説明

アモルファス鉄心製造方法及び製造装置

【課題】
アモルファス鉄心製造工程のひとつであるアモルファスシート材の切断工程において、切断回数や重ね合わせ枚数が増えることによって切断刃である上刃と下刃が摩耗して切断に支障をきたしていた。
従来は、摩耗した上刃と下刃を取外し、研磨した後、再び上刃と下刃を取り付けていたが、研磨した量によって切断刃の厚みが薄くなり、上刃と下刃のクリアランスが広くなっていった。このクリアランスを修正すべくスペーサを入れるなどして適正なクリアランス量に調整する必要があり、調整作業に多くの時間を要していた。
【解決手段】
本発明は、切断装置において、上刃と上刃を固定する上刃固定板と、下刃と下刃を固定する下刃固定板とを有し、上刃は上刃固定板に外側よりボルトで締め付け固定し、下刃は下刃固定板に上刃の取り付け方向と逆方向に外側よりボルトで締め付け固定して取り付けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アモルファス鉄心の切断装置を備えた製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器市場は、省エネ法トップランナー基準の導入に伴い、高効率変圧器の製造が義務付けられた。その中でもアモルファス鉄心変圧器においては、電気を通すコイルが巻かれた鉄心部分にアモルファスシートを用いることで大幅な省エネ、高効率を実現するため、国内外からの需要が増大している。以上の背景によりアモルファス鉄心の安定した品質と納期に対応できるアモルファス鉄心製造ラインの構築が必須である。
【0003】
アモルファス鉄心製造工程のひとつであるアモルファスシート材の切断工程においてはアモルファスシートを数枚重ね合わせた状態で切断する。
上刃と下刃から構成される切断刃のかみ合わせ(以下、クリアランスという)の量が非常に重要であり、クリアランス量が多すぎると切断長にばらつきが出たり、重ね合わせたアモルファスシート材が途中までしか切断できず何枚か残ってしまうこともある。逆にクリアランス量が小さすぎると切断刃の摩耗の進行を早めることになり、切断刃の交換作業を頻繁に行わなければならないため、最適なクリアランス量に調整しなければならない。
【0004】
また、摩耗した切断刃を再び切断できるようにするには、摩耗した切断刃を取外し、新品の切断刃に交換すればクリアランス量は一定なので調整に時間を要することはない。しかし、切断刃を毎回新品に交換するのは高額になってしまうため、上刃と下刃を研磨して使用している。また、研磨した量によって切断刃の厚みが薄くなり、クリアランスの量も変わってしまうので、切断刃の交換の度にクリアランス量の調整作業が発生していた。
【0005】
また、特許文献1(実開昭58−47425号公報)には、上刃及び下刃を切刃面として取り付けてあるので、切断刃の研磨を行っても切刃間のクリアランスが変わらないスクラップカッタを提供することが開示されている。しかし、本発明の構成については何ら開示されていない。
【0006】
また、特許文献2(特開平9−201717号公報)には、アモルファス鉄心の製造において、アモルファスシート材の切断装置が記載されているが、本発明の上刃と下刃のクリアランスを考慮した取り付け方法については開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭58−47425号公報
【特許文献2】特開平9−201717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする課題は、上記したように、アモルファス鉄心製造工程のひとつであるアモルファスシート材の切断工程においては、上刃及び下刃の使用時のクリアランスの問題を有していた。
【0009】
本発明の目的は、何度も研磨して薄くなった上刃及び下刃でも当初のクリアランスを維持できる取り付け方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の別の目的は、従来のプレスによる切断より省エネに基づいて切断方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の目的を達成するために、複数枚のアモルファスシートを巻回したリールと、複数個のリールより繰り出した前記アモルファスシート材を合一し、該合一したアモルファスシート材をシート1枚毎に分離するシート分離装置と、該シート分離装置を通過したアモルファスシート材を再度合一し、該合一したアモルファスシート材を所定の寸法に切断する切断装置と、前記切断装置により切断した前記アモルファスシート材を鉄心1個分積層し、計量する計量装置とを備えたアモルファス鉄心製造装置において、前記アモルファスシート材切断装置は、切断刃である上刃と下刃と、該上刃を固定する上刃固定板と、該下刃を固定する下刃固定板とを有し、前記上刃は、前記上刃固定板に外側よりボルトで締め付け固定し、前記下刃は、前記下刃固定板に、該上刃の取り付け方向と逆方向に外側よりボルトで締め付け固定して取り付けることを特徴とする。
【0012】
また、上記アモルファス鉄心製造装置の切断装置において、前記切断刃である上刃は、斜めに傾斜して前記上刃固定板に取り付けることを特徴とする。
【0013】
さらに、複数枚のアモルファスシートを巻回したリールと、複数個のリールより繰り出した前記アモルファスシート材を合一し、該合一したアモルファスシート材をシート1枚毎に分離するシート分離装置と、該シート分離装置を通過したアモルファスシート材を再度合一し、該合一したアモルファスシート材を所定の寸法に切断する切断装置と、前記切断装置により切断した前記アモルファスシート材を鉄心1個分積層し、計量する計量装置とを備えたアモルファス鉄心製造方法において、前記アモルファスシート材切断装置は、切断刃である上刃と下刃と、該上刃を固定する上刃固定板と、該下刃を固定する下刃固定板とを有し、前記上刃は、前記上刃固定板に外側よりボルトで斜めに傾斜して締め付け固定し、前記下刃は、前記下刃固定板に、該上刃の取り付け方向と逆方向に外側よりボルトで締め付け固定して取り付け、前記アモルファスシート材を前記上刃と前記下刃に挿入し、該上刃を下降して該シート材に接触した点から切断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上の構成により、摩耗した切断刃を研磨し切断刃を交換する際に発生していたクリアランス調整を行う必要がなくなり、交換時間の短縮を図ることができる。その結果、アモルファス鉄心製造ラインの停止時間を短縮できることで生産性向上が図れる。
また、従来プレスで行っていた切断を、モータによる切断で実施することができ省エネが図れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の切断装置を備えたアモルファス鉄心の製造装置の一部を示す。
【図2】本発明のアモルファスシート材固定機構、シート材送り出し機構及び切断装置を示す正面図及び側面図である。
【図3】本発明の切断装置において、シート材を切断している状態を示す正面図である。
【図4】本発明の切断装置の外観を示す斜視図である。
【図5】本発明の切断装置において、切断刃を交換するときダイセットを引っ張り出した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の上刃と下刃をそれぞれ上刃固定板、下刃固定板に取り付ける状態を示す斜視図である。
【図7】従来の上刃及び下刃の取り付けを示す部分斜視図である。
【図8】本発明の上刃及び下刃の取り付けを示す部分断面図である。
【図9】本発明の上刃及び下刃を何度も研磨して厚みが薄くなった切断刃を取り付けた状態を示す部便断面図である。
【図10】本発明のシート材を切断する工程を示す切断刃近傍の側面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施するための形態を図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、アモルファス鉄心製造装置の前段のアモルファスシートの切断及び計量の工程を示す。
【0018】
図1において、1はアンコイラ装置で、3連1段の構成で、リール4,5,6にセットされたロール状アモルファスシート材7を回転して繰り出し、各リールはアモルファスシートを5枚重ねとし、これらのリールのシート材7を合一して15枚重ねのシート材を形成する。ここで、シート材の枚数は10〜20枚が適量で、少ないと加工及び作業効率が悪くなり、多いと切断が困難となり、またアンコイラ装置の設備が大となり設備費がかさむことになる。
【0019】
また、アンコイラ装置は、リールに巻回されたアモルファスシートの特性を調査しておいて、鉄心全体の損失特性が向上するように特性の異なるリールの配置を決めている。例えば、鉄心の内側には比較的損失特性の大きい材料を、鉄心の外側には比較的損失特性の小さい材料を配置したりしている。
【0020】
15枚合一したアモルファスシート材は、一枚毎に分離する分離装置8を通過させる。分離装置8はローラが複数個縦に並んだもので、このローラにアモルファイシートを1枚ずつ挟んで送り、くっついているシート材を1枚ずつ剥がしている。このようにシート材を1枚ずつ剥がすことによって幅方向に整列するときに容易に整列し易い。また、この分離装置8は、アンコイラ装置の後に設けているがこの箇所でなくても切断装置の後でも良い。
【0021】
分離装置8を通過したシート材7は、切断装置へ送り出す。
2は、アモルファスシート材を押さえ、送り出し、切断する機能を備えた切断一体装置で、10は切断装置である。11は制御装置で、アンコイラ装置1のリールの回転の制御、切断装置に送るシート材の送り量、切断するモータの制御、切断したシート材をクランプシリンダで引っ張るタイミングなどのコントロールを行っている。
【0022】
切断一体装置2の切断装置10で切断されたシート材は、次のシート材計量部3に送られる。シート材計量部3は、アモルファス変圧器の一個分の鉄心が積み上げられ、重量が計測する。
【0023】
シート材計量部3において、12,14は切断時等で整列されていないアモルファスシート材を両側から垂直に押し当てて整列させる整列装置で、3個所設置している。
13はクランプシリンダで、シート材を配置する背後に長手方向に設けられたレールの上を移動する支柱と連動して動作するように構成されている。レール上を移動、動作する支柱はリニアモータ等を用いて駆動する。
また、シート材計量部3において、切断されたシート材7をクランプシリンダ13により引っ張ってシート材積層体50の上に載置するとき、積層されたシート材50はテーブルが下降し、載置するように構成している。
【0024】
図2は切断装置10を示し、図2(a)は切断装置の正面図を示し、図2(b)はその側面図を示す。
図2において、切断装置10は、1個のモータで、切断刃の上刃を斜めに設置し下刃は水平に設置固定し、回転運動を直線運動に変換して上刃を両サイドから上下に駆動する機構を備えている。
36は、モータなどの駆動系を設置固定する固定板で、15は固定板36に固定したサーボモータ、17はベルトで、16はベルト17を掛け、モータ15の回転駆動を伝達するプーリ、18はプーリ16の対向した側に設けたプーリで、シャフト19により連結され、2つのプーリは同じ回転をしている。
【0025】
20,21は偏芯カムで、すなわち回転体を中心からずらして回転させるカムである。この偏芯カム20,21が回転すると、連結棒22,23は上下方向に同時に駆動する。連結棒22,23を同じに上下に駆動させるために両サイドの偏芯カム20,21は同じ配置にする。また、連結棒22,23には、それぞれ連結リング24,25が接続されている。上刃30は上刃固定板31に固定し、上刃固定板31は可動できる可動ベース41に固定する。そして、連結リング24,25は、可動ベース41の左右端の中央部より突出した突起軸60,61に係合している。この構成により連結棒22,23が上下すると、可動ベース41が上下し、上刃固定板31及び上刃30が上下に駆動する。
ここで、上刃30は図2(a)に示すように左側が下方となるように斜めに設置し固定する。この方向は逆にしても良く、効果は同じである。
下刃32は、上刃30の下側に水平方向に設置し、下刃固定板33に固定する。そして、上記の回転駆動系や切断刃はベース28の上部に載置する。
【0026】
上記したような切断刃の構成により、アモルファスシート材7は上刃30が接触する箇所から切り離されていき、上刃30が全て下刃32に達したとき切断完了となる。すなわち、この切断方法は鋏で切断するときと同じ原理で、プレスなどの刃全体を高圧力を掛けて切断するのとは異なり、片側から切断する方法のため切断のエネルギーを小さくできる。従って省エネになる。
【0027】
図2(b)において、26はアモルファスシート材7を押さえる押さえ機構部である。押さえ機構部26は、シート材送り出し機構部27によりアンコイラ側から切断装置側に移動するように構成する。すなわち、シート材押さえ機構部が26‘の位置にあった点からシート材送り出し機構部27により26の切断装置側の位置に移動した図を示している。
また、ここでは、アモルファスシート材を押さえる押さえ機構部26、シート材送り出し機構部27及びシート材の切断装置を一体にした装置を切断装置10としている。
【0028】
次にシート材7を切断している状態を図3に示す。
図3は、上刃30が下刃32と重なり、シート材7を切断している途中の状態の図である。上記の通り、上刃30を斜めに設置、固定しているため上刃30がシート材7に接触する部分からすなわち片側から切断されていき、上刃30が全て下刃32と重なったとき切断完了となる。そして、上刃30は上方へ引き上げられる。
【0029】
次に切断刃を交換する場合を、図4及び図5の切断装置10の外観を示す斜視図で説明する。
図4において、切断装置10は、ベース28の上に設置され、アモルファスシート材7は、ベース28の上部の端部に設けられたローラ9の上を流れ、水平方向に切断装置へ送られる。モータ15、回転するプーリ16及び偏芯カム21等の回転系は、固定板36に固定している。そしてこの固定板36の下側にダイセット34を設置し、ダイセット34内に上刃30、上刃固定板31、下刃32、下刃固定板33など切断刃を設置している。また、図4において、連結棒22,23には、それぞれ連結リング24,25が接続され、連結リング24,25はそれぞれ突起軸60,61に係合され、この突起軸61は直線孔51を上下移動する。
また、図4において、シート材7の上刃30の下方に切断跡を付しているが、これは切断している状態を分かりやすく示すために、上刃30を上方に配置した図としている。
【0030】
図5は、シート材7の切断刃を交換するときの状態を示す。切断刃の交換は、ダイセット34の上部の回転系を固定した固定板36とダイセット34とを切り離し、ローラコンベア29をベース28の上部に水平となるように組立てて設置し、切断刃を収納したダイセット34をローラコンベア29の上を滑らせて、作業し易い状態にして行う。また、ダイセット34を固定板36と切り離す際は、連結棒22,23の先端の連結リング24,25を突起軸60,61より外して、切り離し作業を行う。
ダイセット34は、シート材押さえ機構部26やシート材送り出し機構部27とも分離する構成にしている。
引き出されたダイセット34は、全体のケースを外し、切断刃の上刃及び下刃のボルトを外し、交換等を行う。
切断刃の交換等が終了したらダイセットのケースで切断刃を覆い、カバーが終了したらモータ等の固定板36の下方に戻し、ローラコンベア29をベース28から取り外し、連結棒22,23の先端の連結リング24,25を突起軸60,61に嵌めてセットする。
図5において、シート材が記されているが、ダイセット34を切り離すときと元に戻すときは、シート材7は外して作業する。
【0031】
次に、切断刃について図6〜図9を用いて説明する。
【0032】
図6は、切断刃の部分の外観を示す部分斜視図である。
図6において、上刃30と下刃32の間にシート材7を通し、シート材7は、クランププッシュ13により把持した状態で引っ張り、指定した切断長で停止させ切断する。
シート材7は、3連1段のアンコイラ装置から供給され、1つのリールが5枚重ねであるため切断時の枚数は15枚である。
また、上刃30は斜めに傾斜して上刃固定板31にボルト44で外側より固定する。
下刃32は、水平方向に下刃固定板33にボルト45で固定する。下刃固定板33はコ字形形状をしており、このコ字型形状の内側に上刃30の固定方向とは逆方向に外側より下刃32を固定する。そして下刃固定板33は固定ベース42に固定する。
アモルファスシート材7の枚数が15枚でも切断を繰り返していると、上刃30と下刃32は摩耗してくる。摩耗した刃は固定板から取り外して研磨して再度取り付けて使用する。研磨を何度も繰り返し使用すると、切断刃自体の厚みが薄くなっていく。薄くなると、切断刃の取り付けによってクリアランスの問題が生じてくる。
【0033】
また、図6において、切断刃である上刃及び下刃は、超硬合金で直方体形状を成している。そのため刃として使用できる箇所は直方体の長辺の4辺である。従って、刃を固定板より外して研磨して使用する前に、刃の4辺を使用し終わって、そのあと研磨して使用した方が製造コストは抑えられる。
【0034】
図7は、従来の切断刃の固定方法を示す。
図7において、30‘は上刃、31’は上刃固定板で、上刃30‘をボルト44’で内側から上刃固定板31‘に固定している。32’は下刃、33‘は下刃固定板で、下刃32’はボルト44‘で下刃固定板32’に内側から固定している。すなわち、上刃30‘と下刃32’はそれぞれ固定板31‘、33’に内側より固定している。
43‘は下刃32’の上下方向の位置を調整する調整ネジである。
【0035】
図7のように、従来の取り付け方法は、上刃及び下刃を何回も研磨を行い、薄くなった上刃及び下刃を使用すると、設置した後の上刃と下刃のクリアランスが段々大きくなる傾向になる。従って、シート材の切れが悪くなっていく。
【0036】
図8は、本発明の切断刃の取り付け方法を示す。
図8において、上刃30は上刃固定板31に上刃30が嵌る切り欠き部を設け、この切り欠き部に上刃30を当て、ボルト44で外側より固定する。下刃32は、下刃固定板33にボルト45で上刃30と取り付け方向と逆方向で外側より固定する。下刃固定板33は、コ字形形状を形成しコ字形形状の内側に下刃32を固定した状態で、固定ベース42に固定する。
このような上刃30と下刃32の取り付け方法により、上刃と下刃のクリアランスGを切断に最適な所定の寸法に設定することができる。
【0037】
次に、切断刃の上刃30と下刃32が研磨され、薄くなった場合の固定方法について図9を用いて説明する。
図9は、図8と同じ構成で、異なるのは上刃30と下刃32の厚みが減少した場合の取り付けを示している。図8と同じように、上刃30は上刃固定板31の切欠き部にボルト44で外側より刃を下に向け固定する。下刃32はコ字形形状の内側に刃を上に向けて、上刃の取り付けと逆方向でボルト45により固定する。
また、上刃30と下刃32は、何度も研磨された刃であるため最初の研磨される以前の刃と比較すると、厚みが薄くなっている。このような厚みが薄くなった上刃30と下刃32を取り付け固定した場合、上刃30と下刃32のクリアランスGは、図8の構成すなわち研磨前の構成と同じになる。すなわち、研磨後の上刃30、下刃32を使用してもクリアランスは変わらないという効果を有している。
【0038】
図10は、シート材7が切断刃により切断されていく過程を示した切断刃近傍の図である。
図10(a)はシート材の切断前の状態と示し、図10(b)は切断中の状態を示し、図10(c)は切断後の状態を示している。
図10(a)において、上刃30は、上刃固定板31の切り欠き部にボルト44により外側より固定する。上刃固定板31は、可動ベース41に固定する。可動ベース41の下方には、シャフト57を介してシート材7を押さえる押さえ板55を設けている。シャフト57はシャフトの周りに圧縮バネを配置した構成にしている。
下刃32は、下刃固定板33に上刃30の固定方向とは逆方向で外側からボルト44で固定する。そして、下刃固定板33は固定ベース42に固定し、固定ベース42の上部には可動ベース41の押さえ板55と対向する位置に、シート材受け板56を設ける。
調整ネジ43は、下刃32を上下方向に移動でき調整することが可能である。
この切断装置において、所定の切断長が決まると、シート材をクランプシリンダ13は引っ張るのを止める。そして、サーボモータ15が回転し、回転運動が偏芯カムにより上下する直進運動に変換され、可動ベース41がシート材7を押さえる方向に駆動し、シート材押さえ板55とシート材受け板56とで挟み固定する。
図10(b)は、シート材押さえ板55とシート材受け板56とで挟んで固定したシート材7を上刃30が下降し切断している状態の図で、上刃30を斜めに傾斜して取り付けているので、上刃30が全て下刃32の方向に下降してシート材7の切断が完了する。
図10(c)は、シート材7の切断を完了し可動ベース41が上昇し、同時に上刃30及びシート材押さえ板55が上昇し、シート材7が固定された状態から解放された状態を示している。この状態により切断された所定の寸法のシート材は、クランプシリンダ13により把持されて、シート材計量装置へ引っ張られ、積層載置される。
【符号の説明】
【0039】
1‥アンコイラ装置、 2‥シート材固定・送り出し・切断装置
3‥シート材計量装置 4、5,6‥プーリ 7‥アモルファスシート
8‥シート材分離装置 9‥ローラ 10‥切断装置
11‥制御装置 12‥アモルファスシート整列装置
13‥クランプシリンダ 14‥アモルファスシート整列装置
15‥サーボモータ 16‥プーリ 17‥ベルト
18‥プーリ 20,21‥偏芯カム 22,23‥連結棒
24,25‥連結リング 26,26‘‥シート材押さえ機構部
27‥シート材送り出し機構部
28‥切断装置ベース
29‥ローラ
30‥上刃 31‥上刃固定板
32‥下刃 33‥下刃固定板
34‥ダイセット 36‥モータ及び回転軸固定板
40‥クランプシリンダ
41‥可動ベース 42‥固定ベース 43‥調整ネジ
44‥上刃固定用ボルト 45‥下刃固定用ボルト
50‥シート材積層体 51‥直線孔
55‥シート材押さえ板 56‥シート材受け板 57‥シャフト
60,61‥突起軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のアモルファスシートを巻回したリールと、
複数個のリールより繰り出した前記アモルファスシート材を合一し、該合一したアモルファスシート材をシート1枚毎に分離するシート分離装置と、
該シート分離装置を通過したアモルファスシート材を再度合一し、該合一したアモルファスシート材を所定の寸法に切断する切断装置と、
前記切断装置により切断した前記アモルファスシート材を鉄心1個分積層し、計量する計量装置とを備えたアモルファス鉄心製造装置において、
前記アモルファスシート材切断装置は、
切断刃である上刃と下刃と、該上刃を固定する上刃固定板と、該下刃を固定する下刃固定板とを有し、
前記上刃は、前記上刃固定板に外側よりボルトで締め付け固定し、
前記下刃は、前記下刃固定板に、該上刃の取り付け方向と逆方向に外側よりボルトで締め付け固定して取り付けることを特徴とするアモルファス鉄心製造装置。
【請求項2】
請求項1記載のアモルファス鉄心製造装置の切断装置において、
前記切断刃である上刃は、斜めに傾斜して前記上刃固定板に取り付けることを特徴とするアモルファス鉄心製造装置。
【請求項3】
複数枚のアモルファスシートを巻回したリールと、
複数個のリールより繰り出した前記アモルファスシート材を合一し、該合一したアモルファスシート材をシート1枚毎に分離するシート分離装置と、
該シート分離装置を通過したアモルファスシート材を再度合一し、該合一したアモルファスシート材を所定の寸法に切断する切断装置と、
前記切断装置により切断した前記アモルファスシート材を鉄心1個分積層し、計量する計量装置とを備えたアモルファス鉄心製造方法において、
前記アモルファスシート材切断装置は、切断刃である上刃と下刃と、該上刃を固定する上刃固定板と、該下刃を固定する下刃固定板とを有し、前記上刃は、前記上刃固定板に外側よりボルトで斜めに傾斜して締め付け固定し、前記下刃は、前記下刃固定板に、該上刃の取り付け方向と逆方向に外側よりボルトで締め付け固定して取り付け、
前記アモルファスシート材を前記上刃と前記下刃に挿入し、該上刃を下降して該シート材に接触した点から切断することを特徴とするアモルファス鉄心製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−231028(P2012−231028A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98566(P2011−98566)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】