコポリマーエマルションとの組合せが、0.01〜5のtanδ値を有し、好ましくは0.05〜1、及びより好ましくは0.1〜0.5のtanδ値を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記アミノシリコーンと前記シリコーンコポリマーとの組合せが、エマルションを形成する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−534395(P2009−534395A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506647(P2009−506647)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/011841
【国際公開番号】WO2007/136708
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】