説明

アルキルハロシランの直接合成のための触媒系及び方法

本発明はアルキルハライドとケイ素及び触媒系(該触媒系は(α)金属銅又は銅をベースとした化合物と(β)促進剤の組合せとを含む。)を含む接触体との反応によるアルキルハロゲノシランの製造のための新規触媒系及び方法に関する。本発明に係る方法は、例えば、平均活性値、ジアルキルジハロゲノシランへの選択率、及び重量副産物の含有重量を従来公知の最良の触媒系よりも改善するために使用することができる。本発明によれば、促進剤の組合せ(β)は:10〜500ppm(使用するケイ素の重量に対する金属の重量として計算)の錫、錫をベースとした化合物及びこれらの混合物から選択される添加剤β1;0.01〜2%(使用するケイ素の重量に対する金属の重量として計算)のセシウム、カリウム、ルビジウム、これらのアルカリ金属をベースとした化合物及びこれらの混合物から選択される添加剤β2;並びに、50〜3000ppm(使用するケイ素の重量に対する元素燐の重量として計算)の元素状燐、燐をベースとした化合物及びこれらの混合物から選択される添加剤β3を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルキルハロシランの直接合成のための触媒系及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキルハロシラン、例えばジメチルジクロロシラン(以降、DMDCSという。)の製造のための工業的方法は良く知られた方法であり、特に米国特許第2380995号及びウォルターノル(Walter Noll)の著書「シリコーンの化学及び技術(Chemistry and Technology of Silicones)」、1968年、アカデミック出版(Academic Press Inc.)、ロンドン、p26−41に開示されている。
【0003】
この“直接合成”又は“ロショー(Rochow)合成”法によれば、アルキルハロシラン(例えばDMDCS)はケイ素及び銅含有触媒より形成された固体接触体と塩化メチルとの反応により、
反応式:2CH3Cl+Si→(CH32SiCl2
に従って直接製造される。
【0004】
現実には、以下に述べるような他の副産物:すなわち、その他のアルキルハロシラン、例えばメチルトリクロロシランCH3SiCl3(以降、MTCSという。)及びトリメチルクロロシラン(CH33SiCl(以降、TMCSという。);ハロゲン化アルキルヒドロシラン、例えばメチルヒドロジクロロシラン(CH3)HSiCl2(以降、MHDCSという。);並びに重量物たるポリシラン、特にジシラン、例えばトリメチルトリクロロジシラン(CH33Si2Cl3、及びジメチルテトラクロロジシラン(CH32Si2Cl4が該直接合成中に生成する。
【0005】
直接合成により得られるすべての生成物の中で、ジアルキルジハロシラン(例えばDMDCS)が主生成物、すなわち支配的な量で得られる生成物である。該生成物は、加水分解及び重合の後に、シリコーン製造のための基礎製品であるオイル及びガムが得られるので非常に望ましい。
【0006】
この直接合成反応の触媒として、金属銅の形態又は銅をベースとした化合物の形態で銅を使用することが知られている。
【0007】
とりわけ:
− ケイ素及び触媒をベースとした組合せを含む接触体の平均活性(生産性ともいう。)の向上のため(該活性(又は生産性)は最初に使用したケイ素の時間当たりキログラム当たりで得られたシランの重量として評価される。)、
− また、ジアルキルジハロシラン、例えばDMDCSへの選択率(例えば、得られた全シランに対するDMDCSの平均モル%によって、及びMTCS/DMDCSの平均重量比率によって評価される。)の向上のため、並びに
− 得られたシランに対する“重量”生成物の含有重量を低下させるために、
1種又は2種以上の促進用添加剤を含む促進剤の組合せを銅に添加する対策が既になされてきた。これらの添加剤は:亜鉛又はハロゲン化亜鉛(米国特許第2464033号)、アルミニウム(米国特許第2403370号及び同第2427605号)、錫、マンガン、ニッケル及び銀(英国特許第1207466号)、コバルト(英国特許第907161号)、塩化カリウム(ソビエト特許第307650号)又はヒ素若しくはヒ素化合物(米国特許第4762940号)とすることができる。
【0008】
欧州特許第0138678号及び同第0138679号は:
− 30〜1000ppm(使用するケイ素の重量に対する金属の重量として計算)の錫及びアンチモンから選択される少なくとも1種の金属、或いは錫及び/又はアンチモンをベースとした化合物、
− 随意的に0.1〜3%(上と同様に計算)の金属亜鉛又は亜鉛ベースの化合物、そして
− 欧州特許第0138678号の場合には:0.05〜4%(上と同様に計算)のセシウム又はセシウム化合物(単独で、又はリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びこれらのアルカリ金属をベースとした化合物から選択される少なくとも一種のその他のアルカリ金属との混合物として用いる。);或いは、欧州特許第0138679号の場合には:0.05〜2%(上と同様に計算)のリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びこれらのアルカリ金属をベースとした化合物から選択される少なくとも1種のアルカリ金属、
を含む改良された促進剤の組合せとの混合物としての銅触媒の使用を開示している。
【0009】
米国特許第4601101号は:
− 5〜200ppm(使用するケイ素の重量に対する金属の重量として計算)の錫又は錫ベースの化合物、
− 随意的に、100〜10,000ppm(上と同様に計算)の金属亜鉛又は亜鉛ベースの化合物、そして
− 25〜931ppm(上と同様に計算)の元素状燐、燐化金属及び/又は直接合成の反応体において燐化金属を与えることのできる化合物、
を含むまた別の改良された促進剤の組合せとの混合物としての銅触媒の使用を開示している。
【特許文献1】米国特許第2464033号明細書
【特許文献2】米国特許第2403370号明細書
【特許文献3】米国特許第2427605号明細書
【特許文献4】英国特許第1207466号明細書
【特許文献5】英国特許第907161号明細書
【特許文献6】ソビエト特許第307650号明細書
【特許文献7】米国特許第4762940号明細書
【特許文献8】欧州特許第0138678号明細書
【特許文献9】欧州特許第0138679号明細書
【特許文献10】米国特許第4601101号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記先行技術にて提供された触媒系(促進剤の組合せとの混合物としての銅触媒)のすべての重要性にも拘わらず、これまで知られている最良の触媒系、特に以下の触媒系:Cu+随意的なZn+Sn+Cs及びCu+随意的なZn+Sn+Pで得られる性能よりも優れた性能を得るために本分野での研究は続いている。
【0011】
本発明の主たる目的は、上で参照した最良の触媒系とは促進剤の組合せに亜鉛又は亜鉛をベースとした化合物を含まない点で特に異なり、かつとりわけ平均活性、ジアルキルジハロシランへの選択率及び重量副産物の含有重量についてこれまで知られている、促進剤の組合せ中に亜鉛を含むか又は含まない最良の触媒系を用いて報告されている数値よりも有利な値を示すことを可能とする直接合成法を実施するための方法及び新規触媒系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的が本発明によって達成される。より具体的には、本発明はアルキルハライド(好ましくはCH3Cl)と、ケイ素及び触媒系(該触媒系は(α)金属銅又は銅をベースとした化合物と(β)10〜500ppm(使用するケイ素の重量に対する金属の重量として計算)の錫、錫をベースとした化合物及びこれらの混合物から選択される添加剤β1を含む促進剤の組合せとを含む。)で形成された固形体(接触体という)との反応によるアルキルハロシランの製造方法に関し、
前記方法は、該促進剤の組合せ(β)が更に:
− 0.01〜2%(使用するケイ素の重量に対する金属の重量として計算)のセシウム、カリウム、ルビジウム、これらのアルカリ金属をベースとした化合物及びこれらの混合物から選択される添加剤β2、並びに
− 50〜3000ppm(使用するケイ素の重量に対する元素燐の重量として計算)の元素状燐、燐をベースとした化合物及びこれらの混合物から選択される添加剤β3、
を含むことを特徴とする。
【0013】
触媒(α)は、使用するケイ素の重量に対して1〜20重量%、好ましくは2〜12重量%の範囲の含有量で使用することができる。
【0014】
金属銅の代わりに、銅化合物として特に、ハロゲン化銅(例えば、塩化第一銅又は塩化第二銅);カルボン酸銅(例えば、蟻酸第一銅、蟻酸第二銅、酢酸第一銅又は酢酸第二銅);或いは酸化銅(例えば、Cu2O又はCuO)を使用できる。
【0015】
本発明によれば、特に選択率及びケイ素の転化率に関して、銅が金属銅の形態及び/又は塩化第一銅の形態で導入されるとより良い結果が得られることが示された。
【0016】
錫及び/又は錫化合物の含有重量(促進用添加剤β1であり、含有量は金属錫の重量として計算)は、使用するケイ素の重量に対して10〜500ppm、好ましくは30〜300ppmの範囲である。
【0017】
少なくとも10ppmの金属錫を有することが必要である。というのは、本発明においては、アルカリ金属及び/又はアルカリ金属化合物をベースとした促進用添加剤β2、並びに燐をベースとしたβ3の有利な効果は錫及び/又は錫化合物の存在によってのみ得られることが分かったからである。更に、含有重量が500ppmを超えると反応、とりわけ選択率に悪影響を与えることになる。
【0018】
錫をベースとした化合物としては、例えば塩化錫が使用される。好ましく用いられる促進用添加剤β1は金属錫である。有利には、該金属錫は青銅の形態で加えることができる。
【0019】
アルカリ金属及び/又はアルカリ金属化合物の含有重量(促進用添加剤β2であり、含有量はアルカリ金属として計算)は、0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%の範囲である。0.01重量%未満では、アルカリ金属の作用が実際に検知されず、2重量%を超えると、アルカリ金属は選択率に対して期待される効果を示さない。
【0020】
Cs、K及びRbから選択されるアルカリ金属化合物としては、ハロゲン化物(例えば、塩化物);又はカルボン酸塩(例えば、蟻酸塩若しくは酢酸塩)を使用することができる。塩化セシウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム及び/又はこれら化合物の混合物が好ましく用いられる促進用添加剤β2である。
【0021】
元素状燐及び/又は燐をベースとした化合物の含有重量(促進用添加剤β3であり、含有量は元素燐の重量として計算する。)は、50〜3000ppm、好ましくは80〜1500ppm、より好ましくは90〜800ppmの範囲である。50ppm未満では、燐の作用が実際に検知されず、3000ppmを超えると、燐は有害な影響を与えて選択率が低下する。
【0022】
促進用添加剤として本発明で使用される燐は元素状燐(例えば、赤燐、黄燐及び黒燐)とすることができる。燐をベースとした化合物としては、燐化金属(例えば、燐化アルミニウム、燐化カルシウムCa32、燐化銅Cu3P、燐化ニッケルNiP2、燐化錫SnP、燐化鉄FeP、Fe2P及びFe3P、燐化亜鉛Zn32及びZnP2、又は燐化ケイ素);或いは、アルキルハライドとケイ素及び触媒系(α)+(β)をベースとした接触体との直接合成反応中に上述した種類の燐化金属を生成することのできる燐ベースの化合物を用いることができる。その他の燐ベースの化合物としては、商業的に容易に入手でき燐及び金属部の双方を含むとして知られているいくつかの合金(例えば、約7〜15重量%の燐を含む銅−燐合金)を使用することができる。燐化銅Cu3P及び銅−燐合金が好ましく用いられる促進用添加剤β3である。
【0023】
より好ましくは、添加剤β2及びβ3の量は、比:
【数1】

が1〜20、好ましくは1.2〜15、より好ましくは1.5〜12で変動するように上述した一般の及び好ましい変動領域の範囲内で選択される。
【0024】
その他、ケイ素の粒径は粒子の少なくとも50重量%の平均粒径が10〜500μm、好ましくは60〜200μmであるのが望ましい。同様に、触媒(α)及び促進剤群(β)も粒子の形態で見出され、粒子の少なくとも50重量%の平均粒径は有利には1〜100μmである。
【0025】
本発明による直接合成法は一般に以下の三種類の何れかの装置内で実施することができる。すなわち、米国特許第2449821号にて開示されているような攪拌層型反応器、米国特許第2389931号にて開示されているような流動層型反応器、又はロータリー窯である。
【0026】
触媒系の構成成分(α)+(β)は仏国特許第1545407号に開示されているような微粒状無機材料(例えば、砂、粉末状シリカ、シリカゲル、アルミナ、粉末状耐火レンガ、油の分解用触媒、ゼオライト及び焼成粘土)に付着させて使用することもできる。
【0027】
直接合成反応は280〜400℃、好ましくは300〜380℃の範囲の温度で起こる。該反応は、全部又は一部において、アルキルハライドを大気圧(1bar)に等しいか又は大気圧より高い絶対圧下で行うことができる。後者の場合が支配的であるときは、該反応は一般に1.1〜8bar、好ましくは1.5〜4barの絶対圧下で行われる。
【0028】
直接合成反応を行うためには、良く知られているように(ケイ素+触媒+促進剤をベースとした組合せによって形成された)接触体の活性化の第一段階を事前に実施するのが有利である。特に好適な活性化手段の一つは、前記接触体を所定の温度にすることで構成することができる(該温度は直接合成反応のために選択された上述した一般的又は好ましい範囲内にある温度よりも数℃〜数十℃だけ低く又は高くすることができる。)
【0029】
本発明に係る触媒系(α)+(β)を使用すると、攪拌層及び流動層内の双方にて280℃〜400℃、好ましくは300℃〜380℃の範囲の温度で反応が行われると、平均活性が高く、ジアルキルジハロシランへの選択率が高く、そして重量副産物含有重量が低くなる。
【0030】
本触媒系の平均活性に関しては、例えば、330g(シラン)/h/kg(Si)程度又はそれを上回り、370g(シラン)/h/kg(Si)又はそれを上回ることもできる。
【0031】
例えば、得られた全シランに対するDMDCSの平均mol%、及びMTCS/DMDCSの平均重量比で評価した選択率に関しては:
− DMDCSの平均mol%:得られた数値は90%程度又はそれを上回り、93%又はそれを上回ることもでき、
− MTCS/DMDCSの平均重量比:得られた数値は0.05程度又はそれを下回り、0.035に達することもできる。
【0032】
得られたシランに対する生成した重量生成物の割合に関しては、1.2重量%ほどに低くすることができ、一般には2.3重量%未満である。
【0033】
とりわけ平均活性、ジアルキルジハロシランへの選択率、及び重量副産物の含有重量に関して上述したような割合で得られる数値は、亜鉛をベースとした促進剤を含まないこの先行技術に従う直接合成法の触媒系を用いて得ることが可能な数値についての教示から見てとりわけ驚くべき結果であると思われる。
【0034】
本発明のその他の利点及び特徴は以下の実施例により明らかとなるが、これらは例示のために与えるものであり、限定を意味するものではない。
【0035】
以下の実施例では、特に断りのない限り、底部に焼結ガラスでできた多孔分散管を備えた内径60mm及び高さ250mmの円筒形のパイロットスケールの反応器を使用した。ケイ素及び触媒系は、粒子の少なくとも50重量%の平均径が60〜200μmである粉末の形態で導入した。
【0036】
反応は攪拌層で行い、反応器には外部発熱体を装備した。
【実施例】
【0037】
実施例1
触媒系:Cu/Sn/Cs/P(1029ppm)
210gのケイ素、16.4gのCuCl、0.38gの青銅(10重量%の錫を含む。)、及び1.9gのCsClで構成された粉末を金属攪拌器及び焼結ガラスでできた多孔分散管を備えた円筒形の垂直ガラス反応器に加えた。反応開始後、性能が安定したときに(すなわち、4時間反応させた後)、3gのCu3P(7.2重量%の燐を含む)を加えた。
【0038】
反応器は窒素流下で200℃に徐々に加熱した。次いで、反応器の温度の上昇を続けている間に、窒素を停止して60g/hの流量(20℃で測定)で塩化メチルの導入を開始した。
【0039】
反応器の温度は360℃に調節し、塩化メチルの流量を60g/hに維持した。360℃で4時間維持した後に作業者が反応を一時停止させ、反応器が室温に達したときにCu3Pを添加した。添加を実施するとすぐに、温度上昇及びCH3Clの導入を上と同様に制御した。
【0040】
試験は大気圧にて行った。試験はメチルクロロシラン(MCS)を8時間製造した後に作業者が停止した。
【0041】
この試験では、最初に反応器に加えたSiの1kg当たり毎時335g(シラン)の平均生産性又は活性でシランが製造された。
【0042】
生成した混合物をガスクロマトグラフィで分析するとDMDCSの平均mol%が93.3%という特性が示された。
【0043】
得られたMTCS/DMDCSの比率は0.037(重量%/重量%)に等しかった。
【0044】
得られた“重量”生成物(ポリシラン)の割合は1.7重量%であった。
【0045】
実施例2
触媒系:Cu/Sn/Cs/P(103ppm)
210gのケイ素、16.4gのCuCl、0.38gの青銅(10重量%の錫を含む。)、及び1.9gのCsClで構成された粉末を金属攪拌器及び焼結ガラスでできた多孔分散管を備えた円筒形の垂直ガラス反応器に加えた。反応開始後、性能が安定したときに(すなわち、3時間30分反応させた後)、0.275gのCu3P(7.2重量%の燐を含む)を加えた。
【0046】
反応器は窒素流下で200℃に徐々に加熱した。次いで、反応器の温度の上昇を続けている間に、窒素を停止して60g/hの流量(20℃で測定)で塩化メチルの導入を開始した。
【0047】
反応器の温度は360℃に調節し、塩化メチルの流量を60g/hに維持した。360℃で3時間30分維持した後に作業者が反応を一時停止させ、反応器が室温に達したときにCu3Pを添加した。添加を実施するとすぐに、温度上昇及びCH3Clの導入を上と同様に制御した。試験圧力は3.5barの絶対圧力に調節した。試験はMCSを8時間製造した後に作業者が停止した。
【0048】
この試験では、最初に反応器に加えたSiの1kg当たり毎時380g(シラン)の平均生産性又は活性でシランが製造された。
【0049】
生成した混合物をガスクロマトグラフィで分析するとDMDCSの平均mol%が94.1%という特性が示された。
【0050】
得られたMTCS/DMDCSの比率は0.035(重量%/重量%)に等しかった。
【0051】
得られた“重量”生成物(ポリシラン)の割合は1.2重量%であった。
【0052】
比較試験:
試験A
触媒系:Cu/Zn/Sn
210gのケイ素、16.4gのCuCl、1.64gのZnCl2、0.38gの青銅(10重量%の錫を含む。)で構成された粉末を金属攪拌器及び焼結ガラスでできた多孔分散管を備えた円筒形の垂直ガラス反応器に加えた。
【0053】
反応器は窒素流下で200℃に徐々に加熱した。次いで、反応器の温度の上昇を続けている間に、窒素を停止して60g/hの流量(20℃で測定)で塩化メチルの導入を開始した。
【0054】
反応器の温度は360℃に調節し、塩化メチルの流量を60g/hにして8時間維持した。試験は大気圧にて行った。
【0055】
この試験では、最初に反応器に加えたSiの1kg当たり毎時326g(シラン)の平均生産性又は活性でシランが製造された。
【0056】
生成した混合物をガスクロマトグラフィで分析するとDMDCSの平均mol%が86.8%という特性が示された。
【0057】
得られたMTCS/DMDCSの比率は0.074(重量%/重量%)に等しかった。
【0058】
得られた“重量”生成物(ポリシラン)の割合は3.7重量%であった。
【0059】
試験B
触媒系:Cu/Sn/Cs
210gのケイ素、16.4gのCuCl、0.38gの青銅(10重量%の錫を含む。)、及び1.9gのCsClで構成された粉末を金属攪拌器及び焼結ガラスでできた多孔分散管を備えた円筒形の垂直ガラス反応器に加えた。
【0060】
反応器は窒素流下で200℃に徐々に加熱した。次いで、反応器の温度の上昇を続けている間に、窒素を停止して60g/hの流量(20℃で測定)で塩化メチルの導入を開始した。
【0061】
反応器の温度は360℃に調節し、塩化メチルの流量を60g/hにして8時間維持した。試験は大気圧にて行った。
【0062】
この試験では、最初に反応器に加えたSiの1kg当たり毎時302g(シラン)の平均生産性又は活性でシランが製造された。
【0063】
生成した混合物をガスクロマトグラフィで分析するとDMDCSの平均mol%が92.4%という特性が示された。
【0064】
得られたMTCS/DMDCSの比率は0.040(重量%/重量%)に等しかった。
【0065】
得られた“重量”生成物(ポリシラン)の割合は2.3重量%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルハライドと、ケイ素及び触媒系(該触媒系は(α)金属銅又は銅をベースとした化合物と(β)10〜500ppm(使用するケイ素の重量に対する金属の重量として計算)の錫、錫をベースとした化合物及びこれらの混合物から選択される添加剤β1を含む促進剤の組合せとを含む。)で形成された固形体(接触体という)との反応によるアルキルハロシランの製造方法であって、
該促進剤の組合せ(β)が更に:
− 0.01〜2%(使用するケイ素の重量に対する金属の重量として計算)のセシウム、カリウム、ルビジウム、これらのアルカリ金属をベースとした化合物及びこれらの混合物から選択される添加剤β2、並びに
− 50〜3000ppm(使用するケイ素の重量に対する元素燐の重量として計算)の元素状燐、燐をベースとした化合物及びこれらの混合物から選択される添加剤β3、
を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
添加剤β1の含有量が30〜300ppmの範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
添加剤β1が金属錫であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
金属錫が青銅の形態で加えられることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
添加剤β2の含有量が0.05〜1.0%の範囲であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
添加剤β2が塩化セシウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム及び/又はこれらの化合物の混合物であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
添加剤β3の含有量が80〜1500ppmの範囲であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
添加剤β3が燐化銅Cu3P及び/又は銅−燐合金であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
添加剤β2及びβ3の量は、比:
【数1】

が1〜20で変動するように上述した一般の及び好ましい変動領域の範囲内で選択されることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
触媒系の(α)部が使用するケイ素の全重量に対して1〜20重量%の含有量で使用されることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
触媒系の(α)部が金属銅、塩化第一銅及びこれらの化合物の混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
直接合成反応が280℃〜400℃の範囲の温度で行われることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
(α)金属銅又は銅をベースとした化合物と(β)促進剤の組合せとを含む請求項1〜11の何れか一項にて規定した、アルキルハライドとケイ素含有接触体との反応によるアルキルハロシランの製造方法の実施のための触媒系。

【公表番号】特表2006−525943(P2006−525943A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566095(P2004−566095)
【出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003612
【国際公開番号】WO2004/063205
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】