説明

アンテナ内蔵式電子時計

【課題】アンテナ特性を向上することができるアンテナ内蔵式電子時計を提供すること。
【解決手段】電波修正時計は、外装ケース内に配置されたアンテナと、モータと、外部無線情報の受信時にモータを停止する駆動制御回路部とを備える。モータのモータコイル422は、その軸方向がアンテナの軸方向に対して略平行に配置されるとともに、モータコイル422をアンテナの受信周波数で共振させる同調コンデンサ47A,47Bが断続可能に接続される。駆動制御回路部は、外部無線情報を受信している間はモータを停止させるとともに、同調コンデンサ47A,47Bをモータコイル422に接続し、アンテナとモータコイル422とを磁気的に結合させる。モータコイル422はアンテナの受信電波に共振し、アンテナ近傍の外部無線情報の磁束密度が高められ、アンテナ内を通過する磁束量が高まり、アンテナ特性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻情報等を含んだ外部無線情報を受信して時刻修正等の処理を行う電波修正時計に代表されるアンテナ内蔵式電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
外部からの時刻情報を受信して時刻修正を行う電波修正時計等のアンテナ内蔵式電子時計が知られている。このようなアンテナ内蔵式電子時計においては、腕時計のような狭いスペース内にアンテナおよびモータを隣接して配置する必要がある。このような状況においても良好なアンテナ特性が得られるように、様々な改善が提案されている。
特許文献1には、少なくとも外部無線情報(電波)の有効なデータを受信している間はモータは停止させることにより、アンテナにモータコイルを並設した場合、つまりアンテナの軸直交方向に隣接してモータコイルを配置した場合でも、モータコイルのノイズが受信信号の有効なデータに影響することを防止できるようにすることが提案されている。
【0003】
特許文献2には、電波修正時計のアンテナを補助する補助アンテナとこの補助アンテナを時計の内蔵アンテナに共振させる共振回路とを備えた補助アンテナ装置が記載されている。この装置は、時計を収容するケースあるいは架台の体裁とされ、時計を使用しない夜間等に時計を置いておくと、時計の内蔵アンテナに架台の補助アンテナが共振し、その結果時計の内蔵アンテナの受信感度が高められる。
特許文献3にも、同様に電波修正時計のアンテナを補助する補助アンテナと共振回路とを備えた補助アンテナ装置が記載されている。特許文献3の装置は、さらに補助アンテナを複数にして時計の姿勢に拘わらず良好な受信補助性能が得られるようにされている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−99857号公報
【特許文献2】特開2000−214276号公報
【特許文献3】特開2007−228026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1により、アンテナ内蔵式電子時計のケース内にアンテナおよびモータを隣接して配置しつつ、良好なアンテナ特性が得られるようになった。
しかし、腕時計のような狭いスペース内に設置できるアンテナには制約があり、一層のアンテナ特性の向上が難しいという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、アンテナ内蔵式電子時計において、アンテナ特性を向上することができるアンテナ内蔵式電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアンテナ内蔵式電子時計は、外装ケースと、この外装ケース内に配置されて外部無線情報を受信するアンテナと、前記アンテナで受信した外部無線情報を処理する受信手段と、時刻表示手段と、前記受信手段および時刻表示手段の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、前記アンテナは、コアに巻かれたコイルを備えて構成され、前記時刻表示手段は、モータコイルを有するモータと、このモータによって駆動される表示部とを備えて構成され、前記モータコイルは、その軸方向が前記アンテナの軸方向に対して略平行となるように前記アンテナに並設され、前記モータコイルには、前記モータコイルを前記アンテナの受信周波数で共振させる同調コンデンサが断続可能に接続され、前記駆動制御手段は、前記外部無線情報を受信している間は前記モータを停止させるとともに、前記同調コンデンサを前記モータコイルに接続して前記アンテナと前記モータコイルとを磁気的に結合させることを特徴とする。
【0008】
このような本発明においては、駆動制御手段により、外部無線情報を受信している間、モータは停止されるとともに、モータコイルは同調コンデンサと接続状態とされ、アンテナと磁気的に結合される。
ここで、モータコイルは同調コンデンサとの接続により、アンテナの受信周波数(外部無線情報の周波数)で共振する素子として機能する。つまり、モータコイルは、同調コンデンサと接続された状態にあるとき、外部無線情報の電波に対して共振し、近傍に同受信周波数の磁束による副磁路を形成する。ここで、モータコイルはアンテナと略平行に設置されており、モータコイルの副磁路の磁束はアンテナの受信感度を増すように作用する。これにより、電波の磁界成分(磁束)がアンテナ近傍に多く集まって磁束密度が高くなり、その分、アンテナ内を通過する磁束量が高まるため、アンテナ特性を向上することができる。
【0009】
前述したモータの停止と同調コンデンサの接続を行う期間としては、外部無線情報を受信している間であるが、少なくとも外部無線情報の電波のうち有効なデータを受信している間であればよい。
外部無線情報のうちの有効なデータとは、各時計において処理に必要なデータ部分を意味する。例えば、時刻情報を有する標準電波には、例えば日本の標準電波であるJJYを例にして説明すると、時データ、分データの他、1月1日からの通算日データ、西暦データ、曜日データが含まれ、さらに、現時点では使用されていないデータ領域も存在する。従って、時刻表示の他、日付表示も行うが、曜日表示は行わない時計であれば、時、分、通算日、西暦の各データは有効なデータとなり、曜日データは不要なデータとなる。このように、有効データは、各時計における処理や機能によって設定されることになる。
現在受信しているデータが有効なデータであるか、無効なデータであるかの判断は、例えば、標準電波のように、タイムコードが決められている場合には、そのタイムコードにおいて各データが送信されるタイミングで制御してもよいし、データ内に次に送られる各データの種類を示すマーカーなどが含まれている場合には、そのマーカー情報を参照し、その後に送られるデータがその時計において有効なデータであるか否かを判断してもよい。さらには、各データの先頭からの一部を受信解析し、そのデータの種類を判断して有効か否かを判定してもよい。
【0010】
アンテナの軸方向とは、そのアンテナにおいて電波受信の指向性が最も強い方向に直交する方向を意味する。例えば、アンテナが直線状に形成されたバーアンテナの場合には、通常、その長手方向に沿った方向を意味する。また、アンテナが平面湾曲形状とされた円弧状のアンテナの場合には、アンテナの軸方向は、通常、アンテナの両端間の中心部における円弧の接線方向を意味する。さらに、アンテナが、直線状の中間部と、中間部に対して傾斜して設けられた端部とを備えている構成されている場合には、通常、前記中間部の長手方向に沿った方向を意味する。
従って、モータコイルがアンテナに対して、それらの各軸方向が互いに略平行となるように並設されるとは、例えば、モータコイルおよびアンテナが共に直線状に形成されている場合、その長手方向に沿った軸方向が互いに略平行となるように配置されていることを意味する。また、アンテナが平面円弧状に湾曲されている場合には、前記アンテナの軸方向(アンテナの中心部の接線方向)とモータコイルの長手方向に沿った軸方向とが略平行となるように配置されていることを意味する。
【0011】
アンテナの軸方向が略平行とは、各軸方向が平行である場合に限らず、モータコイルを並設した際に、アンテナを鎖交する磁束数を増加できる向きに配置されていればよい。すなわち、アンテナを鎖交する方向の磁束密度を向上させるには、アンテナを鎖交する磁束の方向とモータコイルを鎖交する磁束の方向とがほぼ一致している必要がある。従って、アンテナおよびモータコイルの各軸方向の交差角度が0度、つまり平行であることが最も好ましいが、各軸方向の交差角度が約30度以内程度であっても、モータコイルによって磁束密度を向上する効果は得られる。従って、モータコイルはアンテナを鎖交する磁束数を増加できる向きに配置されていればよく、例えば、各軸方向の交差角度が30度以内、好ましくは15度以内、より好ましくは5度以内であればよい。ここで、各軸方向の交差角度が0度とは、例えば、腕時計において、前記アンテナの軸方向とモータコイルの軸方向とが、時計の平面方向および断面方向の各方向において0度であること、つまり各軸方向が3次元的にも平行であることを意味する。
【0012】
また、通常の時計、特に腕時計では、ムーブメントを薄型に形成することが求められているため、モータコイルおよびアンテナは時計の断面方向(外装ケースの軸方向)に重ならないように配置されるが、ムーブメントの厚さ制限が少ない時計の場合には断面方向に重ねてもよい。
さらに、モータコイルは、前記アンテナのコイルと磁気的に結合可能とされていればよいため、アンテナおよびモータコイル同士を当接させる必要はなく、所定間隔離れて配置されていてもよい。要するに受信動作時に磁気的に結合できる間隔で隣接配置されていればよい。この磁気的結合が可能な間隔は、アンテナ長によって変化し、アンテナ長が長くなると、モータコイルとの間隔が大きくなっても磁気的結合が可能となる。従って、アンテナおよびモータコイルの間隔は、アンテナ長に応じて設定すればよい。
また、モータによって駆動される表示部としては、時針、分針、秒針、クロノグラフ秒針等の各種指針に限らず、日付が印刷された日車等も含むものであり、時計で計時する各種時刻(年月日等も含む)、時間を表示するものであればよい。
【0013】
本発明において、前記アンテナおよび前記受信手段の受信周波数は複数種類があり、前記同調コンデンサは、前記各受信周波数に応じて複数のコンデンサを切り替え可能であることが好ましい。
時刻修正に利用できる標準電波には長波帯が利用され、その受信周波数は日本のJJY(40kHzと60kHz)、アメリカ合衆国のWWVB(60kHz)、ドイツのDCF77(77.5kHz)、英国のMSF(60kHz)、中国のBPC(68.5kHz)である。従って、異なる国間では異なる受信周波数に対応する必要があり、日本では二つの受信周波数があるため何れにも対応するためにも異なる受信周波数に対応する必要がある。これに対し、複数のコンデンサを切り替えて同調コンデンサとすることで、同調コンデンサを異なる容量値に切り替えることができ、複数の受信周波数への対応が可能となる。
なお、コンデンサの切り替えにあたっては、各受信周波数に対応したコンデンサを準備しておき、何れか選択する方式であってもよいし、基本となる容量を有するコンデンサに、差分となる容量を有するコンデンサを接続あるいは分離して、同調コンデンサとしての容量を切り替える方式であってもよい。
【0014】
本発明において、前記外装ケースの少なくとも一部は金属で構成されており、前記アンテナは、前記モータコイルと前記外装ケースの内周面との間に配置されていることが好ましい。
このような構成によれば、外装ケースの内側にアンテナが配置され、さらにアンテナの内側にモータコイルが配置されるため、アンテナおよびモータコイルが時計の断面方向に重ならず、ムーブメントつまり時計を薄型化できる。また、モータは外装ケースの中心側に位置する輪列を駆動するため、アンテナの内側に配置されていれば、モータおよび輪列を近接配置でき、部品配置が容易になる。
【0015】
なお、外装ケースの内周面を円周面とし、アンテナを円弧状に形成して内周面に沿って配置すれば、外装ケースの中心側のスペースを大きく確保でき、ケースの内部空間を有効に利用することができる。このため、外装ケースをより小型化でき、例えば、男性用の腕時計に比べて小さい女性用の腕時計においてもアンテナを内蔵させることができる。
さらに、アンテナが外装ケースの内周面に沿って配置されていれば、つまりアンテナの軸方向がケース内周面にほぼ沿っていれば、アンテナの端面が外装ケースの内周面に対向していないので、外装ケースを金属製とした場合でも、そのケース内に配置されるアンテナを、外装ケースに近接して配置することができ、アンテナ特性を向上できる。
すなわち、外装ケースを金属製にした場合には、アンテナやモータコイルのように電波の磁束が鎖交する部材の端面が外装ケース内周面に対向して近接配置されると電波がケースで減衰し、受信感度が数デシベル劣化してしまう。このため、アンテナ等の端面を外装ケースから離して配置しなければならないが、その場合には、腕時計のように小さな外装ケース内に配置されるアンテナの場合、アンテナの長さも短くなり、アンテナ特性が低下してしまう。
【0016】
一方、本発明のように、アンテナ等を外装ケースの内周面に沿って配置すれば、アンテナを外装ケース内周面に近接配置しても、コアの端面は外装ケースからある程度離すことができる。従って、外装ケースを金属製とした場合でも、アンテナの受信感度の劣化を抑えることができ、アンテナの長さもある程度確保できて、アンテナ特性の低下も防止できるとともに、時計を小型化することもできる。
その上、外装ケースを金属製にできるため、金属調の外観が得られて高級感を高めることができる。
なお、本発明において、外装ケースが全て金属製であるものに限らず、金属で形成するのは前記外装ケースの少なくとも一部であればよい。例えば、プラスチック製ケースに金属製カバーを取り付けて構成されている場合のように、少なくとも一部、特に外装ケース表面に金属を用いれば、高級感の高い外観意匠のアンテナ内蔵式電子時計とすることができる。
【0017】
ここで、前記外部無線情報は標準電波であり、前記駆動制御手段は、標準電波に含まれる時刻データに基づいて時刻表示手段の表示を制御可能に構成されることが好ましい。
この際、前記駆動制御手段は、前記時刻データの1サイクルを構成する60ビットのうち電波修正処理に不要なデータを受信している間は、前記同調コンデンサを前記モータコイルから切り離すとともに前記モータを駆動させることが好ましい。
前述の通り、時刻修正に利用できる標準電波としては、例えば日本のJJY、アメリカ合衆国のWWVB、ドイツのDCF77、英国のMSF、中国のBPC等があり、各々には時刻修正に利用されるデータと、日付や曜日等の他のデータが含まれる。従って、時刻表示手段の修正に最小限必要なデータだけでも、時刻表示手段の表示を適正に維持することができる。
例えば、1分間で1つの時刻情報を送信する標準電波(JJY)では、50〜59秒の間は、曜日等の時刻修正に必ずしも必要ないデータが送信されるため、これ以外の部分(0〜49秒部分)のデータを有効データ、50〜59秒間のデータを無効データと判断できる。従って、有効データの受信時にモータを停止することで、時刻修正に必要な正しい有効データを受信できるので、時刻修正を精度良く行うことができるとともに、モータ停止による時刻表示の停止を最小限に抑えることができる。
【0018】
本発明において、前記モータコイルは、モータコイル部と補助アンテナコイル部との二層構造とされていることが望ましい。
このような本発明においては、モータコイルとしての本来の機能と、共振してアンテナ受信性能を補助する機能とについて、各機能に応じた適切な設定を行うことができる。これにより、モータコイルとしての機械的なスペースを共用しつつ、各機能の応じた適切なコイルを確保することができる。
具体的には、モータコイル部および補助アンテナコイル部の線材径について、モータコイル部は補助アンテナコイル部よりも巻き線径の細い線材、例えば直径20〜30μmの線材を用い、補助アンテナコイル部はモータコイル部よりも巻き線径の太い線材、例えば直径70〜100μmの線材を用いることが好ましい。
コイルの巻き線を太くすることで、共振時のQ値を大きくでき、副磁路の磁束を大きくできる。このため、アンテナ補助用のコイルとしては巻き線径が太いことが望ましい。一方、コイルの巻き線が太いと、抵抗値が小さくなり、駆動電流が増えてしまう。従って、モータコイルとしては巻き線径が細いことが望ましい。このような要求条件に対し、本発明のようにモータコイル部と補助アンテナコイル部とを設けることで、各機能別に巻き線径が異なる設定が可能となる。
【0019】
モータコイル部および補助アンテナコイル部は、モータコイル部が内側の層となり、補助アンテナコイル部が外側の層となるように配置することが好ましい。このような配置では、モータコイルの端部において外側の補助アンテナコイル部による磁束の漏れ量が大きくなり、アンテナに対する副磁路の結合量が増え、効果的なアンテナ特性改善が図れる。
なお、モータコイル部および補助アンテナコイル部には既存のアンテナと同様、ウレメット線などの既存の巻き線材を用いることができる。磁心には、アンテナと同様、SUY(純鉄)、ケイ素鋼、パーマロイなどの高透磁率材料を用いることができる。
【0020】
本発明において、前記外部無線情報を受信している間は、前記モータコイルの両端を互いにに導通させてショート状態とすることが望ましい。
このような本発明では、モータの運針停止中には、モータコイル部の両端を互いに導通させてショート状態とすることで、モータコイル部に電圧が誘起されることがなく、受信中の補助アンテナコイル部への不要な影響等が避けられる。
【発明の効果】
【0021】
前述のように本発明のアンテナ内蔵式電子時計によれば、アンテナ内蔵式電子時計において、モータコイルという既存の部品を利用して、アンテナ特性を向上することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明にあたって、同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1ないし図10には本発明の第1実施形態が示されている。
図1には、本発明の第1実施形態に係るアナログ内蔵式電子時計としての電波修正時計1の構成を示すブロック図が示されている。
本発明の電波修正時計1は、一般的な電波修正時計と同様の構成を備えるものであり、時刻情報を含む電波(外部無線情報)を受信する通信手段としての受信手段2と、駆動制御手段である駆動制御回路部3と、指針を駆動する駆動手段4と、時刻をカウントするカウンタ部6と、電力を供給する電力供給手段7と、リュウズなどの外部入力装置8とを備えて構成されている。
【0023】
受信手段2は、電波を受けるアンテナ21と、コンデンサ等で構成されてアンテナ21で受信する電波に同調させるアンテナ同調回路部22と、アンテナ21で受けた情報を処理する受信回路23と、受信回路23で処理された時刻データを記憶する時刻データ記憶回路部24とを備えて構成されている。
アンテナ21は、図2に示すように、磁性体コア211にコイル212を巻いて構成されており、必要に応じて、耐食性に優れるカチオン電着塗装等で絶縁を施したものである。
【0024】
磁性体コア211は、例えば、コバルト系のアモルファス箔(例;Co50wt%以上のアモルファス箔)を型で打ち抜くか、エッチングで成形したものを10〜30枚程接着して重ね合わせ、焼鈍等の熱処理を行って磁気特性を安定化させたものである。すなわち、磁性体コア211は、平面矩形状のアモルファス箔を時計の平面方向に積層し、さらに湾曲させて構成されている。なお、磁性体コアとしては、積層アモルファス箔に限定されず、フェライトを用いてもよく、この場合には、型等で成形し、熱処理して製造すればよい。
ここで、磁性体コア211の各アモルファス箔は、厚さ寸法が0.01mm〜0.05mm程度であるため、例えば30枚積層した場合、磁性体コア211の積層方向の厚さ寸法は0.3〜1.5mm程度である。アモルファス材はフェライトに比べて磁気特性が良いため、より小型・薄型のアンテナ21を実現できる。そして、アンテナ特性は、コアの体積によって影響されるため、アンテナを薄くする分、アンテナ特性を維持するには、アンテナの平面積を大きくするか、アンテナ長さ(コア長さ)を長くする必要がある。従って、本実施形態では、磁性体コア211の幅寸法は例えば0.5〜3.5mm程度であり、長さは15〜30mm程度とされている。なお、アモルファス金属板の厚みが0.05mmより厚くなると、板厚中央部は迅速な冷却を行うことが困難なため、金属はアモルファス化させることなく結晶化されてしまう。すなわち、アモルファス金属を製造するには、金属が結晶化される以前に、迅速な冷却作業を行う必要があり、そのためには、金属の厚みを薄くしなくてはならない。また、アモルファス金属板の厚みが0.01mmより薄くなると、組立作業等において、アモルファス金属板の強度が弱くなって変形しやすくなるので、部品の位置決め作業や部品の取扱作業等が非常にやりにくくなる。
【0025】
コイル212は、長波標準電波(40〜77.5kHz)を受信する場合は、10〜50mH程度のインダクタンス値が必要となる。このため、本実施形態では、コイル212として直径0.1μm程度のウレメット線を数百ターンほど巻いて構成している。
コイル212の長さ(アンテナ21としてのアンテナ長)は、長波標準電波(40〜77.5KHz)を受信することができる長さに設定されており、具体的には、14〜15mm程度以上に設定されている。
【0026】
なお、本実施形態では、コイル212の巻き作業を容易にし、端部の巻きくずれを防止するため、コイル212をコア211の端面211Bまで巻くのではなく、コア211の端面211Bから所定寸法(通常は数ミリ)離した位置まで巻いている。従って、コア211の端部211Aには、コイル212が巻かれていない部分が存在することになる。
また、コイル212の巻き方としては、特に限定されず、乱巻きなどでもよいが、特に整列巻きが好ましい。整列巻きを採用すれば、コイル線材間の無駄な空間が無くなり、同じインダクタンス値を得るためのコイル体積を小さくできる。なお、本実施形態では、コア211が平面円弧状であるため、次のようにしてアンテナ21を製造している。まず、ボビンに自己融着電線のコイル212を巻いた後、熱もしくは溶液に浸してコイル212を固める。コイル212が固まった後、ボビンを引き抜き、ボビンを引き抜くことで形成されたコイル212の貫通孔部分に前記磁性体コア211を挿入してアンテナ21を完成させている。なお、コイルを巻いたボビンにコアを挿入してアンテナを構成してもよい。この場合、ボビンが存在する分、サイズが大きくなるが、アンテナを容易に製造できる。
【0027】
アンテナ同調回路部22は、図3に示されるように、アンテナ21に対して並列に接続された2つのアンテナ同調コンデンサ22A,22Bを備えて構成され、一方のアンテナ同調コンデンサ22Bはスイッチ22Cを介してアンテナ21に接続されている。
そして、駆動制御回路部3から出力される周波数切替え制御信号により、前記スイッチ22Cをオンまたはオフすることで、アンテナ21で受信する電波の周波数を切り替えるように構成されている。これにより、例えば、日本国内において、送信周波数40kHzのおおたかどや山(東日本)の標準電波出力局と、送信周波数60kHzのはがね山(西日本)の標準電波出力局とから出力されている2種類の周波数の長波標準電波を切り替えて受信することができるように構成されている。
【0028】
受信回路23は、図3に示されるように、アンテナ21によって受信された長波標準電波信号を増幅する増幅回路231と、増幅された長波標準電波信号から所望の周波数成分のみを抜き出すバンドパスフィルタ232と、長波標準電波信号を平滑化し復調する復調回路233と、増幅回路231のゲインコントロールを行ない長波標準電波信号の受信レベルが一定になるように制御するAGC(Automatic Gain Control)回路234と、復調された長波標準電波信号をデコードして出力するデコード回路235とを備えて構成されている。
受信回路23で受信され信号処理された時刻データは、図1に示すように、時刻データ記憶回路部24に出力されて記憶される。
受信回路23は、予め設定されたスケジュールや外部入力装置8による強制受信操作等によって、駆動制御回路部3から出力される受信制御信号に基づいて時刻情報の受信を開始する。
【0029】
駆動制御回路部3は、図1に示されるように、パルス合成回路31からのパルス信号が入力される。パルス合成回路31は、水晶振動子などの基準振動子311からの基準パルスを分周してクロックパルスを生成し、また、基準パルスからパルス幅やタイミングの異なるパルス信号を発生させる。
駆動制御回路部3は、一秒に一回出力され秒針を駆動させる秒駆動パルス信号PS1と、一分間に一回出力され時分針を駆動させる時分駆動パルス信号PS2とを、各秒駆動回路41、時分駆動回路42に出力して、指針の駆動を制御する。すなわち、各駆動回路41,42は、各回路41,42からのパルス信号によって駆動されるステッピングモータからなる秒モータ411,時分モータ421を駆動し、これにより各モータ411,421に接続された秒針と、分針および時針とを駆動する。そして、各指針、モータ411,421、駆動回路41,42によって時刻を表示する時刻表示手段が構成されている。なお、時刻表示手段としては、1つのモータで、時針、分針、秒針を駆動するものでもよい。
【0030】
カウンタ部6は、秒をカウントする秒カウンタ回路部61と、時分をカウントする時分カウンタ回路部62とを備えて構成されている。
秒カウンタ回路部61は、秒位置カウンタ611と、秒時刻カウンタ612と、一致検出回路613とを備えて構成されている。秒位置カウンタ611および秒時刻カウンタ612はともに60カウント、つまり1Hzの信号が入力された場合には60秒でループするカウンタである。秒位置カウンタ611は、駆動制御回路部3から秒駆動回路41に供給される駆動パルス信号(秒駆動パルス信号PS1)をカウントしている。つまり、秒針を駆動させる駆動パルス信号をカウントすることによって、秒針が示している秒針の位置をカウントしている。
秒時刻カウンタ612は、通常は、駆動制御回路部3から出力される1Hzの基準パルス信号(クロックパルス)をカウントする。また、受信手段2で時刻データを受信した場合には、この時刻データのうちの秒データに合わせてカウンタ値が修正される。
【0031】
同様に、時分カウンタ回路部62は、時分位置カウンタ621と、時分時刻カウンタ622と、一致検出回路623とを備えて構成されている。時分位置カウンタ621および時分時刻カウンタ622はともに24時間分の信号が入力されるとループするカウンタである。時分位置カウンタ621は、駆動制御回路部3から時分駆動回路42に供給される駆動パルス信号(時分駆動パルス信号PS2)をカウントし、時針、分針が示している時分針の位置をカウントしている。
時分時刻カウンタ622は、通常は、駆動制御回路部3から出力される1Hzのパルス(クロックパルス)をカウントする(正確には1Hzを60回計数したところで1カウン
トとする)。また、受信手段2で時刻データを受信した場合には、この時刻データのうちの時分データに合わせてカウンタ値が修正される。
【0032】
各一致検出回路613,623は、各位置カウンタ611,621と各時刻カウンタ612,622とのカウント値の一致を検出し、一致しているか否かを示す検出信号を駆動制御回路部3に出力する。
駆動制御回路部3は、各一致検出回路613,623から不一致信号が入力されると、一致信号が入力されるまで各駆動パルス信号PS1,PS2を出力し続ける。このため、通常運針時は、駆動制御回路部3から1Hzの基準信号によって各時刻カウンタ612,622のカウンタ値が変化して位置カウンタ611,621と不一致となると、各駆動パルス信号PS1,PS2が出力されて各指針が動くとともに、各位置カウンタ611,621が時刻カウンタ612,622と一致することになり、この動作を繰り返すことで、通常の運針制御が行われる。
また、受信した時刻データで各時刻カウンタ612,622が修正されると、そのカウンタ値に各位置カウンタ611,621のカウンタ値が一致するまで、各駆動パルス信号PS1,PS2が出力され続け、指針が早送りされて正しい時刻に修正される。
【0033】
電力供給手段7は、自動巻発電機や太陽電池(ソーラー発電機)等によって構成された発電手段としての発電装置71と、発電装置71で発電された電力を蓄電する高容量二次電源72とを備えて構成されている。高容量二次電源72は、リチウムイオン電池のような二次電池が利用できる。なお、電力供給手段7としては、銀電池等の一次電池を用いてもよい。
外部入力手段としての外部入力装置8は、リュウズ等を備え、受信動作や時刻合わせなどを行うために利用される。
【0034】
次に、電波修正時計1の具体的構造について説明する。
電波修正時計1は、図4,図5にも示すように、約リング状に形成されたケーシング(胴)91と、ケーシング91の表面側に装着されたカバーガラス92と、ケーシング91の裏面側に着脱可能に取り付けられた裏蓋93とを備えている。ケーシング91は、ステンレス鋼、真鍮、チタン等の金属材で構成されている。従って、ケーシング91によって、本実施形態における金属製の外装ケース(時計ケース)9が構成されている。外装ケース9内には、アンテナ21を含む前記各構成が組み込まれている。
すなわち、駆動制御回路部3およびカウンタ部6を構成する受信IC81、CPU82、基準振動子311等が取り付けられた回路基板や、駆動手段4を構成するモータ411,421や輪列40等が組み込まれた時計体(ムーブメント)98、電力供給手段7を構成する高容量二次電源(二次電池)72、時計体の表面側に設けられた文字板95や地板96等の各構成部材が組み込まれている。
なお、アンテナ21は熱可塑性樹脂(ホットメルト)、紫外線硬化型エポキシ等を用いて地板96に固定されている。また、アンテナ21の緩衝材としての機能を持たせるため、弾性のあるシーリング材を利用して固定してもよい。
【0035】
ここで、アンテナ21と受信IC81とは2本の配線で接続されている。すなわち、コイル212をアンテナ端部から取り出して回路基板80にはんだ付けすることにより、アンテナ21と受信IC81とは電気的に接続されている。なお、前記電気的接続は、アンテナ21にポリイミド等からなるフレキシブル基板を取り付け、この基板を回路基板にネジ留めすることなどで行ってもよい。
また、文字板95は、黄銅(真鍮、Bs)、洋白(洋銀、NS)等の金属で製造されたものを用いることもできるが、プラスチックやセラミックなどの非導電性部材(電気絶縁体)、つまり標準電波を通し易い材質のもので構成されていることが好ましい。
裏蓋93は、ケーシング91と同様な金属材で構成してもよいが、プラスチックやガラス等の非導電性部材(電気絶縁体)、つまり電波を通し易い材質で構成されていることが好ましい。
ケーシング91の対向する2カ所、通常は文字板95における12時方向および6時方向には、時計バンドを連結するための連結用突片(カン)94がそれぞれ突設されている。このケーシング91に取り付けられる時計バンド97は、複数の駒部材をピン(バネ棒等)で互いに回動可能に連結することで構成されている。そして、端部の駒部材もケーシング91にピンで回動可能に連結されている。
【0036】
アンテナ21は、ケーシング91つまり外装ケース9の円周状の内周面91Aに沿って配置されている。すなわち、図4に示すように、アンテナ21の磁性体コア211の平面形状は、内周面91Aと略同心円の円弧状に形成され、コイル212は磁性体コア211に巻かれることで平面略円弧状に構成されている。
また、アンテナ21は、外装ケース9の中心点Oに対して9時方向に配置されている。一方、高容量二次電源(二次電池)72は、前記中心点Oに対し略4時方向に配置されている。従って、アンテナ21および二次電池72は、比較的離れて配置されている。また、基準振動子311も略3時方向に配置され、受信IC81等と比べてアンテナ21から離れて配置されている。このように、二次電池72や基準振動子311は、アンテナ21から離して配置され、二次電池72や基準振動子311が鎖交磁界に影響しないようにされている。すなわち、二次電池72はステンレス等の金属製ケースを備えているため、アンテナ21に近接して配置されると鎖交磁界に影響を与える。一方、基準振動子311は、32.768kHzの水晶振動子が利用されており、この振動周波数が長波受信周波数(40kHz)に近いため、基準振動子311がアンテナ21に近接して配置されると、アンテナ21にノイズとして信号が混入する可能性がある。従って、二次電池72や基準振動子311は、アンテナ21に対して比較的離して配置されている。
【0037】
アンテナ21で長波標準電波等の電波を受信するときは、電波の一部である磁界成分(図8の磁束B1参照)は、アンテナ21のコア211を、その一方の端部211Aから他方の端部211A(図2参照)へと通過する。すると、コア211に巻回されたコイル212に交流電流が誘導され、これに伴ってコイル212の両端に交流電圧が発生する。そして、この交流電圧がアナログ受信信号として受信回路23に流れる(図3参照)。そして、このアナログ受信信号を受信回路23で増幅、復調、デコード等の処理をしてデジタルの時刻データとし、時刻データ記憶回路部24に記憶している(図1参照)。
【0038】
次に、各モータ411,421および各駆動回路41,42の具体的構成に関して説明する。なお、各駆動回路41,42の構成は、基本的には同じであるため、秒モータ411の駆動回路41を例示して説明する。
秒モータ411および時分モータ421は、パルス信号によって駆動されるステッピングモータで構成されている。具体的には、図4に示すように、駆動回路41,42から供給される駆動パルスによって磁力を発生するモータコイル412,422と、このモータコイル412,422によって励磁されるステータ413,423と、ステータ413,423の内部において励磁される磁界により回転するロータ414,424と、モータコイル412,422内に挿通されてステータ413,423に接続されたコア415,425とを備えている。
秒モータ411のロータ414の回転は、かなを介してロータ414に噛合された五番車、四番車等からなる輪列40Aによって秒針に伝達される。一方、時分モータ421のロータ424の回転は、三番車、二番車、日の裏車、筒車等からなる輪列40Bによって分針、時針に伝達されている。
【0039】
各駆動回路41,42は、図6に示すように、直列に接続されたpチャンネルMOS43AおよびnチャンネルMOS44Aと、直列に接続されたpチャンネルMOS43BおよびnチャンネルMOS44Bとによって構成されたブリッジ回路を備えている。
また、駆動回路41,42は、pチャンネルMOS43A,43Bとそれぞれ並列に接続された回転検出用抵抗45A,45Bと、これらの抵抗45A,45Bにチョッパパルスを供給するためのサンプリング用のpチャンネルMOS46A,46Bとを備えている。従って、これらのMOS43A,43B,44A,44B,46A,46Bの各ゲート電極に駆動制御回路部3からそれぞれのタイミングで所定の極性およびパルス幅の制御パルスを印加することにより、モータコイル412に極性の異なる駆動パルスを供給したり、あるいは、ロータ414の回転検出用や磁界検出用の誘起電圧を励起する検出用のパルスを供給することができるようになっている。
【0040】
時分モータ421のモータコイル422は、アンテナ21の内側に互いの軸方向が略平行となるように並設されている。
図4に示すように、モータコイル422は、アンテナ21の軸直交方向に隣接し、かつ、モータコイル422の軸方向とアンテナ21の軸方向とが略平行に配置されている。ここで、モータコイル422の軸方向は、直線状のコア425の長手方向となる。また、アンテナ21の軸方向は、アンテナ21において電波受信の指向性が最も強い方向に直交する方向を意味する。すなわち、本実施形態の平面湾曲形状とされた円弧状のアンテナ21の場合には、アンテナの軸方向は、アンテナ21の両端間の中心部(中点)における円弧(アンテナ側面)の接線方向である。
また、図5に示すように、各モータ411,421の高さ位置は、アンテナ21の高さ位置と略同じ位置に配置されている。なお、モータ411,421のモータコイル412,422の厚さ寸法はアンテナコイル212の厚さ寸法よりも小さいため、本実施形態ではアンテナ21の高さ寸法内にモータ411,421が納まるように配置されている。
なお、このような配置により、後述するアンテナ21とモータコイル422の磁気結合が強くなり、副磁路の磁束を増してアンテナ21の受信感度の向上に寄与するものとなっている。
【0041】
時分モータ421のモータコイル422には、このモータコイル422をアンテナ21の受信周波数で共振させる同調コンデンサ47A,47B(図7参照)が断続可能に接続されている。
図7に示すように、モータコイル422の駆動回路42は、pチャンネルMOS43A,43B(P1,P2)およびnチャンネルMOS44A,44B(N1,N2)によるブリッジ回路を備えている。P1はモータコイル422の一方の端子O1と高電位の電源Vddとを接続可能であり、P2はモータコイル422の他方の端子O2と電源Vddとを接続可能である。N1はモータコイル422の一方の端子O1と低電位の電源Vssとを接続可能であり、N2はモータコイル422の他方の端子O2と電源Vssとを接続可能である。従って、モータコイル422にはP1とN2が導通状態のとき端子O1から端子O2へと電流が流れ、P2とN1が導通状態のとき端子O2から端子O1へと電流が流れるようになっている。
【0042】
端子O2と電源Vddとの間には、同調コンデンサとして利用される複数のコンデンサ47A,47B(C1,C2)が並列に接続されている。各コンデンサ47A,47BにはそれぞれpチャンネルMOS48A,48B(RP1,RP2)が直列に接続されている。これらのMOS48A,48Bの導通状態によって各コンデンサ47A,47Bが個別にモータコイル422と接続されて共振回路を構成する。
例えば、MOS48A(RP1)が導通状態、MOS48B(RP2)が遮断状態のとき、前述したMOS43A(P1)が導通状態でMOS43B(P2)が遮断状態であれば、モータコイル422の端子O2からコンデンサ47A(C1)、MOS48A(RP1)、電源Vdd、MOS43A(P1)を経て端子O1に戻るループが形成される。
【0043】
また、MOS48A(RP1)が遮断状態、MOS48B(RP2)が導通状態のとき、同様にMOS42A(P1)が導通状態でMOS43B(P2)が遮断状態であれば、モータコイル422の端子O2からコンデンサ47B(C2)、MOS48B(RP2)、電源Vdd、MOS43A(P1)を経て端子O1に戻るループが形成される。これらの状態では、コンデンサ47A(C1)またはコンデンサ47A(C2)を同調コンデンサとして、その容量とモータコイル422のインダクタンスとに応じたLC共振回路が構成される。さらに、MOS48A、48B(RP1,RP2)がともに導通状態のとき、並列となるコンデンサ47A,47Bの容量C1+C2を同調コンデンサの容量とする共振回路となる。
ここで、モータコイル422を含んで構成される共振回路の共振周波数は、前述した標準電波の何れかの受信周波数に応じて設定されている。例えば、コンデンサ47A(C1)が単独で有効な状態の共振回路は、共振周波数が60kHz、コンデンサ47A,47B(C1+C2)がともに有効な状態の共振回路は、共振周波数が40kHzとなるように設定されている。これらの共振周波数の設定は、コンデンサ47A,47Bの容量C1,C2により設定される。
【0044】
図8に示すように、アンテナ21で受信すべき長波標準電波は、アンテナ21を通過する磁束B1とともにモータコイル422を通過する磁束B2を生じる。
ここで、モータコイル422に同調コンデンサ(C1,C2)が接続されて共振回路が構成された状態とされ、共振回路の共振周波数が受信すべき長波標準電波に同調されていれば、モータコイル422を通過する磁束B2により共振回路には共振する電流が生じ、磁束B2が増すとともに副磁路の磁束B3も増すことになる。モータコイル422の副磁路の磁束B3はアンテナ21に作用し、本来の受信電波の磁束B1とともにアンテナ21の起電力を増して受信感度を高めることになる。また、アンテナ21の副磁路の磁束B4は、その経路上に受信周波数と同調されたモータコイル422が配置されることで強化され、アンテナ21の受信感度を高めるように作用する。
【0045】
このように、モータコイル422に同調コンデンサ(C1,C2)を接続することで、モータコイル422とアンテナ21とが磁気結合され、これによりアンテナ21の受信感度の増強が行われる。そして、同調コンデンサの切り替えにより、同調する受信周波数の切り替えが可能である。
なお、RP1,RP2がともに遮断状態のときは同調コンデンサがモータコイル422から切り離され、共振回路は解除される。
これらの切り替えは、アンテナ21の受信回路23およびアンテナ同調回路部22に対する制御に用いられる駆動制御回路部3からの受信制御信号(パワーオン制御信号)および周波数切り替え制御信号(図1および図3参照)を、時分駆動回路42に導入することにより行うことができる。
【0046】
駆動制御手段である駆動制御回路部3(図1参照)は、時分駆動回路42を制御し、外部無線情報を受信している間は秒モータ411および時分モータ421を停止させるとともに、同調コンデンサをモータコイル422に接続し、アンテナ21とモータコイル422とを磁気的に結合させる。
【0047】
図9には、駆動制御回路部3から時分駆動回路42に対して行われる状態毎の具体的な切り替え制御が示されている。
時分駆動回路42は、時計表示を行う状態(モータ運針状態)のとき、非運針駆動時はMOS43A,43B(P1,P2)を導通状態、MOS44A,44B(N1,N2)を遮断状態としてモータコイル422を電源Vddの電位に固定しておき、運針駆動時にはN2を導通させかつP2を遮断する状態(モータコイル422の端子O1から端子O2へと電流が流れる)と、MOS44A(N1)を導通させかつP1を遮断する状態(モータコイル422の端子O2から端子O1へと電流が流れる)とに交互に切り替えることにより、モータ421の運針を実行させることが可能である。
この状態(モータ運針状態)では、時分駆動回路42は、MOS48A,48B(RP1,RP2)の何れも遮断状態とされ、同調コンデンサ47A,47B(C1,C2)の何れもモータコイル422に接続されていない状態に維持される。
【0048】
時分駆動回路42は、駆動制御回路部3から受信制御信号を受けた際に第1の受信モード(受信中1)となり、MOS43A(P1)のみ導通させて他のMOS43B,44A,44B(P2,N1,N2)を遮断状態に維持してモータ421の運針を停止させるとともに、MOS48A(RP1)を導通させることでコンデンサ47A(C1)をモータコイル422に接続し、モータコイル422の共振周波数をアンテナ21の受信周波数と共通にして磁気的な結合を行う。
時分駆動回路42は、駆動制御回路部3から周波数切り替え制御信号を受けることで第2の受信モード(受信中2)となり、MOS48A(RP1)とともにMOS48B(RP2)をも導通させることでコンデンサ47A,47B(C1,C2)を並列でモータコイル422に接続し、モータコイル422の共振周波数を変更してアンテナ21の他の受信周波数と共通にして磁気的な結合を行う。
【0049】
次に、時刻情報を受信する場合の動作について説明する。
駆動制御回路部3は、設定された受信開始時間になると、図10に示すように、受信制御信号をオン(Hレベル信号)に切り替えて受信回路23を作動させる。同時に、駆動制御回路部3は、1秒ごとに出力していたモータ駆動用パルスの出力は停止する一方で、所定のパルス信号を秒駆動回路41および時分駆動回路42に出力し、外部無線情報を受信している間は秒モータ411および時分モータ421を停止させる。
【0050】
このとき、秒モータ411では、各MOS43A,43Bをオンしてモータコイル412の両端を電位Vddに接続してショート状態とする。なお、本実施形態では、電源Vdd(高電圧側)を基準電位(GND)に取り、電源Vss(低電圧側)を電源電圧として生成している。
一方、時分モータ421では、各MOS43Aをオン、MOS43Bをオフとし、さらにMOS48A,48Bの少なくとも一方をオンにして同調コンデンサ47A,47B(C1,C2)の一方または両方をモータコイル422に接続して共振回路を構成する。これにより、アンテナ21とモータコイル422とを磁気的に結合させ、モータコイル422の共振を利用してアンテナ21を通過する磁束が強化され、アンテナ21の受信感度が向上する。
【0051】
駆動制御回路部3は、前述のように秒モータ411のモータコイル412をショート状態にした後、時分モータ421のモータコイル422をアンテナ21に磁気的に結合させ、この状態で受信回路23を駆動して時刻情報の受信を開始する。
受信回路23が作動されると、アンテナ21を介して受信された電波(時刻情報)は受信回路23で処理されたのち、記憶回路部24に記憶される。
なお、外部入力装置8による受信動作開始の操作によって強制的に開始(強制受信)させることも可能であるが、この場合も外部入力装置8によって受信動作が指示されると、駆動制御回路部3はまずモータコイル412をショートしてその電圧を所定電位(例えばVdd)に固定した後、受信回路23を駆動して時刻情報の受信を開始する。
【0052】
受信回路23では、受信した時刻データが正しいか否かの検証も合わせて行われる。具体的には、長波標準電波の時刻情報は1分毎のデータとなるため、受信した複数の時刻データが1分間隔の異なるデータになっているか等で判断される。
受信された時刻情報が正しいデータと判断されると、駆動制御回路部3の指示によって、時刻データは秒時刻カウンタ612と時分時刻カウンタ622に出力され、秒時刻カウンタ612と時分時刻カウンタ622のカウント値が修正される。この際、モータコイル412のショート状態は解除され、モータコイル422は同調コンデンサから切り離される。
そして、各時刻カウンタ612,622のカウント値が修正された結果、各位置カウンタ611,621と異なる値になると、それらのカウント値が一致するまで各一致検出回路613,623の不一致信号を受けて、駆動制御回路部3は、各駆動パルス信号PS1、PS2を出力し、各指針を駆動する。この指針の駆動は、各カウンタ値が一致するまで早送りで継続されるため、受信時刻に合わせて指針位置が自動的に修正され、時刻合わせが行われる。
【0053】
前述の本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)モータコイル422に同調コンデンサ47A,47Bを接続することにより、アンテナ21が受信する長波標準電波の周波数に共振する共振回路を構成することができ、アンテナ21の受信性能を補助してアンテナ特性を向上することができる。すなわち、同調コンデンサ47A,47Bと接続されたモータコイル422は、長波標準電波に共振して近傍に同受信周波数の磁束B3による副磁路を形成する。アンテナ21はモータコイル422と略平行に配置され、モータコイル422の副磁路の磁束により磁束密度が高められ、アンテナ21内を通過する磁束量が高まるため、アンテナ特性を向上することができる。
【0054】
(2)モータコイル422に接続する同調コンデンサ47A,47Bを複数とし、何れかまたは両方を接続するように切り替えることで、モータコイル422と同調コンデンサ47A,47Bとで構成される共振回路の共振周波数を選択することができる。これにより、アンテナ21が複数の受信周波数の電波を受信する場合でも、各々の周波数におけるアンテナ特性の向上に対応することができる。
(3)共振回路を構成するために追加するのは、同調コンデンサ47A,47Bと切り替えのためのMOS48A,48Bで済み、モータコイル422には既存のモータ421のコイルをそのまま利用できるため、実施がきわめて容易である。
【0055】
(4)アンテナ21を、外装ケース9の内周面91Aに沿って配置しているので、アンテナ21において電波が鎖交する端面と、この端面に対向する位置にある内周面91Aとの間隔を比較的大きくすることができる。このため、コイル212を鎖交する標準電波の磁界が外装ケース9によって妨げられることが少なくなり、金属製の外装ケース9を用いた場合でも、アンテナ特性の低下を抑えることができる。
従って、金属製のケース9を用いても外部無線情報を受信することができるため、ケースをプラスチック等で構成した場合に比べて高級感の高い外観意匠が得られ、これによりデザイン上の制約も少ない電波修正時計1を提供することができる。その上、外装ケース9に切欠部を形成したり、外装ケースをプラスチックと金属の2重ケースにする必要がないため、製造コストも低減できる。さらに、アンテナ21を内周面91Aに近接して配置できるので、アンテナ21の長さもある程度確保できて、アンテナ特性の低下も防止できるとともに、時計1を小型化することもできる。
【0056】
(5)アンテナ21において、鎖交磁束によって発生する電流値が最も大きくなる軸方向の中心部分に隣接してモータコイル422を配置したので、アンテナ21の中心部分に、モータコイル422を並設することで集められる磁束をより多く流すことができる。従って、モータコイル422の長さが短くても、その配置を最も適切な位置にすることで、アンテナ21の感度を効果的に向上することができる。
(6)モータコイル422をアンテナ21に対して外装ケース9の中心側に配置し、アンテナ21およびモータコイル422を平面的(外装ケース9の表面から見た状態)に並設し、時計1の断面方向に重ねていないので、ムーブメントつまり時計1を薄型化することができる。
(7)アンテナ21を高容量二次電源(二次電池)72から離して配置しているので、金属ケースを有する電池72がアンテナ特性に影響を与えることを減少でき、アンテナ特性の低下をより一層抑えることができる。
また、アンテナ21を基準振動子311からも離して配置しているので、基準振動子311の信号が受信信号にノイズとして混入することを防止でき、アンテナ特性の低下をより一層抑えることができる。
【0057】
(8)アンテナ21を平面円弧状に形成したので、アンテナ21をその全長に渡ってケース内周面91Aに沿って配置できる。このため、内周面91Aとアンテナ21との間の隙間を非常に小さくできてケース9内部のデッドスペースを無くすことができ、ケース9の内部空間を有効に利用することができる。このため、外装ケース9の小型化を可能とし、例えば、男性用の腕時計に比べて小さい女性用の腕時計においてもアンテナ21を内蔵させることができる。
その上、アンテナ21の円弧状の内側面に沿ってモータ421を配置し、アンテナ21のコア211の両端を結ぶ弦のアンテナ21側にモータコイル422を配置できるため、アンテナ21およびモータコイル422の配置スペースを小さくすることができる。従って、ケース9の内部に配置される輪列40、電池72、IC81,82等の配置スペースを十分に確保でき、レイアウトの自由度も高めることができる。
(9)外装ケース9をプラスチック等の金属材以外で構成する場合、必要な強度を確保するために、肉厚にしたり補強リブを設けるなど、ケース9の製造に工夫を要するが、本実施形態では金属製のケース9を用いているので、プラスチック製の場合と同じ肉厚にした場合には、より強度の高いケース9にできたり、同じ強度を確保するために必要なケース9の肉厚寸法を小さくすることができる。
【0058】
〔第2実施形態〕
図11ないし図13には本発明の第2実施形態が示されている。
前述した第1実施形態は、モータコイル422として既存のモータ421のコイルを利用しており、図4に示すように、コア425に単一のコイル422を巻いた構成であった。これに対し、本実施形態では、モータコイル本来の機能をになうコイルとアンテナ21を補助する機能をになうコイルとの各々を備えた構成とする。
なお、本実施形態は、モータコイル422および関連する駆動回路42が前記第1実施形態と相違するが、他の構成は同様である。このため、以下には相違部分のみの説明を行い、前述した第1実施形態と同一または同様の構成部分には同一符号を付し、説明を省略または簡略にする。
【0059】
図11および図12に示すように、本実施形態のモータコイル422は、コア425の周囲に二層のコイルを備えている。
モータコイル422のうち、内側の層はモータコイル部422Aとされ、外側の層は補助アンテナコイル部422Bとされている。これらのモータコイル部422Aおよび補助アンテナコイル部422Bは、それぞれウレメット線を巻いて形成されている。ここで、モータコイル部422Aの線材は直径20〜30μmとされ、補助アンテナコイル部422Bの線材は直径70〜100μmとされている。つまり、補助アンテナコイル部422Bの線材はアンテナ21の巻き線径よりやや細い程度であり、モータコイル部422Aの線材は補助アンテナコイル部422Bの数分の一程度と大幅に細いものとされている。
【0060】
図13に示すように、駆動回路42において、モータコイル部422Aは第1実施形態のモータコイル422全体と同じ接続とされ、一方の端子O1がMOS43A,44A(P1,N1)の間に、他方の端子O2がMOS43B,44B(P2,N2)に接続されている。補助アンテナコイル部422Bは、一方の端子O3が同調用のコンデンサ47A,47B(C1,C2)のMOS48A,48B(RP1,RP2)とは反対側の極に、他方の端子O4が電源Vddに接続されている。
従って、モータコイル部422AとMOS43A,44A(P1,N1)、MOS43B,44B(P2,N2)によりブリッジ回路が構成され、従来通りのモータ421の駆動制御が行われる。
一方、補助アンテナコイル部422Bは、MOS48A,48B(RP1,RP2)の切り替えにより、同調用のコンデンサ47A,47B(C1,C2)が接続され、共振回路を形成する。
なお、本実施形態では、補助アンテナコイル部422Bおよびコンデンサ等の共振回路は、モータコイル部422Aと分離されているため、前記第1実施形態とは異なりMOS43A(P1)を導通させかつMOS44A(P2)を遮断することは必須ではない。このため、本実施形態では、モータ421の運針停止中にはMOS43A、44A(P1,P2)をともに導通状態とし、モータコイル部422Aの両端を電源Vdd側に固定して互いにショートさせた状態で、駆動用の通電を停止させる。
【0061】
このような本実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果のうち、効果(3)を除く各効果が得られるとともに、更に次のような効果がある。
(10)補助アンテナコイル部422Bにおいては、コイルの巻き線を太くすることで、共振時のQ値を大きくでき、副磁路の磁束B3(図8参照)を大きくできる。これにより、アンテナ21の受信特性の向上の効果を更に高めることができる。
(11)モータコイル部422Aにおいては、補助アンテナコイル部422Bのような太い巻き線径ではなく、通常のモータコイルと同様に十分に細い巻き線とすることができ、巻き線の抵抗値を確保して駆動電流の増加を回避できる。
【0062】
(12)モータコイル部422Aと補助アンテナコイル部422Bとの二層としたため、前述のようなモータコイルとしての本来の機能と、共振してアンテナ受信性能を補助する機能とについて、各機能に応じた適切な設定を行うことができ、モータコイル422としての機械的なスペースを共用しつつ、各機能の応じた適切なコイル性能を確保することができる。
(13)モータコイル部422Aおよび補助アンテナコイル部422Bは、モータコイル部422Aが内側で補助アンテナコイル部422Bが外側となるように配置したため、モータコイル422の端部において外側の補助アンテナコイル部422Bによる磁束B2、B3の漏れ量が大きくなり、アンテナに対する副磁路の磁束B3による結合量が増え、効果的なアンテナ特性改善が図れる。
(14)モータ421の運針停止中には、モータコイル部422Aの両端を互いに導通させてショート状態とすることで、モータコイル部422Aに電圧が誘起されることがなく、受信中の補助アンテナコイル部422Bへの不要な影響等が避けられる。
【0063】
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、以上述べた実施の形態に対し、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができる。
【0064】
例えば、前記実施形態では2つのモータ411,421を有する構成としたが、図14に示すように、1つのモータコイル431のみを有する1モータタイプの時計としてもよい。このようなモータコイル431に同調コンデンサを接続して補助アンテナの機能が得られるようにしてもよく、前記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。その上、モータが1つのみであるため、モータを配置するスペースを小さくでき、その分、アンテナ21をより長くすることができ、アンテナ21と電池72等とをより離して配置することもできる。
また、本発明は3つ以上のモータを備えた時計に適用してもよい。
例えば、時分モータや秒モータに加えて、カレンダー用やクロノグラフ用のモータなどを備えた複数モータ構成でもよい。このような場合、複数のモータのうち最も大きなモータコイルを有するモータをアンテナの近傍に配置し、これを補助アンテナとして機能させることがアンテナ21の受信性能の向上の効果において好ましい。一般に、最も大きなトルクを必要とする時分モータが最も大きなモータコイルとなる。従って、前記実施形態のように、時分モータのモータコイルをアンテナに磁気結合させる構成とすることが好ましい。
【0065】
前記第1実施形態ではアンテナ21を平面円弧状に形成したが、図15に示すように、直線的なコアを用いてもよい。図15において、アンテナ51の磁性体コア511は、各端部511Aと、各端部511A間を連結する中間部511Bとを備えている。ここで、各端部511Aおよび中間部511Bは直線状に形成され、中間部511Bにアンテナコイル512が巻かれている。
アンテナ51の中間部511Bに並設してモータコイル431が設定されている。この際、アンテナ51の軸方向はコイル512が巻かれた中間部511Bの長手方向となり、このアンテナ51の軸方向と前記モータコイル431の軸方向とが平行となるように、アンテナ51およびモータコイル431が並設されている。
このようなモータコイル431に同調コンデンサを接続して補助アンテナの機能が得られるようにしてもよく、前記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、アンテナ51を平面円弧形状ではなく、多角形状に構成したので、コア511をアモルファス板から切り出して形成する作業や、コイル512の巻線作業を、円弧形状のコアを用いる場合に比べてより容易に行うことができ、アンテナ51の製造作業性を向上できる。
【0066】
アンテナの構成としては、前記各実施形態のものに限らず、例えば、図15のコア511の中間部511Bを複数の直線部で構成し、このコア511にコイル512を巻き付けた平面多角形状のアンテナを用いてもよい。このアンテナは、図15のアンテナ51と同様に、コアの切り出しやコイルの巻線作業を容易にできる上、前記アンテナ51に比べてより円弧形状に近くなるため、アンテナとケース内周面91A間のデッドスペースを前記アンテナ51に比べて小さくでき、スペース効率を向上できる。
さらに、コアの中間部を円弧状に形成し、両端部を直線状に構成したアンテナを用いてもよい。
また、アンテナとしては、平面直線状(棒状)のコアを有するアンテナでもよい。但し、前記各実施形態のように、平面円弧状等としたほうが、ケース内周面91Aに沿って配置できてムーブメント98の配置スペースを確保できる点で有利である。
【0067】
また、アンテナのコアは全長に渡って同じ幅寸法で構成されているものに限らず、コイルが巻かれない両端部の幅寸法を、コイルが巻かれる部分に比べて大きく形成してもよい。このようにコア両端部の幅寸法を大きくすれば、コイルが巻かれた部分の厚さ寸法を変えることなく、コアの体積を大きくすることができ、アンテナを大きくすることなく、アンテナ特性を向上することができる。
なお、この場合、コアのコイルを巻く部分には、20〜30μm程度の厚みの絶縁テープを巻いておくことが好ましい。この絶縁テープを巻いておけば、コイルとコアとを確実に絶縁でき、かつ、コアが断面矩形状に形成されている場合に、巻線がコアの角のエッジで切れることを防止できる。また、コアの段部つまりコイルが巻かれる部分の端部には、ポリエステル等でできた略U字型の巻き枠をセットすれば、コイルを容易に巻くことができるとともに、コイル端部の巻きくずれを防ぐことができる。
【0068】
また、アンテナの配置位置は、前記第1実施形態のようなケース9内において時計の9時方向に限らず、時計の12時方向や、6時方向、3時方向などの他の位置でもよい。但し、3時方向には通常、りゅうずの巻真やボタンの軸等が設けられ、これらと干渉しないようにアンテナを配置しなければならないため、他の6,9,12時方向に配置することが好ましい。特に、2時および4時にボタンが配置されている場合には、アンテナを12時方向や6時方向に配置すると、アンテナやモータコイルがボタンの軸に干渉しないように、アンテナの長さが制限されるおそれがあるため、アンテナを9時方向に配置することが最も好ましい。
【0069】
また、アンテナに対するモータコイルの軸方向の相対位置は、前記実施形態のように、モータコイル422がアンテナ21の軸方向の中心に並設されていることが好ましいが、アンテナ21の軸方向端部側にモータコイルを並設させてもよい。
さらに、前記実施形態では、1つのモータコイルのみをアンテナ21に並設させていたが、2つのモータコイルをアンテナ21に並設させてもよい。例えば、直線状のアンテナを配置し、その左右両側にモータコイルを配置してもよいし、アンテナの片側に2つのモータコイルをモータコイルの軸方向に離して配置してもよい。さらには、アンテナに並設して1つのモータコイルを配置し、さらにこのモータコイルに並設して他のモータコイルを配置してもよい。これらのモータコイルのうち、何れか一つのみに同調コンデンサを接続してもよく、全てのモータコイルに同調コンデンサを接続してもよい。
すなわち、アンテナに共振する素子として利用されるモータコイルは、その軸方向が前記アンテナの軸方向に略平行に配置されていればよく、その本数や配置場所は時計におけるレイアウト等を考慮して適宜設定すればよい。
【0070】
また、アンテナおよびモータコイルは時計の厚さ方向(断面方向)に並設してもよい。つまりアンテナの文字板側あるいは裏蓋側にモータコイルを配置してもよい。さらに、2つのモータコイルがある場合、1つのモータコイルは前記実施形態と同様にアンテナに対して平面方向に並設し、他のモータコイルはアンテナに対して時計の厚さ方向に並設してもよい。
但し、アンテナおよびモータコイルを時計の厚さ方向に並設すると、時計の厚さ寸法が大きくなるため、特に腕時計のように薄型化が求められる場合には、前記実施形態のように時計の平面方向に並設することが好ましい。
【0071】
また、本発明の時計1における外装ケース9は、金属製のものに限らず、例えば、図16に示すように、プラスチックケース110の表面にステンレスやチタン等の金属製カバー111を取り付けて構成されたものでもよい。さらに、外装ケース9は、合成樹脂やセラミックなどの非導電性材料で構成してもよく、さらにはこれらプラスチック等にメタリック塗装などの表面処理を施して金属層を形成したもので構成してもよい。但し、外装ケースの少なくとも一部を金属製としたほうが高級感のある外観とすることができる利点がある。
さらに、裏蓋93も金属製のものに限らず、例えば、図16に示すように、金属製の外周リング93A内にガラス板93Bを嵌め込んだものを用いてもよい。裏蓋93の一部をガラス製にすれば、電波がガラス板93B部分から外装ケース9内部に侵入し易くなるため、受信感度を向上できる。同様に、文字板95もプラスチック製にすれば、電波がケース9内に入りやすくなり、受信感度を向上できる。
【0072】
前記実施形態では、アモルファス箔を平面矩形状に形成して時計1の平面方向に積層してコア211を製造していたが、アモルファス箔を平面湾曲形状に形成して時計1の厚さ方向(時計1の裏蓋93および表面ガラス92を結ぶ方向)に積層してコアを製造してもよい。
さらに、アンテナのコアとしては、積層アモルファス箔で構成されたものに限らず、フェライトコアなどの磁性体を用いてもよい。
【0073】
また、アンテナコアの長さは、適宜設定でき、例えば、円弧状に形成された場合であれば、その中心角が180度程度まで長くすることもでき、さらに180度以上とすることもできる。アンテナ特性は、アンテナの長さが長い方が向上する。従って、アンテナ長を最低15mm程度確保する場合には前記中心角は50〜60度程度とすればよいが、アンテナ特性をより向上させる点では中心角をより大きくすることが好ましい。一方で、前記中心角を180度以上とすると、アンテナ21の両端部の軸方向つまり鎖交磁界(磁束)が入る方向および出る方向と、アンテナ21の中間部における磁束の方向とが90度以上となり、磁界成分の流れがスムーズでなくなるため、180度を大幅に超えて大きくすることは好ましくない。従って、アンテナコアの長さは円弧状あるいは円弧に近似した多角形状に形成した場合、その中心角が約50度〜240度程度の範囲に納めることが好ましく、前記鎖交磁束の方向やアンテナ特性を考慮すると、前記中心角が約60〜180度の範囲であることが好ましい。なお、実際には、モータコイルや電池等の他の部品の配置スペース等も考慮して設定すればよい。
なお、コアが円弧状に形成されていない場合でも、各端面の位置関係が円弧状の場合と同様となるように構成すればよい。
【0074】
さらに、本発明において、モータコイルに同調コンデンサを接続されるモータは、時計において一般的に用いられるステップモータ等が利用できる。従って、モータのコアも、パーマロイ等の一般的な時計のステップモータに使用されるコアが利用できる。
また、前記実施形態の駆動制御回路部3は、受信回路23を駆動している間、指針を駆動するモータを停止していたが、受信回路23が駆動している間であっても、不要なデータを受信している間はモータを駆動するように制御してもよい。
すなわち、指針のうち、時針および分針は、通常1つのステップモータで駆動されるが、このモータに対する駆動パルスを1分間に1回加えれば、時分針は正しく駆動することができる。
【0075】
図17に示すように、日本の時刻情報である標準電波JJYは、1分間(60秒間)に渡って1サイクル60ビットの時刻情報を送信するが、その50〜59秒間(右側部分)は、「曜日情報」等の、直接時刻修正には必要ない情報(不要データ)を送信している。従って、標準電波のタイムコードにおいて、0〜49秒間の電波修正処理に有効なデータを受信している間は前記モータの駆動を停止し、50〜59秒間の電波修正処理に不要なデータを受信している間にモータを駆動させるようにすれば、正しい時刻修正処理を行うことができる。また、不要データの受信中にモータ駆動パルスを出力できるため、1分間に1回のモータ駆動パルスで駆動できる時分針を、外部無線情報の受信中も作動させることができ、正しい時刻表示を継続できる。
従って、受信回路の動作中にモータを駆動することができ、正しい時刻指示を行いながら、安定したデータ受信を行うことができる。
【0076】
また、受信回路23は、受信回路23の電源を入れて作動し始めたときは、回路が安定するまで時間が掛かるため、頻繁にオン、オフすると、安定して作動させることが難しいが、不要データ受信中も作動させ続けるようにすれば、受信回路23の安定性も高めることができる。
なお、現在受信中のデータがタイムコードの0〜49秒間に相当する有効データであるか、50〜59秒間に相当する無効データであるかの判断は、例えば、時計の秒時刻カウンタ612のカウンタ値で行うことができる。すなわち、モータ駆動に必要なパルスの出力は1秒間以下で行えるため、例えば、タイムコードが55秒の時にモータ駆動パルスを出力してモータを駆動するように設定すればよい。一方で、電波修正時計における電波受信時の時刻指示誤差は、通常、1秒以下であるため、前記カウンタ値が55秒の時にモータを駆動すれば、その際に受信している標準電波JJYも、54〜56秒の時刻修正に必要ない情報を送信していることになり、有効データの受信中にはモータ駆動を停止し、無効データの受信中にモータを駆動する制御を容易に行うことができる。
【0077】
一方、秒針を有する時計の場合、秒針を駆動するモータに対しては、時刻指示のためには、1秒毎にモータ駆動パルスを出力する必要があり、このため、電波受信時に秒針を駆動するモータにおいて、時刻指示用の駆動は停止させる必要がある。但し、カウンタ612のカウンタ値が50〜59秒の範囲内で、1〜2秒間程度のモータ駆動パルスの出力で秒針を早送り駆動することは、分針の場合と同様に、電波受信に影響することがないため、例えば、秒針を駆動して電波受信時の電界強度レベルを表示するような制御を電波受信時にも行ってもよい。
また、アンテナ21と電池72や基準振動子311との配置関係は前記実施形態に限定されず、電池72や基準振動子311がアンテナ21の受信に影響しない程度の間隔を設けて配置すればよい。
さらに、前記各実施形態では、コアの両端部近傍までコイルを巻いていたが、コアの中間部のみにコイルを巻いてもよい。但し、アンテナ特性やスペース効率の点では前記実施形態のようにコアの両端部近傍までコイルを巻くことが好ましい。
【0078】
さらに、アンテナ21によって受信する無線情報としては、時刻情報を含む長波標準電波に限定されない。例えば、時刻情報を受信する場合でも、その無線信号としては、300MHz帯の微弱電波無線、400MHz帯の特定小電力無線、2.4GHz帯のBluetooth(ブルートゥース)等を利用してもよい。これらの無線を受信する場合には、周波数が
高いため、コイル212のターン数は少なくてよく、アンテナ21も小さくできる。
また、電波を用いた無線通信に限らず、電磁結合方式や電磁誘導方式等の他の無線通信方式を用いてもよい。なお、電磁結合や電磁誘導方式は、通信機器同士を近接させる必要があるが、ステンレス等の非磁性体であれば金属部分でも透過して通信が可能なため、アンテナが内蔵されるケースをステンレス等の金属製で構成できる利点がある。
【0079】
さらに、前記アンテナ21を用いて通信する無線情報としては、時刻情報に限らない。例えば、時計1内にICカード機能を内蔵させ、電車の定期券や各種プリペイドICカードのような情報を送受信するために利用してもよい。例えば、ケース9内にICチップとアンテナ等を組み込み、ICカードを用いた改札機や入退室管理機、各種の課金支払機等に腕時計を近接させて情報をやり取りできるようにしてもよい。この場合、別途、ICカードを出し入れする必要がなく、時計をはめた手を近付けるだけでよいため、操作性を非常に向上することができる。なお、外部無線情報に含まれるデータが有効データであるか無効データであるかは、各時計に組み込まれた機能等に応じて設定すればよい。
従って、本発明の外装ケース9に内蔵されるアンテナ21としては、標準電波を受信する場合のような受信専用に用いるものでもよいし、非接触ICを用いたタグのように、情報を送受信するために用いてもよいし、さらには送信専用に用いてもよく、これらは本発明を適用する電子時計つまりはアンテナ内蔵式電子機器の種類に応じて適宜選択すればよい。
【0080】
本発明のアンテナ内蔵式電子機器としては、前述の電波修正時計に限定されず、例えば、前記ICカード機能のみが設けられた電子機器等の各種電子機器にも適用できる。例えば、電子機器としては、脈拍や体温等の測定機器や通信、通話機能を備えた通信機器、カレンダやスケジュール、アドレス帳機能を備えた携帯情報端末機器、電子計算機能を備えた携帯型コンピュータ、音楽や画像、映像再生機能を備えたAV機器、非接触型通信機能を備えた個人情報管理用機器等の各種の無線情報の通信機能を有する電子機器に適用できる。
これらの電子機器においても、例えば本体に液晶表示部等を設け、外装ケース9内に組み込まれたアンテナで受信したり、外部に送信する情報、例えば残金情報や使用履歴等の情報を表示するようにしてもよい。さらには、電子機器から利用者のID情報を通信できるようにし、その電子機器と通信するシステム側から利用者に情報を提供するようにしてもよい。例えば、交通機関への乗降車時や、イベント会場や店舗への入退場時、会社等への出退勤時に、利用者全員にメッセージを送ったり、特定の人(IDで特定)に特別なメッセージ(特典ポイントの案内、イベント情報)を送るようにしてもよい。
【0081】
また、アンテナ21は、ループアンテナに限らず、誘導体アンテナ等の他のアンテナを用いてもよく、これらは送信あるいは受信する無線情報の種類等に応じて適宜設定すればよい。なお、ループアンテナを用いる場合は、磁性体コアが挿入されていないものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】前記第1実施形態のアンテナの構成を示す斜視図である。
【図3】前記第1実施形態の受信回路の構成を示すブロック図である。
【図4】前記第1実施形態の時計の概略平面図である。
【図5】前記第1実施形態の時計の概略断面図である。
【図6】前記第1実施形態のモータの駆動回路を示す回路図である。
【図7】前記第1実施形態のモータコイルおよび同調コンデンサを示す回路図である。
【図8】前記第1実施形態のアンテナおよびモータコイルの磁気的結合を示す概略図である。
【図9】前記第1実施形態のモータコイルおよび同調コンデンサの接続切り替えを示す信号波形図である。
【図10】前記第1実施形態におけるモータパルスおよび受信制御信号を示す信号波形図である。
【図11】本発明の第2実施形態のモータコイルの側面図である。
【図12】前記第2実施形態のモータコイルの断面図である。
【図13】前記第2実施形態のモータコイルおよび同調コンデンサを示す回路図である。
【図14】本発明の変形例を示す概略平面図である。
【図15】本発明の他の変形例を示す概略平面図である。
【図16】本発明のさらに他の変形例を示す概略断面図である。
【図17】標準電波のタイムコードフォーマットを説明するための図である。
【符号の説明】
【0083】
1…電波修正時計、2…受信手段、3…駆動制御回路部、4…駆動手段、9…外装ケース、21,51…アンテナ、71…発電装置、72…高容量二次電源、80…回路基板、91…ケーシング、91A…内周面、92…カバーガラス、93…裏蓋、95…文字板、96…地板、211,511…磁性体コア、212,512…アンテナコイル、311…基準振動子、411…秒モータ、421…時分モータ、412,422,431…モータコイル、422A…モータコイル部、422B…補助アンテナコイル部、47A,47B…同調コンデンサ、415,425…コア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケースと、この外装ケース内に配置されて外部無線情報を受信するアンテナと、前記アンテナで受信した外部無線情報を処理する受信手段と、時刻表示手段と、前記受信手段および時刻表示手段の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、
前記アンテナは、コアに巻かれたコイルを備えて構成され、
前記時刻表示手段は、モータコイルを有するモータと、このモータによって駆動される表示部とを備えて構成され、
前記モータコイルは、その軸方向が前記アンテナの軸方向に対して略平行となるように前記アンテナ近傍に並設され、
前記モータコイルには、前記モータコイルを前記アンテナの受信周波数で共振させる同調コンデンサが断続可能に接続され、
前記駆動制御手段は、前記外部無線情報を受信している間は前記モータを停止させるとともに、前記同調コンデンサを前記モータコイルに接続して前記アンテナと前記モータコイルとを磁気的に結合させることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記アンテナおよび前記受信手段の受信周波数は複数種類があり、
前記同調コンデンサは、前記各受信周波数に応じて複数のコンデンサを切り替え可能であることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記外装ケースの少なくとも一部は金属で構成されており、
前記アンテナは、前記モータコイルと前記外装ケースの内周面との間に配置されていることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れかに記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記外部無線情報は標準電波であり、
前記駆動制御手段は、前記標準電波に含まれる時刻データに基づいて時刻表示手段の表示を制御可能であることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。
【請求項5】
請求項4に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記駆動制御手段は、前記時刻データの1サイクルを構成する60ビットのうち電波修正処理に不要なデータを受信している間は、前記同調コンデンサを前記モータコイルから切り離すとともに前記モータを駆動させることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れかに記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記モータコイルは、モータコイル部と補助アンテナコイル部との二層構造とされていることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。
【請求項7】
請求項6において、前記外部無線情報を受信している間は、前記モータコイルの両端を互いにに導通させてショート状態とすることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−236820(P2009−236820A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85611(P2008−85611)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】