アンテナ装置、及び無線装置
【課題】複数の周波数で共振するアンテナ装置であって、共振周波数の帯域の調整が容易なアンテナ装置、及び無線装置を提供すること
【解決手段】実施形態によれば、地板と、前記地板に設けられた給電点と、一端が前記給電点に接続され、前記給電点から他端までの長さが共振周波数の4分の1波長である第1線状素子と、一端が前記第1線状素子に接続され、前記給電点から他端までの長さが前記共振周波数の12分のk波長(kは整数)でなく、前記第1線状素子の他端から前記第1線状素子に沿うように配置された第2線状素子と、を備えることを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、地板と、前記地板に設けられた給電点と、一端が前記給電点に接続され、前記給電点から他端までの長さが共振周波数の4分の1波長である第1線状素子と、一端が前記第1線状素子に接続され、前記給電点から他端までの長さが前記共振周波数の12分のk波長(kは整数)でなく、前記第1線状素子の他端から前記第1線状素子に沿うように配置された第2線状素子と、を備えることを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アンテナ装置、及び無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ装置を広帯域化する技術として、たとえば非特許文献1に開示される技術が知られている。非特許文献1に記載されるアンテナ装置は、長さの異なるアンテナ素子を複数有しており、各アンテナ素子の長さを共振したい周波数の4分の1波長とすることで、複数の周波数と共振することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Chunna Zhang, Songnan Yang, Samir El-Ghazaly, Aly E. Fathy and Vijay K. Nair, “A Low-Profile Branched Monopole Laptop Reconfigurable Multiband Antenna for Wireless Applications” IEEE ANTENNAS AND WIRELESS PROPAGATION LETTERS, VOL.8, 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載されるアンテナ装置では、共振したい周波数毎にアンテナ素子を用意する必要がある。このため、共振周波数に応じてアンテナの素子数や長さを変更しなければならず、帯域の調整が難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、複数の周波数で共振するアンテナ装置であって、共振周波数帯域の調整が容易なアンテナ装置、及び無線装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によると、地板と、前記地板に設けられた給電点と、一端が前記給電点に接続され、前記給電点から他端までの長さが共振周波数の4分の1波長である第1線状素子と、一端が前記第1線状素子に接続され、前記給電点から他端までの長さが前記共振周波数の12分のk波長(kは整数)でなく、前記第1線状素子の他端から前記第1線状素子に沿うように配置された第2線状素子と、を備えることを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【0007】
本発明の一実施形態によると、地板と前記地板に設けられた給電点と、一端が前記給電点に接続された第1線状素子と、一端が前記第1線状素子に接続された第2線状素子と、前記第1線状素子の他端及び前記第2線状素子の他端に接続された容量素子と、を備え、前記給電点から前記第1線状素子を経由して前記容量素子までの長さが共振周波数の4分の1波長であり、前記給電点から前記第2線状素子を経由して前記容量素子までの長さが前記共振周波数の12分のk波長(kは整数)でなく、ことを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【0008】
本発明の一実施形態によると、上述したアンテナ装置と、前記アンテナ装置を介して無線信号を送受信する無線部と、を有することを特徴とする無線装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係るアンテナ装置100を示す図。
【図2】第1の実施形態に係るアンテナ装置100の動作原理を示す図。
【図3】第1の実施形態に係るアンテナ装置100の動作原理を示す図。
【図4】第1の実施形態に係るアンテナ装置100の動作原理を示す図。
【図5】第1の実施形態に係るアンテナ装置100の動作原理を示す図。
【図6】第1の実施形態に係るアンテナ装置100の周波数変化を示す図。
【図7】第2の実施形態に係るアンテナ装置200を示す図。
【図8】第3の実施形態に係るアンテナ装置300の周波数変化を示す図。
【図9】第3の実施形態に係るアンテナ装置300の総効率を示す図。
【図10】第3の実施形態に係るアンテナ装置300のインピーダンスを示す図。
【図11】第3の実施形態に係るアンテナ装置300のインピーダンスを示す図。
【図12】第3の実施形態に係るアンテナ装置300のインピーダンスを示す図。
【図13】第3の実施形態に係るアンテナ装置300の比帯域と総効率の関係を示す図。
【図14】第4の実施形態に係るアンテナ装置400を示す図。
【図15】第5の実施形態に係るアンテナ装置500を示す図。
【図16】第6の実施形態に係るアンテナ装置600を示す図。
【図17】第7の実施形態に係るアンテナ装置700を示す図。
【図18】第8の実施形態に係るアンテナ装置800を示す図。
【図19】第9の実施形態に係るアンテナ装置900を示す図。
【図20】第10の実施形態に係る無線装置1000を示す図。
【図21】第11の実施形態に係る無線装置1100を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るアンテナ装置100を示す図である。
【0012】
アンテナ装置100は、地板10と、一端が地板10に接続された第1線状素子11と、一端が第1線状素子11に接続された第2線状素子12と、第1線状素子11の他端及び第2線状素子12の他端に接続された結合素子20とを備えている。
【0013】
地板10は、有限の大きさを持つ板状導体で構成される。第1線状素子11は、例えば金などの導体で形成される放射素子である。図1に示す例では、第1線状素子11は、一端が地板10に接続され、地板10と垂直な第3線状素子13と、一端が第3線状素子13の他端に接続され、地板10と平行な第4線状素子14と、一端が第4線状素子14の他端に接続され、地板10と垂直な第5線状素子15と、一端が第5線状素子の他端に接続され、他端が結合素子20に接続され、地板10と平行な第6線状素子16とを有している。
【0014】
第1線状素子11は、例えば少なくとも3つの屈曲部A〜Cを有している。図1に示す例では、第3線状素子13と第4線状素子14との接続部が第1屈曲部Aである。第4線状素子14と第5線状素子15との接続部が第2屈曲部Bである。第5線状素子15と第6線状素子との接続部が第3屈曲部Cである。
【0015】
地板10と第1線状素子11との接続部を給電点30と称する。
【0016】
第2線状素子12は、例えば金などの導体で形成される放射素子である。図1に示す例では、第2線状素子11は、一端が第3線状素子13に接続され、他端が結合素子20に接続され、地板10と平行になるように設けられている。
【0017】
結合素子20は、例えばキャパシタなどで構成される。図1に示す例では、結合素子20は、第1線状素子11に接続された第1導体素子21と、該第1導体素子と平行になるよう設けられ、第2線状素子12に接続された第2導体素子22とを有している。
【0018】
アンテナ装置100は、給電点30から第1線状素子11を経由し結合素子20までの第1距離L1が第1共振周波数f1の4分の1波長の長さとなるよう構成される。図1の例では、第1線状素子11の素子長L11及び、第1導体素子21の第1線状素子11との接続点から第1導体素子21の辺または端部のうちもっとも長い距離L21の和(L11+L21)が、第1共振周波数f1の4分の1波長の長さとなる。
【0019】
アンテナ装置100は、給電点30から第2線状素子12を経由し結合素子20までの第2距離L2が第2距離L2を第1共振周波数f1の12分のk(kは整数)波長でない長さとなるよう構成される。図1の例では、第1線状素子11の給電点30から第2線状素子12との接続点Dまでの距離L’13と、第2線状素子12の素子長L12と、第2導体素子22の第2線状素子12との接続点から第2導体素子22の辺または端部のうちもっとも長い距離L22との和(L’13+L12+L22)が、第1共振周波数f1の12分のk波長でない長さとする。
【0020】
以下、図2乃至図5を用いて、本実施形態に係るアンテナ装置100の動作原理を説明する。まず、結合素子20の影響を考えない場合のアンテナ装置の動作を説明する。この場合、図2に示すように、アンテナ装置は、第1線状素子11の素子長L11を4分の1波長とする第1共振周波数f1で共振する第1の直列共振モードを有する。
【0021】
図3に示すように、アンテナ装置は、第1線状素子11の一部及び第2線状素子12で構成されるループの長さを2分の1波長とする第2共振周波数f2で共振する第1の並列共振モードを有する。
【0022】
また、図4に示すように、アンテナ装置は、第1線状素子11の素子長L11を4分の3波長とする第3共振周波数f3で共振する第2の直列共振モードを有する。
【0023】
図5に示すように、アンテナ装置は、第1線状素子11の一部及び第2線状素子12で構成されるループの長さを1波長とする第4共振周波数f4で共振する第2の並列共振モードを有する。なお、第1〜第4共振周波数f1〜f4は、f1<f2<f3<f4の関係を満たす。
【0024】
第1,2の直列共振モード及び第1,2の並列共振モードのうち、第1,2の直列共振モードのときにアンテナ装置の入力インピーダンスが数10Ω程度となり、アンテナ装置は、出力インピーダンスが50Ωである無線装置(図示せず)と接続して、第1、第3共振周波数f1、f3で動作することができる。
【0025】
アンテナ装置100は、第1共振周波数f1で最も強く共振し、周波数が高くなると共振しにくくなる。周波数が第2共振周波数f2に近づくとアンテナ装置100は共振しやすくなる。このようにアンテナ装置100は第1〜第4共振周波数f1〜f4で最も共振しやすいが、その他の周波数でも共振周波数ほどではないにしても共振することができる。そこで、本実施形態では、第1〜第4共振周波数f1〜f4を中心にVSWRが一定値以下となる帯域を第1〜第4共振周波数f1〜f4の帯域と称する。該一定値は、アンテナ装置100が搭載される無線装置(図示せず)にもよるが、一般的に3以下とすればよい。この場合、アンテナ装置100は電波の送受信が可能となる。つまり、アンテナ装置100が搭載された無線装置(図示せず)は、共振周波数の帯域内で通信を行うことができる。
【0026】
次に、結合素子20の影響を考えた場合のアンテナ装置100の動作原理をモード毎に説明する。
【0027】
(A)第1の直列共振モード
図2に示す第1の直列共振モードでアンテナ装置100が動作している場合、第1線状素子11に流れる電流は大きいが、第2線状素子12に流れる電流は小さい。従って、第1線状素子11に接続されている第1導体素子21及び第2線状素子に接続されている第2導体素子には大きな電荷の集中は起こらず、結合素子20の容量に変化が起こらない。このため、アンテナ装置100に与える結合素子20の影響は小さく、アンテナ装置100は、第1共振周波数f1で共振する。
【0028】
(B)第1の並列共振モード
図3に示す第1の並列共振モードでアンテナ装置100が動作している場合、第1線状素子11と第1導体素子21との接続部、及び第2線状素子12と第2導体素子22との接続部がそれぞれ電流の節となる。また、アンテナ装置100には、第1導体素子21と第2導体素子22とでそれぞれ逆向きの電荷が溜まるように電流が流れるため、第1導体素子21と第2導体素子22に大きな電位差が生じ、結合素子20に溜まる電荷が増大する。この場合、アンテナ装置100に与える結合素子20の影響が大きくなり、アンテナ装置100は、第2共振周波数f2より低い第’2共振周波数f’2(f’2<f2)で共振する。なお、第’2共振周波数f’2は、結合素子20の容量値によって決まる。
【0029】
(C)第2の直列共振モード
図4に示す第2の直列共振モードでアンテナ装置100が動作している場合、アンテナ装置100は、第1線状素子11の素子長を4分の3波長とする第3共振周波数f3で共振する。このとき、第2線状素子12にも電流が流れる。第2線状素子12に流れる電流の影響で、第1導体素子21と第2導体素子22とに電位差が生じ、結合素子20に溜まる電荷が増大する。この場合、アンテナ装置100に与える結合素子20の影響が大きくなり、アンテナ装置100は、第3共振周波数f3より低い第’3共振周波数f’3(f’3<f3)で共振する。なお、第’3共振周波数f’3は、結合素子20の容量値によって決まる。
【0030】
ここで、給電点30から第2線状素子12を経由し結合素子20までの第2距離L2が第1共振周波数f1の12分のk(kは整数)波長の場合を考える。この場合、第2距離L2は、第3共振周波数f3の4分のk波長となり、第2線状素子12も第3共振周波数f3で共振してしまう。第1線状素子11に加え、第1線状素子11よりも短い第2線状素子12からも電波が放射されると、アンテナ装置100の放射効率が劣化してしまう。そこで、本実施形態に係るアンテナ装置100では、第2距離L2を第1共振周波数f1の12分のk波長でない長さとすることで、アンテナ装置100の放射効率劣化を抑制する。
【0031】
(D)第2の並列共振モード
第5に示す第2の並列共振モードでアンテナ装置100が動作している場合、アンテナ装置100は、第1線状素子11の一部及び第2線状素子12で構成されるループの長さを1波長とする第4共振周波数f4で共振する。このとき、第1線状素子11と第1導体素子21との接続部、及び第2線状素子12と第2導体素子22との接続部がそれぞれ電流の節となる。アンテナ装置100には、第1導体素子21と第2導体素子22とでそれぞれ同符号の電荷が溜まるように電流が流れるため、第1導体素子21と第2導体素子22には大きな電位差が生じず、結合素子20には電荷がほとんど溜まらない。従って、アンテナ装置100に与える結合素子20の影響は小さく、アンテナ装置100は、第4共振周波数f4で共振する。
【0032】
以上の周波数変化を、図6を用いて説明する。図6に示すように、結合素子20の影響を考慮すると、アンテナ装置100の共振周波数は、f1〜f4から、f1,f’2,f’3,f4へと変化する。f1からf’2までの周波数間隔はf1からf2までの周波数間隔に比べ狭くなり、第1共振周波数f1の帯域が狭くなる。f’2からf’3までの周波数間隔は、f2からf3までの周波数間隔と変化はないが、f’3からf4までの周波数間隔がf3からf4までの周波数間隔より広くなるため、結果として第’3共振周波数f’3は第3共振周波数f3に比べて帯域が広くなる。
【0033】
第1共振周波数f1がどれだけ狭帯域化するか、及び第’3共振周波数f’3がどれだけ広帯域化するかは、f’2,f’3がどれだけ低周波化するか、即ち、容量素子20の容量値によって決まる。
【0034】
以上のように、本実施形態に係るアンテナ装置100は、第1共振周波数f1の4分の1波長の長さを有する第1線状素子11の先端と、第2線状素子12の先端とを結合素子20を介して結合させることで、アンテナ装置100が共振する第’2、’3共振周波数を変化させることができる。これにより、第1、’3共振周波数の帯域幅を変化させることができる。結合素子20の容量値を調整することで、第’2、’3共振周波数及び第1、’3共振周波数の帯域幅の変化量を調整することができる。
【0035】
このように、アンテナ装置100は、複数の周波数で共振するアンテナ装置であって、結合素子20の容量値を調整するだけで共振周波数帯域を容易に調整することができる。
【0036】
さらに、給電点30から第2線状素子12の先端までの距離(第2距離L2)を第1共振周波数f1の12分のk波長(kは整数)でない長さとすることで、アンテナ装置100の放射効率劣化を抑制することができる。
【0037】
(第2実施形態)
図7を用いて、本発明の第2実施形態に係るアンテナ装置200を説明する。本実施形態に係るアンテナ装置200は、図1のアンテナ装置100の結合素子20をインターディジタルキャパシタ23としている。インターディジタルキャパシタ23以外の構成は、図1のアンテナ装置100と同じであるため、同一符号を付し説明を省略する。
【0038】
インターディジタルキャパシタ23は、櫛歯状の第1導体素子211と第2導体素子221とが互い違いに向かい合うように配置することで、容量値を大きくした結合素子である。
【0039】
図7に示すインターディジタルキャパシタ23の第1導体素子211は、第6線状素子6の他端に接続され、第6線状素子6と垂直に設けられた第13導体素子213を有している。さらに第1導体素子211は、第13導体素子213の一端に接続され、第13導体素子213と垂直に設けられた第14導体素子214と、第13導体素子213の一端に接続され、第13導体素子213と垂直に設けられた第15導体素子215とを有している。図示しないが、第14、15導体素子214,215の間であって、一端が第13導体素子213に接続され、第13導体素子213と垂直に設けられた第16線状素子216とを有していてもよい。第16導体素子216は複数であってもよい。
【0040】
アンテナ装置200は、給電点30から第1線状素子11を経由しインターディジタルキャパシタ23までの第1距離L1が第1共振周波数f1の4分の1波長の長さとなるよう構成される。図7の例では、給電点30から第13〜第16導体素子213〜216のいずれかの端部までの距離のうち最も長いものが第1距離L1となる。
【0041】
第2導体素子221は、第2線状素子2の他端に接続され、第2線状素子2と垂直に設けられた第23導体素子223を有している。さらに第2導体素子221は、第23導体素子223の一端に接続され、第23導体素子223と垂直に設けられた第24導体素子224と、第23導体素子223の一端に接続され、第23導体素子223と垂直に設けられた第25導体素子225と、第24、25導体素子224,225の間であって、一端が第23導体素子223に接続され、第23導体素子223と垂直に設けられた第26導体素子226とを有している。図7に示す例では、第26線状素子226は1つだが、複数設けてもよい。
【0042】
アンテナ装置200は、給電点30から第2線状素子12を経由しインターディジタルキャパシタ23までの第2距離L2を第1共振周波数f1の12分のk(kは整数)波長でない長さとなるよう構成される。図7の例では、給電点30から第23〜第26導体素子223〜226のいずれかの端部までの距離のうち最も長いものが第2距離L2となる。
【0043】
第14、第15導体素子214、215及び第24〜第26導体素子224〜226は、交互に配置される。図7の例では、地板10に近いところから順に、第24導体素子224、第14導体素子214、第26導体素子226、第15導体素子215、第25導体素子215となるよう設けられている。
【0044】
なお、アンテナ装置200の動作原理は、図1のアンテナ装置100と同じであるため説明を省略する。
【0045】
以上のように、本実施形態に係るアンテナ装置200は、第1実施形態に係るアンテナ装置100と同様の効果が得られるとともに、結合素子をインターディジタルキャパシタ23とすることで、小さな面積で大きな容量値を実現することができる。
【0046】
(第3実施形態)
図8を用いて、本発明の第3実施形態に係るアンテナ装置300を説明する。図8に示すアンテナ装置300は、結合素子20を有していない点、及び第1、第2線状素子の長さを除き、図1のアンテナ装置100と同じ構成である。本実施形態に係るアンテナ装置300は、第1,2線状素子11,12の先端をオーバーラップさせることで、結合素子20を設けなくとも、結合素子20と同様の効果を得ることができる。
【0047】
図8のアンテナ装置300は、給電点30から他端までの長さが第1共振周波数の4分の1波長である第1線状素子31と、一端が第1線状素子31に接続され給電点30から他端までの長さが第1共振周波数の12分のk(kは整数)ではなく、第1線状素子31の先端から第1線状素子31に沿うように配置された第2線状素子32とを有している。
【0048】
第1線状素子31は、例えば金などの導体で形成される放射素子である。第1線状素子31は、図1と同様少なくとも3つの屈曲部A〜Cを有している。図8に示す例では、第1線状素子31は、給電点30を介して地板10に接続される。第1導体素子31は、地板10と垂直な第3線状素子33と、一端が第3線状素子33の他端に接続され、地板10と平行な第4線状素子34と、一端が第4線状素子34の他端に接続され、地板10と垂直な第5線状素子35と、一端が第5線状素子35の他端に接続された第6線状素子36とを有している。第6線状素子36は、他端から距離L_dだけ、第2線状素子32に沿うように配置される。
【0049】
アンテナ装置300は、給電点30から第1線状素子31の先端までの第1距離L31が第1共振周波数f1の4分の1波長の長さとなるよう構成される。図8の例では、第3〜第6線状素子33〜36の素子長の和(L33+L34+L35+L36)が第1線状素子31の素子長L31となり、第1共振周波数f1の4分の1波長の長さと成る。
【0050】
第2線状素子32は、例えば金などの導体で形成される放射素子である。図8に示す例では、第2線状素子32は、一端が第3線状素子33に接続され、他端から距離L_dだけ第6線状素子36に沿うように配置される。
【0051】
アンテナ装置300は、給電点30から第2線状素子32の先端までの第2距離L32が第1共振周波数f1の12分のk波長でない長さとなるよう構成される。図8の例では、第1線状素子31の給電点30から第2線状素子32との接続点Dまでの距離L’33と、第2線状素子32の素子長L32との和(L’33+L32)が第1共振周波数f1の12分のk波長でない長さとする。
【0052】
第1線状素子31の第6線状素子36及び第2線状素子32は、各先端から距離L_dだけ平行となっている。これにより、第1、第2導体素子の長さがL_dであるキャパシタが第1,2線状素子31,32の先端に接続されている場合と同じ効果が得られる。
【0053】
なお、アンテナ装置300の動作原理は、第1、第2線状素子31,32の先端を結合素子20であるとみなした場合、アンテナ装置100の動作原理と同じとなるため説明を省略する。
【0054】
図9を用いてアンテナ装置300の総効率について説明する。総効率とは、アンテナ装置300の放射効率と不整合による損失とを合わせた効率のことである。図9は、第3線状素子の給電点30から第2線状素子32との接続点Dまでの距離L’33=3.5mm、第3線状素子の素子長L33=7.0mm、第4線状素子34の素子長L34=42.5mm、第5線状素子35の素子長L35=2.5mm、第6線状素子L36の素子長L36=40mm、地板10の大きさをL_sub×W_sub=112mm×63mmとし、第2線状素子32の素子長L32をL32=10mmとした場合と、L32=25mmとした場合の各周波数におけるアンテナ装置300の総効率を示す図である。なお、L32=10mmの場合、L_d=7.5mmとなり、第1,2線状素子間の容量値は0.19pFとなる。L32=25mmの場合は、L_d=22.5mmとなり、第1,2線状素子間の容量値は0.57pFとなる。
【0055】
図9から、第2線状素子32の素子長L32の長さを変える、即ち第1,2線状素子間の容量値を変化させると、アンテナ装置300の共振周波数帯域が変化していることがわかる。
【0056】
図10に、L32=10mmの場合のアンテナ装置300のインピーダンスを示す。図10の実線がインピーダンスの実部、点線が虚部を示す。図10から、アンテナ装置300は、第1直列共振モードでは第1共振周波数f1=960MHzで、第1並列共振モードでは第2共振周波数f2=1410MHzで、第2直列共振モードでは第3共振周波数f3=2090MHzで、第2並列共振モードでは第4共振周波数f4=2930MHzで共振することがわかる。
【0057】
図11に、L32=25mmの場合のアンテナ装置300のインピーダンスを示す。図11の実線がインピーダンスの実部、点線が虚部を示す。図11から、アンテナ装置300は、第1直列共振モードでは第1共振周波数f1=910MHzで、第1並列共振モードでは第2共振周波数f2=1110MHzで、第2直列共振モードでは第3共振周波数f3=1790MHzで、第2並列共振モードでは第4共振周波数f4=2830MHzで共振することがわかる。
【0058】
第1実施形態でも説明した通り、第1並列共振モード及び第2直列共振モードの2つがより第1,2線状素子31,32間の結合の影響を受け、第2共振周波数f2、第3共振周波数f3が低周波化しやすい。第1,2線状素子31,32間の結合が強い、即ち第1,2線状素子31,32間の容量値が大きいほど、第2,3共振周波数f2、f3は低周波化する。図10、図11からアンテナ装置300は、第2線状素子32の長さL32をL32=10mmから25mmとすることで、第1共振周波数f1は50MHz、第2共振周波数f2は200MHz、第3共振周波数f3は300MHz、第4共振周波数f4は100MHzだけ低周波化していることがわかり、第2、3共振周波数f2、f3は他の共振周波数に比べて大きく低周波化していることがわかる。
【0059】
図12に、L32=10mm、25mmの場合のアンテナ装置300のインピーダンスの変化の詳細を示す。図12は、第2,3共振周波数f2、f3付近のアンテナ装置300のインピーダンスの変化を示す図であり、図10、図11の一部を拡大したものを重ね合わせた図である。図12では、L32=10mmの場合のインピーダンスの実部を細い実線、虚部を細い点線で示している。またL32=25mmの場合のインピーダンスの実部を太い実線、虚部を太い点線で示している。図6で示す通り、第2共振周波数f2から第3共振周波数f3へ移る場合のインピーダンスの虚部の変化は、L32=10mmの場合に比べ、L32=25mmの場合の方が緩やかである。このことから、L32=10mmの場合に比べ、L32=25mmの場合の方がアンテナ装置300が広帯域化していることがわかる。
【0060】
次に、図13を用いて、アンテナ装置300の第3共振周波数f3における総効率のピーク値、総効率が−2dB以上となる比帯域、及び第1,2線状素子31,32の線間容量値の関係を説明する。図13に示すように、線間容量値Cl=1.1pFの場合、比帯域、総効率のピーク値ともに最も小さくなる。線間容量値Clが大きくなるにつれて比帯域、総効率のピーク値いずれも大きくなるが、線間容量値がCl=0.7pFより小さくなると比帯域が減少しはじめ、線間容量値がCl=0.3pFより小さくなると総効率のピーク値が減少しはじめる。従って、第1,2線状素子31,32間の容量値Clが0.3pF以上0.7pF以下となるようにすると、アンテナ装置300の比帯域または総効率のピーク値を高くすることができる。特に線間容量値Cl=0.4pFのとき、比帯域も総効率のピーク値も両方大きくすることができる。
【0061】
以上のように、本実施形態に係るアンテナ装置300は、図1のアンテナ装置100と同様の効果が得られるとともに、第1,2線状素子31,32を結合素子20の代わりとすることで、アンテナ装置300の部品点数を削減することができる。
【0062】
アンテナ装置300は、第1,2線状素子31,32の線間容量値Clを変化させることで、共振周波数や周波数帯域幅を調整することができる。比帯域又は総効率のピークを大きくするためには、第1,2線状素子31,32の線間容量値Clを0.3pF以上0.7pF以下とするとよい。特に、比帯域、総効率のピーク値のどちらも高くしたい場合は、線間容量値Clを0.4pFとするとよい。このように、アンテナ装置300は、線間容量値Clを変化させるだけで所望の比帯域または総効率のピーク値を得ることもできる。
【0063】
なお、本実施形態では、地板10に近い方から第2線状素子32、第4線状素子34の順に配置される例について示したが、地板10に近い方から第4線状素子34、第2線状素子32の順に配置してもよい。
【0064】
(第4実施形態)
図14に本発明の第4実施形態に係るアンテナ装置400を示す。図14のアンテナ装置400は、第6線状素子46の一部がメアンダ形状を有している点を除き図8のアンテナ装置300と同じ構成を有するため、同一符号を付し説明を省略する。
【0065】
図14に示す第6線状素子46は、一端が第5線状素子35の他端に接続されたメアンダ状素子461と、一端がメアンダ状素子461の他端に接続された長さL_dの直線状素子462とを有している。直線状素子462は、第2線状素子32の他端から距離L_dだけ平行となるよう設けられる。
【0066】
アンテナ装置400の動作原理は図1のアンテナ装置100と同じであるため説明を省略する。
【0067】
以上のように第4実施形態に係るアンテナ装置400は、図1のアンテナ装置100及び図8のアンテナ装置300と同様の効果が得られるとともに、第6線状素子46の一部をメアンダ形状とすることで、アンテナ装置400を小型化することができる。
【0068】
なお、第6線状素子46ではなく、第2〜第5線状素子32〜35のいずれか又は複数の素子の一部をメアンダ形状としてもよい。
【0069】
(第5実施形態)
図15に本発明の第5実施形態に係るアンテナ装置500を示す。図15のアンテナ装置500は、第6線状素子56に可変容量素子50を設けている点を除き図8のアンテナ装置300と同じ構成であるため、同一符号を付し説明を省略する。
【0070】
第6線状素子56は、一端が第5線状素子35の他端に接続された直線状の第7線状素子57と、第7線状素子57の他端に接続された可変容量素子50と、一端が可変容量素子50に接続された直線状の第8線状素子58とを有している。第8線状素子58は、他端から距離L_dだけ第2線状素子32と平行となるよう設けられる。
【0071】
第6線状素子56に可変容量素子50を直列に設けることで、第1線状素子31の電気的な長さを調整することができるため、第1共振周波数f1を調整することができる。
【0072】
なお、アンテナ装置500の動作原理は図1のアンテナ装置100と同じであるため説明を省略する。
【0073】
以上のように、本実施形態に係るアンテナ装置500は、図1のアンテナ装置100及び図3のアンテナ装置300と同様の効果が得られるとともに、第6線状素子に直列に可変容量素子50を設けることで、共振周波数f1からf4を調整することができる。
【0074】
なお、可変容量素子50は、第6線状素子56ではなく、第3〜第5線状素子33〜35のいずれか又は複数の素子に設けてもよい。
【0075】
(第6実施形態)
図16を用いて本発明の第6実施形態に係るアンテナ装置600を説明する。本実施形態のアンテナ装置600は、第2〜第6線状素子62〜66の接続及び配置を除き図8のアンテナ装置300と同様の構成である。
【0076】
第3線状素子63は、一端が給電点30を介して地板10と接続される。第2線状素子62は、一端が第3線状素子63の他端に接続されている。第4線状素子64は、一端が第3線状素子に接続されている。第5線状素子65は、一端が第4線状素子64の他端に接続され、地板10から離れる方向に地板10と垂直になるよう配置される。第6線状素子66は一端が第5線状素子65の他端に接続される。
【0077】
アンテナ600は、給電点30から第1線状素子61の先端までの第1距離L61が第1共振周波数f1の4分の1波長の長さとなるよう構成される。図16の例では、第3線状素子63の給電点30から第4線状素子64との接続点までの長さL63、及び第4〜第6線状素子64〜66の素子長の和(L63+L64+L65+L66)が第1線状素子61の素子長L61となり、第1共振周波数f1の4分の1波長の長さとなる。
【0078】
第2線状素子62は、一端が第3線状素子63の他端に接続され、他端から距離L_dだけ第6線状素子66に沿うように配置される。
【0079】
アンテナ装置600は、給電点30から第2線状素子62の先端までの第2距離L62が第1共振周波数f1の12分のk波長でない長さとなるよう構成される。図16の例では、第1線状素子61の素子長L’63と、第2線状素子62の素子長L62との和(L’63+L62)が第1共振周波数f1の12分のk波長でない長さとする。
【0080】
図8に示すアンテナ装置300は、地板10に近い方から第2線状素子32、第4線状素子34の順に配置されるが、本実施形態に係るアンテナ装置600は、地板10に近い方から第4線状素子64、第2線状素子62の順に配置される。この順番は地板10に近い方から第2線状素子62、第4線状素子64の順になっていてもよい。それ以外の構成は図8に示すアンテナ装置300と同じ構成及び動作原理である。
【0081】
以上のように、本実施形態に係るアンテナ装置600によれば、第2線状素子62、第4線状素子64の配置を入れ替えても図1及び図8に示すアンテナ装置100,300と同様の効果が得られる。
【0082】
(第7実施形態)
図17を用いて本発明の第7実施形態に係るアンテナ装置700を説明する。本実施形態のアンテナ装置700は、図8のアンテナ装置300に第9線状素子90をさらに備えた構成となっている。それ以外の構成及び動作原理は図8のアンテナ装置300と同じであるため説明を省略する。
【0083】
図17に示すアンテナ装置700は、L型の第9線状素子90を備えている。第9線状素子90は、一端が給電点30付近の地板10に接続され、第3線状素子33に平行に設けられた線状素子91と、一端が線状素子91の他端に接続され、第2線状素子32及び第6線状素子36に平行な線状素子92を有している。図17の例では線状素子92は、第2線状素子32と地板10との間に設けられる。
【0084】
第9線状素子90は、無給電素子であり、第1、第2線状素子31,32に電流が流れると、第9線状素子90にも電流が流れ電波を放射する。第9線状素子90の素子長を調整することで、アンテナ装置700は、第1〜第4共振周波数f1〜f4以外の第5共振周波数f5で共振する。
【0085】
以上のように、アンテナ装置700は、図1及び図8に示すアンテナ装置100,300と同様の効果が得られるとともに、無給電素子である第9線状素子90を設けることで共振周波数を増やすことができ、さらなるマルチバンド化が可能となる。
【0086】
(第8実施形態)
図18を用いて本発明の第8実施形態に係るアンテナ装置800を説明する。本実施形態のアンテナ装置800は、図8のアンテナ装置300に第10線状素子810を加えた構成となっている。それ以外の構成及び動作原理は図8のアンテナ装置300と同じであるため説明を省略する。
【0087】
第10線状素子810は、一端が第3線状素子33の他端に接続され、他端が地板10に接続されている。図18の例では、第10線状素子810は、一端が第3線状素子33の他端に接続され第6線状素子36と平行な線状素子811と、一端が線状素子811の他端に接続され、他端が地板10に接続され、第3線状素子33と平行な線状素子812とを有している。
【0088】
このように、アンテナ装置800に短絡素子である第10線状素子810を設けることで、アンテナ装置800を高インピーダンス化することができる。
【0089】
(第9実施形態)
図19を用いて本発明の第9実施形態に係るアンテナ装置900を説明する。本実施形態では、図8に示すアンテナ装置300を、マイクロストリップラインを用いて実装する場合の例を示している。アンテナ装置900は、第2線状素子920の構成を除き図8に示すアンテナ装置300と同じ構成及び動作原理のため説明を省略する。
【0090】
アンテナ装置900は、誘電体基板910を有している。地板10は、誘電体基板910の一面に設けられる。第1線状素子31は、誘電体基板910の地板10が設けられたのと同じ一面に設けられる。第1線状素子31は、マイクロストリップラインで構成される。図19に示すように第1線状素子31の第3〜第6線状素子33〜36は1本のマイクロストリップラインとして構成してもよい。
【0091】
第2線状素子920は、誘電体基板910の地板10が設けられた一面と対抗する対面に設けられた線状素子921と、線状素子921と第3線状素子33とを接続するビア922とを有している。線状素子921はマイクロストリップラインで構成され、他端から距離L_dだけ第6線状素子36と平行となる。
【0092】
以上のように、第9実施形態に係るアンテナ装置900は、図1、図3に示すアンテナ装置100、300と同様の効果が得られるとともに、第2線状素子920と第6線状素子36とを誘電体基板910を挟んで平行となるよう配置することで、第2線状素子920及び第6線状素子36の地板10からの距離を等しくすることができる。これにより、アンテナ装置900を低姿勢化することができる。
【0093】
なお、誘電体基板910の代わりに磁性体の基板を用いてもよい。第1,2及び第4〜第8実施形態に示すアンテナ装置100,200,400〜800をマイクロストリップラインを用いて実装することもできる。
【0094】
(第10実施形態)
図20を用いて本発明の第10実施形態に係る無線装置1000を説明する。本実施形態では、図8のアンテナ装置300を無線装置1000に適用した例を説明する。
【0095】
図20の無線装置1000は、例えばノートPCのように折りたたんで持ち運びが可能な装置である。無線装置1000は、図示しない液晶ディスプレイなどが設けられた第1筐体1001と、図示しないキーボードなどが設けられた第2筐体1002とを有している。さらに無線装置1000は、第1筐体1001内部に図8に示すアンテナ装置300を、第2筐体1002内部に地板1003及び地板1003上に設けられた無線部1004を有している。無線部1004とアンテナ装置300の給電点30は同軸線路1005で接続されている。
【0096】
無線部1004は、図示しない上位レイヤから渡された送信データに対し、信号処理を施し送信信号を生成する。無線部1004は、生成した送信信号を、アンテナ装置300を介して送信する。
【0097】
無線部1004は、アンテナ装置300を介して受信した無線信号に対し、信号処理を施し受信データを生成する。無線部1004は、生成した受信データを図示しない上位レイヤに出力する。
【0098】
以上のように、図8に示すアンテナ装置300を例えばノートPCのような無線装置1000に搭載することで、共振周波数を容易に調整可能なアンテナ装置を備えた無線装置1000を実現することができる。また、ノートPC以外であってもディスクトップPCやテレビのように持ち運びしない無線装置に搭載することも可能である。
【0099】
(第11実施形態)
図21を用いて本発明の第11実施形態に係る無線装置1100を説明する。本実施形態では、図8のアンテナ装置300を無線装置1100に適用した例を説明する。
【0100】
図20の無線装置1100は、例えば携帯端末のように持ち運びが可能な装置である。無線装置1100は、図示しない液晶ディスプレイなどが設けられた筐体1101を有している。さらに無線装置1100は、筐体1101内部にアンテナ装置300と、地板10の一面に設けられた無線部1004とを有している。無線部1004とアンテナ装置300の給電点30とが同軸線路1103で接続されている。
【0101】
無線装置1100の動作は、図20の無線装置1000と同じであるため説明を省略する。
【0102】
以上のように、アンテナ装置300は、ノートPC以外であっても例えば携帯端末のような小型の無線装置にも搭載可能である。
【0103】
なお、第10、第11実施形態では、無線装置1000,1100に図8のアンテナ装置300を搭載する例について説明したが、図1、図7、図14〜図19に示すアンテナ装置100,200、400〜900を搭載してもよい。
【0104】
なお、本発明は上記の実施形態のそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0105】
10 地板、11〜16,31〜36,46,56,61〜66,90,810,920 線状素子、20,211,50 キャパシタ、30 給電点、1004 無線部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アンテナ装置、及び無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ装置を広帯域化する技術として、たとえば非特許文献1に開示される技術が知られている。非特許文献1に記載されるアンテナ装置は、長さの異なるアンテナ素子を複数有しており、各アンテナ素子の長さを共振したい周波数の4分の1波長とすることで、複数の周波数と共振することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Chunna Zhang, Songnan Yang, Samir El-Ghazaly, Aly E. Fathy and Vijay K. Nair, “A Low-Profile Branched Monopole Laptop Reconfigurable Multiband Antenna for Wireless Applications” IEEE ANTENNAS AND WIRELESS PROPAGATION LETTERS, VOL.8, 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載されるアンテナ装置では、共振したい周波数毎にアンテナ素子を用意する必要がある。このため、共振周波数に応じてアンテナの素子数や長さを変更しなければならず、帯域の調整が難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、複数の周波数で共振するアンテナ装置であって、共振周波数帯域の調整が容易なアンテナ装置、及び無線装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によると、地板と、前記地板に設けられた給電点と、一端が前記給電点に接続され、前記給電点から他端までの長さが共振周波数の4分の1波長である第1線状素子と、一端が前記第1線状素子に接続され、前記給電点から他端までの長さが前記共振周波数の12分のk波長(kは整数)でなく、前記第1線状素子の他端から前記第1線状素子に沿うように配置された第2線状素子と、を備えることを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【0007】
本発明の一実施形態によると、地板と前記地板に設けられた給電点と、一端が前記給電点に接続された第1線状素子と、一端が前記第1線状素子に接続された第2線状素子と、前記第1線状素子の他端及び前記第2線状素子の他端に接続された容量素子と、を備え、前記給電点から前記第1線状素子を経由して前記容量素子までの長さが共振周波数の4分の1波長であり、前記給電点から前記第2線状素子を経由して前記容量素子までの長さが前記共振周波数の12分のk波長(kは整数)でなく、ことを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【0008】
本発明の一実施形態によると、上述したアンテナ装置と、前記アンテナ装置を介して無線信号を送受信する無線部と、を有することを特徴とする無線装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係るアンテナ装置100を示す図。
【図2】第1の実施形態に係るアンテナ装置100の動作原理を示す図。
【図3】第1の実施形態に係るアンテナ装置100の動作原理を示す図。
【図4】第1の実施形態に係るアンテナ装置100の動作原理を示す図。
【図5】第1の実施形態に係るアンテナ装置100の動作原理を示す図。
【図6】第1の実施形態に係るアンテナ装置100の周波数変化を示す図。
【図7】第2の実施形態に係るアンテナ装置200を示す図。
【図8】第3の実施形態に係るアンテナ装置300の周波数変化を示す図。
【図9】第3の実施形態に係るアンテナ装置300の総効率を示す図。
【図10】第3の実施形態に係るアンテナ装置300のインピーダンスを示す図。
【図11】第3の実施形態に係るアンテナ装置300のインピーダンスを示す図。
【図12】第3の実施形態に係るアンテナ装置300のインピーダンスを示す図。
【図13】第3の実施形態に係るアンテナ装置300の比帯域と総効率の関係を示す図。
【図14】第4の実施形態に係るアンテナ装置400を示す図。
【図15】第5の実施形態に係るアンテナ装置500を示す図。
【図16】第6の実施形態に係るアンテナ装置600を示す図。
【図17】第7の実施形態に係るアンテナ装置700を示す図。
【図18】第8の実施形態に係るアンテナ装置800を示す図。
【図19】第9の実施形態に係るアンテナ装置900を示す図。
【図20】第10の実施形態に係る無線装置1000を示す図。
【図21】第11の実施形態に係る無線装置1100を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るアンテナ装置100を示す図である。
【0012】
アンテナ装置100は、地板10と、一端が地板10に接続された第1線状素子11と、一端が第1線状素子11に接続された第2線状素子12と、第1線状素子11の他端及び第2線状素子12の他端に接続された結合素子20とを備えている。
【0013】
地板10は、有限の大きさを持つ板状導体で構成される。第1線状素子11は、例えば金などの導体で形成される放射素子である。図1に示す例では、第1線状素子11は、一端が地板10に接続され、地板10と垂直な第3線状素子13と、一端が第3線状素子13の他端に接続され、地板10と平行な第4線状素子14と、一端が第4線状素子14の他端に接続され、地板10と垂直な第5線状素子15と、一端が第5線状素子の他端に接続され、他端が結合素子20に接続され、地板10と平行な第6線状素子16とを有している。
【0014】
第1線状素子11は、例えば少なくとも3つの屈曲部A〜Cを有している。図1に示す例では、第3線状素子13と第4線状素子14との接続部が第1屈曲部Aである。第4線状素子14と第5線状素子15との接続部が第2屈曲部Bである。第5線状素子15と第6線状素子との接続部が第3屈曲部Cである。
【0015】
地板10と第1線状素子11との接続部を給電点30と称する。
【0016】
第2線状素子12は、例えば金などの導体で形成される放射素子である。図1に示す例では、第2線状素子11は、一端が第3線状素子13に接続され、他端が結合素子20に接続され、地板10と平行になるように設けられている。
【0017】
結合素子20は、例えばキャパシタなどで構成される。図1に示す例では、結合素子20は、第1線状素子11に接続された第1導体素子21と、該第1導体素子と平行になるよう設けられ、第2線状素子12に接続された第2導体素子22とを有している。
【0018】
アンテナ装置100は、給電点30から第1線状素子11を経由し結合素子20までの第1距離L1が第1共振周波数f1の4分の1波長の長さとなるよう構成される。図1の例では、第1線状素子11の素子長L11及び、第1導体素子21の第1線状素子11との接続点から第1導体素子21の辺または端部のうちもっとも長い距離L21の和(L11+L21)が、第1共振周波数f1の4分の1波長の長さとなる。
【0019】
アンテナ装置100は、給電点30から第2線状素子12を経由し結合素子20までの第2距離L2が第2距離L2を第1共振周波数f1の12分のk(kは整数)波長でない長さとなるよう構成される。図1の例では、第1線状素子11の給電点30から第2線状素子12との接続点Dまでの距離L’13と、第2線状素子12の素子長L12と、第2導体素子22の第2線状素子12との接続点から第2導体素子22の辺または端部のうちもっとも長い距離L22との和(L’13+L12+L22)が、第1共振周波数f1の12分のk波長でない長さとする。
【0020】
以下、図2乃至図5を用いて、本実施形態に係るアンテナ装置100の動作原理を説明する。まず、結合素子20の影響を考えない場合のアンテナ装置の動作を説明する。この場合、図2に示すように、アンテナ装置は、第1線状素子11の素子長L11を4分の1波長とする第1共振周波数f1で共振する第1の直列共振モードを有する。
【0021】
図3に示すように、アンテナ装置は、第1線状素子11の一部及び第2線状素子12で構成されるループの長さを2分の1波長とする第2共振周波数f2で共振する第1の並列共振モードを有する。
【0022】
また、図4に示すように、アンテナ装置は、第1線状素子11の素子長L11を4分の3波長とする第3共振周波数f3で共振する第2の直列共振モードを有する。
【0023】
図5に示すように、アンテナ装置は、第1線状素子11の一部及び第2線状素子12で構成されるループの長さを1波長とする第4共振周波数f4で共振する第2の並列共振モードを有する。なお、第1〜第4共振周波数f1〜f4は、f1<f2<f3<f4の関係を満たす。
【0024】
第1,2の直列共振モード及び第1,2の並列共振モードのうち、第1,2の直列共振モードのときにアンテナ装置の入力インピーダンスが数10Ω程度となり、アンテナ装置は、出力インピーダンスが50Ωである無線装置(図示せず)と接続して、第1、第3共振周波数f1、f3で動作することができる。
【0025】
アンテナ装置100は、第1共振周波数f1で最も強く共振し、周波数が高くなると共振しにくくなる。周波数が第2共振周波数f2に近づくとアンテナ装置100は共振しやすくなる。このようにアンテナ装置100は第1〜第4共振周波数f1〜f4で最も共振しやすいが、その他の周波数でも共振周波数ほどではないにしても共振することができる。そこで、本実施形態では、第1〜第4共振周波数f1〜f4を中心にVSWRが一定値以下となる帯域を第1〜第4共振周波数f1〜f4の帯域と称する。該一定値は、アンテナ装置100が搭載される無線装置(図示せず)にもよるが、一般的に3以下とすればよい。この場合、アンテナ装置100は電波の送受信が可能となる。つまり、アンテナ装置100が搭載された無線装置(図示せず)は、共振周波数の帯域内で通信を行うことができる。
【0026】
次に、結合素子20の影響を考えた場合のアンテナ装置100の動作原理をモード毎に説明する。
【0027】
(A)第1の直列共振モード
図2に示す第1の直列共振モードでアンテナ装置100が動作している場合、第1線状素子11に流れる電流は大きいが、第2線状素子12に流れる電流は小さい。従って、第1線状素子11に接続されている第1導体素子21及び第2線状素子に接続されている第2導体素子には大きな電荷の集中は起こらず、結合素子20の容量に変化が起こらない。このため、アンテナ装置100に与える結合素子20の影響は小さく、アンテナ装置100は、第1共振周波数f1で共振する。
【0028】
(B)第1の並列共振モード
図3に示す第1の並列共振モードでアンテナ装置100が動作している場合、第1線状素子11と第1導体素子21との接続部、及び第2線状素子12と第2導体素子22との接続部がそれぞれ電流の節となる。また、アンテナ装置100には、第1導体素子21と第2導体素子22とでそれぞれ逆向きの電荷が溜まるように電流が流れるため、第1導体素子21と第2導体素子22に大きな電位差が生じ、結合素子20に溜まる電荷が増大する。この場合、アンテナ装置100に与える結合素子20の影響が大きくなり、アンテナ装置100は、第2共振周波数f2より低い第’2共振周波数f’2(f’2<f2)で共振する。なお、第’2共振周波数f’2は、結合素子20の容量値によって決まる。
【0029】
(C)第2の直列共振モード
図4に示す第2の直列共振モードでアンテナ装置100が動作している場合、アンテナ装置100は、第1線状素子11の素子長を4分の3波長とする第3共振周波数f3で共振する。このとき、第2線状素子12にも電流が流れる。第2線状素子12に流れる電流の影響で、第1導体素子21と第2導体素子22とに電位差が生じ、結合素子20に溜まる電荷が増大する。この場合、アンテナ装置100に与える結合素子20の影響が大きくなり、アンテナ装置100は、第3共振周波数f3より低い第’3共振周波数f’3(f’3<f3)で共振する。なお、第’3共振周波数f’3は、結合素子20の容量値によって決まる。
【0030】
ここで、給電点30から第2線状素子12を経由し結合素子20までの第2距離L2が第1共振周波数f1の12分のk(kは整数)波長の場合を考える。この場合、第2距離L2は、第3共振周波数f3の4分のk波長となり、第2線状素子12も第3共振周波数f3で共振してしまう。第1線状素子11に加え、第1線状素子11よりも短い第2線状素子12からも電波が放射されると、アンテナ装置100の放射効率が劣化してしまう。そこで、本実施形態に係るアンテナ装置100では、第2距離L2を第1共振周波数f1の12分のk波長でない長さとすることで、アンテナ装置100の放射効率劣化を抑制する。
【0031】
(D)第2の並列共振モード
第5に示す第2の並列共振モードでアンテナ装置100が動作している場合、アンテナ装置100は、第1線状素子11の一部及び第2線状素子12で構成されるループの長さを1波長とする第4共振周波数f4で共振する。このとき、第1線状素子11と第1導体素子21との接続部、及び第2線状素子12と第2導体素子22との接続部がそれぞれ電流の節となる。アンテナ装置100には、第1導体素子21と第2導体素子22とでそれぞれ同符号の電荷が溜まるように電流が流れるため、第1導体素子21と第2導体素子22には大きな電位差が生じず、結合素子20には電荷がほとんど溜まらない。従って、アンテナ装置100に与える結合素子20の影響は小さく、アンテナ装置100は、第4共振周波数f4で共振する。
【0032】
以上の周波数変化を、図6を用いて説明する。図6に示すように、結合素子20の影響を考慮すると、アンテナ装置100の共振周波数は、f1〜f4から、f1,f’2,f’3,f4へと変化する。f1からf’2までの周波数間隔はf1からf2までの周波数間隔に比べ狭くなり、第1共振周波数f1の帯域が狭くなる。f’2からf’3までの周波数間隔は、f2からf3までの周波数間隔と変化はないが、f’3からf4までの周波数間隔がf3からf4までの周波数間隔より広くなるため、結果として第’3共振周波数f’3は第3共振周波数f3に比べて帯域が広くなる。
【0033】
第1共振周波数f1がどれだけ狭帯域化するか、及び第’3共振周波数f’3がどれだけ広帯域化するかは、f’2,f’3がどれだけ低周波化するか、即ち、容量素子20の容量値によって決まる。
【0034】
以上のように、本実施形態に係るアンテナ装置100は、第1共振周波数f1の4分の1波長の長さを有する第1線状素子11の先端と、第2線状素子12の先端とを結合素子20を介して結合させることで、アンテナ装置100が共振する第’2、’3共振周波数を変化させることができる。これにより、第1、’3共振周波数の帯域幅を変化させることができる。結合素子20の容量値を調整することで、第’2、’3共振周波数及び第1、’3共振周波数の帯域幅の変化量を調整することができる。
【0035】
このように、アンテナ装置100は、複数の周波数で共振するアンテナ装置であって、結合素子20の容量値を調整するだけで共振周波数帯域を容易に調整することができる。
【0036】
さらに、給電点30から第2線状素子12の先端までの距離(第2距離L2)を第1共振周波数f1の12分のk波長(kは整数)でない長さとすることで、アンテナ装置100の放射効率劣化を抑制することができる。
【0037】
(第2実施形態)
図7を用いて、本発明の第2実施形態に係るアンテナ装置200を説明する。本実施形態に係るアンテナ装置200は、図1のアンテナ装置100の結合素子20をインターディジタルキャパシタ23としている。インターディジタルキャパシタ23以外の構成は、図1のアンテナ装置100と同じであるため、同一符号を付し説明を省略する。
【0038】
インターディジタルキャパシタ23は、櫛歯状の第1導体素子211と第2導体素子221とが互い違いに向かい合うように配置することで、容量値を大きくした結合素子である。
【0039】
図7に示すインターディジタルキャパシタ23の第1導体素子211は、第6線状素子6の他端に接続され、第6線状素子6と垂直に設けられた第13導体素子213を有している。さらに第1導体素子211は、第13導体素子213の一端に接続され、第13導体素子213と垂直に設けられた第14導体素子214と、第13導体素子213の一端に接続され、第13導体素子213と垂直に設けられた第15導体素子215とを有している。図示しないが、第14、15導体素子214,215の間であって、一端が第13導体素子213に接続され、第13導体素子213と垂直に設けられた第16線状素子216とを有していてもよい。第16導体素子216は複数であってもよい。
【0040】
アンテナ装置200は、給電点30から第1線状素子11を経由しインターディジタルキャパシタ23までの第1距離L1が第1共振周波数f1の4分の1波長の長さとなるよう構成される。図7の例では、給電点30から第13〜第16導体素子213〜216のいずれかの端部までの距離のうち最も長いものが第1距離L1となる。
【0041】
第2導体素子221は、第2線状素子2の他端に接続され、第2線状素子2と垂直に設けられた第23導体素子223を有している。さらに第2導体素子221は、第23導体素子223の一端に接続され、第23導体素子223と垂直に設けられた第24導体素子224と、第23導体素子223の一端に接続され、第23導体素子223と垂直に設けられた第25導体素子225と、第24、25導体素子224,225の間であって、一端が第23導体素子223に接続され、第23導体素子223と垂直に設けられた第26導体素子226とを有している。図7に示す例では、第26線状素子226は1つだが、複数設けてもよい。
【0042】
アンテナ装置200は、給電点30から第2線状素子12を経由しインターディジタルキャパシタ23までの第2距離L2を第1共振周波数f1の12分のk(kは整数)波長でない長さとなるよう構成される。図7の例では、給電点30から第23〜第26導体素子223〜226のいずれかの端部までの距離のうち最も長いものが第2距離L2となる。
【0043】
第14、第15導体素子214、215及び第24〜第26導体素子224〜226は、交互に配置される。図7の例では、地板10に近いところから順に、第24導体素子224、第14導体素子214、第26導体素子226、第15導体素子215、第25導体素子215となるよう設けられている。
【0044】
なお、アンテナ装置200の動作原理は、図1のアンテナ装置100と同じであるため説明を省略する。
【0045】
以上のように、本実施形態に係るアンテナ装置200は、第1実施形態に係るアンテナ装置100と同様の効果が得られるとともに、結合素子をインターディジタルキャパシタ23とすることで、小さな面積で大きな容量値を実現することができる。
【0046】
(第3実施形態)
図8を用いて、本発明の第3実施形態に係るアンテナ装置300を説明する。図8に示すアンテナ装置300は、結合素子20を有していない点、及び第1、第2線状素子の長さを除き、図1のアンテナ装置100と同じ構成である。本実施形態に係るアンテナ装置300は、第1,2線状素子11,12の先端をオーバーラップさせることで、結合素子20を設けなくとも、結合素子20と同様の効果を得ることができる。
【0047】
図8のアンテナ装置300は、給電点30から他端までの長さが第1共振周波数の4分の1波長である第1線状素子31と、一端が第1線状素子31に接続され給電点30から他端までの長さが第1共振周波数の12分のk(kは整数)ではなく、第1線状素子31の先端から第1線状素子31に沿うように配置された第2線状素子32とを有している。
【0048】
第1線状素子31は、例えば金などの導体で形成される放射素子である。第1線状素子31は、図1と同様少なくとも3つの屈曲部A〜Cを有している。図8に示す例では、第1線状素子31は、給電点30を介して地板10に接続される。第1導体素子31は、地板10と垂直な第3線状素子33と、一端が第3線状素子33の他端に接続され、地板10と平行な第4線状素子34と、一端が第4線状素子34の他端に接続され、地板10と垂直な第5線状素子35と、一端が第5線状素子35の他端に接続された第6線状素子36とを有している。第6線状素子36は、他端から距離L_dだけ、第2線状素子32に沿うように配置される。
【0049】
アンテナ装置300は、給電点30から第1線状素子31の先端までの第1距離L31が第1共振周波数f1の4分の1波長の長さとなるよう構成される。図8の例では、第3〜第6線状素子33〜36の素子長の和(L33+L34+L35+L36)が第1線状素子31の素子長L31となり、第1共振周波数f1の4分の1波長の長さと成る。
【0050】
第2線状素子32は、例えば金などの導体で形成される放射素子である。図8に示す例では、第2線状素子32は、一端が第3線状素子33に接続され、他端から距離L_dだけ第6線状素子36に沿うように配置される。
【0051】
アンテナ装置300は、給電点30から第2線状素子32の先端までの第2距離L32が第1共振周波数f1の12分のk波長でない長さとなるよう構成される。図8の例では、第1線状素子31の給電点30から第2線状素子32との接続点Dまでの距離L’33と、第2線状素子32の素子長L32との和(L’33+L32)が第1共振周波数f1の12分のk波長でない長さとする。
【0052】
第1線状素子31の第6線状素子36及び第2線状素子32は、各先端から距離L_dだけ平行となっている。これにより、第1、第2導体素子の長さがL_dであるキャパシタが第1,2線状素子31,32の先端に接続されている場合と同じ効果が得られる。
【0053】
なお、アンテナ装置300の動作原理は、第1、第2線状素子31,32の先端を結合素子20であるとみなした場合、アンテナ装置100の動作原理と同じとなるため説明を省略する。
【0054】
図9を用いてアンテナ装置300の総効率について説明する。総効率とは、アンテナ装置300の放射効率と不整合による損失とを合わせた効率のことである。図9は、第3線状素子の給電点30から第2線状素子32との接続点Dまでの距離L’33=3.5mm、第3線状素子の素子長L33=7.0mm、第4線状素子34の素子長L34=42.5mm、第5線状素子35の素子長L35=2.5mm、第6線状素子L36の素子長L36=40mm、地板10の大きさをL_sub×W_sub=112mm×63mmとし、第2線状素子32の素子長L32をL32=10mmとした場合と、L32=25mmとした場合の各周波数におけるアンテナ装置300の総効率を示す図である。なお、L32=10mmの場合、L_d=7.5mmとなり、第1,2線状素子間の容量値は0.19pFとなる。L32=25mmの場合は、L_d=22.5mmとなり、第1,2線状素子間の容量値は0.57pFとなる。
【0055】
図9から、第2線状素子32の素子長L32の長さを変える、即ち第1,2線状素子間の容量値を変化させると、アンテナ装置300の共振周波数帯域が変化していることがわかる。
【0056】
図10に、L32=10mmの場合のアンテナ装置300のインピーダンスを示す。図10の実線がインピーダンスの実部、点線が虚部を示す。図10から、アンテナ装置300は、第1直列共振モードでは第1共振周波数f1=960MHzで、第1並列共振モードでは第2共振周波数f2=1410MHzで、第2直列共振モードでは第3共振周波数f3=2090MHzで、第2並列共振モードでは第4共振周波数f4=2930MHzで共振することがわかる。
【0057】
図11に、L32=25mmの場合のアンテナ装置300のインピーダンスを示す。図11の実線がインピーダンスの実部、点線が虚部を示す。図11から、アンテナ装置300は、第1直列共振モードでは第1共振周波数f1=910MHzで、第1並列共振モードでは第2共振周波数f2=1110MHzで、第2直列共振モードでは第3共振周波数f3=1790MHzで、第2並列共振モードでは第4共振周波数f4=2830MHzで共振することがわかる。
【0058】
第1実施形態でも説明した通り、第1並列共振モード及び第2直列共振モードの2つがより第1,2線状素子31,32間の結合の影響を受け、第2共振周波数f2、第3共振周波数f3が低周波化しやすい。第1,2線状素子31,32間の結合が強い、即ち第1,2線状素子31,32間の容量値が大きいほど、第2,3共振周波数f2、f3は低周波化する。図10、図11からアンテナ装置300は、第2線状素子32の長さL32をL32=10mmから25mmとすることで、第1共振周波数f1は50MHz、第2共振周波数f2は200MHz、第3共振周波数f3は300MHz、第4共振周波数f4は100MHzだけ低周波化していることがわかり、第2、3共振周波数f2、f3は他の共振周波数に比べて大きく低周波化していることがわかる。
【0059】
図12に、L32=10mm、25mmの場合のアンテナ装置300のインピーダンスの変化の詳細を示す。図12は、第2,3共振周波数f2、f3付近のアンテナ装置300のインピーダンスの変化を示す図であり、図10、図11の一部を拡大したものを重ね合わせた図である。図12では、L32=10mmの場合のインピーダンスの実部を細い実線、虚部を細い点線で示している。またL32=25mmの場合のインピーダンスの実部を太い実線、虚部を太い点線で示している。図6で示す通り、第2共振周波数f2から第3共振周波数f3へ移る場合のインピーダンスの虚部の変化は、L32=10mmの場合に比べ、L32=25mmの場合の方が緩やかである。このことから、L32=10mmの場合に比べ、L32=25mmの場合の方がアンテナ装置300が広帯域化していることがわかる。
【0060】
次に、図13を用いて、アンテナ装置300の第3共振周波数f3における総効率のピーク値、総効率が−2dB以上となる比帯域、及び第1,2線状素子31,32の線間容量値の関係を説明する。図13に示すように、線間容量値Cl=1.1pFの場合、比帯域、総効率のピーク値ともに最も小さくなる。線間容量値Clが大きくなるにつれて比帯域、総効率のピーク値いずれも大きくなるが、線間容量値がCl=0.7pFより小さくなると比帯域が減少しはじめ、線間容量値がCl=0.3pFより小さくなると総効率のピーク値が減少しはじめる。従って、第1,2線状素子31,32間の容量値Clが0.3pF以上0.7pF以下となるようにすると、アンテナ装置300の比帯域または総効率のピーク値を高くすることができる。特に線間容量値Cl=0.4pFのとき、比帯域も総効率のピーク値も両方大きくすることができる。
【0061】
以上のように、本実施形態に係るアンテナ装置300は、図1のアンテナ装置100と同様の効果が得られるとともに、第1,2線状素子31,32を結合素子20の代わりとすることで、アンテナ装置300の部品点数を削減することができる。
【0062】
アンテナ装置300は、第1,2線状素子31,32の線間容量値Clを変化させることで、共振周波数や周波数帯域幅を調整することができる。比帯域又は総効率のピークを大きくするためには、第1,2線状素子31,32の線間容量値Clを0.3pF以上0.7pF以下とするとよい。特に、比帯域、総効率のピーク値のどちらも高くしたい場合は、線間容量値Clを0.4pFとするとよい。このように、アンテナ装置300は、線間容量値Clを変化させるだけで所望の比帯域または総効率のピーク値を得ることもできる。
【0063】
なお、本実施形態では、地板10に近い方から第2線状素子32、第4線状素子34の順に配置される例について示したが、地板10に近い方から第4線状素子34、第2線状素子32の順に配置してもよい。
【0064】
(第4実施形態)
図14に本発明の第4実施形態に係るアンテナ装置400を示す。図14のアンテナ装置400は、第6線状素子46の一部がメアンダ形状を有している点を除き図8のアンテナ装置300と同じ構成を有するため、同一符号を付し説明を省略する。
【0065】
図14に示す第6線状素子46は、一端が第5線状素子35の他端に接続されたメアンダ状素子461と、一端がメアンダ状素子461の他端に接続された長さL_dの直線状素子462とを有している。直線状素子462は、第2線状素子32の他端から距離L_dだけ平行となるよう設けられる。
【0066】
アンテナ装置400の動作原理は図1のアンテナ装置100と同じであるため説明を省略する。
【0067】
以上のように第4実施形態に係るアンテナ装置400は、図1のアンテナ装置100及び図8のアンテナ装置300と同様の効果が得られるとともに、第6線状素子46の一部をメアンダ形状とすることで、アンテナ装置400を小型化することができる。
【0068】
なお、第6線状素子46ではなく、第2〜第5線状素子32〜35のいずれか又は複数の素子の一部をメアンダ形状としてもよい。
【0069】
(第5実施形態)
図15に本発明の第5実施形態に係るアンテナ装置500を示す。図15のアンテナ装置500は、第6線状素子56に可変容量素子50を設けている点を除き図8のアンテナ装置300と同じ構成であるため、同一符号を付し説明を省略する。
【0070】
第6線状素子56は、一端が第5線状素子35の他端に接続された直線状の第7線状素子57と、第7線状素子57の他端に接続された可変容量素子50と、一端が可変容量素子50に接続された直線状の第8線状素子58とを有している。第8線状素子58は、他端から距離L_dだけ第2線状素子32と平行となるよう設けられる。
【0071】
第6線状素子56に可変容量素子50を直列に設けることで、第1線状素子31の電気的な長さを調整することができるため、第1共振周波数f1を調整することができる。
【0072】
なお、アンテナ装置500の動作原理は図1のアンテナ装置100と同じであるため説明を省略する。
【0073】
以上のように、本実施形態に係るアンテナ装置500は、図1のアンテナ装置100及び図3のアンテナ装置300と同様の効果が得られるとともに、第6線状素子に直列に可変容量素子50を設けることで、共振周波数f1からf4を調整することができる。
【0074】
なお、可変容量素子50は、第6線状素子56ではなく、第3〜第5線状素子33〜35のいずれか又は複数の素子に設けてもよい。
【0075】
(第6実施形態)
図16を用いて本発明の第6実施形態に係るアンテナ装置600を説明する。本実施形態のアンテナ装置600は、第2〜第6線状素子62〜66の接続及び配置を除き図8のアンテナ装置300と同様の構成である。
【0076】
第3線状素子63は、一端が給電点30を介して地板10と接続される。第2線状素子62は、一端が第3線状素子63の他端に接続されている。第4線状素子64は、一端が第3線状素子に接続されている。第5線状素子65は、一端が第4線状素子64の他端に接続され、地板10から離れる方向に地板10と垂直になるよう配置される。第6線状素子66は一端が第5線状素子65の他端に接続される。
【0077】
アンテナ600は、給電点30から第1線状素子61の先端までの第1距離L61が第1共振周波数f1の4分の1波長の長さとなるよう構成される。図16の例では、第3線状素子63の給電点30から第4線状素子64との接続点までの長さL63、及び第4〜第6線状素子64〜66の素子長の和(L63+L64+L65+L66)が第1線状素子61の素子長L61となり、第1共振周波数f1の4分の1波長の長さとなる。
【0078】
第2線状素子62は、一端が第3線状素子63の他端に接続され、他端から距離L_dだけ第6線状素子66に沿うように配置される。
【0079】
アンテナ装置600は、給電点30から第2線状素子62の先端までの第2距離L62が第1共振周波数f1の12分のk波長でない長さとなるよう構成される。図16の例では、第1線状素子61の素子長L’63と、第2線状素子62の素子長L62との和(L’63+L62)が第1共振周波数f1の12分のk波長でない長さとする。
【0080】
図8に示すアンテナ装置300は、地板10に近い方から第2線状素子32、第4線状素子34の順に配置されるが、本実施形態に係るアンテナ装置600は、地板10に近い方から第4線状素子64、第2線状素子62の順に配置される。この順番は地板10に近い方から第2線状素子62、第4線状素子64の順になっていてもよい。それ以外の構成は図8に示すアンテナ装置300と同じ構成及び動作原理である。
【0081】
以上のように、本実施形態に係るアンテナ装置600によれば、第2線状素子62、第4線状素子64の配置を入れ替えても図1及び図8に示すアンテナ装置100,300と同様の効果が得られる。
【0082】
(第7実施形態)
図17を用いて本発明の第7実施形態に係るアンテナ装置700を説明する。本実施形態のアンテナ装置700は、図8のアンテナ装置300に第9線状素子90をさらに備えた構成となっている。それ以外の構成及び動作原理は図8のアンテナ装置300と同じであるため説明を省略する。
【0083】
図17に示すアンテナ装置700は、L型の第9線状素子90を備えている。第9線状素子90は、一端が給電点30付近の地板10に接続され、第3線状素子33に平行に設けられた線状素子91と、一端が線状素子91の他端に接続され、第2線状素子32及び第6線状素子36に平行な線状素子92を有している。図17の例では線状素子92は、第2線状素子32と地板10との間に設けられる。
【0084】
第9線状素子90は、無給電素子であり、第1、第2線状素子31,32に電流が流れると、第9線状素子90にも電流が流れ電波を放射する。第9線状素子90の素子長を調整することで、アンテナ装置700は、第1〜第4共振周波数f1〜f4以外の第5共振周波数f5で共振する。
【0085】
以上のように、アンテナ装置700は、図1及び図8に示すアンテナ装置100,300と同様の効果が得られるとともに、無給電素子である第9線状素子90を設けることで共振周波数を増やすことができ、さらなるマルチバンド化が可能となる。
【0086】
(第8実施形態)
図18を用いて本発明の第8実施形態に係るアンテナ装置800を説明する。本実施形態のアンテナ装置800は、図8のアンテナ装置300に第10線状素子810を加えた構成となっている。それ以外の構成及び動作原理は図8のアンテナ装置300と同じであるため説明を省略する。
【0087】
第10線状素子810は、一端が第3線状素子33の他端に接続され、他端が地板10に接続されている。図18の例では、第10線状素子810は、一端が第3線状素子33の他端に接続され第6線状素子36と平行な線状素子811と、一端が線状素子811の他端に接続され、他端が地板10に接続され、第3線状素子33と平行な線状素子812とを有している。
【0088】
このように、アンテナ装置800に短絡素子である第10線状素子810を設けることで、アンテナ装置800を高インピーダンス化することができる。
【0089】
(第9実施形態)
図19を用いて本発明の第9実施形態に係るアンテナ装置900を説明する。本実施形態では、図8に示すアンテナ装置300を、マイクロストリップラインを用いて実装する場合の例を示している。アンテナ装置900は、第2線状素子920の構成を除き図8に示すアンテナ装置300と同じ構成及び動作原理のため説明を省略する。
【0090】
アンテナ装置900は、誘電体基板910を有している。地板10は、誘電体基板910の一面に設けられる。第1線状素子31は、誘電体基板910の地板10が設けられたのと同じ一面に設けられる。第1線状素子31は、マイクロストリップラインで構成される。図19に示すように第1線状素子31の第3〜第6線状素子33〜36は1本のマイクロストリップラインとして構成してもよい。
【0091】
第2線状素子920は、誘電体基板910の地板10が設けられた一面と対抗する対面に設けられた線状素子921と、線状素子921と第3線状素子33とを接続するビア922とを有している。線状素子921はマイクロストリップラインで構成され、他端から距離L_dだけ第6線状素子36と平行となる。
【0092】
以上のように、第9実施形態に係るアンテナ装置900は、図1、図3に示すアンテナ装置100、300と同様の効果が得られるとともに、第2線状素子920と第6線状素子36とを誘電体基板910を挟んで平行となるよう配置することで、第2線状素子920及び第6線状素子36の地板10からの距離を等しくすることができる。これにより、アンテナ装置900を低姿勢化することができる。
【0093】
なお、誘電体基板910の代わりに磁性体の基板を用いてもよい。第1,2及び第4〜第8実施形態に示すアンテナ装置100,200,400〜800をマイクロストリップラインを用いて実装することもできる。
【0094】
(第10実施形態)
図20を用いて本発明の第10実施形態に係る無線装置1000を説明する。本実施形態では、図8のアンテナ装置300を無線装置1000に適用した例を説明する。
【0095】
図20の無線装置1000は、例えばノートPCのように折りたたんで持ち運びが可能な装置である。無線装置1000は、図示しない液晶ディスプレイなどが設けられた第1筐体1001と、図示しないキーボードなどが設けられた第2筐体1002とを有している。さらに無線装置1000は、第1筐体1001内部に図8に示すアンテナ装置300を、第2筐体1002内部に地板1003及び地板1003上に設けられた無線部1004を有している。無線部1004とアンテナ装置300の給電点30は同軸線路1005で接続されている。
【0096】
無線部1004は、図示しない上位レイヤから渡された送信データに対し、信号処理を施し送信信号を生成する。無線部1004は、生成した送信信号を、アンテナ装置300を介して送信する。
【0097】
無線部1004は、アンテナ装置300を介して受信した無線信号に対し、信号処理を施し受信データを生成する。無線部1004は、生成した受信データを図示しない上位レイヤに出力する。
【0098】
以上のように、図8に示すアンテナ装置300を例えばノートPCのような無線装置1000に搭載することで、共振周波数を容易に調整可能なアンテナ装置を備えた無線装置1000を実現することができる。また、ノートPC以外であってもディスクトップPCやテレビのように持ち運びしない無線装置に搭載することも可能である。
【0099】
(第11実施形態)
図21を用いて本発明の第11実施形態に係る無線装置1100を説明する。本実施形態では、図8のアンテナ装置300を無線装置1100に適用した例を説明する。
【0100】
図20の無線装置1100は、例えば携帯端末のように持ち運びが可能な装置である。無線装置1100は、図示しない液晶ディスプレイなどが設けられた筐体1101を有している。さらに無線装置1100は、筐体1101内部にアンテナ装置300と、地板10の一面に設けられた無線部1004とを有している。無線部1004とアンテナ装置300の給電点30とが同軸線路1103で接続されている。
【0101】
無線装置1100の動作は、図20の無線装置1000と同じであるため説明を省略する。
【0102】
以上のように、アンテナ装置300は、ノートPC以外であっても例えば携帯端末のような小型の無線装置にも搭載可能である。
【0103】
なお、第10、第11実施形態では、無線装置1000,1100に図8のアンテナ装置300を搭載する例について説明したが、図1、図7、図14〜図19に示すアンテナ装置100,200、400〜900を搭載してもよい。
【0104】
なお、本発明は上記の実施形態のそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0105】
10 地板、11〜16,31〜36,46,56,61〜66,90,810,920 線状素子、20,211,50 キャパシタ、30 給電点、1004 無線部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地板と、
前記地板に設けられた給電点と、
一端が前記給電点に接続され、前記給電点から他端までの長さが共振周波数の4分の1波長である第1線状素子と、
一端が前記第1線状素子に接続され、前記給電点から他端までの長さが前記共振周波数の12分のk波長(kは整数)でなく、前記第1線状素子の他端から前記第1線状素子に沿うように配置された第2線状素子と、
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記第2線状素子は、前記第1線状素子の他端から一定間隔Dで前記第1線状素子と平行になるよう配置されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1線状素子及び前記第2線状素子の互いに並列して配置されている部分の線幅をr、線長をLo、線間の誘電率をεとした場合に、前記第1線状素子及び前記第2線状素子間に発生する線間の容量π×Lo×ε/ ln((D−r)/r)から決定される第2共振周波数f2(2×f1<f2<3×f1、f1は前記共振周波数)で共振することを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記容量は、0.2p <π×Lo×ε / ln((D−r)/r)< 0.7pを満たすことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1線状素子は、3箇所に屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1線状素子は、
一端が前記給電点に接続され、前記地板と垂直になるよう設けられた第3線状素子と、
一端が前記第3線状素子に接続され、前記地板と平行になるよう設けられた第4線状素子と、
一端が前記第4線状素子の他端に接続され、前記地板と垂直になるよう設けられた第5線状素子と、
一端が前記第5線状素子の他端に接続され、前記地板と平行になるよう設けられた第6線状素子と、
を有することを特徴とする請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第2線状素子は、前記一端が前記第3線状素子に接続されることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第6線状素子はメアンダ形状を有していることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第6線状素子に可変容量素子を設けることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
一端が前記第3線状素子の他端に接続され、他端が前記地板に接続された第7線状素子をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
一端が前記地板に接続され、前記第3線状素子に平行に設けられた第8線状素子と、一端が前記第8線状素子の他端に接続され、前記第2線状素子及び前記第6線状素子に平行に設けられた第9線状素子と、をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
地板と
前記地板に設けられた給電点と、
一端が前記給電点に接続された第1線状素子と、
一端が前記第1線状素子に接続された第2線状素子と、
前記第1線状素子の他端及び前記第2線状素子の他端に接続された容量素子と、
を備え、
前記給電点から前記第1線状素子を経由して前記容量素子までの長さが共振周波数の4分の1波長であり、
前記給電点から前記第2線状素子を経由して前記容量素子までの長さが前記共振周波数の12分のk波長(kは整数)でなく、
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項13】
前記容量素子は、櫛形のインターディジタルキャパシタであることを特徴とする請求項12に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
請求項1に記載のアンテナ装置と、
前記アンテナ装置を介して無線信号を送受信する無線部と、
を有することを特徴とする無線装置。
【請求項1】
地板と、
前記地板に設けられた給電点と、
一端が前記給電点に接続され、前記給電点から他端までの長さが共振周波数の4分の1波長である第1線状素子と、
一端が前記第1線状素子に接続され、前記給電点から他端までの長さが前記共振周波数の12分のk波長(kは整数)でなく、前記第1線状素子の他端から前記第1線状素子に沿うように配置された第2線状素子と、
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記第2線状素子は、前記第1線状素子の他端から一定間隔Dで前記第1線状素子と平行になるよう配置されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1線状素子及び前記第2線状素子の互いに並列して配置されている部分の線幅をr、線長をLo、線間の誘電率をεとした場合に、前記第1線状素子及び前記第2線状素子間に発生する線間の容量π×Lo×ε/ ln((D−r)/r)から決定される第2共振周波数f2(2×f1<f2<3×f1、f1は前記共振周波数)で共振することを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記容量は、0.2p <π×Lo×ε / ln((D−r)/r)< 0.7pを満たすことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1線状素子は、3箇所に屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1線状素子は、
一端が前記給電点に接続され、前記地板と垂直になるよう設けられた第3線状素子と、
一端が前記第3線状素子に接続され、前記地板と平行になるよう設けられた第4線状素子と、
一端が前記第4線状素子の他端に接続され、前記地板と垂直になるよう設けられた第5線状素子と、
一端が前記第5線状素子の他端に接続され、前記地板と平行になるよう設けられた第6線状素子と、
を有することを特徴とする請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第2線状素子は、前記一端が前記第3線状素子に接続されることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第6線状素子はメアンダ形状を有していることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第6線状素子に可変容量素子を設けることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
一端が前記第3線状素子の他端に接続され、他端が前記地板に接続された第7線状素子をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
一端が前記地板に接続され、前記第3線状素子に平行に設けられた第8線状素子と、一端が前記第8線状素子の他端に接続され、前記第2線状素子及び前記第6線状素子に平行に設けられた第9線状素子と、をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
地板と
前記地板に設けられた給電点と、
一端が前記給電点に接続された第1線状素子と、
一端が前記第1線状素子に接続された第2線状素子と、
前記第1線状素子の他端及び前記第2線状素子の他端に接続された容量素子と、
を備え、
前記給電点から前記第1線状素子を経由して前記容量素子までの長さが共振周波数の4分の1波長であり、
前記給電点から前記第2線状素子を経由して前記容量素子までの長さが前記共振周波数の12分のk波長(kは整数)でなく、
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項13】
前記容量素子は、櫛形のインターディジタルキャパシタであることを特徴とする請求項12に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
請求項1に記載のアンテナ装置と、
前記アンテナ装置を介して無線信号を送受信する無線部と、
を有することを特徴とする無線装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−19281(P2012−19281A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154070(P2010−154070)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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