説明

アルカリ金属およびケイ素の合金と対応する水酸化物との間で平衡を保つ系を用いる水素貯蔵方法

本発明は、アルカリ金属およびケイ素の合金を気体状の水素と接触させて、対応する水素化物(単数種または複数種)を形成させる工程を含む可逆的水素保存方法に関する。本発明の方法は、式(1)(式中、MはLi、NaまたはKの中から選択され、原子比Xは、値XLi≦1、1≦XNa≦3、1≦X≦2を有し、nは、形成された水素化物(単数種または複数種)の化学量論に対応する水素原子数である)または式(II)(式中、Mは、Li、NaまたはKの中から選択され、原子比XSi≦Si/Mは1〜4の値を有する)を有する少なくとも1つの平衡系を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素の貯蔵のために潜在的に有利である新しい物質を用いる可逆的水素貯蔵方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新しいエネルギーシステムの研究の脈絡の中で、水素を貯蔵および輸送するための方法の開発は非常に重要である。水素を貯蔵するために用いられるリチウム塩基を有する化合物が知られている。水素を貯蔵することを困難にする水素化リチウムの過剰な安定性に起因して、より複雑な水素化リチウムを用いることが必要である。
【0003】
特許文献1には、Li−Be−H−タイプの水素化物が記載されている。ごく一般的な方法で、特許文献2には、水素を貯蔵するための装置において用いられ得る異方性ナノ構造、例えば、窒化リチウムの使用が記載されている。
【特許文献1】米国特許第第6514478号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/05070号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、圧力−温度等温平坦域(pressure-temperature isothermal plateau):
・270K<T<370K、および
・1atm<P<10atm(または約0.1MPa<P<約10MPa)
によって規定される、上記条件下に水素の貯蔵(理論的には5重量%超)に潜在的に有利である新しい物質を用いる可逆的水素貯蔵方法に関する。
【0005】
これらの新しい物質は、アルカリ金属およびケイ素の合金と対応する水素化物(単数種または複数種)との間で形成される平衡系を含み、それらは、タイプ:
【化1】

【0006】
(式中、Mは、Li、NaまたはKの中から選択され、原子比Xは、次の値:
【0007】
【数1】

【0008】
をとり、
nは、形成される水素化物(単数種または複数種)の化学量論に対応する水素原子数である)のものである。
【0009】
アルカリ金属とケイ素との間で形成される合金が超化学量論的である場合、すなわち、Si/Mによって規定される比XSiが1〜4の値をとる場合、用いられる平衡系は、次の通りである:
【0010】
【化2】

【0011】
水素貯蔵方法のために用いられる新しい物質は、より特定的には、タイプ:
【0012】
【化3】

【0013】
のものである。
【0014】
nは、形成される水素化物(単数種または複数種)の化学量論の水素原子数である。
【0015】
原子比Xは、次の値:
【0016】
【数2】

【0017】
をとる。
【0018】
本発明はまた、式NaSiHおよびLiSiHに対応する新しい構造に関する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明による貯蔵方法において、アルカリ金属およびケイ素の合金は、気体状の水素と接触させられ、これにより、対応する水素加物化合物(単数種または複数種)が形成される(水素吸収)。僅かに昇温させるかまたは僅かに水素圧を低くすることにより、形成された水素化物は、水素を再生させる(脱着)。したがって、それは可逆的貯蔵方法である。
【0020】
合金KSi、NaSiまたはLiSiとの、または元素K、LiまたはNaおよびSiとの平衡時の水素化物は、水素の貯蔵についての熱力学的特性を向上させる。
【0021】
KSiHの構造が知られている一方で、NaSiHおよびLiSiHの構造は、本発明者らがアクセスしたICSDおよびCRYSMET結晶ベースにおいて総括されていない。したがって、NaSiHおよびLiSiHの構造は、KSiHの構造と同じように、次の計算方法によって解明されることになる:
− ICSD(Inorganic Crystal Structure Database)のベースは、ドイツにおける「Fachinformationszentrum Karlsruhe(FIZ):Karlsruhe技術情報センター」および米国における「National Institute of Standards and Technology(NIST):標準および技術の国立機関」の所有物である(http://www.icsd.ill.fr//も参照);
− CRYSMETベースは、オタワの「Toth Information Systems」およびカナダのle Conseil national de recherches(国立研究委員会)に属し、これによって維持される。
【0022】
(ICSDおよびCRYSMETは、Materials Design S.a.r.l.,Le Mans(フランス)によって市販されるMedeAインターフェース内でアクセスされ得る。
【0023】
固体物質の多くの有用な性質は、その化学的凝集エネルギーを決定することから直接的に誘導され得る。この凝集エネルギーは、本質的には、化学組成、物質の局所的な原子構造、その電子特性、およびそれらから誘導される全ての物理的特性に基づく。量子力学、より具体的には、密度汎関数理論(その略称DFTは、英語の「Density Functional Theory」から得られる)は、試験室の物質の合成時におけるあらゆる試みの前に、原子、分子または結晶構造の構造的、電子的および熱力学的特性の定量的予測のための信頼性のあるベースを提供する(参照:W.Kohn,L.J.Sham,Phys.Rev.A 140,1133(1965))。特に、DFTの形成は、多くの現在の定量ソフトウェア適用、例えば、
− 「Vienna Ab initio Simulation Package」(VASP)(参照:G.Kresse,J.Hafner,Phys.Rev.B 48(1993)13115;G.Kresse,J.Furthmuller,Phys.Rev.B 6(1996)15;並びに、アドレスURL:http://www.cms.mpi.univie.ac.at/vasp/;参照[1]);
− 「CASTEP」(参照:http://www.tcm.phy.cam.ac.uk/castep/);および
− 「Gaussian」(参照:http://www.gaussian.com)
において実行されるので、それは、中心的な目的として、有名なシュレディンガー式に対する近似解によってシミュレートされた物質の電子波動関数の決定を有する。波動関数へのアクセスは、原子、分子または結晶構造における化学結合の予測的および定量的な方法論の開発を可能にする。
【0024】
水素の貯蔵用の新しい物質の検索において、実験者は、固体の化学の知識および方法論を頼りにする必要がある。形成エンタルピー等の熱力学的概念に基づいて、物質の構造の相対的な安定性が、温度および圧力条件に基づいて定量化され得る。DFT等の量子計算の最新技術は、これらの同じ熱力学的特性を決定するために経験的データの最小限の知識を頼りにする利点を提示する。物理学の基本定数の知識のおかげで、これらの技術(それ故に、しばしば、「ab initio」と呼ばれる)は、したがって、その組成およびその結晶網(mesh)によって規定される結晶構造のエネルギー安定性および物理化学的性質をあらゆる実験的なアプローチとは無関係に予測することを可能にする。さらに、これらの技術は、物質の構造についての実験的な不確実性を除去することを可能にする。
【0025】
水素を貯蔵するための物質としての中間的な水素化物の使用は、化学平衡:
【0026】
【化4】

【0027】
(式中、Mは、化学量論の水素化物相MHに転換される安定な金属相を示す)
に基づく。
【0028】
この水素化物相は、nMH/(nMH+MM)×100%(ここで、MHは、原子水素のモル質量であり、MMは金属のモル質量である)に等しい理論的質量貯蔵容量(theoretical mass storage capacity)を有する。
【0029】
転換式(1)の熱力学的特徴は、圧力−温度等温線によって記載される。水素化物および金属相の2つが共存する場合、等温線は平坦域(plateau)を有する。平坦域の温度Tおよび平衡圧Peqは、ファントホッフ式:
【0030】
【数3】

【0031】
(式中、
ΔHhyd(またはΔShyd)は、転換式(1)のエンタルピー変動(またはエントロピー変動)を示し;
R=8.314510J・mol−1・K−1は、理想気体のモル定数であり;
=1バールは、標準圧(または0.1MPa)である)
によって決定される。
【0032】
このアプローチは、以下のようにして金属合金ABの水素化物について一般化され得る:
【0033】
【化5】

【0034】
(式中、AおよびBは、2種の金属元素であり、xは、合金中の原子比B/Aである)。
【0035】
一般的に認められているのは、エントロピー変動ΔShydの項による第一の寄与が、吸着された状態にある気相から最終の水素化物の固体状態に渡る水素分子のエントロピーの喪失であることである。ΔShydの値は、水素化物に関係なく、130J・K−1・mol(H−1に近いことが知られる(参照:「Hydrogen-Storage Materials for Mobile Applications」,L.Schlapbach,A.Zuttel,Nature 414(2001)353-358(参照[5]);および「Hydrogen Storage Properties of Mg Ultrafine Particles Prepared by Hydrogen Plasma-Metal Reaction」,H.Shao,Y.Wang,H.Xu,X.Li,Materials Science Engineering B110(2004)221-226(参照[6])。以下、本発明者らは、この値を保有した。式(2)に従い、また、反応(3)を有効として、平衡時の圧力Peqの対数は、温度Tの逆数により線形変化する。線形関係の傾きは、ΔHhydによって決定される。以下の例において、本発明者らは、ファントホッフ線図のおかげで、1/T(提供する単位の理由のためにより具体的には1000/T)に基づくPeqの対数の変動を示すことになる。このような線図は、PeqおよびTの目標とする範囲において水素を貯蔵するために潜在的に有利な物質を識別すること可能にする。
【0036】
その結果として、(信頼性のある理論的アプローチによる)予測は、金属または合金が水素化物に転換され得る温度および圧力条件の知識のために非常に興味深い。ΔHhydが一般的に(安定な水素化物のために)発熱性であるので、傾きは負である。ΔHhydの値は、金属相または合金に対する水素化物の安定性に密接に依存する:水素化物が熱力学的により安定になる程、反応(1)または(3)がより発熱性になる。
【0037】
水素化物の形成エンタルピーΔHhydは、水素化の間の内部エネルギーの変動ΔEhyd
【0038】
【数4】

【0039】
に基づいて表され得る。ここで、Eは、水素化物相、金属および気相中の水素分子の内部エネルギーを示す。金属の内部エネルギーは、金属を構成する原子中心と電子との間の相互作用と関連している。このエネルギーはまた、しばしば、電子エネルギーと呼ばれ、物質の凝集エネルギーと直接的に結び付けられる。ΔEhydに基づくΔHhydの式は次の通りである:
【0040】
【数5】

【0041】
(式中、Δcは、水素化物相と金属相との間の熱容量変動を示し、
ΔZPEは、水素化物相と金属相との間の0点でのエネルギー変動であり、
ΔVは、水素化物相と金属相との間のモル容積の変動である)
量子シミュレーションのための最新技術は、
【0042】
【数6】

【0043】
および
【0044】
【数7】

【0045】
の値を系統的に計算することを可能にし、したがって、ΔEhydの値をそれらから誘導することを可能にする。(実験的手法において既知のまたは未知の)所与の結晶相について、初期の結晶構造は、空間群、基本セル(primitive cell)のパラメータおよび基本セルの網(mesh)における原子の位置によって決定される。既存構造のために、結晶データのベース、例えば、ICSDおよびCRYSMETが、この情報を提供する。
【0046】
(実験的に未知のまたは全体的には解明されていない)新構造のために、同じ標準的な記述が、本発明において採用されることになる。本発明者らはまた、一般的には観察された構造を特徴付けるために実験的に用いられる、X線回折スペクトル(XRD)のシミュレーションを加えることになる。
【0047】
(既知のまたは新しい)任意の構造のために、厳密なシミュレーションの方法が、いわゆる基本構造状態、すなわち、安定な構造状態を決定するために採用される。この基本状態において、
【0048】
【数8】

【0049】
およびΔEhydの値が計算される。この方法は、特に、水素化物および金属固体についての結晶構造および水素分子を最適化することによって、ソフトウェア、例えば、VASP(上記参照[1]を参照)においてアクセス可能なDFTレベルの最新の量子シミュレーション技術により、系の電子波動関数を決定することを可能にする。この目的のために、計算の間に以下の基準が課される:
・電子エネルギーの収束の基準は、0.01kJ/モル(基本セル)に設定されるべきである;
・原子位置の収束の基準および固体の基本セルの容積は、基本セルのモル当たり0.1kJのエネルギー精度につながるべきである;
・ブリルアン帯(Brillouin zone)を記述するために用いられる格子定数(grid of points)kは、セルのモル当たり0.01kJより弱い電子エネルギーの変動を確実にするのに十分に大きくあるべきである;
・用いられる平面波のベースのサイズまたは用いられるベースの精度は、基本セルのモル当たり0.1kJより大きい電子エネルギーの収束を確実にするべきである。
【0050】
搭載(on-board)の水素の貯蔵の適用のために、300K(1000/T#3.3K−1)近くの平衡温度は、一般的に、1atm(約0.1MPa)に近い圧力について模索される。式(2)に起因して、これは、水素のモル当たり−39kJに近いΔHhydの値に相当する。本発明のために、および、上記規定のシミュレーションアプローチの精度のために、本発明者らは、水素を貯蔵するために潜在的に有利である物質である、等温平坦域が:
・270K<T<370K(または2.7K−1<100/T<3.7K−1
および
・1atm<Peq<10atm(または約0.1MPa<Peq<約10MPa)
・・・(6)
の条件を実証する全物質を指定することになる。
【0051】
この定義域を具体化するターゲット領域(window)は、下記例中の全てのファントホッフ線図において示されることになる。
【0052】
本発明によると、選ばれるアルカリ金属は、「混合された」タイプであり得、ここで、リチウム、ナトリウムおよびカリウムは、それぞれ、ナトリウムおよび/またはカリウム、リチウムおよび/またはカリウム、およびリチウムおよび/またはナトリウムによって置換され得る。
【0053】
本発明によると、合金はまた、5重量%未満の比率で、周期律表の3〜12族の少なくとも1種の軽い遷移金属、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnの中から選択されるものを含み得る。
【0054】
本発明のアルカリ金属およびケイ素の合金は、固体形態または分散した形態(例えば、破砕により得られる)の形で提供され得る。
【0055】
本方法は、例えば、搭載の、固定のまたは持ち運びできる水素の貯蔵に適用される。
【0056】
本発明はまた、式NaSiHおよびLiSiHに対応する新しい構造に関し、そのX線回折図は、それぞれ、図3および4に提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
(実施例)
以下の実施例の中で、実施例1は比較のために提供され、実施例2は本発明を例示する。
【0058】
(実施例1(比較):単純水素化物の既知のケース)
図1の線図は、上記に記載される方法に従って計算されるΔEhydの値および文献の実験値ΔHhyd(参照:「CRC Handbook of Chemistry and Physics」,第76版,1995-1996,David R.Lide Editor-in-Chief,CRC Press)をプロットする。
【0059】
用いられる結晶構造は、式(6)において上記に説明された条件に近い条件下に安定である水素化物および金属相のものである。それらは、表1に記録される。
【0060】
【表1】

【0061】
図1の結果は、代表的な水素化物の広い範囲で、2つの基本値である実験値ΔHhydと計算値ΔEhydとの間に線形関係があることを示す。これらの例はまた、計算値ΔEhydが、水素を貯蔵する目的で物質の熱力学特性を予測するための良好な熱力学的記述子であること示す。エネルギーについての最終の精度は、3〜5%程度であり、これは、用いられた計算方法および上記方法と一致する。この結果は、項Δc、ΔZPEおよびΔVに結び付けられる寄与は、凝集エネルギーの寄与と比較して無視してよいという意味を含む。
【0062】
図2は、計算値ΔEhydを用いることによるこれらの値のファントホッフ線図への転換を示す。実験的に知られるように、表1の単純な水素化物のどれも(他の操作困難さを呈するBeHを除く)、上記規定のターゲット領域に接近することを可能にし、これは、水素を貯蔵するためにこれらの物質を使用することを考えることを可能にする。
【0063】
例えば、水素化マグネシウムの場合(これは、以下に対する基準として用いられる)は、ΔHhyd(MgH)がHのモル当たり−75.0kJに等しいことを示す(上記の参照[2]および[3]を参照)。計算は、Hのモル当たり−70.2kJ前後に、非常に近い値を提供する。大気圧での平衡温度は実験的に575Kであり(参照[2]を参照)、これは、あまりに高すぎて使用することができない。
【0064】
(実施例2:水素化ケイ素の場合)
ケイ素に基づく新しい物質ファミリーは、水素を貯蔵するために潜在的に有利である:KSiH、LiSiHおよびNaSiH。それらは、高い質量貯蔵容量を開発する(表2を参照)。KSiH相のみが、データベースICSD No.65954において空間群PNMAにより総括される。NaSiHおよびLiSiH相のために、原型KSiHの構造が保有される(表2を参照)。
【0065】
【表2】

【0066】
2つの新しい構造NaSiHおよびLiSiHのX線回折スペクトルが、それぞれ、図3および4に提供される。
【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
種々の物質についての考慮される化学平衡および計算値ΔEhydは次の通りである:
【0070】
【化6】

【0071】
これらの平衡は、M/Si=x(x≧1)の可変の組成を仮定することによって以下の一般的な方法で表され得る:
【0072】
【化7】

【0073】
Siの超化学量論的物質(xSi=Si/Mが1と4の間に包含される)の場合、平衡は以下の方法で表され得る:
【0074】
【化8】

【0075】
この平衡は、アルカリ金属M(M=Li、Na、K)のジ−、トリ−またはテトラ−シリルタイプの単純な水素化物化合物の形成を含む。
【0076】
KSi、LiSiおよびNaSi合金相は、CRYSMETベースにおいて識別される構造であり、表5に提供される。
【0077】
【表5】

【0078】
種々の先行する平衡に対応し、種々の元素についてのファントホッフ線図が、それぞれ、元素Li、NaおよびKについて、図5、6および7において提供される。これらの線図は、リチウム、ナトリウムまたはケイ素の存在下にケイ素を含有する水素化物は、好ましい熱力学的条件下に水素を貯蔵するための高い質量容量を有する有利な物質である可能性があること示す。
【0079】
下記表6は、先行する化学平衡によって規定されたようなxに基づく質量含有量および水素化エンタルピーを示す。
【0080】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、計算値ΔEhydおよび文献の実験値ΔHhydをプロットする。
【図2】図2は、計算値ΔEhydを用いる単純な水素化物のファントホッフ線図である。
【図3】図3は、NaSiHの結晶構造のX線回折スペクトルである。
【図4】図4は、LiSiHの結晶構造のX線回折スペクトルである。
【図5】図5は、リチウムおよびケイ素の合金のファントホッフ線図である。
【図6】図6は、ナトリウムおよびケイ素の合金のファントホッフ線図である。
【図7】図7は、カリウムおよびケイ素の合金のファントホッフ線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属およびケイ素の合金を気体状の水素と接触させて、対応する水素化物(単数種または複数種)を形成させる工程を包含する可逆的水素貯蔵方法であって、
平衡系が用いられ、該系は、式:
【化1】

(式中、Mは、NaおよびKの中から選択され、原子比Xは、値:
【数1】

をとり、
nは、形成された水素化物(単数種または複数種)の化学量論に対応する水素原子数である)
に対応することを特徴とする方法。
【請求項2】
アルカリ金属およびケイ素の合金を気体状の水素と接触させて、対応する水素化物(単数種または複数種)を形成させる工程を包含する可逆的水素貯蔵方法であって、
式:
【化2】

(式中、Mは、NaおよびKの中から選択され、原子比XSi=Si/Mは、1〜4の値をとる)
に対応する平衡系が用いられる方法。
【請求項3】
ナトリウムは、リチウムおよび/またはカリウムによって部分的に置換されてよい、請求項1または2に記載の可逆的水素貯蔵方法。
【請求項4】
カリウムは、リチウムおよび/またはナトリウムによって部分的に置換されてよい、請求項1または2に記載の可逆的水素貯蔵方法。
【請求項5】
合金はまた、5重量%未満の比率で、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnの中から選択される周期律表の第3〜12族の少なくとも1種の軽い遷移金属を含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
アルカリ金属およびケイ素の合金は、固体形態として供給される、、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
アルカリ金属およびケイ素の合金は、分散された形態として供給される、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
アルカリ金属およびケイ素の合金は、破砕によって得られる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
搭載の水素の貯蔵に適用される、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
固定された貯蔵に適用される、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
持ち運び式の貯蔵に適用される、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
式NaSiHに対応し、空間群PNMAに属する新規結晶構造。
【請求項13】
式LiSiHに対応し、空間群PNMAに属する新規結晶構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−538226(P2008−538226A)
【公表日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553652(P2007−553652)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000233
【国際公開番号】WO2006/082315
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(500393413)アンスティテュ フランセ デュ ペトロール (32)
【Fターム(参考)】