説明

アルコール及び向精神性物質の使用中に適用される治療及び予防剤

本発明は、医薬に関し、そして麻薬に関する治療のための手段及び方法並びに依存性の病気、特にアルコール依存症、麻薬依存症、及び毒物依存症のような威嚇的な現代の病気にかかる危険性を減少させるための予防的方法を開発することを目的とする。上記発明は、依存性の病気、特に禁断症候群の基礎を形成する病理学的プロセスの短縮又は進行を予防し或いはその速度を減少させるための性質を示す医薬を開発するための知られた化合物、すなわち、近接するジチオグリコールの使用を提供する。本発明の物質は、経口投与された場合、エタノール注射及び/又は麻薬により生じる薬理効果を減少又はブロックし、それによって、依存性の病気、特にアルコール依存症の発病メカニズムに直接影響する。上記発明は、本発明の剤及びアルコール含有飲料又は麻薬を消費する前及び後のその使用を提供する予防的方法の大きな展望を証明する実験材料を伴う。本発明の使用は、アルコール依存症及び麻薬依存症の病気にかかる程度を減少させ、そして、家庭的なアルコールの使用の間のアルコールの毒性作用を減少させることを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬に関連し、そして麻薬に関する治療において並びに予防の目的で使用される医薬に関する。
【0002】
アルコール及び麻薬に対する依存症の広がりは、深刻な社会的脅威であり、今日では複合的な医療−社会問題を含む。WHOのデータによれば、アルコールを摂取する人の約6%が病気になり、後にかれらのわずかに5〜6%しか完全に回復しない。
【0003】
麻薬の非医療的使用にふける人は数百万人にのぼる。社会的及び経済的特徴の因子である、エタノールの家庭における使用の高いレベル、環境的習慣は、一千万人の人を偶発的又は系統的なアルコール濫用に導き、これは依存性症候群の一定の徴候を得るための主要な必要条件である。
【0004】
アルコール又は麻薬依存性症候群患者の治療は、限られた効果を有することが知られており、それは、病院における治療後の1年以上寛解が続いた患者はわずか数パーセントであると記録されているからである。したがって、依存症に関連する病気の予防を目的とする、又はその作用の結果として依存症が形成されるエタノール若しくは向精神性物質の導入の薬理効果を減少させるか若しくはブロックすることを目的とする、治療(作用)手段及び方法の開発により大きな関心を払うことは有益である。問題点は、アルコール又は他の向精神性物質に対する依存症の発生の発病メカニズムに対して作用することである。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、所与の分野における問題を解決するための手段の供給を目的とする。
【0006】
現在、アルコール依存症、麻薬依存症並びにそれらと関連する多様な病理を治療及び予防するための多様な薬物による手段の使用が開発され、提案されている。
【0007】
アルコール又は他の毒性物質に対する依存性に打ち勝つための手段の一つは、本来の毒性物質の対応する希釈物から作られる、同毒療法製剤である(RU2148993 C1, 2000)。
【0008】
例えば、摂取することによって強壮性の、浄化及び心身の効果を示す剤、「ナルコトン(Narkoton)などの薬用植物ベースの製剤の使用(RU2142289C1, 1999)、そして、例えば、メキシドール(mexidol)(RU2145855 C1, 2000)などの抗酸化剤並びに例えば、ピカミロン(pycamylon)、リポ酸、ピリドキシン及びパンテノールの複合体(RU 2165759 C1, 2001)などの中毒症の抑止薬の使用も知られている。
【0009】
化学物質によって薬物濫用及び中毒症を除去するための製剤が本分野で知られており、それは、チオ硫酸ナトリウム、ビタミンC、硫酸マグネシウム、及び炭酸水素ナトリウムを含む含硫化合物に基づく(RU 2108101 C1, 1998)。
【0010】
上記の剤は、それらの化学的性質において異なり、ほとんどの部分において、毒性物質、アルコール、向精神性物質の摂取に由来する一定の症状を除去することを意図される。しかしながら、これらの剤はアルコール依存症及び/または薬物濫用の発生を有効に予防するものではない。
【0011】
アルコール飲料、家庭用グレードのアルコール、習慣性の能力を有する物質の単回及び反復的な、特に長期の系統的な使用によって誘発される病理学的プロセスの発生を予防及び/またはブロックし、及び/または発生率を減少させるために、有効な剤を副作用なしに又は最小限の副作用とともに循環中へ導入することが本発明の目的である。
【0012】
上述の目的は、必要に応じて薬剤として許容可能なものに取り込まれる、式(1)により表される少なくとも1つの近接するジチオグリコールを含む、経口又は鼻腔内投与のための剤の供給によって達成される。近接するジチオグリコールという用語は、以下の式:
R1CH(SH)CH(SH)R2 (1)
{式中、
R1は、以下のラジカル:(−H)又は(−COOH)又は(−SO3H)を表し;
R2は、以下のラジカル:(−H)又は(−COOH)、又は(−OH)、又は(−CH2−O−CH2−SO3H)、又は(−CH2−COOH)、又は(−CH2−OH)、又は(−CH2−SO3H)、或いは塩形成基(−OH)又は(−COOH)、又は(−SO3H)を含むそれらの誘導体の塩を表す。}
により表される物質を指す。
【0013】
式(1)により表される化合物は技術水準から知られている。それらの記載、合成経路は、例えば、「Khimicheskaya Entsiklopediya」(5巻の「Khimicheskaya Entsiklopediya」in Moscow: Sovetskaya Entsiklopediya Publishers, 1990, vol. 2, pp. 91-92)に表されている。
【0014】
近接するジチオグリコールに属するのは、特に以下の:
1.以下の式:
【化1】

を有する、ジチオグリセリン(「ジカプトール(Dicaptol)」、「ジメルカプロール(Dimercaprol)」、BAL-British Anti-Lewisite)。
【0015】
2.以下の式:
【化2】

を有する、2,3−ジメルカプトプロパン−スルホネートNa(DMPS, 「ユニチオール(Unithiol)」、「ジマバル(Dimaval)」)。
【0016】
3.以下の式:
【化3】

を有する、2,3−ジメルカプトサクシニックアシッド(DMSA、「サクシマール(Succimer)」)。
【0017】
4.以下の式:
【化4】

を有する、2−(2,3−ジメルカプトプロポキシ)エタンスルホネートNa(「オキサチオール(Oxathiol)」)。
【0018】
近接するジチオグリコールは、抗放射線活性を有する医薬として、また重金属及びそれらの誘導体、特に砒素、鉛、水銀による中毒の場合の解毒剤としても使用される(Mashkovsky M.D., 2卷の「Drugs」 Moscow:Meditsina Publishers, 1988, vol.2, pp. 181-183)。これらは、2つの隣接するメルカプト基を有する低分子量化合物であって、該メルカプト基のおかげで放射核種を含む重金属のための良好な捕捉剤(trap)である。
【0019】
麻薬に関する治療においては、アルコール性のせん妄、急性アルコール中毒症、麻薬中毒症のケースで、他の解毒剤と併せた複合療法における補助成分としてユニチオールを使用することが知られている(Mashkovsky M.D., 「Drugs」, Moscow:Meditsina Publishers, 1993)。禁断療法の実施における1つのステップとして、禁断症候群の抑止にユニチオールを使用することが知られている(G.V. Morozov(Ed.), 「Arcoholism」, Moscow: Meditsina Publishers, 1985, pp. 314-321)。引用の目的により、これらの化合物は、今日まで常にアジュバントとして注射形態でのみ使用されてきた。
【0020】
我々は、上記の知られた目的の場合において、そしてまたより広い目的の場合において、経口投与による近接するジチオグリコールが予想外に高い効果を示すことを最初に発見した。それ以上に、我々は、ジチオグリコールの投与、そして特に経口投与が、エタノール含有飲料及び/または精神賦活性又は向精神性物質などの習慣性の能力を有する物質を使用する結果として発生する、病理学的プロセスをブロックし及び/又は阻害することにおいてそれ自身が第一のものであることを明らかにする新規な効果を生じることを予想外に発見した。
【0021】
提案された剤は、家庭用グレードのエタノールを飲むこと又はアルコール含有飲料に耽溺することとの関係において、及び精神賦活性物質(PAS)との関係においても、それらが第一のものであることを明らかにする以下の効果をもたらす:
依存症の形成速度を減少させること;
禁断症候群の形成速度を減少させること;
禁断症候群の身体生長的症状の発現をブロック又は阻害すること;
禁断症候群の精神神経学的症状の発現をブロック又は阻害すること;
アルコール及び/又はPASに対する病的な誘引の形成をブロック又は阻害すること;
量的な制御を喪失する症状の形成をブロック又は阻害すること;
耐性の発達の阻害;
高耐性バックグラウンドに対する、器官の病理の進行の阻害;
高耐性バックグラウンドに対する、身体神経学的障害の進行を阻害すること;
高耐性バックグラウンドに対する、血管生長的、生長無力的障害の進行の阻害;
高耐性バックグラウンドに対する、精神病質様の、又は精神的障害の進行の阻害;
エタノール及び/又は他の摂取されたPASの強化性の性質を減少させること;
器官、特に脳、肝臓、心筋の病理の進行速度を減少させること;
身体神経学的障害の進行速度を減少させること;
精神病質様又は精神的障害の進行を阻害すること;
特に、アルコール性健忘症を予防し、認識−記憶機能の低下速度を減少させること。
【0022】
我々は、式(1)の化合物の新規な性質を発見したため、本発明のもう1つの側面は、アルコール依存症(WHO用語法によるアルコール依存症候群)及び/又は精神賦活性物質などの習慣性の能力を有する物質の摂取に対する依存の発生の予防薬としての、1つ以上の近接するジチオグリコールの使用である。この目的は新規であり、知られたこれらの物質の禁断療法的、抗酸化剤としての性質に基づくものではない。
【0023】
我々は、上記物質の新規な性質を明らかにし、それによって新たな目的のためのそれらの効果が明らかとなった。
【0024】
エタノール及び/又は麻薬剤を摂取したときの発病メカニズムにおける一般的なつながりが、神経伝達の制御系、特にカテコールアミン系を妨害することが知られている。エタノールによる急性中毒にかかると、エタノールそのまま及び何よりもアセトアルデヒドであるその代謝物にの両方によって、中枢神経系(CNS)の機能における変化が引き起こされる。それらは、アドレナリン作用性の末端からのカテコールアミンの放出を促進する。アセトアルデヒドはカテコールアミン、特にドパミンとの縮合反応を受けることができ、テトラヒドロイソキノリン(THIQ)を生じる。THIQの1つである、サルソリノールは、禁断症候群の発生へ導く幻覚薬である。アセトアルデヒドとセロトニンとの縮合は、強力な幻覚薬でもあるハルマリンの形成へ導く。カテコールアミンの代わりに「偽メディエーター」として行動するTHIQの脳神経中での蓄積は、オピエート受容体の活性化、エンケファリン合成の低下、及び禁断症候群、アルコール依存症の発生に導く。
【0025】
特に、予防的な投与を含む近接するジチオグリコールの投与は、THIQの形成プロセスのブロック又は阻害、そして結局、禁断症候群及び依存性症候群の形成プロセスに対する同じ効果、そしてTHIQの出現の他の結果にも導く。
【0026】
脳のドパミン系は、多様な精神的障害の発生に重要な役割を演じる。ドパミンが脳の強化性のメカニズム、特に海馬の自己刺激効果の制御に参加することが証明された。カルシウムもエタノールによってドパミンニューロンに生じた効果に参加することが証明された。
【0027】
エタノールの急性の効果は、グルタミン酸による神経伝達系によっても、主にN-メチル‐D-アスパラギン酸(NMDA)受容体を介して仲介される。エタノールはグルタミン酸系の活性を、該活性を阻害することによって変化させる。NMDA受容体はシナプスのシナプス後性の長期増強による記憶痕跡の形成に参加する。NMDA受容体は、カルシウムチャンネルと連結し、そしてその興奮が新たなカルシウムイオンに対する細胞膜の透過性を増大させる。エタノールは低用量においてさえ、イオン流を減少させ、そしてNMDA刺激によるカルシウムの捕捉を抑制し、そしてまた、カルシウムにより誘導された長期の増強をブロックする。
【0028】
(NMDA受容体活性によって仲介されることのできる)細胞内カルシウムレベルの上昇も、「GABA受容体/塩素チャンネル」複合体(GABAは、γ‐アミノブチル酸をさす)の活性の調節と考えられる。興奮の抑制を担うGABA作動性の神経伝達系もエタノールの毒性作用の標的であると信じられている。これらの系は、カルシウムイオンのレベルによって調節される。
【0029】
GABA作動性系が、特にGABAを介する塩素イオンの流れによって、アルコール依存症及びエタノール禁断現象の形成メカニズムに参加することが知られている。エタノールの濫用、特にその系統的または慢性の消費は、GABA作動性ニューロンにおける透過性の不適応症、GABA受容体の性質及びイオン流の変化に導く。cAMP(サイクリックアデノシンモノホスフェート)系及びマグネシウムイオンが、GABA作動性系の機能の正常レベルの維持を担っていることが確立された。NMDA受容体系及びそれと関連するカルシウムチャンネルの不適応現象が、禁断症候群の発生、神経過敏の増大、並びに他の神経学的及び精神障害の発生の原因であることも確立された。
【0030】
エタノール及び他のPASの神経ホルモンの調節に対する好ましくない効果も知られている。神経ホルモンは、求心性神経のインプットの有効性を変化させるか又はその多感覚のインプットの1つのチャンネルから他への切り換えを促進、すなわち脳細胞の大きな集団の機能的状態の変化を調節することができる。これは、行動プロセスの制御、強化システムの有効性の変化、情動の状態の制御、学習及び記憶の痕跡の固定プロセスの基礎である。いくつかの神経ホルモンの放出は、カルシウム依存性であり、並びに生体膜の状態に依存する。
【0031】
多くの他のPASの脳に対する作用は、特に、PAS又はそれらの代謝物の神経組織細胞と生体膜の受容体タンパク質との、そしてまた、特に金属イオンであるイオンを含む物質の輸送のための機能を有する孔の役割を演じる他の膜構造との相互作用を介して発生する。カルシウム、マグネシウムなどのいくつかの金属は、シグナルに対するニューロンの応答の調節に重要な役割を果たす。
【0032】
近接するジチオグリコールは、カルシウム交換に顕著な影響を及ぼし、それによって、膜を通るカルシウムイオンの輸送を容易化する。それらはまた、カルシウム放出及び細胞内貯蔵所での蓄積のプロセスにも影響する。この作用によって、VDは、エタノール及び/または他のPASのカルシウム代謝に対する好ましくない作用を変化させることができ、その好ましくない作用は、シナプス内での興奮及び抑制プロセスに影響し、そしてCNSの機能不全、特に記憶障害、健忘症、そしてより重大な認識−記憶及び行動障害に導くものである。VDは、エタノール及び/又はPAS投与における薬理学的効果のレベルを低下させることをも可能とするマグネシウムイオンと同じ性質を有する。
【0033】
エタノール及び/又は他のPASの投与における多くの薬理学的効果は、生物学的細胞膜の性質及び構造に対するそれらの作用によって生じる。ここで、我々は、脂質二重層の物理学的及び生理化学的性質の変化、特にその流動性の増加を取り扱う。エタノール及び/又はPASの急性の注射による流動性の妨害が、神経性のプロセスの正常の経路を妨げる。系統的な中毒における流動性の変化への細胞膜の適応は、流動性効果の低下に導き、これは、アルコール中毒及び麻薬中毒の発生の基礎となる寛容性及び依存性形成の構成メカニズムの1つである。
【0034】
アルコール及び/又は他のPASによる中毒における生体膜の中毒性の損傷の背後にある主要因子は、生体の酸化に対する耐性の低下を同時に伴うその脂質成分のフリーラジカル酸化である。SH基を含む化合物は、尿酸、ビタミンE、A、アスコルビン酸とともに基本的な内因性抗酸化物質のカテゴリーに属し、それは、それらが酸化によるストレスから生体膜を保護するという主な役割を演じるからである。エタノール及び/又は他のPASの投与の薬理学的効果は、自然の抗酸化剤、特にSH基を有するものの活性を減少させ、毒性の代謝物が即座にそのストックを枯渇させ、そして酸化によるストレスが発生する。頻繁な又は偶発的であるが強力な中毒は、生体膜の不可逆的破壊及び細胞死に導き、こうして神経組織の破壊プロセスが増強される。軸索のミエリン鞘も、フリーラジカル酸化メカニズムにしたがってだんだんに分解し、これが軸索ニューローパチーに、興奮のエファプス伝達の効果に、そして精神病理学的プロセス及び神経病理の構築に導く。
【0035】
近接するジチオグリコールは、生体膜のフリーラジカルによる破壊のプロセスを停止させることができ、特にそれらは軸索のミエリン鞘を損傷から保護し、肝細胞、血管、脳構造を保護する。近接するジチオグリコールの上記の特性の強さによって、それらの投与は、心筋組織、すい臓、血管系並びに生体の他の器官およびシステムに対する損傷効果のレベルをブロック又は低下させることを可能とする。
【0036】
エタノール及び/または他のPASの投与の薬理学的効果に関連するプロセスに対する近接するジチオグリコールのこれらのそして他の作用は、上記のそして権利請求された溶液の技術的結果である効果の存在を左右する。
【0037】
エタノール及びオピオイド物質、カンナビノールなどの多くの他の向精神性物質の投与の効果は、それらが生体の多くの器官及びシステムに対してもたらす効果によって顕在化する。すなわち、同時にかなり多くの病理学的プロセスの引き金となるか又はこれを活性化する。近接するジチオグリコールの上記特性を考慮すると、それらがかなり多くのかかる病理学的プロセスに好ましく作用するが、この作用は同時であるが、しかし異なる強度で顕在化されるか又は実現されることができると主張することが可能である。特定の病理学的プロセスに対する作用の強度の程度は、先ず、該プロセス中の段階に依存する。いくつかのプロセスの起源は本発明の剤の予防的投与によってブロックされることができる一方、他のすでに開始した病理学的プロセスはこれらの剤を摂取することによって阻害可能である。エタノール及び/又は他のPASの投与の毒性効果によって生じた特定の病理学的プロセスに対する作用の強度は、本発明の剤の用量、個体の身体的及び他の特徴、該剤の摂取法、毒性負荷、並びに他の因子にも依存する。
【0038】
我々は、上記の生理学的に好ましい効果が顕在化し、そして経口投与において特に強く顕在化することを発見した。よい効果は、口の粘膜を介して、鼻腔内投与により、及び吸入法を介する局所投与においても生じる。明らかに、これは該物質の肝臓への高い透過率および該物質の肝臓酵素との相互作用の特性に関連する。
【0039】
上記において我々により示された効果は、近接するジチオグリコールのこれまで知られた性質を実質的に広げた。それらの知られた解毒活性は、急性の禁断状態を阻止するために、すなわち、アルコール依存症にかかったヒトの治療のために使用された。振戦譫妄の場合のユニチオールによる治療は、深刻な精神障害の存在を特徴とする、病気の末期段階にあるアルコール依存症にかかった患者について行われる。知られた抗酸化活性は、近接するジチオグリコールの新規な能力を好ましく補うこともする。以前、われわれは日常的なレベルの二日酔いの重篤度を緩和するための近接するジチオグリコールの能力を明らかにした。二日酔いは、エタノールの使用後の最初の24時間の間におこるその使用の好ましくない結果として理解されている。この効果は、カルボニル化合物に関する該物質の活性によって左右される(RU 2157647 C1, 2000)。現在、さらに実験において発見された効果に基づいて、そしてその理論的解釈に基づいて、エタノールの使用の事実とは独立して、例えば、エタノールの使用の数日若しくは数時間前、並びにエタノールの使用の24時間以上後に投与された場合に明らかとなる活性物質の効果としての近接するジチオグリコールの効果を主張することができる。同じことが習慣性の能力を有する他の剤についても真実である。我々が、特にエタノールではなく、多様な由来の単なる向精神性物質に関連した、病因の異なる依存症の発病に共通する関連に対する近接するジチオグリコールの効果を確立したことを指摘することは重要である。
【0040】
したがって、近接するジチオグリコールの知られた性質と近接するジチオグリコールが新たな目的のための使用に推奨されることを可能とする上記の性質との相乗効果についての結論を引き出すためのそれぞれの理由がある。
【0041】
提案された剤の医薬形態は、経口、鼻腔内、(頬側及び舌下を含む)口の粘膜を介する局所投与又は吸入による投与に好適な形態を含むことができる。医薬形態は、便利な別々の用量の単位に表され、そして薬学において周知のいかなる方法によっても製剤される組成物を含むことができる。これらの製薬方法のすべては、活性物質を液体ビヒクルと、又は細かく分割された固体賦形剤と、又は必要な場合にはその両方と併合し、その後、必要な場合には生成物を所望の形態に形作ることを含む。
【0042】
経口投与に好適な医薬形態は、それぞれが活性成分の処方量を含む、錠剤、カシェ、デンプンカプセルなどのべつべつの単位;又は散剤又は顆粒の形態;又は溶液、懸濁液若しくはエマルジョンの形態であることができる。活性成分はまた、ボーラス又はペースト或いはビヒクルを含まない純粋な形態で表されることができる。追加の生理学的に活性のある成分のほかに、経口投与のための錠剤及びカシェは、結合剤、充填剤、潤滑剤、エアレーター、湿潤剤などの一般的に採用される添加剤を含むことができる。錠剤は、場合により1つ以上の追加の成分とともに型の中で圧縮又は成形することによって製造されることができる。打錠された錠剤は、場合により結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、潤滑剤、表面活性剤、又は分散剤と混合された、粉末又は顆粒などの自由流動性の形態の活性成分を好適な機械の中で圧縮することによって製造されることができる。成型錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた微粉砕された化合物を好適な機械の中で型に入れて成型することによって製造されることができる。錠剤は、本分野において周知の方法によって外被でコーティングされることができる。液体経口製剤は、例えば、水性又は油性の懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ又はエリキシルの形態であることができ、或いは、使用前に水又は他の好適な溶媒と混合される乾燥製品の形態として表されることができる。そのような液体製剤は、さらに生理学的に活性な成分を導入される以外に、懸濁剤、(食用油を含むことのできる)非水性溶媒、フレーバー剤、着色剤又は保存剤などの一般に採用される添加剤を含むことができる。上記の形態は、場合によりその中に含まれる活性物質の遅い又は制御された放出を提供するように製造されることができる。
【0043】
頬側又は舌下などの、口の粘膜を介する局所投与のための形態は、例えばシュークロース、アカシア又はトラガントである炭水化物などの矯正薬的な基剤中に活性成分を含むロゼンジ、及びゼラチン、グリセリン、炭水化物、アカシアなどの基剤中に活性物質を含むパスチラを含む。上記の活性物質の鼻腔内投与のためには、エアロゾル又はスプレー粉末又は液滴などの形態が採用されることができる。液滴は、1つ以上の分散剤、溶解剤又は懸濁剤を含む水性又は非水性の基剤で製剤されることができる。液体エアロゾルは加圧パッケージから便利に投与されることができる。吸入による投与のためには、吹き込み装置から、吸入用加圧パッケージ又はエアロゾルスプレーを得るための他の便利な手段から本発明の化合物を導入することが便利である。加圧パッケージは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、二酸化炭素又は他の好適な気体などの好適な噴霧剤を含むことができる。加圧エアロゾルの場合、用量単位は計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定されることができる。
【0044】
或いは、吸入又は吹き込みによって本発明の物質を投与するためには、例えば、活性物質及びラクトース、デンプン、タルクなどの好適な粉末様の基剤の粉末様の混合物である、乾燥粉末様の製剤を使用することが可能である。粉末様の組成物は、そこから散剤が吸入器又は吹き込み装置の助けによって導入されることのできる、カプセル、カートリッジ、ゼラチン又はプラスターパッケージなどの単一用量の形態であることができる。
【0045】
必要な場合には、活性成分の持続的な放出を提供するために採用される、上記の形態が使用されることができる。
【0046】
本発明による薬剤は、その添加が通例、本発明の物質の作用を促進する働きをし、そしてまた追加された成分と本発明の化合物の作用の相乗効果を達成するために働く、1つ以上の活性成分も含むことができる。追加される活性成分は、ビタミン、ビタミン前駆体、ビタミン誘導体、有機酸、有機酸誘導体、脂質、生理学的に活性なペプチド、アミノ酸、アミノ酸誘導体、酵素、酵素誘導体、酵素前駆体、補酵素、補酵素誘導体、補酵素前駆体、炭水化物、タンパク質、及びそれらの混合物から成る群から選ばれるものを含むことができる。例えば、グリシン、γ−アミノブチル酸(GABA)などの神経伝達物質であるアミノ酸を添加することが好ましいかもしれない。メタノール及び他のいくつかのPASを導入することが水−電解質バランスを妨害するため、金属イオン供給源を添加することが好ましい。マグネシウム、カルシウム、マンガンなどの金属は酵素による触媒作用において重要な役割を果たし、そして補酵素製剤に入るため、二価金属の供給源を添加することも好ましい。上記のような多数のプロセスの調節剤であるカルシウムの不足及び毒性を生じるその代謝の抑制は、多くの病理学的プロセスの発生を促進する。本発明の剤の製剤に添加するのに好ましいのは、特にレシチンなどのリン脂質である脂質、糖脂質および他の肝臓保護物質及びα−トコフェロール、その前駆体、その誘導体などのビタミンの供給源、神経ペプチドなどの生理学的に活性なぺプチド、並びに多くの他の知られた生理学的に活性な物質であることができる。
【0047】
部分的に上記された成分のほかに、本発明の剤は、所与の適用分野のために慣用の他の成分及び剤を含むことができ、特に取り扱う剤の形態のために採用される他の成分を含むことができる。例えば、経口投与のための剤は、フレーバー剤又は構造形成剤を含むことができる。
【0048】
部分的な用量を含む好ましい形態は、以下において述べるように本発明の剤の有効用量又は示された用量の好適な部分を含むものである。
【0049】
推奨された本発明の目的の達成のためには、有効量の活性成分を含む上記剤が経口で又は他の便利な経路で、一日あたり0.1〜250mg/kg(受容者の体重1キログラムあたり)の用量で投与されることができる。正常な成人のための用量レベルは、通例、1日あたり約5mg〜約10g、より狭い限界内では、1日あたり約50mg〜約2g、最も好ましくは1日あたり100〜1000mgの範囲である。別々の単位の形態で表された剤を製造するための錠剤又は他の形態は、便宜のためにかかる用量又は例えば、50〜300mg、通常約100〜250mgを含む単位などの複数で有効な量を含むことができる。
【0050】
本発明の剤は、好ましくは経口で、該剤の用量に対応する該剤の正確な量が、使用のための指導書又は専門家の推奨にしたがって、摂取されるべきである。しかしながら、実際に使用される用量は、個体の性別、年齢、体重、アルコール及び/又は他のPASの摂取の状態と関連する危険因子、身体的及び精神神経学的特質などを含む多くの因子に依存するであろう。該剤の投与時間および投与の持続時間(頻度)を決定する場合、同じ背景の因子が考慮されなくてはならない。該剤は、一続きの処置の形態における投与のために推奨されることができ、使用前にアルコール性飲料及び/又はPAS、又はそのような使用の一定時間後、又はそのような使用の前及び後、或いはエタノール又はPASの使用と併用して処方されることができる。該剤の投与の瞬間及びエタノール及び/又はPASの使用の瞬間の間の時間的関係を制御する上記のそして他の可能な変更は、部分的に重複することができる。
【実施例】
【0051】
以下に示される実施例は、本発明の本質を例解するが、請求項の組の範囲を制限するものではない。
【0052】
実施例1.ユニチオール錠剤
25gのユニチオール(粉末化された物質)、5gのラクトース、10gのエアロシル、30gのデンプン、5gのスターチグルコーレートナトリウム塩、5gのステアリン酸マグネシウム、1gのパントテン酸カルシウム、7gの葉酸、7gのアスコルビン酸の混合物があり、該混合物を湿らせ、全体的に攪拌し、ホモジェナイズし、そして打錠して、それぞれ0.5gの錠剤を得た。
【0053】
【表1】

【0054】
実施例2.以下のものを含む顆粒を充填した即時溶解性カプセル
【0055】
【表2】

顆粒を、薬学において知られた以下の技術によって製造した。
【0056】
上記の目的のために使用する可能性を、実験動物及びボランティアに対する臨床試験において試験した。(ユニチオールを例として)近接するジチオグリコールの予防的及び防御的性質の研究を、著者の主導にもとに、モスクワ市のHealth Care Committee のRF Ministry of Health and Moscow Research-and-Prophylaxis Center for Preventing NarcomaniaのNational Narcology Research Centerと共同して実施した。
【0057】
実施例3.研究の実験部分を、最初の体重が150〜250gのWistar-100系雄性ラットにおいて実施した。動物を人工的な照明条件(1日あたり12時間)下、水中の標準的な配合の飼料へ常にアクセスする状態で保持した。動物の各群は10個体で構成された。
【0058】
麻薬性の麻酔剤による急性中毒のモデル化のために、ラットに25mg/kg体重の用量で塩酸モルヒネを腹腔内に一回投与した。
【0059】
麻薬による慢性の中毒を、動物に7日間で10〜70mg/kg体重で一定の増加をする塩酸モルヒネを腹腔内投与することによってモデル化した。動物の対照群(CG)には、同じ体積の生理学的溶液を投与した。
【0060】
麻薬の動物への投与の20分後、急性の実験及び慢性の実験の両方の条件下で第一試験群(TG-1)の動物にユニチオールを経口でゼラチンカプセル中で投与した(15mg/kg体重)。動物を急性の投与の2.5時間後に、又は慢性の実験条件下では最後のモルヒネ投与の後に(慢性実験の第7日)断頭した。
【0061】
30日間、動物に12%のエタノール溶液(唯一の液体供給源)への自由なアクセスを与えて、慢性のアルコール中毒症をモデル化した。エタノール溶液を伴う動物の一部(第一試験群、TG-1)は、25mg/kg動物体重の量で実験の最後にユニチオールを一回受容し、動物の第二の部分(第二試験群、TG-2)は、ユニチオールの代わりに空のカプセルを受容した。対照群(CG)は液体供給源としての飲用水に自由にアクセスした。
【0062】
動物における実験の結果は、慢性にモルヒネを与えた及び慢性にアルコールを与えた個体の両方の血漿中の脂質過酸化の最終産物である(チオバルビツール試験による)TBA-陽性化合物濃度が、ユニチオールを使用しない類似の群とは異なる信頼性のある値を得て、低いことを示した。主要な内因性抗酸化物質−ビタミンE、A、SH基の含量が、ユニチオールの経口投与の場合には、対照群での値に近いレベルに保たれた。
【0063】
図1は、モルヒネによる急性中毒の動物の各試験群の脂質過酸化物のレベルを特徴づける棒の形態のデータを示す。
【0064】
図2は、モルヒネによる慢性中毒についての実験における各群のラットの血漿中のビタミンE及びAのレベルを測定したデータを示す。動物の3つの群すべてについてのレベルの比較は、モルヒネ及び空のカプセルのみを受容した動物において、ビタミンA及びEのレベルが一斉に低下したことを示す。モルヒネとともにユニチオールを受容した動物は、ビタミンE及びAの平均含量を対照群の値のレベルに保った。他の内因性の抗酸化物質における変化でも同じ状況を観察した。
【0065】
肝細胞膜の障害を特徴付ける酵素活性(ALT−アラニンアミノトランスフェラーゼ、AST−アスパルテートアミノトランスフェラーゼ)もまた、対照群よりも確実に低いことが証明された。実験中、モルヒネによる慢性中毒の場合のラット肝臓ホモジェネート中のアラニンアミノトランスフェラーゼ活性の測定は、ユニチオールをモルヒネと平行して受容したラットにおけるALT活性が、モルヒネ及び空のカプセルを受容した動物におけるよりも2倍低かったことを示した。
【0066】
エタノールの慢性の導入に対する実験の他の部分においては、ユニチオールの投与経路における相違を研究した。慢性的にアルコール投与されたラットの1つの群は、経口のカプセル中で1回ユニチオールを受容した一方、他の群は、同じ用量(25mg/kg体重)のユニチオールを1回注射によって受容した。動物をユニチオール投与の2.5時間後に断頭した。肝臓組織ホモジェネートを使用して、脂質過酸化物(TBA‐陽性産物)、トリグリセリド含量、酵素アミノトランスフェラーゼALT、ASTの活性の比較試験を実施した。各特性の比較を均一化するため、経口でユニチオールを受容した動物群についての特性のレベルを100%として採用した。
【0067】
図3は、これらの特性の比較のグラフで表したデータを示す。これらのデータは、肝臓組織に対するエタノールの毒性作用の範囲を特徴付ける生化学パラメーターの値が、ユニチオールの経口投与で注射による投与よりも本質的に良かったことを実証する。これらの相違は統計学的に有意である。
【0068】
ユニチオールの第二の部分である予防的、保護的及び抗毒性的性質を、低アルコール性飲料(ビール)を摂取した後のボランティアの状態に対する、その「経口」投与の影響を試験することによって研究した。
【0069】
実施例4.ボランティアに対する実験のために、以下の:1つの対照群及び2つの試験群の3つの群を作った。実験参加者は、両方の性の成人ボランティアで、慢性疾患の病歴を有さず、アルコール性飲料を乱用していなかった。大量のアルデヒドを含む低グレードのビールを規則正しく(2週間の間)毎晩1リッター摂取することによってアルコール中毒を作り出した。試験対象によるアルコール飲料の追加の摂取は制限しなかった。最初の1週間の間、第一試験群(TG-1)は夜にアルコール負荷を受け、そして朝に水溶液の形態のユニチオールを経口で250mg受容した。第2週の間、第一試験群はユニチオールのかわりに250mgの飲料水を受容し、夜にはアルコール負荷を維持した。第二試験群(TG-2)は、反対に、夜に同様のアルコール負荷、を、実験の第1週の間には250mlの憂い図をそして第2週にはユニチオール溶液を朝に受容した。かかる実験設計は、充分に高い毒性レベルのアルコール負荷をともなうユニチオールの予防的能力を明らかにすることを可能とした。試験対象は、毎日医学的観察を受けた。試験対象の体液の生化学的研究も、脂質過酸化(LPO)及び生体の内因性抗酸化耐性システムの状態を評価するために実施した。マロニックジアルデヒド(MDA)−POL産物(TBA試験)の濃度、ビタミンE及びA、SH基のレベル並びに酵素−肝臓病理学的マーカー(ALT、AST)の活性、及びトリグリセリドの濃度も測定した。
【0070】
試験においては、禁断のバックグラウンドに対するユニチオールの経口使用が対象の禁断の知覚を上記製剤の摂取の8〜10分後に除去した。対象の生化学的値も、上記製剤によって試験対象にもたらされた効果を証明する。上記製剤の摂取なし及び使用をともなうアルコール中毒のバックグラウンドに対する同じ値の間の統計学的に有意な相違は、試験のすべての参加者について記録する。ノンパラメトリックな統計学的方法によってデータを統計学的に処理した。
【0071】
試験において測定したすべての生化学的値は、ユニチオールなしにアルコールを摂取した試験群中の参加者については、統計学的に顕著に悪化した。ユニチオールを第1週の間に摂取した、夜のアルコール使用のバックグラウンドに対する第一試験群においては、生化学的値の悪化には導かなかったが、上記製剤を水の摂取に交換した第2週の間には、上記値は顕著に悪化した。1週間のアルコール及びユニチオール摂取に続く1週間のアルコール摂取(TG-2)は、試験対象における最初の(基本の)生化学的値のレベルの回復に導いた。
【0072】
図4は、両方の群の試験対象についてのMDAデータを示す。測定は、2週間の実験の間1日おきで尿について実施した。
【0073】
図5は、両方の試験群についての(ASTを例として)測定されたアミノトランスフェラーゼの活性レベルを示す。測定は、以下の:試験の開始時、1週間内、実験開始の2週間後について3回実施した。
【0074】
得られたデータは、ユニチオールの予防的効果を得心のいくように証明し、ユニチオールが、過酸化プロセスをブロックし、そして結局、エタノールの毒性作用の発生をブロックすることにおいて、肝臓小葉に対する毒性効果を阻害し、そしてブロックさえして、禁断症候群の進行をブロックすることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0075】
原文記載なし。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール含有飲料及び/または習慣性の能力を有する物質を使用することによって誘発される病理学的プロセスの発生を予防し、及び/又は進行を予防し、及び/又は進行の速度を減少させるための剤であって、少なくとも1つの活性成分として以下の式:
R1CH(SH)CH(SH)R2 (1)
{式中、
R1は、以下のラジカル:(−H)又は(−COOH)又は(−SO3H)を表し;
R2は、以下のラジカル:(−H)又は(−COOH)、又は(−OH)、又は(−CH2−O−CH2−SO3H)、又は(−CH2−COOH)、又は(−CH2−OH)、又は(−CH2−SO3H)、或いは塩形成基(−OH)又は(−COOH)、又は(−SO3H)を含むそれらの誘導体の塩を表す。}
により表される、少なくとも1つの近接するジチオグリコールの有効量を経口又は鼻腔内投与に好適な形態で含む、前記剤。
【請求項2】
習慣性の能力を有する上記物質が麻薬性の物質である、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
以下の:
依存症の形成速度を減少させること;
禁断症候群の形成速度を減少させること;
禁断症候群の身体生長的症状の発現をブロック又は阻害すること;
禁断症候群の精神神経学的症状の発現をブロック又は阻害すること;
アルコール及び/又はPASに対する病的な誘引の形成をブロック又は阻害すること;
量的な制御を喪失する症状の形成をブロック又は阻害すること;
耐性の発達の阻害;
高耐性バックグラウンドに対する、器官の病理の進行の阻害;
高耐性バックグラウンドに対する、身体神経学的障害の進行を阻害すること;
高耐性バックグラウンドに対する、血管生長的、生長無力的障害の進行の阻害;
高耐性バックグラウンドに対する、精神病質様の、又は精神的障害の進行の阻害;
エタノール及び/又は他の摂取されたPASの強化性の性質を減少させること;
器官、特に脳、肝臓、心筋の病理の進行速度を減少させること;
身体神経学的障害の進行速度を減少させること;
精神病質様又は精神的障害の進行を阻害すること;
特に、アルコール性健忘症を予防し、認識−記憶機能の低下速度を減少させること;
から成る群から選ばれる、少なくとも1つの効果を達成するために使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
薬剤として好適なビヒクルを含むことに特徴を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤。
【請求項5】
前記ビヒクルが、以下の:結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、湿潤剤、不活性な溶媒、界面活性剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、食用油、フレーバー剤、食品着色剤又はそれらの混合物から成る群から選ばれる補助剤を含むことに特徴を有する、請求項4に記載の剤。
【請求項6】
口の粘膜を介する局所投与のための形態に作られ、ここで、上記ビヒクルが以下の:フレーバー剤、炭水化物、アカシア、トラガント、ゼラチン、グリセリン及びそれらの混合物から成る群から選ばれる成分を含むことに特徴を有する、請求項4に記載の剤。
【請求項7】
鼻腔内投与のための形態に作られ、ここで、上記ビヒクルが以下の:分散剤、溶解剤、懸濁剤及びそれらの混合物から成る群から選ばれる成分を含むことに特徴を有する、請求項4に記載の剤。
【請求項8】
吸入による投与のための形態に作られ、ここで、上記ビヒクルが噴霧剤を含むことに特徴を有する、請求項4に記載の剤。
【請求項9】
式(1)により表される近接するジチオグリコールの量が、1日あたり、約5mg〜約10gであることに特徴を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の剤。
【請求項10】
式(1)により表される近接するジチオグリコールの量が、1日あたり、約50mg〜約2gであることに特徴を有する、請求項9に記載の剤。
【請求項11】
式(1)により表される近接するジチオグリコールの量が、1日あたり、約100mg〜約1000mgであることに特徴を有する、請求項10に記載の剤。
【請求項12】
水/電解質バランス及び/または酵素活性の正常レベル及び/または神経の制御及び興奮又は抑制伝達システムの正常レベルを維持するための、少なくとも1つの金属イオンの供給源をさらに含むことに特徴を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の剤。
【請求項13】
前記金属が、カルシウム、マグネシウム、マンガンなどの二価金属であることに特徴を有する、請求項12に記載の剤。
【請求項14】
以下の:ビタミン、ビタミン前駆体、ビタミン誘導体、有機酸、有機酸誘導体、脂質、生理学的に活性なペプチド、アミノ酸、アミノ酸誘導体、酵素、酵素誘導体、酵素前駆体、補酵素、補酵素誘導体、補酵素前駆体、炭水化物、タンパク質、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、少なくとも1つの成分をさらに含むことに特徴を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の剤。
【請求項15】
アルコール依存症及び又は精神賦活性物質に対する依存症の発生又は進行が起こることのできる条件において、予防的又は治癒的予防的目的を意図することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の剤。
【請求項16】
アルコール含有飲料及び/又は習慣性の能力を有する物質を使用することによって引き起こされる病理学的プロセスの進行をブロックし及び/又は予防し、及び/又は該プロセスの進行速度を低下させることを意図する医薬を製造するための、テトラヒドロイソキノリン(THIQ)の形成をブロック又は阻害する性質を有する式(1)により表される少なくとも1つの近接するジチオグリコールの使用。
【請求項17】
請求項16に記載の化合物の使用であって、以下の:
依存症の形成速度を減少させること;
禁断症候群の形成速度を減少させること;
禁断症候群の身体生長的症状の発現をブロック又は阻害すること;
禁断症候群の精神神経学的症状の発現をブロック又は阻害すること;
アルコール及び/又はPASに対する病的な誘引の形成をブロック又は阻害すること;
量的な制御を喪失する症状の形成をブロック又は阻害すること;
耐性の発達の阻害;
高耐性バックグラウンドに対する、器官の病理の進行の阻害;
高耐性バックグラウンドに対する、身体神経学的障害の進行を阻害すること;
高耐性バックグラウンドに対する、血管生長的、生長無力的障害の進行の阻害;
高耐性バックグラウンドに対する、精神病質様の、又は精神的障害の進行の阻害;
エタノール及び/又は他の摂取されたPASの強化性の性質を減少させること;
器官、特に脳、肝臓、心筋の病理の進行速度を減少させること;
身体神経学的障害の進行速度を減少させること;
精神病質様又は精神的障害の進行を阻害すること;
特に、アルコール性健忘症を予防し、認識−記憶機能の低下速度を減少させること;
から成る群から選ばれる、少なくとも1つの効果が達成されることに特徴を有する、前記使用。
【請求項18】
上記近接するジチオグリコールがユニチオール(DMPS)である、請求項16又は17に記載の使用。
【請求項19】
アルコール依存症及び/又は習慣性の能力を有する物質の摂取に対する依存症の発生又は進行を予防する剤としての、式(1)により表される、少なくとも1つの近接するジチオグリコールの使用。
【請求項20】
上記近接するジチオグリコールがユニチオール(DMPS)である、請求項19に記載の使用。

【公表番号】特表2007−521263(P2007−521263A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517011(P2006−517011)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/RU2004/000253
【国際公開番号】WO2005/002564
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(502236828)
【出願人】(506002269)
【Fターム(参考)】