説明

アンテナを含む共振回路

【課題】
本発明の実施態様によって、配線パターンに機械的な変更を加えずに共振周波数を調整可能な共振回路を提供する。
【解決手段】
本発明の一実施態様に係る共振回路は、搬送波を受信するコイル状のアンテナ素子を含むアンテナ回路と、当該アンテナ回路に電気的に接続された可変リアクタンス回路とが並列共振する共振回路であって、可変リアクタンス回路は、印加されるバイアス電圧に応じて容量値が変化する第1の可変容量コンデンサを含むように構成される。第1の可変容量コンデンサは、例えば、積層セラミックコンデンサから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを含む共振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
13MHz付近の周波数を利用するNFC(Near Field Communication、又は、近距離無線通信)は、アンテナコイルを備えた回路同士を電磁結合することで、10cm以内の近距離で無線通信を行う方式の一つである。NFCに準拠した回路は、様々な媒体に搭載可能であり、例えば、カード、タグ、携帯電話機等の電子機器に搭載して用いられる。
【0003】
NFC準拠の回路は、通常、アンテナコイルを備えたアンテナ回路と、ICチップとを備える。ICチップには、チップ固有のID番号や送受信用データを記憶するメモリ、及び、信号の送受信処理やデータの書き込み/読み出し等を制御するCPUが備えられる。このようなICチップを搭載したカードは、近距離にあるリーダ/ライタ装置と接触することなくデータを送受信できるので、非接触ICカードと呼ばれる。
【0004】
非接触ICカードのICチップは、アンテナ回路からの出力によって動作電圧が供給される。具体的には、アンテナ回路はアンテナコイルとそれと共振するコンデンサから構成され、その共振周波数において効率良く動作する。この共振周波数は、リーダ/ライタ装置から送信される搬送波の周波数である13.56MHzに設定されており、非接触ICカードをリーダ/ライタ装置にかざしたときに、その搬送波周波数を受信する。この受信した搬送波の電力を整流して、ICチップに動作電圧が供給され、リーダ/ライタ装置との間でのデータ送受信等の処理を電池等の電源から動作電圧の供給を受けずに行うことができる。したがって、ICチップに安定的に動作電圧を供給するためには、共振回路の共振周波数が搬送波の周波数に正しく調整されている必要がある。
【0005】
NFC準拠のアンテナ回路及びICチップを携帯電話等の電子機器に搭載する場合には、当該電子機器に内蔵されている電池からICチップへ電力を供給することができる。この場合にも、感度良くリーダ/ライタ装置と送受信処理を行うためには、共振回路の共振周波数が搬送波の周波数に正しく調整されている必要がある。
【0006】
しかし、実際の製造工程においては、アンテナコイルやコンデンサの電気特性が設計値からばらついたり、素子配置が所定位置からずれることにより、共振周波数が設計値である13.56MHzから外れることがある。したがって、製造後に共振周波数を搬送波周波数に調整することが必要になる。
【0007】
製造後に共振周波数を調整する手法についての開示例がある。例えば、特開2009−200748号公報(特許文献1)に記載の非接触ICカード用アンテナ装置は、共振回路のリアクタンス素子同士を接続する配線の一部をレーザー等を用いて切断することにより、共振回路の共振周波数を離散的に調整するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−200748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来技術1に記載の調整方法では、共振回路の形成後に配線パターンを機械的に変更する必要があるため、製造工程が複雑化する。そこで、本発明の実施態様によって、共振回路の配線パターンに機械的な変更を加えずに共振周波数を調整可能な共振回路を提供する。本発明のその他の課題は、本明細書及び添付図面の記載等から理解される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施態様に係る共振回路は、搬送波を受信するコイル状のアンテナ素子を含むアンテナ回路と、当該アンテナ回路に電気的に接続された可変リアクタンス回路とが並列共振する共振回路である。この可変リアクタンス回路は、バイアス電圧に応じて容量値が変化する第1の可変容量コンデンサと、前記可変容量コンデンサの一端と前記アンテナ回路の一端との間に接続され、前記可変容量コンデンサの取りうる容量値の下限よりも小さい容量値を有する第1の定容量コンデンサと、前記可変容量コンデンサの他端と前記アンテナ回路の他端との間に接続され、前記可変容量コンデンサの取りうる容量値の下限よりも小さい容量値を有する第2の定容量コンデンサと、前記可変容量コンデンサと並列に挿入されたインダクタとを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な実施態様によって、共振回路の配線パターンに機械的な変更を加えずに共振周波数を調整可能な共振回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る共振回路を示す回路図
【0013】
【図2】積層セラミックコンデンサの一般的な特徴を示す図
【0014】
【図3】積層セラミックコンデンサに印加するバイアス電圧とその容量の関係を示すグラフ
【0015】
【図4】可変容量コンデンサに印加バイアス電圧と共振周波数との関係を示すグラフ
【0016】
【図5】図1の共振回路の周波数特性のシミュレーション結果を示すグラフ
【0017】
【図6】本発明の他の実施形態に係る共振回路を示す回路図
【0018】
【図7】本発明の他の実施形態に係る共振回路を示す回路図
【0019】
【図8】本発明の他の実施形態に係る共振回路を示す回路図
【0020】
【図9】本発明の他の実施形態に係る共振回路を示す回路図
【0021】
【図10】本発明の他の実施形態に係る共振回路を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の様々な実施形態について添付図面を参照して説明する。各実施形態において、類似の構成要素には類似の参照符号を付して、詳細な説明は適宜省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る共振回路を示す回路図である。一実施形態における共振回路100は、IC40と電気的に接続されており、このIC40とともに携帯電話等の電子機器1に搭載される。電子機器1は電池等の電源を内蔵している。
【0023】
共振回路100は、例えば、アンテナ回路20と可変リアクタンス回路30とを備え、所定の共振周波数を有する。共振回路100をNFCに準拠したチップに組み込む場合には、共振周波数がISO 18092等で定められたNFCの使用周波数である13.56MHzとなるように、共振回路100を構成する。具体的には、共振回路100を構成する各リアクタンス素子の素子値を適切な値に設定することで、所望の共振周波数を有する共振回路100を得ることができる。また、後述するように、可変容量コンデンサ35へのバイアス電圧の印加を指示するプログラム及び/又はデータをIC40に格納し、このプログラムやデータに基づいて可変容量コンデンサ35に印加する電圧を制御し、可変容量コンデンサ35の容量値を変化させることにより、共振回路100の製造後であっても共振回路100の共振周波数を調整することができる。この可変容量コンデンサ35に印加する電圧は、電子機器1に内蔵された電源からIC40を介して供給される。例えば、電子機器1が携帯電話の場合には、約3Vの電圧を可変容量コンデンサ35に印加することができる。
【0024】
アンテナ回路20は、接続端子12と接続端子14との間に互いに並列に配置されたアンテナコイル22とコンデンサ24とを備える。一実施形態において、不図示のリーダ/ライタ装置との通信には、13.56MHzの搬送波周波数が用いられる。この場合、リーダ/ライタ装置は、周波数13.56MHzの搬送波をデータ信号で変調し、変調された搬送波が、リーダ/ライタ装置のアンテナコイルと電磁結合したアンテナコイル22を介して受信され、受信信号がIC40に入力される。
【0025】
一実施形態における可変リアクタンス回路30は、可変容量コンデンサ35を備える。可変容量コンデンサ35は、接続端子32と接地用端子34との間に配置され、IC40から接続端子32を介して印加されるバイアス電圧に応じてその静電容量が変化するように構成される。接続端子32と接続端子45との間にはIC40のインピーダンスによって、共振回路100の共振周波数が影響を受けないようにするため、例えば100kΩの抵抗31が配置され、接地用端子34と接地との間には同様に抵抗33が配置される。一実施形態に係る可変容量コンデンサ35は、コンデンサ電極間に、直流のバイアス電圧によって誘電率が変化する例えばチタン酸バリウム等の誘電体を有する。この誘電体にバイアス電圧を印加することにより、誘電体に加わる電界を変化させることで誘電体の誘電率を変化させ、ひいては可変容量コンデンサ35の容量値を変化させることができる。本発明の一実施形態に係る可変容量コンデンサ35として、積層セラミックコンデンサを用いることもできる。
【0026】
図2に、本発明の一実施形態において用いられる積層セラミックコンデンサの構造を示す。図示の通り、積層セラミックコンデンサ70は、チタン酸バリウム等の誘電体シート72にニッケル等の電極74を印刷したものを積層して焼結し、この焼結した積層体の側部に外部電極76を取り付けて構成される。この積層セラミックコンデンサ70は、外部電極76から印加されたバイアス電圧により、チタン酸バリウム等の誘電体シート72に電界が印加されて誘電率が変化し、この誘電率の変化により容量値が変化する。この誘電体シート72に印加される電界を大きくすることや、誘電体シート72を誘電率変化が大きい誘電体により構成することにより、限られたバイアス電圧でも容量値の変化量を大きくすることができる。例えば、一定のバイアス電圧を印加する場合でも、誘電体シート72を薄くすることにより、誘電体シート72に加わる電界を大きくすることができる。誘電体シート72の厚さは、例えば約1μmとすることができる。また、誘電体シート72に電界印加時の誘電率変化の大きい材料を用いることにより、積層セラミックコンデンサ70の容量値の変化を大きくすることができる。誘電体シート72の材料としては、例えば、上述のチタン酸バリウムが用いられる。誘電体シート72を構成する誘電体材料としては、例えば、その比誘電率が約3500程度のものが用いられる。誘電体シート72を比誘電率が約3500の誘電体材料で構成し、その厚さを約1μmとすることで、3Vの電圧を外部電極76から印加したときに30%程度の容量値の減少を実現することができる。
【0027】
図3に、積層セラミックコンデンサ70の印加電圧に対する容量の変化の一例を示す。図示の通り、積層セラミックコンデンサ70の容量は印加電圧に対して一般に非線形に変化する。
【0028】
可変容量コンデンサ35として、特開2008−66682号公報に記載された可変容量コンデンサを用いることもできる。本発明の実施形態に係る可変容量コンデンサは、本明細書で明示的に説明されたものに限られず、IC40からの制御信号に基づいて容量値を変更可能な様々な種類の可変容量コンデンサが用いられる。
【0029】
可変リアクタンス回路30は、可変容量コンデンサ35に加えて、コンデンサ36、37、38、及びインダクタ39を備える。コンデンサ36、37は、例えば、可変容量コンデンサ35の両端とアンテナ回路20との間にそれぞれ接続される。一実施形態におけるコンデンサ36、37は、バイアス電圧印加時にも静電容量が実質的に変化しない定容量コンデンサである。コンデンサ36、37は、アンテナ回路20への直流電流を遮断することで、IC40からのバイアス電圧が可変容量コンデンサ35に印加されるようにする。
【0030】
上述した一実施形態における積層セラミックコンデンサ70(可変容量コンデンサ35)は、高い誘電率に誘電体の材料を用いた上に誘電体の厚みも薄いためその容量値Cvを1000pFよりも小さくすることが困難である。例えば図1に示す回路をNFCにおいて使用する場合には、共振回路100の共振周波数を搬送波周波数に調整するために適した可変リアクタンス回路30の容量は数pF〜数100pF程度であるため、可変容量コンデンサ35と直列にコンデンサ36、37を配置することにより、合成容量が数pF〜数100pF程度となるようにする。例えば、Cv、C1、C2を、それぞれ2200pF、270pF、270pFに設定すると、その容量値は約172.2pFとすることができる。
【0031】
しかしC1、C2を小さくすると、バイアス電圧によりCvを変化させた場合のリアクタンス回路30の合成リアクタンスの変化が、小さくなる。例えば、上述の例に倣ってCv、C1、C2をそれぞれ2200pF、270pF、270pFに設定し、可変容量コンデンサ35として積層セラミックコンデンサ70を用いた場合、この可変容量コンデンサ35は、3Vのバイアス電圧によって容量値が約30%低下する。この場合、可変容量コンデンサ35、コンデンサ36、37から成るリアクタンス回路のリアクタンスの変化は、バイアス電圧を印加しない場合の合成リアクタンスの2.5%に過ぎない。この合成リアクタンスの変化による周波数変化は約100kHzであり、共振周波数の調整幅として不十分な可能性がある。
【0032】
一実施形態においては、可変容量コンデンサ35の容量値Cvに比べて、コンデンサ36の容量値C1及びコンデンサ37の容量値C2が小さくなるように構成されることで、アンテナ回路20に生じた電圧のうち可変コンデンサ35に印加される電圧をコンデンサ36、37に印加される電圧に比べて相対的に小さくすることができる。アンテナ回路20から可変リアクタンス回路30に誘導電圧が入力されると、この誘導電圧が、可変容量コンデンサ35、コンデンサ36、コンデンサ37に対して、1/Cv、1/C1、1/C2の割合で印加される。したがって、CvをC1、C2と比べて相対的に小さな値に設定した場合には、可変容量コンデンサ35に相対的に大きな電圧が印加され、その電圧によって容量値Cvが変化し、この容量値の変化分だけ共振回路100の共振周波数がずれる可能性がある。そこで、一実施形態においては、アンテナ回路20からの印加電圧による可変容量コンデンサ35の容量値の変化を抑制するために、Cv>C1及びCv>C2の関係が成り立つようにコンデンサ35、36、37の容量値を定める。Cv>C1とは、容量値C1が可変容量コンデンサ35の可変容量値Cvの下限値よりも小さいことを意味する。Cv>C2の関係についても同様である。一実施形態において、Cv、C1、C2は、それぞれ2200pF、270pF、270pFに設定される。これにより、可変容量コンデンサに印加される電圧は、アンテナ回路20に生じた電圧のおよそ2.7%と大きく減少する。このようにして、アンテナ回路20からの誘導電圧に起因する共振周波数のシフトを抑制し、IC40からのバイアス電圧によって共振周波数を制御できるようにする。NFCのリーダ/ライタと通信を行う場合には、アンテナ回路20には約17Vもの電圧が発生する場合がある。上述のように、Cv>C1及びCv>C2の関係を満たすコンデンサ36、38を可変容量コンデンサ35の両端に設けることにより、アンテナ回路20からの誘導電圧に起因する共振周波数のシフトを抑制することができる。
【0033】
そこで、本発明の一実施形態においては、アンテナ回路20からの誘導電圧に起因する共振周波数のシフトを抑制するとともに、バイアス電圧によって調整可能な共振周波数の範囲を広げるために、コンデンサ38及びインダクタ39を、接続端子32と接地端子34との間に、可変容量コンデンサ35と並列に接続する。これにより、可変容量コンデンサ35、コンデンサ38、及びインダクタ39により並列共振回路が構成される。一実施形態においては、この並列共振回路の共振周波数が共振回路100の共振周波数と近い周波数になるように、コンデンサ38及びインダクタ39の素子値が決定される。コンデンサ38は、インダクタ39に直流電流が流れるのを防ぎ、バイアス電圧を可変容量コンデンサ35に印加するために装荷されるもので、可変容量コンデンサ35、コンデンサ36、37と比較して極めて大きな容量値を持つように構成される。したがって、可変リアクタンス回路30の合成リアクタンスを考えるときに、コンデンサ38のリアクタンス素子としての影響は無視することができる。
【0034】
このように、可変容量コンデンサ35とインダクタ39とで共振回路100と実質的に同じ共振周波数を有する並列共振回路を構成することにより、共振周波数付近において、可変リアクタンス回路30の合成リアクタンスをより大きく変化させることができる。その結果、インダクタ39を装荷しない場合と比べて、可変容量コンデンサ35の静電容量の変化に対して共振回路100の共振周波数をより感度良く変化させることができる。つまり、インダクタ39を装荷することにより、共振周波数を所定周波数だけシフトさせるために必要な静電容量Cvの変化量を少なくすることができ、Cv>C1及びCv>C2の場合であっても可変リアクタンス回路30の合成リアクタンスを十分に変化させることができる。例えば、一実施形態において、Cv、C1、C2、C3は、それぞれ2200pF(バイアス電圧無印加時)、270pF、270pF、1μFに設定され、Lは82nHに設定される。この場合、3Vのバイアス電圧によって容量値が30%低下する可変容量コンデンサ35を用いると、可変容量コンデンサ35への3Vのバイアス電圧の印加により、可変リアクタンス回路30の合成リアクタンスは45%変化し、周波数変化が約2 MHzになり、十分な共振周波数の調整幅が得られる。
【0035】
合成リアクタンスの一般的な定義から明らかなように、CvがC1及びC2よりも大きい場合には、CvがC1及びC2より小さい場合と比較して、Cvの変化が可変リアクタンス回路30の合成リアクタンスの変化に反映されにくい(つまり、Cvの単位変化量あたりの合成リアクタンスの変化が小さい)。しかし、かかる場合であっても、インダクタ39を可変容量コンデンサンス35と並列に装荷することにより、Cvの単位変化量あたりの合成リアクタンスの変化をより大きくすることができる。つまり、インダクタ39を装荷しない場合の可変リアクタンス回路30の合成リアクタンスXは、コンデンサ38のリアクタンス成分を無視して、次式(1)で表される。
【数1】

【0036】
これに対して、図2に示すようにインダクタンス値Lのインダクタ39を挿入した場合の可変リアクタンス回路30の合成リアクタンスXは、同じくコンデンサ38のリアクタンス成分を無視して、次式(2)で表される。
【数2】

式(2)から明らかなように、共振周波数近辺(つまり0≒1/ωCv−ωL)では、合成リアクタンスXの変化は、第3項の影響が大きくなる。このように、式(1)と式(2)とを比較することにより、Cvを1/ωCv>ωLあるいはωCv<ωLの関係を維持したまま所定量だけ変化させたときに、式(2)で表されるインダクタ39を装荷した回路における合成リアクタンスの方が共振周波数近辺において変化量が大きいことがわかる。また、1/ωCv>ωLの場合と1/ωCv<ωLの場合とでは、第3項の正負の符号が逆になるため、Cvの変化によってωCvとωLの大小関係が異なる場合(第3項の正負が逆転する場合)には、合成リアクタンスXの変化は離散的になる。
【0037】
IC40は、CPU46とメモリ48とを備える。CPU46は、メモリからプログラムを読み出し、読み出したプログラムに従って共振回路100から入力された受信データ信号を処理する。例えば、CPU46は、受信データ信号に含まれるデータをメモリ48に書き込むことができる。また、これとは逆に、不図示の送信回路を制御して、メモリ48から読み出したデータを送信することができる。
【0038】
IC40は、接続端子45を介して可変リアクタンス回路30の可変容量コンデンサ35と電気的に接続されており、可変容量コンデンサ35にバイアス電圧を印加することができる。バイアス電圧は、不図示の不揮発性メモリに格納されたデータに従ってCPU46を動作させることにより、可変容量コンデンサ35に印加される。CPU46が用いる不揮発性メモリのデータは、例えば、共振回路100の製造後に公知の手法によって測定された共振周波数等の測定値と、共振周波数の設計値(つまり、リーダ/ライタ装置から送信される搬送波の周波数であり、NFC準拠の場合は13.56MHz)との差に基づいて決定され、決定されたデータが不揮発性メモリに格納される。一実施形態においては、共振回路100の共振周波数の測定値を設計値に調整するために最適なバイアス電圧の値を不揮発性メモリに記憶される。不揮発性メモリに記憶されるバイアス電圧制御用のデータは、可変容量コンデンサのバイアス特性(一例が、図3に示されている。)に依存する可変リアクタンス回路30の特性により定められる。CPU46は、NFCの動作を開始すると、不揮発性メモリに記憶しているバイアス電圧を可変容量コンデンサ35に供給する。バイアス電圧は、CPUが動作している間、常時、可変容量コンデンサ35に供給されてもよい。これにより、非接触ICカード1の使用時には、共振回路100が設計値に近い共振周波数で動作できるように、共振周波数を自動的に調整することができる。
【0039】
以上のように、共振回路100の共振周波数を、IC40からのバイアス電圧によって可変容量コンデンサ35の容量値を変化させることによって調整することができるので、共振回路100の配線パターンに機械的な変更を加えずにその共振周波数を調整することができる。また、Cv>C1及びCv>C2の関係となっているため、アンテナ回路20に生ずる電圧による可変リアクタンス回路30のリアクタンスの変化が小さくなり、安定して動作する回路になる。また、コンデンサ36、37によって、直流電流のアンテナ回路20への漏れを防ぐことができるため、可変容量コンデンサ35にハイアス電圧を印加できる。さらに、インダクタ39を可変容量コンデンサ35と並列に設けることにより、コンデンサ36、37が存在する場合でも、可変リアクタンス回路の変化量を大きくでき、可変容量コンデンサ35の容量の変化に共振回路100の共振周波数を感度よく追従させることができる。
【0040】
図1に示す回路をNFCにおいて用いる場合には、17Vを超える大きな電圧がアンテナコイル22から印加される場合や、静電気放電の可能性もあるため、共振回路200に使用される素子には高い耐電圧耐性が要求される。本発明の実施形態においては、共振周波数を調整するための可変リアクタンス素子として、高い耐電圧特性をもつ積層セラミックコンデンサを用いているので、過電圧や静電気放電に弱い半導体素子であるバリキャップを使用する方法と比較して高い信頼性を有する。また、コンデンサやインダクタのような受動部品は一般に安価である。このように、本発明の実施形態において、可変容量コンデンサとして積層セラミックコンデンサを用いることにより、安価にしかも高い耐電圧特性を持ちながら共振周波数を調整することができる。
【0041】
共振回路100を試作し、試作した共振回路100の周波数特性を測定した。試作した共振回路100は、ガラスエポキシ基板上に40.5mm×40mmの長方形に形成された3ターンのループコイルでアンテナコイル22を構成し、容量値18pFの積層セラミックコンデンサでコンデンサ24を構成し、容量値180pFの積層セラミックコンデンサでコンデンサ36、37をそれぞれ構成し、容量値1μFの積層セラミックコンデンサでコンデンサ38を構成し、インダクタンス値82nHの積層インダクタでインダクタ39を構成し、100kΩのチップ抵抗で抵抗31及び抵抗33をそれぞれ構成し、接続端子12に相当する部分にSMAコネクタのシグナル線を接続するとともに、接続端子14に相当する部分にSMAコネクタのグランド部分を接続し、各SMAコネクタの他端にベクトルネットワークアナライザを接続した。可変容量コンデンサ35は、印加電圧がない状態における容量値が2000pFであり、3Vのバイアス電圧が印加された場合の容量値が1700pF、9Vのバイアス電圧が印加された場合の容量値が800pFとなるように構成した。可変容量コンデンサ35の接続端子45に相当する位置には、直流電源を接続し、直流電圧のバイアスを印加可能に構成した。
【0042】
図4は、上記のように構成した共振回路100の周波数特性の測定結果を示すグラフである。図4のグラフは、共振回路100のインピーダンス特性のグラフを搬送波周波数近辺の11〜16MHzの範囲において示す。上記のベクトルネットワークアナライザによって、共振回路100のSパラメータの周波数特性を測定した。図4の縦軸は、このSパラメータの測定結果に基づいて算出したインピーダンスを示すものである。この測定結果によれば、図示の通り、バイアス電圧が印加されない場合にはインピーダンスのピークは14.3MHz付近にあり、3Vのバイアス電圧が印加された場合にはインピーダンスのピークは14.7MHz近辺にあることがわかる。これにより、3Vのバイアス電圧を印加することにより、インピーダンスのピークを約400kHz高周波側にシフト可能であることが確認できた。また、9Vのバイアス電圧が印加された場合にはインピーダンスのピークは13.2MHz近辺にあることがわかる。これにより、9Vのバイアス電圧を印加することにより、インピーダンスのピークを約1100kHz低周波側にシフト可能であることが確認できた。このように共振回路100の共振周波数は、0V〜4Vの範囲でバイアス電圧を変化させることにより、バイアス電圧の増加によって可変容量コンデンサ35の容量値が漸減するため、連続的に高周波側にシフトする。一方、5V以上のバイアス電圧を印加することにより、可変リアクタンス回路30の共振周波数の前後でリアクタンス値が大きく不連続的に変化することを利用して、共振回路100の共振周波数を大幅に変化させることができる。このような周波数特性に基づき、共振回路100の共振周波数の調整幅に応じてバイアス電圧の電圧値を定めることができる。上述のように、このようにして定められた電圧値は、IC40の不揮発性メモリに書き込まれる。
【0043】
図5は、共振回路100の周波数特性のシミュレーション結果を示すグラフである。図4のグラフは、共振回路100の周波数特性のグラフを搬送波周波数近辺の12〜16MHzの範囲において示すものである。解析のためにAnsys社製回路シミュレータAnsoftDesignerに、共振回路100を構成する回路素子の素子値を入力し、Sパラメータの周波数特性を算出した。具体的には、アンテナコイル22のインダクタンス値を1300nH、コンデンサ24の容量値を5pF、コンデンサ36、37の容量値を173pF、コンデンサ38の容量値を100000pF、インダクタ39のインダクタンス値を68nHに設定した。また、可変容量コンデンサ35は、印加電圧がない状態における容量値が2000pF、3Vのバイアス電圧が印加された場合の容量値が1400pFとなるように構成した。図5に点線で示されるように、バイアス電圧が印加されない場合にはインピーダンスのピークは15.56MHz近辺にあることがわかる。一方、図5に実線で示されるように、3Vのバイアス電圧が印加された場合にはインピーダンスのピークは13.56MHz近辺にあることがわかる。図4に示した例とは、共振回路100の回路素子値が異なっているため、図5の例におけるインピーダンスのピークは3Vの印加により低周波側にシフトする。これにより、3Vのバイアス電圧を印加することにより、インピーダンスのピークを約2MHz低周波側にシフト可能であることが確認でき、搬送波周波数に調整することが可能である。
【0044】
図6は、本発明の他の実施形態に係る共振回路を示す回路図である。図示の通り、本発明の他の実施形態に係る共振回路300は、図2に示した可変リアクタンス回路30と同様に構成された可変リアクタンス回路50−1〜50−nをアンテナ回路20と並列に複数配置して構成される。この場合、各可変リアクタンス回路50−1〜50−nのコンデンサ36の容量C1〜C1、及び、コンデンサ37の容量C2〜C2は、可変リアクタンス回路50−1〜50−n毎に異なる値に設定されてもよい。可変リアクタンス回路50−1〜50−nは、それぞれの接続端子32−1〜32−nを介してIC40の出力端子45−1〜45−nに接続されている。各接続端子32−1〜32−nと接続端子45−1〜45−nとの間には抵抗31−1〜31−nがそれぞれ配置され、各接地用端子34−1〜34−nと接地との間には抵抗33−1〜33−nがそれぞれ配置される。可変容量コンデンサ35−1〜35−nには、接続端子32−1〜32−nを介してバイアス電圧がそれぞれ印加される。
【0045】
図1に示す実施例においては、IC40からのバイアス電圧値を変化させることにより共振周波数を変化させている。可変容量コンデンサの容量値は、図4に示すように、バイアス電圧の変化に応じて複雑に変化するので、可変容量コンデンサの特性を制御することによって共振周波数を微調整することは一般に困難である。また、共振周波数の微調整を行うためには、IC40において線形又は多値の電圧制御を行って電圧値を正確に調整することが必要である。この制御を行うためには、IC40にはD−A変換機能やアナログ出力などの機能が必要であり高価になる。このため、IC40をデジタルICのみで構成することができれば、安価にできる。
【0046】
そこで、図6の共振回路300においては、可変リアクタンス回路50−1〜50−nを多段に構成し、このそれぞれの可変リアクタンス回路50−1〜50−nを接続端子45−1〜45−n経由でIC40のデジタル出力と接続することで、IC40から可変リアクタンス回路50−1〜50−nに個別に2値(例えば、0Vと3V)のバイアス電圧を供給する。一実施形態においては、使用周波数(例えば13.56MHz)近傍において、バイアス電圧が0Vのときに1/ωCv>ωL、バイアス電圧が3Vのときに1/ωCv<ωLとなるように、各可変リアクタンス回路50−1〜50−nを構成する各素子の定数を設定することで、0Vと3Vの2値のバイアス電圧によって可変リアクタンス回路50−1〜50−nのリアクタンス値の変化量を大きくすることができる。
【0047】
各可変リアクタンス回路50−1〜50−nにおけるコンデンサ36の容量C1〜C1、及び、コンデンサ37の容量C2〜C2を互いに異なる値に設定することにより、同じバイアス電圧値(例えば0−3V)のを用いた場合でも、各可変リアクタンス回路50−1〜50−nのリアクタンス値の変化量をリアクタンス回路ごとに個別に変化させることができる。したがって、共振周波数の必要な調整量に応じて、各可変容量コンデンサ35−1〜35−nに選択的に、例えば0−3Vのバイアス電圧を供給することにより、共振回路の周波数シフト量を微調整することができる。共振回路300においては、コンデンサ36の容量C1〜C1、及び、コンデンサ37の容量C2〜C2の設定を適宜行うことで、デジタルIC40の複数の出力端子からの出力をバイアス電圧として可変リアクタンス回路50−1〜50−nに選択的に供給することができ、共振周波数の調整をデジタル的により簡便に行うことができる。
【0048】
このように、複数の可変リアクタンス回路50−1〜50−nをアンテナ回路20と並列に設けることにより、単一の可変リアクタンス回路30を有する共振回路と比較して、デジタルIC40からの多ビットの出力を用いて共振周波数を微調整することができる。また、IC40にバイアス電圧のためのアナログ出力を設ける場合と比較して、ICの構成を簡略化できる。
【0049】
特開2009−200748において、トリミングを行う代りに半導体スイッチング素子を用い、それをデジタルICのデジタル出力でon/offすることで、同様の周波数調整を行うこともできる。この様に半導体スイッチング素子であるFET(Field Effect Transistor、又は、電界効果トランジスタ)によってコンデンサやインダクタの様なリアクタンス素子をオン・オフすることで共振周波数を調整する手法と比較すると、本発明の実施形態においては安価な積層セラミックコンデンサを可変素子として用いているので、回路構成を安価に実現することができる。また、上述した17Vを超える大きな電圧がアンテナコイルから印加される場合や、静電気放電の可能性もあるため、共振回路300に使用される素子には高い耐電圧耐性が要求される。一般的に、半導体素子であるFET等に比べて、セラミック素子である積層セラミックコンデンサは高い耐電圧耐性を有する。このように、本発明の実施形態において、可変容量コンデンサとして積層セラミックコンデンサを用いることにより、安価にしかも高い耐電圧特性を持ちながら共振周波数をデジタルICの出力により調整することができる。
【0050】
図7は、本発明の他の実施形態に係る共振回路を示す回路図である。図示の通り、本発明の他の実施形態に係る共振回路400は、図1に示した可変リアクタンス回路30と同様の可変リアクタンス回路60−1〜60−nを接続端子12と接続端子14との間に直列に複数配置して構成される。可変リアクタンス回路60−1〜60−(n―1)は、隣り合う可変リアクタンス回路と可変容量コンデンサ35の両端に配置されるコンデンサを共有することができるので、可変リアクタンス回路60−1〜60−(n−1)におけるコンデンサ37-1〜37-(n-1)を省略することもできる。ただし、可変リアクタンス回路60−nは、コンデンサを共有する相手が存在しないので、コンデンサ37-nを備える。各接続端子32-1〜32-nとICの出力端子45-1〜45-nとの間には抵抗31-1〜31-nが配置され、各接地用端子34-1〜34-nと接地との間には抵抗33-1〜33-nが配置される。CPU46は、可変リアクタンス回路60−1〜60−nのそれぞれの可変容量コンデンサ35−1〜35−nに対して選択的にバイアス電圧を印加することができる。
【0051】
このように、複数の可変リアクタンス回路60−1〜60−nを直列に設けることにより、単一の可変リアクタンス回路30を有する共振回路と比較して、共振周波数をより細かく調整することができる。
【0052】
図8は、本発明の他の実施形態に係る共振回路を示す回路図である。図示の通り、本発明の他の実施形態に係る共振回路500は、可変リアクタンス回路60−1〜60−nを接続端子12と接続端子14との間に直列に複数配置したものを、アンテナ回路20と並列に2段に配置して構成される。つまり、可変リアクタンス回路60−1〜60−nと可変リアクタンス回路60−(n+1)〜60−2nとが並列に配置されている。説明の便宜のために、可変リアクタンス回路が2段に並列配置される例を図示したが、何段に並列接続しても構わない。CPU46は、可変リアクタンス回路60−1〜60−2nのそれぞれの可変容量コンデンサ35−1〜35―2nに対して選択的にバイアス電圧を印加することができる。
【0053】
このように、複数の可変リアクタンス回路60−1〜60−2nを直列及び並列に配置することにより、単一の可変リアクタンス回路50を有する共振回路と比較してより広い範囲でより細かく共振周波数を調整することができる。
【0054】
図9は、本発明の他の実施形態に係る共振回路を示す回路図である。図示の通り、本発明の他の実施形態に係る共振回路600は、アンテナ回路20の後端にインダクタ72を備えるとともに可変リアクタンス回路30の前端にインダクタ74を備え、アンテナ回路20と可変リアクタンス回路30とを、インダクタ72及びインダクタ74によって磁気的に結合する。表示を簡潔にするために図示を省略したが、各接続端子32と接続端子45との間には抵抗31が配置され、各接地用端子34と接地との間には抵抗33が配置される。これにより、インダクタ72及びインダクタ74の特性を調整することによって、アンテナ回路20と可変リアクタンス回路30との結合度を容易に調整することができる。
【0055】
図10は、本発明の他の実施形態に係る共振回路700を示す回路図である。図示の通り、本発明の他の実施形態に係るアンテナ回路90は、一組のインダクタから成るモノポールアンテナ素子92と、このインダクタ同士の接続点と接地との間に配置されるコンデンサ94とを備える。可変リアクタンス回路30は、一方の電極が接地された可変容量コンデンサ35と、可変容量コンデンサ35の他方の電極とアンテナ回路90との間に接続されたコンデンサ36と、可変容量コンデンサ35と並列に接続されたインダクタ39と、インダクタ39とコンデンサ36との間に接続されたコンデンサ38とからなる。インダクタ39の一端は接地されている。可変容量コンデンサ35は抵抗31及び接続端子32を介してIC40に接続されており、IC40からのバイアス電圧に応じて容量値が変化するように構成される。
【0056】
このような構成により、共振回路700の共振周波数を、共振回路100の場合と同様に、IC40からのバイアス電圧によって可変容量コンデンサ35の容量値を変化させることによって調整することができるので、共振回路100の配線パターンに機械的な変更を加えずにその共振周波数を調整することができる。また、Cv>C1の関係を満たすことにより、アンテナ回路90からの印加電圧による可変リアクタンス回路30のリアクタンスの変化を抑制することもできる。また、コンデンサ36によって、バイアス電流のアンテナ回路20への漏れを防ぐことができる。さらに、インダクタ39を可変容量コンデンサ35と並列に設けることにより、コンデンサ36、37が存在する場合でも、可変リアクタンス回路の変化量を大きくでき、可変容量コンデンサ35の容量の変化に共振回路700の共振周波数を感度よく追従させることができる。このように、本発明の一実施形態に係る共振回路700を用いることにより、モノポールアンテナ等の不平衡アンテナの共振周波数を調整することができる。
【0057】
本発明の実施形態は、以上明示的に述べた態様に限られず、様々な変更を行うことができる。例えば、可変リアクタンス回路30−1〜30−n、60−1〜60−2nの数は調整を要する共振周波数の範囲又は精度、IC40の端子数、及び回路を搭載する媒体の設置スペース等に応じて適宜調整される。
【符号の説明】
【0058】
100、300、400、500、600、700 共振回路
20、90 アンテナ回路
22 アンテナコイル
30、30−1〜30−n、50−1〜50−n、60−1〜60−2n 可変リアクタンス回路
31、31−1〜31−2n、33−1〜33−2n 抵抗
35、35−1〜35−2n 可変容量コンデンサ
36、36−1〜36−2n、37−1〜37−2n、38、38−1〜38−2n コンデンサ
39、39−1〜39−n インダクタ
40 IC
46 CPU
48 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子を含むアンテナ回路と、当該アンテナ回路に電気的に接続された可変リアクタンス回路とが共振する共振回路であって、
前記可変リアクタンス回路は、
第1のバイアス電圧に応じて容量値が変化する第1の可変容量コンデンサと、
前記可変容量コンデンサの一端に直列に接続される第1の定容量コンデンサと、前記可変容量コンデンサと並列に挿入されたインダクタと、
を含む共振回路。
【請求項2】
前記アンテナ素子がコイル状である請求項1に記載の共振回路。
【請求項3】
前記第1の定容量コンデンサが、前記第1の可変容量コンデンサの取り得る容量値の下限よりも小さい容量値を示す請求項1又は2に記載の共振回路。
【請求項4】
前記可変容量コンデンサの他端に直列に接続される第2の定容量コンデンサをさらに備える請求項1から3のいずれか1項に記載の共振回路。
【請求項5】
前記可変容量コンデンサが積層セラミックコンデンサである請求項1から4のいずれか1項に記載の共振回路。
【請求項6】
前記可変リアクタンス回路は、前記第1の可変容量コンデンサと並列に接続された第2の可変容量コンデンサをさらに備え、当該第2の可変容量コンデンサは、第2のバイアス電圧に応じて容量値が変化する請求項1から5のいずれか1項に記載の共振回路。
【請求項7】
前記可変リアクタンス回路は、前記第1の可変容量コンデンサと直列に接続された第2の可変容量コンデンサをさらに備え、当該第2の可変容量コンデンサは、第2のバイアス電圧に応じて容量値が変化する請求項1から5のいずれか1項に記載の共振回路。
【請求項8】
前記第1のバイアス電圧及び第2のバイアス電圧のいずれか一方が印加される請求項6又は7に記載の共振回路。
【請求項9】
前記第1のバイアス電圧が第2のバイアス電圧と異なる電圧値である請求項6又は7に記載の共振回路。
【請求項10】
前記第1及び第2のバイアス電圧がそれぞれ離散的な値を取る請求項5から9のいずれか1項に記載の共振回路。
【請求項11】
アンテナ素子を含むアンテナ回路を準備する工程と、
当該アンテナ回路に電気的に接続された可変リアクタンス回路であって、容量値が変化する第1の可変容量コンデンサと、前記可変容量コンデンサの一端に直列に接続される第1の定容量コンデンサと、前記可変容量コンデンサと並列に挿入されたインダクタとを含むものを準備する工程と、
前記第1の可変容量コンデンサに第1のバイアス電圧を印加することにより、前記アンテナ回路及び前記可変リアクタンス回路からなる共振回路の共振周波数を変化させる工程と、
を含む共振周波数の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−209749(P2012−209749A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73607(P2011−73607)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】