説明

アルカリ蓄電池用セパレータ、及びアルカリ蓄電池

【課題】 セパレータ基材(不織布など)とゲル状電解質との密着性を良好とすることができ、長期間にわたり自己放電特性を良好とすることが可能なアルカリ蓄電池用セパレータ、及び、セパレータ基材とゲル状電解質との密着性が良好で、長期間にわたり自己放電特性が良好なアルカリ蓄電池を提供する。
【解決手段】 本発明のアルカリ蓄電池用セパレータは、繊維からなる三次元網状構造を備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を含むセパレータ基材と、セパレータ基材の空隙部に配置され、アルカリ電解液に接触すると、このアルカリ電解液を吸収してゲル状電解質となる吸水性ポリマーとを備えている。このうち、セパレータ基材は、親水化処理されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性ポリマーを有するアルカリ蓄電池用セパレータ、及びそれを用いたアルカリ蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ蓄電池は、ポータブル機器や携帯機器などの電源として、また、電気自動車やハイブリッド自動車などの電源として注目されている。このようなアルカリ蓄電池としては、様々のものが提案されているが、このうち、水酸化ニッケルを主体とした活物質からなる正極と、水素吸蔵合金を主成分とした負極とを備えるニッケル水素二次電池は、エネルギー密度が高く、信頼性に優れた二次電池として急速に普及している。
【0003】
ところで、ニッケル水素二次電池では、高温で充放電を繰り返すと、水素吸蔵合金がアルカリ電解液と反応して腐食する傾向が大きい。腐食により水素吸蔵合金の成分が、金属イオンとなってアルカリ電解液中に溶出すると、この金属イオンがセパレータや正極上に析出し、この導電性析出物によって正極と負極との間に連続した導電パスが形成されてしまうことがあった。このため、特に、高温で充放電を繰り返すと、自己放電特性が低下(悪化)してしまう問題があった。
【0004】
これに対し、近年、自己放電特性を良好とするアルカリ蓄電池が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−33093号公報
【特許文献2】特開2003−115323号公報
【0005】
特許文献1では、セパレータ層に吸水性ポリマーを含有させることで、セパレータ層をゲル状としている。これにより、水素吸蔵合金の腐食の進行を抑制すると共に、セパレータ層の保液性を高め、自己放電特性及びサイクル寿命特性を良好としている。
さらに、特許文献2では、吸水性ポリマーを構成するモノマーに注目し、鹸化によりカルボキシル基を生じる基及び重合性二重結合を1つ有するモノマー(A)100重量部と、重合性二重結合を2つ以上有するモノマー(B)0.01〜10重量部との共重合体を鹸化した吸水性ポリマーを用いることにより、自己放電が少なく、保存後の容量回復に優れたアルカリ蓄電池を実現している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、ニッケル水素二次電池などのアルカリ蓄電池について(特に、電気自動車やハイブリッド自動車などの電源に用いる場合)、更なる電池寿命の長期化の要求が高まっている。そこで、特許文献1及び特許文献2の電池について、1000サイクルの充放電サイクル試験を行った後、自己放電特性を評価したところ、良好な自己放電特性を得ることができなかった。すなわち、特許文献1及び特許文献2の電池では、長期間にわたって充放電を繰り返した後には、良好な自己放電特性を維持することができなかった。
【0007】
本発明者によると、特許文献1及び特許文献2の電池では、長期間にわたって充放電を繰り返したことにより、電池内で多量のアンモニアが発生したと推測される。従って、特許文献1及び特許文献2の電池では、このアンモニアの影響により、自己放電特性が低下したものと考えられる。
【0008】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、長期間にわたり、電池の自己放電特性を良好とすることが可能なアルカリ蓄電池用セパレータ、及び、長期間にわたり、自己放電特性が良好なアルカリ蓄電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その解決手段は、繊維からなる三次元網状構造を備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を含むセパレータ基材と、上記セパレータ基材の上記空隙部に配置され、アルカリ電解液を吸収するとゲル状電解質となる吸水性ポリマーと、を備え、上記セパレータ基材は、スルホン化処理されてなり、上記吸水性ポリマーは、スルホ基を有してなるアルカリ蓄電池用セパレータである。
【0010】
本発明のアルカリ蓄電池用セパレータは、セパレータ基材と、その空隙部に配置された吸水性ポリマーとを備えている。このうち、吸水性ポリマーは、アルカリ電解液を吸収するとゲル状電解質となる。従って、本発明のセパレータを用いたアルカリ蓄電池では、セパレータ基材の繊維の表面を、ゲル状電解質で覆うことができる。このため、セパレータの保液性が良好になると共に、セパレータ基材の繊維の表面に沿って正負極間を連結する導電パスが形成されにくくなるので、電池の自己放電特性を良好とする(自己放電を少なくする)ことができる。
【0011】
さらに、本発明のアルカリ蓄電池用セパレータでは、セパレータ基材が、スルホン化処理されている。すなわち、セパレータ基材をなす繊維には、スルホ基が含まれている。従って、このスルホ基によって、電池内のアンモニアを捕捉することができるので、アンモニアの影響による自己放電を抑制することができる。
【0012】
ところで、セパレータ基材にスルホン化処理を施す場合、セパレータ基材の全体にわたって、適切にスルホン化することは困難である。具体的には、無水硫酸や発煙硫酸などによるスルホン化処理を行った場合、セパレータ基材の外側(表面側)の繊維については、無水硫酸や発煙硫酸に接触し易いため、適切にスルホン化することができるが、セパレータ基材の内側(奥側)の繊維については、その部分まで無水硫酸や発煙硫酸が到達し難いために、適切にスルホン化することが困難である。また、セパレータ基材には、繊維の疎密があることから、繊維が密集している部分でも、同様に、内側(奥側)の繊維について、適切にスルホン化することが困難である。一方、セパレータ基材に対し、極度にスルホン化処理を行うと、セパレータ基材が激しく傷み、強度が著しく低下してしまうので、寿命特性が大きく低下してしまう。このような理由により、セパレータ基材の全体にわたって、適切にスルホン化することは困難である。
【0013】
従って、スルホン化処理を施したセパレータ基材だけでは、適切に、電池内のアンモニアを捕捉することができず、長期間にわたり充放電を繰り返し行った場合には、アンモニアの影響による自己放電を十分に抑制することができない。
【0014】
これに対し、本発明のアルカリ蓄電池用セパレータでは、セパレータ基材の空隙部に配置させた吸水性ポリマーにも、スルホ基を持たせている。従って、本発明のセパレータを用いた電池では、セパレータ基材の繊維の表面を、スルホ基を含むゲル状電解質で覆うことができる。これにより、セパレータ基材のうちスルホン化されていない(若しくは、スルホン化が少ない)部分においても、ゲル状電解質により、ある程度スルホ基を存在させることができる。このように、セパレータ基材の全体にわたってスルホ基を配置させることにより、好適に、アンモニアを捕捉することができる。従って、長期間にわたり充放電を繰り返し行った場合でも、適切に、電池内のアンモニアを捕捉することができ、アンモニアの影響による自己放電を十分に抑制することができる。
以上より、本発明のアルカリ蓄電池用セパレータは、長期間にわたり、電池の自己放電特性を良好とすることが可能である。
【0015】
さらに、上記のアルカリ蓄電池用セパレータであって、前記セパレータ基材のスルホン化度は、1×10-3〜6×10-3であり、前記吸水性ポリマーに含まれるS元素の量は、前記セパレータ基材をなす繊維に含まれるS元素の量に対し、0.1〜2.0(%)であるアルカリ蓄電池用セパレータであると良い。
【0016】
本発明のアルカリ蓄電池セパレータでは、セパレータ基材のスルホン化度を、1×10-3〜6×10-3としている。スルホン化度を1×10-3とすることにより、セパレータ基材において、適切に、電池内のアンモニアを捕捉することができる。また、スルホン化度を6×10-3以下に制限することにより、極度なスルホン化処理を控え、セパレータ基材の強度の低下を抑制することができる。従って、長期間にわたり、セパレータ基材について、使用に耐えうる強度を確保することができ、正負極間のショート等の不具合を防止することができる。
【0017】
その上、本発明のアルカリ蓄電池セパレータでは、吸水性ポリマーに含まれるSの量を、セパレータ基材をなす繊維に含まれるSの量に対し、0.1%以上としている。すなわち、吸水性ポリマーに含まれるスルホ基の量を、セパレータ基材をなす繊維に上記割合で含まれるスルホ基の量に対し、0.1%以上としている。従って、本発明のセパレータを用いた電池では、ゲル状電解質に含まれるスルホ基の量を、セパレータ基材をなす繊維に上記割合で含まれるスルホ基の量に対し、0.1%以上とすることができる。このような割合でスルホ基を含むゲル状電解質で、セパレータ基材の繊維の表面を覆うことにより、セパレータ基材の全体にわたり、所定量以上のスルホ基を配置させることができるので、好適に、アンモニアを捕捉することができる。従って、長期間にわたり充放電を繰り返し行った場合でも、適切に、電池内のアンモニアを捕捉することができ、アンモニアの影響による自己放電を十分に抑制することができる。
【0018】
しかしながら、単位量あたりの吸水性ポリマーに含ませることができるSの量(スルホ基量)には限度があるので、吸水性ポリマーに含まれるSの量を増加させるには、吸水性ポリマーの量を増加させなければならない。ところが、吸水性ポリマーの量を増加し過ぎると、電池内において、ゲル状電解質の量が増加し過ぎてしまい、内圧及び電気抵抗が大きくなり過ぎる不具合が生じる。
【0019】
これに対し、本発明のアルカリ蓄電池セパレータでは、吸水性ポリマーに含まれるSの量を、セパレータ基材をなす繊維に含まれるSの量に対し、2.0%以下としている。すなわち、吸水性ポリマーに含まれるスルホ基の量を、セパレータ基材をなす繊維に上記割合で含まれるスルホ基の量に対し、2.0%以下に制限することにより、セパレータ基材に対する吸水性ポリマーの量を制限している。このように、吸水性ポリマーの量を制限したセパレータを用いることにより、ゲル状電解質の量を制限することができるので、セパレータの通気を十分に確保し、電池の内圧特性を良好とする(内圧上昇を抑制する)ことができる。また、ゲル状電解質による電気抵抗の上昇も抑制することができる。
【0020】
なお、スルホン化度は、(繊維中に含まれるS原子の数)/(繊維中に含まれるC原子の数)によって得られる値であり、セパレータ基材のスルホン化の程度を表す指標となる。スルホン化度は、例えば、S元素の重量とC元素の重量に基づいて、次のようにして算出することができる。セパレータ基材の繊維に含まれるS元素の重量は、例えば、燃焼法を用いて得ることができる。具体的には、セパレータ基材を燃焼させた燃焼ガスに含まれる(SO42-の濃度を測定し、その濃度からS元素の重量を算出することができる。また、公知の蛍光X線測定装置を用いて、S元素のピークとC元素のピークとの強度比を測定し、この強度比に基づいてS元素の重量を算出することもできる。ただし、S元素の重量は、燃焼法を利用したほうが、精度良く求めることができる。
【0021】
また、セパレータ基材の繊維に含まれるC元素の重量は、次のようにして算出することができる。例えば、セパレータ基材が不織布や織布の場合には、繊維を構成する樹脂(例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなど)は、メチレン基(−CH2−)の繰り返し構造が分子の大部分を占める。従って、セパレータ基材の繊維がメチレン基(−CH2−)により構成されているとみなし、セパレータ基材の重量に、セパレータ基材に占めるC元素の割合(Cの原子量/メチレン基の分子量=12/14)を乗じて、セパレータ基材の繊維に含まれるC元素の重量を算出することができる。
上記のようにして算出した、S元素の重量とC元素の重量に基づいて、スルホン化度を算出することができる。
【0022】
また、セパレータ基材をなす繊維に含まれるS元素の量に対する、吸水性ポリマーに含まれるS元素の量の割合は、次のようにして算出することができる。吸水性ポリマーに含まれるS元素の重量は、例えば、吸水性ポリマーを構成する成分と、吸水性ポリマー全体の重量とに基づいて算出することができる。具体的には、吸水性ポリマーを構成する成分の分子量と、成分の含有率とに基づいて、吸水性ポリマー中のS元素のモル分率を算出する。そして、このモル分率に吸水性ポリマーの重量を乗じて、吸水性ポリマーに含まれるS元素の重量を算出することができる。
【0023】
また、セパレータ基材をなす繊維に含まれるS元素の重量は、前述のように、燃焼法などを用いることにより求めることができる。また、セパレータ基材のスルホン化度がわかっている場合には、例えば、前述のように、セパレータ基材の繊維がメチレン基(−CH2−)により構成されているとみなして、セパレータ基材の繊維に含まれるC元素の重量を算出し、このC元素の重量とスルホン化度に基づいて、S元素の重量を算出することができる。これにより、セパレータ基材をなす繊維に含まれるS元素の量(重量)に対する、吸水性ポリマーに含まれるS元素の量(重量)の割合を算出することができる。なお、ここでは、Sの重量の割合を比較した例を示したが、Sの原子数やモル数を比較するようにしても良い。
【0024】
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用セパレータであって、前記セパレータ基材は、目付が40〜70(g/m2)、厚みが120〜200(μm)であるアルカリ蓄電池用セパレータであると良い。
【0025】
本発明のアルカリ蓄電池用セパレータでは、セパレータ基材について、目付を40〜70(g/m2)、厚みを120〜200(μm)としている。目付が40(g/m2)以上で、且つ、厚みが120(μm)以上のセパレータ基材を用いることにより、より一層、自己放電特性を良好とする(自己放電を少なくする)ことができる。これは、目付を40(g/m2)以上、厚みを120(μm)以上とすることにより、セパレータ基材の繊維に沿った正極と負極との間のパス(以下、これを電極間パスともいう)を長くすることができるので、両極間を連結する導電パスが形成され難くなるためと考えられる。
【0026】
また、目付を70(g/m2)以下、厚みを200(μm)以下とすることにより、電池の内圧特性を良好とする(内圧上昇を抑制する)ことができる。これは、目付を70(g/m2)以下に制限することにより、セパレータ基材の空隙部を大きく確保して、セパレータの通気性を良好にすることができると共に、厚みを200(μm)以下に制限することにより、電池内におけるセパレータ基材の占有体積を抑制できるためと考えられる。
【0027】
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用セパレータであって、前記吸水性ポリマーは、ジビニルベンゼン及びジビニルナフタレンの少なくともいずれかにより架橋されてなるアルカリ蓄電池用セパレータであると良い。
【0028】
ジビニルベンゼン及びジビニルナフタレンは、架橋剤として働き、また、アルカリ溶液中において極めて安定するモノマーである。従って、吸水性ポリマーを、ジビニルベンゼン及びジビニルナフタレンの少なくともいずれかによって架橋させることより、アルカリ電解液中(ゲル状電解質)において、長期間にわたり安定して存在させることができる。すなわち、セパレータ基材の繊維の表面に、ゲル状電解質を、長期間にわたり安定して存在させることができる。これにより、電池の自己放電特性をより一層良好とすることができる。
【0029】
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用セパレータであって、前記セパレータ基材は、スルホン化度の異なる少なくとも2種類の繊維を有してなるアルカリ蓄電池用セパレータであると良い。
【0030】
本発明のアルカリ蓄電池用セパレータでは、セパレータ基材が、スルホン化度の異なる少なくとも2種類の繊維を有している。すなわち、親水性の異なる2種以上の繊維によってセパレータ基材を構成している。このため、本発明のセパレータを用いたアルカリ蓄電池では、セパレータ基材の空隙部において、ゲル状電解質及びアルカリ電解液を偏在させることができる。具体的には、スルホン化度が高い繊維にゲル状電解質及びアルカリ電解液を集中して保持させることにより、スルホン化度が低い繊維の周りに通気路を形成することができる。従って、保液性及び通気性を共に良好とすることができる。
【0031】
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用セパレータであって、前記セパレータ基材は、分割型複合繊維を含むアルカリ蓄電池用セパレータであると良い。
【0032】
本発明のアルカリ蓄電池用セパレータでは、セパレータ基材が、分割型複合繊維を含んでいる。分割型複合繊維を含有させることで、電極間パスを大きくすることができ、電極間を連結する導電パスの形成を抑制することができる。従って、電池の自己放電特性をより一層良好とすることができる。
なお、分割型複合繊維とは、2種以上の異なる成分を複合紡糸し、布状にした後、分割して得られる極細繊維をいう。
【0033】
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池用セパレータであって、前記セパレータ基材は、複数の抄紙ウェブ層が積層された不織布からなるアルカリ蓄電池用セパレータであると良い。
【0034】
本発明のアルカリ蓄電池用セパレータでは、セパレータ基材が、複数の抄紙ウェブ層を積層した不織布からなる。セパレータ基材として、複数の抄紙ウェブ層を積層した不織布を用いた場合は、単層の不織布を用いた場合に比して、自己放電特性が良好となる。これは、複数の抄紙ウェブ層を積層した不織布を用いることで、抄紙ウェブ層の層間において不連続面が多くなるため、セパレータ基材の繊維に沿って正負極間を連結する導電パスが形成され難くなるためと考えられる。
【0035】
なお、抄紙ウェブ層とは、スラリーから網で抄紙した繊維の集合体であって、1層のシート状になっているものをいう。また、セパレータ基材をなす不織布は、湿式不織布及び乾式不織布のいずれであっても良い。
【0036】
さらに、上記のアルカリ蓄電池用セパレータであって、前記複数の抄紙ウェブ層は、それぞれ、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、及びポリブチレンから選択した少なくとも2種類の成分からなる分割型複合繊維を含むアルカリ蓄電池用セパレータであると良い。
【0037】
本発明のアルカリ蓄電池用セパレータでは、セパレータ基材をなす複数の抄紙ウェブ層が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、及びポリブチレンから選択した少なくとも2種類の成分からなる分割型複合繊維を含んでいる。これらの繊維からなる分割型複合繊維は高融点であるため、不織布を作成する過程において熱を加えた場合でも、分割型複合繊維の結晶形態が崩れにくく、地合を良好に保つことができる。従って、このような分割型複合繊維を含有させることにより、電極間パスを十分に大きくすることができ、電極間を連結する導電パスの形成を抑制することができる。
【0038】
他の解決手段は、正極と、負極と、上記いずれかのアルカリ蓄電池用セパレータであって、吸水性ポリマーがアルカリ電解液を吸収してゲル状電解質となったセパレータと、を備えるアルカリ蓄電池である。
【0039】
本発明のアルカリ蓄電池は、前述したいずれかのアルカリ蓄電池用セパレータであって、その吸水性ポリマーが、アルカリ電解液を吸収してゲル状電解質となったセパレータを有している。従って、本発明のアルカリ蓄電池では、セパレータ基材の繊維の表面を、ゲル状電解質によって覆うことができる。このため、セパレータの保液性が良好となると共に、正極と負極との間に導電パスが形成されにくくなるので、自己放電特性を良好とする(自己放電を少なくする)ことができる。
【0040】
さらに、本発明のアルカリ蓄電池では、セパレータ基材がスルホン化処理されている。すなわち、セパレータ基材をなす繊維には、スルホ基が含まれている。従って、このスルホ基によって、電池内のアンモニアを捕捉することができるので、アンモニアの影響による自己放電を抑制することができる。
【0041】
さらに、本発明のアルカリ蓄電池では、吸水性ポリマーがスルホ基を有しているため、セパレータ基材の繊維の表面を、スルホ基を含むゲル状電解質で覆うことができる。これにより、セパレータ基材のうちスルホン化されていない(若しくは、スルホン化が少ない)部分においても、ゲル状電解質により、ある程度スルホ基を存在させることができる。このように、セパレータ基材の全体にわたってスルホ基を配置させることにより、好適に、アンモニアを捕捉することができる。従って、長期間にわたり充放電を繰り返し行った場合でも、適切に、電池内のアンモニアを捕捉することができ、アンモニアの影響による自己放電を十分に抑制することができる。
【0042】
以上より、本発明のアルカリ蓄電池は、長期間にわたり自己放電特性を良好とする(自己放電を少なくする)ことができる。
なお、本発明のアルカリ蓄電池としては、例えば、ニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−亜鉛蓄電池などが挙げられる。
【0043】
他の解決手段は、正極と、負極と、繊維からなる三次元網状構造を備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を含むセパレータ基材と、上記セパレータ基材の上記空隙部内に位置し、吸水性ポリマーにアルカリ電解液を吸収させてなるゲル状電解質と、を備え、上記セパレータ基材は、スルホン化処理されてなり、上記吸水性ポリマーは、スルホ基を有してなるアルカリ蓄電池である。
【0044】
本発明のアルカリ蓄電池は、セパレータ基材の空隙部内に位置し、吸水性ポリマーにアルカリ電解液を吸収させてなるゲル状電解質を有している。このため、セパレータの保液性が良好となると共に、正極と負極との間に導電パスが形成されにくくなるので、自己放電特性を良好とする(自己放電を少なくする)ことができる。
【0045】
さらに、本発明のアルカリ蓄電池では、セパレータ基材がスルホン化処理されている。すなわち、セパレータ基材をなす繊維には、スルホ基が含まれている。従って、このスルホ基によって、電池内のアンモニアを捕捉することができるので、アンモニアの影響による自己放電を抑制することができる。
【0046】
さらに、本発明のアルカリ蓄電池では、吸水性ポリマーがスルホ基を有しているため、セパレータ基材の繊維の表面を、スルホ基を含むゲル状電解質で覆うことができる。これにより、セパレータ基材のうちスルホン化されていない(若しくは、スルホン化が少ない)部分においても、ゲル状電解質により、ある程度スルホ基を存在させることができる。このように、セパレータ基材の全体にわたってスルホ基を配置させることにより、好適に、アンモニアを捕捉することができる。従って、長期間にわたり充放電を繰り返し行った場合でも、適切に、電池内のアンモニアを捕捉することができ、アンモニアの影響による自己放電を十分に抑制することができる。
以上より、本発明のアルカリ蓄電池は、長期間にわたり自己放電特性を良好とする(自己放電を少なくする)ことができる。
【0047】
さらに、上記いずれかのアルカリ蓄電池であって、当該アルカリ蓄電池内に、前記吸水性ポリマーに吸収されることなく、液状を保つ余剰のアルカリ電解液を含むアルカリ蓄電池であると良い。
【0048】
本発明のアルカリ蓄電池は、電池内に、吸水性ポリマーに吸収されることなく、液状を保つ余剰のアルカリ電解液を含んでいる。従って、本発明のアルカリ蓄電池では、ゲル状電解質が、吸水性ポリマーに可能な限りアルカリ電解液を吸収した飽和状態とされており、この飽和したゲル状電解質で、セパレータ基材の繊維の表面を覆うことができる。これにより、ゲル状電解質による、セパレータの保液性を高める効果、及び正負極間を連結する導電パスの抑制効果を、最大限得ることができるので、自己放電特性をより一層良好とする(自己放電を少なくする)ことができる。
【0049】
しかも、充放電の繰り返しに伴い、ゲル状電解質に含まれるアルカリ電解液が減少しても、吸水性ポリマーが、電池内(セパレータ基材の空隙部内)に存在する余剰のアルカリ電解液を吸収して、ゲル状電解質を飽和状態に戻すことができる。従って、本発明のアルカリ蓄電池では、長期間にわたり、ゲル状電解質を飽和状態に保つことができるので、長期間にわたり、自己放電特性を良好とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0051】
(ステップ1:セパレータ基材の製作)
まず、ポリプロピレン繊維を水に分散させて、スラリーを調整する。次いで、湿式抄紙機を用いて、スラリーから抄紙ウェブ層を作成する。次いで、この抄紙ウェブ層について、脱水処理、熱処理等を行って、単層の湿式不織布を製造した。その後、この湿式不織布について、無水硫酸によってスルホン化処理を行い、セパレータ基材を得た。なお、セパレータ基材を構成する繊維の繊維密度は0.91g/cm3である。また、セパレータ基材の目付を60(g/m2)、厚みを200(μm)としている。また、セパレータ基材のスルホン化度は、3.0×10-3としている。
【0052】
(ステップ2:ゲル分散液の製作)
スチレンスルホン酸ナトリウム、アクリル酸メチル、及びジビニルベンゼンを、50:50:3のモル比で調合し、これに純水を加えつつ攪拌することにより、共重合反応を促進させた。このようにして、吸水性ポリマーがゲル化した、ゲル固形分6重量%のゲル分散液を得た。なお、上記のように、ジビニルベンゼンを含有させて共重合させているため、吸水性ポリマーを、ジビニルベンゼンによって架橋させることができる。
【0053】
(ステップ3:セパレータの製作)
ステップ1で製作したセパレータ基材を、ステップ2で得たゲル分散液中に、所定時間浸漬させる。その後、セパレータ基材をゲル分散液中から取り出し、乾燥させることにより、セパレータ基材の空隙部内に吸水性ポリマーを配置させる。このような操作を繰り返すことにより、所定量の吸水性ポリマーがセパレータ基材の空隙部内に配置されたセパレータを製作した。なお、本実施例1では、吸水性ポリマー(乾燥状態)の含有量を、8.33g/m2としている。
【0054】
ここで、本実施例1のセパレータについて、吸水性ポリマーに含まれるS元素の量と、セパレータ基材をなす繊維に含まれるS元素の量とを比較する。
まず、セパレータ基材をなす繊維に含まれるSの重量を、次のようにして算出した。本実施例1のセパレータ基材は、ポリプロピレン繊維からなるため、セパレータ基材の繊維がメチレン基(−CH2−)により構成されているとみなすと、セパレータ基材1m2当たりのメチレン基(−CH2−)のモル数は、(セパレータの目付)/(メチレン基の分子量)=60/14=4.29(mol/m2)となる。従って、セパレータ基材1m2当たりのC元素のモル数も、これに等しく、4.29(mol/m2)となる。従って、セパレータ基材1m2当たりのS元素の量は、(セパレータ基材1m2当たりのC元素のモル数)×(スルホン化度)×(Sの原子量)=4.29×3.0×10-3×32=0.41(g/m2)となる。
【0055】
次いで、吸水性ポリマーに含まれるS元素の重量を、次のようにして算出した。まず、吸水性ポリマー中のS元素のモル分率を算出する。具体的には、本実施例1の吸水性ポリマーは、スチレンスルホン酸(分子量207)、アクリル酸メチル(分子量86)、及びジビニルベンゼン(分子量131)が50:50:3の割合で構成されていると考えることができる。このとき、吸水性ポリマー中のS元素のモル分率は、(32/207)×50/(207×50+86×50+131×3)=5.14×10-4と算出できる。従って、セパレータ基材1m2当たりの吸水性ポリマーに含まれるS元素の重量は、(セパレータ基材1m2当たりの吸水性ポリマーの含有量)×(S元素のモル分率)=8.33×5.14×10-4=4.28×10-3(g/m2)となる。
【0056】
従って、本実施例1のセパレータでは、吸水性ポリマーに含まれるS元素の量が、セパレータ基材をなす繊維に含まれるS元素の量に対し、(4.28×10-3/0.41)×100=1.04(%)含まれていることがわかる。
【0057】
(ステップ4:正極の製作)
水酸化ニッケル粒子を含む活物質ペーストを、発泡ニッケルに充填し、乾燥した後、加圧成形することにより、ニッケル正極板を製作した。次いで、このニッケル正極板を所定の大きさに切断し、正極を得た。
(ステップ5:負極の製作)
水素吸蔵合金を含むペーストを、導電性の電極支持体に塗布し、乾燥した後、加圧成形することにより、水素吸蔵合金負極板を製作した。次いで、この水素吸蔵合金負極板を所定の大きさに切断し、負極を得た。
【0058】
(ステップ6:アルカリ蓄電池の組立)
上記のように製作した、正極、負極、及びセパレータを、正極と負極との間にセパレータが介在するように交互に積層して、電極群を作製した。次いで、この電極群をケース内に挿入して、アルカリ電解液(比重1.27の水酸化カリウム水溶液)を注液した。このとき、セパレータに含まれている吸水性ポリマーが、アルカリ電解液を吸収して、ゲル状電解質となる。その後、安全弁を備える封口板によってケースを封口し、アルカリ蓄電池(ニッケル水素蓄電池)を得た。なお、本実施例1では、電池容量を6.5Ahとしている。
【0059】
また、本実施例1のアルカリ蓄電池では、ゲル状電解質が飽和する量を超える(吸水性ポリマーが吸収可能なアルカリ電解液の量を超える)余剰のアルカリ電解液を注液している。従って、電池内(ケース内)には、吸水性ポリマーに吸収されることなく、液状を保つ余剰のアルカリ電解液が存在することとなる。
【0060】
(比較例1)
本比較例1では、実施例1と異なり、ステップ1において、不織布に親水化処理を施すことなく、セパレータ基材を作製した。その他については、実施例1と同様にして、電池容量が6.5Ahのアルカリ蓄電池を作製した。
【0061】
(比較例2)
本比較例2では、実施例1と異なり、吸水性ポリマーを含まないセパレータを作製した。すなわち、ステップ2,3の工程を実施することなく、ステップ1で作製したセパレータ基材(スルホン化処理済み)をそのままセパレータとして用いた。その他については、実施例1と同様にして、電池容量が6.5Ahのアルカリ蓄電池を作製した。
【0062】
(自己放電特性評価試験)
次に、実施例1及び比較例1,2のアルカリ蓄電池について、それぞれ、自己放電特性評価試験を行った。まず、各電池ついて、それぞれ、1000サイクルの充放電サイクル試験を行った。なお、2C(13A)で30分充電し、2C(13A)で電池電圧が1Vになるまで放電する充放電を1サイクルとしている。その後、それぞれのアルカリ蓄電池について、0.6C(3.9A)の電流でSOC(State Of Charge)60%まで充電し、45℃の雰囲気下に1週間放置した。ここで、1C=6.5A,SOC100%=6.5Ahである。
【0063】
次いで、0.3C(1.95A)で電池電圧が1.0Vになるまで放電した後、各電池の残存SOC(%)を測定した。また、各電池について、2Aで4時間充電したときの最大の内圧(MPa)を測定(以下、この値を単に内圧という)した。さらに、25℃の雰囲気下において、各電池について、SOC50%における電気抵抗を測定した。この結果を表1に示す。なお、電気抵抗については、比較例2の電気抵抗を100とした場合の指数で表示している。本実施例1では、長期間にわたって良好な自己放電特性を得られるか否かを調査するために、1000サイクルという極めて多数サイクルの充放電を行っていることに注目すべきである。
【0064】
【表1】

【0065】
各電池の自己放電特性について比較すると、実施例1の電池では、試験後の残存SOCが34%と高い値を示し、長期間にわたり、優れた自己放電特性を得ることができた。これに対し、比較例1,2の電池では、試験後の残存SOCが17%及び14%と低く、自己放電特性が好ましくなかった。また、各電池の内圧について比較すると、比較例2では0.18(MPa)と極めて低く、内圧特性に優れていた。実施例1及び比較例1の電池では、それそれ、0.61,0.55(MPa)となり、比較例2に比して高い値を示したものの、内圧特性は良好であった。また、各電池の電気抵抗について比較すると、実施例1及び比較例1の電池では、比較例2に比して電気抵抗が大きくなったものの、その上昇率は3.7%及び6.1%で、比較的小さかった。実施例1及び比較例1の電池では、セパレータ基材の空隙部内にゲル状電解質を有しているため、比較例2に比して内圧及び電気抵抗が大きくなったと考えられる。
【0066】
ここで、実施例1の電池と比較例1,2の電池との自己放電特性の違いについて検討する。まず、実施例1と比較例1とについて検討すると、自己放電特性の違いは、セパレータ基材にスルホン化処理が施されているか否かの違いによるものと言える。すなわち、両電池共に、スルホ基を含むゲル状電解質を有しているが、比較例2の電池では、セパレータ基材にスルホン化処理が施されていないため、電池内のアンモニアを十分に捕捉することができず、アンモニアの影響で正極活物質の還元が進み、自己放電が促進されたと考えられる。これに対し、実施例1の電池では、セパレータ基材にスルホン化処理が施されているために、スルホ基を含むゲル状電解質に加え、セパレータ基材のスルホ基によっても電池内のアンモニアを適切に捕捉でき、アンモニアの影響による自己放電を抑制することができたと考えられる。
【0067】
また、実施例1と比較例2とについて検討すると、自己放電特性の違いは、スルホ基を含むゲル状電解質を有しているか否かの違いによるものと言える。すなわち、両電池共に、セパレータ基材にスルホン化処理が施されているが、比較例2の電池では、スルホ基を含むゲル状電解質を有していないため、電池内のアンモニアを十分に捕捉することができず、アンモニアの影響で正極活物質の還元が進み、自己放電が促進されたと考えられる。
【0068】
これに対し、実施例1の電池では、スルホ基を含むゲル状電解質を有しているために、セパレータ基材の繊維の表面を、スルホ基を含むゲル状電解質で覆うことができる。これにより、セパレータ基材のうちスルホン化されていない(若しくは、スルホン化が少ない)部分においても、ゲル状電解質により、ある程度スルホ基を存在させることができたと考えられる。このように、セパレータ基材のスルホ基とゲル状電解質に含まれるスルホ基により、セパレータ基材の全体にわたってスルホ基を配置させることができたために、好適に、電池内のアンモニアを捕捉することができたと考えられる。従って、アンモニアの影響による自己放電を抑制することができたと考えられる。
【0069】
以上の結果より、スルホン化処理を施したセパレータ基材(セパレータ)を用い、且つ、スルホ基を含むゲル状電解質を配置することで、長期間にわたり、自己放電特性を良好にできると言える。
【実施例2】
【0070】
本実施例2では、セパレータ基材をなす繊維に含まれるS元素の量に対する、吸水性ポリマーに含まれるS元素の量の割合が異なる7種類のセパレータを用いて、7種類のアルカリ蓄電池(サンプル1〜7とする)を製作した。
【0071】
具体的には、ステップ1において、実施例1と同様にして、湿式不織布にスルホン化処理を行い、スルホン化度が3.0×10-3のセパレータ基材を作製した。次いで、ステップ2において、実施例1と同様にしてゲル分散液を作製した。次いで、ステップ3において、ステップ1で製作したセパレータ基材について、ゲル分散液中への浸漬時間を異ならせることにより、吸水性ポリマーの含有量が異なる7種類のセパレータを作製した。
【0072】
これにより、セパレータ基材のスルホン化度はいずれも同一であるが、吸水性ポリマーに含まれるS元素の量が異なる7種類のセパレータを得た。すなわち、セパレータ基材をなす繊維に含まれるS元素の量に対する、吸水性ポリマーに含まれるS元素の量の割合(以下、単に、吸水性ポリマーのS量とも言う)が異なる7種類のセパレータを得た。詳細には、表2に示すように、吸水性ポリマーのS量が、0.07,0.10,0.53,1.04,1.58,2.00,2.32(%)と異なる7種類のセパレータを作製した。その後、実施例1と同様にして、7種類のニッケル水素蓄電池(サンプル1〜7)を作製した。なお、サンプル1〜7についても、いずれも電池容量を6.5Ahとしている。
【0073】
【表2】

【0074】
(自己放電特性評価試験)
次に、上記のように製作したサンプル1〜7について、それぞれ、実施例1と同様にして、自己放電特性評価試験を行った。その結果を表2に示す。
各サンプルの自己放電特性について比較すると、サンプル2〜7では、試験後の残存SOCが34〜36%と高い値を示し、長期間にわたり、優れた自己放電特性を得ることができた。これに対し、サンプル1では、試験後の残存SOCが21%と比較的良好な値を示したが、他のサンプルに比して自己放電特性が劣っていた。
【0075】
ここで、表2の結果に基づいた、吸水性ポリマーのS量(%)と試験後の残存SOC(%)との関係を、図1に示す。図1に●印で示すように、試験後の残存SOC(%)の値は、吸水性ポリマーのS量が0.1%未満の場合にはそれほど大きくないが、吸水性ポリマーのS量が0.1%以上となると大きく上昇し、自己放電特性が良好となることがわかる。詳細には、吸水性ポリマーのS量を0.1%以上とすれば、吸水性ポリマーのS量に拘わらず、ほぼ同等の良好な自己放電特性を得られることがわかる。これは、次のような理由によるものと考えられる。
【0076】
各サンプルでは、スルホン化処理を施したセパレータ基材(具体的には、スルホン化度を3.0×10-3としたセパレータ基材)を用いているため、セパレータ基材において、電池内のアンモニアを捕捉することができる。しかしながら、先の実施例1及び比較例2の結果からもわかるように、スルホン化処理を施したセパレータ基材だけでは、長期間にわたり、適切に、電池内のアンモニアを捕捉することができない。従って、電池内のアンモニアを、長期間にわたり適切に捕捉するためには、スルホン化処理を施したセパレータ基材を用いると共に、スルホ基を有するゲル状電解質を配置させる必要がある。
【0077】
しかしながら、サンプル1では、スルホ基を有するゲル状電解質を配置させたものの、吸水性ポリマーのS量が0.07%と低いために、ゲル状電解質に十分なスルホ基を含有させることができず、電池内のアンモニアを、長期間にわたり、適切に捕捉することができなかったと考えられる。
これに対し、サンプル2〜7では、吸水性ポリマーのS量を0.1%以上とすることにより、ゲル状電解質に十分なスルホ基を含有させることができ、セパレータ基材の全体にわたって、適切にスルホ基を配置させることができたと考えられる。従って、電池内のアンモニアを、長期間にわたり、適切に捕捉することができたと考えられる。
以上の結果より、スルホン化度を3.0×10-3としたセパレータ基材を用い、且つ吸水性ポリマーのS量を0.1%以上とすることにより、長期間にわたり、優れた自己放電特性を得ることができると言える。
【0078】
一方、各サンプルの内圧について比較すると、表2より、サンプル1〜7の順に、電池の内圧(MPa)が上昇することがわかる。すなわち、吸水性ポリマーのS量(%)が大きくなるにしたがって、電池の内圧が上昇することがわかる。
ここで、表2の結果に基づいた、吸水性ポリマーのS量(%)と電池の内圧(MPa)との関係を図2に示し、詳細に検討する。図2に△印で示すように、吸水性ポリマーのS量が0.1〜2.0(%)の範囲では、吸水性ポリマーのS量(%)が大きくなるにしたがって、電池の内圧が徐々に上昇し、2.0%を超えると内圧が大きく上昇することがわかる。これは、吸水性ポリマーのS量を大きくするにしたがって吸水性ポリマーが増加することから、セパレータ基材の空隙部内を占めるゲル状電解質が増加するためであると考えられる。この結果より、吸水性ポリマーのS量を2.0%以下に制限することにより、ゲル状電解質の量を制限することができるので、セパレータの通気を十分に確保し、電池の内圧特性を良好とする(内圧上昇を抑制する)ことができると言える。
【0079】
次に、各サンプルの電気抵抗について比較する。なお、表2では、電気抵抗を、吸水性ポリマーを配置していない比較例2の電池を基準(基準値100)として、指数表示している。表2より、サンプル1〜7の順に、電池の電気抵抗が大きくなることがわかる。すなわち、吸水性ポリマーのS量(%)が大きくなるにしたがって、電気抵抗が大きくなることがわかる。
【0080】
ここで、表2の結果に基づいた、吸水性ポリマーのS量(%)と電池の電気抵抗(指数)との関係を図3に示し、詳細に検討する。図3に◆印で示すように、吸水性ポリマーのS量が2.0%以下の範囲では、吸水性ポリマーのS量(%)が大きくなるにしたがって、電気抵抗が徐々に上昇し、2.0%を超えると電気抵抗が急激に上昇することがわかる。これは、吸水性ポリマーのS量を大きくするにしたがって吸水性ポリマーが増加することから、セパレータ基材の空隙部内を占めるゲル状電解質が増加するためであると考えられる。この結果より、吸水性ポリマーのS量を2.0%以下に制限することにより、ゲル状電解質の量を制限し、電池の電気抵抗を比較的小さくできると言える。
【0081】
以上の結果より、スルホン化度を3.0×10-3としたセパレータ基材を用い、且つ吸水性ポリマーのS量を0.1〜2.0(%)とするのが好ましいと言える。これにより、長期間にわたり、優れた自己放電特性を得ることができると共に、内圧特性を良好とし、且つ、電気抵抗を比較的小さくすることができると言える。
【実施例3】
【0082】
本実施例3では、セパレータ基材の構造が異なる2種類のセパレータを製作した後、各セパレータを用いて、2種類のアルカリ蓄電池(サンプル8,9とする)を製作した。
具体的には、ステップ1において、1枚の抄紙ウェブ層からなる単層の湿式不織布と、同一の抄紙ウェブ層を2枚積層した2層の湿式不織布を作製した。但し、両不織布では、共に、目付を60(g/m2)、厚みを200(μm)、繊維密度を0.91(g/cm3)に統一している。次いで、これらの湿式不織布について、実施例1と同様にスルホン化処理を施し、2種類のセパレータ基材を製作した。なお、セパレータ基材のスルホン化度は、共に3.0×10-3としている。
【0083】
その後、実施例1のステップ2,3と同様にして、吸水性ポリマーを含む2種類のセパレータを製作した。なお、両セパレータでは、共に、5.05g/m2の吸水性ポリマー(乾燥状態)を、セパレータ基材の空隙部内に配置させている。従って、吸水性ポリマーのS量は、共に、0.63%となる。その後、実施例1のステップ4〜6と同様にして、2種類のニッケル水素蓄電池(サンプル8,9)を作製した。なお、サンプル8,9についても、いずれも電池容量を6.5Ahとしている。
【0084】
(自己放電特性評価試験)
次に、上記のように製作したサンプル8,9について、それぞれ、実施例1と同様にして、自己放電特性評価試験を行った。但し、本実施例3では、1000サイクルの充放電サイクル試験を行った後、さらに、もう1000サイクルの充放電試験を行い、1000サイクル後の残存SOC(%)と2000サイクル後の残存SOC(%)を調査している。その結果を表3に示す。
【0085】
【表3】

【0086】
両サンプルの自己放電特性について比較すると、表3に示すように、1000サイクル後の残存SOCは、それぞれ、35%と34%の高い値を示した。さらに、2000サイクル後の残存SOCについて見ると、2000サイクルもの極めて多数サイクルの充放電サイクル試験を行ったにも拘わらず、いずれも、24%以上の値を示した。この結果より、サンプル8,9は、共に、長期間にわたり、優れた自己放電特性を得ることができたと言える。
【0087】
これは、セパレータについて、スルホン化度を3.0×10-3とし、且つ、吸水性ポリマーのS量を0.1〜2.0(%)(具体的には、0.63%)としたことに加えて、ジビニルベンゼンによって架橋させた吸水性ポリマーを用いたためであると考えられる。ジビニルベンゼンによって架橋させた吸水性ポリマーは、アルカリ電解液中(ゲル状電解質)において、長期間にわたり安定して存在する。従って、セパレータ基材の繊維の表面に、ゲル状電解質を、長期間にわたり安定して存在させることができたと考えられる。
【0088】
しかも、ゲル状電解質が飽和する量を超える(吸水性ポリマーが吸収可能なアルカリ電解液の量を超える)余剰のアルカリ電解液を注液している。すなわち、電池内に、吸水性ポリマーに吸収されることなく、液状を保つ余剰のアルカリ電解液を存在させている。これにより、充放電の繰り返しに伴い、ゲル状電解質に含まれるアルカリ電解液が減少しても、吸水性ポリマーが、電池内(セパレータ基材の空隙部内)に存在する余剰のアルカリ電解液を吸収して、ゲル状電解質を飽和状態に戻すことができる。
従って、長期間にわたり、飽和したゲル状電解質によって、セパレータ基材の繊維の表面を安定して覆うことができるので、長期間にわたり、優れた自己放電特性を得ることができたと考えられる。
【0089】
しかしながら、1000サイクル後と2000サイクル後の残存SOCを比較すると、サンプル8では、1000サイクル後のSOCの値に対し、2000サイクル後のSOCの値が、11%低下(35%から24%に低下)したのに対し、サンプル9では、低下することなく高い値(共に34%)を示した。この結果より、サンプル9のほうが、サンプル8に比して、長期間にわたり、優れた自己放電特性を得ることができたと言える。
【0090】
これは、サンプル8では、セパレータ基材として、単層の不織布を用いたのに対し、サンプル9では、複数の抄紙ウェブ層を積層した不織布を用いたためと考えられる。すなわち、サンプル9では、複数の抄紙ウェブ層を積層した不織布を用いることで、抄紙ウェブ層の層間において不連続面が多くなり、サンプル8に比して、セパレータ基材の繊維に沿って正負極間を連結する導電パスの形成を抑制できたためと考えられる。
また、内圧について検討すると、サンプル8では0.53(MPa)、サンプル9では0.60(MPa)となり、両サンプル共に、比較的良好な内圧特性を示した。電気抵抗についても、指数の値が101と101.7となり、共に、低抵抗であった。
以上の結果より、セパレータ基材として、単層の不織布よりも、複数の抄紙ウェブ層を積層した不織布を用いたほうが好ましいと言える。
【0091】
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1等では、セパレータ基材へのスルホン化処理として、無水硫酸によるスルホン化処理を行ったが、発煙硫酸によるスルホン化処理を行っても同様な効果を得ることができた。
【0092】
また、実施例1〜3では、セパレータ基材のスルホン化度を3.0×10-3としたが、スルホン化度が1×10-3〜6×10-3の範囲であるセパレータ基材を用いることにより、長期間にわたり、自己放電特性が良好となることが確認できた。従って、実施例2の結果も含めて検討すると、セパレータ基材のスルホン化度を、1×10-3〜6×10-3とし、且つ、吸水性ポリマーに含まれるS元素の量を、セパレータ基材をなす繊維に含まれるS元素の量に対し、0.1〜2.0(%)とすることにより、長期間にわたり、自己放電特性を良好にできると言える。さらに、内圧特性も良好にでき、電気抵抗も比較的小さく保つことができると言える。なお、スルホン化度を6×10-3より大きくした場合には、セパレータ基材への極度なスルホン化処理により、セパレータ基材が激しく傷み、強度が著しく低下してしまった。このため、電池の寿命特性及び自己放電特性が大きく低下した。
【0093】
また、実施例1〜3では、セパレータ基材の目付を60g/m2、厚みを200μmとしたが、目付が40〜70(g/m2)、厚みが120〜200(μm)のセパレータ基材を用いることにより、長期間にわたり、自己放電特性及び内圧特性を良好にできることが確認できた。これは、目付を40g/m2以上、厚みを120μm以上とすることにより、セパレータ基材の繊維に沿った正極と負極との間のパスを長くすることができるので、正負極間を連結する導電パスが形成され難くなり、自己放電特性が良好になったと考えられる。一方、目付を70g/m2以下に制限することにより、セパレータ基材の空隙部を大きく確保して、セパレータの通気性を良好にすることができると共に、厚みを200(μm)以下に制限することにより、電池内におけるセパレータ基材の占有体積を抑制できたため、内圧特性を良好にできたと考えられる。
【0094】
また、実施例1〜3では、1種類の繊維(具体的には、ポリプロピレン)からなる不織布により、セパレータ基材を構成したが、2種類以上の繊維(例えば、ポリプロピレンとポリエチレン)からなる不織布を用いて、セパレータ基材を作製するようにしても良い。2種類以上の繊維からなる不織布を用い、これにスルホン化処理を施せば、スルホン化度の異なる2種類以上の繊維からなるセパレータ基材を得ることができる。スルホン化度の異なる2種類以上の繊維からなるセパレータ基材を用いることにより、より一層、自己放電特性及び内圧特性を良好とすることができる。具体的には、ポリプロピレンとポリエチレンからなる不織布を用いてセパレータ基材を作製し、これをアルカリ蓄電池に用いたところ、優れた自己放電特性及び内圧特性を得ることができた。
【0095】
これは、スルホン化度、すなわち、親水性の異なる2種以上の繊維によってセパレータ基材を構成することにより、セパレータ基材の空隙部において、ゲル状電解質及びアルカリ電解液を偏在させることができるためと考えられる。具体的には、スルホン化度が高い繊維にゲル状電解質及びアルカリ電解液を集中して保持させることにより、スルホン化度が低い繊維の周りに通気路を形成することができる。従って、セパレータの保液性及び通気性を共に良好とすることができるので、優れた自己放電特性及び内圧特性を得ることができると考えられる。
【0096】
さらに、セパレータ基材には、2種以上の成分からなる分割型複合繊維を含有させると良い。分割型複合繊維を含有させることで、電極間パスを大きくすることができ、電極間を連結する導電パスの形成を抑制することができる。従って、電池の自己放電特性をより一層良好とすることができる。具体的には、ポリプロピレンとポリエチレンとからなる分割型複合繊維を30重量%含有させた不織布(2層の抄紙ウェブ層からなる)を用いてセパレータ基材を作製し、これをアルカリ蓄電池に用いたところ、優れた自己放電特性及び内圧特性を得ることができた。
【0097】
ところで、セパレータ基材として、複数の抄紙ウェブ層を積層した不織布を用いる場合であって、分割型複合繊維を含有させた上記の電池では、特に、ポリプロピレンとポリエチレンとからなる分割型複合繊維を用いたために、優れた自己放電特性を得ることができたと考えられる。ポリプロピレンとポリエチレンとからなる分割型複合繊維は高融点であるため、不織布を作成する過程において熱を加えた場合でも、分割型複合繊維の結晶形態が崩れにくく、地合を良好に保つことができる。従って、ポリプロピレンとポリエチレンとからなる分割型複合繊維を含有させることにより、電極間パスを十分に大きくすることができ、電極間を連結する導電パスの形成を抑制することができたと考えられる。
なお、分割型複合繊維をなす繊維としては、ポリプロピレン及びポリエチレンの他、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、及びポリブチレンも好適に用いることができる。
【0098】
また、実施例1〜3では、シート状のセパレータ(セパレータ基材)を用い、セパレータが正極と負極との間に介在するように積層した。しかしながら、このような形態に限定されるものではなく、例えば、セパレータを袋状として、その内部に正極を配置させると共に、これと負極とを交互に積層するように積層しても良い。
【0099】
また、実施例3では、同一の抄紙ウェブ層を積層した不織布を用いて、セパレータ基材を作成した。しかしながら、積層する抄紙ウェブ層は同一である必要はなく、異質の抄紙ウェブ層(例えば、目付が異なる)を積層するようにしても良い。むしろ、異質の抄紙ウェブ層を積層したほうが、アルカリ蓄電池の特性を向上させることができるので好ましい。
【0100】
具体的には、アルカリ蓄電池(ニッケル水素電池)では、正極側に比して負極側から多くの導電析出物が析出するため、正極側に配置される抄紙ウェブ層(第1抄紙ウェブ層とする)に比して負極側に配置される抄紙ウェブ層(第2抄紙ウェブ層とする)の目付を大きくすることにより、効率良く導電パスの形成を抑制することができる。このように、セパレータ基材について、選択的に抄紙ウェブ層(第2抄紙ウェブ層)の目付を大きくすることは、全ての抄紙ウェブ層(第1抄紙ウェブ層と第2抄紙ウェブ層)の目付を大きくする場合に比して、セパレータ全体の目付の上昇を抑制することができる。このため、セパレータの通気度の低下を抑制でき、ひいては、アルカリ蓄電池の内圧上昇を抑制することができる。
【0101】
また、実施例3では、抄紙ウェブ層を2層を積層した不織布を用いて、セパレータ基材を作成した。しかしながら、抄紙ウェブ層を積層する場合は、積層する不織布は2層に限定されるものではなく、複数層であればいずれでも良い。むしろ、積層する抄紙ウェブ層の数を増やすほど、正負極間を連結する導電パスが形成されにくくなり、アルカリ蓄電池の自己放電特性を向上させることができるので好ましい。
また、実施例1等では、セパレータ基材として湿式不織布を用いたが、乾式不織布を用いても良い。
【0102】
また、実施例1〜3では、負極に水素吸蔵合金を用いたニッケル水素蓄電池を作製した。しかしながら、本発明は、ニッケル亜鉛蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池など、いずれのアルカリ蓄電池についても同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】実施例2にかかるアルカリ蓄電池(サンプル1〜7)について、吸水性ポリマーのS量(%)と、試験後残存SOC(%)との関係を示すグラフである。
【図2】実施例2にかかるアルカリ蓄電池(サンプル1〜7)について、吸水性ポリマーのS量(%)と、内圧(MPa)との関係を示すグラフである。
【図3】実施例2にかかるアルカリ蓄電池(サンプル1〜7)について、吸水性ポリマーのS量(%)と、電気抵抗(指数)との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維からなる三次元網状構造を備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を含むセパレータ基材と、
上記セパレータ基材の上記空隙部に配置され、アルカリ電解液を吸収するとゲル状電解質となる吸水性ポリマーと、を備え、
上記セパレータ基材は、スルホン化処理されてなり、
上記吸水性ポリマーは、スルホ基を有してなる
アルカリ蓄電池用セパレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のアルカリ蓄電池用セパレータであって、
前記セパレータ基材のスルホン化度は、1×10-3〜6×10-3であり、
前記吸水性ポリマーに含まれるS元素の量は、前記セパレータ基材をなす繊維に含まれるS元素の量に対し、0.1〜2.0(%)である
アルカリ蓄電池用セパレータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアルカリ蓄電池用セパレータであって、
前記セパレータ基材は、
目付が40〜70(g/m2)、厚みが120〜200(μm)である
アルカリ蓄電池用セパレータ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のアルカリ蓄電池用セパレータであって、
前記吸水性ポリマーは、ジビニルベンゼン及びジビニルナフタレンの少なくともいずれかにより架橋されてなる
アルカリ蓄電池用セパレータ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のアルカリ蓄電池用セパレータであって、
前記セパレータ基材は、スルホン化度の異なる少なくとも2種類の繊維を有してなる
アルカリ蓄電池用セパレータ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のアルカリ蓄電池用セパレータであって、
前記セパレータ基材は、分割型複合繊維を含む
アルカリ蓄電池用セパレータ。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のアルカリ蓄電池用セパレータであって、
前記セパレータ基材は、複数の抄紙ウェブ層が積層された不織布からなる
アルカリ蓄電池用セパレータ。
【請求項8】
請求項7に記載のアルカリ蓄電池用セパレータであって、
前記複数の抄紙ウェブ層は、それぞれ、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、及びポリブチレンから選択した少なくとも2種類の成分からなる分割型複合繊維を含む
アルカリ蓄電池用セパレータ。
【請求項9】
正極と、
負極と、
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のアルカリ蓄電池用セパレータであって、前記吸水性ポリマーがアルカリ電解液を吸収してゲル状電解質となったセパレータと、を備える
アルカリ蓄電池。
【請求項10】
正極と、
負極と、
繊維からなる三次元網状構造を備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を含むセパレータ基材と、
上記セパレータ基材の上記空隙部内に位置し、吸水性ポリマーにアルカリ電解液を吸収させてなるゲル状電解質と、を備え、
上記セパレータ基材は、スルホン化処理されてなり、
上記吸水性ポリマーは、スルホ基を有してなる
アルカリ蓄電池。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載のアルカリ蓄電池であって、
当該アルカリ蓄電池内に、前記吸水性ポリマーに吸収されることなく、液状を保つ余剰のアルカリ電解液を含む
アルカリ蓄電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−114259(P2006−114259A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−298505(P2004−298505)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】