説明

アルカリ膜燃料電池のための触媒被覆膜(CCM)および触媒膜/層、ならびにそれらを作製する方法

銀カソード触媒を用いて設計されたアルカリ膜燃料電池は、銀金属ナノ粒子およびアニオン伝導イオノマーを含んだ触媒層を含む。銀ナノ粒子を、イオノマーの溶液と混合して、アルカリ膜に付着させる触媒インクを形成し、膜表面に超薄型カソード触媒層を形成する。一態様では、本発明は、アニオン伝導アルカリ膜とこの膜に隣接して付着させられた触媒層とを含むアルカリ膜燃料電池(AMFC)で使用される、触媒被覆膜(CCM)を提供する。触媒層は、金属ナノ粉末およびイオン伝導イオノマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年2月23日に出願された米国仮特許出願第61/154,622号に関し、この米国仮特許出願への優先権が主張され、その全体が本明細書に参考として援用される。本願は2009年6月3日に出願された米国特許出願第12/477,669号に関し、この米国仮特許出願への優先権が主張され、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、銀カソード触媒を用いて設計された、アルカリ膜燃料電池を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
アルカリ膜燃料電池は、原理上、(1種または複数の)液体電解質を添加することなく動作することができ、それによって、水酸化物イオン(OH)を伝導するように構成された十分水和したアニオン伝導膜のイオン伝導率に、完全に依拠する。液体電解質を含まない動作形態は、プロトン伝導膜電解質を用いるPEM燃料電池技術の幅広い選択肢が示すとおり、液体電解質をベースにした燃料電池に比べて強力な利点を有する。より確立され開発されたPEM燃料電池技術に比べ、アルカリ膜燃料電池(AMFC)には、高価な白金族の金属以外の触媒を使用することに関しおよび安価な金属ハードウェアを用いることに関し、大きな利点がある。例示的なAMFCは、2009年6月3日に出願されかつ本発明と同じ譲受人に譲渡された上述の米国特許出願第12/477,669号に記載されている。一方、AMFCは、より限定されたイオン伝導率を示すOHイオン伝導ポリマーのその使用から生じた、重要な課題をもたらす。さらに、動作中のAMFCの水位に対するこのイオン伝導率の高い感受性が、さらなる課題をもたらす。イオン伝導率の課題は、触媒コーティング膜(CCM)を形成するために膜電解質の主要表面に結合する2つの触媒層の、組成および製作形態で特に現れる。これらの組成および製作の課題は、触媒層内の有効比イオン伝導率が典型的には膜電解質の場合よりも1桁小さいので、AMFCの設計でより深刻になる。これは、触媒層のイオン性材料が、その全体積の一部しか満たさないからである。さらに、触媒とイオノマー材料との混合から生じるイオン性網状構造の形態の正確な詳細は、多量の触媒の利用に必要であるように、イオン性網状構造が触媒層の厚みを通して有効なイオンアクセスを可能にするか否かを決定する。
【0004】
図1は、多孔質炭素ガス拡散層(GDL)14と電池膜(膜)16との間の、触媒層内に配置されたイオン伝導ポリマー/イオノマー10(陰影付きぼかし)と金属触媒粒子12(球)との混合物から形成された従来技術の触媒層の略図を含む。望ましい触媒ミクロ構造では、図1に示されるように金属触媒12とイオノマー10との共生網状構造が、触媒層の厚さ寸法を通してそれぞれ良好な接続性をもたらしならびに触媒部位の大部分への良好なイオンアクセスをもたらすと予測することができる。図1に示されるように、イオノマーの体積分率は比較的高い。したがって、少なくとも原理上、この触媒層の有効イオン伝導率を予測することができる。この触媒層は、触媒混合物中の再流延されたイオノマーの高い分率を使用することに基づいてAMFC触媒のイオン伝導率を高める、現況技術の手法を反映する。しかし、図1の触媒構造には、かなりの欠点があるようである。例えば、高体積分率のイオン性材料10と金属触媒粒子12とは、図1の矢印20および22によって示されるように、互いに分離する傾向がある可能性があり、したがってガス拡散層14の面に沿った触媒粒子と電子電流コレクターとの電子的接触が、損なわれるようになる。その結果、これらの触媒粒子12は、全体的に不活性になる可能性がある。
【0005】
さらに、過剰な再流延されたポリマー電解質10のクラスト24が、図1に示されるように、触媒層の両方の主要表面に形成される傾向になる。これらのクラスト24は、それによって、触媒層と膜およびガス拡散層14との界面の性質を定める可能性がある。そのような界面クラスト24に関する潜在的な問題は、触媒層の活性部分における水位または水和の状態が、これら界面クラスト24の水輸送および水容量特性によって決定される可能性があることである。例えば、AMFCカソード触媒層とアルカリ電解質膜16との間に形成されたイオノマークラスト24のドライアウトは、このクラスト24が、層の触媒含有部分の有効な再水和の前提条件として再水和を必要とするので、触媒層の再水和速度を遅くする可能性がある。触媒層とガス拡散層との界面における過剰なイオノマーは、ガス拡散層と金属触媒粒子との間に高い電子抵抗を引き起こすことになり、電子的切断をもたらす可能性がある。
【0006】
これらの観察結果および議論から、OHイオン伝導イオノマーの最適な体積分率は、高度に機能するAMFCカソードを実現するために触媒インクの調製および付着を微細に調整するための基礎であり目的であるという結論を引き出すことができる。この目的は、達成することが難しいと分かっている。今日まで公表された関連ある報告は、白金(Pt)触媒を有するH/OAMFCが実現する最大電力密度が100〜200mW/cmであることを開示する。重要なことは、非貴金属触媒がPtカソード触媒に取って代わると、今日まで実現されてきた最大AMFC電力密度が約50mW/cmになることである。Ptで触媒されたPEMFCの場合に対してPt触媒を有するAMFCの比較的低い性能は、AMFC触媒層の結合剤およびイオン伝導体として使用される再流延されたイオノマー材料の、比較的低いイオン(OH)伝導率の結果であると理解されよう。OH伝導イオノマーのより低い伝導率から生じる、性能に不利な条件は、今日まで報告されてきた非Pt触媒の低い触媒活性によってさらに悪化する。これまで実現されてきた低いAMFC性能は、非Pt触媒を使用する中心的なAMFCの利点を実施化する能力に関し、深刻な疑いを投げ掛けている。
【0007】
明らかに、AMFC技術の実施を低減させる極めて重要な要件は、非Pt触媒、および再流延アルカリ電解質膜材料であって、触媒層を通して良好なイオンおよび電子の接続性を可能にしならびにイオノマークラストの形成を防止することになる材料に基づいた、最適な触媒層の組成および構造の開発である。さらに、別の極めて重要な要件は、十分広い表面積の触媒を、10マイクロメートル未満などの数マイクロメートルを超えない触媒層の全厚内にパッケージすることを含む。この要件を満たすことにより、触媒層の限られた厚さ全体が、活性触媒部位へのイオン経路の最大長をキャップするので、再流延したイオノマーの高い比伝導率に対する要求を和らげることができる。
【0008】
PEM燃料電池のCCM製作の、より十分に開発された領域では、選択される触媒が炭素担持Ptであった。さらに、選択される炭素担体は、Cabot Corporation、Billerica、Massachusettsから入手可能な製品である炭素XC−72であった。このタイプの高表面積炭素の重要な特徴は、その「全開放」構造である。炭素粉末を、DuPont、Wilmington、Delawareから入手可能な再流延したNafion(登録商標)と混合する。この複合混合物を薄層として下に置き、約50%の空隙率を維持する。ミクロンおよびサブミクロン規模での開放構造は、XC−72材料に起因する。触媒材料のこの高い空隙容量は、炭素と再流延されたイオノマーとの間の有効マイクロメートル規模の「混交」を実現する重要なイネーブラーになるようである。さらに、この「混交」構造は、ガスを複合触媒層内に浸透させるためのいくらかの開放スペースを残す鍵になるようである。
【0009】
AMFC設計で非Pt触媒を使用する最近の試みは、Pt触媒部位を有する同様の高表面積炭素担体であって、典型的には吸着され熱処理されたコバルト錯体をベースにした触媒中心に取って代わられるものを、かなりの程度までベースにしている。後者の場合、得られるAMFC性能は、触媒の相対的に非常に低い充填密度により、および炭素担持触媒の全重量の1%以下であるコバルト中心の重量%により、非常に低かった。その結果、触媒の厚い層は、活性触媒中心を十分含有する必要がある。再流延されたアニオン交換膜(AEM)材料の伝導率が制限されると、比較的厚い触媒層の厚さの中に十分位置付けられた多数の触媒部位への有効なアクセスは、維持できなくなる。
【0010】
原理上、分散されておりかつ担持されていない金属触媒を用いる触媒層は、触媒表面積のより密なパッケージングの要求に対する潜在的な解決策であり、それによって担持材料の体積が除外され、それによって、電子伝導材料により占有された体積は、金属触媒粒子で満たされる。この代替例の周知の欠点は、非担持金属粒子が凝集する傾向が高いので、非担持金属粒子のそのような金属「ブラック」で実現可能な分散の程度が、炭素担持触媒の場合に対して著しく小さいことである。
【0011】
上記考察は、AMFC設計の高性能CCMで用いる金属触媒の、ある一定の特徴が、触媒層で使用される再流延したイオノマーの伝導率および安定性の要件と、CCM製作の有効形態の要求との他にも、重要であり必要であることを示す。したがって、ある特徴および構造を有する非Pt金属触媒を提供し、かつPt触媒をベースにしたPEM燃料電池により発生させた電力密度と同じ程度のAMFC電力密度を実現するのに必要なある要件を満たす、AMFC設計および方法が、当技術分野では求められている。触媒に求められる特殊な形態的特徴に加え、AMFC用カソード触媒を調製するための特殊な金属が、求められた。この調査は、最適化された表面化学活性対酸素原子の必要性と、アルカリ膜媒体中の金属の安定性とによって、方向付けられた。
【0012】
AMFCで使用されるタイプの膜に触媒層を首尾良く適用する際の、1つのその他の極めて重要な因子は、触媒層−膜の界面での層間結合の品質である。触媒被覆膜(CCM)は、強力に変化する水和度も含めた長時間の電池動作に耐えなければならない。イオノマーの水和状態の繰り返される変化は、繰り返されるポリマーの寸法変化を引き起こし、その結果、界面結合が非常に堅牢でない限り、触媒/膜の界面に沿って層間剥離を引き起こすことになる。典型的なAMFC膜およびイオノマーは、ポリ(アリーレン)主鎖を有し、その結果、ポリマーの化学−熱安定性限界によって可能になる最高温での流れがほとんどない。これは、主流のプロトン伝導膜のパーフルオロカーボン主鎖と対比されることになる。後者では、化学−熱安定性限界の下で実現可能な触媒層および膜におけるイオノマー材料の著しい熱可塑性のおかげで、触媒層を膜にホットプレスすることによって堅牢な結合が生じる。熱可塑性のこの相違によって、主流のPEM燃料電池技術から触媒層/膜の積層プロセスを直接コピーすることが不可能になる。したがって、触媒層/膜の界面結合の代替方法は、AMFC CCM用に、かつイオノマー間の相互拡散が除外されたら、考え出さなければならない。残された選択肢は、固体触媒粒子を膜の表面に埋め込んで固着部位を生成することである。後者のプロセスは、外側の膜表面の制御された膨潤により膜表面でナノ細孔を開放する溶媒によって、容易にすることができる。本発明者らは、界面結合の後者の形態において、触媒インク中のイオノマーレベルは高くなりすぎることはないと結論付けたが、それは膜表面への固体触媒粒子の浸透の最も高い可能性が、いくらか添加されるイオノマー「結合剤」による介入がない状態で「ニート」触媒粉末が膜表面に押圧されたときに実現されるからである。しかし結合剤は、触媒層の「バルク」での構造安定化に、ならびに触媒層のイオン伝導率の利益のために、必要である可能性がある。その結果、本発明者らは、結合が、膜触媒層の固着物質として働く膜埋め込み型金属粒子をベースにする場合、インク中のイオノマー含量は、PEM燃料電池触媒インクで典型的に用いられるイオノマー:金属の体積比1:1よりも著しく低くなければならず、しかしゼロに至るまで低下すべきではないと結論付けた。
【0013】
最後に、非担持金属粒子をベースにした燃料電池カソード触媒層は、炭素担持金属粒子をベースにした触媒層に対して固有の安定性の利点を有している。カソード触媒中の炭素担体は、特にほぼ開路状態でおよびより高い電池温度下で、酸化的損失に対して弱い。炭素担体は、金属よりもより容易に侵襲され;したがって、カソード触媒として金属「ブラック」に完全に依拠するための担体の排除は、電池の寿命にとって重要な利点を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様では、本発明は、アニオン伝導アルカリ膜とこの膜に隣接して付着させられた触媒層とを含むアルカリ膜燃料電池(AMFC)で使用される、触媒被覆膜(CCM)を提供する。触媒層は、金属ナノ粉末およびイオン伝導イオノマーを含む。
【0015】
本発明の実施は、下記の特徴および能力の1つまたは複数を含むことができる。金属ナノ粉末は、銀含有ナノ粒子を含む。銀含有ナノ粒子は銀合金を含む。銀ナノ粒子は、約0.25g/cmの有効密度を有する。銀ナノ粒子は、開放ナノ粉末構造を形成する。イオノマーは、ポリ(アリーレン)主鎖を有するポリマーを含む。イオノマーと銀ナノ粒子との重量比は、約0から10%である。イオノマー:銀の体積比は、約1:0.7から約1:1.5の範囲にあり、または約1:0.9から約1:1.1の範囲にある。銀含有ナノ粒子はイオン伝導イオノマーと混合されてインクを形成し、このインクが、スプレーまたはその他の適用可能な技法によってアニオン伝導膜に付着させられる。CCM膜は、加熱された真空テーブル上に、インク付着中に位置決めされる。乾燥した膜を溶媒に曝すと、この溶媒が膜表面を選択的に膨潤させて、膜表面との触媒層の結合を促進させる。金属ナノ粉末およびイオノマーは、膜上へのスクリーン印刷によってアニオン伝導アルカリ膜に付着させられる。銀含有ナノ粉末およびイオノマーを、混合してインクを形成し、Teflon(登録商標)被覆被膜ブランクに付着させる。ブランクは、(a)金属ナノ金属およびイオノマーを担持し(b)インクを膜表面に転写する、プラットフォームとして働く。インクは、銀含有ナノ粒子と、溶媒中のOH−イオン伝導イオノマー溶液との混合物を含む。OH−イオン伝導イオノマーは、テトラアルキルアンモニウム水酸化物官能基を有しその官能基の密度が1グラム当たり1.5から3.5ミリ当量の間であるポリ(アリーレン)の中から選択することができる。OH−イオン伝導イオノマーの選択は、液体水を吸収してイオン伝導率を増大させかつ電池動作中にカソード触媒層内の高レベルの水和を維持する能力に基づく。銀含有粒子は、その直径が約5nmから約50nmのサイズである。銀含有粒子は、約90%を超える空隙粉末係数を有する。
【0016】
別の態様では、本発明は、触媒被覆膜(CCM)を作製する方法を提供する。この方法は、ステージまたはステップを含み、この方法は、例えばステージまたはステップを付加し、除去し、かつ/または再構成することによって、変化させることができる。この方法は:(a)銀含有ナノ粒子の供給源を提供するステップ、(b)水酸化物イオンOH−伝導イオノマー材料の供給源を提供するステップ、(c)銀含有ナノ粒子をOH−伝導イオノマー材料の溶液に添加して、触媒インクを形成するステップ、(d)触媒インクをアルカリ膜のカソード側表面に付着させるステップ、および(e)熱および圧力の1つまたは複数を触媒インクおよび膜に加えて、インクを膜に固定するステップを含む。
【0017】
さらなる態様では、本発明は、金属ナノ粉末およびイオン伝導イオノマーを含む、アルカリ膜燃料電池(AMFC)の触媒被覆膜(CCM)で使用するためのカソード触媒層を提供する。
【0018】
本発明の実施は、下記の特徴および能力の1つまたは複数を含むことができる。金属ナノ粉末は、銀含有粒子を含む。
【0019】
本発明のさらなる理解は、以下に記述され、かつ縮尺を合わせて描かれていないが本発明の原理および要素を例示する図を参照することによって、実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、ガス拡散層(GDL)と、イオン伝導膜と、これらの間に位置決めされた、少なくとも1種のイオノマーおよび金属性の金属触媒粒子を含むカソード触媒層とを含む、従来技術の燃料電池の膜/電極アセンブリーの断面図である。
【図2】図2は、本発明の一態様によるカソード触媒被膜/層およびイオン伝導膜の、断面図である。
【図3】図3は、本発明による銀カソード触媒を有するアルカリ膜燃料電池(AMFC)と、その他の従来技術の金属触媒との性能を比較した結果を示すグラフである。
【図4】図4は、カソード触媒被膜/層と、カソード触媒被覆イオン伝導膜(CCM)とを作製する、本発明の別の態様による方法を示すブロック流れ図である。
【図5】図5は、カソード触媒被膜/層と、カソード触媒被覆イオン伝導膜(CCM)とを作製する、本発明のさらなる態様による代替方法を例示する、ブロック流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図2を参照すると、一態様では、本発明は、触媒被覆膜(CCM)100を提供する。CCM 100は、アルカリ膜燃料電池(AMFC)で使用されるように構成された、イオン伝導アルカリ膜210のカソード側に沿って配置されたカソード触媒被膜/層200を含む。ガス拡散層(GDL)220は、アルカリ膜210のカソード側に面していない、カソード触媒被膜/層200の面に沿って配置される。さらに、CCM 100は、膜210のカソード側とは反対の、アルカリ膜210のアノード側に沿って配置されたアノード触媒被膜/層(図示せず)と、このアノード触媒被膜/層に沿って配置されたガス拡散層(図示せず)とを含む。
【0022】
触媒被膜/層200は、カソード触媒被膜/層を定めるために、ある体積のイオン伝導イオノマー204と混ぜたある体積の金属ナノ粉末を含む、少なくとも2種の成分を含む。金属ナノ粉末は、約5ナノメートル(nm)から約50(nm)、好ましくは約20nmから約30nmの範囲の平均粒径をそれぞれ有する金属粒子202を含む。金属ナノ粉末粒子202の比較的小さな平均粒度は、触媒被膜/層200の構造内で比較的高い比伝導触媒表面積(m/g)を定めるのを助ける。金属ナノ粒子202をベースにした好ましい触媒粉末は、以下の記述するように比較的高い空隙率も維持する。さらに、イオン伝導イオノマー204と混ぜた金属ナノ粒子は、担持されなくてもよい。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、非担持金属ナノ粉末触媒は、銀粒子202を含んだ銀ナノ粉末を含む。銀は、酸素原子に対して最適化された表面化学活性を必要とすること、およびアルカリ膜媒体での銀の安定性を含む少なくとも2つの特徴に基づいて、金属触媒として選択した。しかし本発明は、銀に限定するものではなく、触媒を形成するのに様々な銀合金を用いることができ、さらに表面反応性および化学安定性の特徴の少なくともどちらかまたは両方を改善するのを助けることができると予測される。本発明を開示する目的で、「銀」という用語は排他的に使用されるが、「銀」という用語は銀に限定されず、任意の銀合金も含むことができると理解される。
【0024】
本発明の一実施形態において、銀ナノ粉末は、Nanostructured & Amorphous Materials,Inc.、Houston、Texas、またはMKNano、a division of M.K.Impex、Canadaから得ることができる。
【0025】
図3に示されかつ図3を参照して以下記述される、本発明によるカソード触媒被膜/層200およびCCM 100に関して本発明者らが観察した首尾良く得られた結果の1つの解釈とは、十分に分離した銀粒子202が、「開放ナノ粉末構造」の生成を助けるということである。さらに、粒子ナノ粉末202の高い空隙率は、触媒被膜/層200を形成するために、ミクロおよびサブミクロレベルで銀粒子202とイオノマー材料との緊密な混合を助ける可能性がある、ナノ粉末構造の高度な開放性をもたらすのを助ける。
【0026】
イオン伝導イオノマー材料は、この材料が、アルカリ膜210に沿ったカソード触媒被膜または層の成分として含まれる場合、水酸化物イオンを伝導させるのに適した材料である。材料は、第4級アンモニウム官能化ポリマー含んでいてもよいが、これに限定するものではない。(1種または複数の)これらのポリマーは、ポリスルホンまたは別のポリ(アリーレン)主鎖を有していてもよい。例えば、これらポリマーは、ポリスルホン主鎖と、ポリマー主鎖に固着されたテザーに保持される第4級水酸化アンモニウム基(QAPS)とを有するポリマーを含んでいてもよい。
【0027】
カソード触媒被膜/層200は、アルカリ膜210に付着させられる触媒混合物または「インク」を形成するために、ある体積の銀ナノ粉末と、ある体積のイオン伝導イオノマーの溶液との混合を通して形成される。銀ナノ粉末粒子202は、混合物全体にわたり分散し、したがってこの混合物がアルカリ膜210に付着させられる場合、銀触媒粒子202は触媒被膜/層200の実質的に全体に分散されるようになる。触媒「インク」を調合するのに、および触媒被膜/層200を形成するのに用いられる銀ナノ粉末の体積に対するイオン伝導イオノマー材料の相対的な体積は、図3に示されるようにかつ図3を参照して以下に記述されるように、AMFCの性能に影響を及ぼす。具体的には、イオノマー材料の体積と銀ナノ粉末の体積との比は、ある報告された従来技術の調合物でならびに本発明者自身の以前の調合物で明らかにされたよりも小さく、ほぼ1:1である(必要な重量比は1:9である。)。本発明の好ましい実施形態では、アニオン伝導イオノマーと金属触媒との体積比は、銀ナノ粉末触媒と共に用いられる特定のイオノマーの関数であり、約1:0.7から約1:1.5の範囲、好ましくは約1:0.9から約1:1.1の範囲を含む。
【0028】
体積比は、実現された最高のAMFC性能に関して従来技術で既に報告されたイオノマーと触媒との体積比2:1よりも比較的低い(例えば、P.C.Lim、S.H.Ge、およびC.Y.Wang、2008年10月、Hawaii、HonoluluにおけるElectrochemical Society MeetingのAbstract 1073参照)。本発明によるより低い体積比は、再流延されたイオノマーを用いて形成されたカソード触媒の過剰流出を防止するのを助ける。このことは、カソード触媒被膜/層200内で切断された電子経路と、カソード触媒とアルカリ膜210との界面およびカソード触媒とガス拡散層220との界面に沿って再流延したイオノマークラストの堆積といった、望ましくない結果を防止するのを助ける。より低い体積比は、膜表面に埋め込まれた金属粒子の形をした触媒層固着部位の形成によって、触媒層と膜表面との結合を改善するのも助ける。
【0029】
図3を参照すると、かつ図2をさらに参照すれば、グラフは、4種のAMFCの電力密度対電流密度に関する性能の結果の比較を示している。試験がなされたAMFCは、Pt触媒をベースにした1種のAMFC(図3で、「University II」と示された曲線)、炭素担持コバルトカソード触媒を使用する別のAMFC(図3で、「Industry」と示された曲線)、および非Ptカソードおよびアノード触媒を使用した別のもの(図3で、「University I」と示された曲線)も含め、異なるCCMを用いた。これら3種のCCMの性能を、図3のグラフにおいて、超薄型非担持カソード触媒層が形成されるように最適化された体積比で再流延OH−伝導イオノマーと混合したナノ分散状高空隙率銀粉末を含む、本発明による銀ナノ粉末触媒で調製されたCCM(図3で、「CellEra」と示された曲線)の性能と比較する。
【0030】
結果は、本発明による、CCM 100および銀ナノ粉末カソード触媒被膜/層200を有するAMFCの性能レベルが、その他の試験がなされたAMFCの性能レベルよりも高いことを示す。これらの結果は、銀ナノ粉末触媒と、最適な体積比のイオノマーおよび触媒を触媒被膜/層内に有するAMFCが、白金族または貴金属触媒を用いる燃料電池と同じ範囲の性能レベルを実現できることを示す。
【0031】
本発明を、図3に示される肯定的な性能結果の任意の特定の説明に限定するものではなく、これらの結果は、少なくとも1つには、銀金属粒子202の高い電子伝導率と、生成するのを銀ナノ粉末が助ける触媒被膜/層200のミクロおよびナノ構造に起因すると解釈してもよい。
【0032】
触媒被膜/層200のミクロおよびナノ構造は、平均銀粒度が定める比較的高い表面積、例えば1g当たり20m超の表面積に帰するものとすることができ、さらに、銀ナノ粉末の比較的高い粉末空隙率に帰するものとすることができる。バルク銀の密度は10.6g/cmであるが、銀ナノ粉末の有効密度(「タップ」密度)は約0.25g/cmである。これは、銀ナノ粉末の約97.5%が空隙でありかつ銀粒子が全体積の約2.5%を占有する、比較的高い粉末空隙率であると言い換えられる。本発明の好ましい実施形態では、粉末空隙率は90%よりも高い。銀ナノ粉末の、この比較的高度な「開放性」は、乾燥ナノ粉末としての銀触媒の調製の、有効な形態の組合せに起因する。その結果、乾燥銀粉末の十分に分離された個々のナノ粒子202と、粉末の超開放構造は、ナノメートル規模でのこれらの成分の効果的な混合が実現されるように、ミクロおよびサブマイクロメートルレベルで銀粒子がイオノマー材料と密に混合するという高い可能性を確実にするのを助ける。
【0033】
さらに、本発明による、銀粒子202の高い電子伝導率と、カソード触媒被膜/層200のミクロおよびナノ構造、またはCCM 100は、電池の高周波抵抗(HFR)に関して低い値を示すAMFCを生成する。AMFCは、本発明による銀カソード触媒被膜/層200がCCM 100と共に用いられる場合、所与のイオノマーに関して約0.20オーム×cmのHFRを示す。実現されたこのHFRは、その他のタイプの触媒と共に同じイオノマーを用いるAMFCによって実現されたものよりも、少なくとも約20から30パーセント(20〜30%)低い。銀粒子の高い電子伝導率と、触媒層のミクロおよびナノ構造は、低HFRを生成するのを助ける。
【0034】
図3に示されるように、AMFC、より詳細には、本発明による銀ベースのカソード触媒被膜/層200を用いて構成されたCCM 100は、より高価な白金触媒を使用してプロトン伝導膜燃料電池が実現させる電力密度に匹敵したAMFC電力密度を、初めて実現させる。具体的には、AMFCは、動作膜領域の300mW/cmよりも高い最大電力密度を実現させる。これらの結果は、非Pt族触媒を使用したAMFCが、貴金属触媒を使用した燃料電池で実現される範囲内に十分含まれる性能レベルを実現することを示す。
【0035】
それに劣らず重要なことに、本発明者らは、炭素担持Ptまたは非担持Ptをベースにしたカソード触媒層から、ナノ銀粒子をベースにしたカソード触媒層まで移動するときの、AMFC性能の安定性の著しい改善を実証した。銀粉末の特定のナノ構造は、インク中での異常に低いイオノマーレベルの使用を可能にし、それと共に高いカソード性能をもたらし、それによって、膜表面への金属粒子の浸透に基づいた触媒層の固着部位の形成が容易になった。そのような固着部位の形成は、膜表面を溶媒により長く曝してこの膜表面をある程度まで膨潤させることにより、明らかに、さらに容易にすることができる。
【0036】
図4を参照すると、別の態様では、本発明は、AMFCで使用される銀カソード触媒被膜/層200およびCCM 100を形成する方法300を提供する。図4に例示されるブロック流れ図に示される方法300は、単なる例示であり限定するものではない。方法300は、例えば、ステージを付加し、除去し、および/または再構成することによって変化させてもよい。一般に、方法400は、CCM 100のカソード側を画定するために、アルカリ膜210のカソード側に沿って銀ベースのカソード触媒被膜/層200を少なくとも形成するステップを含む。
【0037】
ステージ302では、直径が約5nmから約50nmである平均粒度の銀粒子を有し、かつ90%超の空隙粉末率を有する所与の体積の銀ナノ粉末を、所与の体積の水酸化物イオン(OH)伝導イオノマー材料の溶液に添加する。イオノマー材料と銀ナノ粉末との体積比は、約1:0.7から1:1.5の範囲内、好ましくはほぼ1:1である。溶液を混合して、銀粒子を溶液の実質的に全体にわたり分散させ、触媒混合物または「インク」を形成する。
【0038】
ステージ304では、所与の体積の触媒「インク」を、膜210のカソード側に沿ってアルカリ膜210の表面の少なくとも一部に直接付着させ、例えばスプレーして、銀触媒の被膜または層200を形成し、かつCCM 100のカソード側を画定するのを助ける。
【0039】
ステージ306では、アノード触媒被膜/層を、膜210のカソード側とは反対の、膜210のアノード側に沿って、アルカリ膜210の表面の少なくとも一部に直接、同様に付着させ、例えばスプレーして、アノード被膜または層200を形成し、かつCCM 100のアノード側を画定するのを助ける。それによって膜210は、カソード触媒とアノード触媒との間に位置決めされる。
【0040】
ステージ308では、銀ベースのカソード触媒被膜または層200およびアノード触媒被膜/層の、膜210への付着に続き、熱および圧力の少なくとも1つをアノード触媒/膜/カソード触媒構造に加えて、触媒被膜/層を膜210の表面にしっかり結合するのを助ける。
【0041】
方法300の代替の実施形態において、図5は、銀カソード触媒被膜/層200およびCCM 100を形成する代替の方法400を提供する、本発明の別の態様を示す。方法400は、例えばステージを付加し、除去し、および/または再構成することによって、変化させてもよい。一般に方法400は、アルカリ膜210に被膜または層200を付着させる前に、被膜「ブランク」に沿って、銀カソード触媒被膜/層200を少なくとも形成するステップを含む。
【0042】
ステージ402では、直径が約5nmから約50nmの平均粒度である銀粒子を有し、かつ90%を超える空隙粉末率を有する所与の体積の銀ナノ粉末を、所与の体積の水酸化物イオン(OH)伝導イオノマー材料の溶液に添加する。イオノマー材料と銀ナノ粉末との体積比は、約1:0.7から1:1.5の範囲内にあり、好ましくはほぼ1.1である。溶液を混合して、溶液の実質的に全体にわたり銀粒子を分散させ、かつ触媒混合物または「インク」を形成する。
【0043】
ステージ404では、所与の体積の触媒「インク」を、被膜「ブランク」、例えばTeflon(登録商標)被覆被膜ブランクの表面の少なくとも一部に直接付着させ、例えばスプレーしまたはスクリーン印刷して、ブランクの表面に沿って銀触媒の被膜または層200を形成する。
【0044】
ステージ406では、アノード触媒被膜/層を、膜210のアノード側に沿って、アルカリ膜210の表面の少なくとも一部に直接付着させ、例えばスプレーして、アノード被膜または層200を形成し、かつCCM 100のアノード側を画定するのを助ける。
【0045】
ステージ408では、被膜ブランク表面に対する銀ベースのカソード触媒被膜または層200の付着に続き、被膜または層200を、当技術分野で周知のデカル転写プロセスを介して、膜210のアノード側とは反対の膜210のカソード側に沿ってアルカリ膜210の表面に転写する。付着させられた被膜または層200は、膜表面の少なくとも一部を覆う。それによって膜は、カソードおよびアノードの触媒層の間に位置決めされる。
【0046】
ステージ410では、膜210に対する銀ベースのカソード触媒被膜または層200およびアノード触媒被膜/層の付着に続き、熱および圧力の少なくとも1つをアノード触媒/膜/カソード触媒構造に加えて、触媒被膜/層を膜210の表面にしっかり結合するのを助ける。
【実施例】
【0047】
(実施例I)
例示的な銀ベースの触媒調合物または「インク」を、触媒インクが形成されるように、銀ナノ粒子202と第4級アンモニウム官能化ポリマー(QAFP)溶液とをある割合で混合することによって調製した。ある特定の実施形態では、銀ナノ粒子202を、メタノールまたはプロパノール中の約4%から約5%のQAFP溶液と混合する。銀ナノ粉末は、QAFPの重量の10倍を添加する。水は、メタノールの体積の約30%を添加し、エチレングリコールは、全インク体積の約0.5%のレベルで添加する。触媒インクを約10分間超音波処理し、次いで例えば磁気撹拌子で約1時間混合する。触媒インクを再び約10分間超音波処理し、次いで膜210のカソード側の少なくとも一部にまたはTeflon(登録商標)被膜ブランクの少なくとも一部に付着させ、例えばスプレーしまたはスクリーン印刷するが、このとき膜またはブランクを、約60℃から約80℃の(1つまたは複数の)温度に加熱された真空テーブル上に押し下げる。Teflon(登録商標)被膜ブランクに付着させる場合、触媒層を、次に膜表面にデカル転写する。1つの主要表面を触媒した後、次に膜を裏返し、同様の手法で反対側の主要表面を触媒して、CCMがアノード触媒/膜/カソード触媒アセンブリーであるAMFC用の触媒被覆膜(CCM)を形成する。
【0048】
(実施例II)
実施例Iに記述されたプロセスにより調製された電池は、カソードPt触媒を備えたCCMを有し、高性能を確保するためにイオノマー:金属の体積比が4:1であることが必要である。これらの電池は、0.3〜0.4A/cmの電流需要の下、さらに高い速度で性能を失い、最後には一貫して、連続動作の2日目が終わる前に電池電圧がゼロにまで急落する。実施例Iにより調製されるその他の電池は、カソードナノ銀触媒を備えたCCMを有し、高性能を確保するためにイオノマー:金属の体積比が単に1:1.5である必要がある。これらの電池は、毎時初期電力出力の0.3%と著しくより遅い一定の電力損失比を示した。
【0049】
ゼロに至る電池電圧の急落は、ナノ銀カソード触媒を有する電池のいずれにおいても、数百時間にわたる動作時間で見られなかった。
【0050】
(実施例III)
ナノ銀カソード触媒を有する実施例Iにより調製されたCCMは、加熱された真空テーブル上に配置された膜への、インクの空気スプレー付着によって調製し、毎時初期電力出力の約0.3%と一定の電力損失比を示した。その他のCCMは、同じ方法でかつ同様のインク調合物を用いて、しかし唯一の溶媒として(水は添加せず。)n−プロパノールを使用しかつインクを室温で膜にスクリーン印刷により付着させた。スクリーン印刷されたCCMは、優れた安定性を示し、300〜400時間にわたり、毎時初期電力の0.1%しか失わなかった。
【0051】
このように、本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態について述べてきたが、形および詳細の様々な変更例、置換例、修正例、および改善例を、本発明の範囲から逸脱することなく当業者なら容易に思い浮かべるであろう。そのような変形例、置換例、修正例、および改善例は、本発明の範囲および精神に包含されるものとする。本発明のその他の態様、機能、能力、および利点も、それらの範囲内にある。したがって先の記述は、単なる例示であり、限定しようとするものではない。
【0052】
さらに、本発明の態様を記述するに当たり、明瞭にするために特定の用語が使用される。記述する目的で、特定の用語のそれぞれは、同様の目的を達成するために同様の手法で動作する全ての技術的および機能的均等物を少なくとも含むものとする。本発明の特定の態様が、複数のシステム要素または方法ステップを含むいくつかの場合には、これらの要素またはステップを、単一の要素またはステップで置き換えてもよく;同様に、単一の要素またはステップは、同じ目的に適う複数の要素またはステップで置き換えてもよい。さらに、様々な性質に関するパラメーターを本発明の態様に関して本明細書で指定する場合、それらのパラメーターは、他に指示しない限り、本発明の範囲内でそれらの近似値に合わせて調節しまたは丸めることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ膜燃料電池(AMFC)において使用するための触媒被覆膜(CCM)であって、
アニオン伝導アルカリ膜と、
該膜に隣接して付着させられた触媒層であって、
(a)金属ナノ粉末、および
(b)イオン伝導イオノマー
を含む、触媒層と
を含む、触媒被覆膜(CCM)。
【請求項2】
前記金属ナノ粉末が、銀含有ナノ粒子を含む、請求項1に記載のCCM。
【請求項3】
前記金属ナノ粉末が、約0.25g/cmの有効密度を有する、請求項1に記載のCCM。
【請求項4】
前記イオノマーが、ポリ(アリーレン)主鎖を有するポリマーを含む、請求項1に記載のCCM。
【請求項5】
前記イオノマーと前記銀ナノ粒子との重量比が、約0から10%である、請求項2に記載のCCM。
【請求項6】
前記銀含有ナノ粒子が、銀合金を含む、請求項2に記載のCCM。
【請求項7】
前記銀ナノ粒子が、開放ナノ粉末構造を形成する、請求項2に記載のCCM。
【請求項8】
イオノマー:銀の体積比が、約1:0.7から約1:1.5の範囲にある、請求項2に記載のCCM。
【請求項9】
前記体積比が、約1:0.9から約1:1.1の範囲にある、請求項8に記載のCCM。
【請求項10】
前記銀含有ナノ粒子が前記イオン伝導イオノマーと混合され、スプレーにより前記アニオン伝導膜に付着させられるインクを形成する、請求項2に記載のCCM。
【請求項11】
前記膜が、加熱された真空テーブル上にインクを付着させる間位置決めされる、請求項10に記載のCCM。
【請求項12】
乾燥膜が溶媒に曝され、前記溶媒は、膜表面を選択的に膨潤させて前記膜表面への触媒層の結合を促進させる、請求項11に記載のCCM。
【請求項13】
前記金属ナノ粉末およびイオノマーが、前記膜上へのスクリーン印刷によって前記アニオン伝導アルカリ膜に付着させられる、請求項1に記載のCCM。
【請求項14】
前記銀含有ナノ粉末およびイオノマーが、混合されてインクを形成し、Teflon(登録商標)被覆被膜ブランクに付着させられ、前記ブランクは:
(a)該金属ナノ金属およびイオノマーを担持し;かつ
(b)該インクを前記膜表面に転写する
ためのプラットフォームとして働く、請求項2に記載のCCM。
【請求項15】
前記インクが、銀含有ナノ粒子と、溶媒中のOH−イオン伝導イオノマー溶液との混合物を含む、請求項10に記載のCCM。
【請求項16】
前記OH−イオン伝導イオノマーが、1グラム当たり1.5から3.5ミリ当量の間の官能基密度のテトラアルキルアンモニウム水酸化物官能基を有するポリ(アリーレン)の中から選択され、該選択は、液体水を吸収してイオン伝導率を増大させかつカソード触媒層内の水和を維持する能力に基づく、請求項15に記載のCCM。
【請求項17】
前記銀含有粒子の直径が約5nmから約50nmのサイズである、請求項2に記載のCCM。
【請求項18】
前記銀含有粒子が、約90%を超える空隙粉末係数を有する、請求項17に記載のCCM。
【請求項19】
(a)銀含有ナノ粒子の供給源を提供するステップと;
(b)水酸化物イオンOH−伝導イオノマー材料の供給源を提供するステップと;
(c)該銀含有ナノ粒子を、OH−イオノマー材料の溶液に添加して、触媒インクを形成するステップと;
(d)該触媒インクを、アルカリ膜のカソード側表面に付着させるステップと;
(e)熱および圧力のうちの1つまたは複数を触媒インクおよび膜に加えて、該インクを該膜に固定するステップと
を含む、触媒被覆膜(CCM)の作製方法。
【請求項20】
(a)金属ナノ粉末;および
(b)イオン伝導イオノマー
を含む、アルカリ膜燃料電池(AMFC)の触媒被覆膜(CCM)において使用するためのカソード触媒層。
【請求項21】
前記金属ナノ粉末が、銀含有粒子を含む、請求項20に記載のカソード触媒層。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−518884(P2012−518884A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551286(P2011−551286)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/025005
【国際公開番号】WO2010/096797
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511205079)セルエラ, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】