説明

アルツハイマー病の診断および治療

本発明は、アルツハイマー病ADと関連する新規な変異体およびADを診断するための手段としてのキットにおけるそれらの使用、さらに、新規な治療薬を同定するための核酸分子または細胞/細胞系、同定手段の標識におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルツハイマー病の発病についての新規な危険指標であるCLU/APOJ、PICALM、ABCA7、CR1、もしくはBIN1遺伝子座またはMS4A遺伝子クラスターにおける変異体およびさらに、それと共に、連鎖不平衡にある任意の一塩基多型(SNP)の同定に関し、本発明はまた、CLU/APOJ、PICALM、ABCA、CR1、もしくはBIN1遺伝子座またはMS4A遺伝子クラスターにおける前述の変異体についてアッセイするステップを含む、アルツハイマー病を発病する危険性またはその存在を診断するための方法にも関し、本発明はまた、前述の座またはクラスターを含む新規なスクリーニングツールにも関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、認知症の最も一般的な形態であり、それは、非常に遺伝的である(76%までの遺伝率)が、遺伝的に複雑である。神経病理学的に、疾患は、β−アミロイド(Aβ)を含有する細胞外老人斑および高リン酸化τタンパク質を含有する細胞内神経原線維変化によって特徴づけられる。4つの遺伝子が、その病因と決定的に関連した。アミロイド前駆体タンパク質(APP)遺伝子ならびにプレセニリン1および2遺伝子(PSEN1、PSEN2)の突然変異は、普通早期発症を伴う、疾患のまれなメンデル形態を引き起こす。しかしながら、ADのより一般的な形態では、アポリポタンパク質E(APOE)だけが、感受性遺伝子として明解に確証された。新規なAD座を同定することを目標として、少数のゲノムワイド関連解析(GWAS)が、本研究に先立って行われた。すべて、APOEに対する関連についての強力な証拠を同定したが、他の遺伝子を関連づける証拠はそれほど説得力がなかった1〜8。この結果は、他の一般的な表現型のGWASからの大多数の発見と一致している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
実際に、前のGWASの失敗により、APOE以外の任意の新規なAD座を同定するための方法としてGWASを避けて教示する偏見が当技術分野において生じた。こういった考えにもかかわらず、発明者らは、欧州および米国から共同研究コンソーシアムを設立し、発明者らは、ここから、19,000人までの対象の組み合わせの試料(精度管理前)を利用することができ、二段階の研究を行った。段階1において、Illuminaプラットフォーム上で14,639人の対象の遺伝子型を同定した。5,715の試料は、Illumina 610−quadchipを使用して本研究用に遺伝子型を同定し、残りの対象についての遺伝子型は、集団対照データセット(population control dataset)からまたは共同研究を通して発明者らに利用可能にし、Illumina HumanHap550またはHumanHap300 BeadChips上で遺伝子型を同定した。関連分析に先立って、試料および遺伝子型はすべて、厳密な精度管理を行い、これにより、53,383の常染色体SNPおよび2,850人の対象の排除がもたらされた。したがって、段階1において、発明者らは、11,789人までの対象における関連について529,205の常染色体SNPを試験した(3,941人のAD症例、7,848人の対照、このうちの2,078人は、高齢スクリーニング対照であった、表S1を参照されたい)。
【0004】
APOE座との既知の関連に加えて、GWA分析はゲノムワイド有意水準で2つの新規な座を同定した(図1を参照)。
【0005】
一方の新規なSNP、rs11136000は、染色体8上のクラスタリン(CLU、APOJとしても知られている)のイントロン内に位置し(p=1.4×10−9、OR=0.840)、他方のSNP、rs3851179は、染色体11上のホスファチジルイノシトール結合クラスリン集合体(PICALM)に対して88.5kb 5’側にある(p=1.9×10−8、OR=0.849)。そのため、明白に、どちらのSNPもコード部位に位置せず、したがって、同定されたタンパク質における変化の原因となる。そのため、それらは、遺伝子発現のレベルで一時的にまたは空間的に影響をもたらすかもしれず、これは、次には、転写レベルに影響するかもしれない。
【0006】
前の統計データは、説得力のある証拠を提供する。本明細書において同定された2つの新規な座およびそれらの対応するSNPは、非常に高レベルの可能性でアルツハイマー病と関連する。これは、アルツハイマー病を発病する見込みまたは状態の早期の段階におけるアルツハイマー病の存在を診断するための有力な断定ツールとしてこれらのSNPを使用することができることを意味する。
【0007】
段階2の試料(2,023人のAD症例、2,340人の対照)は、これらの新規な座の関連をさらに支援した(CLU組み合わせ p=8.5×10−10、OR=0.86;PICALM組み合わせ p=1.3×10−9、OR=0.86)。
【0008】
関連の源を機能的変異体に帰するための事前の試みにおいて、発明者らは、前の新規なSNPのどちらかと連鎖不平衡(LD)を通して相関したまたはもっともらしく機能効果を有するかもしれないそれぞれの座のさらなるSNPを同定するために公的に入手可能なデータを使用した。これらのマーカーは、段階2の試料を通して遺伝子型を同定された。CLU遺伝子における同義のSNP(rs7982)は、ゲノムワイド有意(GWS)SNPと強力なLDにあり(r=0.95)、全試料においてADとの関連について同様のレベルの証拠を示した(メタp=8×10−10;段階1遺伝子型が帰属した)。このSNPは、タンパク質のベータ鎖の一部をコードする、CLU遺伝子のエクソン5中にあり、予測されるエクソンスプライシングエンハンサーに影響を及ぼすかもしれない。いくつかの潜在的に機能的なSNPが、PICALM座で同定された。これらのうちの2つは、関連について好都合の証拠を示した;推定上の転写因子結合部位内にあるrs561655および予測されるエクソンスプライシングエンハンサーに影響を及ぼすかもしれない、遺伝子のエクソン5中の同義のSNPであるrs592297。
【0009】
クラスタリンの優性形態は、75〜80kDaの分泌ヘテロ二量体糖タンパク質である。単一コピー遺伝子は、染色体8p21〜p12上に約16kbにわたり、449アミノ酸一次ポリペプチド鎖に翻訳される、約2kbのmRNAをコード化する。クラスタリンは、すべての哺乳動物組織において発現され、クラスタリンレベルは、脳の傷害または慢性炎症を伴う、多くの病理学的状態において上昇するという強力な証拠がある。アルツハイマー病の脳において、クラスタリン発現は、AD症例の病変皮質分野において増加し、アミロイド斑および脳脊髄液中に存在することが報告されている。
【0010】
クラスタリンは、多機能分子である。それは、疾患の動物モデルにおいてAβの可溶性形態と相互作用し、特異的かつ可逆的な様式で可溶性Aβに結合して、血液脳関門を横断することが示されている複合体を形成する。興味深いことには、ApoEもまた、Aβに対して分子シャペロンとして作用するように思われ、それが凝集し、沈着する場合に影響を及ぼし、Aβのコンホーメーションおよび毒性に影響を及ぼす。同様の方法において、クラスタリンは、Aβの毒性および不溶性形態への変換の両方を調節するように思われる。さらに、ApoEおよびクラスタリンは、Aβ沈着を抑制する際に協力することが示されており、ApoEおよびクラスタリンは、血液脳関門でAβクリアランスを決定的に修飾するかもしれず、アミロイド形成経路におけるクラスタリンについての役割を示唆する。ApoEタンパク質のレベルは、APOE−ε4対立遺伝子量レベルに比例するように思われる、つまり、発現レベルは、ヘテロ接合体と比較して、ε4ホモ接合体において低下する。反対に、クラスタリンレベルは、APOE−ε4対立遺伝子量に比例して増加し、低ApoEレベルを有する個人におけるクラスタリンの誘発を示唆する。したがって、ADにおけるこの遺伝子の関与についての強力な統計的な証拠は、生物学的機能性の点からさらなる支援を有する。
【0011】
ADとの関連について説得力のある証拠を示すための第2の遺伝子座は、PICALMである(ホスファチジルイノシトール結合クラスリン集合体タンパク質;CALM:クラスリン集合体リンパ性骨髄性白血病遺伝子としても知られている)。PICALMは、ニューロンにおける顕著な発現と共にすべての組織型において広範に発現され、それは、シナプス前構造およびシナプス後構造に非選択的に分布する。PICALMは、栄養素、増殖因子、および神経伝達物質などのようなタンパク質および脂質の細胞内輸送における本質的なステップであるクラスリン媒介性エンドサイトーシス(CME)に関与することが示された。ADに対する関係のうちで、PICALMは、VAMP2の輸送を指図するのに関与するように思われる。VAMP2は、ニューロンの機能にとって重大なプロセスである神経伝達物質放出においてシナプス前膜に対するシナプス小胞の融合に顕著な役割を果たすSNAREタンパク質である。AD脳は、シナプスの数の低下を示す。立体解析学的および生化学的分析は、シナプスの密度におけるこの低下が、斑の蓄積よりもいっそうよく、認知障害と相関することを示した。より最近の分析は、AD脳内のシナプスが、目に見えて変性する前でさえ、それらは、機能不全であるかもしれないことを示す。そのため、発明者らは、PICALM機能における遺伝的に指示された変化が、おそらくシナプス小胞サイクリングを通してシナプスで混乱をもたらし、それによってADに対する危険性を増加させるということを仮定することができる。その代わりに、PICALMは、Aβレベルにおける変化をもたらすエンドサイトーシス経路を介してのAPPプロセシングを通してADの危険性に影響を及ぼす可能性がある。細胞培養実験は、完全長APPが、CMEによって細胞表面から回収され、エンドサイトーシスの阻害が、APP内部移行を低下させて、Aβ産生および放出を低下させることを示した。シナプス活性の増加は、シナプス小胞タンパク質のエンドサイトーシスの上昇に至ることが知られており、Cirritoらは、その後、シナプス活性の増加によって引き起こされるCMEの増加が、より多くのAPPをエンドサイトーシスコンパートメントの中に送り、Aβの産生および放出の増加をもたらすというin vivoにおける証拠を提供した。したがって、クラスタリンに関して、ADにおけるPICALMの関与についての強力な統計的な証拠は、生物学的機能性の点から支援を有する。
【0012】
発明者らはまた、GWASにおいて観察された有意な関連の観察数が偶然期待されるものを超えるかどうかを試験した。APOE、CLU、およびPICALM座内のSNPを除去し(方法を参照されたい)、発明者らは、関連について最大の証拠を示したものに注目した(p<1×10−5)。約13の独立したシグナルが観察された;4未満は、偶然期待されたであろう(p=7.5×10−6)。表2は、関連する座を示し、補体受容体1(CR1)遺伝子との関連について強力な証拠を提供する。シナプス小胞エンドサイトーシスに関与するタンパク質を産生するブリッジングインテグレーター(bridging integrator)1(BIN1)遺伝子もまた、注目に値する。したがって、これらのデータは、これらの遺伝子がADと関連するという強力な証拠を提供する。
【0013】
発明者らは、先に議論された段階2の試料を含む3,262人のAD症例および5,064人の対照を含む独立した試料においてADとの関連について最も有望な証拠を示したそれらのSNPを試験しようとした。4つのGWASデータセットのメタ分析からP<1×10−5を示したSNP(6,978人までの症例、13,903人の対照の組み合わせの試料)が、遺伝子型を同定のために選択された(方法を参照されたい)。独立した試料において関連について証拠を示したSNPについては(P<0.05)、分散逆数重みづけメタ分析において、利用可能なAD GWASデータをすべて組み合わせるためにさらなる共同体に交渉した(方法を参照されたい)。4つのSNPが、ADとの関連についてGWSの証拠を示した(表3を参照されたい);ABCA7内のrs3764650(P=7.3×10−10、OR=1.22)、MS4A遺伝子クラスターのrs670139(P=1.2×10−9、OR=1.12)、BIN1座のrs744373(P=2.1×10−12、OR=1.14)、およびCR1座のrs3818361(P=1.9×10−12、OR=1.17)10
【0014】
変異体rs3764650は、ATP結合カセット、サブファミリーA、メンバー7(ABCA7)遺伝子のイントロン13に位置する(図6)。ABCA7は、ATP結合カセット(ABC)輸送体をコード化し、ABC輸送体スーパーファミリーは、細胞膜を横切って広範囲の基質を輸送する役割を有する。ABCA7は、脳において、特に海馬のCA1ニューロンおよびミクログリアにおいて高度に発現される。ABCA7は、細胞からリポタンパク質粒子への脂質の流出に関与し、脳における主なリポタンパク質は、APOEであり、その後にCLUが続き、したがって、遺伝子相互作用についての証拠はここで観察されなかったが、ABCA7は、それらの影響を調整する際に役割を有するかもしれない(表S13を参照されたい)。さらに、ABCA7は、APを過剰発現する培養細胞において、APPプロセシングを調節し、β−アミロイド分泌を阻害することが示された。
【0015】
染色体11上のMS4Aクラスターにおける遺伝子(chr11: 59,570,863−59,863,681 (Build GRCh37/hg19))(図6)は、膜貫通ドメインを含むファミリーの他のすべてのメンバーと共通のゲノム構造を有し、それらが細胞表面タンパク質のファミリーの一部であろうということを示す。MS4A2は、高親和性IgE受容体のベータサブユニットをコード化する。PLAC1Lを含む、LDブロックにおける残る遺伝子は、知られている特異的な機能を有しない。
【0016】
BIN1(AMPH2、アンフィファイシンアイソフォーム2としても知られている)は、PICALMと協力して、受容体媒介性エンドサイトーシス(RME)において機能する。BIN1発現は、脳特異的ではないが、脳において豊富な発現を有するいくつかのアイソフォームがある。哺乳動物BIN1のノックダウンは、エンドソーム再利用を遅らせ、線虫における単一のアンフィファイシンアイソフォーム(AMPH1/AMPH2)オルソログの欠失変異株(Amph−1)は、不完全なエンドソーム再利用を示す。
【0017】
CR1は、主に、適応免疫に関与し、赤血球上に、とりわけ血管内の赤血球上に豊富に発現され、ニューロン上で検出されている。CR1は、補体が活性化されていることを認識すると、粒子および免疫複合体への細胞の結合を媒介する。CR1は、補体カスケードの負のレギュレーターとして作用し、免疫粘着および食作用を媒介し、古典的補体経路および補体第二経路の両方を阻害することができる。炎症のマーカーは、以前にADと関連づけられており、炎症プロセスは、病原性の一因として提唱されている。ADにおけるいくつかの推定上の炎症遺伝子(CLU、CR1、ABCA7、およびおそらく、MS4Aクラスターにおける遺伝子)の関与を示すデータは、疾患発病における炎症プロセスについての主要な役割を支援する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様によれば、そのため、アルツハイマー病を発病する見込みまたはその存在についてスクリーニングするまたは診断するための方法であって、
(a)試験されることとなる個人の人体から抽出された組織試料を提供するステップであって、組織試料は、染色体8上のクラスタリン(CLU、APOJとしても知られている)遺伝子を含有する少なくとも1つの座を含有するステップ、
(b)SNP rs11136000が存在するかどうかを同定するために上述の座を検査するステップ、および
(c)SNP rs11136000が存在する場合、試料を抽出した個人が、アルツハイマー病を発病する可能性が高いまたはそれに罹患しているという結論を下すステップを含む方法が提供される。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、アルツハイマー病を発病する見込みまたはその存在についてスクリーニングするまたは診断するための方法であって、
(a)試験されることとなる個人の人体から抽出された組織試料を提供するステップであって、組織試料は、染色体11上にPICALM遺伝子を含有する少なくとも1つの座を含有するステップ、
(b)SNP rs3851179が存在するかどうかを同定するために上述の座を検査するステップ、および
(c)SNP rs3851179が存在する場合、試料を抽出した個人が、アルツハイマー病を発病する可能性が高いまたはそれに罹患しているという結論を下すステップを含む方法が提供される。
【0020】
さらにまたはその代わりに、上記の方法のいずれかにおいて、染色体8上のクラスタリン(CLU、APOJとしても知られている)遺伝子または染色体11上のPICALM遺伝子への言及を、染色体1上の補体受容体1遺伝子(CR1)、染色体2上のブリッジングインテグレーター1遺伝子(BIN1)、染色体19上のATP結合カセット、サブファミリーA、メンバー7(ABCA7)、または染色体11 膜貫通4A(MS4A)遺伝子クラスターに置換し、かつ以下のSNP、rs1408077、rs6701713、またはrs3818361(CR1について);rs7561528またはrs744373(BIN1について);rs3764650(ABCA7について)、およびMS4A遺伝子クラスターについてrs670139、rs610932、rs676309、rs667897、rs662196、rs583791、またはrs1562990のいずれか1つが存在するかどうかを知るために上述の座を検査し、上述のSNPが存在する場合、試料を抽出した個人が、アルツハイマー病を発病する可能性が高いまたはそれに罹患しているという結論を下すことによって実施されてもよい。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、アルツハイマー病を発病する見込みまたはその存在についてスクリーニングするまたは診断するための方法であって、
(a)試験されることとなる個人の人体から抽出された組織試料を提供するステップであって、組織試料は、染色体8上にクラスタリン(CLU、APOJとしても知られている)遺伝子を、または染色体11上にPICALM遺伝子を含有する少なくとも1つの座を含有するステップ、
(b)SNP rs11136000、またはrs3851179が存在するかどうかを同定するために上述の座を検査するステップ、および
(c)SNP rs11136000、またはrs3851179が存在する場合、試料を抽出した個人が、アルツハイマー病を発病する可能性が高いまたはそれに罹患しているという結論を下すステップを含む方法が提供される。
【0022】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs11136000への言及は、位置chr8:27520436−27520436 (Build NCBI36/hg18)での、クラスタリン遺伝子のイントロン3におけるTからCへの塩基変化への言及である(転写変異体1;NM_001831.2;転写変異体2 NM_203339.1;転写変異体3 NM_001171138.1)(表S16を参照されたい)。このSNPのマッピングを図2に示す。
【0023】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs3851179への言及は、位置chr11: chr11:85546288−85546288 (Build NCBI36/hg18)での、PICALM遺伝子から85.5kb上流のTからCへの塩基変化への言及である(転写変異体1;NM_007166.2;転写変異体2;NM_001008660.1)(表S16を参照されたい)。このSNPのマッピングを図3に示す。
【0024】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs1408077への言及は、位置chr1:205870764−205870764 (Build NCBI36/hg18)での、CR1遺伝子のイントロン38におけるCからAへの塩基変化への言及である(表S16を参照されたい)。
【0025】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs6701713への言及は、位置chr1:205852912−205852912 (Build NCBI36/hg18)での、CR1遺伝子のイントロン31におけるGからAへの塩基変化への言及である(表S16を参照されたい)。
【0026】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs3818361への言及は、位置chr1:205851591−205851591 (Build NCBI36/hg18)での、CR1遺伝子のイントロン29におけるGからAへの塩基変化への言及である(表S16を参照されたい)。
【0027】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs7561528への言及は、位置chr2:127606107−127606107 (Build NCBI36/hg18)での、BlN1遺伝子から24.8kb上流のGからAへの塩基変化への言及である(転写変異体1;NM_139343.1;転写変異体6;NM_139348.1;転写変異体10;NM_139351.1;転写変異体2;NM_139344.1;転写変異体3;NM_139345.1;転写変異体8;NM_004305.2;転写変異体9;NM_139350.1;転写変異体7;NM_139349.1;転写変異体5;NM_139347.1;転写変異体4;NM_139346.1)(表S16を参照されたい)。
【0028】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs744373への言及は、位置chr2:127611085−127611085 (Build NCBI36/hg18)での、BlN1遺伝子から29.8kb上流のAからGへの塩基変化への言及である(転写変異体1;NM_139343.1;転写変異体6;NM_139348.1;転写変異体10;NM_139351.1;転写変異体2;NM_139344.1;転写変異体3;NM_139345.1;転写変異体8;NM_004305.2;転写変異体9;NM_139350.1;転写変異体7;NM_139349.1;転写変異体5;NM_139347.1;転写変異体4;NM_139346.1)(表S16を参照されたい)。
【0029】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs3764650への言及は、位置chr19:1046520−1046520 (Build GRCh37/hg19)での、ABCA7遺伝子のイントロン13におけるTからGへの塩基変化への言及である(NM_019112.3)(表S16を参照されたい)。このSNPのマッピングを図6に示す。
【0030】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs1562990への言及は、位置chr11:60023087−60023087 (Build GRCh37/hg19)での、MS4A4A遺伝子から25kb上流のCからAへの塩基変化への言及である(転写変異体2;NM_148975.1)(表S16を参照されたい)。
【0031】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs667897への言及は、位置chr11:59936979−59936979 (Build GRCh37/hg19)での、MS4A6A遺伝子から2kb上流のAからGへの塩基変化への言及である(転写変異体1;NM_152852.1)(表S16を参照されたい)。
【0032】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs76309への言及は、位置chr11:60001573−60001573 (Build GRCh37/hg19)での、MS4A4E遺伝子から4kb上流のAからGへの塩基変化への言及である(表S16を参照されたい)。
【0033】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs583791への言及は、位置chr11:59947252−59947252 (Build GRCh37/hg19)での、MS4A6A遺伝子のイントロン3におけるGからAへの塩基変化への言及である(転写変異体1;NM_152852.1;転写変異体2;NM_022349.2;転写変異体3;NM_152851.1)(表S16を参照されたい)。
【0034】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs662196への言及は、位置chr11:59942757−59942757 (Build GRCh37/hg19)での、MS4A6A遺伝子のイントロン5におけるGからAへの塩基変化への言及である(転写変異体1;NM_152852.1;転写変異体2;NM_022349.2;転写変異体3;NM_152851.1)(表S16を参照されたい)。
【0035】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs610932への言及は、位置chr11:59939307−59939307 (Build GRCh37/hg19)での、MS4A6A遺伝子の3プライム非翻訳領域におけるAからCへの塩基変化への言及である(転写1;NM_152852.1;転写2;NM_022349.2)(表S16を参照されたい)。このSNPのマッピングを図6に示す。
【0036】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs670139への言及は、位置chr11: 59971795− 59971795 (Build GRCh37/hg19)での、MS4A4E遺伝子から21kb上流のCからAへの塩基変化への言及である(表S16を参照されたい)。このSNPのマッピングを図6に示す。
【0037】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、上述の方法論は、その任意の組み合わせを含む、任意の1つまたは複数の以下の変異体を使用して試みられてもよい:
SNP rs11136000;SNP rs3851179;SNP rs1408077;SNP rs6701713;SNP rs3818361;SNP rs7561528;SNP rs744373;SNP rs7982;SNP rs561655;SNP rs592297;SNP rs3764650;SNP rs1562990;SNP rs667897;SNP rs676309;SNP rs583791;SNP rs662196;SNP rs670139およびSNP rs610932。
【0038】
好ましくは、本発明の上記の態様のいずれかにおいて、1つまたは複数の上述のSNPを同定するステップは、遺伝子型を同定するための当業者らによく知られている従来の遺伝子スクリーニング技術の使用を含む。たとえば、限定を伴うことなく、前述の方法は、興味のあるSNPに結合し、そのように検出する際に、上述のSNPの存在を表す検出可能なシグナルを発する適切に標識されたオリゴヌクレオチドの使用によって実施されてもよい。そのようなオリゴヌクレオチドの設計のための方法は、当業者らによく知られており、DNAの同定および標識においてルーチン的に実施される。さらに、当業者らは、表S16において提供される情報によって従来の様式でそのようなオリゴヌクレオチドを設計することができる。
【0039】
本発明の前述の態様のいずれかにおいて、上述の組織試料は、上記のステップ(b)を実行する前に増幅されてもよい。より好ましくは、さらに、上述の増幅された組織は、上記のステップ(b)を実行する前に酵素により断片化されてもよい。
【0040】
本発明のさらなる好ましい方法において、上述の相補的オリゴヌクレオチドは、固相または基質に付着されてもよくまたは結合されてもよく、上述の、任意選択で増幅され、断片化された組織試料は、上記の(b)において言及される検出ステップを実行する前に上述の固相に曝露されてもよい。
【0041】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の1つまたは複数の前述の方法を実施するためのキットであって、前記キットが、前述の座の少なくとも1つに相補的である少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチドが、対象とするSNPへの結合の際に検出可能なシグナルを発する適切な標識と共に提供されるか、前記オリゴヌクレオチドと組み合わせて使用することができる標識手段が共に提供され、それによって、前記SNPへのオリゴヌクレオチドの結合は、標識手段が前述の結合を検出することを可能にし、したがって、前記SNPの存在を表すシグナルを生成する、キットが提供される。
【0042】
好ましい実施形態において、前記オリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが、ビーズ、アレイ、または基質などの固体担体上に固定される。
【0043】
本発明のさらなる態様によれば、アルツハイマー病を発病する見込みまたはその存在についてスクリーニングするまたは診断するための方法であって、
(a)試験されることとなる個人の人体から抽出された組織試料を提供するステップであって、組織試料は、染色体8上にクラスタリン(CLU、APOJとしても知られている)遺伝子を、または染色体11上にPICALM遺伝子を含有する少なくとも1つの座を含有するステップ、
(b)それと連鎖不平衡にあるSNP rs11136000および/もしくはSNP rs7982;または、それと連鎖不平衡にあるSNP rs3851179および/もしくはSNP rs561655またはrs592297が存在するかどうかを同定するために前記座を検査するステップ、ならびに
(c)任意の1つまたは複数の前記SNPが存在する場合、試料を抽出した個人が、アルツハイマー病を発病する可能性が高いまたはそれに罹患しているという結論を下すステップを含む方法が提供される。
【0044】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs7982への言及は、2006年3月ヒト参照配列(NCBI Build 36.1)の位置chr2chr8:27518398−27518398での、クラスタリン遺伝子のエクソン5におけるAからGへの塩基変化への言及である(転写変異体1;NM_001831.2)(表S16を参照されたい)。
【0045】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs561655への言及は、2006年3月ヒト参照配列(NCBI Build 36.1)の位置chr11:85477927−85477927での、PICALM遺伝子から20.2kb上流のAからGへの塩基変化への言及である(転写変異体1;NM_007166.2)(表S16を参照されたい)。
【0046】
本発明の前の態様のいずれかにおいて、SNP rs592297への言及は、2006年3月ヒト参照配列(NCBI Build 36.1)の位置chr11:85403585−85403585での、PICALM遺伝子のエクソン5におけるCからTへの塩基変化への言及である(転写変異体1;NM_007166.2)(表S16を参照されたい)。
【0047】
本発明のさらなる態様によれば、その任意の組み合わせを含む、1つまたは複数の以下の変異体;
SNP rs11136000;SNP rs3851179;SNP rs1408077;SNP rs6701713;SNP rs3818361;SNP rs7561528;SNP rs744373;SNP rs7982;SNP rs561655;SNP rs592297;SNP rs3764650;SNP rs1562990;SNP rs667897;SNP rs676309;SNP rs583791;SNP rs662196;SNP rs670139およびSNP rs610932
を含む、任意の1つまたは複数の以下の座またはクラスター:CLU/APOJ、PICALM、ABCA7、CR1、またはBIN1、MS4Aを含む核酸分子が提供される。
【0048】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも1つの遺伝子座を含む、治療薬を同定するための研究ツール、標識手段、または同定手段であって、上述の座は、ADと関連する、1つまたは複数の上記に言及される座、すなわち、CLU、PICALM、CR1、BIN1、ABCA7、またはMS4A座およびより好ましくは、それと関連して上記に述べられるSNPを含む、治療薬を同定するための研究ツール、標識手段、または同定手段が提供される。
【0049】
本発明のさらなる態様によれば、潜在的な治療薬、標識手段、または同定手段が、ADを治療するまたはADと関連するマーカーを標識するもしくは同定するために使用することができるかどうかを試験するために使用される、1つまたは複数の本発明の遺伝子座および1つまたは複数の関連するSNPを含む細胞または細胞系が提供される。
【0050】
最も適切には、細胞または細胞系は、試験物質によるその修飾が、上述の物質の効能を決定するために使用することができる機能的なエンドサイトーシス経路、アポトーシス経路、補体経路、または自然免疫応答経路を含む。
【0051】
続く請求項および本発明の先の記載において、文脈上、用語または必要な意味を表現することになる他の意味に解すべき場合を除き、単語「含む(comprises)」または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などのような変形は、包括的な意味で使用される、つまり、本発明の様々な実施形態において、さらなる特徴の存在または追加を不可能にするためではなく、指定される特徴の存在を明示するために使用される。
【0052】
本明細書に引用される任意の特許または特許出願を含む参考文献はすべて、参照によってこれによって組み込まれる。いかなる参考文献も、先行技術を構成するという許可はなされない。さらに、先行技術のいずれも、当技術分野における共通の一般知識の一部を構成するという許可はなされない。
【0053】
本発明のそれぞれの態様の好ましい特徴は、他の態様のいずれかに関して記載されるとおりであってもよい。
【0054】
本発明の他の特徴は、以下の実施例から明白になるであろう。概して言えば、本発明は、本明細書(添付の請求項および図面を含む)において開示される特徴の任意の新規な特徴または任意の新規な組み合わせに及ぶ。したがって、本発明の特定の態様、実施形態、または実施例に関連して記載される特徴、整数、特質、化合物、または化学成分は、それと互換性がないわけではない限り、本明細書において記載される任意の他の態様、実施形態、または実施例に適用可能であることが理解されたい。
【0055】
さらに、その他に述べられない限り、本明細書において開示されるあらゆる特徴は、同じまたは類似する目的を果たす代替の特徴と交換されてもよい。
【0056】
本発明は、ここで、以下の受入番号および図に関して例証することとする。
受入番号
GenBank:CLUアイソフォーム1 mRNA、NM_001831.2;CLUアイソフォーム2 mRNA、NM_203339.1;CLUアイソフォーム3 mRNA、NM_001171138.1;PICALMアイソフォーム1 mRNA、NM_007166.2;PICALMアイソフォーム2 mRNA、NM_001008660.1;CR1アイソフォームS mRNA、NM_000651.4;CR1アイソフォームF mRNA、NM_000573.3;BlN1アイソフォーム6 mRNA、NM_139348.1;BlN1アイソフォーム10 mRNA、NM_139351.1;BlN1アイソフォーム2 mRNA、NM_139344.1;BlN1アイソフォーム3 mRNA、NM_139345.1;BlN1アイソフォーム8 mRNA、NM_004305.2;BlN1アイソフォーム1 mRNA、NM_139343.1;BlN1アイソフォーム9 mRNA、NM_139350.1;BlN1アイソフォーム7 mRNA、NM_139349.1;BlN1アイソフォーム5 mRNA、NM_139347.1;BlN1アイソフォーム4 mRNA、NM_139346.1;ABCA7 mRNA、NM_019112.3;PLAC1L mRNA、NM_173801.3;MS4A6E mRNA、NM_139249.2;MS4A3アイソフォーム2 mRNA、NM_001031809.1;MS4A3アイソフォーム1 mRNA、NM_006138.4;MS4A3アイソフォーム3 mRNA、NM_001031666.1;MS4A2アイソフォーム2 mRNA、NM_001142303.1;MS4A2アイソフォーム1 mRNA、NM_000139.3;MS4A6Aアイソフォーム1 mRNA、NM_152852.1;MS4A6Aアイソフォーム3 mRNA、NM_152852.1;MS4A6Aアイソフォーム2 mRNA、NM_022349.2;MS4A4Aアイソフォーム2 mRNA、NM_148975.1;MS4A4Aアイソフォーム1 mRNA、NM_024021.2。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】−log10 GWAS P値(Y軸)に対する染色体の位置(X軸)の散布図を示す図である。高度に有意な関連が、APOE座の付近のSNP(たとえばp=1.8×10−157を有するrs2075650)で観察されたが、Y軸目盛は、9.25(p=5.6×10−10)に制限されている。ゲノムワイド有意についての閾値(p≦9.4×10−8)は、赤色の水平線によって示される。p≦1×10−3を有する761のSNPは、青色の水平線の上に位置する。プロットは、Haploview v4.0を使用して生成した。(http://www.broad.mit.edu/mpg/haploview/)
【図2】CLU転写変異体1に基づくCLU遺伝子を示す図である。メガベースでの染色体位置を図の上部に示す。遺伝子図;水平な矢印は、転写の方向を示し、黒色のボックスは、遺伝子エクソンを示し、灰色のボックスは、UTRを示し、薄灰色のボックスは、転写変異体2特異的UTRを示す。GWA研究において遺伝子型を同定されたSNPの−log10(P)をチャートグラフで示し、GWS SNP rs11136000を示す。GWS SNP rs11136000およびrs7982のメタp値を点線によって示す。CEU HapMapデータによる、CLU遺伝子および周囲の領域(chr8: 27,502,817−27,535,944)のD’ LDブロック構造を、遺伝子型を同定されたSNPがそれぞれ示される場所を示す線と共に、図の下部に提供する。CLU転写変異体2は、転写変異体1のエクソン1または5’UTRを含有せず、さらに、転写変異体2において、エクソン2の半分は、UTRであることに注意されたい。
【図3】PICALM転写変異体1に基づくPICALM遺伝子を示す図である。メガベースでの染色体位置を図の上部に示す。遺伝子図;水平な矢印は、転写の方向を示し、黒色のボックスは、遺伝子エクソンを示し、灰色のボックスは、UTRを示し、薄灰色ボックスは、転写変異体2に特異的なエクソンを示す。GWA研究において遺伝子型を同定されたSNPの−log10(P)をチャートグラフで示しGWS SNP rs3851179を示す。GWS SNP(rs3851179)ならびにゲノムワイド有意性に近似する推定上の機能的変異体(rs592297およびrs561655)のメタp値を点線によって示す。CEU HapMapデータによるPICALM遺伝子および周囲の領域(chr11: 85,326,133−85,605,600)のD’ LDブロック構造を、図の下部に提供する。
【図4】異なるセットの対照を比較する場合の分位数−分位数プロットの例を示す図である。この例において、Illumina 610−quadchip上で遺伝子型を同定された英国およびアイルランドからのスクリーニング対照を、Illumina HumanHap550上で遺伝子型を同定された、1958年英国出生コホートからの対照と比較する。観察された関連χ検定統計量(Y軸)を、ヌル期待値下で期待されたもの(X軸)に対してプロットした。より高い値が観察されたが、Y軸は30に制限した。同等性の実線を示す。11の排除χ閾値を使用した(点線の水平線によって示す)。
【図5】ヌル期待値下で期待されたもの(X軸)に対して529,205の観察されたゲノムワイド関連χ検定統計量(Y軸)の分位数−分位数(Q−Q)プロットを示す図である。同等性の実線を示す。λ=1.037。B)APOE座の170のSNPの除去の後のQ−Qプロット。529,035のSNPが残る(λ=1.037)。
【図6】(a)ABCA7遺伝子および(b)MS4A遺伝子クラスターのメンバーを有する染色体領域chr11:59.81Mb−60.1Mbに関して報告された関連する変異体を示す図である。染色体位置は、図の上部に示す(Build GRCh37/hg19)。遺伝子図:水平な矢印は、転写の方向を示し、黒色のボックスは、遺伝子エクソン/UTRを示す。段階1において分析したSNPの−Log10(P)をチャートグラフで示す。SNP rs3764650(ABCA7)、rs610932(MS4A6A)、およびrs670139(MS4A4E)についての段階3の分散逆数重みづけメタ分析P値を示す。GERAD2試料において遺伝子型を同定されたABCA7座の非同義SNP rs3752246も示す(rs3764650とD’=0.89、r=0.36)。CEPH HapMapデータによるABCA7遺伝子および周囲の領域ならびにchr11:59.81Mb−60.1MbのD’ LDブロック構造を、Illumina 610−quad chip上で遺伝子型を同定されたSNPがそれぞれ示される場所を示す線と共に、それぞれの図の下部に提供する。
【発明を実施するための形態】
【0058】
材料および方法
試料確認および診断基準
研究は、4,957人のAD症例および9,682人の対照の段階1「発見試料」ならびに2,023人のAD症例および2,340人の対照の段階2「追跡調査試料」を含んだ。この研究に含まれた個人は、欧州および米国から得た。個人はみなコーカサス人の家系であった。すべてのAD症例は、高可能性(NINCDS−ADRDA、DSM−IV)または確定(CERAD)の基準を満たした。
【0059】
AD.この研究は、「高齢スクリーニング対照」および「集団対照」を使用した。高齢対照は、認知機能低下またはADの神経病理学的徴候についてスクリーニングした。「集団対照」は、入手可能なゲノムワイド関連データを有する大きな既存のコホートから得た。
段階1 発見試料:この後まとめて610群と呼ぶ、発見試料は、Illumina 610−quad chip上で、Sanger Instituteで遺伝子型を同定された4,113人の症例および1,602人の高齢スクリーニング対照を含んだ。これらの試料は、Medical Research Council (MRC) Genetic Resource for AD (Cardiff University;Institute of Psychiatry、London;Cambridge University;Trinity College Dublin)、Alzheimer’s Research Trust (ART) Collaboration (University of Nottingham;University of Manchester;University of Southampton;University of Bristol;Queen’s University Belfast;the Oxford Project to Investigate Memory and Ageing (OPTIMA)、Oxford University);Washington University、St Louis、United States;MRC PRION Unit、University College London;London and the South East Region AD project (LASER−AD)、University College London;University of Bonn、Germany、およびNational Institute of Mental Health (NIMH) AD Genetics Initiativeが募集した。これらのデータは、Mayo Clinic、Jacksonville、Florida;Mayo Clinic、Rochester、Minnesota;およびMayo Brain Bankによって確認された844人のAD症例および1,255人の高齢スクリーニング対照からのデータと組み合わせ、これらは、Illumina HumanHap300 BeadChipを使用して遺伝子型を同定した。これらの試料は、ADの前のGWASにおいて使用された。合計6,825人の集団対照が段階1に含まれた。これらは、1958年英国出生コホート(1958BC)(http://www.b58cgene.sgul.ac.uk)、Coriell Cell RepositoriesのNINDS資金提供神経遺伝学コレクション(Coriell)(http://ccr.coriell.org/を参照されたい)、KORA Study11、Heinz Nixdorf Recall Study1213、およびALS対照を含む、入手可能なGWASデータを有する大きな既存のコホートから得た。ALS対照は、Illumina HumanHap300 BeadChipを使用して遺伝子型を同定した。他のすべての集団対照は、Illumina HumanHap550 Beadchipを使用して遺伝子型を同定した。発見試料の臨床的特徴は、表S1において知ることができる。
【0060】
段階2 追跡調査試料:追跡調査試料は、2,023人のAD症例および2,340人の対照を含んだ。試料は、MRC genetic resource for AD、ART Collaboration、University of Bonn、Aristotle University of Thessaloniki、Memory Clinic and Department of Neurology、ZNA Middelheim、Antwerpenでの前向き臨床研究に由来するベルギー人の試料14、およびUniversity of Munichから得た。追跡調査試料の臨床的特徴は、表S2において知ることができる。
さらなる段階2試料;さらなる段階2試料は、ABCA7およびMS4A座の遺伝子型同定に使用した1,239人のAD症例および2,724人の対照を含んだ。試料は、ADについてのMRC遺伝子資源、ART Collaboration、University of Bonn、およびAristotle University of Thessalonikiから得た。全段階2追跡調査試料の臨床的特徴は、表S3において知ることができる。
【0061】
DNA抽出および研究所精度管理
DNAは、フェノール/クロロホルム抽出によってそれぞれの参加者からの血液試料から得、その後、エタノール中での沈殿およびTEバッファー中での保管を続けた(いくらかのDNAはQiagenキットを使用して抽出した)。最初のDNA濃度は、UV分光光度法(μQuantマイクロプレート分光光度計、Bio−Tek(登録商標)、Beds、UK)またはNanoDrop(商標)(Thermo Scientific、DE、USA)によって決定した。その後、それぞれの試料の濃度は、Labsystems Ascent Fluoroskan(登録商標)(LifeSciences Int.、Basingstoke、UK)において、PicoGreen(登録商標) dsDNA定量化試薬(Molecular Probes(登録商標)、Eugene、Ore.)を使用して決定した。その後、試料はそれぞれ、50ng/ulに希釈し、48時間、4℃で平衡化した。DNAの品質は、標準的な条件下でアガロースゲル電気泳動によって評価した。その後、分解が認められなかった試料は、メーカーのプロトコールに従って、MassARRAY(登録商標)およびiPlex(登録商標)システム(Sequenom(登録商標)、San Diego、CA)を使用して、30のSNPのパネルにおいて遺伝子型を同定した。これにより、GWASのために試料を再配置した後に、性別をチェックすることが可能になり、試料の身元確認が可能になった。
【0062】
段階1 遺伝子型同定(610群)
遺伝子型同定は、Sanger Institute、UKで実行した。精度管理(QC)を通過した、標準化された試料はすべて、96ウェルプレートフォーマットの中にBiomek(登録商標) FX Laboratory Automation Workstation(Beckman Coulter(登録商標), Inc.、Fullerton、CA)を使用して、GWASのために再配置した。試料当たり200ngの入力DNAを使用し、Illumina Infinium(商標)システム(Illumina(登録商標) Inc.、San Diego、CA、USA)を使用して遺伝子型を同定するために調製した。初めから終わりまでメーカーのプロトコールに従った。手短かに言えば、DNAは、一晩、等温で増幅し、その後、酵素により断片化し、アルコール沈殿し、再懸濁した。この研究において、発明者らは、キャピラリーフロースルーチャンバーにおいてハイブリダイゼーションのために調製したIllumina Human 610−Quad BeadChips (Illumina(登録商標) Inc.、San Diego、CA、USA)を使用した。増幅し、断片化したDNA試料は、Tecanロボットを使用してビーズチップにハイブリダイズし、酵素による塩基伸長を対立遺伝子特異性を付与するために使用した。チップは、続いて染色し、それぞれのビーズで蛍光を検出するためにiSCANリーダー(Illumina(登録商標) Inc.、San Diego、CA、USA)を使用してスキャンした。データは、Beadstudioにロードし、X、Y、X−Raw、およびY−Rawを含有する最終コールレポートが出力された。クラスター分析のためのIlluminusアルゴリズムは、遺伝子型コールのために使用した15
【0063】
段階1:個々の精度管理
4,113人のAD症例および1,602人の対照を、本研究の一部として、Illumina 610−quad chip上で遺伝子型を同定した(610群)。さらに、Illumina HumanHap550またはIllumina HumanHap300を使用して先に遺伝子型を同定された844人のAD症例および8,080人の対照を分析に含めた。これらの遺伝子型は、7つの異なる研究の一部として生成し、合計で8つの別個の群を作製した:1)610;2)Mayo;3)1958年出生コホート(Sanger);4)1958年出生コホート(T1DGC);5)ALS対照;6)Coriell対照;7)Heinz Nixdorf Recall (HNR)研究;8)Kora。発明者らが多数の供給源からの遺伝子型データを使用したために、データが組み合わされた場合に、群の間の特異な遺伝子型同定エラー率が偽性の関連をもたらし得るので、厳密なQCフィルターを適用することが重要であった1617。これらのフィルターは、PLINK v1.05において実行されるツールを使用して成績の悪い試料を除去するためにこれらの8つの群のそれぞれに別々に適用した(http://pngu.mgh.harvard.edu/〜purcell/plink)18。適用した特異的なQC閾値および群ごとに排除された試料の内訳は、表S4およびS5中にそれぞれ示す。発明者らは、ミッシング遺伝子型同定率>0.01を有する1,469人の個人を除去した。発明者らはまた、平均常染色体ヘテロ接合性に基づいてフィルターを適用し、経験的に決定した閾値を上回るまたは下回る値を有する578人の個人を排除した。報告された性別および遺伝子型により決定した性別の間に矛盾を有する71人の個人ならびに曖昧な、遺伝子型により決定した性別を有する22人の個人は、除去した。これらのQCフィルターを通過したすべての個人は、PLINKにおいて、個人のすべての可能性のあるペアについて家系による同一性(IBD)の推定値を計算し、IBD推定値≧0.125(近親について期待されるレベル)を有するそれぞれのペアのうちの一方を除去することによって、潜在的な遺伝子関連性について検査した。IBD推定値は、遺伝子型ミッシングデータ率≦0.01、Hardy−Weinberg P≧1×10−5、およびマイナー対立遺伝子頻度≧0.01を有する、Illumina 610、550、および300チップに共通であったSNPを使用して計算した。その結果、506人の個人を排除した(これがCoriellおよびALS対照群の両方に含まれていた311人の個人を含むことに注目されたい)。
【0064】
発明者らはまた、非ヨーロッパ人の家系を検出しようとした。この目的のために、すべてのコホートにおいて分類されたSNPからの遺伝子型データを、HapMapプロジェクトからの210人の無関係なヨーロッパ人(CEU)、アジア人(CHBとJPT)、およびヨルバ族(YRI)の試料からの同じSNPの遺伝子型とマージした。広範囲な領域の連鎖不平衡におけるSNPの除去に続いて(chr5:44−51.5 Mb;chr6: 25−33.5 Mb;chr8: 8−12 Mb;chr11: 45−57 Mb)19、50−SNPウィンドウ内のいかなるペアも、r>0.2を有する場合、発明者らはさらにSNPを除去した。ゲノムワイド平均の状態による同一性(IBS)の距離は、57,966のSNP(すべて遺伝子型ミッシングデータ率≦0.01、Hardy−Weinberg P≧1×10−5、および マイナー対立遺伝子頻度≧0.01を有する)に基づいて、結果として生じるデータセットにおけるそれぞれのペアの個人の間でPLINKにおいて計算した。IBS距離の結果として生じるマトリックスは、R v2.7.1(http://www.r−project.org)における古典的多次元尺度構成法(MDS)に入力として使用した。最初の二次元を抽出し、互いにプロットすると、3つのクラスターは、ヨーロッパ人の試料、アジア人の試料、およびヨルバ族の試料に対応して観察された。16の試料が、ヨーロッパ人のクラスターからの人種的アウトライアーであるように思われ、さらなる分析から排除した。
【0065】
発明者らは、遺伝的変異の連続的な軸を推論するために、EIGENSTRAT20において実行される主成分分析(PCA)を使用して、データ内の集団構造を評価した。固有ベクトルは、すべてのアレイに共通の57,966のSNPの先に記載されたLD除去サブセットに基づいて計算した。EIGENSTRATプログラムはまた、家系が、変異の上位10の軸のうちの1つの平均値から少なくとも6標準偏差である個人として定義される遺伝子のアウトライアーをも同定する。その結果、188のアウトライアーを同定し、排除した。試料QCの後に、3,941人のAD症例および7,848人の対照が分析に含まれた。
【0066】
段階1:SNP精度管理
常染色体SNPのみがこの分析に含まれた。個人は、このプロジェクトの一部として、Illumina 610−quad上で遺伝子型を同定したまたはIllumina HumanHap550またはIllumina HumanHap300アレイ上で先に遺伝子型を同定し、遺伝子型を発明者らに入手可能にした。SNPは、この研究に含める前に、いくつかの群から既にフィルタリングされて外されていたことに注意されたい。さらに、同じアレイの異なるバージョンが使用される場合(たとえば、1958年出生コホート(T1DGC)の遺伝子型を同定するために使用したHumanHap550v3アレイと比較した、1958年出生コホート(Sanger)コホートの遺伝子型を同定するために使用したHumanHap550v1)、両方のバージョンに共通のSNPのみがそのアレイ上に存在するものとして考慮した。そのため、発明者らの分析に含まれたSNPは、4つの異なるカテゴリーに分類された;1)3つのアレイすべてに共通で、すべての個人において遺伝子型を同定した266,714のSNP;2)610および550のアレイに共通しているが、300アレイ上に存在しないまたは300アレイ上で分類された個人における遺伝子型を有していない202,516のSNP;3)610および300のアレイに共通しているが、550アレイ上に存在しないまたは550アレイで分類された個人における遺伝子型を有していない7,744のSNP;4)610のデータにのみ遺伝子型を有する105,614のSNP(表S6を参照されたい)。
【0067】
発明者らは、ADとの真の関連を示すかもしれないマーカーを排除することなく、成績の悪いSNPを除去することを目標として、ミッシングデータ率およびHardy−Weinbergフィルターの効果を評価した。4つのSNPカテゴリーのそれぞれについて、マーカーは、症例または対照において、マイナー対立遺伝子頻度(MAF)<0.01またはHardy−Weinberg P≦1x10−5を有した場合、排除した。それらが症例または対照において>0.03の遺伝子型ミッシング率を有した場合、MAF≧0.05を有するSNPは排除した。0.01および0.05の間のMAFを有するSNPについて、0.01のより厳密な遺伝子型ミッシング率閾値を使用した。この基礎的なSNP QCの結果、43,542のSNPを排除した。
【0068】
先に記載されるように、10の主成分(PC)は、EIGENSTRATを使用して抽出した。PCが発明者らの試料内の集団構造を満たすかどうかを判断するために、発明者らは、共変数として0〜10の上位のPCを連続して含めて、ADとの関連についてロジスティック回帰テストを実行した。PCを含むインパクトは、ゲノムの対照インフレーション因子、λを計算することによって評価した21。発明者らは、共変数として最初の4つのPCを含むことがλに対する最大の影響を及ぼしたことを発見した(表S7を参照されたい)。
【0069】
第1種過誤率のインフレーションをもたらす可能性があるチップ間およびコホート間差異を最小限にするために、マイナー対立遺伝子頻度は、先に記載されるように共変数として上位の4つのPCを組み込んで、ロジスティック回帰分析を使用して、異なる群において対照の間で比較した。比較は、同じ地理的地域(つまりイギリス諸島、ドイツ、または米国)からの個人の間でのみ実行し、1)1958年出生コホート(Sanger)対1958年出生コホート(T1DGC);2)1958年出生コホート(SangerおよびT1DGCの組み合わせ)対610英国対照;3)1958年出生コホート(SangerおよびT1DGCの組み合わせ対ALS英国対照;4)610英国対照対ALS英国対照;5)HNRコホート対Koraコホート;6)610ドイツ対照対HNRおよびKoraコホートの組み合わせ;7)Mayo対照対ALS米国対照;8)Coriellコホート対MayoおよびALS米国対照の組み合わせ;9)610米国対照対MayoおよびALS米国対照の組み合わせ;10)610の米国対照対Coriellコホートを含んだ。さらに、比較2、4、6、7、9、および10の結果として、高齢スクリーニング対照は、非スクリーニング/集団対照と比較した。
【0070】
それぞれの4つのカテゴリーのSNPについて、分位数−分位数(Q−Q)プロットは、それぞれのコホート対照比較のために生成し、SNPを排除するために使用した有意性閾値は、観察されたχ統計量がヌル期待値から外れた場所に基づくものとした(表S8および図4を参照されたい)。さらに9,828のSNPをこれらの比較の結果として排除した。したがって、合計529,218のSNPを本研究におけるADとの関連について分析した。
【0071】
段階1 統計分析
SNPは、加法モデルを仮定して、ロジスティック回帰を使用し、ADとの関連について試験した。共変数は、地理的地域およびチップを考慮に入れるために、つまり、1)イギリス諸島からの個人、2)ドイツからの個人、3)610または550チップ上で分類された米国からの個人、4)300チップ上に分類された米国からの個人を識別するために、ロジスティック回帰分析中に含めた。対照のみを550チップ上で遺伝子型を同定したので、それぞれのチップの共変数を含むことは可能でなかった。同様に、2つのみが症例および対照の両方を含んだので(610およびMayo群)、8つの群のそれぞれについて共変数を含むことは可能でなかった。EIGENSTRATから抽出した最初の4つのPCもまた、先に記載されるように、共変数として含めた。分析の後に、130のクラスタープロットを、p値≦1×10−4を有するSNPについて視覚的に調査した。不十分なクラスターの形成を示す13のSNPは排除した。したがって、発明者らの分析は、529,205のSNPに基づくものであり、0.05/529205=9.4×10−8の控え目のゲノムワイド有意性閾値を使用した。試験結果のQ−Qプロットを図5に示す。全体的なゲノムの対照インフレーション因子、λは、1.037であると計算された。結果は、表S9において、p値≦1×10−4を有するSNPについて示す。症例および対照におけるマイナー対立遺伝子頻度の内訳を表S10においてゲノムワイド有意SNPについて示す。
【0072】
段階2 遺伝子型同定および統計分析
発明者らは、5つのヨーロッパ人のコホートからの症例および対照におけるSNPの遺伝子型を同定した(表S2およびS3に記載される)。遺伝子型同定は、メーカーの推奨に従って、MassARRAYおよびiPlexGOLDシステム(Sequenom、San Diego、CA)を使用して、Cardiffで実行した。分析はすべて、30の参照Centre d’Etude du Polymorphisme Humain (CEPH) 親−子供トリオにおける最適化に基づいて使用に先立って検証した。試料プレートは、症例、対照、およびブランク試料を含有した。精度管理手段は、試料同一性に対して盲検のおよび他の評価者に盲検の独立二重遺伝子型同定ならびに入手可能な場合、HapMap(www.hapmap.org)におけるものに対する発明者らのCEPH遺伝子型の比較を含んだ。さらに、GWASに含まれた231人の個人もまた、Sequenomプラットフォーム上で遺伝子型を同定した。発明者らは、両方のプラットフォーム上で分類された7つのSNPについて平均一致率を99%と計算した。すべての遺伝子型を同定したSNPは、追跡調査試料において遺伝子型コール度数率>90%を有し、どのSNPも、症例または対照においてHWE P値≦0.05を有していなかった。SNPは、加法モデルを仮定して、ロジスティック回帰を使用し、ADとの関連について試験した。共変数は、それぞれのコホート、つまり、1)ベルギー、2)MRC、3)ART、4)ボン、5)ギリシアを考慮に入れるためにロジスティック回帰分析に含めた。
【0073】
CLUおよびPICALMメタ分析
発明者らは、CLUおよびPICALM座のSNPについてのメタ分析における段階1および2からの遺伝子型データを含めた。さらに、発明者らは、TGEN研究、公的に入手可能なAD GWASデータセットからの遺伝子型データを使用した。この試料は、Affymetrix 500Kチップ上で遺伝子型を同定した861人のAD症例および550人の対照から構成される。対象とするSNPが発明者らのGWASまたはTGENデータセットにおいて遺伝子型を同定されなかった場合、PLINKにおいて遺伝子型を帰属させるための試みが、参照パネルとして60のHapMap CEU初代を使用してなされた。0.8を超える情報量計量値を有する帰属されたSNPのみを分析に含めた(PLINKウェブサイトを参照されたい)。SNPは、加法モデルを仮定して、ロジスティック回帰を使用し、ADとの関連について試験した。共変数は、段階1における地理的地域およびチップならびに段階2におけるコホートについて考慮するためにロジスティック回帰分析に含めた。TGEN試料に含めた共変数は、オランダBrain Bankからの試料および米国からの試料を識別した。メタ分析の結果は、表1および表S11に示す。
【0074】
ABCA7およびMS4Aメタ分析
発見メタ分析
発明者らは、ABCA7およびMS4A座のSNPについてのメタ分析における段階1および全段階2試料からの遺伝子型データを含んだ。さらに、発明者らは、加法モデルを仮定し、TGEN studyについて出身国共変数を含めて、ロジスティック回帰を使用して、ADに対する関連について社内で分析した、共に公的に入手可能なAD GWASデータセットであるTGEN(Translational Genomics Research Institute)22およびADNI(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)23研究からの遺伝子型データを使用した10。発明者らは、最初に、GERAD1、ADNI、およびTGENデータセットの分散逆数重みづけ固定効果メタ分析を実行した。その後、このメタ分析からのP値は、フィッシャーの組み合わせ確率検定を使用して、EADI1(European Alzheimer’s Disease Initiative Stage 1)24研究からの公的に入手可能なP値と組み合わせた(EADI1研究において遺伝子型を同定したすべてのSNPについて、オッズ比および分散は公的に入手可能でなく、したがって、すべての4つのGWASの分散逆数重みづけメタ分析を不可能にしたことに注目されたい)。組み合わせ分析は、496763の常染色体SNPを試験した。これらのSNPは、発明者らの段階1試料ならびにADNIおよびEADI1 GWA研究のそれぞれにおいてQCを通過し、52391のこれらのSNPもまた、遺伝子型を同定し、TGEN GWAS(他の研究と異なりAffymetrix500Kアレイを使用した)においてQCを通過した。組み合わせ分析において、61のSNPがP≦1×10−5でADと関連した(表S14を参照されたい)。
【0075】
すべての入手可能なデータの分散逆数重みづけメタ分析
発明者らの段階2試料において関連について証拠を示した5つのSNPについて(P<0.05)、概略のデータ(オッズ比および分散を含む)は、CHARGE(Cohorts for Heart and Aging Research in Genomic Epidemiology)25およびEADI1研究から得、すべてのデータ(つまり発明者らの段階1&2、EADI1、ADNI、TGEN、およびCHARGE)は、分散逆数重みづけ固定効果メタ分析において組み合わせた(11607人までの症例および31871人の対照の全試料)。コクランのQ−検定を実行し、Iは異質性を評価するために計算した。同じ方向の効果が、CR1 SNP rs3818361について分析したすべての研究において観察されたが、異質性のいくらかの証拠があった(コクランのQ検定 P=0.02、I=65%)。このSNPのランダム効果メタ分析もまた、比較のために実行した(表S15を参照されたい)。
【0076】
第2の分析
発明者らはまた、発症の年齢(AAO)との関係についてGWS SNPをも試験した。この目的のために、発症の年齢(年)は、線形回帰分析における従属変数として使用し、加法モデルを仮定した。AAOデータは、2,856人のAD症例について入手可能であった。共変数は、地理的地域およびチップを考慮するために、つまり、1)イギリス諸島からの症例、2)ドイツからの症例、3)610チップ上で分類された米国からの症例、4)300チップ上で分類された米国からの症例を識別するために、ロジスティック回帰分析に含めた。結果は、表S12に示す。
【0077】
さらに、発明者らは、少なくとも1つのAPOEε4対立遺伝子の存在/不在に基づいて試料を層別化した。発明者らは、6045人の個人についてAPOE遺伝子型データを有した;発明者らのε4−陽性試料は、2,203人のAD症例および632人の対照から成り、発明者らのε4−陰性試料は、1,446人の症例および1,764人の対照から成った。発明者らは、それぞれの小口試料においてADとの関連についてゲノムワイド試験を実行したが、どのSNPも、ゲノムワイド有意性を達成しなかった(データ示さず)。
【0078】
有意SNPの期待数
発明者らは、発明者らが、偶然期待されるよりも段階1でより有意なSNPを観察したかどうかを決定するために発明者らの結果を評価した。発明者らは、最初、危険性SNPの両側500kb以内のSNP、つまりrs429358(APOEε4 SNP)、rs11136000(CLU)、およびrs3851179(PICALM)を除去した。発明者らは、したがって、170の「APOE」SNP、290の「CLU」SNP、および257の「PICALM」SNPを排除した。528,448の残りのSNPのうち、発明者らは、発明者らが(15)において記載したアルゴリズムを使用して、397,224.7の「独立」検定を評価した。有意性レベルα=10−5の16の有意なSNPのうちで(APOE、CLU、およびPICALM SNPを排除)、発明者らは、12.6「独立」検定を評価した。発明者らは、二項分布を使用して、α=10−5レベルで、有意差検定の期待数の平均値(Nα=397224.710−5≒4.0)および分散(Nα(1−α)=3.97)を計算した。したがって、12.6の有意差検定を観察する可能性はP=7.5×10−6である。
【0079】
連鎖不平衡試験
新規なGWS座の予備的な分析:2つの関連する遺伝子領域(CLUおよびPICALM)内の関係をさらに調査するために、発明者らは、それぞれからさらなるSNPを選択し、これらは、どちらも段階1で関連についていくらかの証拠を示し(p≦0.001)、新規なGWSヒットと連鎖不平衡にある、推定上の機能的なSNPであった(D’>0.3)(表S11を参照されたい)。予測された機能的SNPは、PupaSuite(http://bioinfo.cipf.es/pupasuite/www/index.jsp)を使用して同定した26。これらは、独立した試料においてADとの関連について試験し、さらに、TGEN GWASにおいて関連についてチェックした。4つのさらなるSNPをCLU座から選択し、1つは段階1でいくらかの証拠を示し(rs7012010;p=8×10−4)、3つは推定上の機能的な有意性を有したが、段階1において分類されなかった(rs3087554、rs9331888、およびrs7982、表S11を参照されたい)。rs7012010は、本来の段階2試料において関連について証拠を示さず、TGENデータセット(p=0.033)においていくらかの証拠を示したが、GWSのメタ分析において有意レベルに達しなかった(p=1×10−4)。残りのSNPの2つは、関連について証拠を示さなかったのに対して、第3のrs7982、クラスタリンにおいてGWS SNPとの強力なLDにおける同義のSNP(HapMap CEU個人においてr=1;拡張試料においてr=0.95)は、同様の大きさの効果で本来の段階2試料において関連を示した(メタp=8×10−10;段階1遺伝子型が帰属した)。
【0080】
発明者らは、PICALM座から追跡調査のために8つのさらなるSNPを選択し、半分は、段階1において関連について有意な証拠を示し、半分はそれらの推定上の機能について選ばれた(表S11を参照されたい)。最初の4つのSNPのうちの3つは、本来の段階2およびTGENの試料の両方において関連について証拠を示し、4番目のものは、TGENデータセットのみにおいて関連を示した。rs677909、p=3×10−8;rs541458、p=5×10−9;rs543293、p=1×10−8;およびrs7941541 p=3×10−9のp値の組み合わせを生成しても、このうちのどれも、本来のGWS SNPを超えたものはなかった。これらのSNPはすべて、本来のGWS SNPと高いLDにあった。関連について好都合の証拠を示した、唯一の潜在的に機能的なSNPは、推定上の転写因子結合部位内にあるrs561655および推定上のエクソンスプライシングエンハンサーに影響を及ぼすかもしれない遺伝子のエクソン5において同義のSNPであるrs592297であった。しかしながら、これらのSNPのどちらも、rs3851179、GWS SNPについて観察された関連について証拠の強さを示さず、それぞれ、メタp=1×10−7およびp=2×10−7を生成した。
【0081】
結論
発明者らの結果は、本明細書において記載される遺伝子がADについての真の感受性遺伝子であるという説得力のある証拠を提供する。しかしながら、発明者らの発見のさらに印象的な暗示は、Aβ蓄積にとどまらない、さらなる疾患メカニズムについての支援である。3つ、おそらく4つの最近同定されたAD感受性の座(CLU、CR1、ABCA7&MS4A遺伝子クラスター)は、免疫系、特に古典補体経路において知られている機能を有する。さらに、PICALMおよびBIN1の両方は、クラスリン媒介性エンドサイトーシスに関与し、APOE、CLU、およびABCA7は、脂質プロセシングに関与する。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
【表4】

【0086】
【表5】

【0087】
【表6】

【0088】
【表7】

【0089】
【表8】

【0090】
【表9】

【0091】
【表10】

【0092】
【表11】

【0093】
【表12】



【0094】
【表13】

【0095】
【表14】

【0096】
【表15】

【0097】
【表16】

【0098】
【表17】



【0099】
【表18】


【0100】
【表19】

参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルツハイマー病を発病する見込みまたはその存在についてスクリーニングするまたは診断するための方法であって、
(a)試験されることとなる個人の人体から抽出された組織試料を提供するステップであって、組織試料は、染色体8上のクラスタリン(CLU、APOJとしても知られている)遺伝子または染色体11上のPICALM遺伝子を含有する少なくとも1つの座を含有するステップ、
(b)SNP rs11136000またはrs3851179が存在するかどうかを同定するために前記座を検査するステップ、および
(c)SNP rs11136000またはrs3851179が存在する場合、試料を抽出した個人が、アルツハイマー病を発病する可能性が高いまたは罹患しているという結論を下すステップを含む、方法。
【請求項2】
ステップ(a)において、クラスタリン(CLU、APOJとしても知られている)遺伝子またはPICALM遺伝子への言及を、染色体1上の補体受容体1遺伝子(CR1)、染色体2上のブリッジングインテグレーター1遺伝子(BIN1)、染色体19上のATP結合カセット、サブファミリーA、メンバー7(ABCA7)、または染色体11上の膜貫通4A(MS4A)遺伝子クラスターに置換すること、
ステップ(b)において、任意の1つまたは複数の以下のSNP、CR1におけるrs1408077、rs6701713、またはrs3818361;BIN1におけるrs7561528またはrs744373;ABCA7におけるrs3764650;およびMS4A遺伝子クラスターにおけるrs670139、rs610932、rs676309、rs667897、rs662196、rs583791、またはrs1562990が存在するかどうかを知るために前記置換された座またはクラスターを検査すること、ならびに
ステップ(c)において、前記1つまたは複数のSNPが前記置換された座に存在する場合に、試料を抽出した個人が、アルツハイマー病を発病する可能性が高いまたはそれに罹患しているという結論を下すこと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)において、さらに、以下の群、染色体1上の補体受容体1遺伝子(CR1)、染色体2上のブリッジングインテグレーター1遺伝子(BIN1)、染色体19上のATP結合カセット、サブファミリーA、メンバー7(ABCA7)、および染色体11上の膜貫通4A(MS4A)遺伝子クラスターから選択される少なくとも1つの座を含有する組織試料を提供すること、
ステップ(b)において、さらに、任意の1つまたは複数の以下のSNP、CR1におけるrs1408077、rs6701713、またはrs3818361;BIN1におけるrs7561528またはrs744373;ABCA7におけるrs3764650;およびMS4A遺伝子クラスターにおけるrs670139、rs610932、rs676309、rs667897、rs662196、rs583791、またはrs1562990が存在するかどうか知るために前記さらなる座を検査すること、ならびに
ステップ(c)において、前記1つまたは複数のSNPが存在する場合、試料を抽出した個人が、アルツハイマー病を発病する可能性が高いまたはそれに罹患しているという結論を下すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(b)において、さらに、またはその代わりに、rs7982、rs561655、またはrs592297が存在するかどうかを同定するために前記座が検査され、
ステップ(c)において、rs7982、rs561655、またはrs592297が存在する場合に、試料を抽出した個人が、アルツハイマー病を発病する可能性が高いまたはそれに罹患しているという結論を下すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
検査されることとなる遺伝子座またはクラスターに相補的な少なくとも1つの標識されたオリゴヌクレオチドが、前記SNPを検出するために使用され、前記オリゴヌクレオチドが、前記SNPに結合し、したがって検出する際に、前記SNPの存在を表す検出可能なシグナルを発する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記組織試料が、ステップ(b)を実行する前にPCR増幅される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組織が、ステップ(b)を実行する前に酵素により断片化される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記相補的オリゴヌクレオチドが、固相または基質に付着または結合し、前記組織試料が、ステップ(b)を実行する前に前記固相に曝露される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
アルツハイマー病を発病する見込みまたはその存在についてスクリーニングするまたは診断するためのキットであって、
染色体8上のクラスタリン(CLU、APOJとしても知られている)遺伝子、染色体11上のPICALM遺伝子、染色体1上の補体受容体1遺伝子(CR1)、染色体2上のブリッジングインテグレーター1遺伝子(BIN1)、染色体19上のATP結合カセット、サブファミリーA、メンバー7(ABCA7)、または染色体11上の膜貫通4A(MS4A)遺伝子クラスターを含む群から選択される少なくとも1つの座または遺伝子クラスターに相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチドが、1つまたは複数の以下のSNP、CLUにおけるrs11136000、PICALMにおけるrs3851179、CR1におけるrs1408077、rs6701713、またはrs3818361、BIN)におけるrs7561528またはrs744373、ABCA7におけるrs3764650;およびMS4A遺伝子クラスターにおけるrs670139、rs610932、rs676309、rs667897、rs662196、rs583791、またはrs1562990を検出することができ、さらに、前記オリゴヌクレオチドが、前記SNPに結合する際に検出可能なシグナルを発する標識を備える、キット。
【請求項10】
アルツハイマー病を発病する見込みまたはその存在についてスクリーニングするまたは診断するためのキットであって、
染色体8上のクラスタリン(CLU、APOJとしても知られている)遺伝子、染色体11上のPICALM遺伝子、染色体1上の補体受容体1遺伝子(CR1)、染色体2上のブリッジングインテグレーター1遺伝子(BIN1)、染色体19上のATP結合カセット、サブファミリーA、メンバー7(ABCA7)、または染色体11上の膜貫通4A(MS4A)遺伝子クラスターを含む群から選択される少なくとも1つの座または遺伝子クラスターに相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチドが、1つまたは複数の以下のSNP、CLUにおけるrs11136000、PICALMにおけるrs3851179、CR1におけるrs1408077、rs6701713、またはrs3818361、BIN1におけるrs7561528またはrs744373;ABCA7におけるrs3764650、およびMS4A遺伝子クラスターにおけるrs670139、rs610932、rs676309、rs667897、rs662196、rs583791、またはrs1562990を検出することができ、
さらに、前記キットが、前記オリゴヌクレオチドと組み合わせて使用される標識手段を含み、それによって、前記SNPへのオリゴヌクレオチドの結合は、標識手段が前述の結合を検出することを可能にし、したがって、前記SNPの存在を表すシグナルを生成する、キット。
【請求項11】
前記オリゴヌクレオチドが、固体担体上に固定される、請求項9または10に記載のキット。
【請求項12】
アルツハイマー病を発病する見込みまたはその存在についてスクリーニングするまたは診断するための方法であって、
(a)試験されることとなる個人の人体から抽出された組織試料を提供するステップであって、組織試料は、染色体8上のクラスタリン(CLU、APOJとしても知られている)遺伝子または染色体11上のPICALM遺伝子を含有する少なくとも1つの座を含有するステップ、
(b)CLUにおける、それと連鎖不平衡にあるSNP rs11136000および/もしくはSNP rs7982;またはPICALMにおける、それと連鎖不平衡にあるSNP rs3851179および/もしくはSNP rs561655またはrs592297が存在するかどうかを同定するために前記座を検査するステップ、ならびに
(c)任意の1つまたは複数の前記SNPが存在する場合に、試料を抽出した個人が、アルツハイマー病を発病する可能性が高いまたはそれに罹患しているという結論を下すステップを含む、方法。
【請求項13】
染色体8上のクラスタリン(CLU、APOJとしても知られている)遺伝子、染色体11上のPICALM遺伝子、染色体1上の補体受容体1遺伝子(CR1)、染色体2上のブリッジングインテグレーター1遺伝子(BIN1)、染色体19上のATP結合カセット、サブファミリーA、メンバー7(ABCA7)、または染色体11上の膜貫通4A(MS4A)遺伝子クラスターを含む群から選択され、さらに、任意の組み合わせを含む1つまたは複数の以下の変異体;SNP rs1136000;SNP rs3851179;SNP rs1408077;SNP rs6701713;SNP rs3818361;SNP rs7561528;SNPrs744373;SNP rs7982;SNP rs561655;SNP rs592297;SNP rs3764650、SNP rs670139;SNP rs1562990、SNP rs667897、SNP rs676309、SNP rs583791、SNP rs662196、およびSNP rs610932を含む、1つまたは複数の遺伝子座またはクラスターを含む核酸分子。
【請求項14】
染色体8上のクラスタリン(CLU、APOJとしても知られている)遺伝子、染色体11上のPICALM遺伝子、染色体1上の補体受容体1遺伝子(CR1)、染色体2上のブリッジングインテグレーター1遺伝子(BIN1)、染色体19上のATP結合カセット、サブファミリーA、メンバー7(ABCA7)、または染色体11上の膜貫通4A(MS4A)遺伝子クラスターを含む群から選択され、1つまたは複数の以下のSNP、CLUにおけるrs11136000、PICALMにおけるrs3851179、CR1におけるrs1408077、rs6701713、またはrs3818361、BIN1におけるrs7561528またはrs744373;ABCA7におけるrs3764650、およびMS4A遺伝子クラスターにおけるrs670139、rs610932、rs676309、rs667897、rs662196、rs583791、またはrs1562990をさらに含む、1つまたは複数の遺伝子座またはクラスターを含む細胞または細胞系。
【請求項15】
SNP rs7982;SNP rs561655;SNP rs592297をさらに含む、請求項14に記載の細胞または細胞系。
【請求項16】
機能的エンドサイトーシス経路、アポトーシス経路、補体経路、または自然免疫応答経路を含む、請求項14または15に記載の細胞または細胞系。
【請求項17】
治療薬、標識、または同定手段が、ADを治療する、ADをそれぞれ標識する、または同定するために使用することができるかどうかを試験するための、請求項14〜16のいずれか一項に記載の細胞または細胞系の使用。
【請求項18】
試験物質に前記細胞を曝露すること、および前記細胞のエンドサイトーシス経路、アポトーシス経路、補体経路、もしくは自然免疫応答経路に対する前記物質の効果または前記試験物質が、前記SNPを標識するもしくは同定することによって前記細胞を標識するもしくは同定する能力を観察することを含む、請求項17に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−531195(P2012−531195A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516841(P2012−516841)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001208
【国際公開番号】WO2011/001135
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(501125275)ユニバーシティ カレッジ カーディフ コンサルタンツ リミテッド (5)
【Fターム(参考)】