説明

アンテナおよびアンテナ付き雨樋

【課題】軒樋アンテナのように向きの調節にあたって制約が大きくなく、広い周波数帯に対応することができるアンテナおよびアンテナ付き軒樋を提供する。
【解決手段】断面略C字状の導電性部材1の軸方向に沿ってスロット20(第1の受信部2)が形成されたアンテナである。受信したい電波の周波数帯を第1、第2の2つの周波数帯に大別し、スロット20の長さL2が第1の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに形成される。スロット20の長さL2方向に隣接した部位(第2の受信部3)の周方向の長さW5が第2の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに形成される。導電性部材1の周方向の両端間の隙間4がスロット20と対向する位置に形成されて抜き部5が形成される。抜き部5の巾W3がスロット20の最大巾W2以上の長さに形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナおよびアンテナ付き雨樋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば放送用受信アンテナとしては、家屋の屋根上に配置される八木アンテナが広く使用されている。八木アンテナの問題点としては、目立つため景観を損ねる点、設置コストが高い点、風等による破損の危険が高い点、が挙げられる。
【0003】
このような八木アンテナに対し、軒樋にアンテナが設けられてなる軒樋アンテナが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−195201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に記載されている軒樋アンテナは、略水平に配置される軒樋の長手方向に沿って、水平ダイポールアンテナが搭載されたものである。この水平ダイポールアンテナは、水平面内の水平偏波に対しては指向性があり、設置される向きは軒樋の向きに依存するため、向きの調節にあたって制約が大きく、水平偏波の放送用電波を良好に受信することができない場合があった。また、水平ダイポールアンテナの軸に直交する垂直面内の水平偏波に対して無指向性となるが、放送局からの到来電波はほぼ水平面から到来することに対し、天頂や地面方向にも指向性が向いている点で水平面内の指向性利得を稼ぐことができない。
【0006】
また、放送用電波にあっては、周波数帯が470〜720MHz(2011年7月地上波アナログ放送停波後)と広帯域であるが、ダイポールアンテナで周波数帯470〜720MHzの全帯域に対応するのが難しいものであった。
【0007】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて発明されたもので、軒樋アンテナのように向きの調節にあたって制約が大きくなく、広い周波数帯に対応することができるアンテナおよびアンテナ付き軒樋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアンテナは、断面略C字状の導電性部材の軸方向に沿ってスロットが形成されたアンテナであって、このアンテナで受信又は送信したい電波の周波数帯を第1、第2の2つの周波数帯に大別し、前記スロットの長さが第1の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに形成されると共に、前記スロットの長さ方向に隣接した部位の周方向の長さが第2の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに形成され、前記導電性部材の周方向の両端間の隙間が前記スロットと対向する位置に形成され、前記隙間の巾がスロットの最大巾以上の長さに形成されることを特徴とする。
【0009】
また、前記スロットの長さ方向の略中央部に給電部が設けられ、前記スロットの長さ方向の略中央部の周方向長さよりも長さ方向端部側の周方向長さの方が長いことが好ましい。
【0010】
また、周方向の長さが前記第2の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さとなった部分における前記導電性部材の周方向の長さが、前記導電性部材における前記スロットを設けた部分の周方向の長さより長いことが好ましい。
【0011】
また、前記複数のスロットの長さ方向の略中央部に給電部が設けられ、前記給電部に接続される同軸ケーブルが、前記導電性部材上に配設されてなることが好ましい。
【0012】
また、前記断面略C字状の導電性部材の軸方向に沿って前記スロットが複数形成され、前記複数のスロット同士が細溝で接続され、前記複数のスロットのうちの前記一つのスロットの縁部に給電部が設けられていることが好ましい。
【0013】
また、前記細溝が、前記スロットに対して前記略C字状の導電性部材の周方向においてずれていることが好ましい。
【0014】
また、前記断面略C字状の導電性部材の外側に無給電素子が配置されることが好ましい。
【0015】
また本発明のアンテナ付き雨樋は、上記いずれかに記載のアンテナが合成樹脂よりなる雨樋に設けられてなることを特徴とする。
【0016】
また、前記導電性部材は前記雨樋の合成樹脂の厚み内に配置されることが好ましい。
【0017】
また、前記雨樋の直径が330mm以下であることが好ましい。
【0018】
また、前記スロットの長さ方向が、前記雨樋の長手方向に略沿っていることが好ましい。
【0019】
また、前記雨樋が竪樋であることが好ましい。
【0020】
また、内側樋体と、この内側樋体の外面側を覆う別体の外側被覆体とで雨樋が構成され、この雨樋の前記内側樋体と前記外側被覆体との間に前記アンテナが設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、軒樋アンテナのように向きの調節にあたって制約が大きくなく、広い周波数帯域に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態のアンテナを示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は背面図であり、(d)は展開図である。
【図2】本発明の第2の実施形態のアンテナを示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は背面図であり、(d)は展開図である。
【図3】本発明の第3の実施形態のアンテナを示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は(b)の要部拡大図であり、(d)は展開図である。
【図4】本発明の第4の実施形態のアンテナを示し、(a)は一側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は他の側面図である。
【図5】本発明のアンテナ付き竪樋の施工状態を示す概略側面図である。
【図6】アンテナ付き竪樋の一例を示す横断面図である。
【図7】アンテナ付き竪樋の他例を示す横断面図である。
【図8】アンテナ付き竪樋の更に他例を示す横断面図である。
【図9】アンテナ付き竪樋の更に他例を示す要部斜視図である。
【図10】アンテナ付き竪樋の更に他例を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を第1の実施形態について図1に基づいて説明する。
【0024】
本発明は、断面略C字状の導電性部材1の軸方向に沿ってスロット20が形成されたアンテナである。
【0025】
スロット20は、導電性部材1の軸方向の中間部に形成され、このスロット20と該スロット20の周縁部が第1の受信部2となるものである。スロット20の導電性部材1軸方向における長さL2は、第1の受信部2で受信(又は送信)しようとする電波の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに形成されるものである。
【0026】
本実施形態では、導電性部材1は図1(d)に示す展開状態において、軸方向となる長辺の長さL1、短辺の長さW5の正面視略矩形状に形成されており、図1(a)に示すように直径W1の円の略円弧となるように短辺方向に曲げられ、長辺方向が軸方向となる。本実施形態では、断面が略円形の筒型に構成しているがこれに限るものではなく、断面路が四角や六角などの多角形の筒であっても同様の効果を奏することができる。なお、導電性部材1は、平板状に形成されたものが曲げ加工により曲げられる必要はなく、製造方法は限定されないものであり、また、最終的な形状も厳密な円弧となっていなくてもよい。また本実施形態では、長辺の長さL1は約54cmであるが、限定されない。
【0027】
本実施形態では、スロット20は正面視略矩形状をしたもので、その長辺が導電性部材1の長辺と略平行となるように、導電性部材1の長辺方向の中間部に形成される。また、スロット20の短辺も導電性部材1の短辺と略平行となるように、導電性部材1の短辺方向の中間部に形成され、導電性部材1内にスロット20が打ち抜かれた状態となっている。なお、スロット20は、導電性部材1に打ち抜き加工が施されて形成される必要はなく、製造方法は限定されない。
【0028】
本発明では、アンテナで受信(又は送信)しようとする電波の周波数帯を第1、第2の2つの周波数帯(但し第1の周波数帯<第2の周波数帯)に大別し、第1の周波数帯の電波を第1の受信部2で受信すると共に、第2の周波数帯の電波を後述する第2の受信部3で受信するものである。本実施形態では、第1の周波数帯は473〜600MHzであり、この第1の周波数帯内の例えば中心である536.5MHzの電波の半波長λ/2は約28cmである。このため、スロット20の長辺方向の長さは約28cmとなるように形成される。なお、前記536.5MHzの電波は、一例として第1の周波数帯内の中心周波数の電波が挙げられたものであるが、536.5MHzの電波でなくてもよく、第1の周波数帯内の電波であれば特に限定されないものである。
【0029】
そして、導電性部材1の軸方向においてスロット20に隣接した部位が、第2の受信部3となるものである。この第2の受信部3の周方向の長さは、第2の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに形成されるものである。本実施形態では、第2の周波数帯は600〜720MHzであり、この第2の周波数帯の中心周波数は660MHzとなり、この660MHzの電波の半波長λ/2は約23cmである。このため、図1(d)に示すように、第2の受信部3の周方向の長さは約23cmとなるように形成され、且つ、導電性部材1の短辺の長さW5となるものである。なお、前記660MHzの電波は、一例として第2の周波数帯内の中心周波数の電波が挙げられたものであるが、660MHzの電波でなくてもよく、第2の周波数帯内の電波であれば特に限定されないものである。
【0030】
導電性部材1が断面略C字状に曲げられた状態において、図1(c)に示すように、その周方向の両端間には隙間4が形成されるものである。この隙間4は、導電性部材1のスロット20と対向する位置に形成されるものである。すなわち、導電性部材1がなす略C字状の円弧の中心を挟んで、スロット20と隙間4とが対極の位置となるように形成されるものである。そして、前記円弧の中心を挟んでスロット20と隙間4とが重なるように見た場合、隙間4がスロット20全体を包含し、スロット20と重なる位置には導電性部材1が存在しない抜き部5が形成される。本実施形態では、抜き部5は、導電性部材1の長さ方向において第2の受信部3の内側の部分に、長さ方向の長さL3がスロット20の長辺方向における長さL2より長く、且つ、巾W3が図1(a)に示すスロット20の巾(周方向の長さ)W2より長くなるように形成されている。
【0031】
また本実施形態では、図1(d)に示すように第2の受信部3の周方向の長さ(すなわち導電性部材1の短辺の長さW5)が、導電性部材1のスロット20を設けた部分の周方向の長さW6より長くなるように形成される。すなわち、導電性部材1の展開状態において、第2の受信部3の端部は、導電性部材1のスロット20を設けた部分の導電性部材1の周方向の端部よりも側方へ突出するフィン31となっている。また、導電性部材1が断面略C字状に曲げられた状態において、第2の受信部3の両端部間の長さW4(すなわち隙間4の巾で、W4=円弧の直径W1×π−W5)は、抜き部の巾W3よりも短く形成されている。
【0032】
また本実施形態では、スロット20の長さ方向の略中央部の両側の縁部に、互いに近づく方向に突出する連設片11がそれぞれ連設されている。これにより、連設片11が連設されたスロット20の長さ方向の略中央部の周方向長さW7よりも長さ方向端部側の周方向長さ(すなわちW2)の方が長くなるように形成されている。
【0033】
そして、スロット20の長さ方向の略中央部には、給電部6が設けられるもので、本実施形態では連設片11に給電線が接続されて給電部6となっている。また本実施形態では、給電線としての同軸ケーブル61の内側の芯線が一方の給電部6に接続されると共に、外側の網線が他方の給電部6に接続される。そして、給電線は導電性部材1上に配設されるもので、本実施形態では、同軸ケーブル61が、スロット20の周方向に隣接する部分を軸方向に沿って這うように配置され、第2の受信部3のフィン31の端部から離脱して、延設されている。
【0034】
本発明のアンテナにおいては、第1の受信部2において、スロット20の長さ方向に磁界が生じる電波で、この長さL2を電気的な半波長とする536.5MHzの電波を中心とする、第1の周波数帯の473〜600MHzの電波により電気的に共振する。これにより、第1の周波数帯の473〜600MHzの電波が良好に受信(又は送信)されるものである。なお、スロット20の長辺方向の長さは、第1の周波数帯の中心周波数となる電波の電気的な半波長と一致しなくてもよい。この場合でも、第1の周波数帯のいずれかの周波数の電波の電気的な半波長となっていれば第1の周波数帯の電波が概ね良好に受信される。
【0035】
また、第2の受信部3において、長さW5方向に電界が生じる電波で、この長さW5を電気的な半波長とする660MHzの電波を中心とする、第2の周波数帯の600〜720MHzの電波が電気的に共振する。これにより、第2の周波数帯の473〜600MHzの電波が良好に受信(又は送信)されるものである。なお、第2の受信部3の長さは、第2の周波数帯の中心周波数となる電波の電気的な半波長と一致しなくてもよい。この場合でも、第2の周波数帯のいずれかの周波数の電波の電気的な半波長となっていれば第2の周波数帯の電波が概ね良好に受信される。
【0036】
第1の受信部2は、スロット20の長さ方向と直交する方向に電界が生じる電波を良好に受信するが、第2の受信部3が良好に受信する電波も、電界の方向がスロット20の長さ方向と直交しているため、第1及び第2の受信部3は電界の方向が同じ電波を良好に受信することができる。このアンテナを、スロット20が垂直(鉛直)となるように配置すると、水平偏波が良好に受信可能となり、スロット20が水平となるように配置すると、垂直偏波が良好に受信可能となる。
【0037】
このように本発明のアンテナは、断面略C字状の導電性部材1の軸方向に沿ってスロット20が形成されるものであるため、その軸方向を竪樋の長手方向に沿うように竪樋に組み込むことが可能である。この時、第1の受信部2(スロット20)が垂直に配置されると共に、第2の受信部3が水平に配置されるため、日本の大部分の地域で地上デジタル放送用電波として用いられる水平偏波が良好に受信される。
【0038】
また、第2の受信部3は指向性を有するものの、竪樋に組み込まれる場合には、竪樋を回転させて向きを調節すればよいため、向きの調節において制約がないものである。
【0039】
次に、第2の実施形態について図2に基づいて説明する。第2の実施形態において、大部分の構成は第1の実施形態と同じであるため、同じ構成については同符号を付して説明を省略し、主に異なる構成について説明する。
【0040】
本実施形態は、第1の実施形態とはスロット20の形状が異なり、スロット20がボウタイ形状となった所謂ボウタイスロットアンテナである点に特徴を有する。
【0041】
このようにすることで、第1の受信部2で良好に受信される周波数帯が広がり、第1の実施形態と比較して第1の周波数帯の上限又は下限近傍での利得が増加する。
【0042】
次に、第3の実施形態について図3に基づいて説明する。第3の実施形態においても、大部分の構成は第1、第2の実施形態と同じであるため、同じ構成については同符号を付して説明を省略し、主に異なる構成について説明する。
【0043】
本実施形態は、導電性部材1の軸方向に沿ってスロット20が複数形成される点に特徴を有する。図3には、図2に示す第2の実施形態のボウタイ形状のスロットが二つ形成されたものが示されているが、図1に示すスロット20が二つ以上形成されたものでもよく、スロット20の形状及び数は特に限定されない。
【0044】
複数のスロット20は、隣接するスロット20同士が細溝21で接続されると共に、複数のスロット20のうち一つのスロット20の縁部に給電部6が設けられるものである。細溝21の巾は、本実施形態では2mmであるが、1〜5mmであれば利得の減少なく動作するものであり、細溝21の巾が1〜5mmの範囲になくても、利得が減少するものの正常に動作する。
【0045】
また本実施形態では、図3(a)における上側のスロット20の上側の導電性部材1の軸方向の長さL11が約16cm、上側のスロット20の軸方向の長さL12が約36cm、上側及び下側のスロット20の間の導電性部材1の軸方向の長さL13が約17cmである。さらに、下側のスロット20の軸方向の長さL14が約22cm、下側のスロット20の下側の導電性部材1の軸方向の長さL15が約16cmである。これらの数値は特に限定されないが、上側のスロット20の長さL12>下側のスロット20の軸方向の長さL14である。
【0046】
また本実施形態では、細溝21が、スロット20に対して導電性部材1の周方向においてずれている(所謂フランクリン分配)。
【0047】
このように、導電性部材1の軸方向に沿ってスロット20が複数形成されることによるアレーアンテナ効果により垂直面内の指向性が水平面内に絞られ、水平面内の水平偏波利得を増加させることができ、また、給電部6が一つで済むものである。また、スロット20の軸方向の長さを異ならせることで、良好に受信される周波数帯が広がる。
【0048】
また図4に、スロット20の数が三つとなった第4の実施形態が示されている。本実施形態では、図4における上側のスロット20の上側の導電性部材1の軸方向の長さL21が約16cm、上側のスロット20の軸方向の長さL22が約21cm、上側及び中央のスロット20の間の導電性部材1の軸方向の長さL23が約19.5cmである。中央のスロット20の軸方向の長さL24が約36cm、中央及び下側のスロット20の間の導電性部材1の軸方向の長さL25が約19.5cmである。下側のスロット20の軸方向の長さL26が約21cm、下側のスロット20の下側の導電性部材1の軸方向の長さL27が約16cmである。これらの数値は特に限定されないが、中央のスロット20の長さL24>上側のスロット20の軸方向の長さL22、下側のスロット20の軸方向の長さL26である。
【0049】
また本実施形態では、上側のスロット20と中央のスロット20、中央のスロット20と下側のスロット20、の二箇所の接続部分が細溝21で接続されるが、二つの細溝21は正面視において左右に別々に形成されている。
【0050】
次に、上側のスロット20と中央のスロット20、中央のスロット20と下側のスロット20の二箇所の接続部分が細溝21で接続される。これにより、第3の実施形態と比較して、より一層、利得を増加させることができる。
【0051】
また、図示しないが、スロット20を4以上の複数段形成してもよく、これにより、第4の実施形態と比較して、より一層、利得を増加させることができる。
【0052】
次に、上記アンテナを雨樋に設けてなるアンテナ付き雨樋について説明する。アンテナ付き雨樋は本実施形態ではアンテナ付き竪樋7である。
【0053】
アンテナ付き竪樋7は、竪樋本体71の厚み内に導電性部材1が配置されるものである。
【0054】
竪樋本体71は、外周形状が長手方向の全長又は略全長にわたって同一となり、且つ、内周形状が長手方向の全長又は略全長にわたって同一となった筒状をしており、一般的な竪樋と同じ外観、形状をしていると共に、同じ排水性能を有している。竪樋の直径は、60〜90mmが一般的で、330mm以下であることが好ましいが、特に限定されない。そして、長尺の竪樋本体の長手方向の一部に導電性部材1が配置されている。このアンテナ付き竪樋7は、図5に示すように、建物の外壁81に沿って、他の一般の竪樋82と接続して縦に配置される。この時、スロット20の長さ方向が、アンテナ付き竪樋7の長手方向(すなわち垂直方向)に略沿うように配置される(図9参照)。
【0055】
アンテナ(すなわち導電性部材1)が竪樋本体の厚みの範囲に設けられるには、図6〜図9のいずれかの断面構成となるように設ける。
【0056】
すなわち、図6、図9に示される例は、竪樋本体1の厚み方向の中間部分にアンテナ部2を設ける例である。また、図7に示される例は、竪樋本体1の厚み方向の内面にアンテナ部2を設ける例である。更に、図8に示される例は、竪樋本体1の厚み方向の外面にアンテナ部2を設ける例である。
【0057】
図6に示されるアンテナ付き竪樋7は、合成樹脂により形成される筒状の竪樋本体71の厚み内に導電性部材1が埋設されて構成される。竪樋本体1が合成樹脂により形成される際、導電性部材1が竪樋本体71の厚み内にインサートされることで、生産性が向上する。
【0058】
また、アンテナが竪樋本体71内に埋設されるので、外面及び内面にアンテナが露出せず、アンテナ付き竪樋7の外観が一般の竪樋と同じ外観となると共に、アンテナの両面が合成樹脂で保護され、雨水、太陽光、外気に晒されることがなく、アンテナの劣化が防止される。更に、アンテナ付き竪樋7に外部から物が当たったり引っ掛かったりしてアンテナが損傷するというようなことがない。
【0059】
図7に示されるアンテナ付き竪樋7は、合成樹脂により形成される筒状の竪樋本体71の内面にアンテナが設けられて構成される。例えば、アンテナの外側に合成樹脂が被覆されることで筒状のアンテナ付き竪樋7が形成される。
【0060】
また、合成樹脂により形成された竪樋本体71の内面にアンテナを接着して、内面にアンテナを有する筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0061】
また、合成樹脂により形成された筒状の竪樋本体71の内面にアンテナパターンフィルムが貼付けられることで、内面にアンテナを有する筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0062】
また、合成樹脂により形成された筒状の竪樋本体71の内面にアンテナパターンが塗装されることで、内面にアンテナを有する筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0063】
また、合成樹脂により形成された筒状の竪樋本体71の内面にアンテナパターンが印刷されることで、内面にアンテナを有する筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0064】
また、合成樹脂の筒状体の内面に金属薄板がインサートされてアンテナ付き竪樋7が形成され、アンテナ付き竪樋7の内面の金属薄板がエッチング加工されてアンテナ部2が形成されてもよい。
【0065】
上記のような各方法で形成されアンテナ付き竪樋7は、外面にアンテナが露出しないので、アンテナ付き竪樋7の外観が一般の竪樋と同じ外観となると共に、外部から物が当たったり引っ掛かったりしてアンテナが損傷するのが防止される。
【0066】
図8に示されるアンテナ付き竪樋7は、合成樹脂により形成される筒状の竪樋本体71の外面にアンテナが設けられて構成される。例えば、アンテナの内側に合成樹脂が被覆されることで筒状のアンテナ付き竪樋7が形成される。
【0067】
また、合成樹脂により形成された筒状の竪樋本体71の外面にアンテナが接着され、外面にアンテナを有する筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0068】
また、合成樹脂により形成された筒状の竪樋本体71の外面にアンテナパターンフィルムを貼付けることで、外面にアンテナを有する筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0069】
また、合成樹脂により形成された筒状の竪樋本体71の外面にアンテナパターンが塗装されることで、外面にアンテナを有する筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0070】
また、合成樹脂により形成された筒状の竪樋本体71の外面にアンテナパターンが印刷されることで、外面にアンテナを有する筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0071】
また、合成樹脂の筒状体の外面に金属薄板がインサートされてアンテナ付き竪樋7が形成され、アンテナ付き竪樋7の外面の金属薄板がエッチング加工されてアンテナが形成されることで、外面にアンテナを有する筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0072】
上記のような各方法で形成する図8に示されるアンテナ付き竪樋7は、外面にアンテナが形成されるので、アンテナの形成が容易となる。
【0073】
次に、図9に示される例は、竪樋本体71が、合成樹脂により形成される内側樋体72とこの内側樋体72に外嵌する合成樹脂により形成した外側被覆体73との二重筒構造とされている。そして、竪樋本体71の内側樋体72と外側被覆体73との間にアンテナが設けられアンテナ付き竪樋7が構成されたものである。
【0074】
例えば、内側樋体72外面又は外側被覆体73の内面にアンテナが接着され、内側樋体72が外側被覆体73に嵌め込まれることで二重筒構造の竪樋本体71が構成される。そして、内側樋体72と外側被覆体73の間にアンテナが設けられた筒状のアンテナ付き竪樋7が形成される。
【0075】
また、内側樋体72外面又は外側被覆体73の内面にアンテナパターンフィルムが貼付けられ、内側樋体72が外側被覆体73に嵌め込まれることで二重筒構造の竪樋本体71が構成されると共に、内側樋体72と外側被覆体73の間にアンテナが設けられた筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0076】
また、内側樋体72外面又は外側被覆体73の内面にアンテナパターンが塗装されることでアンテナが形成され、内側樋体72が外側被覆体73に嵌め込まれることで二重筒構造の竪樋本体71が構成されると共に、内側樋体72と外側被覆体73の間にアンテナが設けられた筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0077】
また、内側樋体72外面又は外側被覆体73の内面にアンテナパターンが印刷されることでアンテナが形成され、内側樋体72が外側被覆体73に嵌め込まれることで二重筒構造の竪樋本体71が構成されると共に、内側樋体72と外側被覆体73の間にアンテナが設けられた筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0078】
また、合成樹脂の筒状体の外面に金属薄板がインサートされてアンテナ付き内側樋体72が形成されるか、又は合成樹脂の筒状体の内面に金属薄板がインサートされてアンテナ付き外側被覆体73が形成され、更に金属薄板をエッチング加工してアンテナが形成され、内側樋体72が外側被覆体73に嵌め込まれることで二重筒構造の竪樋本体71が構成されると共に、内側樋体72と外側被覆体73の間にアンテナが設けられた筒状のアンテナ付き竪樋7が形成されてもよい。
【0079】
上記のような各方法で形成される図9に示されるアンテナ付き竪樋7は、内側樋体72を外側被覆体73に嵌め込んだ二重筒構造の竪樋本体71の内側樋体72と外側被覆体73との間にアンテナが設けられているので、竪樋本体71の外面及び内面にアンテナが露出しない。
【0080】
したがって、アンテナ付き竪樋7の外観が一般の竪樋と同じ外観となると共に、アンテナが内側樋体72と外側被覆体73とで保護されて雨水、太陽光、外気に晒されることがなく、アンテナの劣化が防止される。更に、アンテナが外側被覆体73で覆われるので、アンテナ付き竪樋7に外部から物が当たったり引っ掛かったりしても、アンテナが損傷するというようなことがない。
【0081】
また、内側樋体72の外面又は外側被覆体73内面にアンテナが設けられて、内側樋体72が外側被覆体73に嵌め込まれるので、インサート成形によることなく、アンテナが筒状の竪樋本体71の厚み方向の中間部分に簡単に形成できる。
【0082】
また、二重筒構造とすることで、外側被覆体73のみ耐候性に優れた材料で形成することが可能で、竪樋本体71全体が耐候性に優れた材料で形成する場合に比べ、耐候性に優れた竪樋本体71が安価に形成できる。
【0083】
以上のようなアンテナ付き竪樋7にあっては、スロット20の長さ方向が垂直(鉛直)方向となり、第1の受信部2及び第2の受信部3にて水平偏波が良好に受信可能となる。
【0084】
また、竪樋であるため、竪樋を回転させて向きを調節すればよく、向きの調節において制約がないものである。
【0085】
また、軒樋にアンテナが組み込まれる場合には、降雨時、軒樋には雨水などが常時溜まってしまうため、利得の減少等の影響が懸念される。これに対し竪樋であるため、雨水が溜まることがなく、利得の減少等の影響がないものである。
【0086】
図10に変形例が示される。本例では、導電性部材1の外側(ここではアンテナ付き竪樋7の外側)に無給電素子12が配置されるもので、これにより、利得の増加が図られるものである。
【符号の説明】
【0087】
1 導電性部材
11 連設片
12 無給電素子
2 第1の受信部
20 スロット
21 細溝
3 第2の受信部
31 フィン
4 隙間
5 抜き部
6 給電部
61 同軸ケーブル
7 アンテナ付き竪樋
71 竪樋本体
72 内側樋体
73 外側被覆体
81 外壁
82 一般の竪樋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面略C字状の導電性部材の軸方向に沿ってスロットが形成されたアンテナであって、このアンテナで受信又は送信したい電波の周波数帯を第1、第2の2つの周波数帯に大別し、前記スロットの長さが第1の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに形成されると共に、前記スロットの長さ方向に隣接した部位の周方向の長さが第2の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに形成され、前記導電性部材の周方向の両端間の隙間が前記スロットと対向する位置に形成され、前記隙間の巾がスロットの最大巾以上の長さに形成されることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記スロットの長さ方向の略中央部に給電部が設けられ、前記スロットの長さ方向の略中央部の周方向長さよりも長さ方向端部側の周方向長さの方が長いことを特徴とする請求項1記載のアンテナ。
【請求項3】
周方向の長さが前記第2の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さとなった部分における前記導電性部材の周方向の長さが、前記導電性部材における前記スロットを設けた部分の周方向の長さより長いことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアンテナ。
【請求項4】
前記複数のスロットの長さ方向の略中央部に給電部が設けられ、前記給電部に接続される同軸ケーブルが、前記導電性部材上に配設されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のアンテナ。
【請求項5】
前記断面略C字状の導電性部材の軸方向に沿って前記スロットが複数形成され、前記複数のスロット同士が細溝で接続され、前記複数のスロットのうちの前記一つのスロットの縁部に給電部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記細溝が、前記スロットに対して前記略C字状の導電性部材の周方向においてずれていることを特徴とする請求項5記載のアンテナ。
【請求項7】
前記断面略C字状の導電性部材の外側に無給電素子が配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のアンテナが合成樹脂よりなる雨樋に設けられてなることを特徴とするアンテナ付き雨樋。
【請求項9】
前記導電性部材は前記雨樋の合成樹脂の厚み内に配置されることを特徴とする請求項8記載のアンテナ付き雨樋。
【請求項10】
前記雨樋の直径が330mm以下であることを特徴とする請求項8又は請求項9記載のアンテナ付き雨樋。
【請求項11】
前記スロットの長さ方向が、前記雨樋の長手方向に略沿っていることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載のアンテナ付き雨樋。
【請求項12】
前記雨樋が竪樋であることを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載のアンテナ付き雨樋。
【請求項13】
内側樋体と、この内側樋体の外面側を覆う別体の外側被覆体とで雨樋が構成され、この雨樋の前記内側樋体と前記外側被覆体との間に前記アンテナが設けられることを特徴とする請求項8乃至請求項12のいずれか一項に記載のアンテナ付き雨樋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−124864(P2012−124864A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276254(P2010−276254)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】