説明

アミラーゼ活性測定キット

【課題】本発明の課題は、唾液検体などの生物学的試料中に存在するアミラーゼ活性をより簡便に測定する手段を提供することであり、特に、高濃度にアミラーゼを含有する試料を測定する測定キット及びキットを用いた測定方法を提供しようとするものである。
【解決手段】アミラーゼ活性測定用キットに関し、検体採取部が担持された担体と該担体を装填可能なホルダを基本構成とする。検体採取部及び試薬保持部が同一又は別々の担体上に担持されており、唾液などの検体を検体採取部で採取し、ホルダにおいて検体採取部と試薬保持部を接触させ、試薬及び/又は検体を移動(転写)させ、検体中のアミラーゼの基質に対する作用を導き、反応後の基質反応物を測定する方法による。この発明により、唾液等の検体の測定器への付着及び汚染が排除され、測定後の用具の洗浄という煩雑性を解除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアミラーゼ活性の測定キット、特に、被験者の唾液等の検体中のアミラーゼ活性の測定のためのキット及びそのキットを使用するアミラーゼ活性の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミラーゼは、澱粉、アミロース等の多糖類を加水分解する分子量54,000〜62,000の消化酵素である。本発明でアミラーゼとは、主に膵及び唾液腺などで分泌されるα-アミラーゼ(酵素番号EC3.2.1.1)のことを指す。α-アミラーゼは膵及び唾液腺などで分泌され、主に唾液腺及び膵に分布する。その他にも筋肉、卵巣及び卵管などに存在していることが知られている。組織から逸脱したアミラーゼが血中や尿中に存在していることも知られている。
【0003】
一部の膵臓や唾液腺及び腎や肝の機能障害、腫瘍などの疾患においては、血清中、尿中、膵液中のアミラーゼ値が高値を示すことが知られている。これらのアミラーゼ活性の測定方法としては、修飾オリゴ糖基質を用いた酵素法などが知られており、分光光度計や自動分析機などを用いてその吸光度変化から測定を行っていた。
【0004】
アミラーゼ活性の測定には、G2〜G7などのオリゴ糖に色原体を修飾した修飾オリゴ糖を用いる。アミラーゼ活性測定法は、修飾オリゴ糖基質をアミラーゼで加水分解してCNPやPNPなどの色原体を遊離させ、その吸光度変化などを測定することによる方法が用いられている。必要によってはアミラーゼ加水分解反応後にアミラーゼとα−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼを用いてCNPやPNPを遊離させる反応を含んだ共役酵素法が用いられる。特に、アミラーゼによる加水分解時の切断箇所が1箇所に限定されるGal−G2−CNPやGal−G4−CNPが好ましく用いられている。
【0005】
唾液中アミラーゼは、血中のアミラーゼに比し約100〜10000倍も高活性であり、採取した唾液のアミラーゼ活性を測定するにはピペットなどの定量採取器具で一定量の唾液を試薬と反応させる必要がある。しかし、この作業は熟練した分注技術や定量採取器具が必要であるため簡便な測定ではなかった。そこで、本発明者等は、試薬に基質の競合剤阻害剤を添加するという工夫で解決した(出願中未公開)。
【0006】
従来の自動分析機などを用いた測定は、測定装置が高価であり、測定にも様々な準備が必要であり、測定自体にも数10分かかるという問題点があった。本発明者等は、別の出願で修飾オリゴ糖を用いた酵素法に基づくアミラーゼ活性の測定法において、試薬を固相化し、色判別センサーで発色を読み取る方法を開発し、短時間に簡便にアミラーゼ活性の測定法を提供することに成功した(出願中未公開)。
【0007】
近年の研究より、唾液アミラーゼ活性値が、被験者のストレスと相関しているとの報告がされており(非特許文献1)、唾液試料中のアミラーゼ活性値を簡便に測定する方法が望まれている。そして本発明者等は、簡便なアミラーゼ活性測定方法を開発し、用途発明として完成している(特許文献1)。
【非特許文献1】医用電子と生体工学 39(3), p234-239(2001)、山口昌樹 他
【特許文献1】特開2002-168860号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、被験者から採取した唾液等の検体中に含まれるアミラーゼの活性測定のため、より簡便で効率的な手段を提供することである。検体中のアミラーゼ活性の測定には、ピペット等の定量採取器具を用いて一定量の唾液等の検体を試薬と反応させるという、熟練した分注技術や定量採取器具が必要であった。このような熟練した技術や器具がなくとも、唾液などの生物学的試料中に存在するアミラーゼ活性を簡便に短時間に測定する手段を提供すること課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、唾液等の検体中アミラーゼ活性の測定に際し、採取された唾液等の検体及び試薬を一つの又は別の担体上に担持させるという手段を導入した。そして担体に担持された検体採取部及び試薬保持部を表面接触させ、検体及び試薬の相互移動を可能にする転写(又はtransfer)をさせることで、唾液等の検体中アミラーゼ活性を測定できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.アミラーゼを含有する検体を採取する検体採取部、該検体採取部を担持する担体及びアミラーゼと基質反応をする試薬を保持する試薬保持部、該試薬保持部を担持する担体を含有するアミラーゼ活性測定キット。
2.該検体採取部を担持する担体及び該試薬保持部を担持する担体が、同一又は別々の担体である前項1に記載のアミラーゼ活性測定用キット。
3.試薬保持部を担持する担体(担体A)を装填しうるホルダを含む前項1又は2に記載のアミラーゼ活性測定用キット。
4.担体Aが、以下の少なくとも一の特徴を有する前項1〜3のいずれか1に記載のアミラーゼ活性測定用キット:
1)担体Aの略先端部に、検体採取部が設けられている。
2)担体Aを装填するホルダの中空部で流通過(スライド)の制御が可能なように、担体Aに複数の制御構造又は/及び制御目印が設けられている。
3)担体Aが試薬保持部と検体採取部を接触させるために折り曲げ可能である。
4)担体Aが試薬保持部の汚染を防止するために折り曲げ可能である。
5.担体Aを装填するホルダが、基板面とカバー面を有する両端部開放型であり、かつ以下の少なくとも一の特徴を有する前項3又は4に記載のアミラーゼ活性測定用キット:
1)ホルダの中空部で流通過(スライド)の制御が可能なように担体Aに設けられた制御構造と適合可能な相応制御構造が少なくとも一つ設けられている。
2)ホルダに試薬保持部が担持されており、ホルダの基板面上又はカバー面上に試薬保持部と検体採取部を接触させるための圧力負荷具が設けられており、該圧力負荷具と試薬保持部が接着している。
3)担体A挿入のガイドがホルダの一端に、設けられている。
4)担体Aの流通過(スライド)させて、担体Aがホルダから脱落しないように担体Aの制御構造と適合可能な相応制御構造がホルダに設けられている。
5)担体Aの流通過(スライド)のためのスライダー(誘導用線状突起)が、ホルダの基板面上又はカバー面上に設けられている。
6)検体逆流防止のための逆流防止弁が、ホルダの担体Aの挿入口若しくは挿入口とは異なる一端に設けられている。
7)余分な検体を拭い取るための唾液拭き部が、ホルダの担体Aの挿入口若しくは挿入口とは異なる一端に設けられている。
8)アミラーゼとの反応産物を測定するための測定孔が、ホルダの基板面上又はカバー面上に設けられている。
6.前項1〜5の何れか1に記載のアミラーゼ活性測定用キットの製造方法。
7.アミラーゼ活性測定用キットの主構成物が、試薬保持部と検体採取部を担持する担体であり、検体採取部により検体を採取後に、該試薬保持部と該検体採取部を接触させて試薬及び検体の相互移動(転写)させ、結果として唾液中のアミラーゼにより基質に対する作用を導き、反応後の試薬保持部又は検体採取部における基質反応物を検定することを含むアミラーゼ活性の測定方法。
8.前項2〜5の何れか1に記載のアミラーゼ活性測定用キットを使用するアミラーゼ活性の測定方法。
9.担体Aのホルダ内装填、担体Aの折り曲げによる測定孔からの検体もれ防止、試薬保持部と検体採取部間の転写のための圧力負荷操作、担体Aのスライドによる測定孔の開扉、及び光学的測定の少なくとも1が自動化された前項7又は8に記載のアミラーゼ活性の測定方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、熟練した技術も定量採取器具も要することなく、極めて効率的に確実に唾液等の検体中アミラーゼ活性を測定できる。さらに、本発明により唾液等の検体の測定器への付着及び汚染を排除することができ、アミラーゼ活性測定後の洗浄という煩雑性を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、アミラーゼ活性測定用キットに関し、検体採取部が担持された担体と該担体を装填可能なホルダを基本構成とする。さらに、本発明のアミラーゼ活性測定用キットには試薬反応の発色を測定する測定装置等を含んでいても良い。本発明の検体採取部及び試薬保持部が同一又は別々の担体上に担持されている。さらに本発明は、唾液などの検体を検体採取部で採取し、ホルダにおいて検体を含む検体採取部と基質等の試薬を含む試薬保持部を接触させ、試薬及び/又は検体を移動(転写)させ、結果として唾液中のアミラーゼにより基質に対する作用を導き、反応後の試薬保持部又は唾液検体採取部における基質反応物を測定するアミラーゼ活性測定方法に関するものであり、該測定方法に使用する試薬も本発明に包含される。
【0013】
(アミラーゼ)
本発明におけるアミラーゼとしては、主にヒト唾液腺や膵腺より分泌されるα−アミラーゼが代表的である。アミラーゼはデンプン、アミロースなどの多糖類を加水分解する分子量54,000〜62,000の消化酵素である。唾液中のアミラーゼ活性値は、体調による変動や、個人差が非常に大きい事が知られている。正常値は舌下で数万IU/L程度であるが、体調や、体質によっては、健常人においても10万IU/Lを越える事があることが知られている。また、おなじ口腔内でも耳下腺付近(数10〜200万IU/L程度)と舌下(数万〜20万IU/L程度)では大きくアミラーゼ値が異なることがわかってきた。
【0014】
(試薬)
本発明において使用されるアミラーゼ活性測定のための試薬としては、アミラーゼに対する基質になりうるものであれば良く特に限定されないが、一般的には修飾オリゴ糖が使用される。ここで修飾とは、オリゴ糖の末端、還元末端に識別標識化合物が結合されていることを意味し、アミラーゼ又は共役酵素によって遊離されうる。修飾オリゴ糖の糖数はG2〜G7であり、好ましくはG2〜G5である。識別標識化合物は、色原体といわれるものが一般的に使用され、好適には、4−ニトロフェノール(PNP)、2−クロロ−4−ニトロフェノール(CNP)、2,4−ジクロロフェノール(Cl2P)等が例示される。このような色原体で修飾されたオリゴ糖の具体例としては、2−クロロ−4−ニトロフェノール−4−O−β−D−ガラクトピラノシルマルトサイド(以下 GAL−G2−CNP)、GAL−G3−CNP、GAL−G4−CNP、GAL−G5−CNP、G5−CNP(2−クロロ−4−ニトロフェニル−マルトペンタオース)、G7−CNP、G5−PNP(p−ニトロフェニル−マルトペンタオース)、G6−CNP(2−クロロ−p−ニトロフェニルマルトテトラオース)、G7−PNPがあげられる。このうち、特に、アミラーゼによる加水分解時の切断箇所が1箇所に限定されるGAL−G2−CNPやGAL−G4−CNPなどが好ましい。
【0015】
修飾オリゴ糖を一般式で表すと以下となる。
【化1】

【0016】
式中のR、Rはそれぞれ水素原子あるいは保護基を意味する。保護基は格別限定されるものではないが、例えば、非置換または置換の低級アルキル基、低級アルコキシル基またはフェニル基、アジド基、ハロゲン原子、N−モノアルキルカルバモイルオキシ基、アルキル若しくはアリールスルホニルオキシ基またはアルキルオキシ基、α−グルコシル基、α−マルトシル基、β−ガラクトシル基であり、R、Rは互いに架橋していてもよく、該架橋基にはさらに置換基を有していてもよい。Rはシグナル発生基、例えば光学的にシグナルを検出可能な基(好適には発色性芳香族基)であり、nは0〜5である。上記式では−ORは、還元性末端グルコースの1位にβ−結合したものであるが、α−結合したものであってもよい。
【0017】
本発明の試薬には、基質に加えて、所望により基質の反応性に対して競合的に作用する競合阻害剤を加えることができる。競合阻害剤とは、アミラーゼが、基質である修飾オリゴ糖と拮抗して競合的に作用しうる化合物を意味し、例えば分子構造が基質の分子構造と類似している糖類が好適に例示される。具体的には、修飾オリゴ糖に使われたオリゴ糖以外のオリゴ糖或いはでんぷんが例示される。そして、オリゴ糖は2以上の糖を含むもの、好ましくはG2〜G7、より好ましくはG2〜G5が使用される。具体的には、マルト−ス、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースであり、最適にはマルトトリオースが例示される。なお、G2化合物は、一般的には基質には適していないが、本発明では驚いたことにきわめて好適な競合阻害剤となりえた。
【0018】
本発明のアミラーゼ測定試薬における、基質と競合阻害剤の存在比率は、競合阻害剤が基質の存在量に比して大過剰で、1.5〜100倍、好ましくは2〜50倍、より好ましくは2〜10倍量である。具体的には、基質を2〜500mmol、競合阻害剤を0.01〜2molの比率で含有する。液状の試薬の場合、基質量は、通常は0.05mM〜1M程度、好ましくは2〜500mMの濃度になるように調製される。
【0019】
(試薬保持部)
本発明のアミラーゼ測定用キットに使用される試薬保持部は、担体上の特定部位に担持される。該試薬保持部は、本発明で定義する基質等の試薬を効率的に担持又は保持できる材質からなる材料が広く利用可能である。そのような材料として、水吸水性の紙、ニトロセルロース、ナイロン、多孔性ガラス、不織布等が挙げられる。
【0020】
試薬保持部の形状は、薄膜が好適であり、薄膜は厚さ50〜500μm、好ましくは100〜400μmである。本発明では、試薬保持部面に直接光をあてて、遊離する修飾物質の発色を色判別センサーで測定することから、光の乱反射が制御されたものが好ましく、膜表面が出来る限り均一なものが好適である。試薬保持部の大きさは、縦横共に2cm以下で十分であり、好適には3〜15mmのものを使用することができる。その厚さは、薄膜が好適であり、厚さ50〜500μm、好ましくは100〜400μmである。
【0021】
試薬保持部に含まれる試薬の量は、一定に調節されることが好ましい。例えば修飾オリゴ糖基質2〜2000mmol/Lを含有する溶液中に該試薬保持部を約1〜5分間含浸させ、それを乾燥させて試薬保持部に試薬を含ませることができる。これにより得られる試薬の相当量が試薬保持部に含まれることとなる。そして試薬保持部には、基質及び所望によりアミラーゼとの競合阻害剤を固定化又は含ませることができる。
【0022】
(検体採取部)
本発明のアミラーゼ測定用キットに使用される検体採取部は、唾液等の検体を効果的に採取及び保持することができる材質からなる材料が広く利用可能である。唾液などの検体の採取及び保持が可能な水材質として、不溶性の有機物又は無機物を広く利用することができる。具体的には、吸水性高分子、紙、ニトロセルロース、ナイロン、多孔性ガラス、繊維等が例示される。特に不織布のように試薬保持部へ検体、例えば唾液を移動させやすいものが好適に例示される。
【0023】
検体採取部の形状は、特に限定されないが、口に咥えやすい大きさであり、口に咥えたときに口角を傷つけないようにふちを角を面取りするなどの工夫をすることが好ましい。検体採取部の大きさは、縦横共に2cm以下で十分であり、好適には3〜15mmのものを使用することができる。その厚さは、薄膜が好適であり、厚さ50〜500μm、好ましくは100〜400μmである。
【0024】
(試薬保持部と検体採取部を担持する担体)
本発明では、試薬保持部及び検体採取部は、同一担体に担持されていても良いし、各々が別の担体に担持されていてもよい。本発明の担体の形状は特に限定されないが、例えば細長い長方形の短冊状であり、取り扱いの簡便性を考慮するとシート状或いはホルダ状が好ましい。
本明細書において検体採取部を担持する担体を、便宜上「担体A」と記載する。該担体A上に、試薬保持部が担持される態様もありうる。また、本明細書で後述するホルダに試薬保持部が担持される態様もありうるが、この場合は、特許請求の範囲及び明細書において、該ホルダも「試薬保持部を担持する担体」に含まれるものとする。
【0025】
担体上で試薬保持部及び検体採取部が担持される位置は特に限定されないが、特に唾液を検体とする場合は、舐める或は口に咥える等の検体採取行為が容易なように、担体Aの略先端部に検体採取部を設けるのが好適である。また、試薬保持部は、目的により、担体の端部、中央部、その他の特定部位にも適宜設けることができる。特に、試薬保持部及び検体採取部が同一の担体に担持される場合には、該担体を折り曲げる等により両部を接触させることができる位置に試薬保持部を設けることが必要である。
【0026】
試薬保持部や検体採取部は、水不溶性の粘着性樹脂を広く用いて担体Aに担持させることができる。粘着性樹脂として例えば市販の粘着剤や両面接着テープ等が簡便に利用可能である。接着剤の厚さは特に制限されないが、使用感との関係から薄いことが好ましく、例えば5〜300μm、好ましくは10〜200μmである。
【0027】
(担体A)
本発明のアミラーゼ活性測定用キットの一部を構成する担体Aは、好適な実施態様のために、以下の少なくとも1以上の特徴を有することが必要である。
1)担体Aの略先端部に、検体採取部が設けられている。
2)担体Aの略先端部に設置されている検体採取部が、舐める或いは口に咥えることによって検体を採取するに必要十分な大きさである。
3)担体Aを装填するホルダ(以下単に「ホルダ」ともいう。)の中空部で、担体Aが流通過(スライド)の制御が可能なように、該担体Aに複数の制御構造又は/及び制御目印が設けられている。この場合において、担体Aに設けられる制御構造は、爪、切込み、孔若しくは引っかかり構造の少なくとも一以上を選択することができる。また、制御目印は、矢印、ライン若しくは色分けの少なくとも一以上を選択することができる。
4)担体Aがホルダの中空部で流通過(スライド)の制御を可能とするために設けられる複数の制御構造は、(1)試薬保持部と検体採取部の接触、(2)試薬及び/若しくは検体の相互移動(転写)、(3)測定のけるゼロ調整、(4)アミラーゼの測定の少なくとも1以上の操作に適する位置に担体Aを装填可能とするために設けられている。
5)担体Aは折り曲げて使用することができる。この場合においても、担体A上に試薬保持部が担持されていても良いし、されていなくても良い。担体Aを折り曲げることで、担体A上の試薬保持部を検体採取部と接触させることができる。又、検体採取部とホルダ内の試薬保持部との面接触及び転写の際に用いる圧力負荷具の唾液による汚染を防止することができる。担体Aを折り曲げる位置は、上記接触、転写及び/又は汚染防止ができれば良く特に限定されないが、例えば担体Aの略中心部を折り曲げることができる。折り曲げる場合に、折り曲げ用線部を設けることができる。さらに、折り曲げる際の固定に適した部位に、該担体Aがホルダ中空部で流通過(スライド)の制御が可能な制御構造を設けることができる。
【0028】
上記のいずれかの特徴を有する担体Aの大きさは、長さ1〜20cm、好適には3〜15cmであり、横幅1.5cm以下、好適には5〜10mmであり、厚さは1mm以下であって、ある程度の剛性が保持できる厚さであることが好ましい。
【0029】
担体Aの材質は、ある程度の剛性を有する水不溶性の有機又は無機物質であればよく、特に制限がない。撥水性処理がされた水非吸水性であることが好適である。これら条件を満たす限り、紙、ニトロセルロース、ナイロン、多孔性ガラス、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、飽和ポリエステル等の熱可塑性樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂など広く例示できるが、これらに限定されない。
【0030】
(ホルダ)
本発明のアミラーゼ活性測定用キットの一部を構成するホルダは、本発明の担体Aを装填しうることが必要である。さらに、該ホルダは基板面と該基板面を覆うカバー面を有し、基板面とカバー面の両端部が開放型である。該基板面とカバー面の間の中空部に担体Aを装填することができる。本発明のホルダには、試薬保持部が担持される態様及び試薬保持部が担持されない態様がありうる。ホルダに試薬保持部が担持される場合は、該ホルダは、特許請求の範囲及び明細書において示す「試薬保持部を担持する担体」にも該当するものとして解釈する。
【0031】
本発明のホルダは、好適な実施態様のために、以下に示す少なくとも1以上の特徴を有することが必要である。
1)ホルダの中空部で流通過(スライド)の制御が可能なように担体Aに設けられた制御構造と適合可能な相応制御構造が少なくとも一つ設けられている。担体Aの制御構造と適合可能な相応制御構造は、例えば、爪、引っかかり構造若しくは凸部構造等が挙げられ、担体Aに設けられた爪、切込み、孔若しくは引っかかり構造に対応することができるような構造をいう。
2)ホルダに試薬保持部が担持されており、ホルダの基板面上又はカバー面上に試薬保持部と検体採取部を接触させるための圧力負荷具が設けられており、該圧力負荷具と試薬保持部が接着している。この圧力負荷具は、例えば板状のバネ構造(押し子)とすることができる。検体採取部と試薬保持部が重なるように担体Aをホルダに装填し、圧力負荷具を押し込み圧力をかけることで、試薬保持部と検体採取部を接触させることができ、試薬と検体が転写され、検体中のアミラーゼを試薬と反応させることができる。
3)担体A挿入のガイドが、ホルダの一端に設けられている。
4)担体Aの流通過(スライド)させて、担体Aがホルダから脱落しないように担体Aの制御構造と適合可能な相応制御構造がホルダに設けられている。この相応制御構造は、例えば凸部構造が挙げられ、例えば担体Aに設けられる爪、切込み、孔若しくは引っかかり構造に対応することができるような構造であっても良い。
5)担体Aの流通過(スライド)のためのスライダー(誘導用線状突起)が、ホルダの基板面上又はカバー面上に設けられている。スライダーは、例えば凸部を縦長のレール状に設けることができる。
6)検体逆流防止のための逆流防止弁が、ホルダの担体Aの挿入口若しくは挿入口とは異なる一端に設けられている。該逆流防止弁は例えば凸部構造とすることができる。
7)余分な検体を拭い取るための唾液拭き部が、ホルダの担体Aの挿入口若しくは挿入口とは異なる一端に設けられている。該唾液拭き部は例えば凹凸部構造とすることができる。
8)アミラーゼとの反応産物を測定するための測定孔が、ホルダの基板面上又はカバー面上に設けられている。該測定孔は、直径又は一辺が1mm〜10mmの円又は多角形とすることができる。この大きさとすることにより、該測定孔に指等が入り込むのを防ぐことができる。
【0032】
上記のいずれかの特徴を有するホルダは、基板面とカバー面とからなる2つの長方形の平板を接続具でつないで重ね合わせ、両端部が開放型の形状で、試薬及び/又は検体の転写を2つの平板を重ね合わせた状態で可能とする用具である。ホルダの大きさは担体Aの形状に依存し、担体Aが流通過(スライド)可能な幅を有していれば良く、ある程度の剛性が保持できる厚さであることが好ましい。
【0033】
ホルダの材質も、担体Aの担体と同様にある程度の剛性を有した水不溶性の有機または無機物質であれば特に制限はなく、ニトロセルロース、ナイロン、多孔性ガラス、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、飽和ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂などが例示される。
【0034】
(アミラーゼ活性測定法)
本発明のアミラーゼ活性測定は、上記説明した検体採取部が担持された担体と該担体を装填可能なホルダを用いて行われる。具体的には、唾液などの検体を検体採取部に採取した後に、試薬保持部と検体採取部を接触させて試薬及び/又は唾液などの検体を移動(転写)させ、結果として唾液中のアミラーゼによる基質に対する作用を導き、反応後の試薬保持部又は検体採取部における基質反応物を測定することからなる。試薬保持部と検体採取部の接触は、本発明のホルダ内で行うことが好適である。
【0035】
転写のための接触の手段は特に限定されないが、例えば担体同士の上下又は左右の重ね合わせ、担体の折り曲げ、又は担体の巻き込み等が好適に例示される。このための試薬保持部と検体採取部の接触は、圧力負荷によることができる。圧力負荷は、試薬保持部と検体採取部を重ね合わせ、例えば圧力負荷具により試薬保持部に圧力をかけることにより行うことができる。この圧力負荷は、制御された条件下で行うことが好ましく、例えば自動化或は装置における試薬保持部と検体採取部の設置溝の深さ広さを制御することにより行うことができる。圧力負荷は、唾液などの検体が効率的に試薬保持部に移動するように各部の材質に応じて実験的繰り返しによって調整されることが好ましい。或は目的により、試薬が検体採取部に効率的に移動するように調節されていてもよい。或は、検体と試薬が相互に移動可能な条件に調節されていてもよい。
【0036】
負荷される圧力は、例えば1g/cm〜1kg/cmであり、機械的に或は手動で行われる。なお、アミラーゼ活性の測定は、試薬保持部に対して行うことが好適であるので、目的の条件に実験的繰り返しによって調節されることが好ましい。負荷される圧力を水平に均一にするために適当な圧力負荷具として押し子を用いることは簡便で確実な方法である。その他、圧力負荷手段としては、端から徐々に押し込んでいく方法、ローラーを用いて挟み込んでいく方法等もあるが、圧力負荷具で水平に押し込むことが最適である。
【0037】
本発明によるアミラーゼの測定は、酵素反応によって生成される色源体に対して光学的におこなうことが推奨される。無論、検体採取部に対して行うことを否定するものではないが、唾液などの検体による測定器具等の汚染を考慮した場合、試薬保持部に対して行うことが好ましい。このような目的のため、試薬保持部及び/又は検体採取部を担持する担体は、光が吸収されず、また拡散しない色であることが好ましく、そのような色としては白色が好適である。
【0038】
本発明において、自動化は以下のような動作に適用可能であり、全て或いはその一部の組み合わせにより自動化を行うことが出来る。このような機能を担持した装置は本発明の効率的な測定装置になりうる。
1)試薬保持部と検体採取部間の転写のための圧力負荷具による圧着操作。
2)光学的測定操作。
3)担体Aのホルダ内装填操作。
4)担体Aの折り曲げ操作(必要な場合のみ)。該折り曲げ操作によるホルダに設置された測定孔からの唾液などの検体もれ防止操作。
5)担体Aの流通過(スライド)によるホルダに設置された測定孔の開扉操作。
【0039】
本発明の測定方法における光学的測定とは、基質の修飾物質であるCNPやPNP等の色原体の遊離による、試薬保持部の発色による吸光度変化を量的にとらえアミラーゼ活性を決定する。例えば、CNPは405nmの吸光度で測定する。通常は、大過剰のアミラーゼの作用のみによって、この色原体の遊離は可能であるが、所望により、アミラーゼの加水分解反応後に、アミラーゼとα−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ等によって色原体を遊離させる反応を含んだ共役酵素法が用いられることもある。この場合は、追加の酵素を試薬として添加する手段の導入が必要となる。さらに、所望により、反応の促進のために、公知のα−アミラーゼの活性化剤を用いてもよい。
【0040】
本発明の測定方法における反応温度は特に限定されないが、好ましくは約25〜40℃である。反応時間は、数十秒〜10数分で十分であるが、基質および所望により使用される共役酵素の種類に依存する。
【0041】
発色による変化の測定は、色判別センサーが好適に利用される。測定部位おける発色の変化は反射光又は透過光によって測定することが便宜である。光源としての発光手段は発光ダイオード、レーザ、ハロゲンランプ、タングステンランプ等が好適に選ばれるがこれに限定されるものではない。反射光を計測する場合には角度が0〜45度好ましくは10〜35度より好ましくは15〜30度、測定対象との距離が10〜30mm好ましくは15〜25mmより好ましくは18〜22mmの条件を満足する測定装置が好適に用いられる。
【0042】
本発明の測定は、発色の測定値が一定基準値に達する時間を測定する。つまり、発色による数値が一定値になる時間を予め決定し、測定することが好ましい。また、本発明の測定は、レート法(臨床検査提要 金原出版)を用いることによって測定することが好適な結果をえることができる。特に好ましくは、1分以下で高濃度アミラーゼを測定することが推奨される。
【0043】
かくして提供される本発明の試薬を利用したアミラーゼの測定方法は、生物学的試料として、高濃度にアミラーゼを含有する検体に適用しうる。例えば、唾液、血液、尿等が検体となりうるが、唾液がもっとも好ましい。
【0044】
本発明は、以上のような特徴を有する担体Aと該担体Aを装填可能なホルダを主要構成とするアミラーゼ測定用キット、キットに含まれる試薬、キットの製造方法及びアミラーゼ活性測定方法も対象とする。
【実施例】
【0045】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、試薬保持部と検体採取部の接触による転写手段を用いるアミラーゼ測定法に関する限り全て本発明の技術思想に包含される。
【0046】
(実施例1−1)微量の唾液などを採取するための担体Aの調製
本発明の一態様としてのアミラーゼ活性測定のためのキットには、シート状担体である担体Aに唾液などの検体の採取及び保持が可能な吸水性物質(検体採取部)が担持されている。担体Aの大きさは、形状は特に指定されないが、長さ10cm、幅1cm、厚さ1mm程度であれば特に使用感が良い。また、唾液などを採取する検体採取部の大きさは、縦横共に1cm以下、厚さは1mm以下が好ましい。検体採取部の位置は、担体上の端でも真中でも良いが、好ましくは舐めたり口に挿入しやすいように担体Aの一端に設けることが望ましい。担体Aの材質はポリエチレンテレフタレート(PET)であり、検体採取部の材質はレーヨン不織布である。
【0047】
(実施例1−2)担体Aの調製
検体採取部と試薬保持部が分離したアミラーゼ活性測定のための担体Aを調製した。唾液などの検体採取部と試薬保持部は同一又は別々の担体上に担持しても良い。検体採取部は不織布を用いた。検体採取部を舐める或いは口に咥えることで唾液を採取することができる。試薬保持部が検体採取部とは別の担体に担持されている場合の担体は、担体Aと同様にある程度の剛性を有した水不溶性の有機または無機物質であれば特に制限はない。
【0048】
検体採取部に採取された唾液などの検体を試薬保持部に移すことを「転写」と呼ぶ。転写を行なう際の担体Aの検体採取部と試薬保持担体の試薬保持部の接触は、どのような方法を用いて行っても良い。例えば、同一のシート状の担体に検体採取部と試薬保持部を担持する場合は、検体採取部と試薬保持部の中間点を折り曲げることで転写する方法や、担体を巻くことで転写する方法歯挙げられる。また別々の担体に検体採取部と試薬保持部を担持する場合に、それらを上下や左右に重ね合わせることで転写を行なう方法などがある。
【0049】
例えば、検体採取部と試薬保持部を別々の担体上に担持させ、転写装置として検体セット部(担体Aを装填する部)と試薬セット部(試薬保持部担体をセットする部)もつホルダ(該ホルダは、担体を折畳むと丁度検体採取部と試薬保持部が接触する配置になるように制御構造が設けられている)を調製し、各部に各々の担体を設置し、試薬セット部側を下として、折畳み部分より検体セット部分が試薬セット部に被さるように静かに折畳み、折畳んだ後20秒後に試薬保持部を担持するシート状担体を外し、測定装置に担体をセットすることで測定することができる。なお、各セット部の溝の深さは試薬保持部又は検体採取部の担体部を含めた厚さに応じて調整され、例えば計0.62mm程度の担体厚さの場合、略0.6mm程度の溝の深さが好適である。このときの圧力負荷は約1g/cm〜1kg/cm程度になるように調整される。
【0050】
転写の際の圧迫方法としては、片方又は両方から圧力負荷具(押し子)で押し込むことや、端から徐々に押していく方法、ローラーを用いてはさみこむ方法があるが、押し子で水平に押し込むことが均一に転写可能であった。本実施例では、試薬保持部に含浸させる試薬濃度を変更し、唾液等の検体採取部の素材を不織布に変更することにより、測定部位を検体採取部から試薬保持部へと変更ができた。
【0051】
(実施例1−3)一定圧力かつ一定時間転写するための転写用ホルダの調製
検体採取部と試薬保持部を、一定圧力かつ一定時間で転写可能な転写用ホルダ(転写を簡便に行うための用具)を作成した。転写用ホルダは、2つの長方形の平板の端部を観音開き可能な形状の接続具でつなぎ、転写を2つの平板を重ね合わせた状態で可能とする用具である。平板の一方に検体採取部を担持するシート状担体のセット部を設け、他の平板に試薬保持部を担持するシート状担体のセット部を設け、このセット部検体採取後に各担体をセットし、その後2つの平板を例えば検体採取部を下にした状態に重ね合わすように転写用ホルダで押し合わせた。各セット部は各担体が固定可能なように溝が形成され、溝の深さは、試薬保持部又は検体採取部の担体部を含めた厚さに応じて調整され、例えば計0.62mm程度の担体厚さの場合、略0.6mm程度の溝の深さが好適である。このときの圧力負荷は約1g/cm〜1kg/cm程度になるように調整される。
【0052】
転写用ホルダの材料は、ポリスチレンである。また、転写用ホルダの大きさは、縦横とも20cm以下、厚さは5cm以下であれば使用勝手が良い。
【0053】
(実施例1−4)アミラーゼ活性測定用キット及び測定装置
別々のシート状担体の一方を検体採取部を担持する担体Aとし、他方を縦長であり両端開放型の試薬保持部を担持するホルダとしたキットを調製した。
【0054】
唾液などの検体による測定機器への汚染を防止可能なホルダを図1に、担体A(1)とホルダを図2示した。唾液を採取するための担体Aは、舐める或いは口に咥え易くするために細長い長方形をした短冊状シートであって、厚み1mm、幅5mmと薄い形状をしたシート状担体(1)とした。担体Aの端には検体採取部(2)、該担体をホルダの定位置に装填可能とするための切込み(3)、測定器で引っ張るための孔(4)を設けた。ホルダは、図1に示したように担体Aよりも広い幅である長方形をした両端開放型で基板面(5)と同外形のカバー面(6)を含み、担体上には試薬保持部(7)とスライダー(8)を有し、カバー面(6)には測定孔(9)があり、ホルダの一方の端部には切込み(3)に対応した爪(10)を備えている。また、ホルダの担体Aの導入口は、ホルダ部よりも広くすることで唾液保持部がホルダ入り口で汚染されることを防ぐことができる。
【0055】
本実施例において使用されるアミラーゼ活性測定のための担体A(図2)は、その担体上に唾液などの採取及び保持が可能な吸水性物質からなる検体採取部(2)が担持されている。検体採取部(2)の位置は担体の端でも中央でもよいが、口に挿入しやすいように端に配置することが望ましい。唾液などの検体の採取後に検体採取部以外に唾液などの検体が測定器に接することがないよう、両端開放型のホルダに担体Aを装填し、検体採取部が覆われるようにした。また、検体採取後に担体Aを引っ張り、ホルダの所定の位置で停止可能とするために、担体Aに切込み(3)とホルダに爪(10)からなる制御構造を設けた。
【0056】
ホルダは担体Aの形状に依存し、またホルダのカバー面には吸光度測定用の測定孔(9)が備わっている。ホルダは、カバー面と基板面からなり、基板面にはスライダー(8)があり、担体Aを所定位置まで引き易くした。
【0057】
ホルダ内に装填されている担体Aの検体採取部(2)を舐める或いは口に咥えることで唾液などの検体を採取し、担体Aが引っ張られることでホルダの所定の位置に検体採取部(2)が設置される。さらに担体Aを半分に折り曲げる(図3)。この状態でホルダを測定器にセットすることで、測定器と検体を保持する検体採取部が接触することなしに担体Aをセットすることが可能となり、さらに続く転写工程においても押し子が唾液に接触することがなくなった。
【0058】
ホルダの基板面に設置された試薬保持部(7)は、測定孔(9)の真下に配置されている。担体Aがホルダ内に装填され、これが測定器にセットされると、測定器が自動的に担体Aを次の切込み(3)まで1段階移動させる。これにより、試薬保持部(7)と検体採取部(2)が向かい合わせとなる。この状態において、測定器に内蔵された押し子が一定圧力及び一定時間加圧によって転写を行ない、一定量の唾液などの検体が試薬保持部に移動し転写する(図4)。測定器に内蔵された押し子は、内臓のモーターにより自動的に動作する。
【0059】
転写後に担体Aが、測定器によって自動的に次の切込み(3)まで1段階スライドされ、測定孔(9)が開扉され、測定孔から試薬保持部(7)の吸光度を測定することができる(図5)。
これにより、測定器が汚染されることなく唾液アミラーゼ活性が測定可能となった。
【0060】
本実施例における、検体採取部の材質はレーヨン不織布、担体Aの材質はPET及びホルダの材質はポリスチレンである。
【0061】
(実施例1−5)アミラーゼ活性測定用キット及び測定装置
別々の担体の一方を検体採取部を担持する担体Aとし、他方を縦長両端開放型の担体に試薬保持部を担持するホルダとした試薬又はキットを調製した。但し、転写によって試薬を検体採取部へ移動させて検体採取部で測定する方式とした。
【0062】
唾液などの検体を採取する方法と、担体Aを測定器にセットするまでの工程は実施例1−4と同様である。但し、試薬保持部(7)はホルダのカバー面内側の測定孔(9)横に配置されている(図6)。図7は検体採取時の担体Aの状態を示す。検体採取後、担体Aが引き込まれてホルダに装填され、ホルダが測定器にセットされると、測定器が自動的に担体Aを次の切込み(3)まで1段階移動させる。これにより試薬保持部(7)と検体を保持する検体採取部(2)が向かい合わせとなる(図8)。この状態において、測定器に内蔵された押し子が一定圧力及び一定時間で負荷をかけ転写を行ない、試薬が検体採取部に移動し、転写する(図8)。測定器に内蔵された押し子は、内臓のモーターにより自動的に動作する。
【0063】
転写後に担体Aが、測定器によって自動的に次の切込み(3)まで1段階スライドされ、測定孔(9)から唾液などの検体を保持する検体採取部の吸光度を測定することができる(図9)。
これにより、測定器が汚染されることなく唾液アミラーゼ活性が測定可能となった。
【0064】
(実施例1−6)
上記実施例1−1〜5で調製した本発明の試薬又はキットを用い、一種類の試験紙を用いて高活性から低活性までの唾液アミラーゼ活性測定を行なうために、5秒ごとに測定を行ない、一定基準値以上(または以下)の測定値が得られた場合にはそれを唾液アミラーゼ活性とし、基準以下(または以上)の場合にはさらに5秒後に測定を行ない、一定基準以上(または以下)の測定値が得られた場合にその値を唾液アミラーゼ活性とした。基準値以下の場合には、さらに5秒後に測定を行なった。
これにより、試験紙を用いることで高活性から低活性までの唾液アミラーゼ活性を高感度で測定可能となった。
【0065】
(実施例1−7)
上記実施例1−1〜5で調製した本発明の試薬又はキットを用い、一種類の試験紙を用いて高活性から低活性までの唾液アミラーゼ活性測定を行なうために、発色の測定値が基準値に達するまでの時間を測定した。その測定時間より、試験紙を用いることで高活性から低活性までの唾液アミラーゼ活性を高感度で測定可能となった。
【0066】
(実施例1−8)
旅行の前後におけるアミラーゼ活性濃度の変動を実施例1−4の測定装置で行なった。それにより、旅行前後のストレス変動をモニタすることができた。
【0067】
(実施例1−9)
乗り物により、混雑度の差によるアミラーゼ活性濃度の変動を実施例1−4の測定装置で行なった。それにより、旅行前後のストレス変動をモニタすることができた。
【0068】
(試験例1−1)
(I) a〜cの3試料のアミラーゼ活性値を、アミラーゼ測定試薬エスパ・アミラーゼ・リキッドII(ニプロ株式会社)で測定した。エスパ・アミラーゼ・リキッドIIは、Gal−G2−CNPを用いた酵素法によるアミラーゼ測定試薬であり、2000IU/Lまでの活性のアミラーゼを測定できる。測定には自動分析装置80FR(東芝)を用いた。各検体とも測定限界を超えるため、そのままでは測定できなかったので、各試料を1%BSAで10〜1000倍希釈したものを代わりに測定した。
【0069】
(II) KEYENCE社の色判別センサーCZ-V1を、反射光の角度22.5°、測定対象との距離20mm、スポット径2mmとなるように調節し、測定にはCモードを用いた。
【0070】
(III) 以下の調製方法で試験紙(試薬保持部)を作成した。
試薬a:67.5mml/LのGal−G2−CNP、3.5mol/LのKSCN、1mol/Lのマルトース1水和物を溶解した溶液を調製した。試薬aに、東洋濾紙No.50(東洋濾紙社)を3分間含浸させた後に乾燥させた。この試験紙を7mm*7mmに切断し試薬保持部とした。
【0071】
(IV) プラスチック板上に唾液などの検体採取部と試薬保持部を有したスティック状(シート状)の担体Aを作成し、検体採取部と試薬保持部の中央に折り込みラインがあり、そこで折り曲げることにより検体採取部と試薬保持部が接触する。試薬保持部は(III)で作成した試験紙を用い、検体採取部には不織布を用いた。
(V) 担体Aの検体採取部を舐める或いは口に咥えることで唾液を採取し、担体Aを静かに折り畳んで唾液を試薬保持部に転写し、30秒後に担体Aを伸ばした。この120秒後に(II)の測定器で試薬保持部の吸光度を測定した。
検体採取部を舐める或いは直接口に咥えることで唾液中のアミラーゼ活性測定が可能になった。
【0072】
(試験例1−2)
(I) 被検者の唾液試料を1%BSAで10〜1000倍希釈したものを自動分析装置80FR(東芝)で測定し、0〜10万IU/Lの標準試料を調製した。
(II) KEYENCE社の色判別センサーCZ-V1を、反射光の角度22.5°、測定対象との距離20mm、スポット径2mmとなるように調節し、測定にはCモードを用いた。
(III) 以下の調製方法で試験紙(試験用シート)を作成した。
担体上に唾液などの検体の採取及び保持が可能な検体採取部を有する担体Aと、担体上に試薬保持部を有する試薬保持シートを各々作成した。検体採取部から採取した唾液などの検体を試薬保持部へ移すために、専用の転写用ホルダ(転写用具)を作成した(実施例1−3)。転写用ホルダの試薬保持シート装着部に試薬保持シートを固定する。担体Aは検体採取部を舐める或いは口に咥えることで唾液などの検体を採取した後、転写用ホルダの担体A装着部に担体Aを固定する。転写用ホルダは観音開きの開閉式であるため、転写用ホルダを閉じると一定圧力によって検体を保持する検体採取部と試薬保持部が接触し、唾液などの検体が試薬保持部に一定量だけ転写される。転写用ホルダを30秒間閉めることで一定時間の転写が可能である。転写終了から120秒後に(II)の測定器で試験紙の吸光度を測定した。
一定圧力で一定時間転写することで、ピペットなどの器具を用いずに唾液を微量定量採取可能な測定法を完成した。
【0073】
(試験例1−3)
実施例1−4で調製した試薬又はキットを使い、転写法で検量線を作成した(図10)。
【0074】
(試験例1−4)
実施例1−8にしたがってストレスモニタを行なった。
被検者A〜Cの3名において、飛行機での4時間の移動による唾液アミラーゼ活性の測定を行なった。作製した唾液アミラーゼ活性測定試験紙と唾液採取器具と測定器を用いて、搭乗前・飛行中・搭降後に唾液採取と唾液アミラーゼ活性の測定を行なった。実験は、出発地点からリゾート地である目的地までの移動における唾液アミラーゼ活性と、目的地で十分なリラックスをした後に出発地点に戻るまでの唾液アミラーゼ活性を測定した。
目的地までの移動では、被検者Aは搭乗前から唾液アミラーゼ活性が高く、飛行中にはさらにアミラーゼ活性が上昇した。被検者Bも同様にアミラーゼ活性が上昇した。しかし、被検者Cは搭乗前にはアミラーゼ活性が高かったが目的地に近づくにつれてアミラーゼ活性値が減少した。出発地点に戻る場合では、3被検者とも唾液アミラーゼ活性は行きよりも低下しており、出発地点に近づくにつれてアミラーゼ活性が上昇した。つまり、目的地で十分にリラックスしたことで唾液アミラーゼ活性が低下し、仕事場(出発地点)に近づくにつれて唾液アミラーゼ活性が上昇した。よって、ストレスと唾液アミラーゼ活性には相関があった。
測定値のデータは、図11に示した。
以上のようにストレスのモニタが可能であった。
【0075】
(試験例1−5)
実施例1−9にしたがってストレスモニタを行なった。
被検者A〜Cの3名において、混雑バスによる移動と閑散としたバスで移動した場合での唾液アミラーゼ活性を測定した。バス乗車前、乗車中、降車後に作製した唾液アミラーゼ活性測定試験紙と唾液採取器具と測定器を用いて、唾液アミラーゼ活性を測定した。
3名の被検者とも、閑散としたバスに乗車したときよりも混雑したバスに乗車した場合のほうが唾液アミラーゼ活性が高かった。つまり、作製した唾液アミラーゼ活性測定試験紙と唾液検体採取器具と測定器を用いることで、簡便に唾液アミラーゼ活性の変化を測定できた。測定値のデータ及びグラフは、図12〜14に示した。
以上のようにストレスのモニタが可能であった。
【0076】
(実施例2−1)担体Aの作製
担体A(1)の形状は、口に咥えやすい大きさとして長さ12cm、幅1cm、厚さ250μmの棒状に加工したシート状のPETフィルムであり、4隅の角を面取りして口を傷つけないようにした。担体Aの材質は、反射率90%の白PETを使用した。このPET基板の片端に唾液を保持できる吸水性物質(検体採取部(2))を設置し、舐める或いは口に咥えるだけで唾液を採取しやすい唾液採取器具を作製した(図15)。
【0077】
(実施例2−2)ホルダの作製
測定器の転写システムを唾液で汚染せずに担体A(1)上の検体採取部(唾液保持部)(2)と試薬保持部(7)を接触させるために、ホルダを作製した(図16〜18)。ホルダにはアミラーゼ測定試薬を含む試薬保持部(7)が貼り付けられており、このホルダに実施例2−1で記述したシート状の担体A(1)が装填されており、担体A(1)をスライドさせることでホルダ上の試薬保持部(7)と検体採取部(2)が対向する位置で固定される。ホルダ上の試薬保持部(7)を圧力負荷具に設置することで試薬保持部が可動となり、この部分を押さえることで測定器に唾液が接触することなく検体採取部(2)に含まれる唾液が試薬保持部(7)に移動し、転写される。この試薬保持部を担持する圧力負荷具をバネ構造とすると、押さえた後には元の位置に戻ることができる。
これにより、測定器を汚染せずに転写操作及び試薬の吸光度変化を測定することができる。
【0078】
(実施例2−3)ホルダ
実施例2−1の担体A(1)上の検体採取部(2)を舐めた後にそのままホルダ内に装填するとホルダ内部から余分な唾液が漏れ出し測定器を汚染するため、ホルダ内に唾液拭き(16)を備えた。該唾液拭き(16)は、例えば凹凸構造とすることでその機能を達成することができる。また、ホルダの両端に返しの逆流防止弁(12)である凸部を設け唾液拭き部から唾液が漏れてもホルダ外へ漏れださない(図17)。
【0079】
(実施例2−4)ホルダ
ホルダは基板面(下部)(5)と該基板面を覆うカバー面(上部)(6)の2部品から成り、それらの接合はヒンジとピン形状の組合せにより作製した(図16、図18)。
【0080】
(実施例2−5)ホルダ
ホルダ内部にはスライダー(レール)(8)を設け、担体Aを引きこみ易くすることと担体のガタツキをなくした(図17)。
これにより、測定器のキャリブレーションは、試薬保持部ではなく唾液担体Aで行うことができる。
【0081】
(実施例2−6)ホルダ
試薬保持部の反射率を測定するための測定孔(9)の大きさを、直径又は一辺が1mm〜10mmの円または多角形にすることで、誤って指が試薬と接触しない(図18)。
【0082】
(実施例2−7)アミラーゼ測定用キット
本実施例によるアミラーゼ測定用キットは、担体A及びホルダを最低限の構成要素とする。
唾液などの担体A(1)は、舐める或いは口に咥え易くするために細長い長方形をした短冊状のシート状担体であって、長さ12cm、幅1cm、厚さ250μmの大きさである。担体Aには、略先端部に検体採取部(2)を配置し、検体採取部とホルダの試薬保持部との面接触を可能とするための制御構造として設けられた孔(4)、担体Aを押し込み、測定孔から試薬保持部の反応が見えるように担体Aを固定することを可能とするための制御構造として設けられた孔(4)及びゼロ調整するために担体Aを特定の位置に固定することを可能とするための制御構造として設けられた孔(4)を有する(図15)。
ホルダは、図16及び18に示したように担体Aよりも広い幅である長方形をした両端部開放型の担体である。基板面(5)と同外形のカバー面(6)を含み、カバー面(6)には試薬保持部(7)とスライダー(8)を有し、基板面(5)には測定孔(9)を有する。また、ホルダに設けられた担体Aの導入口をホルダ部よりも広くすることで、ホルダ内部で、検体保持部に保持された唾液による汚染を防ぐことができる(図16〜18)。
【0083】
(試験例2)
1.被検者20名の唾液を採取した。
2.自動分析装置80FR-NEO(東芝)でこれらの唾液アミラーゼ活性を1%BSA溶液で100倍希釈して測定した。
3.40mMのGal−G2−CNP、150mMのKSCN、150mMのマルトース1水和物を溶解した溶液を、東洋濾紙No.50(東洋濾紙(株))に含浸させて試験紙を作製した。
4.唾液アミラーゼ測定キットの検体(唾液)保持部に、1.で採取した唾液(原液)を吸収させた後、検体採取器具を引き込み転写位置にセットした。この状態で測定器にセットした。
5.測定器を用いて10秒間転写した後、転写開始から30秒目の吸光度を470nmの波長で測定した。以上の操作は、図19に示す手順で行った。
その結果、唾液が測定器に接触することなく測定できた。測定結果を図20に示した。
【産業上の利用可能性】
【0084】
上記したごとく、本発明の基質である修飾オリゴ糖を支持体に担持させた酵素法によるアミラーゼ測定用試薬を含むキットを使ってアミラーゼ活性を測定すれば、きわめて簡便に迅速に効果的にアミラーゼ活性を測定することが可能である。その結果、短時間に被検者のストレスを判定する技術を確立することができる。このような測定系は、健康診断、ストレス治療へのフィードバック、ストレスに関する新薬開発及び動物実験、ストレス関連業務の管理(ドライバーの安全確保)、いじめ対策、専門職登用等のストレス判定、意思伝達困難者の精神チェック(赤子、ペット、老人、身障者)、ストレス開放度の判断による観光地及びレジャー施設の評価(温泉の評価)、ストレス判定よる嘘発見器等ストレスに関連した判定を極めて簡便に達成できるものであり、社会的ニーズの極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】ホルダーの上面図(左)及び内部構造図(右)である。(実施例1−4)
【図2】検体採取時の採取担体及びホルダーの内部構造図(左)及び横断面図(右)である。(実施例1−4)
【図3】採取担体のホルダー内装填時及び折り曲げ時の内部構造図(左)及び横断面図(右)である。(実施例1−4)
【図4】唾液などの検体を保持する検体採取部と試薬保持部の圧着時(転写)を示す。(実施例1−4)
【図5】担体Aをスライドさせた測定時を示す。(実施例1−4)
【図6】ホルダーの上面図(左)及び内部構造図(右)である。(実施例1−5)
【図7】検体採取時の採取担体及びホルダーの内部構造図(左)及び横断面図(右)である。(実施例1−5)
【図8】唾液などの検体を保持する検体採取部と試薬保持部の圧着時(転写)を示す。(実施例1−5)
【図9】担体Aをスライドさせた測定時を示す。(実施例1−5)
【図10】検量線を示す図。(試験例1−3)
【図11】試験例1−4のアミラーゼ活性の測定値。データの8:00は8時、8:15は8時15分、9:30は9時30分、10:45は10時45分、11:45は11時45分、11:50は11時50分、12:25は12時25分に測定したことを意味する。データの6:15は6時15分、6:30は6時30分、8:00は8時、8:40は8時40分、9:10は9時10分、9:40は9時40分に測定したことを意味する。図中アミラーゼ活性の単位は、kIU/Lである。
【図12】試験例1−5のアミラーゼ活性の測定値の図。図中アミラーゼ活性の単位は、kIU/Lである。
【図13】試験例1−5の閑散としたバスに乗車した場合のアミラーゼ活性の変異。
【図14】試験例1−5の混雑としたバスに乗車した場合のアミラーゼ活性の変異。
【図15】担体A(唾液検体採取器具)を示す図である。(実施例2−1)
【図16】ホルダのカバー面を示す図である。(実施例2−2,4)
【図17】ホルダのカバー面の横面を示す図である。(実施例2−2,5)
【図18】ホルダの基板面を示す図である。(実施例2−2,4,6)
【図19】唾液アミラーゼ測定キットの使用方法を示す図である。(試験例2)
【図20】試験例2で得られた測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1 検体採取部を担持する担体(担体A)
2 検体採取部
3 切込み(制御構造)
4 孔(制御構造)
5 基板面
6 カバー面
7 試薬保持部
8 スライダー
9 測定孔
10 爪(制御構造)
11 シート固定ピン
12 逆流防止弁
13 勘合部
14 シート抜け防止ピン
15 ガイドレール
16 唾液拭き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部と第2の端部を有し、第1の端部にアミラーゼを含有する検体を採取する検体採取部を担持し、折り畳み線において検体採取部を担持する面を山にして折り畳み可能な担体、及び、前記担体をスライド可能に装填し、かつアミラーゼと基質反応をする試薬を保持する試薬保持部を有するホルダを含有するアミラーゼ活性測定キットであって:
前記ホルダは、基板面とカバー面を有する両端部開放型であり、カバー面上に前記試薬保持部を備えてなり、基板面上で前記カバー面の試薬保持部の対向する位置に測定孔を備えてなり;
前記担体は、制御構造を設けてなり;
前記ホルダは、前記担体に設けられた制御構造と適合可能な相応制御構造を設けてなるものであって;
前記制御構造及び相応制御構造は検体採取部と試薬保持部との面接触を可能とする位置での担体の位置決めを可能とし、かつ、前記測定孔から試薬保持部の反応が見えるように担体の固定を可能とするものであり;
検体採取部と試薬保持部との面接触を可能とする位置で担体の位置決めをした際に、折り畳み線において検体採取部を担持する面を山にして担体を折り畳むと、第2の端部から検体採取部を試薬保持部に押圧可能となる;
アミラーゼ活性測定キット。
【請求項2】
請求項1に記載のアミラーゼ活性測定キットを使用する、アミラーゼ活性の測定方法であって、下記工程:
(1)ホルダから担体の検体採取部を突出させた状態で採取した検体を、検体採取部に吸収させる工程;
(2)担体の検体採取部がホルダの試薬保持部と対向する位置に担体をスライドさせ、折り畳み線において検体採取部を担持する面を山にして担体を折り畳み、第2の端部から検体採取部を試薬保持部に押圧することにより、検体採取部に吸収させた検体を試薬保持部に転写させる工程;
(3)測定孔から試薬保持部の発色の変化を測定する工程;
を実施するアミラーゼ活性の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−65980(P2009−65980A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310676(P2008−310676)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【分割の表示】特願2003−362805(P2003−362805)の分割
【原出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【出願人】(305060567)国立大学法人富山大学 (194)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】