アンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法
【課題】簡易かつ効率的に生産可能であり、近傍に金属部材が配置されても良好な受信感度を実現することのできるアンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】直状部211とこの直状部211の両端から直状部211の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部212とを備える第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bのうち、いずれか一方の直状部211に導線を巻回してコイル22を形成し、第2の板状部材21Bを、その張出し部212が第1の板状部材21Aの張出し部212と重なり合うように第1の板状部材21Aに積層して、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとを磁気的に連結させて、第1の板状部材21A及びこれと積層方向に隣り合う第2の板状部材21Bによりループ状の磁路が形成されるように構成している。
【解決手段】直状部211とこの直状部211の両端から直状部211の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部212とを備える第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bのうち、いずれか一方の直状部211に導線を巻回してコイル22を形成し、第2の板状部材21Bを、その張出し部212が第1の板状部材21Aの張出し部212と重なり合うように第1の板状部材21Aに積層して、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとを磁気的に連結させて、第1の板状部材21A及びこれと積層方向に隣り合う第2の板状部材21Bによりループ状の磁路が形成されるように構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、時刻情報を含む標準電波を受信するアンテナを備え、受信された時刻情報に基づいて自動的に現在時刻を修正する電波時計等の電波受信機器が知られている。そして、例えば電波時計において標準電波を受信するアンテナとしては、受信感度のよい磁性材料であるアモルファス金属やフェライト等からなるコアにコイルが巻回されてなるアンテナ構造体を備えるものが多く用いられている。
【0003】
腕時計型の電波時計等の電波受信機器の場合、高級感を演出したり、デザイン性や耐久性を向上させる等の観点からアンテナ構造体を収容するケースや、当該ケースの蓋部材等に金属製の部材が使用されることがある。このように電波受信機器に金属部材が用いられている場合に、これらの金属部材に近接してアンテナ構造体が配置されると、いわゆる渦電流の発生による損失が生じ、これに起因してアンテナ構造体による標準電波の受信感度が劣化してしまう。
しかし、特に女性用の腕時計型の電波時計等の場合、できるだけ装置を小型化・薄型化するために小型のアンテナを小型のケース内に収容すべき要請もある。このような場合には、金属部材とアンテナ構造体とを離して配置しようとするとデザイン上の制約が大きくなってしまうため、金属部材とアンテナ構造体との間に十分な距離を確保することが困難であるとの問題がある。
【0004】
この点、金属部材とアンテナ構造体との間に十分な距離を確保できない場合でも受信感度の劣化を抑えるための構成として、リング状に形成した磁芯(コア)にコイルを巻き付け、磁芯に沿って形成される磁路が閉鎖状のループを形成するように構成するとともに、この閉鎖状ループを構成しているアンテナ構造体の磁路の一部にエアギャップを設けて、このエアギャップの部分が他の部分の磁気抵抗と異なる磁気抵抗となるように構成したアンテナ構造体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このように磁芯をリング状に構成した場合には、磁束が外部に漏れにくくなるため、アンテナ構造体の近傍に金属部材が配置されても渦電流の発生による損失に起因するアンテナ構造の受信感度の劣化を抑えることが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3512782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、アンテナ構造体を製造する場合には、例えば機械により自動的に磁芯(コア)に対して導線を1000回(ターン)等、数100ターン以上所定回数巻回することによりコイルを形成するところ、特許文献1に記載されている技術のように、磁芯(コア)がリング状に形成されている場合には、実際には機械的に磁芯に細い導線を数100ターン以上巻回することは極めて困難であり、アンテナ構造体を簡易かつ効率的に生産することが難しいとの問題がある。
また、アンテナ構造体の磁路の一部にエアギャップを設けた場合には、このギャップによるロスを生じる可能性がある上、ギャップのばらつきによるインダクタンスの差異を生じないように、ギャップを調整する必要が生じるとの問題もある。
【0007】
そこで、本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、簡易かつ効率的に生産可能であり、近傍に金属部材が配置されても良好な受信感度を実現することのできるアンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のアンテナ構造体は、
磁性材料により形成され、第1の直状部とこの第1の直状部の両端から前記第1の直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した第1の張出し部とを備える第1の板状部材と、
磁性材料により形成され、第2の直状部とこの第2の直状部の両端から前記第2の直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した第2の張出し部とを備え、この第2の張出し部が前記第1の板状部材の前記第1の張出し部と重なり合うように前記第1の板状部材に積層され前記第1の板状部材と磁気的に連結される第2の板状部材と、
前記第1の直状部及び前記第2の直状部のうちの少なくとも一方に導線を巻回して形成されたコイルとを備え、
前記第1の板状部材及びこれと積層方向に隣り合う前記第2の板状部材によりループ状の磁路が形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の電波受信機器は、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンテナ構造体と、
金属材料により形成され、前記アンテナ構造体を収容する外装ケースと、
を備えていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明のアンテナ構造体の製造方法は、
直状部とこの直状部の両端から前記直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部とを備える板状部材を磁性材料により複数形成する板状部材形成工程と、
この板状部材形成工程において形成された前記複数の板状部材のうちの少なくとも1つの板状部材の前記直状部に導線を巻回してコイルを形成するコイル形成工程と、
前記板状部材を前記張出し部同士が互いに重なり合うように互い違いに積層して磁気的に連結させ、ループ状の磁路を形成する板状部材積層工程と、
を含んでいることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、直状部(第1の直状部、第2の直状部)とこの直状部の両端から直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部(第1の張出し部、第2の張出し部)とを備える第1の板状部材及び第2の板状部材のうち、いずれかの直状部に導線を巻回してコイルを形成し、第2の板状部材を、その張出し部が第1の板状部材の張出し部と重なり合うように第1の板状部材に積層して、第1の板状部材と第2の板状部材とを磁気的に連結させて、第1の板状部材及びこれと積層方向に隣り合う第2の板状部材によりループ状の磁路が形成されるように構成している。
これにより、外部から第1の板状部材及び第2の板状部材に入ってくる磁束、共振回路によって発生した磁束のいずれもが、第1の板状部材及び第2の板状部材により形成されているループ状の磁路を通る。このため、アンテナ構造体の近傍に金属部材が配置されても金属部材の方に磁束が流れて損失となるのを防ぐことができ、良好な受信感度を実現することができる。
また、第1の板状部材及び第2の板状部材のいずれかの直状部にコイルを形成してから、第1の板状部材と第2の板状部材とを重ね合わせて磁気的に連結させるため、コイルを機械により自動的に巻回することができ、アンテナ構造体を簡易かつ効率的に生産することが可能となるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電波受信機器の一例である電波腕時計の概略構成を示す正面図である。
【図2】第1の実施形態におけるアンテナ構造体をアンテナ用ケースに組み込んだ状態を示す平面図である。
【図3】図2のアンテナ構造体を構成する板状部材にコイルが巻回された状態を示す平面図である。
【図4】図3における矢視IVから見た板状部材の正面図である。
【図5】図3における矢視Vから見た板状部材の側面図である。
【図6】図3における板状部材のVI-VI線に沿う断面図である。
【図7】図2のアンテナ構造体の平面図である。
【図8】図7における矢視VIIIから見たアンテナ構造体の正面図である。
【図9】図7における矢視IXから見たアンテナ構造体の側面図である。
【図10】図7におけるアンテナ構造体のX-X線に沿う断面図である。
【図11】図2に示すアンテナ構造体の製造工程を示す図であり、(A)は、板状部材形成工程を示し、(B)は、コイル形成工程を示し、(C)は板状部材積層工程を示している。
【図12】第2の実施形態におけるアンテナ構造体をアンテナ用ケースに組み込んだ状態を示す平面図である。
【図13】図12のアンテナ構造体の平面図である。
【図14】図13における矢視XIVから見たアンテナ構造体の正面図である。
【図15】図13における矢視XIVから見たアンテナ構造体の側面図である。
【図16】図13におけるアンテナ構造体のXVI- XVI線に沿う断面図である。
【図17】第2の実施形態におけるアンテナ構造体の一変形例の正面図である。
【図18】図17における矢視XVIIIから見たアンテナ構造体の側面図である。
【図19】図17におけるアンテナ構造体のXIX- XIX線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
図1から図11を参照しつつ、本発明に係るアンテナ構造体及びこれを備える電波受信機器の第1の実施形態を説明する。なお、本実施形態では、電波受信機器としての電波腕時計にアンテナ構造体を搭載する場合を例として説明する。なお、本発明の範囲は図示例に限定されない。
【0014】
図1は、本実施形態における電波腕時計(電波受信機器)を示す正面図である。
図1に示すように、電波腕時計1は、アンテナ構造体2及びこのアンテナ構造体2が収容されたアンテナ外装ケース4を備えている。
また、本実施形態において、電波腕時計1は、時刻等の表示を行う表示装置51、アンテナ構造体2が電波を受信するための受信回路部等を含む電子部品等(図示せず)が搭載された時計本体5、この時計本体5が収容された時計外装ケース6及びこれらと連結されて電波腕時計1の時計バンドを構成する複数の駒部材7を備えている。
【0015】
本実施形態において、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7は、例えばステンレスやチタン等の金属材料その他の導電性部材により、ほぼ同じ大きさの直方体形状に形成されている。
なお、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7は、全てが同じ材料で形成されている必要はなく、例えば時計外装ケース6のみが金やプラチナ、又はこれらの組み合わせ等で形成される等、一部の部材が異なる材料で形成されていてもよい。
また、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6及び駒部材7は、いずれもほぼ同じ形状、大きさに形成されている場合に限定されず、それぞれ異なる形状、大きさであってもよい。
【0016】
アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7の裏面側には、それぞれ図示しない連結部が設けられており、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7が相互に連結されて鎖状となるようになっている。
なお、アンテナ構造体2が収容されたアンテナ外装ケース4は、時計本体5が収容された時計外装ケース6に隣接又は近接して配置されることが好ましいが、その配置は特に限定されない。
【0017】
アンテナ外装ケース4は、例えば裏面側(すなわち、ユーザが電波腕時計1を腕に装着した際に腕に接触する側)等の1つの面に開口部41が設けられた中空構造となっており、この中空部分がアンテナ構造体2を収容する収容空間となる。
開口部41には、図示しない蓋部材が防水リング(図示せず)を介して取り付けられている。なお、蓋部材を形成する材料は特に限定されないが、樹脂等、電波を透過させる材料で形成されていることが好ましい。
【0018】
図2は、アンテナ外装ケース4の内部にアンテナ構造体2が収容されている状態を示した図である。なお、図2ではアンテナ外装ケース4から蓋部材を外した状態を図示している。
本実施形態では、アンテナ外装ケース4は、図2に示すように、アンテナ外装ケース4の内側面とアンテナ構造体2との間に1mm程度の隙間しかない程度の大きさに形成されており、アンテナ構造体2は、アンテナ外装ケース4の開口面とほぼ平行となる向きでアンテナ外装ケース4内に載置されている。
なお、アンテナ外装ケース4の内部にアンテナ構造体2を収容する際の収容方向、向き等は特に限定されず、電波腕時計1のデザイン等に応じて適宜変更可能である。例えばアンテナ外装ケース4の側面とほぼ平行となる向きでアンテナ構造体2がアンテナ外装ケース4内に収容されていてもよい。また、アンテナ構造体2はアンテナ外装ケース4の内側面に接触しないように配置されることが好ましい。
【0019】
本実施形態において、アンテナ外装ケース4内に収容されているアンテナ構造体2は、図2に示すように、2つの板状部材21(すなわち、第1の板状部材21A、第2の板状部材21B。なお、以下単に「板状部材21」としたときはこれら全ての板状部材21を含むものとする。)と、これら第1の板状部材21A又は第2の板状部材21Bのいずれかに形成されたコイル22とを備えている。
【0020】
第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bは、いずれも例えばアモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料により形成されており、図2に示すように、アンテナ構造体2の長手方向に延在する直状部211(すなわち、第1の板状部材21Aにおける第1の直状部211a、第2の板状部材21Bにおける第2の直状部211b。なお、以下単に「直状部211」としたときはこれら全ての直状部211を含むものとする。)とこの直状部211の両端から直状部211の延在方向と直交する一方側に張り出した一対の張出し部212(すなわち、第1の板状部材21Aにおける第1の張出し部212a、第2の板状部材21Bにおける第2の張出し212b。なお、以下単に「張出し212」としたときはこれら全ての張出し212を含むものとする。)とを備えている。本実施形態において、張出し部212における直状部211の中央部側端部は斜めに切り欠かれており、張出し部212は張出し方向の端部に行くほど幅が狭くなっている。これにより直状部211に導線を巻回して後述するコイル22を形成する際に張出し部212が巻回動作を妨げず、容易にコイル22を形成することができる。
なお、直状部211の長さ・幅・形状や張出し部212の形状・大きさ等はここに示したものに限定されない。
また、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bを形成する材料は、アモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイに限定されず、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bの形状に加工することが可能な磁性材料であれば他の材料も適用可能である。また、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bを形成する手法は特に限定されず、例えば、アモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金等の軟磁性金属箔帯を積層して薄い板状にしてもよいし、アモルファス合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料の粉体を固めることにより一体形成してもよいし、パーマロイ等を加工・成型することにより形成してもよい。
【0021】
コイル22は、第1の板状部材21Aにおける直状部211a及び第2の板状部材21Bにおける第2の直状部211bのうち少なくともいずれか一方に導線を所定回数巻回することにより形成されている。コイル22の巻線数は特に限定されず、アンテナ構造体2により受信する電波の周波数等に応じて適宜設定される。
コイル22には、図示しないコンデンサ等が接続されており、アンテナ構造体2にはコイル22及びコンデンサ等により共振回路が形成されている。
共振回路の共振周波数は、例えばコイル22の巻線数やコンデンサの容量を調整することにより、アンテナ構造体2の用途等に応じて適宜設定される。本実施形態では、アンテナ構造体2の共振周波数は、例えば日本における標準電波の送信周波数である40kHz又は60kHzに設定されている。
【0022】
図3は、コイル22が巻かれた板状部材21の平面図であり、図4は、図3に示す板状部材21を矢視IV方向から見た側面図であり、図5は、図3に示す板状部材21を矢視V方向から見た側面図であり、図6は、図3に示す板状部材21のVI-VIに沿う断面図である。
図3から図6に示すように、張出し部212は、コイル22の巻き幅よりも外側に張り出しており、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとを積層した際に、コイル22が他の板状部材21の直状部211等と干渉しないようになっている。
【0023】
本実施形態において、第2の板状部材21Bは、その張出し部212(第2の張出し部212b)が第1の板状部材21Aの張出し部212(第1の張出し部212a)と重なり合うように第1の板状部材21Aに積層され第1の板状部材21Aと磁気的に連結されている。
図7は、コイル22が巻回された第1の板状部材21Aに第2の板状部材21Bを積層した状態を示す平面図であり、図8は、図7に示す第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bを矢視VIII方向から見た側面図であり、図9は、図7に示す第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bを矢視IX方向から見た側面図であり、図10は、図7に示す第1の板状部材21A及び第2の板状部材21BのX-Xに沿う断面図である。
【0024】
図7から図10に示すように、本実施形態において、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bは、同じ形状に形成されており、第2の板状部材21Bは、張出し部212(第2の張出し部212b)の位置が第1の板状部材21Aの張出し部212(第1の張出し部212a)とは逆側になるように反転させた上で、第2の板状部材21Bの第2の張出し部212bが第1の板状部材21Aの第1の張出し部212aと重なり合うように第1の板状部材21Aに積層されている。
第1の板状部材21Aの第1の張出し部212aと第2の板状部材21Bの第2の張出し部212bとが重なり合う部分は、図示しない接着剤により接着固定されている。第1の板状部材21Aの第1の張出し部212aと第2の板状部材21Bの第2の張出し部212bとは、広い面積で重なり合っており、板状部材21間のギャップδ(図8参照)は無視できるほどに小さいため、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとは磁気的に連結され、第1の板状部材21A及びこれと積層方向に隣り合う第2の板状部材21Bによりループ状の磁路(図7において二点鎖線で示す)が形成される。
なお、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとを固定する接着剤は、磁性材料を含んだものでもよいし、磁性材料を含まない通常の接着剤でもよい。
【0025】
なお、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bによりループ状の磁路(図7参照)を形成し、外部から入る磁束及び共振回路によって発生した磁束が、いずれもアンテナ構造体2の外部のアンテナ外装ケース4等の金属部材に流れずにこのループ状の磁路を通るようにするためには、磁路を通る場合の磁気抵抗を外部の金属部材を通る場合の磁気抵抗よりも小さくする必要がある。そして磁路の磁気抵抗を小さくするためには、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとの重なり合う部分の面積s(図7参照)を大きくし、かつ両者のギャップδ(図8参照)を小さくすることが必要である。
【0026】
この点、例えば、磁性材料で形成されている第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bの透磁率をμ、空気(真空)透磁率をμ0とし、図7及び図8に示すように、直状部211の長さ寸法をa、直状部211の幅寸法をb、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bの板厚をt、第1の板状部材21Aの張出し部212と第2の板状部材21Bの張出し部212とのギャップ(隙間)をδ、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとが重なり合っている部分の面積をsとして、これらがそれぞれ、μ=1000、μ0=1、a=5mm、b=0.5mm、t=0.5mm、δ=0.005mm、s=10mm2 であると仮定し、μ>μ0 でありt>δ とすると、図7に示すアンテナ構造体に形成されるループ状の磁路における磁気抵抗Rmは、およそ下記の式で表すことができる。
Rm=(2a)/(μμ0bt)+(2δ/μ0s)[A/Wb]
ここで、
(2a)/(μμ0bt)=40[A/Wb] であり、
(2δ/μ0s)=10[A/Wb] であることから、
Rm=40+10 [A/Wb] となる。
【0027】
このように、磁路のうち、磁性体(すなわち、磁性材料で形成されている第1の板状部材21A及び第2の板状部材21B)が細くなっている部分(すなわち、直状部211)の磁気抵抗と比べ、磁性体(すなわち、磁性材料で形成されている第1の板状部材21A及び第2の板状部材21B)が広く重なっている部分(すなわち、張出し部212)の磁気抵抗が低くなっている。
なお、第1の板状部材21Aの張出し部212と第2の板状部材21Bの張出し部212とは一体ではなく、機構的には切れているが、磁気抵抗の小さい状態で繋がっていることになるため、磁束があまり磁性体(すなわち、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21B)の外部に広がらず、損失(ロス)等を生じにくいループ状の磁路が形成されると考えられる。
【0028】
ここで、図2を参照しつつ、本実施形態におけるアンテナ構造体2の磁束の流れについて説明する。
図2に示す破線は、本実施形態のアンテナ構造体2における磁束の流れを示したものである。
図2に示すように、アンテナ構造体2の外部から入った磁束は、そのほとんどが第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bの細くなっている部分(すなわち、直状部211)に流れ、第1の板状部材21Aの第1の直状部211aに設けられているコイル22に流れ込む。コイル22に磁束が流れ込むと、起電力を生じてそのエネルギーがコンデンサに蓄積される。そしてコンデンサからエネルギーが放出されることにより、コイル22を通って磁束が発生する。
ここで、前述のように、磁性体(すなわち、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21B)の透磁率μは空気(真空)の透磁率をμ0よりも大きいため、外部から一旦アンテナ構造体2の中に入った磁束は、磁性体の外部に漏れにくく、共振状態のときに、ループ状の磁路(図2及び図7参照)において磁束の振動を繰り返す。すなわち、コイル22を通って発生した磁束は、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bにより形成された磁路に沿って流れ、このループ状の磁路を周回する。
このため、アンテナ構造体2の近傍にアンテナ外装ケース4等の金属部材がある場合でも、金属部材側に漏れる磁束(図2において二点鎖線で示す)がほとんどなく、渦電流の発生による損失(ロス)等を生じにくい。これにより、アンテナ構造体2は良好な受信感度を保つことができ、高いQ値を示す。
【0029】
時計外装ケース6は、上下が開口した中空構造となっており、この中空部分が時計本体5を収容する収容空間となる。
時計外装ケース6の表面側(すなわち、ユーザが電波腕時計1を腕に装着した際の視認側)の開口部には、ガラス等で形成された風防部材52が装着されており、時計外装ケース6の裏面側(すなわち、ユーザが電波腕時計1を腕に装着した際に腕に接触する側)の開口部には、図示しない裏蓋部材が防水リング(図示せず)を介して取り付けられている。なお、裏蓋部材を形成する材料は特にされないが、外観上時計外装ケース6、アンテナ外装ケース4及び駒部材7と同じ例えばステンレスやチタン等の金属その他の材料で形成されていることが好ましい。
【0030】
時計外装ケース6の内部に収容されている時計本体5は、時刻表示等を行う表示装置51、電波腕時計の各種機能部を動作させる図示しない制御装置を構成する各種回路や電子部品等が実装された回路基板(図示せず)等を備えている。
表示装置51は、例えば液晶表示パネル等で構成された表示手段である。なお、表示装置51を構成する液晶表示パネルの構成や表示される内容等は特に限定されない。また表示装置51は液晶表示パネルで構成されているものに限定されず、例えば有機EL(Electro-Luminescence)等で構成されていてもよい。
本実施形態では、図1に示すように、表示装置51の表示画面に現在時刻と曜日とが表示される場合を例としているが、表示装置51により表示される内容はこれに限定されない。
制御装置は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータである。制御装置は、機能的に見た場合、表示装置51を駆動・制御するための表示制御部、後述するアンテナ構造体2により電波を受信するための電波受信部、アンテナ構造体2により受信された標準電波に基づいて現在時刻の修正等を行う時刻計時部等(いずれも図示せず)を備えている。なお、制御装置による表示制御や電波受信制御、時刻修正制御等は、一般的な電波受信機器において行われているものと同様であるため、その説明を省略する。
【0031】
本実施形態において、アンテナ外装ケース4に収容されているアンテナ構造体2は、時計外装ケース6に収容されている時計本体5の回路基板と電気的に接続されており、アンテナ構造体2により受信された電波は受信信号として時計本体5の制御装置に送られ、適宜この信号に基づく時刻修正等の処理が行われるようになっている。
【0032】
次に、図11(A)〜図11(C)を参照しつつ、本実施形態におけるアンテナ構造体2の製造方法及び作用について説明する。
図11(A)に示すように、まず、例えばアモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料により、直状部211(第1の直状部211a及び第2の直状部211b)とこの直状部211の両端から直状部211の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部212(第1の張出し部212a及び第2の張出し212b)とを備える複数の板状部材(すなわち、第1の板状部材21A、第2の板状部材21B)を形成する(板状部材形成工程)。本実施形態では、この板状部材形成工程において形成される複数の板状部材(すなわち、第1の板状部材21A、第2の板状部材21B)は、いずれも同じ形状となっている。
【0033】
次に、図11(B)に示すように、板状部材形成工程において形成された板状部材(すなわち、第1の板状部材21A、第2の板状部材21B)のうちの少なくとも1つの板状部材(例えば、第1の板状部材21A)の直状部211(第1の直状部211a)に導線を巻回してコイル22を形成する(コイル形成工程)。
【0034】
さらに、図11(C)に示すように、板状部材(すなわち、第1の板状部材21A、第2の板状部材21B)を張出し部212同士が互いに重なり合うように互い違いに積層して磁気的に連結させ、ループ状の磁路を形成する(板状部材積層工程)。すなわち、コイル22が形成された第1の板状部材21Aと、この第1の板状部材21Aとは張出し部212の張出し方向が逆になるように反転させた第2の板状部材21Bとを重ね合わせ、重なり合っている部分を接着固定する。これにより、アンテナ構造体2が完成する。
【0035】
完成したアンテナ構造体2をアンテナ外装ケース4に収容し、このアンテナ外装ケース4と時計本体5が収容された時計外装ケース6とを連結させて、アンテナ構造体2と時計本体5内の回路基板等を電気的に接続する。
さらに、このアンテナ外装ケース4及び時計外装ケース6に駒部材7を連結させることにより、本実施形態における電波受信機器であるブレスレッド型の電波腕時計1が完成する。
【0036】
標準電波に基づく時刻修正を行う際には、アンテナ構造体2により標準電波が受信される。このとき、図2に示すように、アンテナ構造体2の外部から入った磁束は、そのほとんどが第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bの細くなっている部分(すなわち、直状部211)に流れ、第1の板状部材21Aの第1の直状部211aに設けられているコイル22に流れ込む。コイル22に磁束が流れ込むと、起電力を生じてそのエネルギーがコンデンサに蓄積される。そしてコンデンサからエネルギーが放出され、コイル22を通って磁束が発生する。外部から一旦アンテナ構造体2の中に入った磁束は、磁性体(すなわち、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21B)の外部に漏れにくく、共振状態のときに、ループ状の磁路において磁束の振動を繰り返す。このため、アンテナ構造体2の近傍にアンテナ外装ケース4等の金属部材がある場合でも、金属部材側に漏れる磁束がほとんどなく、渦電流の発生による損失(ロス)の発生を防いで、アンテナ構造体2の受信感度は良好に維持される。
アンテナ構造体2により受信された標準電波に基づく受信信号は制御装置に送られ、制御装置において信号の増幅・解析等が行われて、時刻情報が読み出される。制御装置は、この時刻情報に基づいて現在時刻を修正し、修正された時刻を表示装置51の表示画面に表示させる。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、直状部211とこの直状部211の両端から直状部211の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部212とを備える第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bのうち、第1の板状部材21Aの第1の直状部211aに導線を巻回してコイル22を形成し、第2の板状部材21Bを、その第2の張出し212bが第1の板状部材21Aの第1の張出し部212aと重なり合うように第1の板状部材21Aに積層して、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとを磁気的に連結させることにより、第1の板状部材21A及びこれと積層方向に隣り合う第2の板状部材21Bによりループ状の磁路を形成している。
これにより、外部から第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bに入ってくる磁束、共振回路によって発生した磁束のいずれもが、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bにより形成されているループ状の磁路を通り、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bの外に漏れにくい構成となっている。このため、アンテナ構造体2の近傍に金属部材が配置されても金属部材の方に磁束が流れて損失となるのを防ぐことができ、良好な受信感度を実現することができる。これにより、小型のアンテナ構造体2によって十分な受信感度を得ることができる。また、アンテナ外装ケース4等の金属部材をアンテナ構造体2の極近傍まで近接させることができるため、アンテナ構造体2を備える電波腕時計1等の電波受信機器を小型することが可能となる。
また、板状部材21の直状部211にコイル22を形成してから、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとを重ね合わせて磁気的に連結させるため、コイル22を機械により自動的に巻回することができ、アンテナ構造体2を簡易かつ効率的に生産することができる。
また、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bは、同じ形状に形成されているため、板状部材21を同一の型等を用いて容易に大量生産することができ、簡易かつ効率的に低コストでアンテナ構造体2を生産することが可能となる。
また、本実施形態では、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6及び駒部材7を全て同じ大きさ・形状としているため、意匠に優れたブレスレッド型の腕時計を実現することができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
次に、図12から図16を参照しつつ、本発明に係るアンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、アンテナ構造体の構成のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0039】
図12は、本実施形態に係るアンテナ構造体8をアンテナ外装ケース4内に収容した状態を示す平面図である。また、図13は、アンテナ構造体8の平面図であり、図14は、図13に示すアンテナ構造体8を矢視XIV方向から見た側面図であり、図15は、図13に示すアンテナ構造体8を矢視XV方向から見た側面図であり、図16は、図13に示すアンテナ構造体8のXVI-XVIに沿う断面図である。
図12に示すように、本実施形態に係る電波受信機器は、第1の実施形態と同様、アンテナ構造体8とこれを収容する金属材料で形成されたアンテナ外装ケース4とを備える電波腕時計であり、アンテナ構造体8により受信される標準電波に基づいて現在時刻を修正し、表示装置に表示させるものである。
【0040】
図12から図16に示すように、本実施形態において、アンテナ構造体8は、ほぼ同一形状に形成された板状部材(すなわち、第1の板状部材81A及び第2の板状部材81B)を備えている。
第1の板状部材81A及び第2の板状部材81Bは、いずれも例えばアモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料により形成されており、アンテナ構造体8の長手方向に延在する直状部811(すなわち、第1の直状部811a及び第2の直状部811b)とこの直状部811の両端から直状部811の延在方向と直交する一方側に張り出した一対の張出し部812(すなわち、第1の張出し部812a及び第2の張出し部812b)とを備えている。
【0041】
本実施形態において、第1の板状部材81Aにおける第1の直状部811a及び第2の板状部材81Bにおける第2の直状部811bには、それぞれ導線を巻回することによりコイル82が形成されている。2つのコイル82は、巻線数又はコンデンサの容量を異ならせることにより、共振周波数の異なるものとなっている。共振周波数をそれぞれいくつに設定するかは特に限定されないが、例えば、第1の板状部材81Aの第1の直状部811aに形成されるコイル82の共振周波数を40kHz、第2の板状部材81Bの第2の直状部811bに形成されるコイル82の共振周波数を60kHzに設定することにより、1つのアンテナ構造体8により、日本における2種類の標準電波の送信周波数に対応させることができる。
【0042】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0043】
次に、本実施形態におけるアンテナ構造体8の製造方法及び作用について説明する。
まず、第1の実施形態と同様に、磁性材料により、直状部811とこの直状部811の両端から直状部811の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部812とを備える複数の板状部材(すなわち、第1の板状部材81A、第2の板状部材81B)を形成する(板状部材形成工程)。本実施形態では、この板状部材形成工程において形成される複数の板状部材(すなわち、第1の板状部材81A、第2の板状部材81B)は、いずれも同じ形状となっている。
次に、板状部材形成工程において形成された板状部材81(すなわち、第1の板状部材81A、第2の板状部材81B)の直状部811(すなわち、第1の直状部811a及び第2の直状部811b)にそれぞれ導線を巻回してコイル82を形成する(コイル形成工程)。このとき、各コイル82が、40kHzと60kHz等、異なる送信周波数の電波を受信できるように、コイル82の巻線数又はコイル82に接続されるコンデンサの容量を変える等によりそれぞれの共振周波数を調整する。
さらに、板状部材81(すなわち、第1の板状部材81A、第2の板状部材81B)を張出し部812(第1の張出し部812a及び第2の張出し部812b)同士が互いに重なり合うように互い違いに積層して磁気的に連結させ、ループ状の磁路を形成する(板状部材積層工程)。すなわち、第1の板状部材81Aとこの第1の板状部材81Aとは張出し部812の張出し方向が逆になるように反転させた第2の板状部材81Bとを重ね合わせ、重なり合っている部分を接着固定する。これにより、2つのコイル82を備えたアンテナ構造体8が完成する。
【0044】
完成したアンテナ構造体8をアンテナ外装ケース4に収容し、このアンテナ外装ケース4と時計本体が収容された時計外装ケースとを連結させて、アンテナ構造体8と時計本体内の回路基板等を電気的に接続する。
さらに、このアンテナ外装ケース4及び時計外装ケースに駒部材を連結させることにより、本実施形態における電波受信機器であるブレスレッド型の電波腕時計が完成する。
【0045】
標準電波に基づく時刻修正を行う際には、アンテナ構造体8の各コイル82により周波数の異なる2つの標準電波(例えば40kHzと60kHzの標準電波)が受信される。このとき、図12に示すように、アンテナ構造体8の外部から入った磁束は、そのほとんどが第1の板状部材81A及び第2の板状部材81Bの細くなっている部分(すなわち、第1の直状部811a及び第2の直状部811b)に流れ、第1の板状部材81Aの第1の直状部811aに設けられているコイル82及び第2の板状部材81Bの第2の直状部811bに設けられているコイル82に流れ込む。コイル82に磁束が流れ込むと、起電力を生じてそのエネルギーがコンデンサに蓄積される。そしてコンデンサからエネルギーが放出され、コイル82を通って磁束が発生する。外部から一旦アンテナ構造体8の中に入った磁束は、磁性体(すなわち、第1の板状部材81A及び第2の板状部材81B)の外部に漏れにくく、共振状態のときに、ループ状の磁路において磁束の振動を繰り返す。このため、アンテナ構造体8の近傍にアンテナ外装ケース4等の金属部材がある場合でも、金属部材側に漏れる磁束がほとんどなく、渦電流の発生による損失(ロス)の発生を防いで、アンテナ構造体8の受信感度は良好に維持される。
アンテナ構造体8により受信された標準電波に基づく受信信号は制御装置に送られ、制御装置において信号の増幅・解析等が行われて、時刻情報が読み出される。制御装置は、この時刻情報に基づいて現在時刻を修正し、修正された時刻を表示装置の表示画面に表示させる。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、コイル82が、第1の板状部材81Aの第1の直状部811a及び第2の板状部材81Bの第2の直状部811bにそれぞれ形成されており、各コイル82が異なる共振周波数となるように設定されているため、周波数の異なる2つの電波(例えば40kHzと60kHz)を受信することが可能となっている。
このため、1つのアンテナ構造体8によって複数の電波に対応することができ、多機能の電波腕時計を小型・軽量で実現することができる。
【0047】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0048】
例えば、第2の実施形態では、2つのコイル82がそれぞれ異なる周波数の電波を受信できるように、共振周波数を異にするように調整する場合を例としたが、2つのコイル82の共振周波数は同じであってもよい。この場合、コイル82の巻線の向き等を調整することにより、コイル82の巻線数を多くしたのと同様の効果を期待でき、アンテナ構造体8の受信感度を向上させることができる。
【0049】
また、第2の実施形態では、アンテナ構造体8が板状部材81を2つ(すなわち、第1の板状部材81A及び第2の板状部材81B)備える場合を例としたが、板状部材81の数は2つに限定されない。
例えば、図17から図19に示すように、板状部材81を互い違いに3つ積層してアンテナ構造体9を構成してもよい。
本実施形態のように、2つの板状部材81(第1の板状部材81A及び第2の板状部材81B)の直状部811(すなわち、第1の直状部811a及び第2の直状部811b)にコイル82を形成した場合には、アンテナ構造体8をアンテナ外装ケース4内に収容した際、コイル82の厚み分だけ載置面が平坦とならないため、アンテナ構造体8がアンテナ外装ケース4内でがたつくおそれがある。
この点、図17から図19に示すように、第2の板状部材81Bの下にコイル82が形成されていない板状部材81(図17から図19において第1の板状部材81A)をさらにもう1つ積層することにより、アンテナ構造体9をアンテナ外装ケース4内に収容した際に載置面が平坦となり、アンテナ構造体9をアンテナ外装ケース4内で安定させることができる。また、このように板状部材81を重ねることにより、板状部材81同士の密着性を高めることも期待でき、板状部材81の接着部分である張出し部812におけるギャップを小さくして、より磁気抵抗の少ないループ状の磁路を形成することができる。
【0050】
また、第2の実施形態では、アンテナ構造体8が板状部材81を2つ(すなわち、第1の板状部材81A及び第2の板状部材81B)備え、それぞれの直状部811(すなわち、第1の直状部811a及び第2の直状部811b)にコイル82が形成されている場合を例としたが、板状部材81を3つ以上備える場合には、コイル82もこれら全ての板状部材81の直状部811に形成されていてもよい。この場合、これら全てのコイル82がそれぞれ異なる周波数の電波に対応するようにしてもよいし、これらのコイルのうち一部又は全部が同じ周波数の電波を受信するように構成してもよい。
【0051】
また、例えば、上記各実施形態では、アンテナ外装ケース4とアンテナ構造体との間に僅かな隙間しかない小さい寸法のアンテナ外装ケース4の内部にアンテナ構造体を収容する場合を例としたが、アンテナ外装ケース4の大きさや形状等は、ここに例示したものに限定されない。例えばアンテナ外装ケース4の内側面とアンテナ構造体との間に大きく空間が確保できる程度にアンテナ外装ケース4が大きく構成されていてもよい。この場合には、アンテナ構造体においてコイルが設けられている側により広い空間が確保されるような向きで、アンテナ構造体をアンテナ外装ケース4内に配置することが好ましい。
【0052】
また、各実施形態では、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7が四角形状に形成されている場合を例としたが、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7の形状はこれに限定されず、例えば円形状や多角形状等でもよい。
【0053】
また、各実施形態では、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7が全てほぼ同じ形状、同じ大きさである場合を例としたが、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7の形状や大きさはそれぞれ異なっていてもよい。例えば時計外装ケース6のみがアンテナ外装ケース4や駒部材7よりも大きく形成されていてもよい。
【0054】
また、各実施形態では、第1の板状部材及び第2の板状部材が同じ形状に形成されている場合を示したが、第1の板状部材及び第2の板状部材は同じ形状である場合に限定されない。第1の板状部材及び第2の板状部材の形状は、アンテナ構造体が収容されるアンテナ外装ケース4の形状に合わせて適宜変更することが可能である。
【0055】
また、各実施形態では、アンテナ構造体を収容するアンテナ外装ケース4と時計本体5を収容する時計外装ケース6とを別個に設けて、アンテナ構造体と時計本体5とをそれぞれ異なる外装ケース内に収容する場合について説明したが、アンテナ構造体と時計本体5とを1つの外装ケース内に収容する構成としてもよい。こ場合には、例えばアンテナ構造体を時計本体5の回路基板上等に配置することにより、アンテナ構造体と回路基板との電気的接続を簡易に行うことができる。
【0056】
また、各実施形態では、各板状部材間のギャップは無視できるほどに小さいため、各板状部材間のギャップを調整する手段を特に示さなかったが、例えばインダクタンスを自動的に調整する調整回路等を設けてもよい。この場合には、各板状部材間のギャップのばらつきによるインダクタンスの違いをより高精度に調整することができる。
【0057】
また、各実施形態では、アンテナ構造体を適用する電波受信機器がブレスレッド型に構成された電波時計である場合を例としたが、電波時計の形状はブレスレッド型に限定されず、例えばペンダント型に構成された電波時計でもよい。
また、各実施形態では、アンテナ構造体を適用する電波受信機器が電波腕時計である場合を例として示したが、アンテナ構造体を適用可能な電波受信機器はこれに限られるものではなく、アンテナ構造体により電波を受信する構成のものであれば如何なるものであってもよい。例えば、固定式の電波時計や、小型ラジオ、携帯端末等にアンテナ構造体を適用してもよい。
【0058】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
磁性材料により形成され、第1の直状部とこの第1の直状部の両端から前記第1の直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した第1の張出し部とを備える第1の板状部材と、
磁性材料により形成され、第2の直状部とこの第2の直状部の両端から前記第2の直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した第2の張出し部とを備え、この第2の張出し部が前記第1の板状部材の前記第1の張出し部と重なり合うように前記第1の板状部材に積層され前記第1の板状部材と磁気的に連結される第2の板状部材と、
前記第1の直状部及び前記第2の直状部のうちの少なくとも一方に導線を巻回して形成されたコイルとを備え、
前記第1の板状部材及びこれと積層方向に隣り合う前記第2の板状部材によりループ状の磁路が形成されていることを特徴とするアンテナ構造体。
<請求項2>
前記コイルは、前記第1の直状部及び前記第2の直状部にそれぞれ形成されており、
周波数の異なる2以上の電波を受信可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ構造体。
<請求項3>
前記第1の板状部材及び前記第2の板状部材は、同じ形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ構造体。
<請求項4>
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンテナ構造体と、
金属材料により形成され、前記アンテナ構造体を収容する外装ケースと、
を備えていることを特徴とする電波受信機器。
<請求項5>
直状部とこの直状部の両端から前記直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部とを備える板状部材を磁性材料により複数形成する板状部材形成工程と、
この板状部材形成工程において形成された前記複数の板状部材のうちの少なくとも1つの板状部材の前記直状部に導線を巻回してコイルを形成するコイル形成工程と、
前記板状部材を前記張出し部同士が互いに重なり合うように互い違いに積層して磁気的に連結させ、ループ状の磁路を形成する板状部材積層工程と、
を含んでいることを特徴とするアンテナ構造体の製造方法。
<請求項6>
前記コイル形成工程において、前記コイルは互い違いに積層された少なくとも2つの前記板状部材の前記直状部にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構造体の製造方法。
<請求項7>
前記板状部材形成工程において、前記板状部材はいずれも同じ形状に形成されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアンテナ構造体の製造方法。
【符号の説明】
【0059】
1 電波腕時計(電波受信機器)
2 アンテナ構造体
4 アンテナ外装ケース
5 時計本体
6 時計外装ケース
7 駒部材
8 アンテナ構造体
9 アンテナ構造体
21A 第1の板状部材
21B 第2の板状部材
22 コイル
211a 第1の直状部
211b 第2の直状部
212a 第1の張出し部
212b 第2の張出し部
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、時刻情報を含む標準電波を受信するアンテナを備え、受信された時刻情報に基づいて自動的に現在時刻を修正する電波時計等の電波受信機器が知られている。そして、例えば電波時計において標準電波を受信するアンテナとしては、受信感度のよい磁性材料であるアモルファス金属やフェライト等からなるコアにコイルが巻回されてなるアンテナ構造体を備えるものが多く用いられている。
【0003】
腕時計型の電波時計等の電波受信機器の場合、高級感を演出したり、デザイン性や耐久性を向上させる等の観点からアンテナ構造体を収容するケースや、当該ケースの蓋部材等に金属製の部材が使用されることがある。このように電波受信機器に金属部材が用いられている場合に、これらの金属部材に近接してアンテナ構造体が配置されると、いわゆる渦電流の発生による損失が生じ、これに起因してアンテナ構造体による標準電波の受信感度が劣化してしまう。
しかし、特に女性用の腕時計型の電波時計等の場合、できるだけ装置を小型化・薄型化するために小型のアンテナを小型のケース内に収容すべき要請もある。このような場合には、金属部材とアンテナ構造体とを離して配置しようとするとデザイン上の制約が大きくなってしまうため、金属部材とアンテナ構造体との間に十分な距離を確保することが困難であるとの問題がある。
【0004】
この点、金属部材とアンテナ構造体との間に十分な距離を確保できない場合でも受信感度の劣化を抑えるための構成として、リング状に形成した磁芯(コア)にコイルを巻き付け、磁芯に沿って形成される磁路が閉鎖状のループを形成するように構成するとともに、この閉鎖状ループを構成しているアンテナ構造体の磁路の一部にエアギャップを設けて、このエアギャップの部分が他の部分の磁気抵抗と異なる磁気抵抗となるように構成したアンテナ構造体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このように磁芯をリング状に構成した場合には、磁束が外部に漏れにくくなるため、アンテナ構造体の近傍に金属部材が配置されても渦電流の発生による損失に起因するアンテナ構造の受信感度の劣化を抑えることが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3512782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、アンテナ構造体を製造する場合には、例えば機械により自動的に磁芯(コア)に対して導線を1000回(ターン)等、数100ターン以上所定回数巻回することによりコイルを形成するところ、特許文献1に記載されている技術のように、磁芯(コア)がリング状に形成されている場合には、実際には機械的に磁芯に細い導線を数100ターン以上巻回することは極めて困難であり、アンテナ構造体を簡易かつ効率的に生産することが難しいとの問題がある。
また、アンテナ構造体の磁路の一部にエアギャップを設けた場合には、このギャップによるロスを生じる可能性がある上、ギャップのばらつきによるインダクタンスの差異を生じないように、ギャップを調整する必要が生じるとの問題もある。
【0007】
そこで、本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、簡易かつ効率的に生産可能であり、近傍に金属部材が配置されても良好な受信感度を実現することのできるアンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のアンテナ構造体は、
磁性材料により形成され、第1の直状部とこの第1の直状部の両端から前記第1の直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した第1の張出し部とを備える第1の板状部材と、
磁性材料により形成され、第2の直状部とこの第2の直状部の両端から前記第2の直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した第2の張出し部とを備え、この第2の張出し部が前記第1の板状部材の前記第1の張出し部と重なり合うように前記第1の板状部材に積層され前記第1の板状部材と磁気的に連結される第2の板状部材と、
前記第1の直状部及び前記第2の直状部のうちの少なくとも一方に導線を巻回して形成されたコイルとを備え、
前記第1の板状部材及びこれと積層方向に隣り合う前記第2の板状部材によりループ状の磁路が形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の電波受信機器は、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンテナ構造体と、
金属材料により形成され、前記アンテナ構造体を収容する外装ケースと、
を備えていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明のアンテナ構造体の製造方法は、
直状部とこの直状部の両端から前記直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部とを備える板状部材を磁性材料により複数形成する板状部材形成工程と、
この板状部材形成工程において形成された前記複数の板状部材のうちの少なくとも1つの板状部材の前記直状部に導線を巻回してコイルを形成するコイル形成工程と、
前記板状部材を前記張出し部同士が互いに重なり合うように互い違いに積層して磁気的に連結させ、ループ状の磁路を形成する板状部材積層工程と、
を含んでいることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、直状部(第1の直状部、第2の直状部)とこの直状部の両端から直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部(第1の張出し部、第2の張出し部)とを備える第1の板状部材及び第2の板状部材のうち、いずれかの直状部に導線を巻回してコイルを形成し、第2の板状部材を、その張出し部が第1の板状部材の張出し部と重なり合うように第1の板状部材に積層して、第1の板状部材と第2の板状部材とを磁気的に連結させて、第1の板状部材及びこれと積層方向に隣り合う第2の板状部材によりループ状の磁路が形成されるように構成している。
これにより、外部から第1の板状部材及び第2の板状部材に入ってくる磁束、共振回路によって発生した磁束のいずれもが、第1の板状部材及び第2の板状部材により形成されているループ状の磁路を通る。このため、アンテナ構造体の近傍に金属部材が配置されても金属部材の方に磁束が流れて損失となるのを防ぐことができ、良好な受信感度を実現することができる。
また、第1の板状部材及び第2の板状部材のいずれかの直状部にコイルを形成してから、第1の板状部材と第2の板状部材とを重ね合わせて磁気的に連結させるため、コイルを機械により自動的に巻回することができ、アンテナ構造体を簡易かつ効率的に生産することが可能となるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電波受信機器の一例である電波腕時計の概略構成を示す正面図である。
【図2】第1の実施形態におけるアンテナ構造体をアンテナ用ケースに組み込んだ状態を示す平面図である。
【図3】図2のアンテナ構造体を構成する板状部材にコイルが巻回された状態を示す平面図である。
【図4】図3における矢視IVから見た板状部材の正面図である。
【図5】図3における矢視Vから見た板状部材の側面図である。
【図6】図3における板状部材のVI-VI線に沿う断面図である。
【図7】図2のアンテナ構造体の平面図である。
【図8】図7における矢視VIIIから見たアンテナ構造体の正面図である。
【図9】図7における矢視IXから見たアンテナ構造体の側面図である。
【図10】図7におけるアンテナ構造体のX-X線に沿う断面図である。
【図11】図2に示すアンテナ構造体の製造工程を示す図であり、(A)は、板状部材形成工程を示し、(B)は、コイル形成工程を示し、(C)は板状部材積層工程を示している。
【図12】第2の実施形態におけるアンテナ構造体をアンテナ用ケースに組み込んだ状態を示す平面図である。
【図13】図12のアンテナ構造体の平面図である。
【図14】図13における矢視XIVから見たアンテナ構造体の正面図である。
【図15】図13における矢視XIVから見たアンテナ構造体の側面図である。
【図16】図13におけるアンテナ構造体のXVI- XVI線に沿う断面図である。
【図17】第2の実施形態におけるアンテナ構造体の一変形例の正面図である。
【図18】図17における矢視XVIIIから見たアンテナ構造体の側面図である。
【図19】図17におけるアンテナ構造体のXIX- XIX線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
図1から図11を参照しつつ、本発明に係るアンテナ構造体及びこれを備える電波受信機器の第1の実施形態を説明する。なお、本実施形態では、電波受信機器としての電波腕時計にアンテナ構造体を搭載する場合を例として説明する。なお、本発明の範囲は図示例に限定されない。
【0014】
図1は、本実施形態における電波腕時計(電波受信機器)を示す正面図である。
図1に示すように、電波腕時計1は、アンテナ構造体2及びこのアンテナ構造体2が収容されたアンテナ外装ケース4を備えている。
また、本実施形態において、電波腕時計1は、時刻等の表示を行う表示装置51、アンテナ構造体2が電波を受信するための受信回路部等を含む電子部品等(図示せず)が搭載された時計本体5、この時計本体5が収容された時計外装ケース6及びこれらと連結されて電波腕時計1の時計バンドを構成する複数の駒部材7を備えている。
【0015】
本実施形態において、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7は、例えばステンレスやチタン等の金属材料その他の導電性部材により、ほぼ同じ大きさの直方体形状に形成されている。
なお、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7は、全てが同じ材料で形成されている必要はなく、例えば時計外装ケース6のみが金やプラチナ、又はこれらの組み合わせ等で形成される等、一部の部材が異なる材料で形成されていてもよい。
また、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6及び駒部材7は、いずれもほぼ同じ形状、大きさに形成されている場合に限定されず、それぞれ異なる形状、大きさであってもよい。
【0016】
アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7の裏面側には、それぞれ図示しない連結部が設けられており、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7が相互に連結されて鎖状となるようになっている。
なお、アンテナ構造体2が収容されたアンテナ外装ケース4は、時計本体5が収容された時計外装ケース6に隣接又は近接して配置されることが好ましいが、その配置は特に限定されない。
【0017】
アンテナ外装ケース4は、例えば裏面側(すなわち、ユーザが電波腕時計1を腕に装着した際に腕に接触する側)等の1つの面に開口部41が設けられた中空構造となっており、この中空部分がアンテナ構造体2を収容する収容空間となる。
開口部41には、図示しない蓋部材が防水リング(図示せず)を介して取り付けられている。なお、蓋部材を形成する材料は特に限定されないが、樹脂等、電波を透過させる材料で形成されていることが好ましい。
【0018】
図2は、アンテナ外装ケース4の内部にアンテナ構造体2が収容されている状態を示した図である。なお、図2ではアンテナ外装ケース4から蓋部材を外した状態を図示している。
本実施形態では、アンテナ外装ケース4は、図2に示すように、アンテナ外装ケース4の内側面とアンテナ構造体2との間に1mm程度の隙間しかない程度の大きさに形成されており、アンテナ構造体2は、アンテナ外装ケース4の開口面とほぼ平行となる向きでアンテナ外装ケース4内に載置されている。
なお、アンテナ外装ケース4の内部にアンテナ構造体2を収容する際の収容方向、向き等は特に限定されず、電波腕時計1のデザイン等に応じて適宜変更可能である。例えばアンテナ外装ケース4の側面とほぼ平行となる向きでアンテナ構造体2がアンテナ外装ケース4内に収容されていてもよい。また、アンテナ構造体2はアンテナ外装ケース4の内側面に接触しないように配置されることが好ましい。
【0019】
本実施形態において、アンテナ外装ケース4内に収容されているアンテナ構造体2は、図2に示すように、2つの板状部材21(すなわち、第1の板状部材21A、第2の板状部材21B。なお、以下単に「板状部材21」としたときはこれら全ての板状部材21を含むものとする。)と、これら第1の板状部材21A又は第2の板状部材21Bのいずれかに形成されたコイル22とを備えている。
【0020】
第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bは、いずれも例えばアモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料により形成されており、図2に示すように、アンテナ構造体2の長手方向に延在する直状部211(すなわち、第1の板状部材21Aにおける第1の直状部211a、第2の板状部材21Bにおける第2の直状部211b。なお、以下単に「直状部211」としたときはこれら全ての直状部211を含むものとする。)とこの直状部211の両端から直状部211の延在方向と直交する一方側に張り出した一対の張出し部212(すなわち、第1の板状部材21Aにおける第1の張出し部212a、第2の板状部材21Bにおける第2の張出し212b。なお、以下単に「張出し212」としたときはこれら全ての張出し212を含むものとする。)とを備えている。本実施形態において、張出し部212における直状部211の中央部側端部は斜めに切り欠かれており、張出し部212は張出し方向の端部に行くほど幅が狭くなっている。これにより直状部211に導線を巻回して後述するコイル22を形成する際に張出し部212が巻回動作を妨げず、容易にコイル22を形成することができる。
なお、直状部211の長さ・幅・形状や張出し部212の形状・大きさ等はここに示したものに限定されない。
また、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bを形成する材料は、アモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイに限定されず、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bの形状に加工することが可能な磁性材料であれば他の材料も適用可能である。また、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bを形成する手法は特に限定されず、例えば、アモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金等の軟磁性金属箔帯を積層して薄い板状にしてもよいし、アモルファス合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料の粉体を固めることにより一体形成してもよいし、パーマロイ等を加工・成型することにより形成してもよい。
【0021】
コイル22は、第1の板状部材21Aにおける直状部211a及び第2の板状部材21Bにおける第2の直状部211bのうち少なくともいずれか一方に導線を所定回数巻回することにより形成されている。コイル22の巻線数は特に限定されず、アンテナ構造体2により受信する電波の周波数等に応じて適宜設定される。
コイル22には、図示しないコンデンサ等が接続されており、アンテナ構造体2にはコイル22及びコンデンサ等により共振回路が形成されている。
共振回路の共振周波数は、例えばコイル22の巻線数やコンデンサの容量を調整することにより、アンテナ構造体2の用途等に応じて適宜設定される。本実施形態では、アンテナ構造体2の共振周波数は、例えば日本における標準電波の送信周波数である40kHz又は60kHzに設定されている。
【0022】
図3は、コイル22が巻かれた板状部材21の平面図であり、図4は、図3に示す板状部材21を矢視IV方向から見た側面図であり、図5は、図3に示す板状部材21を矢視V方向から見た側面図であり、図6は、図3に示す板状部材21のVI-VIに沿う断面図である。
図3から図6に示すように、張出し部212は、コイル22の巻き幅よりも外側に張り出しており、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとを積層した際に、コイル22が他の板状部材21の直状部211等と干渉しないようになっている。
【0023】
本実施形態において、第2の板状部材21Bは、その張出し部212(第2の張出し部212b)が第1の板状部材21Aの張出し部212(第1の張出し部212a)と重なり合うように第1の板状部材21Aに積層され第1の板状部材21Aと磁気的に連結されている。
図7は、コイル22が巻回された第1の板状部材21Aに第2の板状部材21Bを積層した状態を示す平面図であり、図8は、図7に示す第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bを矢視VIII方向から見た側面図であり、図9は、図7に示す第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bを矢視IX方向から見た側面図であり、図10は、図7に示す第1の板状部材21A及び第2の板状部材21BのX-Xに沿う断面図である。
【0024】
図7から図10に示すように、本実施形態において、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bは、同じ形状に形成されており、第2の板状部材21Bは、張出し部212(第2の張出し部212b)の位置が第1の板状部材21Aの張出し部212(第1の張出し部212a)とは逆側になるように反転させた上で、第2の板状部材21Bの第2の張出し部212bが第1の板状部材21Aの第1の張出し部212aと重なり合うように第1の板状部材21Aに積層されている。
第1の板状部材21Aの第1の張出し部212aと第2の板状部材21Bの第2の張出し部212bとが重なり合う部分は、図示しない接着剤により接着固定されている。第1の板状部材21Aの第1の張出し部212aと第2の板状部材21Bの第2の張出し部212bとは、広い面積で重なり合っており、板状部材21間のギャップδ(図8参照)は無視できるほどに小さいため、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとは磁気的に連結され、第1の板状部材21A及びこれと積層方向に隣り合う第2の板状部材21Bによりループ状の磁路(図7において二点鎖線で示す)が形成される。
なお、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとを固定する接着剤は、磁性材料を含んだものでもよいし、磁性材料を含まない通常の接着剤でもよい。
【0025】
なお、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bによりループ状の磁路(図7参照)を形成し、外部から入る磁束及び共振回路によって発生した磁束が、いずれもアンテナ構造体2の外部のアンテナ外装ケース4等の金属部材に流れずにこのループ状の磁路を通るようにするためには、磁路を通る場合の磁気抵抗を外部の金属部材を通る場合の磁気抵抗よりも小さくする必要がある。そして磁路の磁気抵抗を小さくするためには、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとの重なり合う部分の面積s(図7参照)を大きくし、かつ両者のギャップδ(図8参照)を小さくすることが必要である。
【0026】
この点、例えば、磁性材料で形成されている第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bの透磁率をμ、空気(真空)透磁率をμ0とし、図7及び図8に示すように、直状部211の長さ寸法をa、直状部211の幅寸法をb、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bの板厚をt、第1の板状部材21Aの張出し部212と第2の板状部材21Bの張出し部212とのギャップ(隙間)をδ、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとが重なり合っている部分の面積をsとして、これらがそれぞれ、μ=1000、μ0=1、a=5mm、b=0.5mm、t=0.5mm、δ=0.005mm、s=10mm2 であると仮定し、μ>μ0 でありt>δ とすると、図7に示すアンテナ構造体に形成されるループ状の磁路における磁気抵抗Rmは、およそ下記の式で表すことができる。
Rm=(2a)/(μμ0bt)+(2δ/μ0s)[A/Wb]
ここで、
(2a)/(μμ0bt)=40[A/Wb] であり、
(2δ/μ0s)=10[A/Wb] であることから、
Rm=40+10 [A/Wb] となる。
【0027】
このように、磁路のうち、磁性体(すなわち、磁性材料で形成されている第1の板状部材21A及び第2の板状部材21B)が細くなっている部分(すなわち、直状部211)の磁気抵抗と比べ、磁性体(すなわち、磁性材料で形成されている第1の板状部材21A及び第2の板状部材21B)が広く重なっている部分(すなわち、張出し部212)の磁気抵抗が低くなっている。
なお、第1の板状部材21Aの張出し部212と第2の板状部材21Bの張出し部212とは一体ではなく、機構的には切れているが、磁気抵抗の小さい状態で繋がっていることになるため、磁束があまり磁性体(すなわち、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21B)の外部に広がらず、損失(ロス)等を生じにくいループ状の磁路が形成されると考えられる。
【0028】
ここで、図2を参照しつつ、本実施形態におけるアンテナ構造体2の磁束の流れについて説明する。
図2に示す破線は、本実施形態のアンテナ構造体2における磁束の流れを示したものである。
図2に示すように、アンテナ構造体2の外部から入った磁束は、そのほとんどが第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bの細くなっている部分(すなわち、直状部211)に流れ、第1の板状部材21Aの第1の直状部211aに設けられているコイル22に流れ込む。コイル22に磁束が流れ込むと、起電力を生じてそのエネルギーがコンデンサに蓄積される。そしてコンデンサからエネルギーが放出されることにより、コイル22を通って磁束が発生する。
ここで、前述のように、磁性体(すなわち、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21B)の透磁率μは空気(真空)の透磁率をμ0よりも大きいため、外部から一旦アンテナ構造体2の中に入った磁束は、磁性体の外部に漏れにくく、共振状態のときに、ループ状の磁路(図2及び図7参照)において磁束の振動を繰り返す。すなわち、コイル22を通って発生した磁束は、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bにより形成された磁路に沿って流れ、このループ状の磁路を周回する。
このため、アンテナ構造体2の近傍にアンテナ外装ケース4等の金属部材がある場合でも、金属部材側に漏れる磁束(図2において二点鎖線で示す)がほとんどなく、渦電流の発生による損失(ロス)等を生じにくい。これにより、アンテナ構造体2は良好な受信感度を保つことができ、高いQ値を示す。
【0029】
時計外装ケース6は、上下が開口した中空構造となっており、この中空部分が時計本体5を収容する収容空間となる。
時計外装ケース6の表面側(すなわち、ユーザが電波腕時計1を腕に装着した際の視認側)の開口部には、ガラス等で形成された風防部材52が装着されており、時計外装ケース6の裏面側(すなわち、ユーザが電波腕時計1を腕に装着した際に腕に接触する側)の開口部には、図示しない裏蓋部材が防水リング(図示せず)を介して取り付けられている。なお、裏蓋部材を形成する材料は特にされないが、外観上時計外装ケース6、アンテナ外装ケース4及び駒部材7と同じ例えばステンレスやチタン等の金属その他の材料で形成されていることが好ましい。
【0030】
時計外装ケース6の内部に収容されている時計本体5は、時刻表示等を行う表示装置51、電波腕時計の各種機能部を動作させる図示しない制御装置を構成する各種回路や電子部品等が実装された回路基板(図示せず)等を備えている。
表示装置51は、例えば液晶表示パネル等で構成された表示手段である。なお、表示装置51を構成する液晶表示パネルの構成や表示される内容等は特に限定されない。また表示装置51は液晶表示パネルで構成されているものに限定されず、例えば有機EL(Electro-Luminescence)等で構成されていてもよい。
本実施形態では、図1に示すように、表示装置51の表示画面に現在時刻と曜日とが表示される場合を例としているが、表示装置51により表示される内容はこれに限定されない。
制御装置は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータである。制御装置は、機能的に見た場合、表示装置51を駆動・制御するための表示制御部、後述するアンテナ構造体2により電波を受信するための電波受信部、アンテナ構造体2により受信された標準電波に基づいて現在時刻の修正等を行う時刻計時部等(いずれも図示せず)を備えている。なお、制御装置による表示制御や電波受信制御、時刻修正制御等は、一般的な電波受信機器において行われているものと同様であるため、その説明を省略する。
【0031】
本実施形態において、アンテナ外装ケース4に収容されているアンテナ構造体2は、時計外装ケース6に収容されている時計本体5の回路基板と電気的に接続されており、アンテナ構造体2により受信された電波は受信信号として時計本体5の制御装置に送られ、適宜この信号に基づく時刻修正等の処理が行われるようになっている。
【0032】
次に、図11(A)〜図11(C)を参照しつつ、本実施形態におけるアンテナ構造体2の製造方法及び作用について説明する。
図11(A)に示すように、まず、例えばアモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料により、直状部211(第1の直状部211a及び第2の直状部211b)とこの直状部211の両端から直状部211の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部212(第1の張出し部212a及び第2の張出し212b)とを備える複数の板状部材(すなわち、第1の板状部材21A、第2の板状部材21B)を形成する(板状部材形成工程)。本実施形態では、この板状部材形成工程において形成される複数の板状部材(すなわち、第1の板状部材21A、第2の板状部材21B)は、いずれも同じ形状となっている。
【0033】
次に、図11(B)に示すように、板状部材形成工程において形成された板状部材(すなわち、第1の板状部材21A、第2の板状部材21B)のうちの少なくとも1つの板状部材(例えば、第1の板状部材21A)の直状部211(第1の直状部211a)に導線を巻回してコイル22を形成する(コイル形成工程)。
【0034】
さらに、図11(C)に示すように、板状部材(すなわち、第1の板状部材21A、第2の板状部材21B)を張出し部212同士が互いに重なり合うように互い違いに積層して磁気的に連結させ、ループ状の磁路を形成する(板状部材積層工程)。すなわち、コイル22が形成された第1の板状部材21Aと、この第1の板状部材21Aとは張出し部212の張出し方向が逆になるように反転させた第2の板状部材21Bとを重ね合わせ、重なり合っている部分を接着固定する。これにより、アンテナ構造体2が完成する。
【0035】
完成したアンテナ構造体2をアンテナ外装ケース4に収容し、このアンテナ外装ケース4と時計本体5が収容された時計外装ケース6とを連結させて、アンテナ構造体2と時計本体5内の回路基板等を電気的に接続する。
さらに、このアンテナ外装ケース4及び時計外装ケース6に駒部材7を連結させることにより、本実施形態における電波受信機器であるブレスレッド型の電波腕時計1が完成する。
【0036】
標準電波に基づく時刻修正を行う際には、アンテナ構造体2により標準電波が受信される。このとき、図2に示すように、アンテナ構造体2の外部から入った磁束は、そのほとんどが第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bの細くなっている部分(すなわち、直状部211)に流れ、第1の板状部材21Aの第1の直状部211aに設けられているコイル22に流れ込む。コイル22に磁束が流れ込むと、起電力を生じてそのエネルギーがコンデンサに蓄積される。そしてコンデンサからエネルギーが放出され、コイル22を通って磁束が発生する。外部から一旦アンテナ構造体2の中に入った磁束は、磁性体(すなわち、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21B)の外部に漏れにくく、共振状態のときに、ループ状の磁路において磁束の振動を繰り返す。このため、アンテナ構造体2の近傍にアンテナ外装ケース4等の金属部材がある場合でも、金属部材側に漏れる磁束がほとんどなく、渦電流の発生による損失(ロス)の発生を防いで、アンテナ構造体2の受信感度は良好に維持される。
アンテナ構造体2により受信された標準電波に基づく受信信号は制御装置に送られ、制御装置において信号の増幅・解析等が行われて、時刻情報が読み出される。制御装置は、この時刻情報に基づいて現在時刻を修正し、修正された時刻を表示装置51の表示画面に表示させる。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、直状部211とこの直状部211の両端から直状部211の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部212とを備える第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bのうち、第1の板状部材21Aの第1の直状部211aに導線を巻回してコイル22を形成し、第2の板状部材21Bを、その第2の張出し212bが第1の板状部材21Aの第1の張出し部212aと重なり合うように第1の板状部材21Aに積層して、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとを磁気的に連結させることにより、第1の板状部材21A及びこれと積層方向に隣り合う第2の板状部材21Bによりループ状の磁路を形成している。
これにより、外部から第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bに入ってくる磁束、共振回路によって発生した磁束のいずれもが、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bにより形成されているループ状の磁路を通り、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bの外に漏れにくい構成となっている。このため、アンテナ構造体2の近傍に金属部材が配置されても金属部材の方に磁束が流れて損失となるのを防ぐことができ、良好な受信感度を実現することができる。これにより、小型のアンテナ構造体2によって十分な受信感度を得ることができる。また、アンテナ外装ケース4等の金属部材をアンテナ構造体2の極近傍まで近接させることができるため、アンテナ構造体2を備える電波腕時計1等の電波受信機器を小型することが可能となる。
また、板状部材21の直状部211にコイル22を形成してから、第1の板状部材21Aと第2の板状部材21Bとを重ね合わせて磁気的に連結させるため、コイル22を機械により自動的に巻回することができ、アンテナ構造体2を簡易かつ効率的に生産することができる。
また、第1の板状部材21A及び第2の板状部材21Bは、同じ形状に形成されているため、板状部材21を同一の型等を用いて容易に大量生産することができ、簡易かつ効率的に低コストでアンテナ構造体2を生産することが可能となる。
また、本実施形態では、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6及び駒部材7を全て同じ大きさ・形状としているため、意匠に優れたブレスレッド型の腕時計を実現することができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
次に、図12から図16を参照しつつ、本発明に係るアンテナ構造体、電波受信機器及びアンテナ構造体の製造方法の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、アンテナ構造体の構成のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0039】
図12は、本実施形態に係るアンテナ構造体8をアンテナ外装ケース4内に収容した状態を示す平面図である。また、図13は、アンテナ構造体8の平面図であり、図14は、図13に示すアンテナ構造体8を矢視XIV方向から見た側面図であり、図15は、図13に示すアンテナ構造体8を矢視XV方向から見た側面図であり、図16は、図13に示すアンテナ構造体8のXVI-XVIに沿う断面図である。
図12に示すように、本実施形態に係る電波受信機器は、第1の実施形態と同様、アンテナ構造体8とこれを収容する金属材料で形成されたアンテナ外装ケース4とを備える電波腕時計であり、アンテナ構造体8により受信される標準電波に基づいて現在時刻を修正し、表示装置に表示させるものである。
【0040】
図12から図16に示すように、本実施形態において、アンテナ構造体8は、ほぼ同一形状に形成された板状部材(すなわち、第1の板状部材81A及び第2の板状部材81B)を備えている。
第1の板状部材81A及び第2の板状部材81Bは、いずれも例えばアモルファス合金、Fe-Cu-Nb-Si-B系等のナノ結晶磁性合金、Fe-Si系磁性合金やフェライト、パーマロイ等の磁性材料により形成されており、アンテナ構造体8の長手方向に延在する直状部811(すなわち、第1の直状部811a及び第2の直状部811b)とこの直状部811の両端から直状部811の延在方向と直交する一方側に張り出した一対の張出し部812(すなわち、第1の張出し部812a及び第2の張出し部812b)とを備えている。
【0041】
本実施形態において、第1の板状部材81Aにおける第1の直状部811a及び第2の板状部材81Bにおける第2の直状部811bには、それぞれ導線を巻回することによりコイル82が形成されている。2つのコイル82は、巻線数又はコンデンサの容量を異ならせることにより、共振周波数の異なるものとなっている。共振周波数をそれぞれいくつに設定するかは特に限定されないが、例えば、第1の板状部材81Aの第1の直状部811aに形成されるコイル82の共振周波数を40kHz、第2の板状部材81Bの第2の直状部811bに形成されるコイル82の共振周波数を60kHzに設定することにより、1つのアンテナ構造体8により、日本における2種類の標準電波の送信周波数に対応させることができる。
【0042】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0043】
次に、本実施形態におけるアンテナ構造体8の製造方法及び作用について説明する。
まず、第1の実施形態と同様に、磁性材料により、直状部811とこの直状部811の両端から直状部811の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部812とを備える複数の板状部材(すなわち、第1の板状部材81A、第2の板状部材81B)を形成する(板状部材形成工程)。本実施形態では、この板状部材形成工程において形成される複数の板状部材(すなわち、第1の板状部材81A、第2の板状部材81B)は、いずれも同じ形状となっている。
次に、板状部材形成工程において形成された板状部材81(すなわち、第1の板状部材81A、第2の板状部材81B)の直状部811(すなわち、第1の直状部811a及び第2の直状部811b)にそれぞれ導線を巻回してコイル82を形成する(コイル形成工程)。このとき、各コイル82が、40kHzと60kHz等、異なる送信周波数の電波を受信できるように、コイル82の巻線数又はコイル82に接続されるコンデンサの容量を変える等によりそれぞれの共振周波数を調整する。
さらに、板状部材81(すなわち、第1の板状部材81A、第2の板状部材81B)を張出し部812(第1の張出し部812a及び第2の張出し部812b)同士が互いに重なり合うように互い違いに積層して磁気的に連結させ、ループ状の磁路を形成する(板状部材積層工程)。すなわち、第1の板状部材81Aとこの第1の板状部材81Aとは張出し部812の張出し方向が逆になるように反転させた第2の板状部材81Bとを重ね合わせ、重なり合っている部分を接着固定する。これにより、2つのコイル82を備えたアンテナ構造体8が完成する。
【0044】
完成したアンテナ構造体8をアンテナ外装ケース4に収容し、このアンテナ外装ケース4と時計本体が収容された時計外装ケースとを連結させて、アンテナ構造体8と時計本体内の回路基板等を電気的に接続する。
さらに、このアンテナ外装ケース4及び時計外装ケースに駒部材を連結させることにより、本実施形態における電波受信機器であるブレスレッド型の電波腕時計が完成する。
【0045】
標準電波に基づく時刻修正を行う際には、アンテナ構造体8の各コイル82により周波数の異なる2つの標準電波(例えば40kHzと60kHzの標準電波)が受信される。このとき、図12に示すように、アンテナ構造体8の外部から入った磁束は、そのほとんどが第1の板状部材81A及び第2の板状部材81Bの細くなっている部分(すなわち、第1の直状部811a及び第2の直状部811b)に流れ、第1の板状部材81Aの第1の直状部811aに設けられているコイル82及び第2の板状部材81Bの第2の直状部811bに設けられているコイル82に流れ込む。コイル82に磁束が流れ込むと、起電力を生じてそのエネルギーがコンデンサに蓄積される。そしてコンデンサからエネルギーが放出され、コイル82を通って磁束が発生する。外部から一旦アンテナ構造体8の中に入った磁束は、磁性体(すなわち、第1の板状部材81A及び第2の板状部材81B)の外部に漏れにくく、共振状態のときに、ループ状の磁路において磁束の振動を繰り返す。このため、アンテナ構造体8の近傍にアンテナ外装ケース4等の金属部材がある場合でも、金属部材側に漏れる磁束がほとんどなく、渦電流の発生による損失(ロス)の発生を防いで、アンテナ構造体8の受信感度は良好に維持される。
アンテナ構造体8により受信された標準電波に基づく受信信号は制御装置に送られ、制御装置において信号の増幅・解析等が行われて、時刻情報が読み出される。制御装置は、この時刻情報に基づいて現在時刻を修正し、修正された時刻を表示装置の表示画面に表示させる。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、コイル82が、第1の板状部材81Aの第1の直状部811a及び第2の板状部材81Bの第2の直状部811bにそれぞれ形成されており、各コイル82が異なる共振周波数となるように設定されているため、周波数の異なる2つの電波(例えば40kHzと60kHz)を受信することが可能となっている。
このため、1つのアンテナ構造体8によって複数の電波に対応することができ、多機能の電波腕時計を小型・軽量で実現することができる。
【0047】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0048】
例えば、第2の実施形態では、2つのコイル82がそれぞれ異なる周波数の電波を受信できるように、共振周波数を異にするように調整する場合を例としたが、2つのコイル82の共振周波数は同じであってもよい。この場合、コイル82の巻線の向き等を調整することにより、コイル82の巻線数を多くしたのと同様の効果を期待でき、アンテナ構造体8の受信感度を向上させることができる。
【0049】
また、第2の実施形態では、アンテナ構造体8が板状部材81を2つ(すなわち、第1の板状部材81A及び第2の板状部材81B)備える場合を例としたが、板状部材81の数は2つに限定されない。
例えば、図17から図19に示すように、板状部材81を互い違いに3つ積層してアンテナ構造体9を構成してもよい。
本実施形態のように、2つの板状部材81(第1の板状部材81A及び第2の板状部材81B)の直状部811(すなわち、第1の直状部811a及び第2の直状部811b)にコイル82を形成した場合には、アンテナ構造体8をアンテナ外装ケース4内に収容した際、コイル82の厚み分だけ載置面が平坦とならないため、アンテナ構造体8がアンテナ外装ケース4内でがたつくおそれがある。
この点、図17から図19に示すように、第2の板状部材81Bの下にコイル82が形成されていない板状部材81(図17から図19において第1の板状部材81A)をさらにもう1つ積層することにより、アンテナ構造体9をアンテナ外装ケース4内に収容した際に載置面が平坦となり、アンテナ構造体9をアンテナ外装ケース4内で安定させることができる。また、このように板状部材81を重ねることにより、板状部材81同士の密着性を高めることも期待でき、板状部材81の接着部分である張出し部812におけるギャップを小さくして、より磁気抵抗の少ないループ状の磁路を形成することができる。
【0050】
また、第2の実施形態では、アンテナ構造体8が板状部材81を2つ(すなわち、第1の板状部材81A及び第2の板状部材81B)備え、それぞれの直状部811(すなわち、第1の直状部811a及び第2の直状部811b)にコイル82が形成されている場合を例としたが、板状部材81を3つ以上備える場合には、コイル82もこれら全ての板状部材81の直状部811に形成されていてもよい。この場合、これら全てのコイル82がそれぞれ異なる周波数の電波に対応するようにしてもよいし、これらのコイルのうち一部又は全部が同じ周波数の電波を受信するように構成してもよい。
【0051】
また、例えば、上記各実施形態では、アンテナ外装ケース4とアンテナ構造体との間に僅かな隙間しかない小さい寸法のアンテナ外装ケース4の内部にアンテナ構造体を収容する場合を例としたが、アンテナ外装ケース4の大きさや形状等は、ここに例示したものに限定されない。例えばアンテナ外装ケース4の内側面とアンテナ構造体との間に大きく空間が確保できる程度にアンテナ外装ケース4が大きく構成されていてもよい。この場合には、アンテナ構造体においてコイルが設けられている側により広い空間が確保されるような向きで、アンテナ構造体をアンテナ外装ケース4内に配置することが好ましい。
【0052】
また、各実施形態では、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7が四角形状に形成されている場合を例としたが、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7の形状はこれに限定されず、例えば円形状や多角形状等でもよい。
【0053】
また、各実施形態では、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7が全てほぼ同じ形状、同じ大きさである場合を例としたが、アンテナ外装ケース4、時計外装ケース6、及び駒部材7の形状や大きさはそれぞれ異なっていてもよい。例えば時計外装ケース6のみがアンテナ外装ケース4や駒部材7よりも大きく形成されていてもよい。
【0054】
また、各実施形態では、第1の板状部材及び第2の板状部材が同じ形状に形成されている場合を示したが、第1の板状部材及び第2の板状部材は同じ形状である場合に限定されない。第1の板状部材及び第2の板状部材の形状は、アンテナ構造体が収容されるアンテナ外装ケース4の形状に合わせて適宜変更することが可能である。
【0055】
また、各実施形態では、アンテナ構造体を収容するアンテナ外装ケース4と時計本体5を収容する時計外装ケース6とを別個に設けて、アンテナ構造体と時計本体5とをそれぞれ異なる外装ケース内に収容する場合について説明したが、アンテナ構造体と時計本体5とを1つの外装ケース内に収容する構成としてもよい。こ場合には、例えばアンテナ構造体を時計本体5の回路基板上等に配置することにより、アンテナ構造体と回路基板との電気的接続を簡易に行うことができる。
【0056】
また、各実施形態では、各板状部材間のギャップは無視できるほどに小さいため、各板状部材間のギャップを調整する手段を特に示さなかったが、例えばインダクタンスを自動的に調整する調整回路等を設けてもよい。この場合には、各板状部材間のギャップのばらつきによるインダクタンスの違いをより高精度に調整することができる。
【0057】
また、各実施形態では、アンテナ構造体を適用する電波受信機器がブレスレッド型に構成された電波時計である場合を例としたが、電波時計の形状はブレスレッド型に限定されず、例えばペンダント型に構成された電波時計でもよい。
また、各実施形態では、アンテナ構造体を適用する電波受信機器が電波腕時計である場合を例として示したが、アンテナ構造体を適用可能な電波受信機器はこれに限られるものではなく、アンテナ構造体により電波を受信する構成のものであれば如何なるものであってもよい。例えば、固定式の電波時計や、小型ラジオ、携帯端末等にアンテナ構造体を適用してもよい。
【0058】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
磁性材料により形成され、第1の直状部とこの第1の直状部の両端から前記第1の直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した第1の張出し部とを備える第1の板状部材と、
磁性材料により形成され、第2の直状部とこの第2の直状部の両端から前記第2の直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した第2の張出し部とを備え、この第2の張出し部が前記第1の板状部材の前記第1の張出し部と重なり合うように前記第1の板状部材に積層され前記第1の板状部材と磁気的に連結される第2の板状部材と、
前記第1の直状部及び前記第2の直状部のうちの少なくとも一方に導線を巻回して形成されたコイルとを備え、
前記第1の板状部材及びこれと積層方向に隣り合う前記第2の板状部材によりループ状の磁路が形成されていることを特徴とするアンテナ構造体。
<請求項2>
前記コイルは、前記第1の直状部及び前記第2の直状部にそれぞれ形成されており、
周波数の異なる2以上の電波を受信可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ構造体。
<請求項3>
前記第1の板状部材及び前記第2の板状部材は、同じ形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ構造体。
<請求項4>
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンテナ構造体と、
金属材料により形成され、前記アンテナ構造体を収容する外装ケースと、
を備えていることを特徴とする電波受信機器。
<請求項5>
直状部とこの直状部の両端から前記直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部とを備える板状部材を磁性材料により複数形成する板状部材形成工程と、
この板状部材形成工程において形成された前記複数の板状部材のうちの少なくとも1つの板状部材の前記直状部に導線を巻回してコイルを形成するコイル形成工程と、
前記板状部材を前記張出し部同士が互いに重なり合うように互い違いに積層して磁気的に連結させ、ループ状の磁路を形成する板状部材積層工程と、
を含んでいることを特徴とするアンテナ構造体の製造方法。
<請求項6>
前記コイル形成工程において、前記コイルは互い違いに積層された少なくとも2つの前記板状部材の前記直状部にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構造体の製造方法。
<請求項7>
前記板状部材形成工程において、前記板状部材はいずれも同じ形状に形成されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアンテナ構造体の製造方法。
【符号の説明】
【0059】
1 電波腕時計(電波受信機器)
2 アンテナ構造体
4 アンテナ外装ケース
5 時計本体
6 時計外装ケース
7 駒部材
8 アンテナ構造体
9 アンテナ構造体
21A 第1の板状部材
21B 第2の板状部材
22 コイル
211a 第1の直状部
211b 第2の直状部
212a 第1の張出し部
212b 第2の張出し部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料により形成され、第1の直状部とこの第1の直状部の両端から前記第1の直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した第1の張出し部とを備える第1の板状部材と、
磁性材料により形成され、第2の直状部とこの第2の直状部の両端から前記第2の直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した第2の張出し部とを備え、この第2の張出し部が前記第1の板状部材の前記第1の張出し部と重なり合うように前記第1の板状部材に積層され前記第1の板状部材と磁気的に連結される第2の板状部材と、
前記第1の直状部及び前記第2の直状部のうちの少なくとも一方に導線を巻回して形成されたコイルとを備え、
前記第1の板状部材及びこれと積層方向に隣り合う前記第2の板状部材によりループ状の磁路が形成されていることを特徴とするアンテナ構造体。
【請求項2】
前記コイルは、前記第1の直状部及び前記第2の直状部にそれぞれ形成されており、
周波数の異なる2以上の電波を受信可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項3】
前記第1の板状部材及び前記第2の板状部材は、同じ形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ構造体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンテナ構造体と、
金属材料により形成され、前記アンテナ構造体を収容する外装ケースと、
を備えていることを特徴とする電波受信機器。
【請求項5】
直状部とこの直状部の両端から前記直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部とを備える板状部材を磁性材料により複数形成する板状部材形成工程と、
この板状部材形成工程において形成された前記複数の板状部材のうちの少なくとも1つの板状部材の前記直状部に導線を巻回してコイルを形成するコイル形成工程と、
前記板状部材を前記張出し部同士が互いに重なり合うように互い違いに積層して磁気的に連結させ、ループ状の磁路を形成する板状部材積層工程と、
を含んでいることを特徴とするアンテナ構造体の製造方法。
【請求項6】
前記コイル形成工程において、前記コイルは互い違いに積層された少なくとも2つの前記板状部材の前記直状部にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構造体の製造方法。
【請求項7】
前記板状部材形成工程において、前記板状部材はいずれも同じ形状に形成されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアンテナ構造体の製造方法。
【請求項1】
磁性材料により形成され、第1の直状部とこの第1の直状部の両端から前記第1の直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した第1の張出し部とを備える第1の板状部材と、
磁性材料により形成され、第2の直状部とこの第2の直状部の両端から前記第2の直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した第2の張出し部とを備え、この第2の張出し部が前記第1の板状部材の前記第1の張出し部と重なり合うように前記第1の板状部材に積層され前記第1の板状部材と磁気的に連結される第2の板状部材と、
前記第1の直状部及び前記第2の直状部のうちの少なくとも一方に導線を巻回して形成されたコイルとを備え、
前記第1の板状部材及びこれと積層方向に隣り合う前記第2の板状部材によりループ状の磁路が形成されていることを特徴とするアンテナ構造体。
【請求項2】
前記コイルは、前記第1の直状部及び前記第2の直状部にそれぞれ形成されており、
周波数の異なる2以上の電波を受信可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項3】
前記第1の板状部材及び前記第2の板状部材は、同じ形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ構造体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンテナ構造体と、
金属材料により形成され、前記アンテナ構造体を収容する外装ケースと、
を備えていることを特徴とする電波受信機器。
【請求項5】
直状部とこの直状部の両端から前記直状部の延在方向と直交する一方側に張り出した張出し部とを備える板状部材を磁性材料により複数形成する板状部材形成工程と、
この板状部材形成工程において形成された前記複数の板状部材のうちの少なくとも1つの板状部材の前記直状部に導線を巻回してコイルを形成するコイル形成工程と、
前記板状部材を前記張出し部同士が互いに重なり合うように互い違いに積層して磁気的に連結させ、ループ状の磁路を形成する板状部材積層工程と、
を含んでいることを特徴とするアンテナ構造体の製造方法。
【請求項6】
前記コイル形成工程において、前記コイルは互い違いに積層された少なくとも2つの前記板状部材の前記直状部にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構造体の製造方法。
【請求項7】
前記板状部材形成工程において、前記板状部材はいずれも同じ形状に形成されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のアンテナ構造体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−110547(P2013−110547A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253448(P2011−253448)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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