アンテナ
【課題】広い周波数帯域にて、優れたVSWR(電圧定在波比)特性を示し、かつ、広範囲に亘って均一に電波を放射することのできる良好な指向性を発揮すると共に、整合周波数の調整を柔軟に行うことが可能なアンテナを提供する。
【解決手段】3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子1を一点C廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部3をもって相互に近接して配設し、薄片面状アンテナ素子1は、一点Cから最も離れた箇所に最外角部10を備えると共に、一点Cから最外角部10へ向かうラジアルスリット2を有し、ラジアルスリット2の内端は、微小間隙部3の内端に連続して形成し、さらに、微小間隙部3のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の外周縁部13に外側スリット4を切欠形成している。
【解決手段】3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子1を一点C廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部3をもって相互に近接して配設し、薄片面状アンテナ素子1は、一点Cから最も離れた箇所に最外角部10を備えると共に、一点Cから最外角部10へ向かうラジアルスリット2を有し、ラジアルスリット2の内端は、微小間隙部3の内端に連続して形成し、さらに、微小間隙部3のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の外周縁部13に外側スリット4を切欠形成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルの各室内や地下街でも携帯電話やPHSが使えるように、屋外の携帯電話の電波を引き込み、屋内の小出力アンテナで中継するシステムが各所で導入されている。
従来、このシステム用の上記小出力アンテナとしては、屋内の通話エリア設計のため、アンテナには無指向性の特性が要求されることから、ダイポールアンテナやモノポールアンテナが使用されてきた(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、特許文献1記載のアンテナは、無指向性の特性を得るために立体形状とならざるを得ず、天井等にアンテナを設置する場合、天井からアンテナが突出し、見栄えが悪くなるという欠点があった。そこで、平面状で無指向性のループアンテナが提案され、その一例としては、複数の線状ループを備えたクローバ形アンテナがあった(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−215133号公報
【特許文献2】特表2008−539652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のクローバ形アンテナは、線状ループで構成されているため、単一の周波数帯にしか対応できず、所定のVSWR値が得られる周波数域は狭帯域に限定されていた。従って、従来のクローバ形アンテナでは、携帯電話の周波数分割複信(FDD;Frequency Division Duplex)における複数の周波数全体を、ひとつのアンテナでカバーすることが困難であった。
【0006】
また、従来のクローバ形アンテナに於て、線状ループの周長を設計変更することで整合周波数の調整が可能であったが、整合周波数を低周波側へシフトさせようとする場合には、線状ループの周長を大きくする必要があるため、アンテナ全体の大型化が避けられないという欠点があった。
【0007】
そこで、本発明は、広い周波数帯域にて、優れたVSWR(電圧定在波比)特性を示し、かつ、広範囲に亘って均一に電波を放射することのできる良好な指向性を発揮すると共に、整合周波数の調整を柔軟に行うことが可能なアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るアンテナは、3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子を一点廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部をもって相互に近接して配設し、上記薄片面状アンテナ素子は、上記一点から最も離れた箇所に最外角部を備えると共に、上記一点から上記最外角部へ向かうラジアルスリットを有し、該ラジアルスリットの内端は、上記微小間隙部の内端に連続して形成し、さらに、上記微小間隙部のラジアル方向中間位置に於て、上記アンテナ素子の外周縁部に外側スリットを切欠形成したものである。
【0009】
また、3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子を一点廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部をもって相互に近接して配設し、上記薄片面状アンテナ素子は、上記一点から最も離れた箇所に最外角部を備えると共に、上記一点から上記最外角部へ向かうラジアルスリットを有し、該ラジアルスリットの内端は、上記微小間隙部の内端に連続して形成し、さらに、上記ラジアルスリットのラジアル方向中間位置に於て、上記アンテナ素子の内周縁部に内側スリットを切欠形成したものである。
また、上記一点を上記3個以上のアンテナ素子の共通の第1給電点とすると共に、上記ラジアルスリットの内端と上記微小間隙部の内端とが連続する内角部に第2給電点を配設したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンテナによれば、無指向性の特性を損なうことなく、周波数域の異なる複数の電波に対応可能(広帯域化)となり、複数の中継アンテナを、ひとつのアンテナに統合することができる。よって、少ない設置数で、効率よく広い範囲に均一に電波を放射することができる。また、現状のアンテナのサイズを維持したまま、整合周波数を低周波側へと調整することができる。即ち、小型のアンテナで低い周波数の電波に対応でき、コンパクトに設計することができる。また、双方向無線通信等に於て、2種類の電波に対応する整合周波数を、各々個別に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は外側スリットの拡大図であり、(c)は要部説明図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の構成を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は外側スリットの拡大図であり、(c)は要部説明図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の構成を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は外側スリットの拡大図であり、(c)は要部説明図である。
【図4】本発明の第4の実施形態の構成を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は要部説明図である。
【図5】本発明の第5の実施形態の構成を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は要部説明図である。
【図6】本発明の第6の実施形態の構成を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は要部説明図である。
【図7】アンテナの設置例を示した簡略図である。
【図8】アンテナの設置例を示した簡略平面図である。
【図9】比較例のアンテナの構成を示した平面図である。
【図10】種々のアンテナの実験データに基づくVSWR特性を示したグラフ図である。
【図11】種々のアンテナの実験データに基づくVSWR特性を示したグラフ図である。
【図12】本発明の第7の実施形態を示した平面図である。
【図13】本発明の第8の実施形態を示した平面図である。
【図14】本発明の第9の実施形態を示した平面図である。
【図15】本発明の第10の実施形態を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1〜図6に示すように、本発明に係るアンテナAの第1の実施形態〜第6の実施形態の全てに共通する構成を説明すると、3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子1を一点C廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部3をもって相互に近接して配設している。薄片面状アンテナ素子1は、一点Cから最も離れた箇所に最外角部10を備えると共に、一点Cから最外角部10へ向かうラジアルスリット2を有している。ラジアルスリット2の内端は、微小間隙部3の内端に連続して形成している。
また、アンテナAは、一点Cを、3個以上のアンテナ素子1の共通の第1給電点E1とし、ラジアルスリット2の内端と微小間隙部3の内端とが連続する内角部12に第2給電点E2を配設している。アンテナAには、第1給電点E1から第2給電点E2に通電するように図示省略の導線が接続されている。
【0013】
図1,図2,図3に於て、本発明の第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態を示すアンテナAは、微小間隙部3のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の外周縁部13に(凹状に切り込む)外側スリット4を切欠形成している。このようにして、外側スリット4は、微小間隙部3に直交して十文字を成す。
また、図4,図5,図6に於て、本発明の第4の実施形態、第5の実施形態、第6の実施形態を示すアンテナAは、ラジアルスリット2のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の内周縁部14に(凹状に切り込む)内側スリット5を切欠形成している。このようにして、内側スリット5は、ラジアルスリット2に直交して十文字を成す。
なお、外側スリット4は、微小間隙部3の外端部を形成する薄片面状アンテナ素子1の近接角部11と一点Cとの中点近傍に設けるのが好ましく、内側スリット5は、最外角部10と一点Cとの中点近傍に設けるのが好ましい。
【0014】
薄片面状アンテナ素子1は、望ましくは、一枚の金属薄板をもって構成する。具体的には、アンテナ素子1は、略正方形状に形成され、アンテナA全体としても略正方形状になるように、4個が放射状に配設されている。アンテナAの四角に配設された最外角部10は、直角かつ尖鋭状に形成されている。アンテナAは、第1給電点E1(一点C)を有する中央連結部によって4個の薄片面状アンテナ素子1を一体に連結している。アンテナ素子1は、Cu,Al,Ag,Au等の金属薄板(金属箔)を用いることができ、ガラス、樹脂シート及び樹脂フィルム、電子基板等に貼着して使用できる。
また、金属膜、透明導電膜及び導電塗料膜を、直接ガラス及び電子基板等に成膜して使用したり、一旦樹脂シート、樹脂フィルム等に成膜したものを更にガラス及び電子基板に貼設して使用することもできる。
【0015】
金属膜としては、Au,Ag,Cu,Al,Pd,Ptやこれらを含む合金を使用でき、透明導電膜としては、ITO,酸化亜鉛、酸化スズ等の金属酸化物を使用でき、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ、電着等で製造できる。
導電塗料膜としては、金属ペーストやカーボンペーストを使用でき、スクリーン印刷、ロールコーティング、転写等で製造することができる。
窓ガラス等のガラス面に張設して使用するときは、可視光線の透過率を70%以上にすることが望ましく、このような透明性を求められる用途では金属メッシュ型、極めて薄い(例えば0.05μmの)金属箔、あるいは、透明導電膜や金属半透明膜から構成することが好ましい。金属半透明膜としては、Ag−Cu,Ag−Pd,Ni−Au等を使用することができる。
なお、貼設又は貼着とは、ガラス面の外面に接着剤や粘着剤等で貼ったり、あるいは、焼付けて積層したり、それ以外にもガラス層の間に挟設・挟着させる場合も本発明では包含する。
【0016】
また、各々のアンテナ素子1に於て、第1給電点E1と第2給電点E2とをアンテナ素子1の外周縁部13に沿って結んだ仮想の経路を外周ループ18とすると、外周ループ18の外周経路長寸法L18が、所要周波数帯域の下限周波数FLに対応する電気的波長λeLの約2倍の長さ寸法になるように構成している。なお、外周経路長寸法L18は電気的波長λeLの1.8倍〜2.2倍に設定されるのが好ましく、さらに詳しくは、1.9倍〜2.1倍に設定するのがより好ましい。一方、第1給電点E1と第2給電点E2とをアンテナ素子1の内周縁部14に沿って結んだ仮想の経路を内周ループ19とすると、内周ループ19の内周経路長寸法L19が、所要周波数帯域の上限周波数FHに対応する電気的波長λeHの約1.5倍の長さ寸法になるように構成している。なお、内周経路長寸法L19は電気的波長λeHの1.3倍〜1.7倍に設定されるのが好ましく、さらに詳しくは、1.4倍〜1.6倍に設定するのがより好ましい。これにより、複数種類の電波の周波数域に対応したVSWR特性が得られる。
【0017】
言い換えると、本発明の第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態のアンテナAに於て、下限周波数FLに対応する外周ループ18の外周経路長寸法L18は、外側スリット4の長さ寸法L4を適宜設定することにより調整が可能である。つまり、本発明のアンテナAは、外側スリット4により、薄片面状アンテナ素子1の最外角部10,10間の長さ寸法L0を維持したまま外周ループ18の外周経路長寸法L18を延長するように構成している。
また、本発明の第4の実施形態、第5の実施形態、第6の実施形態のアンテナAに於て、上限周波数FHに対応する内周ループ19の内周経路長寸法L19は、内側スリット5の長さ寸法L5を適宜設定することにより調整が可能である。つまり、本発明のアンテナAは、内側スリット5により、薄片面状アンテナ素子1の最外角部10,10間の長さ寸法L0を維持したまま内周ループ19の内周経路長寸法L19を延長するように構成している。
ここで、アンテナ素子1に於て、外周縁部13とは、アンテナ素子1の輪郭のうちラジアルスリット2を除いた範囲を意味し、内周縁部14とは、アンテナ素子1の輪郭のうちラジアルスリット2の範囲を意味している。
また、電気的波長λeとは、周波数Fの電流が波長短縮率Kを有するアンテナ素子1を流れる状態での波長であって、次式で表される。
λe=(300/F)*K
【0018】
なお、外周ループ18の外周経路長寸法L18は、外側スリット4の幅寸法W4を適宜設定することにより調整が可能である。また、外周ループ18の外周経路長寸法L18は、微小間隙部3の外端部を形成する薄片面状アンテナ素子1の近接角部11,11を、円弧状に面取りし、円弧の曲率半径R11を適宜設定することによっても調整が可能である。
そして、内周ループ19の内周経路長寸法L19は、内側スリット5の幅寸法W5を適宜設定することにより調整が可能である。また、内周ループ19の内周経路長寸法L19は、ラジアルスリット2の内端から外端までの長さ寸法L2を適宜設定することによっても調整可能である。
なお、最外角部10は、ラジアルスリット2の外端との間に、0.5mm〜2.0mmの残部を残して形成されている。最外角部10は、適当な曲率半径を有していても良く、例えば、曲率半径が0.5mmとなるように形成すれば良い。
また、ラジアルスリット2の幅寸法W2は1.0mm〜5.0mm、微小間隙部3の間隙寸法W3は0.5mm〜2.0mmに設定されるのが望ましい。ラジアルスリット2の外端は、テーパー状に形成されている場合を図示しているが、適当な曲率半径を有していれば良く、尖っていても良い。ラジアルスリット2の内端は、テーパー状に形成され微小間隙部3の内端と同じ幅員に減少し、微小間隙部3の内端に連続している。ラジアルスリット2と微小間隙部3とが連続する箇所は、弯曲状とし、円弧状の内角部12を形成している。
【0019】
上述した本発明のアンテナの使用方法(作用)について説明する。
図7に示すように、本発明のアンテナAは、携帯電話の電波を室内に引き込むための屋内中継用アンテナ30に接続され、屋外の電波をビルの室内31や地下街32等の閉じた室内空間に、電波が及ぶように中継する。アンテナAは、ビルの室内31や地下街32の室内空間の天井に、突出することなく設置される。
アンテナAは、携帯電話等の双方向無線通信に於て、例えば、周波数分割複信(FDD)の受信電波(周波数:1.94GHz〜1.96GHz)及び送信電波(周波数:2.13GHz〜2.15GHz)の両方に対応する。
【0020】
図8に示すように、ビルの室内31等の室内空間の天井に、複数のアンテナA…を所定の等間隔をもって配設し、夫々のアンテナAが補うサービスエリアSを相互に重ね合わせて、室内空間に通信電波の及ばない地域ができるだけ少なくなるように設計する。アンテナAは、均一に電波を放射・吸収する無指向性の特性を有し、平面視略円形状にサービスエリアSを発生させる。つまり、無指向性のアンテナAは、少ない設置数で、効率よく広い範囲にサービスエリアSを形成する。また、周波数分割複信(FDD)を、ひとつのアンテナAで対応するため、より一層、設置数が少なく済む。
【0021】
図10に示すグラフ図は、図1〜図3に示した本発明の第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態のアンテナAであって、薄片面状アンテナ素子1の材質がCu,厚さ寸法35μm,最外角部10,10間の長さ寸法L0を100mm,ラジアルスリット2の幅寸法W2を3.0mm,微小間隙部3の間隙寸法W3を1.0mmとし、ラジアルスリット2の長さ寸法L2を65mm,近接角部11の曲率半径R11を7.5mmとし、1.6mm厚のエポキシガラス基板(波長短縮率K=62%)に形成したときの実験データを図示している。第1の実施形態のアンテナAは、外側スリット4の長さ寸法L4を、2.0mmに設定している。また、第2の実施形態のアンテナAは、外側スリット4の長さ寸法L4を、4.5mmに設定し、第3の実施形態のアンテナAは、外側スリット4の長さ寸法L4を、7.0mmに設定している。なお、図10に示すグラフ図は、横軸に周波数(GHz),縦軸にVSWR値(電圧定在波比)をとっている。
【0022】
図10に於て、測定グラフ線(i) は、第1の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示している。測定グラフ線(ii)は、第2の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示し、測定グラフ線(iii) は、第3の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示している。
第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態のアンテナAは、送信電波の周波数(2.15GHz)の近傍に1つのピークを有し、受信電波の周波数(1.94GHz)よりも低い周波数帯域に夫々が異なるもう一つのピークを分布している。即ち、本発明のアンテナAは、十分に広い周波数帯域にて、2つのピークが存在する双峰的な軌跡を描き、周波数分割複信(FDD)の2種類の電波の周波数に対応する広帯域にわたって、有効なVSWR特性を得たことが判る。
なお、図示省略するが、本発明のアンテナAは、無指向性の特性を有していることが確認されている。即ち、周波数分割複信(FDD)に対応する受信電波・送信電波の両方の周波数域に於て、均一に電波を放射しており、無指向特性を有している。
【0023】
ここで、本発明のアンテナAの作用効果を説明するための比較例として、図9に示すように、4個の略正方形状薄片面状アンテナ素子1を一点C廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部3をもって相互に近接して配設し、薄片面状アンテナ素子1は、一点Cから最も離れた箇所に最外角部10を備えると共に、一点Cから最外角部10へ向かうラジアルスリット2を有し、ラジアルスリット2の内端を微小間隙部3の内端に連続して形成しているアンテナA´であって、外側スリット4及び内側スリット5を有していないものを作製し、その実験データのVSWR特性を、図10に於て、測定グラフ線(iv)として示している。
【0024】
図10のグラフ図に示すように、比較例のアンテナA´(図9参照)は、所定周波数(1.94GHz)近傍に、起点最深部P0を有している。外側スリット4を有する第1の実施形態のアンテナA(図1参照)は、起点最深部P0よりも低周波側に第1最深部P1を有している。また、第1の実施形態よりも長さ寸法L4の大きい外側スリット4を有する第2の実施形態のアンテナA(図2参照)は、第1最深部P1よりも低周波側に第2最深部P2を有し、より長さ寸法L4の大きい外側スリット4を有する第3の実施形態のアンテナA(図3参照)は、第2最深部P2よりも低周波側に第3最深部P3を有している。つまり、本発明のアンテナAに於て、外側スリット4の長さ寸法L4が大きくなるにつれて(外周ループ18の外周経路長寸法L18が長くなるにつれて)、VSWR特性を示すグラフの低域側の整合周波数(第1最深部P1、第2最深部P2、第3最深部P3)が低周波数側にシフトすることが判る。
【0025】
次に、図11に示すグラフ図は、図4〜図6に示した本発明の第4の実施形態、第5の実施形態、第6の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示している。測定グラフ線(v) は、第4の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示している。測定グラフ線(vi)は、第5の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示し、測定グラフ線(vii)は、第6の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示している。なお、測定グラフ線(viii)は、比較例のアンテナから得たVSWR特性を示している。
第4の実施形態のアンテナAは、内側スリット5の長さ寸法L5を、8.5mmに設定している。また、第5の実施形態のアンテナAは、内側スリット5の長さ寸法L5を、13.5mmに設定し、第6の実施形態のアンテナAは、内側スリット5の長さ寸法L5を、18.5mmに設定している。その他の構成及び条件は、上述の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0026】
図11のグラフ図に示すように、比較例のアンテナA´(図9参照)は、所定周波数(2.15GHz)近傍に、起点最深部P0´を有している。内側スリット5を有する第4の実施形態のアンテナA(図4参照)は、起点最深部P0´よりも低周波側に第4最深部P4を有している。また、第4の実施形態よりも長さ寸法L5の大きい内側スリット5を有する第5の実施形態のアンテナA(図5参照)は、第4最深部P4よりも低周波側に第5最深部P5を有し、より長さ寸法L5の大きい内側スリット5を有する第6の実施形態のアンテナA(図6参照)は、第5最深部P5よりも低周波側に第6最深部P6を有している。つまり、本発明のアンテナAに於て、内側スリット5の長さ寸法L5が大きくなるにつれて(内周ループ19の内周経路長寸法L19が長くなるにつれて)、VSWR特性を示すグラフの高域側の整合周波数(第4最深部P4、第5最深部P5、第6最深部P6)が低周波数側にシフトすることが判る。
【0027】
次に、図12と図13に示す本発明の第7,第8の実施形態のように、薄片面状アンテナ素子1が、3個の略四角形状であって、全体が略正三角形状に成形されているものであって良い。図12では、微小間隙部3のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の外周縁部13に(凹状に切り込む)外側スリット4を切欠形成している。また、図13では、ラジアルスリット2のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の内周縁部14に(凹状に切り込む)内側スリット5を切欠形成している。この図12と図13の場合、最外角部10は、角度60°かつ尖鋭状に形成され、第1給電点E1(一点C)を有する中央連結部によって3個の薄片面状アンテナ素子1を一体に連結している。
また、図14と図15に示す本発明の第9,第10の実施形態のように、3個の略正六角形状薄片面状アンテナ素子1を備え、全体が三叉状に形成されているものでも良い。図14では、微小間隙部3のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の外周縁部13に(凹状に切り込む)外側スリット4を切欠形成している。また、図15では、ラジアルスリット2のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の内周縁部14に(凹状に切り込む)内側スリット5を切欠形成している。3個の薄片面状アンテナ素子1は、夫々の最外角部10を角度120°かつ尖鋭状に形成され、第1給電点E1(一点C)を有する中央連結部によって一体状に連結されている。
【0028】
なお、本発明は、設計変更可能であって、上述の第1〜第10の各実施形態に於て、薄片面状アンテナ素子1は、外周縁部13に凹状に切り込む外側スリット4を切欠形成し、かつ、内周縁部14に凹状に切り込む内側スリット5を切欠形成したものであって良い(図示省略)。この構成により、アンテナの整合周波数を低周波側に移動させて規定のサイズを小型化することができ、アンテナの設置スペースが制限される屋内用中継システムに於て、コンパクトなアンテナでのエリア設計が可能となり、非常に実用的である。
【0029】
以上のように、本発明に係るアンテナは、3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子1を一点C廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部3をもって相互に近接して配設し、薄片面状アンテナ素子1は、一点Cから最も離れた箇所に最外角部10を備えると共に、一点Cから最外角部10へ向かうラジアルスリット2を有し、ラジアルスリット2の内端は、微小間隙部3の内端に連続して形成し、さらに、微小間隙部3のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の外周縁部13に外側スリット4を切欠形成したので、無指向性の特性を損なうことなく、周波数域の異なる複数の電波に対応可能(広帯域化)となり、複数の中継アンテナを、ひとつのアンテナに統合することができる。よって、少ない設置数で、効率よく広い範囲に均一に電波を放射することができる。また、現状のアンテナのサイズを維持したまま、整合周波数を低周波側へと調整することができる。即ち、小型のアンテナで低い周波数の電波に対応でき、コンパクトに設計することができる。また、双方向無線通信等に於て、受信用電波に対応する整合周波数を、個別に制御することができる。また、平面状であるため、天井等から突出することがなく、目立つことなく設置することができ、実用性が向上する。
【0030】
また、3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子1を一点C廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部3をもって相互に近接して配設し、薄片面状アンテナ素子1は、一点Cから最も離れた箇所に最外角部10を備えると共に、一点Cから最外角部10へ向かうラジアルスリット2を有し、ラジアルスリット2の内端は、微小間隙部3の内端に連続して形成し、さらに、ラジアルスリット2のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の内周縁部14に内側スリット5を切欠形成したので、無指向性の特性を損なうことなく、周波数域の異なる複数の電波に対応可能(広帯域化)となり、複数の中継アンテナを、ひとつのアンテナに統合することができる。よって、少ない設置数で、効率よく広い範囲に均一に電波を放射することができる。また、現状のアンテナのサイズを維持したまま、整合周波数を低周波側へと調整することができる。即ち、小型のアンテナで低い周波数の電波に対応でき、コンパクトに設計することができる。また、双方向無線通信等に於て、送信用電波に対応する整合周波数を、個別に制御することができ、外周ループの大きさの制限を受けることもない。
【0031】
また、一点Cを3個以上のアンテナ素子1の共通の第1給電点E1とすると共に、ラジアルスリット2の内端と微小間隙部3の内端とが連続する内角部12に第2給電点E2を配設したので、全体を小型化でき、かつ、無指向性を損なうことなく広帯域化した性能の高いアンテナを得ることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 薄片面状アンテナ素子
2 ラジアルスリット
3 微小間隙部
4 外側スリット
5 内側スリット
10 最外角部
12 内角部
13 外周縁部
14 内周縁部
C 一点
E1 第1給電点
E2 第2給電点
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルの各室内や地下街でも携帯電話やPHSが使えるように、屋外の携帯電話の電波を引き込み、屋内の小出力アンテナで中継するシステムが各所で導入されている。
従来、このシステム用の上記小出力アンテナとしては、屋内の通話エリア設計のため、アンテナには無指向性の特性が要求されることから、ダイポールアンテナやモノポールアンテナが使用されてきた(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、特許文献1記載のアンテナは、無指向性の特性を得るために立体形状とならざるを得ず、天井等にアンテナを設置する場合、天井からアンテナが突出し、見栄えが悪くなるという欠点があった。そこで、平面状で無指向性のループアンテナが提案され、その一例としては、複数の線状ループを備えたクローバ形アンテナがあった(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−215133号公報
【特許文献2】特表2008−539652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のクローバ形アンテナは、線状ループで構成されているため、単一の周波数帯にしか対応できず、所定のVSWR値が得られる周波数域は狭帯域に限定されていた。従って、従来のクローバ形アンテナでは、携帯電話の周波数分割複信(FDD;Frequency Division Duplex)における複数の周波数全体を、ひとつのアンテナでカバーすることが困難であった。
【0006】
また、従来のクローバ形アンテナに於て、線状ループの周長を設計変更することで整合周波数の調整が可能であったが、整合周波数を低周波側へシフトさせようとする場合には、線状ループの周長を大きくする必要があるため、アンテナ全体の大型化が避けられないという欠点があった。
【0007】
そこで、本発明は、広い周波数帯域にて、優れたVSWR(電圧定在波比)特性を示し、かつ、広範囲に亘って均一に電波を放射することのできる良好な指向性を発揮すると共に、整合周波数の調整を柔軟に行うことが可能なアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るアンテナは、3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子を一点廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部をもって相互に近接して配設し、上記薄片面状アンテナ素子は、上記一点から最も離れた箇所に最外角部を備えると共に、上記一点から上記最外角部へ向かうラジアルスリットを有し、該ラジアルスリットの内端は、上記微小間隙部の内端に連続して形成し、さらに、上記微小間隙部のラジアル方向中間位置に於て、上記アンテナ素子の外周縁部に外側スリットを切欠形成したものである。
【0009】
また、3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子を一点廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部をもって相互に近接して配設し、上記薄片面状アンテナ素子は、上記一点から最も離れた箇所に最外角部を備えると共に、上記一点から上記最外角部へ向かうラジアルスリットを有し、該ラジアルスリットの内端は、上記微小間隙部の内端に連続して形成し、さらに、上記ラジアルスリットのラジアル方向中間位置に於て、上記アンテナ素子の内周縁部に内側スリットを切欠形成したものである。
また、上記一点を上記3個以上のアンテナ素子の共通の第1給電点とすると共に、上記ラジアルスリットの内端と上記微小間隙部の内端とが連続する内角部に第2給電点を配設したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンテナによれば、無指向性の特性を損なうことなく、周波数域の異なる複数の電波に対応可能(広帯域化)となり、複数の中継アンテナを、ひとつのアンテナに統合することができる。よって、少ない設置数で、効率よく広い範囲に均一に電波を放射することができる。また、現状のアンテナのサイズを維持したまま、整合周波数を低周波側へと調整することができる。即ち、小型のアンテナで低い周波数の電波に対応でき、コンパクトに設計することができる。また、双方向無線通信等に於て、2種類の電波に対応する整合周波数を、各々個別に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は外側スリットの拡大図であり、(c)は要部説明図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の構成を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は外側スリットの拡大図であり、(c)は要部説明図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の構成を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は外側スリットの拡大図であり、(c)は要部説明図である。
【図4】本発明の第4の実施形態の構成を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は要部説明図である。
【図5】本発明の第5の実施形態の構成を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は要部説明図である。
【図6】本発明の第6の実施形態の構成を示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は要部説明図である。
【図7】アンテナの設置例を示した簡略図である。
【図8】アンテナの設置例を示した簡略平面図である。
【図9】比較例のアンテナの構成を示した平面図である。
【図10】種々のアンテナの実験データに基づくVSWR特性を示したグラフ図である。
【図11】種々のアンテナの実験データに基づくVSWR特性を示したグラフ図である。
【図12】本発明の第7の実施形態を示した平面図である。
【図13】本発明の第8の実施形態を示した平面図である。
【図14】本発明の第9の実施形態を示した平面図である。
【図15】本発明の第10の実施形態を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1〜図6に示すように、本発明に係るアンテナAの第1の実施形態〜第6の実施形態の全てに共通する構成を説明すると、3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子1を一点C廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部3をもって相互に近接して配設している。薄片面状アンテナ素子1は、一点Cから最も離れた箇所に最外角部10を備えると共に、一点Cから最外角部10へ向かうラジアルスリット2を有している。ラジアルスリット2の内端は、微小間隙部3の内端に連続して形成している。
また、アンテナAは、一点Cを、3個以上のアンテナ素子1の共通の第1給電点E1とし、ラジアルスリット2の内端と微小間隙部3の内端とが連続する内角部12に第2給電点E2を配設している。アンテナAには、第1給電点E1から第2給電点E2に通電するように図示省略の導線が接続されている。
【0013】
図1,図2,図3に於て、本発明の第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態を示すアンテナAは、微小間隙部3のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の外周縁部13に(凹状に切り込む)外側スリット4を切欠形成している。このようにして、外側スリット4は、微小間隙部3に直交して十文字を成す。
また、図4,図5,図6に於て、本発明の第4の実施形態、第5の実施形態、第6の実施形態を示すアンテナAは、ラジアルスリット2のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の内周縁部14に(凹状に切り込む)内側スリット5を切欠形成している。このようにして、内側スリット5は、ラジアルスリット2に直交して十文字を成す。
なお、外側スリット4は、微小間隙部3の外端部を形成する薄片面状アンテナ素子1の近接角部11と一点Cとの中点近傍に設けるのが好ましく、内側スリット5は、最外角部10と一点Cとの中点近傍に設けるのが好ましい。
【0014】
薄片面状アンテナ素子1は、望ましくは、一枚の金属薄板をもって構成する。具体的には、アンテナ素子1は、略正方形状に形成され、アンテナA全体としても略正方形状になるように、4個が放射状に配設されている。アンテナAの四角に配設された最外角部10は、直角かつ尖鋭状に形成されている。アンテナAは、第1給電点E1(一点C)を有する中央連結部によって4個の薄片面状アンテナ素子1を一体に連結している。アンテナ素子1は、Cu,Al,Ag,Au等の金属薄板(金属箔)を用いることができ、ガラス、樹脂シート及び樹脂フィルム、電子基板等に貼着して使用できる。
また、金属膜、透明導電膜及び導電塗料膜を、直接ガラス及び電子基板等に成膜して使用したり、一旦樹脂シート、樹脂フィルム等に成膜したものを更にガラス及び電子基板に貼設して使用することもできる。
【0015】
金属膜としては、Au,Ag,Cu,Al,Pd,Ptやこれらを含む合金を使用でき、透明導電膜としては、ITO,酸化亜鉛、酸化スズ等の金属酸化物を使用でき、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ、電着等で製造できる。
導電塗料膜としては、金属ペーストやカーボンペーストを使用でき、スクリーン印刷、ロールコーティング、転写等で製造することができる。
窓ガラス等のガラス面に張設して使用するときは、可視光線の透過率を70%以上にすることが望ましく、このような透明性を求められる用途では金属メッシュ型、極めて薄い(例えば0.05μmの)金属箔、あるいは、透明導電膜や金属半透明膜から構成することが好ましい。金属半透明膜としては、Ag−Cu,Ag−Pd,Ni−Au等を使用することができる。
なお、貼設又は貼着とは、ガラス面の外面に接着剤や粘着剤等で貼ったり、あるいは、焼付けて積層したり、それ以外にもガラス層の間に挟設・挟着させる場合も本発明では包含する。
【0016】
また、各々のアンテナ素子1に於て、第1給電点E1と第2給電点E2とをアンテナ素子1の外周縁部13に沿って結んだ仮想の経路を外周ループ18とすると、外周ループ18の外周経路長寸法L18が、所要周波数帯域の下限周波数FLに対応する電気的波長λeLの約2倍の長さ寸法になるように構成している。なお、外周経路長寸法L18は電気的波長λeLの1.8倍〜2.2倍に設定されるのが好ましく、さらに詳しくは、1.9倍〜2.1倍に設定するのがより好ましい。一方、第1給電点E1と第2給電点E2とをアンテナ素子1の内周縁部14に沿って結んだ仮想の経路を内周ループ19とすると、内周ループ19の内周経路長寸法L19が、所要周波数帯域の上限周波数FHに対応する電気的波長λeHの約1.5倍の長さ寸法になるように構成している。なお、内周経路長寸法L19は電気的波長λeHの1.3倍〜1.7倍に設定されるのが好ましく、さらに詳しくは、1.4倍〜1.6倍に設定するのがより好ましい。これにより、複数種類の電波の周波数域に対応したVSWR特性が得られる。
【0017】
言い換えると、本発明の第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態のアンテナAに於て、下限周波数FLに対応する外周ループ18の外周経路長寸法L18は、外側スリット4の長さ寸法L4を適宜設定することにより調整が可能である。つまり、本発明のアンテナAは、外側スリット4により、薄片面状アンテナ素子1の最外角部10,10間の長さ寸法L0を維持したまま外周ループ18の外周経路長寸法L18を延長するように構成している。
また、本発明の第4の実施形態、第5の実施形態、第6の実施形態のアンテナAに於て、上限周波数FHに対応する内周ループ19の内周経路長寸法L19は、内側スリット5の長さ寸法L5を適宜設定することにより調整が可能である。つまり、本発明のアンテナAは、内側スリット5により、薄片面状アンテナ素子1の最外角部10,10間の長さ寸法L0を維持したまま内周ループ19の内周経路長寸法L19を延長するように構成している。
ここで、アンテナ素子1に於て、外周縁部13とは、アンテナ素子1の輪郭のうちラジアルスリット2を除いた範囲を意味し、内周縁部14とは、アンテナ素子1の輪郭のうちラジアルスリット2の範囲を意味している。
また、電気的波長λeとは、周波数Fの電流が波長短縮率Kを有するアンテナ素子1を流れる状態での波長であって、次式で表される。
λe=(300/F)*K
【0018】
なお、外周ループ18の外周経路長寸法L18は、外側スリット4の幅寸法W4を適宜設定することにより調整が可能である。また、外周ループ18の外周経路長寸法L18は、微小間隙部3の外端部を形成する薄片面状アンテナ素子1の近接角部11,11を、円弧状に面取りし、円弧の曲率半径R11を適宜設定することによっても調整が可能である。
そして、内周ループ19の内周経路長寸法L19は、内側スリット5の幅寸法W5を適宜設定することにより調整が可能である。また、内周ループ19の内周経路長寸法L19は、ラジアルスリット2の内端から外端までの長さ寸法L2を適宜設定することによっても調整可能である。
なお、最外角部10は、ラジアルスリット2の外端との間に、0.5mm〜2.0mmの残部を残して形成されている。最外角部10は、適当な曲率半径を有していても良く、例えば、曲率半径が0.5mmとなるように形成すれば良い。
また、ラジアルスリット2の幅寸法W2は1.0mm〜5.0mm、微小間隙部3の間隙寸法W3は0.5mm〜2.0mmに設定されるのが望ましい。ラジアルスリット2の外端は、テーパー状に形成されている場合を図示しているが、適当な曲率半径を有していれば良く、尖っていても良い。ラジアルスリット2の内端は、テーパー状に形成され微小間隙部3の内端と同じ幅員に減少し、微小間隙部3の内端に連続している。ラジアルスリット2と微小間隙部3とが連続する箇所は、弯曲状とし、円弧状の内角部12を形成している。
【0019】
上述した本発明のアンテナの使用方法(作用)について説明する。
図7に示すように、本発明のアンテナAは、携帯電話の電波を室内に引き込むための屋内中継用アンテナ30に接続され、屋外の電波をビルの室内31や地下街32等の閉じた室内空間に、電波が及ぶように中継する。アンテナAは、ビルの室内31や地下街32の室内空間の天井に、突出することなく設置される。
アンテナAは、携帯電話等の双方向無線通信に於て、例えば、周波数分割複信(FDD)の受信電波(周波数:1.94GHz〜1.96GHz)及び送信電波(周波数:2.13GHz〜2.15GHz)の両方に対応する。
【0020】
図8に示すように、ビルの室内31等の室内空間の天井に、複数のアンテナA…を所定の等間隔をもって配設し、夫々のアンテナAが補うサービスエリアSを相互に重ね合わせて、室内空間に通信電波の及ばない地域ができるだけ少なくなるように設計する。アンテナAは、均一に電波を放射・吸収する無指向性の特性を有し、平面視略円形状にサービスエリアSを発生させる。つまり、無指向性のアンテナAは、少ない設置数で、効率よく広い範囲にサービスエリアSを形成する。また、周波数分割複信(FDD)を、ひとつのアンテナAで対応するため、より一層、設置数が少なく済む。
【0021】
図10に示すグラフ図は、図1〜図3に示した本発明の第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態のアンテナAであって、薄片面状アンテナ素子1の材質がCu,厚さ寸法35μm,最外角部10,10間の長さ寸法L0を100mm,ラジアルスリット2の幅寸法W2を3.0mm,微小間隙部3の間隙寸法W3を1.0mmとし、ラジアルスリット2の長さ寸法L2を65mm,近接角部11の曲率半径R11を7.5mmとし、1.6mm厚のエポキシガラス基板(波長短縮率K=62%)に形成したときの実験データを図示している。第1の実施形態のアンテナAは、外側スリット4の長さ寸法L4を、2.0mmに設定している。また、第2の実施形態のアンテナAは、外側スリット4の長さ寸法L4を、4.5mmに設定し、第3の実施形態のアンテナAは、外側スリット4の長さ寸法L4を、7.0mmに設定している。なお、図10に示すグラフ図は、横軸に周波数(GHz),縦軸にVSWR値(電圧定在波比)をとっている。
【0022】
図10に於て、測定グラフ線(i) は、第1の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示している。測定グラフ線(ii)は、第2の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示し、測定グラフ線(iii) は、第3の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示している。
第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態のアンテナAは、送信電波の周波数(2.15GHz)の近傍に1つのピークを有し、受信電波の周波数(1.94GHz)よりも低い周波数帯域に夫々が異なるもう一つのピークを分布している。即ち、本発明のアンテナAは、十分に広い周波数帯域にて、2つのピークが存在する双峰的な軌跡を描き、周波数分割複信(FDD)の2種類の電波の周波数に対応する広帯域にわたって、有効なVSWR特性を得たことが判る。
なお、図示省略するが、本発明のアンテナAは、無指向性の特性を有していることが確認されている。即ち、周波数分割複信(FDD)に対応する受信電波・送信電波の両方の周波数域に於て、均一に電波を放射しており、無指向特性を有している。
【0023】
ここで、本発明のアンテナAの作用効果を説明するための比較例として、図9に示すように、4個の略正方形状薄片面状アンテナ素子1を一点C廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部3をもって相互に近接して配設し、薄片面状アンテナ素子1は、一点Cから最も離れた箇所に最外角部10を備えると共に、一点Cから最外角部10へ向かうラジアルスリット2を有し、ラジアルスリット2の内端を微小間隙部3の内端に連続して形成しているアンテナA´であって、外側スリット4及び内側スリット5を有していないものを作製し、その実験データのVSWR特性を、図10に於て、測定グラフ線(iv)として示している。
【0024】
図10のグラフ図に示すように、比較例のアンテナA´(図9参照)は、所定周波数(1.94GHz)近傍に、起点最深部P0を有している。外側スリット4を有する第1の実施形態のアンテナA(図1参照)は、起点最深部P0よりも低周波側に第1最深部P1を有している。また、第1の実施形態よりも長さ寸法L4の大きい外側スリット4を有する第2の実施形態のアンテナA(図2参照)は、第1最深部P1よりも低周波側に第2最深部P2を有し、より長さ寸法L4の大きい外側スリット4を有する第3の実施形態のアンテナA(図3参照)は、第2最深部P2よりも低周波側に第3最深部P3を有している。つまり、本発明のアンテナAに於て、外側スリット4の長さ寸法L4が大きくなるにつれて(外周ループ18の外周経路長寸法L18が長くなるにつれて)、VSWR特性を示すグラフの低域側の整合周波数(第1最深部P1、第2最深部P2、第3最深部P3)が低周波数側にシフトすることが判る。
【0025】
次に、図11に示すグラフ図は、図4〜図6に示した本発明の第4の実施形態、第5の実施形態、第6の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示している。測定グラフ線(v) は、第4の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示している。測定グラフ線(vi)は、第5の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示し、測定グラフ線(vii)は、第6の実施形態のアンテナから得たVSWR特性を示している。なお、測定グラフ線(viii)は、比較例のアンテナから得たVSWR特性を示している。
第4の実施形態のアンテナAは、内側スリット5の長さ寸法L5を、8.5mmに設定している。また、第5の実施形態のアンテナAは、内側スリット5の長さ寸法L5を、13.5mmに設定し、第6の実施形態のアンテナAは、内側スリット5の長さ寸法L5を、18.5mmに設定している。その他の構成及び条件は、上述の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0026】
図11のグラフ図に示すように、比較例のアンテナA´(図9参照)は、所定周波数(2.15GHz)近傍に、起点最深部P0´を有している。内側スリット5を有する第4の実施形態のアンテナA(図4参照)は、起点最深部P0´よりも低周波側に第4最深部P4を有している。また、第4の実施形態よりも長さ寸法L5の大きい内側スリット5を有する第5の実施形態のアンテナA(図5参照)は、第4最深部P4よりも低周波側に第5最深部P5を有し、より長さ寸法L5の大きい内側スリット5を有する第6の実施形態のアンテナA(図6参照)は、第5最深部P5よりも低周波側に第6最深部P6を有している。つまり、本発明のアンテナAに於て、内側スリット5の長さ寸法L5が大きくなるにつれて(内周ループ19の内周経路長寸法L19が長くなるにつれて)、VSWR特性を示すグラフの高域側の整合周波数(第4最深部P4、第5最深部P5、第6最深部P6)が低周波数側にシフトすることが判る。
【0027】
次に、図12と図13に示す本発明の第7,第8の実施形態のように、薄片面状アンテナ素子1が、3個の略四角形状であって、全体が略正三角形状に成形されているものであって良い。図12では、微小間隙部3のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の外周縁部13に(凹状に切り込む)外側スリット4を切欠形成している。また、図13では、ラジアルスリット2のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の内周縁部14に(凹状に切り込む)内側スリット5を切欠形成している。この図12と図13の場合、最外角部10は、角度60°かつ尖鋭状に形成され、第1給電点E1(一点C)を有する中央連結部によって3個の薄片面状アンテナ素子1を一体に連結している。
また、図14と図15に示す本発明の第9,第10の実施形態のように、3個の略正六角形状薄片面状アンテナ素子1を備え、全体が三叉状に形成されているものでも良い。図14では、微小間隙部3のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の外周縁部13に(凹状に切り込む)外側スリット4を切欠形成している。また、図15では、ラジアルスリット2のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の内周縁部14に(凹状に切り込む)内側スリット5を切欠形成している。3個の薄片面状アンテナ素子1は、夫々の最外角部10を角度120°かつ尖鋭状に形成され、第1給電点E1(一点C)を有する中央連結部によって一体状に連結されている。
【0028】
なお、本発明は、設計変更可能であって、上述の第1〜第10の各実施形態に於て、薄片面状アンテナ素子1は、外周縁部13に凹状に切り込む外側スリット4を切欠形成し、かつ、内周縁部14に凹状に切り込む内側スリット5を切欠形成したものであって良い(図示省略)。この構成により、アンテナの整合周波数を低周波側に移動させて規定のサイズを小型化することができ、アンテナの設置スペースが制限される屋内用中継システムに於て、コンパクトなアンテナでのエリア設計が可能となり、非常に実用的である。
【0029】
以上のように、本発明に係るアンテナは、3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子1を一点C廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部3をもって相互に近接して配設し、薄片面状アンテナ素子1は、一点Cから最も離れた箇所に最外角部10を備えると共に、一点Cから最外角部10へ向かうラジアルスリット2を有し、ラジアルスリット2の内端は、微小間隙部3の内端に連続して形成し、さらに、微小間隙部3のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の外周縁部13に外側スリット4を切欠形成したので、無指向性の特性を損なうことなく、周波数域の異なる複数の電波に対応可能(広帯域化)となり、複数の中継アンテナを、ひとつのアンテナに統合することができる。よって、少ない設置数で、効率よく広い範囲に均一に電波を放射することができる。また、現状のアンテナのサイズを維持したまま、整合周波数を低周波側へと調整することができる。即ち、小型のアンテナで低い周波数の電波に対応でき、コンパクトに設計することができる。また、双方向無線通信等に於て、受信用電波に対応する整合周波数を、個別に制御することができる。また、平面状であるため、天井等から突出することがなく、目立つことなく設置することができ、実用性が向上する。
【0030】
また、3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子1を一点C廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部3をもって相互に近接して配設し、薄片面状アンテナ素子1は、一点Cから最も離れた箇所に最外角部10を備えると共に、一点Cから最外角部10へ向かうラジアルスリット2を有し、ラジアルスリット2の内端は、微小間隙部3の内端に連続して形成し、さらに、ラジアルスリット2のラジアル方向中間位置に於て、アンテナ素子1の内周縁部14に内側スリット5を切欠形成したので、無指向性の特性を損なうことなく、周波数域の異なる複数の電波に対応可能(広帯域化)となり、複数の中継アンテナを、ひとつのアンテナに統合することができる。よって、少ない設置数で、効率よく広い範囲に均一に電波を放射することができる。また、現状のアンテナのサイズを維持したまま、整合周波数を低周波側へと調整することができる。即ち、小型のアンテナで低い周波数の電波に対応でき、コンパクトに設計することができる。また、双方向無線通信等に於て、送信用電波に対応する整合周波数を、個別に制御することができ、外周ループの大きさの制限を受けることもない。
【0031】
また、一点Cを3個以上のアンテナ素子1の共通の第1給電点E1とすると共に、ラジアルスリット2の内端と微小間隙部3の内端とが連続する内角部12に第2給電点E2を配設したので、全体を小型化でき、かつ、無指向性を損なうことなく広帯域化した性能の高いアンテナを得ることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 薄片面状アンテナ素子
2 ラジアルスリット
3 微小間隙部
4 外側スリット
5 内側スリット
10 最外角部
12 内角部
13 外周縁部
14 内周縁部
C 一点
E1 第1給電点
E2 第2給電点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子(1)を一点(C)廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部(3)をもって相互に近接して配設し、
上記薄片面状アンテナ素子(1)は、上記一点(C)から最も離れた箇所に最外角部(10)を備えると共に、上記一点(C)から上記最外角部(10)へ向かうラジアルスリット(2)を有し、該ラジアルスリット(2)の内端は、上記微小間隙部(3)の内端に連続して形成し、
さらに、上記微小間隙部(3)のラジアル方向中間位置に於て、上記アンテナ素子(1)の外周縁部(13)に外側スリット(4)を切欠形成したことを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子(1)を一点(C)廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部(3)をもって相互に近接して配設し、
上記薄片面状アンテナ素子(1)は、上記一点(C)から最も離れた箇所に最外角部(10)を備えると共に、上記一点(C)から上記最外角部(10)へ向かうラジアルスリット(2)を有し、該ラジアルスリット(2)の内端は、上記微小間隙部(3)の内端に連続して形成し、
さらに、上記ラジアルスリット(2)のラジアル方向中間位置に於て、上記アンテナ素子(1)の内周縁部(14)に内側スリット(5)を切欠形成したことを特徴とするアンテナ。
【請求項3】
上記一点(C)を上記3個以上のアンテナ素子(1)の共通の第1給電点(E1)とすると共に、上記ラジアルスリット(2)の内端と上記微小間隙部(3)の内端とが連続する内角部(12)に第2給電点(E2)を配設した請求項1又は2記載のアンテナ。
【請求項1】
3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子(1)を一点(C)廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部(3)をもって相互に近接して配設し、
上記薄片面状アンテナ素子(1)は、上記一点(C)から最も離れた箇所に最外角部(10)を備えると共に、上記一点(C)から上記最外角部(10)へ向かうラジアルスリット(2)を有し、該ラジアルスリット(2)の内端は、上記微小間隙部(3)の内端に連続して形成し、
さらに、上記微小間隙部(3)のラジアル方向中間位置に於て、上記アンテナ素子(1)の外周縁部(13)に外側スリット(4)を切欠形成したことを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
3個以上の導電性材料から成る薄片面状アンテナ素子(1)を一点(C)廻りに回転対称として、かつ、微小間隙部(3)をもって相互に近接して配設し、
上記薄片面状アンテナ素子(1)は、上記一点(C)から最も離れた箇所に最外角部(10)を備えると共に、上記一点(C)から上記最外角部(10)へ向かうラジアルスリット(2)を有し、該ラジアルスリット(2)の内端は、上記微小間隙部(3)の内端に連続して形成し、
さらに、上記ラジアルスリット(2)のラジアル方向中間位置に於て、上記アンテナ素子(1)の内周縁部(14)に内側スリット(5)を切欠形成したことを特徴とするアンテナ。
【請求項3】
上記一点(C)を上記3個以上のアンテナ素子(1)の共通の第1給電点(E1)とすると共に、上記ラジアルスリット(2)の内端と上記微小間隙部(3)の内端とが連続する内角部(12)に第2給電点(E2)を配設した請求項1又は2記載のアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−66094(P2013−66094A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204172(P2011−204172)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
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