説明

アルカリ金属の製造方法およびアルカリ金属製造装置

【課題】少ないエネルギー消費量で効率的に不純物含有アルカリ金属から高純度のアルカリ金属を製造することができるアルカリ金属の製造方法およびアルカリ金属製造装置を提供すること。
【解決手段】不純物含有アルカリ金属180を陽極とし、かつカーボネート系有機溶媒およびアルカリ金属のイオンを含む溶液を電解液170として電気分解を行う。陽極では、不純物含有アルカリ金属180に含まれるアルカリ金属のみがイオンとなって電解液170に溶出し、その他の不純物は不純物含有アルカリ金属180中に残存する。一方、陰極では、電解液に含まれるアルカリ金属(アルカリ金属イオン)のみが陰極の表面に析出する。結果として、不純物含有アルカリ金属から高純度のアルカリ金属190を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ金属の製造方法およびアルカリ金属製造装置に関し、特に不純物含有アルカリ金属を電解精製して精製アルカリ金属を製造するアルカリ金属の製造方法およびアルカリ金属製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナトリウム硫黄電池(NAS電池)は、正極に硫黄を、負極にナトリウムを、電解質にβアルミナを使用した二次電池である。ナトリウム硫黄電池は、電力貯蔵用の電池として注目されており、数多く製造されている。これに伴い、使用済みナトリウム硫黄電池が今後大量に発生することが予想されるため、使用済みナトリウム硫黄電池に含まれるナトリウムなどの有用資源を再利用する技術を開発することが求められている。
【0003】
使用済みナトリウム硫黄電池から回収したナトリウムには、鉄や硫黄などの不純物が含まれていることが多い。したがって、使用済みナトリウム硫黄電池から回収したナトリウムを再利用するためには、これらの不純物を除去する必要がある。
【0004】
従来のナトリウムの精製方法として、ナトリウムイオン導電性の固体電解質を用いた方法がある(例えば、特許文献1,2参照)。この方法では、不純物含有ナトリウムと精製ナトリウムとの間に固体電解質(βアルミナ)を介在させた状態で、不純物含有ナトリウムと精製ナトリウムとの間に電圧を印加する。このようにすることで、不純物含有ナトリウムに含まれるナトリウムは固体電解質を通過して精製ナトリウム側に移動するが、不純物は固体電解質を通過せずに不純物含有ナトリウム内に留まるため、不純物含有ナトリウムからナトリウムを精製することができる。
【0005】
また、塩化ナトリウムの溶融塩を電気分解してナトリウムを製造する方法も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−080987号公報
【特許文献2】特開2002−014197号公報
【特許文献3】特開2006−016633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に記載のナトリウムの精製方法には、大量のエネルギーを消費してしまうという問題がある。すなわち、上記従来の方法では、ナトリウムを精製する際に、不純物含有ナトリウムおよび固体電解質を200〜500℃程度まで加熱するとともに、過電圧以上の電圧(0.3V程度)を電極間に印加しなければならない。このとき、固体電解質を介した電気分解の速度が遅く、加熱時間および電圧印加時間が長くなってしまうため、大量のエネルギーを消費してしまうのである。
【0007】
また、特許文献3に記載のナトリウムの製造方法にも、大量のエネルギーを消費してしまうという問題がある。すなわち、上記従来の方法では、塩化ナトリウムの溶融塩を調製するために、塩化ナトリウムを800℃以上に加熱しなければならない。また、ナトリウムの析出および塩素の発生という2つの反応を伴う塩化ナトリウムの電気分解を引き起こすためには、約2.8V(理論分解電圧)以上の電圧(通常、6〜7V程度)を印加しなければならないため、大量のエネルギーを消費してしまうのである。
【0008】
さらに、特許文献3に記載のナトリウムの製造方法には、高純度のナトリウムを製造することができないという問題がある。すなわち、上記従来のナトリウムの製造方法では、ナトリウムが析出する際にカルシウムなどの不純物が混入してしまい、ナトリウムの純度が低下してしまうのである。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、少ないエネルギー消費量でより効率的に不純物含有アルカリ金属から高純度の精製アルカリ金属を製造することができるアルカリ金属の製造方法およびアルカリ金属製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、有機溶媒にアルカリ金属塩を溶解させた電解液を用いて電解精製を行うことで上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明の第一は、以下のアルカリ金属の製造方法に関する。
[1]不純物含有アルカリ金属を電解精製して精製アルカリ金属を製造する方法であって、前記不純物含有アルカリ金属を陽極とし、かつカーボネート系有機溶媒および前記アルカリ金属のイオンを含む溶液を電解液として、前記不純物含有アルカリ金属に含まれるアルカリ金属を陰極に析出させるステップを含むアルカリ金属の製造方法。
[2]前記カーボネート系有機溶媒は、炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンである、[1]に記載のアルカリ金属の製造方法。
[3]前記アルカリ金属はリチウムまたはナトリウムである、[1]または[2]に記載のアルカリ金属の製造方法。
[4]前記電解液は、ヘキサフルオロリン酸のアルカリ金属塩を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のアルカリ金属の製造方法。
[5]前記電解液における前記アルカリ金属イオンの濃度は0.5mol/L以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載のアルカリ金属の製造方法。
[6]前記カーボネート系有機溶媒は炭酸エチレンであり、前記電解液の温度は60〜120℃の範囲内である、[1]〜[5]のいずれかに記載のアルカリ金属の製造方法。
[7]前記カーボネート系有機溶媒は炭酸プロピレンであり、前記電解液の温度は40〜100℃の範囲内である、[1]〜[5]のいずれかに記載のアルカリ金属の製造方法。
[8]前記不純物含有アルカリ金属は、リチウム電池、リチウムイオン電池またはナトリウム硫黄電池から得られたものである、[3]に記載のアルカリ金属の製造方法。
【0012】
また、本発明の第二は、以下のアルカリ金属製造装置に関する。
[9]不純物含有アルカリ金属を電解精製して精製アルカリ金属を製造するアルカリ金属製造装置であって、カーボネート系有機溶媒および前記アルカリ金属のイオンを含む電解液と、前記電解液を収容する電解槽と、前記不純物含有アルカリ金属を含む陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源手段と、前記電源手段と前記陽極との間、および前記電源手段と前記陰極との間を電気的に接続する一対の導電性部材と、前記電解液を加熱する加熱手段とを有し、前記陽極および前記陰極を前記電解液に接触させた状態で前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加して、前記不純物含有アルカリ金属に含まれるアルカリ金属を陰極に析出させるアルカリ金属製造装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来の技術に比べて低温環境下でも電解精製を迅速に行うことができるので、加熱および電圧印加に必要なエネルギーの消費量を削減することができる。また、本発明によれば、精製対象のアルカリ金属以外の金属元素を含まない電解液を用いることで、高純度のアルカリ金属を製造することができる。すなわち、本発明によれば、従来の技術に比べてより少ないエネルギー消費量で不純物含有アルカリ金属から高純度の精製アルカリ金属を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1.本発明のアルカリ金属の製造方法について
本発明のアルカリ金属の製造方法は、不純物含有アルカリ金属を電解精製して精製アルカリ金属を製造する方法であって、不純物含有アルカリ金属を陽極とし、有機溶媒および精製対象のアルカリ金属のイオンを含む溶液を電解液として電気分解を行い、不純物含有アルカリ金属に含まれるアルカリ金属を陰極に析出させるステップを含む。
【0015】
なお、本明細書において「不純物含有アルカリ金属」とは、精製対象のアルカリ金属以外の原子(例えば鉄、硫黄、アルミニウム)を含む、精製対象のアルカリ金属を主成分とする組成物を意味する。「精製アルカリ金属」とは、不純物含有アルカリ金属よりも精製対象のアルカリ金属以外の原子の含有率が低い、精製対象のアルカリ金属を主成分とする組成物を意味する。アルカリ金属の例には、リチウムおよびナトリウムが含まれる。
【0016】
上記のように不純物含有アルカリ金属を陽極とし、有機溶媒および精製対象のアルカリ金属のイオンを含む溶液を電解液として電気分解を行うと、陽極では、不純物含有アルカリ金属に含まれる精製対象のアルカリ金属がイオンとなって電解液に溶出する。有機溶媒に対するアルカリ金属のイオン化傾向は、鉄や硫黄などの不純物のイオン化傾向に比べて大きい。したがって、精製対象のアルカリ金属のみがイオンとなって電解液に溶出し、その他の不純物は不純物含有アルカリ金属中に残存する。また、絶縁体は電解液に溶解しないため、セラミックスなどの絶縁体も不純物含有アルカリ金属中に残存する。
【0017】
一方、陰極では、電解液に含まれるアルカリ金属のイオンがアルカリ金属単体として陰極の表面に析出する。このとき、精製対象のアルカリ金属以外の金属元素を含まない電解液を用いることで、精製対象のアルカリ金属のみを陰極の表面に析出させることができる。陰極は、アルカリ金属がその表面に析出できるものであれば特に限定されず、例えば、精製アルカリ金属または導電性部材を用いることができる。
【0018】
このように、本発明のアルカリ金属の製造方法では、不純物含有アルカリ金属に含まれる成分のうちアルカリ金属のみを電解液に溶出させるとともに、電解液に含まれるアルカリ金属を陰極の表面に析出させることで、不純物含有アルカリ金属からアルカリ金属のみを取り出すことができる。
【0019】
[電解液について]
本発明は、電解精製を行う際に有機溶媒および精製対象のアルカリ金属のイオンを含む電解液を用いることを特徴とする。
【0020】
有機溶媒は、精製対象のアルカリ金属のイオン(例えばリチウムイオン、ナトリウムイオン)を溶解しうるものであり、かつアルカリ金属の単体と反応しないものであれば特に限定されない。そのような有機溶媒として、カーボネート系有機溶媒が挙げられる。また、有機溶媒は、安全性の観点から、引火点が電解精製を行う温度よりも高く、かつ毒性が低いものが好ましい。有機溶媒の引火点が精製対象のアルカリ金属の融点よりも高い場合、不純物含有アルカリ金属および精製アルカリ金属が液体の状態で電解精製を行うことができる(後述)。カーボネート系有機溶媒の例には、炭酸エチレン(1,3−ジオキソラン−2−オン;引火点152℃)、炭酸プロピレン(4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン;引火点132℃)が含まれる。
【0021】
電解液に精製対象のアルカリ金属のイオンを含ませるには、例えばアルカリ金属の塩を有機溶媒に溶解させればよい。アルカリ金属塩は、前述の有機溶媒に電離して溶解するものであれば特に限定されない。有機溶媒がカーボネート系有機溶媒などの極性有機溶媒の場合、アルカリ金属塩は分極性のアルカリ金属塩が好ましい。分極性のアルカリ金属塩の例には、リン酸アルカリ金属塩、より具体的にはヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF)などのヘキサフルオロリン酸のアルカリ金属塩が含まれる。
【0022】
電解液中のアルカリ金属イオンの濃度は、0.5mol/L以上であることが好ましい。アルカリ金属イオンの濃度が低すぎると、電流が流れにくくなるためである。また、アルカリ金属イオンの濃度は、電解液の電気抵抗率が0.5mS/cm以上となるように設定することが好ましい。アルカリ金属イオンの濃度が高すぎると、電解液の粘性が高まり、電流が流れにくくなるためである。
【0023】
電解液は、精製対象のアルカリ金属以外の金属元素を含まないことが好ましい。精製対象のアルカリ金属のみを析出させて、高純度のアルカリ金属を製造するためである。ナトリウムを電解精製する場合、無機系の溶融塩を電解液とすることも考えられるが、この場合には溶融塩が精製対象のアルカリ金属以外の金属元素を含まざるを得ないことがある。本発明の製造方法では、電解液の溶媒として有機溶媒を用いるため、精製対象のアルカリ金属以外の金属元素を含まない電解液を容易に調製することができる。
【0024】
電解精製する際の電解液の温度は、有機溶媒の種類などに応じて適宜設定すればよい。一般的に、電解液の温度が低すぎると、イオンの移動度が低下し、電流が流れにくくなる。一方、電解液の温度が有機溶媒の引火点に近いと、安全性の観点から好ましくない。例えば、有機溶媒が炭酸エチレン(引火点152℃)の場合は、60℃〜120℃の範囲内が好ましい。また、有機溶媒が炭酸プロピレン(引火点132℃)の場合は、40℃〜100℃の範囲内が好ましい。電解液の温度が精製対象のアルカリ金属の融点(例えば、リチウム:180.5℃、ナトリウム:97.7℃)よりも高い場合、不純物含有アルカリ金属および精製アルカリ金属が液体の状態で電解精製が行われる。一方、電解液の温度が精製対象のアルカリ金属の融点よりも低い場合、不純物含有アルカリ金属および精製アルカリ金属が固体の状態で電解精製が行われる。
【0025】
[陽極と陰極との間に印加する電圧について]
本発明のアルカリ金属の製造方法では、陽極(不純物含有アルカリ金属)と陰極との間に直流電圧を印加して電気分解を行う。このとき電極間に印加する電圧は、反応に必要な過電圧以上の電圧であって、かつ陽極においてアルカリ金属のみがイオンの状態で電解液に溶解する電圧であれば特に限定されない。電極間に印加する電圧が大きすぎると、陽極において不純物が電解液に溶出してしまう可能性がある。電極間に印加する電圧は、電解液の温度や導電性部材の材質などに応じて適宜設定すればよい。例えば、電圧を5V程度、好ましくは3〜5V程度として、電流値を0.1〜1A程度とすればよい。
【0026】
[不純物の溶出を監視する方法について]
本発明のアルカリ金属の製造方法では、不純物含有アルカリ金属に含まれるアルカリ金属の大半が電解液に溶出してしまうと、不純物含有アルカリ金属中に残存している不純物も電解液に溶出してしまう可能性がある。もし、鉄や硫黄などの不純物が電解液に溶出してしまうと、これらの不純物はアルカリ金属よりも先に陰極の表面に析出してしまうため、アルカリ金属の純度が低下してしまうことになる。したがって、本発明では、不純物含有アルカリ金属からの不純物の溶出を監視するために、定電流電解または定電位(電圧)電解により電解精製を行うことが好ましい。
【0027】
例えば、定電流電解によりアルカリ金属を精製する場合は、一定の電流密度で電流を印加しているときの陽極と陰極との間の電圧を監視することで、陽極における不純物の溶出を監視することができる。すなわち、不純物含有アルカリ金属から所望のアルカリ金属のみが溶出している間は、電圧はほぼ一定の値を示すが、不純物が溶出し始めた後は、電圧が急激に上昇するのである。
【0028】
同様に、定電位電解によりアルカリ金属を精製する場合は、陽極と陰極との間の電圧を一定の値に維持しているときの電流値を監視することで、陽極における不純物の溶出を監視することができる。すなわち、不純物含有アルカリ金属から所望のアルカリ金属のみが溶出している間は、電流はほぼ一定の値を示すが、不純物が溶出し始めた後は、電流値が急激に下降するのである。
【0029】
このように、電圧または電流の急激な変化の有無を監視することで、不純物の溶出の有無を確認することができる。高純度のアルカリ金属を精製するためには、不純物が電解液に溶出する前に(すなわち、電圧または電流の急激な変化が生じる前に)原料となる不純物含有アルカリ金属を陽極にさらに提供すればよい。このようにすることで、不純物の溶出を防ぐことができるので、陰極に精製対象のアルカリ金属のみを析出させることができる。
【0030】
2.本発明のアルカリ金属製造装置について
本発明のアルカリ金属の製造方法は、例えば以下に示す装置を用いて不純物含有アルカリ金属を電解精製することにより実施することができる。
【0031】
図1は、本発明のアルカリ金属製造装置の一例を示す模式図(断面図)である。この例では、不純物含有アルカリ金属(液体)を陽極とし、精製アルカリ金属(液体)を陰極としている。
【0032】
図1において、アルカリ金属製造装置100は、電解液170を収容する電解槽110、隔壁120、加熱部130、第一の導電性部材140、第二の導電性部材150および電源160を有する。アルカリ金属製造装置100を使用する際には、図1に示すように、不純物含有アルカリ金属180を第一の導電性部材140および電解液170と接触するように配置し、精製アルカリ金属190を第二の導電性部材150および電解液170と接触するように配置する。
【0033】
電解槽110は、電解液170を収容する絶縁性の容器である。電解槽110の材質は、電解液170、不純物含有アルカリ金属180および精製アルカリ金属190の電解精製時の温度に耐えうる耐熱性を有し、かつアルカリ金属および電解液170と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、電解槽110として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の容器やアルミナセラミックス製の容器などを用いることができる。
【0034】
隔壁120は、不純物含有アルカリ金属180および精製アルカリ金属190が電解槽110内に提供された際に、不純物含有アルカリ金属180と精製アルカリ金属190とを隔離する絶縁性の部材である。隔壁120の材質は、電解液170、不純物含有アルカリ金属180および精製アルカリ金属190の電解時の温度に耐えうる耐熱性を有し、かつアルカリ金属および電解液170と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、隔壁120として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の部材やアルミナセラミックス製の部材などを用いることができる。
【0035】
加熱部130は、電解液170、不純物含有アルカリ金属180および精製アルカリ金属190を電解精製を行いうる温度に加熱する。例えば、加熱部130は、電解槽110の下面および/または側面に配置されたヒーターである。加熱部130が加熱する温度は、電解液170に含まれる有機溶媒の種類などに応じて適宜設定すればよい。電解液170の温度がアルカリ金属の融点よりも高い場合、図1に示されるように、不純物含有アルカリ金属180および精製アルカリ金属190が液体の状態で電解精製が行われる。
【0036】
第一の導電性部材140は、電源160と電気的に接続されており、不純物含有アルカリ金属180(陽極)に正の電圧を印加する導電性の部材である。同様に、第二の導電性部材150は、電源160と電気的に接続されており、精製アルカリ金属190(陰極)に負の電圧を印加する導電性の部材である。第一の導電性部材140および第二の導電性部材150の材質は、電解液170、不純物含有アルカリ金属180および精製アルカリ金属190の電解時の温度に耐えうる耐熱性を有し、かつアルカリ金属および電解液170と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、第一の導電性部材140または第二の導電性部材150として、タングステンやモリブデンなどの高融点金属やガラス状カーボンからなる部材を用いることができる。第一の導電性部材140および第二の導電性部材150は、電気分解の進行とともに不純物含有アルカリ金属180または精製アルカリ金属190の量が変化しても、不純物含有アルカリ金属180または精製アルカリ金属190との電気的接続をそれぞれ維持できるように配置されることが好ましい。
【0037】
電源160は、不純物含有アルカリ金属180を陽極とし、精製アルカリ金属190を陰極として、電極間に直流電圧を印加する。不純物含有アルカリ金属180と精製アルカリ金属190との間に印加する電圧は、電解液170の温度や導電性部材140,150の材質などに応じて適宜設定すればよく、7.0V程度以下で実現できるが、工業的には6.0V程度以下が好ましく、4.0V程度以下がより好ましい。
【0038】
図2は、アルカリ金属製造装置100を用いてアルカリ金属(例えば、ナトリウム)を精製する様子を示す模式図である。図2では、加熱部130および電源160の図示を省略する。
【0039】
図2(A)に示すように、不純物含有アルカリ金属180を陽極とし、精製アルカリ金属190を陰極として電極間に直流電圧を印加すると、陽極(不純物含有アルカリ金属180)では、不純物含有アルカリ金属180に含まれるアルカリ金属がイオンとなって電解液170に溶出し、陰極では、電解液170に含まれるアルカリ金属イオンがアルカリ金属単体として精製アルカリ金属190の表面に析出する。この反応は電極間に直流電圧を印加している限り続くため、図2(B)に示すように、不純物含有アルカリ金属180は時間の経過とともに減少し、精製アルカリ金属190は時間の経過とともに増加する。したがって、陽極側に不純物含有アルカリ金属180を提供し、陰極側で析出した精製アルカリ金属190を回収することで、不純物含有アルカリ金属180から精製アルカリ金属190を製造することができる。精製アルカリ金属190を回収する方法は、特に限定されないが、例えば図2(B)に示すように電解槽110の陰極側の側壁の高さを一部低くして、精製アルカリ金属190を電解槽110の外に流出させるようにすればよい。
【0040】
図3は、本発明のアルカリ金属精製装置の別の例を示す模式図(断面図)である。この例では、不純物含有アルカリ金属(液体)を陽極とし、導電性部材を陰極としている。図3において、図1のアルカリ金属製造装置と同じ構成要素については同一の符号を付し、重複箇所の説明を省略する。
【0041】
図3において、アルカリ金属製造装置200は、電解液170を収容する電解槽110、隔壁120、加熱部130、第一の導電性部材140、第二の導電性部材210および電源160を有する。アルカリ金属製造装置200を使用する際には、図3に示すように、不純物含有アルカリ金属180を第一の導電性部材140および電解液170と接触するように配置する。
【0042】
第二の導電性部材210は、電源160と電気的に接続されており、それ自身が陰極としても機能する導電性の部材である。第二の導電性部材210の材質は、前述の導電性部材と同様のものを用いることができる。第二の導電性部材210は、電解液170に浸漬されていることが好ましい。
【0043】
図4は、アルカリ金属製造装置200を用いてアルカリ金属(例えば、ナトリウム)を精製する様子を示す模式図である。図4では、加熱部130および電源160の図示を省略する。
【0044】
図4(A)に示すように、不純物含有アルカリ金属180を陽極とし、第二の導電性部材210を陰極として電極間に直流電圧を印加すると、陽極では、不純物含有アルカリ金属180に含まれるアルカリ金属がイオンとなって電解液170に溶出し、陰極では、電解液170に含まれるアルカリ金属イオンがアルカリ金属単体として第二の導電性部材210の表面に析出する。この反応は電極間に直流電圧を印加している限り続くため、図4(B)に示すように、不純物含有アルカリ金属180は時間の経過とともに減少し、精製アルカリ金属190は時間の経過とともに増加する。電解液170の温度がアルカリ金属の融点よりも高い場合、第二の導電性部材210(陰極)の表面に析出した液体の精製アルカリ金属190は電解液170上に浮上する。したがって、陽極側に不純物含有アルカリ金属180を提供し、陰極側で浮上した精製アルカリ金属190を回収することで、不純物含有アルカリ金属180から精製アルカリ金属190を製造することができる。
【0045】
図5は、本発明のアルカリ金属精製装置のさらに別の例を示す模式図(断面図)である。この例では、不純物含有アルカリ金属(固体)を陽極とし、導電性部材を陰極としている。図5において、図3のアルカリ金属製造装置と同じ構成要素については同一の符号を付し、重複箇所の説明を省略する。
【0046】
図5において、アルカリ金属製造装置300は、電解液170を収容する電解槽110、加熱部130、不純物含有アルカリ金属310、第二の導電性部材210および電源160を有する。アルカリ金属製造装置300を使用する際には、図5に示すように、不純物含有アルカリ金属310および第二の導電性部材210を電解液170と接触するように配置する。
【0047】
不純物含有アルカリ金属310は、電源160と電気的に接続されており、それ自身が陽極として機能する。
【0048】
第二の導電性部材210は、電源160と電気的に接続されており、それ自身が陰極として機能する導電性の部材である。
【0049】
加熱部130は、電解液170および不純物含有アルカリ金属310を電気分解を行いうる温度に加熱する。電解液170の温度がアルカリ金属の融点よりも低い場合、図5に示されるように、不純物含有アルカリ金属310(および精製アルカリ金属320)が固体の状態で電解精製が行われる。
【0050】
図6は、アルカリ金属製造装置300を用いてアルカリ金属を精製する様子を示す模式図である。図6では、加熱部130および電源160の図示を省略する。
【0051】
図6(A)に示すように、不純物含有アルカリ金属310を陽極とし、第二の導電性部材210を陰極として電極間に直流電圧を印加すると、陽極では、不純物含有アルカリ金属310に含まれるアルカリ金属がイオンとなって電解液170に溶出し、陰極では、電解液170に含まれるアルカリ金属イオンがアルカリ金属単体として第二の導電性部材210の表面に析出する。この反応は電極間に直流電圧を印加している限り続くため、図6(B)に示すように、不純物含有アルカリ金属310は時間の経過とともに減少し、精製アルカリ金属(固体)320は時間の経過とともに増加する。したがって、陰極側で析出した精製アルカリ金属320を回収することで、不純物含有アルカリ金属310から精製アルカリ金属320を製造することができる。
【0052】
以上のように、本発明のアルカリ金属の製造方法およびアルカリ金属製造装置は、有機溶媒および精製対象のアルカリ金属のイオンを含む電解液を用いることで、従来の技術に比べて低温環境下(例えば65℃)かつ低電圧(例えば5V)で高純度(例えば99.99%)のアルカリ金属を迅速に電解精製することができる。
【0053】
例えば、本発明のアルカリ金属の製造方法およびアルカリ金属製造装置は、使用済みのリチウム電池、リチウムイオン電池またはナトリウム硫黄電池から鉄や硫黄などの不純物を含むリチウムまたはナトリウムを回収し、この不純物を含むリチウムまたはナトリウムからリチウムまたはナトリウムを精製するのに好適である。
【実施例】
【0054】
[実施例1]
本実施例では、炭酸プロピレンおよびヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF)を含む電解液を用いて、鉄およびナトリウムを添加したナトリウム合金(不純物含有ナトリウム)から精製ナトリウムを製造した例を示す。
【0055】
1.電気化学測定
まず、炭酸プロピレン−NaPF系の電気化学挙動を調べるためにボルタモグラム測定を行った。
【0056】
(測定方法)
ガラスビーカーに炭酸プロピレン30mlを入れ、さらにNaPFを終濃度が0.5〜3mol/Lとなるように加えた。液体全体が透明になるまで攪拌してNaPFを溶解させて、電解液を調製した。
【0057】
図7に示すように、ガラスビーカー(電解槽)400内の電解液410に試料極(陰極)430、対極(陽極)420および参照電極440を浸漬した。試料極430には、テフロン(登録商標)テープを巻いて表面積を4cmに調整したガラス状カーボンを用いた。対極420には、表面積が約5cmのナトリウム合金(不純物含有ナトリウム)を用いた。ナトリウム合金は、ブロック状の塊からカッターナイフを用いて切り出したものをクリップで挟み、すぐに電解液中に浸漬した。参照電極440には、白金ワイヤーを擬似参照電極として用いた。試料極430と対極420との間隔は2cmとした。また、ヒーター450を用いて電解液410の温度を65℃に維持した。
【0058】
NaPFの濃度が異なる3種類の電解液について、上記構成を有する3電極式電気分解セル、ポテンショスタット460およびPC470を用いてサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。測定は、アルゴンガスで満たされたグローブボックス内で行った。
【0059】
(測定結果)
図8は、3種類の電解液(NaPF濃度:1mol/L,1.5mol/L,3mol/L)についてのCV測定の結果を示すグラフである。横軸は白金擬似参照電極に対する試料極の電位を示し、縦軸は試料極−対極間の電流密度を示す。
【0060】
カソード分極(マイナス側)において、0〜−2Vの間でわずかに還元電流が流れているが、これは電解液中の不純物によるものと考えられる。−2V付近から見られる大きな還元電流はナトリウムの電析によるものであり、電位を反転させると−2V付近においてナトリウムの溶解電流が検出された。また、+4V付近では、炭酸プロピレンの分解に伴うと考えられる電流が検出された。
【0061】
3種類の電解液の結果を比較すると、NaPFの濃度が高くなるにつれてカソード電流の値が小さくなっている。この結果から、炭酸プロピレン中では、NaPFの濃度が高すぎると還元反応が起こりにくくなることを示している。これは、NaPFの添加に伴い電解液の粘性が増加するためであると考えられる。
【0062】
2.電極間電圧のNaPF濃度依存性(定電流電解)
上記ボルタモグラム測定では、電位を経時的に変化させたときの電流値を測定しているため、定常的な反応電流や電圧を知ることができない。そこで、定電流電解を行っているときの電極間の電圧を測定した。
【0063】
(測定方法)
図7に示す電気分解セルとほぼ同様の構成の電気分解セル(参照電極440を含まない)を用意した。陽極420にはナトリウム合金(不純物含有ナトリウム)を用い、陰極430にはガラス状カーボンを用いた。陽極420および陰極430は直流電源装置(不図示)に接続されている。
【0064】
NaPFの濃度が異なる4種類の電解液について、上記構成を有する電気分解セルを用いて0.05Acm−2で30分間定電流電解を行った。測定は、アルゴンガスで満たされたグローブボックス内で行った。
【0065】
(測定結果)
表1は、4種類の電解液(NaPF濃度:0.5mol/L,1mol/L,1.5mol/L,3mol/L)についてのNaPFの濃度と電極間の電圧との関係を示す表である。
【表1】

【0066】
この表に示されるように、NaPFの濃度が1mol/Lの電解液において、電極間の電圧が最も低くなった。この電解液では、30分間電解した後もナトリウムの析出による陰極の表面積の増加に伴い電極間の電圧は低下しつづけた。NaPFの濃度が1.5mol/Lの電解液では、電解を開始した直後から徐々に電圧が低下し、約20分後に5.7Vで安定した。NaPFの濃度が3mol/Lの電解液では、電極間の電圧を20Vとしても0.01Acm−2程度の電流しか流れず、この電解液ではほとんど電流が流れなかった。いずれの電解液においても、スポンジ状で灰色の析出物を得られた。
【0067】
3.ICP発光分光分析による測定
(測定方法)
精製前のナトリウム合金(不純物含有ナトリウム)および精製後のナトリウム(析出物)について、ICP発光分光装置を用いて不純物濃度の測定を行った。精製前の試料は、0.1242gのナトリウム合金を水に溶解させたものを用いた。精製後の試料は、NaPFの濃度が0.5mol/Lの電解液に0.05Acm−2の電流を60分、180Cの電気量を流して得られた析出物を水に溶解させたものを用いた。ナトリウム合金には鉄およびアルミニウムが添加されているため、これら2種類の元素について定量分析を行った。
【0068】
(測定結果)
精製前の不純物含有ナトリウムには、鉄が6.5ppm、アルミニウムが173ppm含まれていた。一方、精製後のナトリウム(析出物)には、鉄およびアルミニウムは検出されなかった。この結果より、本発明の方法により高純度のナトリウムを精製できることがわかる。
【0069】
[参考実験]
本参考実験では、炭酸プロピレンおよびヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF)を含む電解液からナトリウム単体を析出させた例を示す。
【0070】
ガラスビーカーに炭酸プロピレン50mlを入れ、さらにNaPFを終濃度が2mol/Lとなるように加えた。80℃で液体全体が透明になるまで攪拌してヘキサフルオロリン酸ナトリウムを溶解させて、電解液を調製した。
【0071】
ガラスビーカー(電解槽)内の電解液に2本のカーボン電極(陽極,陰極)を浸漬した。陽極および陰極は直流電源に接続されている。次いで、電解液を80℃で定電流50mAを1時間通電したところ陰極の表面に灰色の析出物が観察された。図9は、通電後の2本のカーボン電極の様子を示す写真である。陰極(右側)の表面に灰色の析出物(矢じり)が存在することが確認できる。
【0072】
析出物が付着した陰極を電解液から取り出し、水の中に入れたところ、激しく気体が発生し、析出物が水に溶解するのが観察された。水溶液に含まれる成分をICP発光分光分析法により分析した結果、ナトリウムのみが検出された。したがって、析出物は高純度のナトリウムであると考えられる。
【0073】
以上のことから、本発明で使用される電解液は、ナトリウム精製用の電解液として有用であることが確認された。
【0074】
一方、炭酸プロピレンの代わりに流動パラフィンを用いて同様の実験を行ったところ、ナトリウムを溶解させることができず、通電することもできなかった。
【0075】
また、上記電解液の代わりにEMIC(塩化アルミニウム−1−エチル−3−メチルイミダゾリウム)−AlCl−NaCl溶融塩を用いて同様の実験を行ったところ、50℃でナトリウムと溶融塩とが徐々に反応し、電解液(溶融塩)の色が変化してしまった。また、電解液の抵抗が大きいため、通電させることができなかった。
【0076】
さらに、上記電解液の代わりにLiCl−KCl−NaCl溶融塩を用いて同様の実験を行ったところ、400℃においてもナトリウムおよび溶融塩は安定に存在し、反応が進まないことがわかった。ナトリウムを陽極、ニッケル電極を陰極として電流を流すことで、陰極の表面に析出物が観察されたが、この析出物はナトリウムとリチウムの合金であり、ナトリウムの純度は高くなかった。
【0077】
以上のことから、流動パラフィン、EMIC−AlCl−NaCl溶融塩およびLiCl−KCl−NaCl溶融塩は、ナトリウム精製用の電解液としては好ましくないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、低温仕様の設備および安価な電解液を用いて、塩素ガスを発生させることなくかつ少ないエネルギー消費量で、不純物含有アルカリ金属から高純度のアルカリ金属を製造(精製)することができる。例えば、本発明のアルカリ金属の製造方法およびアルカリ金属製造装置は、使用済みのリチウム電池、リチウムイオン電池またはナトリウム硫黄電池から回収したリチウムまたはナトリウムをリサイクルする上で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアルカリ金属製造装置の構成を示す断面図
【図2】図1のアルカリ金属製造装置を用いてアルカリ金属を製造する様子を示す模式図
【図3】本発明の別の実施の形態に係るアルカリ金属製造装置の構成を示す断面図
【図4】図3のアルカリ金属製造装置を用いてアルカリ金属を製造する様子を示す模式図
【図5】本発明の別の実施の形態に係るアルカリ金属製造装置の構成を示す断面図
【図6】図5のアルカリ金属製造装置を用いてアルカリ金属を製造する様子を示す模式図
【図7】実施例で用いた電気分解セルの構成を示す模式図
【図8】実施例の結果を示すグラフ
【図9】参考実験の結果を示す写真
【符号の説明】
【0080】
100,200,300 アルカリ金属製造装置
110 電解槽
120 隔壁
130 加熱部
140 第一の導電性部材
150,210 第二の導電性部材
160 電源
170 電解液
180,310 不純物含有アルカリ金属
190,320 精製アルカリ金属
400 ガラスビーカー(電解槽)
410 電解液
420 陽極(対極)
430 陰極(試料極)
440 参照電極
450 ヒーター
460 ポテンショスタット
470 PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物含有アルカリ金属を電解精製して精製アルカリ金属を製造する方法であって、
前記不純物含有アルカリ金属を陽極とし、かつカーボネート系有機溶媒および前記アルカリ金属のイオンを含む溶液を電解液として、前記不純物含有アルカリ金属に含まれるアルカリ金属を陰極に析出させるステップを含むアルカリ金属の製造方法。
【請求項2】
前記カーボネート系有機溶媒は、炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンである、請求項1に記載のアルカリ金属の製造方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属はリチウムまたはナトリウムである、請求項1に記載のアルカリ金属の製造方法。
【請求項4】
前記電解液は、ヘキサフルオロリン酸のアルカリ金属塩を含む、請求項1に記載のアルカリ金属の製造方法。
【請求項5】
前記電解液における前記アルカリ金属イオンの濃度は0.5mol/L以上である、請求項1に記載のアルカリ金属の製造方法。
【請求項6】
前記カーボネート系有機溶媒は炭酸エチレンであり、前記電解液の温度は60〜120℃の範囲内である、請求項2に記載のアルカリ金属の製造方法。
【請求項7】
前記カーボネート系有機溶媒は炭酸プロピレンであり、前記電解液の温度は40〜100℃の範囲内である、請求項2に記載のアルカリ金属の製造方法。
【請求項8】
前記不純物含有アルカリ金属は、リチウム電池、リチウムイオン電池またはナトリウム硫黄電池から得られたものである、請求項3に記載のアルカリ金属の製造方法。
【請求項9】
不純物含有アルカリ金属を電解精製して精製アルカリ金属を製造するアルカリ金属製造装置であって、
カーボネート系有機溶媒および前記アルカリ金属のイオンを含む電解液と、
前記電解液を収容する電解槽と、
前記不純物含有アルカリ金属を含む陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源手段と、
前記電源手段と前記陽極との間、および前記電源手段と前記陰極との間を電気的に接続する一対の導電性部材と、
前記電解液を加熱する加熱手段と、を有し、
前記陽極および前記陰極を前記電解液に接触させた状態で前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加して、前記不純物含有アルカリ金属に含まれるアルカリ金属を陰極に析出させるアルカリ金属製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−13673(P2010−13673A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172436(P2008−172436)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【出願人】(598017217)野村興産株式会社 (10)
【Fターム(参考)】