説明

アルミニウム製パイプとの接続部を備えたステンレス鋼製振動吸収管

【発明が解決しようとする課題】 本発明は、強度および気密性に優れたしかも比較的容易に製作し得るステンレス鋼製振動吸収管などの、ステンレス鋼製パイプとアルミニウム製パイプの異種金属接合管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】 外周に少なくとも繊維補強層(8)が被覆されたステンレス鋼製の蛇腹管(5)と前記蛇腹管の両端部にロウ付け固定されたステンレス鋼製ニップル(7)を有する振動吸収管(1)において、この振動吸収管(1)の前記ステンレス鋼製ニップル(7)の端面とこれに接続すべきアルミニウム製パイプ(2)の端面とを固相接合の摩擦圧接により接合してなることを特徴とするアルミニウム製パイプとの接続部を備えたステンレス鋼製振動吸収管

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用エアコンの冷媒回路などに用いられるステンレス鋼製の振動吸収管に関し、特にアルミニウム製パイプとの接続部を有する振動吸収管に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車体の軽量化を目的として自動車用エアコンの冷媒回路の配管にはアルミニウム合金製配管が使用されているが、コンプレッサ等で発生する振動が配管を共振させ騒音を引き起こすおそれがある。そこで、配管の共振を抑制するために、従来はゴムと樹脂とからなる複合ホースが配管の途中に組み込まれて使用されていた。
【0003】
ところで、自動車用のエアコンの冷媒として、オゾン層の破壊物質であるフロンに代えてHFC134aが多く用いられている。しかし、このHFC134aは、オゾン破壊係数は零であるが、地球温暖化係数が高く温暖化促進の原因となりつつある。このため、HFC134a代替物質として、温暖化係数の小さい、自然系冷媒であるCO2冷媒を使用することが推奨されつつある。
【0004】
ところが、CO2冷媒を使用する場合、冷媒回路配管の耐熱温度がHFC134a冷媒の120〜140℃に対し140〜180℃を要するとともに、吐出圧力もHFC134a冷媒の1.7〜1.8MPaに対し13〜15MPaを要する。
【0005】
このため、従来のようなゴムと樹脂とからなる複合ホースではこのような高温高圧仕様には耐えられないため、代わってステンレス鋼製の蛇腹を有する振動吸収管が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、このステンレス鋼製の振動吸収管は、管壁が金属製であるため従来のゴムと樹脂とからなる複合ホースに比して格段に優れた耐ガス透過性を有し、冷媒を外に漏らすことがない。したがって、このステンレス鋼製の振動吸収管はCO2冷媒のみならず、現状のHFC134a冷媒等に対しても冷媒の外気への漏洩量をゼロに近付ける目的で使用が進められている。
【0006】
しかしながら、この振動吸収管を冷媒回路に組み込む際には以下の問題がある。すなわち、振動吸収管の蛇腹部分は、加工性と強度の問題から現状ではステンレス鋼しか用いることができない。一方、冷媒回路配管は、車体の軽量化とコストを考慮するとステンレス鋼に変更することは困難であり、現状のアルミニウム(アルミニウム合金を含めて以下では単にアルミニウム又はアルミということがある)製を用いることが必要とされている。したがって、ステンレス鋼製の振動吸収管とアルミニウム製の配管とを接合する必要がある。しかしながら、これらの金属製のパイプ同士を単に機械的に嵌合させたり、螺合させたりする方法によっては、信頼性のある高強度かつ高気密性を有する接合部を得ることは非常に難しい。また、アルミニウムとステンレス鋼とを溶接やロウ付けで接合すると、接合部に脆い金属間化合物が生成しやすいために、この場合も信頼性のある高強度かつ高気密性を有する接合部を得ることは非常に困難である。
【0007】
なお、鉄系材料とアルミニウムとの接合方法として、鉄系材料からなる母材の表面に荒加工を施して凹凸を形成した後、アルミニウム層を仮形成し、このアルミニウム層を表面側から押圧しながら、高周波加熱することにより、Fe−Alの金属間化合物からなる拡散層を形成する方法が開示されている(特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、この方法は金属間化合物からなる拡散層を形成することによって母材表面の耐磨耗性や平滑度を向上させることを目的とするものであり、金属間化合物を形成する限り信頼性のある高強度かつ高気密性を有する接合部は得られない。
【特許文献1】特開2002−195474号公報
【特許文献2】特開平7−310161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであって、強度および気密性に優れたしかも比較的容易に製作し得るステンレス鋼製振動吸収管などの、ステンレス鋼製パイプとアルミニウム製パイプの異種金属接合管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこのような課題の解決のために完成されたものであって、その要旨とする特徴は以下の通りである。
(1)外周に少なくとも繊維補強層が被覆されたステンレス鋼製の蛇腹管と前記蛇腹管の両端部にロウ付け固定されたステンレス鋼製ニップルを有する振動吸収管において、この振動吸収管の前記ステンレス鋼製ニップルの端面とこれに接続すべきアルミニウム製パイプの端面とを固相接合の摩擦圧接により接合してなることを特徴とするアルミニウム製パイプとの接続部を備えたステンレス鋼製振動吸収管。
(2)外周に少なくとも補強層が設けられたステンレス鋼製蛇腹管と前記蛇腹管の両端部にロウ付け固定されたステンレス鋼製ニップルを有する振動吸収管において、この振動吸収管の前記ステンレス鋼製ニップルとこれに接続すべきアルミニウム製パイプがステンレス鋼製アダプターパイプを介して接続されており、前記ステンレス鋼製アダプターパイプ一方の端面とアルミニウム製パイプの端面とを固相接合の摩擦圧接により接合し、且つ前記ステンレス鋼製ニップルの端面と前記アダプターパイプの他方の端面とを溶接により接合してなることを特徴とするアルミニウム製パイプとの接続部を備えたステンレス鋼製振動吸収管。
(3)さらに前記摩擦圧接時に発生するアルミニウム製パイプの円周方向へのバリを、前記ステンレス鋼製ニップル又は前記ステンレス鋼製アダプターパイプの管端部外周面上に圧着により接合してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム製パイプとの接続部を備えたステンレス鋼製振動吸収管。
(4)ステンレス鋼製パイプとアルミニウム製パイプを接合した接合管において、前記ステンレス鋼製パイプの端面と前記アルミニウム製パイプの端面とを固相接合の摩擦圧接により接合すると共に、該摩擦圧接時に発生するアルミニウム製パイプの円周方向へのバリを、前記ステンレス鋼製パイプの管端部外周面上に圧着により接合してなることを特徴とするステンレス-アルミニウム異種金属接合管。
(5)ステンレス鋼製パイプとアルミニウム製パイプを接合した接合管において、前記両パイプがステンレス鋼製アダプターパイプを介して接続されており、前記ステンレス鋼製パイプの端面と前記アルミニウム製パイプの端面とを固相接合の摩擦圧接により接合すると共に、該摩擦圧接時に発生するアルミニウム製パイプの円周方向へのバリを、前記ステンレス鋼製パイプの管端部外周面上に圧着により接合し、さらに前記ステンレス鋼製ニップルの端面と前記アダプターパイプの他方の端面とを溶接により接合してなることを特徴とするステンレス-アルミ異種金属接合管。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、接合強度と気密性に優れたアルミニウム製パイプを接合したステンレス鋼製振動吸収管などのステンレス鋼-アルミニウム異種金属接合管を比較的容易に提供することができる。その結果、自動車用エアコンにCO2冷媒を用いることによる地球環境への負荷の低減と、車体の軽量化とを両立させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明に係る典型的な実施形態であり、自動車用エアコンに用いられるアルミニウム製のCO2冷媒回路配管の途中に、同アルミニウム製配管との接続部を有するステンレス鋼製振動吸収管造を示したものである。図1では一方の片側の接続部のみを示し、反対側の接続部は省略している。
【0014】
この図1において、振動吸収管1はその中央側に軸方向に対して形成された蛇腹部5a並びにその両端部に位置する直管部5bからなるステンレス鋼製の蛇腹管5と、この蛇腹管5の外周を繊維又は金属ワイヤにより編組した補強層8と、同蛇腹管5の管端部に挿入され、前記直管5bにロウ付け、固定されたステンレス鋼製のニップル7と、さらに管端部の外側にあって前記補強層8を前記ニップル7間に挟み込み、これらを一体的に固着させた加締め金具9とにより構成されている。なお、必要に応じて前記蛇腹部5aと補強層8との間にゴムあるいは樹脂からなる緩衝層(図示しない)が設けられる。
【0015】
かかる振動吸収管1のニップル7には、これと内径及び外径が同一のアルミニウム製パイプ2が、やはり内径及び外径が同一であるステンレス鋼製のアルミニウム製アダプターパイプ10を介して接続されている。即ち、振動吸収管1のニップル7とアダプターパイプ10との接合は、両者の端面、即ちニップル7の先端の端面とアダプターパイプ10の基端の端面とが図のように互いに嵌合する雄雌形状に加工されており、これらを嵌め合わせた状態でTIG溶接することによってなされている。6はTIG溶接部を示している。
【0016】
そして、このアダプターパイプ10は上記振動吸収管1への上記溶接による接合に先立ち、アルミニウム製パイプ2と接合される。アダプターパイプ10とアルミニウム製パイプ2の接合は、固相接合である摩擦圧接と、圧着の二種類の接合手段によりなされている。
【0017】
即ち、図1のfは固相接合の摩擦圧接部であり、アダプターパイプ10の先端の垂直端面とアルミニウム製パイプの先端の垂直端面が摩擦圧接により接合された部分であり、また、pは圧着部であり、摩擦圧接部fからニップル7側に向かって連続して延出したアルミニウム製パイプ2のバリ3aの内周面と、アダプターパイプ10の外周面が圧着により接合された部分である。
【0018】
この摩擦圧接及び圧着による接合方法を図2を参照して説明する。先ず、アルミニウム製パイプ2を前後に移動可能なクランプに挿入、固定し、一方ステンレス鋼製のアダプターパイプ10を回転可能なチャックに固定し、アルミニウム製パイプ2と対向する位置に調整する。次に、チャックの駆動モータを回転駆動させ、アダプターパイプ10を所定の速度で回転させる。次いで、クランプをアダプターパイプ10側に前進移動させ、同アダプターパイプ10の端面にアルミニウム製パイプ2の端面を押し付ける。
【0019】
こうすると、両パイプ2,10の端面部分は回転、摺動に伴う摩擦熱によって高温となり軟化して、図2のようにその垂直の端面同志が固相接合により一体となって摩擦圧接される。これと共に、軟かいアルミニウム製パイプ2の端部は固いステンレス鋼製のアダプターパイプ10の端部によって食い込まれ、アルミニウム製パイプ2の端部の一部がアダプターパイプ10の外側(円周方向)と内側(円心方向)に分流、延出する。このとき、遠心力の作用により外側にはみ出たバリ3aは内側にはみ出たバリ3bよりも長くなる現象が起きる。
【0020】
上記両端面の摩擦圧接(固相接合)がなされたのを確認した後、アダプターパイプ10のチャックを開放して、アダプターパイプ10が摩擦圧接されたアルミニウム製パイプ2をクランプと共に後退移動させ、クランプの固定を解除し、アルミニウム製パイプ2とアダプターパイプ10とが一体化した接合パイプを取り出す。
【0021】
次に、摩擦圧接によって接合パイプの内側に発生したバリ3bをポンチ又はドリルによって除去、平滑にする。
【0022】
さらに、接合パイプの外側に発生したバリ3aにスエージング機械によって絞り加工を施し、このバリ3aの内周面をアダプターパイプ10の外周面に圧着させる。この圧着により、軟らかいアルミニウム製パイプ2の円周方向にはみ出したバリ3aはステンレス鋼製のアダプターパイプ10の外周面の形状に合わせて容易に塑性変形を起こしてその外周面上を被覆する状態で十分に密着される。なお、圧着の方法は絞り加工に限らず、例えば加締めによる方法など他の方法であっても良い。
【0023】
こうした摩擦圧接時に生じるアルミの円周方向へのバリ3aをステンレス鋼製アダプターパイプとアルミニウム製パイプとの接合に利用することで、接合部位が図1の垂直端面同士の摩擦圧接部fと円周面同士の圧着部pの二箇所となり、しかも接合面積が増加することになり、管の軸方向に作用する引張り荷重と管の直角方向から作用する衝撃荷重の両方に対して十分な接合強度が付与されることになる。また、摩擦圧接部fと圧着部pによって二重にシールされた構造となるから、気密性についても高度に維持することができる。
【0024】
上記の摩擦圧接と圧着を行なうことでアルミニウム製パイプ2とステンレス鋼製のアダプターパイプ10を接合した後、前記のようにステンレス鋼製のニップル7にアダプターパイプ10をTIG溶接により固着することによって、図1に示した本発明の対象であるアルミニウム製パイプとの接続部を備えたステンレス鋼製振動吸収管が完成される。
【0025】
本実施形態によれば、ステンレス鋼製の振動吸収管とアルミニウム製パイプとの接合に際し、固相接合の摩擦圧接を用いると共に、さらにこれに摩擦圧接時に発生するバリを利用した圧着を組み合わせた2種類の接合構造を採用することにより、特に管の軸方向荷重及び円周側面からの衝撃に対しても破断する心配のない高い強度を保持し、しかも気密性に優れたアルミニウム製パイプ接合の振動吸収管が得られる。さらに、本実施形態により上記に加えて、接合部の耐食性に優れた振動吸収管が同時に得られる。
【0026】
また、ステンレス鋼製の振動吸収管とアルミニウム製パイプとの接合に際し、ステンレス鋼製のアダプターパイプを利用し、回転ヘッドを有したTIG溶接機によりアダプターパイプと振動吸収管を容易に接合するこができるため、アルミニウム製パイプが実際の自動車用冷媒配管として用いられる種々の曲管形状に対しても問題なく対応できる。
【0027】
なお、本実施形態においては、振動吸収管即ちステンレス鋼製ニップル7にステンレス鋼製アダプターパイプを介してアルミニウム製パイプ2を接続した構成のものを説明したが、ステンレス鋼製ニップル7にアルミニウム製パイプ2を同様な摩擦圧接と圧着により直接接合しても良いことは言うまでもない。
【0028】
ところで、実施形態は振動吸収管を対象にして説明したが、ステンレス鋼製パイプとアルミニウム製パイプとの接合であれば如何なる用途のパイプ製品においても本実施形態を利用することができる。この場合も、アダプターパイプを用いずに、ステンレス鋼製パイプとアルミニウム製パイプとを摩擦圧接と圧着により直接接合しても良いものである。
【0029】
(実施例1)
本発明の効果を確認するため、上記実施形態に相当する接合構造を有する継手を製作した。ここでは、図1において、振動吸収管1の蛇腹などの部分は用いずに省略して、ステンレス鋼製ニップル7の部分のみとステンレス鋼製アダプターパイプ10とアルミニウム製パイプ2とを摩擦圧接により接合し、そのとき、外側にはみ出したアルミニウム製パイプ2のバリ3aををステンレス鋼製アダプターパイプ10の外周面に圧着し、更にステンレス鋼製ニップル7とステンレス鋼製アダプターパイプ10をTIG溶接したものを試験材とした。
【0030】
ニップル7としては、外径10mm、内径6mm、長さ35mmのSUS304を用い、また、アルミニウム製パイプ2としては、外径10mm、内径6mmの接合端部を有する長さ300mmのA3005を用いた。
【0031】
アルミニウム製パイプ3に摩擦圧接により接合するステンレス鋼製アダプターパイプ10は外径10mm、内径6mm、長さ30mmのSUS304を用いた。
【0032】
先ず、前述のように、ステンレス鋼製アダプターパイプを回転側、アルミニウム製パイプを固定側とし摩擦圧接により接合した。
【0033】
次に、圧接時にステンレス鋼製アダプターパイプ内側に発生したアルミニウム製パイプ2のバリ3aを内抜きポンチにより除去し接合面を平滑にした。
【0034】
次いで、ステンレス鋼製アダプターパイプ10の外側に発生したバリ3aをスェージング加工により外側から絞り、ステンレス鋼製アダプターパイプ10の外周面上に圧着した。
【0035】
この後、ステンレス鋼製ニップル7とステンレス鋼製アダプターパイプ10を回転ヘッドを有したTIG溶接機で全周溶接した。
【0036】
このようにして製作したステンレス鋼製パイプとアルミニウム製パイプのパイプ接合体(継手)を試験材として、冷熱サイクル後気密試験、同冷熱サイクル後耐圧試験、加圧繰返し耐久試験、引張試験をそれぞれ行った。
【0037】
(実施例2)
次に、ステンレス鋼製アダプターパイプ10の外側に発生したアルミニウム製パイプ2のバリ3aを切削により除去したタイプついても同じ試験を行った。
【0038】
これら各試験の概要を下記に示し、また試験結果を表1に示す。
(1)冷熱サイクル後の気密試験:試験材を試験槽に入れ、180℃に加熱して1時間保持し、次に-40℃に冷却して1時間の保持する冷熱サイクルを20回繰り返す冷熱サイクル試験を行った後、試験材を水槽に沈め、15MPaの窒素ガスで加圧し、接合部からガス漏れが無いかどうか気泡の発生有無により確認する。
(2)冷熱サイクル後の耐圧試験:上記冷熱サイクル試験後、40MPaの水圧を負荷して、接合部からの漏れ、破裂、抜け等の異常が無いかどうか確認する。
(3)加圧繰返し耐久試験:試験材にインパルス試験機で油温、雰囲気共に150℃に設定し、圧力0と22.5MPaで繰り返し回数30〜50回/分のパルス供給を行い、接合部からの漏れ、破裂、抜け等の異常が無いかどうか確認する。
(4)引張試験:試験方法はJIS D2601−2002 6.8に準じて行った。ただし、引張速度は25mm/minで実施した。
【0039】
これらの試験結果を表1にまとめて示す。
【0040】
表1の結果から、本発明実施例1及び実施例2のいずれにおいても各試験において異常は全く無く、優れた接合強度と気密性を備えていることが明かである。
【0041】
また、本発明実施例1の場合は、Dの引張試験の結果において実施例2と比べてより優れた接合強度を示すことも分かった。
【0042】
なお、本発明者らは、これらの試験に加えて、塩水噴霧による試験材の耐食性についても調査したところ、何れも良好な結果を示し、腐食環境下に晒された場合においても問題なく長期に亘って使用可能であることを確認した。
【0043】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係るアルミニウム製パイプとの接続部を備えたステンレス鋼製振動吸収管を示す部分縦断面図である。
【図2】ステンレス鋼製アダプターパイプとアルミニウム製パイプの摩擦圧接時の状態を示す部分縦断面図である。1:ステンレス鋼製振動吸収管 2:アルミニウム製パイプ7:ステンレス鋼製ニップル 3a,3b:バリ6:TIG溶接部 f:摩擦圧接部 p:圧着部10:ステンレス鋼製アダプターパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に少なくとも繊維補強層が被覆されたステンレス鋼製の蛇腹管と前記蛇腹管の両端部にロウ付け固定されたステンレス鋼製ニップルを有する振動吸収管において、この振動吸収管の前記ステンレス鋼製ニップルの端面とこれに接続すべきアルミニウム製パイプの端面とを固相接合の摩擦圧接により接合してなることを特徴とするアルミニウム製パイプとの接続部を備えたステンレス鋼製振動吸収管。
【請求項2】
外周に少なくとも補強層が設けられたステンレス鋼製蛇腹管と前記蛇腹管の両端部にロウ付け固定されたステンレス鋼製ニップルを有する振動吸収管において、この振動吸収管の前記ステンレス鋼製ニップルとこれに接続すべきアルミニウム製パイプがステンレス鋼製アダプターパイプを介して接続されており、前記ステンレス鋼製アダプターパイプの一方の端面とアルミニウム製パイプの端面とを固相接合の摩擦圧接により接合し、且つ前記ステンレス鋼製ニップルの端面と前記アダプターパイプの他方の端面とを溶接により接合してなることを特徴とするアルミニウム製パイプとの接続部を備えたステンレス鋼製振動吸収管。
【請求項3】
さらに前記摩擦圧接時に発生するアルミニウム製パイプの円周方向へのバリを、前記ステンレス鋼製ニップル又は前記ステンレス鋼製アダプターパイプの管端部外周面上に圧着により接合してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム製パイプとの接続部を備えたステンレス鋼製振動吸収管。
【請求項4】
ステンレス鋼製パイプとアルミニウム製パイプを接合した接合管において、前記ステンレス鋼製パイプの端面と前記アルミニウム製パイプの端面とを固相接合の摩擦圧接により接合すると共に、該摩擦圧接時に発生するアルミニウム製パイプの円周方向へのバリを、前記ステンレス鋼製パイプの管端部外周面上に圧着により接合してなることを特徴とするステンレス-アルミニウム異種金属接合管。
【請求項5】
ステンレス鋼製パイプとアルミニウム製パイプを接合した接合管において、前記両パイプがステンレス鋼製アダプターパイプを介して接続されており、前記ステンレス鋼製パイプの端面と前記アルミニウム製パイプの端面とを固相接合の摩擦圧接により接合すると共に、該摩擦圧接時に発生するアルミニウム製パイプの円周方向へのバリを、前記ステンレス鋼製パイプの管端部外周面上に圧着により接合し、さらに前記ステンレス鋼製ニップルの端面と前記アダプターパイプの他方の端面とを溶接により接合してなることを特徴とするステンレス-アルミ異種金属接合管。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−9873(P2006−9873A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185397(P2004−185397)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000233619)株式会社ニチリン (69)
【出願人】(592216384)兵庫県 (258)
【Fターム(参考)】