説明

アルコキシル化されたビスフェノールをベースとする界面活性添加物を有する固体顔料調製物

主成分として次の成分:
(A) 少なくとも1種の顔料60〜90質量%及び
(B) 酸化アルキレンと、一般式I
[式中、環Aはそれぞれ1又は2箇所、C〜C−アルキル、フェニル又はフェニル−C〜C−アルキルにより置換されていてもよく、R及びRは相互に無関係に水素又はC〜C−アルキルを表す]のビスフェノールとの反応生成物のグループからなる、少なくとも1種の界面活性添加物10〜40質量%
を含有する固体顔料調製物、並びに、その製造方法、及び高分子の有機材料及び無機材料の着色のための使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、主成分として次の成分:
(A) 少なくとも1種の顔料60〜90質量%及び
(B) 酸化アルキレンと、一般式I
【0002】
【化1】

[式中、環Aはそれぞれ1又は2箇所、C〜C−アルキル、フェニル又はフェニル−C〜C−アルキルにより置換されていてもよく、R及びRは相互に無関係に水素又はC〜C−アルキルを表す]のビスフェノールとの反応生成物のグループからなる、少なくとも1種の界面活性添加物10〜40質量%
を有する固体顔料調製物に関する。
【0003】
更に、本発明は、この顔料調製物の製造及び高分子の有機材料及び無機材料の着色のためのその使用に関する。
【0004】
液体系、例えばペイント、塗料、分散着色剤及び印刷インキの顔料着色のために、通常では、水、有機溶剤又はこれらの混合物を含有する顔料調製物を使用する。アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性の分散剤の他に、この顔料調製物は一般に他の助剤、例えば乾燥抑制剤、凍結防止性を高める剤、増粘剤及び皮張り防止剤を、安定化のために添加しなければならない。
【0005】
色彩特性及び分散性の点でこの液体調製物と同等であるが、前記の添加が必要なくかつ容易に取り扱うことができる新規の顔料調製物が必要となる。しかしながらこの液体調製物を簡単に乾燥することにより、同等の適用特性を有する固体顔料調製物は得ることができない。
【0006】
DE-A-199 05 269には、固体顔料調製物が記載されていて、この固体顔料調製物は、場合によりイオン変性されたフェノール/スチレン−ポリグリコールエーテル又はエトキシル化されたヒマシ油と副次的な量のこのエーテル又はホスホン酸エステルとの混合物をベースとする分散剤、及び更に常に、場合により部分水素化されたポリビニルアルコール又はアニオン性ポリヒドロキシ化合物をベースとする増粘剤を含有し、かつ水性の適用媒体の顔料着色のために使用される。
【0007】
EP-A-84 645及び403 917からは、水性、アルコール性及び水性−アルコール性の塗料及び印刷インキの顔料着色のための高濃縮された、固体の顔料調製物は公知であり、この顔料調製物は少なくとも二価のアミンと酸化プロピレン及び酸化エチレンとの反応生成物をベースとする添加物を30質量%まで含有する。
【0008】
US-A-4 056 402及び4 127 422では、水性被覆系のための乾燥された、粉塵の立たない顔料調製物が記載されている。しかしながら、この顔料調製物は、主成分としてのポリエチレングリコールモノフェニルエーテルをベースとする非イオン性分散剤の他に、少なくとも10質量%の水溶性セルロースエーテルもしくは水に分散可能なポリビニル化合物を含有し、従って本発明による顔料調製物とは異なる。
【0009】
更に、EP-A-1 081 195からは、プラスチックの着色用の、非イオン性ポリエチレンワックスを添加物として含有する顆粒状の顔料調製物は公知である。この顔料調製物は、溶剤顔料化及び噴霧乾燥の際に顔料とワックスとの接触により製造される。しかしながら、この製造方法は、有機溶剤中で顔料化される有機顔料用にだけ適用可能である。
【0010】
最後に、未公開のDE-A-102 04 304並びに102 04 583、102 27 657及び102 28 199には、ポリエーテルをベースとする非イオン性界面活性添加物もしくはこの添加物と、相応して変性されたポリエーテルをベースとするアニオン性界面活性添加物との混合物を含有する固体顔料調製物の使用が記載されている。
【0011】
本発明の根底をなす課題は、全体として有利な適用特性、特に高い着色力及び特に最も多様な種類の適用媒体中での容易な分散性(撹拌混入性、"Stir-in"挙動)並びに高い貯蔵安定性を特徴とする、固体顔料調製物を提供することであった。
【0012】
従って、冒頭に定義された顔料調製物が見出された。
【0013】
更に、顔料(A)を、まず添加物(B)の少なくとも一部を含有する水性懸濁液中で、湿式粉砕にかけ、かつこの懸濁液を次に、場合により残りの量の添加物(B)を添加した後に乾燥させることを特徴とする、顔料調製物の製造方法が見出された。
【0014】
更に、この顔料調製物を材料中に撹拌混入又は振動混入により導入することを特徴とする、高分子の有機材料及び無機材料の着色方法が見出された。
【0015】
本発明による顔料調製物は、主成分として顔料(A)及び界面活性添加物(B)を含有する。
【0016】
成分(A)として、本発明による顔料調製物中には有機顔料又は無機顔料を含有することができる。当然のことながら、この顔料調製物は種々の有機顔料の混合物もしくは種々の無機顔料の混合物、又は有機顔料と無機顔料との混合物を含有していてもよい。
【0017】
この顔料は微細粒の形で存在する。従って、この顔料は通常では、0.1〜5μm、殊に0.1〜3μm、殊に0.1〜1μmの平均粒径を有する。
【0018】
有機顔料は通常、有機有彩色顔料及び黒色顔料である。無機顔料は、同様に着色顔料(有彩色顔料、黒色顔料及び白色顔料)並びに光沢顔料及び通常では充填剤として使用される無機顔料であることができる。
【0019】
以下に適切な有機着色顔料のための例を挙げる:
− モノアゾ顔料: C.I. Pigment Brown 25;
C.I. Pigment Orange 5, 13, 36, 38, 64及び67;
C.I. Pigment Red 1, 2, 3, 4, 5, 8, 9, 12, 17, 22, 23, 31, 48:1, 48:2, 48:3, 48:4, 49, 49:1, 51:1, 52:1, 52:2, 53, 53:1, 53:3, 57:1, 58:2, 58:4, 63, 112, 146, 148, 170, 175, 184, 185, 187, 191:1, 208, 210, 245, 247及び251;
C.I. Pigment Yellow 1, 3, 62, 65, 73, 74, 97, 120, 151, 154, 168, 181, 183及び191;
C.I. Pigment Violet 32;
− ジスアゾ顔料: C.I. Pigment Orange 16, 34, 44及び72;
C.I. Pigment Red 144, 166, 214, 220, 221及び242;
C.I. Pigment Yellow 12, 13, 14, 16, 17, 81, 83, 106, 113, 126, 127, 155, 174, 176, 180及び188;
− ジスアゾ縮合顔料: C.I. Pigment Yellow 93, 95及び128;
C.I. Pigment Red 144, 166, 214, 220, 242及び262;
C.I. Pigment Brown 23及び41;
− アンタントロン顔料: C.I. Pigment Red 168;
− アントラキノン顔料: C.I. Pigment Yellow 147, 177及び199;
C.I. Pigment Violet 31;
− アントラピリミジン顔料: C.I. Pigment Yellow 108;
− キナクリドン顔料: C.I. Pigment Orange 48及び49;
C.I. Pigment Red 122, 202, 206及び209;
C.I. Pigment Violet 19;
− キノフタロン顔料: C.I. Pigment Yellow 138;
− ジケトピロロピロール顔料: C.I. Pigment Orange 71, 73及び81;
C.I. Pigment Red 254, 255, 264, 270及び272;
− ジオキサジン顔料: C.I. Pigment Violet 23及び37;
C.I. Pigment Blue 80;
− フラバントロン顔料: C.I. Pigment Yellow 24;
− インダントロン顔料: C.I. Pigment Blue 60及び64;
− イソインドリン顔料 C.I. Pigment Orange 61及び69;
C.I. Pigment Red 260;
C.I. Pigment Yellow 139及び185;
− イソインドリノン顔料: C.I. Pigment Yellow 109, 110及び173;
− イソビオラントロン顔料: C.I. Pigment Violet 31;
− 金属錯体顔料: C.I. Pigment Red 257;
C.I. Pigment Yellow 117, 129, 150, 153及び177;
C.I. Pigment Green 8;
− ペリノン顔料: C.I. Pigment Orange 43;
C.I. Pigment Red 194;
− ペリレン顔料: C.I. Pigment Black 31及び32;
C.I. Pigment Red 123, 149, 178, 179, 190及び224;
C.I. Pigment Violet 29;
− フタロシアニン顔料: C.I. Pigment Blue 15, 15:1, 15:2,15:3, 15:4, 15:6及び16;
C.I. Pigment Green 7及び36;
− ピラントロン顔料: C.I. Pigment Orange 51;
C.I. Pigment Red 216;
− ピラゾロキナゾロン顔料: C.I. Pigment Orange 67;
C.I. Pigment Red 251;
− チオインジゴ顔料: C.I. Pigment Red 88及び181;
C.I. Pigment Violet 38;
− トリアリールカルボニウム顔料: C.I. Pigment Blue 1, 61及び62;
C.I. Pigment Green 1;
C.I. Pigment Red 81, 81:1及び169;
C.I. Pigment Violet 1, 2, 3及び27;
− C.I. Pigment Black 1(アニリンブラック);
− C.I. Pigment Yellow 101(アルダジンイエロー);
− C.I. Pigment Brown 22。
【0020】
適切な無機着色顔料は例えば次のものである:
− 白色顔料: 二酸化チタン(C.I. Pigment White 6)、亜鉛白;着色剤用酸化亜鉛;硫化亜鉛、リトポン;
− 黒色顔料: 酸化鉄ブラック(C.I. Pigment Black 11)、鉄マンガンブラック、スピネルブラック(C.I. Pigment Black 27)、カーボンブラック(C.I. Pigment Black 7);
− 有彩色顔料: 酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン;クロムグリーン(C.I. Pigment Green 48);コバルトグリーン(C.I. Pigment Green 50);ウルトラマリングリーン;
コバルトブルー(C.I. Pigment Blue 28及び36; C.I. Pigment Blue 72);ウルトラマリンブルー;マンガンブルー;
ウルトラマリンバイオレット;コバルトバイオレット及びマンガンバイオレット;
酸化鉄レッド(C.I. Pigment Red 101);カドミウムスルホセレニド(C.I. Pigment Red 108);硫化セリウム(C.I. Pigment Red 265);モリブデートレッド(C.I. Pigment Red 104);ウルトラマリンレッド;
酸化鉄ブラウン(C.I. Pigment Brown 6及び7)、ミックスブラウン、スピネル相及びコランダム相(C.I. Pigment Brown 29, 31, 33, 34, 35, 37, 39及び40)、クロムチタンイエロー(C.I. Pigment Brown 24)、クロムオレンジ;
硫化セリウム(C.I. Pigment Orange 75);酸化鉄イエロー(C.I. Pigment Yellow 42);ニッケルチタンイエロー(C.I. Pigment Yellow 53; C.I. Pigment Yellow 157, 158, 159, 160, 161, 162, 163, 164及び189);クロムチタンイエロー;スピネル相(C.I. Pigment Yellow 119);硫化カドミウム及び硫化カドミウム亜鉛(C.I. Pigment Yellow 37及び35);クロムイエロー(C.I. Pigment Yellow 34);バナジン酸ビスマス(C.I. Pigment Yellow 184)。
【0021】
通常、充填剤として使用される無機顔料の例としては、透明な二酸化ケイ素、石英粉末、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、天然雲母、天然及び沈降チョーク、及び硫酸バリウムが挙げられる。
【0022】
光沢顔料は、単層又は多層に構成された小片状の顔料であり、その閃輝光は、干渉現象、反射現象、及び吸収現象の相互作用により特徴付けられる。例として、アルミニウム小片及び1回もしくは複数回、特に金属酸化物により被覆されたアルミニウム小片、酸化鉄小片及び雲母小片が挙げられる。
【0023】
成分(B)として、本発明による顔料調製物は、酸化アルキレンと式Iのビスフェノールとの反応生成物のグループからなる少なくとも1種の界面活性添加物を含有する。
【0024】
このビスフェノールIは、非置換のビスフェノールA(R=R=−CH)であるのが有利である。更に、置換されたビスフェノールAは特に適しており、特に、2つのOH基に対してオルト位が、全部で4つのフェニル−1−エチル基により置換されている、スチレンと反応されたビスフェノールAが特に適している。
【0025】
酸化アルキレンは、有利にC〜C−酸化アルキレン、殊に有利に酸化エチレン及び酸化プロピレンである。
【0026】
このビスフェノールIは1種の又は多様な酸化アルキレンと反応させることができる。その際にポリマーが形成される場合には、多様な酸化アルキレンの使用の際に、ランダムポリマー又は有利にブロックコポリマーを形成することができる。このビスフェノールIはこの場合にまず酸化プロピレンと、次いで酸化エチレンと反応させるのが有利であるが、この反応は他の順序で行うこともできる。
【0027】
一般に、添加物(B)は、ビスフェノールI 1mol当たり酸化アルキレン4〜150molを含有する。
【0028】
界面活性添加物(B)として、非イオン性酸化アルキレン付加物自体は、例えば硫酸又はスルホン酸との反応により得られる相応する酸性のエステル及び特にその水溶性の塩、殊にアルカリ金属塩、特にナトリウム塩及びアンモニウム塩が適している。この種のアニオン性添加物(B)は、殊に上記のフェニルエチル置換されたビスフェノールA誘導体をベースとする。
【0029】
本発明による顔料調製物は、添加物(B)を非イオン形で含有するのが有利である。
【0030】
添加物(B)として、ビスフェノールAと酸化プロピレン及び有利に酸化エチレンとの反応生成物が特に有利であり、この反応生成物は、ビスフェノール1mol当たり酸化アルキレン4〜150mol、殊に4〜100mol、特に4〜50molの含有量を有する。
【0031】
この種の界面活性添加物は公知であり、かつ例えばPluriol(R)(BASF)及びAtlas(R)(Uniquema)の商品名で市販されている。
【0032】
本発明による顔料調製物は、成分(A)60〜90質量%、有利に70〜85質量%及び成分(B)10〜40質量%、有利に15〜30質量%を含有する。
【0033】
本発明による顔料調製物は、有利に、顔料(A)を、まず添加物(B)の少なくとも一部を含有する水性懸濁液中で、湿式粉砕にかけ、かつこの懸濁液を次に、場合により残りの量の添加物(B)を添加した後に乾燥することによる、同様に本発明による製造方法により得ることができる。
【0034】
この顔料(A)は、本発明による方法の場合に、乾燥粉末として又はプレスケークの形で使用することができる。
【0035】
使用される顔料(A)は、有利に顔料化された生成物、つまり顔料の一次粒子サイズが既に適用のために望ましい値に調節されている生成物である。この顔料化は、特に有機顔料の場合に推奨される、それというのも顔料合成の際に生じる粗製生成物は一般に直接には適用のために適していないためである。無機顔料、例えば酸化物顔料及びバナジン酸ビスマス顔料の場合に、一次粒子サイズの調節は、顔料合成の際に行うことができるため、生じた顔料懸濁液を本発明による方法に直接使用することができる。
【0036】
顔料化された顔料(A)は乾燥時にもしくはフィルター装置中で通常では再アグロメレーションするため、水性懸濁液の形で湿式粉砕、例えば撹拌ボールミル中での粉砕にかけられる。
【0037】
この湿式粉砕の際に、顔料化された顔料調製物中に含まれる添加物(B)の少なくとも一部を存在させるのが好ましく、添加物(B)の全量を湿式粉砕の前に添加するのが有利である。
【0038】
選択された種類の乾燥方法(噴霧造粒及び流動層乾燥、噴霧乾燥、パドルドライヤー中での乾燥、蒸発及び引き続く粉砕)に依存して、本発明による顔料調製物の粒度は適切に制御することができる。
【0039】
噴霧造粒及び流動層造粒の場合に、50〜5000μm、殊に100〜1000μmの平均粒度を有する粗大粒の顆粒を得ることができる。噴霧乾燥によると、通常では、<20μmの平均粒度を有する顆粒が得られる。微細粒の調製物は、パドルドライヤー中での乾燥時に及び蒸発に引き続く粉砕により得ることができる。しかしながら、本発明による顔料調製物は顆粒の形で存在するのが有利である。
【0040】
この噴霧造粒は、有利に、単一材料ノズルを備えた噴霧塔中で実施される。この懸濁液はこの場合に比較的大きな液滴の形で噴霧され、その際、水が蒸発される。この添加物(B)は乾燥温度で溶融し、特に平滑な表面を有する十分に球状の顆粒物を形成する(一般に≦15m/g、特に≦10m/gのBET値)。
【0041】
噴霧塔へのガス入口温度は、一般に、180〜300℃、有利に150〜300℃である。このガス出口温度は一般に70〜150℃、有利に70〜130℃である。
【0042】
得られた顔料顆粒物の残留水分は有利に<2質量%である。
【0043】
本発明による顔料調製物は、この適用の際に、液体顔料調製物と同等の優れた色彩特性、特にその着色力及び鮮明度、その色相及びその隠蔽力により、及び特に、混入挙動により優れており、つまりこの顔料調製物は極めてわずかなエネルギー導入で、簡単な撹拌混入又は振動混入により適用媒体中に分散することができる。これは、特に、本発明による顔料調製物の有利な実施態様である粗大粒の顔料顆粒に通用する。
【0044】
液体顔料調製物と比較して、本発明による顔料調製物は、更に次のような利点を有する:本発明による顔料調製物は高い顔料含有量を有する。液体顔料調製物は貯蔵の際に粘度変化する傾向があり、かつ保存剤及び凍結防止性及び/又は乾燥抑制を高める剤を添加しなければならないが、本発明による顔料調製物は極めて良好な貯蔵安定性を示す。
本発明による顔料調製物は、包装、貯蔵及び輸送に関して経済的にかつ環境的に有利である。
【0045】
本発明による顔料調製物は溶剤不含であるため、その適用において高い柔軟性を有する。
【0046】
顆粒物の形の本発明による顔料調製物は、取り扱い及び適用の際に、優れた耐摩耗性、わずかな圧密化もしくは粘結化の傾向、均一な粒度分布、良好な堆積性、流動性及び供給性並びに粉塵のなさを特徴とする。
【0047】
本発明による顔料調製物は、全種類の高分子の有機及び無機材料の着色のために特に適している。液体の適用媒体は、この場合に単に水性であるか、水及び有機溶剤、例えばアルコールの混合物を含有するか、又は有機溶剤、例えばアルコール、グリコールエーテル、ケトン、例えばメチルエチルケトン、アミド、例えばn−メチルピロリドン及びジメチルホルムアミド、エステル、例えば酢酸エチルエステル及び酢酸ブチルエステル及びメトキシプロピルアセテート、芳香族又は脂肪族炭化水素、例えばキシレン、鉱油及びガソリンをベースとすることができる。
【0048】
所望の場合には、この調製物をまず最初にそれぞれの適用媒体と相容性の溶剤中に撹拌混入(これは極めて僅かなエネルギー導入で可能である)し、次いでこの適用媒体中に導入することができる。このように、例えば顔料調製物のグリコール又はその他の塗料工業において常用の溶剤、例えばメトキシプロピルアセテート中でのスラリー化を使用することができ、水性系に調整された含量調製物を炭化水素をベースとする系又はニトロセルロースをベースとする系と相容性にすることができる。
【0049】
本発明による顔料調製物で着色することができる材料の例として次のものが挙げられる:塗料、例えば建材塗料、工業塗料、自動車塗料、放射線硬化性塗料;ペイント、並びに屋外用並びに室内用のペイント、例えば木材用ペイント、石灰塗料、水性塗料、分散塗料、印刷インキ、例えばオフセット印刷インキ、フレキソ印刷インキ、トルエングラビア印刷塗料、繊維印刷塗料、放射線硬化性塗料;インキ、インクジェットインキ、カラーフィルタ;建材(通常では、建材と顔料顆粒との乾式混合の直後に水が添加される)、例えばシリカ下塗系、セメント、コンクリート、モルタル、漆喰、アスファルト、シーラント;セルロース含有材料、例えば紙、厚紙、ボール紙、木材及び木材材料(これは塗装されているか又は他の方法で被覆されていてもよい);接着剤;塗膜形成ポリマー保護コロイド(これは例えば製剤工業において使用される);化粧品;界面活性剤。
【0050】
特に有利に、本発明による顔料調製物は混合成分として混色系又は調色系中で使用することができる。この混入挙動に基づき、本発明による顔料調製物は固体として直接使用することができる。所望の場合には、しかしながら、まず混合系の成分であるベースカラー、混合塗料及び調色カラー(特に、高い固体含有量を有するカラー、"HS−カラー")の形に又はより高い顔料着色された調色ペーストの形に変えることができる。所望の色調の調節及びそれによる着色剤成分の混合は、RAL、BS及びNCSのような色数をベースとするできる限り多くのカラーグラデーションでカラーチャート系を用いて視覚的に行うか、有利にコンピュータ制御して行われ、それにより際限のない数の色調を得ることができる(コンピュータ調色;computer color matching)。
【0051】
更に、本発明による顔料調製物は、プラスチック及び粉末塗料の着色のために特に適している。プラスチック及び粉末塗料中への混入は、この場合に、押出、圧延、混練又は練磨により行うことができる。
【0052】
実施例
顆粒の形状での本発明による顔料調製物の製造及び試験
この顔料顆粒物の製造は、x kgの顔料化された顔料(A)とy kgの添加物(B)との水150kg中の懸濁液をボールミル中で<1μmのd50値にまで粉砕し、次いで噴霧塔中で単一材料ノズル(ガス入口温度165℃、ガス出口温度70℃)で噴霧造粒した。
【0053】
添加物として、この場合次のものが使用される:
B1: エトキシル化されたビスフェノールA(15mol EO/mol ビスフェノールA)。
【0054】
B2: モノ硫酸化されたエトキシル化されたテトラフェニルエチル置換されたビスフェノールA(100mol EO/mol ビスフェノールA;US−A−4218218:界面活性剤13)。
【0055】
顔料顆粒物の着色力の測定は、水性分散塗料中での増白において(色当量FAEの記載、DIN55986)比色分析によって行った。このために、それぞれ顔料顆粒物1.25gとスチレン/アクリルベースの水性の試験バインダー(Pruefbinder)50gとの混合物を、16.4質量%の白色顔料含有量で(TiO、Kronos 2043)(Pruefbinder 00-1067, BASF)と一緒に、高速攪拌機を備えた150mlのプラスチックビーカー中で1500rpmで3分間均質化した。得られたカラーを、次いで100μmのスパイラルブレードを用いて、黒色/白色の試験厚紙上に塗布し、30分間乾燥させた。
【0056】
顔料の市販の水性調製物を用いて製造されたそれぞれ類似の分散塗料に、FAE値100(標準)を割り当てた。FAE値<100は、標準の場合よりも高い着色力を意味し、FAE値>100は、低い着色力に相当した。
【0057】
さらに、5日間40℃で貯蔵した後の着色力を調査した。
【0058】
次の表中に、製造された顔料顆粒物の組成並びにそれぞれ得られたFAE値を記載した。
【0059】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分として次の成分:
(A) 少なくとも1種の顔料60〜90質量%及び
(B) 酸化アルキレンと、一般式I
【化1】

[式中、環Aはそれぞれ1又は2箇所、C〜C−アルキル、フェニル又はフェニル−C〜C−アルキルにより置換されていてもよく、R及びRは相互に無関係に水素又はC〜C−アルキルを表す]のビスフェノールとの反応生成物のグループからなる、少なくとも1種の界面活性添加物10〜40質量%
を含有する固体顔料調製物。
【請求項2】
成分(B)として、酸化エチレン及び/又は酸化プロピレンとビスフェノールA及びフェニルエチル置換されたビスフェノールAとの反応生成物、前記の酸化アルキレン化合物の酸性の硫酸エステル及びスルホン酸エステル及び前記のエステルの塩のグループからなる少なくとも1種の添加物を含有する、請求項1記載の顔料調製物。
【請求項3】
成分(B)として、ビスフェノールAと酸化エチレン4〜150mol/molとの反応生成物をベースとする少なくとも1種の非イオン性界面活性添加物を含有する、請求項1又は2記載の顔料調製物。
【請求項4】
50〜5000μmの平均粒度及び≦15m/gのBET表面積を有する顆粒の形で存在する、請求項1から3までのいずれか1項記載の顔料調製物。
【請求項5】
顔料(A)を、まず添加物(B)の少なくとも一部を含有する水性懸濁液中で、湿式粉砕にかけ、かつこの懸濁液を次に、場合により残りの量の添加物(B)を添加した後に乾燥させることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物の製造方法。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物を、高分子の有機材料及び無機材料中に撹拌混入又は振動混入することを特徴とする、高分子の有機材料及び無機材料の着色方法。
【請求項7】
液相として水、有機溶剤又は水と有機溶剤との混合物を含有する、塗料、ペイント、印刷インキ、インキ及び被覆系を着色することを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物を混合成分として使用することを特徴とする、混色系を使用して高分子の有機材料及び無機材料を着色する方法。
【請求項9】
請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物を、押出、圧延、混練又は練磨によりプラスチック中に混入することを特徴とする、プラスチックの着色方法。
【請求項10】
請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物を、押出、圧延、混練又は練磨により粉末塗料中に混入することを特徴とする、粉末塗料の着色方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分として次の成分:
(A) 少なくとも1種の顔料60〜90質量%及び
(B) 酸化アルキレンと、一般式I
【化1】

[式中、環Aはそれぞれ1又は2箇所、C〜C−アルキル、フェニル又はフェニル−C〜C−アルキルにより置換されていてもよく、R及びRはメチルを表す]のビスフェノールとの反応生成物のグループからなる、少なくとも1種の界面活性添加物10〜40質量%
を含有する固体顔料調製物。
【請求項2】
成分(B)として、酸化エチレン及び/又は酸化プロピレンとビスフェノールA及びフェニルエチル置換されたビスフェノールAとの反応生成物、前記の酸化アルキレン化合物の酸性の硫酸エステル及びスルホン酸エステル及び前記のエステルの塩のグループからなる少なくとも1種の添加物を含有する、請求項1記載の顔料調製物。
【請求項3】
成分(B)として、ビスフェノールAと酸化エチレン4〜150mol/molとの反応生成物をベースとする少なくとも1種の非イオン性界面活性添加物を含有する、請求項1又は2記載の顔料調製物。
【請求項4】
50〜5000μmの平均粒度及び≦15m/gのBET表面積を有する顆粒の形で存在する、請求項1から3までのいずれか1項記載の顔料調製物。
【請求項5】
顔料(A)を、まず添加物(B)の少なくとも一部を含有する水性懸濁液中で、湿式粉砕にかけ、かつこの懸濁液を次に、場合により残りの量の添加物(B)を添加した後に乾燥させることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物の製造方法。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物を、高分子の有機材料及び無機材料中に撹拌混入又は振動混入することを特徴とする、高分子の有機材料及び無機材料の着色方法。
【請求項7】
液相として水、有機溶剤又は水と有機溶剤との混合物を含有する、塗料、ペイント、印刷インキ、インキ及び被覆系を着色することを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物を混合成分として使用することを特徴とする、混色系を使用して高分子の有機材料及び無機材料を着色する方法。
【請求項9】
請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物を、押出、圧延、混練又は練磨によりプラスチック中に混入することを特徴とする、プラスチックの着色方法。
【請求項10】
請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物を、押出、圧延、混練又は練磨により粉末塗料中に混入することを特徴とする、粉末塗料の着色方法。

【公表番号】特表2006−500448(P2006−500448A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−538892(P2004−538892)
【出願日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010151
【国際公開番号】WO2004/029159
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【Fターム(参考)】