説明

アントラセン誘導体ホストを伴うエレクトロルミネセント素子

本OLED素子は、アノードおよびカソード、ならびにアノードとカソードとの間に配置された、発光ドーパントおよび非対称的に置換されたモノアントラセン誘導体を含むホストを含有している発光層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストおよびドーパントを含有する発光層を含む有機エレクトロルミネセント(EL)素子に関し、前述のホストは、室温および70℃において非常に良好な動作安定性を有するモノアントラセン化合物を含む。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネセント(EL)素子は二十年間以上にわたって知られているが、これらの素子における性能上の限界が多くの望ましい用途にとっての障壁となっていた。最も単純な形態においては、有機EL素子は、正孔注入用のアノード、電子注入用のカソード、および、光の放出をもたらす電荷再結合を支持すべくこれらの電極間に挟まれた有機媒体から構成される。これらの素子は、一般的に、有機発光ダイオード、またはOLEDとも呼ばれている。初期の有機EL素子の代表的なものは、1965年3月9日に発行されたGurneeらの米国特許第3,172,862号;1965年3月9日に発行されたGurneeの米国特許第3,173,050号;Dresnerによる「Double Injection Electroluminescence in Anthracene」,RCA Review,Vol.30,pp.322−334,1969年;および1973年1月9日に発行されたDresnerの米国特許第3,710,167号である。これらの素子における有機層は、通常、多環式芳香族炭化水素からなっていて、非常に厚かった(1μmよりもずっと厚い)。その結果として、動作電圧が非常に高く、>100Vのことも多かった。
【0003】
より最近の有機EL素子は、アノードとカソードとの間の極めて薄い層(例えば、<1.0μm)からなる有機ELエレメントを含む。本明細書で、「有機ELエレメント」という用語は、アノード電極とカソード電極との間のこれらの層を包含する。厚みを薄くすることにより、有機層の抵抗が低減され、これらの素子をもっとずっと低い電圧で作動させることが可能になった。US4,356,429号で最初に開示された基本的な二層EL素子構造においては、アノードに隣接した側のEL素子の一つの有機層は特に正孔を輸送すべく選択され、そのため、正孔輸送層と呼ばれており、もう一方の有機層は特に電子を輸送すべく選択され、それ故、電子輸送層と呼ばれている。この有機EL素子内における、注入された正孔と電子との再結合が、効率的なエレクトロルミネッセンスをもたらす。
【0004】
また、Tangら[J.Applied Physics,Vol.65,3610−3616頁,1989年]により開示されているものなどの、正孔輸送層と電子輸送層との間に有機発光層(LEL)を含む、三層有機EL素子も提案されている。この発光層は、一般的に、ゲスト材料がドーピングされたホスト材料からなっている。尚も更に、US4,769,292号において、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(LEL)および電子輸送/注入層(ETL)を含む四層EL素子も提案されている。これらの構造は、改善された素子効率をもたらしている。
【0005】
アントラセンをベースとしたホストが使用されることが多い。有用な一群の9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセンホストがUS5,935,721号に開示されている。改善された素子半減期を有するルミネセント層において使用された種々のビス−アントラセン化合物がUS6,534,199号およびUS2002/136,922号に開示されている。アントラセン化合物を用いて輝度が改善されたエレクトロルミネセント素子がUS6,582,837号に開示されている。また、アントラセンは、US6,465,115号に開示されているように、HTLにおいても使用されている。これらに加え、OLED素子におけるアントラセン材料の使用に関する他の開示もあり、US5,972,247号、JP2001−097897号、JP2000−273056号、US2002/0048687号、WO03/060956号、WO02/088274号、EP第0429821号、WO03/007658号、JP2000−053677号およびJP2001−335516号を挙げることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの進展にもかかわらず、より良好な動作安定性を有していて、都合よく製造することができるホストに対するニーズが依然として存在している。OLED素子の改善された動作安定性は、より多くの製品におけるこれらの素子の使用を可能にするであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、規定の特徴を有し、アノードおよびカソード、ならびにアノードとカソードとの間に配置された、発光ドーパントまたはゲスト材料および以降でもっと詳しく説明されている通りの式(I)のモノアントラセン誘導体を含むホストを含有している発光層を含むOLED素子を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、改善された動作安定性を有しており、更には、以降で述べられている通りの他の利点をも備えたOLED素子を提供する。また、本発明は、このようなOLED素子を使用するディスプレイおよび照明装置も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明が総体的に上記にまとめられている。ホストの特定の例は、一般式(I):
【化1】

で定義される。
【0010】
1−R8はHである。
【0011】
9は、R9およびR10が同じでなく、アミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;脂肪族炭素環員を伴う縮合環を含有していないナフチル基である。適切には、R9は、フェナントリル、ピレニル、フルオランテン、ペリレンなどの縮合芳香環系を形成するような置換ナフチル基、もしくはフッ素、シアノ基、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロ三環式オキシ基、カルボキシ、トリメチルシリル基などの一つもしくはそれ以上の置換基で置換されたナフチル基、または非置換ナフチル基である。都合よくは、R9は、2−ナフチル(Inv−1、Inv−3)、パラ位置において置換された、または置換されていない1−ナフチル(Inv−18、Inv−19)である。
【0012】
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である。適切には、R10は、これらに限定するものではないがフェナントリル、ペリレンを含む縮合芳香環系を形成するような置換ビフェニル基、またはフッ素、シアノ基、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロ三環式オキシ基、カルボキシ、トリメチルシリル基などの一つもしくはそれ以上の置換基で置換されたビフェニル基である。都合よくは、R10は、4−ビフェニル(Inv−1)、非置換3−ビフェニル(Inv−9)、またはテルフェニル環系を形成すべく別のフェニル環で置換された3−ビフェニル(Inv−5)、2−ビフェニル(Inv−3)である。
【0013】
別な具合にはっきりと述べられていない限り、「置換された」または「置換基」という用語の使用は、水素以外のあらゆる基または原子を意味する。別な具合にはっきりと述べられていない限り、「芳香環系」という用語の使用は、全体の環系が芳香族である一つの環の系または共に縮合した一つより多くの環の系を意味する。別な具合にはっきりと述べられていない限り、「置換フェニル環」という用語の使用は、置換されており、一つの置換もしくは非置換縮合芳香環系を形成すべく、または一つより多くの置換もしくは非置換縮合芳香環系を形成すべく置換されていてよいフェニル環を意味する。また、置換可能な水素を含有する基(化合物または錯体を含む)について言及される場合、別な具合に規定されていない限り、この基は、置換されていない形態だけでなく、これらの置換基が有用性に必要な特性を破壊しない限り、縮合環を含め、ここで述べられているあらゆる一つまたは複数の置換基で更に置換されている形態も包含すべく意図されている。適切には、置換基はハロゲンであってよく、または炭素、ケイ素、酸素もしくはリンのうちの一つの原子によりこの分子の残りの部分に結合されていてもよい。
【0014】
望ましい場合、これらの置換基自体がここで述べられている置換基で一回もしくはそれ以上の回数更に置換されていてよい。使用される個々の置換基は、特定の用途にとって所望の望ましい特性を得るべく当業者により選択されてよく、例えば電子求引性基、電子供与性基および立体構造基を含むことができる。
【0015】
特定の非対称なアントラセンは、高い効率を呈するOLED素子において極めて有用であることが判明した。これらの化合物は白色光をもたらすOLED素子、更にはフルカラーOLED素子およびモーションイメージング素子において有用である。
【0016】
本発明の有用な化合物は、
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

を含む。
【0017】
本発明の化合物は、典型的には、以下で定められている通りのドーパントと共に、特定の厚みを含む発光層において使用される。有用な発光材料の例は、アントラセン、フルオレン、ペリフランテン、インデノペリレンの各誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物を含む。適切には、ドーパントは、L7などのキナクリドン、またはL2などのペリレン、L30などのクマリン、L50、L51およびL52などのビス(アジニル)メタンもしくはアミンホウ素錯体、L47などのアミノスチリル誘導体を含む。都合よくは、ドーパントは、L2およびL50、ならびにL47などの青色もしくは青色−緑色ドーパント、またはキナクリドンL7などの緑色ドーパントを含む。
【0018】
本発明のホストは、青色−緑色ドーパントとの組合せにおける白色素子構造に有用である。
【0019】
本発明のホストは、他の青色または緑色共同ホストとの組合せにおいて使用し、特定の適用における安定性を改善することができる。共同ホストは小さな分子または高分子材料であってよい。有用な共同ホストは、これらに限定するものではないが、ポリフルオレン、ポリビニルアリーレン、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体、ベンザゾール誘導体、ジスチリルアリーレン、カルバゾールを含む。適切には、共同ホストはトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq)である。
【0020】
本発明のホストにおける一つの利点は、これらのホストがイオウおよびアミンを含んでいないことである。これらの材料を調製するプロセス、更には精製するプロセスは、シンプルで効率的であり、また、環境に優しく、従って、これらの化合物を都合よく製造可能に成している。
【0021】
発明の実施形態
本発明の実施形態は、以下の態様を含む。
−ナフチル基がフッ素、ヒドロキシ、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、トリメチルシリルおよびヘテロ環式オキシ基から選択される少なくとも一つの置換基で置換されている;またはビフェニルがフッ素、ヒドロキシ、シアノ、ならびにアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、トリメチルシリルおよびヘテロ環式オキシ基から選択される少なくとも一つの置換基で置換されている。
−一つまたは複数のゲスト発光材料が、以下のもの、
【化9】

【化10】

を含め、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミンおよびキナクリドンの誘導体、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウムおよびチアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物、ならびにビス(アジニル)メタンホウ素からなる群から選択されるメンバーを含み、本OLED素子が一つまたはそれ以上のエミッターの使用を通じて緑色もしくは赤色光、または白色光を放出する。
−これらの素子はアミノスチリル誘導体、着色フィルター、高分子材料またはAlqなどのオキシノイド化合物などの共同ホストを含んでいてよい。共同ホストは、例えばポリフルオレン、ポリビニルアリーレン、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体、ベンザゾール誘導体、ジスチリルアリーレンおよびカルバゾールからなる群から選択されるメンバーを含んでいてよい。
−本素子は、式(A):
1−G−Q2 (A)
[式中、
1およびQ2は独立して選択される芳香族第三級アミン部分であり、Gはアリール連結基であり、Q1およびQ2のうちの少なくとも一つは、N,N,N’,N’−テトラ−1−ナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
N,N,N’,N’−テトラ−2−ナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、
4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル、
4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]p−テルフェニル、または
4,4’−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
などの多環式縮合環構造を含む]
の第三級アミン化合物を含む正孔輸送層を含んでいてよい。
本OLED素子は正孔遮断層を含んでいてよく、多数の発光層を用いた積層型OLEDであってよく、薄膜トランジスターを有するアクティブマトリックス型基体を含んでいてよい。
−本OLED素子は、望ましくは、乾燥剤の存在下において不活性雰囲気中に密封されており、またはバリヤー層を用いてカプセル化されている。本OLED素子は誘電体ミラー構造、光吸収電極、反射防止膜、偏光媒体、着色フィルター、中性濃度フィルターまたは色変換フィルターを含んでいてよい。
−本OLED素子は、発光層がドナーシートからの空間的に定められた感熱色素転写法を用いてパターン堆積されるようにして製造されてよい。
−特に望ましい化合物は、以下のもの:
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

を含む。
【0022】
一般的な素子構造
本発明は殆どのOLED素子構成において使用することができる。これらのOLED素子構成は、単一のアノードおよびカソードを含む非常にシンプルな構造から、ピクセルを形成すべく直交するように配列された複数のアノードおよびカソードを含むパッシブマトリックス型ディスプレイ、ならびに、例えば薄膜トランジスター(TFT)の場合のように、各ピクセルが独立して制御されるアクティブマトリックス型ディスプレイなどのよりもっと複雑な素子までを含む。
【0023】
本発明を成功裏に実践することができる有機層の形態には数多くのものがある。OLEDの必須の条件はアノード、カソード、ならびにアノードおよびカソードの間に配置された有機発光層である。以降でもっと詳しく説明されているように、付加的な層を使用することもできる。
【0024】
アノード
所望のエレクトロルミネセント発光(EL)がアノード側を通じて観察される場合、アノードは、対象の放出光に対して透明であるべきであり、または実質的に透明であるべきである。本発明において使用される一般的な透明なアノード材料は酸化インジウムスズ、(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)および酸化スズであるが、他の金属酸化物、例えば、これらに限定するものではないが、アルミニウム−またはインジウム−ドープ酸化亜鉛、酸化マグネシウムインジウム、および酸化ニッケルタングステンなどを含む金属酸化物も使用することができる。これらの酸化物に加え、窒化ガリウムなどの金属窒化物、およびセレン化亜鉛などの金属セレン化物、ならびに硫化亜鉛などの金属硫化物もアノードとして使用することができる。EL放出光がカソード側を通じてのみ観察される用途の場合、アノードの光透過特性は重要でなく、透明、不透明または反射性のあらゆる導電性材料を使用することができる。この適用に対する例示的な導電体は、これらに限定するものではないが、金、イリジウム、モリブデン、パラジウムおよび白金を含む。典型的なアノード材料は、光透過性または別な具合で、4.1eVまたはそれ以上の仕事関数を有している。望ましいアノード材料は、一般的に、蒸発、スパッタリング、化学気相堆積法または電気化学的な手段などのあらゆる適切な手段により堆積される。アノードは、周知のフォトリソグラフィープロセスを用いてパターン化されてよい。場合によって、アノードは、他の層を適用する前に、短絡を最小化することを目的として、または反射率を高めることを目的として、表面の粗さを低減すべく研磨されてよい。
【0025】
カソード
放出光が単にアノード側のみから観察される場合、本発明において使用されるカソードは殆どのあらゆる導電性材料から構成することができる。望ましい材料は、下側にある有機層との良好な接触を確実化し、低い電圧での電子注入を促進し、更には、良好な安定性を保持するため、良好なフィルム形成特性を有している。有用なカソード材料は低仕事関数金属(<4.0eV)または合金を含むことが多い。一つの有用なカソード材料はMg:Ag合金から構成されており、ここで、銀の割合は、米国特許第4,885,221号に記載されているように、1%から20%までの範囲である。別の適切なクラスのカソード材料は、カソードと、導電性金属からなる厚めの層でキャップされた、有機層(例えば電子輸送層(ETL))と接触状態にある薄い電子注入層(EIL)とを含む二層構造物を含む。ここで、EILは、好ましくは、低仕事関数金属または金属塩を含み、この場合、上述の厚めのキャップ形成層は低い仕事関数を有している必要はない。一つのこのようなカソードは、米国特許第5,677,572号に記載されているように、LiFの薄い層と、それに続く厚めのAlの層から構成される。他の有用なカソード材料のグループは、これらに限定するものではないが、米国特許第5,059,861号;第5,059862号および第6,140,763号で開示されているものなどを含む。
【0026】
放出光がカソード側から観察される場合、カソードは透明でなければならず、または殆ど透明でなければならない。このような適用の場合、金属は薄くなければならず、または透明な導電性酸化物もしくはこれらの材料の組合せを用いなければならない。光学的に透明なカソードについては、US4,885,211号、US5,247,190号、JP3,234,963号、US5,703,436号、US5,608,287号、US5,837,391号、US5,677,572号、US5,776,622号、US5,776,623号、US5,714,838号、US5,969,474号、US5,739,545号、US5,981,306号、US6,137,223号、US6,140,763号、US6,172,459号、EP第1 076 368号、US6,278,236号およびUS6,284,3936号でより詳細に説明されている。カソード材料は、典型的には、蒸発、スパッタリングまたは化学気相堆積法などのあらゆる適切な方法により堆積される。必要な場合、パターン形成は、これらに限定するものではないが、マスク通過型堆積法、US5,276,380号およびEP第0 732 868号に記載されているようなインテグラルシャドーマスキング、レーザー切断、ならびに選択的化学気相堆積法を含む、多くの周知の方法により果たすことができる。
【0027】
発光層(LEL
本発明は、主として、発光層(LEL)に向けられている。米国特許第4,769,292号および第5,935,721号でもっと詳しく説明されているように、有機EL素子の発光層(LEL)は、この領域における電子−正孔対の再結合の結果としてエレクトロルミネッセンスがもたらされる場所に発光性、発蛍光性または発リン光性材料を含む。発光層は、単一の材料から構成することもできるが、より一般的には、一つまたは複数のゲスト発光材料がドーピングされたホスト材料から構成され、この場合、放出光は主にこれらの発光材料からもたらされ、あらゆる色を成すことができる。発光層内におけるこれらのホスト材料は、以下で定められているような電子輸送材料、上で定められているような正孔輸送材料、または正孔−電子再結合を支持する別の材料もしくは材料の組合せであってよい。発光材料は、通常、高度に発蛍光性の色素および発リン光性の化合物、例えばWO98/55561号、WO00/18851号、WO00/57676号およびWO00/70655号に記載されているような遷移金属錯体から選択される。発光材料は、典型的には、重量でホスト材料の0.01%から10%までの量で組み入れられる。
【0028】
ホスト材料および発光材料は、非高分子性の小さな分子またはポリフルオレンおよびポリビニルアリーレン(例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)、PPV)などの高分子材料であってよい。ポリマーの場合、小分子発光材料を高分子ホストに分子的に分散させることができ、または微量構成成分をホストポリマー内に共重合させることによりこれらの発光材料を加えることもできる。
【0029】
発光材料を選ぶ際の重要な関係は、この分子の最高占有分子軌道と最低非占有分子軌道との間のエネルギー差として定義されるバンドギャップポテンシャルの比較である。ホストから発光材料への効率的なエネルギー移動にとって必要な条件は、ドーパントのバンドギャップがホスト材料のバンドギャップよりも小さいことである。発リン光性エミッターに対しては、このホストのホスト三重項エネルギーレベルがホストから発光材料へのエネルギー移動を可能にするのに充分な高いレベルであることも重要である。
【0030】
有用であることが知られているホスト材料および発光材料は、これらに限定するものではないが、US4,768,292号、US5,141,671号、US5,150,006号、US5,151,629号、US5,405,709号、US5,484,922号、US5,593,788号、US5,645,948号、US5,683,823号、US5,755,999号、US5,928,802号、US5,935,720号、US5,935,721号およびUS6,020,078号に開示されている材料を含む。
【0031】
8−ヒドロキシキノリンの金属錯体および同様な誘導体(式E)は、エレクトロルミネッセンスを支持することができる有用なホスト化合物の一つのクラスを構成し、特に、500nmよりも長い波長の光、例えば緑色、黄色、オレンジ色および赤色の光を放出するのに適している。
【化15】

[式中、
Mは金属を表し;
nは1から4までの整数であり;そして
Zは、各々独立して、少なくとも二つの縮合芳香環を有する核を完成させる原子を表す。]
【0032】
先述の説明から、この金属は一価、二価、三価または四価の金属であってよいことが明らかである。この金属は、例えば、リチウム、ナトリウムもしくはカリウムなどのアルカリ金属;マグネシウムもしくはカルシウムなどのアルカリ土類金属;アルミニウムもしくはガリウムなどの土類金属、または亜鉛もしくはジルコニウムなどの遷移金属であってよい。一般的に、有用なキレート金属であることが知られているあらゆる一価、二価、三価または四価の金属を使用することができる。
【0033】
Zは、少なくとも一つがアゾールまたはアジン環である少なくとも二つの縮合芳香環を含有するヘテロ環式核を完成させる。必要な場合には、脂肪族および芳香族の環の両者を含む付加的な環をこれら二つの必要な環と共に縮合させることができる。機能の改善を伴わない分子バルクの付加を避けるため、環原子の個数は、通常、18個以下に維持される。
【0034】
例証的な有用なキレートオキシノイド化合物は以下の化合物である。
CO−1:アルミニウムトリスオキシン[別名、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)]
CO−2:マグネシウムビスオキシン[別名、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム(II)]
CO−3:ビス[ベンゾ{f}−8−キノリノラト]亜鉛(II)
CO−4:ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)
CO−5:インジウムトリスオキシン[別名、トリス(8−キノリノラト)インジウム]
CO−6:アルミニウムトリス(5−メチルオキシン)[別名、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)]
CO−7:リチウムオキシン[別名、(8−キノリノラト)リチウム(I)]
CO−8:ガリウムオキシン[別名、トリス(8−キノリノラト)ガリウム(III)]
CO−9:ジルコニウムオキシン[別名、テトラ(8−キノリノラト)ジルコニウム(IV)]
【0035】
9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセンの誘導体(式F)は、エレクトロルミネッセンスを支持することができる有用なホスト材料の一つのクラスを構成し、特に、400nmよりも長い波長の光、例えば青色、緑色、黄色、オレンジ色または赤色の光を放出するのに適している。
【化16】

[式中:R1、R2、R3、R4、R5およびR6は各環における一つまたはそれ以上の置換基を表し、各置換基は以下のグループから個別的に選択される。
グループ1:水素、または1個から24個までの炭素原子のアルキル;
グループ2:5個から20個までの炭素原子のアリールまたは置換アリール;
グループ3:アントラセニル;ピレニルまたはペリレニルの縮合芳香環を完成させるのに必要な4個から24個までの炭素原子;
グループ4:フリル、チエニル、ピリジル、キノリニルの縮合ヘテロ芳香環または他のヘテロ環系を完成させるのに必要な5個から24個までの炭素原子のヘテロアリールまたは置換へテロアリール;
グループ5:1個から24個までの炭素原子のアルコキシルアミノ、アルキルアミノまたはアリールアミノ;および
グループ6:フッ素、塩素、臭素またはシアノ。]
【0036】
例証的な例は、9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセンおよび2−t−ブチル−9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセンを含む。9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルエテニル)フェニル]アントラセンを含む、他のアントラセン誘導体も本LELにおけるホストとして有用であり得る。
【0037】
ベンザゾール誘導体(式G)は、エレクトロルミネッセンスを支持することができる有用なホスト材料の別のクラスを構成し、特に、400nmよりも長い波長の光、例えば青色、緑色、黄色、オレンジ色または赤色の光を放出するのに適している。
【化17】

【0038】
式中:
nは3から8までの整数であり;
ZはO、NRまたはSであり;そして
RおよびR’は、独立して、水素;1個から24個までの炭素原子のアルキル、例えばプロピル、t−ブチル、ヘプチルなど;5個から20個までの炭素原子のアリールもしくはヘテロ原子置換アリール、例えばフェニルおよびナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、ならびに他のヘテロ環系;またはクロロ、フルオロなどのハロ;または縮合芳香環を完成させるのに必要な原子であり;
Lは、多数のベンザゾールを共に共役的にまたは非共役的に結び付けているアルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールからなる連鎖単位である。有用なベンザゾールの一つの例は2,2’,2’’−(1,3,5−フェニレン)トリス[1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール]である。
【0039】
US5,121,029号に記載されているように、ジスチリルアリーレン誘導体も有用なホストである。カルバゾール誘導体は、発リン光性エミッターに対する特に有用なホストである。
【0040】
有用な発蛍光性材料は、これらに限定するものではないが、アントラセン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミンおよびキナクリドンの誘導体、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウムおよびチアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物、ビス(アジニル)メタン化合物、ならびにカルボスチリル化合物を含む。有用な材料の例証的な例は、これらに限定するものではないが、以下の材料を含む。
【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【0041】
素子
典型的な構造、特に小分子素子にとって有用な典型的構造が図1に示されており、この構造は、基体101、アノード103、正孔注入層105、正孔輸送層107、発光層109、電子輸送層111およびカソード113から構成されている。これらの層は以下で詳細に説明される。基体は代替的にカソードに隣接させて配置されてよく、または基体が実際にアノードまたはカソードを構成してもよいことに留意すべきである。アノードとカソードとの間のこれらの有機層を、便宜上、有機EL素子と呼ぶ。また、これらの有機層を組み合わせた合計の厚みは好ましくは500nm未満である。
【0042】
OLEDのアノードおよびカソードは、電気導体260を通じて電源250に接続されている。OLEDは、アノードがカソードよりももっと正の電位となるようにアノードとカソードとの間に電位を加えることにより運転される。正孔はアノードから有機EL素子内へ注入され、電子はアノードにおいて有機EL素子内に注入される。高められた素子安定性は、時折、OLEDがACモード(このサイクルにおけるある時間的な期間、電位バイアスが逆転され、電流は流れない)で運転される場合に達成することができる。AC駆動OLEDの一つの例がUS5,552,678号に記載されている。
【0043】
基体
本発明のOLED素子は、典型的には、支持基体101上にもたらされ、そこでは、カソードまたはアノードのいずれかをこの基体と接触した状態に成すことができる。基体と接触している電極を、便宜上、底部電極と呼ぶ。通常、底部電極はアノードであるが、本発明はこの配置構成に限定されるものではない。基体は、放出光の意図的方向に依存して、光透過性であってよく、または不透明であってもよい。基体を通じてEL放出光を観察する場合には、光透過特性を有していることが望ましい。このようなケースにおいては、透明なガラスまたはプラスチックが一般的に使用される。基体は、多数の材料層を含む複雑な構造であってよい。典型的には、TFTがOLED層の下側に設けられるアクティブマトリックス型基体の場合がこのケースに該当する。基体は、少なくとも光を放出するピキシル構造領域においては、ガラスまたはポリマーなどの大いに透明な材料から構成されていることが更に必要である。EL放出光が上部電極を通じて観察される適用の場合には、この底部支持体の光透過特性は重要でなく、従って、光透過性、光吸収性または光反射性であってよい。このケースにおいて使用するための基体は、これらに限定するものではないが、ガラス、プラスチック、半導体材料、シリコン、セラミックスおよび回路基板材料を含む。繰返しになるが、この基体は、アクティブマトリックス型TFT設計において見られるような、多数の材料層を含む複雑な構造であってよい。勿論、これらの素子構成配置においては、光学的に透明な上部電極を提供することが必要である。
【0044】
正孔注入層(HIL)
必ずしも必要ではないが、正孔注入層105がアノード103と正孔輸送層107との間に設けられていることが有用である場合が多い。この正孔注入材料は、以降の有機層のフィルム形成特性を改善し、正孔輸送層への正孔の注入を促進する働きをする。正孔注入層において使用するのに適した材料は、これらに限定するものではないが、US4,720,432号に記載されているようなポルフィリン系化合物、US6,208,075号に記載されているようなプラズマ蒸着フルオロカーボンポリマー、および幾つかの芳香族アミン、例えばm−MTDATA(4,4’,4’’−トリス[(3−メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン)を含む。有機EL素子において有用であると報じられている代替的な正孔注入材料がEP第0 891 121 A1号およびEP第1 029 909 A1号に記載されている。
【0045】
正孔輸送層(HTL)
本有機EL素子の正孔輸送層107は、芳香族第三級アミンなどの少なくとも一つの正孔輸送化合物を含有しており、ここで、この芳香族第三級アミンは、炭素原子にのみ結合された少なくとも一つの三価窒素原子を含み、炭素原子のうちの少なくとも一つが芳香環の環員である化合物であると理解されている。一つの形態においては、この芳香族第三級アミンは、モノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミンなどのアリールアミン、またはポリマーアリールアミンであってよい。例証的なモノマートリアリールアミンがKlupfelらによるUS3,180,730号に示されている。一つもしくはそれ以上のビニルラジカルで置換された他の適切なトリアリールアミン及び/又は少なくとも一つの活性水素含有基を含む他の適切なトリアリールアミンがBrantleyらによるUS3,567,450号およびUS3,658,520号に開示されている。
【0046】
より好ましいクラスの芳香族第三級アミンは、US4,720,432号およびUS5,061,569号に記載されているような、少なくとも二つの芳香族第三級アミン部分を含むアミンである。このような化合物は、構造式(A):
【化23】

[式中のQ1およびQ2は独立して選択される芳香族第三級アミン部分であり、Gは、炭素−炭素結合のアリーレン、シクロアルキレンまたはアルキレン基などの連結基である]により表される化合物を含む。一つの実施形態においては、Q1またはQ2のうちの少なくとも一つが多環式の縮合環構造、例えばナフタレンを含む。Gがアリール基であるときには、それは、都合よくは、フェニレン、ビフェニレンまたはナフタレン部分である。
【0047】
構造式(A)を満たし、二つのトリアリールアミン部分を含有する一つの有用なクラスのトリアリールアミンは、構造式(B):
【化24】

により表され、
式中、
1およびR2はそれぞれ独立して水素原子、アリール基もしくはアルキル基を表し、またはR1およびR2が共にシクロアルキル基を完成させる原子を表し;そして
3およびR4はそれぞれ独立してアリール基を表し、このアリール基は、更に、構造式(C):
【化25】

により指示されているように、ジアリール置換アミノ基で置換され、式中のR5およびR6は独立して選択されるアリール基である。一つの実施形態においては、R5またはR6のうちの少なくとも一つが多環式の縮合環構造、例えばナフタレンを含む。
【0048】
別のクラスの芳香族第三級アミンはテトラアリールジアミンである。望ましいテトラアリールジアミンは、アリーレン基を通じて連結された、式(C)により指示されているものなどの、二つのジアリールアミノ基を含む。有用なテトラアリールジアミンは、式(D):
【化26】

[式中、
各Areは、フェニレンまたはアントラセン部分などの独立して選択されるアリーレン基であり、
nは1から4までの整数であり、そして
Ar、R7、R8およびR9は独立して選択されるアリール基である]により表されるものを含む。一つの典型的な実施形態においては、Ar、R7、R8およびR9のうちの少なくとも一つが多環式の縮合環構造、例えばナフタレンである。
【0049】
前述の構造式(A)、(B)、(C)、(D)の様々なアルキル、アルキレン、アリールおよびアリーレン部分は、それぞれが更に置換されていてよい。典型的な置換基はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ならびにフッ素、塩素および臭素などのハロゲンを含む。様々なアルキルおよびアルキレン部分は、典型的には、約1個から6個までの炭素原子を含む。シクロアルキル部分は3個から約10個までの炭素原子を含むことができるが、典型的には、5個、6個または7個の環炭素原子−例えばシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル環構造を含む。アリールおよびアリーレン部分は、通常、フェニルおよびフェニレン部分である。
【0050】
正孔輸送層は単一の芳香族第三級アミン化合物から形成されてよく、または芳香族第三級アミン化合物の混合物から形成することもできる。詳細には、式(D)により指示されているものなどのテトラアリールジアミンとの組合せにおいて、式(B)を満たすトリアリールアミンなどのトリアリールアミンを使用することができる。トリアリールアミンがテトラアリールジアミンとの組合せにおいて使用される場合、後者は、トリアリールアミンと電子注入および輸送層との間に差し挟まれた層として配置される。例証的な有用な芳香族第三級アミンは以下のものである。
1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン
1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン
4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クアドリフェニル
ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン
N,N,N−トリ(p−トリル)アミン
4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[4(ジ−p−トリルアミノ)−スチリル]スチルベン
N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4−4’−ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’−テトラ−1−ナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’−テトラ−2−ナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル
N−フェニルカルバゾール
4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル
4,4’’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]p−テルフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン
4,4’−ビス[N−(9−アントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’’−ビス[N−(1−アントリル)−N−フェニルアミノ]−p−テルフェニル
4,4’−ビス[N−(2−フェナントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(8−フルオランテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ナフタセニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(1−コロネニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
2,6−ビス(ジ−p−トリルアミノ)ナフタレン
2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン
2,6−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン
N,N,N’,N’−テトラ(2−ナフチル)−4,4’’−ジアミノ−p−テルフェニル
4,4’−ビス{N−フェニル−N−[4−(1−ナフチル)−フェニル]アミノ}ビフェニル
4,4’−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)アミノ]ビフェニル
2,6−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミン]フルオレン
1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン
4,4’,4’’−トリス[(3−メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン。
【0051】
別のクラスの有用な正孔輸送材料はEP第1 009 041号に記載されているような多環式芳香族化合物を含む。オリゴマー材料を含め、二つより多くのアミン基を伴う第三級芳香族アミンを使用することができる。更に、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどのポリマー正孔輸送材料、およびPEDOT/PSSとも呼ばれるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホナート)などのコポリマーも使用することができる。
【0052】
電子輸送層(ETL
本発明の有機EL素子の電子輸送層111の形成に使用するための好ましい薄膜形成材料は、オキシン自体(一般的に、8−キノリノールまたは8−ヒドロキシキノリンとも呼ばれている)のキレートを含め、金属キレートオキシノイド化合物である。このような化合物は、電子の注入および輸送に役立ち、高レベルの性能を示すだけでなく、薄膜の形態に容易に製作することができる。想定されるオキシノイド化合物の典型例は、先に説明されている構造式(E)を満たす化合物である。
【0053】
他の電子輸送材料は、US4,356,429号で開示されているような様々なブタジエン誘導体、およびUS4,539,507号に記載されているような様々なヘテロ環式の光学的光沢剤を含む。構造式(G)を満たすベンザゾールも有用な電子輸送材料である。また、トリアジンも電子輸送材料として有用であることが知られている。
【0054】
他の有用な有機層および素子構造
幾つかの例においては、層109および111は場合によって、光の放出および電子の輸送の両方を支持する機能を果たす単一の層にまとめることができる。当分野においては、発光材料をホストとして働き得る正孔輸送層に含めることができることも知られている。例えば青色−および黄色−発光材料、藍色−および赤色−発光材料、または赤色−、緑色−および青色−発光材料を組み合わせることによって白色発光OLEDを創出するため、多数の材料を一つもしくはそれ以上の層に加えることができる。白色−発光素子は、例えばEP第1 187 235号、US20020025419号、EP第1 182 244号、US5,683,823号、US5,503,910号、US5,405,709号およびUS5,283,182号に記載されており、色彩放出光をもたらすべく適切なフィルター配列を備えていてよい。
【0055】
当分野において教示されているような電子または正孔−遮断層などの付加的な層を本発明の素子において使用することができる。正孔遮断層は、一般的には、例えばUS20020015859号の場合のように、リン光エミッター素子の効率を改善するために使用される。
【0056】
本発明は、例えばUS5,703,436号およびUS6,337,492号で教示されているような、いわゆる積層型素子構造において使用されてよい。
【0057】
有機層の堆積
有機材料は、都合よくは、昇華により堆積されるが、フィルム形成を改善するために場合によって結合剤を伴った溶媒から堆積させる方法などの他の手段により堆積させることもできる。この材料がポリマーの場合には、通常、溶媒式堆積法が好ましい。昇華により堆積させるべき材料は、例えばUS6,237,529号に記載されているようにタンタル材料から構成されていることが多い昇華器「ボート」から気化させることができ、または最初にドナーシート上に塗布し、この後、もっと近づけた近接位置において基体上へ昇華させることもできる。種々の材料の混合物を伴う層は別々の昇華器ボートを利用することができ、またはこれらの材料を予め混合し、単一のボートもしくはドナーシートからコーティングすることもできる。パターン化された堆積はシャドーマスク、インテグラルシャドーマスク(US5,294,870号)、ドナーシートからの空間的に定められた感熱色素転写(US5,688,551号、US5,851,709号およびUS6,066,357号)、ならびにインクジェット法(US6,066,357号)を用いて達成することができる。
【0058】
カプセル化
殆どのOLED素子は湿気もしくは酸素、またはそれらの両方に敏感であり、従って、これらの素子は、一般的に、アルミナ、ボーキサイト、硫酸カルシウム、クレー、シリカゲル、ゼオライト、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、硫酸塩、または金属ハロゲン化物および過塩素酸塩などの乾燥剤と共に、窒素またはアルゴンなどの不活性な雰囲気下において密封されている。カプセル化および乾燥のための方法は、これらに限定するものではないが、米国特許第6,226,890号に記載されている方法を含む。更に、SiOx、テフロン(登録商標)などのバリヤー層および交互無機/ポリマー層が当分野におけるカプセル化用の手段として知られている。
【0059】
光学的な最適化
本発明のOLED素子は、望ましい場合、その特性を高めるため、周知の様々な光学的効果を使用することができる。これは、最大の光透過性をもたらすために層の厚みを最適化すること、誘電体ミラー構造を提供すること、反射性電極を光吸収性電極で置き換えること、ディスプレイ上にグレア防止もしくは反射防止膜を提供すること、ディスプレー上に偏光媒体を提供すること、またはディスプレー上に着色フィルター、NDフィルターもしくは色変換フィルターを提供することを含む。フィルター、偏光子、およびグレア防止または反射防止膜は、詳細には、カバー上に設けられてよく、またはカバーの一部として設けられてもよい。
【0060】
この明細書において言及されている特許および他の出版物の内容全体が、参照により本明細書に組み入れられる。
【実施例】
【0061】
以下に続く特定の実施例により、本発明および本発明の利点を更に例証する。本発明のこれらの実施形態は熱的な安定性についても明らかにすることができる。
【0062】
例1:Inv−1の調製
a)9−(2−ナフチル)アントラセンの調製。9−ブロモアントラセン(12g、46mmol、1当量)および2−ナフタレンボロン酸(8.0g、46mmol、1当量)を100mlのトルエン中において化合させ、結果として得られた混合物を音波処理により約15分間脱気した。ビス(トリフェニルホスフィン)二塩化パラジウム(0.110g、0.095mmol、0.2%)を加え、結果として得られた混合物を、100mlの2M Na2CO3を加えながら、窒素下において充分に攪拌し、この混合物を加熱マントルを介して加熱して還流させた。反応を一晩還流させたまま放置した。反応を室温にまで冷却し、このとき、固形物が沈殿し始めた。この有機固形物を濾過により単離し、水で洗った後、空気乾燥させることにより、収量11.4g(80%)を得た。塩化メチレンを用いるこの有機層の付加的な抽出と、それに続くMgSO4上での乾燥および濃縮により、更に2gの生成物が得られ、収率は合計で94%であった。
b)9−ブロモ,10−(2−ナフチル)アントラセンの調製。9−(2−ナフチル)アントラセン(14g、48mmol、1当量)およびN−ブロモスクシンイミド(8.9g、50mmol、1.05当量)を、500ml用丸底フラスコ内において、140mlのCH2Cl2と共に化合させた。混合物を、100Wのランプからもたらされる光の存在下で、窒素下において室温で攪拌することにより、この混合物はすぐに均質になった。TLC(P950:CH2Cl2/9:1)により指示されたように、反応は3時間後に完了した。固形物がちょうど沈殿し始めるまでに、溶媒体積の約半分が取り除かれた。次いで、加熱して固形物を溶解しながら、充分量のアセトニトリルを加えた。この後、固形物が再びちょうど沈殿し始めるポイントまで更にCH2Cl2を取り除いた。この溶液を冷却し、放置して再結晶化させた。結果として得られた固形物を濾過により単離し、少量のアセトニトリルで洗い、乾燥させることにより、収量17g(92%)を得た。
c)9−ビフェニル,10−(2−ナフチル)アントラセンの調製。9−ブロモ,10−(2−ナフチル)アントラセン(8.9g、23mmol、1当量)、4−ビフェニルボロン酸(4.8g、24mmol、1.05当量)を(PPh32PdCl2(0.16g、0.7当量%)と共に、500ml用丸底フラスコ内において、200mLのトルエン中で化合させ、結果として生じた懸濁液を30分間音波処理した。次いで、この混合物を素早く還流状態にもたらすことにより、この溶液は15分間の還流後に均質になった。2時間後、混合物が薄黄色を呈した状態(触媒が活性であることを示している)のまま、固形物が沈殿し始めた。この混合物を一晩還流させたまま放置した。沈殿した固形物を取り除くべく、ガラス繊維濾紙を通じて混合物を熱いうちに濾過した。この固形物を約1Lの熱いトルエン中に再溶解し、パラジウム不純物を取り除くべく、ガラス繊維濾紙を通じてこの溶液を濾過した。濾液を濃縮することにより、9.2gの灰色がかった白色の固形物が得られた。水性層を含有したこの最初の濾液からトルエン層を単離し、H2Oで洗い、飽和ブラインで乾かし、MgSO4上で乾燥させ、濃縮し、再結晶化させることにより、1.3gの固形物を得た。両方の固形物バッチを合わせることにより、10.4gの清浄な生成物(98%)が得られた。この材料を260℃で昇華させることにより、非常に純粋なフラクション(8.26g、検定値99.8%)および純粋なフラクション(1.45g、検定値99.3%)が得られた。
【0063】
例2、3、5、6、8、9、10:発明EL素子
本発明の必要条件を満たすEL素子を以下の仕方で構築した:
ガラス基体にアノードとしての42nmの酸化インジウムスズ(ITO)層をコーティングし、この後、商業的な洗浄剤中において超音波処理し、脱イオン水中ですすぎ、トルエン蒸気中において脱脂し、酸素プラズマに約1分間晒した。
a)CHF3のプラズマ支援蒸着によりITO上に1nmのフルオロカーボン正孔注入層(CFx)を堆積させた。
b)この後、75nmの厚みを有するN,N’−ジ−1−ナフタレニル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル(NPB)の正孔輸送層をタンタルボートから蒸発させた。
c)次に、使用するドーパントに依存して様々な量のドーパントがドーピングされたInv1の20〜40nmの発光層を正孔輸送層の上に堆積させた。これらの材料はタンタルボートから共蒸発された。ここで、ドーピングの割合は体積/体積比に基づいて報じられている。個々のドーパント、割合およびホストの厚みが表1および2に示されている。
d)この後、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq)の30nmの電子輸送層を発光層の上に堆積させた。この材料もタンタルボートから蒸発された。
e)Alq層の上に、10:1の体積比のMgおよびAgから形成された220nmのカソードを堆積させた。
【0064】
上述のシーケンスにより本EL素子の堆積を果たした。この後、周囲環境から保護するため、本素子を乾燥グローブボックス内において密封包装した。
【0065】
例4、7、11、12、13、14、15比較用EL素子
比較例のEL素子は、Inv1の代わりに、本発明の一部を成さない他のアントラセン誘導体をホストとして使用した点を除き、例2と同じ仕方で製作された。
【化27】

【化28】

【0066】
このようにして形成された例2〜15のセルを、20mA/cm2において測定される輝度収率(cd/A)の形態における効率について試験した。CIE色度x−y座標を決定した。青色素子の場合には、少なくとも約2.2cd/A、好ましくは約3cd/Aよりも大きな輝度収率を有していることが望ましい。輝度損失は、これらのセルを、各個々のセル/例に対して特定されている様々な長さの時間の間、70℃における20mA/cm2の一定電流密度、またはRT(室温)における40mA/cm2の一定電流密度をセルに供することにより測定された。外挿値は、20mA/cm2および70℃での実際のデータまたは40mA/cm2およびRTでの実際のデータに基づいて見積もられている。ディスプレイ素子において使用するのに有用な安定性は、約300時間のこれらの加速エージング条件後における損失が約40%未満であることが望ましい。これらのすべての試験データが表1bに示されている。
【0067】
表1a:例2〜7の素子構造
【表1】

【0068】
表1b:Inv−1(例2〜7)の安定性に関する有意な利点
【表2】

【0069】
表1bのデータは、Inv−1をホストとして使用したときに、高い効率を保ったまま、少なくとも対照(Comp−1)と同じ効率を維持したまま、安定性の有意な改善がもたらされることを示している。例2および3、ならびに例5および6は、対照に比べて安定性が明らかに2〜2.5倍改善されたことを示している。Comp−1は、より良好な比較を為すため、常に、各素子セットに対する基準として用いられた;Comp−1の調合(ホストの厚みおよびドーパントのレベル)は、良好な安定性と高い効率の最良の組合せを得るのに最適な状態である。表1bの素子は、RTにおいて40mA/cm2でフェージングされた。
【0070】
表2a:例8〜11の素子構造
【表3】

【0071】
表2b:基準Comp−1(例8〜11)との比較における、Inv−3およびInv−4の改善された安定性
【表4】

【0072】
化合物Inv−3も、対照Comp−1を上回る安定性に関する利点をもたらす。表2bの素子は、より加速された試験法である70℃および40mA/cm2においてフェージングされた。Inv−3の場合には、安定性の改善は70℃においてさほど顕著ではなく、40%から60%までの範囲に過ぎないが、ホストの効率は依然として高いままである。
【0073】
表3a:例15〜18の素子構造
【表5】

【0074】
表3b:対称な類似物(例12〜15)の比較例
【表6】

【0075】
* 例14は、一つの素子におけるComp−4の失敗を示している。この素子は9Vのバッテリーの下ですぐに劣化するため、動作安定性を測定することができなかった。この材料が蒸着され、二回製作された素子は同じ結果をもたらした。バルク状態における固形物の高い結晶化度が、素子におけるガラス質形成傾向を非常に低く為しているものと考えられる。この素子が粒子の粗い外観を呈しているという事実が前述の仮説を支持しているものと思われる。Comp−2も、結晶化する高い傾向を有する対称性である;但し、Comp−2は、t−ブチル類似体のComp−1と同等またはそれ以上の性能を発揮するようであり(例12対例4参照)、Comp−1を用いる素子は結晶化により失敗に帰すことが多い。
【0076】
例2〜15から得られたデータは、二つの異なる青色ドーパント、L2およびL47を伴う非対称性モノアントラセンの安定性に関する有意な改善を示している。表1bおよび表3bのデータを比較すると、素子における構造的特質(対称性/非対称性)と性能との間には明らかな相関がある。例えば、最良の性能を示すInv−1(例2)はComp−2およびComp−4(例12および14)の混成体であるが、その性能はこれら二つのどちらの場合よりも良好である。
【0077】
例16:比較用EL素子
例16は、c)部分を除き、例2と同じ仕方で製作された。Alqからなる37nmの発光層に緑色のドーパントがドーピングされた。これらの材料はタンタルボートから共蒸発された。ここで、ドーピングの割合は堆積/体積比に基づいて報じられている。個々のドーパント、割合およびホストの厚みが表4に示されている。
【0078】
例17〜21:発明EL素子
例17〜21は、Alqが様々な量における本発明のホスト部分と共に共蒸発された点を除き、例16と同じ仕方で製作された(二つのホストとドーパントとの合計の厚みは37.5nmであった)。個々のドーパント、割合およびホストの厚みが表4に示されている。
【0079】
表4:本発明の共同ホストを使用したときの、緑色ドーパントL53の安定性に関する有意な利点(例16〜21)
【表7】

【0080】
表4のデータは、本発明の共同ホストをAlqと組み合わせて使用したときに、L53の安定性に関する有意な改善が得られたことを示している。AlqにInv−1を共同ホストとして組み込むことの利点は、40〜80%の間のInv−1濃度における例18〜20で特に明白であり、対照(例16)に比べ、少なくとも3倍の改善が観測されている。
【0081】
特に本発明の特定の好ましい実施形態について言及しながら本発明を説明してきたが、本発明の精神および範囲内で種々の変形および変更を果たし得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明が使用され得る典型的なOLED素子の断面図を示している。
【符号の説明】
【0083】
101 基体
103 アノード
105 正孔注入層(HIL)
107 正孔輸送層(HTL)
109 発光層(LEL)
111 電子輸送層(ETL)
113 カソード
250 電源
260 電気導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を有するOLED素子であって、前記発光層が、
a)式(I):
【化1】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含有するホスト;ならびに
b)テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミンおよびキナクリドンの誘導体、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウムおよびチアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物、およびビス(アジニル)メタンホウ素からなる群から選択されるメンバーを含む、一つまたは複数のゲスト発光材料;
を含む、OLED素子。
【請求項2】
前記ゲスト発光材料が、
【化2】

を含む、請求項1に記載のOLED素子。
【請求項3】
前記ゲスト発光材料がN,N’−ジフェニルキナクリドンを含む、請求項2に記載のOLED素子。
【請求項4】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストは、式(I):
【化3】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含み;
前記OLED素子が緑色光を放出する;
OLED素子。
【請求項5】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストは、式(I):
【化4】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含み;
前記OLED素子が赤色光を放出する;
OLED素子。
【請求項6】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストは、式(I):
【化5】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含み;
前記OLED素子が、白色光を放出するのに充分な化合物を伴う一つまたはそれ以上の発光層を含む;
OLED素子。
【請求項7】
少なくとも一つの発光層がアミノスチリル誘導体を含む、請求項6に記載のOLED素子。
【請求項8】
更に着色フィルターを含む、請求項6に記載のOLED素子。
【請求項9】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を有するOLED素子であって、前記発光層が、
a)式(I):
【化6】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含有するホスト;
b)共同ホスト;および
c)発光ドーパント;
を含む、OLED素子。
【請求項10】
前記共同ホストがポリマーである、請求項9に記載のOLED素子。
【請求項11】
前記共同ホストがオキシノイド化合物である、請求項9に記載のOLED素子。
【請求項12】
前記オキシノイドがAlqである、請求項11に記載のOLED素子。
【請求項13】
前記共同ホストがポリフルオレン、ポリビニルアリーレン、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体、ベンザゾール誘導体、ジスチリルアリーレンおよびカルバゾールからなる群から選択されるメンバーを含む、請求項9に記載のOLED素子。
【請求項14】
前記発光ドーパントが
【化7】

またはN,N’−ジフェニルキナクリドンである、請求項9に記載のOLED素子。
【請求項15】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストは、式(I):
【化8】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含み;
前記OLED素子が、式(A):
1−G−Q2 (A)
[式中、
1およびQ2は独立して選択される芳香族第三級アミン部分であり、Gはアリール連結基であり、Q1およびQ2のうちの少なくとも一つは多環式縮合環構造を含む]
の第三級アミン化合物を含む正孔輸送層を含む;
OLED素子。
【請求項16】
前記第三級アミン化合物がN,N,N’,N’−テトラ−1−ナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
N,N,N’,N’−テトラ−2−ナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、
4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル、
4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]p−テルフェニル、または
4,4’−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
である、請求項15に記載のOLED素子。
【請求項17】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストは、式(I):
【化9】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含み;
前記OLED素子が正孔遮断層を含む;
OLED素子。
【請求項18】
複数の積層された有機発光素子を含む発光素子であって、少なくとも一つの発光層が発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストが、式(I):
【化10】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含む;
発光素子。
【請求項19】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストは、式(I):
【化11】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含み;
前記OLED素子が、薄膜トランジスターを有するアクティブマトリックス型基体を含む;
OLED素子。
【請求項20】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストは、式(I):
【化12】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含み;
前記OLED素子が乾燥剤の存在下において不活性な雰囲気中に密封されている;
OLED素子。
【請求項21】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストは、式(I):
【化13】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含み;
前記OLED素子がバリヤー層を用いてカプセル化されている;
OLED素子。
【請求項22】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストは、式(I):
【化14】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含み;
前記OLED素子が、誘電体ミラー構造、光吸収電極、反射防止膜、偏光媒体、着色フィルター、中性濃度フィルターまたは色変換フィルターを含む;
OLED素子。
【請求項23】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストは、式(I):
【化15】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含み;
前記発光層がドナーシートからの空間的に定められた感熱色素転写法を用いてパターン堆積された;
OLED素子。
【請求項24】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストは、式(I):
【化16】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含み;
前記ナフチル基が、フッ素、ヒドロキシ、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、トリメチルシリルおよびヘテロ環式オキシ基から選択される少なくとも一つの置換基で置換されている;
OLED素子。
【請求項25】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストは、式(I):
【化17】

[式中、
1−R8はHであり;
9はR10と同じでなく;
9およびR10がアミンおよびイオウ化合物を含んでいないことを条件として;
9は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないナフチル基であり;そして、
10は、脂肪族炭素環員を伴う縮合環を有していないビフェニル基である]
のモノアントラセン誘導体を含み;
前記ビフェニルが、フッ素、ヒドロキシ、シアノ、ならびにアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、トリメチルシリルおよびヘテロ環式オキシ基から選択される少なくとも一つの置換基で置換されている;
OLED素子。
【請求項26】
アノードおよびカソード、ならびに前記アノードおよびカソード間に配置された発光層を含むOLED素子であって、前記発光層は発光ドーパントおよびホストを含有し、前記ホストが、
【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

からなる群から選択される;
OLED素子。

【図1】
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【公表番号】特表2007−511067(P2007−511067A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536686(P2006−536686)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/034323
【国際公開番号】WO2005/042668
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】