説明

アルキルアリールエーテル及びジアリールカーボネートの製造方法及び装置

エステル交換反応触媒の存在下でジアルキルカーボネートと芳香族アルコールとを反応させることでアルキルアリールエーテル及びジアリールカーボネートを連続的に製造するための方法及び装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキルアリールエーテル及びジアリールカーボネートを製造するためのエネルギー効率のよい方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ジフェニルカーボネートのようなジアリールカーボネートは、ポリカーボネート樹脂の製造にとって重要な反応物である。ポリカーボネート樹脂の使用が増加しているので、ジアリールカーボネートの効率的な製造がますます重要になってきている。これは、ポリカーボネートがビスフェノール(例えば、ビスフェノールA)をジアリールカーボネートと反応させることで製造できるからである。ジアリールカーボネートの製造には、2つの反応段階が関与する。最初に、エステル交換反応触媒の存在下でジアルキルカーボネートが芳香族アルコールと反応してアルキルアリールカーボネート及びアルキルアルコールを生成する。次に、2つのアルキルアリールカーボネート分子が不均化反応を受けて1つのジアリールカーボネート分子及び1つのジアルキルカーボネート分子を生成する。アニソールのようなアルキルアリールエーテルはこのプロセスでの副生物であり、ジアルキルカーボネートと芳香族アルコールとの反応で生成される。アルキルアリールエーテルは、アルキルアリールカーボネートの脱炭酸反応でも生成される。
【0003】
ジアリールカーボネートの製造から得られる副生物であるアルキルアリールエーテルは、芳香族アルコール及びジアルキルカーボネートと共にプロセスからパージされる。アルキルアリールエーテルを含むこのパージ流は、ジアルキルカーボネート及び芳香族アルコールを含み得るので、他の合成で使用するには適さないことがある。そのため、ジアリールカーボネート製造プロセスからアルキルアリールエーテルをパージするための方法は存在するものの、エネルギー効率のよいプロセスでジアリールカーボネートと共にアルキルアリールエーテルを共製造するための方法は現在存在していない。
【特許文献1】米国特許第4182726号明細書
【特許文献2】米国特許第4410464号明細書
【特許文献3】米国特許第5166393号明細書
【特許文献4】米国特許第5210268号明細書
【特許文献5】米国特許第5426207号明細書
【特許文献6】米国特許第5705673号明細書
【特許文献7】米国特許第5760156号明細書
【特許文献8】米国特許第5872275号明細書
【特許文献9】米国特許第6168382号明細書
【特許文献10】米国特許第6294682号明細書
【特許文献11】米国特許第6294684号明細書
【特許文献12】米国特許第6294685号明細書
【特許文献13】米国特許第6315868号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2001/0021786号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第0461274号明細書
【特許文献16】欧州特許出願公開第0781760号明細書
【特許文献17】国際公開第92/18458号パンフレット
【特許文献18】国際公開第01/42187号パンフレット
【特許文献19】特開平09−059225号公報
【発明の開示】
【0004】
本明細書には、アルキルアリールエーテルの連続製造方法及び装置が開示される。この方法は、第一の反応蒸留塔内においてエステル交換反応触媒の存在下でジアルキルカーボネートと芳香族アルコールとを反応させ、第一の反応蒸留塔からジアルキルカーボネート、アルキルアルコール及びアルキルアリールエーテルを含む流れを回収し、精留塔内でアルキルアリールエーテルからジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールを分離し、精留塔から実質的に純粋なアルキルアリールエーテルを含む第一の生成物流を回収することを含んでなる。
【0005】
別の実施形態では、ジアリールカーボネート及びアルキルアリールエーテルの連続製造方法及び装置が、第一の反応蒸留塔内においてエステル交換反応触媒の存在下でジアルキルカーボネートと芳香族アルコールとを反応させることを含む。第一の反応蒸留塔から2つの流れ(第一の塔頂流及び第一の塔底流)が回収される。ジアルキルカーボネート、アルキルアルコール及びアルキルアリールエーテルを含む第一の塔頂流は、2つの流れ(第一の分割流及び第二の分割流)に分割される。第一の分割流は第一の精留塔に導入され、第二の分割流は第二の精留塔に導入される。第一の精留塔から2つの流れ(第二の塔頂流及び第三の塔底流)が回収される。第二の塔頂流は、ジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールを含んでいる。ジアルキルカーボネート及びアルキルアリールエーテルを含む第三の塔底流の一部又は全部を、第一の反応蒸留塔に再循環させる。第二の精留塔の底部から、実質的に純粋なアルキルアリールエーテルを含む第一の生成物流が回収される。第二の精留塔の頂部から、ジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールを含む再循環流を回収し、第一の反応蒸留塔に再循環させる。
【0006】
アルキルアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、芳香族アルコール及びエステル交換反応触媒を含む第一の塔底流は、第二の反応蒸留塔に導入される。第二の反応蒸留塔から、ジアリールカーボネート、アルキルアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、芳香族アルコール及びアルキルアリールエーテルを含む第二の塔底流が回収され、第三の反応蒸留塔に導入される。第三の反応蒸留塔の底部から、生成したジアリールカーボネートを含む第二の生成物流が回収される。第三の反応蒸留塔の頂部から、芳香族アルコール、ジアルキルカーボネート及びアルキルアリールエーテルを含む第三の塔頂流を回収し、第一の反応蒸留塔に再循環させる。
【0007】
図面の簡単な説明
図1は、アルキルアリールエーテル及びジアリールカーボネートを製造するための例示的なプロセスの略図を示す。
【0008】
図2は、アルキルアリールエーテル及びジアリールカーボネートを製造するための例示的なプロセスの別の略図である。
【0009】
図3は、塔110内での還流が流れ142中のアニソール純度に及ぼす効果を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書には、アルキルアリールエーテルの連続製造方法及び装置が開示される。この方法は、第一の反応蒸留塔内においてエステル交換反応触媒の存在下でジアルキルカーボネートと芳香族アルコールとを反応させ、第一の反応蒸留塔からジアルキルカーボネート、アルキルアルコール及びアルキルアリールエーテルを含む流れを回収し、精留塔内でアルキルアリールエーテルからジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールを分離し、精留塔から実質的に純粋なアルキルアリールエーテルを含む第一の生成物流を回収することを含んでなる。本明細書で実質的に純粋とは、約95重量%以上、好ましくは約99重量%以上で約100重量%以下、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内の純度を有することとして定義される。
【0011】
別の実施形態では、ジアリールカーボネート及びアルキルアリールエーテルの連続製造方法及び装置が、第一の反応蒸留塔内においてエステル交換反応触媒の存在下でジアルキルカーボネートと芳香族アルコールとを反応させることを含む。第一の反応蒸留塔から2つの流れ(第一の塔頂流及び第一の塔底流)が回収される。ジアルキルカーボネート、アルキルアルコール及びアルキルアリールエーテルを含む第一の塔頂流は、2つの流れ(第一の分割流及び第二の分割流)に分割される。第一の分割流は第一の精留塔に導入され、第二の分割流は第二の精留塔に導入される。第一の精留塔から2つの流れ(第二の塔頂流及び第三の塔底流)が回収される。第二の塔頂流は、ジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールを含んでいる。ジアルキルカーボネート及びアルキルアリールエーテルを含む第三の塔底流の一部又は全部を、第一の反応蒸留塔に再循環させる。第二の精留塔の底部から、実質的に純粋なアルキルアリールエーテルを含む第一の生成物流が回収される。第二の精留塔の頂部から、ジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールを含む再循環流を回収し、第一の反応蒸留塔に再循環させる。
【0012】
第一の反応蒸留塔からアルキルアリールエーテルに富む流れをパージすることは、アルキルアリールエーテルの精製を容易にする。これはまた、反応蒸留塔のリボイラー及び凝縮器に入る流れ中に存在するアルキルアリールエーテルの量が減少するので、本明細書に開示される方法の用役消費量を減少させるためにも役立つ。高い再循環率のアルキルアリールエーテルが反応蒸留塔内の容積を占めると、ジアリールカーボネート生成反応のために利用できる容積が減少する。第一の反応蒸留塔からアルキルアリールエーテルをパージすることは、下流の反応蒸留塔内でジアリールカーボネート生成のために利用できる容積の増加を容易にする。
【0013】
アルキルアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、芳香族アルコール及びエステル交換反応触媒を含む第一の塔底流は、第二の反応蒸留塔に導入される。第二の反応蒸留塔から、ジアリールカーボネート、アルキルアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、芳香族アルコール及びアルキルアリールエーテルを含む第二の塔底流が回収され、第三の反応蒸留塔に導入される。第三の反応蒸留塔の底部から、生成したジアリールカーボネートを含む第二の生成物流が回収される。第三の反応蒸留塔の頂部から、芳香族アルコール、ジアルキルカーボネート及びアルキルアリールエーテルを含む第三の塔頂流を回収し、第一の反応蒸留塔に再循環させる。
【0014】
開示される方法は、ジアリールカーボネート及びアルキルアリールエーテルの共製造を達成するための、エネルギー効率のよい一連の物質及びエネルギー統合プロセスを構成する。
【0015】
主たる反応は以下のように例示される。ジアリールカーボネートの製造には、2つの反応段階が関与する。最初に、エステル交換反応触媒の存在下でジアルキルカーボネートが芳香族アルコールと反応してアルキルアリールカーボネート及びアルキルアルコールを生成する。次に、2つのアルキルアリールカーボネート分子が不均化反応を受けて1つのジアリールカーボネート分子及び1つのジアルキルカーボネート分子を生成する。反応(1)は低い反応平衡定数を有していて、制限反応物の転化は完全でなく、多量のジアルキルカーボネート及び芳香族アルコールの再循環をもたらす。
【0016】
【化1】

ジアルキルカーボネートは、下記の一般式(I)で記述することができる。
【0017】
【化2】

式中、Rは1〜約30の炭素原子を有するアルキル基であり、各Rは独立にアルキル基である。さらに明確には、各々のアルキル基は同一のものでも相異なるものでもよい。
【0018】
の具体例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基のようなアルキル基がある。本反応で有用である好適なジアルキルカーボネートには、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチメプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、プロピルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ブチルペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ペンチルヘキシルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ヘキシルヘプチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ヘプチルオクチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、オクチルノニルカーボネート、ジノニルカーボネート、ノニルデシルカーボネート及びジデシルカーボネートがある。好ましいジアルキルカーボネートはジメチルカーボネートである。
【0019】
芳香族カーボネートを製造するために使用される芳香族アルコール化合物は、下記の一般式(II)で記述される。
【0020】
【化3】

式中、Arは置換基を有していてもよい一価芳香族基である。
【0021】
かかる芳香族アルコールの例には、フェノール並びにクレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、テトラメチルフェノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、ジエチルフェノール、メチルエチルフェノール、メチルプロピルフェノール、ジプロピルフェノール、メチルブチルフェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール及びシクロヘキシルフェノールのようなアルキルフェノールがある。好ましい芳香族アルコールはフェノールである。
【0022】
反応(I)によって得ることができるアルキルアリールカーボネートの具体例には、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、プロピルフェニルカーボネート、アリルフェニルカーボネート、ブチルフェニルカーボネート、ペンチルフェニルカーボネート、ヘキシルフェニルカーボネート、ヘプチルフェニルカーボネート、オクチルトリルカーボネート、ノニル(エチルフェニル)カーボネート、デシル(ブチルフェニル)カーボネート、メチルトリルカーボネート、エチルトリルカーボネート、プロピルトリルカーボネート、ブチルトリルカーボネート、アリルトリルカーボネート、エチルキシリルカーボネート、メチル(トリメチルフェニル)カーボネート、メチル(クロロフェニル)カーボネート、メチル(ニトロフェニル)カーボネート、メチル(メトキシフェニル)カーボネート、メチルクミルカーボネート、メチル(ナフチル)カーボネート、メチル(ピリジル)カーボネート、エチルクミルカーボネート、メチル(ベンゾイルフェニル)カーボネート、エチルキシリルカーボネート、ベンジルキシリルカーボネート、メチル(ヒドロキシフェニル)カーボネート、エチル(ヒドロキシフェニル)カーボネート、メトキシカルボニルオキシビフェニル、メチル(ヒドロキシビフェニル)カーボネート、メチル2−(ヒドロキシフェニル)プロピルフェニルカーボネート及びエチル2−(ヒドロキシフェニル)プロピルフェニルカーボネートがある。
【0023】
好ましい部類のエステル交換反応触媒には、チタンテトラフェノキシド(Ti(OPh))及び四塩化チタンのようなチタン化合物、有機スズ化合物、並びに銅、鉛、亜鉛、鉄及びジルコニウムの化合物がある。
【0024】
ジアリールカーボネートの製造プロセスでは、ジアルキルカーボネートが芳香族アルコールと反応する場合にアルキルアリールエーテルが生成することを示す反応(3)のような副反応が起こる。反応(4)はアルキルアリールエーテルを生成するための別の経路を示しており、この場合にはアルキルアリールカーボネートが脱炭酸してアルキルアリールエーテルを生成する。これらの反応で生成するアルキルアリールエーテルは、製造プロセスの定常運転を行うと共に、再循環流中への不要の蓄積を回避するため、ジアリールカーボネート製造プロセスからパージされる。アニソールのようなアルキルアリールエーテルは、反応(3)に示すようなジアルキルカーボネートと芳香族アルコールとの反応の副生物である。アニソールは、通常、ジメチルカーボネートとフェノールとの反応の副生物である。
【0025】
【化4】

図1及び図2は、ジアリールカーボネート及びアルキルアリールエーテルの共製造のための例示的装置の略図を示している。例示的な実施形態であるこれらの図中では、類似の構成要素には同じ番号が付けられている。かかる装置は、5つの塔110、124、138、116及び146並びに番号100〜148で示すような各種の供給原料流、生成物流及び再循環流を含んでいる。各々の流れに関する流れの方向は、図1及び図2中に示されている。本構成を特定の設備に適合させる際に各種の弁、ヒーター及び他の部品を含めることができ、かかる部品を含めることは当技術の範囲内にある。
【0026】
塔110、124及び138は反応蒸留塔である。反応蒸留塔が好ましいが、アルキルアリールエーテルを生成する反応は任意のバッチ反応器又は連続反応器で行うことができる。反応蒸留塔の各々は、化学反応が起こる下部反応セクションと上部精留セクションとを有している。このようなタイプの塔の構造は当技術分野で公知である。一般に、塔の反応セクション及び精留セクションには、配列充填物、不規則充填物又は固定内部部品が設けられている。塔110は、約10〜約80、さらに好ましくは約15〜約60、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内の理論蒸留段を有している。
【0027】
アルキルアリールエーテルを生成する副反応はすべての反応蒸留塔内で起こるが、最大量のアルキルアリールエーテルはアルキルアリールカーボネートを生成する第一の反応蒸留塔内で生じる。図1に示すような一実施形態では、第一の反応蒸留塔110から抜き出される塔頂流112は2つの流れ112a及び112bに分割される。流れ112bは、アルキルアリールエーテルを精製するため第二の精留塔146に送られる。図2に示すような別の実施形態では、第一の反応蒸留塔110から側流112cが抜き出される。流れ112cは、アルキルアリールエーテルを精製するため第二の精留塔146に送られる。流れ112b及び112cは、アルキルアルコール及びジアルキルカーボネートと共に、約25重量%以下のアルキルアリールエーテルを含み得る。
【0028】
脱炭酸反応(4)は、芳香族アルコールの存在下で有利に進行する。アルキルアリールカーボネートに富むいずれの流れ中でも、適当な反応条件下では脱炭酸経路によってアルキルアリールエーテルが生成し得る。
【0029】
図2に示すような一実施形態では、第一の反応蒸留塔からのアルキルアリールエーテルに富む流れ112cを、塔内への供給原料の位置より上方の位置で抜き出すことができる。好ましい実施形態では、供給原料流106の位置は反応蒸留塔110の反応セクションより上方にある。塔110は、アルキルアリールエーテルに富む側流中で芳香族アルコールの濃度が低下するような条件下で運転される。これは、芳香族アルコールの存在が第二の精留塔146内でのアルキルアリールエーテルの精製に影響を及ぼすことがあるからである。側流112c中での芳香族アルコールの濃度を低下させるため、反応蒸留塔は高い還流流量で運転される。芳香族アルコールの濃度は塔の高さに沿って減少し、塔の頂部では濃度を無視できる。しかし、アルキルアリールエーテルの濃度も塔の高さに沿って減少する。そこで、アルキルアリールエーテルに富む流れを抜き出すためには、アルキルアリールエーテルの濃度が高いと共に、芳香族アルコールの濃度がアルキルアリールエーテルの精製に影響を及ぼすほどに高くない最適の位置が選択される。
【0030】
塔116及び146は精留塔である。これらの塔は、同時に起こる化学反応を推進することなく、沸点に基づいて物質の分離を行うためのものである。このようなタイプの塔の構造は当技術分野で公知である。
【0031】
出発原料は流れ106及び108を通して塔110に導入される。流れ106は、主として芳香族アルコール(新鮮なもの又は再循環させたもの)からなる流れ100と、芳香族アルコール及びエステル交換反応触媒を含む流れ102との組合せである。任意には、流れ106は、流れ144を通して反応蒸留塔138から再循環させるアルキルアルコール、アルキルカーボネート及び副反応生成物も含み得る。流れ100は、必要に応じて新鮮なエステル交換反応触媒を添加し得る新鮮エステル交換反応触媒流でさらに増量することもできる。
【0032】
流れ108は、アルキルアルコール及びジアルキルカーボネートを含む流れ104と、ジアルキルカーボネート、芳香族アルコール及びアルキルアリールエーテルを含む再循環流132との混合物である。
【0033】
流れ108は、塔110の底部セクション、好ましくはリボイラーに供給される。使用するリボイラーのタイプに応じ、この流れは液体又は蒸気であり得る。例えば、外部リボイラー(例えば、釜型リボイラー)を使用するならば、流れ108は蒸気として塔110に流入する。流れ106は、反応蒸留セクションの頂部又はその付近の位置で、塔110の中央セクションに液体として供給される。流れ106及び108の供給量は、ジアルキルカーボネートと芳香族アルコールとのモル比が約0.5〜約10、好ましくは約0.5〜約5、最も好ましくは約1〜約3、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内にあるようなものである。ジアルキルカーボネートは反応物及びストリッピング剤の両方として役立つと共に、エステル交換反応で生成するアルキルアルコールの除去を容易にするので、流れ108を通してジアルキルカーボネートを過剰に供給することが特に有利である。上記の除去は、塔110内でのアルキルアリールカーボネートの生成速度を高める。塔110内でのエステル交換反応は、約100〜約300℃、好ましくは約130〜約250℃、最も好ましくは約140〜約220℃、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内の温度で実施される。本明細書に記載されるすべての圧力は絶対圧である。塔110の運転圧力は、約5000〜約2000000パスカル(Pa)、好ましくは約50000〜約1000000Pa、最も好ましくは約300000〜約700000Pa、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内にある。
【0034】
一実施形態では、反応生成物及び未反応の出発原料は、流れ112及び114を通して図1に示すような塔110から取り出される。塔110の頂部から抜き出される流れ112は、未反応のジアルキルカーボネート、アルキルアルコール、及びエステル交換反応で生成したアルキルアリールエーテルを含んでいる。流れ112は2つの流れ112a及び112bに分割される。流れ112aは、処理及び回収のため精留塔116に送られる。流れ112bは、アルキルアリールエーテルをさらに精製するため精留塔146に送られる。一実施形態では、流れ112を分割するためにスプリッターを使用できる。
【0035】
別の実施形態では、反応生成物及び未反応の出発原料は、流れ112、112c及び114を通して図2に示すような塔110から取り出される。塔112の頂部から抜き出される流れ112は、未反応のジアルキルカーボネート、アルキルアルコール、及びエステル交換反応で生成したアルキルアリールエーテルを含んでいる。この流れは、処理及び回収のため精留塔116に送られる。流れ112cは、塔の側部から抜き出される。この流れは、アルキルアリールエーテル、ジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールを含んでいる。流れ112cは、アルキルアリールエーテルをさらに精製するため精留塔146に送られる。
【0036】
塔146には、約3以上、好ましくは約5〜約50、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内の理論蒸留段を得るため、配列充填物、不規則充填物又は固定内部部品が設けられている。塔146内の温度は、約50〜約250℃、好ましくは約50〜約200℃、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内にある。塔146内の圧力は、約10000〜約1000000Pa、好ましくは約50000〜約200000Pa、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内にある。
【0037】
塔146は、アルキルアリールエーテルからジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールを分離して実質的に純粋なアルキルアリールエーテルを生成し、これは流れ142を通して排出される。回収されたジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールは、流れ140を通して塔116に戻される。流れ140は、蒸気の状態で塔116に直接供給できる。図1に示すような一実施形態では、流れ140は流れ112aと併合できる。図2に示すような別の実施形態では、流れ140は流れ112と併合できる。
【0038】
塔110の底部付近から抜き出される流れ114は、塔110内で生成されるアルキルアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、芳香族アルコール、アルキルアリールエーテル及びエステル交換反応触媒を含んでいる。流れ114は、第二の反応蒸留塔124に送られる。一実施形態では、流れ114はさらにジアリールカーボネートを含み得る。
【0039】
塔124は、下部反応セクション及び上部精留セクションを有している。この塔は、アルキルアリールカーボネートからジアリールカーボネート及びジアルキルカーボネートへの不均化を促進すると同時に、反応混合物からジアルキルカーボネートを分離する。
【0040】
塔124の反応セクション及び精留セクションの各々には、約1〜約50、好ましくは約5〜約20、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内の理論蒸留段を得るため、配列充填物、不規則充填物又は固定内部部品が設けられている。塔124内の温度は、約50〜約300℃、好ましくは約60〜約280℃、最も好ましくは約100〜約250℃、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内にある。
【0041】
塔124内の圧力は、約5000〜約1000000Pa、好ましくは約20000〜約500000Pa、最も好ましくは約100000〜約300000Pa、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内に維持される。塔124の圧力を塔110の圧力より低く維持することが好ましい。これは流れ114の断熱フラッシュをもたらし、したがって塔124内の反応混合物からのジアルキルカーボネートの分離を容易にする。また、統合のために塔124の圧力を塔116の圧力よりわずかに高く維持することも好ましい。
【0042】
塔124は、流れ114を通して塔に流入するジアルキルカーボネートが反応混合物から分離され、したがって反応セクションで起こる不均化反応の速度を高めるようにして運転される。塔124は塔116用のリボイラーとして利用することもでき、この場合には2つの塔が図1に示すように流れ120及び122で連結される。この場合には、このような構成にある塔116へのアルキルアリールカーボネートのキャリオーバーを回避するように注意すべきである。これは、流れ132を通して塔110へのアルキルアリールカーボネートの再循環をもたらすことがあるからである。アルキルアリールカーボネート及びアルキルアルコールの再循環は、塔110内の組成を出発原料の方向に進め、したがって塔110内でのアルキルアリールカーボネートの正味生成速度を低下させる。かくして、塔124及び116は、流れ120(存在する場合)が精留塔116から還流する液相中にジアルキルカーボネート及びアルキルアリールエーテルを含むようにして運転される。
【0043】
精留塔116は、プロセス中で生成するジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールの混合物を含む塔頂副生物流128を生じる。一実施形態では、塔頂副生物流128はジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールの共沸混合物を含み、これを凝縮させてから、さらに精製することなしに相補的なジアルキルカーボネート製造プロセス用の供給原料流として再使用できる。
【0044】
塔116には、約3以上、好ましくは約5〜約50、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内の理論蒸留段を得るため、配列充填物、不規則充填物又は固定内部部品が設けられている。塔116内の温度は、約10〜約200℃、好ましくは約50〜約150℃、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内にある。塔116内の圧力は、約10000〜約1000000Pa、好ましくは約50000〜約200000Pa、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内にある。
【0045】
塔116と物質交換を行う流れ120及び122に加えて、流れ134を通して塔124から物質が流出する。
【0046】
流れ134は、塔124内で生成したジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、芳香族アルコール、アルキルアリールカーボネート、アルキルアリールエーテル及びエステル交換反応触媒を含んでいる。流れ134は反応蒸留塔138に供給されるが、これには配列充填物、不規則充填物又は固定内部部品が設けられている。塔138は、約5〜約80、さらに好ましくは約20〜約60、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内の理論蒸留段を有している。
【0047】
塔138は、反応を所望のジアリールカーボネート生成物に向けてさらに進めると共に、好ましくは再循環のために他の物質を分離するように運転される。塔138からは2つの流れが取り出される。第一のものは、ジアリールカーボネート、エステル交換反応触媒、アルキルアリールカーボネート及び高沸点副生物を含む塔底流148である。好ましくは、この生成物流は、ジアリールカーボネートの追加の精製が所望されるならばさらに蒸留される。開示した方法で生成されるジアリールカーボネートは、ポリカーボネート製造のためにビスフェノール(例えば、ビスフェノールA)と反応させることができる。
【0048】
第二の流れ144は塔138の頂部から取り出され、未反応の芳香族アルコール、ジアルキルカーボネート及びアルキルアリールエーテルを含んでいる。流れ144は、好ましくは再循環させることで流れ106の一部を構成する。
【0049】
塔138は、約100〜約300℃、好ましくは約100〜約250℃、最も好ましくは約140〜約200℃、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内の温度で運転される。塔内の圧力は、約1000〜約300000Pa、好ましくは約5000〜約100000Pa、最も好ましくは約10000〜約40000Pa、及びこれらの間のあらゆる部分範囲内にある。
【0050】
上述のプロセスの範囲内では、いくつかの変形が可能である。例えば、流れ120及び122を通して塔116及び124を相互連結することは既に記載した。
【0051】
さらに、流れ126を通してアルキルアリールカーボネートを含む流れを追加することで、流れ134を増量して流れ136を形成することができる。一実施形態では、塔110の頂部に部分凝縮器を連結することができる。部分凝縮器は、塔100から抜き出された塔頂流の一部を凝縮し、還流として塔に戻す。塔頂流の残部は、蒸気の状態で塔116に供給できる。
【0052】
材料を導入すべき位置は塔内に維持されている条件に依存するので、当業者であれば、塔の頂部、中央部又は底部にあるとして上述した各種の流れは必然的に相対的用語であることが理解されよう。例えば、塔の底部に流入する流れは、実際には液だめより上方にある若干の段に流入することができ、塔の頂部に流入する流れは、最上段より下方にある若干の段に流入することができる。そうではあるが、これらの用語は各種の塔及び流れの一般的な方位を定義するために含まれている。
【0053】
上述した方法及び装置は、ジアリールカーボネート及びアルキルアリールエーテルを工業的規模で効率よく共製造することを可能にする。
【実施例】
【0054】
以下の非限定的実施例に関し、本明細書に開示した方法をさらに例示する。
【0055】
例1
図1に示すようなプロセスを表すAspenモデルを作成し、Aspen Plus 11.1シミュレーションソフトウェアを用いて実行し、その結果を表1中に示す。この場合には、チタンテトラフェノキシドの存在下でジメチルカーボネート及びフェノールを反応物として使用してジフェニルカーボネート及びアニソールを製造した。ジメチルカーボネートとフェノールとの供給モル比を2.5としてシミュレーションを実行した。
【0056】
例2
図2に示すようなプロセスを表すAspenモデルを作成し、Aspen Plus 11.1シミュレーションソフトウェアを用いて実行し、その結果を表1中に示す。ジメチルカーボネートとフェノールとの供給モル比は、例1の場合と同じであった。
【0057】
例3〜17
例1の作業条件を保ちながら、塔110での還流比を0.83から1.0まで変化させてAspenモデルを実行した。塔110での還流比を変化させることで得られた流れ142中のアニソール純度(重量%)を示す結果を表2中に示す。図3にも、表2中のデータをグラフで示してある。これは、還流比を増大させると流れ142中のアニソール純度が高まることを示している。
【0058】
例18
第二の反応蒸留塔の側部からアニソールに富む流れを抜き出す構成に基づいてAspenモデルフローシートを作成することで比較例を実施した。他の作業条件はすべて、例1及び2の場合と同じであった。結果は、図1及び図2に示すような開示方法のプロセスオプションのいずれにおいても、流れ142中のアニソール純度は同様な作業条件下で第二の反応蒸留塔の側部からアニソールに富む流れを抜き出すことで得られるものより高いことを示している。さらに、すべてのプロセスのAspenシミュレーションモデルで予測した蒸気消費量の比較結果も図1中に示してある。第二の反応蒸留塔の側部からアニソールに富む流れを抜き出した比較例18は、生成するジフェニルカーボネート1トン当たり5.40トンの最大蒸気消費量を示すのに対し、図1及び図2の2つの実施形態で示した開示方法は、生成するジフェニルカーボネート1トン当たり5.20トン及び5.10トンの蒸気消費量をそれぞれ示している。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】


本明細書で引用したすべての特許の開示内容は、援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0061】
以上、好ましい実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の技術的範囲から逸脱することなしに様々な変更及び同等物による構成要素の置換を行い得ることが理解されよう。加えて、本発明の本質的範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は本発明を実施するために想定される最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるのではなく、特許請求の範囲内に含まれるすべての実施形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】アルキルアリールエーテル及びジアリールカーボネートを製造するための例示的なプロセスの略図を示す。
【図2】アルキルアリールエーテル及びジアリールカーボネートを製造するための例示的なプロセスの別の略図である。
【図3】塔110内での還流が流れ142中のアニソール純度に及ぼす効果を示している。
【符号の説明】
【0063】
110 第一の反応蒸留塔
112 第一の塔頂流又は第一の移送流
112a 第一の分割流
112b 第二の分割流
112c 第二の移送流
114 第一の塔底流又は第二の移送流又は第三の移送流
116 第一の精留塔
118 第三の塔底流
122 第三の移送流
124 第二の反応蒸留塔
128 第二の塔頂流
132 第二の再循環流
134 第二の塔底流又は第四の塔底流
138 第三の反応蒸留塔
140 第三の塔頂流又は再循環流
142 第一の生成物流
144 第一の再循環流
146 第二の精留塔
148 第二の生成物流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルアリールエーテルの連続製造方法であって、
第一の反応蒸留塔内においてエステル交換反応触媒の存在下でジアルキルカーボネートと芳香族アルコールとを反応させ、
第一の反応蒸留塔からジアルキルカーボネート、アルキルアルコール及びアルキルアリールエーテルを含む流れを回収し、
精留塔内で流れ中のアルキルアリールエーテルをジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールから分離し、
精留塔から実質的に純粋なアルキルアリールエーテルを含む生成物流を回収する
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
流れが第一の反応蒸留塔の頂部又は側部から抜き出される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第一の反応蒸留塔が約100〜約300℃の温度及び約5000〜約2000000パスカルの圧力に維持される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
精留塔が約50〜約150℃の温度及び約50000〜約200000パスカルの圧力に維持される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
生成物流が約95重量%以上のアルキルアリールエーテルを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
ジアリールカーボネート及びアルキルアリールエーテルの連続製造方法であって、
第一の反応蒸留塔110内においてエステル交換反応触媒の存在下でジアルキルカーボネートと芳香族アルコールとを反応させ、
第一の反応蒸留塔からジアルキルカーボネート、アルキルアルコール及びアルキルアリールエーテルを含む第一の塔頂流112を回収し、
第一の塔頂流を第一の分割流112a及び第二の分割流112bに分割し、
第一の反応蒸留塔からアルキルアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、芳香族アルコール、アルキルアリールエーテル及びエステル交換反応触媒を含む第一の塔底流114を回収し、
第一の塔底流を第二の反応蒸留塔124に導入し、
第二の反応蒸留塔からジアリールカーボネート、アルキルアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、芳香族アルコール及びエステル交換反応触媒を含む第二の塔底流134を回収し、
第二の分割流112bを第二の精留塔146に導入して、ジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールをアルキルアリールエーテルから分離すると共に、ジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールを第一の精留塔116に再循環させ、
第一の分割流を第一の精留塔に導入し、
第一の精留塔から、ジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールを含む第二の塔頂流128と、ジアルキルカーボネートを含む第三の塔底流118とを回収すると共に、第三の塔底流の一部を第一の反応蒸留塔に再循環させ、
第二の精留塔の底部から実質的に純粋なアルキルアリールエーテルを含む第一の生成物流142を回収し、
第二の塔底流を第三の反応蒸留塔138に導入し、
第三の反応蒸留塔の底部から得られる、ジアリールカーボネートを含む第二の生成物流148と、芳香族アルコール、ジアルキルカーボネート及びアルキルアリールエーテルを含む第三の塔頂流140とを回収し、
第三の塔頂流を第一の反応蒸留塔に再循環させる
ことを含んでなる方法。
【請求項7】
第二の反応蒸留塔が約50〜約300℃の温度及び約5000〜約1000000パスカルの圧力に維持される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
第三の反応蒸留塔が約100〜約300℃の温度及び約1000〜約300000パスカルの圧力に維持される、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
第二の反応蒸留塔が第二の反応蒸留塔内の圧力より低い圧力に維持される、請求項6〜8記載の方法。
【請求項10】
第一の塔頂流が部分凝縮器に導入される、請求項6〜9記載の方法。
【請求項11】
第一及び第二の反応蒸留塔、第一及び第二の精留塔、並びに反応物流及び生成物流を輸送するための複数の流れを含んでなる、実質的に純粋なアルキルアリールエーテルの連続製造装置であって、
第一の反応蒸留塔110は入力流並びに第一、第二及び第三の移送流に連結されていて、第一の移送流112は第一の反応蒸留塔の頂部から第一の精留塔116に流れており、第二の移送流112cは第一の反応蒸留塔の側部から第二の精留塔146に流れており、第三の移送流114は第一の反応蒸留塔の底部から第二の反応蒸留塔124に流れており、
第二の精留塔146は、アルキルアリールエーテルを回収するために底部から流れる生成物流142、及び頂部から第一の精留塔に流れる再循環流140に連結されている、装置。
【請求項12】
第一の反応蒸留塔110、第二の反応蒸留塔124及び第三の反応蒸留塔138、第一の精留塔116及び第二の精留塔146、スプリッター、並びに反応物流及び生成物流を輸送するための複数の流れを含んでなる、ジアリールカーボネート及びアルキルアリールエーテルの連続製造装置であって、
第一の反応蒸留塔は反応物を導入するための入力流並びに第一の移送流112及び第二の移送流114に連結されていて、第一の移送流は第一の反応蒸留塔の頂部からスプリッターに流れており、第二の移送流は第一の反応蒸留塔の底部から第二の反応蒸留塔124に流れており、
スプリッターは第一の分割流112a及び第二の分割流112bに連結されていて、第一の分割流はスプリッターから第一の精留塔116に流れており、第二の分割流はスプリッターから第二の精留塔146に流れており、
第二の反応蒸留塔124は第三及び第四の移送流に連結されていて、第三の移送流122は第二の反応蒸留塔の頂部から第一の精留塔の底部に流れており、第四の移送流134は第二の反応蒸留塔の底部から第三の反応蒸留塔138に流れており、
第三の反応蒸留塔は、第三の反応蒸留塔の底部からジアリールカーボネート生成物を得るための第二の生成物流148、及び第三の反応蒸留塔の頂部から第一の反応蒸留塔に流れる第一の再循環流144に連結されており、
第一の精留塔116は、第一の精留塔の頂部からジアルキルカーボネート/アルキルアルコール混合物を得るための第三の生成物流128、及び第一の精留塔の底部から第一の反応蒸留塔の底部に流れる第二の再循環流132に連結されており、
第二の精留塔は、第二の精留塔の底部からアルキルアリールエーテルを回収するための第一の生成物流142、及び第二の精留塔の底部から第一の精留塔の中央部に流れる第三の再循環流140に連結されている、装置。
【請求項13】
ビスフェノールをジアリールカーボネートと反応させることからなる、ポリカーボネート及び実質的に純粋なアルキルアリールエーテルの製造方法であって、ジアリールカーボネート及びアルキルアリールエーテルが、
第一の反応蒸留塔内においてエステル交換反応触媒の存在下でジアルキルカーボネートと芳香族アルコールとを反応させ、
第一の反応蒸留塔からジアルキルカーボネート、アルキルアルコール及びアルキルアリールエーテルを含む流れを回収し、
精留塔内で流れ中のアルキルアリールエーテルをジアルキルカーボネート及びアルキルアルコールから分離し、
精留塔から実質的に純粋なアルキルアリールエーテルを含む生成物流を回収する
ことによって製造される、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2007−523855(P2007−523855A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517271(P2006−517271)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/018957
【国際公開番号】WO2005/000776
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】