説明

アルミニウム−繊維積層材

典型的な繊維金属積層物は、少なくとも2つの金属層と、該2つの金属層の間に結合された少なくとも1つの繊維層とを含む。該繊維層は、樹脂マトリックスと、約270GPaより大きな弾性係数を有する有機ポリマー繊維とを含む。該ポリマー繊維は、ポリジイミダゾピリジニレン繊維を含み得る。該金属層は、前処理されたアルミニウム合金層を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、総じて複合材料に関し、より具体的には繊維強化積層材に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
一般に航空機などの装備は構造及び外板材料にアルミニウム合金を用いる。航空機の重量を減らすことが望ましいため、軽量の複合材料を用いることも航空機にとって一般的になってきた。これらの軽量複合材料には、繊維金属積層材(FML)がある。一例として、複合アルミニウム‐繊維積層材及び他の金属‐繊維積層材が開発されており、それらは、アルミニウム又は他の金属の層間に散在させた炭素及びガラス繊維層を用いている。多くのより低い弾性率の繊維は、アルミニウムとガルバニック反応(電気化学的腐食反応)を起こさない。しかし、積層材に繰り返し荷重がかけられるとき、ガラスなどの低い弾性率の繊維は、多くの場合、アルミニウム層に過度の応力を与えたり、アルミニウム層を疲労させたりする可能性なく大きな荷重を支えるには、十分に高い弾性係数を有さないおそれがある。
【0003】
高強度特性を有する繊維、例えば高弾性率の繊維を用いることが望まれる。しかし、グラファイトなどの弾性率が高い繊維は、多くの場合、積層材において金属とガルバニック反応を起こす。
【0004】
従って、従来技術では、弾性係数が高くかつガルバニック反応性が低い繊維を有する繊維金属積層材がいまだに求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の要約
本発明の実施形態は、弾性率が高くかつガルバニック反応性が低い繊維を有する繊維金属積層材を提供する。該繊維金属積層材は、アルミニウム‐繊維積層材であることが有利である。本発明の繊維金属積層材は、適度に高い強度特性及び低いガルバニック反応性を有し、そのため、航空機などの装備の構造及び外板材料によく適するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の典型的実施形態は、繊維金属積層材を提供する。少なくとも2つの金属層が設けられ、かつ、少なくとも1つの繊維層が該2つの金属層の間に結合される。該繊維層は、樹脂マトリックスと、約270GPaより大きな弾性係数を有する有機ポリマー繊維とを含むことが適当である。
【0007】
本発明のさらなる態様に従って、該ポリマー繊維は、ポリジイミダゾピリジニレン繊維を含み得る。本発明の他の態様に従って、該金属層は、前処理されたアルミニウム合金層を含み得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
発明の詳細な説明
包括的に、本発明の典型的な実施形態は、繊維金属積層材を提供する。少なくとも2つの金属層が設けられ、かつ、少なくとも1つの繊維層が該2つの金属層の間に結合される。該繊維層は、樹脂マトリックスと、約270GPaより大きな弾性係数を有する有機ポ
リマー繊維とを含むことが適当である。
【0009】
本発明のさらなる態様に従って、該ポリマー繊維は、ポリジイミダゾピリジニレン繊維を含み得る。本発明の他の態様に従って、該金属層は、前処理されたアルミニウム合金層を含み得る。
【0010】
図1を参照して、典型的で非限定的な繊維金属積層材10は、4つの金属層24と3つの繊維層20とを含む。各繊維層20は、2つの金属層24の間に結合される。この非限定的な例において、積層材10は7つの層を含む。外側の2つの層は金属層24である。しかし、当然のことながら、特定の用途に応じて任意の数の層を設けることができる。
【0011】
非限定的な具体例として、一つの好ましい実施形態において、金属層24は約0.004インチ〜約0.025インチの厚みの熱処理可能なアルミニウム合金箔層を含む。下記の図4Bについてさらに説明するように、より厚い箔の層を用いてもよい。金属層24は、金属層24内の箔部分25の間に突き合せ接合部26を含み得る。また、繊維層20も、適宜、突き合せ接合された部分(図示せず)を含むことができ、これにより、意図する積層材10の用途に応じて、積層材10を大きなシートに製造することができる。金属層24用の適当なアルミニウム合金箔には、2000系、5000系、6000系、及び7000系(限定されることなく例えば、2024、7075、及び7055を含む)の熱処理可能なアルミニウム合金及び熱処理可能でないアルミニウム合金がある。他の適当な金属箔は、チタン及び高強度ステンレス鋼を含み得る。
【0012】
金属層24を繊維層20と共に使用することにより、単純な繊維複合積層材とは対照的に、主に引っ張り荷重にさらされる構造物及び外板に対し、クロスプライをほとんど又は全く用いないことが可能になる。金属層24は、金属層24の面におけるすべての方向においてほぼ等しく応力を支える一方、繊維層20は、典型的に、繊維22に斜めの方向よりも、繊維22に概して平行な方向に、実質的により高い強度を示す。また、積層材10における金属層24は、導電性、防湿性、耐候性、及び耐損傷性の利点を付加する。金属層24は、繊維層20単独よりも、鋭利なものに対してより大きな抵抗力を示し、そして、他のものから衝撃を受けたとき、目に見える衝撃損傷を示す。図1において、複数の繊維層20はすべて、同じ方向に並べられた繊維22を有する。明らかなように、高い剪断剛性が必要な領域(例えば、航空機の翼及びある胴体の領域)において、繊維22を、互いに対して任意の角度(例えば、一次応力の方向に対して45°)で並べることができる。
【0013】
繊維層20は、アルミニウムとガルバニック反応を起こさない非常に高い弾性率のポリマー繊維を含むことが有利である。高弾性率繊維22は、積層材10にかかる応力のほとんどを支える一方、金属層24への過度の応力及び疲労を最小限にする。非常に高い弾性率の非反応性ポリマー繊維によって、積層材10は、わずか約10重量%〜約40重量%の金属とすることができる。同時に、例えば、複合的な負荷に対してさらに多方向の応力を支える能力が必要な領域(例えば、構造継手)に対し、積層材10は、10体積%〜50体積%の金属とすることができる。
【0014】
1つの好ましい実施形態において、繊維層20は、ポリマー繊維22を保持する樹脂マトリックス(図示せず)を含む。樹脂マトリックスは、多くの場合、熱硬化性材料であり、これは、積層材の熱硬化を可能にする。典型的な樹脂マトリックスには、例えば、熱硬化性のエポキシ類及び樹脂類(例えば、Toray 3900‐2、Cytec CYCOM 934、及びHexcel F155)、ビスマレイミド系接着剤(例えば、Cytec 5250‐4)、並びにシアン酸エステル類(例えば、Stesalit PN‐900)があるが、これらに限定されるものではない。マトリックス樹脂は、典型的に
熱硬化させることができる。該樹脂は、繊維22とともに「プレプレグ」にすることができ、これは、多くの場合、繊維22の複数の層を含む予め組立てられた予備含浸層である。複数の又は多数のプレプレグ(図示せず)によって繊維層20を形成してもよい。
【0015】
有利には、本発明の好ましい一実施形態において、積層材10は、約270GPaを超える弾性係数を有する非常に弾性率の高い非反応性ポリマー繊維22を含む。非常に高い弾性係数を有する典型的な非反応性繊維には、ポリ2,6‐ジイミダゾ[4,5‐b4’,5’‐e]ピリジニレン‐1,4(2,5‐ジヒドロキシ)フェニレン類(PIPD)(例えば300GPaを超える弾性係数を有するM5ファイバー(Magellan Systems International製))があるが、これに限定されるものではない。非反応性で弾性係数が非常に高い他のポリマーには、ポリ(p‐フェニレン‐2,6‐ベンゾビスオキサゾール)(PBO)(例えば、ザイロン(Zylon)(東洋紡績株式会社(大阪、日本)製))がある。繊維22は、典型的に、並べて集められ、樹脂マトリックス中に埋め込まれて繊維層20を形成する。
【0016】
好ましい実施形態において、金属層24は、積層材10の組立て中に、繊維層20に結合される。積層材10を組立て、そして、熱硬化時に圧力下で保持する際、繊維層20は、適当に、それ自身を金属層24に結合することができる。しかし、必要に応じて、繊維層20と金属層24との結合強度を高めることができ、それは、限定されることなく例えば、金属層24の前処理によって、また、金属層24と繊維層20との間で接着剤を別途用いることにより、行うことができる。
【0017】
必要に応じて繊維層20と金属層24との間の結合強度を高めるための必要に応じた適当な接着剤には、熱硬化エポキシ類(限定されることなく、例えば、Applied Poleramic,Inc. MSR‐355 HSC及びApplied Poleramic,Inc. MSR‐351)がある。これらのエポキシ類(図示せず)は、繊維層20と金属層24との間で相間接着剤として働く。
【0018】
繊維層20への接着力を高め、それにより積層材10の強度及び耐久性を高めるため、金属層24自身を、適宜、前処理することができる。適宜、前処理には、種々の金属前処理(酸又はアルカリによるエッチング、化成被覆、リン酸陽極酸化などを含む)が含まれ得る。そのような前処理は、表面粗さを増加させることができ、それにより、接着剤とのより強い物理的結合を促進することができる。あるいは、そのような前処理は、接着剤とのより良い化学的結合を促進することができる。一つの好ましい実施形態において、金属層24にゾル‐ゲルコーティングを施すさらに別の前処理を、積層材10の組立ての前に用いることができる。そのようなゾル‐ゲル法は一般に、無機高分子ゾルを形成するため、無機又は有機金属の前駆体を用いる。ゾル‐ゲルコーティングには、ジルコニウム‐シリコーンコーティング、例えば、Blohowiak,et al.、米国特許第5,849,110号、米国特許第5,869,140号、及び米国特許第6,037,060号(これらの内容はすべて、この引用により本明細書に記載されたものとする)に記載されるものがある。得られる無機高分子ゾルコーティングは、金属層24と繊維層20との間で相間層として働き、その際、それらが互いに結合される。また、前処理は、グリットブラスト仕上げを含み得る。グリッドブラスト仕上げにより、適宜、金属層24中の合金を冷間加工することもできる。さらに典型的な前処理は、適宜、熱処理及び湿式ホーニング仕上げを含み得る。
【0019】
明らかなように、積層材10に金属層24を含ませることにより、繊維層20の繊維22すべてを整列させることができる。典型的に、金属層24を含まない複合材では、10%‐90°則が適用される。周知のとおり、これは、複合材において、約10%の繊維を応力の主軸に対して90°配向させることを意味する。応力の主軸に対して90°で配向
した10%の繊維は、複合材の剪断において分解を防ぐ。金属層24が高弾性率の非反応性ポリマー繊維22のような繊維層20と組み合わされるとき、一次応力に対して90°で配向する繊維22を0%まで低くすることができる。従って、すべての繊維22がある共通の方向に並べられた積層材10は、さらなる材料やクロスプライを含む製造工程を用いることなく、有利に組立てることができ、利用することができる。
【0020】
好ましい実施形態において、必要であれば、上述したようにまず金属層24を前処理することにより、積層材10を組立てることが適当である。次いで、複数の金属層24の間に繊維層20を散在させる。接着剤(図示せず)を、金属層24と繊維層20との各境界に塗布する。得られる積層物を真空バッグに入れる。この真空バッグをオートクレーブに投入する。真空バッグに真空をかけ、オートクレーブを加圧する。接着剤(図示せず)及び樹脂マトリックス(図示せず)を活性化しかつ硬化させるのに適した温度において十分な時間、オートクレーブを加熱かつ保持し、それにより、積層材10を硬化させる。明らかなように、このオートクレーブのための温度及び保持時間は、接着剤(図示せず)及び樹脂マトリックス(図示せず)の硬化に適するものである。典型的な実施形態において、350°F硬化のToray 3900‐2樹脂を樹脂マトリックス(図示せず)に用いる場合、オートクレーブを約350°Fに加熱し、約120分間その温度で保持する。熱硬化性樹脂接着剤及びマトリックス樹脂に対する典型的な硬化温度には、約2時間で250°F〜350°F±10°の硬化がある。明らかなように、マトリックス樹脂(図示せず)における接着剤(図示せず)の熱硬化により、有利に、金属層24も同時に熱処理又は熱保持または熱熟成することができる。
【0021】
明らかなように、硬化に先立って、成形時に、積層材10をある型又は複雑な形に成形してもよい。これにより、曲った形又は区分された形(例えば、図5Bについて下記で説明する曲った区分)に積層材10を成形しかつ硬化させることが可能になる。
【0022】
図2を参照すると、別の典型的な積層材40が、内部構造が見えるよう切断された等角投影図で示される。積層材10(図1)と同様に、積層材40は、4つの金属層54と、金属層54の間に挟まれた3つの繊維層50とを含む。しかし、当然のことながら、特定の用途のため必要に応じて任意の数の層を設けることができる。金属層54は、金属層54の内部に突き合せ接合部56を有する金属箔から組立てられる。金属層54、繊維層50、マトリックス樹脂(図示せず)、接着剤(図示せず)、並びにこの積層材40のための組立て方法及び硬化方法は、積層材10(図1)について上述したとおりである。しかし、この典型的な実施形態において、繊維層50における繊維51は、積層材10(図1)のようにすべて共通の方向に並べられているわけではない。その代わり、2つの繊維層50の繊維51が揃えられ、そして、3つ目の繊維層50の繊維51は、他の2つの繊維層50の方向に対して90°の向きにされている。その結果、積層材40は、積層材10(図1)よりも大きな多方向への強度を有する一方、2つのそろった繊維層50における繊維51の配向方向においていくらか強度が下がるのを犠牲にしている。また、上述したように、積層材40は、積層材40が利用される用途に適した任意の方向の組合せで配列された繊維を含んでもよい。
【0023】
明らかなように、複数の繊維層50を2つの金属層54の間に配置してもよく、これにより、金属層54に対する繊維層50の割合を高くすることができる。ここで図3を参照して、典型的な積層材60は、2つの金属層74を含む。3つの繊維層70、71、及び72が、該2つの金属層70の間にはさまれている。この実施形態において、3つの繊維層は、2つの第1繊維層70及び72(それらの繊維75は、第1の方向に配向している)と、該2つの第1繊維層70と72の中間にある1つの第2繊維層71(その繊維は、第1層70及び72の繊維75の方向に対して90°の向きにされている)とを含む。明らかなように、積層材60を用いる部品にかかる応力に応じて、種々の数の金属層74の
間に、複数の繊維層を互いに集めて挟み込むことができる。図3においても、材料及び組立て方法は、適宜、図1を参照して説明したとおりのものとされる。
【0024】
ここで図4Aを参照して、本発明のさらなる典型的な積層材80は、4つの金属層94を含む。この実施形態において、非限定的に例えば、積層繊維層92が、各組の金属層94の間にある。各積層繊維層92は、すべて共通する並びの繊維93の4つの列又は層を含む。得られる積層材80は、従って、12列の繊維93と、4つの金属層94とを含む。積層材80に使用される材料及び組立て方法は、適宜、図1を参照して説明されたとおりのものとされる。
【0025】
いくつかの用途に対し、積層材の1つ又は2つ以上の金属層が他の層よりも厚いことは、有利となり得る。図4Bにおいて、もう1つの典型的な積層材81は、図4Aの積層材80と類似するが、積層材81は、他の金属層94よりも厚い最も外側の金属層95を含む。より厚い金属層は、例えば限定されることなく、積層材81の外側に組み込まれるとき、雷に対してさらなる保護をもたらすことができ、設置締め具、取付け金具、あるいは他の連結のためさらに厚みを付与することができ、あるいは、より複雑な表面形状及び厚みを形成するため後に行われるケミカルミリングのためさらに厚みを付与することができる。
【0026】
明らかなように、中空コア層を、高弾性率繊維‐金属積層材に組み込むことができる。ここで図5Aを参照すると、典型的な中空コア積層材110は、2つの繊維金属複合層120(例えば、上記の図1〜4を参照して説明したもの)の間に挟まれたハニカムコア層122を含む。限定されることなく例えば、典型的な積層材110における中空コア層122は、六角形セルのハニカム層122である。そのようなハニカムには、Hexcel
Corporation製のアルミニウムハニカムがある。明らかなように、繊維金属積層材110に中空コア122を組み込むことにより、積層材110の剛性が高められる。
【0027】
本発明の高弾性率繊維積層材は、有利に、航空機部品に組み込むことができる。ここで図5Bを参照すると、機体の外板部130は、本発明の典型的な積層材を組み込んでいる。機体部130は、特定の用途に応じて、円筒形又は円錐形(ここでは、二次元の断面で示される)に形成される。この典型的な実施形態において、機体部130は、高弾性率繊維層140と金属層144とに挟まれた中空コア層152を含み、それらはすべて組立てられ、一つの予備成形された機体部130に硬化される。この典型的な実施形態において、多層繊維金属積層材の組立て品156は、中空コア層152の各側にある。各組立品156は、突き合せ接合されたアルミニウム合金箔の3つの金属層144と、2つの繊維層140とを含む。繊維層140は、複数の金属層144の間に挟まれている。機体部130は、上記の図1を参照して説明した材料及び方法によって組立てられる。かくして得られる機体部130は、(外側から内側に向かって)金属層144、繊維層140、金属層144、繊維層140、金属層144、中空コア層152、金属層144、繊維層140、金属層144、繊維層140、及び、最後の金属層144を含む。上述したとおり、明らかなように、機体部130の外側及び内側に金属層144を有することは、適宜、防湿性、損傷抵抗性、及び耐候性を該組立て品に付加することとなる。
【0028】
図6を参照すると、本発明の繊維金属積層材を組立てる典型的な方法200は、ブロック210から始まり、そこにおいて、金属箔層を前処理する。ブロック210での前処理には、上記の図1を参照して説明したように、ゾル‐ゲルコーティングなどの前処理がある。金属箔の前処理の後、ブロック220において、金属層と繊維層の接合部を形成する領域に接着剤を塗布する。ブロック230において、繊維層を複数の金属層の間に挟むことにより積層材組立て品を準備する。ブロック240において、積層材を、上記の図1を
参照して説明した方法により、硬化させる。硬化には、典型的に熱硬化がある。その結果、高弾性率の繊維層が金属層と結合され、それにより、本発明の繊維金属積層材が形成される。
【0029】
本発明の好ましい実施形態を例示し説明してきたが、上述したとおり、本発明の技術的範囲を逸脱することなく、多くの変更を行うことができる。従って、本発明の技術的範囲は、好ましい実施形態の開示によって限定されるものではない。むしろ、本発明は、以下の請求の範囲をもっぱら参照することにより決定すべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の好ましい実施形態及び他の実施形態を、以下の図面を参照して下記に詳細に説明する。
【図1】本発明の一実施形態に従う典型的な繊維金属積層材の内部構造を示す切取等角投影図である。
【図2】本発明のもう一つ実施形態に従う典型的な繊維金属積層材の内部構造を示す切取等角投影図である。
【図3】本発明の他の実施形態に従う典型的な繊維金属積層材の内部構造を示す切取等角投影図である。
【図4A】本発明のさらに他の実施形態に従う典型的な繊維金属積層材の断面図である。
【図4B】本発明のさらに他の実施形態に従う典型的な繊維金属積層材の断面図である。
【図5A】本発明のハニカムコア層を有する典型的な繊維金属積層材の等角投影図である。
【図5B】本発明のハニカムコア層を含む典型的な繊維金属積層材による航空機胴体の部分を示す断面図である。
【図6】本発明の繊維金属積層材を製造するための典型的な方法を示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの金属層、及び
該少なくとも2つの金属層の間に配置された少なくとも1つの繊維層を備える繊維‐金属積層材であって、
該少なくとも1つの繊維層が、樹脂マトリックスと、約270GPaよりも大きい弾性係数を有する有機ポリマー繊維とを含む、繊維‐金属積層材。
【請求項2】
該少なくとも1つの繊維層が、該少なくとも2つの金属層に結合されている、請求項1の積層材。
【請求項3】
該ポリマー繊維が該金属層とガルバニック反応を起こさないものである、請求項1の積層材。
【請求項4】
該ポリマー繊維がポリジイミダゾピリジニレン繊維を含む、請求項1の積層材。
【請求項5】
該ポリジイミダゾピリジニレン繊維がポリ{2,6‐ジイミダゾ[4,5‐b4’,5’‐e]ピリジニレン‐1,4(2,5‐ジヒドロキシ)フェニレン}繊維を含む、請求項4の積層材。
【請求項6】
該少なくとも2つの層がアルミニウム合金を含む、請求項1の積層材。
【請求項7】
該アルミニウム合金が熱処理可能なアルミニウム合金を含む、請求項1の積層材。
【請求項8】
該アルミニウム合金が2024アルミニウム合金を含む、請求項6の積層材。
【請求項9】
該アルミニウム合金が7075アルミニウム合金を含む、請求項6の積層材。
【請求項10】
該アルミニウム合金が7055アルミニウム合金を含む、請求項6の積層材。
【請求項11】
該アルミニウム合金が2000系アルミニウム合金を含む、請求項6の積層材。
【請求項12】
該アルミニウム合金が7000系アルミニウム合金を含む、請求項6の積層材。
【請求項13】
該アルミニウム合金が5000系アルミニウム合金を含む、請求項6の積層材。
【請求項14】
該アルミニウム合金が6000系アルミニウム合金を含む、請求項6の積層材。
【請求項15】
該少なくとも2つの層がチタン合金を含む、請求項1の積層材。
【請求項16】
該少なくとも2つの層がステンレス鋼合金を含む、請求項1の積層材。
【請求項17】
該樹脂マトリックスがエポキシ樹脂を含む、請求項1の積層材。
【請求項18】
該樹脂マトリックスが熱硬化性材料を含む、請求項1の積層材。
【請求項19】
該少なくとも2つの金属層が、該積層材の重量の40%未満を構成する、請求項1の積層材。
【請求項20】
該少なくとも2つの金属層が、該積層材の体積の約10%〜50%を構成する、請求項
1の積層材。
【請求項21】
該繊維の少なくとも一部が、実質的に同じ方向に並べられている、請求項1の積層材。
【請求項22】
該繊維の90%を超えるものが、該実質的に同じ方向に並べられている、請求項21の積層材。
【請求項23】
該繊維の約100%が該実質的に同じ方向に並べられている、請求項21の積層材。
【請求項24】
該繊維の少なくとも一部が互いに対して45°で並べられている、請求項1の積層材。
【請求項25】
該繊維の少なくとも一部が複数の方向に並べられている、請求項1の積層材。
【請求項26】
該繊維が連続繊維を含む、請求項1の積層材。
【請求項27】
該少なくとも2つの金属層が3〜15の層を含む、請求項1の積層材。
【請求項28】
該少なくとも1つの繊維層が3〜15層の繊維を含む、請求項1の積層材。
【請求項29】
該少なくとも2つの金属層がそれぞれ約0.004インチ〜0.025インチの厚みを有する、請求項1の積層材。
【請求項30】
該少なくとも2つの金属層が表面の前処理を受けている、請求項1の積層材。
【請求項31】
該前処理がリン酸陽極酸化を含む、請求項30の積層材。
【請求項32】
該前処理が該少なくとも2つの金属層を相間層で被覆することを含む、請求項30の積層材。
【請求項33】
該前処理がゾル‐ゲル表面処理を含む、請求項32の積層材。
【請求項34】
該少なくとも1つの繊維層が接着剤で結合されている、請求項2の積層材。
【請求項35】
該接着剤がエポキシ接着剤を含む、請求項34の積層材。
【請求項36】
該少なくとも2つの金属層の間に配置される少なくとも1つのコア層をさらに備える、請求項1の積層材。
【請求項37】
該コア層がハニカムコアを含む、請求項36の積層材。
【請求項38】
該ハニカムコアが六角形のハニカムコアを含む、請求項37の積層材。
【請求項39】
少なくとも2層のアルミニウム合金、及び
該少なくとも2層の間に結合された少なくとも1つの樹脂‐繊維複合材を備える繊維‐金属積層材であって、
該複合材が、樹脂マトリックスとポリジイミダゾピリジニレン繊維とを含む、繊維‐金属積層材。
【請求項40】
該ポリジイミダゾピリジニレン繊維がポリ{2,6‐ジイミダゾ[4,5‐b4’,5’‐e]ピリジニレン‐1,4(2,5‐ジヒドロキシ)フェニレン}繊維を含む、請求
項39の積層材。
【請求項41】
該アルミニウム合金が熱処理可能なアルミニウム合金を含む、請求項39の積層材。
【請求項42】
該アルミニウム合金が2024アルミニウムを含む、請求項41の積層材。
【請求項43】
該アルミニウム合金が7075アルミニウム合金を含む、請求項41の積層材。
【請求項44】
該アルミニウム合金が7055アルミニウム合金を含む、請求項41の積層材。
【請求項45】
該アルミニウム合金が2000系アルミニウム合金を含む、請求項41の積層材。
【請求項46】
該アルミニウム合金が7000系アルミニウム合金を含む、請求項41の積層材。
【請求項47】
該アルミニウム合金が5000系アルミニウム合金を含む、請求項41の積層材。
【請求項48】
該アルミニウム合金が6000系アルミニウム合金を含む、請求項41の積層材。
【請求項49】
該少なくとも1つの樹脂‐繊維複合材が、接着剤により、該少なくとも2つの層の間に結合されている、請求項39の積層材。
【請求項50】
該樹脂マトリックスがエポキシ樹脂を含む、請求項39の積層材。
【請求項51】
該樹脂マトリックスが熱硬化性材料を含む、請求項39の積層材。
【請求項52】
該少なくとも2つの金属層が、該積層材の重量の40%未満を構成する、請求項39の積層材。
【請求項53】
該少なくとも2つの金属層が、該積層材の体積の約10%〜50%を構成する、請求項39の積層材。
【請求項54】
該繊維の約90%を超えるものが、実質的に同じ方向に並べられている、請求項39の積層材。
【請求項55】
該繊維の約100%が該実質的に同じ方向に並べられている、請求項54の積層材。
【請求項56】
該繊維の少なくとも一部が互いに対して45°で並べられている、請求項39の積層材。
【請求項57】
該繊維の少なくとも一部が複数の方向に並べられている、請求項39の積層材。
【請求項58】
該少なくとも2つの金属層が3〜15の金属層を含む、請求項39の積層材。
【請求項59】
該少なくとも1つの繊維層がポリマー繊維からなる3〜15の補強層を含む、請求項39の積層材。
【請求項60】
該少なくとも2つの金属層がそれぞれ0.004インチ〜0.025インチの厚みを有する、請求項39の積層材。
【請求項61】
該少なくとも2つの金属層が表面の前処理を受けている、請求項39の積層材。
【請求項62】
該前処理がリン酸陽極酸化を含む、請求項61の積層材。
【請求項63】
該前処理がゾル‐ゲル表面処理を含む、請求項61の積層材。
【請求項64】
該前処理が該少なくとも2つの金属層を相間層で被覆することを含む、請求項61の積層材。
【請求項65】
該少なくとも2つの金属層の間に配置される少なくとも1つの中空コア層をさらに備える、請求項39の積層材。
【請求項66】
該中空コア層がハニカムコアを含む、請求項65の積層材。
【請求項67】
該ハニカムコアが六角形のハニカムコアを含む、請求項66の積層材。
【請求項68】
約0.004インチ〜約0.025インチの範囲の厚みをそれぞれ有する少なくとも2つのアルミニウム合金箔層、及び
該少なくとも2つの箔層の間に結合された少なくとも1つのポリマー複合材料層を備える航空機用複合部材であって、
該複合材料層が、樹脂マトリックスと、配列されたポリジイミダゾピリジニレン繊維とを含む、航空機用複合部材。
【請求項69】
該ポリジイミダゾピリジニレン繊維がポリ{2,6‐ジイミダゾ[4,5‐b4’,5’‐e]ピリジニレン‐1,4(2,5‐ジヒドロキシ)フェニレン}繊維を含む、請求項68の積層材。
【請求項70】
該アルミニウム合金が2024アルミニウム合金を含む、請求項68の積層材。
【請求項71】
該アルミニウム合金が7075アルミニウム合金を含む、請求項68の積層材。
【請求項72】
該アルミニウム合金が7055アルミニウム合金を含む、請求項68の積層材。
【請求項73】
該樹脂マトリックスがエポキシ樹脂を含む、請求項68の積層材。
【請求項74】
該少なくとも2つの金属層が、該積層材の重量の40%未満を構成する、請求項68の積層材。
【請求項75】
該少なくとも2つの金属層が、該積層材の体積の約10%〜50%を構成する、請求項68の積層材。
【請求項76】
該繊維の90%を超えるものが、実質的に同じ方向に並べられている、請求項68の積層材。
【請求項77】
該繊維の約100%が該実質的に同じ方向に並べられている、請求項68の積層材。
【請求項78】
該繊維の少なくとも一部が互いに対して45°で並べられている、請求項68の積層材。
【請求項79】
該繊維の少なくとも一部が複数の方向に並べられている、請求項68の積層材。
【請求項80】
該少なくとも2つの金属層が3〜15の層を含む、請求項68の積層材。
【請求項81】
該少なくとも1つのポリマー複合材料層が3〜15のポリマー複合材料層を含む、請求項68の積層材。
【請求項82】
該少なくとも2つの金属層が表面の前処理を受けている、請求項68の積層材。
【請求項83】
該前処理がリン酸陽極酸化を含む、請求項82の積層材。
【請求項84】
該前処理がゾル‐ゲル表面処理を含む、請求項82の積層材。
【請求項85】
該少なくとも2つの金属層と該少なくとも1つのポリマー複合材料層との間に配置される少なくとも1つのゾル‐ゲル相間層をさらに備える、請求項68の積層材。
【請求項86】
該少なくとも2つの金属層の間に配置される少なくとも1つのコア層をさらに備える、請求項68の積層材。
【請求項87】
該少なくとも1つのコア層がハニカムコアを含む、請求項86の積層材。
【請求項88】
複数の金属層を設けること、
約270GPaよりも大きな弾性係数を有する複数のポリマー繊維を並べて少なくとも1つの繊維層にすること、及び
該複数の金属層の間に該少なくとも1つの繊維層を挟むことを備える、繊維‐金属積層材の製造方法。
【請求項89】
該少なくとも1つの高弾性率繊維層を、該高弾性率繊維層に隣接する該複数の金属層に結合することをさらに備える、請求項88の方法。
【請求項90】
該複数の金属層を前処理することをさらに備える、請求項88の方法。
【請求項91】
前処理することが、ゾル‐ゲルコーティングで前処理することを含む、請求項90の方法。
【請求項92】
該ポリジイミダゾピリジニレン繊維がポリ{2,6‐ジイミダゾ[4,5‐b4’,5’‐e]ピリジニレン‐1,4(2,5‐ジヒドロキシ)フェニレン}繊維を含む、請求項88の方法。
【請求項93】
該複数の金属層がアルミニウム合金を含む、請求項88の方法。
【請求項94】
該複数の金属層がチタン合金を含む、請求項88の方法。
【請求項95】
該複数の金属層がステンレス鋼合金を含む、請求項88の方法。
【請求項96】
該樹脂マトリックスがエポキシ樹脂を含む、請求項88の方法。
【請求項97】
該少なくとも2つの金属層が、該積層材の重量の40%未満を構成する、請求項88の方法。
【請求項98】
該少なくとも2つの金属層が、該積層材の体積の約10%〜50%を構成する、請求項88の方法。
【請求項99】
該複数の金属箔層の間に中空コアを形成することをさらに備える、請求項88の方法。
【請求項100】
中空コアを形成することが、ハニカムコアを形成することを含む、請求項99の方法。
【請求項101】
複数の金属層を設けること、
約270GPaよりも大きな弾性係数を有する複数のポリマー繊維を並べて少なくとも1つの繊維層にすること、及び
該複数の金属層の間に該少なくとも1つの繊維層を挟むことを備える方法により製造された繊維‐金属積層材
【請求項102】
該少なくとも1つの高弾性率繊維層を、該高弾性率繊維層に隣接する該複数の金属層に結合することをさらに備える該方法により製造された、請求項101の積層材。
【請求項103】
該複数の金属層を前処理することをさらに備える該方法により製造された、請求項101の積層材。
【請求項104】
前処理することが、ゾル‐ゲルコーティングで前処理することを含む、請求項103の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−521995(P2007−521995A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553149(P2006−553149)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/002858
【国際公開番号】WO2005/110736
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】