説明

アミノブタジエン系UVスクリーン

本発明は、UV放射から保護する化粧品組成物の調製のためのUV吸収化合物の使用に関し、前記化合物は一般式(I)により表され、式(I)による前記UV吸収化合物の、250と600nmの間の全吸収の10%未満が400nmを超えている。本発明はまた、式(I)によるUV吸収化合物を含むサンスクリーン組成物にも関する。
【化1】


(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV吸収化合物、特にサンスクリーン組成物に有用なUV吸収化合物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
UV光に皮膚を曝すことによる有害な作用は多種多様であり、先行する文献に十分に資料が提供されている。UV−B(290から315nmの波長をもつ)は紅斑又は日焼けを引き起こすことがずっと前から知られていた。1980年頃になって初めて、UV−A放射(315から400nmの波長をもつ)が光毒性及び光化学反応を引き起こすことが見出された。
【0003】
約70%のUV−B放射が表皮(outer skin)又は角質層によって遮断されるが、このような遮断はUV−A放射にとってはあてはまらず、そのためUV−A放射は生きている真皮に深く浸透し得る。UV−Aのよく知られた破壊作用は酸化ストレスである。スーパーオキシド(UV−A放射により生成する)は、フェリチン(皮膚の線維芽細胞にある鉄貯蔵タンパク質である)から鉄を放出させることができる(Pourzand et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, June 1999, Vol 96, p.6751-56)。非常に有害なヒドロキシラジカル及び過酸化水素を生成するFenton反応又はHaber Weis反応における鉄の役割はよく知られている。また、銅イオンのような他の金属イオンは酸素ラジカルの生成を触媒すると報告されている。DAN損傷におけるこれらの有害な生成物の役割は、例えば、Sestili et al (Free Radical Biology & Medicine [US], July 15 1998, 25, [2] p.196-200)に記載されているように、よく知られている。
【0004】
スーパーオキシドジスムターゼのような酵素による通常の生化学的保護は、UV−A放射により誘起される反応を効果的に停止させるのに十分ではない。したがって、これらの有害な作用から皮膚を保護する必要性は依然として急務である。他の酸化ストレス現象は、例えば皮膚のエージング及び白斑を加速させるコラーゲンの損傷、或いは脂質の過酸化による細胞壁の損傷である。
【0005】
サンスクリーン用途での有機UV吸収剤の使用は広く知られている。
【0006】
例えば、米国特許第5945091号は、約320から380nmの範囲において吸収し、UV放射に対してヒトの皮膚を保護する化粧品及び医薬組成物にUV−A放射フィルターとして主に使用される特定のエナミン化合物を開示する。
【0007】
米国特許第6238648号は、UV−A放射領域で大きな吸光度を有する4,4−ジアリール−ブタジエンを開示する。米国特許第6238648号の表IIは、好ましい化合物が約330nmから約350nmの範囲に吸収を有することを開示する。
【0008】
EP A 895776は、ヒトの毛髪又は皮膚をUV放射から保護する組成物に使用され得る特定のN−フェノキシエナミン化合物を開示する。これらの化合物は320から340nm辺りを吸収する。
【0009】
米国特許第2617827号は、ビス−1,4−ジアルキルアミノ−1,3−ブタジエンの合成を開示するが、化合物の用途を挙げていない。
【0010】
米国特許第4045229号は、UV吸収化合物としての1−アミノ−4−シアノ−1,3−ブタジエンの写真用途を開示するが、他の用途に関しては言及していない。さらに、このような化合物は、シアニドのような有害な基の存在のために化粧品用途に好まれることは少ない。
【0011】
米国特許第4195999号及び米国特許第4309500号もまた、1−アミノ−1,3−ブタジエン誘導体の写真用途を開示する。
【0012】
米国特許第4950467号は、広波長域UVフィルターとして働く特定の5−フェニルペンタジエン酸エステルを含むサンスクリーン組成物を記載する。これらのエステルは、適切なUV−A吸収剤として働くためには余りに波長が短い。
【0013】
WO 2004/006878は、UV放射からの保護のための化粧品に使用されるメロシアニン誘導体を開示するが、列挙されている多数の構造の利点又は欠点について全く教示されていない。
【0014】
UV吸収化合物の不利な点は、それらがUV光の下で不安定なことである。UV放射への暴露は、UV吸収化合物を破壊することによって、UV放射からの保護を低下させる光化学反応を引き起こし得る。特に、これは、ブタジエン型のUV吸収剤の不都合な点であり、これらの吸収剤は安定性の悪さのために、化粧品用途にとって魅力の少ないものになっている。先行技術による化合物の別の欠点は、それらが強く着色されていることが多いので、化粧品として許容されないことである。
【0015】
したがって、UV光の放射の下で安定であり、化粧品として又は審美的に許容でき、可視光線に対して完全に透明でありながら、放射を遮断することによって日光からの十分な直接的保護を行う、UVフィルターが依然として求められている。
【特許文献1】米国特許第5945091号
【特許文献2】米国特許第6238648号
【特許文献3】EP A 895776
【特許文献4】米国特許第2617827号
【特許文献5】米国特許第4045229号
【特許文献6】米国特許第4195999号
【特許文献7】米国特許第4309500号
【特許文献8】米国特許第4950467号
【特許文献9】WO 2004/006878
【非特許文献1】Pourzand et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, June 1999, Vol 96, p.6751-56
【非特許文献2】Sestili et al, Free Radical Biology & Medicine [US], July 15 1998, 25, [2] p.196-200
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、安定で高効率のUV吸収化合物を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、可視光領域において実質的に透明であるUV吸収化合物を含むサンスクリーン組成物を提供することである。
【0018】
本発明の目的はまた、免疫又はアレルギー副反応の危険ができるだけ少ない、このようなUV吸収化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
驚くべきことに、注意深く選ばれた構造を有する特定のアミノブタジエンが、UV照射条件下に安定であり、UV照射下に有害な物質を放出しない、高効率で無色のUV吸収化合物を与えることが見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
こうして、本発明は、UV放射から保護する化粧品組成物の調製のためのUV吸収化合物に関し、前記化合物は、次の一般式(I)によって表される。
【0021】
【化1】


(I)
[式中、R及びRは同じであっても異なっていてもよく、各々は、水素原子、1から20個の炭素原子を有するアルキル基、又は6から20個の炭素原子を有するアリール基を表し(但し、R及びRは同時に水素原子を表さない)、任意選択で、R及びRが互いに結合しているか、又はR及びRの一方がC(1)と結合していて、環状アミノ基(任意選択で、−O−又は−NH−が挿入されていてもよい)を形成していてもよく;R及びRの各々は1つ又は複数のカルボン酸部分によって置換されていてもよく;
は、カルボキシル基、−COOR、−CONHR、−CN又は−SOを表し、R又はRがC(1)と環状アミノ基を形成している場合は、Rはまた−COR基であってもよく;
は、カルボキシル基、−COOR、−CONHR、−CN又は−SOを表し、R及びRがC(1)と環状アミノ基を形成している場合は、Rはまた−COR基であってもよく;
及びRは同じであっても異なっていてもよく、各々は、1から20個の炭素原子を有するアルキル基、又は6から20個の炭素原子を有するアリール基を表し;任意選択で、R及びRは結合していて、環構造(任意選択で、置換されており、任意選択で、N、O及び/又はカルボニル基を含んでいる)を形成していてもよく;
式(I)による前記UV吸収化合物の、250と600nmの間の全吸収の10%未満が400nmを超えている。]
【0022】
さらに、本発明はまた、UV放射、特にUV−A放射から保護する化粧品組成物の調製のための、本発明のUV吸収化合物の使用にも関する。
【0023】
本発明では、一般式(I)のアルキル基は、分岐状、線状又は環状であってよい。適切な例は、メチル、エチル、n−及びi−プロピル、n−、s−及びt−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、ドデシルなどである。
【0024】
本発明では、アリール基は、フェニル、アルカリール又はアリールアルキル基であり得る。当然のこととして、アルカリール基及びアリールアルキル基はC−C20の炭素原子を有する。アルカリール基の適切な例は、4−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニルなどである。アリールアルキル基の適切な例は、フェニルメチル、4−メチルフェニルメチル、3−フェニル−2−プロピルなどである。アリール基にはまた、複素環式アリール基、例えば、ピリジル、4−メチル−ピリジニルなども包含される。
【0025】
本発明では、環状アミノ基は、3から8個の炭素原子及び1から3個の窒素原子を、好ましくは3から6個の炭素原子及び1個の窒素原子を含み、環状アミノ基の炭素原子は酸素原子によって置換されていてもよい。環状アミノ基は飽和であっても不飽和であってもよいが、環状アミノ基は飽和であることが好ましい。環状アミノ基の適切な例は、ピペリジニル、2−ピペリジル、モルホリニル、イミダゾリジニルなどである。
【0026】
式(I)によるUV吸収化合物は、簡潔さのために、RN基及びR基がZ,Z−配置にあるような仕方で描かれている。しかし、本発明はまた他の可能な異性体(すなわちZ,E及びE,Z)も包含する。
【0027】
本発明は、日光に曝すことによる有害な作用からヒトの皮膚又は毛髪を保護するための組成物に使用され得る強力なUV放射吸収化合物に関する。
【0028】
着色UV保護剤の使用を普及させようとするいくつかの試みがなされたが、美容上の理由から、無色のUV保護剤が好まれる。本発明によるUV吸収化合物は、UV−A放射からの最適な保護を与えるように、好ましくは340と380nmの間、より好ましくは370と375nmの間に吸収極大を有する。より低波長での吸収極大は、UV−A領域(約320から約400nm)における吸収を余りに小さくし、一方、より長波長での吸収極大は、UV吸収化合物に黄色からオレンジ色の望ましくない着色を生じる。こうして、本発明のUV吸収化合物では、400nmを超えた部分に、250と600nmの間の全吸収の10%未満がある。
【0029】
修飾され置換されていてもよいが実質的に同じ基本構造を有し、強い吸収を保有するという特性を依然として有する4−アミノ−1,3−ブタジエン誘導体のどのような等価物も、式(I)によるUV吸収化合物には包含されると考えられている。このような等価物は当業者によって容易に想像され得る。4−アミノ−1,3−アミノブタジエン(I)の等価物の例は、例えば、米国特許第4045229号、米国特許第4195999号及び米国特許第4309500号(全て、参照を通じて本明細書に組み込まれる)に見出される。
【0030】
一般式(I)の基R及びRは、構造全体の吸収極大が340から380nmの好ましい範囲内にあるような仕方で選択される。R及びRの選択は、R及びRの選択に依存する。
【0031】
この選択の基準は、3つの場合に対して定めることができる(RからRは一般式(I)に対して定義された通りである)。
【0032】
ケース1:R及びRが互いに環構造を形成していないか、或いはC(1)と一緒に環状アミノ基を形成していない場合、Rはカルボキシル基、−COOR、−CONHR、−CN又は−SOであり;Rはカルボキシル基、−COOR、−CONHR、−CN又は−SOである。好ましくは、この場合、Rはカルボキシル基、−COOR、−CONHR又は−SOであり;この場合、Rはカルボキシル基、−COOR、−CONHR又は−SOである。言うまでもなく、カルボキシル基は−COOH基であると理解されている。より好ましくは、R及びRの少なくとも一方が−SO基であり、Rは1〜20個の炭素原子、好ましくは1から8個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは6から20個の炭素原子を有するアリール基である。
【0033】
好ましくは、R及びRは環構造を形成していない。なぜなら、環構造は吸収極大の深色移動を生じ得るからである。R又はRは−COR基ではない。なぜなら、−COR基もまた望ましくない深色移動を誘発するからである。シアニド基を使用すると望ましい吸収極大を生じ得るが、熱及び/又はUVへの暴露下に有害なシアニドを放出するために、これらは好ましさが劣る。
【0034】
表1(1.1iから1.5i)は、限定ではないが、本発明のこの好ましい実施形態による構造の例を示しており、他方、構造1.6rから1.13rは吸収極大波長の長い望ましくない例である。
【0035】
【表1】


【0036】
ケース2:R及びRが、これらが結合している窒素と一緒になって飽和複素環基を形成し、前記複素環基が3から8個の炭素原子、好ましくは3から6個の炭素原子を有し、1又は2個の炭素原子は酸素原子、NH基又はNR基(RはC−C10アルキル基を表す)により置換されていてもよく、
はカルボキシル基、−COOR、−CONHR、−CN又は−SOであり;
はカルボキシル基、−COOR、−CONHR、−CN又は−SOである。
【0037】
好ましくは、Rはカルボキシル基、−COOR又は−CONHR、又は−SOであり、Rはカルボキシル基、−COOR又は−CONHR、又は−SOである。
【0038】
より好ましくは、R及びRの少なくとも一方は−SO基であり、Rは1〜20個の炭素原子、好ましくは1から8個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは6から20個の炭素原子を有するアリール基であることが好ましい。
【0039】
より好ましくは、飽和複素環基は6又は5員の環である。任意選択で、この環では、上に開示されているように、1個の炭素原子が酸素原子又は(置換された)窒素原子により置換されていてもよい。さらなるヘテロ原子としての硫黄原子は、吸収極大の深色移動のために好ましくない。
【0040】
シアニド基を使用すると望ましい吸収極大を生じ得るが、熱及び/又はUVへの暴露下に有害なシアニドを放出するために、これらは好ましさが劣る。
【0041】
表2に示されている構造2.1iは、本発明のこの好ましい実施形態による構造の例であり、他方、構造2.2rから2.3rは吸収極大波長が長く望ましくない例である。
【0042】
ケース3:R及びRの一方が、炭素原子C(1)、並びにR及びRが結合している窒素原子と一緒になって飽和複素環構造を形成し、前記複素環基が3から8個の炭素原子、好ましくは3から6個の炭素原子を有し、1又は2個の炭素原子は、酸素原子、NH基又はNR基(Rは、C−C10アルキル基を表す)に置換されていてもよく、
はカルボキシル基、−COOR又は−CONHR、−CN又は−SOであり;
はカルボキシル基、−COOR又は−CONHR、−CN又は−SOである。
【0043】
好ましくは、Rはカルボキシル基、−COOR、−CONHR又は−SOであり、Rはカルボキシル基、−COOR、−CONHR又は−SOである。
【0044】
より好ましくは、R及びRの少なくとも一方は−SO基であり、Rは1〜20個の炭素原子、好ましくは1から8個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは6から20個の炭素原子を有するアリール基であることが好ましい。
【0045】
好ましくは、飽和複素環は6又は5員の環である。この環は、上に開示されているように、さらなる酸素又は(置換された)窒素原子を含んでいてもよい。最も好ましい複素環は、テトラヒドロ−3,4,4−トリメチルオキサゾール−2−イル(例えば、表3の化合物3.1iを参照)である。さらなるヘテロ原子としての硫黄原子は、吸収極大の深色移動のために好ましくない。環構造は第2のヘテロ原子を含んでいない場合、ケース1の選択基準が適用される。例えば、酸素が炭素C(1)の隣に存在する場合、より好ましくは、複素環がテトラヒドロ−3,4,4−トリメチルオキサゾール−2−イルである場合、R及びRの少なくとも一方は、−COR又は−CORである。この場合、好ましくは、残りのR又はRは−SO基であり、このRは6から20個の炭素原子を有するアリール基である。
【0046】
表3に示されている構造(3.1iから3.6i)は本発明による構造の例であり、他方、3.7r〜3.8rは吸収極大波長が長く望ましくない例である。
【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
表1から3における構造の吸収極大はメタノール中で、或いは、メタノールに溶けなければエタノール中で測定されている。
【0050】
式(I)の化合物の中で、次の一般式(II)により表されるものがより好ましい。
【0051】
【化2】


(II)
式中、R、R、R及びRは、一般式(I)におけるものと同じ意味を有する。
【0052】
式(I)による、より一層好ましい化合物は、
及びRが、水素原子、1から20個の炭素原子を有するアルキル基及び6から20個の炭素原子を有するアルキルアリール基からなる群から独立に選択され(但し、R及びRは同時に水素原子を表さない);
及びRが、カルボキシル基、−COOR、−CONHR、及び−SOからなる群から独立に選択され(但し、R又はRは−SOである);
及びRが、1から20個の炭素原子を有するアルキル基、及び6から20個の炭素原子を有するアリール基からなる群から独立に選択され;
、R及びRの炭素原子の総数が8個を超えない;
化合物である。
【0053】
より一層好ましい化合物では、Rは1から20個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは6から20個の炭素元素を有するアリール基である。
【0054】
一実施形態において、本発明によるUV吸収化合物は次の構造(UV0)を有する。
【0055】
【化3】


(UV0)
式中、Rは一般式(I)におけるものと同じ意味を有する。より好ましくは、Rはアルキル基であり、より一層好ましくは直鎖アルキル基である。特定の実施形態において、Rはエチルを表す。
【0056】
以後、Rがエチルである化合物UV0はUV1と呼ばれる。
【0057】
−SO基にはUV吸収化合物を安定化する効果のあることが見出された。
【0058】
好ましい実施形態において、本発明のUV吸収化合物は、400nmを超えた部分でその全吸収の10%未満を吸収する。これは、UV吸収化合物が可視光に対して実質的に透明である、すなわち、それが本質的に無色であることを意味する。好ましい実施形態において、本発明のUV吸収化合物は、その全吸収の75%以上が、315と400nmの間のUV−A領域にある。このように、本発明は、前記UV吸収化合物の250と600nmの間の全吸収の10%未満が、400nmを超えている、上で定義されたUV吸収化合物に関する。また、本発明は、前記UV吸収化合物の250と600nmの間の全吸収の少なくとも75%が315と400nmの間にある、上で定義されたUV吸収化合物に関する。
【0059】
本発明のUV吸収化合物は、皮膚又は毛髪をUV放射から保護するための化粧品又はサンスクリーン組成物の調製に、利点をもって使用され得る。このようなサンスクリーン組成物は、サンスクリーン組成物の全重量に対して、0.1から15.0wt%、好ましくは0.1から10.0wt%、より好ましくは0.1から5.0wt%の式(I)によるUV吸収化合物を含む。
【0060】
UV吸収化合物を含む、皮膚の保護のための様々な形態の化粧品組成物は、ローション、エマルジョン、クリーム、ミルク、ゲルなどとして市場で入手可能である。これらはオイル及び/又はアルコールを含み得る。また、エアロゾル又はスティックが使用されることが知られている。化粧品組成物のこのような形態の全ては、UV吸収化合物を付けるための媒体として機能し得る。
【0061】
当業者は、本発明のサンスクリーン組成物において、特に、式(I)によるUV吸収化合物と組み合わせて使用され得る、化粧品として、また皮膚科学的に許容される適切な担体を選択できるであろう。
【0062】
本発明の式(I)によるUV吸収化合物を含むサンスクリーンは、1種又は複数のさらなる従来のUV吸収化合物を含んでいてもよい。これは、例えば、EP A 1055412(参照を通じて本明細書に組み込まれる)に記載されている、UV−A、UV−B又は広波長域UV吸収化合物であり得る。当技術分野において応用される他の添加剤もまた使用され得る。
【0063】
本発明の化粧品組成物は、UV吸収化合物以外に、このタイプの化粧品組成物に通常存在する様々なアジュバント(例えば、水和剤、エモリエント又は増粘剤、界面活性剤、保存剤、芳香剤、染料など)を含み得る。
【0064】
一態様において、本発明は、15wt%未満、好ましくは10wt%未満、より好ましくは5wt%未満の、本発明の式(I)によるUV吸収化合物を含むサンスクリーン組成物に関する。
【実施例1】
【0065】
一般式(II)のアミノブタジエンの安定性
アミノブタジエン化合物を、許容されるサンスクリーン配合に応用し、24μmのウェット厚で透明な支持体にコートした。アミノブタジエン化合物の濃度を、乾燥後(40℃で2時間)、それらの吸収極大(λmax)で1.0吸収単位(absorption unit、A.U.)の吸収に達するように選んだ。試料を、Xe光(0.25W/m、Atlas社製)に6時間、暴露した後、Hewlett Packard社製のダイオードアレイ分光光度計を用いて、再び吸収を測定した。各試料について6時間後に残っている吸収量を、透明支持体上のコントロール(Xe光に曝さなかった)サンスクリーン配合と比較した。結果は下の表4に示されており、アミノブタジエンUV吸収剤の光安定性へのSO基の存在の有益な効果を明白に示している。試験した構造の中で、構造1.12rを除いて、全ての配合で、透明基板に付けた後、外観は無色であった。
【0066】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV放射から保護する化粧品組成物の調製のための、一般式(I)によって表されるUV吸収化合物の使用:
【化1】


(I)
[式中、R及びRは同じであっても異なっていてもよく、各々は、水素原子、1から20個の炭素原子を有するアルキル基、又は6から20個の炭素原子を有するアリール基を表し(但し、R及びRは同時に水素原子を表さない)、任意選択で、R及びRが互いに結合しているか、又はR及びRの一方がC(1)と結合していて、環状アミノ基(任意選択で、−O−又は−NH−が挿入されていてもよい)を形成していてもよく;R及びRの各々は1つ又は複数のカルボン酸部分によって置換されていてもよく;
は、カルボキシル基、−COOR、−CONHR、−CN又は−SOを表し、R又はRがC(1)と環状アミノ基を形成している場合は、Rはまた−COR基であってもよく;
は、カルボキシル基、−COOR、−CONHR、−CN又は−SOを表し、R又はRがC(1)と環状アミノ基を形成している場合は、Rはまた−COR基であってもよく;
及びRは同じであっても異なっていてもよく、各々は、1から20個の炭素原子を有するアルキル基、又は6から20個の原子を有するアリール基を表し;任意選択で、R及びRは結合していて、環構造(任意選択で、置換されており、任意選択で、N、O及び/又はカルボニル基を含む)を形成していてもよく;
式(I)による前記UV吸収化合物の、250と600nmの間の全吸収の10%未満は400nmを超えている]。
【請求項2】
UV吸収化合物が次の一般式(II)により表される、請求項1に記載の使用:
【化2】

(II)
[式中、R、R、R及びRは請求項1において定義された通りである]。
【請求項3】
及びRが同じであっても異なっていてもよく、各々が、水素原子、1から20個の炭素原子を有するアルキル基、又は6から20個の炭素原子を有するアリール基であり(但し、R及びRは同時に水素原子を表さない);
がカルボキシル基、−COOR、−CONHR、−CN又は−SOであり;
がカルボキシル基、−COOR、−CONHR、−CN又は−SOである
請求項1又は請求項2に記載の使用。
【請求項4】
がカルボキシル基、−COOR、−CONHR又は−SOであり;Rがカルボキシル基、−COOR、−CONHR又は−SOである、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
及びRの少なくとも一方が−SO基である、請求項3又は請求項4に記載の使用。
【請求項6】
が6から20個の炭素原子を有するアリール基である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
が1から20個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項5又は請求項6に記載の使用。
【請求項8】
が1から8個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
及びRが、それらが結合している窒素と一緒になって飽和複素環基を形成し、前記複素環基が3から8個の炭素原子、好ましくは3から6個の炭素原子を有し、1又は2個の炭素原子が、酸素原子、NH基又はNR基(RはC−C10アルキル基を表す)により置換されていてもよく;Rがカルボキシル基、−COOR又は−CONHR、−CN又は−SOであり;Rがカルボキシル基、−COOR又は−CONHR、−CN又は−SOである、請求項1又は請求項2に記載の使用。
【請求項10】
がカルボキシル基、−COOR、−CONHR又は−SOであり;Rがカルボキシル基、−COOR、−CONHR又は−SOである、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
及びRの少なくとも一方が−SO基である、請求項9又は請求項10に記載の使用。
【請求項12】
及びRの一方が、炭素原子C(1)並びにR及びRが結合している窒素原子と一緒になって飽和複素環構造を形成し、前記複素環基が3から8個の炭素原子、好ましくは3から6個の炭素原子を有し、1又は2個の炭素原子が、酸素原子、NH基又はNR基(RはC−C10アルキル基を表す)により置換されていてもよく;Rがカルボキシル基、−COOR又は−CONHR、−CN又は−SOであり;Rがカルボキシル基、−COOR又は−CONHR、−CN又は−SOである、請求項1又は請求項2に記載の使用。
【請求項13】
がカルボキシル基、−COOR、−CONHR又は−SOであり;Rがカルボキシル基、−COOR、−CONHR又は−SOである、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
及びRの少なくとも一方が−SO基である、請求項12又は請求項13に記載の使用。
【請求項15】
及びRが、水素原子、1から20個の炭素原子を有するアルキル基、及び6から20個の炭素原子を有するアルキルアリール基からなる群から独立に選択され(但し、R及びRは同時に水素原子を表さない);R及びRが、カルボキシル基、−COOR、−CONHR及び−SOからなる群から独立に選択され(但し、R又はRは−SOである);R及びRが、1から20個の炭素原子を有するアルキル基、及び6から20個の炭素原子を有するアリール基からなる群から独立に選択され;R、R及びRの炭素原子の総数は8個を超えない、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
が1から20個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rが6から20個の炭素原子を有するアリール基である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
UV吸収化合物の250と600nmの間の吸収全体の少なくとも75%が、315と400nmの間にある、請求項1から16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載のUV吸収化合物の0.1から15wt%を含むサンスクリーン組成物。

【公表番号】特表2008−509906(P2008−509906A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525562(P2007−525562)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000579
【国際公開番号】WO2006/016806
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(505232782)フジフィルム マニュファクチャリング ユーロプ ビー.ブイ. (50)
【Fターム(参考)】