説明

アレルギー状態および炎症状態の処置のためのデスロラタジンの使用

【課題】ヒトにおけるアレルギー状態および炎症状態の処置および/または予防のための薬物の調製のためのデスロラタジンの使用を提供すること。
【解決手段】2.90ng/mL〜4.54ng/mLの範囲の定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度の相乗平均、または3.2ng/mL〜5.0ng/mLの範囲において、定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度の相加平均を生じるために十分な量のデスロラタジンの投与による皮膚または気道のアレルギー状態および炎症状態の処置および/または予防が必要である12歳以上のヒトにおける皮膚または気道のアレルギー状態および炎症状態の処置および/または予防のための薬物の調製のためのデスロラタジンの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトにおけるアレルギー状態および炎症状態の処置および/または予防のための薬物の調製のためのデスロラタジン(desloratadine)の使用に関連する。
【背景技術】
【0002】
ロラタジンは、ヒトを含む動物におけるアレルギー反応の処置に有用な非鎮静化抗ヒスタミン剤として特許文献1において開示される。クラリチン(Claritin)という商標のロラタジンもまた参照のこと。製品の情報シート(1999年1月の日付)。デスロラタジンは、非鎮静化抗ヒスタミン剤として特許文献2において開示される。デスロラタジンの活性代謝産物(3−ヒドロキシデスロラタジン)は、特許文献3において開示される。
【0003】
デスロラタジンの臨床開発のために、その代謝産物の薬物動態を特徴付けてデスロラタジンおよびその作用部位において適切な濃度を提供するために必要とされる用量を決定することが必要であった。投与されるデスロラタジン用量およびその作用部位において達成される適切な濃度は、薬物の吸収、分布、組織における結合、生体内変化(代謝)および排泄の速度および程度に依存する。デスロラタジンの吸収、分布、生体内変化および排泄はすべて、細胞膜を越えたその輸送を含む。
【0004】
理想的に、薬物は、線形の薬物動態を示すべきであり、このことによって薬物の血漿濃度および活性な薬物代謝産物(ある場合)は、薬物用量に比例して増加する。どの薬物が線形の薬物動態を示すかは、予測できない。この非予測性は、薬物およびその活性代謝産物のタンパク質結合の飽和、肝臓代謝または活性な腎輸送に起因して生じ得る。
【0005】
分子サイズ、吸収部位における溶解性、イオン化の程度ならびに薬物のイオン化形態および非イオン化形態の相対的な脂質の溶解性は、細胞膜を越える輸送に影響をあたえる重要な特徴である。これらの重要な特徴は、デスロラタジン(二級アミン)およびその活性代謝産物である3−ヒドロキシデスロラタジン(ヒドロキシ置換二級アミン)およびロラタジン(三級アミン)について異なり、故に細胞膜を越える輸送および薬物動態学的プロフィールは、それぞれについて異なり得る。
【0006】
非線形薬物動態を有する薬物は、薬物用量と薬物血漿濃度との間の比例関係を欠き、このことは、治療量未満または毒性でさえある血漿レベルの有意な期間を避けながら、標的とされる治療的に有効な血漿濃度を達成するために、医師および患者のわずらわしいモニタリングへと導く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,282,233号明細書
【特許文献2】米国特許第4,659,716号明細書
【特許文献3】米国特許第4,804,666号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ヒトにおける皮膚および気道のアレルギーおよび炎症のような状態を処置または予防するためのデスロラタジンの使用についての臨床的に有効な治療が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、2.90ng/mL〜4.54ng/mLの範囲の、定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度の相乗平均、または3.2ng/mL〜5.0ng/mLの範囲において、定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度の相加平均を生じるために十分な量のデスロラタジンの投与による皮膚または気道のアレルギー状態および炎症状態の処置および/または予防が必要である12歳以上のヒトにおける皮膚または気道のアレルギー状態および炎症状態のこのような処置および/または予防のための薬物の調製のためのデスロラタジンの使用を提供する。
【0010】
本発明は、1.50ng/mL〜2.34ng/mLの範囲において、定常状態の3−OH−デスロラタジンの最大血漿濃度の相乗平均、または1.60ng/mL〜2.50ng/mLの範囲において、定常状態の3−OH−デスロラタジンの最大血漿濃度の相加平均を生じるために十分な量のデスロラタジンの投与による皮膚または気道のアレルギー状態および炎症状態の処置および/または予防が必要である12歳以上のヒトにおける皮膚または気道のアレルギー状態および炎症状態のこのような処置および/または予防のための薬物の調製のためのデスロラタジンの使用を提供する。
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する:
(項目1) 2.90ng/mL〜4.54ng/mLの範囲の定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度の相乗平均、または3.2ng/mL〜5.0ng/mLの範囲において、定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度の相加平均を生じるために十分な量のデスロラタジンの投与による皮膚または気道のアレルギー状態および炎症状態の処置および/または予防が必要である12歳以上のヒトにおける皮膚または気道のアレルギー状態および炎症状態の処置および/または予防のための薬物の調製のためのデスロラタジンの使用。
(項目2) Tmaxの相乗平均が1.60〜2.50時間の範囲である、項目1に記載の使用。
(項目3) Tmaxの相乗平均が2.00時間であり、そして前記定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度の相乗平均が、3.63ng/mLである、項目1に記載の使用。(項目4) Tmaxの相加平均が2.54〜3.96時間の範囲である、項目1に記載の使用。
(項目5) Tmaxの相加平均が3.2時間であり、そして前記定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度の相加平均が、4.0ng/mLである、項目1に記載の使用。
(項目6) デスロラタジンについてのAUC(0〜24時間)の相乗平均が、39.5ng.hr/mL〜61.8ng.hr/mLの範囲であり、そして好ましくは、49.4ng.hr/mLである、項目1に記載の使用。
(項目7) デスロラタジンについてのAUC(0〜24時間)の相加平均が、45.5ng.hr/mL〜71.1ng.hr/mLの範囲であり、そして好ましくは、56.9ng.hr/mLである、項目1に記載の使用。
(項目8) 1.50ng/mL〜2.34ng/mLの範囲の定常状態の3−OH−デスロラタジンの最大血漿濃度の相乗平均、または1.60ng/mL〜2.50ng/mLの範囲の定常状態の3−OH−デスロラタジン最大血漿濃度の相加平均を生じるために十分な量のデスロラタジンの投与による皮膚または気道のアレルギー状態および炎症状態の処置および/または予防が必要である12歳以上のヒトにおける皮膚または気道のアレルギー状態および炎症状態の処置および/または予防のための薬物の調製のためのデスロラタジンの使用。
(項目9) Tmaxの相乗平均が4.00〜6.25時間の範囲である、項目8に記載の使用。
(項目10) Tmaxの相乗平均が5.00時間であり、そして前記定常状態の3−OH−デスロラタジンの最大血漿濃度の相乗平均が、1.87ng/mLである、項目8に記載の使用。
(項目11) Tmaxの相加平均が3.80〜5.95時間の範囲である、項目8に記載の使用。
(項目12) Tmaxの相加平均が4.76時間であり、そして前記定常状態の3−OH−デスロラタジンの最大血漿濃度の相加平均が、1.99ng/mLである、項目8に記載の方法。
(項目13) 前記デスロラタジンの量が約5.0mg/日であり、そしてここで、該デスロラタジンが少なくとも10日間の期間にわたって投与される、項目1〜12のいずれかに記載の使用。
(項目14) 3−OH−デスロラタジンについてのAUC(0〜24時間)の相乗平均が、24.3ng.hr/mL〜38.0ng.hr/mLの範囲であって、そして好ましくは、32.3ng.hr/mLである、項目8に記載の使用。
(項目15) 前記3−OH−デスロラタジンについてのAUC(0〜24時間)の相加平均が、25.8ng.hr/mL〜40.4ng.hr/mLの範囲であり、そして好ましくは、30.4ng.hr/mLである、項目8に記載の使用。
(項目16) 前記アレルギー状態および炎症状態が、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、じんま疹、好ましくは慢性特発性じんま疹、またはアレルギー性ぜん息である、項目1〜15のいずれかに記載の使用。
【0011】
(図面の簡単な説明)
(図1)
図1は、健康な成人被験者への5mgのデスロラタジン錠剤の複数用量の経口投与後、10日目の時間(0〜24時間)に対する、デスロラタジン(「DL」)および3−OH
デスロラタジン(「3−OH DL」)の平均血漿濃度(ng/mL血漿)の線形:線形のグラフ表示である。
(図2)
図2は、健康な成人被験者への5mgのデスロラタジン錠剤の複数用量の経口投与後、10日目の時間(0〜24時間)に対する、デスロラタジン(「DL」)および3−OH−デスロラタジン(「3−OH DL」)の平均血漿濃度(ng/mL血漿)の対数:線形のグラフ表示である。
(図3)
図3は、健康な成人被験者への5、7.5、10または20mgのデスロラタジン錠剤の単回用量の経口投与後の時間(0〜24時間)に対する、デスロラタジン(「DL」)および3−OH−デスロラタジン(「3−OH DL」)の平均血漿濃度(ng/mL血漿)の線形:線形のグラフ表示である。
(図4)
図4は、健康な成人被験者への5、7.5、10または20mgのデスロラタジン錠剤の単回の用量の経口投与後の時間(0〜168時間)に対する、デスロラタジン(「DL」)および3−OH デスロラタジン(「3−OH DL」)の平均血漿濃度(ng/mL血漿)の対数:線形のグラフ表示である。
(図5)
図5は、健康な成人被験者への5、7.5、10または20mgのデスロラタジン錠剤の単回用量の経口投与後の、デスロラタジンの相乗最大血漿濃度(ng/mL血漿)と用量との間の直線関係の線形:線形のグラフ表示である。
(図6)
図6は、健康な成人被験者への5、7.5、10または20mgのデスロラタジン錠剤の単回用量の経口投与後の時間(0〜24時間)に対する、デスロラタジンの血漿濃度の曲線下面積の相乗平均(ng.hr/mL血漿)と用量との間の直線関係の線形:線形のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
デスロラタジンは、単回用量5mg〜20mgの経口投与後、用量比例性および線形の予測可能な薬物動態(CmaxおよびAUC)を示す。複数回の1日5mgのデスロラタジン錠剤の経口投薬後、男性に比較した女性への投薬にも、白人に比較した黒人への投薬にも、より若い患者(12歳より上かつ65歳未満)に比較した老人患者(65歳以上)への投薬における臨床的に関連した相違はない。したがって、デスロラタジンの経口投与は、単純で標準的なレジメン(例えば、2.5mgを1日2回または5mgを1日1回)が目標血清濃度のデスロラタジンおよびその活性な代謝物を生じ、そして毒性を伴わずに所望の治療効果を生じるという確信を患者および意思に与える。
【0013】
デスロラタジンは、インビボにおいて3−OH−デスロラタジン(「3−OH−DL」)(これは、引き続いて3−OH−デスロラタジングルクロニドへ大規模に変換される)へ代謝される。デスロラタジンおよび3−OH−デスロラタジンは、(ロラタジンと比較して)それぞれH1レセプターアンタゴニスト効力が上昇した、非鎮静性で、長時間作用性の抗ヒスタミン剤である。レセプター結合データは、2〜3ng/mL(約7nM)のデスロラタジン濃度において、デスロラタジンがヒトヒスタミンHレセプターと顕著な相互作用を示すことを示す。デスロラタジンは、5、7.5、10または20mgのデスロラタジン錠剤の経口投与後に胃腸管から迅速に吸収された(研究番号3)。全ての用量についてのCmaxは、投与約4時間後に観察され、このことは、吸収速度において用量に関連した相違がないことを示した。CmaxおよびAUCtf(0時間から最終濃度の時点(tf)までの曲線下の面積)は、5〜20mgの用量範囲にわたって用量に比例する様式で増大した(表4を参照)。予測された臨床的用量は、5mg/日であったが、20mg/日(すなわち推奨される臨床的用量5mg/日の4倍)という高いデスロラタジン単回用量は、安全でありかつよく耐えられた。5〜20mgの用量についてのCmaxおよびAUCtfは、用量に比例する様式で増大し、このことはデスロラタジンが予測可能な線形の薬物動態を有することを示した。表4を参照。
【0014】
正常で健康な被験者へと10日間にわたって毎日1回5mg投与されたデスロラタジンの経口投与後、定常状態の最大血漿濃度までの時間(Tmax)の相加平均は、10日目の投与約3時間後に生じ、そして定常状態の血漿濃度ピーク(Cmax)の相加平均は、約4.0ng/mLであり、濃度−時間曲線下の面積(AUC)は、56.9ng.hr/mLであり;定常状態の最大血漿濃度までの時間(Tmax)の相乗平均は、10日目の投与約2.00時間後に生じ、そして定常状態の血漿濃度ピーク(Cmax)の相乗平均は、約3.63ng/mLであり、濃度−時間曲線下の面積(AUC)は、49.4ng.hr/mLであった。表2を参照。
【0015】
句「皮膚または気道のアレルギー状態および炎症状態」は、皮膚上ならびに鼻から肺までの上気道および下気道において見出されるアレルギー状態およびアレルギー症状および炎症状態および炎症症状を意味する。皮膚または上気道および下気道の代表的なアレルギー状態および炎症状態は、季節性および通年性のアレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、アレルギー性および非アレルギー性の喘息を含む喘息、副鼻腔炎、感冒(NSAID(例えば、アスピリン、イブプロフェンまたはAPAP)および/またはうっ血除去剤(例えば、プソイドエフェドリン)との組み合わせにおいて)、皮膚炎(特にアレルギー性およびアトピー性皮膚炎)、ならびにじんま疹、および症候性の皮膚描記症(特に慢性特発性じんま疹)、ならびに網膜症、ならびに小血管疾患(糖尿病に関連する)が挙げられる。
【0016】
本明細書で用いられる用語「12歳以上のヒト」は、12歳以上でかつ18歳未満の男または女の小児被験者および18歳以上の成人を意味する。
【0017】
皮膚または気道のアレルギー状態および炎症状態の処置または予防するために有効なデスロラタジンの量は、患者の体重ならびにアレルギー状態および炎症状態の重症度によって変動する。代表的には、12歳以上の成人におけるこのようなアレルギー状態および炎症状態を処置または予防するために有効なデスロラタジンの量は、約2.5mg/日〜約45mg/日、好ましくは、約2.5mg/日〜約20mg/日、または約5.0mg/日〜約15mg/日、または約5.0mg/日〜約10mg/日、さらに好ましくは約5.0mg/日〜約7.5mg/日、そして最も好ましくは単回用量または分けられた用量(例えば、2.5mgを1日2回(すなわち2×2.5mg/日)、または単回用量の5.0mg/日)において約5.0mg/日の範囲にある。
【0018】
本発明において、約2.90ng/mL〜約4.54ng/mLの範囲における定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度の相乗平均を生じるか、または約3.2ng/mL〜約5.0ng/mLの範囲における定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度の相加平均を生じるために十分な期間にわたって、デスロラタジンのある量(例えば、2×2.5mgまたは5.0mg/日)を投与することによる皮膚または上気道および下気道のアレルギー状態および炎症状態(例えば、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎(特に季節性および通年性のアレルギー性鼻炎の鼻の症状および鼻以外の症状))の安全かつ有効な処置および/または予防および/または12歳を越えるヒトにおける慢性特発性じんま疹の処置)が提供される。
【0019】
デスロラタジンは、強力な選択的末梢H1レセプターアンタゴニスト活性を有する非鎮静性で長時間作用性のヒスタミンアンタゴニストである。経口投与後、ロラタジンは、デスカルボエトキシロラタジン(descarboethoxyloratadine)またはデスロラタジン(薬理学的に活性な代謝産物)へと迅速に代謝される。インビトロおよびインビボにおける動物の薬理学研究は、デスロラタジンおよびロラタジンの様々な薬力学的な影響を評価するため行われている。マウスにおける抗ヒスタミン活性を評価(ED50値の比較)する際に、デスロラタジンは、挙動、神経機能または自律神経機能に変化を生じることが、相対的になかった。デスロラタジンまたはロラタジンが脳のH1レセプターを占める可能性は、腹腔内投与後のモルモットにおいて評価された。そして結果は、デスロラタジンまたはロラタジンについての中枢のヒスタミンレセプターの貧しい接近を示唆する。
【0020】
インビボ研究はまた、アレルギー性気管支痙攣およびアレルギー性の咳におけるデスロラタジンの阻害効果がまた、予想され得ることを示唆する。
【0021】
デスロラタジンの臨床的効力および安全性は、3,200人強の季節性アレルギー性鼻炎患者において、ニ重盲検によるランダム化した4つの臨床試験において実証された。これらの臨床研究の結果は、季節性鼻炎を有する成人および青年の患者の処置におけるデスロラタジンの効力を実証した。
【0022】
全ての研究において、効力の終点は、効力試験における症状の評点の合計、鼻の症状の評点の合計、鼻以外の症状の評点の合計、および生活の健康の質(HQOL)分析であった。デスロラタジン(毎日1回5mg)は、全体の症状の評点の合計(鼻漏、くしゃみ、うっ血/鼻づまり(stuffiness)、鼻のかゆみ、かゆく/ひりひりする眼、流涙、眼の赤み、およびかゆい耳/口蓋についての個々の評点の合計)を有意に減少した。デスロラタジン(5mg)は、鼻の症状を減ずることにおいてプラセボより有意に(p<0.01)有効であった。デスロラタジン研究において分析される重要な効力の終点は、AM NOW症状評点合計である。このパラメータは、24時間後で翌日の用量を服用する前の患者よる症状の軽減の合計を測定する。統計的に有意な(p<0.05)減少は、5mg〜20mgの投薬量範囲の全体にわたって、24時間の投与間隔全体について維持された。
【0023】
性別、年齢、または人種によって規定される患者の亜群にまたがって、デスロラタジン(5mg〜20mgの投与量範囲全体にわたる)の有効性における有意差はなかった。デスロラタジンは、季節性および通年性のアレルギー性鼻炎(鼻のうっ血を含む)の鼻の症状(鼻づまり/うっ血、鼻漏、鼻のかゆみ、くしゃみ)および鼻以外(かゆく/ひりひりする眼、流涙/なみだ眼、眼の赤み、耳/口蓋のかゆみ)の症状の処置および予防のために、このような処置および/または予防の必要のある患者において、特に有用である。
【0024】
デスロラタジンはまた、慢性特発性じんま疹の処置に有用である。デスロラタジンの経口投与は、かゆみの重症度、じんま疹の数および最も大きいじんま疹のサイズ、症状の評点の合計、睡眠障害、および日常活動の障害を有意に減少させた。慢性特発性じんま疹の症状は、5mgデスロラタジン錠剤の最初の用量後に減少し、そして24時間の投与間隔全体にわたって維持された。
【0025】
デスロラタジンは、この薬物またはそのいずれかの成分に過敏である患者において禁忌である。
【0026】
(研究番号1についての臨床研究設計)
(研究目的)
本研究の薬物動態学的目標は、季節性アレルギー性鼻炎のフェーズIIIの臨床効力かつ安全性計画において研究された集団を代表する集団への5mgのデスロラタジンの複数回用量の経口投与後のデスロラタジンおよび3−OHデスロラタジンの薬物動態学的プロフィールを特徴付けることであった。
【0027】
(研究計画)
(全体の研究の設計および計画:説明)
114人の健康な成人被験者のうち合計113人(57人の男性および56人の女性)が登録され、そして112人がこのオープンラベル(open−label)複数回用量研究を首尾よく完了した。
【0028】
被験者を投薬の3週間以内にスクリーニングし、そして参加基準にあった被験者を処置前の24時間以内に調査センターに拘束した(第−1日目)。各被験者は、5mgのデスロラタジン錠剤を経口で服用した(毎日午前8時に一回、10日間)。
【0029】
各用量を室温の非炭酸水の180mL(6液量オンス)を用いて投与した。錠剤は、咀嚼したり砕いたりされず、全体が嚥下された。投薬の後、口腔を検査して、被験者が錠剤を嚥下したことを確認した。
【0030】
全ての被験者を、120時間の研究関連手順が得られるまで研究現場に拘束した。激しい身体活動は許されず、そして被験者は、研究現場に拘束されている間は訪問者が許されなかった。
【0031】
安全性および薬物動態学的評価のため、前もって指示された時間に生命徴候および心電図を実施し、そして血液サンプルを採取した。有害な事象のあり得る出現について、被験者を研究の間中絶えず観察し、そして質問した。被験者はまた、どのような異常な経験または不快感でも報告するように指示された。
【0032】
(研究集団/選択(Inclusion)基準/除外基準)
(選択基準:)
・両親が共に、それぞれ白人またはアフリカ系アメリカ人である、白人またはアフリカ系アメリカ人の被験者。
【0033】
・被験者は、18歳以上70歳以下の健康な成人男性または成人女性であり、19〜27の間のボディマス指数(BMI)を有した(BMI=体重(kg)/身長(m))。
【0034】
・臨床検査室試験(CBC、血液化学、尿検査)が正常範囲内であるか、または調査員/主催者に臨床的に受容可能であった。
【0035】
・乱用される可能性が高い薬物についての薬物スクリーニングが、スクリーニング時および研究現場への入場時において陰性であった。
【0036】
・被験者は、医師の患者管理が必要とされる、および/または研究評価、研究手順もしくは研究参加を妨害し得る臨床的に重大ないかなる疾患も有さなかった。
【0037】
・被験者は、書面のインフォームドコンセントを(いかなる研究関連手順の実施にも先だって)与え、そして制限および実験スケジュールを快く固守した。
【0038】
・被験者は、正常なまたは臨床的に受容可能な身体検査およびECGを有した。
【0039】
(排除基準:)
・最初の処置投与前の4週間以内に、局部性または全身性の何らかの感染症歴を有した被験者。
【0040】
・研究前14日以内のロラタジン(または72時間以内の店頭販売される薬物(パラセタモールとも呼ばれるアセトアミノフェンを除く))を含めていかなる処方薬物も、そしてまた研究薬物投与前の72時間以内のアルコールまたはキサンチン含有物質も用いるべきでないとする要求に従わなかった被験者。
【0041】
・薬物投与(第1日目)前3ヶ月以内にアステミゾール(または半減期の長い他の薬物)を服用した被験者。
【0042】
・研究の開始前30日以内に肝臓のシトクロムP450酵素を誘導することが知られる何らかの薬物(例えば、リファンピン)を服用した被験者。
【0043】
・研究の開始前30日以内に肝臓のシトクロムP450酵素を阻害することが知られる何らかの薬物(例えば、ケトコナゾール)を服用した被験者。
【0044】
・研究の開始(第1日目)前30日以内に何らかの調査薬物を服用した被験者。
【0045】
・以前に麻薬常習者またはアルコール依存者であったか、あるいは以前に麻薬常習者またはアルコール依存症であることが既知であった被験者。
【0046】
・B型肝炎表面抗原またはC型肝炎抗体が陽性であった被験者。
【0047】
・HIV抗体陽性であった被験者。
【0048】
・臨床的に重大な食物アレルギー歴または薬物アレルギー歴を有した被験者。
【0049】
・ロラタジンを含む抗ヒスタミン剤に対し既知のアレルギーまたは不耐性を有した被験者。
【0050】
・スクリーニング時または研究現場への入場時に、血清/尿の妊娠試験が陽性であった女性。
【0051】
・授乳中の女性または、精子の通過阻止による適切な避妊法を使用/実施する意思のない女性。
【0052】
・薬物投与(第−1日目)の30日以内にデスロラタジンまたはクラリチン(ロラタジンの商標)を事前に服用した被験者。
【0053】
(研究の処置)
被験者は、処置の少なくとも12時間前(第−1日目)から120時間の血液サンプル生命徴候および検査結果を第15日目に得るまで研究現場に拘束された。第1日目から第10日目の朝において各被験者は、5mgのデスロラタジンの錠剤を1個服用した。各用量を室温の非炭酸水180mL(6液量オンス)を用いて投与した。錠剤は、咀嚼したりまたは砕いたりされず全体が嚥下された。投与後に、口腔を検査して、被験者が錠剤を嚥下したことを確認した。終夜の絶食は、10日目の投与の前にのみ必要とされた。4時間の血液サンプルが採取されるまで絶食が続けられた。絶食の間中、食物も流体(水を除く)もとることを禁止した。投薬後4時間の間、被験者は、直立/歩行しつづけた。
【0054】
デスロラタジンの錠剤は、米国特許第6,100,274号の実施例11に従って製造され、そしてSchering Corporation,Kenilworth,NJ,U.S.A.によって包装され、そして調査員に供給された。
【0055】
(処置の割当て方法)
調査センターで拘束され、そして全ての研究参加必要条件を満たした後に、被験者は、連続的に被験者番号を割り当てられた。
【0056】
研究から退くかまたは除かれた被験者は、主催者の裁量のもとに置きかえられた。
【0057】
(先立つ治療および付随する治療)
医療的な緊急事態でない限り、主たる調査員または主催者から事前の承認なくしては、処置の開始14日以内または研究過程の間、アセトアミノフェン(72時間以内)を除く如何なる他の薬物(調査薬、処方薬またはOTC)も、被験者に摂取されなかった。有害な事象を処置するために用いられたかもしれない鎮痛剤および店頭販売される薬を含む何らの薬物の使用は、症例記録様式の適切な頁に記録された。
【0058】
(薬物動態)
デスロラタジンおよび3−OH デスロラタジンの血漿薬物動態プロフィールを決定するため血液サンプルを収集した。第10日目の薬物投与の直前(0時間)および投与後から0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間および120時間の時点において、5mLの血液を収集した。定常状態が得られたか否かを決定するために、第1日目、第7日目、第8日目および第9日目の投与直前(0時間)に、さらなる血液サンプルを得た。全ての血液サンプルを、特定の時点においてヘパリン含有チューブ中へ収集した。血液サンプルを、収集30分以内に、約4℃および約1500gで15分間遠心分離した。血漿を分離して適切に標示した別々の2本のチューブに入れ、少なくとも−20℃において凍結し、そしてデスロラタジンおよび3−OH デスロラタジン含量についてのアッセイを行うまで凍結状態で維持した。
【0059】
5mgのデスロラタジン投与後のデスロラタジンの血漿中濃度のデータを用いて、以下の薬物動態学的パラメータを推定した。
【0060】
max−観測される最大血漿中濃度
max−観測される最大血漿中濃度の時間
AUC(tf)−血漿中濃度対時間の曲線下の0時間から最終の測定可能サンプル採取時間(tf)までの面積
AUC(0〜24)−時間に対する血漿中濃度の曲線下の0時間から24時間までの面積
min−第7日目、第8日目、第9日目および第10日目の投薬前レベルの観測される最小血漿中濃度
薬物動態学的の変数の主たる目的の物は、血漿AUC(0〜24)およびCmaxであった。タンデム質量分析検出器を備えた認証済み(validated)液体クロマトグラフィー(「LC/MS/MS」)法(ヒトの血漿中の各分析物についての定量の下限(「LOQ])が0.025ng/mLおよび線形範囲が0.025ng/mL〜10ng/mL)を用いてデスロラタジンおよび3−OH デスロラタジンの血漿中濃度を決定した。個々の血漿中濃度−時間のデータを用いて、モデルとは独立した方法を用いた薬物動態学的パラメーターを決定した。最大血漿中濃度(Cmax)および最大血漿中濃度の時間(Tmax)は、観測された値であった。最終過程の速度定数(K)を、線形回帰を用いて血漿中濃度−時間曲線のlog−直線末端部分の傾きの負の値として計算した。最終過程の半減期(t1/2)を0.693/Kとして計算した。
【0061】
時間0から最終の定量可能なサンプルの時点までの血漿中濃度−時間曲線下の面積(AUC)[AUC(tf)]および時間0から24時間までのAUC[AUC(0〜24時間)]を台形の方法(trapezoidal method)を用いて計算した。
【0062】
(統計解析)
各サンプル採取時間における濃度データおよび導出された薬物動態学的パラメーターについてのまとめの統計を各分析物(デスロラタジンおよび3−OH デスロラタジン)について計算した。
【0063】
(評価された安全性測定)
安全性評価のために、身体検査、生命徴候、心電図および臨床検査室試験をスクリーニング時および研究の終りに実施した。さらに、処置投与前および両方の処置期間の間毎日、生命徴候をモニターした。有害な事象の評価、重症度および処置に対する関連を評価した。
【0064】
(要約した結論:)
(結果:)
研究を計画通り実施した。
【0065】
第7日目、第8日目、第9日目および第10日目の血漿中デスロラタジン濃度の最小値(Cmin)または谷部分の平均を表1に示す。第7日目、第8日目、第9日目および第10日目の血漿中のデスロラタジンおよび3−OH デスロラタジンの谷部分の濃度平均は、互いに10%の範囲であり、このことは、5mgのデスロラタジンの投与後7日目に定常状態が得られることを示唆した。
【0066】
【表1】

5mgのデスロラタジン錠剤の経口投与後にデスロラタジンは、すばやく吸収された。健常な成人被験者への5mgデスロラタジン錠剤の複数回用量の経口投与後、定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度(Cmax)の相乗平均は、10日目の投与後約2時間で達せられた(相乗平均またはTmax値のメジアン)。3−OHデスロラタジンのTmax値のメジアンは、5時間である。デスロラタジンの投与後のDLのt1/2値の相加平均および調和平均は、それぞれ26.8時間および24.2時間であった(表2を参照。図1および2も参照)。
【0067】
【表2】

(結論:)
(生命徴候、身体的所見および安全性に関する他の知見)
血圧、脈拍数、心電図および口腔体温の評価は、一貫した臨床的に関連した変化を示さず、健常な成人の被験者について観測される範囲内に維持された。
【0068】
(議論および全体の結論)
臨床的な季節性のアレルギー性鼻炎プログラム中で試験されものを代表する集団における、5mgのデスロラタジン錠剤の複数回用量投与後のデスロラタジンおよび3−OH デスロラタジンの薬物動態学的プロフィールを特徴付けるためにこの研究を実施した。この用量において、定常状態の最大濃度の相乗平均は、投薬後2時間(Tmaxのメジアン)で達せられ、そして26.8時間の平均半減期(相加平均)でゆっくりと除去された;半減期の相乗平均またはメジアンは24.2時間であった。年齢とデスロラタジン処置に関連する評価は、より若い被験者と比較して65歳以上の高齢の被験者におけるt1/2に30%の増加が見られることを示した。これらの年齢に関連した相違は、臨床的に関連したものでなく、そしてこの高齢者群における投薬量の改変は必要でない。
【0069】
(結論)
・10日間にわたって、毎日1回投与された5mgのデスロラタジンは、安全かつ十分に耐容性であった。
・5mgのデスロラタジンの複数回用量の経口投与の後に、デスロラタジンについて、全ての被験者についての定常状態のCmax値およびAUC値の相加平均はそれぞれ3.98ng/mLおよび56.9ng−hr/mLであった。
・デスロラタジンは、2時間というTmaxの相乗平均またはメジアン、および約3時間というTmaxの相加平均または平均値で吸収された。
・デスロラタジンは、26.8時間というt1/2の相加平均で除去された。
・高齢の被験者において投薬量の改変は、保証されなかった。
【0070】
(研究番号2)
(薬物動態学的目的)
本研究の薬物動態学的目的は、人種および性別において異なる成人被験者への7.5mgのデスロラタジン錠剤の複数回用量の経口投与後の、このような被験者におけるデスロラタジンの薬物動態学的プロフィールを特徴付けることである。
【0071】
デスロラタジンのこのオープンラベルの、並行群の、複数回用量研究を、12人の黒人男性(19〜38歳)、12人の白人男性(19〜39歳)、12人の黒人女性(24〜41歳)、および12人の白人女性(28〜45歳)において実施した。各成人被験者は、7.5mgのデスロラタジンの単回経口用量が投薬され、3日後から14日間にわたって1日1回投薬された。デスロラタジンおよび3−OHデスロラタジン(「3−OH−DL」)の血漿中濃度を、液体クロマトグラフィー/質量分析法によって決定した(LOQ=0.025ng/mL)。表3に示す、14日間の投薬後のデスロラタジンおよび3−OH−DLについての以下の変動係数%(%CV)の平均の薬物動態学的パラメーターによって、定常状態を特徴付けた。
【0072】
【表3】

(議論)
log変換されたAUC値およびCmax値の統計学的評価は、男性被験者に比べて女性被験者がそれぞれ3%および10%高いデスロラタジン値を有したことを示す。デスロラタジンについてのAUC値およびCmax値は、白人被験者に比べて黒人被験者において32%および18%高かった。これらの相違は、臨床的に関連するものでなく、したがって人種についても性別についても用量を調整する必要はない。デスロラタジンの蓄積[複数回用量のAUC(0〜24):単回用量AUC(0〜24)の比]は、そのt1/2および投与頻度に一致した。頭痛は、基も頻繁に報告された有害事象であり、そして両方の人種の女性においてもっぱら生じた。
【0073】
(結論)
・14日間毎日1回経口投与されたデスロラタジン(7.5mg)は、安全かつ十分に耐容性であった。
・AUC値およびCmax値の相違は、人種および性別の違う被験者において臨床的に有意でなかった。
・人種または性別の相違による、デスロラタジンの用量の調整は必要ない。
・毎日1回5.0mgのデスロラタジンをまたは毎日2回2.5mgのデスロラタジンが好ましい用量である。
【0074】
(研究番号3)
(研究目的)
用量と薬物動態学的挙動との間の関連は、潜在的な臨床的関連のため、薬物開発において重要である。したがって、デスロラタジンの単回用量の用量比例性(線形性)を評価するため、20人の健常な被験者における、このオープンラベルの、4通りの交差試験を設計した。デスロラタジンの単回用量(5mg、7.5mg、10mg、および20mg)を4つの処置期間のそれぞれにおいて、絶食状態下で投薬した。
【0075】
(研究目的)
本研究の目的は、4つの用量レベル(5mg、7.5mg、10mg、および20mg)におけるデスロラタジンの単回経口用量後のデスロラタジンの用量比例性、線形性、および薬物動態学的プロフィールを評価することであった。
【0076】
(調査計画)
(全体の研究設計および計画:説明)
全体で20人の健常な被験者が登録され、そしてこのランダム化された、オープンラベルされた、単回用量の4通りの交差試験を首尾よく完了した。
【0077】
被験者を投薬の3週間以内にスクリーニングし、そして参加基準を満たす被験者を各処置前の12時間以内(−1日目)に研究センターに拘束した。拘束された後、被験者は、安全性の検査室試験および心電図を繰りかえし実施された。翌朝、最短で10時間の絶食の後に、被験者は、彼/彼女らの被験者番号および研究期間に基づいて以下の4つの処置のうちの1つを受けた:
処置A:5mgデスロラタジン錠剤1つ
処置B:7.5mgデスロラタジン錠剤1つ
処置C:10mgデスロラタジン錠剤1つ
処置D:10mgデスロラタジン錠剤2つ(計20mg)。
【0078】
168時間の研究に関する手順が得られるまで、全ての被験者は、研究現場に拘束された。激しい身体活動は許されず、そして被験者は、研究現場に拘束されている間は訪問者が許されなかった。医師は、全ての薬物投与に立会い、そして投薬後の少なくとも4時間は研究現場にとどまった。少なくとも14日間の洗い出し期間によって、この研究における各処置期間の用量投与の各々は隔てられた。
【0079】
生命徴候およびECGを実施し、そして安全性および薬物動態学的評価のため、あらかじめ決められた時間に血液サンプルを収集した。被験者は、頻繁に観測され、そして生じ得る有害な事象の出現について、研究の間を通して質問された。被験者はまた、どのような異常な経験または不快感でも現場職員に報告するように指示された。
【0080】
(全体の研究設計:議論)
本研究を実施して、オープンラベルの、ランダム化された、4通りの交差設計における4つの異なる投薬強度において、単回用量として投与されたデスロラタジンの用量比例性、線形性、および薬物動態学的プロフィール(AUCおよびCmax)を決定した。研究番号1の選択基準および排除基準を用いた。
【0081】
(研究処置)
各処置投与の少なくとも12時間前に、被験者を研究現場に拘束した。10時間の夜通しの絶食の後に1日目の朝に、各被験者は、彼/彼女らの被験者番号および研究期間に基づいて以下の処置のうちの1つを受けた。処置投与の順番は、主催者によって研究者に供給されるコンピューターによって作製されたランダムコードに従って決定された。
【0082】
処置A:10時間の絶食後に投与される5.0mgデスロラタジン錠剤1つ
処置B:10時間の絶食後に投与される7.5mgデスロラタジン錠剤1つ
処置C:10時間の絶食後に投与される10mgデスロラタジン錠剤1つ
処置D:10時間の絶食後に投与される10mgデスロラタジン錠剤2つ(計20mg)
各用量を室温の非炭酸水180mL(6液量オンス)を用いて投与した。錠剤は、咀嚼したりまたは砕いたりされず丸ごと嚥下された。投与後に、口腔を検査して、被験者が錠剤を嚥下したことを確認した。被験者は、4時間の研究手順が完了する(この時点で昼食が提供された)まで絶食を続けた。絶食の期間を通じて水は許可された。投薬後4時間の間、被験者は、覚醒しそして直立して着席/歩行しつづけた。被験者は、研究現場における拘束の間、医学的管理のもとにあった。各処置投与は、少なくとも14日目の洗い流し期間までに分けられた。デスロラタジン錠剤は、米国特許第6,100,274号に記載される実施例11に従って調製され、米国特許第6,100,274号に記載される実施例11のSchering−Plough Research Institute,Kenilworth,NJ,USAによって、調査者らにパッケージされそして供給される。
【0083】
デスロラタジンの薬物動態学的パラメーターの相加平均(%CV)および相乗平均および調和平均を表4に要約する。
【0084】
【表4】

血漿中デスロラタジン濃度のピーク(Cmax)は、5mgから20mgの用量範囲にわたって、投薬後約4時間で観察され、このことは、デスロラタジンの吸収速度に、用量に関連した変化がないことを示唆していた。変動係数%(%CV)として表されるCmaxの被験者間の変動(intersubject variability)は、全ての用量群について35%未満であった。
【0085】
2人の被験者において外挿面積が25%を越えるAUC(tf)であったため、個々のAUC(l)値の代りに個々のAUC(tf)値をデスロラタジンの線形性の主な評価に用いた。
【0086】
図3および図4は、健常な成人男性被験者への5、7.5、10または20mgの用量のデスロラタジンの単回の経口投与後の平均血漿デスロラタジンと時間の関係の線形:線形および対数:線形の関係を示す。図5および図6は、薬物動態学的パラメーター(CmaxおよびAUC)の相乗平均と用量との間の関連を示す。log用量およびlog変換されたAUC(tf)およびCmaxの線形回帰分析は、どの傾きも統計的に有意に1と異ならないことを示し、そして傾きの20%の相違を検出する能力が92%以上であることを示した。全ての被験者について、用量を(1mgに)調整しlog変換された全ての被験者からのCmaxおよびAUCデータの変数の分散分析の結果は、5mgから20mgの用量範囲にわたるPKパラメーターに統計的に有意差がないことを示し、このことは、用量について比例性および線形性の薬物動態を支持する。
【0087】
(議論および全体の結論)
薬物の用量と薬物動態学的挙動との間の関連は、薬物開発における主な関心事である。薬物の処分を調節するプロセスが、薬物濃度に依存しない場合、用量について基準化したとき、全ての濃度−時間曲線が重ね合わされ得る。薬物動態学的パラメーターと用量との間の関連について何の仮説も立てない、回帰分析および変数分析を用いることによって、デスロラタジンが5mg〜20mgの用量範囲にわたって線形性の薬物動態を示すことが実証される。このことは、デスロラタジンの薬物動態における予測可能性および線形性を示す。すなわち、用量の倍加は、濃度の倍加を生じる(用量比例性)。
【0088】
(結論)
・健常な男性ボランティアへのデスロラタジン5mg、7.5mg、10mgおよび20mgの単回経口用量の投与は、安全かつ十分に耐容性であった。
・デスロラタジン5mg〜20mgの用量範囲にわたり、用量比例性の様式でCmaxおよびAUC(tf)値は増加した。
・デスロラタジンは、予測可能な、線形性薬物動態プロフィールを有する。
【0089】
米国特許第4,659,716号は、デスロラタジンの作製法、デスロラタジンを含む薬学的組成物ならびに哺乳動物におけるアレルギー反応を処置するためのデスロラタジンおよびデスロラタジンを含む薬学的組成物の使用の方法を開示する。
【0090】
米国特許第5,595,997号は、デスロラタジンを含んだ薬学的組成物ならびに様々な疾患状態(例えば、アレルギー性鼻炎)を処置および予防するためのデスロラタジンの使用方法を開示する。
【0091】
米国特許第4,804,666号は、デスロラタジンを含む3−OH デスロラタジンの薬学的組成物、および哺乳動物におけるアレルギーのための使用方法を開示する。
【0092】
デスロラタジン、3−OH デスロラタジンおよび3−OH デスロラタジングルクロニドは、Schering Corporation,Kenilworth,NJから入手可能である。
【0093】
デスロラタジンの薬学的組成物は、例えば、経口投与、非経口投与(例えば、皮下投与(「SC」)、筋肉内投与(「IM」)、および腹腔内投与(「IP」)、局所投与もしくは膣内投与または吸入(経口的もしくは鼻腔内)による投与のいずれかの形態に適応され得る。好ましくは、デスロラタジンは経口投与される。
【0094】
このような薬学的組成物は、デスロラタジンまたは当量の薬学的に受容可能なそれらの塩を、固体または液体のいずれかであり得る、適切で不活性な薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と合わせて、処方し得る。当量の薬学的に受容可能な酸をデスロラタジンと混合して、デスロラタジンを薬学的に受容可能な酸化塩へ変換し得る。典型的に適切な薬学的に受容可能な酸は、無機酸(例えば、HNO、HSO、HPO、HCl、HBr)、有機酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、グルクロン酸およびクエン酸が含まれるが、これらに限定されない)、ならびにアルキル酸またはアリールスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸またはメタンスルホン酸)を含む。好ましい薬学的に受容可能な塩は、トリフルオロ酢酸、トシレート、メシレートおよび塩化物である。デスロラタジンは、酸化塩としてよりも遊離塩基として安定であり、そして本発明の薬学的組成物におけるデスロラタジン遊離塩基の使用がより好ましい。
【0095】
固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、分散性顆粒剤(dispersible granule)、カプセル剤、カシェ剤および坐剤を含む。散剤および錠剤は、約5〜約95%の活性成分から構成され得る。適切な固体キャリアは、当該分野において公知である(例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖または乳糖)。錠剤、散剤、カシェ剤、およびカプセル剤を経口投与に適切な固体投与形態として用い得る。薬学的に受容可能なキャリアおよび様々な組成物の生産方法の例は、A.Gennaro(編)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、(1990)、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvaniaにおいて見出され得る。好ましい錠剤処方物は、米国特許第6,100,274号の手順に従って作製される。
【0096】
非経口注射のための水溶液または水−プロピレングリコール溶液の例が述べられるように、液体形態の調製物としては、液剤、懸濁剤および乳剤を含む。固体形態の調製物は、経口または投与のいずれかの使用の直前に、液体調製物へ変換され得る。静脈内投与、筋肉内投与、または皮下投与するための非経口形態は、通常無菌溶液の形態であり、そして等張化因子(tonicity agant)(塩またはグルコース)および緩衝剤を含み得る。乳白剤を経口溶液、経口懸濁物および経口乳濁液に含み得る。液体形態の調製物はまた、鼻腔内投与のための溶液を含む。
【0097】
吸入に適切なエアゾール調製物は、溶液および粉末形態の固体を含み、これらは、薬学的に受容可能なキャリアー(例えば、不活性圧縮ガス(例えば、窒素))と組み合わせ得る。
【0098】
経口投与または非経口投与のいずれかのために、使用直前に液体形態調製物に変換することが意図される固体形態調製物もまた含まれる。このような液体形態としては、液剤、懸濁剤および乳剤を含む。
【0099】
本発明の化合物もまた、経皮的に送達可能である。経皮性組成物は、クリーム剤、ローション剤、エアゾール剤および/または乳剤の形態を取り得、そして目的のために、当該分野で慣用のマトリックス型または貯蔵槽型の経皮性パッチに含み得る。
【0100】
好ましくは、薬学的調製物は、単位投薬の形態であり得る。このような形態において、調製物は、適切な量の活性成分(例えば、必要とするこの目的を達するために有効な量)を含む、適切な大きさの単位用量に細分される。
【0101】
さらに、デスロラタジンは、シロップ剤、錠剤、速やかに崩壊する錠剤、もしくはレジタブ(reditab)(例えば、舌上に置かれた数秒以内には、口の中で崩壊するもの)、またはデスロラタジンの延長した放出処方物として上気道のうっ血除去剤(フェニルエフェドリンおよびプソイドエフェドリン、フェニルプロパノールアミンまたはそれらの薬学的に受容可能な塩を含むが、これらに限定されない)の治療有効量(12時間または24時間)に関連して、当該分野で公知のものおよびPhysicians’ Desk
Refernceに記載される用量レベルにしたがって投与され得る。塩酸プソイドエフェドリンまたは硫酸プソイドエフェドリンの使用が好ましい。
【0102】
本発明は、皮膚(例えば、じんま疹)のアレルギー状態および/または炎症状態、ならびに鼻のうっ血を含む、季節性のアレルギー性鼻炎の鼻の症状および鼻以外の症状を含む、上気道および下気道のアレルギー状態および/または炎症状態の処置を必要とする患者におけるこのような処置に有用である方法および薬学的組成物を提供する。正確な投薬量および投薬レジメンは、患者の必要要件(例えば、患者の体重、ならびに処置されるアレルギー状態および/または炎症状態の重症度)に依存し、本明細書における教示を考慮して、主治医によって変更され得る。特定の患者についての適切な投薬量および投薬レジメンの決定は、主治医の技量の範囲内である。任意の適切な薬学的組成物によって送達され得るデスロラタジンの好ましい量は、約5mg/日、または2.5mg/1日2回である。本発明によると、約5.0mgのデスロラタジンを1日1回、約10日間、12歳以上のヒト(例えば、季節性および通年性のアレルギー性鼻炎の鼻の症状および鼻以外の症状、ならびに/または慢性特発性じんま疹の症状を有する)へ投与して、約3.2ng/ml〜約5.0ng/mlの範囲、好ましくは約4ng/mLの、定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度(Cmax)の相加平均を生じ、最大血漿濃度までの相加平均時間(Tmax)の(または平均時間)は、投薬後約2.54〜約3.96時間の範囲であり、好ましく投薬後約3.2時間であり、そして濃度−時間曲線下の面積は、約45.5ng.hr/mL〜約71.1ng.hr/mLの範囲であり、好ましくは約56.9ng.hr/mLのデスロラタジンであり;生成される定常状態のデスロラタジンの最大血漿濃度(Cmax)の相乗平均は、約2.90ng/mL〜約4.54ng/mLの範囲、好ましくは約3.63ng/mLであり、最大血漿濃度までの時間(Tmax)の相乗平均(または時間のメジアン)は投薬後約1.60〜約2.50時間の範囲であり、好ましくは、約2.00時間、そして濃度−時間曲線下の面積が約39.5ng.hr/mL〜約61.8ng.hr/mLの範囲であり、好ましくは約49.4ng.hr/mLのデスロラタジンである。本発明によると、約5.0mgのデスロラタジンを1日1回、約10日間、上記の12歳以上のヒトへ投与した場合、生成される定常状態の3−OH デスロラタジンの最大血漿濃度(Cmax)の相加平均は、約1.60ng/mL〜約2.50ng/mLの範囲、好ましくは約2.00ng/mLであり、最大血漿濃度時間(Tmax)の相加平均(または平均時間)が投薬後約3.80〜約5.95時間の範囲であり、好ましくは、約4.76時間であり、そしてデスロラタジン濃度−時間曲線下の面積は約25.8ng.hr/mL〜約40.4ng.hr/mLの範囲であり、好ましくは約32.3ng.hr/mLであり;生成される定常状態の3−OH デスロラタジンの最大血漿濃度(Cmax)の相乗平均は、約1.50ng/mL〜約2.34ng/mLの範囲、好ましくは約1.87ng/mLであり、最大血漿濃度時間(Tmax)の相乗平均(または時間のメジアン)は、投薬後約4.00〜約6.25時間の範囲であり、好ましくは、約5.00時間、そしてデスロラタジン濃度−時間曲線下の面積は約24.3ng.hr/mL〜約38.0ng.hr/mLの範囲であり、好ましくは約30.4ng.hr/mLである。
【0103】
出願人は、実施例によって、本発明の多数の好ましい実施形態を本明細書中に示したが、本発明の範囲は、添付される特許請求の範囲によって規定されるべきであることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載された発明。

【公開番号】特開2012−131828(P2012−131828A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−80325(P2012−80325)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2008−13167(P2008−13167)の分割
【原出願日】平成13年2月1日(2001.2.1)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】