説明

アルコール製造方法

【課題】
【解決手段】本発明は、セルロース系材料からのアルコールの製造方法に関し、前記方法は:含水酸を用いて前記セルロース系材料を加水分解することにより加水分解物を生成すること;水混和性有機抽出溶媒を用いて前記加水分解物から酸と水とを抽出し、(a)前記抽出溶媒を含有する第1の酸性水溶液と(b)糖を含有する残渣とを得ること;前記残渣をオリゴ糖開裂反応させ発酵性糖の水溶液を得ること;前記発酵性糖を発酵させ、生じた発酵混合液からアルコールを蒸留すること;前記第1の酸性水溶液を水不混和性液体である親油性溶媒と接触させ、第2の酸性水溶液と、前記抽出溶媒および前記液体溶媒の溶媒混合液とを得ること;前記溶媒混合液を分離し、リサイクルのための抽出溶媒を得ること;および、リサイクルのため前記第2の酸性水溶液から含水酸を分離することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セルロース系材料からのアルコール、特にエタノールまたはブタノールの製造方法、特にセルロースの酸加水分解を伴う方法の改良および当該方法に関する改良に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスを発酵させることにより製造されるアルコールは、急速に天然ガスや石油といった炭化水素の主要な代替物になってきている。植物種子(例えば、トウモロコシまたはサトウキビ汁)からのエタノールの製造が現在注目されているが、アルコールの需要が高いことから、食糧生産に向けられる土地面積の減少の恐れがある。出発原料としての植物種子の代わりとして望ましいものは、種子以外の植物原料、例えば、草、木、紙、トウモロコシの殻、わらなどである。この場合、まずセルロースおよびヘミセルロース(便宜上、本明細書では両者を単にセルロースと呼ぶ)を発酵性糖まで分解することによりエタノールが製造される。これは酵素を用いて行われてもよいが、強酸(例えば、硫酸や塩酸などの鉱酸)で加水分解することにより最も効率的且つ経済的に行われる。しかしながら、この方法でのアルコールの大規模商業生産においては、使用した酸の大部分を回収およびリサイクルしなければならない。
【0003】
WO02/02826(当該文献の内容は、参照により本明細書に援用される)(特許文献1)において、本発明者らは、加水分解物を有機抽出溶媒(例えば、メチルエチルケトン)と接触させることによって、固体のリグニンと析出した糖との分離を伴って、強酸が回収され、水と抽出溶媒と酸と数種類の溶解した糖とを含む酸溶液が得られる上記のようなエタノールの製造方法を提案した。そして、酸溶液中の抽出溶媒は真空下で留去されてリサイクルされ、酸と糖との水溶液が残り、この水溶液はさらに留去され、濃縮された酸/糖の混合物が得られ、これもまたリサイクルされる。
【0004】
WO02/02826に使用された加水分解物:抽出溶媒比(実施例1参照)は、約3:8であり、従って、リサイクルのための抽出溶媒の回収に必要なエネルギー量は、セルロース系原料を蒸留エタノールに変換するための全エネルギー需要量の大部分を占める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第02/2826号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
酸溶液を水不混和性液体である親油性溶媒と接触させ、一方は、支流であり、より濃縮された酸性水溶液、他方は、主流であり、主に、供給された酸溶液からの抽出溶媒と親油性溶媒との混合液である、二つの液体生成物流を生成することにより、抽出溶媒の回収を効率的且つかなり低いエネルギー需要量で行い得ることを我々は見出した。リサイクルに適した抽出溶媒流を得るために主流を整流するためのエネルギー需要量は、供給された酸溶液そのものを整流する場合に比べて、比較的少なく、濃縮された酸溶液流の整流は、更に小型の装置および/またはバッチ式に行うこともでき、これによっても、エネルギーおよびスペース需要の点でメリットが得られる。このようにして、抽出溶媒回収において、約50%以上の省エネを達成し得る。さらに、リサイクルされた抽出溶媒の含水量を著しく減少させ得る。
【0007】
したがって、1つの態様では、本発明は、セルロース系材料からのアルコールの製造方法を提供し、当該方法は:含水酸(aqueous acid)を用いて当該セルロース系材料を加水分解することにより加水分解物を生成すること;水混和性有機抽出溶媒を用いて当該加水分解物から酸と水とを抽出し、(a)当該抽出溶媒を含有する第1の酸性水溶液と(b)糖を含有する残渣とを得ること;当該残渣をオリゴ糖開裂反応に付して発酵性糖の水溶液を得ること;当該発酵性糖を発酵させ、生じた発酵混合液からアルコールを蒸留すること;当該第1の酸性水溶液を水不混和性、例えば、不水溶性液体である親油性溶媒と接触させ、第2の酸性水溶液と、当該抽出溶媒および当該液体溶媒の溶媒混合液とを得ること;当該溶媒混合液を分離し、リサイクルのための抽出溶媒を得ること;および、リサイクルのため当該第2の酸性水溶液から含水酸を分離することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明に係る装置の模式図である。
【図2】図2は、本発明に係る装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
親油性溶媒は、好ましくは、ハロカーボン、または炭化水素(例えば、アルカン、アルケン、アルキンまたは、例えば、ベンゼン、トルエン若しくはキシレンなどの低沸点芳香族炭化水素)、またはそれらの混合液である。使用するハロカーボンまたは炭化水素は、好都合には、炭素含有量が8原子まで、例えば、1〜6原子、特に5原子である。特に望ましくは、溶媒は、方法全体において一つ以上の工程にエネルギーを供給するため燃焼に適した可燃性物質である。特に好ましくは、液体または液状で市販されている物質、特に炭化水素または炭化水素混合液である。従って、親油性溶媒は、望ましくは、ヘキサン若しくはヘキサン混合液、ペンタン若しくはペンタン混合液、ブタン若しくはブタン混合液、プロパン、エタンまたは液化炭化水素ガス、例えば、液化石油ガス(LPG)または液化天然ガスである。液化ガスは、減圧により主流から揮発させてもよいが、その後のリサイクルの際には、液化することが必要となるためエネルギーを必要とする。従って、液化ガスを使用する場合、一般に、液化しリサイクルするのではなく、前記方法の一つ以上の工程にエネルギーを提供するために燃焼させる。更に、液化ガスは加圧貯蔵容器を必要とし、分離塔は耐圧性であることが要求される。そのため、周囲条件(例えば、20℃および1気圧)で液体である親油性溶媒の使用が好ましい。ペンタン混合液の使用が好ましい。ペンタンは、通常使用可能な抽出溶媒と共沸混合液を形成しないため、特に好ましい。
【0010】
1気圧での抽出溶媒および親油性溶媒の沸点は、それらを容易に分離できるよう、好ましくは、少なくとも10℃、とりわけ少なくとも20℃、特に少なくとも30℃離れている。抽出溶媒は、好都合には、前記二者のうち沸点の高い方である。
【0011】
親油性溶媒は、好ましくは、0〜80℃、とりわけ10〜60℃、特に15〜50℃の温度で第1の酸性水溶液と接触させる。使用する圧力は、採用する接触温度で親油性溶媒を液状に維持するのに十分な圧力とする。当該圧力は、既知でない場合、実験的に容易に求め得る。
【0012】
親油性溶媒と水/酸/抽出溶媒との接触は、好ましくは、向流分離塔内で行い、親油性溶媒を底部に供給し、水/酸/抽出溶媒を上部に供給し、抽出溶媒/親油性溶媒の主流を上部から排出し、水/酸の支流を底部から排出する。分離塔は、好ましくは、確実に完全に混合するようスタティック若しくはアクティブミキサーおよび/または偏向板を備えている。
【0013】
供給される流入酸性溶液と親油性溶媒の重量比は、好ましくは、7:1〜1:1、とりわけ5:1〜2:1、特に4:1〜3:1の範囲である。排出された主流および支流の重量比は、好ましくは同様の重量比であり、例えば、同様に7:1〜1:1、とりわけ5:1〜2:1、特に4:1〜3:1の範囲である。
【0014】
流出した主流は、好ましくは、例えば、温度上昇および/または圧力低下により連続的に分離される。特に好ましくは、採用する圧力は、親油性溶媒が、(例えば4〜25℃の)周囲水で冷却された場合再凝結する圧力である。得られた抽出溶媒流(下部生成物)は、一般に、加水分解物と抽出溶媒を接触させる分離塔にリサイクルするのに十分純粋なものである。得られた親油性溶媒流(上部生成物)も、一般に、リサイクルまたは燃焼させるのに十分純粋なものである。
【0015】
流出酸性水溶液流は、連続的に、または、より好ましくは、バッチ式に分離してもよい。分離は、高温および/または低圧、一般に、高温での蒸留により行われてもよい。得られた含水酸流(下部生成物)は、随意、濃縮した後、加水分解反応器にリサイクルしてもよい。得られた抽出溶媒流(上部生成物)は、燃焼させても、加水分解物を抽出溶媒と接触させる分離塔にリサイクルしてもよい。
【0016】
アルコール製造方法全体を、所望であれば、一連の製造場所、例えば、発酵性糖の製造を一つの場所で、発酵と蒸留を別の場所で行ってもよい。同様に、酸加水分解、酸除去および抽出溶媒除去を一つの場所で行い、オリゴ糖開裂と他の下流工程を別の場所で行ってもよい。したがって、別の態様では、本発明は、セルロース系材料からの発酵性糖の水溶液の製造方法を提供し、当該方法は:含水酸を用いて当該セルロース系材料を加水分解することにより加水分解物を生成すること;水混和性有機抽出溶媒を用いて当該加水分解物から酸と水を抽出し、(a)当該抽出溶媒を含有する第1の酸性水溶液と(b)糖を含有する残渣とを得ること;当該第1の酸性水溶液を水不混和性、例えば、不水溶性液体である親油性溶媒と接触させ、第2の酸性水溶液と、当該抽出溶媒および当該液体溶媒の溶媒混合液とを得ること;当該溶媒混合液を分離し、リサイクルのための抽出溶媒を得ること;および、リサイクルのため当該第2の酸性水溶液から含水酸を分離することを含む。
【0017】
別の態様では、本発明は、糖組成物の製造方法を提供し、当該方法は:含水酸を用いて当該セルロース系材料を加水分解することにより加水分解物を生成すること;水混和性有機抽出溶媒を用いて当該加水分解物から酸と水とを抽出し、(a)当該抽出溶媒を含有する第1の酸性水溶液と(b)糖を含有する残渣とを得ること;当該残渣を乾燥させ当該糖組成物を得ること;当該第1の酸性水溶液を水不混和性、例えば、不水溶性液体である親油性溶媒と接触させ、第2の酸性水溶液と、当該抽出溶媒および当該液体溶媒の溶媒混合液とを得ること;当該溶媒混合液を分離し、リサイクルのための抽出溶媒を得ること;および、リサイクルのため当該第2の酸性水溶液から含水酸を分離することを含む。
【0018】
本発明の方法で使用する酸は、任意の強酸でよいが、一般的にはリン酸または硫酸などの無機酸である。硫酸の使用が好ましい。塩酸の使用は、一般的に好ましくない。例えば、1:1〜4:1の体積比、特に約2:1の体積比での硫酸とリン酸の混合物の使用が特に好ましい。
【0019】
セルロース出発物質と接触させる酸溶液は、好ましくは、1:1〜4:1、特に約3:1の酸:水の重量比に相当する。セルロース系材料の強酸加水分解において従来から使用されている酸強度の酸溶液を使用してもよい。なお、所望の酸と水とのバランスが得られるように、酸と水を別々に加えてもよいし、最初に加える酸を希釈または濃縮してもよい。
【0020】
酸加水分解は、従来からの様式で行われてもよい。加水分解は、発熱反応であり、典型的には、加水分解混合液を50〜55℃に維持するように冷却(例えば、水冷)下で、連続的に行われる。酸溶液:セルロース系材料比は、典型的には、重量比で2:1〜4:1であり、加水分解の継続時間は、一般に、1〜4時間、特に約2時間である。このようにして、セルロースが分解され、抽出溶媒によって析出し得るオリゴ糖を生成し、リグニン/糖スラリーが得られる。
【0021】
本発明の方法で使用する抽出溶媒は、水と酸を吸収することにより糖を析出させることのできる任意の有機溶媒であってもよい。この溶媒は、典型的には、例えば、最高8個までの炭素を有するアルコール、エーテルまたはケトンである。例えば、WO02/02826に記載されているように、そのような溶媒の混合液も、勿論使用してもよい。メチルエチルケトンの使用が好ましい。
【0022】
加水分解物と抽出溶媒との接触は、好ましくは、抽出溶媒が下方から加えられ上方から除去され、加水分解物が上方から加えられ、リグニン/糖スラリーが下方から除去されるように、向流塔中で行われる。所望であれば、スラリーを抽出溶媒で洗浄してもよく、所望であれば、スラリーから液体を排除してもよく、所望であれば、スラリーを乾燥させてもよい。あるいは、スラリーは、糖を溶液化するために水を加えた後、オリゴ糖開裂工程に直接使用することができる。オリゴ糖開裂反応は、酵素的に、または、好ましくは酸加水分解により行ってもよい。実際には、未洗浄のスラリー中に保持された酸の残渣は、オリゴ糖開裂が上記のような第2の酸加水分解工程を介して進行するのに十分である。あるいは、例えば、糖溶液の酸含有量を最大で約0.1〜5重量%、とりわけ0.5〜2重量%、特に約1重量%まで上昇させるために、さらなる酸を加えてもよい。第2の酸加水分解に続いて、発酵に関与する微生物(一般的には酵母)に適したpHまで得られた加水分解物を中和しなければならないので、過剰に酸を加えることは望ましくない。この第2の加水分解は、オリゴ糖の従来の弱酸加水分解条件下、例えば、125〜155℃、特に約140℃の温度、2〜7バール、好ましくは5〜6バールの圧力、および約2時間の継続時間で行ってもよい。
【0023】
発酵の前に、好ましくは、水溶液中の発酵性糖をろ過し、リグニンをすべて回収する。このリグニンは、好ましくは、付随する発酵用の糖をすべて回収するために洗浄し、燃料(例えば、アルコール製造方法全体の1つ以上の工程のエネルギーを供給するための)として使用するために圧縮する。
【0024】
原料のセルロース系材料が稲わらである場合、リグニン/糖混合物は、シリカ微粒子を含むことになる。シリカ微粒子は、例えば、リグニンおよびシリカに対し異なる大きさのメッシュを使用し、ろ過により回収してもよく、あるいはリグニンを燃焼させた残渣から回収してもよい。このようなシリカ粒子は、例えば、塗料用添加剤、錠剤の製剤補助剤、または触媒担体(例えば、オレフィン重合用)として有用であり、シリカ粒子の採取および使用は、本発明の別の態様をなす。
【0025】
発酵工程で使用する微生物は、発酵性糖をアルコールに変換することができる任意の微生物(例えば、ビール酵母)であってもよい。しかしながら、好ましくは、ヘミセルロース加水分解により得られたペントースおよびセルロース加水分解により得られたヘキソースを変換することができる酵母または酵母混合物が使用される。このような酵母は市販されている。ペントースをアルコールに変換することができる微生物(例えば、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、特にP.スティピティスCBS6054)を、とりわけヘキソースをアルコールに変換することができるものと組み合わせて使用することが特に好ましい。ビール酵母(例えば、C.ベイジェリンキBA101)以外の微生物を使用して発酵が行われる場合、エタノール以外のアルコール、特にブタノールを製造することができ、当該アルコールもバイオ燃料として使用することができる。本発明は、このような他のアルコールの製造も包含する。
【0026】
蒸留は従来の様式で行ってもよい。
【0027】
本発明を使用して製造される糖は、パン酵母または他の微生物酵母により発酵または代謝され、グリセロール、アセトン、有機酸(例えば、酪酸、乳酸、酢酸)、水素、メタン、バイオポリマー、単細胞タンパク質(SCP)、抗生物質、および他の薬剤など様々な生物的に生成される化合物が得られる。糖上で増殖させた細胞から、特定のタンパク質、酵素、または他の化合物を抽出することもできる。糖は、さらに、生物学的手段ではなく化学的および物理的手段によって所望の最終生成物に変換されてもよく、例えば、キシロースの還流煮沸によってフルフラールが得られる。したがって、本発明は、アルコールに加えて、そのような他の生成化合物すべての製造も包含する。
【0028】
別の態様では、本発明は、本発明の方法に使用される装置を提供し、当該装置は:加水分解反応器;当該反応器から加水分解物を受け取り且つ糖スラリーを排出するように構成された第1のセパレーター;当該第1のセパレーターから抽出溶媒/水混合液を受け取り且つ(a)酸性水溶液と(b)抽出溶媒/親油性溶媒混合液とを排出するように構成された第2のセパレーター;当該反応器に酸を供給するように構成された酸貯留器;当該第1のセパレーターに有機抽出溶媒を供給するように構成された抽出溶媒貯留器;当該第2のセパレーターに水不混和性液体である親油性溶媒を供給するように構成された親油性溶媒貯留器;当該第2のセパレーターから抽出溶媒/親油性溶媒混合液を受け取り且つ(a)親油性溶媒と(b)抽出溶媒とを排出するように構成された第1の整流器;当該第2のセパレーターから酸性水溶液を受け取り且つ(a)濃縮された含水酸と(b)抽出溶媒とを排出するように構成された第2の整流器;および、当該第1のセパレーターまたは抽出溶媒貯留器に抽出溶媒を戻し、凝縮した含水酸を当該反応器または酸貯留器に戻すように構成されたリサイクル用導管を備えている。
【0029】
前記装置は、好ましくは、前記反応器にセルロース系材料を供給するための構成要素も備えている。好都合には、前記装置はまた、糖スラリーを下流で処理するための構成要素、例えば、別の加水分解反応器、残存する酸を中和するための塩基用の貯留器、発酵槽、および蒸留器具も備えている。個々の工程がバッチ式に行われる場合に上記方法を連続して実施可能にするために、装置内に個々の機器が2個ずつ備わっていてもよく、すなわち、そのような機器が並列に並んでおり、一方が作動している間に他方が充填/排出されるようなっていてもよい。これは、特に第2の酸加水分解工程、発酵工程、蒸留工程、およびリグニン分離工程に当てはまる。
【0030】
ビール酵母(例えば、C.ベイジェリンキ(beijerinckii)BA101)以外の微生物を使用して発酵を行う場合、エタノール以外のアルコール、特にブタノールを製造することができ、これらのアルコールもバイオ燃料として使用することができる。本発明は、このような他のアルコールの製造も包含する。
【0031】
本発明の実施形態を、以下の非限定的な実施例および添付の図面を参照しながらさらに説明する。
[図面の簡単な説明]
図1および図2は、本発明に係る装置の模式図である。
【0032】
図1を参照すると、木材パルプをエタノールに変換するための装置1が示されている。木材パルプ2は、ホッパー3から、木材パルプが反応器内に約2時間確実に滞留するように作動させる回転スクリューを有する加水分解反応器4に供給される。反応器は、加水分解混合液を約50〜55℃に維持するため水冷ジャケットを備えている。硫酸とリン酸と水とを、重量比2:1:1で、貯留器5および6、給水管7、並びに酸リサイクル用貯留器23から反応器4に供給する。反応器4からの加水分解物は、通過する流れを遅延させるための内部プレート9を有する向流分離塔8の上部に供給される。分離塔8の底部には、有機抽出溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)が貯留器59から導入される。分離塔8内において、水と酸は、抽出溶媒により取り込まれ、リグニンと析出した糖は、その分離塔の底部から連続ろ過器10に送られる。酸/水/抽出溶媒混合液は、分離塔8の上部から排出され、プレート58も備えた分離塔11に供給される。
【0033】
ろ過器10からの固体残渣は乾燥器12に送られ、次いで、乾燥したリグニン/糖混合物が水に溶解され、第2の加水分解反応器13へ送られる。ろ過器10からの液体は、分離塔11へ送られる。
【0034】
第2の反応器13では、140℃で2時間、5〜6バールにて更なる酸加水分解が行われる。この加水分解物は、ろ過器14中でろ過されリグニンが除去される(リグニンは、装置全体のエネルギーを供給するために圧縮および燃焼させる)。発酵性糖の残存溶液は、中和器15中にて炭酸カルシウムで中和された後、発酵器16に送られ、発酵器16でビール酵母が加えられ発酵させる。次いで、発酵混合液は蒸留器17に供給され、蒸留器17ではエタノールが管18を介して留去される。
【0035】
酸/水/抽出溶媒は、ペンタン貯留器19からのペンタン混合液と、分離塔11中で向流方式により接触させる。得られたペンタン/MEKの主流は、分離塔11から整流器20に導かれ、整流器20において、整流器28に供給される気体のペンタンおよび抽出溶媒を蒸留するのに十分な温度に上昇させる。整流器28では、ペンタンが留去され貯留器19にリサイクルされる。MEKは、管21を介して貯留器59にリサイクルされる。整流器20からの含水酸は、整流器22に供給され、整流器22では、MEKが留去され整流器20にリサイクルされる。バッチ式に整流器22を作動させることにより、まずMEKが留去され、次に水が留去されることにより濃縮された酸が残ることになる。溶解した糖をある程度含む残存する酸は、貯留器23へリサイクルされる。
【0036】
図2を参照すると、抽出塔30からの抽出溶媒が、「逆流抽出塔」31においていかにして炭化水素により酸から分離されるかが示されている。そして、酸は流下膜式蒸発器32内の加水分解反応器(図示せず)にリサイクルされる前に濃縮され、上部生成物が蒸留塔33に送られることにより抽出塔にリサイクルされる抽出溶媒流と、逆流抽出塔にリサイクルされる水流とが得られる。その後、抽出溶媒の殆どを含む逆流抽出塔からの炭化水素は、蒸留塔34に送られ、蒸留塔34では、それら二つが分離され、これもまたリサイクルされる。
【0037】
抽出塔における適切な理論段数は、マッケーブ‐シーレ線図(McCabe−Thiele diagram)から従来通り求めてもよい。
【0038】
図1および図2はいずれも、炭化水素を用いて抽出溶媒を取りだすための単一の抽出塔を示している。所望であれば、勿論、複数塔を直列に使用してもよい。
【実施例1】
【0039】
[酸加水分解、糖回収および発酵]
硫酸36.2g(38.1g、95%市販の酸)を、150.0gのリン酸と263.8gの硫酸とを含む1バッチ分の再循環希釈酸溶液に加えた。この溶液中の酸濃度を真空蒸発により58.9重量%まで上昇させた。
【0040】
この濃縮された酸溶液を、150.0gのバガスと混合し、機械的に撹拌しながら50℃で2時間温めた。
【0041】
得られたスラリーは、加水分解セルロースと固体のリグニンとを含んでおり、周囲温度まで冷却し、メタノール(4.5重量%)、イソプロパノール(4.4重量%)、2−ブタノン(85.3重量%)および水(5.8重量%)から成る抽出溶媒と混合した。
【0042】
固形微粒子(リグニン、析出した糖および残存する酸)と溶媒の混合液を、固相と抽出相とに分離し、後者は全鉱酸の大半(全酸の85.8%)を含んでいた。抽出物中の鉱酸の濃度は14.2重量%であった。
【0043】
その後、析出した糖を含む固相を洗浄することにより、固相中の酸含有量を更に低減させた。所望であれば、回収した洗浄液を抽出相に加えることもできるが、当実験においてはしなかった。
【0044】
この固相を水中に懸濁させ、残存する抽出溶媒を真空下留去した。溶解した糖と固体のリグニンとを含む懸濁液は、オートクレーブ内にて140℃で1.25時間温めた。冷却後、不溶解リグニンと糖溶液を、ろ過により分離した。糖含有ろ液の酸性度は、炭酸カルシウムでpH4.5に調節した。その後、析出した硫酸カルシウムを、ろ過により糖溶液から分離した。ろ過ケーキを水で洗浄し、ろ過ケーキ内に取り込まれた糖すべてを回収した。
【0045】
糖溶液のサンプル100.0mLを、水により0.3Lに希釈した。パン酵母0.5gを、この溶液に加え、この糖溶液を30度で発酵させることによりエタノールを得た。発酵後、この溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した。このエタノールの収量は、1.44mLと算出され、これは発酵前の発酵性糖20.3g/Lに相当する。
【0046】
それぞれ150.0gのバガスを加水分解した5つの後続実験から得られた糖溶液を合わせることにより得られたエタノール収量は、バガス1gにつき0.103mLであった。
【実施例2】
【0047】
[抽出相(I)からの抽出溶媒の分離]
水10.0gとシクロヘキサン40.0gを、実施例1で得た抽出相のサンプル99.9gに加えた。振盪により混合した後、この混合液を二つの液相に分離した。溶媒を含む有機相95.1gと低酸豊富な水相53.2gの各サンプルを炭酸カルシウムで中和し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。各相中の酸濃度は、酸塩基滴定により求めた。有機相中の水濃度は、カール・フィッシャー滴定により求めた。
【0048】
有機相への算出溶媒回収量は57.0gであり、これは抽出相サンプル中の全有機物の73.6重量%であった。
【0049】
有機相中の水濃度は1.0重量%であり、酸濃度は0.17重量%(抽出相サンプル中の全酸の3.3%)であった。
【0050】
酸の豊富な相の酸含有量は、13.11g(24.7重量%)であり、酸の豊富な相の有機物含有量は20.4g(38.3重量%)であり、水と残存する糖の混合含有量は19.7g(37.0重量%)であった。
【実施例3】
【0051】
[抽出相(II)からの抽出溶媒の分離]
実施例2で得た酸の豊富な相50.29gを、シクロヘキサン39.88gと混合した。この混合液を、残存する溶媒の大部分を含む有機相と酸の豊富な水相とに分離した。
【0052】
有機相45.51gと酸の豊富な水相41.98gの各サンプルを炭酸カルシウムで中和し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0053】
各相中の酸濃度は、酸塩基滴定により求めた。有機相中の水濃度は、カール・フィッシャー滴定により求めた。
【0054】
有機相への溶媒回収の算出画分は7.98gであり、これは、実施例2で得た酸の豊富な水相中の全有機物の41.4重量%である。有機相中の水濃度は0.18重量%であり、酸濃度は0.05重量%(実施例2で得た酸の豊富な相中の全酸の0.55%)であった。
【0055】
酸の豊富な相の酸含有量は12.3g(29.2重量%)であり、酸の豊富な相の有機物含有量は10.8g(25.7重量%)であり、水と残存する糖の混合含有量は18.9g(45.1重量%)であった。
【実施例4】
【0056】
[抽出相(III)からの抽出溶媒の分離]
実施例3で得た酸の豊富な相39.42gを、シクロヘキサン40.10gと混合した。この混合液を、残存する溶媒の大部分を含む有機相と酸の豊富な水相とに分離した。
【0057】
有機相41.52gと酸の豊富な相36.27gの各サンプルを炭酸カルシウムで中和し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。各相中の酸濃度は、酸塩基滴定により求めた。有機相中の水濃度は、カール・フィッシャー滴定により求めた。
【0058】
有機相への溶媒回収の算出画分は2.98gであり、これは、実施例3で得た酸の豊富な相中の全有機物の29.4重量%である。有機相中の水濃度は約0重量%であり、酸濃度は0.02重量%(実施例2で得た酸の豊富な相中の全酸の0.17%)であった。
【0059】
酸の豊富な相の酸含有量は11.1g(30.7重量%)であり、酸の豊富な相の有機物含有量は6.0g(14.1重量%)であり、水と残存する糖の混合含有量は20.2g(55.2重量%)であった。
【実施例5】
【0060】
[酸加水分解、糖回収および発酵]
酸300g(硫酸約180gおよびリン酸120g)を含む希釈再循環鉱酸を、72.4重量%の鉱酸に再度濃縮した。この濃縮した酸をバガス100.0gと混合し、機械的撹拌の下50℃で2時間温めた。得られたスラリーは、加水分解セルロースおよび固体のリグニンを含んでおり、周囲温度まで冷却し、イソプロパノール(15体積%)、2−ブタノン(80.0体積%)およびn−ペンタン(5.0体積%)から成る抽出溶媒と混合した。
【0061】
得られた固形微粒子(リグニン、析出した糖および残存する酸)と溶媒との混合液を、固相と全鉱酸の大部分(全酸の88.6重量%)を含む抽出相とに分離した。抽出相中の酸濃度は1.28M(約14重量%)であった。
【0062】
その後、析出した糖を含む固相を洗浄することにより、固相中の酸含有量を更に低減させた。
【0063】
この固相を水中に懸濁させ、残存する抽出溶媒を真空下留去した。溶解した糖と固体のリグニンとを含む残留懸濁液は、オートクレーブ内にて140℃で2.0時間温めた。冷却後、不溶解リグニンと糖溶液を、ろ過により分離した。ろ液の酸性度は、炭酸カルシウムでpH4.5に調整した。
【0064】
析出した硫酸カルシウムを、ろ過により糖溶液から分離した。ろ過ケーキを水で洗浄し、ろ過ケーキ内に取り込まれた糖すべてを回収した。
【0065】
パン酵母1.0gを、混合ろ液に加え、糖を30℃で発酵させることによりエタノールを得た。発酵後、この溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した。エタノールの収量は、13.72mLと算出された。
【実施例6】
【0066】
[抽出相(I)からの抽出溶媒の分離]
メタノール3.89gとn−ペンタン30.6gとを、実施例5で得た抽出相のサンプル90.4gに加えた。振盪により混合した後、その混合液を二つの液相に分離した。抽出溶媒を含む有機相66.8gと酸の豊富な水相52.8gの各サンプルを炭酸カルシウムで中和し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0067】
有機相への溶媒回収の算出画分は41.8gであり、これは全有機物の52.2重量%である。
【0068】
各相中の酸濃度は、酸塩基滴定により求めた。
【0069】
有機相中の酸濃度は、1.7重量%(抽出相サンプル中の全酸の8.9%)であった。
【0070】
酸の豊富な相の酸含有量は11.3g(21.3重量%)であり、酸の豊富な相の有機物含有量は38.8g(73.0重量%)であった。
【実施例7】
【0071】
[抽出相(II)からの抽出溶媒の分離]
実施例6で得た酸の豊富な相を、実施例6で得た有機相と混合した。その混合液の総重量は116.1gであった。水4.8gを混合液に加え、その混合液を激しく振盪した。その後、その混合液を酸の豊富な相と有機相とに沈降させた。
【0072】
抽出溶媒を含む有機相58.5gと低酸の豊富な相57.4gの各サンプルを炭酸カルシウムで中和し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0073】
有機相への溶媒回収の算出画分は41.8gであり、これは全有機物の48.6重量%である。
【0074】
各相中の酸濃度は、酸塩基滴定により求めた。
【0075】
有機相中の酸濃度は、0.9重量%(抽出相サンプル中の全酸の4.5%)であった。有機相中の水濃度は、ほぼ0重量%(カール・フィッシャー滴定により分析)であった。
【0076】
酸の豊富な相の酸含有量は11.5g(20.0重量%)であり、酸の豊富な相の有機物含有量は40.5g(70.0重量%)であった。
【実施例8】
【0077】
[抽出相(III)からの抽出溶媒の分離]
実施例7で得た酸の豊富な相56.0gを、n−ペンタン30.8gと混合した。その後、この混合液を酸の豊富な相と有機相とに沈降させた。
【0078】
抽出溶媒を含む有機相43.9gと酸の豊富な相41.5gの各サンプルを炭酸カルシウムで中和し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0079】
有機相への溶媒回収の算出画分は19.4gであり、これは、実施例7で得た酸の豊富な相中の有機物の48.0重量%である。
【0080】
各相中の酸濃度は、酸塩基滴定により求めた。
【0081】
有機相中の酸濃度は、0.1重量%(抽出相サンプル中の全酸の0.3%)であった。有機相中の水濃度は、ほぼ0重量%(カール・フィッシャー滴定により分析)であった。
【0082】
酸の豊富な相の酸含有量は10.9g(26.3重量%)であり、酸の豊富な相の有機物含有量は21.0g(50.0重量%)であった。
【実施例9】
【0083】
[抽出相(IV)からの抽出溶媒の分離]
実施例8で得た酸の豊富な相40.3gを、n−ペンタン30.4gと混合した。その後、この混合液を酸の豊富な相と有機相とに沈降させた。
【0084】
抽出溶媒を含む有機相34.1gと酸の豊富な相35.0gの各サンプルを炭酸カルシウムで中和し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0085】
有機相への溶媒回収の算出画分は5.3gであり、これは、実施例8で得た酸の豊富な相中の有機物の24.1重量%である。
【0086】
各相中の酸濃度は、酸塩基滴定により求めた。
【0087】
有機相中の酸濃度は、1.5重量%(抽出相サンプル中の全酸の4.6%)であった。有機相中の水濃度は、0.7重量%(カール・フィッシャー滴定により分析)であった。
【0088】
酸の豊富な相の酸含有量は10.5g(30.0重量%)であり、酸の豊富な相の有機物含有量は16.6g(47.0重量%)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース系材料からのアルコールの製造方法であって、前記方法は:含水酸を用いて前記セルロース系材料を加水分解することにより加水分解物を生成すること;水混和性有機抽出溶媒を用いて前記加水分解物から酸と水とを抽出し、(a)前記抽出溶媒を含有する第1の酸性水溶液と(b)糖を含有する残渣とを得ること;前記残渣をオリゴ糖開裂反応に付して発酵性糖の水溶液を得ること;前記発酵性糖を発酵させ、生じた発酵混合液からアルコールを蒸留すること;前記第1の酸性水溶液を水不混和性液体である親油性溶媒と接触させ、第2の酸性水溶液と、前記抽出溶媒および前記液体溶媒の溶媒混合液とを得ること;前記溶媒混合液を分離し、リサイクルのための抽出溶媒を得ること;および、リサイクルのため前記第2の酸性水溶液から含水酸を分離することを含む、アルコールの製造方法。
【請求項2】
セルロース系材料からの発酵性糖の水溶液の製造方法であって、前記方法は:含水酸を用いて前記セルロース系材料を加水分解することにより加水分解物を生成すること;水混和性有機抽出溶媒を用いて前記加水分解物から酸と水とを抽出し、(a)前記抽出溶媒を含有する第1の酸性水溶液と(b)糖を含有する残渣とを得ること;前記第1の酸性水溶液を水不混和性液体である親油性溶媒と接触させ、第2の酸性水溶液と、前記抽出溶媒および前記液体溶媒の溶媒混合液とを得ること;前記溶媒混合液を分離し、リサイクルのための抽出溶媒を得ること;および、リサイクルのため前記第2の酸性水溶液から含水酸を分離することを含む、発酵性糖の水溶液の製造方法。
【請求項3】
糖組成物の製造方法であって、前記方法は:含水酸を用いて前記セルロース系材料を加水分解することにより加水分解物を生成すること;水混和性有機抽出溶媒を用いて前記加水分解物から酸と水とを抽出し、(a)前記抽出溶媒を含有する第1の酸性水溶液と(b)糖を含有する残渣とを得ること;前記残渣を乾燥させ前記糖組成物を得ること;前記第1の酸性水溶液を水不混和性液体である親油性溶媒と接触させ、第2の酸性水溶液と、前記抽出溶媒および前記液体溶媒の溶媒混合液とを得ること;前記溶媒混合液を分離し、リサイクルのための抽出溶媒を得ること;および、リサイクルのため前記第2の酸性水溶液から含水酸を分離することを含む、糖組成物の製造方法。
【請求項4】
前記第2の酸性水溶液が蒸留により分離され、リサイクルのための前記含水酸を得る、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記親油性溶媒が、最高8個までの炭素原子を有するハロカーボンまたは炭化水素を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記親油性溶媒がペンタン混合液である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抽出溶媒と前記親油性溶媒の1気圧での沸点が、少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃離れている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
1気圧での前記抽出溶媒の沸点が、前記親油性溶媒より高い、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
先行する請求項のいずれか一項に記載の方法に使用される装置であって、前記装置は:加水分解反応器;前記反応器から加水分解物を受け取り且つ糖スラリーを排出するように構成された第1のセパレーター;前記第1のセパレーターから抽出溶媒/水混合液を受け取り且つ(a)酸性水溶液と(b)抽出溶媒/親油性溶媒混合液とを排出するように構成された第2のセパレーター;前記反応器に酸を供給するように構成された酸貯留器;前記第1のセパレーターに有機抽出溶媒を供給するように構成された抽出溶媒貯留器;前記第2のセパレーターに水不混和性液体である親油性溶媒を供給するように構成された親油性溶媒貯留器;前記第2のセパレーターから抽出溶媒/親油性溶媒混合液を受け取り且つ(a)親油性溶媒と(b)抽出溶媒とを排出するように構成された第1の整流器;前記第2のセパレーターから酸性水溶液を受け取り且つ(a)濃縮された含水酸と(b)抽出溶媒とを排出するように構成された第2の整流器;および、前記第1のセパレーターまたは抽出溶媒貯留器に抽出溶媒を戻し、凝縮した含水酸を前記反応器または酸貯留器に戻すように構成されたリサイクル用導管を備えている、装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−529903(P2012−529903A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515550(P2012−515550)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001120
【国際公開番号】WO2010/146331
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511267697)
【Fターム(参考)】