説明

アンテナ装置、シールドカバー、およびアンテナモジュールの組立方法

【課題】 小型のマウンタを使用して、リフロー処理によりシールドカバーを回路基板の裏面に半田付け固着すること。
【解決手段】 ボトムプレートと対向して配置され、回路基板の裏面上に搭載された信号処理回路を電磁シールドするシールドカバーの天井部は、当該天井部の中央部に設けられて、マウンタの吸着ノズルで吸着されるマウンタ吸着部と、側壁部の端から側壁部の内側へ設けられたリング状の外縁部と、マウンタ吸着部と外縁部とを繋ぐ複数本の梁部とから構成される。信号処理回路の電磁シールドを、シールドカバーとボトムプレートとの双方で行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工衛星から送信された衛星信号を受信するアンテナ装置に関し、特に、アンテナ装置に使用されるシールドカバーおよびアンテナモジュールの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星から送信された衛星信号を受信するアンテナ装置が種々提案されている。例えば、そのようなアンテナ装置としては、GPS衛星から送信されたGPS信号を受信するGPSアンテナ装置や、SDARS衛星から送信されたSDARS信号を受信するSDARSアンテナ装置が挙げられる。
【0003】
例えば、近年、地球軌道を周回する複数の人工衛星からそれぞれ送信された信号波を受信機によって受信し、受信した信号波に含まれる情報に基づいて受信機自身の現在位置を検出するシステム、いわゆる汎地球測位システムが普及しつつある。なお、このようなシステムは、日本国及びアメリカ合衆国などの国々では、一般にGPS(Global Positioning System)と称されており、アメリカ合衆国国防総省が管理するGPS衛星を利用するものが一般的である。同様なシステムとしては、欧州で利用されている「ガリレオ」、ロシアで利用されている「グロナス」などがある。なお、ここでは、人工衛星を用いた測位システム、この測位システムで用いられる人工衛星、この人工衛星から送信される信号波、この信号波を受信する受信機などを、それぞれ便宜的にGPS、GPS衛星、GPS信号、GPS受信機などと称することとする。
【0004】
GPSは、高精度且つほぼリアルタイムでGPS受信機自身の現在位置を検出することができる。このことから、GPSは、例えば自動車や航空機、或いは携帯型電話機などの移動体にGPS受信機を搭載し、この移動体の現在位置を測定する用途に主として用いられている。
【0005】
現在、自動車に搭載して好適な、いわゆる車載用のGPS受信機が急速に普及しつつある。GPS受信機を自動車に搭載するに際しては、GPS信号を受信するためのGPS受信用のアンテナ装置が例えば屋根(ルーフ)上などの車外に設置される場合が多い。
【0006】
一方、SDARS(Satellite Digital Audio Radio Service)とは、米国における衛星(以下、「SDARS衛星」と呼ぶ)を使用したデジタル放送によるサービスである。すなわち、米国においては、SDARS衛星からの衛星波または地上波を受信して、デジタルラジオ放送を聴取可能にしたデジタルラジオ受信機が開発され、実用化されている。現在、米国では、XMとシリウスという2つの放送局が計250チャネル以上のラジオ番組を全国に提供している。このデジタルラジオ受信機は、一般には、自動車等の移動体に搭載され、周波数が約2.3GHz帯の電波を受信してラジオ放送を聴取することが可能である。すなわち、デジタルラジオ受信機は、モバイル放送を聴取することが可能なラジオ受信機である。受信電波の周波数が約2.3GHz帯なので、そのときの受信波長(共振波長)λは約128.3mmである。尚、地上波は、衛星波を一旦、地球局で受信した後、周波数を若干シフトし、直線偏波の電波で再送信したものである。すなわち、衛星波は円偏波の電波であるのに対して、地上波は直線偏波の電波である。
【0007】
XM衛星ラジオ用アンテナ装置は、静止衛星2基より円偏波の電波を受信し、不感地帯では地上直線偏波設備により直線偏波の電波を受信する。一方、シリウス衛星ラジオ用アンテナ装置は、周回衛星3基(シンクロ型)より円偏波の電波を受信し、不感地帯では地上直線偏波設備により直線偏波の電波を受信する。
【0008】
このようにデジタルラジオ放送では、約2.3GHz帯の周波数の電波が使用されるので、その電波を受信するアンテナ装置は、室外に設置される場合が多い。従って、デジタルラジオ受信機を自動車等の移動体に搭載するには、そのアンテナ装置を移動体の屋根等の車室外に取り付けられる場合が多い。
【0009】
このような人工衛星から送信された衛星信号を受信するアンテナ装置は、種々提案されている。例えば、特開2006−237917号公報(特許文献1)は、パッキン部材をトップカバーに対して容易に位置決めすることができるアンテナ装置を開示している。また、特開2006−246719号公報(特許文献2)は、組み立て性の良いアンテナ装置を開示している。更に、特開2006−237951号公報(特許文献3)は、防水機能を向上させることができるアンテナ装置を開示している。
【0010】
また、特開2006−344716号公報(特許文献4)は、アンテナ装置に用いられるシールドカバーを開示している。シールドカバーは、回路基板の裏面に半田ごてによる手作業により半田付けすることにより、回路基板の裏面上に取り付けられる。
【0011】
特開2008−288523号公報(特許文献5)は、シールドカバーのシート基板への固着を効率化することを可能とした、電子部品を開示している。特許文献5に開示されたシールドカバーは、4角形の蓋状を成し、4つの周端辺を有している。特許文献5では、シールドカバーをシート基板に固着する場合、半田をシート基板側に塗布するのではなく、シールドカバー側に付着させている。すなわち、クリーム状の半田ペースト(クリーム半田)を供給した転写テーブル内に、自動部品搭載機(マウンタ)のホルダ(吸着ノズル)によりシールドカバーを保持した状態で、シールドカバーの周端辺部を浸漬して、シールドカバーの周端辺にクリーム半田を付着させる。この状態で、自動部品搭載機(マウンタ)によりシールドカバーをシート基板のシールドパッドに対応して移動配置する。そして、シールドカバーがシート基板上に搭載された状態でリフロー処理を行い、シールドカバーをシート基板上に半田付け固着している。
【0012】
特開2006−344814号公報(特許文献6)は、回路基板のシールド対象領域を覆ってシールドするシールド部材の枠体およびシールド部材の取り付け方法を開示している。特許文献6において、シールド部材は、シールドカバーと枠体とから成る。シールド部材の枠体は、回路基板のシールド対象領域の端縁部に立設してシールド対象領域を囲む縁枠壁部を有する上面開口の形態を持つ。枠体は、その上面開口を塞ぐ態様で当該枠体に組み合わされるシールドカバーと共に回路基板のシールド対象領域のシールド部材を形成する。枠体の上部開口部には、枠体搬送用の吸着ノズルに吸着するノズル吸着面を持つ吸着パッド部が、縁枠壁部の複数の位置からそれぞれ伸長形成された梁部によって縁枠壁部に支持固定された状態で配設されている。吸着パッド部の配設位置は、縁枠壁部に上端位置よりも上側である。
【0013】
この特許文献6に開示されたシールド部材の取り付け方法は、枠体の吸着パッド部のノズル吸着面を枠体搬送用の吸着ノズルで吸着した状態で枠体を回路基板のシールド対象領域に搬送して枠体を回路基板のシールド対象領域に配置させ、その後、梁部の縁枠壁部側の端部を縁枠壁部から切り離して当該梁部および吸着パッド部を縁枠壁部から切り取り、然る後に、梁部および吸着パッド部が除去された枠体の上部開口部を塞ぐ態様でシールドカバーを枠体に組合わせる。シールドカバーが枠体に組み合わされた後、枠体およびシールドカバーが半田等の導電性の接合材料によって回路基板に接合固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−237917号公報
【特許文献2】特開2006−245719号公報
【特許文献3】特開2006−237951号公報
【特許文献4】特開2006−344716号公報
【特許文献5】特開2008−288523号公報
【特許文献6】特開2006−344814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記特許文献4に開示されたシールドカバーでは、半田ごてによる手作業でシールドケースを回路基板の裏面に取り付けている。その結果、半田付け固着の工程が長くなって作業工数が増加するという問題がある。また、シールドケースを手作業で取り付けていたので、回路基板への熱ストレスが増加し、品質が不安定となるという問題もある。
【0016】
一方、特許文献5では、自動部品搭載機(マウンタ)のホルダ(吸着ノズル)によりシールドカバーを保持している。したがって、作業工数を削減することは可能である。しかしながら、特許文献5に開示されたシールドカバーは、4角形の蓋状をしているので、その重量が重くなってしまう。その結果、自動部品搭載機(マウンタ)のホルダ(吸着ノズル)の吸着力を大きくする必要がある。換言すれば、自動部品搭載機(マウンタ)が大型になってしまう。
【0017】
特許文献6では、シールドカバーの他に枠体も必要である。その結果、部品点数が増加するという問題がある。また、特許文献6では、シールドカバーが枠体に組み合わされた後に、枠体およびシールドカバーを半田等の導電性の接合材料によって回路基板に接合固定している。その結果、上記特許文献4と同様に、半田付け固着の工程が長くなって作業工数が増加し、回路基板への熱ストレスが増加し、品質が不安定となるという問題もある。
【0018】
したがって、本発明の課題は、小型のマウンタを使用して、リフロー処理によりシールドカバーを回路基板の裏面に半田付け固着することができる、アンテナ装置、それに使用されるシールドカバー、およびアンテナモジュールの組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様によれば、互いに対向する主面(21a)と裏面(21b)とを持つ回路基板(21)と、前記回路基板(21)の主面(21a)上に搭載されて、電波を受信する平面アンテナ素子(20)と、前記回路基板(21)の裏面(21b)上に搭載されて、前記平面アンテナ素子(20)と接続された信号処理回路(23)と、前記回路基板(21)の裏面(21b)上に取り付けられて、前記信号処理回路(23)を電磁シールドするシールドカバー(24;24A)と、該シールドカバー(24;24A)と対向して配置されたボトムプレート(12;12A;12B)とを有するアンテナ装置(10;10A;10B)において、前記シールドカバー(24;24A)は、前記回路基板(21)の裏面(21b)から該回路基板(21)の延在する平面と直角に延在する筒状の側壁部(242〜245,247)と、該側壁部の端で前記回路基板(21)の延在する平面と平行に延在し、かつ前記ボトムプレート(12;12A;12B)と対向する天井部(241)とを備え、前記天井部(241)は、当該天井部(241)の中央部に設けられて、マウンタの吸着ノズル(55)で吸着されるマウンタ吸着部(241−1)と、前記側壁部(242〜245,247)の端から前記側壁部(242〜245)の内側へ設けられたリング状の外縁部(241−2〜241−5)と、前記マウンタ吸着部(241−1)と前記外縁部(241−2〜241−5)とを繋ぐ複数本の梁部(241−6)とから成り、前記信号処理回路(23)の電磁シールドを、前記シールドカバー(24;24A)と前記ボトムプレート(12;12A;12B)との双方で行うようにしたことを特徴とするアンテナ装置(10;10A;10B)が得られる。
【0020】
上記本発明の第1の態様によるアンテナ装置において、前記側壁部(242〜245)は矩形筒状をしており、前記外縁部(241−2〜241−5)は矩形リング状をしていてよい。前記複数本の梁部は、前記矩形リング状の外縁部(241−2〜241−5)の四隅から前記マウンタ吸着部(241−1)へ向けて延在するX字形の4本の梁部(241−6)から成ってよい。前記シールドカバー(24;24A)の前記筒状の側壁部(242〜245,247)は、開口(242a)を持ってよい。この場合、前記アンテナ装置(10;10A;10B)は、前記開口(242a)を介して前記シールドカバー(24;24A)内に先端部が挿入されて、前記回路基板(21)の裏面(21b)上に半田付けされる同軸ケーブル(16)を更に有する。前記シールドカバー(24;24A)は、前記同軸ケーブル(16)の先端部を保持するための保持片(246)を更に有してよい。
【0021】
前記アンテナ装置(10;10B)は、前記電波として、GPS衛星から送信されたGPS信号を受信するための汎地球測位システム(GPS)アンテナ装置から成ってよい。或いは、前記アンテナ装置(10A)は、前記電波として、SDARS衛星から送信されたSDARS信号を受信するための衛星デジタルラジオ放送サービス(SDARS)アンテナ装置から成ってよい。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、ボトムプレート(12;12A;12B)と対向して配置され、回路基板(21)の裏面(21b)上に搭載された信号処理回路(23)を電磁シールドするシールドカバー(24;24A)であって、前記シールドカバー(24;24A)は、前記回路基板(21)の裏面(21b)から該回路基板(21)の延在する平面と直角に延在する筒状の側壁部(242〜245,247)と、該側壁部(242〜245,247)の端で前記回路基板(21)の延在する平面と平行に延在し、かつ前記ボトムプレート(12;12A;12B)と対向する天井部(241−1)とを備え、前記天井部(241)は、当該天井部(241)の中央部に設けられて、マウンタの吸着ノズル(55)で吸着されるマウンタ吸着部(241−1)と、前記側壁部(242〜245,247)の端から前記側壁部(242〜245,247)の内側へ設けられたリング状の外縁部(241−2〜241−5)と、前記マウンタ吸着部(241−1)と前記外縁部(241−2〜241−5)とを繋ぐ複数本の梁部(241−6)とから成り、前記信号処理回路(23)の電磁シールドを、前記シールドカバー(24;24A)と前記ボトムプレート(12;12A;12B)との双方で行うようにしたことを特徴とするシールドカバーが得られる。
【0023】
上記本発明の第2の態様によるシールドカバーにおいて、前記側壁部(242〜245)は矩形筒状をしており、前記外縁部(241−2〜241−5)は矩形リング状をしていてよい。前記複数本の梁部は、前記矩形リング状の外縁部(241−2〜241−5)の四隅から前記マウンタ吸着部(241−1)へ向けて延在するX字形の4本の梁部(241−6)から成ってよい。前記筒状の側壁部(242〜245,247)は、同軸ケーブル(16)の先端部が挿入される開口(242a)を持ってよい。上記シールドカバー(24;24A)は、前記同軸ケーブル(16)の先端部を保持するための保持片(246)を更に有してよい。
【0024】
本発明の第3の態様によれば、互いに対向する第1の面(21b)及び第2の面(21b)を持つ回路基板を用意する工程と、前記回路基板(21)の第1の面(21b)上にマスク(51)を使用して所定の箇所に半田ペースト(53a,53b)を塗布する工程と、前記回路基板(21)の第1の面(21b)上に信号処理回路を構成する複数の実装部品(23)を実装する工程と、前記回路基板(21)の第1の面(21b)上に、前記信号処理回路をシールドするためのシールドカバー(24;24A)を吸着ノズル(55)で吸着して搭載する工程であって、前記シールドカバー(24;24A)は、前記回路基板(21)の第1の面(21b)から該回路基板(21)の延在する方向と直角に延在する筒状の側壁部(242〜245,247)と、該側壁部(242〜245,247)の端で前記回路基板(21)の延在する方向と平行に延在する天井部(241)とを備え、前記天井部(241)は、当該天井部(241)の中央部に設けられて、前記吸着ノズル(55)で吸着されるマウンタ吸着部(241−1)と、前記側壁部(242〜245,247)の端から前記側壁部(242〜245,247)の内側へ設けられたリング状の外縁部(241−2〜241−5)と、前記マウンタ吸着部(241−1)と前記外縁部(241−2〜241−5)とを繋ぐ複数の梁部(241−6)とから成る、工程と、リフロー処理により、前記複数の実装部品(23)と前記シールドカバー(24;24A)とを前記回路基板(21)の第1の面(21b)上に半田付け固着する工程と、電波を受信する平面アンテナ素子(20)を前記回路基板(21)の第2の面(21a)上に搭載して、前記平面アンテナ素子(20)を前記信号処理回路(23)と電気的に接続する工程と、を含むアンテナモジュールの組立方法が得られる。
【0025】
上記本発明の第3の態様によるアンテナモジュールの組立方法において、前記シールドカバー(24;24A)の前記側壁部(242〜245,247)は、同軸ケーブル(16)の先端部が挿入される開口(242a)を持つことが好ましい。この場合、前記アンテナモジュールの組立方法は、前記開口(242a)を介して前記シールドカバー(24;24A)内に挿入される前記同軸ケーブル(16)の先端部で露出している中心導体(162)と外部導体(164)とを、前記回路基板(21)の第1の面(21b)上に半田付けにより接続する工程を更に含んでよい。
【0026】
尚、上記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、これらに限定されないのは勿論である。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、ボトムプレートと対向して配置されるシールドカバーの天井部が、当該天井部の中央部に設けられて、マウンタの吸着ノズルで吸着されるマウンタ吸着部と、側壁部の端から側壁部の内側へ設けられたリング状の外縁部と、マウンタ吸着部と外縁部とを繋ぐ複数本の梁部とから成り、信号処理回路の電磁シールドを、シールドカバーとボトムプレートとの双方で行うようにしたので、小型のマウンタを使用して、リフロー処理によりシールドカバーを回路基板の裏面に半田付け固着することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来のシールドカバーを示す図で、(A)は従来のシールドカバーの全体の外観を示す外観斜視図であり、(B)は(A)の二点鎖線の円で囲んだ部分の部分拡大図である。
【図2】図1に示した従来のシールドカバーを形成するための金属板の平面図である。
【図3】図1に示した従来のシールドカバーを、回路基板の裏面に半田付けにより取り付けた状態を示す底面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置の平面図である。
【図5】図4の線V−Vについての断面図である。
【図6】図5の分解断面図である。
【図7】図4に示したアンテナ装置に使用されるシールドカバーの斜視図である。
【図8】図4に示したアンテナ装置に用いられるアンテナモジュールの組立方法を説明するための工程を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置の分解斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態によるアンテナ装置の概略分解図である。
【図11】図10に示したアンテナ装置に使用されるパッキン部材を示す図で、(a)はパッキン部材の平面図であり、(b)はパッキン部材の正面図であり、(c)はパッキン部材の右側面図であり、(d)はパッキン部材の背面図であり、(e)はパッキン部材の底面図であり、(f)は図11(a)のA−A線での断面図であり、(g)は図11(a)のB−B線での断面図である。
【図12】図10に示したアンテナ装置に使用されるボトムプレートを示す図で、(a)はボトムプレートの底面図であり、(b)はボトムプレートの正面図であり、(c)はボトムプレートの側面図であり、(d)は図12(a)のA−A線での断面図である。
【図13】図11に示したパッキン部材と図12に示したボトムプレートとを組合わせた状を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
図1および図2を参照して、本発明の理解を容易するために、上記特許文献4に開示されている、従来のシールドカバー24’について説明する。図1において、(A)はシールドカバー24’の全体の外観を示す外観斜視図であり、(B)は(A)の二点鎖線の丸で囲んだ部分の部分拡大図である。図2は従来のシールドカバー24’を形成するための金属板40の平面図である。
【0031】
図1および図2では、直交座標系(X,Y,Z)を採用している。図1および図2に図示した状態では、X軸方向は前後方向(奥行き方向)であり、Y軸方向は左右方向(幅方向、横方向)であり、Z軸方向は上下方向(高さ方向)である。
【0032】
金属板40は、前後方向Xに延びる中心線CLに関して左右対称の形状をしている。詳述すると、金属板40は、四隅が面取りされたほぼ方形の天井部241’と、この天井部241’の四辺に形成された4つの側壁部242、243、244、及び245とを有する。4つの側壁部242、243、244、および245は、それぞれ、前側壁部、後側壁部、右側壁部、左側壁部と呼ばれる。前側壁部242は、中心線CLを境にして互いに離間した一対の前側壁片から構成され、それらの間に開口(同軸ケーブル挿入孔)242aが空いている。また、一対の前側壁部242の間には、同軸ケーブル(図示せず)を保持するための保持片246が形成されている。
【0033】
金属板40は、その四隅に4つの角部247を更に有する。各角部247は、その両端に隣り合う側壁部と重なる延長部248を有する。
【0034】
これら前側壁部242、後側壁部243、右側壁部244、左側壁部245、保持片246、および4つの角部247を、天井部241’に対して二点鎖線に沿って直角に(図2の紙面に対して裏側へ直角に)折り曲げ、更に延長部248を隣接する側壁部側へ鎖線に沿って直角に折り曲げることによって、図1(A)に示されるようなシールドカバー24’が形成される。
【0035】
図3は、従来のシールドカバー24’を、回路基板(プリント配線基板)21の裏面21bに半田25付けにより取り付けた状態を示す底面図である。図3に示されるように、シールドカバー24’は、4つの角部247で回路基板(プリント配線基板)21の裏面21b上に半田25付けすることにより、回路基板(プリント配線基板)21の裏面21b上に取り付けられる。すなわち、回路基板(プリント配線基板)21の裏面21b上へのシールドカバー24’の取り付けを、半田ごてによる手作業で行っている。
【0036】
このようにシールドカバー24’は、その四隅で回路基板21の裏面21b上に半田25付けされるので、シールドカバー24’の縦横寸法を、回路基板21の縦横寸法に実質的に等しい程度にまで大きくすることができる。シールドカバー24の折り合わせ部には隙間がない。換言すれば、4つの側壁部242〜245と4つの角部247との間に隙間がない。
【0037】
このように、上記特許文献4に開示された従来のシールドカバー24’では、半田ごてによる手作業でシールドケース24’を回路基板21の裏面21bに取り付けている。その結果、前段で述べたように、半田付け固着の工程が長くなって作業工数が増加するという問題がある。また、シールドケース24’を手作業で取り付けていたので、前段で述べたように、回路基板21への熱ストレスが増加し、品質が不安定となるという問題もある。
【0038】
図4乃至図6を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置10について説明する。図示のアンテナ装置10は、GPS信号受信用のアンテナ装置である。図4はアンテナ装置10の平面図である。図5は図4の線V−Vについての断面図である。図6は図5の分解断面図である。
【0039】
図1および図2では、直交座標系(X,Y,Z)を採用している。図1および図2に図示した状態では、X軸方向は前後方向(奥行き方向)であり、Y軸方向は左右方向(幅方向、横方向)であり、Z軸方向は上下方向(高さ方向)である。
【0040】
アンテナ装置10は、アンテナケース13と、アンテナモジュール14と、パッキン部材(ガスケット)15と、信号線(同軸ケーブル)16とを備える。アンテナケース13はドーム状のトップカバー11とボトムプレート12とから構成される。アンテナモジュール14はトップカバー11内に収納される。パッキン部材(ガスケット)15は、トップカバー11とボトムプレート12との間に配設されてアンテナケース13の密着性を確保するためのものである。尚、パッキン部材(ガスケット)15は、防水機能をも果たすので、防水パッキンとも呼ばれる。信号線(同軸ケーブル)16はアンテナモジュール14に接続される。
【0041】
アンテナモジュール14は、平面アンテナ素子20と回路基板(プリント配線基板)21とを有する。平面アンテナ素子20には、GPS衛星から送信されたGPS信号を受信するアンテナが形成されている。図示の平面アンテナ素子20は、パッチアンテナ素子から構成されている。回路基板21は互いに対向する主面21aと裏面21bとを持つ。回路基板21の主面21a上に平面アンテナ素子20が搭載される。回路基板21の裏面21bには、この平面アンテナ素子20によって受信したGPS信号に対して信号増幅などの各種信号処理を施す信号処理回路(後述する)が搭載されている。平面アンテナ素子20と回路基板21の主面21aとは、両面テープ(図示せず)などによって接合されている。
【0042】
回路基板21の裏面21bには、GPS信号をアンテナケース13の外部に取り出すための信号線(同軸ケーブル)16が接続される。また、回路基板21の裏面21bには、上記信号処理回路を電磁シールドするためのシールドカバー24が取り付けられている。信号線(同軸ケーブル)16は、トップカバー11に形成された切欠部11aを介して外部に引き出される。
【0043】
アンテナ装置10は、トップカバー11の内部空間にアンテナモジュール14及びパッキン部材(ガスケット)15が収納された状態で、このトップカバー11とボトムプレート12とが複数本の螺子26(図6では2本の螺子のみ図示する)によって螺子止めされることにより接合一体化される。
【0044】
パッキン部材(ガスケット)15は、例えばシリコーンゴムなどの樹脂材料によって形成されている。
【0045】
図5および図6から明らかなように、図示のアンテナ装置10においては、シールドカバー24の直下にボトムプレート12が存在する。換言すれば、アンテナモジュール14をアンテナケース13内に収容したとき、シールドカバー24に対向してボトムプレート12が配置されることになる。したがって、後述するように、シールドカバー24の天井部に穴(開口部)が空いていても、ボトムプレート12で蓋をされる構造となっている。従って、上記信号処理回路の電磁シールドは、ボトムプレート12とシールドカバー24との双方で行われる。
【0046】
図7を参照して、図4乃至図6に示したアンテナ装置10に使用されるシールドカバー24の構成について説明する。
【0047】
図示のシールドカバー24は、後述するように、天井部の構成が主に相違している点を除いて、図1および図2に示したシールドカバー24’と同様の構成を有している。したがって、天井部に241の参照符号を付してある。シールドカバー24において、図1および図2に示したシールドカバー24’と同様の機能を有するものには、同一の参照符号を付してある。
【0048】
シールドカバー24は、従来のシールドカバー24’と異なり、4つの角部247と延長部248とがない。したがって、シールドカバー24では、前側壁部242、後側壁部243、右側壁部244、および左側壁部245から成る側壁部(242〜245)は、実質的に矩形筒状をしている。この側壁部(242〜245)は、回路基板21の裏面21bからこの回路基板21の延在する平面(X−Y平面)と直角(上下方向Z)に延在している。
【0049】
天井部241は、これら矩形筒状の側壁部242〜245の端で回路基板21の延在する平面(X−Y平面)と平行に延在し、かつボトムプレート12と対向して配置される。
【0050】
天井部241は、マウンタ吸着部241−1と、前外縁部241−2と、後外縁部241−3と、右外縁部241−4と、左外縁部241−5と、4本の梁部241−6とから構成されている。
【0051】
前外縁部241−2は、前側壁部242の端から前側壁部242の内側へ設けられている。後外縁部241−3は、後側壁部243の端から後側壁部243の内側へ設けられている。右外縁部241−4は、右側壁部244の端から右側壁部244の内側へ設けられている。左外縁部241−5は、左側壁部245の端から左側壁部245の内側へ設けられている。従って、前外縁部241−2、後外縁部241−3、右外縁部241−4、および左外縁部241−5から成る外縁部(241−2〜241−5)は、矩形リング状をしている。
【0052】
マウンタ吸着部241−1は、天井部241の中央部に設けられて、マウンタの吸着ノズル(後述する)で吸着される部分である。4本の梁部241−6は、マウンタ吸着部241−1と外縁部(241−2〜241−5)とを繋ぐ。図示の例では、4本の梁部241−6は、矩形リング状の外縁部(241−2〜241−5)の四隅からマウンタ吸着部241−1へ向けて延在するX字形をしている。
【0053】
図示の実施の形態では、側壁部(242〜245)は矩形筒状をしているが、側壁部は他の形の筒状をしていてもよい。同様に、図示の実施の形態では、外縁部(241−2〜241−5)は矩形リング状をしているが、外縁部は他の形のリング状をしていてもよい。さらに、図示の実施の形態では、梁部241−6は4本から成るが、梁部の本数は4本に限定されず、梁部は複数本あればよい。また、図示の実施の形態では、梁部241−6はX字形をしているが、梁部は十字形など他の形をしていてもよいのは勿論である。
【0054】
このように、図示のシールドカバー24は、天井部241に開口部を有する形状をしているので、従来のシールドカバー24’と比較して、その重量を軽くすることができる。その結果、小型のマウンタの吸着ノズルを用いて、シールドカバー24を吸着することが可能となる。したがって、後述するように、小型のマウンタを使用して、リフロー処理により、シールドカバー24を回路基板21の裏面21b上に半田付け固着することができる。
【0055】
また、本実施の形態に係るアンテナ装置10では、上述したように、信号処理回路の電磁シールドは、ボトムプレート12とシールドカバー24との双方で行われるので、上記特許文献6に開示されているような、シールドカバーと枠体とから成るシールド部材を使用する必要がない。すなわち、ボトムプレート12が電磁シールドの役目をも果たしているので、信号処理回路を電磁シールドするために、シールドカバー24の他に更に別のシールド専用部品を必要としない。
【0056】
次に、図8を参照して、アンテナ装置10に用いられるアンテナモジュール14の組立方法について説明する。
【0057】
先ず、図8(A)に示されるように、互いに対向する第1の面21b及び第2の面21aを持つ回路基板21を用意する。ここで、第1の面21bは回路基板21の裏面であり、第2の面21aは回路基板21の表面であることに注意されたい。尚、回路基板21の第1の面(裏面)21aには、上記信号処理回路を構成する複数の実装部品(後述する)の端子が接続される複数の電極パッド(図示せず)と、シールドカバー24の側壁部(242〜245)の端辺が接続されるシールドパッド(図示せず)とが形成されている。
【0058】
引き続いて、図8(B)に示されるように、回路基板21の第1の面21b上にマスク51を搭載する。このマスク51には、上記複数の電極パッドと対応する位置に穿設された複数の電極パッド用穴51aと、上記シールドパッドと対応する位置に穿設されたシールドパッド用穴51bとが形成されている。
【0059】
次に、図8(C)に示されるように、マスク51の上記複数の電極パッド用穴51aおよび上記シールドパッド用穴51bを介して、それぞれ、半田ペースト53aおよび53bを、上記複数の電極パッド上および上記シールドパッド上に塗布する。そして、マスク51を回路基板21の第1の面(裏面)21bから剥がす。
【0060】
このようにして、マスク51を使用して、回路基板21の第1の面(裏面)21b上の所定の箇所(電極パッドおよびシールドパッド)に半田ペースト53aおよび53bが塗布される。
【0061】
次に、図8(D)に示されるように、小型のマウンタの吸着ノズル55で、信号処理回路を構成する複数の実装部品23を吸着して、複数の実装部品23を回路基板21の第1の面21b上に実装する。このとき、複数の実装部品23の端子は、半田ペースト53aを介して複数の電極パッドと接続される。
【0062】
引き続いて、図8(D)および図8(E)に示されるように、小型のマウンタの吸着ノズル55で、シールドカバー24のマウンタ吸着部241−1(図7)を吸着して、シールドカバー24を回路基板21の第1の面21b上に搭載する。このとき、図8(E)に示されるように、シールドカバー24の側壁部(242〜245)の端辺は、半田ペースト53bを介してシールドパッドと接続される。
【0063】
次に、図8(F)に示されるように、リフロー処理により、複数の実装部品23とシールドカバー24とを回路基板21の第1の面21b上に半田付け固着する。
【0064】
引き続いて、図8(F)に示されるように、電波を受信する平面アンテナ素子20を回路基板21の第2の面(表面)21a上に搭載する。そして、平面アンテナ素子20の給電ピン201を、回路基板21の第1の面21bのパターン(図示せず)と半田57により接続する。これにより、平面アンテナ素子20と信号処理回路(実装部品23)とは電気的に接続される。
【0065】
最後に、図8(G)に示されるように、同軸ケーブル(信号線)16の先端部を、シールドカバー24の開口(同軸ケーブル挿入孔)242aを介して、回路基板21の第1の面(裏面)21b上に挿入(搭載)して、同軸ケーブル16の先端部で露出している中心導体162と外部導体164とを、回路基板21の第1の面21b上に半田59付けする。このとき、半田59により、同軸ケーブル16の外部導体164は、シールドカバー24の保持片246とも電気的に接続される。これにより、シールドカバー24と同軸ケーブル16の外部導体164とは同電位となる。
【0066】
このように、本実施の形態では、小型のマウンタを使用して、リフロー処理により、シールドカバー24を回路基板21の裏面21b上に半田53b付け固着することができる。
【0067】
また、シールドカバー24の天井部241には開口部があるので、シールドカバー24を回路基板21の裏面21b上に半田53b付け固着した後で、平面アンテナ素子20の給電ピン201と同軸ケーブル16とを、回路基板21の裏面21b上に半田57および59付けすることが可能となる。
【0068】
図9を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置10Aについて説明する。図示のアンテナ装置10Aは、SDARS信号受信用のアンテナモジュール14Aと、バーアンテナ60とを複合した複合アンテナ装置である。図9は複合アンテナ装置10Aの分解斜視図である。
【0069】
アンテナモジュール14Aは、シールドカバーの構成が図7に示したものから後述するように変更されている点を除いて、図6に示したものと同様の構成を揺する。したがって、シールドカバーに24Aの参照符号を付している。
【0070】
シールドカバー24Aは、側壁部の構成が後述するように変更されている点を除いて、図7に示したシールドカバー24と同様の構成を有する。
【0071】
すなわち、図7に示したシールドカバー24の側壁部は、前側壁部242、後側壁部243、右側壁部244、および左側壁部245のみから構成されているが、図9に示したシールドカバー24Aの側壁部は、これら4つの側壁部(242〜245)に加えて更に4つの角部247を更に備えている。
【0072】
複合アンテナ装置10Aは、ドーム状のトップカバー11Aとボトムプレート12Aとから成るアンテナケース13Aを備える。アンテナモジュール14Aはトップカバー11A内に収納される。図示のボトムプレート12Aは、ダイカストで鋳造されている。
【0073】
図示の複合アンテナ装置10Aにおいても、シールドカバー24Aの直下にボトムプレート12Aが存在する。換言すれば、アンテナモジュール14Aをアンテナケース13A内に収容したとき、シールドカバー24Aに対向してボトムプレート12Aが配置されることになる。したがって、シールドカバー24Aの天井部241(図7参照)に穴(開口部)が空いていても、ボトムプレート12Aで蓋をされる構造となっている。従って、信号処理回路の電磁シールドは、ボトムプレート12Aとシールドカバー24Aとの双方で行われる。
【0074】
バーアンテナ60は、トップカバー11Aに装着される。バーアンテナ60は、AM/FMラジオ帯の電波を受信すると共に、セルラー用の電波を送受信するアンテナである。
【0075】
トップカバー11A内には、第2の回路基板62も収容されている。この第2の回路基板62には、AM/FMラジオ用ブースタ回路が搭載される。ボトムプレート12Aの主面12Aaから3つのネジボス122が立設している。この3つのネジボス122上に、第2の回路基板62が3本のネジ64によって固定される。したがって、第2の回路基板62は、ボトムプレート12Aの主面12Aaから離間して配置される。
【0076】
また、ボトムプレート12Aの前方側で、その主面12Aaから1つのネジボス124が立設している。また、ボトムプレート12Aには、左右両側に4つのネジ穴126が穿設されている。
【0077】
ボトムプレート12Aの下部にベースパッド66が取り付けられる。上記1つのネジボス124と上記4つのネジ穴126とに対応する位置に、ベースパッド66は5つの貫通穴662を持つ。ベースパッド66側からボトムプレート12Aへ5本のネジ68を挿入(螺合)することによって、ボトムプレート12Aはトップカバー11Aに螺子止めされて固定される。
【0078】
また、ボトムプレート12Aは、その下面から下方へ延出する円筒状のボルト128を有する。ベースパッド66は、このボルト128が貫通する貫通穴664を持つ。
【0079】
図示しない自動車等の車体(移動体)の屋根には、上記ボルト128が貫通する開口が空けられている。この開口から突出したボルト128にナット(図示せず)を螺合することにより、複合アンテナ装置10Aは、移動体(車体)の屋根に固定される。
【0080】
尚、シールドカバー24A内に先端部が挿入(固着)されている信号線(同軸ケーブル)(図示せず)は、上記円筒状のボルト128を介して車体(移動体)の内部へ引き回される。また、上記AM/FMラジオ用ブースタ回路に接続された信号線やセルラー用アンテナの信号線も、上記円筒状のボルト128を介して車体(移動体)の内部へ引き回される。
【0081】
図10を参照して、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナ装置10Bについて説明する。図示のアンテナ装置10Bは、GPS信号受信用のアンテナ装置である。
【0082】
図示のアンテナ装置10Bは、パッキン部材(ガスケット)とボトムプレートとが後述するように変更されている点を除いて、図4乃至図6に示したアンテナ装置10と同様の構成を有する。したがって、パッキン部材(ガスケット)およびボトムプレートに、それぞれ、15Aおよび12Bの参照符号を付してある。図4乃至図6に示したアンテナ装置10と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、以下では説明の簡略化のために重複した説明については省略する。
【0083】
ドーム状のトップカバー11とボトムプレート12Bとの組み合わせによって、アンテナケース13Bが構成される。平面アンテナ素子20と回路基板21の主面21aとは、両面テープ22などによって接合されている。
【0084】
アンテナ装置10Bは、トップカバー11の内部空間にアンテナモジュール14およびパッキン部材(ガスケット)15Aが収納された状態で、このトップカバー11とボトムプレート12Bとが3本の螺子26によって螺子止めされることにより一体化される。
【0085】
図11を参照して、パッキン部材(ガスケット)15Aの構成について更に詳細に説明する。図11において、(a)はパッキン部材(ガスケット)15Aの平面図であり、(b)はパッキン部材(ガスケット)15Aの正面図であり、(c)はパッキン部材(ガスケット)15Aの右側面図であり、(d)はパッキン部材(ガスケット)15Aの背面図であり、(e)はパッキン部材(ガスケット)15Aの底面図であり、(f)は(a)のA−A線での断面図であり、(g)は(a)のB−B線での断面図である。
【0086】
パッキン部材(ガスケット)15Aは、アンテナモジュール14の全面を覆うベース部15aと、トップカバー11に形成された切欠部11a(図4参照)の位置で信号線(同軸ケーブル)16の外周を覆うガスケット部15bとを有する。
【0087】
ベース部15aは凹部15cを有する。アンテナモジュール14はこの凹部15cによって位置決めされる。凹部15cの外形状はアンテナモジュール14の底面部全体をほぼ覆う形状とされている。
【0088】
パッキン部材(ガスケット)15Aは、トップカバー11とボトムプレート12Bとが接合された際に、トップカバー11とボトムプレート12Bによって挟持され、接合部における気密性を確保する目的で配設されている。ガスケット部15bは、トップカバー11における切欠部11aに対応する位置で、ベース部15aから立ち上がり形成される。ガスケット部15bは、中央部に信号線(同軸ケーブル)16を挿通するための孔部15dを持つ。
【0089】
パッキン部材(ガスケット)15Aは、孔部15dの下側から外方へ延在する凸部15eを有する。この凸部15eは、信号線(同軸ケーブル)16の下側に当接して防水構造を成す。凸部15eは、トップカバー11の切欠き部11aから外部に露出するように設けられて、アンテナ本体表面の一部を形成している。パッキン部材15は、更に、ベース15aの下面に設けられた4本の突起部(足)15fを持つ。これら突起部(足)15fは、ボトムプレート12B、樹脂シート31を貫通してアンテナ本体の底面から露出している。これら突起部(足)15fはアンテナ本体を自動車のルーフに置いた際のすべり止めとなる。
【0090】
図12を参照して、ボトムプレート12Bの構成について説明する。図12において、(a)はボトムプレート12Bの底面図であり、(b)はボトムプレート12Bの正面図であり、(c)はボトムプレート12Bの側面図であり、(d)は(a)のA−A線での断面図である。
【0091】
ボトムプレート12Bには、中央部に単一の凹部12aが形成されている。この凹部12aに永久磁石30が配設される。この永久磁石30は、自動車のルーフにアンテナ装置10Bを吸着固定させるために配設されるものである。ボトムプレート12Bは、パッキン部材(ガスケット)15Aの上記4本の突起部(足)15fを貫通するための4つの貫通穴12bを持つ。また、ボトムプレート12Bは、3本の螺子26を通すための穴12cをも持つ。
【0092】
図10に示されるように、ボトムプレート12Bの外方に臨む側の主面には、当該主面の略全面に渡って、自動車のルーフへの傷付き防止を目的とした樹脂シート31が貼り付けられる。この樹脂シート31には、当該アンテナ装置10Bの型番号や名称などがプリントされる。
【0093】
図13にボトムプレート12Bとパッキン部材(ガスケット)15Aとを組合わせた状態を示す。図13から分かるように、ボトムプレート12Bに形成された貫通穴12bの径は、パッキン部材(ガスケット)15Aの突起部(足)15fの径より大きい。
【0094】
また、この突起部(足)15fの長さは、たとえ当該突起部(足)15fが横方向へ弾性変形したとしても、貫通穴12bの角に突起部(足)15fが当たらない程度に短くされている。また、図11に示されるように、突起部(足)15fの先端部はR形状(丸い形状)にされている。
【0095】
このような構成により、たとえ突起部(足)15fが横方向へ弾性変形しても、ボトムプレート12Bの貫通穴12bの角にパッキン部材(ガスケット)15Aの突起部(足)15fが当たることなく、突起部(足)15fがボトムプレート12Bの貫通穴12bに逃げて行くことになるから、アンテナ組立の際の作業性が良くなる。
【0096】
図11(f)および(g)から明らかなように、パッキン部材(ガスケット)15Aにおけるベース部15aの凹部15cの厚さは、非常に薄い。例えば、その凹部15cの厚さは0.2〜0.5mm程度である。
【0097】
したがって、この薄いパッキン部材(ガスケット)15Aの凹部15cを介して、シールドカバー24とボトムプレート12Bとが互いに対向して配置されることになる。したがって、本実施の形態に係るアンテナ装置10Bにおいても、上記信号処理回路の電磁シールドを、ボトムプレート12Bとシールドカバー24との双方で行うことが可能となる。
【0098】
以上、本発明について好ましい実施の形態によって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定しないのは勿論である。例えば、上記実施の形態において説明したアンテナ装置は、GPS信号受信用のアンテナ装置やSDARS信号受信用のアンテナ装置に適しているが、これに限定される訳ではなく、他の衛星波、地上波、その他の電波を受信するための移動体通信用のアンテナ装置としても適用可能である。
【符号の説明】
【0099】
10、10A、10B アンテナ装置
11、11A トップカバー
12、12A、12B ボトムプレート
13、13A、13B アンテナケース
14、14A アンテナモジュール
15、15A パッキン部材(ガスケット)
16 信号線(同軸ケーブル)
20 平面アンテナ素子
21 回路基板
21a 回路基板の主面
21b 回路基板の裏面
22 両面テープ
24、24A シールドカバー
241 天井部
241−1 マウンタ吸着部
241−2〜241−5 矩形リング状の外縁部
241−6 梁部
242〜245 矩形筒状の側壁部
242a 開口(同軸ケーブル挿入孔)
246 保持片
247 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する主面と裏面とを持つ回路基板と、
前記回路基板の主面上に搭載されて、電波を受信する平面アンテナ素子と、
前記回路基板の裏面上に搭載されて、前記平面アンテナ素子と接続された信号処理回路と、
前記回路基板の裏面上に取り付けられて、前記信号処理回路を電磁シールドするシールドカバーと、
該シールドカバーと対向して配置されたボトムプレートとを有するアンテナ装置において、
前記シールドカバーは、前記回路基板の裏面から該回路基板の延在する平面と直角に延在する筒状の側壁部と、該側壁部の端で前記回路基板の延在する平面と平行に延在し、かつ前記ボトムプレートと対向する天井部とを備え、
前記天井部は、当該天井部の中央部に設けられて、マウンタの吸着ノズルで吸着されるマウンタ吸着部と、前記側壁部の端から前記側壁部の内側へ設けられたリング状の外縁部と、前記マウンタ吸着部と前記外縁部とを繋ぐ複数本の梁部とから成り、
前記信号処理回路の電磁シールドを、前記シールドカバーと前記ボトムプレートとの双方で行うようにしたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記側壁部は矩形筒状をしており、前記外縁部は矩形リング状をしている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記複数本の梁部は、前記矩形リング状の外縁部の四隅から前記マウンタ吸着部へ向けて延在するX字形の4本の梁部から成る、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記シールドカバーの前記筒状の側壁部は、開口を持ち、
前記アンテナ装置は、前記開口を介して前記シールドカバー内に先端部が挿入されて、前記回路基板の裏面上に半田付けされる同軸ケーブルを更に有する、
請求項1乃至3のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記シールドカバーは、前記同軸ケーブルの先端部を保持するための保持片を更に有する、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナ装置は、前記電波として、GPS衛星から送信されたGPS信号を受信するための汎地球測位システム(GPS)アンテナ装置から成る、請求項1乃至5のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記アンテナ装置は、前記電波として、SDARS衛星から送信されたSDARS信号を受信するための衛星デジタルラジオ放送サービス(SDARS)アンテナ装置から成る、請求項1乃至5のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【請求項8】
ボトムプレートと対向して配置され、回路基板の裏面上に搭載された信号処理回路を電磁シールドするシールドカバーであって、
前記回路基板の裏面から該回路基板の延在する平面と直角に延在する筒状の側壁部と、該側壁部の端で前記回路基板の延在する平面と平行に延在し、かつ前記ボトムプレートと対向する天井部とを備え、
前記天井部は、当該天井部の中央部に設けられて、マウンタの吸着ノズルで吸着されるマウンタ吸着部と、前記側壁部の端から前記側壁部の内側へ設けられたリング状の外縁部と、前記マウンタ吸着部と前記外縁部とを繋ぐ複数本の梁部とから成り、
前記信号処理回路の電磁シールドを、前記シールドカバーと前記ボトムプレートとの双方で行うようにしたことを特徴とするシールドカバー。
【請求項9】
前記側壁部は矩形筒状をしており、前記外縁部は矩形リング状をしている、請求項8に記載のシールドカバー。
【請求項10】
前記複数本の梁部は、前記矩形リング状の外縁部の四隅から前記マウンタ吸着部へ向けて延在するX字形の4本の梁部から成る、請求項9に記載のシールドカバー。
【請求項11】
前記筒状の側壁部は、同軸ケーブルの先端部が挿入される開口を持つ、請求項8乃至10のいずれか1つに記載のシールドカバー。
【請求項12】
前記同軸ケーブルの先端部を保持するための保持片を更に有する、請求項11に記載のシールドカバー。
【請求項13】
互いに対向する第1の面及び第2の面を持つ回路基板を用意する工程と、
前記回路基板の第1の面上にマスクを使用して所定の箇所に半田ペーストを塗布する工程と、
前記回路基板の第1の面上に信号処理回路を構成する複数の実装部品を実装する工程と、
前記回路基板の第1の面上に、前記信号処理回路をシールドするためのシールドカバーを吸着ノズルで吸着して搭載する工程であって、前記シールドカバーは、前記回路基板の第1の面から該回路基板の延在する方向と直角に延在する筒状の側壁部と、該側壁部の端で前記回路基板の延在する方向と平行に延在する天井部とを備え、前記天井部は、当該天井部の中央部に設けられて、前記吸着ノズルで吸着されるマウンタ吸着部と、前記側壁部の端から前記側壁部の内側へ設けられたリング状の外縁部と、該マウンタ吸着部と前記外縁部とを繋ぐ複数の梁部とから成る、工程と、
リフロー処理により、前記複数の実装部品と前記シールドカバーとを前記回路基板の第1の面上に半田固着する工程と、
電波を受信する平面アンテナ素子を前記回路基板の第2の面上に搭載して、前記平面アンテナ素子を前記信号処理回路と電気的に接続する工程と、
を含むアンテナモジュールの組立方法。
【請求項14】
前記シールドカバーの前記側壁部は、同軸ケーブルの先端部が挿入される開口を持ち、
前記開口を介して前記シールドカバー内に挿入される前記同軸ケーブルの先端部で露出している中心導体と外部導体とを、前記回路基板の第1の面上に半田付けにより接続する工程を更に含む、請求項13に記載のアンテナモジュールの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−10228(P2011−10228A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154124(P2009−154124)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】