説明

アモルファスアルファ−(N−スルホンアミド)アセトアミド化合物の生物学的に利用可能なカプセル組成物

活性化合物(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドならびにポリエチレングリコール(PEG)およびビタミンEポリエチレングリコールスクシネート、ならびにポリビニルピロリドン(PVP)かコポビドン(PVP−ポリビニルアセテート)のどちらかを含み、クエン酸含有または不含の医薬カプセル組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮出願番号第61/169,061号(2009年4月14日出願)の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ベータアミロイドペプチド産生阻害化合物(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドを含む医薬製剤に関連し、より具体的には、(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドを1つまたはそれ以上の医薬的に許容される重合体と共に含み、長期間の保存に安定であり、優れたインビボにおける吸収性を有して経口投与が可能である医薬カプセル組成物に関連する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
アルツハイマー病(AD)は進行性の神経変性疾患であり、記憶障害に始まり、重篤な認知障害、行動異常、および運動機能低下へと進行する(Grundman, M. et al., Arch. Neurol., 61:59-66 (2004); Walsh, D.M. et al., Neuron, 44:181-193 (2004))。それは最も多い形態の認知症であり、心臓障害および癌に続く3番目に多い死因となっている。ADの代償は甚大であり、患者およびその家族の苦しみならびに患者およびその介護者の生産性の低下が含まれる。ADを効果的に予防する、または臨床症状およびその原因となる病態生理を回復させる治療は今のところ存在しない。
【0004】
認知症患者のADの最終診断には、剖検における老人斑および神経原線維変化の数および局在の病理組織学的評価が必要である(Consensus recommendations for the postmortem diagnosis of Alzheimer’s disease. Neurobiol. Aging, 18:S1-S2 (1997))。同様の変化がトリソミー21(ダウン症)の患者に見られる。老人斑は主にβ−アミロイド(Aβ)ペプチドからなり、Aβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)のβ−サイトAPP−切断酵素(BACE)(N−末端を形成)およびγ−セクレターゼ(C−末端を形成)による段階的なタンパク質分解的切断により産生される(Selkoe, D.J., Physiol Rev., 81:741-766 (2001))。γ−セクレターゼは膜貫通タンパク質複合体であり、ニカストリン、Aph−1、PEN−2、およびプレセニリン−1(PS−1)またはプレセニリン−2(PS−2)のいずれかを含む(Wolfe, M.S. et al., Science, 305: 1119-1123 (2004))。PS−1およびPS−2はγ−セクレターゼの活性部位を含むと考えられている。
【0005】
Aβ40は産生されるAβの最も多い形態であり(80−90%)、一方でAβ42はAD病変形成に最も密接に関連する。特に、稀な家族性の形態のADを引き起こすAPP、PS−1、およびPS−2遺伝子における変異は、Aβ42が主要な毒性種として凝集することで発症に関与する(Selkoe, D.J., Physiol. Rev., 81:741-766 (2001))。最近の証拠により、オリゴマー、プロトフィブリル、および細胞内Aβ42が疾患の過程に重要な役割を果たすことが示唆されている(Cleary, J.P. et al., Nat. Neurosci., 8:79-84 (2005))。Aβ42を形成する酵素、例えばγ−セクレターゼの阻害剤は、AD治療のための強力な疾患修飾薬となる可能性を有する。
【0006】
γ−セクレターゼはAPPに加え、様々なI型膜貫通タンパク質を切断する(Pollack, S.J. et al., Curr. Opin. Investig. Drugs, 6:35-47 (2005))。これらの切断の大半における生理的意義は不明であるが、遺伝学的証拠により、γ−セクレターゼによるNotchの切断がNotchシグナリングに必要であることが示唆されている(Artavanis-Tsakonas, S. et al., Science, 284(5415):770-776 (1999); Kadesch, T., Exp. Cell Res., 260(1):1-8 (2000))。γ−セクレターゼ阻害剤を投与したげっ歯類において、薬剤−関連毒性が消化管(GI)、胸腺、および脾臓で確認された(Searfoss, G.H. et al., J. Biol. Chem., 278: 46107-46116 (2003); Wong, G.T. et al., J. Biol. Chem., 279:12876-12882 (2004); Milano, J. et al., Toxicol. Sci., 82:341-358 (2004))。これらの毒性はNotchシグナリングの阻害に関連していると考えられる(Jensen, J. et al., Nat Genet., 24:36-44 (2000))。
【0007】
メカニズムに基づく毒性の同定は、許容可能な治療指数がγ−セクレターゼ阻害剤により達成できるかという疑問を呈する。Notch切断と比較してのAβ形成の選択的阻害、薬物動態、薬物蓄積および/または組織特異的な薬力が治療限界に影響し得る。
【0008】
γ−セクレターゼ阻害による脳内Aβレベルの減少がADの発症および進行を予防し得ることが証拠により示唆される(Selkoe, D., Physiol. Rev., 81:741-766 (2001); Wolfe, M., J. Med. Chem., 44:2039-2060 (2001))。他の疾患、例えば軽度認識障害(MCI)、ダウン症、脳アミロイド血管症(CAA)、レヴィー小体型認知症(DLB)、筋萎縮性側索硬化症(ALS−D)、封入体筋炎(IBM)、および加齢性黄斑変性症にAβのおける役割に関して新しいデータが出されている。有利なことに、γ−セクレターゼを阻害し、Aβ産生を減少させる化合物は、これらのまたは他のAβ−依存的疾患の治療に用いられ得る。
【0009】
Aβの過剰な産生および/またはクリアランスの減少はCAA(Thal, D. et al., J. Neuropath. Exp. Neuro., 61:282-293 (2002))を引き起こす。これらの患者において、血管アミロイド沈着が血管壁の変性を引き起こし、高齢患者における出血性卒中の10−15%の原因は動脈瘤である可能性がある。ADと同様に、Aβをコードする遺伝子における変異がオランダ型脳出血アミロイドーシスと呼ばれるCAAの早期発症を引き起こし、この変異タンパク質を発現するマウスは患者と同様のCAAを発症する。γ−セクレターゼを特異的な標的とする化合物はCAAを減弱または予防し得る。
【0010】
DLBは幻視、妄想、およびパーキンソニズムを症状とする。興味深いことに、Aβ沈着を引き起こす家族性AD変異は、レヴィー小体およびDLB症候をも引き起こし得る(Yokota, O. et al., Acta Neuropathol. (Berl.), 104:637-648 (2002))。さらに、孤発性DLB患者はADと同様のAβ沈着を有する(Deramecourt, V. et al., J. Neuropathol. Exp. Neurol., 65:278-288 (2006))。これらのデータに基づくと、AβはDLBにおけるレヴィー小体病理を促進すると考えられ、故にγ−セクレターゼ阻害剤はDLBを減弱または予防し得る。
【0011】
ALS患者の約25%が重篤な認知症または失語症を呈する(Hamilton, R.L. et al., Acta Neuropathol. (Berl.), 107:515-522 (2004))。これらの患者の大部分(〜60%)(ALS−Dとする)は主にTDP−43タンパクからなるユビキチン−陽性封入体を有する(Neumann, M. et al., Science, 314:130-133 (2006))。ALS−D患者の約30%がその認知症を引き起こすAβと一致するアミロイド斑を有する(Hamilton, R.L. et al., Acta Neuropathol. (Berl.), 107:515-522 (2004))。これらの患者はアミロイドイメージング試薬で同定可能であり、γ−セクレターゼ阻害剤で治療できる可能性が高い。
【0012】
IBMは稀な骨格筋の年齢依存的変性疾患である。IBMの筋肉におけるAβ沈着の出現および筋肉にAPPを過剰発現させたトランスジェニックマウスにおけるいくつかの病態の再現により、IBMにおいてAβが役割を有することが支持される(Murphy, M.P. et al., Neurology, 66:S65-S68 (2006)によりレビュー)。γ−セクレターゼを特異的な標的とする化合物はIBMを減弱または予防し得る。
【0013】
加齢性黄斑変性症において、Aβはドルーゼン、網膜色素上皮(RPE)下の細胞外沈着物のいくつかの成分に1つとして同定された(Anderson, D.H. et al., Exp. Eye Res., 78:243-256 (2004))。最近の研究により、マウスにおけるAβと黄斑変性の密接な関連が示された(Yoshida, T. et al., J. Clin. Invest., 115:2793-2800 (2005))。AD患者において、Aβ沈着および核白内障の増加が認められている(Goldstein, L.E. et al., Lancet, 361:1258-1265 (2003))。γ−セクレターゼを特異的な標的とする化合物は加齢性黄斑変性症を減弱または予防し得る。
【0014】
腫瘍形成におけるNotchシグナリングの役割に基づくと、γ−セクレターゼを阻害する化合物は癌の治療のための治療薬としても有効であり得る(Shih, I.-M. et al., Cancer Res., 67:1879-1882 (2007))。
【0015】
γ−セクレターゼを阻害する化合物は、例えば多発性硬化症などにおける髄鞘形成の減少に伴う症状の治療にも有効であり得る(Watkins, T.A. et al., Neuron, 60:555-569 (2008))。
【0016】
ジョージタウン大学メディカルセンターの研究者による最近の研究により、γ−セクレターゼ阻害剤が外傷性脳損傷における長期的な損傷を防止し得ることが示唆された(Loane, D.J., et al., Nat. Med., 1-3 (2009))。
【0017】
Smith et al.は国際出願WO 00/50391(2000年8月31日公開)において、様々な疾患、特にアルツハイマー病および他のアミロイド沈着に関連する疾患の治療方法としてアミロイドβタンパクの産生調節に働く一連のスルホンアミド化合物を開示する。
【0018】
特許第11343279号(1999年12月14日公開)は、自己免疫疾患の治療に有用なTNF−α阻害剤である一連のスルホンアミド誘導体を開示する。
【0019】
Parker et al.は国際出願WO 03/053912(2003年7月3日公開)において、アルツハイマー病および他のβ−アミロイドペプチドが関連する病態の治療に有用なβアミロイド阻害剤として一連のα−(N−スルホンアミド)アセトアミド誘導体を開示する。
【0020】
今や、(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドとして知られるα−(N−スルホンアミド)アセトアミド化合物がアルツハイマー病および他のβ−アミロイドペプチドが関連する病態の治療に有用となる優れた特性を有することが発見された。この化合物は同時係属の米国特許出願番号第12/249,180号(2008年10月10日出願)において説明、記述されており、その内容の全体をここに取り込む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
不運なことに、(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドの水溶性は乏しく、しばしば、室温付近において<1μg/mLとされる。さらに、粒子径減少による生物学的利用能の相当な改善は示されていない。加えて、結晶形の化合物を含む固形の投与剤形は、経口投与時の生物学的利用能が低いことがイヌにおいて示されている。故に、医薬品有効成分の最適な曝露を得るためには活性化合物のアモルファス(非晶質)な形態が提供される必要があることが今や明らかとなった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
かくして、現在技術分野において必要なものは、活性化合物(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド(その医薬的に許容される塩を含む)および1つまたはそれ以上の医薬的に許容される重合体を含むカプセル製剤となる。これらの製剤は、好ましくは増強した生物学的利用能ならびに減弱した分解性を示すはずである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施態様の1つにおいて、本発明は(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、ポリエチレングリコール(PEG)、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート、ポリビニルピロリドン(PVP)およびコポビドン(PVP−ポリビニルアセテート)からなる群より選択される1個の結晶化抑制剤成分、ならびにクエン酸を含む医薬組成物が提供される。
【0024】
さらなる実施態様において、上記の組成物を含む医薬カプセル剤が提供される。この医薬カプセル剤は好ましくは硬ゼラチンカプセルである。
【0025】
(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドをPEG、ビタミンE PEGスクシネート、結晶化抑制剤成分およびクエン酸の混合物に可溶化することを特徴とする医薬組成物の製造方法もまた、本明細書で提供される。次の段階において、得られた混合物は医薬カプセルに被包される。
【0026】
本発明の別の態様の1つにおいて、(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、ポリエチレングリコール(PEG)、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート、ポリビニルピロリドン(PVP)およびコポビドン(PVP−ポリビニルアセテート)からなる群より選択される1個の結晶化抑制剤成分を含むがクエン酸を含まない医薬組成物が提供される。この実施態様において、上述の組成物を含む医薬カプセル剤もまた、提供される。この医薬カプセル剤は好ましくは軟ゼラチンカプセルである。
【0027】
(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドをPEG、ビタミンE PEGスクシネート、結晶化抑制剤成分のクエン酸不含混合物に可溶化することを特徴とする医薬組成物の製造方法もまた、本発明で提供される。次の段階において、得られた混合物は医薬カプセルに内包される。
【0028】
本発明のさらなる実施態様において、アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、軽度認知障害および/またはダウン症の治療方法またはその発症を遅延させる方法、ならびに頭部外傷、外傷性脳損傷および/またはボクサー認知症の治療方法であって、1つまたはそれ以上の上記実施態様に記載される治療上有効量の医薬カプセル剤を患者に投与することを特徴とする方法が提供される。
【0029】
本発明はこれら、および以下に記載される別の重要な分野に方向付けられる。
【0030】
(発明の詳細な説明)
式(I):
【化1】

を有する(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド(その医薬的に許容される塩を含む)は、アルツハイマー病(AD)または他のβ−アミロイドペプチドが関連する障害に罹患している、または罹患しやすい患者におけるAβ産生の阻害に有用であることが見出された。
【0031】
この化合物は化学式C2017ClFS、分子量520.88を有する。
【0032】
第1の実施態様において、約0.1から20%の活性化合物(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、および最大約90%のポリエチレングリコール(PEG)を可溶化剤として、最大約90%のビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)を相互可溶化剤/界面活性剤として、ポリビニルピロリドン(PVP)およびコポビドン(PVP−ポリビニルアセテート)からなる群より選択される約0.1から20%の1個の結晶化抑制剤成分、および約0.05から5%のクエン酸を安定化剤として含む組成物が提供される(特に断らない限り、成分のパーセンテージ(%)は重量/重量または「w/w」に基づいて提供される)。好ましくは、約0.1から20%の活性化合物、ならびに約35から90%のPEG、約2から60%のTPGS、約0.1から20%の結晶化抑制剤成分、および約0.05から5%のクエン酸を含む組成物が提供される。さらにより好ましくは、約0.1から10%の活性化合物、ならびに約50から85%のPEG、約5から40%のTPGS、約1から10%の結晶化抑制剤成分、および約0.05から1%のクエン酸を含む組成物が提供される。これらの組成物は、特に、以下に述べるように硬ゼラチンカプセル剤によく適合する。
【0033】
ポリエチレングリコール(PEG)成分はPEG 1450であることが好ましい。PEG 1450は活性成分の溶解性を増すことが示されている。それはPEG 3550、PEG 4000およびPEG 6000などの化合物よりも好ましい。活性化合物(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドは、約60℃において、PEG 1450中ではPEG 3350中に比べて約25から30%高い溶解性を有することが示されている。
【0034】
上述のように、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)は活性化合物の相互可溶化剤/界面活性剤として好ましい。いくつかの実施態様において、TPGSは本発明における単独の可溶化剤/界面活性剤として存在する。現在、TPGSを含む製剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート、例えばポリソルベート 80)などの別の界面活性剤を含む製剤に比べ、水による希釈後の不溶性活性化合物の沈殿物形成に対するより優れた耐性を提供することが示された。結晶状態の化合物の経口吸収性は高くないため、この性質により、より増強された経口吸収性が得られる。さらに、後述の表4に示されるように、安定性実験において、TPGSを含む製剤が、別の界面活性剤(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート、例えばポリソルベート 80)およびポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールブロック共重合体(例えば、ポロキサマー407またはPLURONIC(登録商標) F127)を含むカウンターパート製剤に比べて、より優れた安定性(即ち、活性成分からより少量の分解生成物が生じる)を有することが示された。
【0035】
該組成物の結晶化抑制剤成分は、ポリビニルピロリドン(PVP)およびコポビドン(PVP−ポリビニルアセテート)からなる群より選択される1個の成分である。結晶化抑制剤はPVPまたはPVP−ポリビニルアセテートのどちらかであることが好ましい。水溶性ポリビニルピロリドン(ポビドン)重合体およびポリビニルピロリドン−ポリビニルアセテート(コポビドン)共重合体は、投与剤形の保存中およびそれに次ぐ水による希釈において、活性化合物の結晶化に対するさらなる耐性を提供する。本発明の製剤で用いられるポリビニルピロリドン類(ポビドン類)の平均分子量は、約2,000から約54,000の範囲にあってもよいが、液体注入を確実にするためには好ましくは約2,000から30,000の範囲である。好ましいポリビニルピロリドン類はBASF CorporationによりKOLLIDON(登録商標) 12 PF、KOLLIDON(登録商標) 17 PF、KOLLIDON(登録商標) 25およびKOLLIDON(登録商標) 30の商標で販売されている。本発明の製剤で用いられるポリビニルピロリドン−ポリビニルアセテート(コポビドン類)の好ましい平均分子量は、液体注入を確実にするためには約45,000から70,000の範囲にある。好ましいポリビニルピロリドン−ポリビニルアセテート(コポビドン)は、KOLLIDON(登録商標) VA64の商標でBASF Corporationにより販売されている。本発明の製剤に含まれ得る代替の、あるいは追加の結晶化抑制剤は、例えば水溶性セルロースエーテル誘導体(例えば:ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)などである。
【0036】
上述のように、クエン酸は本発明の製剤に含まれ得る好ましい安定化剤である。活性化合物の別の医薬的に許容される安定化剤は、例えば種々の無機酸(例えば:塩酸など)または他の有機モノ−、ジ−もしくはトリ−カルボン酸(例えば:酢酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、コハク酸、酒石酸など)およびこれらの酸の塩(例えばクエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムなど)である。
【0037】
当業者に周知の医薬品グレードの増量剤および結合剤といった別の賦形剤も本発明の組成物に組み込まれてもよいが、これは任意である。本発明の組成物はまた、投与剤形を安定化させるための抗酸化剤を適宜含んでいてもよい。それらの例は、アスコルビン酸、BHA、BHT、没食子酸プロピル、ビタミンEなどである。
【0038】
上述の組成物を製造するために当業者に周知の種々の方法が用いられてもよい。化合物(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドは、当業者に周知の装置および方法を用いて、ポリエチレングリコール(PEG)、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート、結晶化抑制剤成分およびクエン酸の混合物溶液に高温において可溶化されることが好ましい。
【0039】
本発明のさらなる実施態様において、別の本発明の組成物の1つが提供される。この実施態様により、0.1から25%の活性化合物(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、ならびに最大約90%のポリエチレングリコール(PEG)を可溶化剤として、最大約90%のビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)を相互可溶化剤/界面活性剤として、ポリビニルピロリドン(PVP)およびコポビドン(PVP−ポリビニルアセテート)からなる群より選択される1個の結晶化抑制剤成分を含み、クエン酸を含まない組成物が提供される。好ましくは、約0.1から20%の活性成分、ならびに約5から75%のPEG、約5から75%のTPGS、約0.1から20%の結晶化抑制剤成分を含み、安定化剤クエン酸は含まない組成物が提供される。さらにより好ましくは、約0.5から20%の活性化合物、ならびに約10から30%のPEG、約45から75%のTPGS、約1から10%の結晶化抑制剤成分を含み、安定化剤クエン酸は含まない組成物が提供される。後述のように、これらの組成物は特に軟ゼラチンカプセルによく適合する。
【0040】
この実施態様において、PEG 400は、該活性薬剤化合物がこの賦形剤への優れた溶解性を有し、他の関連する可溶化剤(例えばPEG 1450、PEG 3550、PEG 4000、PEG 6000など)に比べ充填物の融点を下げることにより好ましい軟ゼラチンカプセル加工パラメーターを与えるため、可溶化成分として好ましい。
【0041】
相互可溶化剤/界面活性剤TPGS成分および結晶化抑制剤成分は前述の通りである。この実施態様において、特にコポビドン(PVP−ポリビニルアセテート)は結晶化抑制剤成分として好ましい。
【0042】
上述のように、この実施態様に記載の組成物にはクエン酸が含まれない。しかしながら、該投与剤形は、活性化合物の医薬的に許容される安定化剤、例えば種々の無機酸(例えば:塩酸など)または他の有機モノ−、ジ−もしくはトリ−カルボン酸(例えば:酢酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸など)および上記酸の種々の塩(例えばクエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムなど)を適宜含んでいてもよい。
【0043】
この実施態様に記載される製剤は、投与剤形を安定化させるための抗酸化剤も適宜含んでいてもよい。それらの例は、アスコルビン酸、BHA、BHT、没食子酸プロピル、ビタミンEなどである。該投与剤形はまた、軟ゼラチンカプセルに被包する際の物理的安定性を得るためのグリセリンおよび/または別の適切な可塑剤を含んでいてもよい。
【0044】
上述のさらなる実施態様に記載される組成物を製造するため、当業者に周知の種々の製造方法が用いられる。活性化合物(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドは、当業者に周知の装置および方法を用いて、ポリエチレングリコール(PEG)、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート、結晶化抑制剤成分の混合物溶液に高温において可溶化されることが好ましい。
【0045】
本明細書中の様々な実施態様に記載される組成物は、次いで、経口投与のためのカプセルなどの個別の単位に適応させてもよい。これらのカプセルは硬質でも軟質でもよい。例えば、経口投与のためのカプセルの形態に、活性薬剤を含む本発明の組成物をそのまま用いてもよく、あるいは、経口用の無毒な医薬的に許容される不活性な担体(例えばエタノール、グリセロール、グリセリン、水など)とさらに混合してもよい。本発明の組成物は液体、半固形物または固形マトリックスとしてカプセルに被包することができる。粉末、例えば本発明の組成物または活性化合物を適切な粒子径に細かく砕き、必要なら、さらに同様に細かく砕いた医薬的に許容される担体(例えばデンプン、マンニトールなどの食用の炭化水素)と混合することによる粉末が好ましい。
【0046】
次いで、作成したゼラチンの鞘もしくは殻に充填することによりカプセルを製造することができる。ゼラチンに加え、カプセルの鞘または殻用の別の材料として、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、セルロース、メチルセルロース、デンプン、その他の原料、および前述のいずれかの混合物が挙げられる。
【0047】
当業者に周知のカプセル剤(硬質および軟質)の別の製造方法を用いてもよい。望ましい場合、香料、保存剤、分散剤、着色剤も用いてもよい。流動促進剤および滑沢剤、例えばコロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固形のポリエチレングリコールを充填作業前に混合物に加えてもよい。崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムもまた、カプセル服用時の薬物の利用能の改善のために加えられてもよい。さらに、望ましいまたは必要な場合、適切な追加の結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤を混合物に組み込んでもよい。適切な結合剤は、例えばデンプン、ゼラチン、天然糖(例えばブドウ糖またはベータ−乳糖)、トウモロコシ甘味料、天然および合成ゴム(例えばアラビアゴム、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどである。これらの投与剤形に用いられ得る滑沢剤は、例えばオレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどである。崩壊剤は、例えば、限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベトナイト、キサンタンゴムなどである。
【0048】
例えば硬ゼラチンカプセルはゼラチン−ベースの溶液で、またはHPMCカプセルはHPMC−ベースの溶液で、ツーピースカプセルに閉じてもよい。限定されない例として、それぞれ約5mg、約10mg、約20mgおよび約50mgの活性化合物(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドを含む医薬カプセルは本明細書中に記載の組成物を用いて製造することができる。他の投与単位も本発明の範囲に包含される。
【0049】
特に、(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドを含むカプセル剤は、インビトロにおける優れた溶解速度、およびイヌにおける経口投与時の優れた生物学的利用能を有することが示されている。より重要なのは、本発明の様々な実施態様における組成物がカプセル機構を用いて経口で送達された際に、ヒトにおいて一貫した優れた生物学的利用能を有することが示されていることである。インビトロ実験において観察された夥しい薬剤の沈殿化(後述の表5を参照)およびインビトロ−インビボ相関がないことに基づくと、この強化された生物学的利用能は予想外のものである。
【0050】
(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドを含む本発明のカプセル組成物は保存に関して非常に安定であり、優れた長期に渡る化学的および物理的安定性を示す。これは、約25℃/60%の相対湿度下において密閉容器内で保存した際、または30℃/65%の相対湿度下で同様に保存した際に、それらの組成物が少なくとも約12ヶ月間、好ましくは少なくとも約24ヶ月間、ほとんど(約5%未満)分解を示さないことを意味する。
【0051】
本発明のさらなる実施態様において、アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、軽度認知障害および/またはダウン症の治療または発症の遅延、および頭部外傷、外傷性脳損傷および/またはボクサー認知症の治療のための方法であって、1つまたはそれ以上の上記の実施態様による治療上有効量の医薬カプセル剤を患者に投与することを特徴とする方法が提供される。患者においてアルツハイマー病を治療する方法であって、1つまたはそれ以上の上記の実施態様による治療上有効量の医薬カプセル剤を該患者に投与することを特徴とする方法も提供される。さらに、γ−セクレターゼ酵素の機能を阻害する方法であって、1つまたはそれ以上の上記の実施態様による治療上有効量の医薬カプセル剤によりγ−セクレターゼに接触する方法も提供される。また、患者におけるβ−アミロイドペプチドの産生を阻害する方法であって、1つまたはそれ以上の上記の実施態様による治療上有効量の医薬カプセル剤により患者においてγ−セクレターゼに接触する方法も提供される。さらに、患者におけるβ−アミロイドペプチドの産生を阻害する方法であって、1つまたはそれ以上の上記の実施態様による治療上有効量の医薬カプセル剤を該患者に投与することを特徴とする方法も提供される。用語「治療上有効量」は、該方法において、患者利益、即ち症状または疾患の根本治療に十分な活性化合物の総量を意味する。単独投与される個々の活性成分に適用される場合、該用語は成分単独を意味する。組み合わせで投与される場合、該用語は、組み合わせ、時間差または同時に投与されるかにかかわらず、治療効果を引き出す活性成分の組み合わせの量を意味する。
【実施例】
【0052】
以下の実施例は本発明の様々な態様を説明するものであり、その範囲を限定すると解釈されるものではない。
【0053】
実施例1
【表1】

製剤#1硬ゼラチンカプセル剤の製造工程
1.PEG 1450を計量容器に加え、高温(例えば65℃)で混合して融解し、溶液を得る。
2.TPGSを融解し、計量容器に移し、高温で(例えば65℃)混合し、溶液を得る。3.クエン酸無水物を計量容器に加え、高温(例えば65℃)で混合して溶解し、溶液を得る。
4.ポビドン(PVP) K12を計量容器に加え、高温(例えば65℃)で混合して溶解し、溶液を得る。
5.活性化合物を計量容器に加え、高温(例えば65℃)で混合して溶解し、溶液を得る。
6.適量の溶液を高温(例えば65℃)でカプセルに充填する。
7.カプセルをゼラチンで閉じる。
【0054】
実施例2
【表2】

製剤#2硬ゼラチンカプセル剤の製造工程
1.PEG 1450を計量容器に加え、高温(例えば65℃)において混合して融解し、溶液を得る。
2.TPGSを融解し、計量容器に移し、高温(例えば65℃)で混合し、溶液を得る。3.クエン酸無水物を計量容器に加え、高温(例えば65℃)で混合して溶解し、溶液を得る。
4.コポビドン(PVP VA64)を計量容器に加え、高温(例えば65℃)で混合して溶解し、溶液を得る。
5.活性化合物を計量容器に加え、高温(例えば65℃)で混合して溶解し、溶液を得る。
6.適量の溶液を高温(例えば65℃)でカプセルに充填する。
7.カプセルをゼラチンで閉じる。
【0055】
実施例3
【表3】

製剤#3軟ゼラチンカプセル剤の製造工程
1.PEG 400およびコポビドン(PVP VA64)を計量容器に加え、高温(例えば35−40℃)で混合し、溶液を得る。
2.TPGSを融解し、計量容器に移し、高温(例えば35−40℃)で混合し、溶液を得る。
3.活性化合物を計量容器に加え、高温(例えば35−40℃)で混合して溶解し、溶液を得る。
6.ゼラチン溶液および製剤充填溶液をエンカプスレーター内に移し、適量の製剤充填溶液を高温(例えば35−40℃)で軟ゼラチンカプセルに被包する。
7.カプセルを乾燥する。
8.カプセルの仕上げの洗浄を行う。
【0056】
実施例4
【表4】

【0057】
実施例5
【表5】

【0058】
実施例6
【表6】

【0059】
実施例7
【表7】

【0060】
実施例8
【表8】

【0061】
実施例9
【表9】

【0062】
上述の説明は単に例示目的にすぎず、決して本発明の範囲または根本的な概念を限定すると理解されるべきではない。実際、本明細書中で示され、記載されたものに加え、本発明の種々の変法は以下の実施例および上記の説明により当業者に明らかとなるであろう。かかる変法もまた、添付される請求項の範囲に包含されると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.1から20%の(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、最大約90%のポリエチレングリコール(PEG)、最大約90%のビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、ポリビニルピロリドン(PVP)およびコポビドン(PVP−ポリビニルアセテート)からなる群より選択される約0.1から20%の結晶化抑制剤成分;および約0.05から5%クエン酸を含む医薬組成物。
【請求項2】
約0.1から20%の(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、約35から90%のPEG、約2から90%のTPGS、約0.1から20%の該結晶化抑制剤成分;および約0.05から1%のクエン酸を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
約0.1から10%の(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、約50から85%のPEG、約5から40%のTPGS、約1から10%の該結晶化抑制剤成分;および約0.05から1%のクエン酸を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
約8%の(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、約81.9%のPEG、約5%のTPGS、約5%の該結晶化抑制剤成分;および約0.1%のクエン酸を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
約8%の(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、約53.7%のPEG、約33.2%のTPGS、約5%の該結晶化抑制剤成分;および約0.1%のクエン酸を含む、請求項3の医薬組成物。
【請求項6】
該PEGがPEG1450である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
該結晶化抑制剤成分がPVPである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
該結晶化抑制剤成分がコポビドンである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項3に記載の組成物を含む医薬カプセル剤。
【請求項10】
該カプセルがゼラチンを含む、請求項9に記載の医薬カプセル剤。
【請求項11】
該カプセルが硬ゼラチンカプセルである、請求項10に記載の医薬カプセル剤。
【請求項12】
該(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドが該PEG、TPGS、結晶化抑制剤成分およびクエン酸に可溶化されている、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
約0.1から25%の(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、最大約90%のポリエチレングリコール(PEG)、最大約90%のビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、ポリビニルピロリドン(PVP)およびコポビドン(PVP−ポリビニルアセテート)からなる群より選択される約0.1から20%の結晶化抑制剤成分を含むが;ただし、クエン酸は含まない医薬組成物。
【請求項14】
約0.1から20%の(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、約5から75%のPEG、約5から75%のTPGS、約0.1から20%の上記の結晶化抑制剤成分を含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
約0.5から20%の(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、約10から30%のPEG、約45から75%のTPGS、および約1から10%の該結晶化抑制剤成分を含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
約15%の(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミド、約20%のPEG、約60%のTPGS、および約5%の該結晶化抑制剤成分を含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
該結晶化抑制剤成分がコポビドンである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
該結晶化抑制剤成分がコポビドンである、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
該PEGがPEG400である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項20】
該PEGがPEG400である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項21】
請求項15に記載の組成物を含む医薬カプセル剤。
【請求項22】
該カプセルがゼラチンを含む請求項21に記載の医薬カプセル剤。
【請求項23】
該カプセルが軟ゼラチンカプセルである請求項22に記載の医薬カプセル剤。
【請求項24】
該カプセル剤および該組成物が少なくとも約12ヶ月間安定保存可能である請求項23に記載のカプセル剤。
【請求項25】
該カプセル剤および該組成物が少なくとも12ヶ月間安定保存可能である請求項24に記載のカプセル剤。
【請求項26】
該カプセル剤および該組成物が少なくとも12ヶ月間安定保存可能である請求項11に記載のカプセル剤。
【請求項27】
該カプセル剤および該組成物が少なくとも24ヶ月間安定保存可能である請求項26に記載のカプセル剤。
【請求項28】
(2R)−2−[[(4−クロロフェニル)スルホニル][[2−フルオロ−4−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]メチル]アミノ]−5,5,5−トリフルオロペンタンアミドをPEG、TPGS、ならびにPVPおよびコポビドンからなる群より選択される1個の結晶化抑制剤成分の混合物に溶解することを特徴とする医薬組成物の製造方法。
【請求項29】
さらに該組成物を医薬カプセルに添加する段階を特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、軽度認知障害および/またはダウン症の治療または発症の遅延のための方法、および頭部外傷、外傷性脳損傷および/またはボクサー型認知症の治療のための方法であって、請求項1から13に記載の組成物を含む医薬カプセル剤の治療上有効量を患者に投与することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2012−524092(P2012−524092A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506123(P2012−506123)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/030862
【国際公開番号】WO2010/120755
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】