説明

アミノ系樹脂接着剤組成物

【課題】 合板等の木材の接着において要求される耐溶剤性、初期接着性、耐老化性、粘度安定性および水洗性に優れたアミノ系樹脂接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】 アミノ系樹脂および1,2−グリコール結合を1.9モル%以上含有するビニルアルコール系重合体からなるアミノ系樹脂接着剤組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアミノ系樹脂接着剤組成物に関し、さらに詳しくは、本発明は合板等の木材の接着において要求される耐溶剤性、初期接着性、耐老化性、粘度安定性および水洗性に優れたアミノ系樹脂接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、尿素樹脂、メラミン樹脂あるいはアニリンアルデヒド樹脂等で代表されるアミノ系樹脂初期縮合物は、安価でかつ比較的接着時の耐水性が高いことから、主として合板、家具等の木材製品に対する優れた接着剤として知られている。アミノ系樹脂に対しては接着後の接着性能もさることながら作業性に対する要求が高くなってきており、また、溶剤系塗料を塗布した際の耐溶剤性が要求されるようになってきている。また一般にアミノ系樹脂は初期縮合物の状態で水溶液として使用されるために総じて粘度が低く、仮接着性に欠けるという作業性能上の問題点を有している。
【0003】
アミノ系樹脂に初期接着力を付与する目的で、尿素とホルムアルデヒドとの縮合反応に際し、反応系にポリビニルアルコール(以下、単に「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記することがある)などの水溶性高分子を添加して尿素樹脂を変性する方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、この方法によってアミノ樹脂の仮接着性、耐老化性および水洗性は向上するが、樹脂液の安定性低下に伴って可使時間が短縮し、さらには長時間保存後に増粘したり接着力が低下するという欠点があり、依然として改良の余地がある。
アミノ系樹脂と組合せるポリビニルアルコールとして、α−オレフィン単位を1〜10モル%含有する変性ポリビニルアルコールを用いることが提案されており(特許文献2)、このようなアミノ系樹脂接着剤は粘度安定性、水洗性等に優れているが、耐溶剤性の点で劣っていることが確認されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭58−15022号公報
【特許文献2】特開平8−120244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来知られていたアミノ系樹脂接着剤の欠点を解消し、耐溶剤性、初期接着性、耐老化性、粘度安定性および水洗性に優れたアミノ系樹脂接着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記した目的を達成すべく種々検討を重ねた結果、1,2−グリコール結合を1.9モル%以上含有するビニルアルコール系重合体をアミノ系樹脂と組合せることにより、耐水性、初期接着性、耐老化性、粘度安定性および水洗性に優れた接着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、アミノ系樹脂および1,2−グリコール結合を1.9モル%以上含有するビニルアルコール系重合体からなるアミノ系樹脂接着剤組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のアミノ系樹脂接着剤組成物は、耐溶剤性、初期接着性、耐老化性、粘度安定性および水洗性に優れていることから、合板、家具等の木材製品をはじめとする木工用接着剤として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、1,2−グリコール結合を1.9モル%以上含有するビニルアルコール系重合体の製造方法としては特に制限はなく、公知の方法が使用可能である。その一例として、ビニレンカーボネートを上記の1,2−グリコール結合量になるようにビニルエステルと共重合する方法、ビニルエステルの重合温度を通常の条件より高い温度、例えば75〜200℃にして加圧下に重合する方法などが挙げられる。後者の方法において、重合温度は95〜190℃であることが好ましく、100〜180℃であることが特に好ましい。また加圧条件としては、重合系が沸点以下になるように選択することが重要であり、好適には0.2MPa以上、さらに好適には0.3MPa以上である。また加圧の上限は5MPa以下が好適であり、さらに3MPa以下がより好適である。
【0009】
ビニルエステルの重合はラジカル重合開始剤の存在下、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などのいずれの方法で行うこともできるが、溶液重合、特にメタノールを溶媒とする溶液重合法が好適である。ビニルエステルの重合により得られたビニルエステル重合体は公知の方法にしたがってけん化され、ビニルアルコール系重合体とされる。
ビニルアルコール系重合体の1,2−グリコール結合の含有量は1.9モル%以上であることが必要であり、より好ましくは1.95モル%以上、さらに好ましくは2.0モル%以上、最適には2.1モル%以上である。1,2−グリコール結合の含有量が1.9モル%未満の場合、ビニルアルコール系重合体の耐水性が低下し、粘度の温度依存性も大きくなり、さらには重合安定性も低下する懸念が生じる。また、1,2−グリコール結合の含有量は4モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3.5モル%以下、最適には3.2モル%以下である。なお、1,2−グリコール結合の含有量はNMRスペクトルを解析することにより求めることができる。
【0010】
本発明において、ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられ、この中でも酢酸ビニルを好んで用いることができる。
【0011】
また本発明においては、ビニルアルコール系重合体がさらにα-オレフィン単位を1〜20モル%含有し、α-オレフィン単位の含有量がXモル%であるとしたときに、1,2−グリコール結合を(1.9−X/40)モル%以上含有するビニルアルコール系重合体を用いることも好ましい態様のひとつである。
このようなビニルアルコール系重合体の製造方法としては特に制限はなく、公知の方法が使用可能である。その一例として、ビニレンカーボネートを上記の1,2−グリコール結合量になるようにエチレンおよびビニルエステル系単量体と共重合する方法、エチレンとビニルエステル系単量体を共重合する際に、重合温度を通常の条件より高い温度、例えば75〜200℃にして加圧下に重合する方法などが挙げられる。後者の方法において、重合温度は90〜190℃であることが好ましく、100〜180℃であることが特に好ましい。
【0012】
ビニルアルコール系重合体のα-オレフィン単位の含有量がXモル%であるとしたときの1,2−グリコール結合の好ましい含有量は、(1.95−X/40)モル%以上である。1,2−グリコール結合の含有量は4モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3.5モル%以下、最適には3.2モル%以下である。
また、α−オレフィン単位の含有量はより好ましくは1.5モル%以上、さらに好ましくは2モル%以上であり、またα−オレフィン単位の含有量の上限は19モル%以下が好適であり、さらに15モル%以下がより好適である。α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどの炭素数4以下のα−オレフィンが好適な例として挙げられるが、特にエチレンが好適である。
【0013】
ビニルアルコール系重合体は上記した酢酸ビニルなどのビニルエステルの重合体をけん化したものが好適であるが、本発明の効果を損なわない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体が共重合されていてもよい。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類が挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を重合し、それをけん化することによって得られる末端にメルカプト基またはカルボキシル基を有する変性物を用いることもできる。
【0014】
本発明において用いられる1,2−グリコール結合を1.9モル%以上含有するビニルアルコール系重合体のけん化度について特に制限はないが、通常60モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上である。けん化度が60モル%未満の場合には、ビニルアルコール系重合体が本来有する性質である水溶性が低下するという懸念が生じる。また本発明において目的としているアミノ系樹脂接着剤組成物を得るためには、1,2−グリコール結合を1.9モル%以上含有するビニルアルコール系重合体の重合度(粘度平均重合度)は100〜8000であることが好ましく、300〜3000がより好ましい。
【0015】
本発明において用いられるアミノ樹脂は、アミノ化合物とアルデヒド類の縮合反応により得ることができる。縮合反応に供されるアミノ化合物としては、例えばメラミン、尿素、チオ尿素、ジシアンジアミド、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒドが水溶液またはアルコール溶液の形で用いられ、そのほか縮合反応条件下においてホルムアルデヒドを発生しうる化合物、例えばパラホルムアルデヒドなどが同様にして用いられる。
【0016】
本発明のアミノ系樹脂接着剤組成物において、1,2−グリコール結合を1.9モル%以上含有するビニルアルコール系重合体は、アミノ化合物とアルデヒド類との縮合反応の開始前、縮合反応中または縮合反応後の系に、アミノ系樹脂に対して0.1〜15重量%の量で添加される。添加量が0.1重量%より少ない場合は、本発明で意図している効果が十分発現せず、反対に15重量%を越える場合には、経済的に不利になるばかりではなく、アミノ系樹脂液の粘度安定性が悪くなり、作業性が低下する上に、接着の耐水性も低下するので好ましくない。
【0017】
本発明のアミノ系樹脂接着剤組成物は、接着剤の分野において通常用いられる公知のクレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛などの顔料;木粉、小麦粉、コーンスターチなどの増量剤;充填剤;カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸およびその塩等の増粘剤を含有していてもよい。
【0018】
本発明のアミノ系樹脂接着剤組成物が適用される対象について特に制限はないが、特に木材の接着に好適である。なお、ここでいう木材とは、合板用のほか建具、家具、運動具、その他の木工製品を広く意味する。
【0019】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は特に断らない限り重量基準を意味する。
【0020】
実施例および比較例により得られた接着剤用樹脂液の不揮発分および粘度の測定は以下のようにして行った。
(1)接着剤用樹脂液の粘度
BH型粘度計(20rpm)を用い、20℃の温度条件下で接着剤用樹脂液の粘度(mPa・s)を測定した。
接着剤用樹脂液の貯蔵安定性は以下のようにして評価した。
(2)接着剤用樹脂液の貯蔵安定性
接着剤用樹脂液を25℃の温度条件下で放置し、その粘度が製造直後の2倍になるのに要した日数を求め、これを貯蔵安定性として評価した。
接着剤用樹脂液を用いて、以下のようにして接着剤糊液を製造し、その性能を評価した。
(3)接着剤糊液の製造
接着剤用樹脂液100部に対して小麦粉20部を混合し、更に可使時間が3時間となる量の5%塩化アンモニウム水溶液を添加して、接着剤糊液を製造した。
【0021】
(4)接着剤糊液の皮膜性能
接着剤糊液を20℃、65%の相対湿度下で、PETフィルム上に流延し、7日間乾燥させて厚さ500μmの皮膜を得た。この皮膜を直径2.5cmに打ち抜き、それを試料として用いて20℃の温度条件下でアセトン中に24時間浸漬したときの、吸液率および溶出率を求めることにより、皮膜の耐溶剤性を評価した。
溶出率(%)={1−(浸漬後の皮膜絶乾重量)/(浸漬前の皮膜絶乾重量)}
×100
吸液率(%)={(浸漬後の皮膜吸液重量)/(浸漬前の皮膜絶乾重量)}
×100
・浸漬前の皮膜絶乾重量;浸漬前の皮膜重量(含水)−{浸漬前の皮膜重量
(含水)×皮膜含水率(%)/100}
・皮膜含水率;20℃のアセトンに浸漬するのとは別に準備した試料から得られる皮膜を105℃で絶乾状態になるまで乾燥したときに求められる皮膜の含水率。
・浸漬後の皮膜絶乾重量;浸漬後の皮膜を105℃で絶乾状態になるまで乾燥したときの重量。
・浸漬後の皮膜吸液重量;浸漬後の皮膜をアセトンから引き上げた後、皮膜についたアセトンをガーゼで拭き取った後の重量。
上記のようにして製造した接着剤糊液を用い、以下のようにしてその接着性能を評価した。
【0022】
(5)接着剤糊液の接着性能
1)初期接着性
含水率8.33%の南洋材からなる2枚の単板(厚さ0.45mm、巾25mm、長さ80mm)を用い、相対湿度65%/20℃の雰囲気下、一方の単板の片面に接着剤糊液を10g/30cmの量で塗布した後、他方の単板を貼り合わせて10kg/cm の圧力で20分間冷圧し、合板を作製した。直後に合板の引っ張りせん断強度を求め、これを初期接着性として評価した。
2)平衡接着力
含水率8.33%の南洋材からなる3枚の単板(巾25mm、長さ80mm)をそれぞれ表板(厚さ0.45mm)、中板(厚さ1.75mm)、裏板(厚さ0.45mm)として用い、中板の両面に接着剤糊液を20g/30cmの量で塗布した後、表板と裏板を貼り合わせて10kg/cm の圧力で20分間冷圧し、次いで110℃の温度条件下10kg/cm の圧力で3分間熱圧し、合板を作製した。その後、合板を相対温度65%/20℃の雰囲気下に24時間放置し、日本農林規格による温冷水浸漬試験を実施して平衡接着力を求めた。
3)耐老化性
上記2)で作製した合板を、相対温度33%/25℃および相対温度87%/25℃の雰囲気にそれぞれ2週間放置することを1サイクルとし、20サイクル後に日本農林規格による温冷水浸漬試験により接着力を求め、これを耐老化性として評価した。
4)水洗性
接着剤糊液が付着した容器に水を注いだのち撹拌し、水に対する接着剤糊液の乳化分散性の程度を肉眼で観察することにより水洗性の良否を判断した。
【0023】
実施例1
ホルマリン(35.52%)268gと水45g中にPVA−1(1,2−グリコール結合2.3モル%含有、重合度1700、けん化度98.5モル%)3gを入れ、これに更にウロトロビン1g、尿素100gを混合して室温で水酸化ナトリウム水溶液(10%)で系をpH7.5に調整した後加熱し、90℃まで昇温して縮合反応を開始した。縮合反応系から反応液の一部を抜き取って40℃の水に添加し、その白濁状態を観察することにより、縮合反応の進行の度合いを推定した。90℃に昇温して50分後に水中白濁法により白濁点が観測されたので、縮合反応系(この時点でpH4)に水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH7.5に調整した後、室温まで冷却して接着剤用樹脂液を得た。
接着剤用樹脂液の粘度および貯蔵安定性の測定結果、ならびに該接着剤用樹脂液から得られる接着剤糊液の皮膜性能および接着性能の測定結果を第1表に示す。
【0024】
比較例1
PVA−1の代わりに、PVA−2(1,2−グリコール結合量1.6モル%、重合度1700、けん化度98.5モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして接着剤用樹脂液を得た。接着剤用樹脂液の粘度および貯蔵安定性の測定結果、ならびに該接着剤用樹脂液から得られる接着剤糊液の皮膜性能および接着性能の測定結果を第1表に示す。
【0025】
比較例2
PVA−1の代わりに、PVA−3(1,2−グリコール結合量1.6モル%、重合度1700、けん化度88モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして接着剤用樹脂液を得た。接着剤用樹脂液の粘度および貯蔵安定性の測定結果、ならびに該接着剤用樹脂液から得られる接着剤糊液の皮膜性能および接着性能の測定結果を第1表に示す。
【0026】
実施例2
PVA−1の代わりに、PVA−4(エチレン単位含有量3モル%、1,2−グリコール結合量1.9モル%、重合度1700、けん化度98.5モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして接着剤用樹脂液を得た。接着剤用樹脂液の粘度および貯蔵安定性の測定結果、ならびに該接着剤用樹脂液から得られる接着剤糊液の皮膜性能および接着性能の測定結果を第1表に示す。
【0027】
比較例3
PVA−1の代わりに、PVA−5(1,2−グリコール結合量1.8モル%、重合度1700、けん化度98.5モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして接着剤用樹脂液を得た。接着剤用樹脂液の粘度および貯蔵安定性の測定結果、ならびに該接着剤用樹脂液から得られる接着剤糊液の皮膜性能および接着性能の測定結果を第1表に示す。
【0028】
実施例3
PVA−1の代わりに、PVA−6(1,2−グリコール結合量2.6モル%、重合度500、けん化度98モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして接着剤用樹脂液を得た。接着剤用樹脂液の粘度および貯蔵安定性の測定結果、ならびに該接着剤用樹脂液から得られる接着剤糊液の皮膜性能および接着性能の測定結果を第1表に示す。
【0029】
比較例4
PVA−1の代わりに、PVA−7(1,2−グリコール結合量1.6モル%、重合度500、けん化度98モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして接着剤用樹脂液を得た。接着剤用樹脂液の粘度および貯蔵安定性の測定結果、ならびに該接着剤用樹脂液から得られる接着剤糊液の皮膜性能および接着性能の測定結果を第1表に示す。
【0030】
実施例4
PVA−1の代わりに、PVA−8(1,2−グリコール結合量2.6モル%、重合度500、けん化度88モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして接着剤用樹脂液を得た。接着剤用樹脂液の粘度および貯蔵安定性の測定結果、ならびに該接着剤用樹脂液から得られる接着剤糊液の皮膜性能および接着性能の測定結果を第1表に示す。
【0031】
比較例5
PVA−1の代わりに、PVA−9(1,2−グリコール結合量1.6モル%、重合度500、けん化度88モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして接着剤用樹脂液を得た。接着剤用樹脂液の粘度および貯蔵安定性の測定結果、ならびに該接着剤用樹脂液から得られる接着剤糊液の皮膜性能および接着性能の測定結果を第1表に示す。
【0032】
比較例6
PVA−1の代わりに、PVA−10(1,2−グリコール結合量1.6モル%、エチレン単位含有量5モル%、重合度1700、けん化度98モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして接着剤用樹脂液を得た。接着剤用樹脂液の粘度および貯蔵安定性の測定結果、ならびに該接着剤用樹脂液から得られる接着剤糊液の皮膜性能および接着性能の測定結果を第1表に示す。
【0033】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のアミノ系樹脂接着剤組成物は、耐溶剤性、初期接着性、耐老化性、粘度安定性および水洗性に優れており、その特性を生かし、特に木工用接着剤として、合板、家具等をはじめとする広範な木材製品の接着に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ系樹脂および1,2−グリコール結合を1.9モル%以上含有するビニルアルコール系重合体からなるアミノ系樹脂接着剤組成物。
【請求項2】
ビニルアルコール系重合体がさらにα-オレフィン単位を1〜20モル%含有し、α-オレフィン単位の含有量がXモル%であるとしたときに1,2−グリコール結合を(1.9−X/40)モル%以上含有するビニルアルコール系重合体である請求項1記載のアミノ系樹脂接着剤組成物。


【公開番号】特開2006−28365(P2006−28365A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210075(P2004−210075)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】