説明

アルキル置換された2−デオキシ−2−フルオロ−D−リボフラノシルピリミジン類及びプリン類及びそれらの誘導体の調製

【課題】予め生成された、好ましくは自然に生じたヌクレオシドから2-デオキシ-2-フルオロ-2-C-メチル-β-D-リボフラノシルヌクレオシドを含む抗HCVヌクレオシドを製造する方法の提供。
【解決手段】塩基が保護されたヌクレオシド中間体をフッ素化してフッ素化中間体とし、三ハロゲン化ホウ素で処理することによってヒドロキシル化中間体を得、脱保護と鹸化させる工程を含む、2-デオキシ-2-フルオロ-2-C-メチル-β-D-リボフラノシルヌクレオシドを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
この出願は、合衆国を除く全指定国に対する出願人として、合衆国法人ファーマセット社名義で、指定国合衆国のみに対する出願人としては、中国国民Pieyang Wang、ポーランド国民Wojciech Stec、合衆国国民Jeremy Clark、大韓民国国民Byoung-Kown Chun、中国国民Junxing Shi、合衆国国民Jinfa Du名義で、PCT国際特許出願として2005年7月21日に出願されたものであり、2004年7月21日に出願された米国仮特許出願第60/589866号に基づく優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、(i)2-デオキシ-2-フルオロ-2-メチル-D-リボノラクトン誘導体の製造方法、(ii)強力な抗HCV活性を有するヌクレオシド、及びその類似体へのラクトンの転換、及び(iii)予め生成された、好ましくは自然に生じたヌクレオシドからの2'-デオキシ-2'-フルオロ-2'-C-メチル-β-D-リボフラノシルヌクレオシドを含む抗HCVヌクレオシドの製造方法を提供する。
【0003】
(発明の分野)
HCV感染が世界的規模の流行レベルに達しているという事実に鑑みると、感染した患者には悲劇的な影響がある。現在、この感染に対する普遍的に有効な治療法はなく、慢性C型肝炎の治療に有用な唯一の薬剤は、単独で又はリバビリンと併用される種々の形態のアルファインターフェロン(IFN-α)である。しかしながら、これらの治療法の治癒的価値は、副作用のために大きく低下しており、治療のためのさらなる選択肢の開発が必要であることは明らかである。
HCVは、ヌクレオカプシド内に約9.6kbのポジティブ一本鎖RNAゲノムを有するフラビウイルス科の小さなエンベロープウイルスである。ゲノムは、3000強のアミノ酸のポリタンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、切断されて、成熟した構造的及び非構造的ウイルスタンパク質を生じる。ORFは数百のヌクレオチド長の5'及び3'非翻訳領域(NTR)に隣接しており、RNAの翻訳及び複製に重要なものである。翻訳されたポリタンパク質はN末端に構造的コア部(C)とエンベロープタンパク質(E1、E2、p7)を含み、非構造的タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、NS5B)がこれに続く。成熟した構造的タンパク質は宿主のシグナルペプチダーゼによる切断を介して生じる。NS2とNS3の間の接合部は、NS2/NS3プロテアーゼにより自己触媒的に切断されるが、残りの4つの接合部は、NS4Aと複合したNS3のN末端セリンプロテアーゼドメインにより切断される。またNS3タンパク質は、複製中に二本鎖RNAをほどくNTP依存性ヘリカーゼ活性も含む。NS5Bは、ウイルス複製に必須であるRNA依存性RNAポリメラーゼ(RDRP)活性を有する。HBV又はHIVとは異なり、DNAはHCVの複製に関与していないことを、ここで強調する。
【0004】
米国特許出願(出願番号10/828753)には、1-(2-デオキシ-2-フルオロ-2-C-メチル-β-D-リボフラノシル)シトシン(14)が強力で選択的な抗HCV剤であることが開示されている。独自の合成手順(スキーム1-3)は、全収率が4%以下とかなり非能率的で、大規模には不向きである。
【化1】



HCVに対する活性を有する2-C-アルキル-2-デオキシ-2-置換-D-リボピラノシルヌクレオシドを合成するための新規でコスト的にも有効な方法が必要とされている。
【0005】
(本発明の要約)
本発明は、次の一般式[I]及び[II]:
【化2】

[上式中
Xはハロゲン(F、Cl、Br)であり、
YはN又はCHであり、
Zはハロゲン、OH、OR'、SH、SR'、NH、NHR'又はR'であり、
'はエチニル、ビニル、C-Cのアルキルであり;
'及びR'は同一又は異なっており、H、アルキル、アラルキル、アシル、環状のアセタール、例えば2',3'-O-イソプロピリジン又は2',3-O-ベンジリデン、又は2',3'-環状カルボナートであってよく;
、R、R及びRは独立して、H、F、Cl、Br、Iを含むハロゲン、OH、OR'、SH、SR'、N、NH、NHR'、NR'、NHC(O)OR'、C-Cの低級アルキル、C-Cのハロゲン化(F、Cl、Br、I)された低級アルキル、例えばCF及びCHCHF、C-Cの低級アルケニル、例えばCH=CH、C-Cのハロゲン化(F、Cl、Br、I)された低級アルケニル、例えばCH=CHCl、CH=CHBr及びCH=CHI、C-Cの低級アルキニル、例えばC≡CH、C-Cのハロゲン化(F、Cl、Br、I)された低級アルキニル、C-Cのヒドロキシ低級アルキル、例えばCHOH及びCHCHOH、C-Cのハロゲン化(F、Cl、Br、I)された低級アルキル、C-Cの低級アルコキシ、例えばメトキシ及びエトキシ、COH、COR'、CONH、CONHR'、CONR'、CH=CHCOH、CH=CHCORであり;
R'は、置換されていてもよいC-C12アルキル(特にアルキルがアミノ酸残基である場合)、シクロアルキル、置換されていてもよいC-Cアルキニル、置換されていてもよいC-Cの低級アルケニル、又は置換されていてもよいアシルである]
の化合物と該化合物の合成方法に関する。
【0006】
他の側面では、本発明は、(i)一般的構造Vの3,5-保護-2-デオキシ-2-フルオロ-2-C-メチル-D-リボノ-γ-ラクトン中間体の合成、(ii)一般的構造III及びIVのプリン及びピリミジンヌクレオシドへのVの転換、及び(iii)予め形成された、好ましくは天然のヌクレオシドからの一般的構造III及びIVのヌクレオシドの調製を通して、次の式III及びIV:
【化3】

の一般的構造を有する2-デオキシ-2-フルオロ-2-C-メチル-D-リボフラノシル部分を含むヌクレオシドを調製するための方法を提供する。
【化4】

上述のIII、IV及びVに関し、R及びRは上述したものであり、R及びRは独立して、H、Me、アシル(例えばAc、Bz、置換したBz)、ベンジル、置換したベンジル、トリチル、トリアルキルシリル、t-ブチルジアルキルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、TIPDS、THP、MOM、MEMであってよく、又はR及びRは-SiR-O-SiR-又は-SiR-を介して結合しており、ここでRは低級アルキル基、例えばMe、Et、n-Pr又はi-Prである。
【0007】
本発明のさらなる他の側面は、以下に詳述するような前駆体エステル中間体を含む、式Vの新規なラクトン中間体と、以下に詳細に記載するラクトン中間体の製造方法にある。
【0008】
(詳細な説明)
現在、C型肝炎ウイルス(HCV)、テング熱ウイルス(DENV)、ウエストナイルウイルス(WNV)又は黄熱病ウイルス(YFV)を含む、フラビウイルス感染に対する予防手段は存在しない。唯一の承認された治療法は、アルファインターフェロンを、単独で又はヌクレオシドリバビリンと組合せて用いるHCV感染の治療のためのものであるが、これらの治療法の治癒的価値は副作用のために大きく低下している。近年、2'-デオキシ-2'-フルオロ-2'-C-メチルシチジン(14)を含むヌクレオシドの群が、レプリコン系におけるHCVの複製に対して強力で選択的な活性を示すことが見出された。しかしながら、これと類似ヌクレオシドの化学合成の困難性が、フラビウイルス感染の治療のための臨床薬の開発に不可欠なさらなる生物物理学的、生化学的、薬理学的評価の妨げとなっている。
【0009】
本発明は、(i)一般的構造Vの3,5-保護-2-デオキシ-2-フルオロ-2-C-メチル-D-リボノ-γ-ラクトン中間体の合成、(ii)一般的構造III及びIVのプリン及びピリミジンヌクレオシドへのVの転換、及び(iii)予め生成された、好ましくは天然のヌクレオシドからの一般的構造III及びIVのヌクレオシドの調製を通しての、式III及びIVの2-デオキシ-2-フルオロ-2-C-メチル-D-リボフラノシル部分を含むヌクレオシドの効果的な製造法を提供する。
【0010】
(定義)
ここで使用される場合、「独立して」なる用語は、独立して適用される可変部分が、用途に応じて独立して変化することを示す。例えば、RXYR等の化合物において、Rが「独立して炭素又は窒素」である場合、Rは双方とも炭素であってもよいし、またRは双方とも窒素であってもよく、又はRの一方が炭素で、他方のRが窒素であってもよい。
ここで使用される場合、「エナンチオマー的に純粋な」又は「エナンチオマー的にリッチな」なる用語は、少なくとも約95%、好ましくは約97%、98%、99%又は100%のヌクレオシドの単一のエナンチオマーを含むヌクレオシド組成物を意味する。
ここで使用される場合、「実質的に含まない」又は「実質的に不在」なる用語は、少なくとも85又は90重量%、好ましくは95重量%〜98重量%、さらに好ましくは99重量%〜100重量%の、ヌクレオシドの標記エナンチオマーを含むヌクレオシド組成物を意味する。好ましい実施態様では、この発明の方法及び化合物では、本化合物はエナンチオマーを実質的に含まない。
【0011】
ここで使用される場合、「アルキル」なる用語は、別の定義がなされない限り、典型的にはCないしC10の飽和した直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を意味し、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、及び2,3-ジメチルブチル等が含まれる。本用語には、置換及び未置換双方のアルキル基が含まれる。アルキル基は、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルファート、ホスホン酸、ホスファート、又はホスホナートからなる群から選択される一又は複数の部分で置換されていてもよい。アルキル上の炭素原子に結合する一又は複数の水素原子は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロクロロメチル等、一又は複数のハロゲン原子、例えばフッ素又は塩素又は双方で置き換えられてもよい。また炭化水素鎖には、ヘテロ原子、例えばN、O又はSが挿入されていてもよい。
【0012】
ここで使用される場合、「低級アルキル」なる用語は、別の定義がなされない限り、上述した置換及び未置換双方の形態を含むCないしCの飽和した直鎖状又は分枝状アルキル基を意味する。この出願において別の定義がなされない限りは、アルキルが適切な部分である場合、低級アルキルが好ましい。同様に、アルキル又は低級アルキルが適切な部分である場合、未置換のアルキル又は低級アルキルが好ましい。
ここで使用される場合「シクロアルキル」なる用語は、別の定義がなされない限り、3−8の炭素原子、好ましくは3−6の炭素原子を有する飽和炭化水素環、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルを意味する。シクロアルキル基は、シクロプロピルメチル等、アルキル基が環上に置換されていてもよい。
「アルキルアミノ」又は「アリールアミノ」等の用語は、それぞれ一又は二のアルキル又はアリール置換基を有するアミノ基を意味する。
【0013】
ここで使用される場合、「保護(された)」なる用語は、別の定義がなされない限り、さらなる反応を防止するために、又は他の目的のために、酸素、窒素又はリン原子に付加される基を意味する。多種多様な酸素及び窒素保護基が、有機合成の分野の当業者に知られている。非限定的例には、C(O)-アルキル、C(O)Ph、C(O)アリール、CH、CH-アルキル、CH-アルケニル、CHPh、CH-アリール、CHO-アルキル、CHO-アリール、SO-アルキル、SO-アリール、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、及び1,3-(1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサニリデン)が含まれる。
【0014】
ここで使用される場合、「アリール」なる用語は、別の定義がなされない限り、フェニル、ビフェニル、又はナフチル、好ましくはフェニルを意味する。本用語には置換及び未置換の部分の双方が含まれる。アリール基は、限定されるものではないが、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルファート、ホスホン酸、ホスファート、又はホスホナートを含む一又は複数の置換基で置換されていてもよく、また必要に応じて、例えばT.W. Greene及びP.G.M. Wuts,「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、John Wiley & Sons, 1999に教示されているように、当業者に知られているようにして保護されていても、又は非保護であってもよい。
【0015】
「アルカリル」又は「アルキルアリール」なる用語は、アリール置換基を有するアルキル基を意味する。「アラルキル」又は「アリールアルキル」なる用語は、例えばベンジル等、アルキル置換基を有するアリール基を意味する。
ここで使用される場合「ハロ」なる用語には、クロロ、ブロモ、ヨード及びフルオロが含まれる。
【0016】
「アシルエステル」又は「O結合エステル」なる用語は、式C(O)R'のカルボン酸エステルを意味し、ここで、エステル基の非カルボニル部分、R'は、ジフェニルメチルシリル、トリアルキルシリル(例えばジメチル-t-ブチルシリル)、ベンジルで置換されたもの、モノメトキシトリチル、トリチル、モノ、ジ又はトリホスファートエステル、メタンスルホニルを含むアルキル又はアラルキルスルホニル等のスルホナートエステル、CないしCアルコキシ又はCないしCアルキル、ハロゲン(F、Cl、Br、I)で置換されていてもよいフェニルを含むアリール、フェノキシメチル等のアリールオキシアルキル、ベンジルを含むアラルキル、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、直鎖状又は分枝状のアルキル、シクロアルキル、又は低級アルキルである。エステル中のアリール基は、最適にはフェニル基を含む。
【0017】
「アシル」なる用語は、式R''C(O)-の基を意味し、ここでR''は、直鎖状又は分枝状のアルキル、又はシクロアルキル、アミノ酸、フェニルを含むアリール、アルキルアリール、ベンジルを含むアラルキル、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、フェノキシメチル等のアリールオキシアルキル;又は置換アルキル(低級アルキルを含む)、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、CないしCアルキル又はCないしCアルコキシで置換されていてもよいフェニルを含むアリール、メタンスルホニルを含むアルキル又はアラルキルスルホニル等のスルホナートエステル、モノ、ジ又はトリホスファートエステル、トリチル又はモノメトキシ-トリチル、置換ベンジル、アルカリル(alkaryl)、ベンジルを含むアラルキル、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、フェノキシメチル等のアリールオキシアルキルである。エステル中のアリール基は、最適にはフェニル基を含む。特にアシル基には、アセチル、トリフルオロアセチル、メチルアセチル、シクロプロピルアセチル、シクロプロピルカルボキシ、プロピオニル、ブチリル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ネオ-ヘプタノイル、フェニルアセチル、2-アセトキシ-2-フェニルアセチル、ジフェニルアセチル、α-メトキシ-α-トリフルオロメチル-フェニルアセチル、ブロモアセチル、2-ニトロ-ベンゼンアセチル、4-クロロ-ベンゼンアセチル、2-クロロ-2,2-ジフェニルアセチル、2-クロロ-2-フェニルアセチル、トリメチルアセチル、クロロジフルオロアセチル、ペルフルオロアセチル、フルオロアセチル、ブロモジフルオロアセチル、メトキシアセチル、2-チオフェンアセチル、クロロスルホニルアセチル、3-メトキシフェニルアセチル、フェノキシアセチル、tert-ブチルアセチル、トリクロロアセチル、モノクロロ-アセチル、ジクロロアセチル、7H-ドデカフルオロヘプタノイル、ペルフルオロ-ヘプタノイル、7H-ドデカ-フルオロヘプタノイル、7-クロロドデカフルオロヘプタノイル、7-クロロ-ドデカフルオロ-ヘプタノイル、7H-ドデカフルオロヘプタノイル、7H-ドデカ-フルオロヘプタノイル、ノナ-フルオロ-3,6-ジオキサ-ヘプタノイル、ノナフルオロ-3,6-ジオキサヘプタノイル、ペルフルオロヘプタノイル、メトキシベンゾイル、メチル-3-アミノ-5-フェニルチオフェン-2-カルボキシル、3,6-ジクロロ-2-メトキシ-ベンゾイル、4-(1,1,2,2-テトラフルオロ-エトキシ)-ベンゾイル、2-ブロモ-プロピオニル、オメガ-アミノカプリル、デカノイル、n-ペンタデカノイル、ステアリル、3-シクロペンチル-プロピオニル、1-ベンゼン-カルボキシル、O-アセチルマンデリル、ピバロイルアセチル、1-アダマンタン-カルボキシル、シクロヘキサン-カルボキシル、2,6-ピリジンジカルボキシル、シクロプロパン-カルボキシル、シクロブタン-カルボキシル、ペルフルオロシクロヘキシルカルボキシル、4-メチルベンゾイル、クロロメチルイソオキサゾリルカルボニル、ペルフルオロシクロヘキシルカルボキシル、クロトニル、1-メチル-1H-インダゾール-3-カルボニル、2-プロペニル、イソバレリル、1-ピロリジンカルボニル、4-フェニルベンゾイルが含まれる。アシルなる用語が使用される場合、それは、アセチル、トリフルオロアセチル、メチルアセチル、シクロプロピルアセチル、プロピオニル、ブチリル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ネオ-ヘプタノイル、フェニルアセチル、ジフェニルアセチル、ct-トリフルオロメチル-フェニルアセチル、ブロモアセチル、4-クロロ-ベンゼンアセチル、2-クロロ-2,2-ジフェニルアセチル、2-クロロ-2-フェニルアセチル、トリメチルアセチル、クロロジフルオロアセチル、ペルフルオロアセチル、フルオロアセチル、ブロモジフルオロアセチル、2-チオフェンアセチル、tert-ブチルアセチル、トリクロロアセチル、モノクロロ-アセチル、ジクロロアセチル、メトキシベンゾイル、2-ブロモ-プロピオニル、デカノイル、n-ペンタデカノイル、ステアリル、3-シクロペンチル-プロピオニル、1-ベンゼン-カルボキシル、ピバロイルアセチル、1-アダマンタン-カルボキシル、シクロヘキサン-カルボキシル、2,6-ピリジンジカルボキシル、シクロプロパン-カルボキシル、シクロブタン-カルボキシル、4-メチルベンゾイル、クロトニル、1-メチル-1H-インダゾール-3-カルボニル、2-プロペニル、イソバレリル、4-フェニルベンゾイルの特定の独立した開示を意味する。
「低級アシル」とは、上述したR''が低級アルキルであるアシル基を意味する。
【0018】
「プリン」又は「ピリミジン」塩基なる用語には、限定されるものではないが、アデニン、N-アルキルプリン類、N-アシルプリン類(アシルはC(O)(アルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルである)、N-ベンジルプリン、N-ハロプリン、N-ビニルプリン、N-アセチレンプリン、N-アシルプリン、N-ヒドロキシアルキルプリン、N-アルシル(allcyl)アミノプリン、N-チオアルシルプリン、N-アルキルプリン類、N-アルキル-6-チオプリン類、チミン、シトシン、5-フルオロシトシン、5-メチルシトシン、6-アザピリミジン、6-アザシトシン、2-及び/又は4-メルカプトピリミジン、ウラシル、5-フルオロウラシルを含む5-ハロウラシル、C-アルキルピリミジン類、C-ベンジルピリミジン類、C-ハロピリミジン類、C-ビニルピリミジン類、C-アセチレンピリミジン、C-アシルピリミジン、C-ヒドロキシアルキルプリン、C-アミノピリミジン、C-シアノピリミジン、C-ヨードピリミジン、C-ヨードピリミジン、C-Br-ビニルピリミジン、C-Br-ビニルピリミジン、C-ニトロピリミジン、C-アミノピリミジン、N-アルキルプリン類、N-アルキル-6-チオプリン類、5-アザシチジニル(azacytidinyl)、5-アザウラシリル、トリアゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニル、及びピラゾロピリミジニルが含まれる。プリン塩基には、限定されるものではないが、グアニン、アデニン、ヒポキサンチン、2,6-ジアミノプリン、及び6-クロロプリンが含まれる。塩基上の官能酸素及び窒素基は、必要に応じて、又は所望されるならば保護することができる。適切な保護基は当業者によく知られており、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t-ブチルジメチルシリル、及びt-ブチルジフェニルシリル、トリチル、アルキル基、及びアシル基、例えばアセチル及びプロピオニル、メタンスルホニル、及びp-トルエンスルホニルが含まれる。
【0019】
「アミノ酸」なる用語には、自然に生じた及び合成のα、β、γ又はδアミノ酸が含まれ、限定されるものではないが、タンパク質に見出されるアミノ酸、すなわちグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン及びヒスチジンが含まれる。好ましい実施態様では、アミノ酸はL-立体配置である。また、アミノ酸は、アラニル、バリニル、ロイシニル、イソロイシニル、プロリニル、フェニルアラニニル、トリプトファニル、メチオニニル、グリシニル、セリニル、スレオニニル、システイニル、チロシニル、アスパラギニル、グルタミニル、アスパルトイル、グルタロイル、リジニル、アルギニニル、ヒスチジニル、β-アラニル、β-バリニル、β-ロイシニル、β-イソロイシニル、β-プロリニル、β-フェニルアラニニル、β-トリプトファニル、β-メチオニニル、β-グリシニル、β-セリニル、β-スレオニニル、β-システイニル、β-チロシニル、β-アスパラギニル、β-グルタミニル、β-アスパルトイル、β-グルタロイル、β-リジニル、β-アルギニニル、又はβ-ヒスチジニルの誘導体であってもよい。アミノ酸なる用語が使用される場合、それは、D及びL-立体配置におけるα、β、γ又はδグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン及びヒスチジンのエステルの特定の独立した開示であると考えられる。
【0020】
「製薬的に許容可能な塩又はプロドラッグ」なる用語は、患者への投与時に活性化合物をもたらす化合物の任意の製薬的に許容可能な形態(例えばエステル、リン酸エステル、エステル又は関連する基の塩)を記述するために本明細書において使用される。製薬的に許容可能な塩には、製薬的に許容可能な無機又は有機の塩基及び酸から誘導されるものが含まれる。適切な塩には、アルカリ金属、例えばカリウム及びナトリウム、アルカリ土類金属、例えばカルシウム及びマグネシウムと、製薬の分野でよく知られている多くの他の酸とから誘導されるものが含まれる。製薬的に許容可能な塩は、窒素原子で形成される場合、酸付加塩であってもよい。このような塩は、製薬的に許容可能な無機又は有機酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、酒石酸等から誘導される。製薬的に許容可能なプロドラッグは、宿主内で、例えば加水分解又は酸化のように代謝されて、本発明の化合物を生じる化合物を意味する。プロドラッグの典型例には、活性化合物の官能部分に生物学的に不安定な保護基を有する化合物が含まれる。またプロドラッグには、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、脱ヒドロキシル化、加水分解、脱加水分解(dehydrolyzed)、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、ホスホリル化、脱ホスホリル化されて、活性化合物を生じることのできる化合物が含まれる。
【0021】
化合物の調製
(i)3,5-ジ-O-保護-D-リボノ-γ-ラクトンの合成
商業的に入手可能な40との2,3-O-イソプロピリデン-D-グリセルアルデヒド39(スキーム4)のウィティッヒ反応により、主生成物として(E)-生成物41が得られる。ジヒドロキシル化試薬としてAD-mix-βを使用するシャープレス・ジヒドロキシル化(J. Org. Chem. 1992, 57, 2768-2771)により、非常高い収率で所望の生成物42のみが得られる。HCl/MeOH処理により、42の2-C-メチル-D-アラビノ-γ-ラクトン(46)への高収率でのラクトン化が達成される。第1級及び第2級OH基の選択的O-ベンゾイル化により、高収率で3,5-ジ-O-ベンゾール誘導体47が生じる。種々の条件下で、DAST又はDeoxofluor、[ビス(2-メトキシメチル)アミノ]硫黄三フッ化物で47を処理することにより、微量の所望される2'-フルオロ-リボノ-γ-ラクトン49が得られるが、ほとんどは混合物が得られ、それから非フッ化リボノラクトン(48)が分離される。しかしながら、過剰の、好ましくは3(3)当量の第3級アミン、好ましくはジイソプロピルエチルアミン、及び過剰の、好ましくは5(5)当量のDAST又はDeoxofluorで47を処理すると、約50%の収率で49が得られる。また、ベンゾイル保護の代わりに3,5-O-MOMを使用すると、48の収率が90%に近づくことも見出された。よって、トリフルオロメチルスルホン酸等の強酸の存在下で、ジメトキシメタンを用いて46を処理すると、50が得られ、これが塩基の存在下でDAST又はDeoxofluorと反応すると、87%の分離収率で49が得られた。
【0022】
また、DAST又はDeoxofluorを用いた42の選択的ベンゾイル化で容易に得ることのできる開鎖モノベンゾアート43を処理すると円滑なフッ化が生じることがまた見出され、所望のエチル-2-デオキシ-2-フルオロ-2-C-メチル-3-O-ベンゾイル-4,5-O-イソプロピリデン-D-リボナート44を生じる。44のラクトン化はγ-ラクトン45のみを生成する。さらに45をベンゾイル化すると、ジベンゾアート49が得られる。
【化5】

【0023】
本発明の一実施態様では、54を得るためにジエチルエーテル又はテトラヒドロフラン等のエーテル溶媒(又は2つの溶媒の混合物)中、活性化亜鉛の存在下、53等の2-ブロモプロピオン酸アルキル(スキーム5)との39のレフォルマツキー縮合による中間体49の合成方法が提供され、これは酸化により55に転換される。可能な酸化剤は、活性化ジメチルスルホキシド、例えばジメチルスルホキシド、無水トリフルオロ酢酸又無水酢酸(Swern/Moffat酸化)の混合物;三酸化クロム又は他のクロメート剤;デス・マーチン・ペルヨージナン;又はテトラプロピルアンモニウムペルルテナート(TPAP)で、モレキュラーシーブを伴うか又は伴わないものである。C-3ケトンを得るためのこの酸化は、好ましくはC-4の立体化学に影響を与えることなく進行する。
【0024】
55のフッ化は、適切な溶媒、例えばジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、エタノール、tert-ブタノール、又はジエチルエーテル、又は当業者に知られているこれらの溶媒の任意の組合せにおいて、求電子フッ化(「F」)を使用し、2位にて実施され(Rozenら, J. Org. Chem., 2001, 66, 7646-7468;Jun-An Ma and Dominique Cahard, Journal of Fluorine Chemistry, 2004,印刷中, 及びそこに引用される文献)、56が得られる。求電子フッ化試薬の非限定的例のいくつかは、Selectflour(登録商標)、N-フルオロスルホンイミド(NFSI)、及びAcOFである。立体選択的フッ化は、触媒、例えばSodeokaらにより教示されている不斉遷移金属錯体触媒(JP2004010555)、又は他の触媒を使用することにより達成可能である。また出発β-ケトエステル55は、フッ化に先立ち、まずケトンシリルアセタールに転換されうる(Rozenら, J. Org. Chem., 2001, 66, 7646-7468)。
【0025】
AlCl等のルイス酸の存在下、又はトリフルオロ酢酸等の有機酸の存在下でトリフェニルシランを使用するC-3ケトン56の選択的還元(Kitazumeら, J. Org. Chem., 1987, 52, 3218-3223)により、2つの2,3-抗産物57及び58が得られる。しかしながら、選択的還元と組合せて立体選択的フッ化を利用すると、58の良好な収率(高ジアステレオマーが過剰)を達成することができる。58のベンゾイル化により、先に記載したように、ラクトン45に転換される44が得られる。
【化6】

【0026】
(ii)縮合による2-デオキシ-2-フルオロ-3-メチル-D-リボフラノシル部分を含むヌクレオシドの調製
49等のラクトンは、DIBAL-Hを用いて、対応する糖に還元することができる。アノマーヒドロキシル基のアセチル化の後、59(スキーム12)が高収率で得られる。シリル化塩基(例えばVorbruggen条件下でシリル化したN-ベンゾイルシトシン)を用いて59を縮合することにより、保護アノマーヌクレオシド60及び60-aの混合物が得られる。アノマーの分離後、所望のβ-ヌクレオシド14が、アルコール、好ましくはNaOMe/MeOH、又はメタノール性アンモニア中、金属アルコラートを用いた脱保護により調製される。
【化7】

【0027】
化合物59は、ナトリウム-N6-ベンゾイルアデニン等のプリンのナトリウム塩で縮合されるブロモ糖61(スキーム7)に転換され、対応する保護プリンヌクレオシド62が得られる。所望される遊離のヌクレオシド63は鹸化により容易に得ることができる。
【化8】

【0028】
(iii)予め生成されたヌクレオシドからの合成
所望の2'-C-アルキル-2'-デオキシ-2'-フルオロ-β-D-リボヌクレオシドを調製するための出発物質として、予め生成されたヌクレオシドを使用すると、アノマーの生成及びその後の分離を回避することができ、結果として目的のヌクレオシドが高収率で得られるという利点がある。
ヌクレオシド出発物質から所望のヌクレオシド14を調製するための2つの手順を開示した(スキーム2及び3)。しかしながら、先に記載したように、これらの手順では、所望されない2種の生成物22及び23も生じ、後者は、スキーム8に示されるように隣接基の関与により生じる。混合物からの所望のヌクレオシド14の分離はかなり煩雑である。よって、この発明では、3'-OH基にて、非関与(non-participating)保護基、例えばTHP、メチル、エチル、ベンジル、p-メトキシベンジル-、ベンジルオキシメチル、フェノキシメチル、メトキシメチル、エトキシメチル、メシル、トシル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチルを使用して、23の生成を防止する。
【化9】

【0029】
一例をスキーム17に示す。Nλ,5'-O-ジベンゾイル-3'-O-メシル-2'-デオキシ-2'-C-メチル-β-D-アラビノフラノシルシトシン(64)は、DAST又はDeoxofluorで処理され、39%の収率のオレフィン66と共に、54%の収率で所望するフッ化生成物65が得られる。予想通りに、フッ化していないシチジン誘導体67が検出可能な量で生成される。65を14に脱保護するにはいくつかの方法がある。一例を、3'-配置の二重反転を必要とするスキーム9に示す。
【化10】

3'-O-置換基が非関与及び非離脱基、例えばメトキシメチル(MOM)、メチル、ベンジル、メトキシベンジル又はテトラヒドロピラニルである場合、中間体は64よりも効果的にフッ化される。
次の実施例は本発明の例証のために提供されるが、それに限定されるものではない。
実験:2,3-O-イソプロピリデン-D-グリセルアルデヒド(39)は、商業的に入手可能な保護されたD-マンニトールから出発し、文献の手順(Organic Synthesis, Annual Volume 72, 6頁;J. Org. Chem. 1991, 56, 4056-4058)により調製される。40及びAD-mix-βを含む他の試薬は、商業的供給源からのものである。
【実施例】
【0030】
実施例1
エチル-trans-2,3-ジデオキシ-4,5-O-イソプロピリデン-2-C-メチル-D-グリセロ-ペンテ-2-エノナート(41)
乾燥CHCl(65mL)に(カルボエトキシエチリデン)トリフェニルホスホラン(40、25g、69mmol)が入った溶液に、CHCl(30mL)に2,3-O-イソプロピリデン-D-グリセルアルデヒド(39、9.41g、72.3mmol)が入った溶液を、室温で滴下して加える。混合物を室温で一晩攪拌する。ついで、反応混合物を濃縮乾燥し、軽ガソリンエーテル(300mL)で希釈し、室温で2時間保持する。沈殿した酸化トリフェニルホスフィンを濾過により除去し、アリコートを真空で濃縮する。ヘキサンに0−1.5%のEtOAcが入ったものを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、油として41(10.4g、71%)が得られる(Carbohydrate Res., 115, 250-253(1983))。H NMR(CDCl)δ1.30(t、J=6.8Hz、3H、-OCHCH)、1.41(、s、3H、CH)、1.45(、s、3H、CH)、1.89(d、J=1.2Hz、3H、2-CH)、3.63(t、J=8.0Hz、1H、H-5)、4.14-4.23(m、3H、H-5'及び-OCHCH)、4.86(dd、J=7.6及び13.6Hz、1H、H-4)、6.69(dd、J=1.6及び8.0Hz、1H、H-3)。
【0031】
実施例2
(2S,3R)-3-[(4R)-2,2-ジメチル-[1,3]ジオキソラン-4-イル]-2,3-ジヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチルエステル(42)
磁気式攪拌機を具備する丸底フラスコに、25mLのt-BuOH、25mLの水、及び7.0gのAD-mix-βを入れる。室温で攪拌したところ、透明な2つの層が生じた;低水相は鮮やかな黄色である。メタンスルホンアミド(475mg)をこの時点で添加する。混合物を0℃まで冷却し、溶解していた塩がいくらか沈殿すると、直ぐに1.07g(5mmol)の41を添加し、均質なスラリーを0℃で24時間激しく攪拌する。この時以降、混合物を0℃で攪拌しつつ、固体状の亜硫酸ナトリウム(7.5g)を添加し、混合物を室温まで温め、30−60分攪拌する。EtOAc(50mL)を反応混合物に添加し、相分離後、水相をさらにEtOAcで抽出する。有機相をNaSO上で乾燥させ、濃縮乾固する。ヘキサンに20%のEtOAcが入ったものを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、固形物として42(1.13g、91%)が得られる。
H NMR(DMSO-d)δ1.18(t、J=6.8Hz、3H、-OCHCH)、1.24(、s、3H、CH)、1.25(、s、3H、CH)、1.28(s、3H、2-CH3)、3.67(t、J=7.2Hz、1H)、3.85、4.06及び4.12(m、4H)、4.96(s、1H、2-OH、DO交換可能)、5.14(d、J=7.6Hz、2-OH、DO交換可能)。分析値、C1120とした理論値:C、53.22;H、8.12;実測値:C、53.32;H、8.18。
【0032】
実施例3
(2S,3R)-3-[(4R)-2,2-ジメチル-[1,3]ジオキソラン-4-イル]-3-ベンゾイルオキシ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチルエステル(43)
乾燥ピリジン(3mL)に化合物42(245mg、0.99mmol)が入った溶液に、ピリジン(1mL)にBzCl(300mg、2.1mmol)が入った溶液を滴下して加える。混合物を室温で2時間攪拌した後、反応をHO(1mL)で停止させる。混合物を濃縮乾固し、残渣をCHClと飽和NaHCO溶液の間で分配する。有機相を乾燥させ(無水NaSO)、濾過して濃縮する。ヘキサンに5%のEtOAcが入ったものを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、固形物として43(247mg、71%)が得られる。分析値、C1824とした理論値:C、61.35;H、6.86;実測値:C、60.95;H、6.73。
【0033】
実施例4
(2S,3R)-3-[(4R)-2,2-ジメチル-[1,3]ジオキソラン-4-イル]-3-ベンゾイルオキシ-2-フルオロ-2-メチルプロピオン酸エチルエステル(44)
無水THF(1.5mL)に化合物43(36mg、0.102mmol)が入った溶液に、アルゴン下、0℃でDAST又はDeoxofluor(0.08mL、0.68mmol)を添加する。反応混合物を室温で3時間攪拌し、ついで0℃まで冷却し、冷飽和NaHCO溶液(2mL)で注意深く処理する。有機相をNaSO上で乾燥させ、濃縮乾固する。ヘキサンに1-3%のEtOAcが入ったものを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、シロップとして44(24.6mg、68%)が得られる。HR-FAB MS;観察:m/z361.1621。C1823FLiとして算出。m/z 361.1639(M+H)
【0034】
実施例5
3-O-ベンゾイル-2-メチル-2-デオキシ-2-フルオロ-D-リボノ-γ-ラクトン(45)
化合物44(308mg、0.86mmol)、MeCN(20mL)、水(1mL)及びCFCOH(0.17mL)の混合物を、80−85℃で3時間還流する。開鎖中間体は単離されないが、Dean-Stark水分離器を使用する共沸蒸留により、直接45に転換される。除去されたMeCNを乾燥トルエンと置き換え、油浴の温度が130℃に達するまで、共沸蒸留を続ける。130℃で一晩攪拌し続ける。ついで、混合物を室温まで冷却し、溶媒を真空で除去すると、シロップが得られ、これをヘキサンに10−15%のEtOAcが入ったものを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製したところ、溶媒の蒸発後に固形物45(136mg、58.3%)が得られる。
【0035】
実施例6
3,5-ジ-O-ベンゾイル-2-メチル-2-デオキシ-2-フルオロ-D-リボノ-γ-ラクトン(49)
EtOAc(1mL)に45(60mg、0.224mmol)が入った溶液に、ピリジン(100mg、1.26mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(2.7mg)を添加する。混合物を60℃まで温め、EtOAc(0.4mL)にBzCl(110mg、0.79mmol)が入ったものを滴下して加える。3時間攪拌した後、混合物を0℃まで冷却し、ピリジンのHCl塩を濾過する。濾液をEtOHで希釈し、混合物を所定の乾燥度になるまで蒸発させる。ヘキサンに3−6%のEtOAcが入ったものを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、溶媒の蒸発後に固形物49(75mg、91%)が得られる。
【0036】
実施例7
2-メチル-D-アラビノ-γ-ラクトン(46)
1.5mLのEtOHに化合物42(248mg、1mmol)が入った溶液を、0.3mLの濃HClで処理する。反応混合物を室温で2時間攪拌する。溶媒を真空で除去する(浴温<45℃)。残渣をトルエン(3×10mL)と共に共蒸発させると、残渣が得られ、これをヘキサンに70%のEtOAcが入ったものを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製する。溶媒を蒸発させたところ、油性の46(170mg、105%)が得られる。分析値、C10として算出:C、41.24;H、6.22;実測値:C、41.00;H、6.74。
【0037】
実施例8
3,5-ジ-O-ベンゾイル-2-メチル-D-アラビノ-γ-ラクトン(47)
乾燥ピリジン(80mL)に化合物46(880mg、5.4mmol)が入った攪拌溶液に、乾燥ピリジン(45mL)にBzCl(1.73g、12.29mmol)が入った溶液を、75分以上かけて、室温で滴下して加える。混合物をさらに90分攪拌し、ついでMeOH(5mL)で処理し、濃縮乾固する。ヘキサンに12−20%のEtOAcが入ったものを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、油として47(1.1g、55%)が得られる。
【0038】
実施例9
3,5-ジ-O-ベンゾイル-2-デオキシ-2-フルオロ-2-C-メチル-D-リボノラクトン(49)
無水THF(20mL)とジイソプロピルエチルアミン(1mL、5.74mmol)に47(430mg、1.16mmol)が入った溶液に、DAST又はDeoxofluor(0.48mL、3.66mmol)を、アルゴン下、室温で添加する。反応混合物を室温で3時間攪拌し、ついで0℃まで冷却し、冷飽和NaHCO溶液(5mL)で注意深く処理する。反応混合物をEtOAc(100mL)と水(20mL)の間で分配する。有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮乾固する。ヘキサンに3−6%のEtOAcが入ったものを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、固形物として49(220mg、51%)が得られる。
【0039】
実施例10
3,5-ジ-O-ベンゾイル-2-メチル-D-リボノ-ラクトン(48)
無水CHCl(5mL)に47(160mg、0.432mmol)が入った溶液に、アルゴン下、0−5℃でDAST又はDeoxofluor(0.15mL、1.14mmol)を添加する。反応混合物を1時間、0−5℃、ついで室温で攪拌する。24時間後に、主要な極性の低い生成物がTLCに表れない場合は、反応はまだうまくいっていない。反応混合物を0℃まで冷却し、冷飽和NaHCO溶液で注意深く処理する。有機相をNaSO上で乾燥させ、濃縮乾固する。残渣をプロトンNMRで調べる。主要生成物は、基準試料と同一の3,5-ジベンゾイル-2-メチル-D-リボノ-γ-ラクトン(48)であることが示された。49の痕跡量がスペクトルで検出される。
【0040】
実施例11
3,5-ジ-O-メトキシメチル-2-C-メチル-D-アラビノ-γ-ラクトン(50)
CH(OMe)(30mL)とCHCl(30mL)に2-メチルアラビノラクトン(46)(324mg、2mmol)が入った溶液に、CFSOH(50μL)を添加し、アルゴン下、溶液を室温で14時間攪拌する。28%のNHOH(0.1mL)を添加することにより反応を急冷し、NaSOを添加することにより混合物を乾燥させる。蒸発により溶媒を除去した後、CHCl/MeOH(95:5〜9:1)を用いて溶出させるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、淡黄色の油として、450mgの生成物(90%)が得られる。H-NMR(DMSO-d):6.10(s、OH、DO交換可能)、4.70(q、2H、CH)、4.62(d、2H、CH)、4.30(m、1H、H-4)、4.20(d、1H、H-3)、3.80−3.65(m、2H、H-5)、3.30、3.28(2s、6H、2CH)、1.26(s、3H、CH)。
【0041】
実施例12
3,5-ジ-O-メトキシメチル-2-デオキシ-2-フルオロ-2-C-メチル-D-リボノ-γ-ラクトン(51)
CHCl(3mL)とピリジン(0.5mL)に50(100mg、0.4mmol)が入った溶液に、−78℃で、DAST又はDeoxofluor(0.21mL、1.6mmol)を添加し、溶液を−78℃で15分間攪拌する。ついで、溶液を室温まで温め、室温で2時間攪拌する。飽和NaHCO水(0.5mL)と氷冷水(0.5mL)、続いてCHCl(20mL)と飽和NaHCO水(10mL)を添加することにより、反応体を急冷する。水相をCHClで2回抽出し、組合せた有機相をNaHCOで洗浄し、NaSO上で乾燥させる。溶媒を蒸発させると、褐色がかった黄色の油として51(88mg、87%)が得られる。H-NMR(DMSO-d):4.74(q、J=6.9及び18.1Hz、2H、CH)、4.63(d、J=0.77Hz、2H、CH)、4.54(m、1H、H-4)、4.18(dd、J=7.8及び20.0Hz、1H、H-3)、3.86−3.71(m、2H、H-5)、3.34、3.28(2s、6H、2CH)、1.59(d、J=24.26Hz、3H、CH)。
【0042】
実施例13
4,5-O-イソプロピリデン-3,4,5-トリヒドロキシ-2-メチル吉草酸エチル(54)
活性化亜鉛(6.5g、0.10mmol)に、ジエチルエーテル(50mL)、THF(50mL)、53(13.0mL、0.10mmol)、39(13.0g、0.1mmol)を含有する約20mLの溶液を添加する。添加後、Iの結晶を一つ添加すると、溶液に還流を引き起こす発熱が生じる。ゆっくりとした還流の保持するため、残存溶液を0.75時間以上かけて添加する。混合物を徐々に加熱し、最後の添加後、さらに1時間還流する。混合物を室温まで冷却し、氷(200mL)及び1NのHCl(200mL)に注ぎ、ほとんどの氷が溶解するまで(約0.5時間)攪拌する。有機相を分離させ、水相をジエチルエーテル(2×75mL)で抽出する。組合せた有機相を飽和NaHCO(1×150mL)、ブライン(1×150mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、所定の乾燥度になるまで真空で濃縮する。真空でさらに乾燥させることにより、ジアステレオマーの混合物として54(15.1g、65.1%)が提供される。この化合物は、さらなる精製をすることなく使用される。
【0043】
実施例14
4,5-O-イソプロピリデン-3-オキソ-2-メチル吉草酸エチル(55)
化合物54(9.85g、0.042mol)を乾燥THF(50mL)に溶解させる。無水DMSO(16.0mL、0.22mol)を添加し、得られた溶液を−20℃〜−15℃に冷却する。無水トリフルオロ酢酸(9.8mL、0.69mol)を15分以上かけて滴下し、溶液を−20℃〜−15℃で2時間攪拌し、その後無水NEt(24.0mL、0.17mol)を20分以上かけて添加する。得られた溶液を室温で1時間攪拌し、ジエチルエーテル(50mL)で希釈し、HO(3×100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空で濃縮したところ、さらなる精製をすることなく使用される黄色の油として化合物55(8.1g、82.0%)が得られる。H NMR(CDCl、400MHz):δ1.24−1.38(m、26H)、3.81(q、1.3H、J=7.3Hz)、3.89(q、1.0H、J=7.3Hz)、3.99−4.04(m、3H)、4.10−4.20(m、7H)、4.21−4.29(m、3H)、4.51(dd、1.0H、J=8.1、6.2Hz)、4.58(dd、1.3H、J=7.7、5.0Hz)。
【0044】
実施例15
4,5-O-イソプロピリデン-2-フルオロ-3-ケト-2-メチル吉草酸エチル(56)
化合物55(7.36g、0.042mol)を無水DMF(5.0mL)に溶解させ、DMF(45.0mL)にSelectfluor(55.0g、0.155mol)が入ったスラリーで処理する。混合物を、45-50℃に保持された油浴に置き、アルゴン雰囲気下、室温で一晩攪拌しつつ、懸濁液を保持する。真空で、溶液を所定の乾燥度近傍まで濃縮し、ジエチルエーテル(〜25mL)で処理し、水(3×100mL)で洗浄する。有機相を乾燥させ(NaSO)、真空で濃縮したところ、黄色の油として化合物56(5.65g、71.2%)が得られ、これは19F NMRにより判断して、2R:2Sフッ化化合物の約1:1混合物である。H NMR(CDCl、400MHz):δ1.20−1.46(m、16H)、1.70(2d、3H、J=22.8Hz)、4.05−4.10(m、2H、)、4.12−4.32(m、2H、)、4.90−97(m、1H)。19F NMR(CDCl、376MHz、C外部標準):δ4.30(q)、4.01(q)。
【0045】
実施例16
3,5-O-ジピバロイル-2-メチル-D-アラビノ-γ-ラクトン(47B)
EtOH(20mL)に42(4mmol、897mg)が入った溶液に、濃HCl(2.0mL)を添加し、溶液を室温で1時間攪拌した。溶液を濃縮乾固し、残渣をTHF(10mL)と共に共蒸発させ、ピリジン(6mL)及びCHCl(14mL)に溶解させた。溶液を氷浴中で冷却した。溶液に塩化ピバロイル(8mmol、0.98mL)を添加し、溶液を0℃で30分間攪拌した。溶液に付加的な塩化ピバロイル(4mmol、0.49mL)を添加し、溶液を室温で5時間攪拌した。溶液に4-ジメチルアミノピリジン(100mg)を添加し、溶液を室温で20時間攪拌した。HO(5mL)を添加し、混合物を室温で20分間攪拌した。EtOAc(50mL)を添加した。混合物を水、ブラインで洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を除去し、残渣をEtOAc-ヘキサンから再結晶化させたところ、微細結晶(625mg、47%)が得られた。H-NMR(CDCl):δ5.18(d、J=6.80Hz、1H、H-3)、4.45、4.22(m、2H、H-5)、4.41(m、1H、H-4)、3.32(br s、1H、OH、D2O交換可能)、1.43(s、1H、Me)、1.25、1.22[ss、18H、C(Me)]。
【0046】
実施例17
2-デオキシ-3,5-O-ジピバロイル-2-フルオロ-2-C-メチル-D-リボノ-γ-ラクトン(49B)
THF(5mL)に47B(100mg、0.3mmol)が入った溶液に、EtNPr(2mmol、0.35mL)及びDeoxo-Fluor(0.18mL、0.9mmol)を添加し、溶液を室温で4時間攪拌した。溶液にさらなるDeoxofluor(0.18mL、0.9mmol)を添加し、溶液を室温で16時間攪拌し、さらに1時間還流した。EtOAc(50mL)を添加した。溶液をNaHCO水、ブラインで洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を除去し、残渣をカラム(ヘキサンに10%のEtOAcが入ったもの)により精製したところ、固形物として生成物(65mg、65%)が得られた。H-NMR(CDCl):δ5.12(m、1H、H-3)、4.68(m、1H、H-4)、4.41、4.18(mm、2H、H-5)、1.63(d、J=23.2Hz、1H、Me)、1.25、1.20[ss、18H、C(Me)]。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式:
【化1】

[上式中、R及びRは独立して、H、CH、又はアシルとすることができ;
あるいはR'及びR'は-SiR-O-SiR-又は-SiR-を介して結合しており、ここでRは低級アルキル、例えばCH、エチル、及びn-Pr又はI-Prである]
の3,5-ジ-O-保護-2-デオキシ-2-フルオロ-2-C-メチル-D-リボノ-γ-ラクトン。
【請求項2】
及びRがそれぞれ独立して、H、CH、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、4-ニトロベンゾイル、3-ニトロベンゾイル、2-ニトロベンゾイル、4-クロロベンゾイル、3-クロロベンゾイル、2-クロロベンゾイル、4-メチルベンゾイル、3-メチルベンゾイル、2-メチルベンゾイル、4-フェニルベンゾイル、ベンジル、4-メトキシベンジル、トリチル、トリアルキルシリル、t-ブチル-ジアルキルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、TIPDS、THP、MOM、又はMEMである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
次の工程:
(a)適切な溶媒中、活性化亜鉛の存在下、アルキル-2-ブロモプロピオナートと、次の式:
【化2】

の化合物39を反応させ;
(b)酸化剤を添加してケトンを提供し;
(c)工程(b)の生成物をフッ化して、フッ化ケトンを生成させ;
(d)工程(c)のフッ化ケトンを還元し;
(e)工程(d)の生成物をベンジル化させて所望のラクトンを生じせしめる;
ことを含む、請求項1に記載のラクトンの製造方法。
【請求項4】
工程(a)の溶媒が、ジエチルエーテルとテトラヒドロフランからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)の酸化剤が、活性化ジメチルスルホキシド、クロメート剤、デス・マーチン・ペルヨージオン、及びテトラプロピルアンモニウムペルルテナートからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
濃無機酸で次の式:
【化3】

の化合物42を処理する工程を含む、次の式:
【化4】

のラクトン中間体46の製造方法。
【請求項7】
次の工程:
(a)次の式:
【化5】

のラクトン49を、LiAl(t-OBu)H、Red-Al、又は他のアルミニウム水素化物試薬を用いて、対応する糖に還元し、続いて酸無水物/ピリジン又はアシルハロゲン化物を用いてアセチル化して次の式:
【化6】

の化合物59を生じせしめ;
(b)シリル化塩基と工程(a)の生成物59を縮合させ、保護ヌクレオシド60及び60-αの混合物を生成させ;
【化7】

(c)工程(b)のアノマー60及び60-αを分離し;
(d)工程(c)のヌクレオシド86を脱保護して所望のヌクレオシドを生成させる;
ことを含む、次の式:
【化8】

の2'-デオキシ-2'-フルオロ-2'-C-メチル-β-D-リボフラノシルヌクレオシドの製造方法。
【請求項8】
工程(b)のシリル化塩基が、シリル化したN-ベンゾイルシトシンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)のヌクレオシド86の脱保護が、アルコール中、金属アルコラートを用いて脱保護される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
アルコール中の金属アルコラートが、NaOMe/MeOH又はメタノール性アンモニアである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
次の工程:
(a)次の式:
【化9】

の化合物59を、次の式:
【化10】

のブロモ糖61に転換させ;
(b)工程(a)の生成物61をプリンのナトリウム塩と縮合させて、次の式:
【化11】

の対応する保護されたプリンヌクレオシド62を得;
(c)工程(b)の生成物62を鹸化させて所望の遊離のヌクレオシド63を生成せしめる;
ことを含む、次の式:
【化12】

の2'-デオキシ-2'-フルオロ-2'-C-メチル-β-D-リボフラノシルヌクレオシド63の製造方法。
【請求項12】
次の工程:
(a)次の式:
【化13】

のN,5'-O-ジベンゾイル-3'-O-メシル-2'-ジオキシ-2'-C-メチル-β-D-アラビノフラノシルシトシン64を、DAST又はDeoxofluorで処理し、次の式:
【化14】

のフッ化生成物65とオレフィン66を生成させ;
(b)工程(a)の生成物を脱保護して所望のヌクレオシド14を生じせしめる;
ことを含む、次の式:
【化15】

の2'-デオキシ-2'-フルオロ-2'-C-メチル-β-D-リボフラノシルヌクレオシド14の製造方法。
【請求項13】
次の工程:
(a)次の式:
【化16】

[上式中、R及びRはそれぞれ独立して、CHOMe、CHPh、MOM、MEM、EOM、p-メトキシベンジル、トリチル、C-Cのアシル、アロイル、ピバロイル、アルキル又はアリールスルホナートである]
の化合物64Bのヌクレオシド中間体を、DAST又はDeoxofluorと反応させ、次の式:
【化17】

のフッ化中間体65Bを生じせしめ;
(b)三ハロゲン化ホウ素で処理することにより、工程(a)の生成物65BのO-保護基を除去して、次の式:
【化18】

の中間体65Cを生じせしめ;
(c)工程(b)の生成物65Cを鹸化させて、所望のヌクレオシド14を生じせしめる;
ことを含む、次の式:
【化19】

の2'-デオキシ-2'-フルオロ-2'-C-メチル-β-D-リボフラノシルヌクレオシド14の製造方法。
【請求項14】
次の工程:
(a)適切な溶媒中、ウィティッヒ条件下で、(1-アルコキシカルボニルエチリデン)トリフェニルホスホランと、次の式:
【化20】

の化合物39とを反応させ;
(b)ウィティッヒ反応の生成物41を不斉ジヒドロキシル化させて、次の式:
【化21】

のジオール42を得;
(c)エタノール中、濃HClで化合物42を処理し;
(d)第1級及び第2級OH基を選択的にO-保護して、次の式:
【化22】

の3,5-ジ-O-保護誘導体47を生じせしめ;
(e)化合物47をフッ化して所望のラクトン49を得る;
ことを含む、請求項1に記載のラクトンの製造方法。
【請求項15】
次の工程:
(a)化合物42の第2級OH基を選択的にO-保護して、次の式;
【化23】

のモノ-O-保護誘導体43を生じせしめ;
(b)化合物43をフッ化して、次の式:
【化24】

のフッ化生成物44を提供し;
(c)酸を用いて44をラクトン化させて、次の式:
【化25】

のγラクトン45を付与し;
(d)第1級OHを保護して、所望のラクトン49を得る;
ことを含む、請求項1に記載のラクトンの製造方法。
【請求項16】
次の一般式:
【化26】

[上式中、R'、R''はイソプロピリデンであり;R'及びR''は独立して、H、又はアシル、ベンジル、置換されたベンジル、トリアルキルシリル、t-ブチル-ジアルキルシル(dialkylsyl)、t-ブチルジフェニルシリル、TIPDS、THP、MOM、又はMEMとすることができる]
の2-アルキル-4,5-ジ-O-保護-2,3-ジヒドロキシ-ペンタン酸エステル。
【請求項17】
アシルが、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、2,3,4-ニトロ、クロロ、又はメチルベンゾイル、又は4-フェニルベンゾイルである、請求項16に記載のエステル。
【請求項18】
次の工程:
(a)次の式:
【化27】

の化合物39又はその類似体を、次の式:
【化28】

の化合物40又はその類似体と、適切な溶媒中、ウィティッヒ条件下で反応させ;
(b)次の式:
【化29】

のウィティッヒ反応の生成物41を不斉ジヒドロキシル化させてジオール42を得る:
ことを含む、次の式:
【化30】

のジオールの製造方法。

【公開番号】特開2011−148817(P2011−148817A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−61926(P2011−61926)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2007−522763(P2007−522763)の分割
【原出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(507021676)ファーマセット, インク. (2)
【Fターム(参考)】